(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】内視鏡随伴デバイスのための光学構成要素
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230213BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20230213BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
A61B1/00 715
A61B1/018 514
A61B1/12 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537351
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 US2020065424
(87)【国際公開番号】W WO2021127053
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517421769
【氏名又は名称】ジーアイ・サイエンティフィック・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】GI SCIENTIFIC, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ミラー スコット
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161BB04
4C161FF35
4C161FF43
4C161HH24
4C161JJ03
4C161JJ11
(57)【要約】
内視鏡の遠位端部分に取り付けられるように構成された近位端を有する本体と、感染及びスコープの性能低下に至る可能性があると考えられる内視鏡の作業端部からのデブリ、流体、細菌、又は他の望ましくない物質の侵入を低減する保護カバーとを備える内視鏡のためのカプラデバイス。カプラデバイスは、内視鏡のカメラレンズ及び光源と患者内のターゲット部位との間の本体上に可視化セクションを更に含む。可視化セクションは、面からの反射光の量を低減するように及び/又は面上の水滴の凝縮を抑制するように構成された1又は2以上の光学構成要素を備える。可視化セクションの眩光及び/又は曇りを低減することは、光学カプラを通したターゲット部位の外科医の視野を有意に改善する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライトとカメラレンズとを有する内視鏡のためのカプラデバイスであって、
少なくとも部分的に閉鎖された遠位端と前記内視鏡の遠位端部分に取り付けるように構成された近位端とを備える本体と、
前記内視鏡の前記ライト及び前記カメラレンズと患者内のターゲット部位との間に配置されて、前記ターゲット部位を見ることを可能にする実質的に透明な可視化セクションと、
前記可視化セクション上若しくは内、又は前記本体上若しくは内にあり、かつ前記可視化セクションの面からの反射光の量を低減するように構成された光学構成要素と、
を備えることを特徴とするカプラデバイス。
【請求項2】
前記光学構成要素は、前記可視化セクションの内面上に配置された反射防止コーティングを備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項3】
前記光学構成要素は、光波の可視範囲内における前記反射光の実質的な部分を低減するように構成された光学層を備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項4】
前記光学構成要素は、フッ化マグネシウムコーティングを備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項5】
前記光学構成要素は、2以上の反射防止コーティングを備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項6】
前記可視化セクションは、前記光学構成要素とは異なる材料を備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項7】
前記可視化セクションは、前記カメラレンズ及び前記ライトと前記ターゲット部位との間に実質的に透明な観察面を備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項8】
前記観察面は、ポリカーボネートを備えることを特徴とする請求項7に記載のカプラデバイス。
【請求項9】
前記可視化セクションは、前記本体内に配置された実質的に透明な材料を備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項10】
前記可視化セクションは、実質的にクリアなゲルを備えることを特徴とする請求項9に記載のカプラデバイス。
【請求項11】
前記可視化セクション上又は内に第2の光学構成要素を更に備え、前記第2の光学構成要素は、前記可視化セクション上の流体の凝縮を抑制するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項12】
前記本体内に作業チャネル延長部を更に備え、前記作業チャネル延長部は、開放遠位端と前記内視鏡の作業チャネルに取り付けるように構成された近位端とを有することを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項13】
前記内視鏡上の作業チャネルを通過する器具を関節結合させるための機構を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項14】
前記作業チャネル延長部は、可撓性であり、かつ角度調節することができることを特徴とする請求項12に記載のカプラデバイス。
【請求項15】
前記作業チャネル延長部の前記近位端は、前記内視鏡作業チャネルに対して密封するためのガスケットを含むことを特徴とする請求項12に記載のカプラデバイス。
【請求項16】
前記内視鏡は、側視内視鏡であることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項17】
前記光学構成要素は、前記カプラデバイスの面から反射された光の量を低減するように位置決めされた光吸収材料を備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項18】
前記光学構成要素は、前記カプラデバイスの前記可視化セクション上又は内に光吸収ストリップを備え、前記光吸収ストリップは、前記患者の内部からの迷光を吸収するように位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項19】
前記光学構成要素は、前記カプラデバイス上にバッフルを備え、前記バッフルは、迷光を前記カメラレンズから離れる方向に向けるように構成された1以上のベーンを有するバッフルを前記カプラデバイス上に備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項20】
ライトとカメラレンズとを有する内視鏡のためのカプラデバイスであって、
少なくとも部分的に閉鎖された遠位端と前記内視鏡の遠位端部分に取り付けるように構成された近位端とを備える本体と、
前記内視鏡の前記ライト及び前記カメラレンズとターゲット部位との間に配置されて、前記ターゲット部位を見ることを可能にする実質的に透明な可視化セクションと、
前記可視化セクション上又は内にあり、かつ前記可視化セクション上の流体の凝縮を抑制するように構成された光学層と、
を備えることを特徴とするカプラデバイス。
【請求項21】
前記光学層は、前記可視化セクションの外面に又は該セクション内に付加された1以上の化学物質を備え、前記化学物質は、前記可視化セクション上の水の凝縮を抑制するように構成されていることを特徴とする請求項20に記載のカプラデバイス。
【請求項22】
前記光学層は、前記可視化セクションの面に付加された曇り止めフィルムを備えることを特徴とする請求項20に記載のカプラデバイス。
【請求項23】
前記光学層は、前記可視化セクション上の水の表面張力を最小にするように構成された界面活性剤を備えることを特徴とする請求項20に記載のカプラデバイス。
【請求項24】
前記光学層は、前記可視化セクションの面上に親水性コーティングを備えることを特徴とする請求項20に記載のカプラデバイス。
【請求項25】
前記可視化セクションは、前記カメラレンズ及び前記ライトと前記ターゲット部位との間に実質的に透明な観察面を備えることを特徴とする請求項20に記載のカプラデバイス。
【請求項26】
前記観察面は、ポリカーボネートを備えることを特徴とする請求項25に記載のカプラデバイス。
【請求項27】
前記可視化セクションは、前記本体内に配置された実質的に透明な材料を備えることを特徴とする請求項20に記載のカプラデバイス。
【請求項28】
前記可視化セクションは、実質的にクリアなゲルを備えることを特徴とする請求項27に記載のカプラデバイス。
【請求項29】
前記可視化セクション上又は内に第2の光学層を更に備え、前記第2の光学層は、前記可視化セクション上の反射光の量を低減するように構成されていることを特徴とする請求項20に記載のカプラデバイス。
【請求項30】
前記本体内に作業チャネル延長部を更に備え、前記作業チャネル延長部は、開放遠位端と前記内視鏡の作業チャネルに取り付けるように構成された近位端とを有することを特徴とする請求項20に記載のカプラデバイス。
【請求項31】
前記内視鏡上の作業チャネルを通過する器具を関節結合させるための機構を更に備えることを特徴とする請求項30に記載のカプラデバイス。
【請求項32】
前記作業チャネル延長部は、可撓性であり、かつ角度調節することができることを特徴とする請求項30に記載のカプラデバイス。
【請求項33】
前記作業チャネル延長部の前記近位端は、前記内視鏡作業チャネルに対して密封するためのガスケットを含むことを特徴とする請求項30に記載のカプラデバイス。
【請求項34】
前記内視鏡は、側視内視鏡であることを特徴とする請求項20に記載のカプラデバイス。
【請求項35】
ライトとカメラレンズとを有する内視鏡のためのカプラデバイスであって、
少なくとも部分的に閉鎖された遠位端と前記内視鏡の遠位端部分に取り付けるように構成された近位端とを備える本体と、
前記内視鏡の前記ライト及び前記カメラレンズとターゲット部位との間に配置されて、前記ターゲット部位を見ることを可能にする実質的に透明な可視化セクションと、
前記可視化セクション上若しくは内、又は前記本体上若しくは内にあり、かつ前記可視化セクション上の反射光の量を低減するように構成された第1の光学構成要素と、
前記可視化セクション上若しくは内、又は前記本体上若しくは内にあり、かつ前記可視化セクション上の流体の凝縮を抑制するように構成された第2の光学構成要素と、
を備えることを特徴とするカプラデバイス。
【請求項36】
前記第1の光学構成要素は、前記可視化セクションの内面上に配置された反射防止コーティングを備えることを特徴とする請求項35に記載のカプラデバイス。
【請求項37】
前記第1の光学構成要素は、光波の可視範囲内における反射光の実質的な部分を低減することを特徴とする請求項35に記載のカプラデバイス。
【請求項38】
前記第1の光学構成要素は、フッ化マグネシウムコーティングを備えることを特徴とする請求項35に記載のカプラデバイス。
【請求項39】
前記第1の光学構成要素は、2以上の反射防止コーティングを備えることを特徴とする請求項35に記載のカプラデバイス。
【請求項40】
前記可視化セクションは、前記第1の光学構成要素とは異なる材料を備えることを特徴とする請求項35に記載のカプラデバイス。
【請求項41】
前記可視化セクションは、ポリカーボネートを備えることを特徴とする請求項35に記載のカプラデバイス。
【請求項42】
前記第2の光学構成要素は、前記可視化セクションに付加された1以上の化学物質を備え、前記化学物質は、前記可視化セクション上の水の凝縮を抑制するように構成されていることを特徴とする請求項35に記載のカプラデバイス。
【請求項43】
前記第2の光学構成要素は、前記可視化セクションの外面に付加された曇り止めフィルムを備えることを特徴とする請求項35に記載のカプラデバイス。
【請求項44】
前記第2の光学構成要素は、前記可視化セクション上の水の表面張力を最小にするように構成された界面活性剤を備えることを特徴とする請求項35に記載のカプラデバイス。
【請求項45】
前記第2の光学構成要素は、親水性コーティングを備えることを特徴とする請求項35に記載のカプラデバイス。
【請求項46】
前記第1の光学構成要素は、前記カプラデバイスの面から反射された光の量を低減するように位置決めされた光吸収材料を備えることを特徴とする請求項35に記載のカプラデバイス。
【請求項47】
患者を治療するためのシステムであって、
ライトとカメラレンズとを有する内視鏡と、
少なくとも部分的に閉鎖された遠位端と前記内視鏡の遠位端部分に取り付けるように構成された近位端とを備える本体と、前記内視鏡の前記ライト及び前記カメラレンズとターゲット部位との間に配置されて、前記ターゲット部位を見ること可能にする実質的に透明な可視化セクションとを備えるカプラデバイスと、
前記カメラレンズ上の反射光の量を低減するように構成された前記カメラレンズの面上の光学構成要素と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項48】
前記カメラレンズの前記面上にあり、かつ前記面上の流体の凝縮を抑制するように構成された第2の光学構成要素を更に備えることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
この出願は、全ての目的に対してその開示全体が引用によって本明細書に組み込まれている2019年12月17日出願の米国仮特許出願第62/949,238号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、概略的には、内視鏡と共に使用するための光学カプラのような随伴デバイスに関し、より具体的には、反射光を低減するための及び/又は内視鏡のカメラレンズ上の水分凝縮を抑制するための光学構成要素を有する光学カプラに関する。
【背景技術】
【0003】
光学撮像技術の最近の進歩は、今日、多くの医療手順を低侵襲方式で実施することを可能にしている。高度な視覚機能を有するより精巧な可撓性スコープの進化は、以前は侵襲的な外科的介入を用いてのみ達成することができたと考えられる人体の奥深い領域へのアクセスを可能にしている。この現代の利便性は、米国及び世界で毎年実施される内視鏡、腹腔鏡、関節鏡、検眼鏡、又は他の遠隔撮像可視化手順に対する需要、並びにその回数の増加をもたらしている。これらの手順は比較的安全であるが、それらは、リスクを伴わないわけではない。
【0004】
例えば、内視鏡検査は、内視鏡と呼ばれる照明式可視化デバイスが検査、診断、又は治療を目的として体腔、管腔、又は臓器、又はその組合せの内側を調べるために患者の体内に挿入される手順である。内視鏡は、患者の小さい切開部を通して又は自然な開口部を通して挿入することができる。気管支鏡検査では、内視鏡は、口を通して挿入され、一方でS字結腸鏡検査では、内視鏡は、直腸を通して挿入される。殆どの他の医療撮像デバイスとは異なり、内視鏡は、臓器、体腔、又は管腔の中に直接に挿入される。
【0005】
今日、殆どの内視鏡は再使用される。これは、内視鏡検査の後に、内視鏡が、別の患者に対する別の内視鏡検査での使用に向けて現場の中に再度導入されるように洗浄、消毒又は滅菌、及び再生手順に通されることを意味する。一部の場合に、内視鏡は、数人の異なる患者に対して1日に数回再使用される。
【0006】
洗浄、消毒、及び再生手順は厳密なものであるが、内視鏡がいずれの形態の汚染も絶対的に不在で除去されることになるという保証はない。現代の内視鏡は、非常に小さくかつ可撓性の管状本体の内側に高度かつ複合的な光学可視化構成要素を有し、これは、これらのスコープが患者を診断及び治療する際にそれらが有効であることを可能にする特徴である。しかし、これらの快適性の代償は、それらがそれらの小さいサイズ及び無数の構成要素のために洗浄することが困難であることである。これらのスコープは、体液、血液、及び更には組織のようなスコープ内に捕捉されることになるか又はその面に付着する可能性があると考えられる要素にこれらのスコープの面を露出する身体部位の奥深くに導入され、各繰り返し使用と共に感染リスクを増大させる。
【0007】
側視機能を有する内視鏡超音波スコープ(EUS)及び十二指腸鏡のような胃腸管に使用される内視鏡は、細菌の多い環境内に入る点で追加の複雑さを有する。典型的な十二指腸鏡及びEUSスコープは、作動に向けてケーブルに取り付けられたヒンジを有するエレベータのような内部移動構成要素を有する。このエレベータは、スコープの作業チャネルに通される器具を偏向させるのに、従って、その方向を変更するのに使用される。このエレベータは、ユーザが、1又は2以上の器具を特定の体管腔の中に入れるように又は組織に貫入するか又はそれを採取するために方向転換させることができるようにワイヤ又はカテーテルの方向を変更してこれらを特定の開口部の中に誘導して入れることを可能にすることができる点で有利である。しかし、使用中のエレベータのサイズ、場所、及び移動を考慮すると、エレベータは、細菌がエレベータのヒンジの中まで辿り着くリスク及びスコープ上の場所を洗浄することに対する他の困難を含む洗浄問題を発生させる。これは、細菌がコロニーを形成し、薬剤耐性を示すようになるきっかけを与え、患者に対する重大な疾病のリスク、更に死のリスクさえももたらす。この感染リスクは、エレベータ機構を前後に移動するのに使用されるケーブル機構及び現在のスコープ設計の他の態様でも存在する。更に、細菌汚染によって課せられる健康リスクに加えて、洗浄することが困難なこれらのスコープ区域での流体、デブリ、細菌、微粒子、及び他の望ましくない物質の蓄積も、これらの再使用可能スコープの性能に影響を及ぼし、その有効寿命を短くする。
【0008】
感染リスクを低減し、内視鏡の作業端部を保護するために、既存内視鏡の一部分を覆い、少なくとも部分的に密封するための使い捨て光学カプラデバイスが設計されている。これらのカプラデバイスは、一般的に、内視鏡の作業端部に取り付けられてガラス、ポリカーボネート、アクリル、透明ゲル又はシリコーン、又は画像を伝達するほど十分な光学的透明度を有する他の材料のような光学材料で構成された可視化セクションを有し、このセクションは、スコープのカメラレンズ及び光源とほぼ位置合わせされ、光がこのセクションを通過して内視鏡によるターゲット部位の視野を提供することを可能にする。
【0009】
既存カプラデバイスの欠点のうちの1つは、ターゲット部位内又はその周りにある流体が可視化セクションの面上に蓄積して小滴に凝縮し、これらの面を「曇らせ」、管腔、臓器、特定の組織、手術部位、又は他の望ましい可視化点の視野を制限する点である。この視野制限は、スコープと光学カプラデバイスの間、又は光学カプラデバイスの外面上、又はその組合せで発生する場合がある。
【0010】
既存カプラデバイスに関連付けられた別の欠点は、デバイスの視覚化セクションを通過する光が患者内の組織面から反射してカメラレンズ又は光源に戻って来る点である。この現象は、例えば、オペレータが内視鏡を患者内のより小さい容積の部位、例えば、腸からより大きい容積の部位、例えば、臓器(例えば、胃)まで前進させる時に発生する場合がある。より大きい容積の部位は、カプラデバイス内及びスコープのカメラレンズ上に大量の反射光を戻すことになる。この反射光は、ターゲット部位を見るオペレータの能力を更に制限する眩光を発生させる。
【0011】
従って、汚染及び感染のリスクを低減し、同時に内視鏡の性能も改善する既存内視鏡に対して便利な付属品として機能するデバイスを提供することが望ましい。内視鏡の光源又はカメラ上に僅かな眩光及び/又は曇りしか伴わずに患者の解剖学的構造内の望ましい観察点の明瞭な視野を与える内視鏡作業端部に対する光学カプラのような内視鏡付属品又は随伴デバイスを提供することが特に望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の開示は、内視鏡の作業端部の一部分を覆い、かつ少なくとも部分的に密封するためのカプラデバイスを提供する。カプラデバイスは、デブリ、流体、及び他の物質がエレベータ内、エレベータの背後、作業チャネル、及び他の洗浄することが困難な区域に行き着くリスクを低減するためにスコープ及びその構成要素、特にスコープエレベータを保護する。更に、カプラデバイスは、光学カプラの面及び/又は周囲の組織面からの反射光又は迷光の量を低減するように構成された1又は2以上の光学構成要素を含む。カプラデバイスは、光学カプラ、カメラレンズ、又はこれらの両方の上での水滴の凝縮を抑制する1又は2以上の光学構成要素を含むことができる。光学カプラの眩光及び/又は曇りを低減することにより、内視鏡を通じたターゲット部位の外科医の視野が有意に改善される。
【0013】
一実施形態では、本発明の開示によるカプラデバイスは、少なくとも部分的に閉鎖された遠位端と内視鏡の遠位端部分に取り付けるように構成された近位端とを備える本体を含む。カプラデバイスは、内視鏡のライト及びカメラレンズとターゲット部位の間にあってターゲット部位を見ること可能にする実質的に透明な可視化セクションを更に含む。カプラデバイスの可視化セクション又は本体は、その面のうちの少なくとも1つの上又は可視化セクション内に光学構成要素を含む。光学構成要素は、可視化セクションの面又は周囲の組織面からの反射光の量を低減して眩光を低減し、観察部位の視野を改善するように構成される。
【0014】
可視化セクションは、光が通過することを可能にするようにカプラデバイス上に位置決めされた実質的に透明なフィルム、シート、層、コーティング、壁、又は他の基板を備えることができる。これに代えて、可視化セクションは、光学カプラの本体内にあり、光が通過することを可能にすることになる透明ゲル又は他の実質的に透明な材料のような光学画像を透過させる機能を有する材料を備える透過性区域を備えることができる。ある一定の実施形態では、カメラレンズ及び導光体は、導光体からの光がカプラデバイスを通してターゲット部位に到達するように内視鏡のシャフトから横方向に向けられ(すなわち、側視内視鏡)、可視化セクションは、カプラデバイスの外面上に配置される。他の実施形態では、カメラレンズ及び導光体は、内視鏡のシャフトから長手方向に向けることができ(すなわち、端視スコープ)、可視化セクションは、カプラデバイスの遠位面上に配置される。更に他の実施形態では、カプラデバイス又は内視鏡は、可視化セクションを導光体及びカメラレンズと「位置合わせ」させるようにカメラ及び導光体に及びから通過する光の経路を変更するためのミラー又は他の光反射面を備えることができる。この後者の実施形態では、可視化セクションは、ミラー又は他の再方向付け面が光を可視化セクションを通してターゲット部位まで進めるように構成される限り、必ずしもカメラ導光体の正反対にない場合がある。
【0015】
可視化セクションは、ポリカーボネート、ガラス、又は透明ゲルなどのような光学画像を透過させる機能を有するいずれかの光学材料とすることができる。一実施形態では、可視化セクションは、ポリカーボネートを備え、光学構成要素は、ポリカーボネートとは異なる、好ましくはポリカーボネートとは異なる屈折率を有する材料の層を備える。この光学層は、ポリカーボネートとの干渉効果を発生させ、それによって可視化セクションの透過性を実質的に低減することなく反射光の合計百分率を低減する。
【0016】
光学層は、可視化セクションの内面、外面、又は内面と外面の両方の上に配置することができる。これに代えて、光学層は、可視化セクション内に配置することができる。他の実施形態では、光学層は、カメラレンズ及び/又は光源の面上に配置することができる。一実施形態では、光学層は、可視化セクションの内面に付加されて光波の可視範囲(すなわち、約400ナノメートルから700ナノメートルの間)にある反射光のうちのかなりの部分を低減する反射防止コーティングを備える。好ましい実施形態では、反射防止コーティングは、フッ化マグネシウムを備える。
【0017】
他の実施形態では、光学層は、2又は3以上の反射防止コーティングを備える。好ましくは、コーティングのうちの少なくとも1つは、フッ化マグネシウムを備える。他の適切なコーティングは、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、又は三フッ化セリウムなどを含むことができる。例示的実施形態では、光学層は、フッ化セリウム、酸化亜鉛、及びフッ化マグネシウムのようなコーティングの連続層を備える。
【0018】
更に別の実施形態では、光学構成要素は、可視化セクション、本体、本体の外面のうちの1つ、カメラレンズ及び導光体を覆う開放区域、可撓性作業チャネル領域内、例えば、作業チャネル延長部又は可撓性膜内又は上のようなカプラデバイスの1又は2以上の区域内又は上に位置決めされた光吸収材料を備えることができる。光吸収材料は、患者の組織及び/又は光学カプラの面からの反射光、散乱光、又は迷光を吸収し、それによって他に反射光によって引き起こされる可能性がある眩光を最小にするように位置決めされる。光吸収材料は、反射光がカメラレンズと干渉しないようにこの光を吸収するように位置決めされた薄い黒色のストリップ、正方形、円形、矩形、又は他の適切な形状とすることができる。
【0019】
これに代えて、光学構成要素は、カプラデバイス上又は内に位置決めされたバッフルを備えることができる。好ましくは、バッフルは、反射迷光を内視鏡上のカメラレンズから遠ざけるように向けるように位置決めされ、かつそのように構成された1又は2以上のチャネル又はベーンを含む。バッフルは、カメラレンズの視野(FOV)の外側にある光源から到着する光を遮蔽するように設計することができる。システムの視野角の外側の光は、システムの面上で複数回の反射を行わなければならず、カメラレンズに実効的に到達する光の強度を最小にする。内部面は、光吸収材料又は色、例えば、黒化した面を備えることができる。
【0020】
本発明の別の態様では、ライトとカメラレンズとを有する内視鏡のためのカプラデバイスは、少なくとも部分的に閉鎖された遠位端と内視鏡の遠位端部分に取り付けるように構成された近位端とを備える本体を含む。カプラデバイスは、内視鏡のライト及びカメラレンズとターゲット部位の間にあってスコープを用いたターゲット部位を見ること可能にする実質的に透明な可視化セクションを更に含む。可視化セクションは、その面のうちの少なくとも1つの上又は可視化セクション内に光学層を含む。光学層は、可視化セクションの面上の水のような流体の凝縮を抑制するように構成される。光学層は、可視化セクション上又は内での「曇り」を低減し、それによってターゲット部位の視野を改善する。
【0021】
ある一定の実施形態では、光学層は、可視化セクションに又は内に付加された1又は2以上の化学物質を備える。化学物質は、可視化セクションの外面(すなわち、ターゲット部位に対面する面)上の水滴の凝縮を抑制するように構成される。他の実施形態では、光学層は、可視化セクションの外面に付加された曇り止めフィルムを含み、他の実施形態では、この付加は、可視化セクションの内側面へのもの又は外側面上と内側面上の両方へのものである。
【0022】
別の実施形態では、光学層は、可視化セクションの外面上の水の表面張力を最小にするように構成された界面活性剤を備える。界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は両性の極性を含むことができ、可視化セクション上の水分子からの表面張力を低減し、それによって外面上に形成される水滴の個数を低減する洗剤、脂肪酸石鹸、分散剤、他の適切な材料を含むことができる。
【0023】
別の実施形態では、光学層は、可視化セクションの外面上の面エネルギを最大に高める親水性コーティングを備える。適切な親水性コーティングは、デミスター、デフォッガー、デフロスター、ポリマー、及びヒドロゲル、例えば、ゼラチン、コロイド、及びナノ粒子、例えば、二酸化チタン、又は他の適切な親水性材料を含むことができる。
【0024】
本発明の別の態様では、ライトとカメラレンズとを有する内視鏡のためのカプラデバイスは、少なくとも部分的に閉鎖された遠位端と内視鏡の遠位端部分に取り付けるように構成された近位端とを備える本体を含む。カプラデバイスは、内視鏡のライト及びカメラレンズとターゲット部位の間にあってスコープを用いたターゲット部位を見ること可能にする可視化セクションを更に含む。カプラデバイスは、可視化セクション上又は内にあって反射光を低減するように構成された第1の光学構成要素と、可視化セクション上又は内にあって可視化セクション上の流体の凝縮を抑制するように構成された第2の光学構成要素とを更に含む。
【0025】
ある一定の実施形態では、カプラデバイスは、内視鏡の作業チャネルに結合されて器具がカプラデバイスを通過し、カプラ及びスコープを通して捉えられる望ましい観察部位に到達することを可能にする開放区域、キャビティ、又はチャネルを含む。器具は、カプラデバイス内、内視鏡上又は内、又はこれらの両方の外部のいずれかに配置されて器具に適切に結合されたケーブル、エレベータ、圧電材料、マイクロモータ、有機半導体、電気活性ポリマー、又は他のエネルギ源又は電源のような様々な適切な手段によって関節結合させることができる。
【0026】
他の実施形態では、カプラデバイスは、スコープの作業チャネルを延びて角度調節可能とすることができる可撓性作業チャネル延長部を含む。可撓性作業チャネル延長部は、エレベータ又は内視鏡を通過するケーブルによって調節可能とすることができる。これに代えて、カプラデバイスは、作業チャネル延長部を調節し、それによって内視鏡を通過する器具を関節結合させるためのエレベータ、ケーブル、又は類似の作動手段のようなカプラデバイス独自のアクチュエータを含むことができる。アクチュエータは、モータなどのようなあらゆる適切なエネルギ源によって電力を供給することができる。エネルギ源は、アクチュエータにスコープを通して直接的に又は磁気エネルギ源、電気エネルギ源、又はいずれかの他のエネルギ源を通して間接的にそのいずれかで結合することができる。エネルギ源は、カプラデバイス内に配置することができ、又はカプラデバイスの外部のもの(すなわち、スコープの近位端又は患者の外部のいずれかに配置された)とすることができる。
【0027】
本発明の別の態様では、システムは、十二指腸鏡又は内視鏡超音波スコープ(EUS)などのような側視スコープのような内視鏡を有する上述した光学カプラを含む。側視スコープは、作業チャネルと、光源と、カメラとを含む。光源、カメラ、又はこれらの両方のいずれかの面上に1又は2以上の光学層が配置される。光学層は、上述した曇り止め層及び/又は反射防止層のうちのいずれかを含むことができる。この実施形態では、光学層は、カプラデバイス内の眩光及び/又は凝縮を低減するために、カプラデバイスではなく内視鏡自体の上(すなわち、カメラレンズ及び光源とカプラデバイスの可視化セクションとの間)に配置される。
【0028】
スコープは、光学カプラの作業チャネル延長部の角度を調節するためのアクチュエータを更に備えることができる。一実施形態では、アクチュエータは、スコープの遠位端部分内に配置されたエレベータを備える。別の実施形態では、アクチュエータは、スコープを通って延びるケーブルを備える。これらの実施形態では、カプラデバイスは、スコープのアクチュエータ又はケーブルと協働してカプラデバイスを通る器具を関節結合させるように構成される。他の実施形態では、カプラデバイスは、器具を関節結合させるための独自のアクチュエータを含み、エレベータ又はケーブルアクチュエータを備えたスコープを有する必要性を排除する。更に他の実施形態では、カプラデバイスの作業チャネル延長部は関節結合しない。
【0029】
カプラデバイスは、スコープの遠位端を細菌、デブリ、流体、及び粒子状物質に対して露出することなく内視鏡の作業チャネルからの前進中のデバイスの出口角を変更する機能をユーザに与える1回使用使い捨て付属品として内視鏡に提供することができる。一部の実施形態では、デバイスは、内視鏡の端部に取り付けて内視鏡の作業チャネルをカプラデバイス内で作業チャネル延長部によって覆い、器具を内視鏡の作業チャネルに沿ってカプラデバイスの作業チャネル延長部の中に進め入れることを可能にする。作業チャネル延長部は、スコープ作業チャネルに対するシールを提供することができ、従って、流体及び細菌がスコープ作業チャネルの外側の区域に侵入することなく、器具は、スコープ作業チャネルを通して前後に進め、更にカプラデバイスの作業チャネル延長部から出すことができる。このシールは、一部の実施形態では、スコープ作業チャネル内へのデバイス作業チャネルの延長を通して、作業チャネル延長部の端部上のガスケットを通して、一時的な接着により、スコープの遠位端に対する全体のデバイスの圧力及びシールを通して、弾性材料及びエラストマー材料の選択を通して、及び他の適切な代替手段で達成される。
【0030】
一部の実施形態では、デバイスは、内視鏡の作業チャネルに沿って前進中のワイヤ、カテーテル、又は他の器具が、それら自体をカプラデバイスがない場合又はスコープ内のエレベータが使用されない場合に器具が内視鏡を出ることになる角度とは異なる好ましい方向に向けることができるように、内視鏡のユーザが自分の好ましい方向にデバイスの作業チャネルを関節結合させることを可能にする。器具のこの再方向付けは、流体、デブリ、粒子状物質、細菌、及び他の望ましくない要素が内視鏡の洗浄することが困難な区域、特に内視鏡の遠位端に侵入することを許すことなくデバイスのナビゲーションを支援するという利益を有する。
【0031】
本発明の利益は、感染と実質的に洗浄するのに到達することが困難なスコープの内部要素内へのデブリ及び粒子状物質の侵入とを防止するためにスコープの遠位端を密封しながら、非医療手順を含む胆管又は膵管又は到達することが困難な他の部位のような特定の体管腔に進入するように1又は2以上のデバイスを方向転換させることができるように医師が出口角を変更することを可能にすることを含む。
【0032】
一部の実施形態では、デバイスは、内視鏡の端部を覆って内視鏡の端部を密封する光学透明材料で形成することができ、デバイスによって視野を掩蔽することなく内視鏡のカメラによる可視化を可能にする。光学透明材料はまた、内視鏡によって投影される光が内視鏡の視野を照明することを可能にするように内視鏡の導光体を覆うことができる。一部の実施形態では、光学透明材料は、それを通してユーザが組織を可視化する時にスコープの相対位置を識別するためのマーカのような組織を可視化する時にユーザの指針になるナビゲーションマーカを含むことができる。
【0033】
一部の実施形態では、昇降させることのみができ、左右に移動するか又は他の象限の中に関節結合させることができない内視鏡エレベータの限られた可動範囲に起因して単一軸線内でのみ器具を偏向させ、従って、その経路を変更することができる現在の内視鏡エレベータの場合とは異なり、本発明のデバイスは、出口角を様々な象限を含む複数の方向に自在に関節結合させることができるような複数のケーブルを有することができる。一部の実施形態では、ケーブルは、作業チャネル延長部に直接取り付けることができ、又は例えば作業チャネル延長部の下にあるが、ケーブルを前進及び後退させる時に作業チャネル延長部を移動するように前後に進めることができるデバイス内に入れられた合わせ釘を含む関節結合させて作業チャネル延長部の出口角を変化させることができる他のデバイスに取り付けることができる。一部の実施形態では、カプラデバイスの関節結合能力は、カプラデバイス内に埋め込まれて使い捨てであり、従って、手順の後に廃棄されるエレベータを用いて生成することができる。これに代えて、作業チャネル延長部は、それが関節結合しないように固定することができる。
【0034】
カプラデバイスの関節結合能力は、例えば、圧電材料、マイクロモータ、有機半導体、及び電気活性ポリマーを含むケーブルを伴わない要素を用いても起こる場合がある。一部の実施形態では、カプラデバイスの関節結合能力は、力を伝達する連結コネクタ、捩れるワイヤ、摺動可能シース、及び温度の伝達によって形状を変化させる形状記憶合金による作業チャネル延長部又は埋め込みエレベータへの力の伝達によって発生させることができる。一部の実施形態では、デバイスは、デバイスの中に器具を通す時又は通す前に電磁エネルギを含むエネルギをデバイスに送出してカプラデバイスからの出口角を変化させる力の伝達をもたらす電力コネクタ又はモータを含む。この力の伝達は、デバイスが作業チャネル延長部を出る時にこのデバイスを回転させる段階を含むことができる。デバイスは、ユーザが直接ナビゲートして関節結合させるか、又はケーブル、電力コネクタ、モータ、電磁エネルギ、摺動可能シース、触覚手段、コンピュータによって案内及び誘導される入力を含み、かつ患者内の特定の診断及び治療目的への又は非医療用途での望ましい遠隔場所を含むこのデバイスの意図する場所にデバイスを誘導及び誘導するための他の手段を含む様々な手段を通してユーザ入力がシステムによって変換されるロボットシステムの一部としてナビゲートして関節結合させることができる。
【0035】
一部の実施形態では、デバイスは、スコープの中に一体化され、かつ手動洗浄、高圧減菌器内、ETO滅菌器、ガンマ線滅菌器、及び他の滅菌法を含む個別の洗浄に向けて切り離し可能及び再使用可能であるように構成することができる。
【0036】
一部の実施形態では、カプラデバイスは、内視鏡の遠位端全体を覆うことができ、又は洗浄することが困難な区域だけを覆うことができる。一部の実施形態では、カプラデバイスは、内視鏡の遠位端又はその一部分を覆うことができ、又はそれは、カプラデバイスに取り付けられて流体、デブリ、粒子状物質、細菌、及び他の望ましくない要素に対して露出されるスコープの全体を覆うシースを含むことができる。
【0037】
以上の概要説明と以下の詳細説明の両方は、単に例示的かつ説明的であり、本発明の開示を限定しないことは理解されるものとする。本発明の開示の追加の特徴は、以下の説明に部分的に示されることになるか、又はこれらの特徴は、本発明の開示の実施によって習得することができる。
【0038】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、本発明の開示のいくつかの実施形態を示し、かつ本発明の説明と共に本発明の開示の原理を解説することに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の開示による代表的な内視鏡の近位部分の部分断面図である。
【
図2】本発明の開示による側視内視鏡の遠位端部分の斜視図である。
【
図3A】十二指腸鏡との併用時の本発明の開示のカプラデバイスの例示的実施形態の等角投影図である。
【
図3B】十二指腸鏡との併用時の本発明の開示のカプラデバイスの例示的実施形態の等角投影図である。
【
図4A】
図3Aのカプラデバイス及び十二指腸鏡の部分切り欠き図である。
【
図4B】
図3Bのカプラデバイス及び十二指腸鏡の部分切り欠き図である。
【
図6】
図3A及び
図3Bのカプラデバイス及び十二指腸鏡の更に別の切り欠き図である。
【
図7】第1の位置にある
図3A及び
図3Bのカプラデバイス及び十二指腸鏡の切り欠き側面図である。
【
図8】第2の位置にある
図3A及び
図3Bのカプラデバイス及び十二指腸鏡の切り欠き側面図である。
【
図9】第3の位置にある
図3A及び
図3Bのカプラデバイス及び十二指腸鏡の切り欠き側面図である。
【
図10】
図3A及び
図3Bのカプラデバイスの膜を有する作業チャネル延長部の拡大側面図である。
【
図12】本発明の開示のカプラデバイスの別の例示的実施形態の切り欠き図である。
【
図14】十二指腸鏡との併用時の
図13のカプラデバイスの切り欠き側面図である。
【
図15】本発明の開示の作業チャネル延長部の例示的実施形態の拡大側面図である。
【
図16】
図15の作業チャネル延長部の別の拡大側面図である。
【
図18】ロッキング特徴部を有する
図3のカプラデバイスの斜視上面図である。
【
図19】本発明の開示の作業チャネル延長部の別の例示的実施形態の斜視図である。
【
図20A】本発明の開示によるカプラデバイスの可視化セクション上の反射防止コーティングのいくつかの実施形態を示す図である。
【
図20B】本発明の開示によるカプラデバイスの可視化セクション上の反射防止コーティングのいくつかの実施形態を示す図である。
【
図20C】本発明の開示によるカプラデバイスの可視化セクション上の反射防止コーティングのいくつかの実施形態を示す図である。
【
図21】本発明の開示によるカプラデバイスの可視化セクション上の曇り止めコーティングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本説明及び添付図面は、例示的実施形態を示し、限定的であると解釈すべきではなく、特許請求の範囲は、均等物を含む本発明の開示の範囲を定める。様々な機械的、組成的、構造的、及び作動的な変更を本説明の範囲及び均等物を含む特許請求の範囲から逸脱することなく加えることができる。一部の事例では、本発明の開示を不明瞭にしないように、公知の構造及び技術は、詳細に示して説明することをしない。2又は3以上の図内の類似の番号は、同じか又は類似の要素を表している。更に、一実施形態に関して詳細に説明する要素及び関連の態様は、実際的である限り、これらの要素及び態様を具体的に示さないか又は説明しない他の実施形態に含めることができる。例えば、要素を一実施形態に関して詳細に説明し、第2の実施形態に関して説明しない場合であっても、当該要素を第2の実施形態に含まれるものとして主張することができる。更に、本明細書での説明は、単に例示を目的とするものであり、必ずしもシステム又は例示実施形態の実際の形状、サイズ、又は寸法を反映するとは限らない。
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲に使用する時に、単数形「a」「an」、及び「the」は、明示的かつ一義的に1つの指示物に限定しない限り複数の指示物を含むことに注意されたい。本明細書に使用する場合に、用語「含む」及びその文法的変形は、リスト内の項目の列挙がこのような列挙項目に代用又は追加することができる他の類似の項目を除外しないように非限定的であるように意図している。
【0042】
以下の開示は、主として、光学画像内視鏡と共に使用するための光学カプラ又は随伴デバイスに関するが、本説明のデバイスの特徴は、様々な再使用可能又は使い捨て内視鏡スコープ、器具、及びデバイスとの併用に難なく適応させることができることを理解しなければならない。本発明の光学カプラは、手順に使用するための様々な異なる器具又はデバイスを含む手術キットの一部として使用することができる。そのようなキットは、2019年12月17日出願の「Medical Device Kit with Endoscope Accessory(内視鏡付属品を有する医療デバイスキット)」という名称の本発明の出願人に譲渡された現在特許出願中の米国特許出願に説明されており、その完全な開示の全内容は、全ての目的で引用によって本明細書に組み込まれている。本発明と共に使用するためのカプラデバイスの一例は、2015年7月21日出願の米国仮特許出願第62/195,291号明細書の利益を主張する2016年7月21日に出願されて本発明の出願人に譲渡された現在特許出願中のPCT特許出願PCT/US2016/043371号明細書に説明されており、その完全な開示内容は、全ての目的で引用によって本明細書に組み込まれている。
【0043】
本発明の開示での「内視鏡」という用語は、身体(ヒト又は他のもの)を含む医療用途上又は医療用途に使用されるいずれかのスコープを一般的に意味し、例えば、ロボット又は非ロボットのいずれであるかに関わらず腹腔鏡、十二指腸鏡、関節鏡、結腸鏡、気管支鏡、腸鏡、膀胱鏡、腹腔鏡、喉頭鏡、S字結腸鏡、胸腔鏡、心臓鏡、及びスコープを使用する伏在静脈ハーベスタを含む。
【0044】
患者内の遠隔可視化に携わる時に、様々なスコープが使用される。使用されるスコープは、医師が体内にナビゲートすることを必要とする程度、手順に使用される手術器具のタイプ、及び手順のタイプに適切な侵襲性のレベルに依存する。例えば、胃腸管内の可視化は、可撓性の胃鏡及び結腸鏡、内視鏡超音波スコープ(EUS)、及び何フィートも延びる場合がある長さと1センチメートルよりも大きい場合がある直径とを有する特殊十二指腸鏡の形態にある内視鏡検査の使用を必要とする場合がある。これらのスコープは、それが患者内を通してナビゲートされる時に医師が方向転換させる、関節結合させる、又はステアリングすることができる。これらのスコープのうちの多くは、器具を通して支持するための1又は2以上の作業チャネルと、組織を灌流し、スコープを洗浄するための流体チャネル及び洗浄チャネルと、ナビゲーション及び可視化を改善するために吹送するための吹送チャネルと、スコープの視野を照明するための導光体とを含む。
【0045】
医療用途では、より小さく可撓性の低い又は剛性のスコープ又は可撓性と剛性の組合せを有するスコープも使用される。例えば、関節を検査し、肩又は膝に対する手術のような関節鏡手術を実施する時は、より小さく、より細く、より短いスコープが使用される。外科医が関節鏡手術を用いて膝内の半月板断裂を修復する時は、通常は損傷を可視化するために膝の一方の側部にある小さい切開部を通してより剛性の高いスコープが挿入され、同時に器具が膝の反対の側部にある切開部に通される。器具は、可視化を維持するために及び組織を操作して修復を完了するために膝内のスコープを灌流することができる。
【0046】
他のスコープは、一例として肺内の病態を検査して治療する場合のスコープ(気管支鏡)、口の場合のスコープ(腸鏡)、尿道の場合のスコープ(膀胱鏡)、腹部及び腹膜腔の場合のスコープ(腹腔鏡)、鼻及び副鼻腔の場合のスコープ(喉頭鏡)、肛門の場合のスコープ(S字結腸鏡)、胸及び胸腔の場合のスコープ(胸腔鏡)、及び心臓の場合のスコープ(心臓鏡)の使用を含むがこれらに限定されない侵襲性の低い内視鏡手順を使用する診断及び治療に使用することができる。更に、ロボット医療デバイスは、評価及び治療する部位の遠隔可視化に向けてスコープに頼るものである。
【0047】
これら及び他のスコープは、自然孔(口、副鼻腔、耳、尿道、肛門、及び膣)を通して更に患者の皮膚、腔、頭蓋骨、関節内の切開部及びポートベースの開口部、又は他の医療的に示された進入点を通して挿入することができる。これらの医療スコープを用いた可視化による内視鏡検査の診断使用例は、消化器系の病弊(例えば、悪心、嘔吐、腹痛、胃腸出血)のような疾患の症状の精査、診断の確認(例えば、貧血症、出血、炎症、及び癌に関する生検を実施することによる)、又は疾患の手術治療(破裂虫垂の除去又は胃内出血の焼灼)を含む。
【0048】
次いで、
図1を参照して、本発明の開示は、上述したタイプの光学観察内視鏡を含むことができる。本発明の開示内容と共に使用するための代表的な内視鏡100は、外科医又は臨床医による操作に適応された近位ハンドル112を含み、この近位ハンドル112は、自然孔を通じた挿入又は患者の体腔内への内視鏡貫入又は経皮貫入に適応された細長シャフト114に結合される。内視鏡100は、ユニバーサルコード115を通してハンドル112に結合された流体送出システム116を更に含む。流体送出システム116は、水及び空気のような流体の送出、吸引、並びに視野から流体、血液、デブリ、及び粒子状物質を排除するために臨床医が望む場合がある他の特徴に向けてシャフト114内の内部管腔に結合されたいくつかの異なるチューブを含むことができる。これは、評価及び療法に向けて下層の組織又は物質のより明瞭な視野を与える。代表的な実施形態では、流体送出システム116は、水噴射コネクタ118、水筒コネクタ120、吸引コネクタ122と、空気パイプ124とを含む。水噴射コネクタ118は、ハンドル112及び細長シャフト114を通って内視鏡100の遠位端まで延びる内部水噴射管腔126に結合される。同様に、水噴射コネクタ118、水筒コネクタ120、吸引コネクタ122、及び空気パイプ124の各々は、内視鏡100の遠位端までシャフト114を通過する内部管腔128、130、132、134にそれぞれ接続される。
【0049】
内視鏡100は、器具を中に通すための作業チャネル(図示せず)を更に含むことができる。作業チャネルは、組織及び他の物質の評価及び治療に向けて内視鏡100のシャフト114に沿う器具の通過を可能にする。そのような器具は、カニューレ、カテーテル、ステント及びステント送出システム、パピロトーム、ワイヤ、ミニスコープを含む他の撮像デバイス、バスケット、スネア、及び管腔内のスコープと共に使用するための他のデバイスを含むことができる。
【0050】
近位ハンドル112は、外科医又は臨床医が流体送出システム116を作動させるための様々な制御器を含むことができる。代表的な実施形態では、ハンドル112は、吸引弁135と、空気/水弁136と、患者から組織サンプルを摘出するための生検弁138とを含む。ハンドル112は、画像取り込みデバイス(図示せず)に結合されたレンズ及び光透過システムのような接眼部(図示せず)を含むことにもなる。本明細書に使用する「画像取り込みデバイス」という用語は、レンズ又は他の光誘導構造のみを有するデバイスを意味するとも限らない。代わりに、例えば、画像取り込みデバイスは、(i)スコープの遠位端にある対物レンズと接眼部の間にあるリレーレンズ、(ii)光ファイバ、(iii)電荷結合デバイス(CCD)、(iv)相補的金属酸化物半導体(CMOS)センサを含む画像を取り込んで伝達することができるいずれかのデバイスとすることができると考えられる。画像取り込みデバイスは、単に光を感知し、感知光に対応する通信に向けて電気信号を発生させるためのチップ又は画像を送信するための他の技術とすることができる。画像取り込みデバイスは、光が取り込まれる観察端部を有することができる。一般的に、画像取り込みデバイスは、物体を見ること、画像を取り込むこと、及び/又は映像を取り込むことができるいずれかのデバイスとすることができる。
【0051】
一部の実施形態では、内視鏡100は、オペレータがスコープをステアリングすることを可能にするためにシャフトの近位端に取り付けられたいずれかの形態の位置決めアセンブリ(例えば、手動制御器)を含む。他の実施形態では、スコープは、調査してスコープをフォーカスさせるのに望ましい点に対するスコープのステアリング性及び位置決めを与えるロボット要素の一部である。
【0052】
ここで
図2を参照して、側視内視鏡150(例えば、十二指腸鏡又はEUS)の遠位端部分を以下に説明する。図示のように、スコープ150はシャフト151を含み、その遠位端部分152は、両方共に横方向に又はシャフト151の長手軸線の側方に向く観察領域154と器具領域156とを有する。観察領域154は、患者内のターゲット部位の視野を与えるための空気ノズルポート158とカメラレンズ160と光源162とを含む。器具領域156は、スコープ150のシャフト151内の作業チャネル(図示せず)に結合された開口部164を含む。開口部164は、スコープ150の作業チャネルからターゲット部位への器具の通過を可能にするように構成される。好ましくは、スコープ150は、器具が開口部164を通過する角度を調節するための関節結合機構を更に含む。この例示的実施形態では、関節結合機構はエレベータ166を含むが、当業者は、関節結合機構は、シャフト151を通って延びるケーブルなどのような器具の角度を関節結合させるように設計された様々な他の構成要素を含むことができることは認識されるであろう。
【0053】
当然ながら、本発明のカプラデバイスは、胃鏡又は結腸鏡などのような前視スコープに使用することができることは認識されるであろう。そのようなデバイスのより完全な説明は、2019年12月17日出願の「Endoscope Accessory a◎nd Medical Device Kit(内視鏡付属品及び医療デバイスキット)」という名称の本発明の出願人に譲渡された現在特許出願中の米国特許出願に見出すことができ、この文献の完全な開示内容は、全ての目的で引用によって本明細書に組み込まれている。
【0054】
図3A及び
図3Bは、本発明の開示のカプラデバイス10の例示的実施形態を例示している。カプラデバイス10は、既存内視鏡のための付属構成要素として機能する。このデバイスは、スコープの細菌汚染及び性能低下をもたらす可能性があると考えられるデブリ、流体、又は他の望ましくない物質の侵入を防止するためにスコープの感染しがちな区域を密封して覆う。
【0055】
ある一定の実施形態では、カプラデバイス10は、器具をスコープの中に挿入するための可撓性作業チャネルを提供する。可撓性作業チャネルは、容易に角度調節可能とすることができる。図示のように、好ましい実施形態では、カプラデバイス10は、十二指腸鏡40又は他の側視スコープ器具と併用することができる。当然ながら、カプラデバイス10は、端視スコープとの併用に適応させることができる。更に、本発明の開示のカプラデバイス10は、様々な医療用途のための全てのタイプのスコープと併用することができる。本明細書に示す十二指腸鏡40は、例示目的なものに過ぎない。
【0056】
当然ながら、スコープを通過する器具は、様々な異なる機構によって関節結合させることができることは認識されるであろう。例えば、一部の実施形態では、昇降させることしかすることができず、左右に移動するか又は他の象限の中に関節結合させることができない内視鏡エレベータの限られた可動範囲に起因して単一軸線内でのみ器具を偏向させ、従って、その経路を変更することができる現在の内視鏡エレベータの場合とは異なり、本発明のデバイスは、出口角を様々な象限を含む複数の方向に関節結合させることができるような複数のケーブルを有することができる。一部の実施形態では、ケーブルは、作業チャネル延長部に直接取り付けることができ、又は例えば作業チャネル延長部の下にあるが、ケーブルを前進及び後退させる時に作業チャネル延長部を移動するように前後に進めることができるデバイス内に入れられた合わせ釘を含んで関節結合させて作業チャネル延長部の出口角を変化させることができる他のデバイスに取り付けることができる。一部の実施形態では、カプラデバイスの関節結合能力は、カプラデバイス内に埋め込まれて使い捨てであり、従って、手順の後に廃棄されるエレベータを用いて生成することができる。
【0057】
カプラデバイスの関節結合能力は、例えば、圧電材料、マイクロモータ、有機半導体、及び電気活性ポリマーを含むケーブルを必要としない要素を用いて生成することができる。一部の実施形態では、カプラデバイスの関節結合能力は、力を伝達する連結コネクタ、捩れるワイヤ、摺動可能シース、及び温度の伝達によって形状を変化させる形状記憶合金による作業チャネル延長部又は埋め込みエレベータへの力の伝達によって生成することができる。一部の実施形態では、デバイスは、その中に器具を通す時又は通す前に電磁エネルギを含むエネルギをデバイスに送出してカプラデバイスからの出口角を変化させる力の伝達をもたらす電力コネクタ又はモータを含む。この力の伝達は、デバイスが作業チャネル延長部を出る時にこのデバイスを回転させる段階を含むことができる。デバイスは、ユーザによって直接にナビゲートして関節結合させることができ、又はケーブル、電力コネクタ、モータ、電磁エネルギ、摺動可能シース、触覚手段、コンピュータによって案内及び誘導される入力を含んで患者内の特定の診断及び治療目的又は非医療用途での望ましい遠隔場所を含むこのデバイスの意図する場所にデバイスを向ける及び案内するための他の手段を含む様々な手段を通してユーザ入力がシステムによって変換されるロボットシステムの一部としてナビゲートして関節結合させることができる。
【0058】
図3A及び
図3Bが示すように、カプラデバイス10は、本体12と、近位端14と、遠位端16と、下面18と、上面20とを備えることができる。近位端14は、十二指腸鏡40の作業端部の上に取り付けられ、スコープ40作業端部分を延びる。上面20は、レンズ及び導光体24と、スコープカメラからデブリを洗い落とすために流体をカメラを通して押し込むのに使用され、カメラを乾燥し、患者の胃腸管に吹送するために空気をカメラを通して押し込むためにも使用されるスコープ洗浄開口部28とを含むことができる。上面20は、ターゲット部位を見ることを容易にしてスコープ洗浄開口部28からターゲット部位内への流体の放出(及び/又はカメラを乾燥するために導光体24の上方に通すことができ、又はターゲット部位の一部分に吹送するためにこの部位の中に通し入ることができる空気の放出)を可能にするために、レンズ及び導光体24及びスコープ洗浄開口部28の上に開放区域を更に含むことができる。これに加えて、上面20は、可撓性作業チャネル延長部34を含み、可撓性膜38によって囲まれた可撓性作業チャネル領域30を含む。この可撓性膜138は、カプラデバイス10の作業端部に対する保護フード又は保護カバーとして機能し、デブリ、流体、細菌、又は他の望ましくない物質を締め出しながら柔軟な関節結合を可能にする。
【0059】
図4A及び
図4Bに示すように、十二指腸鏡40は、導光体44と、レンズ46と、洗浄開口部48とを備えることができる。カプラデバイス10は、スコープ40のこれらの構成要素の各々と協働して完全に機能するスコープを提供する。カプラデバイス10は、鮮明な画像を放出するスコープの機能を妨げず、むしろ各使用に関連付けられた汚染のリスクを低減する。この利益は、スコープ40の作業端部構成要素に取り付けられて作業端部の周りを密封するカプラデバイス10を提供することによって達成される。
【0060】
図3A、
図3B、
図4A、
図4B、
図5、及び
図6に更に示すように、カプラデバイス10は、スコープの作業チャネル42の延長部を提供する。
図3のカプラデバイス10の作業チャネル延長部34は可撓性であり、
図6に示すように、作業チャネル延長部の近位端34aで密封接続によってスコープの作業チャネル42に接触することができる。作業チャネル延長部34の遠位端34bは、器具がスコープ40を通って身体の様々な部位に到達するための出口ポータルとして機能する。
【0061】
これに加えて、カプラデバイス10は、スコープのエレベータ50の周りに更に別のシールを提供する。カプラデバイス10はエレベータ40を密封するので、デブリ、流入物、流体、細菌、及び他の物質がエレベータ及び作業チャネルの背後で蓄積するリスクが有意に低減される。デブリ、細菌、及び他の物質の流入は、現在のスコープに関連付けられた薬剤耐性感染に対する原因であると考えられる。流入を防止しながら、カプラデバイス10は、作業チャネル延長部34を移動する可撓性を有利に維持する。
【0062】
使用時に、スコープの作業チャネル延長部34は、組織及び他の物質の評価及び治療に向けてスコープ作業チャネル42に沿ってかつデバイス40の作業チャネル延長部34を通過する器具の通過を可能にする。そのような器具は、カニューレ、カテーテル、ステント及びステント送出システム、パピロトーム、ワイヤ、ミニスコープを含む他の撮像デバイス、バスケット、スネア、及び管腔内のスコープと共に使用するための他のデバイスを含むことができる。この作業チャネル延長部34は、器具をスコープ40の作業チャネル延長部に沿って前進させてその遠位端(又は出口ポータル)34bから様々な角度で出すか、又はケーブル又は作業チャネル延長部34を関節結合させるための他の手段によって昇降させることができるように、スコープ40のエレベータ50が作業チャネル延長部34を昇降させることができるほど十分に可撓性である。
【0063】
図7から
図9に示すように、スコープ40のエレベータ50が作動される時の使用中に、カプラデバイスの可撓性作業チャネル延長部34は、方向A-Aに沿って移動するか又はこの作動を調節する。
図7では、エレベータ50は若干上昇しており、作業チャネル延長部34を対応する角度を押して作業チャネル延長部の出口ポータル又は遠位端34bを左にシフトするヒンジ式ランプ又は肩部を生成する。
図8では、エレベータは
図7の場合よりも高く上昇しており、それによって作業チャネル延長部34の遠位端34bは、
図7と比較して同じく左に更にシフトされており、それに対して
図9は、一層高く上昇したエレベータ50と、
図7及び
図8と比較して更に左に移動した作業チャネル延長部34の遠位端34bとを例示している。
【0064】
図10が示すように、作業チャネル延長部34の遠位端34bがカプラデバイス10の作業チャネル領域30の幅に沿ってシフトする能力は、遠位端34b自体が可撓性膜38に取り付けられることに部分的に起因する。この可撓性膜38は、エレベータの作動が、応答して作業チャネル延長部が曲がる又はシフトする時に余剰材料が延伸する及び曲がることを可能にする複数の弛緩した折り目又は畳み目を含む。更に、可撓性膜38は、流体、デブリ、又は他の望ましくない物質の侵入物がスコープ40内に入り込み、細菌汚染又は他の望ましくない流体、デブリ、又は粒子状物質の注入をもたらすことを防止する作業チャネル領域38に対する保護カバー又は保護フードとして作用する。
【0065】
本発明の開示のカプラデバイス10は、1回使い捨て使用に向けて構成することができるように又はそれは再使用に向けて構成することができるように考えられている。カプラデバイス10は、例えば、シリコーン又は別の弾性材料又はポリマー材料のようないずれかの生体適合材料で製造することができる。更に、材料は、透明とすることができる。
図11に示すように、カプラデバイス10は、スコープカメラ及び光源の透明カバーを提供し、それによってスコープ40の性能を妨げないことを可能にするために透明材料で形成することができる。
【0066】
図12から
図14は、本発明の開示のカプラデバイス10の別の例示的実施形態を例示している。この実施形態では、カプラデバイス10は、ケーブルによって作動されてエレベータ構成要素に対する必要性を排除するスコープと共に使用されるようになっている。図示のように、カプラデバイス10は、上述したものと同じ構造的特徴を維持するが、ここではスコープの内部作動ケーブル54を受け入れることができる更に別の使い捨て外部シース60を含む。このケーブル54は、エレベータから切り離されてカプラデバイス10の可撓性作業チャネル延長部34に再度取り付けることができる。この実施形態ではエレベータはもはや必要ではなく、ケーブルの作動が、作業チャネル延長部34の移動を達成する。外部シース60は、スコープの外部の周りに巻かれることによって又は摩擦嵌め接続によってスコープ40に直接取り付けられるように構成することができる。実施形態では、現在の十二指腸鏡でのエレベータを用いた単軸関節結合よりも他の象限での関節結合を可能にするために複数のケーブルを1又は2以上のシースに含めることができる。
【0067】
他の実施形態では、カプラデバイス10は、スコープ上への細菌の付着又はコロニー形成を防止する付着防止剤、抗菌剤、抗炎症剤、又は他の薬剤、又は注入可能物質の注入を可能にする閉鎖可能(すなわち、自己密封)ポートを含むことができる。注入可能物質の送出のためのポートを有するカプラデバイス10の中に組み込まれたアプリケータを提供することができる。これに代えて、アプリケータは、カプラデバイス10とは別々とし、スコープ40の遠位端に付加することができる。注入可能物質は、スコープ及びカプラデバイスの材料との適合性を有し、かつ患者使用に向けて生体適合性を有するゲル又は他の溶液を含む形態にある銀、プラチナ、銅、他の付着防止剤、抗菌剤、抗炎症剤、又は他の薬剤又は注入可能物質を含むことができる。
【0068】
一例示的実施形態では、デバイスは、抗感染材料を含む。別の例示的実施形態では、デバイスは、抗感染コーティングを含む。更に別の実施形態では、デバイスは、疎水性であるコーティングを含む。更に別の実施形態では、デバイスは、超疎水性である。更に別の実施形態では、デバイスは、抗感染性及び疎水性である。更に別の実施形態では、デバイスは、抗感染性及び超疎水性である。更に別の例示的実施形態では、抗炎症性コーティングがデバイス内に組み込まれる。抗炎症性コーティングは、疎水性である場合もある。
【0069】
一例示的実施形態では、デバイス10は、銀イオンコーティングを含むことができる。別の実施形態では、デバイス10は、スコープエレベータを覆う又はその周りを延びる区域にヒドロゲルが付加され、注入され、又はデバイス10の一部をそれで作ることができる。銀は、抗細菌特性であることに加えて、電気を通すことができる。従って、更に別の実施形態では、デバイス10は、銀イオンコーティングが感染を防止する機能を改善するために銀イオンコーティングにわたって電界の発生を可能にする電気ワイヤ又は他の電力伝達点を含むことができる。一部の実施形態では、電気ワイヤ又は他の電力伝達点はまた、プラチナ及び銅を含む他の抗細菌性及び導電性材料に付加することができる。
【0070】
図15及び
図16は、本発明の開示の作業チャネル延長部234の別の実施形態を例示している。想定されるように、作業チャネル延長部は、様々な材料の組合せを備えることができる。例えば、
図15に示すように、作業チャネル延長部234は、生体適合性金属に接合された複数の弾性材料で形成することができる。一部の実施形態では、弾性材料のうちの1つは、PTFEとすることができ、別の弾性材料は、生体適合性金属を覆う生体適合性弾性材料とすることができる。
図15の例では、作業チャネル延長部234は、内側弾性材料210と外側弾性材料を備えることができる。作業チャネル延長部234の外側は、コイル又は巻線232の形態を取ることができる生体適合性金属230を含むことができる。一実施形態では、生体適合性金属は、弾性材料のうちの1又は2以上によって封入することができる。
【0071】
図16では、作業チャネル延長部234の近位端を内視鏡の作業チャネルに対して密封してシールを生成し、この密封区域内への望ましくない細菌、生体物質、及び他の材料の侵入を防止するガスケット222を生成するために外側生体適合性弾性材料220が形成される。
【0072】
図17Aでは、作業チャネル延長部234は、器具200を定位置にロックするための調節可能出口角Θと共に示されている。この実施形態では、出口角Θは、調節された時に作業チャネル234内に圧縮力を生成し、
図17Bに示すように器具200を定位置にロックする。これは、器具を通してワイヤを前進させる時に器具を固定するか、又はワイヤを通して第2の器具を交換する間にワイヤを固定するのに使用することができる。
【0073】
図18には、器具200を定位置にロックするための代替実施形態が示されている。この実施形態では、作業チャネル延長部234は、その内部の器具200がデバイス100上のロック180に対して押圧され、作業チャネル延長部234の出口角の変化をもたらし、器具200を作業チャネル延長部234内の固定場所にロックする点まで上昇させる。
【0074】
図19には、作業チャネル延長部234の代替実施形態が、作業チャネル延長部をデバイス10の一部である膜材料38に取り付けるためのフランジ268と共に示されている。
【0075】
図20A~
図20Cは、本発明の開示のカプラデバイスのうちの1つの可視化セクション300上又は内に位置決めされた光学層の一部の実施形態を示している。これに代えて、
図20A~
図20Cに示す光学層は、内視鏡のカメラレンズ上に配置することができる。一実施形態では、可視化セクション300は、好ましくは、導光体44及びレンズ46と反対にあるカプラデバイス10の本体12の上面20の一部分に沿って延びる。これに代えて、可視化セクション300は、導光体44及びレンズ46の上に直接に位置決めすることができる。可視化セクション300は、ガラス、ポリカーボネート、アクリル、透明ゲル又はシリコーン、又は画像を透過させるほど十分な光学的透明度を有する他の材料のような光学材料のようなあらゆる適切な材料を備えることができる。
【0076】
可視化セクションは、カプラデバイス上に位置決めされて光が通過することを可能にするように実質的に透明なフィルム、シート、層、コーティング、壁、又は他の基板を含むことができる。これに代えて、可視化セクションは、光学カプラの本体内にあって光が通過することを可能にすることになる透明なゲル又は類似の材料のような実質的に透明な材料を備える区域を備えることができる。
【0077】
ある一定の実施形態では、導光体からの光がカプラデバイスを通してターゲット部位に到達するように、カメラレンズ及び導光体は、内視鏡のシャフトから横方向に向けられ(すなわち、側視スコープ)、可視化セクションは、カプラデバイスの横面上に配置される。他の実施形態では、カメラレンズ及び導光体は、内視鏡のシャフトから長手方向に向けることができ(すなわち、端視スコープ)、可視化セクションは、カプラデバイスの遠位面上に配置される。更に他の実施形態では、カプラデバイス又は内視鏡は、可視化セクションを導光体及びカメラレンズと「位置合わせ」させるようにカメラ及び導光体に及びから通過する光の経路を変更するためのミラー又は他の光反射面を備えることができる。この最後の実施形態では、可視化セクションは、ミラー又は他の再方向付け面が光を可視化セクションを通してターゲット部位まで進めるように構成される限り、必ずしもカメラ導光体の正反対にない場合がある。
【0078】
代替実施形態では、可視化セクション300は、カプラの本体内を延び、シリコーン、シリコーンエラストマー、エポキシ、ポリウレタン、及びこれらの混合物のような実質的にクリアなゲル材料を備える可視化セクションを含む。これに代えて、可視化セクションは、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリエチレングリコール、ポリ(メタクリル酸)、及びこれらの混合物のようなヒドロゲルから選択される材料を備えることができる。可視化セクションに対する材料は、アルブミンベースのゲル、鉱油ベースのゲル、ポリイソプレン、又はポリブタジエンから選択することができる。本発明に適する適切な透明ゲルのより完全な説明は、米国特許第8,905,921号明細書に開示されており、この文献の完全な開示内容は、全ての目的で引用によって本明細書に組み込まれている。
【0079】
図20Aに示すように、可視化セクション300は、導光体44及びレンズ46に対面する内面302と、ターゲット部位に対面する反対の外面304とを備える。一実施形態では、可視化セクション300の内面302上に光学層306が位置決めされる。当然ながら、光学層306は、外面304上、又は内面302と外面304の両方の上に配置することができる。これに代えて、光学層306は、可視化セクション300内に配置することができる。好ましくは、光学層306は、光学層306を通過する光の全反射をそこを通る光の透過性を実質的に維持しながら低減する反射防止材料を備える。好ましい実施形態では、光学層306は、可視化セクション300とは異なる材料、特に異なる屈折率を有する材料を備える。
【0080】
光学層306は、それと可視化セクション300とが2つの反射波を発生させるように、好ましくは光に対して二重界面を与える薄い実質的に透明なフィルムである。光学層306は、可視化セクション300との干渉効果を生成し、それによって可視化セクションの透過性を実質的に低減することなく反射光の合計百分率を低減する。これらの反射波は、位相不一致である場合に、部分的又は完全に互いに相殺し、それによって可視化セクション300から反射される光の全量が低減する。ある一定の実施形態では、光学層306は、約100ナノメートルよりも小さく、好ましくは約50ナノメートルの厚みを有し、可視化セクション300よりも低い屈折率を有する。これは、可視化セクション300及び光学層306の全透過率を実質的に低減することなく相殺される反射光の量を最大に高めるように、互いに実質的に位相不一致である2つの反射が引き起こされる。
【0081】
ある一定の実施形態では、光学層306は、可視スペクトル(すなわち、400ナノメートルから700ナノメートルまで)の中間範囲の波長で実質的に非反射性を示す材料を有する。光学層306に適する材料は、フッ化マグネシウム、フッ化セリウム、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムなどを含むことができる。例示的実施形態では、光学層は、フッ化マグネシウムを備える。
【0082】
ここで
図20Bを参照して、本発明の別の実施形態は、可視化セクション300の内面302上に位置決めされた2つの光学層308、310を含む。光学層308、310の各々は、好ましくは可視化セクション300とは異なる屈折率を有する異なる材料を備える。例示的実施形態では、光学層308、310の一方はフッ化マグネシウムを備え、他方の光学層は、フッ化セリウム、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムなどのような適切な材料を備える。
【0083】
図20Cは、可視化セクション300の面のうちの1つの上に3つの光学層312、314、316を有する本発明の開示の更に別の実施形態を示している。直前の実施形態の場合と同様に、光学層312、314、316の各々は、異なる屈折率を有する異なる材料を備える。例示的実施形態では、光学層のうちの1つは、フッ化マグネシウムを備え、それらのうちの1つは、酸化亜鉛を備え、第3の光学層は、酸化アルミニウム又はフッ化セリウムのいずれかを備える。
【0084】
更に別の実施形態では、本発明の開示の光学カプラは、組織面及び/又はカプラの面から反射された迷光を吸収するための1又は2以上の光学構成要素を含むことができる。光学カプラの可視化セクションを通した光は、患者内の組織面からカメラレンズ又は光源に反射して戻される傾向を有する。この現象は、例えば、オペレータが患者内で腸のようなより小さい容積の部位から臓器(例えば、胃)のようなより大きい容積の部位に内視鏡を前進させる時に発生する場合がある。より大きい容積の部位は、より大きい量の反射光をカプラデバイス内及びスコープのカメラレンズの上に戻すことになる。この反射光は、ターゲット部位を見るオペレータの機能を更に制限する眩光を生成する。
【0085】
本発明の開示の光学構成要素は、可視化セクション又は本体のようなカプラデバイスの1又は2以上の区域に又は上に位置決めされた光吸収材料を備えることができる。例えば、光吸収材料は、本体12、下面18、上面20、レンズ及び導光体24の上の開放区域、及びスコープ洗浄開口部28上、作業チャネル領域30内、例えば、作業チャネル延長部34又は可撓性膜38内又は上(
図3及び
図4を参照されたい)に配置することができる。
【0086】
光吸収材料は、患者の組織及び/又は光学カプラの面からの反射光、散乱光、又は迷光を吸収し、それによって他に反射光によって引き起こされる可能性がある眩光を最小にするように位置決めされる。光吸収材料は、反射光がカメラレンズと干渉しないようにこの光を吸収するように位置決めされた薄い黒色のストリップ、正方形、円形、矩形、又は他の適切な形状とすることができる。
【0087】
これに代えて、光学構成要素は、カプラデバイス上又は内に位置決めされたカメラバッフルのようなバッフルを備えることができる。好ましくは、バッフルは、反射迷光を内視鏡上のカメラレンズから離すように向けるように位置決めされ、かつそのように構成された1又は2以上のチャネル又はベーンを含む。バッフルは、カメラレンズの視野(FOV)の外側にある光源から到着する光を遮蔽するように設計することができる。システムの視野角の外側の光は、システムの面上で複数回の反射を行い、カメラレンズに実効的に到達する光の強度を最小にするはずである。内面は、光吸収材料又は光吸収色、例えば、黒化した面を備えることができる。
【0088】
本発明の開示のバッフルは、ベーンを有するチューブを内壁内に備えることができる。これらのベーンは、これらの壁の上で反射された光の強度を低減するのに使用される。バッフルは、例えば、本体12上又は内、又は下面18又は上面20上に位置決めすることができる。これに代えて、バッフルは、レンズ及び導光体24及びスコープ洗浄開口部28の上の開放区域内、又は可撓性作業チャネル領域30内、例えば、作業チャネル延長部34又は可撓性膜38内又は上に位置決めすることができる。
【0089】
図21は、可視化セクション300の面のうちの1つの上又は内に光学層320を含む本発明の別の実施形態を示している。好ましい実施形態では、光学層320は、可視化セクション300上の小滴の形態の水のような流体の凝縮を抑制又は防止し、それによって患者内のターゲット部位の視野を改善するように可視化セクション300の内面304上(又は可視化セクション300内)に位置決めされた曇り止め剤、処理、又は材料を備える。これに代えて、光学層320は、可視化セクション300の外面上に形成することができ、又は内視鏡のカメラレンズ上に直接に配置することができる。光学層320は、霧に類似して可視化セクション300を通る視野を妨げると考えられる個々の小滴の代わりに、好ましくは、表面張力を最小にして水のような流体の非散乱性フィルムをもたらすように設計される。
【0090】
光学層320は、可視化セクション300にスプレー溶液、クリーム、又はゲルなどとして付加することができ、又は可視化セクション300に結合された膜又は可視化セクション300内に製造された化学物質又は添加剤を備えることができる。一実施形態では、光学層320は、水の表面張力を最小にするように構成された界面活性剤を備える。本発明との併用に適する界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は両性の極性を備えることができ、可視化セクション上の水分子からの表面張力を低減し、それによって外面上に形成される水滴の個数を低減する洗剤、脂肪酸石鹸、分散剤、又は他の適切な材料を含むことができる。
【0091】
別の実施形態では、光学層320は、可視化セクション300の面エネルギを最大に高めるように構成された親水性コーティングを備える。本発明との併用に適するコーティングは、デミスター、デフォッガー、デフロスター、ポリマー、及びヒドロゲル、例えば、ゼラチン、コロイド、及びナノ粒子、例えば、二酸化チタン、又は他の適切な親水性材料を含む。
【0092】
更に別の実施形態では、光学層320は、可視化セクション300の内側から外面304まで浸出するように可視化セクション300に追加された化学物質又は添加剤を備える。これらの化学物質は、水滴の形成を抑制する面を生成する。
【0093】
これにより、上記によって本明細書で言及する全ての交付特許、公開特許出願、及び非特許公開は、その全内容が、各個々の交付特許、公開特許出願、又は非特許公開が具体的かつ個々に引用によって組み込まれていることを示す場合と同じ範囲で全ての目的で引用によって本明細書に組み込まれている。
【0094】
本明細書の考察及び本明細書に開示する実施形態の実施から、当業者には他の実施形態が明らかであろう。本明細書及び実施例は、単に例示的なものと見なさなければならず、実施形態の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示すように意図している。
【符号の説明】
【0095】
100 内視鏡
112 近位ハンドル
116 流体送出システム
120 水筒コネクタ
124、128、130、134 空気パイプ
【手続補正書】
【提出日】2022-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライトとカメラレンズとを有する内視鏡のためのカプラデバイスであって、
少なくとも部分的に閉鎖された遠位端と前記内視鏡の遠位端部分に取り付けるように構成された近位端とを備える本体と、
前記内視鏡の前記ライト及び前記カメラレンズと患者内のターゲット部位との間に配置されて、前記ターゲット部位を見ることを可能にする実質的に透明な可視化セクションと、
前記可視化セクション上若しくは内、又は前記本体上若しくは内にあり、かつ前記可視化セクションの面からの反射光の量を低減するように構成された光学構成要素と、
を備えることを特徴とするカプラデバイス。
【請求項2】
前記光学構成要素は、前記可視化セクションの内面上に配置された反射防止コーティングを備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項3】
前記光学構成要素は、光波の可視範囲内における前記反射光の実質的な部分を低減するように構成された光学層を備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項4】
前記光学構成要素は、フッ化マグネシウムコーティングを備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項5】
前記光学構成要素は、2以上の反射防止コーティングを備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項6】
前記可視化セクション上又は内に第2の光学構成要素を更に備え、前記第2の光学構成要素は、前記可視化セクション上の流体の凝縮を抑制するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項7】
前記本体内に作業チャネル延長部を更に備え、前記作業チャネル延長部は、開放遠位端と前記内視鏡の作業チャネルに取り付けるように構成された近位端とを有することを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項8】
前記内視鏡上の作業チャネルを通過する器具を関節結合させるための機構を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項9】
前記作業チャネル延長部は、可撓性であり、かつ角度調節することができることを特徴とする請求項7に記載のカプラデバイス。
【請求項10】
前記光学構成要素は、前記カプラデバイスの面から反射された光の量を低減するように位置決めされた光吸収材料を備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項11】
前記光学構成要素は、前記カプラデバイスの前記可視化セクション上又は内に光吸収ストリップを備え、前記光吸収ストリップは、前記患者の内部からの迷光を吸収するように位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項12】
前記光学構成要素は、前記カプラデバイス上にバッフルを備え、前記バッフルは、迷光を前記カメラレンズから離れる方向に向けるように構成された1以上のベーンを有するバッフルを前記カプラデバイス上に備えることを特徴とする請求項1に記載のカプラデバイス。
【請求項13】
ライトとカメラレンズとを有する内視鏡のためのカプラデバイスであって、
少なくとも部分的に閉鎖された遠位端と前記内視鏡の遠位端部分に取り付けるように構成された近位端とを備える本体と、
前記内視鏡の前記ライト及び前記カメラレンズとターゲット部位との間に配置されて、前記ターゲット部位を見ることを可能にする実質的に透明な可視化セクションと、
前記可視化セクション上又は内にあり、かつ前記可視化セクション上の流体の凝縮を抑制するように構成された光学層と、
を備えることを特徴とするカプラデバイス。
【請求項14】
前記光学層は、前記可視化セクションの外面に又は該セクション内に付加された1以上の化学物質を備え、前記化学物質は、前記可視化セクション上の水の凝縮を抑制するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載のカプラデバイス。
【請求項15】
前記光学層は、前記可視化セクションの面に付加された曇り止めフィルムを備えることを特徴とする請求項13に記載のカプラデバイス。
【請求項16】
前記光学層は、前記可視化セクション上の水の表面張力を最小にするように構成された界面活性剤を備えることを特徴とする請求項13に記載のカプラデバイス。
【請求項17】
前記光学層は、前記可視化セクションの面上に親水性コーティングを備えることを特徴とする請求項13に記載のカプラデバイス。
【請求項18】
前記可視化セクションは、前記カメラレンズ及び前記ライトと前記ターゲット部位との間に実質的に透明な観察面を備えることを特徴とする請求項13に記載のカプラデバイス。
【請求項19】
前記観察面は、ポリカーボネートを備えることを特徴とする請求項18に記載のカプラデバイス。
【国際調査報告】