(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】冷却式回転電気機械
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537516
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 EP2020086225
(87)【国際公開番号】W WO2021122601
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ピエリック、ウッソン
(72)【発明者】
【氏名】アレクシ、リバル
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP06
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609QQ10
5H609QQ12
5H609RR26
5H609RR33
5H609RR37
5H609RR42
5H609RR69
(57)【要約】
本発明は、回転軸(A)を有する回転電気機械(1)用の冷却システムであって、前記冷却システムは、-前記回転電気機械(1)のステータを受けるのに適した冷却ジャケット(3)と、-前記冷却ジャケットを受けるハウジング(2)と、を備え、前記冷却ジャケット(3)の外壁(11)が、前記ハウジングの内壁(10)とともに、冷却流体が流れ得る冷却チャンバ(6)を形成し、セパレータ要素(9、29)が、前記冷却チャンバ(6)の入口ゾーン(7)と前記冷却チャンバ(6)の出口ゾーン(8)とを分離し、前記セパレータ要素(9、29)は、-第1長さ(13)を有する締結部(12)であって、前記冷却ジャケット(3)の前記外壁(11)または前記ハウジング(2)の前記内壁(10)に締結された締結部(12)と、-第2長さ(15)を有する第1分離部(14)であって、前記締結部(12)に対して傾斜するとともに前記締結部(12)に対して非平行である第1分離部(14)と、を含み、前記第1長さ(13)は前記第2長さ(15)よりも小さく、これにより、前記第1分離部(14)は、前記締結部(12)に直接接続しない第1自由端部(16)を含む、冷却システムに関する。また、本初美江は、このような冷却システムが設けられた電気機械に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(A)を有する回転電気機械(1)用の冷却システムであって、
前記冷却システムは、
a.前記回転電気機械(1)のステータを受け得る冷却ジャケット(3)と、
b.前記冷却ジャケットを受けるハウジング(2)と、
を備え、
前記冷却ジャケット(3)の外壁(11)が、前記ハウジングの内壁(10)とともに、冷却流体が通過し得る冷却チャンバ(6)を形成し、
前記ハウジングは、前記冷却流体の前記冷却チャンバ(6)の入口ゾーン(7)への流入のための入口開口(4)と、前記冷却流体の前記冷却チャンバ(6)の出口ゾーン(8)からの流出のための出口開口(5)と、を備え、前記入口開口(4)および前記出口開口(5)は、前記ハウジング(2)に形成され、
前記冷却ジャケット(3)および前記ハウジング(2)とは別体の分離要素(9、29)が、前記冷却チャンバ(6)の前記入口ゾーン(7)と前記冷却チャンバ(6)の前記出口ゾーン(8)とを分離するように、前記冷却ジャケット(3)の前記外壁(11)および前記ハウジング(2)の前記内壁(10)のうちの一方に取り付けられ、
前記分離要素(9、29)は、
a.第1長さ(13)を有する取付部(12)であって、前記分離要素(9、29)が取り付けられた前記冷却ジャケット(3)の前記外壁(11)および前記ハウジング(2)の前記内壁(10)のうちの一方の形状に対して相補的な形状の取付面を有する取付部(12)と、
b.第2長さ(15)を有する第1分離部(14)であって、前記取付部(12)に対して傾斜するとともに前記取付部(12)に対して平行でない第1分離部(14)と、
を含み、
前記第1長さ(13)は前記第2長さ(15)よりも小さく、前記第1分離部(14)は、前記取付部(12)に直接接続しない第1自由端部(16)を含む、
冷却システム。
【請求項2】
前記第1分離部(14)は、前記取付部(12)に対して、20度~160度、特に45度~135度の角度を形成する、
請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記第1分離部(14)は、第1曲げゾーン(17)を超えて前記取付部(12)と材料において連続的に形成される、
請求項1または2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記冷却チャンバ(6)は、前記回転軸(A)を軸とする回転対称性を呈する形状を有し、
前記回転対称性を呈する形状は、第1軸方向端部(20)において測定される第1厚さ(18)と、第2軸方向端部(21)において測定される第2厚さ(19)と、を有し、
前記第1厚さ(18)は、前記第2厚さ(19)よりも小さく、
前記第1自由端部(16)は、前記第1軸方向端部(20)を向くように向きを調整され、前記自由端部(16)の反対側の前記第1分離部(14)の別の端部(22)は、前記第2軸方向端部(21)を向くように向きを調整され、
請求項1~3の一項に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記分離要素(9、29)は、シート材料、特にシートスチールから作られる、
請求項4に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記第1自由端部(16)の前記シート材料の端面(22)が、前記分離要素(9、29)が取り付けられた前記冷却ジャケット(3)の前記外壁(11)および前記ハウジング(2)の前記内壁(10)のうちの一方に対面する、
請求項5に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記分離要素(29)は、第3長さ(24)を有する第2分離部(23)であって、前記取付部(12)に対して傾斜するとともに前記取付部(12)に対して平行でない第2分離部(23)を含み、
前記第1長さ(13)は前記第3長さ(24)よりも小さく、前記第2分離部(23)は、前記取付部(12)に直接接続しない第2自由端部(25)を含む、
請求項1~6の一項に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記第2分離部(23)は、第2曲げゾーン(26)を超えて前記取付部(12)と材料において連続的に形成される、
請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記分離要素(9、29)は、前記冷却ジャケット(3)の前記外壁(11)および前記ハウジング(2)の前記内壁(10)のうちの一方に溶接されている、
請求項1~8の一項に記載の冷却システム。
【請求項10】
a.ステータと、
b.ロータと、
c.請求項1~9の一項に記載の冷却システムと、
を備える電気機械。
【請求項11】
前記ステータは、前記冷却ジャケット(3)に力を加えることによって装着されている、
請求項10に記載の電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械用の冷却システム、およびこのようなシステムが設けられた回転電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許出願DE102013213433は、回転軸を有する回転電気機械のための冷却システムを開示している。前記冷却システムは、
-前記回転電気機械のステータを受容し得る冷却ジャケットと、
-前記冷却ジャケットを受容するハウジングと、
を備え、
前記冷却ジャケットの外壁が、前記ハウジングの内壁とともに、冷却流体が通過し得る冷却チャンバを形成し、
前記ハウジングは、前記冷却流体の前記冷却チャンバの入口ゾーンへの流入のための入口開口と、前記冷却流体の前記冷却チャンバの出口ゾーンからの流出のための出口開口と、を含み、前記入口開口および前記出口開口は、前記ハウジングに形成され、
前記冷却ジャケットおよび前記ハウジングとは別体の分離要素が、前記冷却チャンバの前記入口ゾーンと前記冷却チャンバの前記出口ゾーンとを分離するように、前記冷却ジャケットの前記外壁および前記ハウジングの前記内壁のうちの一方に取り付けられる。
【0003】
しかしながら、このような分離要素を冷却ジャケットに取り付けることは困難である。分離要素を冷却ジャケットに適合させるには、複雑で高価な機械加工が必要となり得る。また、このような分離要素は、回転軸を軸とする回転対称性を呈する形状を有する冷却チャンバであって、前記回転対称性を呈する形状が、第1軸方向端部において測定される第1厚さと、第2軸方向端部において測定される第2厚さと、を有し、前記第1厚さが前記第2厚さよりも小さい冷却チャンバに適合しない。具体的には、このタイプの冷却チャンバは、その端部のうちの一方に非常に小さな厚さしか有さないこともあり、さらには厚さを有さないこともある。分離要素の厚さをこのような非常に小さい厚さに適合させることは困難である。この適合が欠けると、冷却チャンバの入口ゾーンと冷却チャンバ出口ゾーンとの間で冷却流体が過剰に循環する事態が発生し得る。分離要素の周辺におけるこのような過剰な通流は、冷却システムの冷却能力を低下させ得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、これらの欠点の全部または一部を解消することを目的とする。
【0005】
本発明は、回転軸を有する回転電気機械用の冷却システムであって、
前記冷却システムは、
a.前記回転電気機械のステータを収容し得る冷却ジャケットと、
b.前記冷却ジャケットを収容するハウジングと、
を備え、
前記冷却ジャケットの外壁が、前記ハウジングの内壁とともに、冷却流体が通過し得る冷却チャンバを形成し、
前記ハウジングは、前記冷却流体の前記冷却チャンバの入口ゾーンへの流入のための入口開口と、前記冷却流体の前記冷却チャンバの出口ゾーンからの流出のための出口開口と、を含み、前記入口開口および前記出口開口は、前記ハウジングに形成され、
前記冷却ジャケットおよび前記ハウジングとは別体の分離要素が、前記冷却チャンバの前記入口ゾーンと前記冷却チャンバの前記出口ゾーンとを分離するように、前記冷却ジャケットの前記外壁および前記ハウジングの前記内壁のうちの一方に取り付けられ、
前記分離要素は、
a.第1長さを有する取付部であって、前記分離要素が取り付けられた前記冷却ジャケットの前記外壁および前記ハウジングの前記内壁のうちの一方の形状に対して相補的な形状の取付面を有する取付部と、
b.第2長さを有する第1分離部であって、前記取付部に対して傾斜するとともに前記取付部に対して平行でない第1分離部と、
を含み、
前記第1長さは前記第2長さよりも小さく、前記第1分離部は、前記取付部に直接接続しない第1自由端部を含む、
冷却システムに関する。
【0006】
冷却ジャケットおよびハウジングとは別体の分離要素を使用することにより、冷却ジャケットおよびハウジングの製造を単純化できるため、冷却システムおよびこれに使用される機械の製造コストを低減できる。具体的には、分離要素が取り付けられた冷却ジャケットの外壁およびハウジングの内壁のうちの一方は、製造が容易な円筒形状を有し得る。
【0007】
また、取付部が分離部よりも短い分離要素を使用することにより、冷却チャンバの入口ゾーンと冷却チャンバの出口ゾーンとをより良好に分離することができる。具体的には、第1端部は取付部の製造上の制約を受けないため、冷却チャンバの形状に近い形状の自由端部を作製することができる。冷却流体が分離要素の周囲を通過する可能性が減少することにより、回転電気機械の冷却性が向上する。
【0008】
本発明の追加の特徴によれば、前記第1分離部は、前記取付部に対して、20度~160度、特に45度~135度の角度を形成する。
【0009】
本発明の追加の特徴によれば、前記第1分離部は、第1曲げゾーンを超えて前記取付部と材料において連続的に形成される。
【0010】
第1分離部と取付部とが材料において連続的に形成されるとともに、それらが曲げゾーンにより分離している分離要素を作製することにより、分離要素の製造コストを低減できる。
【0011】
本発明の追加の特徴によれば、前記冷却チャンバは、前記回転軸を軸とする回転対称性を呈する形状を有し、前記回転対称性を呈する形状は、第1軸方向端部において測定される第1厚さと、第2軸方向端部において測定される第2厚さと、を有し、前記第1厚さは、前記第2厚さよりも小さく、前記第1自由端部は、前記第1軸方向端部を向くように向きを調整され、前記自由端部の反対側の前記第1分離部の別の端部は、前記第2軸方向端部を向くように向きを調整される。
【0012】
回転対称性を呈する冷却チャンバであって、その第1端部における厚さが第2端部における厚さよりも小さい冷却チャンバを使用することにより、ハウジングおよび/または冷却ジャケットであって、その製造方法、特に鋳造およびプレス成形が、部品にテーパの存在を必要とするハウジングおよび/または冷却ジャケットを使用することができる。分離要素の自由端部は小さい径方向厚さを有し得るため、冷却チャンバが最も薄い厚さを有するゾーンにおいても、冷却チャンバの入口ゾーンと冷却チャンバの出口ゾーンとを分離することができる。
【0013】
本発明の追加の特徴によれば、前記分離要素は、シート材料、特にシートスチールから作られる。
【0014】
シート材料を使用することにより、分離要素の製造を単純化できるため、電気機械の製造コストを低減できる。
【0015】
本発明の追加の特徴によれば、前記第1自由端部の前記シート材料の端面が、前記分離要素が取り付けられた、前記冷却ジャケットの前記外壁および前記ハウジングの前記内壁のうちの一方に対面する。
【0016】
このような特徴により、第1自由端部の形状を、チャンバの形状に適合させることができる。したがって、冷却ゾーンの入口ゾーンと冷却チャンバの出口ゾーンとを良好に分離することができる。
【0017】
本発明の追加の特徴によれば、前記分離要素は、第3長さを有する第2分離部であって、前記取付部の面に対して傾斜するとともに前記取付部の面に対して平行でない第2分離部を含み、前記第1長さは前記第3長さよりも小さく、前記第2分離部は、前記取付部に直接接続しない第2自由端部を含む。
【0018】
第1分離部に加えて第2分離部を含む分離要素を使用することにより、冷却ゾーンの入口ゾーンと冷却チャンバの出口ゾーンとをさらに良好に分離することができるため、冷却システムの冷却性能を向上させることができる。この性能の向上には追加部品を使用する必要がないため、コストが削減される。
【0019】
本発明の追加の特徴によれば、前記第2分離部は、第2曲げゾーンを超えて前記取付部と材料において連続的に形成される。
【0020】
本発明の追加の特徴によれば、前記分離要素は、前記冷却ジャケットの前記外壁および前記ハウジングの前記内壁のうちの一方に溶接される。
【0021】
また、本発明は、
-ステータと、
-ロータと、
-上述の冷却システムと、
を備える電気機械に関する。
【0022】
本発明の追加の特徴によれば、前記ステータは、前記冷却ジャケットに力を加えることによって装着される。
【0023】
上述の説明において、ロータは、クローポール(claw-pole)ロータであり得る。このロータは、入れ子状の第1ポールホイールと第2ポールホイールとを含む。第1ポールホイールは、台形の全体形状の一連のクローを形成する。各クローは、第2ポールホイールの方向において軸方向に延びる。第2ポールホイールは、台形の全体形状の一連のクローを形成する。各クローは、第1ポールホイールの方向において軸方向に延びる。永久磁石が、ロータの周方向において連続する2つのクローの間に受けられ得る。変形例として、ロータは、例えば積層体を含み、クローポールロータとは異なっていてもよい。
【0024】
上述の説明において、ロータは、任意の数の対のポール(極)、例えば、6対または8対のポール(極)を含み得る。
【0025】
上述の説明において、回転電気機械は、例えば互いに接続されたワイヤまたは伝導性バーにより形成された多相電気巻線を有するステータを有し得る。
【0026】
回転電気機械は、車両の車載ネットワークに接続可能なパワーエレクトロニクス部品を備え得る。このパワーエレクトロニクス部品は、例えば、インバータ/整流器を含みる。電気機械がモータとして動作するか発電機として動作するかに応じて、車両の車載ネットワークがインバータ/整流器により充電され得る、またはインバータ/整流器がこのネットワークにより電力を供給され得る。
【0027】
回転電気機械は、車両のパワートレインの残りの部分に接続するプーリまたは任意の他の手段をさらに備え得る。電気機械は、例えば、特にベルトを介して、車両の内燃機関のクランクシャフトに接続される。変形例として、電気機械は、パワートレインの他の場所に、例えば、車両のホイールに向けて伝達されるトルクの観点におけるギアボックスへの入力部に、車両のホイールに向けて伝達されるトルクの観点におけるギアボックスの出力側に、車両のホイールに向けて伝達されるトルクの観点におけるギアボックスに、またはこのパワートレインの前車軸アセンブリまたは後車軸アセンブリに接続される。
【0028】
回転電気機械は、必ずしも同期機械である必要はなく、非同期機械であってもよい。
【0029】
本発明は、以下のそれについての非限定的な実施例を読み、添付図面を検討することでより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明による冷却システムを備える回転電気機械の部分図を示す。
【
図2】
図2は、第1実施形態による
図1の回転電気機械の冷却システムの部分断面図を示す。
【
図3】
図3は、第1実施形態による
図1の回転電気機械の冷却システムの別の部分断面図を示す。
【
図4】
図4は、第1実施形態による
図1の回転電気機械の冷却システムの、さらに別の部分断面図を示す。
【
図5】
図5は、第1実施形態による回転電気機械の冷却システムの部分図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態による
図1の回転電気機械の冷却システムの分離要素の図を示す。
【
図7】
図7は、第2実施形態による
図1の回転電気機械の冷却システムの分離要素の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面を通じて、同じ要素または同一の機能を果たす要素には同一の参照符号が付されている。以下の実施形態は、例示的なものである。説明では単数または複数の実施形態について言及されているが、これは、各言及が同一の実施形態に関連すること、または特徴が1つの実施形態にのみ適用されることを必ずしも意味しない。異なる実施形態の個々の特徴は、別の実施形態を提供すべく組み合わせられ得る、または交換され得る。
【0032】
図1および
図2は、ステータと、ロータと、本発明による冷却システムと、を備える回転軸Aを有する回転電気機械の部分図を示す。
【0033】
図面を明瞭にするため、回転電気機械の特定の要素は図示されていない。特に、ロータおよびステータは図示されない。
【0034】
冷却システムは、
-回転電気機械1のステータを受け得る冷却ジャケット3と、
-冷却ジャケットを受けるハウジング2と、
を含んでいる。
【0035】
冷却ジャケットは、例えば、円筒状のスチール製スリーブである。
【0036】
ステータは、例えば、冷却ジャケット3に力を加えることによって装着される。
【0037】
冷却ジャケット3の外壁11は、ハウジングの内壁10とともに、冷却チャンバ6を形成している。
【0038】
図3は、本発明による冷却システムを備える回転電気機械の部分図を示す。断面により冷却チャンバを見ることができる。
【0039】
冷却流体は、冷却チャンバ6を流れる。ハウジングは、冷却流体の冷却チャンバ6の入口ゾーン7への流入のための入口開口4と、冷却流体の冷却チャンバ6の出口ゾーン8からの流出のための出口開口5と、を備えている。
【0040】
入口開口4および出口開口5は、ハウジング2に形成されている。図示の実施形態において、ハウジングと材料において連続的に形成されたダクトにより、入口開口4への流入および出口開口5後の流出が可能とされている。本発明の別の実施形態において、ダクトは、例えば入口開口4および出口開口5に圧力嵌めされたチューブ等の追加の部品である。
【0041】
冷却システムは、冷却ジャケット3およびハウジング2とは別体の分離要素9をさらに備えている。分離要素9は、冷却ジャケット3の外壁11およびハウジング2の内壁10のうちの一方に取り付けられている。分離要素9は、冷却チャンバ6の入口ゾーン7と冷却チャンバ6の出口ゾーン8とを分離している。
【0042】
冷却チャンバ6の入口ゾーン7と冷却チャンバ6の出口ゾーン8とがこのように分離していることにより、過剰に大量の冷却流体が、入口開口4と出口開口5との間の最短経路を経由して流れることが防止される。この分離により、流体が冷却チャンバ内に最長経路を経由して流れることが促進され、冷却流体とステータに熱的に接触している冷却ジャケット3との熱交換が向上する。
【0043】
【0044】
分離要素9は、
-第1長さ13を有する取付部12であって、分離要素9が取り付けられた、冷却ジャケット3の外壁11およびハウジング2の内壁10のうちの一方の形状に対して相補的な形状の取付面を有する取付部12と、
-第2長さ15を有する第1分離部14であって、取付部12に対して傾斜するとともに取付部12に対して平行でない第1分離部14と、
を含んでいる。
【0045】
第1長さ13は第2長さ15よりも小さく、これにより、第1分離部14は、取付部12に直接接続していない第1自由端部16を備えている。
【0046】
図6は、第1実施形態による冷却システムの分離要素9を示す。
【0047】
したがって、取付部12は、第1分離部14よりも短い。第1分離部14は、取付部12に直接接続した第1中間部27をさらに含んでいる。第1自由端部16は、第1中間部27に直接接続している。したがって、第1中間部27は、取付部12と第1受有端部16との間の接続を提供している。
【0048】
第1分離部14は、例えば、第1曲げゾーン17を超えて取付部12と材料において連続的に形成されている。したがって、第1曲げゾーン17は、取付部12と第1分離部14の第1中間部27との直接的な接続を提供している。
【0049】
第1分離部14は、取付部12に対して、20度~160度、特に45度~135度の角度を形成し得る。
【0050】
図示の本発明の実施形態において、第1分離部14は、取付部12に対して90度の角度を形成している。
【0051】
冷却チャンバ6は、例えば、回転軸Aを軸とする回転対称性を呈する形状を有している。回転対称性を呈する形状は、第1軸方向端部20において測定される第1厚さ18と、第2軸方向端部21において測定される第2厚さ19と、を有している。第1厚さ18は、第2厚さ19よりも小さくなっている。第1自由端部16は、第1軸方向端部20に向くように向きを調整されている。自由端部16の反対側の第1分離部14の別の端部22は、第2軸方向端部21に向くように向きを調整されている。この別の端部は、第1中間部27の一部を形成し得る。
【0052】
分離要素9は、例えば、シート材料、特にシートスチールから作られる。
【0053】
分離要素9の取付部12は、例えば、分離要素9が取り付けられた、冷却ジャケット3の外壁11およびハウジング2の内壁10のうちの一方に溶接されている。
【0054】
図示の実施形態において、取付部12は、冷却ジャケット3の外壁11に溶接されている。
図5は、冷却ジャケットの外壁11に溶接された、冷却システムの第1実施形態の分離要素9を示す。
【0055】
本発明の別の実施形態において、別のタイプの取り付け、特に、接着、ろう付け、またはクリンチ留めが利用され得る。
【0056】
第1自由端部16のシート材料の端面22が、分離要素9が取り付けられた、冷却ジャケット3の外壁11およびハウジング2の内壁10のうちの一方に対面し得る。分離要素9は、例えば、打ち抜き、またはレーザー切断により切断される。縁部表面22は、シート材料の切断面の一部を形成する。
【0057】
端面22は、分離要素9が取り付けられた、冷却ジャケット3の外壁11およびハウジング2の内壁10のうちの一方に接触し得る。
【0058】
曲げ加工を容易にし、かつ第1分離部14と第1中間部27との間の曲げ加工中にシート材料が破損することを回避するように、第1ノッチ30が、第1中間部27と第1自由端部16との間に作製され得る。このような第1ノッチ30により、分離要素9が取り付けられた、冷却ジャケット3の外壁11およびハウジング2の内壁10のうちの一方に近接した、または接触した端面22を有する分離要素9を作製することができる。
【0059】
図7は、第2実施形態による冷却システムの分離要素9を示す。
【0060】
本発明による冷却システムの第2実施形態は、その分離要素29において第1実施形態と異なる。この分離要素は、第1実施形態の分離要素9と類似している。ただし、この分離要素は、第3長さ24を有する第2分離部23であって、取付部面12に対して傾斜するとともに取付部面12に対して平行でない第2分離部23をさらに含んでいる。第1長さ13は、第3長さ24よりも小さく、これにより、第2分離部23は、分離部12に直接接続していない第2自由端部25を備えている。
【0061】
したがって、取付部12は、第2分離部23よりも短い。第2分離部23は、取付部12に直接接続した第2中間部28をさらに備えている。第2自由端部25は、第2中間部28に直接接続されている。したがって、第2中間部28は、取付部12と第2自由端部25との間の接続を提供している。
【0062】
第2分離部23は、例えば、第2曲げゾーン26を超えて取付部12と材料において連続的に形成されている。したがって、第2曲げゾーン26は、取付部12と第2分離部23の第2中間部28との直接的な接続を提供している。
【0063】
第2分離部23は、分離部12に対して、20度~160度、特に45度~135度の角度を形成し得る。本発明の第2実施形態の分離要素29は、取付部12に対して90度の角度を形成する第2分離部23を有している。
【0064】
第1分離部14の場合と同様に、第2ノッチ31が、第2中間部28と第2分離部23の第2自由端部25との間に作製され得る。
【0065】
図示の本発明の2つの実施形態において、分離部14、23は平面状である。
【0066】
図示しない本発明の別の実施形態において、分離部14、23は平面状でない。
【0067】
図示しない別の実施形態において、分離部は、冷却チャンバの入口ゾーンと冷却チャンバの出口ゾーンとの間において分離要素を通過する冷却流体を制限可能とする開口または切り込みを有し得る。
【国際調査報告】