IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハルトメタル−ウェルクゾーグファブリック ポール ホーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2023-506984ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法
<>
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図1
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図2
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図3
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図4
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図5
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図6
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図7
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図8
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図9
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図10a
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図10b
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図10c
  • 特表-ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法 図10d
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】ワークピースを機械加工するための工具及び機械加工する方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 5/36 20060101AFI20230213BHJP
   B23Q 27/00 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
B23B5/36
B23Q27/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537565
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2020079368
(87)【国際公開番号】W WO2021121730
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】102019135435.8
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503128054
【氏名又は名称】ハルトメタル-ウェルクゾーグファブリック ポール ホーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホス, ヨハネス
【テーマコード(参考)】
3C045
【Fターム(参考)】
3C045BA33
3C045CA30
3C045DA20
(57)【要約】
パワースカイビング工具(10)は、工具 (10)の長手方向軸(14)に沿って延びるシャンク(12)と、シャンク(12)の端面に配置される切削ヘッド(16)とを備える。切削ヘッド(16)は、複数の円周方向に配置された歯(18)を備え、長手方向軸(14)に直交する断面にて、各歯(18)は、凸状に丸みを帯びた輪郭を備え、各歯(18)は第1の端部(24)にて複数の歯(18)のうち隣接する第1の歯(18')の凸状に丸みを帯びた輪郭に直接遷移し、又は歯(18)と第1の歯(18')の間に配置された第1の凹状の遷移輪郭を介して隣接する第1の歯(18')の凸状に丸みを帯びた輪郭に遷移し、各歯(18)は、第1の端部(24)の反対側の第2の端部(26)にて複数の歯(18)のうち隣接する第2の歯(18")の凸状に丸みを帯びた輪郭に直接遷移し、又は歯(18)と第2の歯(18")の間に配置された第2の凹状の遷移輪郭を介して隣接する第2の歯(18")の凸状に丸みを帯びた輪郭に遷移し、第1の端部(24)と第2の端部(26)間の距離として断面にて測定される複数の歯(18)の各歯の幅(d)は、幅(d)に直交した断面内にて測定され第1の端部と第2の端部の中央に位置する各歯(18)の高さ(h)よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワースカイビング工具(10)であって、
該パワースカイビング工具(10)の長手方向軸(14)に沿って延在するシャンク(12)と、該シャンク(12)の端面に配置される切削ヘッド(16)とを備え、
該切削ヘッド(16)は、円周方向に配置された複数の歯(18)を備え、該長手方向軸線(14)に直交する断面で見て、各歯(18)は凸状に丸みを帯びた輪郭を備え、
各歯(18)は第1の端部(24)にて、複数の歯(18)のうち隣接する第1の歯(18')の凸状に丸みを帯びた輪郭に直接遷移し、又は歯(18)と第1の歯(18')の間に配置された第1の凹状の遷移輪郭を介して隣接する第1の歯(18')の凸状に丸みを帯びた輪郭に遷移し、
各歯(18)は、第1の端部(24)の反対側の第2の端部(26)にて、複数の歯(18)のうち隣接する第2の歯(18")の凸状に丸みを帯びた輪郭に直接遷移し、又は歯(18)と第2の歯(18")の間に配置された第2の凹状の遷移輪郭を介して隣接する第2の歯(18")の凸状に丸みを帯びた輪郭に遷移し、
第1の端部(24)と第2の端部(26)間の距離として断面にて測定される複数の歯(18)の各歯の幅(d)は、幅(d)に直交した断面内にて測定され第1の端部と第2の端部の中央に位置する各歯(18)の高さ(h)よりも大きい、パワースカイビング工具(10)。
【請求項2】
複数の歯(18)の各歯の幅(b)が、各歯(18)の高さ(h)の2倍以上であり、より望ましくは各歯(18)の高さ(h)の3倍以上である、請求項1に記載のパワースカイビング工具。
【請求項3】
断面において前記凸状に丸みを帯びた輪郭の前記第1の端部(24)に適用される第1の接線(32)と、断面において前記凸状に丸みを帯びた輪郭の前記第2の端部(26)に適用される第2の接線(34)とが、角度αで交差し、ここで60°≦α≦140°である、請求項1又は2に記載のパワースカイビング工具。
【請求項4】
第1の凹状の遷移輪郭及び第2の凹状の遷移輪郭は、断面で見て半径状である、請求項1乃至3の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項5】
複数の歯(18)の各歯(18)が、複数の歯(18)の他の歯と同一の形状を有する、請求項1乃至4の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項6】
複数の歯(18)の各々が、シャンク(12)から離れる方向に向かう切削ヘッド(16)の端部ですくい面を構成し、すくい面が、長手方向軸(14)に対して90°以外の角で傾く、請求項1乃至5の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項7】
複数の歯(18)の全ての歯(18)のすくい面(20)が、長手方向軸(14)と回転対称的である共通の円錐面に配置されている、請求項1乃至6の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項8】
複数の歯(18)の2つの隣接する歯(18)のすくい面(20)の間には、夫々遷移面が配置されており、該遷移面は切削ヘッド(16)の前端部に配置され、2つの隣接する歯(18)のすくい面(20)に直接隣接する、請求項1乃至6の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項9】
前記複数の歯(18)の各々は、前記長手方向軸(14)に斜めに配向された円周方向に配置された逃げ面(22)を備える、請求項1乃至8の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項10】
前記複数の歯(18)は12個以上の歯を備える、請求項1乃至9の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項11】
前記シャンク(12)は鋼製であり、切削ヘッド(16)の歯(18)は超硬合金製である、請求項1乃至10の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項12】
ワークピース上に外側輪郭を生成し、該外側輪郭は、前記ワークピースの断面輪郭における正多角形に実質的に対応する、請求項1乃至11の何れかに記載のパワースカイビング工具の使用。
【請求項13】
ワークピースを機械加工する方法であって、
パワースカイビング工具(10)及び機械加工されるべきワークピース(38)を提供する工程と、
パワースカイビング加工中に、パワースカイビング工具(10)によってワークピース(38)上に外側輪郭を生成する工程であって、生成される外側輪郭は、ワークピース(38)の断面形状にて正多角形に実質的に対応し、パワースカイビング工具(10)及びワークピース(38)は、パワースカイビング加工中に互いに逆方向の回転にて回転され、パワースカイビング工具(10)の回転軸(14)は、ワークピース(38)の回転軸(40)に対して、規定された軸交差角(β)で配列され、パワースカイビング工具(10)及び/又はワークピース(38)は、同時に並進移動して送り運動を生成する工程を備える、方法。
【請求項14】
パワースカイビング加工は、前記パワースカイビング工具(10)を第1の速度で回転させ、前記ワークピース(38)を第2の速度で回転させることを含み、前記第2の速度は前記第1の速度の整数倍である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
パワースカイビング工具(10)は、請求項1乃至11のいずれかに係るパワースカイビング工具である、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースを機械加工するための工具及びワークピースを機械加工する方法に関する。本発明による工具及び本発明による方法は、ワークピース上に外側形状を生成するのに特に適しており、ワークピースの断面形状において外側形状が正多角形に実質的に対応する。
【背景技術】
【0002】
正多角形とは、縁部分が頂点でのみ接触または交差する多角形であり、全ての内角は180°未満であり、等辺形及び等角形の両方である。このような正多角形の例は、正三角形、正方形、正五角形、正六角形などである。
【0003】
このような断面形状の典型的な応用例は、ワークピース上に六角形のバーを製造することである。例えば、ワークピースは、六角形のバーを有するスクリュまたはボルトである。この典型的な用途では、ワークピースは、六角形のバー以外の場合は円形の断面を有し、六角形または多角形のバーが配置されている領域でのみ円周に平坦な表面を含み、そうでない場合は円形または円筒形のワークピースである。
【0004】
典型的には、このような多角形形状は、フライス加工によって円形以外のワークピース上に製造される。ワークピースに平坦な面ができるため、古典的な旋削加工は不可能である。
【0005】
しかしながら、産業界、特に連続した且つ量産部品の生産において、例として言及されたボルトと同様に、コストを低減するための絶え間ない圧力は、ならし(run-in)工程の永続的な見直しを余儀なくしている。この見直しは、円形鋼のワークピースの横面のいくつかの平坦な表面のフライス加工も含む。部品の生産におけるわずかな時間の節約でさえ、より大きな連続的なコスト削減と機械加工容量の増加のかなりの潜在的な可能性を拡大させる(multiply)。
【0006】
従って、古典的なフライス加工の代替として、いわゆる多角形旋削は、多角形形状((正多角形に対応する断面形状)の生産のための工程として出現した。多角形旋削は、古典的なフライス加工と比較して、前述のコスト削減の可能性を開く。
【0007】
多角形旋削は、ワークピースの円形以外の側面上に平らな面を生産することを可能にする。この機械加工工程は、通常、旋盤上で行われ、ここで、ワークピースだけでなく工具も駆動される。主軸内のワークピースと機械の回転台内の回転工具は、互いに同期した伝動比で動作する。ワークピース上に生成される面の数は、工具上の切刃の数だけでなく、ワークピースと工具との間のこの伝達比にも依存する。従来技術では、例えば、工具は、ワークピースの2倍の速度で回転し、切刃の数に2を掛けた数は、生成される多角形面の数を与える。従って、この場合、六角形の輪郭は、円周の周りに規則的に分布した3つの切削ブレードを備える工具を用いた多角形旋削によって製造することができる。
【0008】
多角形旋削は一般に旋盤上で行われるという事実により、この機械加工工程はしばしば多角形旋削とも呼ばれる。この種の機械加工工程に関するさらなる情報は、例えば、ドイツ国実用新案 20 2015 002 876号で見ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
多角形旋削は、多角形形状の製造のために従来のフライス加工に代わる費用対効果が高く、技術的に洗練された代替手段として確立されてきたが、それにもかかわらず、この工程による不利な点が生じてきた。容易に理解できるように、この工程は多角形形状上に正確に平らな面を生成するのではない。その代わり、多角形形状の個々の表面はわずかに凸状になっている。また、例えば従来のフライス加工と同じ表面品質を達成することはできない。しかしながら、より高い精度が要求されず、コスト節約に焦点が当てられている限り、ワークピース上に多角形形状を製造する多角形旋削は依然として重要な代替手段である。
【0010】
それにもかかわらず、クラウン面が発生する不利益を有さない代替的な製造工程によって、比較的費用効果の高い方法で多角形形状を製造するニーズがある。
【0011】
従って、本発明の目的は、費用対効果が高く且つ工程の信頼性のある方法でワークピース上に多角形形状を製造することを可能にし、既知の多角形旋削と比較してワークピース上のより良い機械加工結果を可能にする工具並びに方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、この目的はパワースカイビング工具によって解決され、該パワースカイビング工具は、工具の長手方向軸に沿って延びるシャンクと、前記シャンクの端面に配置された切削ヘッドとを備え、前記切削ヘッドは、円周方向に配置された複数の歯を備え、前記切削ヘッドは、前記長手方向軸に直交した断面にて、各歯は、凸状に丸みを帯びた輪郭を含み、各歯は複数の歯のうち隣接する第1の歯の凸状に丸みを帯びた輪郭に直接遷移し、又は歯と第1の歯の間に配置された第1の凹状の遷移輪郭を介して隣接する第1の歯の凸状に丸みを帯びた輪郭に遷移し、各歯は、第1の端部の反対側の第2の端部にて複数の歯のうち隣接する第2の歯の凸状に丸みを帯びた輪郭に直接遷移し、又は歯と第2の歯の間に配置された第2の凹状の遷移輪郭を介して隣接する第2の歯の凸状に丸みを帯びた輪郭に遷移し、前記第1の端部と前記第2の端部との間の距離として断面にて測定される複数の歯の各歯の幅は、幅に直交した断面内にて測定され第1の端部と第2の端部の中央に位置する各歯の高さよりも大きい。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、上記目的は、以下の工程から成るワークピースを機械加工する方法によって解決される。
パワースカイビング工具及び機械加工されるべきワークピースを提供する工程と、
パワースカイビング加工中に、パワースカイビング工具によってワークピース上に外側輪郭を生成する工程であって、生成される外側輪郭は、ワークピースの断面形状にて正多角形に実質的に対応し、パワースカイビング工具及びワークピースは、パワースカイビング加工中に互いに逆方向の回転にて回転され、パワースカイビング工具の回転軸は、ワークピースの回転軸に対して、規定された軸交差角で配列され、パワースカイビング工具及び/またはワークピースは、同時に並進移動して送り運動を生成する工程を備える。
【0014】
本発明に係る方法で用いられるパワースカイビング工具は、本発明に係るパワースカイビング工具が望ましい。
【0015】
このように、本発明は全く新しいアプローチをとる。フライス加工や多角形旋削のような以前に知られていた製造工程の代わりに、適切なパワースカイビング工具を使用して多角形形状を製造するために、パワースカイビング機械加工が使用される。パワースカイビング機械加工そのものは、かなり以前から知られている。しかし、パワースカイビングを使って多角形形状を生成するとの考えはまったく新規なものである。
【0016】
パワースカイビングは、通常、歯車の歯の製造に使用され、歯は内歯車の歯又は外歯車の歯である。典型的な用途分野は、歯車の製造である。
【0017】
パワースカイビング自体は100年以上も前から知られている。この分野における最初の特許出願である番号ドイツ特許243514号は、1910年にさかのぼる。その後の数年間、パワースカイビングは長い間あまり注目されなかった。しかしながら、この10年で、ワークピースを機械加工するためのこの非常に古い製造工程が再び取り上げられ、現在では様々な歯車の歯の製造に広く使用されている。このテーマに関する比較的最近の特許出願は、例えば、国際公開2012/152659号である。
【0018】
通常、パワースカイビングは、歯車の製造におけるホブ切りまたはギヤシェーピングの代替として使用される。ホブ切り、ギヤシェーピングに比べ、加工時間の大幅な短縮を可能にする。更に非常に高い加工品質が達成される。従って、パワースカイビングは非常に生産性が高く、同時に歯車の歯の高精度な製造を可能にする。
【0019】
パワースカイビングでは、ワークピースと工具が協調(同期)した速度比で駆動される。外歯車の歯を生産する場合、ワークピースと工具は反対の回転方向に駆動される。一方、内歯車の歯の製造では、ワークピースと工具は同じ回転方向に駆動される。
【0020】
工具は、ワークピースに対して所定の角度に設定され、この角度は、通常、軸交差角と呼ばれる。軸交差角は、パワースカイビング工具の回転軸と機械加工されるワークピースの回転軸とのなす角度を示す。
【0021】
送り運動を生成するために、工具及び/又はワークピースも並進移動させる。したがって、パワースカイビング工具とワークピースとの間に生じる相対移動は、回転成分(回転性成分)及び送り成分(並進成分)を有する一種のスクリュー移動である。
【0022】
ワークピースは、パワースカイビング工具の切削ヘッドに円周方向に配置された歯で機械加工される。交差した軸の配置により、工具とワークピースとの間に相対速度が生成される。この相対運動は切削運動として利用され、ワークピースの歯のギャップに沿ってその主切削方向を持つ。したがって、機械加工中はチップが「剥離」していると言われている。切削速度の大きさは、送り運動の軸交差角の大きさと機械加工スピンドルの速度に依存する。
【0023】
既に述べたように、歯車や他の種類の歯車の歯を製造するこのようなパワースカイビング機械加工を用いることが確立された。しかしながら、本発明の発明者は、このようなパワースカイビング機械加工を、多角形形状(正多角形に対応する断面形状)を生成するために使用することもできることを発見した。これは当初は驚くべきことであったが、パワースカイビングの典型的な利点は多角形形状の製造にも利用できるため、非常に有利であることが判明した。
【0024】
このようにして、多角形形状は多角形転換の場合よりもさらに速く生産することができる。さらに、切削力と同様に加工条件は、多角形旋削よりもパワースカイビングで著しく良好である。何故ならば、ワークピースは「鍛造」ではなく「剥離」で機械加工されるからである。その結果、表面品質が著しく高い多角形形状を作り出すことができる。
【0025】
さらに、多角形旋削と比較してクラウン面が生成されない。その代わり、ほぼ完全に平坦な面をワークピース上に生成することができる。さらに、多角形形状の個々の平坦面間の角度遷移も、多角形旋削によるよりも、パワースカイビングによる方がはるかに正確に生成することができる。結局のところ、これは非常に有利なタイプの生産をもたらし、決して予見できなかった。
【0026】
パワースカイビングによって多角形形状を生成することを可能にした発明者の1つの洞察は、パワースカイビング工具の歯に特殊な形を与えるという考えであった。歯車の歯の典型的な製造に使用されるパワースカイビング工具とは異なり、本発明に係るパワースカイビング工具は、凸状に丸みを帯びた歯を備え、該歯は著しく平坦又は曲がりが少ない。
【0027】
好ましくは、個々の歯は連続的に湾曲している。換言すれば、歯は工具の長手方向軸に直交する断面で見たとき、ねじれ又は角部を有していない。断面において、各歯は従って連続的で定常的な接線勾配を有する。
【0028】
「凸状に丸みを帯びた」輪郭は、ここでは、丸められた、すなわち、明確な角部及び縁部のない、任意のタイプの外向きに湾曲した輪郭であると理解される。しかしながら、前述の断面では、この曲線は必ずしも円形または正確な円形には一致していないが、楕円形または卵形、またはその他の丸みを帯びた自由形状にすることもできる。好ましくは、長手方向軸に直交する断面における輪郭として、凸状に丸みを帯びた自由形状が実際に使用される。
【0029】
凸状に丸みを帯びた輪郭を有するこれらの歯の間では、凹状の遷移輪郭が各場合に提供され得るか、または個々の歯の間で直接遷移が実現され得る。個々の歯間に凹状の遷移構造が設けられている場合は、歯と比較して小さいことが望ましい。この遷移構造が小さいほど、より良く多角形形状の角をワークピース上に作成することができる。また、凹状の遷移構造は極めて角形であり、歯の凸状の輪郭とは異なり、丸みを帯びる必要がない。
【0030】
本発明に従うパワースカイビング工具の本質的な特徴は、既に述べたように、長手方向軸に直交する断面にて、個々の歯が構成される方法において、歯は高いよりもかなり広い方が好ましい。この場合の幅bは、各歯の第1の端部と第2の端部との間の距離として測定される。高さhは、幅に直交する同じ断面にて、夫々の歯の高さとして測定され第1の端部と第2の端部との間の中央に位置する。好ましくは、高さhは、第1の端部及び第2の端部から等距離にある歯の輪郭上の点から、第1の端部及び第2の端部の間の接続線までの距離である。後者の接続線の長さは歯の幅に等しい。
【0031】
この極めて平坦でわずかに湾曲した形状のパワースカイビング工具の歯のために、パワースカイビングによって、ほぼ完全に平坦な表面をワークピース上に製造することも可能である。
【0032】
多角形形状の角加工は主に個々の歯間の遷移部によって行われる。
【0033】
ワークピースまたは工具が回転する速度の速度比を適切に調整することにより、ワークピース上に異なる正多角形断面を作ることができる。好ましくは、パワースカイビング工具は、第1の速度で回転され、ワークピースは、第2の速度で回転され、第2の速度は、第1の速度の整数倍である。したがって、ワークピースは、典型的には、工具よりも速く回転する。しかしながら、これ自体は、パワースカイビング加工の他のパラメータと同様に、歯車を製造するために使用される従来のパワースカイビング加工と一致している。
【0034】
好ましい改良例によれば、複数の歯の各歯の幅は、夫々の歯の高さの2倍以上である。特に、夫々歯の幅は、夫々の歯の高さの3倍以上であることが望ましい。
【0035】
したがって、古典的なパワースカイビング工具の歯に比べると、歯は極めて平らである。これは、多角形形状上で生成される平面の最も正確な可能性がある平面性を保証するために特に有利である。本発明によれば、各歯の高さに対する幅の比率が、5:1、6:1又は7:1よりもさらに大きいことが付与されてもよい。
【0036】
記載された個々の歯の平坦またはわずかに湾曲した構成のさらなる特徴は、工具の長手方向軸に直交する断面において、各歯の凸状に丸みを帯びた輪郭の第1の端部に適用される第1の接線と、断面において凸状に丸みを帯びた輪郭の第2の端部に適用される第2の接線とが、角度αで交差することであり、ここで、60°≦α≦140°である。望ましくは、80°≦α≦130°でも適用可能である。
【0037】
対照的に、従来のパワースカイビング工具の歯は、典型的には、個々の歯の間の遷移部において、互いにほぼ平行または正確に平行に整列された2つの両側の逃げ面を有するので、この場合、記載された接線は全く交点を持たないか、または著しく小さな角度を囲むであろう。
【0038】
さらなる改良例によれば、第1及び第2の凹状の遷移構造、すなわちパワースカイビング工具の個々の歯の間の遷移構造は、長手方向軸に直交する断面で見た場合の半径状である。遷移輪郭として構成されるこの半径は、既に述べたように、機械加工中にも切削し、従って、ワークピースを機械加工する。
【0039】
さらに、複数の歯の各歯は、複数の歯の他の歯と同じ形状を持つことが望ましい。典型的には、実際、パワースカイビング工具は、パワースカイビング中に全周に沿って切削し、多角形形状の製造中に、各歯が機械加工される平坦面の1つの上を転がる。
【0040】
さらなる改良例によれば、複数の歯の各々は、シャンクから離れる方向に向かう切削ヘッドの端部に平坦なすくい面を備え、該すくい面は、長手方向軸に対して90°以外の角度で傾斜している。
【0041】
従って、すくい面は、典型的には歯の上面に位置し、すくい面は、パワースカイビング工具のシャンクから離れる方向に向いている、切削ヘッドの端面部を形成する。通常、すくい面は平面として構成される。パワースカイビング工具の長手方向軸に対して、すくい面は傾斜している、すなわち長手方向軸に対して垂直でないことが好ましい。
【0042】
本発明によるパワースカイビング工具の構成により、全ての歯のすくい面を、長手方向軸に対して回転対称な共通の円錐面に配置することができる。代わりに、遷移面は、2つの隣接する歯の各すくい面の間に配置され、その遷移面は、切削ヘッドの前端部においても配置され、2つの隣接する歯のすくい面に直接隣接する。そのとき、歯の各すくい面は、夫々の場合で異なる面内に位置する。次に、端面の個々の歯の間、またはすくい面の間に個々の階段状のステップが形成される。後者は特に、歯のすくい面が一般的に研磨ホイールで製造されるために起こる。これは典型的には、1つの歯のすくい面と隣接する歯のすくい面との間にステップをもたらし、これは一種の階段状に見える。しかし、既に述べたように、本発明に係るパワースカイビング工具もまた、全てのすくい面が共通の円錐面に配置されるように構成することができる。
【0043】
好ましい改良例によれば、パワースカイビング工具は全部で24本の歯を備えている。この比較的多くの歯のために、多角形形状の生産は古典的なフライス加工によるものよりも著しく早く、多角形旋削によるものよりもさらに速い。
【0044】
さらなる改良例によれば、前記歯の各々は、長手方向軸に対して斜めに配向され円周方向に配置された逃げ面を含むことが提供される。従って、歯の逃げ面は、望ましくは、長手方向軸と平行でない。
【0045】
パワースカイビング工具のさらなる改良例によれば、切削ヘッドをシャフトに着脱自在に取り付けることができる。この場合、切削ヘッドは摩耗時に全体を交換し、新しいものと交換することができる。さまざまなインターフェースが、切削ヘッドとシャンクのインターフェースとして考えられる。好ましくは、インターフェースは、ねじ接続である。
【0046】
本発明によれば、切削ヘッドまたはその上に配置される少なくとも歯は、望ましくは超硬合金で作られる、パワースカイビング工具のシャンクは、典型的には鉄製である。しかしながら、パワースカイビング工具のサイズによっては、工具全体が炭化タングステンからなることもある。同様に、生成工具の切削ヘッドが、歯を形成する個々のインデックス化可能なインサートを装備することも可能である。さらに、歯を形成する超硬合金製の切削縁部を交換可能なヘッドにろう付けすることができる。
【0047】
上記の特徴及び以下に説明するような特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、各場合に示される組合せのみならず、他の組合せ又はそれ自体においても使用可能であることが理解されている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明の実施形態は、以下の図面に示されており、以下の説明でより詳しく説明する。
図1】本発明に係るパワースカイビング工具の実施形態の斜視図である。
図2図1に示すパワースカイビング工具の側面図である。
図3図2の詳細な図である。
図4図1及び図2に示すパワースカイビング工具を下から見た下面図である。
図5図4の詳細な図である。
図6】パワースカイビング工具の長手方向軸に直交する断面図における図5に示される詳細な図である。
図7図1に示すパワースカイビング工具の切削ヘッドの斜視図である。
図8図7の詳細な図である。
図9図1に示すパワースカイビング工具の斜視図であって、機械加工されるワークピースと一緒である。
図10a】本発明に係るパワースカイビング工具を用いたワークピースに対するパワースカイビング動作を説明する図である。
図10b】本発明に係るパワースカイビング工具を用いたワークピースに対するパワースカイビング動作を説明する図である。
図10c】本発明に係るパワースカイビング工具を用いたワークピースに対するパワースカイビング動作を説明する図である。
図10d】本発明に係るパワースカイビング工具を用いたワークピースに対するパワースカイビング動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、本発明に係るパワースカイビング工具の一実施形態の斜視図である。パワースカイビング工具は、符号10を用いて、その全体をここで表す。
【0050】
本発明によるパワースカイビング工具10は、長手方向軸14に沿って延在するシャンク12を備える。図示の実施形態では、シャンク12は円筒形である。しかし、原理的には、たとえば立方形のように、違う形を持つこともできる。
【0051】
さらに、パワースカイビング工具10は、シャフトの前端部に配置された切削ヘッド16を備える。切削ヘッド16には複数の歯18が配置されており、歯18は切削ヘッド16の周囲に配されている。
【0052】
特に図4図6に見られるように、歯18は、凸状に丸みを帯びた輪郭を備える。より具体的には、歯18は、図6に示されるように、長手方向軸14に直交する断面において、この凸状に丸みを帯びた輪郭を備える。
【0053】
従来のパワースカイビング工具の歯とは異なり、本発明によるパワースカイビング工具10の歯18は、角度付けられていないし、尖ってもいない。歯18ははるかに丸いデザインを持っており、つまり角部や鋭い縁部がないことを意味する。本発明に係るパワースカイビング工具10の更なる特徴は、歯18が歯の製造に使用される従来のパワースカイビング工具の場合に比べて、著しく平らになるか、または大きく曲がらないように構成されていることにある。
【0054】
歯18は、シャンク12から離れて対向する歯18の前端部にすくい面20を構成する。特に図4から分かるように、すくい面は、全ての歯18のすくい面20が本実施形態に係るパワースカイビング工具10の共通面に位置する。この面は、長手方向軸14に対して一定の角度で全周に延びる円錐面である。しかし、代わりに、個々の歯のすくい面20が異なる面上に配置されることも可能であり、その場合、各々の場合において、2つの隣接する歯18のすくい面20の間に一種のステップが形成される。
【0055】
本実施の形態に係るパワースカイビング工具10は、このような合計24個の歯18を構成する。これら24個の歯18は、切削ヘッド16の周囲に均等に分布し、その周縁から星形に突出している。しかしながら、図から分かるように、歯18は、切削ヘッド16の周囲から正確に半径方向(長手方向軸14に直交する)に突出していない。
【0056】
周囲の側では、各歯18の各々が、各歯18の半径方向最外側を示す逃げ面22を備え、したがって、切削ヘッド16の半径方向の最も外側の部分でもある。これらの逃げ面22は、長手方向軸14に対して配向したねじれであり、これは、特に図3において見ることができる。
【0057】
図5及び図6は、本発明によるパワースカイビング工具10に特徴的な歯18の低い曲げ部及び平坦な構成を示す。この点に関し、図6は、長手方向軸14に直交して配向された断面における切削ヘッド16の詳細を示す。各歯18の凸状に丸みを帯びた輪郭に加え、図5及び図6からさらに明らかなように、ここに示す実施形態に従い、歯18は互いに直接結合する。つまり、換言すれば、図6に示す断面における各歯18は、その第1の端部24において、隣接する歯18'の凸状の丸みを帯びた輪郭に直接結合し、第1の端部24の反対側の第2の端部26において、隣接する第2の歯18"の凸状の丸みを帯びた輪郭に直接結合する。
【0058】
個々の歯18の凸状に丸みを帯びた輪郭が互いに直接的に遷移する代わりに、個々の歯18の間に凹形の遷移輪郭を設けることもできるが、これらは、図示された断面で示された歯18によって形成された凸状の丸みを帯びた輪郭と比較して比較的小さい。例えば、半径は個々の歯18の間の凹形の遷移の輪郭として考えられる。
【0059】
個々の歯の平坦な又は稍湾曲した構成は、特に次の特徴によって特徴づけることができる。図6に示された断面で第1の端部24と第2の端部26との間の距離として測定された各歯18の幅bは、幅bに直交する断面で測定され、第1の端部24と第2の端部26の間の中央である夫々の歯18の高さhよりも著しく大きい。図6に示すように、高さは、歯18の輪郭上の点28から、第1の端部24と第2の端部26との間の接続線30までの距離として測定される。接続線30の長さは、歯18の幅bに対応する。点28は、第1の端部24と第2の端部26から等距離にある歯の頂点における点である。
【0060】
好ましくは、幅bと高さhとの間に少なくとも2:1、望ましくは少なくとも3:1または少なくとも5:1の比率がある。
【0061】
図6に示す断面において歯18の凸状に丸みを帯びた輪郭の第1の端部24に適用される第1の接線32と、断面において歯18の凸状に丸みを帯びた輪郭の第2の端部26に適用される第2の接線34とは、角度αで交差し、これは60°≦α≦140°の範囲内にあることが好ましい。図6から分かるように、角度αは、仮想三角形内の2つの接線32、34の交点で測定された内角であり、その3つの角は2つの接線32、34の交点36、第1の端部24、及び第2の端部26である。
【0062】
個々の歯18は、全て前述の形状に対応する同一の形状を有するのが好ましい。歯18は超硬合金製であるのが好ましく、一方、シャンク12は、鋼製であるのが好ましい。
【0063】
本発明によるパワースカイビング工具10は、ワークピースの断面形状において、実質的に凸状の正多角形に対応する外側輪郭を生成するのに特に好適である。用語「凸状の正多角形」と関連する用語「実質的」は、この点において、ワークピース上に製造されるべき輪郭が、全体的な視点において、正多角形の断面輪郭であることを明らかにすることを意図している。しかしながら、製造上の不正確さのために、必ずしも、微視的レベルで、または既に詳細な図において、正多角形と正確に対応しているとは限らない。例えば、個々の丸めは多角形の輪郭の角部に発生する場合がある。
【0064】
図9は、パワースカイビング工具10がワークピース38と相互作用する極めて一般的な方法を示す。パワースカイビング加工中は、パワースカイビング工具10とワークピース38の両方が回転する。しかし、パワースカイビング工具10とワークピース38とは、互いに逆方向または反対方向の回転で回転する。図9に示す例では、ワークピース38は時計回りに回転され、パワースカイビング工具10は反時計回りに回転される。
【0065】
パワースカイビング工具10は、その長手方向軸14を中心として回転する。ワークピース38の長手方向軸は、ワークピース38の回転軸40として機能する。これは図9では明らかではないが、2つの回転軸14、40は平行ではなく、いわゆる軸交差角で互いに横向きに配向されている。互いに対する回転軸14、40のこの斜め配置は、パワースカイビングの特徴である。交差した軸配置は、結果として、パワースカイビング工具10とワークピース38との間の相対速度をもたらす。
【0066】
パワースカイビング加工中、個々の歯18は、ワークピース38上をスライドし、ワークピース38からチップを持ち上げる。これは、例えば、図10a-図10dに概略的に示される一連の図に見ることができ、パワースカイビング工程を説明するのに役立つ。
【0067】
ワークピース38及び工具10の回転に加えて、工具10及び/又はワークピース38も、パワースカイビング中に並進運動される。このようにして、ワークピース38から持ち上げられたチップが「剥がされる」ことによって、一種のねじ込み運動が生じる。
【0068】
本事例では、外側輪郭は、上記した方法でパワースカイビング工具10によってワークピース38上に作り出され、この外側輪郭は、断面で見ると正六角形に相当する。このような外側輪郭は、例えば、ねじまたはボルト上の六角形の外側輪郭に対応する。
【0069】
特に、図10a-図10dに示した一連の図から明らかなように、六角形の輪郭の平坦な面は、上述した平坦で比較的わずかに湾曲した凸状に丸みを帯びた輪郭を有する歯18の助けを借りて生成される。一方、六角形の輪郭の角は、歯18の間の遷移輪郭の助けを借りてまたは歯空間の助けを借りて作られ、ワークピース38のほぼ正確な角をもたらす。
【0070】
パワースカイビング作業の間、ワークピース38は、好ましくは、パワースカイビング工具10よりも速い速度で回転される。例えば、3:1の速度比を提供して、例示的な六角形の輪郭をワークピース38上に作製することができる。例えば、パワースカイビング工具10は、3000rpmの範囲の速度で回転する一方、ワークピース38は12000rpmの範囲の速度で回転することができる。図9に模式的にのみ示されている軸交差角βは、例えば25°であり得る。切削速度は、100m/分に設定することができる。
【0071】
このようにして、断面が凸状の正多角形コースに対応するワークピース38上に外側輪郭を作成することは、非常に容易で、安価であり、極めて高速である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
【手続補正書】
【提出日】2022-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワースカイビング工具(10)であって、
該パワースカイビング工具(10)の長手方向軸(14)に沿って延在するシャンク(12)と、該シャンク(12)の端面に配置される切削ヘッド(16)とを備え、
該切削ヘッド(16)は、円周方向に配置された複数の歯(18)を備え、該長手方向軸線(14)に直交する断面で見て、各歯(18)は凸状に丸みを帯びた輪郭を備え、
各歯(18)は第1の端部(24)にて、複数の歯(18)のうち隣接する第1の歯(18')の凸状に丸みを帯びた輪郭に直接遷移し、又は歯(18)と第1の歯(18')の間に配置された第1の凹状の遷移輪郭を介して隣接する第1の歯(18')の凸状に丸みを帯びた輪郭に遷移し、
各歯(18)は、第1の端部(24)の反対側の第2の端部(26)にて、複数の歯(18)のうち隣接する第2の歯(18")の凸状に丸みを帯びた輪郭に直接遷移し、又は歯(18)と第2の歯(18")の間に配置された第2の凹状の遷移輪郭を介して隣接する第2の歯(18")の凸状に丸みを帯びた輪郭に遷移し、
第1の端部(24)と第2の端部(26)間の距離として断面にて測定される複数の歯(18)の各歯の幅(d)は、幅(d)に直交した断面内にて測定され第1の端部と第2の端部の中央に位置する各歯(18)の高さ(h)よりも大きい、パワースカイビング工具(10)。
【請求項2】
複数の歯(18)の各歯の幅(b)が、各歯(18)の高さ(h)の2倍以上である、請求項1に記載のパワースカイビング工具。
【請求項3】
断面において前記凸状に丸みを帯びた輪郭の前記第1の端部(24)に適用される第1の接線(32)と、断面において前記凸状に丸みを帯びた輪郭の前記第2の端部(26)に適用される第2の接線(34)とが、角度αで交差し、ここで60°≦α≦140°である、請求項1又は2に記載のパワースカイビング工具。
【請求項4】
第1の凹状の遷移輪郭及び第2の凹状の遷移輪郭の夫々は、断面で見て半径状である、請求項1乃至3の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項5】
複数の歯(18)の各歯(18)が、複数の歯(18)の他の歯と同一の形状を有する、請求項1乃至4の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項6】
複数の歯(18)の各々が、シャンク(12)から離れる方向に向かう切削ヘッド(16)の端部ですくい面を構成し、すくい面が、長手方向軸(14)に対して90°以外の角で傾く、請求項1乃至5の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項7】
複数の歯(18)の全ての歯(18)のすくい面(20)が、長手方向軸(14)と回転対称的である共通の円錐面に配置されている、請求項に記載のパワースカイビング工具。
【請求項8】
複数の歯(18)の2つの隣接する歯(18)のすくい面(20)の間には、夫々遷移面が配置されており、該遷移面は切削ヘッド(16)の前端部に配置され、2つの隣接する歯(18)のすくい面(20)に直接隣接する、請求項に記載のパワースカイビング工具。
【請求項9】
前記複数の歯(18)の各々は、前記長手方向軸(14)に斜めに配向された円周方向に配置された逃げ面(22)を備える、請求項1乃至8の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項10】
前記複数の歯(18)は12個以上の歯を備える、請求項1乃至9の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項11】
前記シャンク(12)は鋼製であり、切削ヘッド(16)の歯(18)は超硬合金製である、請求項1乃至10の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項12】
ワークピース上に外側輪郭を生成し、該外側輪郭は、前記ワークピースの断面輪郭における正多角形に対応する、請求項1乃至11の何れかに記載のパワースカイビング工具の使用。
【請求項13】
ワークピースを機械加工する方法であって、
パワースカイビング工具(10)及び機械加工されるべきワークピース(38)を提供する工程と、
パワースカイビング加工中に、パワースカイビング工具(10)によってワークピース(38)上に外側輪郭を生成する工程であって、生成される外側輪郭は、ワークピース(38)の断面形状にて正多角形に対応し、パワースカイビング工具(10)及びワークピース(38)は、パワースカイビング加工中に互いに逆方向の回転にて回転され、パワースカイビング工具(10)の回転軸(14)は、ワークピース(38)の回転軸(40)に対して、規定された軸交差角(β)で配列され、パワースカイビング工具(10)及び/又はワークピース(38)は、同時に並進移動して送り運動を生成する工程を備える、方法。
【請求項14】
パワースカイビング加工は、前記パワースカイビング工具(10)を第1の速度で回転させ、前記ワークピース(38)を第2の速度で回転させることを含み、前記第2の速度は前記第1の速度の整数倍である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
パワースカイビング工具(10)は、請求項1乃至11のいずれかに係るパワースカイビング工具である、請求項13又は14に記載の方法。
【国際調査報告】