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特表2023-507003プラスチック材料製の部材を製造するための方法及び装置、並びにプラスチック材料製の部材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】プラスチック材料製の部材を製造するための方法及び装置、並びにプラスチック材料製の部材
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20230213BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537599
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 IT2020050314
(87)【国際公開番号】W WO2021124370
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】102019000025108
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512129996
【氏名又は名称】デロンギ アップリアンチェース エッセエレエッレ コン ウーニコ ソーチオ
【氏名又は名称原語表記】DE’LONGHI APPLIANCES SRL CON UNICO SOCIO
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】マッツォン レンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィセンティン シルヴィオ
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AF10
4F202AF16
4F202AG03
4F202AG06
4F202AH51
4F202AR12
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB27
4F202CB28
4F202CK12
4F202CK17
4F206AF10
4F206AF16
4F206AG03
4F206AG06
4F206AH51
4F206AR12
4F206JA07
4F206JB25
4F206JB28
4F206JF01
4F206JL02
4F206JN12
4F206JQ81
(57)【要約】
本願に記載されている実施形態は、収容体として、又は家庭用機器の筐体として、又はレセプタクルとして使用するために適したプラスチック材料製の部材を製造するための方法及び装置に関する。部材は第1の層と、第1の層の少なくとも一部を覆う第2の層と、を備えている。収容体、又は家庭用機器(50)若しくはレセプタクルの筐体を形成するために適したプラスチック材料製の部材(10)を製造するための方法であって、パンチ(29)と第1の受け型(30)との間に画定された第1の成形容積(V1)に第1のプラスチック材料を射出して第1の層(11)を作製する第1のステップと、前記第1の射出ステップで得られた前記第1の層(11)と第2の受け型(34)との間に画定された第2の成形容積(V2)に第2のプラスチック材料を射出して第2の層(12)を作製する第2のステップと、を有する方法において、凸部(17)と凹部(18)とを交互に有する三次元の仕上部を外表面に備えた前記第2の層(12)を作製し、前記第1の射出ステップにおいて、前記第1の層(11)に、前記凸部(17)及び前記凹部(18)の間の厚さの差を補償して前記第2の射出ステップにおいて前記第2の材料の充填流を実質的に均一にするために適した通路又は充填キャビティ(19)を、前記第2の層(12)の凹部(18)の形状及び位置に対応して作製することを特徴とする方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容体、又は家庭用機器(50)若しくはレセプタクルの筐体を形成するために適したプラスチック材料製の部材(10)を製造するための方法であって、
パンチ(29)と第1の受け型(30)との間に画定された第1の成形容積(V1)に第1のプラスチック材料を射出して第1の層(11)を作製する第1の射出ステップと、
前記第1の射出ステップで得られた前記第1の層(11)と第2の受け型(34)との間に画定された第2の成形容積(V2)に第2のプラスチック材料を射出して第2の層(12)を作製する第2の射出ステップと、
を有する方法において、
凸部(17)と凹部(18)とを交互に有する三次元の仕上部を外表面に備えた前記第2の層(12)を作製し、
前記第1の射出ステップにおいて、前記第1の層(11)に、前記凸部(17)及び前記凹部(18)の間の厚さの差を補償して前記第2の射出ステップにおいて前記第2のプラスチック材料の充填流を実質的に均一にするために適した通路又は充填キャビティ(19)を、前記第2の層(12)の凹部(18)の形状及び位置に対応して作製する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
単色又は複数色の第1の不透明材料と、少なくとも部分的に透明な第2の材料とを使用して、透明な前記第2の層(12)を通して不透明な前記第1の層(11)を視認可能とすることができる、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1の厚さ(S1)を有する前記第1の層(11)を作製し、前記第1の厚さ(S1)より厚い第2の厚さ(S2)を有する前記第2の層(12)を作製する、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記第1の射出ステップの終了時に直ちに前記第2の射出ステップを行う、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
第1の層(11)と第2の層(12)とを有するプラスチック材料製の部材(10)を製造するための装置であって、
パンチ(29)、第1の受け型(30)及び第1の射出ユニット(31)を備えた第1の成形アセンブリ(27)と、第2の受け型(34)及び第2の射出ユニット(36)を備えた第2の成形アセンブリ(28)と、を備えており、
前記第1の受け型(30)は、前記パンチ(29)と前記第1の受け型(30)との間に第1の成形容積(V1)を画定するために適した第1の成形面(33)を有し、
前記第1の射出ユニット(31)は前記第1の成形容積(V1)に第1のプラスチック材料を射出して第1の層(11)を得るように構成されており、
前記第2の受け型(34)は前記部材(10)の前記第1の層(11)と合わさって第2の成形容積(V2)を画定するために適した第2の成形面(35)を有し、
前記第2の射出ユニット(36)は前記第2の成形容積(V2)に第2のプラスチック材料を射出して第2の層(12)を得るように構成されている装置において、
凸部(17)と凹部(18)とを交互に有する前記部材(10)の外表面(15)の形状のネガ型となることができる成形キャビティ(40a)と成形リッジ(40b)とが、前記第2の成形面(35)の少なくとも一部に交互に作製され、
前記第1の成形面(33)の少なくとも一部に成形レリーフ(38)が作製され、当該成形レリーフ(38)は使用時に前記第1の成形容積(V1)内に突出し、前記第1の層(11)に充填通路又はキャビティを、前記第2の成形面(35)の前記成形リッジ(40b)の形状及び位置に対応して画定するように構成されている、
ことを特徴とする装置。
【請求項6】
前記第2の受け型(34)の前記成形リッジ(40b)は、前記第1の受け型(30)の前記成形レリーフ(38)の形状に対応する形状である、
請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記第1の受け型(30)は第1の成形側部(37)を有すると共に、前記第2の受け型(34)は第2の成形側部(39)を有し、
前記第1の成形側部(37)及び第2の成形側部(39)は、複数の三次元の仕上部を形成するために交換可能なものである、
請求項5又は6記載の装置。
【請求項8】
収容体、又は家庭用機器(50)若しくはレセプタクルの筐体を形成するために適したプラスチック材料製の部材であって、
第1のプラスチック材料製の内側の第1の層(11)と、
前記第1の層(11)の少なくとも一部を覆う第2のプラスチック材料製の外側の第2の層(12)と、
を備えた部材であって、
前記第2の層(12)は、凸部(17)と凹部(18)とを交互に有する三次元の仕上部を外表面(15)に備えており、
前記第1の層(11)は、前記凸部(17)及び前記凹部(18)の間の厚さの差を少なくとも部分的に補償するために適した通路又は充填キャビティ(19)であって、前記第2の層(12)の凹部(18)の形状及び位置に対応する通路又は充填キャビティ(19)を、当該第1の層(11)の厚さに作製されて有する
ことを特徴とする部材。
【請求項9】
前記第1の層(11)は、前記部材の横方向において前記通路又は充填キャビティ(19)に対応する最小値(S1min)と、前記充填キャビティ又は通路(19)を挟んで設けられた平坦部(19a)に対応する最大厚さ(S1max)と、の間で変化する第1の厚さを有し、
前記第2の層(12)は、前記横方向において実質的に不変の第2の厚さ(S2)を有する、
請求項8記載の部材。
【請求項10】
外側の前記第2の層(12)の前記第2の厚さ(S2)は、内側の前記第1の層(11)の前記第1の厚さ(S1)より厚い、
請求項9記載の部材。
【請求項11】
内側の前記第1の層(11)は第1の不透明材料により作製されており、外側の前記第2の層(12)は、少なくとも部分的に透明な第2の材料により作製され、当該第2の材料を通して内側の不透明な前記第1の層(11)を視認可能とすることができる、
請求項8から10までのいずれか1項記載の部材。
【請求項12】
外側の前記第2の層(12)は、少なくとも軸方向(X)において、内側の前記第1の層(11)の端縁(24)からはみ出している、
請求項8から11までのいずれか1項記載の部材。
【請求項13】
前記凸部(17)は、互いに実質的に平行に配された互いに隣り合う垂直リブとして形成されている、
請求項8から12までのいずれか1項記載の部材。
【請求項14】
筒状の形状を有する、
請求項8から13までのいずれか1項記載の部材。
【請求項15】
ケトル(50A)又はトースター(50B)等の家庭用機器であって、
請求項8から13までのいずれか1項記載の部材(10)により少なくとも一部が作製された収容体又は筐体を備えている
ことを特徴とする家庭用機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に記載されている実施形態は、プラスチック材料の2層を重ね合わせたものを有するボディを備えた部材を製造するための方法及び装置に関するものである。
【0002】
かかる部材は特に収容体として、又は例えばケトル、トースター、掃除機、コーヒーマシン、ブレンダ、又はアイロン等の家庭用機器の筐体として使用するために適したものである。
【0003】
本発明はさらに、上記部材を備えた家庭用機器又はレセプタクルにも関する。
【背景技術】
【0004】
家庭用機器の分野では、決定的な美的外観を提供するために、少なくとも部分的に互いに重なり合うプラスチック材料の2つ以上の層を有する部材又は仕上処理を施されたオブジェクトを製造することが知られている。かかる部材は、例えば家庭用の機器又はカラフェ、ボウル等の物品又はオブジェクトの外部構造を形成するために使用することができるが、上記物品又はオブジェクトの具体例は限定列挙ではない。
【0005】
魅力的で認識可能な審美的外観を提供して市場における類似のソリューションよりも傑出すべく、家庭用機器のデザイン及び製造において消費者の好みを満足させるための審美的研究に対する注目が一層強くなっていることも知られている。
【0006】
例えば、ケトルの収容体となる部材であって、透明なプラスチック材料の第1の層と、金属材料の第2の層と、を備えており、当該第2の層には複数の貫通孔が形成されており、当該貫通孔を通して第1の層ひいてはケトル内部自体が視認可能である部材が知られている。
【0007】
しかし、この解決手段は第1の層と第2の層とを別個に作製してから、その後に互いに結合して繋ぎ合わせる必要があり、このことによって相互間の結合及び密閉に問題が生じる。
【0008】
上記の審美的研究はまた、2層を重ね合わせて一体にオーバーモールド成形したものから成るプラスチック材料製の外部構造を備えた家庭用機器の製造にも繋がるものであった。
【0009】
家庭用機器の部材を製造する方法であって、第1の層のプラスチック材料を射出した後に第2の層のプラスチック材料を射出する方法も知られている。例えば、第1の射出層は透明材料とし、第2の層は着色及び/又は不透明材料とすることができる。
【0010】
特に、第2の層の材料は、製造される部材の外表面の全部に対して一部にのみ射出することができ、これにより、最終製品の外観を満足のいく求められた審美的外観とするために第1の射出層の少なくとも一部を視認可能に維持することができる。あるいは、第1の層の射出材料を着色及び/又は不透明とすると共に、第2の層を透明又は半透明の材料とし、その下の層の射出材料を視認可能とすることができる。
【0011】
あるいは、使用される材料は、食品との接触に不適切であるため第1の層に使用できない機械的及び/又は熱的及び/又は審美的なタイプの技術的特徴を有する。
【0012】
材料の第1の層の全部を材料の第2の層によって覆ったものを備えた、例えばボウル又はカトラリー取っ手等の物品も知られており、この物品の第1の層は第2の層の厚さより厚く、構造的部材として働くのに対し、第2の層は審美的な表面仕上部として働く。
【0013】
第2の層の材料を第1の層の材料に重ねてオーバーモールド成形することは問題となり得る。実際、第1の層に第2の層をオーバーモールド成形する際に第1の層の「洗い流し」現象が生じることがあり、審美的な問題に繋がる。この問題は特に、外側の層の少なくとも一部が透明である場合に目立つ。
【0014】
公知の解決手段では、外側の層が実質的に不変の厚さではなく、厚さが大きい凸部と厚さが小さい凹部とを交互に有する実質的に三次元の表面仕上部を有する部材を製造したい場合、材料のオーバーモールド成形は一層複雑となり得る。
【0015】
このように厚さに変化があることにより、実際には第1の層と成形型の受け型との間に第2の材料を射出して第2の層を作製する際、成形型内における材料の進行速度が異なるため当該材料の充填速度が異なることにより、接合線が形成され得る。
【0016】
さらに、材料の進行速度が異なるため流れが非一様で不均一となることにより、厚さが相違する複数の異なる部分において冷却速度に差が生じて冷却が非一様になることもある。材料の第2の層のこの非一様な冷却は、第2の層の表面に接合線等の構造的、審美的な欠陥の形成を引き起こしたり、又は変形を引き起こすことがある。
【0017】
さらに、その下にある先に射出された層の材料の第2の不所望の溶融を、冷却速度が低速である部位において引き起すこともある。
【0018】
その上、従来技術の他の一欠点として、上述の非一様で不均一な充填が第2の層の体積内部における気泡の形成にも繋がることがあり、これは非審美的であり、成形部材の堅固性を危うくすることもある。
【0019】
米国特許出願公開第2018/0290419号明細書は椅子の着座面を製造するためのパネルを記載しており、当該パネルは、第1面及び第2面を有するベース層を有し、ベース層は外側の第1の層と外側の第2の層との間に閉じ込められ、ベース層の各面は、外側に向かって突出する部分を有し、当該部分は外側の第1の層及び第2の層に設けられた各対応する開口を貫通する。
【0020】
米国特許出願公開第2001/027140号明細書は、外側層及び外側層と接触する少なくとも1つの内側層が設けられたゴルフボールを記載しており、両層の表面には凸部及び凹部が設けられており、内側層の厚さは外側層より厚く、2層の各凸部及び各凹部の深さは実質的に同じである。これらの凸部及び凹部は、2層間をより良好に保持することを保証することを目的とする。
【0021】
従って、従来技術の欠点のうち少なくとも1つを解消できる、収容体又は家庭用機器の筐体を形成するために適したプラスチック材料製の部材を製造するための方法及び装置を開発する必要がある。
【0022】
また、他の一目的は、高速で高い生産性と効率とを実現可能とするプラスチック材料製の部材を製造するための方法及び装置を提供することである。
【0023】
さらに他の一目的は、厚さが異なる部分間に接合線が形成されることを阻止しつつ、三次元の表面仕上部を有する部材を製造可能とする方法及び装置を完成させることである。
【0024】
また、本発明の他の一目的は、仕上処理が施された製品の外表面に厚さが変動的であり満足のいく審美的効果を奏する部分を設けることを可能とする部材の製造方法を開発することである。
【0025】
他の一目的は、製品内部又は操作具内部を視認できるようにすると同時に、密閉を保証して液体、蒸気、粉塵の漏れを防止するため、例えば窓及び/又はレンズ等の全透明領域を得ることである。
【0026】
本願出願人は、従来技術の欠点を解消して上記及び他の目的及び利点を達成すべく研究及び試験を行って本発明を実現した。
【発明の概要】
【0027】
本発明は独立請求項に記載され、その特徴が記載されている。従属請求項は、本発明の他の特徴又はその主な発明的思想の変形形態を記載している。
【0028】
本発明は上記目的に即して、収容体、家庭用の機器の筐体、外殻、外部構造及び/若しくは外部ボディ、又はその少なくとも一部を構成するために適したプラスチック材料製の部材を製造するための方法及び装置に関するものである。
【0029】
本発明の部材の適用例には例えば、ケトル、トースター、掃除機、電動ブラシ、ブレンダ、電子レンジ、電気オーブン、フライヤ、ティーポット、コーヒーマシン、アイスクリーム製造機、ニーダー(こね機)、及びヘアドライヤ等の家庭用機器が含まれ得る。
【0030】
本発明の部材は、審美的価値及び認識上の価値が高い三次元外観を与える変動的な厚さの部分を外表面に有する。
【0031】
本発明の部材は、第1の材料の内側の第1の層と、当該内側の第1の層の少なくとも一部を覆う第2の材料の外側の第2の層と、を備えたプラスチック材料製のボディを有する。
【0032】
一部の実施形態では、第2の層は第1の層の全部を覆う。
【0033】
本発明の一側面では、第2の層の外表面には、凸部と凹部とを交互に有する三次元の仕上部が設けられている。
【0034】
本発明の一側面では、第1の層は、凸部及び凹部の間の厚さの差を少なくとも部分的に補償するために適した通路又は充填キャビティであって、第2の層の凹部の形状及び位置に対応する通路又は充填キャビティを、当該第1の層の厚さに作製されて有する。
【0035】
かかる通路又は充填キャビティを設けたことにより、第2の層は実質的に均一な厚さとなり、又は公称の平均値からの偏差が小さくなり、これにより満足のいく最終的な審美的効果を得ることができる。
【0036】
一部の実施形態では、第1の層は部材の内表面を形成する。
【0037】
一部の実施形態では上記の内表面は、凹凸の無い滑らかで一様な推移を有することができる。
【0038】
一部の実施形態では、部材は筒状の形状を有し、当該筒状の形状は円形、多角形、楕円形の断面を有し、又は、直線区間と曲線区間とを組み合わせた周を有する。さらに、部材の断面は軸方向の推移に沿って不変又は変動的とすることができ、凹部又は凸部を有することができる。
【0039】
一部の実施形態では、第1の材料は不透明、又は単色、又は複数色とすると共に、第2の材料は少なくとも部分的に透明とすることができ、これにより第2の材料を通して不透明な第1の層を視認可能とすることができる。これにより、最終的な部材に一部凸状の三次元的な外観を与えることができる。
【0040】
他の実施形態では、透明な第2の層は少なくとも軸方向において、不透明な第1の層の端縁からはみ出す。かかる実施形態により、部材は透明な周部ストリップを有することとなり、これにより透明さ及び明るさの効果が奏される。
【0041】
一部の実施形態では、部材の外表面は、垂直若しくは傾斜したリブ又は螺旋状の推移を有する表面仕上部を有することができる。
【0042】
代替的な実施形態では、外表面はバブル若しくはダイヤモンド表面仕上部を有することができ、又は他の幾何学的若しくは非幾何学的形状、例えば花形等、その他表面仕上部を有することができる。
【0043】
本発明はまた、プラスチック材料製の部材を製造するための方法にも関し、当該方法は、
-パンチと第1の受け型との間に画定された第1の成形容積に第1のプラスチック材料を射出して第1の層を作製する第1のステップと、
-第1のステップで得られた第1の層と第2の受け型との間に画定された第2の成形容積に第2のプラスチック材料を射出して、凸部と凹部とを交互に有する三次元の仕上部を外表面に備えた第2の層を作製する第2のステップと、
を有する。
【0044】
本発明の一側面では、第1の射出ステップにおいて、第1の層に、凸部及び凹部の間の厚さの差を補償して第2の射出ステップにおいて第2の材料の充填流を実質的に均一にするために適した通路又は充填キャビティを、第2の層の凹部の形状及び位置に対応して作製する。
【0045】
特に、第1の層の作製時に得られた充填キャビティにより、第2の射出ステップにおいて、幅が実質的に不変、又は少なくとも変動的であるが不変の平均値からの偏差が小さい成形容積を得ることができる。
【0046】
一部の実施形態では、本方法は、内側の第1の層より大きい厚さを有する外側の前記第2の層を作製する。かかる実施形態により、第2の材料の充填流に対する抵抗を低減し、これにより当該材料のいわゆる剪断応力現象を軽減することができ、成形型の壁や第1の層の材料へのこすれに起因する第2の材料の機械的摩擦により生じるおそれのある審美的欠陥の形成を阻止することができる。
【0047】
本発明はさらに、上述のようなプラスチック材料製の部材を製造するための装置にも関し、当該装置は、パンチ、第1の受け型及び第1の射出装置を備えた第1の成形アセンブリと、第2の受け型及び第2の射出装置を備えた第2の成形アセンブリと、を備えており、第1の受け型は、パンチと第1の受け型との間に第1の成形容積を画定するために適したものであり、第1の射出装置は第1の成形容積に第1のプラスチック材料を射出して第1の層を得るように構成されており、第2の受け型は、凹部と凸部とを交互に有する第2の成形面であって、部材の外表面の形状のネガ型となり、材料の第1の層と合わさって第2の成形容積を画定するために適した第2の成形面を有し、第2の射出装置は第2の成形容積に第2のプラスチック材料を射出して第2の層を得るように構成されている。
【0048】
本発明の一側面では第1の受け型は、凸状のレリーフを少なくとも一部に設けた成形面を有し、レリーフは使用時に第1の成形容積内に突出し、材料の第1の層に充填通路又はキャビティを、第2の層の凹部の形状及び位置に対応して画定するように構成されている。
【0049】
成形キャビティは部材の第2の層の外表面の凹部の形状のネガ型となることにより、実質的に均一な幅の第2の成形容積を得て材料の第2の層の進行を促進することができると共に、生じる可能性のある接合線の形成を阻止することができる。
【0050】
添付図面を参照して以下の一部の実施形態の説明を読めば、本発明の上記及び他の側面、特徴及び利点が明らかとなる。この一部の実施形態は限定列挙ではなく例示列挙である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】家庭用機器に適用される本発明の一実施形態の部材の概略図であり、本事例では家庭用機器はケトルである。
図2図1の切断線 II-II に沿った断面図である。
図3図2の一部の拡大細部図である。
図4】別の家庭用機器に適用される本発明の他の一実施形態の部材の概略図であり、本事例では当該別の家庭用機器はトースターである。
図4a】本発明の他の実施形態の部材の細部の立体図である。
図4b】他の実施形態の部材の一部の立体図である。
図4c】他の実施形態の部材の一部の立体図である。
図5】一部の実施形態のプラスチック材料製の部材を製造するための装置の概略図である。
図6】第1の材料を射出する第1のステップの終了時における本発明の部材の垂直断面図である。
図7】第2の材料を射出する第2のステップの終了時における本発明の部材の垂直断面図である。
図8】第1の射出ステップ中の図5の装置の拡大細部図である。
図9】切断線 IX-IX に沿った図5の装置の断面図である。
図9a図9の拡大細部図である。
図10図6の線 X-X に沿った断面図である。
図11】切断線 XI-XI に沿った図5の装置の断面図である。
図12図7の線 XII-XII に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
ここで、本発明の可能な実施形態について詳細に言及する。添付の各図には、これら実施形態のうち1つ又は複数の例が示されている。各例は、本発明の例示として提供されるものであり、本発明を限定すると解釈すべきものではない。
【0053】
これらの実施形態を説明する前に、明確にすべきこととして、本発明の適用は、添付の各図を参照する以下の説明に記載の部材の詳細な構造や配置に限定されるものではない。以下の説明は他の実施形態も提供することができ、他の種々の態様で生産又は実施できるものである。さらに明確にすべきこととして、本願にて用いられている文言や用語はあくまで説明目的のためであり、本発明を限定するとみなしてはならない。
【0054】
添付の各図を使用して、収容体、家庭用の機器50の筐体、外殻、外部構造及び/若しくは外部ボディ、若しくはその少なくとも一部、又は例えばボウル、カラフェ、魔法瓶等の他のオブジェクトを構成するために適したプラスチック材料製の部材10の実施形態を説明する。
【0055】
以下の説明では、ケトル50A及びトースター50B等の家庭用機器を例に挙げて説明するが、本発明の部材10は、収容体、又は、掃除機、電動ブラシ、ブレンダ、電子レンジ、電気オーブン、フライヤ、ティーポット、コーヒーマシン、アイスクリーム製造機、ニーダー、ヘアドライヤ、アイロン等の他の種類の家庭用機器の筐体となることができると解される。
【0056】
本発明の部材10は、内側の第1の層11と、内側の第1の層11と少なくとも部分的に重なる第2の外側の層12と、を備えている。
【0057】
一部の実施形態では、部材10は第1の層11及び第2の層12のみを備える。
【0058】
好適な実施形態では、第1の層11及び第2の層12は例えば耐熱ポリマー材料等のプラスチック材料製とすることができる。
【0059】
可能な実施形態では、第1の層11と第2の層12とは、同様の性質や特性を有する材料により作製することができる。
【0060】
可能な実施形態では、第1の層11と第2の層12とは、不均一な性質や特性を有する材料により作製することができる。
【0061】
例えば食品処理用の家庭用機器等に適用可能な一部の実施形態では、第1の層11及び第2の層12は、食品分野の用途に適した例えばポリプロピレン等の樹脂により作製することができる。
【0062】
可能な実施形態では、第1の層11のみが食品分野の用途に適したものであるのに対し、第2の層12は当該用途に適したものではない。
【0063】
他の実施形態では、用途に応じて、第1の層11及び/又は第2の層12は異なる性質の熱可塑性樹脂により作製することができる。
【0064】
一部の実施形態では、第1の層11を不透明な第1の材料により、又は単色若しくは複数色で作製すると共に、第2の層12を少なくとも部分的に透明な第2の材料により作製することにより、当該第2の材料を通して内側の不透明な第1の層11を視認可能とすることができる。
【0065】
層が透明又は半透明とは、層の全厚を光放射が透過することができ、層の向こうに位置する物体が視認可能であることを意味する。
【0066】
これにより、一部凸状となった三次元の外観を最終的な部材10に与えることができる。
【0067】
一部の実施形態では第2の層12は、実質的に無着色又は無顔料の完全に透明な層から成り、これにより部材10に軽快感の審美的外観を与えることができる。
【0068】
一部の実施形態では、第1の層11及び第2の層12は二材射出成形法(bi-injection process)によって作製することができる。
【0069】
第1の層11は第1の表面13を有し、第1の表面13は部材10の内表面となり、使用時に家庭用機器50の内部を向く。
【0070】
第1の層11はまた、第1の表面13とは反対側に第2の表面14を有し、第2の表面14に外側の第2の層12が接触して配置される。
【0071】
一部の実施形態では内表面13は、凹凸の無い滑らかで一様な推移を有することができる。
【0072】
第2の層12は、内表面13とは反対側に外表面15を有し、外表面15は使用時に部材10の外表面となり、ひいては、部材10の適用先である家庭用機器50の外表面となる。
【0073】
一部の実施形態では、外表面15は三次元の仕上部を有すると共に、複数の審美的なレリーフ16が突出する少なくとも一部分を有し、このレリーフ16は部材10に満足のいく審美的外観を与えるために適したものである。
【0074】
例えば図1,2,3,4,4a及び4b等に示されている可能な実施形態の例の審美的なレリーフ16は、複数の平行なリブ状、バブル、半球状、ダイヤモンド状加工部、又は他の幾何学的若しくは非幾何学的形状の審美的なレリーフ16を含むことができる。
【0075】
特に、外表面15は凸部17と凹部18とを交互に有し、これにより部材10に三次元の外観が与えられると共に、全体的に家庭用機器50に三次元の外観が与えられる。
【0076】
一部の実施形態では、凸部17及び凹部18はそれぞれ、部材10の内表面13における異なる厚さの部位に対応する。
【0077】
可能な実施形態では、凸部17は、互いに実質的に平行に隣り合う垂直リブとして形成される。
【0078】
可能な変形形態では、水平若しくは斜めに配置されたリブ、又は螺旋状若しくは渦巻状の推移の凸部若しくはレリーフを設けることができる。
【0079】
図4aに示された他の一実施形態では、凸部17は、均等又は所望の配置に分布して隣り合う半球又はバブルの部分として形成することができる。
【0080】
図4bに示された他の一実施形態では、凸部17は多角形ベースの角錐形に形成することができ、本具体例の矩形型の場合、隣り合って形成することができる。
【0081】
不図示の他の変形形態では、レリーフ16は他の形状とすることができ、また、例えば花形、ハート形等の非幾何学的形状とすることもできる。
【0082】
一部の実施形態では、部材10は筒状の形状を有することができる。
【0083】
その断面は要望又は用途に応じて、円形、多角形、楕円形とすることができ、又は、直線区間と曲線区間とを組み合わせた周を有することができる。
【0084】
さらに、部材10の断面は軸方向の推移に沿って不変又は変動的とすることができ、凹部又は凸部を有することができる。
【0085】
他の実施形態では、部材10を開曲線状とし、他の同様の部材10に接続して収容体若しくは家庭用機器50の筐体となるように構成し、又は異なる部材に接続して収容体若しくは筐体となるように構成することもできる。
【0086】
一部の実施形態では、外側の第2の層12は内側の第1の層11の全部を覆う。
【0087】
他の可能な実施形態では、第2の層12は外側端縁23を有し、この外側端縁23は軸方向Xにおいて、第1の層11の内側端縁24からはみ出す。
【0088】
具体的には、本実施形態では、実際に第2の層12の一部が軸方向に第1の層11から突出する。
【0089】
このようにして部材10は、第2の材料により作製された単層の周部ストリップ25を有し、この周部ストリップ25はとりわけ透明型である。この透明な周部ストリップ25は、部材10に明るい三次元の外観を与える。
【0090】
他の実施形態では第2の層12は、例えばケトル50Aの注ぎ口51又は取っ手52等の他のパーツにおいて部材10の本体に対して延在することができ、これにより一層の軽快感を与えることができる。
【0091】
一部の実施形態では、内側の第1の層11は、その厚さに形成された通路又は充填キャビティ19を有する。
【0092】
通路又は充填キャビティ19の形状及び位置は、外表面15の凹部18の形状及び位置に対応する。
【0093】
特に充填キャビティ19は、審美的レリーフ16により形成される第2の層12の外表面15の形状、すなわち凸部17と凹部18とを交互に配することにより形成される第2の層12の外表面15の形状に追従するように、第1の層11の厚さに第2の表面14に対応して作製することができる。
【0094】
換言すると、第1の層11の第2の表面14は、充填キャビティ19を挟む平坦部19aを有し、その形状及び位置は第2の層12の凸部17及び凹部18の形状及び位置とそれぞれ一致する。
【0095】
有利には充填キャビティ19は、凸部17と凹部18との厚さの差の少なくとも一部を補償することができる。
【0096】
換言すると、平均値に対して例えば10~20%程度の僅かな偏差を除いて、外側の第2の層12は部材10の横寸法に沿って実質的に不変の厚さであり、又はいずれの場合においても実質的に不変の平均厚さである。
【0097】
内側の第1の層11は、部材10の横方向における平均厚さが変動的となっている。
【0098】
一部の実施形態では、充填キャビティ19が設けられた第2の表面14の部分と充填キャビティ19が設けられていない第2の表面14の部分との間に挟まれた移行部位20は、図3等に示されているようにベベル状に形成することができる。
【0099】
有利には、ベベル状の移行部位20により、第2の材料を射出して第2の層12を作製するステップ中に熱の集中を阻止し、又は少なくとも抑えることができ、ひいては第1の層11を作製する第1の材料の不所望の再溶融を阻止し、又は少なくとも抑えることができる。
【0100】
このようにして、第2の材料の流れにより機械的なこすれが生じることによる浸食も低減される。
【0101】
一部の実施形態では、外側の層12の第2の厚さS2は内側の層11の第1の厚さS1より厚い。
【0102】
有利には、外側の層12の第2の厚さS2と内側の層11の第1の厚さS1との比は1.05~2.5の範囲、より好適には1.1~2の範囲とすることができる。
【0103】
第1の厚さS1は、凹部17に当たる充填キャビティ19に対応する最小値S1minと、第2の層12の凸部18に当たる平坦部19aに対応する最大値S1maxと、を有する。
【0104】
筒状の部材10の場合、各充填キャビティ19は、それぞれ対応する凹部と径方向において当たることとなる。
【0105】
レリーフ16の形状及びサイズに応じて、第1の厚さS1は、最小値S1minと最大値S1maxとに直接変化することができ、又は中間値をとることができる。
【0106】
一部の実施形態では、最大値S1maxは最小値S1minより20~50%大きくすることができる。
【0107】
第1の厚さS1及び第2の厚さS2は、各層の最大厚さとして定義することができる。一部の実施形態では、部材10は透明窓22を備えることができ、この透明窓22は、ユーザがこれを通して向こう側を見るために適したものである。
【0108】
例えばケトル50Aの場合、この透明窓22によってユーザが、部材10から成る収容体に入った水の液面高さを確認することができる。
【0109】
他の適用態様では、窓22は、家庭用機器の他の可能な特徴、例えば50Bのトースターのサーモスタット又はタイマー等をユーザが見ることができるように構成することができる。
【0110】
他の適用態様では、窓22は、ユーザが家庭用機器50の可能な内部パーツを見るため、及び/又は調理中の製品を視認可能とするため、又は掃除機の集塵容器内の粉塵の蓄積状態を見るためのものとすることができる。
【0111】
一部の実施形態では、窓22は、外側の透明な第2の層12によって直接作製することができる。
【0112】
特に、第1の層11は、作製しようとしている窓22の形状と実質的に同一形状の開口21又はスロットを有することができる。
【0113】
実際に第1の層11を覆う第2の層12は、第1の層11とは対照的に、開口21又はスロットを完全に覆うように、外表面15と連続して作製することができる。
【0114】
可能な解決手段では、部材10は窓22に応じて第2の層12に、当該窓22を通してより良好に視認可能となるように異なる表面仕上部、例えば実質的に平坦で滑らかな仕上部等を設けることができる。
【0115】
上述のようにして作製された窓22は、その気密シールを保証できるいかなる特定のアセンブリも、いかなるパッキングその他の装置も要しないという利点を奏する。実際、上述のようにして作製された窓22は最大限の密閉を保証し、家庭用機器内の可能性のある液体、蒸気又は粉塵が内部から外部に漏出することを阻止し、またその逆に、外部環境から内部環境に侵入することも阻止する。
【0116】
ここで図5~12を参照して説明する実施形態は、部材10を製造するための装置26にも関するものである。
【0117】
装置26は、第1の層11を作製するために構成された第1の成形アセンブリ27と、第2の層12を作製するために構成された第2の成形アセンブリ28とを備えている。
【0118】
装置26の一実施形態では、第1の成形アセンブリ27は第2の成形アセンブリ28の隣に隣接し、近接して配置される。
【0119】
一部の実施形態では、第1の成形アセンブリ27及び第2の成形アセンブリ28は前後に連続して配置され、時間的に直接順番に動作して仕上処理済み部材10を1つの工程で作製するように構成することができる。
【0120】
一部の実施形態では、第1の成形アセンブリ27はパンチ29と第1の成形受け型30と第1の射出ユニット31とを備えており、パンチ29及び第1の成形受け型30は、協働して両者間に第1の成形容積V1を画定するために適したものであり、第1の射出ユニット31は第1の成形容積V1に第1のプラスチック材料を射出するように構成されている。
【0121】
一部の実施形態では、第1の成形容積V1は、第1の層11の第1の厚さS1と一致する第1の最大幅W1maxを有する。
【0122】
一部の実施形態では、第1の射出ユニット31は第1のプラスチック材料を第1の射出温度T1まで加熱するように構成された第1の加熱手段53を備える。
【0123】
一部の実施形態では、パンチ29は、部材10の第1の層11の内表面13の形状のネガ型となるように構成されたコントラスト面32を有する。
【0124】
一部の実施形態では、コントラスト面32は実質的に一様で滑らかとすることができる。
【0125】
例えば、部材10がケトル50Aを製造するために適したものである場合、パンチ29は実質的に円錐台状とすることができ、部材10がトースター50Bを製造するために適したものである場合、パンチ29は四角形の断面を有する平行六面体の形状とすることができる。
【0126】
第1の受け型30は、第1の層11の第2の表面14の形状のネガ型となる第1の成形面33を備えている。
【0127】
一部の実施形態では、第1の成形受け型30は1つ又は複数の第1の成形側部37を備えることができ、この第1の成形側部37は、使用時に隣り合って位置決めされて第1の成形受け型30の1つの第1の成形面33となるように構成されている。
【0128】
一部の実施形態では、第1の成形面33の少なくとも一部は、使用時に第1の成形容積V1の内部に突出する第1の成形リッジ38を有する。
【0129】
第1の成形リッジ38は、第1の層11に形成される充填キャビティ19の形状のネガ型となる。
【0130】
一部の実施形態では、第2の成形アセンブリ28は第2の成形受け型34を備えており、第2の成形受け型34は部材10の外表面15の形状のネガ型となるために適した第2の成形面35を有する。
【0131】
第2の成形受け型34は、使用時に材料の第1の層11の第2の表面14と協働して、当該第2の成形受け型34と第2の表面14との間に第2の成形容積V2を画定するために適したものである。
【0132】
一部の実施形態では、第2の成形容積V2は、第2の層12の第2の厚さS2と一致する第2の幅W2maxを有し、第2の幅W2maxは第1の幅W1maxより大きい。
【0133】
一部の実施形態では、第2の幅W2maxと第1の幅W1maxとの比は1.05~2.5、好適には1.1~2である。
【0134】
第2の成形アセンブリ28はさらに、第2の成形容積V2に第2のプラスチック材料を射出するように構成された第2の射出ユニット36を備えている。
【0135】
一部の実施形態では第2の射出ユニット36は、第2のプラスチック材料を第2の射出温度T2まで加熱するように構成された第2の加熱手段54を備える。
【0136】
一部の実施形態では、第1の加熱手段53と第2の加熱手段54とは互いに独立して作動及び調整されることができる。
【0137】
一部の実施形態では、第2の成形受け型34は1つ以上の第2の成形側部39を備える。
【0138】
特に、第2の成形側部39は、使用時に隣り合って位置決めされて第2の成形受け型34の1つの第2の成形面35となるように構成されている。
【0139】
一部の実施形態では、上記の第2の成形面35の少なくとも一部分に、複数のキャビティ40aが各成形レリーフ40bと交互になるように作製されている。
【0140】
特に、キャビティ40a及び成形レリーフ40bは、外表面15に設けられた審美的レリーフ16の形状のネガ型となることができるようにされている。
【0141】
よって、キャビティ40a及び成形レリーフ40bの形状及びサイズは、外表面15の凸部17及び凹部18の形状及び最終サイズに対応したものとなる。
【0142】
キャビティ40a及び成形レリーフ40bは、第1の成形受け型30の成形リッジ38に対応したものとなっている。
【0143】
換言すると、第2の成形受け型34のキャビティ40a及び成形レリーフ40bの形状、サイズ及び位置は、第1の成形受け型30の成形リッジ38の形状、サイズ及び位置と整合している。
【0144】
特に、成形レリーフ40bは使用時に、成形リッジ38の位置に対応する位置に配置される。
【0145】
一部の実施形態では、第1の成形側部37及び第2の成形側部39は、異なる審美的形状を有する部材10を同一の装置26により製造することができるように交換可能となっている。
【0146】
例えば、部材10に施そうとする最終外観に応じて、それぞれ異なる表面仕上部を有する第1の成形側部37及び第2の成形側部39の複数のセットを設けることができる。
【0147】
他の実施形態では、第1の成形アセンブリ26は、第1の層11に第1の材料の無い開口21又はスロット又は空所部を形成すると同時にパンチ29と第1の受け型30とを互いに分離した状態に維持する少なくとも1つの結合突起41を有する。
【0148】
一部の実施形態では、少なくとも1つの結合突起41は第1の成形側部37のうち1つに設けられている。
【0149】
特に、結合突起41はパンチ29と協働して第1の成形容積V1の一部を閉じ込めて制限し、その中の第1の材料へアクセスを阻止するように形成されている。
【0150】
一部の実施形態では、パンチ29のコントラスト面32の仕上部及び光沢を保存するため、結合突起41はパンチ29との結合接触が最小限となるように形成される。
【0151】
例えば図8等を参照して説明する一部の実施形態では、結合突起41は少なくとも1つの突起当接部42を有し、これは、パンチ29のコントラスト面32と接触して位置決めされて、パンチ29と、対応する第1の成形面33との間に空きスペース又はキャビティ43を形成するために適したものである。
【0152】
他の実施形態では、結合突起41をパンチ29に設けることができ、その際には、パンチ29と当該パンチ29の第1の受け型30との間に、より具体的にはコントラスト面32に沿ってキャビティ43を形成することがあり得る。
【0153】
例えば図10等を参照して説明する一部の実施形態では、結合突起41は、第1の成形容積V1からキャビティ43を隔絶してこれを画定するために適した一対の当接部42又は1つの環状の当接部を備えることができる。
【0154】
当接部42は、使用時にパンチ29の表面32に当接して突っ張り、キャビティ43の気密シールを保証するように構成されている。
【0155】
このようにして第1の成形容積V1は、第1の層11における開口21が設けられた対応する部位に制限される。
【0156】
一部の実施形態では、キャビティ43は、パンチ29及び第1の受け型30の相対向する各面間の距離として定義される高さを有し、当該高さは数十マイクロメートル~数百マイクロメートルである。
【0157】
一部の実施形態では、当接部42の幅は数百マイクロメートル、例えば0.2~1.5ミリメートル等である。
【0158】
0.2~0.9mmの値の幅により、パンチ29と受け型30との接触を最小限に抑え、より大きな領域のキャビティ43を得ることができる。
【0159】
例えば0.9~1.5mm等、幅の値を僅かに大きくすると、キャビティ43の領域が若干減少するという欠点があるがそれだけであり、閉鎖力が比較的小さい場合であっても、又は所要加工精度が低い場合、パンチ29と受け型30との気密シールを保証することができる。
【0160】
一部の実施形態では、形成しようとする開口21の形状及びサイズに応じて1つ又は複数の結合突起41を設けることができ、結合突起41が複数の場合には互いに同一又は異なる形状を有する。
【0161】
例えば、ケトル50Aに適用される部材10の場合、水位を確認するための窓22を形成するために適した第1の結合突起41(図10)と、注ぎ口を形成するための第2の結合突起41と、透明な周部ストリップ25を形成するための第3の結合突起41(図10)と、を設けることができる。
【0162】
一部の実施形態では、当接部42は、部材10に形成しようとする窓22の形状に応じた形状とすることができる。
【0163】
他の実施形態では、当接部42は、第1の層11の端縁24の形状を定める形状とすることができる。
【0164】
パンチ29と第1の成形受け型30との間に存在するキャビティ43により、数回の成形サイクル後であっても、パンチ29のコントラスト面32の仕上部及び光沢を保存することができるという利点が奏される。
【0165】
一部の実施形態では、第1の射出ユニット31及び第2の射出ユニット36はそれぞれ少なくとも1つの射出装置44と少なくとも1つの射出通路45とを備えており、射出通路45は、各射出装置44を第1の射出容積V1又は第2の射出容積V2のいずれか1つと流体接続できるものである。
【0166】
一部の実施形態では、各射出ユニット31,36ごとに複数の射出装置44を設けることも可能である。
【0167】
一部の実施形態では、少なくとも1つの射出通路45は第1の成形側部37のうち少なくとも1つと第2の成形側部39のうち少なくとも1つとに形成される。
【0168】
一部の実施形態では、装置26は各成形アセンブリ27,28ごとにそれぞれ第1の冷却回路46と第2の冷却回路47とを備えることができる。
【0169】
第1の冷却回路46は、図面に示されていない公知の形式の1つ又は複数の冷却通路48と、冷媒をポンピングするためのユニット、又は冷却循環路を備えた熱交換器、を備えている。
【0170】
第2の冷却回路47は、図面に示されていない公知の形式の1つ又は複数の冷却通路49と、冷媒をポンピングするためのユニット、又は冷却循環路を備えた熱交換器、を備えている。
【0171】
一部の実施形態では、冷却通路48,49は第1の成形側部37及び/又は第2の成形側部39及び/又はパンチ29のうち少なくとも1つを貫通するように形成することができる。
【0172】
特に、冷却通路48,49は例えば水、エマルジョン及び/又は油等の冷媒を通すように構成されている。
【0173】
ここで図5~12を参照して説明する実施形態は、部材10を製造するための方法にも関するものである。
【0174】
この方法は、第1のプラスチック材料を射出して第1の層11を作製する第1のステップと、
-第2のプラスチック材料を射出して、凸部17と凹部18とを交互に有する三次元仕上部を外表面15に有する第2の層12を作製する第2の射出ステップと、を有する。
【0175】
一部の実施形態では、本方法はパンチ29と第1の成形受け型30との間に第1の成形容積V1を画定するように当該パンチ29と第1の成形受け型30とを相互間で位置決めし、このように画定された第1の容積V1に第1の材料を射出する。第1の成形容積V1は、図5の右手と図9とに示すように、パンチ29のコントラスト面32と第1の成形面33との間に画定される。
【0176】
一部の実施形態では、本方法は規定の温度及び圧力パラメータで第1の材料を射出する。
【0177】
一部の実施形態では、本方法は(少なくともポリプロピレンの場合)150℃~260℃の第1の温度T1で第1の材料を射出する。
【0178】
他の実施形態では、第1の温度T1は120℃~240℃、好適には160℃~220℃、さらに好適には180℃~200℃の範囲である。
【0179】
一実施形態では本方法は、700kg/cm2~1300kg/cm2の第1の圧力P1で第1の材料を射出する。
【0180】
他の実施形態では、第1の圧力P1は750kg/cm~1250kg/cm、より好適には800kg/cm~1200kg/cmとすることができる。
【0181】
第1の射出工程により、部材10の内側の第1の層11を得ることができる(図6及び図10)。
【0182】
一部の実施形態では、本方法は第1の射出ステップにおいて、第1の受け型30及び/又はパンチ29のうち少なくとも1つを冷却するために第1の冷却回路46内において冷媒を循環させることを含むことができる。
【0183】
一部の実施形態では、本方法は、35℃~55℃、より好適には40℃~50℃の範囲の第1の冷却温度T3を有する冷媒を用いる。
【0184】
その後、本方法はパンチ29表面に形成された第1の層11と共にパンチ29を第2の成形アセンブリ28内に配置する。ここで第2の受け型34は、第1の層11の第2の表面14と合わさって第2の成形容積V2を画定するように位置決めされる。
【0185】
第2の成形容積V2は、例えば図7の右手側及び図11等に示すように、充填キャビティ19を有する第1の層11の第2の表面14と第2の成形面35との間に画定される。
【0186】
その後、本方法は、第2のプラスチック材料を第2の温度T2及び第2の圧力P2で第2の成形容積V2に射出する第2の射出ステップを有する。
【0187】
可能な一実施形態では、第2の射出ステップは第1の射出ステップの直後である。
【0188】
一実施形態では、本方法は、第1の温度T1より低い第2の温度T2を使用する。
【0189】
好適な一実施形態では、第2の温度T2はT1の0.90倍~0.95倍の範囲である。換言すると、第2の温度T2は第1の温度T1より5~10%低い。
【0190】
一実施形態では、第2の圧力P2は有利には、第1の圧力P1より低くすることができる。
【0191】
一実施形態では、第2の圧力P2はP1の0.70倍~0.90倍の範囲とすることができる。換言すると、第2の圧力P2は第1の圧力P1より10~30%低い。
【0192】
第2の射出ステップは、部材10の外側の第2の層12を作製する。
【0193】
一部の実施形態では、本方法は第2の射出ステップにおいて、第2の受け型34及び/又はパンチ29のうち少なくとも1つを第2の冷却温度T4まで冷却するため、第2の冷却回路47内において冷媒を循環させることを含むことができる。
【0194】
好適な一実施形態では、第2の冷却温度T4は25℃~45℃、より好適には30℃~40℃の範囲とすることができる。
【0195】
一部の実施態様では、本方法は、第1の層11より大きな厚さで第2の層12を作製する。
【0196】
一部の実施形態では、第1の層11に対して第2の層12の厚さを別の大きな厚さとして第2の層12を作製することにより、より低い温度及び圧力の加工パラメータを使用することができ、これにより表面の安定性及び明るさを改善すること、つまり後収縮ステップにおいて生じる可能性のある変形を低減することができる。
【0197】
他の実施形態では、本方法は少なくとも1つの透明窓22を作製する。
【0198】
窓22を作製するため、本方法は内側の第1の層11に開口21又はスロットを形成し、第2の射出ステップにおいて当該開口21又はスロットを第2の材料により覆う。この第2の材料は、本具体例では透明な材料である。
【0199】
一部の実施形態では、本方法は第2の射出ステップの終了時に成形パンチ29と第2の成形受け型35とを切り離して部材10を取り出す。
【0200】
上記にて説明した部材10、装置26及び方法については、特許請求の範囲に特定された本発明の範囲から逸脱することなく、各部分又は各ステップの改良及び/又は追加を行うことが可能であることが明らかである。
【0201】
また、一部の具体例を参照して本発明を説明したが、当業者であれば確実に、特許請求の範囲に記載の特徴を有する部材10、装置26及び方法の他の多くの均等形態を達成できるので、かかる均等形態は全て、特許請求の範囲に記載の保護範囲に属することも明らかである。
図1
図2-3】
図4
図4a
図4b
図4c
図5.8】
図6
図7
図9-9a】
図10
図11
図12
【国際調査報告】