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特表2023-507049菌株、その組成物、および消化管疾患の処置のための使用。
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  • 特表-菌株、その組成物、および消化管疾患の処置のための使用。 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(54)【発明の名称】菌株、その組成物、および消化管疾患の処置のための使用。
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/745 20150101AFI20230214BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20230214BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230214BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230214BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20230214BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20230214BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20230214BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A61K35/745
A61K35/747
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/14
A61P1/10
A61P1/12
A61P31/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518388
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 IB2020058769
(87)【国際公開番号】W WO2021053636
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】102019000016811
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516067302
【氏名又は名称】ソファル ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ビッフィ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】フィオーレ,ヴァルテル
【テーマコード(参考)】
4C087
【Fターム(参考)】
4C087AA01
4C087BC56
4C087BC57
4C087BC59
4C087BC60
4C087CA09
4C087MA02
4C087MA52
4C087MA56
4C087MA57
4C087MA60
4C087MA63
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA66
4C087ZA68
4C087ZA72
4C087ZA73
4C087ZB35
(57)【要約】
本発明は、菌株ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)MIMBb23sgまたはBbflBSCM(DSM 32708)、ならびに菌株B.ブレーベ(B.breve)BbIBSOI(DSM 33231)、B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、B.アニマリス亜種ラクティス(B.animalis subsp.lactis)BIIBS0I(DSM 33233)およびL.プランタラム(L.plantarum)LpIBSOI(DSM 33234)を含む群Aから選択される少なくとも1つまたは複数の菌株、ならびに任意には菌株L.カゼイ(L.casei)DG(登録商標)(CNCM I-1572)および菌株L.パラカゼイ(L.paracasei)LPC-S0I(商標)(DSM 26760)から選択される少なくとも1つのさらなる菌株、を含むかまたはそれからなる混合物を含む組成物に関する。最後に、本発明は消化管疾患、障害または症状、特に機能性消化管障害、例えば過敏性腸症候群(IBS)のを処置するための方法における使用のための前記組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)MIMBb23sgとして特定され、および2017年12月4日にSofar S.p.AによってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号 DSM 32708で寄託された菌株、ならびに
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)BblBS01として特定され、および2019年7月31日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号33231で寄託された菌株、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02として特定され、および2019年7月31日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号33232で寄託された菌株、
-ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)亜種ラクティス(subsp. lactis)BII8S01として特定され、および2019年7月31日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号33233で寄託された菌株、
-ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)LplBS01として特定され、および2019年7月31日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号33234で寄託された菌株、およびその混合物、
を含むかまたはそれからなる群Aから選択される少なくとも1つの菌株を含むかまたはそれからなる混合物Mを含む組成物であって、およびここで、任意には前記組成物は少なくとも1つの食品グレードまたは医薬品グレードの添加物および/または賦形剤を含む、組成物。
【請求項2】
前記混合物Mが以下の菌株:
-ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(o BbflBS01)DSM 32708、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01 DSM 33231、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02 DSM 33232、
-ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BII8S01 DSM 33233、および
-ラクトバチルス・プランタラム LplBS01 DSM 33234
を含むかまたはそれからなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記混合物Mが、
-ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)DG(登録商標)として特定され、および1995年5月5日にSofar S.p.A.によってパリのthe National Collection of Cultures of Microorganisms Pasteur lnstituteに受託番号CNCM I-1572で寄託された菌株、および
-ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)LPC-S01(商標)として特定され、2017年5月15日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に受託番号 DSM 26760で寄託された菌株、
を含むかまたはそれからなる群Bから選択される少なくとも1つのさらなる菌株をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記混合物Mが以下の菌株:
-ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(o BbflBS01)DSM 32708、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01 DSM 33231、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02 DSM 33232、
-ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BII8S01 DSM 33233、
-ラクトバチルス・プランタラム LplBS01 DSM 33234、および
-ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)CNCM I-1572
を含むかまたはそれからなる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記混合物Mが以下の菌株:
-ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(o BbflBS01)DSM 32708、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01 DSM 33231、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02 DSM 33232、
-ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BII8S01 DSM 33233、
-ラクトバチルス・プランタラム LplBS01 DSM 33234、および
-ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)DSM 26760
を含むかまたはそれからなる、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、経口、舌下または頬、経粘膜、外用、直腸、皮膚局所または膣局所用に製剤化されており、好ましくは、前記組成物が経口用のために製剤化されている、請求項1~5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
医薬として使用するための請求項1~6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
機能性消化管疾患、障害および/または症状の予防および/または治療処置のための方法において使用するための請求項1~6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項9】
過敏性腸症候群(IBS)、消化不良、胸焼け、食道、胃および十二指腸障害、小腸細菌異常増殖(SIBO)、準炎症状態を伴う消化管障害、を含むかまたはそれからなる群から選択される機能性消化管疾患、障害および/または症状の予防および/または治療処置のための方法において使用するための、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
便秘型過敏性腸症候群(IBS)または下痢型過敏性腸症候群(IBS)または便秘と下痢の混合型過敏性腸症候群(IBS)または分類不能型過敏性腸症候群(IBS)の予防および/または治療処置のための方法において使用するための、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
炎症性消化管疾患、障害および/または症状の予防および/または治療処置のための方法において使用するための、請求項1~6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項12】
慢性炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、憩室疾患、憩室炎、ヘリコバクター・ピロリ、消化性潰瘍または胃潰瘍、および十二指腸潰瘍を含むかまたはそれからなる群から選択される炎症性消化管障害、好ましくは慢性炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、憩室疾患、憩室炎から選択される炎症性消化管障害、の予防および/または治療処置のための方法において使用するための、請求項11に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の新規菌株に関する:
種ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)に属し、ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01(DSM 33231)として特定された菌株、
種ビフィドバクテリウム・ブレーベに属し、ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02(DSM 33232)として特定された菌株、
種ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)に属し、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)BII8S01(DSM 33233)として特定された菌株、
種ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属し、ラクトバチルス・プランタラム LplBS01(DSM 33234)として特定された菌株。
【0002】
さらに、本発明は、ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sgまたはBbflBS01(DSM 32708)として特定された菌株、ならびに前記ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BIIBS01(DSM 33233)およびラクトバチルス・プランタラム LplBS01(DSM 33234)を含むかまたはそれからなる群から選択される少なくとも1つまたは複数の菌株、および、任意には、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)DG(登録商標)(CNCM I-1572)およびラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)LPC-S01(商標)(DSM 26760)を含むかまたはそれからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる菌株、を含むかまたはそれからなる混合物を含む組成物に関する。
【0003】
最後に、本発明は、消化管疾患、障害または症状、特に例えば過敏性腸症候群(IBS)などの機能性消化管障害、および/または例えば慢性炎症性腸疾患(IBD)などの炎症性障害の予防および/または治療処置のための方法において使用するための前記菌株、またはその混合物またはその組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
過敏性腸症候群(略してIBS)は、機能性消化管障害(FGID)の群に属し、症状の発現のみに基づいて定義され得る診断カテゴリーで、明らかな病原基質が無い事を特徴とする。機能性消化管障害(FGID)、腸脳軸障害とも呼ばれる、は腸管運動障害、内臓知覚過敏、粘膜および免疫機能の変化、腸内細菌叢の変化、中枢神経系における刺激受容の変化などの任意の組み合わせに関連する消化管症状に基づいて分類される障害群である。IBSは人口の15~20%が罹患する最も一般的な消化管障害の1つであり、腹部の不快感または痛みは腸内環境の変化と関連する。文献で報告されているが、組織レベル、細胞レベル、または分子レベルの内腔または消化管の粘膜の明らかな変化は多様な事象であり、IBSにおいて、それらは反駁の余地が無いほど特定されてきていない。免疫応答の変化は関連しているように見えるが、それらは症状の全体を説明できない。同様に、腸内細菌叢の変化(すなわちディスバイオシス)も病態生理に寄与しているが、IBSと確実に関連する特定の病原体(pathogen)または病原体(pathobiont)は未だ無い。
【0005】
過敏性腸症候群(IBS)は、腸管における変化(便秘性または下痢性のいずれ)に伴う腹痛、および排便の変化および鼓脹の徴候によって特徴付けられる腸機能障害である。IBSは痙攣性大腸炎とは混同されないが、これは痙攣性大腸炎が痙攣および腹痛を引き起こす炎症により生じる器質性疾患であるためであるRome IV 基準によるとIBS は、過去3ヶ月で平均して少なくとも週に一日は再発性腹痛があり、以下の基準;排便に関連する;排便回数の変化に関連する;糞便の形状(外観)の変化に関連する;のうち2つ以上を伴うことを特徴とする。診断よりも少なくとも6か月前に症状が発症し、過去3か月この基準を満たす必要がある。
【0006】
糞便の特徴に応じて、患者を階層化できる4つの群が区別される:便秘が優勢なIBS(便秘型)、下痢が優勢なIBS(下痢型)、便秘と下痢の混合型IBS、分類不能型IBS。
【0007】
現在、IBSの処置のために受けられる治療法はIBSの基礎となる病因事象の解消を目的としている。小腸性の下痢を伴う患者においては、フルクトース、ソルビトールおよびマンニトールなどの小腸で吸収されにくい短鎖炭水化物(FODMAP)の摂食量を減らすことで排便の頻度を減らすことができる。これらの解決策にディオスメクテ(diosmectite)などのカオリンベースの製剤を組み合わせる事は有効であるだろう。腸内の便秘が主体で鼓脹がある患者においては低濃度のポリエチレングリコール/鉱物塩を含む製剤を毎日服用させることが可能である。さらに、中等度から重度の便秘を患うこれらの患者においてはグアニル酸シクラーゼC受容体アゴニストのリナクロチドもまた使用できる。患者がその不安を認識する時には、短時間の抗不安薬(ベンゾジアゼピンなど)を使用することは、その軽減によって痛みに対する心理的な負担の減らすのに有用である。同様に、精神機能を変化させることなく直接的に痛みを調節する他に、三環系抗うつ薬およびSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬を使用することで睡眠の質を改善し、発作の頻度を減少させる事ができる。その他の治療法はその代わりに痛みを調節する事を目的としている。この意味においては鎮痙薬が特に有用である。抗コリン-鎮痙薬(抗ムスカリン薬)、例えばアトロピン、スコポラミン、メベベリンなどは胃液の分泌や腸管運動を抑制するために使用される。憩室疾患の治療と同様に、リファキシミンなどの難吸収性抗生物質および腸内細菌叢を調整するプロバイオティクスを使用することにより鼓脹症候群を軽減する事ができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前述の処置では疾患およびその症状を完全におよび持続的に解決する事は出来ない事が多い。
【0009】
そのため、消化管障害、特に機能性消化管障害、さらに特には過敏性腸症候群(IBS)、便秘型IBS、下痢型IBS、便秘と下痢の混合型IBS、および分類不能型IBSの処置のための効果的な解決策を提供することの高い必要性が依然として存在している。
【0010】
さらに、例えば慢性炎症性腸疾患(IBD)などの炎症性消化管障害の処置のための効果的な解決策を提供する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
広範な研究開発活動の後、本出願人らは以下を提供する事によって前述の必要性に取り組み、解決する:単離された細菌の新規菌株、例えば、(I.i)ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)および(I.iv)ラクトバチルス・プランタラム LplBS01(DSM 33234)(略して本発明の新規菌株(I.i-I.iv)または(I.i-I.iv));ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sgまたはBbflBS01(DSM 32708)、前記菌株(I.i-I.iv)の内の少なくとも1つまたは複数の菌株、ならびに任意にはラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)およびラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)(DSM 26760)を含むかまたはそれからなる群より選択された少なくとも1つのさらなる菌株を含む混合物(M)(略して本発明の混合物(M));前記混合物(M)を含む組成物(略して本発明の組成物);本願明細書および特許請求の範囲において記載するように、消化管障害、好ましくは機能性または炎症性消化管障害、より好ましくは過敏性腸症候群(IBS)(下痢型IBS、便秘型IBS、下痢と便秘の混合型IBS、分類不能型IBS)、および/または炎症性消化管障害、より好ましくは慢性炎症性腸疾患(IBD)の予防および/または治療処置のための前記菌株、混合物または組成物の使用。
【0012】
ラクトバチルス・プランタラム LplBS01(DSM 33234)は、ヒトの消化管から単離された。当該ビフィズス菌、例えばビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)はヒト由来であり、ヒトの腸内に天然に存在する。
【発明の効果】
【0013】
具体的には、前記の本発明の新規菌株(I.i-I.iv)またはその誘導物、本発明の菌株の混合物(M)および本発明の前記混合物(M)を含む組成物は、消化管障害、特に例えばIBSなどの機能性消化管障害に関してその予防および/または治療処置において効果的であって、それらは以下を決定する:
-腸内細菌叢のレベルにおいて、存在する微生物集団の正の調節、例えば、ラクトバチルス属およびビフィドバクテリウム属の細菌集団の増加、および同時に、通常IBSと関連する病原体であるルミノコッカス属に属する細菌集団の顕著な減少;
-短鎖脂肪酸、特に酪酸および酢酸の腸内濃度の増加;
-遊離アミノ酸や生体アミンのような細菌代謝産物(メタボロミクス)のレベルの正の調節;
-炎症経路の正の調節、例えば、IL-6および/またはIL-15またはその他の炎症誘発性サイトカインの減少;
-例えばゾヌリン、シトルリンおよびPV-1の血清レベルを通じて評価される腸管透過性の改善;
-セロトニン作動性経路のレベルの正の調節。
【0014】
さらに、本発明の混合物および組成物に含まれる菌株、例えばラクトバチルス属およびビフィドバクテリウム属に属する株は、それぞれの種が例えばバクテリオシンの分泌、宿主の免疫系の調節などの様々なメカニズムの手段によって消化管に明確な作用を及ぼすことを鑑みて、種々の有益な効果をもたらす。このような作用は、補完的であったり、相乗的であったりする。
【0015】
加えて、本発明の前記新規菌株(I.i-I.iv)、菌株の混合物(M)および前記混合物(M)を含む組成物は、腸、特に回腸における免疫応答に関連する異なる遺伝子の発現に影響するため、それらの腸における炎症性/調節性活性は妥当なものである。よって本発明の菌株、混合物および組成物は慢性炎症性腸疾患(IBD)などの炎症性消化管障害の予防および/または治療処置に好適かつ効果的である。
【0016】
先行研究において、IBS症状の改善のためにプロバイオティクスの菌株が用いられてきたが、IBSにおけるプロバイオティクスの正確な有効性は大部分が不明なままである。プロバイオティクスの菌株は異なる株または種に属しているため、どの株および種が最も効果的であるかについて文献上では明確な結論が出ていない。
【0017】
さらに、本発明の新規菌株、混合物および組成物は顕著な有害作用を有さず、これらは全ての対象、特に小児の対象および妊婦に投与し得る。
【0018】
最後に、本発明の混合物または組成物は効果的であり、調製が容易であり、および費用対効果に優れている。
【0019】
これらの目的および以下の発明の詳細な説明において明らかになるその他の目的は、本願明細書で提示し、および添付の特許請求の範囲において主張する技術的特徴をもってして本発明の菌株、混合物、および組成物によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面の説明
図1図1:ランイン(run-in)、処置、クロスオーバー、処置、フォローアップの各段階を含む臨床試験のデザイン。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本発明の目的を形成するのは、種ビフィドバクテリウム・ブレーベに属する(I.i)ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01として特定された菌株およびその誘導体であり、前記菌株はブタペスト条約に規定されるように2019年7月31日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号 DSM 33231で寄託された(略してBblBS01またはB.ブレーベ BblBS01 DSM 33231または(I.i))。
【0022】
本発明の目的を形成するのは、種ビフィドバクテリウム・ブレーベに属する(I.ii)ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02として特定された菌株およびその誘導体であり、前記菌株はブタペスト条約に従って2019年7月31日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号 DSM 33232で寄託された(略してBblBS02またはB.ブレーベ BblBS02 DSM 33232または(I.ii))。
【0023】
本発明の目的を形成するのは、種ビフィドバクテリウム・アニマリスに属する(I.iii)ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BIIBS01として特定された菌株およびその誘導体であり、前記菌株はブタペスト条約に従って2019年7月31日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号 DSM 33233で寄託された(略してBIIBS01またはB.アニマリス亜種ラクティス BIIBS01 DSM 33233または(I.iii))。
【0024】
本発明の目的を形成するのは、種ラクトバチルス・プランタラムに属する(I.iv)クトバチルス・プランタラム LplBS01として特定された菌株およびその誘導体であり、前記菌株はブタペスト条約に従って2019年7月31日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号 DSM 33234で寄託された(略してLplBS01またはL.プランタラム LplBS01 DSM 33234または(I.iv))。
【0025】
好ましくは、本発明の菌株(すなわち、(I.i)、(I.ii)、(I.iii)、(I.iv)、(II.i)、(II.ii)、(III))は、生存細菌株(生きたおよび生存可能な)であり、例えばプロバイオティクス製品または生きた生物学的製剤(Live Biotherapeutic Products)(略してLBP、生存細菌株を含む医薬製剤など)中に存在する生存細菌株である。
【0026】
「プロバイオティクス」とは適切な量を投与された場合に宿主の健康に益をもたらす、生きた、生存可能な微生物(すなわち、菌株)であり、「プロバイオティクス」という用語は食品中に存在するかまたは添加された微生物を指す(FAOおよびWHOの定義)。
【0027】
本発明の文脈において、本発明の菌株(すなわち(I.i)、(I.ii)、(I.iii)、(I.iv)、(II.i)、(II.ii)、(III))の「誘導体」、「誘導体」という用語は、ティンダライゼーションされた(tyndallized)または不活化(例えば、ガンマ線の照射または超音波処理によって)された菌株、または菌株の溶解液または抽出物(パラプロバイオティクス)、または菌株の任意の誘導体および/または成分を意味し、好ましくは菌体外多糖、壁分画(Parietal fraction)、菌株によって生成された代謝物または代謝性バイオプロダクト(ポストバイオティクス)、および/または菌株に由来する任意のその他の産物を意味するために用いられる。好ましくは本発明の菌株の「誘導体」はティンダライゼーションされた、または不活化された菌株を意味するために用いられる。
【0028】
本発明の一態様によると、本発明の混合物(M)または本発明の組成物において、菌株の一部は生菌であり得、および菌株の一部は上記に定義されるような誘導体(ティンダライゼーションされた菌株)の形態であり得る。
【0029】
本発明の目的を形成するのは、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)またはその誘導体、ならびに(I.i)B.ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)B.アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)、(I.iv)L.プランタラム LplBS01(DSM 33234)およびその混合物、を含むかまたはそれからなる群Aから選択された少なくとも1つまたは複数の菌株、またはその誘導体を含むかまたはそれからなる菌株の混合物(M)(略して本発明の混合物(M))である。
【0030】
ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(あるいは出願人にビフィドバクテリウム・ビフィダムBbflBS01または、ビフィドバクテリウム・ビフィダムBbflBLPC-S01と呼ばれる)として特定された菌株は、ブタペスト条約に従って2017年12月4日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号 DSM 32708で寄託された(略して、MIMBb23sg またはBbflBS01またはBbflBLPC-S01またはB.ビフィダム MIMBb23sg DSM 32708または(III))。出願人が使用する内部名称MIMBb23sgまたはBbflBS01またはBbflBLPC-S01に関係なく、依然として排他的に同じ細菌株であることが観察されるはずである。細菌株ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg DSM 32708は、健康な成人女性の糞便から分離された株である
【0031】
本発明の文脈において、以下の菌株の群/混合物が定義される:(I.i)、(I.ii)、(I.iii)および(I.iv)を含むかまたはそれからなる群Aから選択される単一の菌株を含む混合物、略して混合物M.1;
(I.i)および(I.ii)、(I.i)および(I.iii)、(I.i)および(I.iv)、(I.ii)および(I.iii)、(I.ii)および(I.iv)、(I.iii)および(I.iv)からなる群M.2から選択される2つの菌株を含む混合物、略して混合物M.2;
(I.i)および(I.ii)および(I.iii)、(I.i)および(I.ii)および(I.iv)、(I.i)および(I.iii)および(I.iv)、(I.ii)および(I.iii)および(I.iv)からなる群M.3から選択される3つの菌株を含む混合物、略して混合物M.3;
(I.i)B.ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)B.アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)および(I.iv)L.プランタラム LplBS01(DSM 33234)からなる群M.4から選択される4つの菌株を含む混合物、略して混合物M.4。
【0032】
菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、本発明の前記混合物(M)は(I.i)、(I.ii)、(I.iii)および(I.iv)を含むかまたはそれからなる群Aから選択される単一の菌株を含み得る;略して混合物(III)+M.1。
【0033】
菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、本発明の前記混合物(M)は、(I.i)および(I.ii)、(I.i)および(I.iii)、(I.i)および(I.iv)、(I.ii)および(I.iii)、(I.ii)および(I.iv)、(I.iii)および(I.iv)からなる群M.2から選択される2つの菌株を含み得る;略して混合物(III)+M.2。
【0034】
菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、本発明の前記混合物(M)は、(I.i)および(I.ii)および(I.iii)、(I.i)および(I.ii)および(I.iv)、(I.i)および(I.iii)および(I.iv)、(I.ii)および(I.iii)および(I.iv)からなる群M.3から選択される3つの菌株を含み得る;略して混合物(III)+M.3。
【0035】
菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、本発明の前記混合物(M)は、(I.i)B.ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)B.アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)および(I.iv)L.プランタラム LplBS01(DSM 33234)からなる群M.4から選択される4つの菌株を含み得る;略して混合物(III)+M.4。
【0036】
菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)またはその誘導体の他に、および群Aから選択される少なくとも1つまたは複数の菌株、またはその誘導体の他に、本発明のある実施形態では、本発明の混合物(M)は菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)、菌株(11.ii)ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)(DSM 26760)およびその混合物、を含むかまたはそれからなる群Bから選択される少なくとも1つのさらなる菌株を含む。
【0037】
ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(Sofar S.p.Aによって登録された(商標))として特定される菌株は、1995年5月5日に、パリのNational Collection of Cultures of Microorganismsに、Sofar S.p.A.によって受託番号CNCM I-1572で寄託された(略してDG(登録商標)またはL.カゼイ DG(登録商標)CNCM I-1572または(II.i))。菌株は当初、ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)亜種カゼイという名称だったが、後にラクトバチルス・パラカゼイ DG(登録商標)CNCM I-1572に分類し直された。ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)CNCM I-1572またはラクトバチルス・パラカゼイ DG(登録商標)CNCM I-1572の名称に関係なく依然として排他的に同じ菌株であることが観察されるはずである。
【0038】
ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)、別名ラクトバチルス・パラカゼイS01として特定される菌株は、2017年5月15日に、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)にて、Sofar S.p.Aによって受託番号 DSM26760で寄託された(寄託からブダペスト条約による寄託への変換の出願日:もとの寄託日:2013年1月11日)(略してLPC-S01(商標)またはL.パラカセイ LPC-S01(商標)DSM26760)。出願者によって用いられるラクトバチルス・パラカゼイS01 DSM26760またはラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)DSM26760という名称に関係なく依然として排他的に同じ菌株であることが観察されるはずである。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)および群Aから選択される少なくとも1つまたは複数の菌株の他に、本発明の混合物(M)は菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)またはその誘導体をさらに含む(すなわち、混合物(III)+(M)+(II.i)。ここでMはM.1、M.2、M.3またはM.4であってよい)。
【0040】
本発明のある実施形態では、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)および群Aから選択される少なくとも1つまたは複数の菌株の他に、本発明の混合物(M)は菌株(II.ii)ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)(DSM 26760)またはその誘導体をさらに含む(すなわち、混合物(III)+(M)+(II.ii)。ここでMはM.1、M.2、M.3またはM.4であってよい)。
【0041】
本発明のある実施形態では、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)および群Aから選択される少なくとも1つまたは複数の菌株の他に、本発明の混合物(M)は菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)および菌株(II.ii)ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)(DSM 26760)またはその誘導体をさらに含む(すなわち混合物(III)+(M)+(II.i)(II.ii)。ここでMはM.1、M.2、M.3またはM.4であってよい)。
【0042】
本発明の一態様において、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、本発明の前記混合物(M)は本発明で定義するように群A(または混合物M.1の群)から選択される1つの菌株および菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)またはその誘導体を含み得る(すなわち:(III)および(I.i)および(II.i)、(III)および(I.ii)および(II.i)、(III)および(I.iii)および(II.i)、(III)および(I.iv)および(II.i);略して混合物(III)+M.1+(II.i))。
【0043】
本発明の一態様において、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、本発明の前記混合物(M)は本発明で定義するように混合物M.2の群から選択される2つの菌株および菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)、またはその誘導体を含む(すなわち、(III)および(I.i)および(I.ii)および(II.i)、(III)および(I.i)および(I.iii)および(II.i)、(III)および(I.i)および(I.iv)および(II.i)、(III)および(I.ii)および(I.iii)および(II.i)、(III)および(I.ii)および(I.iv)および(II.i)、(III)および(I.iii)および(I.iv)および(II.i);略して混合物(III)+M.2+(II.i))。
【0044】
本発明の一態様において、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、本発明の一態様において、本発明の前記混合物(M)は本発明で定義するように混合物M.3の群から選択される3つの菌株および菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)、またはその誘導体を含む(すなわち、(III)および(I.i)および(I.ii)および(I.iii)および(II.i)、(III)および(I.i)および(I.ii)および(I.iv)および(II.i)、(III)および(I.i)および(I.iii)および(I.iv)および(II.i)、(III)および(I.ii)および(I.iii)および(I.iv)および(II.i);略して混合物(III)+M.3+(II.i))。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、本発明の前記混合物(M)は4つの菌株(I.i)B.ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)B.アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)および(I.iv)L.プランタラム LplBS01(DSM 33234)および菌株(11.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)、またはその誘導体を含む。(略して混合物(III)+M.4+(II.i))。
【0046】
本発明のある実施形態では、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、本発明の前記混合物(M)は4つの菌株(I.i)B.ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)B.アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)および(I.iv)L.プランタラム LplBS01(DSM 33234)および菌株(II.ii)ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)(DSM 26760)、またはその誘導体を含む(略して混合物(III)+M.4+(II.ii))。
【0047】
本発明のある実施形態では、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、本発明の前記混合物(M)は4つの菌株(I.i)B.ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)B.アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)および(I.iv)L.プランタラム LplBS01(DSM 33234)および菌株菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)および菌株(II.ii)ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)(DSM 26760)、またはその誘導体を含む(略して混合物(III)+M.4+(II.i)+(II.ii))。
【0048】
本発明の文脈において、「本発明の混合物(M)」という表現は、本発明の文脈において定義するように、混合物(III)+M.1、(III)+M.2、(III)+M.3、(III)+M.4、(III)+M.1+(II.i)、(III)+M.1+(II.ii)、(III)+M.1+(II.i)+(II.ii)、(III)+M.2+(II.i)、(III)+M.2+(II.ii)、(III)+M.2+(II.i)+(II.ii)、(III)+M.3+(II.i)、(III)+M.3+(II.ii)、(III)+M.3+(II.i)+(II.ii)、(III)+M.4+(II.i)、(III)+M.4+(II.ii)および(III)+M.4+(II.i)+(II.ii)を示すために用いられる。
【0049】
本発明の目的を形成するのは、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)、ならびに(I.i)B.ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)B.アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)、および(I.iv)L.プランタラム LplBS01(DSM 33234)を含むかまたはそれからなる群Aから選択される少なくとも1つまたは複数の菌株(すなわち、2つ、3つ、4つの菌株)、またはその誘導体を含むかまたはそれからなる混合物(M)を含む組成物(略して本発明の組成物)であって、任意には前記組成物は少なくとも1つの食品グレードまたは医薬品グレードの添加物および/または賦形剤を含む。
【0050】
本発明の文脈において、「本発明の組成物」という表現は、本発明の文脈において定義するように、混合物(III)+M.1、(III)+M.2、(III)+M.3、(III)+M.4、(III)+M.1+(II.i)、(III)+M.1+(II.ii)、(III)+M.1+(II.i)+(II.ii)、(III)+M.2+(II.i)、(III)+M.2+(II.ii)、(III)+M.2+(II.i)+(II.ii)、(III)+M.3+(II.i)、(III)+M.3+(II.ii)、(III)+M.3+(II.i)+(II.ii)、(III)+M.4+(II.i)、(III)+M.4+(II.ii)および(III)+M.4+(II.i)+(II.ii)を含む組成物を示すために用いられる。
【0051】
ある実施形態では、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)ならびに(I.i)、(I.ii)、(I.iii)および(I.iv)を含むかまたはそれからなる群Aから選択される1つの菌株を含むかまたはそれからなる混合物((III)+(M.1)を含む。
【0052】
ある実施形態では、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)および本発明で定義されるような混合物M.2の群から選択される2つの菌株を含むかまたはそれからなる混合物((III)(M.2)を含む。
【0053】
ある実施形態では、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)および本発明で定義されるような混合物M.3の群から選択される3つの菌株を含むかまたはそれからなる混合物((III)(M.3)を含む。
【0054】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)および4つの菌株、すなわち(I.i)B.ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)B.アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)および(I.iv)L.プランタラム LplBS01(DSM 33234)(略して、(III)、(I.i)、(I.ii)、(I.iii)および(I.iv))を含むかまたはそれからなる混合物((III)+M.4)を含む。
【0055】
本発明のある実施形態では、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、および群Aから選択される少なくとも1つまたは複数の菌株の他に、菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)および菌株(II.ii)ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)(DSM 26760)を含むかまたはそれからなる群Bから選択される少なくとも1つのさらなる菌株を含む本発明の混合物(M)、すなわち混合物(III)+M+(II.i)または混合物(III)+M+(II.ii)または混合物(III)+M+(II.i)+(II.ii)(ここでMは本発明の文脈から定義されるようにM.1、M.2、M.3またはM.4であってよい)、を含む。
【0056】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、および群Aから選択される少なくとも1つまたは複数の菌株の他に菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)またはその誘導体をさらに含む本発明の混合物(M)(すなわち、混合物(III)+(M)+(II.i)、ここで、MはM.1、M.2、M.3またはM.4であってよい)を含む。
【0057】
本発明のある実施形態では、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、および群Aから選択される少なくとも1つまたは複数の菌株の他に、菌株ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)(DSM 26760)、またはその誘導体をさらに含む本発明の混合物(M)(すなわち、混合物(III)+(M)+(II.ii)、ここで、MはM.1、M.2、M.3またはM.4であってよい)を含む。
【0058】
本発明のある実施形態では、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)の他に、および群Aから選択される少なくとも1つまたは複数の菌株の他に、菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)および菌株(II.ii)ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)(DSM 26760)、またはその誘導体をさらに含む本発明の混合物(M)(すなわち、混合物(III)+(M)+(II.i)(II.ii)ここで、MはM.1、M.2、M.3またはM.4であってよい)を含む。
【0059】
本発明の一態様において、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)および本発明で定義されるような群A(または混合物M.1の群)から選択される1つの菌株および菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)を含むかまたはそれからなる本発明の前記混合物((III)+M.1+(II.i))を含む。
【0060】
本発明の一態様において、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)および本発明で定義されるような混合物M.2の群から選択される2つの菌株および菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)を含むかまたはそれからなる本発明の前記混合物((III)+M.2+(II.i))を含む。
【0061】
本発明の一態様において、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)および本発明で定義されるような混合物M.3の群から選択される3つの菌株および菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)を含むかまたはそれからなる本発明の前記混合物((III)+M.3+(II.i))を含む。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)ならびに4つの菌株(I.i)B.ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)B.アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)および(I.iv)L.プランタラム LplBS01(DSM 33234)ならびに菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)を含むかまたはそれからなる本発明の前記混合物((III)+(M.4)+(II.i))を含む。
【0063】
本発明のある実施形態では、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)ならびに菌株(I.i)B.ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)B.アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)および(I.iv)L.プランタラム LplBS01(DSM 33234)ならびに菌株(II.ii)ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)(DSM 26760)を含むかまたはそれからなる本発明の前記混合物((III)+(M.4)+(II.ii))を含む。
【0064】
本発明の一態様において、本発明の組成物は、菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)ならびに4つの菌株(I.i)、(I.ii)、(I.iii)および(I.iv)ならびに菌株(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)および(II.ii)ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)(DSM 26760)を含むかまたはそれからなる本発明の前記混合物((III)+(M.4)+(II.i)+(II.ii))を含む。
【0065】
好ましくは、前記菌株(すなわち、(III)、(I.i)、(I.ii)、(I.iii)、(I.iv)、(II.i)および/または(II.ii))は、一日摂取量について、1x10CFUから1x1012CFU、好ましくは1x10CFUから1x1011CFU、より好ましくは1x10CFUから1x1010CFUの範囲に含まれる濃度で、例えば1x10CFUで、それぞれ独立して本発明の混合物(M)に含まれる。
【0066】
好ましい実施形態では、混合物(III)+M.4または(III)+M.4+(II.i)または(III)+M.4+(II.ii)または(III)+M.4+(II.i)+(II.ii)または本発明の関連組成物は、一日摂取量について、1x10CFUから1x1012CFU、好ましくは1x10CFUから1x1011CFU、より好ましくは1x10CFUから1x1010CFUの範囲に含まれる濃度で、例えば1x10CFUで、各菌株(III)、(I.i)、(I.ii)、(I.iii)、(I.iv)、ならびに任意には(II.i)および/または(II.ii)を、それぞれ独立して含む。
【0067】
好ましくは、混合物(III)+M.2または(III)+M.1+(II.i)または(III)+M.1+(II.ii)において菌株は約1:1:1の比、混合物(III)+M.3または(III)+M.2+(II.i)または(III)+M.2+(II.ii)において菌株は約1:1:1:1の比、混合物(III)+M.4または(III)+M.3+(II.i)または(III)+M.3+(II.ii)において菌株は約1:1:1:1:1の比、混合物(III)+M.4+(II.i)または(III)+M.4+(II.ii)において菌株は約1:1:1:1:1:1の比、混合物(III)+M.4+(II.i)+(II.ii)において菌株は約1:1:1:1:1:1:1の比であり、ここで前記の比はCFUに関する。
【0068】
ある実施形態では、本発明の前記混合物(M)の内の1つ(好ましくは(III)+M.4または(III)+M.4+(II.i)または(III)+M.4+(II.ii))の他に、本発明の組成物は、その他の生存可能な菌株、および/またはパラプロバイオティック、および/またはポストバイオティック、および/または溶解した、および/またはティンダライゼーションされた、および/または不活化された菌株、酵素、直接的または間接的な制酸作用を有する物質、プレバイオティックな物質、酵母および細菌の科に属するプロバイオティックな物質、免疫賦活物質、下痢止め物質、栄養素、B、C、D、E群のビタミン、ならびにマグネシウム、セレンおよび亜鉛の有機および/または無機塩、メラトニン、バレリアン、パッションフラワー、レモンバーム、ホーソン、カモミール、ホップ、抗酸化剤、抗ラジカル剤などを含むかまたはそれからなる群より選択される少なくとも1つのさらなる有効成分を含んでもよい。
【0069】
本発明の組成物は、錠剤、チュアブル錠、口内で溶解させる、または口内で溶けやすい錠剤、カプセル、ロゼンジ、顆粒、フレークまたは粉末(液体に溶解する顆粒または粉末、口内で溶けやすい顆粒または粉末、例えば口内で溶けやすいスティック)などの固体状、ソフトジェル、クリームなどの半固体状、または溶液、懸濁液、分散液、乳化液またはシロップなどの液体状であってもよい。
【0070】
本発明の組成物は、経口(または消化管)、舌下(または頬)、経粘膜、経皮および/または例えば直腸、皮膚、膣などにおける局所使用(または投与)、のために調製され得、有利には経口使用のために調製される。
【0071】
本発明の前記混合物(M)の内の1つ(好ましくは(III)+M.4または(III)+M.4+(II.i)または(III)+M.4+(II.ii))を含むかまたはそれからなる本発明の組成物は、任意には前記少なくとも1つの医薬品グレードまたは食品グレードの添加物および/または賦形剤、すなわち医薬または食品用途に好適な治療活性の無い物質をさらに含む。本発明の文脈において、医薬または食品用途に許容可能な添加物および/または賦形剤は、当業者に知られた固形、半固形または液体状の組成物を調製するための全ての補助物質、例えば、希釈剤、溶媒(水、グリセリン、エチルアルコールを含む)、可溶化剤、酸性化剤、増粘剤、甘味料、うま味調味料、着色料、潤滑剤、界面活性剤、保存料、pH安定化緩衝剤およびその混合物を含む。
【0072】
本発明の前記混合物(M)の内の1つ(好ましくは(III)+M.4または(III)+M.4+(II.i)または(III)+M.4+(II.ii))を含むかまたはそれからなる本発明の組成物は、医薬組成物(または生きた生物学的製剤)、医療機器組成物、栄養補助食品、食品または新規食品またはプロバイオティクス製品、化粧品組成物、特定医療用食品(FSMP)組成物であり得る。
【0073】
本発明の文脈において、「医療機器」という表現は、1997年2月24日付のイタリア政令第46号で定められた又は新しい医療デバイス規則(EU)2017/745(MDR)に従った意味に従って使用される。
【0074】
本発明の目的を形成するのは、医薬として使用するための本発明の前記混合物(M)(好ましくは(III)+M.4または(III)+M.4+(II.i)または(III)+M.4+(II.ii))、または本発明の前記混合物(M)(好ましくは(III)+M.4または(III)+M.4+(II.i)または(III)+M.4+(II.ii))の内の1つを含む本発明の組成物である。
【0075】
本発明の前記混合物(M)または前記組成物はまた、さらなる治療アプローチ、好ましくは薬理学的または食事療法タイプのさらなる治療アプローチのアジュバントとして、医薬として使用するためのものである。
【0076】
ある実施形態では、本発明の菌株、本発明の混合物(M)(好ましくはM.4またはM.4+(II.i)またはM.4+(II.ii))、または本発明の組成物は、必要とする対象における消化管疾患、障害または症状、好ましくは機能性消化管障害、例えば過敏性腸症候群(IBS)、消化不良(dyspepsia)、胸焼け(pyrosis)、食道、胃および十二指腸障害、小腸細菌異常増殖(SIBO)、準炎症状態(sub-inflammatory conditions)を伴う疾患、好ましくは前記準炎症状態が高齢の対象または憩室疾患を患う対象において起こる疾患などの予防および/または治療処置のための方法において使用するためのものである。
【0077】
好ましい実施形態では、本発明の菌株、本発明の混合物(M)(好ましくは(III)+M.4または(III)+M.4+(II.i)または(III)+M.4+(II.ii))、または本発明の組成物は、過敏性腸症候群(IBS)であって、便秘型IBS、下痢型IBS、便秘と下痢の混合型IBS、および分類不能型IBSの障害または症状の予防および/または治療処置のための方法において使用するためのものである。本発明の菌株、本発明の混合物(M)または本発明の組成物によって処置され得る過敏性腸症候群(IBS)の障害または症状の特定の例は、様々な強さおよび局在を伴う、痙攣のような断続的な腹痛;鼓脹(flatulence;);鼓脹(tympanites);膨満感である。
【0078】
本発明の好ましい実施形態では、混合物(III)+M.4+(II.i)または混合物(III)+M.4+(II.i)を含む組成物、ここで前記混合物(III)+M.4+(II.i)は菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)、(I.i)B.ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)B.アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)e(I.iv)L.プランタラム LplBS01(DSM 33234)および(II.i)ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)(CNCM I-1572)を含むかまたはそれからなる、は過敏性腸症候群(IBS)であって、便秘型IBS、下痢型IBS、便秘と下痢の混合型IBS、および分類不能型IBSの障害または症状の予防および/または治療処置のための方法において使用するためのものである。
【0079】
本発明の代替の実施形態では、混合物(III)+M.4+(II.ii)または混合物(III)+M.4+(II.ii)を含む組成物、ここで前記混合物(III)+M.4+(II.ii)は菌株(III)ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(DSM 32708)、(I.i)B.ブレーベ BblBS01(DSM 33231)、(I.ii)B.ブレーベ BblBS02(DSM 33232)、(I.iii)B.アニマリス亜種ラクティス BII8S01(DSM 33233)および(I.iv)L.プランタラム LplBS01(DSM 33234)および(II.ii)ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)(DSM 26760)を含むかまたはそれからなる、は過敏性腸症候群(IBS)であって、便秘型IBS、下痢型IBS、便秘と下痢の混合型IBS、および分類不能型IBSの障害または症状の予防および/または治療処置のための方法において使用するためのものである。
【0080】
ある実施形態では、本発明の菌株、本発明の混合物(M)(好ましくは(III)+M.4または(III)+M.4+(II.i)または(III)+M.4+(II.ii))または本発明の組成物は、ヘリコバクター・ピロリ、消化性潰瘍または胃潰瘍、十二指腸潰瘍、クローン病および潰瘍性大腸炎などの慢性炎症性腸疾患(IBD)、顕微鏡的大腸炎、憩室疾患および憩室炎などの;好ましくは慢性炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、憩室疾患、または憩室炎などの、必要とする対象における炎症性消化管疾患、障害または症状の処置における使用のためのものである。
【0081】
ある実施形態では、本発明の菌株、本発明の混合物(M)(好ましくは(III)+M.4または(III)+M.4+(II.i)または(III)+M.4+(II.ii))または本発明の組成物は、それらが投与される対象に対する免疫調整剤(免疫系を調整することができる)および/または免疫賦活剤として使用するためのものである。よって、本発明の菌株またはその誘導体、および組成物は、免疫系の変化に関連する疾患、特に自己免疫疾患およびアレルギー、免疫不全疾患、ニキビ、アトピー性皮膚炎などの皮膚に影響を及ぼす疾患の予防または治療処置に対する有効な用途を有している。
【0082】
有利には、本発明の菌株、本発明の混合物(M)および組成物は、炎症性経路ひいては炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインの比を正に調節することができる。特に、本発明の菌株、本発明の混合物(M)および組成物は炎症誘発性サイトカイン、好ましくはIL-6、IL-15、IL-12およびTNF-αの産生を抑制し、および/または抗炎症性サイトカイン、好ましくはIL-10の産生を増加させることができる。
【0083】
よって、本発明のある実施形態では、本発明の菌株、本発明の混合物(M)(好ましくは(III)+M.4または(III)+M.4+(II.i)または(III)+M.4+(II.ii))または本発明の組成物は、炎症誘発性サイトカインの増加および/または抗炎症性サイトカインの減少に起因する、または関連/付随する疾患または症状または障害、好ましくは運動器系(筋肉・骨格系)、消化管系、泌尿生殖器系(泌尿器・生殖器系)、呼吸器系、外皮系、免疫系、および循環器系に影響する疾患の予防および/または治療処置のための方法において使用するためのものである。
【0084】
ある実施形態では、本発明の菌株、本発明の前記混合物(M)(好ましくは(III)+M.4または(III)+M.4+(II.i)または(III)+M.4+(II.ii))または本発明の前記組成物は、炎症性筋骨格系疾患、リウマチ性疾患、炎症性関節疾患および/または術後炎症性疾患の予防または治療処置のための方法において使用するためのものであり、好ましくは変形性関節症、リウマチ性関節炎および強直性脊椎炎、特に変形性膝関節症および関節全般の変形性関節症の処置のための方法において使用するためのものである。
【0085】
本発明の目的を形成するのは、消化管疾患、障害または症状、特に機能性または炎症性消化管障害、好ましくはIBS(便秘型、下痢型、便秘と下痢の混合型、分類不能型IBS)またはIBDの予防または治療処置のための方法であって、これは本発明の混合物(M)の内の1つ、または前記混合物(M)の内の1つを含む本発明の組成物の内の1つを、必要とする対象に治療有効量で投与することを提供する。
【0086】
明確にするために、本発明の目的を達成することを目的として、本発明の混合物(M)の成分(または有効成分)、例えば本発明の菌株を別々に(好ましくは30分~60分の範囲の時間間隔内で)かつ任意の順序で投与してよいが、好ましくは、菌株は対象に同時に投与し、より好ましくは、より即効を得、投与しやすくするように単一組成物で投与する。本発明の混合物(M)の成分(または有効成分)、例えば菌株を単一組成物で投与する場合、前記単一組成物は、本発明の組成物に相当する。
【0087】
本発明の文脈において、「対象」という表現は、ヒト対象または動物対象(例えば、イヌもしくはネコまたは他の哺乳類動物などのペット)を示すために用いられる。好ましくは、本発明の組成物は、ヒト対象の処置方法において使用するためのものである。
【0088】
別段の指定がない限り、「xからyの範囲を占める」量の成分を含む組成物または混合物または他という表現は、前記成分が、たとえ前記範囲の両端が含まれると指定されていない場合でも、前記範囲内に含まれる全ての量で組成物または混合物または他の中に存在し得ることを示すために用いられる。
【0089】
「治療有効量」という表現は、個人、研究者、獣医師、医師、または他の臨床医もしくは医療従事者によって探求されかつ定義される、組織、系、哺乳類動物、またはヒトにおける生物学的または薬剤の応答を引き出す組成物、混合物および/または菌株の量を指す。
【0090】
本発明の文脈において用語「新規食品」は、2015年11月25日付けのEU制度2015/2283に従って意味する上で用いられる。
【0091】
本発明の実施形態(FRn)を以下に報告する。
【0092】
FR1.
-ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(または BbflBS01)として特定され、および2017年12月4日にSofar S.p.AによってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号 DSM 32708で寄託された菌株、またはその誘導体;ならびに
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01として特定され、および2019年7月31日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号33231で寄託された菌株、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02として特定され、および2019年7月31日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号33232で寄託された菌株、
-ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BII8S01として特定され、および2019年7月31日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号33233で寄託された菌株、および
-ラクトバチルス・プランタラム LplBS01として特定され、および2019年7月31日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に寄託番号33234で寄託された菌株、
およびその混合物、を含むかまたはそれからなる群Aから選択される少なくとも1つの菌株またはその誘導体を含むかまたはそれからなる混合物Mを含む組成物であって、およびここで、任意には前記組成物は少なくとも1つの食品グレードまたは医薬品グレードの添加物および/または賦形剤を含む、組成物。
【0093】
FR2.
前記混合物Mが以下の菌株:
-ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(またはBbflBS01)DSM 32708、またはその誘導体、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01 DSM 33231、またはその誘導体、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02 DSM 33232、またはその誘導体、
-ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BII8S01 DSM 33233、および
-ラクトバチルス・プランタラム LplBS01 DSM 33234.またはその誘導体
を含むかまたはそれからなる、FR1に記載の組成物。
【0094】
FR3.
前記混合物Mが、
-ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)として特定され、および1995年5月5日にSofar S.p.A.によってパリのthe National Collection of Cultures of Microorganisms Pasteur lnstituteに受託番号CNCM I-1572で寄託された菌株、および
-ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)として特定され、2017年5月15日にSofar S.p.A.によってDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に受託番号 DSM 26760で寄託された菌株、またはその誘導体を含むかまたはそれからなる群Bから選択される少なくとも1つのさらなる菌株をさらに含む、FR1またはFR2に記載の組成物。
【0095】
FR4.
前記混合物Mが以下の菌株:
-ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(またはBbflBS01)DSM 32708、またはその誘導体、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01 DSM 33231、またはその誘導体、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02 DSM 33232、またはその誘導体、
-ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BII8S01 DSM 33233、またはその誘導体、
-ラクトバチルス・プランタラム LplBS01 DSM 33234、またはその誘導体、および
-ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)CNCM I-1572またはその誘導体、を含むかまたはそれからなる、FR3に記載の組成物。
【0096】
FR5.
前記混合物Mが以下の菌株:
-ビフィドバクテリウム・ビフィダム MIMBb23sg(またはBbflBS01)DSM 32708、またはその誘導体、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01 DSM 33231、またはその誘導体、
-ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02 DSM 33232、またはその誘導体、
-ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BII8S01 DSM 33233、またはその誘導体、
-ラクトバチルス・プランタラム LplBS01 DSM 33234、またはその誘導体、および
-ラクトバチルス・パラカゼイ LPC-S01(商標)DSM 26760またはその誘導体、を含むかまたはそれからなる、FR3に記載の組成物。
【0097】
FR6.
前記組成物が経口、舌下または頬、経粘膜、外用、直腸、皮膚または膣用に製剤化されており、好ましくは、経口用のために製剤化されている、FR1~5の何れか1項に記載の組成物。
【0098】
FR7.
前記組成物が医薬として使用するためのものである、FR1~6の何れか1項に記載の組成物。
【0099】
FR8.
前記組成物が機能性消化管疾患、障害および/または症状の予防および/または治療処置のための方法において使用するためのものである、FR1~6の何れか1項に記載の組成物。
【0100】
FR9.
前記組成物が過敏性腸症候群(IBS)、消化不良、胸焼け、食道、胃および十二指腸障害、小腸細菌異常増殖(SIBO)、準炎症状態を伴う消化管障害、を含むかまたはそれからなる群から選択される機能性消化管疾患、障害および/または症状の予防および/または治療処置のための方法において使用するためのものである、FR8に記載の組成物。
【0101】
FR10.
前記組成物が便秘型過敏性腸症候群(IBS)または下痢型過敏性腸症候群(IBS)または便秘と下痢の混合型過敏性腸症候群(IBS)または分類不能型過敏性腸症候群(IBS)の予防および/または治療処置のための方法において使用するためのものである、FR9に記載の組成物。
【0102】
FR11.
前記組成物が炎症性消化管疾患、障害および/または症状の予防および/または治療処置のための方法において使用するためのものである、FR1~6の何れか1項に記載の組成物。
【0103】
FR12.
前記組成物が慢性炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、憩室疾患、憩室炎、ヘリコバクター・ピロリ、消化性潰瘍または胃潰瘍、および十二指腸潰瘍を含むかまたはそれからなる群から選択される炎症性消化管障害、好ましくは慢性炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、憩室疾患、憩室炎から選択される炎症性消化管障害、の予防および/または治療処置のための方法において使用するための、FR11に記載の組成物。
【実施例
【0104】
実験部分
過敏性腸症候群(IBS)を患う患者の処置における6つの生菌株の組み合わせの有効性の評価:多施設共同試験、無作為化試験、二重盲検試験、並行群間比較試験、プラセボ対照試験。
【0105】
1.試験の目的
-第1の目的は、IBSを患う患者の腸内細菌叢に対する、本発明の6つのプロバイオティクス菌株の組み合わせサプリメント(組成物1)の効果を評価する事である。
-副次的な目的は:
1.IBSの症状に対する組成物1の効果を評価すること;
2.腹部の痛み/不快感に対する組成物1の効果を評価すること;
3.IBSを患う患者の日々の排便習慣に対する組成物1の効果を評価すること;
4.腸透過性に対する組成物1の効果を評価すること;
5.糞便試料中における組成物1の菌株の回収量を評価すること;
6.処置の総合的な満足度を評価すること;
7.患者の生活の質の変化を評価すること;
8.救急薬の摂取量を評価すること、である。
【0106】
すなわち、本試験は、以下を評価することを目的とする:
・過敏性腸症候群(IBS)を患う非便秘性患者の腹部症状に対する6つの生菌株の組み合わせ(本発明の組成物1)の効果;
・IBS症状の緩和;
・毎日の糞便の硬さ;
・処置に対する全体的な満足度;
・生活の質;
・心理的障害;
・救急薬の摂取量;
・腸内細菌叢の構成と代謝産物(メタボロミクス)-したがって、腸内細菌生態系レベルでの変化;
・腸透過性;
・糞便中の菌株の回収量;
・炎症経路の変化。
【0107】
血液中の微生物叢の解析可能性は、本試験の目的のための探索目標として検討されるはずである。
【0108】
2.実験デザイン
多施設共同試験、無作為化試験、二重盲検試験、並行群間比較試験、プラセボ対照試験。
推定の試験期間は約12ヶ月である。患者は他のどの試験手続きよりも先にインフォームドコンセントに署名し、および包含/除外基準を評価した後に採用される。各被験者につき、プロトコル(図1参照)において報告される要件に従って実施される6回の試験来院が予定されている。試験来院は以下:来院0(スクリーニング)、来院1(ベースライン/第1処置期間開始)、来院2(第1処置期間終了/ウォッシュアウト開始)、来院3(ウォッシュアウト終了/第2処置期間開始)、来院4(第2処置期間終了)、来院5(試験終了)によって実施される。被験者はスクリーニング来院で採用され、1週間のスクリーニング期間に入る。
したがって、適格であれば、ベースライン来院で無作為化手続きを受け、処置グループ(組成物1/プラセボまたはプラセボ/組成物1)に無作為に割り当てられる。各被験者は、活性製品(組成物1)またはプラセボを4週間投与される。4週間のウォッシュアウト期間の後、各被験者はさらに4週間の第2処置期間に入る。来院4(処置終了)後、患者は4週間のフォローアップフェーズを経て、試験終了(来院5)となる。各被験者は1日1回、1袋の活性製品(組成物1)またはプラセボを4週間服用する。
したがって、2つの処置シーケンスが特定される。
-シーケンス1(E-P):最初の処置期間に組成物1(E)を投与され、2回目の処置期間にプラセボ(P)を投与される患者。
-シーケンス2(P-E):最初の処置期間にプラセボ(P)を投与され、2回目の処置期間に組成物1を投与される患者。
【0109】
3.患者
年齢が18歳以上65歳以下であり、Rome IV基準に従って便秘型でないIBSと診断される(以下を参照)男性または女性患者。
IBSの診断基準とは、診断の6か月以上前から症状があり、過去3か月において、少なくとも週に一日腹痛が繰り返し起こり、かつ以下の項目の2つ以上に該当する:
1)排便と症状が関連する;
2)排便頻度の変化を伴う;
3)糞便の形状(外観)の変化を伴う、
便秘型でないIBSを患う患者は以下を含む:
1)下痢型IBS(IBS-D):排便の4分の1以上(25%)が糞便(ブリストル)1型または2型の形態である;
2)混合型の排便習慣を伴うIBS(IBS-M):排便の4分の1以上(25%)が糞便(ブリストル)1型または2型の形態であり、かつ排便の4分の1以上(25%)が糞便(ブリストル)6型または7型の形態である。
【0110】
4.包含基準
-18歳以上65歳以下
-Rome IV基準に従って下痢型でないIBSの診断が陽性であること(IBS-DおよびIBS-M、男女とも)
-スクリーニング来院前5年以内に行われた大腸内視鏡検査で、患者が少なくとも50歳の場合に陰性である、または患者が以下のアラームシグナルのうちの1つを有する場合:
1)過去6か月で顕著な体重減少の記録がある;または
2)夜に症状が現れる;または
3)大腸がんの家族歴がある;または
4)便に血が混じる(痔による血は除く)
-さらに関連するスクリーニングや診察(適切な場合)が陰性であること
-試験プロトコルを遵守する能力があること。
【0111】
5.除外基準
-Rome IV基準に従ってIBS-CまたはIBS-Uを患う患者である。
-いずれかの関連する器質性、全身性、または代謝性疾患(特に、心臓、腎臓、神経、精神、腫瘍、内分泌、代謝または肝疾患の重大な既往歴)またはランイン期間中に検出され、事前に定義した値に基づいて臨床的に重要であると考えられる検査値の異常がある場合(例えば:腎機能または肝機能の値が最高基準値の2倍以上であること)。
-食物アレルギーまたは炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、憩室疾患、感染性大腸炎、虚血性大腸炎、顕微鏡的大腸炎)を含む確立した器質性腸疾患がある。
-大きな腹部手術の経験がある。
-任意の種類の活性な悪性腫瘍をもつ、または悪性腫瘍の既往歴がある(外科的に除去されたその他の新生物の臨床歴があり、試験の採用前の少なくとも5年間は再発の証拠が無い患者は許容される)。
-確立された未処置の食物不耐症がある。
-病歴の評価または適当な乳糖呼気試験により定義される乳糖不耐症の疑いがある。
-過去1か月間にプロバイオティクス療法、または局所的/全身的な抗生物質療法を使用している。
-接触型下剤を頻繁にまたは定期的に使用している。
-妊娠中の女性、または有効な避妊法がない生殖年齢にある女性。
-プロトコルを遵守する能力がない場合。
-過去30日以内に実験薬による処置を受けている。
-最近、アルコールまたは薬物の乱用歴があるかまたはその疑いがある。
-Rome IV基準によるレッドフラッグまたはホワイトフラッグが存在する。
-機能性消化管障害の心理社会的アラーム質問票(Psychosocial Alarm Questionnaire)。
【0112】
6.処置
・ラクトバチルス・カゼイ DG(登録商標)、ラクトバチルス・プランタラム LplBS01、ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS01、ビフィドバクテリウム・ブレーベ BblBS02、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BII8S01、ビフィドバクテリウム・ビフィダム BbflBS01= MIMBb23sg)を含む本発明の組成物1を、1日あたり1用量(1カプセルまたは1袋)を4週間(約30×10CFU/用量、各菌株あたり約5×10CFU)投与する。
・組成物2(プラセボ)、組成物1と区別されない、1日1カプセル/1袋を4週間投与する。
【0113】
7.無作為化
採用され得る患者は一週間のランインフェーズに入り、そして来院1において彼らは無作為に1:1の比で組成物1(本発明の組成物)による処置、または微生物を含まない色および匂いの似た等価物(プラセボ)による処置に割り当てられ、一日に一度、4週間投与される。ランイン、処置、クロスオーバー、処置およびフォローアップ期間を含む臨床試験の設計を図1に示す。
【0114】
8.エンドポイント
主要なエンドポイント
ベースラインに対する糞便中の微生物叢の変化を、微生物多様性指標(αおよびβ多様性)、相対的分類的存在度および代謝産物の観点から評価する。
【0115】
副次的エンドポイント
1.IBS 症状の緩和(V1、V2、V3、V4、V5で評価したIBS 症状重症度スケール(IBS-SSS)スコアにより評価);
2.標準的な11段階の数値評価尺度(NRS)(0=なし~10=最悪の痛み)により評価した毎日の腹痛/不快感の評価;
3.ブリストル便性状スケール(Bristol Stool Form Scale)(BSFS)により評価した毎日の糞便の回数と硬さの評価;
4.ELISAテストによるゾヌリン血清、シトルリンおよびPV-1レベルの評価による腸管透過性の変化(血液サンプル);
5.qPCR特異的プライマーを用いた便検体中の組成物1に含まれる菌株の検出;
6.VAS スケールにより評価した処置に対する総合的な満足度;
7.短縮版の12項(SF-12)の妥当な健康調査による、0~100点のスケールでの生活の質の評価;
8.救急薬の摂取量の変化。
【0116】
安全性エンドポイント
9.IBS 患者の有害事象および試験中の重篤な有害事象の収集
10.試験中の併用薬
【0117】
探索的エンドポイント
ベースラインに対する血液中の微生物叢の変化を、微生物多様性指標(αおよびβ多様性)、相対的分類学的存在度の観点から評価する。
【0118】
9.解析対象集団と統計的考察
-最大の解析対象集団(Full Analysis set)(FAS)は全ての無作為化された患者からなる
-安全性解析対象集団(Safety set);少なくとも1回の試験処置投与を受け、および少なくとも1回ベースライン後の安全性評価を受けた全ての無作為化された患者からなる
-プロトコルに適合した解析対象集団(Protocol set)(PP):プロトコルに重大な違反がなく、試験を完了した全ての無作為化された患者からなる
-処置意図の原理による解析対象集団(Intention to Treat Set)(ITT):少なくとも1回の治験処置投与を受け、少なくとも1回のベースライン後の有効性評価を受けた全ての無作為化された患者からなる。
【0119】
本試験の主要なエンドポイントは、2つの試験群(組成物1とプラセボ)の間で記述的に比較される。また、探索的な目的のためにのみ、適切な推論分析を実施する。
【0120】
一般に、全ての変数は処置群および来院に関して記述的に分析される(連続変数についてはKolmogorov-Smirnov検定による分布の正規性の調整後の平均値、中央値、標準偏差、最小および最大値、カテゴリー変数については頻度分布)。全ての解析は、データベースロック(DBL)前にバージョン1.0として確定される統計解析計画書(SAP)に詳述される。詳細には、安全性および忍容性のデータには、(少なくとも)身体検査、バイタルサイン、臨床検査データおよび有害事象が含まれる。
図1
【国際調査報告】