(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(54)【発明の名称】指向要素を有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/22 20200101AFI20230214BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20230214BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20230214BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20230214BHJP
【FI】
A24D1/22
A24D1/20
A24F40/20
A24F40/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022535524
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2020084332
(87)【国際公開番号】W WO2021122010
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】モフセニ ファーハン
(72)【発明者】
【氏名】ナッピ レオナルド
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B045AB01
4B162AA03
4B162AA24
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC13
4B162AC23
(57)【要約】
指向要素を有するエアロゾル発生物品
エアロゾル発生物品(100)は、熱源(102)と、熱源(102)の下流のエアロゾル形成基体(104)と、エアロゾル形成基体の下流の気流指向要素(106)とを備える。気流指向要素は空気透過性セグメント(128)を備え、空気透過性セグメント(128)は空洞(109)を画定する。エアロゾル発生物品(100)は、空気がエアロゾル発生物品(100)の中に引き出されるのを可能にするための少なくとも一つの空気吸込み口(132)をさらに備える。エアロゾル発生物品(100)は、第一の気流経路および第二の気流経路を含む。第一の気流経路は、少なくとも一つの空気吸込み口(132)からエアロゾル形成基体(104)を通って、空洞(129)の遠位端の中に延びる。第二の気流経路は、少なくとも一つの空気吸込み口(132)から空気透過性セグメント(128)を通って、空洞(129)の遠位端の下流の地点で空洞(129)の中に延びる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
熱源と、
前記熱源の下流のエアロゾル形成基体と、
前記エアロゾル形成基体の下流の気流指向要素であって、空気透過性セグメントを備え、前記空気透過性セグメントが空洞を画定する、前記気流指向要素と、
空気が前記エアロゾル発生物品の中に引き出されるのを可能にするための少なくとも一つの空気吸込み口と、を備え、
前記エアロゾル発生物品が、第一の気流経路および第二の気流経路を含み、
前記第一の気流経路が、前記少なくとも一つの空気吸込み口から前記エアロゾル形成基体を通って、前記空洞の遠位端の中に延び、
前記第二の気流経路が、前記少なくとも一つの空気吸込み口から前記空気透過性セグメントを通って、前記空洞の前記遠位端の下流の地点で前記空洞の中に延び、前記少なくとも一つの空気吸込み口が、前記気流指向要素の遠位端の下流に位置する、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記空気透過性セグメントが、少なくとも0.05ミリグラム/立方ミリメートルの密度を有する材料を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記少なくとも一つの空気吸込み口が、前記気流指向要素の遠位端の下流3ミリメートル以下に位置する、請求項1または請求項2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記第一の気流経路が、前記少なくとも一つの空気吸込み口から前記空気透過性セグメントを通って、エアロゾル形成基体を通って前記空洞の前記遠位端の中に延びる、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記第二の気流経路が、前記少なくとも一つの空気吸込み口から前記空気透過性セグメントを通って、前記空洞の前記遠位端の下流の地点で前記空洞の中に直接延びる、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記少なくとも一つの空気吸込み口が、前記気流指向要素の遠位端の下流5ミリメートル以下に位置する、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記エアロゾル形成基体の下流端が、前記気流指向要素の上流端に当接する、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記空気透過性セグメントが円筒状の空気透過性セグメントであり、前記空洞が円筒状の空洞である、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記空洞が、円形状の断面、または正方形の断面、またはクローバー葉形状の断面を有する、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記空洞の長軸方向の断面積が、前記エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の少なくとも14パーセントである、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記空洞の前記長軸方向の断面積が、前記エアロゾル発生物品の前記長軸方向の総断面積の40パーセント以下である、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記空洞の前記長軸方向の断面積が、前記エアロゾル発生物品の前記長軸方向の総断面積の14パーセント~40パーセントである、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気流指向要素を備えるエアロゾル発生物品に関する。特に本発明は、気流指向要素を備える、かつ二つの気流経路を含むエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこが燃焼されるのではなく加熱される多くの喫煙物品は、当該技術分野において提案されてきた。一つの周知のタイプの加熱式喫煙物品において、可燃性熱源から、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体への熱の伝達によってエアロゾルが発生される。喫煙中、揮発性化合物は可燃性熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、また喫煙物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
空気は、可燃性熱源を通して提供された一つ以上の気流チャネルを通してこのような周知の加熱式喫煙物品の中に引き出されることができ、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達は、対流および伝導によって生じる。別の方法として、空気は、喫煙物品の長さに沿って配設された少なくとも一つの空気吸込み口を通して、周知の加熱式喫煙物品の中に引き出されうる。空気は少なくとも一つの空気吸込み口を通過して、エアロゾル形成基体に直接向かいうる。この例において、熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達は、主に伝導によって生じうる。
【0004】
他の周知の喫煙物品は、エアロゾル形成基体の下流に構成要素を備える。例えば、エアロゾル発生物品などの一部の周知の喫煙物品は、エアロゾル形成基体の下流に気流指向要素を備えうる。加えて、こうしたエアロゾル発生物品は、空気が気流指向要素に直接移動することを可能にするように配設された少なくとも一つの空気吸込み口を含んでもよい。気流指向要素は、空気が少なくとも一つの空気吸込み口から、気流指向要素の第一の部分を通って、エアロゾル形成基体に移動し、次いで気流指向要素の第二の部分を通過することを可能にするように構成されうる。結果として、こうした気流指向要素は、空気が最初にエアロゾル形成基体を通過することなく、第一の部分から第二の部分に直接移動するのを防止するための空気不透過性バリアを備えうる。しかしながら、上述の方法で気流を方向付ける気流指向要素を提供することは、技術的に厳しい場合がある、または設計が困難でありうる。
【0005】
製造がより単純であるが、エアロゾル形成基体からの揮発性成分の許容可能な送達を依然として提供するエアロゾル発生物品を提供することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様によると、熱源と、熱源の下流にあるエアロゾル形成基体とを備えるエアロゾル発生物品が提供されている。
【0007】
エアロゾル発生物品は気流指向要素をさらに備えてもよい。気流指向要素はエアロゾル形成基体の下流に提供されてもよい。気流指向要素は、空洞を画定する空気透過性セグメントを備えてもよい。エアロゾル発生物品は、空気がエアロゾル発生物品の中に引き出されるのを可能にするための少なくとも一つの空気吸込み口をさらに備えてもよい。少なくとも一つの空気吸込み口の提供は、空気が可燃性熱源を通して提供された気流チャネルに沿って移動する必要性を防止しうる。これは有利なことに、ユーザーによる吸煙中に、可燃性熱源の燃焼の活性化を実質的に防止または阻止しうる。これは、ユーザーによる吸煙中に、エアロゾル形成基体の温度の急上昇を実質的に防止または阻止しうる。
【0008】
エアロゾル発生物品は第一の気流経路を含んでもよく、第一の気流経路は、少なくとも一つの空気吸込み口からエアロゾル形成基体を通って、空洞の遠位端の中に延びてもよい。これは有利なことに、第一の気流経路を通過する空気が、エアロゾル発生物品を出る前に、エアロゾル形成基体からのエアロゾルと同伴されることを可能にする。
【0009】
エアロゾル発生物品は第二の気流経路を含んでもよく、第二の気流経路は、少なくとも一つの空気吸込み口から空気透過性セグメントを通って、空洞の遠位端の下流の地点で空洞の中に延びてもよい。第二の気流経路の提供は、少なくとも一つの空気吸込み口を通ってエアロゾル発生物品に入る空気のある割合が、第一の気流経路に沿って移動しうることと、少なくとも一つの空気吸込み口を通ってエアロゾル発生物品に入る空気のある割合が第二の気流経路に沿って移動しうることとを意味する場合がある。
【0010】
第一および第二の気流経路の提供は、気流指向要素に空気不透過性バリアを含める必要性を防止する。これは有利なことに、気流指向要素の製造を単純化しうる。さらに、本発明の発明者らは、第一および第二の気流経路のそれぞれを通過する空気の割合を制御することによって、ユーザーに送達されるエアロゾルの特性を制御しうることを見いだした。
【0011】
本発明の第一の態様によると、好ましくは熱源と、熱源の下流のエアロゾル形成基体と、エアロゾル形成基体の下流の気流指向要素とを備えるエアロゾル発生物品が提供されている。気流指向要素は空気透過性セグメントを備え、空気透過性セグメントは空洞を画定する。エアロゾル発生物品は、空気がエアロゾル発生物品の中に引き出されるのを可能にするための少なくとも一つの空気吸込み口をさらに備える。エアロゾル発生物品は、第一の気流経路および第二の気流経路を含む。第一の気流経路は、少なくとも一つの空気吸込み口からエアロゾル形成基体を通って、空洞の遠位端の中に延びる。第二の気流経路は、少なくとも一つの空気吸込み口から空気透過性セグメントを通って、空洞の遠位端の下流の地点で空洞の中に延びる。
【0012】
本発明によるエアロゾル発生物品の提供は、先行技術に伴う欠点の多くを克服しうる。
【0013】
少なくとも一つの空気吸込み口の提供は有利なことに、ユーザーによる吸煙中に、可燃性熱源の燃焼の活性化を実質的に防止または阻止しうる。これは、ユーザーによる吸煙中に、エアロゾル形成基体の温度の急上昇を実質的に防止または阻止しうる。可燃性熱源の燃焼の活性化を防止または阻止すること、およびエアロゾル形成基体における過剰な温度上昇を防止または阻止することなどによって、激しい吸煙状態下でのエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解は有利なことに、回避される場合がある。加えて、ユーザーの吸煙状態が主流エアロゾルの組成物に及ぼす影響は有利なことに、最小化または低減される場合がある。
【0014】
先行技術の喫煙物品と異なり、本発明のエアロゾル発生物品は、空気が最初にエアロゾル形成基体を通過することなく、第一の部分から第二の部分に直接移動することを防止する空気不透過性バリアを有する気流指向要素を含まない。その代わりに、少なくとも一つの空気吸込み口に入る空気は、少なくとも一つの空気吸込み口から空気透過性セグメントを通って、空洞の遠位端の下流の地点で空洞の中に延びる第二の気流経路に従ってもよい。これは有利なことに、エアロゾル発生物品の製造を単純化しうる。以下で論じる通り、本発明の発明者は、空洞の断面積および少なくとも一つの空気吸込み口の位置などのパラメータを慎重に制御することによって、エアロゾル形成基体からの揮発性成分の許容可能な送達を維持しながら、これを達成した。
【0015】
さらに、本発明の発明者らは、第一および第二の気流経路に従う空気の割合は、ニコチンおよびエアロゾル形成体の送達を最適化するために制御されうることを見いだした。以下でより詳細に示す通り、これは、空洞の直径と少なくとも一つの空気吸込み口の位置とのうちの少なくとも一つを制御することによって達成されうる。
【0016】
使用時、熱源からの熱は伝導によってエアロゾル形成基体に伝達される。エアロゾル形成基体の加熱は、ニコチンおよびエアロゾル形成体などの揮発性成分の放出を引き起こしうる。エアロゾル形成体はグリセリンを含んでもよい。少なくとも一つの空気吸込み口を通して空気がエアロゾル発生物品の中に引き出される時、空気は第一の気流経路に従うか、または第二の気流経路に従う。
【0017】
第一の気流経路に従う空気はエアロゾル形成基体を通過し、エアロゾル形成基体から放出される揮発性化合物を同伴してエアロゾルを形成する。次にエアロゾルは、空洞の上流端を通って空洞の中に移動し、空洞を通過してエアロゾル発生物品から出る。
【0018】
少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の下流に位置する場合、第二の気流経路に従う空気は、エアロゾル形成基体を通過することなく、空気透過性セグメントから空洞に直接移動しうる。少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の上流に位置する場合、第二の気流経路に従う空気は、空気透過性セグメントの中に移動する前に、エアロゾル形成基体を通過しうる。いずれの場合でも、第二の気流経路に従う空気は、空気透過性セグメントから、空洞の遠位端の下流の地点で空洞の中に移動する。次いで、この空気は、空洞に沿って空洞の下流端に向かって移動し、エアロゾル発生物品から出る。
【0019】
製造の簡素化に加えて、本発明の発明者らは驚くべきことに、エアロゾル発生物品を通る気流が、空洞の直径と少なくとも一つの空気吸込み口の位置とを変えることによって効果的に制御されうることを見いだした。これは、空気不透過性の部材(管など)の使用によって気流が制御される先行技術のエアロゾル発生物品と大いに異なる。
【0020】
このようにエアロゾル発生物品を通る気流を制御することによって、エアロゾル形成基体からの揮発性化合物の送達。揮発性成分の例としては、ニコチンおよびエアロゾル形成体が挙げられる。例えば、空洞の直径と少なくとも一つの空気吸込み口の位置とを制御することによって、ニコチンおよびエアロゾル形成体の送達を最適化しうる。
【0021】
本発明に関連して本明細書で使用される「空気透過性セグメント」という用語は、空気が空気透過性セグメントを通過するのを完全に遮断するように遮断されたり、塞がれたり、密封されたりしないセグメントを指す。従って、空気透過性セグメントのそれぞれの部分は、有限な引き出し抵抗を有する。このようなプラグまたはシールのない空気透過性セグメントの製造は有利なことに、製造上の複雑さを低減する。加えて、このようなプラグまたはシールのない空気透過性セグメントの製造は有利なことに、エアロゾル発生物品での使用にとっての適合性を決定するために、シールの形成で使用するための材料を選択および試験する面倒な手順を行う必要性を低減する、または無くすことができる。特定の好ましい実施形態において、空気透過性セグメントは、空気が空気透過性セグメントの上流端から下流端に通過することを可能にするように開口している。
【0022】
空気透過性セグメントは任意の適切な材料を含んでもよいが、その材料が、気流経路に従う空気の通過を可能にするのに十分に透過性であることを条件とする。空気透過性セグメントは繊維性材料を含んでもよい。空気透過性セグメントは多孔性材料を含んでもよい。空気透過性セグメントは、実質的に均一に分布したセルロースアセテートトウ、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸、ビスコース、ポリプロピレン、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含んでもよい。空気透過性セグメントに提供されるセルロースアセテートトウの密度を、空気透過性セグメントの部分の引き出し抵抗を制御するために使用してもよい。空気透過性セグメントは中空のアセテート管を備えてもよい。空気透過性セグメントが中空のアセテート管を備える場合、管の内表面は空洞を画定する。管の内表面はまた、空気が空気透過性セグメントから空洞の中に移動することができるように、空気透過性である。
【0023】
空気透過性セグメントは、少なくとも約0.05ミリグラム/立方ミリメートルの密度を有する材料を含んでもよい。例えば、空気透過性セグメントは、少なくとも約0.1ミリグラム/立方ミリメートル、または少なくとも約0.15ミリグラム/立方ミリメートルの密度を有する材料を含んでもよい。空気透過性セグメントは、少なくとも約0.18ミリグラム/立方ミリメートルの密度を有する材料を含むことが好ましい。
【0024】
空気透過性セグメントは繊維性材料を含んでもよい。例えば、空気透過性セグメントは、セルロースアセテート繊維を含んでもよい。空気透過性セグメントは添加剤を含んでもよい。例えば、空気透過性セグメントは、トリアセチンなどの可塑剤を含んでもよい。
【0025】
気流指向要素は、空洞を画定する空気透過性セグメントを備える。気流指向要素は追加の構成要素を備えてもよい。例えば、気流指向要素は、空気透過性セグメントを包囲する、または囲む少なくとも一つの要素を備えてもよい。追加の構成要素は空気透過性であってもよい。追加の構成要素は空気不透過性であってもよい。追加の構成要素は任意の厚さを有してもよい。
【0026】
空気透過性セグメントおよび任意の追加の構成要素を含む気流指向要素の総断面積は、エアロゾル発生物品の総断面積と同じであってもよく、または実質的に同じであってもよい。空気透過性セグメントおよび任意の追加の構成要素を含む気流指向要素の総断面積は、エアロゾル発生物品の総断面積と実質的に同じであり、差異は、気流指向要素を囲む少なくとも一つのラッパーによって説明されうる。この例において、エアロゾル発生物品の総断面積は、空気透過性セグメントおよび任意の追加の構成要素を含む気流指向要素の総断面積と、少なくとも一つのラッパーの断面積とから成る。
【0027】
本発明に関連して本明細書で使用される「気流経路」という用語は、空気が沿ってエアロゾル発生物品を通して引き出されうる経路を記述するために使用される。
【0028】
本発明に関連して本明細書で使用される「上流」および「前方」、ならびに「下流」および「後方」という用語は、エアロゾル発生物品の使用中にエアロゾル発生物品を通って空気が流れる方向に関連して、エアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の一部分の相対的な位置を記述するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品は、使用時にエアロゾルが通って物品を抜け出る近位端を備える。エアロゾル発生物品の近位端はまた、口側端または下流端と呼ばれる場合がある。口側端は遠位端の下流である。熱源は遠位端に、またはその近傍に位置する。エアロゾル発生物品の遠位端はまた、上流端と呼ばれる場合がある。エアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分は、エアロゾル発生物品の近位端とエアロゾル発生物品の遠位端との間のこれらの相対的な位置に基づいて、互いの上流または下流にあると記述されうる。エアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の一部の前方は、エアロゾル発生物品の上流端に最も近い端にある部分である。エアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の一部の後方は、エアロゾル発生物品の下流端に最も近い端にある部分である。
【0029】
気流指向要素およびエアロゾル形成基体は、第一の気流経路を画定してもよい。
【0030】
これは有利なことに、第一の気流経路に従う空気が、エアロゾル形成基体からの揮発性化合物を同伴することを確実にしうる。
【0031】
少なくとも一つの空気吸込み口は、気流指向要素の遠位端の下流に位置してもよい。この場合、少なくとも一つの空気吸込み口を通ってエアロゾル発生物品に入る空気は、エアロゾル指向要素の中に直接移動してもよい。
【0032】
少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の下流に位置する場合、少なくとも一つの空気吸込み口を通ってエアロゾル発生物品に入る空気は、空気透過性セグメントの中に直接移動してもよい。
【0033】
第一の気流経路は、少なくとも一つの空気吸込み口から空気透過性セグメントを通って、エアロゾル形成基体を通って、空洞の遠位端の中に延びてもよい。
【0034】
第二の気流経路は、少なくとも一つの空気吸込み口から空気透過性セグメントを通って、空洞の遠位端の下流の地点で空洞の中に直接延びてもよい。
【0035】
少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の下流に位置する場合、第二の気流経路に従う空気は、エアロゾル形成基体を通過しない。従って、第二の気流経路に従う空気は、エアロゾル形成基体からのいかなる揮発性化合物も直接同伴しない場合がある。第二の気流経路に従う空気は空洞の遠位端の下流の地点で空洞の中に移動する時に、エアロゾルを希釈してもよい。
【0036】
少なくとも一つの空気吸込み口は、気流指向要素の遠位端の下流の任意の地点に位置してもよい。少なくとも一つの空気吸込み口は、気流指向要素の遠位端と近位端の間に位置してもよい。少なくとも一つの空気吸込み口は、エアロゾル指向要素の遠位端の下流5ミリメートル以下に位置してもよい。
【0037】
例えば、少なくとも一つの空気吸込み口は、気流指向要素の遠位端の下流3ミリメートル以下に位置してもよい。
【0038】
これは、少なくとも一つの空気吸込み口の中に移動する空気のある割合が、第二の気流経路に従うエアロゾル形成基体を通過することを確実にするのに役立ちうる。これは有利なことに、空気がエアロゾル発生物品を通過する際、より多くの量の揮発性化合物が空気に同伴されることにつながりうる。
【0039】
少なくとも一つの空気吸込み口は、気流指向要素の遠位端の上流に位置してもよい。この場合、少なくとも一つの空気吸込み口を通ってエアロゾル発生物品に入る空気は、エアロゾル形成基体の中に直接移動し、その前には空気透過性セグメントまたは空洞の遠位端のいずれかの中に移動してもよい。
【0040】
気流指向要素の遠位端の上流に位置する少なくとも一つの空気吸込み口の提供は、空気がエアロゾル形成基体のより暖かい部分を通過することを確実にしうる。これは有利なことに、エアロゾル形成基体を通過する空気に、より大量の揮発性化合物が同伴されることを可能にしうる。
【0041】
第一の気流経路は、少なくとも一つの空気吸込み口からエアロゾル形成基体を通って、空洞の遠位端の中に延びてもよい。
【0042】
第二の気流経路は、少なくとも一つの空気吸込み口からエアロゾル形成基体を通って、空気透過性セグメントを通って、空洞の遠位端の下流の地点で空洞の中に延びてもよい。
【0043】
少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の上流に位置する場合、第一の気流経路と第二の気流経路の両方はエアロゾル形成基体を通過する。従って、第一の気流経路と第二の気流経路の両方に従う空気は、エアロゾル形成基体からの揮発性化合物を直接同伴しうる。これは有利なことに、エアロゾル中の揮発性化合物の濃度を増加させうる。
【0044】
少なくとも一つの空気吸込み口は、気流指向要素の遠位端の上流の任意の地点に位置してもよい。少なくとも一つの空気吸込み口は、エアロゾル形成基体の遠位端と近位端の間に位置してもよい。少なくとも一つの空気吸込み口は、エアロゾル指向要素の遠位端の上流5ミリメートル以下に位置してもよい。
【0045】
例えば、少なくとも一つの空気吸込み口は、気流指向要素の遠位端の上流3ミリメートル以下に位置してもよい。
【0046】
少なくとも一つの上流空気吸込み口は、任意の数または構成の空気吸込み口を備えてもよい。少なくとも一つの空気吸込み口は、単一の空気吸込み口を含んでもよい。例えば、少なくとも一つの空気吸込み口は、スリットを備えてもよい。スリットは、エアロゾル発生装置の周囲に配設されてもよく、またはエアロゾル発生装置の長軸方向軸に沿って配設されてもよい。
【0047】
少なくとも一つの空気吸込み口は、複数の空気吸込み口を含んでもよい。例えば、少なくとも一つの空気吸込み口は、円周列、長軸方向の列、または任意の他のパターンに配設された複数の空気吸込み口を含んでもよい。少なくとも一つの空気吸込み口が少なくとも一つの列の空気吸込み口を含む場合、各列は複数の空気吸込み口を備えてもよい。少なくとも一つの列の空気吸込み口は、エアロゾル発生物品を囲んでもよい。空気が空気吸込み口を通過してエアロゾル形成基体または気流指向要素のいずれかに向かうことができるように、それぞれの個別の空気吸込み口は外側ラッパー(および任意の他のラッパー)に穴を構成しうる。少なくとも一つの列の空気吸込み口が、複数の列の空気吸込み口を含む場合、空気吸込み口の隣接した列は、0.5ミリメートル~6ミリメートルだけ分離されてもよい。空気吸込み口の隣接した列は、1ミリメートルだけ分離されてもよい。
【0048】
少なくとも一つの空気吸込み口が複数の空気吸込み口を含む場合、少なくとも一つの空気吸込み口は、複数のスリットを備えてもよい。例えば、少なくとも一つの空気吸込み口は、少なくとも第一のスリットおよび第二のスリットを備えてもよい。隣接したスリットは、0.5ミリメートル~6ミリメートルだけ分離されてもよい。隣接したスリットは、1ミリメートルだけ分離されてもよい。
【0049】
少なくとも一つの空気吸込み口は、複数の空気吸込み口ゾーンを備えてもよい。第一の空気吸込み口ゾーンは、気流指向要素の遠位端の下流に位置してもよい。第二の空気吸込み口ゾーンは、気流指向要素の遠位端の上流に位置してもよい。
【0050】
エアロゾル形成基体の下流端は、気流指向要素の上流端に当接してもよい。
【0051】
これは、空気透過性セグメントからエアロゾル形成基体に向かって移動する空気を、ギャップの中に移動するのではなく、エアロゾル形成基体の中に移動して、その後空洞の中に直接移動するように強制しうる。これは有利なことに、少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の下流に位置する第一の気流経路に、より多くの量の揮発性化合物が同伴されることにつながりうる。
【0052】
空気透過性セグメントは任意の形状を有してもよい。例えば、空気透過性セグメントはプリズムの形状を有してもよい。空気透過性セグメントは、円筒状の空気透過性セグメントであってもよい。
【0053】
空洞は任意の形状を有してもよい。例えば、空洞はプリズムの形状を有してもよい。空洞は円筒状の空洞であってもよい。
【0054】
空気透過性セグメントは円筒状の空気透過性セグメントであってもよく、空洞は円筒状の空洞であってもよい。
【0055】
空洞は空気透過性セグメント内の中心に位置してもよい。空洞の長軸方向軸は、空気透過性セグメントの長軸方向軸に平行であってもよい。
【0056】
空洞は任意の断面形状を有してもよい。例えば、空洞は、円形状の断面、または正方形の断面、またはクローバー葉形状の断面を有してもよい。
【0057】
空洞は、空気透過性セグメントと同じ外側断面形状を有してもよい。
【0058】
空洞の長軸方向の断面積は、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の少なくとも14パーセントであってもよい。この場合、空洞は、エアロゾル発生物品の総断面積の少なくとも14パーセントを占める。
【0059】
例えば、空洞の長軸方向の断面積は、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の少なくとも18パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも25パーセント、少なくとも27パーセント、少なくとも30パーセント、または少なくとも35パーセントであってもよい。
【0060】
エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の少なくとも14パーセントの断面積を有する空洞の提供は有利なことに、ニコチンおよびエアロゾル形成体などの揮発性成分の送達を最大化しうる。理論に拘束されることを望むものではないが、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積に対してより小さい断面積を有する空洞の提供は、エアロゾルが気流指向要素の下流端に向かって空洞に沿って移動する際、揮発性化合物のある割合がエアロゾルから取り除かれることにつながりうる。加えて、少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の上流に位置する場合、エアロゾル形成基体からの揮発性化合物を同伴した、第二の気流経路に従う空気は、空洞の遠位端の下流の地点で空洞の中に移動する前に、空気透過性セグメントを通ってより長い距離を移動しなければならない。これは、より高い割合の揮発性化合物がエアロゾルから取り除かれることにつながりうる。
【0061】
その結果、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積に対して空洞の断面積を増大させることは、空気透過性セグメントによって取り除かれる揮発性化合物の割合を低減することによって、揮発性化合物の送達を増加させうる。
【0062】
空洞の長軸方向の断面積は、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の40パーセント以下であってもよい。この場合、空洞はエアロゾル発生物品の総断面積の40パーセント以下を占める。
【0063】
例えば、空洞の長軸方向の断面積は、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の35パーセント以下、または30パーセント以下であってもよい。
【0064】
エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の40パーセント以下の断面積を有する空洞の提供は有利なことに、ニコチンおよびエアロゾル形成体などの揮発性成分の送達を最大化しうる。理論に拘束されることを望むものではないが、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積に対してより大きい断面積を有する空洞の提供は、第二の気流経路に従う空気のより大きい割合につながりうる。少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の下流に位置する場合、これは、より大きい割合の空気がエアロゾル形成基体を全く通過しないことを意味する場合があり、第二の気流経路に従う空気がエアロゾル形成基体からの揮発性化合物を同伴しないであろうことを意味する。さらに、少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の上流に位置する場合、これは、空気が空洞の遠位端の中に移動する前に、少なくとも一つの空気吸込み口を通ってエアロゾル形成基体に入ると、第一の気流経路に従う空気が、より少ないエアロゾル形成基体を通過することを意味する場合がある。これは、第二の気流経路に従う空気に同伴される揮発性化合物がより少なくなることにつながりうる。
【0065】
その結果、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積に対して空洞の断面積を減少させることは、エアロゾル形成基体を通してより多くの空気を強制することによって、揮発性化合物の送達を増加させうる。
【0066】
空洞の長軸方向の断面積は、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の14パーセント~40パーセントであってもよい。
【0067】
例えば、空洞の長軸方向の断面積は、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の18パーセント~35パーセント、30パーセント~40パーセント、30パーセント~35パーセント、35パーセント~40パーセント、20パーセント~35パーセント、または25パーセント~30パーセントであってもよい。
【0068】
一部の好ましい実施形態において、空洞の長軸方向の断面積は、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の約27パーセントである。
【0069】
上記に示した通り、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積に対して大きい長軸方向の断面積を有する空洞を提供することは、エアロゾル形成基体を通って流れる空気の減少をもたらしうるが、空気透過性セグメントによってエアロゾルから取り除かれる揮発性化合物の減少ももたらしうる。逆に、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積に対して小さい長軸方向の断面積を有する空洞を提供することは、空気透過性セグメントによってエアロゾルから取り除かれる揮発性化合物の増加をもたらしうるが、エアロゾル形成基体を通って流れる空気の増加ももたらしうる。
【0070】
これらの競合因子を念頭に置いて、本発明の発明者らは、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の14パーセント~40パーセントの長軸方向の断面積を有する空洞が、これらの効果の間の最適なバランスを表すことを見いだした。エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の14パーセント~40パーセントの長軸方向の断面積を有する空洞の提供は、ニコチンおよびエアロゾル形成体などの揮発性成分の最適な送達を提供しうる。
【0071】
気流指向要素は、約5ミリメートル~約9ミリメートルの直径を有してもよい。例えば、気流指向要素は、約5.4ミリメートル~約8.1ミリメートルの直径を有してもよい。例えば、エアロゾル発生物品は約7.8ミリメートルの直径を有してもよい。
【0072】
気流指向要素は、少なくとも19平方ミリメートルの長軸方向の断面積を有してもよい。例えば、気流指向要素は、少なくとも25平方ミリメートル、または少なくとも30平方ミリメートルの長軸方向の断面積を有してもよい。
【0073】
気流指向要素は、50平方ミリメートル以下の長軸方向の断面積を有してもよい。例えば、気流指向要素は、40平方ミリメートル以下、または35平方ミリメートル以下の長軸方向の断面積を有してもよい。
【0074】
気流指向要素は、19平方ミリメートル~50平方ミリメートル、25平方ミリメートル~40平方ミリメートル、および30平方ミリメートル~35平方ミリメートルの長軸方向の断面積を有してもよい。
【0075】
気流指向要素は、40平方ミリメートルの長軸方向の断面積を有してもよい。
【0076】
空洞は、少なくとも1ミリメートルの直径を有してもよい。例えば、空洞は、少なくとも2ミリメートル、または少なくとも3ミリメートルの直径を有してもよい。
【0077】
空洞は、6ミリメートル以下の直径を有してもよい。例えば、空洞は、5ミリメートル以下、または4ミリメートル以下の直径を有してもよい。
【0078】
空洞は、4ミリメートルの直径を有してもよい。
【0079】
空洞は、少なくとも3平方ミリメートルの長軸方向の断面積を有してもよい。例えば、空洞は、少なくとも5平方ミリメートル、または少なくとも10平方ミリメートルの長軸方向の断面積を有してもよい。
【0080】
空洞は、30平方ミリメートル以下の長軸方向の断面積を有してもよい。例えば、空洞は、20平方ミリメートル以下、または15平方ミリメートル以下の長軸方向の断面積を有してもよい。
【0081】
空洞は、3平方ミリメートル~30平方ミリメートル、5平方ミリメートル~20平方ミリメートル、および10平方ミリメートル~15平方ミリメートルの長軸方向の断面積を有してもよい。
【0082】
空洞は、12平方ミリメートルの長軸方向の断面積を有してもよい。
【0083】
気流指向要素は、任意の長さを有してもよい。例えば、気流指向要素は、10ミリメートル~40ミリメートル、15ミリメートル~35ミリメートル、または20ミリメートル~30ミリメートルの長さを有してもよい。気流指向要素は、25ミリメートルの長さを有してもよい。
【0084】
熱源は任意の熱源であってもよい。熱源は単回使用の熱源であってもよい。熱源は複数回使用の熱源であってもよい。熱源は可燃性熱源、化学的熱源、電気的熱源、または任意の他の熱源であってもよい。熱源は可燃性熱源であってもよい。
【0085】
熱源はブラインド熱源であってもよい。熱源はブラインド可燃性熱源であってもよい。
【0086】
本発明に関連して本明細書で使用される「ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前方端面から後方端面まで延びる気流チャネルを備えない熱源を記述する。本発明に関連して本明細書で使用される「ブラインド」という用語はまた、可燃性熱源の前方端面から可燃性熱源の後方端面に延びる一つ以上のチャネルを含む可燃性熱源を記述するために使用され、その場合、可燃性熱源の後方端面とエアロゾル形成基体バリアの間の可燃性の実質的に空気不透過性のバリアは、空気が可燃性熱源の長さに沿って一つ以上の気流チャネルを通して引き出されるのを防止する。
【0087】
使用時、ブラインド可燃性熱源を備える本発明によるエアロゾル発生物品の第一または第二の気流経路に沿って引き出された空気は、ブラインド可燃性熱源に沿ったいかなる気流チャネルも通過しない。ブラインド可燃性熱源を通る気流チャネルの欠如は有利なことに、ユーザーによる吸煙中のブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を実質的に防止または阻止する。これは、ユーザーによる吸煙中に、エアロゾル形成基体の温度の急上昇を実質的に防止または阻止する。ブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を防止または阻止すること、およびそのようにしてエアロゾル形成基体における過剰な温度上昇を防止または阻止することによって、激しい吸煙状態下でのエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解は有利なことに回避されうる。加えて、ユーザーの吸煙状態が主流エアロゾルの組成物に及ぼす影響は有利なことに、最小化または低減される場合がある。
【0088】
また、ブラインド可燃性熱源を含めることは有利なことに、ブラインド可燃性熱源の点火中および燃焼中に形成される燃焼生成物、分解生成物、他の材料が、エアロゾル発生物品の使用中に本発明によるエアロゾル発生物品を通して引き出された空気に入るのを実質的に阻止または抑制しうる。これは、ブラインド可燃性熱源がブラインド可燃性熱源の点火または燃焼を補助するために一つ以上の添加剤を含む場合、特に有益である。
【0089】
ブラインド可燃性熱源を備える本発明によるエアロゾル発生物品において、ブラインド可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達は、主に伝導によって生じる。強制対流によるエアロゾル形成基体の加熱は最小化される、または減少される。これは有利なことに、本発明による物品の主流エアロゾルの組成物に及ぼすユーザーの吸煙状態の影響を最小化する、または低減するのに役立ちうる。
【0090】
熱源は固体熱源であってもよい。
【0091】
本発明に関連して本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱に伴い放出する能力を有する基体を記述するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から発生したエアロゾルは、可視または不可視であってもよく、ベイパー(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の、気体状態の微粒子)、ならびに気体および凝縮されたベイパーの液滴を含んでもよい。
【0092】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素の両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は一つ以上のエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例としては、グリセリンおよびプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料を含むロッドであってもよい。
【0094】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、膨化たばこのうちの一つ以上を含有する、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ状撚糸、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態であってもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供されてもよい。例えば、固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料は、紙または他のラッパー内に包含され、かつプラグの形態を有してもよい。エアロゾル形成基体がプラグの形態である場合、任意のラッパーを含むプラグ全体がエアロゾル形成基体であると考えられる。
【0095】
固体エアロゾル形成基体は、その固体エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0096】
固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ状撚糸、細片、またはシートの形態を取ってもよい。固体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は担体の表面全体上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するために、あるパターンで堆積されてもよい。
【0097】
エアロゾル形成基体は、紙または他のラッパーによって囲まれた加熱に反応して揮発性化合物を発する能力を有する材料を含むプラグまたはセグメントの形態であってもよい。エアロゾル形成基体がこうしたプラグまたはセグメントの形態である場合、任意のラッパーを含むプラグまたはセグメントの全体は、エアロゾル形成基体であると見なされる。
【0098】
エアロゾル形成基体は、約5ミリメートル~約20ミリメートルの長さを有することが好ましい。特定の実施形態において、エアロゾル形成基体は、約6ミリメートル~約15ミリメートルの長さ、または約7ミリメートル~約12ミリメートルの長さを有してもよい。
【0099】
エアロゾル形成基体はプラグラップ内にラップされたたばこ由来材料のプラグを備えてもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体はプラグラップ内にラップされた均質化したたばこ由来材料のプラグを備える。
【0100】
エアロゾル発生物品は、熱源の後方部分とエアロゾル形成基体の隣接した前方部分との周りにある、およびそれらと直に接触している熱伝導性要素を備えてもよい。熱伝導性要素は燃焼抵抗性であることが好ましい。
【0101】
熱伝導性要素は、可燃性熱源の後方部分とエアロゾル形成基体の前方部分との両方の周囲の周りにあってもよく、それらと直に接触していてもよい。熱伝導性要素は、エアロゾル発生物品のこれらの二つの構成要素間の熱リンクを提供しうる。
【0102】
本発明によるエアロゾル発生物品での使用に適切な熱伝導性要素には、金属箔ラッパー(例えば、アルミ箔ラッパー、鋼鉄ラッパー、鉄箔ラッパー、銅箔ラッパーなど)、および金属合金箔ラッパーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
熱源が可燃性熱源である場合、熱伝導性要素によって包囲された可燃性熱源の後方部分は、長さが約2ミリメートル~約8ミリメートル、より好ましくは長さが約3ミリメートル~約5ミリメートルであってもよい。
【0104】
可燃性熱源の前方部分は、熱伝導要素によって包囲されていない場合がある。熱伝導性要素によって包囲されていない可燃性熱源の前方部分は、長さが約4ミリメートル~約15ミリメートル、より好ましくは長さが約4ミリメートル~約8ミリメートルであってもよい。
【0105】
エアロゾル形成基体は、熱伝導性要素を越えて下流に少なくとも約3ミリメートル延びてもよい。
【0106】
熱伝導性要素によって包囲されたエアロゾル形成基体の前方部分は、長さが約2ミリメートル~約10ミリメートル、より好ましくは長さが約3ミリメートル~約8ミリメートル、最も好ましくは長さが約4ミリメートル~約6ミリメートルであってもよい。熱伝導性要素によって包囲されていないエアロゾル形成基体の後方部分は、長さが約3ミリメートル~約10ミリメートルであってもよい。言い換えれば、エアロゾル形成基体は、熱伝導性要素を越えて下流に約3ミリメートル~約10ミリメートル延びることが好ましい。エアロゾル形成基体は、熱伝導性要素を越えて下流に少なくとも約4ミリメートル延びることがより好ましい。
【0107】
エアロゾル形成基体は、熱伝導性要素を越えて下流に3ミリメートル未満延びてもよい。
【0108】
エアロゾル形成基体の全長は、熱伝導性要素によって包囲されてもよい。
【0109】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体および気流指向要素の下流に膨張チャンバーを備えてもよい。膨張チャンバーを含めることは有利なことに、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達によって発生したエアロゾルのさらなる冷却を可能にしてもよい。膨張チャンバーは有利なことに、膨張チャンバーの長さの適切な選択によって、本発明によるエアロゾル発生物品の全長を所望の値に調整することを可能にしてもよい。膨張チャンバーは細長い中空管であってもよい。
【0110】
エアロゾル発生物品は、エアロゾルをさらに冷却するように構成されたフィルターセグメントを備えてもよい。フィルターセグメントはPLAを含んでもよい。
【0111】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体および気流指向要素の下流に、かつ存在する場合に膨張チャンバーの下流にマウスピースを備えてもよい。マウスピースは濾過効率が低い、または濾過効率が非常に低くてもよい。マウスピースは単一のセグメントまたは構成要素のマウスピースであってもよい。マウスピースは複数のセグメントのマウスピースであっても、または複数の構成要素のマウスピースであってもよい。
【0112】
マウスピースは、セルロースアセテート、紙または他の適切な周知の濾過材料で作製されたフィルターを備えてもよい。マウスピースは吸収剤、吸着剤、風味剤、他のエアロゾル変性剤および添加剤、またはその組み合わせを含む一つ以上のセグメントを備えてもよい。
【0113】
エアロゾル発生物品は、約5ミリメートル~約9ミリメートルの直径を有してもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、約5.4ミリメートル~約8.1ミリメートルの直径を有してもよい。例えば、エアロゾル発生物品は約7.8ミリメートルの直径を有してもよい。
【0114】
エアロゾル発生物品は任意の長さを有してもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、およそ65ミリメートル~およそ100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は任意の所望の外径を有してもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートルの外径を有してもよい。
【0115】
当然のことながら、本発明のいずれかの態様において記述および定義された様々な特徴の特定の組み合わせは、独立して実施、供給、または使用することができる。
【0116】
以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴の任意の一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0117】
A:熱源と、熱源の下流のエアロゾル形成基体と、エアロゾル形成基体の下流の気流指向要素であって、空気透過性セグメントを備え、空気透過性セグメントが空洞を画定する、気流指向要素と、エアロゾル発生物品の中に空気が引き出されることを可能にするための少なくとも一つの空気吸込み口とを備えるエアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生物品が第一の気流経路および第二の気流経路を含み、第一の気流経路が少なくとも一つの空気吸込み口から、エアロゾル形成基体を通って、空洞の遠位端の中に延び、第二の気流経路が少なくとも一つの空気吸込み口から、空気透過性セグメントを通って、空洞の遠位端の下流の地点で空洞の中に延びる、エアロゾル発生物品。
【0118】
B:少なくとも一つの空気吸込み口が、気流指向要素の遠位端の下流に位置する、実施例Aに記載のエアロゾル発生物品。
【0119】
C:第一の気流経路が、少なくとも一つの空気吸込み口から空気透過性セグメントを通って、エアロゾル形成基体を通って空洞の遠位端の中に延びる、実施例Bに記載のエアロゾル発生物品。
【0120】
D:第二の気流経路が、少なくとも一つの空気吸込み口から空気透過性セグメントを通って、空洞の遠位端の下流の地点で空洞の中に直接延びる、実施例Bまたは実施例Cに記載のエアロゾル発生物品。
【0121】
E:少なくとも一つの空気吸込み口が、気流指向要素の遠位端の下流5ミリメートル以下に位置する、実施例B~実施例Dのいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
【0122】
F:少なくとも一つの空気吸込み口が、気流指向要素の遠位端の上流に位置する、実施例Aに記載のエアロゾル発生物品。
【0123】
G:第一の気流経路が、少なくとも一つの空気吸込み口からエアロゾル形成基体を通って、空洞の遠位端の中に延びる、実施例Fに記載のエアロゾル発生物品。
【0124】
H:第二の気流経路が、少なくとも一つの空気吸込み口からエアロゾル形成基体を通って、空気透過性セグメントを通って、空洞の遠位端の下流の地点で空洞の中に延びる、実施例Fまたは実施例Gに記載のエアロゾル発生物品。
【0125】
I:少なくとも一つの空気吸込み口が、気流指向要素の遠位端の上流5ミリメートル以下に位置する、実施例F~実施例Hのいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
【0126】
J:エアロゾル形成基体の下流端が、気流指向要素の上流端に当接する、実施例A~実施例Iのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【0127】
K:空気透過性セグメントが円筒状の空気透過性セグメントであり、空洞が円筒状の空洞である、実施例A~実施例Jのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【0128】
L:空洞が、円形状の断面、または正方形の断面、またはクローバー葉形状の断面を有する、実施例A~実施例Kのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【0129】
M:空洞の長軸方向の断面積が、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の少なくとも14パーセントである、実施例A~実施例Lのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【0130】
N:空洞の長軸方向の断面積が、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の40パーセント以下である、実施例A~実施例Mのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【0131】
O:空洞の長軸方向の断面積が、エアロゾル発生物品の長軸方向の総断面積の14パーセント~40パーセントである、実施例A~実施例Nのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【0132】
P:気流指向要素およびエアロゾル形成基体が、第一の気流経路を画定する、実施例A~実施例Oのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【0133】
Q:熱源がブラインド熱源である、実施例A~実施例Pのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【0134】
R:熱源が固体熱源である、実施例A~実施例Qのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【0135】
S:熱源が可燃性熱源である、実施例A~実施例Rのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【0136】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【
図1】
図1は、少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の下流に位置する、本発明によるエアロゾル発生物品の長軸方向の概略断面図を示す。
【
図2】
図2は、少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の下流に位置する、本発明による代替的なエアロゾル発生物品の長軸方向の概略断面図を示す。
【
図3】
図3は、少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の上流に位置する、本発明によるエアロゾル発生物品の長軸方向の概略断面図を示す。
【
図4】
図4は、エアロゾル発生物品の使用後のエアロゾル形成基体に残っているグリセリンの質量が、空洞の断面積に応じてどのように変化したかを決定するための試験の結果を示す。
【
図5】
図5は、エアロゾル発生物品の使用後に気流指向要素の空気透過性の部分によって吸着されたグリセリンの質量が、空洞の断面積に応じてどのように変化したかを決定するための試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0138】
図1に示す本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品100は、ブラインド可燃性炭素質熱源102、エアロゾル形成基体104、気流指向要素106、マウスピース110を、当接した同軸整列で備える。可燃性炭素質熱源102、エアロゾル形成基体104、気流指向要素106、およびマウスピース110は、低い空気透過性の紙巻たばこ用紙の外側ラッパー112で包まれている。
【0139】
エアロゾル形成基体104は、可燃性炭素質熱源102のすぐ下流に位置し、エアロゾル形成体としてグリセリンを含む、かつプラグラップ(図示せず)によって囲まれたたばこ材料の円筒状プラグ114を備える。
【0140】
不燃性で実質的に空気不透過性のバリアは、可燃性熱源102の下流端とエアロゾル形成基体104の上流端との間に提供されている。
図1に示す通り、不燃性で実質的に空気不透過性のバリアは、可燃性炭素質熱源102の後方面全体にわたり提供されている、不燃性で実質的に空気不透過性のバリア被覆118から成る。
【0141】
アルミ箔の管状の層から成る熱伝導性要素120は、可燃性炭素質熱源102の後方部分122とエアロゾル形成基体104の当接した前方部分124とを包囲し、それらに直に接触している。
図1に示す通り、エアロゾル形成基体104の後方部分は、熱伝導性要素120によって包囲されていない。
【0142】
気流指向要素106は、エアロゾル形成基体104の下流に位置し、空洞129を画定する空気透過性セグメント128を備える。空気透過性セグメント128は、実質的に均一に分布したセルロースアセテートトウを含む。空洞129は、空気透過性セグメント128の中央長軸方向軸に沿って提供されている。空洞129の長軸方向の断面積は、エアロゾル発生物品100の総断面積の20パーセントである。空洞129の遠位端と近位端の両方は、空気が空洞129の遠位端の中に移動し、空洞129の長さに沿って移動し、空洞の近位端を通って空洞129から出ることができるように、開口している。
【0143】
図1に示す通り、空気透過性セグメント128は、内側ラッパー130によって囲まれている。
【0144】
これもまた
図1に示す通り、少なくとも一つの空気吸込み口132が、外側ラッパー112と内側ラッパー130に提供されている。少なくとも一つの空気吸込み口132は、エアロゾル発生物品の周りに、円周方向の配設で複数の空気吸込み口を備える。
図1に示すエアロゾル発生物品100において、少なくとも一つの空気吸込み口132は、気流指向要素106の遠位端の下流3ミリメートルに位置する。
【0145】
エアロゾル発生物品100のマウスピース110は、気流指向要素106の下流に位置し、フィルタープラグラップ138によって囲まれた濾過効率が非常に低いセルロースアセテートトウの円筒状プラグ136を備える。マウスピース110はチッピングペーパー(図示せず)で囲まれてもよい。
【0146】
使用時、可燃性炭素質熱源102が点火されると、エアロゾル形成基体104は、可燃性炭素質熱源102および熱伝導性要素120の当接する後方部分122を通して伝導によって加熱される。エアロゾル形成基体104の加熱は、たばこ材料のプラグ114から、グリセリンおよびニコチンを含む揮発性化合物を放出する。
【0147】
可燃性炭素質熱源102の後面上に提供された不燃性で実質的に空気不透過性のバリア被覆118は、使用時に気流経路の第一の部分および第二の部分に沿ってエアロゾル発生物品100を通して引き出された空気が、可燃性炭素質熱源102に直接接触しないように、エアロゾル発生物品100を通る気流経路から可燃性炭素質熱源102を分離する。
【0148】
空気は、少なくとも一つの空気吸込み口132を通して、エアロゾル発生物品100の中に引き出される。この空気はまず、気流指向要素106の空気透過性セグメント128に入る。
【0149】
この空気の第一の部分は第一の気流経路に従い、空気透過性セグメント128から、気流指向要素106の遠位端を通って、エアロゾル形成基体104の中に移動する。エアロゾル形成基体104を通過する間、第一の気流経路に従う空気は、エアロゾル形成基体104からの揮発性化合物を同伴してエアロゾルを形成する。次いで、第一の気流経路に従う空気は、空洞129の遠位端の中に移動する。エアロゾルは、空洞129に沿って移動するにつれて、冷えて凝縮する。
【0150】
その少なくとも一つの空気吸込み口132を通して、エアロゾル発生物品100に入る空気の第二の部分は、第二の気流経路に従う。この空気は、気流指向要素106の空気透過性の部分128から直接移動し、空洞129の遠位端の下流の地点で空洞129の中に移動する。この空気は、エアロゾル形成基体104から直接、揮発性化合物を同伴しないため、第一の気流経路に従う空気に同伴されたエアロゾルを希釈するように作用しうる。
【0151】
第一の気流経路と第二の気流経路の両方に従う空気は、空洞129の近位端を通過し、マウスピース110を通って、エアロゾル発生物品100から出る。
【0152】
第一および第二の気流経路は、
図1の破線および矢印によって識別されている。
【0153】
図2は、本発明による代替的なエアロゾル発生物品100を示す。
図2に示すエアロゾル発生物品100は、
図1に示すエアロゾル発生物品100とほぼ同一の構造であり、同様の参照番号を使用して共通の特徴を識別する。ただし、
図2に示すエアロゾル発生物品100は、気流指向要素106の下流およびマウスピース110の上流に位置する拡張チャンバー108をさらに備える。拡張チャンバー108は、例えばボール紙で作製された、開口した中空管134を備え、これはエアロゾル形成基体104と実質的に同じ直径である。エアロゾル発生物品100の全長を維持するために、気流指向要素106とマウスピース110の両方は、
図1に示すエアロゾル発生物品の対応する特徴よりも短い。
【0154】
図3は、本発明による代替的なエアロゾル発生物品100を示す。
図3に示すエアロゾル発生物品100は、
図1に示すエアロゾル発生物品100とほぼ同一の構造であり、同様の参照番号を使用して共通の特徴を識別する。ただし、少なくとも一つの空気吸込み口132は、気流指向要素106の遠位端の3ミリメートル上流に位置する。
【0155】
図3に示すエアロゾル発生物品において、空気は、少なくとも一つの空気吸込み口132を通してエアロゾル発生物品100の中に引き出される。この空気はまず、エアロゾル形成基体104に入り、そこでエアロゾル形成基体104からの揮発性化合物が同伴される。
【0156】
次いで、空気の第一の部分は第一の気流経路に従い、空洞129の遠位端の中に移動する。エアロゾルは、空洞129に沿って移動するにつれて、冷えて凝縮する。
【0157】
次いで、空気の第二の部分は第二の気流経路に従い、空気透過性セグメント128の遠位端を通過する。次いで、第二の気流経路に従う空気は、空洞129の遠位端の下流の地点で空洞129の中に移動する。
【0158】
第一の気流経路と第二の気流経路の両方に従う空気は、空洞129の近位端を通過し、マウスピース110を通って、エアロゾル発生物品100から出る。
【0159】
第一および第二の気流経路は、
図3の破線および矢印によって識別されている。
【0160】
図4および
図5は、空洞の最適な断面積を決定するための試験の結果を示す。
【0161】
本発明による4つのエアロゾル発生物品を製造した。各エアロゾル発生物品は、異なる断面積を有する空洞を備える気流指向要素を有した。各エアロゾル発生物品を、22℃、相対湿度40パーセントで48時間保持し、その後、評価前に密封アルミニウム袋中で保たれた。
【0162】
各エアロゾル発生物品の下流端を喫煙機械に接続し、可燃性熱源を点火し、エアロゾル発生物品の各々を同じ吸煙サイクルに供した。吸煙サイクルの後、エアロゾル形成基体と気流指向要素の空気透過性の部分とを取り除き、それぞれの中の(エアロゾル形成体として作用する)グリセリンの質量を測定した。
【0163】
図4は、空洞の断面積に応じてエアロゾル形成基体から得られたグリセリンの質量を示すグラフである。エアロゾル形成基体当たりのグリセリンの質量は、縦軸210上にミリグラムで示され、空洞の断面積は、平方ミリメートルで横軸215上に示されている。このグラフに示す通り、エアロゾル発生物品の使用後にエアロゾル形成基体から得られたグリセリンの質量は、空洞の直径が増大するにつれて増加する。
【0164】
上記に示した通り、より大きい断面積を有する空洞の提供は、第二の気流経路に従う空気のより大きい割合につながりうる。少なくとも一つの空気吸込み口が気流指向要素の遠位端の下流に位置する場合、これは、より大きい割合の空気がエアロゾル形成基体を全く通過しないことを意味する場合があり、第二の気流経路に従う空気がエアロゾル形成基体からのグリセリンを同伴しないであろうことを意味する。これは、空洞の断面積が増大するにつれて、エアロゾル形成基体に残っているグリセリンの質量が増加することにつながりうる。
【0165】
図5は、空洞の断面積に応じて気流指向要素の空気透過性の部分から得られたグリセリンの質量を示すグラフである。エアロゾル形成基体当たりのグリセリンの質量は、縦軸220上にミリグラムで示され、空洞の断面積は、平方ミリメートルで横軸215上に示されている。グラフに示す通り、エアロゾル発生物品の使用後に気流指向要素の空気透過性の部分から得られたグリセリンの質量は、空洞の直径が増大するにつれて減少する。
【0166】
上記に示した通り、より小さい断面積を有する空洞の提供は、空洞を通る気流によって同伴されたグリセリンのより大きい割合がエアロゾルから取り除かれて、気流指向要素の空気透過性の部分によって吸収されることにつながりうる。これは、空洞の断面積が減少するにつれて、気流指向要素の空気透過性の部分に残っているグリセリンの質量の増加につながりうる。
【0167】
その結果、発明者らは、ニコチンおよびグリセリンなどの揮発性成分の送達を最適化するには、これらの二つの効果の間でバランスを取る必要があることを見いだした。言い換えれば、空洞の断面積は、エアロゾル形成基体からのニコチンおよびグリセリンなどの揮発性成分の放出を最大化するように、かつその一方でまた気流指向要素の空気透過性の部分によるニコチンの吸着を最小化するように選択されなければならない。
【0168】
さらに、
図5から分かる通り、空洞の断面積が約12平方ミリメートルになると、気流指向要素の空気透過性の部分に観察されるグリセリンの質量は大幅に増加する。その結果、発明者らは、ニコチンおよびグリセリンなどの揮発性成分の送達を最適化する一つの方法は、約12平方ミリメートルの断面積を有する空洞を提供することでありうることを見いだした。これは約4ミリメートルの直径に相当する。
【0169】
上述の特定の実施形態および実施例は本発明を例示するが、本発明を限定しない。本発明の他の実施形態がなされてもよく、また本明細書に記載の具体的な実施形態および実施例は網羅的なものでないことが理解される。
【0170】
本明細書および特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】