(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(54)【発明の名称】エネルギーチェーン及びエネルギーチェーンのための収容ユニット
(51)【国際特許分類】
F16G 13/16 20060101AFI20230214BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20230214BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
F16G13/16
H02G11/00
H02G3/04 075
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536847
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2020087132
(87)【国際公開番号】W WO2021123242
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】202019107117.6
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク バルテン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘルマイ
【テーマコード(参考)】
5G357
5G371
【Fターム(参考)】
5G357DA10
5G357DB01
5G357DD16
5G357DG04
5G371AA07
5G371BA01
5G371CA02
(57)【要約】
エネルギーチェーン及びエネルギーチェーン(1)のための収容ユニットは、第1のチェーン部分(3)及び第2のチェーン部分(5)を有する。第1のチェーン部分のチェーンリンク(2)及び第2の部分のチェーンリンク(4)は旋回可能に相互に接続され、その各々はエネルギーチェーンの長手方向(l)に対する横断方向(q)に相互に対向配置されて上側及び下側狭面(8)を有するとともに横断方向(q)及び長手方向(l)に対して垂直に配向された2つのサイド部品(6、7)を備える。第1のチェーン部分(3)のチェーンリンク(2)の少なくとも一部は、チェーンリンクのサイド部品(6、7)から横断方向(q)に外向きに突出して、チェーンリンクのサイド部品の外側に配置されたガイドトラック(35)をガイドするためのガイド要素(12)を有し、第2のチェーン部分(5)のチェーンリンク(4)の少なくとも一部は、チェーンリンクのサイド部品(6、7)の上側又は下側狭面(8)を越えて突出して、上記狭面(8)に対向して配置されてエネルギーチェーン(1)との接触を確立する領域上をそれぞれ転動又は摺動可能なローラ要素(13)又はスライド要素(14)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチェーンリンク(2)を有する第1のチェーン部分(3)及び複数のチェーンリンク(4)を有する第2のチェーン部分(5)を有するエネルギーチェーン(1)であって、2つの前記チェーン部分(3、5)の前記チェーンリンク(2、4)は相互に旋回可能に接続され、該チェーンリンク(2、4)はいずれも2つのサイド部品(6、7)を備え、該サイド部品(6、7)は前記エネルギーチェーン(1)の長手方向(l)に対する横断方向(q)に相互に対向して位置し、前記横断方向(q)及び前記長手方向(l)に対して垂直に向く上側及び下側狭面(8)を有し、前記チェーンリンク(2、4)の少なくとも一部はそれらのサイド部品(6、7)を接続するクロス部材(9)を有し、
前記第1のチェーン部分(3)の前記チェーンリンク(2)の少なくとも一部はガイド要素(12)を有し、該ガイド要素(12)はそれらのサイド部品(6、7)の外部に配置され得るガイドトラック(35)に対抗して又は接してチェーンリンク(2)をガイドするために前記横断方向(q)においてそれらのサイド部品(6、7)から外向きに突出し、前記第2のチェーン部分(5)の前記チェーンリンク(4)の少なくとも一部はローラ要素(13)又はスライド要素(14)を有し、該ローラ要素(13)又はスライド要素(14)はそれらのサイド部品(6、7)の前記上側又は下側狭面(8)上に突出し、前記狭面(8)に対向して位置して前記エネルギーチェーン(1)に接触する領域上で転動又は摺動可能である、エネルギーチェーン(1)。
【請求項2】
前記2つのチェーン部分は、関節状に相互に隣接する、請求項1に記載のエネルギーチェーン(1)。
【請求項3】
第1及び第2のチェーン部分(3、5)のみを各々が備える請求項1又は2に記載のエネルギーチェーン(1)。
【請求項4】
複数の交互の第1及び第2のチェーン部分(3、5)を備える請求項1又は2に記載のエネルギーチェーン(1)。
【請求項5】
前記横断方向(q)における前記第2のチェーン部分(5)の前記チェーンリンク(4)の全幅(b2)は、前記第1のチェーン部分(3)の前記チェーンリンク(2)の全幅(b1)から、外部に延在する前記ガイド要素(12)の前記横断方向(q)の幅を差し引いたもの以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(1)。
【請求項6】
前記第2のチェーン部分(5)の前記ローラ要素(13)又はスライド要素(14)は前記第1のチェーン部分(3)の前記チェーンリンク(2)の前記サイド部品(6、7)の前記狭面(8)と同一平面で前記長手方向に配置され、その結果、前記第2のチェーン部分(5)の所定領域の前記ローラ要素(13)又はスライド要素(14)は前記第1のチェーン部分(3)の所定領域の前記サイド部品(6、7)の前記狭面(8)上を転動又は摺動可能となる、請求項1から5のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(1)。
【請求項7】
チェーンリンク(15)が前記2つのチェーン部分(3、5)の間に配置され、前記チェーンリンク(15)の前記サイド部品(6、7)は外向きオフセット領域(16)及び内向きオフセット領域(17)を有し、前記外向きオフセット領域(16)が前記長手方向(l)において前記第1のチェーン部分(3)の隣接するサイド部品(6、7)に関節状に接続され、前記内向きオフセット領域(17)が前記長手方向(l)において前記第2のチェーン部分(5)の隣接するサイド部品(6、7)に関節状に接続された、請求項1から6のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(1)。
【請求項8】
前記長手方向(l)において、前記第1のチェーン部分(3)及び/又は前記第2のチェーン部分(5)のチェーンリンク(2、4)の隣接する前記サイド部品(6、7)が、内側及び外側プレートで交互に構成された、請求項1から7のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(1)。
【請求項9】
前記第1のチェーン部分(3)の前記チェーンリンク(2)の前記ガイド要素(12)が、ガイドローラ(18)として構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(1)。
【請求項10】
2つのガイドローラ(18)がいずれも、前記第1のチェーン部分(3)の前記チェーンリンク(2)の外側プレートの外側に配置された、請求項9に記載のエネルギーチェーン(1)。
【請求項11】
2つのローラ要素(13)がいずれも、前記第2のチェーン部分(5)の前記チェーンリンク(4)の外側プレートの外側に配置された、請求項1から10のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(1)。
【請求項12】
前記エネルギーチェーン(1)の隣接するチェーンリンク(2、4)は、リミットストッパに起因して相互に対する限度まで一方の旋回方向に屈曲可能であり、前記隣接するチェーンリンクは、相互に対して伸張しきったそれらの配向までの限度で他方の旋回方向に屈曲可能である、請求項1から11のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(1)。
【請求項13】
収容ハウジング(22)と、少なくとも部分的にそこに配置される請求項1から12のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(1)とを備える、エネルギーチェーン(1)のための収容ユニット(21)であって、前記エネルギーチェーン(1)はいずれも1つのみの第1のチェーン部分(3)及びそれと隣接する第2のチェーン部分(5)を有し、それらの間隔が可変の2本の巻回軸(23、24)に対して渦巻状に前記収容ハウジング(22)に渦巻巻回され、その端部の一方において前記渦巻巻回の内側に前記収容ハウジング(22)に静止配置された固定接続点(25)及びその他端の可動接続点を有し、前記可動接続点の移動及びそれによってもたらされる前記エネルギーチェーン(1)の移動によって相互からの前記巻回軸(23、24)の前記間隔が最小間隔(m1)と最大間隔(m2)の間で可変となり、前記第1のチェーン部分(3)は前記可動接続点に接続され、前記第2のチェーン部分(5)は前記固定接続点(25)に接続され、前記第2のチェーン部分(5)の前記チェーンリンク(4)の前記ローラ要素(13)又はスライド要素(14)は、前記チェーンリンク(4)の前記サイド部品(6、7)の、偏向領域(10)に関して径方向外向きに位置する前記狭面(8)上に突出し、それらに接触する前記チェーンリンクの径方向内向きの面上を転動又は摺動可能であり、前記収容ハウジング(22)はガイドトラック(35)を有し、該ガイドトラック(35)は相互に対向して位置し、前記第1のチェーン部分(3)の前記チェーンリンク(2)上に外向きに突出する前記ガイド要素(12)と相互作用し、それらの最大間隔(m2)で配置された前記エネルギーチェーン(1)の前記巻回軸(23、24)に対応する2本の巻回軸を中心として1重以上の巻回で渦巻状に延在する、収容ユニット(21)。
【請求項14】
前記エネルギーチェーン(1)の前記第1のチェーン部分(3)は、前記収容ハウジング(22)にその最大限格納された状態で前記ガイドトラック(35)の全長にわたって延在する、請求項13に記載の収容ユニット(21)。
【請求項15】
前記ガイドトラック(35)が、前記第1のチェーン部分(3)の前記チェーンリンク(2)上で外向きに突出する前記ガイド要素(12)が転動又は摺動可能なガイドレールとして構成された、請求項13又は14に記載の収容ユニット(21)。
【請求項16】
それらの最小間隔(m1)で配置された前記巻回軸(23、24)を中心とした前記第2のチェーン部分(5)の前記渦巻巻回の内径を制限し、内側の巻回を支持する要素(36)が設けられた、請求項13から15のいずれか一項に記載の収容ユニット(21)。
【請求項17】
前記収容ハウジング(22)は2枚の平行なサイドプレート(26、27)を有し、該サイドプレート(26、27)は前記エネルギーチェーン(1)の前記偏向領域(10)の偏向アークに平行に配置され、両巻回軸(23、24)に関する前記エネルギーチェーン(1)の前記偏向領域(10)にわたってストランド(11)の前記長手方向(l)に延在し、前記収容ハウジング(22)の、相互に対向して位置する前記ガイドトラック(35)が、前記サイドプレート(26、27)の内面に配置された、請求項13から16のいずれか一項に記載の収容ユニット(21)。
【請求項18】
前記固定接続点(25)の場合、前記エネルギーチェーン(1)を出るケーブルを貫通させるために、前記固定接続点(25)の領域に隣接して、前記収容ハウジング(22)の少なくとも1つのサイドプレート(26、27)に開口(37)が設けられた、請求項17に記載の収容ユニット(21)。
【請求項19】
前記サイドプレート(26、27)の前後面端部において、前記収容ハウジング(22)は、前後プレート(28)並びにこれらを相互に接続する上側及び下側閉塞プレート(30、31)を有する、請求項17又は18に記載の収容ユニット(21)。
【請求項20】
前記収容ハウジング(22)の前記上側及び下側閉塞プレート(30、31)が、前記収容ハウジング(22)に配置された前記エネルギーチェーン(1)の上側又は下側の前記ストランド(11)を摺動的にガイドするように配置された、請求項19に記載の収容ユニット(21)。
【請求項21】
前記前後プレート(28、29)の一方は、前記可動接続点に接続された前記エネルギーチェーン(1)のストランドのために上側又は下側領域に貫通開口(32)を有する、請求項19又は20に記載の収容ユニット(21)。
【請求項22】
前記収容ハウジング(22)が2つのハウジングシェル(33、34)で構成され、その分離面が、前記エネルギーチェーン(1)の前記偏向領域(10)の偏向アークに平行に延在する平面内に位置する、請求項13から21のいずれか一項に記載の収容ユニット(21)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のチェーンリンクを有する第1のチェーン部分及び複数のチェーンリンクを有する第2のチェーン部分を有するエネルギーチェーンであって、2つのチェーン部分のチェーンリンクは相互に旋回可能に接続されて2つのサイド部品をいずれも備え、2つのサイド部品はエネルギーチェーンの長手方向に対する横断方向に相互に対向して位置し、横断方向及び長手方向に対して垂直に向く上側及び下側狭面を有し、チェーンリンクの少なくとも一部はそれらのサイド部品を接続するクロス部材を有する、エネルギーチェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
上記タイプのエネルギーチェーンは、隣接するチェーンリンクの旋回可能な接続によって、エネルギーチェーンのストランドが相互に接続される1以上の偏向領域を有するように構成され得る。エネルギーチェーンが移動されると、エネルギーチェーンのストランド及び/又は偏向領域は、外側ガイドトラックに沿ってガイドされ得る。
【0003】
一方、特に、より長く又は相互に接して延びるエネルギーチェーンの場合、ストランド及び/又は偏向領域は相互に接し、これらの領域を相互に対して可能な限り摩擦なくガイドする必要がある。これは、サイドプレートの狭面に対向して位置する外側接触面での可能な限り摩擦のないガイド動作にも関係する。
【0004】
したがって、2つの観点で、可能な限り摩擦のないエネルギーチェーンのガイド動作に対する要望がある。一方は、外側ガイドトラックに沿うガイド動作に関し、他方は、相互に対する及びサイド部品の狭面に対向して位置する外側接触面に対する1以上のエネルギーチェーンの相互接触領域のガイド動作に関する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、外部配置され得るガイドトラックに沿ってかつ相互に又は外側接触面と接触する領域に沿ってエネルギーチェーンを可能な限り小さな摩擦力でガイドすることを可能とするエネルギーチェーンを提供することである。
【0006】
その課題は、本発明により、第1のチェーン部分のチェーンリンクの少なくとも一部がガイド要素を有し、それらが、それらのサイド部品の外側に配置され得るガイドトラックに対抗して又は接してチェーンリンクをガイドするためにそれらのサイド部品から横断方向に外向きに突出し、第2のチェーン部分のチェーンリンクの少なくとも一部がローラ要素又はスライド要素を有し、それらが、それらのサイド部品の上側又は下側狭面上に突出し、それら狭面に対向して位置してエネルギーチェーンに接触する領域上を転動又は摺動可能であることで達成される。
【0007】
2つのチェーン部分は、関節状に相互に隣接し得る。
【0008】
本発明に係るエネルギーチェーンは、排他的に第1及び第2のチェーン部分で構成され得る。
【0009】
一方、本発明に係るエネルギーチェーンは、複数の交互の第1及び第2のチェーン部分を有し得る。
【0010】
横断方向における第2のチェーン部分のチェーンリンクの全幅は、第1のチェーン部分のチェーンリンクの全幅から、外部に延在するガイド要素の横断方向の幅を差し引いたもの以下であり得る。
【0011】
第2のチェーン部分のローラ要素又はスライド要素は第1のチェーン部分のチェーンリンクのサイド部品の狭面と同一平面で長手方向に配置可能であり、その結果、第2のチェーン部分の所定領域のローラ又はスライド要素は第1のチェーン部分の所定領域のサイド部品の狭面上を転動又は摺動可能となる。
【0012】
エネルギーチェーンが移動されることにより、第1のチェーン部分の外側ガイド動作のためにガイドトラックが配置された領域に第2のチェーン部分が進入する場合、第2のチェーン部分はこの領域においてガイドトラックによっては干渉されない。第2のチェーン部分は、対応してより狭いその幅のために、ガイドトラックを越えて移動可能である。
【0013】
好適な実施形態によると、チェーンリンクは2つのチェーン部分の間に配置され、チェーンリンクのサイド部品は外向きオフセット領域及び内向きオフセット領域を有し、外向きオフセット領域は長手方向において第1のチェーン部分の隣接するサイド部品に関節状に接続され、内向きオフセット領域は長手方向において第2のチェーン部分の隣接するサイド部品に関節状に接続される。
【0014】
またさらに、好適な実施形態によると、長手方向において、隣接する第1のチェーン部分及び/又は第2のチェーン部分のチェーンリンクのサイド部品が内側及び外側プレートで交互に構成されることが規定される。内側及び外側プレートは重なり領域を有し、外側プレートの重なり領域は内側プレートの重なり領域の外側に配置される。
【0015】
好適な実施形態では、第1のチェーン部分のチェーンリンクのガイド要素は、ガイドローラとして構成される。
【0016】
特に、2つのガイドローラはいずれも、第1のチェーン部分のチェーンリンクの外側プレートの外側に配置され得る。
【0017】
2つのローラ要素はいずれも、それに応じて第2のチェーン部分のチェーンリンクの外側プレートの外側に配置され得る。
【0018】
エネルギーチェーンの隣接するチェーンリンクは、リミットストッパに起因して相互に対する限度まで一方の旋回方向に屈曲可能とされてもよく、それによりエネルギーチェーンの偏向領域の偏向アークについての最小半径が規定される。またさらに、隣接するチェーンリンクは、相互に対して伸張しきったそれらの配向までの限度で他方の旋回方向に屈曲可能とされてもよい。この場合における隣接するチェーンリンクは相互に対して伸張されたそれらの配向を越えて旋回可能ではないため、実質的に自己支持型ストランドの場合、特にその比較的安定した直線伸張が可能となる。
【0019】
本発明は、さらに、エネルギーチェーンのための収容ユニットに関する。収容ユニットは、収容ハウジング及びそこに配置された上述の構成を有する本発明によるエネルギーチェーンを備える。
【0020】
エネルギーチェーンは、上述のタイプの第1のチェーン部分及びそれと隣接する上述のタイプの第2のチェーン部分を有し、それらの間隔が可変の2本の巻回軸に対して渦巻状に収容ハウジングに渦巻巻回される。それは、その端部の一方において渦巻巻回の内側において収容ハウジングに静止配置された固定接続点、及びその他端の可動接続点を有し、可動接続点の移動及びそれによってもたらされるエネルギーチェーンの移動によって、相互からの巻回軸の間隔は最小間隔と最大間隔の間で可変となる。第1のチェーン部分は可動接続点に接続され、第2のチェーン部分は固定接続点に接続される。
【0021】
固定接続点は、好ましくは、ストランドの長手方向におけるその長手範囲に対して収容ハウジングの中央領域に配置される。
【0022】
上記タイプの収容ユニットは、特に、比較的長い範囲を有する利用可能な収容空間におけるエネルギーチェーンの収容に適し、その結果、2本の巻回軸の最大間隔がそれらの最小間隔との関連で比較的大きく選択可能となる。
【0023】
収容ハウジングは2枚の平行なサイドプレートを有し、当該サイドプレートは、エネルギーチェーンの偏向領域の偏向アークに平行に配置され、両巻回軸に関するエネルギーチェーンの偏向領域にわたってストランドの長手方向に延在する。可動接続点は、収容ハウジングの外側に配置される。
【0024】
エネルギーチェーンの第1のチェーン部分の、可動接続点に接続されたストランドの貫通開口が、サイドプレート間にそれらの上側又は下側領域に設けられてもよい。
【0025】
収容ハウジングのサイドプレートは、それらの内面において、相互に対向して位置するガイドトラックを有し、当該ガイドトラックは第1のチェーン部分のチェーンリンクにおいて外向きに突出するガイド要素と相互作用する。ガイドトラックは、それらの最大間隔で配置されたエネルギーチェーンの巻回軸に対応する2本の巻回軸を中心として、サイドプレートの内面上に1重以上の巻回で渦巻状に延在する。それらの静止巻回軸周りに巻回されたガイドトラックの長さは、エネルギーチェーンの第1のチェーン部分の長さに適合される。エネルギーチェーンの第1のチェーン部分は、収容ハウジング内に格納されたその状態でガイドトラックの全長にわたって延在し得る。そして、エネルギーチェーンの隣接する第2のチェーン部分は、それらの最大間隔で配置された巻回軸の少なくとも1本に関して少なくとも1つの偏向領域を有して固定接続点に向かって延在し、偏向領域に関して径方向外側を向くその面により、ローラ要素又はスライド要素を介して第1のチェーン部分に対抗する。
【0026】
その第1のチェーン部分を有するエネルギーチェーンが貫通開口を介して収容ハウジングから引き抜かれる場合、ガイドトラックに沿って収容ハウジング内に渦巻状に収容された第1のチェーン部分の領域は巻き解かれる。この場合、第1のチェーン部分に隣接する第2のチェーン部分のチェーンリンクは、ガイドトラックに干渉されることなく渦巻状に巻回され、それらの巻回軸間の間隔は固定接続点の領域においてそれらの最小間隔まで減少する。
【0027】
それらの最小間隔で配置された巻回軸を中心とした第2のチェーン部分の渦巻巻回の内径を制限するために、内側巻回を支持する要素が設けられ得る。
【0028】
収容ハウジングのサイドプレートの内側に配置されたガイドトラックは、第1のチェーン部分のチェーンリンクにおいて外向きに突出するガイド要素が摺動又は転動するガイドレールとして構成され得る。
【0029】
第2のチェーン部分のチェーンリンクのローラ要素又はスライド要素は、チェーンリンクのサイド部品の、偏向領域に関して径方向外向きに位置する狭面上に突出するので、それらと接触するチェーンリンクの径方向内向きの面上を転動又は摺動する。
【0030】
横方向に突出するガイド要素の補助による、収容ハウジングの側壁のガイドトラック上及びエネルギーチェーンの相互に対抗する領域上での、チェーンリンクの本発明によるガイド動作により、摩擦の影響は、収容ハウジング内のエネルギーチェーンの移動時に最小まで低減される。したがって、エネルギーチェーンは、可動接続点に接続されたストランドにかかる比較的小さな引張力によって収容ハウジングから引き抜かれ、その長手方向において可動接続点に接続されたストランドにかかる比較的小さな圧縮力によって収容ハウジングに挿入可能となる。引張力及び圧縮力は、可動接続点に接続されて収容ハウジングから延出するストランドに対して適宜手動でかけられてもよい。
【0031】
固定接続点の場合、エネルギーチェーンから出るケーブルを貫通させるために、固定接続点の領域に隣接して、収容ハウジングの少なくとも1つのサイドプレートに開口が設けられてもよい。
【0032】
サイドプレートの前後面端部において、収容ハウジングは、前後プレート並びにこれらを相互に接続する上側及び下側閉塞プレートを有し得る。
【0033】
上側及び下側閉塞プレートは、収容ハウジングに配置されたエネルギーチェーンの上側又は下側ストランドを摺動的にガイドするように配置可能である。
【0034】
収容ハウジングは2つのハウジングシェルで構成可能であり、その分離面はエネルギーチェーンの偏向領域の偏向アークに平行に延在する平面に位置する。
【0035】
前後プレートの一方は、可動接続部に接続されたエネルギーチェーンのストランドのために上側又は下側領域に貫通開口を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】エネルギーチェーンの第1の実施形態の部分の側面図である。
【
図2】
図1に示すエネルギーチェーンの部分の平面図である。
【
図3】矢印Aの方向の、
図1に示すエネルギーチェーンの部分の正面図である。
【
図4】
図1に示すエネルギーチェーンの部分の斜視図である。
【
図5】第1の部分のサイド部品に取り付けられたガイド要素及び第2の部分のサイドプレートに回転可能に配置されたローラ要素の分解図を伴う
図4による斜視図である。
【
図6】エネルギーチェーンのための収容ユニットの斜視分解図である。
【
図7】その最大格納状態にある収容ハウジングに配置されたエネルギーチェーンの側面図である。
【
図8】その最大引抜状態にある収容ハウジングに配置されたエネルギーチェーンの側面図である。
【
図9】エネルギーチェーンの第2の実施形態の部分の側面図である。
【
図10】
図9に示すエネルギーチェーンの部分の平面図である。
【
図11】矢印Aの方向の、
図9に示す部分の正面図である。
【
図13】第1の部分のサイド部品に取り付けられたガイド要素及び第2の部分のサイド部品に取り付けられたスライド要素の分解図を伴う
図12による斜視図である。
【
図14】エネルギーチェーンのための収容ユニットの斜視分解図である。
【
図15】その最大格納状態にある収容ハウジングに配置されたエネルギーチェーンの側面図である。
【
図16】その最大伸張状態にある収容ハウジングに配置されたエネルギーチェーンの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明によるエネルギーチェーン及び収容ユニットの実施形態を、図面を参照してより詳細に説明する。
【0038】
図1~5及び9~13によって以下に示すように、各部分においてそれぞれここに示すエネルギーチェーン1は、複数のチェーンリンク2を有する第1のチェーン部分3及び複数のチェーンリンク4を有する第2のチェーン部分5を含む。2つのチェーン部分3、5のチェーンリンク2、4は、相互に旋回可能に接続される。それらは、エネルギーチェーン1の長手方向lに対する横断方向qにおいて相互に対向して位置するとともに横断方向q及び長手方向lに対して垂直に向く上側及び下側狭面8が設けられた2つのサイド部品6、7をいずれも有する。チェーンリンク2、4の少なくとも一部は、それらのサイド部品6、7を接続するクロス部材9を有する。
【0039】
上記の図に示すそれぞれのエネルギーチェーンの部分には、ストランド11の部分が隣接する偏向領域10が配置される。
【0040】
第1のチェーン部分3のチェーンリンク2はガイド要素12を有し、ガイド要素12はそれらのサイド部品6、7から横断方向qに外向きに突出し、それらのサイド部品6、7の外部に配置され得るガイドトラック(
図1~5及び9~13には不図示)に対抗して又は接してチェーンリンク2をガイドするように作用する。一方、第2のチェーン部分5のチェーンリンク4はローラ要素(
図1~5)又はスライド要素(
図9~13)を有し、当該ローラ要素又はスライド要素は、図面によると、それらのサイド部品6、7の上側狭面8上に突出し、それら狭面8に対向して位置してエネルギーチェーン1に接触する領域(上記の図には不図示)上を転動又は摺動可能である。
【0041】
ローラ要素13又はスライド要素14を含む横断方向における第2のチェーン部分5のチェーンリンク4の全幅b2は、第1のチェーン部分3のチェーンリンク2の全幅b1から、外部に延在するガイド要素12を差し引いたもの、すなわち、ガイド要素12の、ガイドトラックと相互作用する領域の幅に等しい。
【0042】
特に
図2及び10によって以下にさらに示すように、第2のチェーン部分5のローラ要素13又はスライド要素14は、第1のチェーン部分3のチェーンリンク2のサイド部品6、7の狭面8と同一平面で長手方向に配置され、その結果、第2のチェーン部分5の所定領域のローラ要素13又はスライド要素14は第1のチェーン部分3の所定領域のサイド部品6、7の狭面8上を転動又は摺動し得る。結果として、ガイドトラックが第1のチェーン部分3の外側ガイド動作のために配置された領域において、第2のチェーン部分5はガイドトラックによっては干渉されない。対応してより小さなその全幅b2のために、それはガイドトラックを越えて移動可能となる。
【0043】
特に
図2及び10に示すように、2つのチェーン部分3及び5の長手方向に隣接するサイド部品6、7は、交互に内側プレート及び外側プレートで構成される。内側プレート及び外側プレートは重なり領域を有し、外側プレートの重なり領域は内側プレートの重なり領域の外側に配置される。
【0044】
特に
図2に示すように、中間チェーンリンク15が2つのチェーン部分3、5間に配置され、中間チェーンリンク15のサイド部品6、7は外向きオフセット領域16及び内向きオフセット領域17を有する。外向きオフセット領域16は第1のチェーン部分3の長手方向に隣接するサイド部品6、7に関節状に接続され、内向きオフセット領域17は第2のチェーン部分5の長手方向に隣接するサイド部品6、7に関節状に接続される。
【0045】
図面に示す実施形態では、第1のチェーン部分3のチェーンリンク2のガイド要素12は、ガイドローラ18として構成される。2つのガイドローラ18はいずれも、それらが関節状に装着されるプレート状部品19を介してチェーンリンク2の外側プレートに接続される。
【0046】
2つの実施形態のプレート状部品19はその厚さのみが異なり、その厚さはいずれも第2のチェーン部分5の全幅b2に適合される。
【0047】
図1~5に示す実施形態では、2つのローラ要素13はいずれも、それらが回転可能に装着される、対応して設計されたプレート状部品20を介して、第2のチェーン部分5のチェーンリンク4の外側プレートに外部接続される。
【0048】
代替的に、図面に示す第2の実施形態によると、スライド要素14は、第2のチェーン部分のチェーンリンク4の外側プレートに外部で取り付けられる。
【0049】
エネルギーチェーン1の隣接するチェーンリンク2、4、15は、リミットストッパに起因して相互に対する限度まで一方の旋回方向に屈曲可能であり、これは
図1及び9に示す偏向領域10によって識別される。リミットストッパは、偏向領域10の偏向アークについての最小半径を規定する。チェーンリンク2、4、15は、
図1及び9に示すストランド11の相互に対して伸張しきったそれらの配向までの限度で、
図1及び9による旋回方向に対して逆の旋回方向に屈曲可能である。この場合、チェーンリンク2、4、15は相互に対して伸張されたそれらの配向を越えて旋回可能ではないため、特に実質的に自己支持型ストランドの場合には、
図1及び9に示すように、その比較的安定した直線伸張が可能となる。
【0050】
各場合について、
図1~5及び9~13における部分に示すエネルギーチェーン1のための収容ユニット21を、
図6~8及び14~16に示す。
【0051】
図面によって以下に示すように、エネルギーチェーン1は、収容ハウジング22内で、その間隔が可変の2本の巻回軸23、24に対して渦巻状に巻回される。それは、巻回の一方の端部において渦巻巻回の内側に収容ハウジング22に静止配置された固定接続点25及び巻回の他端における可動接続点(不図示)を有し、その結果、可動接続点の移動及びそれによってもたらされるエネルギーチェーン1の移動によって、巻回軸23、24の相互からの間隔が、最小間隔m1と最大間隔m2の間で可変となる。第1のチェーン部分3は可動接続点に接続され、第2のチェーン部分5は固定接続点25に接続される。固定接続点25は、ストランド11の長手方向lのその範囲に対して収容ハウジングの中央領域に配置される。
【0052】
収容ハウジング22は、エネルギーチェーン1の偏向領域10の偏向アークに平行に配置されるとともに両巻回軸23、24に関するエネルギーチェーン1の偏向領域10にわたってストランド11の長手方向に延在する2枚の平行なサイドプレート26、27を有する。サイドプレート26、27の前後面端部において、収容ハウジング22は、前後プレート28、29並びにこれらを相互に接続する上側及び下側閉塞プレート30、31を有する。収容ハウジング22の外部に位置する可動接続点の方向を向く前後プレート28は、その上側領域に、エネルギーチェーン1の第1のチェーン部分3の可動接続点に接続されたストランドのための貫通開口32を有する。収容ハウジング22は2つのハウジングシェル33、34で構成され、それらは相互に装着可能であり、収容ハウジング22内に配置されたエネルギーチェーン1の領域を受容する。
【0053】
収容ハウジング22のサイドプレート26、27はそれらの内面にガイドトラック35を有し、ガイドトラック35は相互に対向して位置し、第1のチェーン部分3のチェーンリンク2において外向きに突出するガイド要素12と相互作用する。ガイドトラック35は、それらの最大間隔m2で配置されたエネルギーチェーン1の巻回軸23、24に対応する2本の巻回軸を中心として、サイドプレート26、27の内面上に2重の巻回で渦巻状に延在する。それらの2本の静止巻回軸周りに巻回されるガイドトラックの長さは、収容ユニット21に最大限格納されたエネルギーチェーン1の第1のチェーン部分3の長さに適合される。
図7及び15によって以下に示すように、最大格納位置において、第1のチェーン部分3に隣接する第2のチェーン部分5は、図面に示す2つの実施形態では、それらの最大間隔m2で配置された巻回軸23、24を中心として、いずれも1つの偏向領域10を有して固定接続点25に向かって延在し、偏向領域10に関して径方向外側を向くその面により、第1の実施形態のローラ要素13又は第2の実施形態のスライド要素14を介して第1のチェーン部分3に対抗する。
【0054】
エネルギーチェーン1がその第1のチェーン部分3によって収容ハウジング22から引き抜かれる場合、ガイドトラックに沿って収容ハウジング22に渦巻状に収容された第1のチェーン部分3の領域は巻き解かれる。この場合、第1のチェーン部分3に隣接する第2のチェーン部分5のチェーンリンク4は、ガイドトラック35による干渉なしに渦巻状に巻回される。
図8及び16に示すように、それらの巻回軸23、24間の間隔は、固定接続点25の領域においてそれらの最小間隔m1まで減少する。
【0055】
それらの最小間隔m1で配置された巻回軸23、24を中心とした第2のチェーン部分5の渦巻巻回の内径を制限するために、内側巻回を支持する支持要素36が、渦巻巻回に関して延在する突出部の形態で設けられ得る。
【0056】
収容ハウジング22のサイドプレート26、27の内側に配置されたガイドトラック35は、第1のチェーン部分3のチェーンリンク2において外向きに突出する2つの実施形態のガイドローラ18が転動するガイドレールとして構成される。
【0057】
第2のチェーン部分のチェーンリンク4の第1の実施形態によるローラ要素13及び第2の実施形態によるスライド要素14は、チェーンリンク4のサイド部品6、7の、偏向領域10に関して径方向外向きに位置する狭面8上に突出するので、収容ハウジング22に配置されたエネルギーチェーン1の部分の、それらと接触するチェーンリンクの径方向内向きの面上を転動又は摺動する。
【0058】
固定接続点25の場合、エネルギーチェーン1から出るケーブル(不図示)を貫通させるために、固定接続点25の領域に隣接して、収容ハウジング22の両サイドプレート26、27に開口37が設けられる。
【符号の説明】
【0059】
1 エネルギーチェーン
2 チェーンリンク
3 第1のチェーン部分
4 チェーンリンク
5 第2のチェーン部分
6 サイド部品
7 サイド部品
8 狭面
9 クロス部材
10 偏向領域
11 ストランド
12 ガイド要素
13 ローラ要素
14 スライド要素
15 (中間)チェーンリンク
16 外向きオフセット領域
17 内向きオフセット領域
18 ガイドローラ
19 プレート状部品
20 プレート状部品
21 収容ユニット
22 収容ハウジング
23 巻回軸
24 巻回軸
25 固定接続点
26 サイドプレート
27 サイドプレート
28 前後プレート
29 前後プレート
30 閉塞プレート
31 閉塞プレート
32 貫通開口
33 ハウジングシェル
34 ハウジングシェル
35 ガイドトラック
36 支持要素
37 開口
q 横断方向
l 長手方向
b1 全幅
b2 全幅
m1 最小間隔
m2 最大間隔
【国際調査報告】