(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(54)【発明の名称】隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメントを作成する方法、及びその方法により得られる電子ドキュメント
(51)【国際特許分類】
B42D 25/369 20140101AFI20230214BHJP
B41M 1/30 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
B42D25/369
B41M1/30 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537056
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 FR2020052480
(87)【国際公開番号】W WO2021123625
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519260337
【氏名又は名称】アイデミア フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(72)【発明者】
【氏名】ゲラール、デニス
(72)【発明者】
【氏名】ボシェット、ジャン-フランソワ
【テーマコード(参考)】
2C005
2H113
【Fターム(参考)】
2C005HA01
2C005HA06
2C005HB09
2C005JA02
2C005JB22
2C005KA02
2C005KA10
2C005KA15
2C005KA40
2C005KA61
2C005LB04
2C005LB18
2H113AA01
2H113AA06
2H113BA00
2H113BA01
2H113BA05
2H113BA09
2H113BA39
2H113BB07
2H113BB08
2H113BB22
2H113BB32
2H113BC11
2H113DA57
2H113EA19
2H113FA04
(57)【要約】
隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメント(30)を作成するための方法であって、電子ドキュメント本体(30)の表面(310)を提供するステップ(22)と、電子ドキュメント本体(30)の表面(310)の少なくとも一部に磁気ストリップ(33)を適用するステップ(23)であって、磁気ストリップ(33)によって少なくとも部分的に覆われた本体の前記表面によって形成される目に見える表面(34)が15以下のデルタEコントラストを有する、ステップ(23)と、本体の前記表面(310)を覆う装飾(32)を磁気ストリップ(33)の上に適用するステップ(24、25、26)であって、装飾(32)は、多くとも10μmの厚さを有し、可視領域の波長で少なくとも70%の不透明率を有するステップ(24、25、26)と、を含む、方法、及び、対応する電子ドキュメント(30)。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメント(30)を作成する方法であって、
電子ドキュメント本体(30)の表面(310)を提供するステップ(22)と、
前記電子ドキュメント本体(30)の前記表面(310)の少なくとも一部に磁気ストリップ(33)を適用するステップ(23)であって、前記磁気ストリップ(33)によって少なくとも部分的に覆われた前記本体の前記表面(310)によって形成される目に見える表面(34)が15以下のデルタEコントラストを有する、ステップ(23)と、
前記本体の前記表面(310)を覆う装飾(32)を前記磁気ストリップ(33)の上に適用するステップ(24、25、26)であって、前記装飾(32)は、多くとも10μmの厚さを有し、可視領域の波長で少なくとも70%の不透明率を有する、ステップ(24、25、26)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記磁気ストリップ(33)を前記本体の前記表面(210)の少なくとも一部に適用する前記ステップ(23)は、前記本体の前記表面(310)の少なくとも一部にインクを印刷するステップを含み、前記インクは、前記磁気ストリップ(33)を形成するように設計されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記磁気ストリップ(33)を前記本体の前記表面(310)の少なくとも一部に適用する前記ステップ(23)は、前記磁気ストリップを前記本体の表面全体の上に適用することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記磁気ストリップ(33)を前記本体の前記表面(310)の少なくとも一部に適用する前記ステップ(23)は、テープを提供するステップであって、前記テープは、バッキング及び前記バッキングに適用された前記磁気ストリップ(33)を含むステップと、前記磁気ストリップ(33)を、前記テープの前記バッキングから前記本体の前記表面(310)上に転写するステップと、を含む、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項5】
任意の色の表面を含む基材(31)を提供するステップ(21)、次いで、任意の色の前記基材(31)の前記表面に第2の色の層を適用するステップ(22)を含み、前記第2の色の層は、前記ドキュメントの前記本体の前記表面(310)を形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
上面から、厚さの少なくとも一部にわたって全体的に第2の色で着色された基材(31)を提供するステップを含み、全体的に着色された前記基材(31)の上面は、前記第2の色の前記本体の前記表面(310)を形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
装飾(32)を適用する前記ステップ(24、25、26)は、前記磁気ストリップ(33)の上で前記本体の前記表面(310)に装飾背景(35)を適用するステップ(24)、及び/又は、イラストレーション層(36)を適用するステップ(25)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメント(30)であって、
表面(310)を含む本体と、
前記本体の前記表面(310)の少なくとも一部に適用された磁気ストリップ(33)であって、前記磁気ストリップ(33)によって少なくとも部分的に覆われた前記本体の前記表面(310)は、15以下のデルタEコントラストを有する目に見える表面(34)を形成する、磁気ストリッププ(33)と、
前記本体の前記表面(310)に適用され、前記磁気ストリップ(33)を覆う、装飾(32)であって、前記装飾(32)は、多くとも10μmの厚さを有し、可視領域の波長で少なくとも70%の不透明率を有する、装飾(32)と、
を含む、電子ドキュメント。
【請求項9】
前記磁気ストリップ(33)は、前記本体の前記表面(310)全体を覆うことを特徴とする、請求項8に記載の電子ドキュメント(30)。
【請求項10】
前記装飾(32)が装飾背景(35)を含み、前記装飾背景(35)が、前記本体の前記表面(310)に適用され、前記磁気ストリップ(33)及び/又はイラストレーション層(36)を覆う、ことを特徴とする、請求項8又は9に記載の電子ドキュメント(30)。
【請求項11】
前記電子ドキュメント(30)の前記本体が、任意の色の表面を含む基材(31)と、任意の色の前記基材の前記表面に適用された第2の色の層とを含み、前記第2の色の層が、前記磁気ストリップ(33)が適用される前記ドキュメントの前記本体の前記表面(310)を形成する、ことを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載の電子ドキュメント(30)。
【請求項12】
前記電子ドキュメント(30)の前記本体が、上面から、厚さの少なくとも一部にわたって全体的に第2の色で着色された基材(31)を備え、全体的に着色された前記基材(31)の前記上面が、前記磁気ストリップ(33)が適用される前記ドキュメントの前記本体の前記表面(310)を形成する、ことを特徴とする、請求項8~11のいずれか一項に記載の電子ドキュメント(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ドキュメントを作成するための方法に関し、より具体的には、隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメントを作成する方法に関する。本発明はまた、そのような方法によって得られる電子ドキュメントに関する。
【0002】
従来、隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメントを作成するには、バッキング(通常は白色)に磁気ストリップ(通常は黒色)を適用し、次いで、磁気ストリップの黒色とバッキングの白色との間のコントラストを低減するために、磁気ストリップの上に隠蔽層を適用する。このために、隠蔽層は、多くの場合、例えば、銀色インクを印刷することによって作成される層などによる、例えば灰色の層に相当する。
【0003】
文献DE102006023084A1には、例えば、表面の一方に磁気層と、磁気層の上に配置された反射性の非導電性層と、を備えるクレジットカードなどのドキュメントが記載されている。
【0004】
ただし、一般に、ドキュメントの表面には装飾が作成される。
【0005】
加えて、装飾は多くの場合、一般には白色の背景層を含み、背景層の上に模様又はイラストレーションが作成される。
【0006】
そのため、磁気ストリップは、隠蔽層の下だけではなく、装飾の下にも備わっている。
【0007】
ただし、磁気ストリップが多く覆われているほど、磁気ストリップの応答の品質は低下する。
【0008】
この欠点を改善するための1つの可能性は、例えば、特定の物理的構造によって得ることができる、より幅の広い磁気ストリップを使用することである。
【0009】
典型的には、そのような磁気ストリップを正しく隠蔽するには、少なくとも4μmである総厚さを有する少なくとも1つの隠蔽層を適用することが好ましい。
【0010】
そのような強化された磁気ストリップでは、重ねて適用されたすべての層(すなわち、隠蔽層(単数又は複数)及び装飾)は、よって、一般に約7μm~12μmを含む厚さを呈する。
【0011】
ただし、強化された磁気ストリップであっても、磁気ストリップ効率がISO標準の要件に準拠する製品を得ることは非常に困難である。
【0012】
このように、電子ドキュメント内の磁気ストリップの有効性は、磁気ストリップの幅だけでなく、磁気ストリップを覆う様々な層の厚さにも依存する。
【0013】
この文脈では、本発明の目的は、前述の欠点を少なくとも部分的に克服しながら、他の利点もまたもたらすことができることである。
【0014】
この目的のために、第1の態様によれば、隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメントを作成するための方法であって、
-電子ドキュメント本体の表面を提供するステップと、
-電子ドキュメント本体の表面の少なくとも一部に磁気ストリップを適用するステップであって、その磁気ストリップによって少なくとも部分的に覆われた本体の表面によって形成される目に見える表面が15以下、又は更には10以下のデルタEコントラストを有する、ステップと、
-本体の表面を覆う装飾を磁気ストリップの上に適用するステップであって、装飾は、多くとも10μmの厚さを有し、可視領域の波長で少なくとも70%の不透明率を有する、ステップと、
を含む、方法が提供される。
【0015】
したがって、磁気ストリップは、本体の表面と装飾との間に位置する。
【0016】
本発明によれば、磁気ストリップは、本体の表面の少なくとも一部を隠蔽する。よって、マスキングされていない本体の表面の部分は、マスキングされている部分の相補的部分である。
【0017】
よって、目に見える表面は、磁気ストリップ及び相補部分によって形成されている。
【0018】
よって、デルタEコントラストは、次いで、第1の色と呼ばれる磁気ストリップの色と、第2の色と呼ばれる、磁気ストリップが適用される電子ドキュメント本体の表面の色との間の境界に関する。
【0019】
特定の実施形態では、磁気ストリップは、本体の表面全体を覆う。
【0020】
言い換えれば、磁気ストリップを本体の表面の少なくとも一部に適用するステップは、次いで、磁気ストリップを本体の表面全体に適用することを含む。
【0021】
この場合、目に見える表面は、磁気ストリップのみによって形成される。よって、デルタEコントラストは0(ゼロ)である。
【0022】
すると、磁気ストリップとマスキングされていない本体の表面の部分との間の境界を識別することは、不可能ではないとしても、更に困難になる。
【0023】
デルタEコントラストは、本明細書では有利には、International Committee on Illumination(CIE)によって定義される色偏差の尺度である。例えば、1976 CIE標準:ISO 11664にある方法が記載されている。
【0024】
したがって、例えば、デルタE、dE、又は更にはΔEは、色空間で考慮される2つの色の間のユークリッド距離の尺度として定義される。例えば、CIEによって1976年に次の式が確立されている。
【数1】
【0025】
式中、
-L1
*、a1
*、b1
*は、考慮すべき第1の色の、CIELAB色空間内の座標であり、
-L2
*、a2
*、b2
*は、第2の色の座標である。
【0026】
ただし、デルタEを計算するためには他の式も存在する(CIE 1976、CIE 1994、CIE 2000、CMC)。
【0027】
本明細書では、可視領域の波長とは、約380nm~780nmの波長を指す。
【0028】
本明細書では、装飾は、少なくとも70%、又は更には75%、又は更には80%、又は更には85%、又は更に90%、更に95%の不透明率、すなわちあいまいにする能力、中間強度の照明下でのマスキング力を有する場合に、不透明であるとみなされる。
【0029】
したがって、装飾は、通常の照明、すなわち自然光もしくは建物内の一般的な照明の下でバッキングと磁気ストリップとの間の境界が隠蔽されるように、又は、磁気ストリップが表面全体を覆っているかどうかを識別するのが不可能ではなくても非常に困難であるように、視野内に不透明性を呈するように設計されている。
【0030】
磁気ストリップは、本体の表面とのコントラスト、又は輝度の差という、2つの効果によって視覚的に検出され得る。
【0031】
したがって、コントラストを低減することは、磁気ストリップを隠蔽するには不十分であることが多い。また、磁気ストリップが表面全体を覆う場合、装飾が存在しなければ、少なくとも知ることができるようになる。
【0032】
したがって、装飾の不透明性及びデルタEコントラストは、本明細書において、磁気ストリップの所望の隠蔽を得るための調整可能な対を形成する。
【0033】
実際、デルタEコントラストが高いほど、装飾は不透明である必要が増す。
【0034】
逆に、デルタEコントラストが低いほど、装飾が不透明である必要が減る。言い換えれば、よって、例えば75%、又は更には70%の、比較的低い不透明性を有することができる。
【0035】
したがって、特にデルタEコントラストを低減することによって、隠蔽された磁気ストリップを有する電子ドキュメントの磁気ストリップの上に適用される層の総厚さを低減することが可能である。
【0036】
したがって、これにより、標準に定められた磁気ストリップの幅の基準への準拠を高めることが可能になる。
【0037】
同時に、磁気ストリップより上の許容可能な層厚さがより大きな程度まで拡大することができ、これにより、装飾を作成するためにより多様な可能性を想定できるようになる。
【0038】
本明細書の装飾は、1つ以上の層で形成されることができる。
【0039】
例示的な実装形態によれば、装飾を適用するステップは、少なくとも1つの装飾層を印刷する少なくとも1つのステップを含む。
【0040】
特定の例示的な実施形態では、よって、装飾は、例えば銀又は金のカラープリントで形成された銀色又は金色であってもよく、かつ、白色プリント(又は別の色)であってもよい。
【0041】
興味深い実施例によれば、装飾を適用するステップは、本体の表面で、磁気ストリップの上に装飾背景を適用するステップを含む。
【0042】
よって、磁気ストリップは、装飾背景と本体の表面との間に配置される。
【0043】
装飾背景は、例えば、例えば白色の、無地の層である。
【0044】
別の実施例によれば、装飾背景は模様を含んでもよく、かつ/又はいくつかの色(多彩色又は数レベルのモノクローム)のものであってもよい。
【0045】
興味深い実施例によれば、装飾を適用するステップは、装飾背景がある場合には装飾背景の上に、イラストレーション層を適用するステップを含む。
【0046】
よって、磁気ストリップは、イラストレーション層と本体の表面との間に配置される。
【0047】
よって、実際には、装飾背景は、磁気ストリップとイラストレーション層との間に含まれる。
【0048】
別の興味深い実施例によれば、装飾を適用するステップはまた、装飾背景の上及び/又はイラストレーション層の上に保護層を適用するステップを含む。
【0049】
保護層は、例えば、例えばクリアワニスなどのワニスである。
【0050】
したがって、装飾は、例えば、装飾背景、イラストレーション層、及び/又は保護層を含む。
【0051】
第1の選択肢によれば、装飾背景、イラストレーション層及び/又は保護層は事前に組み付けられ、すなわち重ね合わされて、そのように形成された装飾が磁気ストリップの上に適用される。
【0052】
又は、第2の選択肢によれば、装飾背景が磁気ストリップに適用され、次いでイラストレーション層が装飾背景に適用され、かつ/又は保護層が、イラストレーション層に、又は装飾背景に直接適用される。
【0053】
したがって、興味深い実施形態では、装飾は、最終イメージに適合するように設計されている。
【0054】
このために、例えば、所望の最終イメージを得るために使用されるインクは、装飾背景及びイラストレーション層によって決まる。
【0055】
白色のインクから形成された装飾背景を考慮すると、装飾背景が非常に不透明である場合は、イラストレーション層のインクを、「白色の背景上にある」とみなされる印刷向けに選択することができる。
【0056】
一方、装飾背景があまり不透明でない場合は、その背景は「グレー効果」を与え(例えば、装飾背景が白色のインクによって形成されているが、非常に不透明なわけではなく、一方で磁気ストリップは全体的に黒いことが考慮される)ので、最終イメージ、すなわち、所望の不透明性の装飾を得るためにイラストレーション層のインクの色の選択が修正される。
【0057】
例示的な実装形態では、装飾を適用するステップは、少なくとも100LPI(Line Per Inch:インチあたりライン数)、又は更に120LPIのメッシュを有する布からスクリーン印刷するステップを含む。
【0058】
LPI(Line Per Inch)又はLPC(Line Per cm:センチメートルあたりライン数)という単位は、このタイプの印刷に使用される布の1インチ又は1センチメートルあたりの糸の数を定める、スクリーン印刷の分野での標準的な尺度の単位である。
【0059】
例示的な実装形態によれば、磁気ストリップを本体の表面の少なくとも一部に適用するステップは、本体の表面の少なくとも一部にインクを印刷するステップを含み、インクは、磁気ストリップを形成するように設計されている。
【0060】
インクは、例えば磁気インクである。
別の例示的な実装形態によれば、磁気ストリップを本体の表面の少なくとも一部に適用するステップは、磁気ストリップを含むテープを提供するステップであって、テープが、バッキング及びバッキングに適用された磁気ストリップを含むステップと、磁気ストリップを、テープバッキングから本体の表面に転写するステップと、を含む。
【0061】
よって、磁気ストリップは、例えば、本体の表面とテープバッキングとの間に配置される。
【0062】
テープバッキングは、例えば、例えば、プラスチックシート、例えば、PET(ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエチレンテレフタレートとも呼ばれる)で作製されたシートであり、磁気ストリップが提供される表面である。
【0063】
例えば、磁気ストリップをテープから表面に転写するステップは、テープを本体の表面にラミネートするステップを含む。
【0064】
ラミネーションは、接着剤を補助として高温又は低温で行うことができる。
【0065】
例示的な実装形態によれば、この方法は、任意の色の表面を含む基材を提供するステップ、次いで、その任意の色の基材の表面に第2の色の層を適用するステップを含み、第2の色の層は、ドキュメントの本体の表面を形成する。
【0066】
例えば、任意の色の基材の表面に第2の色の層を適用するステップは、任意の色の基材の表面に第2の色のインクを印刷するステップを含む。
【0067】
このために、例えばリソグラフィ、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどのすべてのタイプの印刷方法が好適であり得る。
【0068】
別の例示的な実装形態によれば、この方法は、上面から、厚さの少なくとも一部にわたって全体的に第2の色によって着色された基材を提供するステップを含み、全体的に着色された基材の上面は、第2の色の本体の表面を形成する。
【0069】
第2の態様はまた、上記の方法によって得られる、隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメントを提案する。
【0070】
具体的には、そのような電子ドキュメントは、
-表面を含む本体と、
-電子ドキュメント本体の表面の少なくとも一部に適用された磁気ストリップであって、その磁気ストリップによって少なくとも部分的に覆われた本体の表面は、15以下、又は更には10以下のデルタEコントラストを有する目に見える表面を形成する、磁気ストリップと、
-本体の表面に適用され、磁気ストリップを覆う、装飾であって、多くとも10μmの厚さを有し、可視領域の波長で少なくとも70%の不透明率を有する、装飾と、
を含む。
【0071】
したがって、そのような電子ドキュメントは、本方法の一部として上に提示されたものと同様の利点を有する。
【0072】
例示的な実施形態では、磁気ストリップは、本体の表面全体を覆う。
【0073】
よって、目に見える表面は、磁気ストリップによって形成される。
【0074】
よって、デルタEコントラストは0(ゼロ)である。
【0075】
磁気ストリップが本体の表面の一部のみを覆う例示的な実施形態では、デルタEコントラストは、磁気ストリップの第1の色と本体の表面の第2の色との間で決定される。
【0076】
例示的な実施形態では、装飾は、装飾背景を含む。
【0077】
例えば、装飾背景は、本体の表面に適用され、磁気ストリップを覆う。
【0078】
装飾背景は、例えば、例えば白色の、無地の層である。
【0079】
別の実施例によれば、装飾背景は模様を含んでもよく、かつ/又はいくつかの色(多彩色又は数レベルのモノクローム)のものであってもよい。
【0080】
一実施形態によれば、装飾は、イラストレーション層を含む。
【0081】
例えば、装飾背景にイラストレーション層が適用されてもよい。
【0082】
例示的な実施形態では、装飾は、装飾背景又はイラストレーション層に適用される保護層を含む。
【0083】
保護層は、例えば、例えばクリアワニスなどのワニスである。
【0084】
一実施形態によれば、電子ドキュメントの本体は、任意の色の表面を含む基材と、任意の色の基材の表面に適用された第2の色の層とを含み、第2の色の層は、磁気ストリップが適用されるドキュメントの本体の表面を形成する。
【0085】
別の実施形態によれば、電子ドキュメントの本体は、上面から、厚さの少なくとも一部にわたって全体的に第2の色によって着色された基材を含み、全体的に着色された基材の上面は、磁気ストリップが適用されるドキュメントの本体の表面を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
例示的な実施形態によれば、本発明は、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として与えられる以下の詳細な説明を読むことによって、より良好に理解され、その利点がより良好に示されるであろう。
【
図1】隠蔽された磁気ストリップを含むドキュメントを作成する従来の方法の主なステップを概略的に示す。
【
図2】本発明の例示的な実装形態による、隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメントを作成する方法を概略的に表す。
【
図3】本発明の別の例示的な実装形態による、本体の表面全体を覆う隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメントを作成する方法を概略的に表す図。
【
図4】本発明の一実施形態による、隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメントの断面図を示す。
【0087】
上記の図に示される同一の特徴は、同一の参照番号によって識別される。
【0088】
図1は、従来技術による、隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメントを作成する方法10の主なステップを示す。
【0089】
そのような方法10は、典型的には、電子ドキュメント本体の表面上に少なくとも1つの磁気ストリップを組み付けるステップ11を含む。
【0090】
従来、磁気ストリップは黒色、場合によっては灰色であり、一方、電子ドキュメントの本体、より重要な理由から、磁気ストリップが適用されるその表面は、白色である。
【0091】
したがって、磁気ストリップと本体との間には著しいコントラストがある。
【0092】
磁気ストリップを隠蔽するために、この方法は、典型的には、銀色層(すなわち灰色とみなされ、例えばスクリーン印刷による)を適用するステップ12を含み、よって、これは、本体の白色と磁気ストリップの黒色との間のコントラストを崩す第1のステップを表す。十分な被覆を達成するために、銀色層は一般に、少なくとも4μmの厚さを有する。
【0093】
次いで、この方法は、一般に、例えば同じくスクリーン印刷によって白色の層(「白色層」とも呼ばれる)を適用するステップ13を含み、よって、これは、本体の白色と磁気ストリップの黒色との間のコントラストを低減する第2のステップを表すが、加えて、この白色層は、ここではステップ14及び15に示されるように、電子ドキュメントの表面に装飾を適用するための背景として機能する。
【0094】
したがって、例えば、この方法は、白色層によって形成された背景に、例えばリソグラフィによって、イラストレーションを適用するステップ14を含み、次いで、この方法は、イラストレーションを保護するために、例えばスクリーン印刷によってワニスを適用するステップ15を含む。
【0095】
したがって、そのような方法では、結果として得られる電子ドキュメントは、磁気ストリップの上に、少なくとも2つのいわゆる「隠蔽」層、すなわち、銀色層(ここではステップ12において適用される)及び白色層(本明細書ではステップ13において適用される)を、次いで、イラストレーション層(本明細書ではステップ14による)、及びワニス層(本明細書ではステップ15による)を含む。
【0096】
ステップ12~15の間に適用される層のアセンブリは、一般に7μm~12μmの厚さを呈し、このアセンブリは、磁気ストリップの能力を低下させる傾向がある。
【0097】
したがって、本発明の例示的な実装形態による方法20を、
図2に概略的に示す。
【0098】
本発明の例示的な実施形態による、隠蔽された磁気ストリップを含む電子ドキュメントを作成する方法20は、次いで、例えば本明細書では黒色である「第1の」色の磁気ストリップ33を、電子ドキュメント本体の表面310(ここではステップ22に示す)の一部に適用するステップに23を含み、表面310は「第2の」色、例えば、黒色である。
【0099】
この例示的実施形態では、電子ドキュメントは、電子ドキュメントフォーマットのいくつかの列(例えば、24列)を含むことができるボートから切り出される。
【0100】
本明細書では、例示の目的で、図は、3列のいくつかのフォーマット、したがって3つの磁気ストリップ33の存在を含むことができるボートを表す。
【0101】
次いで、ドキュメントの本体は、本体の覆われていない表面310によって、及び、磁気ストリップ33のうちの1つによって形成される目に見える表面34を有する。
【0102】
したがって、マスキングされていない本体の表面310の第2の色と、磁気ストリップ33の第1の色との間でデルタEコントラストが決定される。
【0103】
それらの両方が黒色であることを考慮すると、デルタEコントラストは、本明細書では10未満、又は更には実質的にゼロ(0)に近い。
【0104】
加えて、この方法は、例えば、磁気ストリップ33の上に装飾35、36、37を適用するステップ24、25、26を含む。
【0105】
装飾35、36、37は、多くとも10μmの厚さを有し、可視範囲内の波長に対して不透明である。
【0106】
この装飾は、オフセット印刷及びスクリーン印刷などの従来の印刷方法によって適用される。本発明のこの実施例の文脈では、単色層はスクリーン印刷によって作成され、多色層はオフセットによって作成される。
【0107】
したがって、銀色の隠蔽層を省くことが可能であるだけでなく、加えて、磁気ストリップの上に適用する層を少なくすることが可能である。
【0108】
本明細書では、装飾は、例えば、装飾背景35、イラストレーション層36、及び保護層37を含む。
【0109】
したがって、この方法は、磁気ストリップ33の上に装飾背景35を適用するステップ24を含む。
【0110】
装飾背景35は、例えば本明細書に単なる例として示すような白色の、例えば無地の層であり、それ以外であってもよい。別の実施例によれば、装飾背景は模様を含んでもよく、かつ/又はいくつかの色(多彩色又は数レベルのモノクローム)のものであってもよい。
【0111】
したがって、磁気ストリップ33は、よって、装飾背景35と本体の第2の色の表面310との間に配置される。
【0112】
この方法は更に、装飾背景35の上にイラストレーション層36を適用するステップ25を含む。
【0113】
よって、装飾背景35は、磁気ストリップ33とイラストレーション層36との間に含まれる。
【0114】
したがって、イラストレーション層36は、ここで、表面310上に作成された3つの磁気ストリップ33に合わせて、3列の電子ドキュメントが形成されることを示す。
【0115】
そして最後に、本方法は更に、本明細書ではイラストレーション層36の上に保護層37を適用するステップ26を含む。
【0116】
保護層37は、例えば、例えばクリアワニスなどのワニスである。
【0117】
例えば、
図2に示すこの例では、磁気ストリップ33の上に装飾背景35を適用するステップ24は、スクリーン印刷によって行われる。装飾背景35の上にイラストレーション層36を適用するステップ25は、オフセットによって行われ、本明細書ではイラストレーション層36の上に保護層37を適用するステップ26は、好ましくは、スクリーン印刷によって行われる。
【0118】
加えて、
図2の実装形態では、この方法は、本明細書では白色である任意の色の表面を含む基材31を提供するステップ21、次いで、任意の色の基材31の表面に第2の色の層を適用するステップ22を含み、第2の色の層は、ドキュメントの本体の表面310を形成する。
【0119】
よって、基材31は、電子ドキュメントの本体の少なくとも一部を形成する。図示されていない例によれば、ステップ21及び22は、例えば全体的に着色された第2の色、例えば黒色の基材31を作成することによって、グループ化され得る。
【0120】
図3の例示的な実施形態では、方法ステップは、
図2のものと同一である。
【0121】
図3の例は、磁気ストリップ33が電子ドキュメント本体の表面全体を覆うように設計されているという点で
図2の例とは異なる。
【0122】
この場合、磁気ストリップ33がボードの表面全体を覆い、続いてその表面内で電子ドキュメントが切断される。
【0123】
この場合、デルタEコントラストは、0(ゼロ)である。
【0124】
このゼロコントラストにより、装飾背景35を省くことが可能になり(ここでは、このステップは、
図2と同様に示され、例示の目的で概略的に示される模様が考慮されているが、これは任意選択である)、したがって、新しい視覚的審美効果を得るための、イラストレーション層36及び保護層37を構成する層の選択の可能性が高まる。
【0125】
図2、又は
図3に示すものなどの方法の最後に得られる電子ドキュメント30の例を、
図4に概略的に示す。
【0126】
この図では、隠蔽された磁気ストリップを有する電子ドキュメント30は、
-第2の色の、表面310を含む本体と、
-本体の表面310の少なくとも一部に適用された第1の色の磁気ストリップ33と、
-本体の表面310に適用され、磁気ストリップ33を覆う、装飾32と、
を含む。
【0127】
本体の表面310は、磁気ストリップ33及び磁気ストリップによって少なくとも部分的に覆われ、したがって、15以下、又は更には10以下のデルタEコントラストを有する目に見える表面34を形成する。
【0128】
図3に示すとおりの方法の最後に得られる電子ドキュメント30の場合、磁気ストリップ33は、表面310全体を覆い、次いで、目に見える表面34は、磁気ストリップ33によって形成される。よって、デルタEコントラストは、ゼロに近い、又はゼロに等しい。
【0129】
装飾32は、多くとも10μmの厚さを有し、可視範囲内の波長に対して不透明である。
【0130】
本明細書では、装飾32は、装飾背景35と、装飾背景35に適用されるイラストレーション層36と、イラストレーション層36に適用される保護層37と、を含む。
【0131】
保護層37は、例えば、例えばクリアワニスなどのワニスである。
【0132】
図4の例示的な実施形態では、電子ドキュメント30の本体は、任意の色の表面を含む基材31と、任意の色の基材31の表面に適用された第2の色の層とを含み、第2の色の層は、磁気ストリップ33が適用されるドキュメント30の本体の表面310を形成する。
【0133】
ただし、基材31は、表面から、厚さの少なくとも一部にわたって全体的に第2の色により着色され、第2の色の表面310を形成してもよい。
【国際調査報告】