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特表2023-507149体液の排出および分析並びに健康状態を評価するためのシステム、装置、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(54)【発明の名称】体液の排出および分析並びに健康状態を評価するためのシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20230214BHJP
   A61B 5/20 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A61M1/00 135
A61M1/00 120
A61M1/00 160
A61B5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537060
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 US2020064527
(87)【国際公開番号】W WO2021126698
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/949,985
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/960,509
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517075355
【氏名又は名称】ポトレロ メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ソコロフ,ディミトリ
(72)【発明者】
【氏名】スタリア,サヒール
(72)【発明者】
【氏名】キーナン,リッチ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C077
【Fターム(参考)】
4C038DD04
4C077AA19
4C077BB10
4C077DD12
4C077DD21
4C077DD26
4C077EE04
4C077HH06
4C077HH07
4C077HH13
4C077HH16
4C077HH18
4C077JJ05
4C077JJ06
4C077JJ13
4C077JJ15
4C077JJ18
4C077KK27
(57)【要約】
体液を排出して分析し、健康を評価するためのシステム、装置および方法は、一般に、第1の端がドレナージラインの一部に流体接続可能なポンプ機構と、一方向弁を有し、第1の端がドレナージカテーテルおよびドレナージラインに流体接続可能な通気機構を含んで構成されることが説明される。ポンプ機構は、ポンプ機構がドレナージラインと連通しているときに、ドレナージライン内に負圧を生じさせるように構成されてもよく、一方向弁は、通気機構が第1の端部で接続され、かつドレナージラインが、ドレナージライン内にエアロックが生じることを防止するように環境圧力よりも低い圧力にあるときに環境に対して開放するように構成されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端でドレナージラインの一部分に流体的に接続可能なポンプ機構と、
一方向弁を有し、第1の端でドレナージカテーテルおよび前記ドレナージラインと流体連通するように接続可能な通気機構と、
を備え、
前記ポンプ機構は、前記ドレナージラインと連通しているときに、前記ドレナージライン内に負圧を発生させるように構成されており、
前記一方向弁は、前記通気機構が前記第1の端で接続され、かつ前記ドレナージラインが前記ドレナージライン内にエアロックが形成されないように環境圧力よりも低い圧力にあるときに、環境に対して開放するように構成されている、流体ドレナージシステム。
【請求項2】
前記ポンプ機構に流体的に接続される前記ドレナージラインをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
フォーリーカテーテルからなる前記ドレナージカテーテルをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記通気機構が、前記第1の端で、前記ドレナージライン内、前記ドレナージカテーテルの一部として、または前記ドレナージカテーテルと前記ドレナージラインとの間を含む、前記ドレナージシステムのサンプリングポートを介して前記ドレナージラインと流体連通して接続可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記通気機構が、前記第1の端で、前記ドレナージカテーテルの近位端と流体連通するように接続可能であり、第2の端で前記ドレナージラインの遠位端と流体連通するようにさらに接続可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ポンプ機構が、前記ドレナージライン内に周期的に前記負圧を発生させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ポンプ機構は、前記ドレナージライン内に連続的に前記負圧を発生させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ポンプ機構が前記ドレナージラインに直接接続可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ポンプ機構が蠕動ポンプからなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ポンプ機構が容積型ポンプからなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ポンプ機構が渦巻ポンプからなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ポンプ機構が、第1の端で前記ドレナージラインの前記一部分に流体的に結合され、また第2の端でリザーバーに流体的に結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ドレナージラインと連通するように構成された流体流量計をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
被験者から体液を排出する方法であって、
ドレナージラインの一部に接続可能なポンプ機構を設けるステップと、
ドレナージカテーテルおよび前記ドレナージラインに流体的に接続可能な通気機構を設けるステップと、
前記ポンプ機構により、前記ドレナージライン内に負圧を生成するステップと、
前記ドレナージカテーテルから前記ドレナージラインへ体液を受承するステップと、
前記ドレナージラインが環境圧力よりも低い圧力にあるときに、前記ドレナージラインに流体的に結合されるとともに前記ドレナージカテーテルに近接した一方向弁を開放し、環境からの空気が前記一方向弁を通って導入されるようにするステップと、
前記ドレナージライン内にエアロックが発生することを抑制するステップと、
を含む、被験者から体液を排出する方法。
【請求項15】
前記ドレナージカテーテルがフォーリーカテーテルからなる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記通気機構を設けるステップが、第1の端で前記通気機構を、前記ドレナージライン内、前記ドレナージカテーテルの一部として、または前記ドレナージカテーテルと前記ドレナージラインとの間を含む、ドレナージシステムのサンプリングポートを介して前記ドレナージラインと流体連通して接続するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記通気機構を設けるステップが、前記通気機構を第1の端で前記ドレナージカテーテルの近位端と流体連通して接続し、前記通気機構を第2の端で前記ドレナージラインの遠位端と流体連通して接続するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記負圧を形成するステップが、前記ドレナージライン内に前記負圧を周期的に発生させるステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記負圧を形成するステップが、前記ドレナージライン内に前記負圧を連続的に発生させるステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記ポンプ機構が蠕動ポンプからなる、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記ポンプ機構が容積型ポンプからなる、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記ポンプ機構が渦巻ポンプからなる、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記ポンプ機構の第1の端で前記体液を受承し、前記ポンプ機構の第2の端で流体的に接続されているリザーバーに前記体液を排出するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記ドレナージラインと連通する流体流量計を介して流体流量を測定するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスレファレンス
本出願は、2018年1月11日出願の国際特許出願PCT/US2018/13399、2011年7月11日出願のPCT/US2011/043570、2012年3月7日出願のPCT/US2012/028071、2016年11月3日出願のPCT/US2016/060365、2015年9月28日に出願のPCT/US2015/052716、2014年6月27日に出願のPCT/US2014/044565、2015年1月7日に出願のPCT/US2015/010530、2016年11月3日に出願のPCT/US2016/060365は、2018年4月2日に出願の米国仮出願第62/651,377号、および2018年11月6日に出願の米国仮出願第62/756,473号、2018年12月6日に出願の米国仮出願第62/776,388号、2019年1月29日に出願の米国仮出願第62/798,365号に関連し、これらの各々は、かかる個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているかのように同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、医療装置の分野に関する。本発明は、特に、膀胱を空にすることの支援、尿量、並びに酸素分圧、尿コンダクタンス、および尿比重等の各種尿パラメーターの測定、腎機能の監視、感染の有無を含む、尿内容物等の尿パラメーターの分析、水分投与の追跡および/または制御を行う装置に関する。本発明はさらに、尿路、胃腸管、直腸の位置、腹膜前腔、胸膜腔、その他の体腔のいずれかに留まるように構成されたカテーテルに組み込まれたセンサーに基づいて生理学的データを検知可能な医療装置に関する。
参照による組み込み
【0003】
本明細書で言及されているすべての公開公報および特許出願は、個々の公開公報または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれたものとする。
【背景技術】
【0004】
入院中および長期療養中の患者の10%が尿道カテーテルを留置していると言われている。重症の患者には必ずと言っていいほど尿検査が行われ、ICUでは1時間ごとに尿量をモニターするのが日課となっている。生成される尿の量は、体液の状態および腎機能の指標となる。しかしながら、この重要な指標は、数多くの誤差要因によって誤った測定が行われる可能性がある。
【0005】
膀胱のドレナージに最もよく使用される装置はフォーリーカテーテルである。アンカーバルーンおよび小穴を備える、可撓性を備えたチューブで、中央のルーメンから尿をドレナージ可能とする設計は、発売以来ほとんど変わっていない。しかしながら、現在のフォーリーカテーテルの設計では、膀胱に残る残量が多く、例えば仰臥位では50mLを超えることがあることが分かっている。非特許文献1参照のこと。ある研究では、平均残量はICUで96mL、一般病棟で136mLであった。非特許文献2参照のこと。また、フォーリーカテーテルをドレナージバッグに接続するドレーンチューブや、ドレナージシステム内の他の箇所等にも、大量の残尿がよく見受けられる。
【0006】
膀胱およびドレーンチューブ内の残尿は、チューブ内に形成された大きな気泡(エアロック)が、膀胱からドレナージバッグへの尿の流れを妨げているためである。そのため、尿量測定の前に看護師がドレナージチューブを操作し、チューブを空にすることを支援することが日常的に行われるようになった。1時間に1回の頻度で測定するICUでは、非常に繰り返しの多い、不正確な作業となる。より正確で自動的な尿量測定が求められている。
【0007】
加えて、尿収集システムの中で、尿のパラメーターを測定および分析する機会もある。
【0008】
尿量測定および尿パラメーター解析の向上に加え、尿ドレナージカテーテル自体が、さらなる患者パラメーターの検知、収集、および解析のための未開拓の機会を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Fallis, Wendy M. Indwelling Foley Catheters Is the Current Design of Erroneous Measurement of Urine Output? Critical Care Nurse 25.2 (2005): 44-51
【非特許文献2】Garcia et al., Traditional Foley Drainage Systems-Do They Drain the Bladder?, J Urol. 2007 Jan; 177(1):203-7; discussion 207
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
加えて、医療装置には、患者の治療および/または維持を制御するように構成された多くの種類がある。例えば、レスピレーターは、患者の呼吸数、呼吸量、および/または混合ガスなどを制御することができる。静脈内投与(IV)は、流体および/または薬物などの物質を患者に投与することができる。その他、薬物送達などの動作が可能な装置も含まれる。この種の医療機器は、様々な設定などにより厳密に制御することが可能である。看護師などの医療従事者は、患者の様々なパラメーターを確認し、それに応じて医療用処置装置の設定を調整することができる。患者のパラメーターを利用して、医療用処置装置の設定を自動的または半自動的に制御する制御部が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
広く普及し、低コストで、医療従事者が容易に設置できるフォーリータイプのカテーテルを、変形し、かつ/または機能を追加するなどして、重要な診断情報を得るための手段として利用することができる。本明細書に開示される技術により、腹腔内圧(およびその他)検知機能を備えるフォーリーカテーテルから得られるような、高解像度かつ従来は得られなかった診断情報を提供することができる。
【0012】
加えて、エアロックの発生は、腹腔内圧の測定値を大きく狂わせることが分かっている。また、膀胱が空でない場合も、膀胱内の圧力測定値に悪影響を及ぼすことがある。また、本明細書で開示する技術は、腹腔内圧測定などの設定においてエアロックを検知および除去し、より完全な膀胱ドレナージを実現するものである。
【0013】
本明細書に開示される技術は、膀胱の排液をより効果的に行い、ドレナージチューブにエアロックが発生するのを防ぎ、発生した場合には解消し、尿量を自動で測定する精度を高めることを目的としている。また、開示される技術は、流体の状態、腎機能、その他の重要な患者パラメーターのモニタリングを改善するために、酸素分圧、コンダクタンス、および比重、ガス圧、濁度、感染、沈殿物などの尿の追加測定を取り入れようとするものである。
【0014】
また、開示される技術は、患者の膀胱および尿路のうちの少なくともいずれか一方から生理学的なデータ、特に、高忠実度の圧力検知、および処理に適した信号への変換によって収集された生理学的なデータを検知するフォーリーカテーテルに関する技術である。いくつかの実施形態では、圧力検知用フォーリータイプカテーテルにより、さらに、温度および臨床的意義のある分析物を検知することが可能となってもよい。検知用フォーリーカテーテルシステムが測定し得る生理学的パラメーターの例(時間的な測定値および時間の経過に伴う値の傾向)には、尿量、呼吸数、心拍数、心拍数変動、心拍出量、心拍出量変動、腹腔内圧(IAP)、組織酸素化、組織ガス含量、パルス通過時間、肺血液量変動、体温、血液成分、および他の患者パラメーターが含まれる。
【0015】
負圧の蓄積を防ぐように構成された、一実施形態によるドレナージアセンブリは、一般に、体腔内に挿入するように構成された第1の端を有する長尺状をなすカテーテルから構成され得る。カテーテルは、その中に形成されたカテーテルルーメンと流体連通している第1の端近傍または第1の端にある少なくとも1つの開口部、カテーテルの第2の端と流体連通しているドレナージルーメン、ドレナージルーメンと流体連通しているリザーバー、ドレナージルーメンおよび正圧ルーメンと流体連通している通気機構を備えてもよい。弁は、通気機構内に配置され、ドレナージルーメン内の第1の圧力レベルが第2の圧力レベルまで低下し、弁が開放位置に移動するまで閉鎖位置を維持するように構成されてもよい。さらに、弁と流体連通してベントが配置されてもよく、通気機構は、ドレナージルーメン内の流体からのベントの濡れを抑制するように構成され;また、リザーバーと連通する制御部を備え、制御部は、リザーバー内に収集された流体量を測定するように構成される。
【0016】
別例では、ドレナージアセンブリは、負圧の蓄積を防ぐように構成されてもよく、一般に、体腔内に挿入するように構成された第1の端を有する長尺状をなすカテーテルを備え、このカテーテルは、第1の端付近またはその位置に、その中に形成されるカテーテルルーメンと流体連通する少なくとも1つの開口部を有する。ドレナージルーメンは、カテーテルの第2の端と流体連通していてもよく、ドレナージルーメンと流体連通する正圧ルーメンと、ドレナージルーメンと流体連通するリザーバーと、ドレナージルーメンに結合された通気機構とを備え、通気機構はドレナージルーメン内の流体からのベントの濡れを抑制するように構成される。制御部は、リザーバーと連通していてもよく、制御部は、リザーバー内に収集された流体量を測定するように構成され、閉鎖位置と開放位置との間で構成可能な弁も含まれていてもよく、弁に付与された第1の圧力レベルが第2の圧力レベルまで低下すると弁は閉鎖位置から開放位置へ移動する。
【0017】
開示される技術によって測定および/または決定され得る特定の患者パラメーターは、医療処置装置による患者の処置によって影響を受け、かつ/または影響を及ぼす。例えば、患者の尿量、呼吸数、心拍数、心拍出量、心拍出量変動、腹腔内圧(IAP)、組織酸素化、組織ガス含量、体温、血液成分などの患者パラメーターは、医療処置によって影響を受け、かつ/または影響を及ぼす可能性がある。医療装置によって制御される医療行為の例としては、レスピレーターによって制御される呼吸数および呼吸成分、静脈内点滴制御部によって制御される静脈内点滴速度および点滴成分、薬物送達装置または静脈内点滴制御部によって制御される薬物送達、尿量ポンプによって制御される尿量、ドレーンポンプによって制御される腹腔液量、および他の医療処置装置によって制御される他の処置が挙げられる。
【0018】
体液を分析するための一実施形態によるシステムは、一般に、カテーテルの遠位端の近傍または遠位端に配置され、バルーンに近接して1つ以上の開口部をさらに形成する膨張可能なバルーンを有する長尺状をなすカテーテルと、カテーテルの近位端に結合された通気機構であって、通気機構に負圧が加えられたときにその中に空気を通すように構成された通気機構と、通気機構に結合され1つ以上の開口部と流体連通している第1のルーメンと、バルーンと流体連通している第2のルーメンと、第1のルーメンの近位端に結合され、1つ以上の開口部と流体連通しているリザーバーと、リザーバーに接続するように構成され、第1のルーメン内の圧力を制御するようにプログラムされている制御部とを備える。制御部は、患者からリザーバー内に受承される尿量を監視して、バルーン内の圧力変化に一部基づいて患者の腹腔内圧を測定するようにさらにプログラムされる。制御部は、患者データを格納するようにさらに構成される。
【0019】
患者からの1つ以上の身体パラメーターを分析するための1つの例示的な方法において、この方法は、一般に、体液で少なくとも部分的に満たされた体腔内にカテーテルの遠位端の近傍または遠位端に位置決めされた拡張可能なバルーンを有する長尺状をなすカテーテルを位置決めすることと、バルーンに近接してカテーテルに沿って形成された1つ以上の開口部を介して尿を受承することと、体腔の外部に位置し、体腔を通じて1つ以上の開口部と流体連通しているリザーバー内で体液をさらに受承することと、流体管腔に負圧が加えられたときに流体管腔と連通している通気機構を介して空気を通気することと、通気機構への負圧を制御するようにプログラムされた制御部を介してリザーバー内に受承された尿の量を分析することと、バルーン内の圧力変化に一部基づいて患者の腹腔内圧を測定することと、制御部を介して患者データの1つ以上のパラメーターを記憶することと、を含む。
【0020】
検知用フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、患者パラメーターに関連する1つ以上のデータを受信し、この情報を使用して1つ以上の医療処置装置を制御するループ制御部を含む。ループ制御部は、患者のパラメーターを測定する装置、または医療処置装置のいずれか、あるいはその両者と一体的に設けられてもよい。
【0021】
発明の名称が検知用フォーリーカテーテルである国際特許出願第PCT/US2014/044565号(特許文献1)(その全体が参照により本書に組み込まれる)に開示されるようなカテーテル上の圧力測定バルーンは、患者のパラメーターを測定する装置の一例である。追加の実施形態については、本明細書に開示する。検知用フォーリーカテーテルシステムは、圧力測定バルーンおよび/または他のセンサー、並びに尿量および成分を測定して尿量速度、IAP、呼吸数、心拍数、心拍出量、組織酸素化、尿組成、体温および他の患者パラメーターなどを測定する能力を含むことができる。
【0022】
その他、尿比重および脈圧変動など、検知用フォーリータイプカテーテルで測定可能なパラメーターがある。これらのパラメーターは、ベンチレーター、および/または輸液、および/または水分補給装置などの医療処置装置の制御を支援することに使用することができる。
【0023】
尿比重は、尿中の溶質粒子の数および重量を示す指標である。正常範囲は1.010乃至1.030程度である。これよりも高い測定値は、脱水症状などを示している可能性がある。これよりも低い測定値は、水分過負荷などの症状を示している可能性がある。検知用フォーリーカテーテルのセンサーで測定を行ってもよい。測定結果は、患者の輸液速度を増加(脱水の場合)または減少(水分過負荷の場合)させることを示している可能性がある。測定結果は、換気パラメーターや薬物注入などの変化を示すこともある。
【0024】
脈圧の変動により、ベンチレーターおよび輸液装置のうちの少なくともいずれか一方などの医療処置装置に対する体液の反応性を予測することができる。検知用フォーリーカテーテルは圧力波形を記録し、制御部は呼吸周期と一致する最大圧力パルスと最小圧力パルスとを識別することができる。制御部は、脈圧の変動を計算することができる。脈圧の変動は、ある患者が輸液療法に反応するかしないかを判断することを支援し得る。脈圧の変動は、制御部がフィードバックループで治療を制御するために使用することもできる。脈圧の変動が大きい場合に、患者はより多くの流体を必要とする。脈圧の変動が小さい場合は、より少ない流体量で済む。
【0025】
検知用フォーリーカテーテルシステムは、膀胱内の圧力検知により心臓活動を測定することができる。検知用フォーリーカテーテルは、心臓活動のみならず呼吸活性も計測可能であり、患者の呼吸数および心拍数の周波数が互いに近いこともあるため、患者の呼吸数測定により心拍数計測が歪んでしまうことがある。この課題を克服するために、制御部のいくつかの実施形態は、心臓波形が呼吸歪みなく捕捉され得るように、1つ以上の吸気点の終了時にレスピレーターを一時停止し、かつ/または1つ以上の呼気点の終了時にレスピレーターを一時停止(毎回僅か数秒、例えば1乃至3秒、または例えば1乃至4秒)することができる。このように詳細な心電波形を捕捉することにより、制御部は敗血症の検知および水分過負荷の予防に有用な心拍出量変動(SVV)を測定することができる。代替的実施形態として、患者は吸気点および呼気点のうちの少なくともいずれか一方で呼吸を止めるように要求されてもよい。
【0026】
別例では、カテーテルシステムは、一般に、カテーテルの遠位端の近傍または遠位端に少なくとも1つの開口部を有するカテーテルと、カテーテルの近位端と流体連通しているバーブと、少なくとも1つの開口部と流体連通しているドレナージチューブと、バーブと流体連通しているベントチューブとから構成されてもよい。一方向弁は、ベントチューブと一列になって、バーブの近位側の位置に配置されてもよく、制御部は、一方向弁と通信していてもよく、制御部は、一方向弁が開かれ、流体がベントチューブを通過するように、ドレナージチューブに負圧を加えるようにプログラムされている。
【0027】
別例では、流体を排出するための一方法は、一般に、カテーテルシステムを被験者の身体に近接して位置決めすることを含み得、カテーテルシステムは、カテーテルの遠位端近傍または遠位端に少なくとも1つの開口部を有するカテーテルと、カテーテルの近位端と流体連通しているバーブと、少なくとも1つの開口部と流体連通しているドレナージチューブとを有する。一方向弁と通信する制御部は、一方向弁がベントチューブと一線に配置され、バーブと流体連通している形態で作動してもよく、一方向弁はさらにバーブの近位側の箇所に配置される。ドレナージチューブに負圧を加えると、一方向弁が開放され、流体がベントチューブを通過してもよい。
【0028】
別例では、患者の健康を評価するためのシステムは、一般に、カテーテルの遠位端の近傍または遠位端に配置された少なくとも1つの開口部と流体連通しているように構成されたドレナージチューブと、ドレナージチューブと流体連通しておりドレナージチューブに負圧を加えるように構成されたポンプと、一方向の流れのために構成されておりドレナージチューブと流体連通している弁とを含んでいてもよい。制御部は、ポンプと通信していてもよく、制御部は、ドレナージチューブからエアロックを除去するための負圧を加えるためにポンプを作動させるように構成されている。制御部は、尿量閾値を超える第1の予め定められた期間および尿量閾値を下回る第2の予め定められた期間にわたって患者からの尿量を監視するように構成されてもよく、制御部は、尿量閾値を下回る尿量が第2の予め定められた期間を超える場合に急性腎臓損傷(AKI)のリスクを判定するようにさらに構成されてもよい。
【0029】
別例では、患者の健康を評価する方法は、一般に、カテーテルの遠位端の近傍または遠位端に少なくとも1つの開口部を有するカテーテルを介して患者から尿出力を受承することと、少なくとも1つの開口部と流体連通しているドレナージチューブに、ドレナージチューブからエアロックが除去されるまで負圧を加えることと、尿量閾値を超える第1の予め定められた期間にわたって制御部を介して尿量を監視し、さらに尿量閾値を下回る第2の予め定められた期間にわたって尿量を監視することとを含んでもよい。さらに、本方法は、尿量閾値未満の尿量が第2の予め定められた期間を超えた場合に、AKIのリスクを判定することを含んでもよい。
【0030】
一態様による流体ドレナージシステムは、一般に、第1の端がドレナージラインの一部に流体接続可能なポンプ機構と、一方向弁を有するとともに第1の端がドレナージカテーテルおよびドレナージラインに流体接続可能な通気機構とを備えてもよい。ポンプ機構は、ポンプ機構がドレナージラインと連通しているときに、ドレナージライン内に負圧を生じさせるように構成されてもよく、一方向弁は、通気機構が第1の端で接続され、かつドレナージラインがドレナージライン内にエアロックが生じることを防止するように環境圧力よりも低い圧力にあるときに、環境に対して開放するように構成されてもよい。
【0031】
被験者から体液を排出する方法の一態様は、一般に、ドレナージラインの一部に接続可能なポンプ機構を設けることと、ドレナージカテーテルおよびドレナージラインに流体的に接続可能な通気機構を設けることと、ポンプ機構を介してドレナージライン内に負圧を形成することを含んでもよい。体液は、ドレナージカテーテルを通ってドレナージラインに受承され、一方向弁は、ドレナージラインが環境圧力よりも低い圧力にあるときに、ドレナージラインに流体的に結合され、ドレナージカテーテルに近接して、環境からの空気が一方向弁を通して導入されるようにしてもよい。したがって、ドレナージライン内でエアロックが形成されることを抑制することができる。
【0032】
図面は本発明の新規な特徴を示すものである。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明、およびその添付図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルを示す図である。
図2図2は、呼吸数検知データの一例を示す図である。
図3図3は、呼吸器系プロファイルの詳細部分を示す図である。
図4図4は、心拍数および相対的な心拍出量の検知データの一例を示す図である。
図5図5は、ヒトの脚上げ運動における相対的心拍出量検知に関連するデータを示す図である。
図6図6は、腹膜検知データの一例を示す図である。
図7図7は、腹膜検知データの一例を示す図である。
図8図8は、腹腔内圧、呼吸性血圧波圧、心圧間の関係を示す図である。
図9図9は、本方法の一実施形態を示すフロー図である。
図10A図10Aは、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図10B図10Bは、図10Aのエアロック解消機構と流体収集および分析システムとを示す詳細図である。
図10C図10Cは、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムの使い捨て構成要素を示す図である。
図11A図11A乃至11Cは、様々な実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図11B図11A乃至11Cは、様々な実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図11C図11A乃至11Cは、様々な実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図11D図11Dは、一実施形態によるベントチューブを示す図である。
図11E図11Eは、ベントルーメンが流体収集バッグと直接流体連通している、一実施形態によるカテーテルシステムを示す図である。
図11F図11Fは、弁開閉サイクルをグラフ化して示す図である。
図12A図12Aは、別例による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図12B図12Bは、別例による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図13図13は、検知用フォーリーカテーテルシステムの開放機構の一例を示す図である。
図14図14は、検知用フォーリーカテーテルシステムの解消機構の一例を示す図である。
図15図15は、ベントおよびポンプを備えた動的通気システムを示す図である。
図16図16は、圧力解放および無菌化のためのベントを追加した、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図17図17は、圧力解放ベントおよび解放弁を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図18図18は、紫外線/光分光法を用いて尿中の細菌、血液および/または他の物質を検知するための検知用フォーリーカテーテルシステムに含まれ得る一実施形態による収集容器、チャンバーまたはカセットを示す図である。
図19A図19Aは、尿中の大腸菌、赤血球、および血漿の光に対する様々な吸収波長を示す図である。
図19B図19Bは、一実施形態によるディスプレイを示す図である。
図20図20は、隔壁またはフラップを含む、一実施形態によるカセットを示す図である。
図21図21および図22は、いくつかの実施形態における圧力バルーンのプライミング方法を表すグラフである。
図22図21および図22は、いくつかの実施形態における圧力バルーンのプライミング方法を表すグラフである。
図23図23乃至25は、本発明の様々な実施形態において可能な論理を示すフローチャートである。
図24図23乃至25は、本発明の様々な実施形態において可能な論理を示すフローチャートである。
図25図23乃至25は、本発明の様々な実施形態において可能な論理を示すフローチャートである。
図26図26は、患者環境におけるループ制御部を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図27図27は、患者環境におけるループ制御部を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図28図28は、患者環境におけるループ制御部を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図29図29は、患者環境におけるループ制御部を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図30図30は,可能な入力パラメーターを備え出力動作が可能なループ制御部を詳細に示す図である。
図31A図31Aは、患者パラメーターに基づいて急性腎臓損傷およびUTIを識別するための可能な署名を可能にするパラメーターの組み合わせを一覧化した表である。
図31B図31Bは、患者パラメーターに基づいて、急性腎臓損傷、敗血症、および急性呼吸窮迫症候群を識別するための可能な署名を許可するパラメーターの組み合わせを一覧化した表である。
図32図32は、エアロック解消時の収集チャンバー内の圧力署名曲線を示すグラフである。
図33図33は、本発明の任意の実施形態に用いることができる、データ処理システムを示すブロック図である。
図34図34は、赤血球、および/または血漿/白血球を識別するために使用可能な代替的波長を示すグラフである。
図35図35は、利尿剤投与直後の尿量データを示すグラフである。
図36図36は、ベントチューブを備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図37図37は、内部ベントチューブを備えた、一実施形態による検知用式フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図38図38は、内部ベントチューブを備えた、一実施形態による検知用式フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図39図39は、内部ベントチューブおよび正圧チューブを備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図40A図40A乃至40Cは、気泡低減機構を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図40B図40A乃至40Cは、気泡低減機構を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図40C図40A乃至40Cは、気泡低減機構を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図41A図41Aおよび図41Bは、気泡低減機構を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図41B図41Aおよび図41Bは、気泡低減機構を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図41C図41C図41D、および図41Eは、収集リザーバ内の複雑な流路を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図41D図41C図41D、および図41Eは、収集リザーバ内の複雑な流路を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図41E図41C図41D、および図41Eは、収集リザーバ内の複雑な流路を備えた、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図42図42は、圧力バルーンを用いた圧力波形とその消滅を示した図である。
図43図43は、心電図を用いた心電信号のノイズ除去方法を例示する臨床データのサンプルである。
図44図44は、モデル波形を用いた心拍出量変動解析を示す臨床データのサンプルである。
図45A図45Aおよび図45Bは、カセットと制御部/モニターとの間の一部のルーメンのための、一実施形態によるシール機構のカセット側構成要素を示す図である。
図46図46は、図45Aおよび図45Bに示す、一実施形態によるシール機構の制御部側構成要素を示す図である。
図47A図47Aおよび図47Bは、カセットと制御部との間のルーメン接続シール機構の実施形態を示す図である。
図47B図47Aおよび図47Bは、カセットと制御部との間のルーメン接続シール機構の実施形態を示す図である。
図48図48は、カセット背面上のルーメン接続シール機構の実施形態を示す図である。
図49図49は、カセット背面上のルーメン接続シール機構を示す断面図である。
図50図50は、カセットと制御部/モニターとの間の一部のルーメンのための、一実施形態によるシール機構のカセット側の構成要素を示す寸法図である。
図51図51は、カセットと制御部/モニターとの間の一部のルーメンのための、一実施形態によるシール機構のカセット側の構成要素を示すフォースビュー(force view)である。
図52A図52Aおよび図52Bは、基部または頭部または他の構成要素が配向要素を含む、シール機構の実施形態を示す図である。
図53図53は、サンプリングポートを含むあらゆる尿ドレナージシステムに追加可能な通気機構を含む一実施形態を示す図である。
図54A図54Aおよび図54Bは、チューブ着座機構を含む、一実施形態によるバーブを示す図である。
図54B図54Aおよび図54Bは、チューブ着座機構を含む、一実施形態によるバーブを示す図である。
図55A図55A乃至55Eは、RIFLE基準よりも早期に腎臓損傷のリスクを予測する可能な方法を示す例である。
図55B図55A乃至55Eは、RIFLE基準よりも早期に腎臓損傷のリスクを予測する可能な方法を示す例である。
図55C図55A乃至55Eは、RIFLE基準よりも早期に腎臓損傷のリスクを予測する可能な方法を示す例である。
図55D図55A乃至55Eは、RIFLE基準よりも早期に腎臓損傷のリスクを予測する可能な方法を示す例である。
図55E図55A乃至55Eは、RIFLE基準よりも早期に腎臓損傷のリスクを予測する可能な方法を示す例である。
図56A図56A乃至56Cは、蠕動ポンプを含む、一実施形態による検知用フォーリーシステムを示す図である。
図56B図56A乃至56Cは、蠕動ポンプを含む、一実施形態による検知用フォーリーシステムを示す図である。
図56C図56A乃至56Cは、蠕動ポンプを含む、一実施形態による検知用フォーリーシステムを示す図である。
図57A図57A乃至57Cは、本明細書で開示する実施形態のスクリーンショット例を示す図である。
図57B図57A乃至57Cは、本明細書で開示する実施形態のスクリーンショット例を示す図である。
図57C図57A乃至57Cは、本明細書で開示する実施形態のスクリーンショット例を示す図である。
図58A図58Aおよび図58Bは、様々な尿パラメーターの分析および記録を含む、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図58B図58Aおよび図58Bは、様々な尿パラメーターの分析および記録を含む、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図59図59は、尿ドレナージルーメンに直接作用する、または尿ドレナージラインと一列になって作用するポンプを含む、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図60図60は、任意の尿ドレナージシステムに追加可能なポンプ機構を含む一実施形態を示す図である。
図61図61は、任意の尿ドレナージシステムに追加可能なポンプ機構を含む別例を示す図である。
図62図62は、任意の尿ドレナージシステムに追加可能な流体流量計を含む一実施形態を示す図である。
図63図63は、任意の尿ドレナージシステムに追加可能な流体流量計を含む別例を示す図である。
図64図64は、標準的なフォーリーカテーテルおよびドレナージシステムに、複数のモジュール要素を追加して使用した態様を示す図である。
図65A図65A乃至65Dは、尿の重量オスモル濃度を測定する機能を含む、一実施形態によるフォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図65B図65A乃至65Dは、尿の重量オスモル濃度を測定する機能を含む、一実施形態によるフォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図65C図65A乃至65Dは、尿の重量オスモル濃度を測定する機能を含む、一実施形態によるフォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図65D図65A乃至65Dは、尿の重量オスモル濃度を測定する機能を含む、一実施形態によるフォーリーカテーテルシステムを示す図である。
図66A図66Aおよび図66Bは、カセット内の尿の伝導率を測定するための電極を含む、一実施形態によるカセットを示す図である。
図66B図66Aおよび図66Bは、カセット内の尿の伝導率を測定するための電極を含む、一実施形態によるカセットを示す図である。
図67A図67Aおよび図67Bは、図66Aおよび図66Bに示すカセットと組み合わせて使用する、一実施形態による制御部を示す図である。
図67B図67Aおよび図67Bは、図66Aおよび図66Bに示すカセットと組み合わせて使用する、一実施形態による制御部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。しかしながら、本装置の様々な要素の代替的な実施形態も可能である。以下、これらの実施形態の例を示すが、本発明の範囲はこれらの具体的な構成に限定されるものではない。
【0035】
検知用フォーリーカテーテル
【0036】
図1は、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルとその要素のいくつかを示す図である。カテーテルは、被験者の外部に残る近位部分、中央または尿道に留まる部分、および遠位または膀胱に留まる部分など、カテーテルがヒトの被験者に挿入されたときの配置に従って様々な部分を有するものと理解され得る。
【0037】
例えば、膀胱保持用バルーン104および保持用バルーンポート118と連通する空気または流体ルーメンなどの様々な内部ルーメンがカテーテル102の長さを横断する。尿ドレナージルーメンは、カテーテルの膀胱部分に存在する1つ以上の遠位側開口部106を有し、カテーテルの近位端114に開口部を有する。尿ドレナージルーメンは、尿を収集容器に運ぶ尿ドレナージチューブに接続されてもよい。尿ドレナージチューブは、検知用フォーリーカテーテルと別体であってもよいし、一体であってもよい。いくつかの実施形態では、膀胱のドレナージルーメンおよび遠位側開口部は、薬剤が注入され得る、または加熱若しくは冷却流体が注入され得る、注入導管としても機能し得る。1つ以上の分析物センサー(図示しない)または1つ以上の温度センサー(図示しない)は、カテーテル上に、すなわちカテーテルの尿道部または膀胱留置部のいずれかに配置されてもよい。電気または光ファイバーリード線は、遠位に配置されたセンサーとカテーテルの近位部分との間の検知用信号の通信を可能とし、さらにデータ処理装置または制御部との通信を可能とするルーメン内に配置されてもよい。
【0038】
膨張可能な圧力検知用バルーン108(または開口部を横断して配置された圧力検知用膜)は、カテーテルの遠位端にまたはその近傍に配置されてもよい。圧力検知用バルーンまたは圧力検知用膜の実施形態は、膀胱内からの圧力にさらされる遠位面および近位側流体カラムにさらされる近位面を有する圧力インターフェイスを含むと理解してもよい。圧力検知用バルーンまたは膜は、カテーテルの近位端またはその近傍にある圧力ポート116と流体連通している流体カラムまたはルーメンと流体連通している。流体カラム(液体または気体のいずれかの流体で満たされた)の実施形態は、専用のルーメン、または共有ルーメンで構成されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、温度センサーをカテーテルの遠位端またはその近傍に設けることができる。温度ポート110は、温度センサーをディスプレイ、コネクターおよび/または制御部に接続する温度通信線112を含んでもよい。
【0040】
なお、図1には複数の個別のポートからなるカテーテルの近位端が示されているが、ポートの一部または全部を単一のポートに一体化してもよいし、尿ドレナージシステムおよび/または制御部に移動する尿ドレナージラインに一体化してもよい。その他のルーメンおよびポートのうちの少なくともいずれか一方が存在する場合もある。
【0041】
検知用フォーリーカテーテルシステムが検知し、かつ/または検知されたパラメーターに基づいて制御部を介して測定し得る圧力ベースの生理学的パラメーターは、一例として、腹膜圧、呼吸数、および心拍数、相対的肺一回換気量、心拍出量、相対的心拍出量、および絶対的心臓拍出量を含むことができる。フォーリーカテーテルのいくつかの実施形態は、温度センサー、1つ以上の分析物センサー、電極、および対になる光源およびセンサーのいずれかをさらに備えてもよい。さらにこのように備えられる実施形態では、例えば、血圧、酸素飽和度、パルスオキシメトリー、心電図、毛細血管充填圧など、他の生理学的データ形態を提供することも可能である。
【0042】
検知用フォーリーカテーテルの実施形態は、以下の例に含まれるような、複数の臨床的に関連するパラメーターのうちの任意の1つ以上を検知することができ、すなわち、尿pH、尿酸素含量、尿硝酸塩含量、呼吸数、心拍数、膀胱壁または尿道壁の灌流圧、膀胱または尿道内の温度、膀胱壁または尿道上のセンサーを介した心電図、呼吸量、呼吸圧、腹膜圧、尿グルコース、尿道粘膜および/または膀胱粘膜を介した血糖、尿タンパク質、尿中ヘモグロビン、血圧等である。ある実施形態では、カテーテルは複数のパラメーターを検知することができるが、またある実施形態では、焦点を当てた用途(例えば、呼吸困難の患者における呼吸数)のための単一のパラメーターのように少数に限定されてもよい。
【0043】
本開示の技術は、膀胱内の腹膜圧の高解像度時系列プロファイル(時間の関数としての圧力)を取得し、腹膜圧、呼吸数、および心拍数などの特定の生理学的ソースに割り当て可能な個別の圧力プロファイルに変換処理することができる。本技術により提供されるように、十分に速いサンプリング速度で圧力プロファイルを追跡することにより、圧力プロファイルはさらに、相対的肺一回換気量、心拍出量、相対的心拍出量、および絶対的心拍出量に分解、および/または分析することができる。
【0044】
したがって、開示される技術の態様は、膀胱内の圧力の変化に応答して生成される圧力信号の忠実度および解像度に関するものであり、かかる変化は腹膜腔内の圧力プロファイルを反映し、かかる圧力プロファイルは上述した生理学的ソースからの累積入力を含むものである。本技術の態様は、圧力信号から解像度の高い電気信号への変換の忠実度および解像度にさらに関連している。本技術の態様はさらに、腹膜腔内の圧力プロファイルの代用となる電気信号プロファイルの全体を、生理学的ソースに割り当て可能なコンポーネントプロファイルに処理することに関する。
【0045】
膨張したバルーンの圧力センサーとしての感度は、一部ベースライン条件であるバルーン膜の差圧の関数である。バルーンが圧力に対して最も敏感に反応するのは、ベースラインの差圧がゼロに近いときである。ベースラインの差圧が大きくなると、圧力検知用バルーンの感度が低下する。そこで、本開示による技術では、バルーンを膨らませた状態で、かつ最小限の差圧で維持する自動プライミング方法を提供する。
【0046】
生理学的な圧力プロファイルを効果的に捕捉するには、プロファイルに固有の変化の周波数を分解するのに十分なレートでプロファイルをサンプリングする必要がある。これは、Bサイクル/秒の周波数で動作する事象を分解するには、少なくとも2Bサンプル/秒のサンプリング周波数が必要であるというナイキスト・シャノン(Nyquist-Shannon)のサンプリング定理に基づく考察である。生理的な圧力サイクルに当てはめると、例えば心拍数が70回/分の場合、サイクルを効果的に捉えるには少なくとも140サンプル/分のサンプリングレートが必要である。この関係は、相対的な肺の一回換気量、心拍出量、相対的心拍出量、および絶対的心拍出量などの生理学的な圧力サイクルを捕捉するために特に必要なサンプリングレートを規定する開示技術の態様の根底をなすものである。
【0047】
本技術の実施形態は、従順な膜または非従順な膜のいずれかを有するバルーンによって表され得るような圧力インターフェイスを含む。
【0048】
膨張式圧力検知用バルーンは、本技術の実施形態によれば、従順または非従順という少なくとも2つの基本的な形態のうちの1つ以上を想定することができる。従来のパーティーバルーンに例えられるように、従順なバルーンタイプでは、圧力検知用バルーンは従順な膜から形成されているか、または従順な膜を含んでいる。したがって、膜の表面積はバルーンの膨張の関数に伴って膨張または収縮する。膜の従順性により、膨張の度合いに応じて、バルーン全体の様々な特徴が決定される。膨張時、バルーンは、拘束されていない場合、バルーンがその上に形成されているマンドレルによって決定されるように、実質的に一定または好ましい形状を維持する。バルーンが最小容量から最大容量に膨張したときに、バルーンの膜は張りを維持する。従順な膜の従順性が許容する範囲内で、膨張時の圧力が増加すると、結果として体積が膨張する。バルーンは、その形状が拡張または膨張時に遭遇する可能性のある空間的制約に対応するという点で、全体として部分的に従順性とみなすことができるが、バルーンは好ましいまたは本来の形状を有し、そのような形状優先性によって、従順性の無いバルーンが示すようなレベルの形状従順性または適合性が防止される。
【0049】
非従順なバルーンでは、拡張可能な圧力検知用バルーンは、非従順な膜、または略非従順な膜から形成されるか、またはこれを含む。そのため、バルーンの膨張・加圧の度合いに応じて膜の表面領域が膨張または収縮することはない。非従順な圧力検知用バルーンは、一般的に従来のマイラー(登録商標)バルーンに例えることができる。膜が従順性を欠くことにより、膨張の度合いに応じて、バルーン全体の様々な特徴が決定される。バルーンを最小体積から最大体積付近まで拡張すると、バルーンの膜は従順になり、弛緩した状態になる。非従順なバルーンが膨らむのは、膜のシワおよび折り目が外側に配向されることで生じる。非従順なバルーンの収縮または圧縮は、一般に内側に配向されたしわや折り畳みによって起こる。非従順なバルーンを閉じ込めた空間に置かずに完全に膨らませると(または実質的に膨らませると)、バルーンの膜または布の形状によって定まる好ましいまたは本来の形状になる。しかしながら、部分的に膨らんだ状態では、バルーン全体が非常に従順で変形しやすく、閉じられた空間の中で要求通りの形状になることができる。
【0050】
本技術の実施形態に係る膨張性圧力検知用バルーンは、従順および非従順という2つの基本形態の両者の特徴を含むこともできる。これらの実施形態において、膜は、従順な領域と非従順な領域とを含んでもよい。このハイブリッドタイプのバルーンは、全体として、上述したように従順なバルーンおよび非従順なバルーンの両者の行動的側面を引き出した形態で動作する。さらに、従順なバルーンは、組成や厚みが一様でない膜で形成されてもよい。このような実施形態では、厚みや組成が異なる領域は従順性の程度が異なるため、バルーンの膨張中にこれらの領域の挙動に影響を与える可能性がある。さらなる別の実施形態では、膜の従順性は、1つ以上の方向での従順性を許容する傾向があるが1つ以上の他の方向での従順性は許容しない傾向がある偏りまたは極性を有することができる。
【0051】
検知用フォーリーカテーテルの実施形態は、空気伝送のために非常に小さな圧力ルーメンを利用する装置を含む。内側ルーメン径3mm、1mm、および0.5mmでの圧力測定が行われている。エアルーメン径を3mmから1mm、0.5mmと小さくしても、信号の劣化はほとんど見られなかった。
【0052】
これらのデータは、小児用カテーテルの直径が4Fと小さいサイズの場合に、本実施形態による圧力伝達システムを使用することが適切であることを示している。本実施形態においても、カテーテルの先端をカテーテルの他の部分よりも低プロファイルとすることで、圧力検知用バルーンを追加しても常に小さな直径を保つことができる。したがって、本発明のカテーテルは、より適切で低侵襲なモニタリング方法が切実に必要とされている小児応用に独自に適合している。別例において、必要なルーメンの数を最小限にするために、保持用バルーン自体を圧力バルーンとして使用することができる。一実施形態において、保持用バルーンは完全に膨らんだ状態で使用され、IAPのマクロトレンドを追跡するためにのみ使用される。別例において、圧力の小さな変化に対するバルーンの感度を高めるために、保持用バルーンを僅かに膨らませるのみである。本実施形態により、心拍数、相対的一回拍出量、相対的心拍出量、呼吸数、相対的一回換気量などの微小パラメーターをより細かく測定することが可能である。また、圧力ルーメンを小さくすることで、より太いカテーテルの中にセンサーなどの他の技術を入れるスペースを確保することができる。
【0053】
保持用バルーンが圧力バルーンとして使用される検知用フォーリーカテーテルの実施形態では、保持用バルーン内で測定された圧力は、保持用バルーンとして機能するためにバルーンを十分に大きく膨らませることのみに必要な圧力によって相殺される。その結果、膨張圧力と、場合によっては保持用バルーンが膀胱の内面に接触していることに起因する圧力とを、圧力測定値から差し引く必要がある。このように、より小さな圧力変化を、個別の圧力バルーンで測定した場合と同様に追跡することができる。膨張圧の相殺は、保持用バルーンを患者に最初に挿入したときの保持用バルーン内の圧力を測定することによって、または患者の体外で保持用バルーンの膨張圧を測定することによって、または他の手段によって定まる。保持用バルーンには、流体、空気、その他の適切な気体を充填することができる。
【0054】
開示される技術の実施形態は、圧力センサーが、光ファイバー、歪みゲージ、磁気、共振、および/または他の適切な技術を用いるものなど、機械的圧力センサーである実施形態を含むことができる。
【0055】
図2は、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムによって提供される、ヒト被験者からの呼吸数検知データの一例を示している。この試験期間中、被験者は以下のような呼吸シーケンスを行う。(1)呼気終了時に呼吸停止、(2)バルサルバ、(3)過換気、(4)バルサルバ、(5)呼気終了時に呼吸停止。
【0056】
図3は、図2に示したものと同様の呼吸プロファイルにおける正常な呼吸期間の詳細な部分を示している。なお、圧力曲線には呼吸のピークが明確に示されているので、呼吸数を求めることができ、心拍のピークが示されているので、心拍数を求めることができる。
【0057】
図4は、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムによって提供される、ヒト被験者からの心拍数および相対的心拍出量検知データ、並びに同時にかつ独立して測定される心電図トレースの一例を示す図である。このグラフから、検知用フォーリーカテーテルで測定した心拍数のピークが、心拍数と一致していることがよくわかる。
【0058】
図5は、心臓パルスの振幅が大きくなることで心拍出量が増加するヒトの脚上げ運動における相対的な心拍出量の検知に関連するデータを示す。
【0059】
図6および図7に示したデータは、IACUCが承認したプロトコルのもとでヨークシャーブタを使用して行われた研究から得られたものである。図6は、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムによって提供される、ブタからの呼吸数を中心とした腹膜検知データの一例を示す。図7は、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムが腹腔内高血圧を検知する能力を示すブタ試験の一例を示す図である。本研究では、腹膜腔には5mmのTenamianトロカールを用いてアクセスした。トロカールに続いて乳酸リンゲル液の5Lバッグを蠕動ポンプで取り付け、1分間に約1Lの速度で輸液した。一旦約20mmHg(約2.67kPa)の圧力が得られた時点で流体の流れを停止し,その後は空洞への流体の出入りは正味ゼロになった。
【0060】
図8は、腹腔内圧、呼吸波圧、および心圧を、圧力(対数スケールでmmHg)対周波数(Hz)の二次元プロットとして概略的に配列して示したものである。圧力と周波数との間には逆相関があり、このように配列すると、さまざまな生理学的圧力関連パラメーターが明確なセクターを占めていることが分かる。本明細書に開示される方法の実施形態が、1つの全体的な時系列の圧力プロファイルを、それらの生理学的起源に従って、異なるサブプロファイルに分解できるのは、これらの圧力プロファイルおよび/または周波数プロファイルの両者の明確さによるものである。腹腔内圧の測定は、約0Hz乃至約0.5Hzの周波数範囲で分解することができる。呼吸圧測定は、約0.25Hz乃至約0.75Hzの周波数範囲で分解することができる。心圧測定は、約0.75Hz乃至約3.0Hzの周波数範囲で分解することができる。腹腔内圧の測定は、約5mmHg乃至約30mmHg(約0.67kPa乃至約4kPa)の振幅範囲で分解することができる。呼吸圧測定は、約0.5mmHg乃至約5mmHg(約0.067kPa乃至約0.67kPa)の振幅範囲で分解することができる。心圧測定は、約0mmHg乃至約0.5mmHg(約0Pa乃至約0.067kPa))の振幅範囲で分解することができる。サンプリング周波数(圧力測定が行われる周波数)は、分解能周波数の約2倍が好ましい。例えば、サンプリング周波数は、腹腔内圧測定では0Hz乃至1Hz程度、呼吸圧測定では0.5Hz乃至1.5Hz程度、心圧測定では1.5Hz乃至6Hz程度とすることができる。
【0061】
図9は、膀胱内から検知される、腹腔内で周波数および振幅が変化する波として動的に発生する圧力を監視する一実施形態による方法を示すフロー図である。圧力インターフェイスにより、高度に忠実な圧力プロファイルが生成され、流体カラムを通して近位側に伝達される。より詳細には、圧力変換器が、高忠実度の圧力波を、圧力の周波数および振幅を情報化した高忠実度の電気信号に変換する。生成された高忠実度の電気信号は、続いて制御部によって処理され、全体的な圧力プロファイル内の構成要素を反映するデータサブセットを生成し、これらのサブセットは、腹膜圧、呼吸数、心拍数、相対的心拍出量、および患者の動きや活動など、特定の生理学的ソースに起因するものである。
【0062】
検知用フォーリーカテーテルシステム
【0063】
図10Aは、一実施形態によるエアロック解消機構並びに体液収集および分析システムと組み合わせて使用される一実施形態による検知用式フォーリーカテーテルを示す図である。尿のドレナージおよび圧力の測定の両者には、尿のドレナージラインのエアロックをなくす、または低減することが有効である。
【0064】
検知用フォーリーカテーテル1000は、図1に示す検知用フォーリーカテーテルと同様である。検知用フォーリーカテーテルは、膀胱1014で使用されている状態で示されている。図1に示すカテーテルの近位端にあるポートのいくつかは、図10Aに示す実施形態では組み合わされていることに留意されたい。尿ドレナージチューブ1001もここに示されている。尿ドレナージチューブは、検知用フォーリーカテーテルと組み合わされてもよいし、別部品であってもよい。尿ドレナージチューブ1001および/または検知用フォーリーカテーテルは、ベントバーブ(またはバーブ)1016を含むこともでき、またはベントバーブは、個別の構成要素であってもよい。エアロック解消機構並びに流体収集および分析システム1002もここに示されており、検知用フォーリーカテーテル1000と流体連通している尿ドレナージチューブ1001と流体連通している。エアロック解消機構並びに流体収集および分析システムは、基部/制御部1018、流体収集バッグ1020、およびリザーバーまたはカセット1022を含む。検知用フォーリーカテーテル1000、尿ドレナージチューブ1001、エアロック解消機構並びに流体収集および分析システム1002の組み合わせも、本明細書では検知用フォーリーカテーテルシステムと呼ぶことにする。検知用フォーリーカテーテル、尿ドレナージライン、およびリザーバー/カセットは使い捨てであり、ユニットとして販売されてもよい。図10Dにこの使い捨てアセンブリは示されており、これは検知用フォーリーカテーテル1000、尿ドレナージチューブ1001(ベントバーブを含む)およびリザーバー/カセット1022を含む。
【0065】
ベントバーブ1016は、尿サンプリングポート1004と同様に、1つ以上のベント1006を含むことができる。本実施形態では、ベント1006は、疎水性膜のような気体の透過は許容するが、液体の透過は許容しない膜からなることが好ましい。そのような例示的なベントの一例は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ePTFE(膨張PTFE)、またはVersapor(登録商標、ニューヨーク州ポートワシントンのPall Corporationから販売されている)の膜であるが、他の材料が使用されてもよい。ドレナージチューブに負圧が加えられるとベントから空気がシステムに入り、ドレナージラインにエアロックが発生して正圧になるとベントによってシステムから空気が抜け得る。このような機構により、例えば膀胱の壁などでの吸引外傷を防ぐことができる。ベント1006は、空気がドレナージラインから出ること、またはドレナージラインに入ることを防止する一方向弁を組み込んでもよい。好ましい実施形態では、一方向弁を使用して、空気がドレナージラインから出ることを防ぐが、ベント1006を介して、空気がドレナージラインに入ることを可能にする。このように、弁は、尿がベント1006に接触することも防止する。
【0066】
尿ドレナージチューブ1001は、圧力ルーメン1010、温度ルーメン1008、および尿ルーメン1012を含む、複数のルーメンを含んでもよい。圧力ルーメン1010は、制御部1018の圧力変換器インターフェイス1026と同様に、圧力検知用バルーン108と流体連通している。温度ルーメン1008は、検知用フォーリーカテーテル内の温度センサー(図示しない)と通信し、また、制御部内の温度コネクターポート1024とも通信する。尿ルーメン1012は、1つ以上の開口部106および尿リザーバーまたはカセット1022と流体連通している。
【0067】
使い捨ての測定容器、収集容器、チャンバーまたはカセット要素1022は、カセットマウント、基部または制御部1018に適合し、制御部の要素とのインターフェイスとなるように構成されている。制御部ポンプインターフェイス(カセットポンプ・インターフェイス1148の背面)は、ポンプ1134に接続し、使い捨てカセット要素上のカセットポンプ・インターフェイス1148に接続する。ポンプは、カセット要素の内部を真空にし、続いてドレナージラインの尿ドレナージルーメンに伝達するように構成されている。好ましくは、ポンプが負圧を加えたときに一定の容積を維持するために、収集容器/カセットは剛性を備える。負圧の加わり具合は、圧力センサーで監視することができる。エアロックの解消時には、図32に示すようなサインカーブを描く圧力となる。吸引すると圧力は減少し、最終的には尿のメニスカスがドレナージチューブ内の最下点を通過するときに変曲点に達する。この時点では、エアロックを解消し続けるために必要な吸引量は少ないので、一旦エアロックが完全に解消されたら、膀胱に伝わる吸引量を最小限にするために、ポンプ出力を低減することができる。例えば、この圧力検知機能のない大型の容器では、一旦エアロックが解消された後であって、容器が大気と平衡する前に、膀胱に相当な負圧がかかることになる。制御部圧力インターフェイス(カセット圧力インターフェイス1150の背面)は、圧力変換器などの圧力測定装置およびカセット圧力インターフェイス1150に接続する。圧力測定装置は、圧力変換器であってもよい圧力測定装置に及ぼされる圧力に基づいて、尿、または他の流体の体積を測定するように構成されている。超音波振動子インターフェイス1130は、また、尿量測定を行うものでもある。超音波測定は、圧力測定と組み合わせて使用することもできるし、どちらかを使用して尿やその他の流体の量を測定することもできる。アクティブピンチ弁1132は、カセットの流出チューブに接続するように構成される。ピンチ弁は、カセット容器を空にすることを制御するためのものであり、ピンチ弁は、圧力および/または超音波測定により測定されるカセット内の尿量が所定量に達すると尿/流体を放出するように制御部により制御される。カセット内の尿量を測定し、尿が所定量になるとピンチ弁を介して尿ドレナージバッグ1020内に排出され、カセットが空にされる。例えば、カセット内の尿の量が約50mlに到達した時点でカセットを空にすることができる。これに代えて、カセット内の尿量が約40mlに到達した時点でカセットを空にするようにしてもよい。これに代えて、カセット内の尿量が約30mlに到達した時点でカセットを空にするようにしてもよい。これに代えて、カセット内の尿量が約20mlに到達した時点でカセットを空にするようにしてもよい。これに代えて、カセット内の尿量が約10mlに到達した時点でカセットを空にするようにしてもよい。こうすることで、尿量を経時的に正確に測定することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、容量性微細加工超音波振動子(CMUT)が、カセット内の尿量を測定するために使用され得る。これにより、カセットの底面全体、および/または、カセットの1つ以上の側面を覆うことができる、より安価な超音波振動子を得られる。これにより、カセットの傾きを問題視することがなくなり得る。
【0069】
カセットが空になる過程でカセットを加圧することにより、カセットの空の状態が増強または加速されてもよい。
【0070】
これに代えて、制御部は、カセットを空にする間の設定時間を利用し、空にする直前にカセット内の尿の体積を測定してもよい。これに代えて、ポンプ作動によるエアロック解除などの事象発生時に、制御部がカセットを空にすることもできる。例えば、制御部は、定期的なエアロック解消サイクルを設定し、その後、カセット内の尿量を測定し、続いて、カセットを空にすることができる。
【0071】
例えば、制御部は、尿量が約50mlになったときに、リザーバー/カセットを空にするようにピンチ弁を制御することができる。これに代えて、制御部は、カセット内の尿量を測定した後、1時間毎にリザーバー/カセットを空にするようにピンチ弁を制御してもよい。これに代えて、制御部は、ポンプの作動などの尿排出事象の間、または後に、リザーバー/カセットを空にするようにピンチ弁を制御してもよい。あるいは、これらのトリガーを組み合わせて、制御部がピンチ弁を制御してリザーバー/カセットを空にすることもできる。
【0072】
圧力ベース、抵抗ベース、静電容量ベース、超音波ベース、重量ベース、または光学ベースの技術など、圧力および/または超音波に加えて、またはその代わりに、他の技術を使用して尿量を測定することもできる。体積測定の精度を高めるために、測定値を互いに比較できるように、2つ以上の技術を使用することも可能である。より正確な尿量測定値を得るために、1つ以上の技術によって行われる2つ以上の体積測定値を、冗長性、またはバックアップのために、あるいは互いに組み合わせて使用することができる。
【0073】
例えば、カメラを使用して、流体/空気の界面を認識することにより、リザーバー内の流体水位を測定することができる。リザーバーの周知の寸法は、制御部が流体量を計算するために続いて使用することができる。また、カメラを使用して、流体/空気の界面、およびリザーバーの端部を特定することにより、システムの傾きを測定することもできる。制御部はこれらの間の角度を計算し、システムの傾きを測定することができる。この角度が時間経過とともに急激に変化している場合、制御部は、例えば患者が部屋間を移動する場合など、システムが動いていると判断することができる。制御部は、カメラ/制御部によって特定の条件が検知されると、警告を発することができる。例えば、高傾斜警報、動作警報、検知警報(尿中に血液や泡などの状態を検知した場合)などがある。尿リザーバー/システムが水平面に置かれている状況において、傾きは90度に近づくことがある。このような状況では、制御部は、リザーバーが横向きに置かれ、機能的に空にならない可能性があると判断したり、尿がドレナージチューブに逆流する可能性が高まると判断したりし得る。制御部は、例えば、ドレーンライン清掃機能、リザーバーを空にする機能など、システムの特定の機能を自動的に停止させることができる。制御部は、尿のドレナージ流路がカセットをバイパスしてバッグ内に直接排出される「ダムフォーリーモード」にシステムを自動的に設定することができる。制御部は、これに加え、またはこれに代えて、リザーバーとドレナージチューブとの間の弁など、特定の弁を遮断することができる。
【0074】
ベッドフック1116は、必要に応じて制御部をベッドなどに引っ掛けるためのものである。また、患者搬送用のポータブル機器に制御部を接続することも可能である。収集バッグフック/穴1102は、尿/流体がピンチ弁を通過した後、最終的に尿/流体が収集されるドレナージバッグを装着するためのものである。収集バッグフック1102は、バッグ内の流体の重量を測定することができ、これによりバッグ内の流体の体積を測定するための別の方法を提供するように、歪み測定を行うように構成されてもよい。例えば、圧電トランスデューサーを使用可能である。比重の測定値も、重量および比重に基づいて有用な体積の測定値を決定するために、制御部によって使用されてもよい。
【0075】
画面1110は、現在の尿量/体液量の状態、システムの状態等を含む情報を表示するためのものである。画面1110は、タッチパネルであってもよく、設定、画面表示の変更、メニューの変更などを含む入力を受け取ることができる。圧力ポート1026は、膀胱圧力ライン1010に接続し、使用される場合には、検知用フォーリーカテーテルを使用して膀胱圧力を測定する。これに代えて、圧力ポートは、カセット1022の下のカセットマウント内または制御部/基部内の他の箇所に配置されてもよい。温度入力ポート1024は、ルーメン1008を介した検知用フォーリーカテーテル、または他の手段で、体温を測定するサーミスタ/温度センサーに接続する。温度出力ポート1122は、任意の温度測定値を外部装置および/またはモニターに送信するためのものである。アダプターポート1124は、制御部を他の機器に適応させるためのものであり、例えば、RFIDアダプターが挙げられる。これは、IAP、呼吸数、心拍数、心拍出量、または検知用フォーリーカテーテルによって測定され得る他のパラメーターの測定など、任意の追加/高度な機能を有効にするために使用することができる。これにより、その情報が必要な場合にのみ、追加パラメーターを有効にし、病院が費用を負担することができる。また、高度な機能の起動は、例えば、異なる使い捨て部品を使用することによって制御することもできる。これに代えて、高度な機能は、使い捨ての一部として、または別途購入されるソフトウェアアップグレードによって有効にすることができる。ソフトウェアのアップグレードは、無線、USBドングル、マイクロSD(登録商標)カード、EPROMカード、またはその他の適切な技術によって配信可能である。また、各患者のデータおよび/または患者郡のデータは、制御部によって保存されてもよい。患者データは、メモリー、USB、マイクロSD(登録商標)カード、EPROMカード、ハードディスクなどに保存することができる。患者データは、インターネットやイントラネット上のサーバーなど、他の記憶装置に無線または有線接続で転送することができる。患者データは匿名化可能である。患者IDなどの患者データは、RFIDアダプターに格納され、これにより、特定の患者に固有のデータが制御部によって認識され、その患者が使用する使い捨て部品と関連付けられるようにしてもよい。RFIDアダプターは、システムの使い捨て部分、例えば、カセット1022上、または使い捨てコンポーネントが非使い捨てコンポーネントとのインターフェイスとなる他の箇所に配置されてもよい。加えて、収集した患者のデータはすべてRFIDアダプターに保存されるため、システムの使い捨ての部分を交換することなく、同じ患者に異なるモニターを使用することも可能である。
【0076】
電源LED/インジケーター1114は、電源のON/OFFを示すものである。エラーLED/インジケーター1112は、システム内で何らかのエラーが発生した場合に表示されるものである。エラーの詳細は画面1110上に表示することができるが、インジケーター1112は、エラーが存在することをユーザーに警告するものである。また、インジケーターは、音やその他の警告を含んでもよい。
【0077】
ポート1108は、ダウンロード、アップロード、ソフトウェアのアップグレード、EMR(電子カルテ)システムとの連携など、他の機器との接続用である。ポート1108は、USBポートや他の適切なポートであってもよい。SD(登録商標)ポート1106は、データダウンロード用である。電源ポート1104は、制御部を壁のコンセントなどの電源に接続し、制御部に電力を供給するためのものである。
【0078】
尿/流体ドレナージバッグ1020は、オーバーフローチューブ1138および流出チューブ1140に接続された一方向弁1136を含み、尿/流体が一度収集されたドレナージバッグから出ることを防止する。これらの弁は受動的であってもよいし、制御部によって制御されてもよい。これらの弁はまた、ポンプ1134が真空を引いているときに空気が収集容器1022に入るのを防止し、これにより、真空がバッグではなくドレナージチューブに作用するようにする。好ましい実施形態では、1つの弁がオーバーフローチューブと流出チューブの両者に使用される。取り付けフック/穴1102により、ドレナージバッグ1020を制御部1018に取り外し可能に取り付けることができる。疎水性または他のベントであってもよいベント1142は、空気またはガスがドレナージバッグから出ることを許容するが、流体がバッグから出ることを許容しない。これにより、バッグ内に過剰な空気および潜在的に圧力が発生することを防止し、効率的にドレナージバッグを充填することができる。目盛り付きマーキング1144は、収集されたバッグ内の流体体積のやや粗い測定値を示している。流出弁1146は、流体/尿のバッグを空にするために使用されてもよい。好ましくは、弁は一人で容易に操作可能である。歪み測定要素として構成された場合の収集バッグフック1102は、バッグが満杯に達し、空にする必要がある場合に、アラームを強制的に鳴らすこともできる。また、患者の移動中にバッグが引っ張られたり、障害物に引っかかったりするなど、バッグに不必要に大きな力が加わった場合にもアラームが鳴ることがある。また、重量または質量は、例えば、計りを使用して、バッグが満杯かどうかを判断することに使用することができる。これに代えて、または加えて、リザーバー/カセット内の圧力測定値を使用して、バッグが満杯になったことを判断することもできる。
【0079】
オーバーフローバリア1137は、収集容器/リザーバー/カセット1022に示されている。オーバーフローバリアは、一般に、制御部がカセットを空にする水位よりも高い位置にある。例えば、流体量が50mlになったときに制御部がカセットを空にすると、オーバーフローバリアは50mlの流体量の水位よりも上の高さに到達する。例えば、オーバーフローバリアは、空にする容積の水位よりも約5乃至10mm上であってもよい。これに代えて、オーバーフローバリアは、空にする容積の水位よりも約10乃至20mm上であってもよい。これに代えて、オーバーフローバリアは、空にする容積の水位よりも約20乃至30mm上であってもよい。これに代えて、オーバーフローバリアは、空にする容積の水位よりも約30乃至40mm上であってもよい。これに代えて、オーバーフローバリアは、空にする容積の水位よりも約40乃至50mm上であってもよい。これに代えて、オーバーフローバリアは、空にする容積の水位よりも約50乃至100mm上であってもよい。尿収集領域1135とオーバーフロー領域1139との間の経路は、ここに示すように直接的であってもよいし、図41B乃至41Eに示すように、より蛇行または複雑なものであってもよい。
【0080】
患者の体温は、患者の体内にあるサーミスター/温度センサーを使用して測定される。この温度は、制御部を経由して、サードパーティーの機器に表示されてもよい。図10Bは、外部ディスプレイや外部機器に転送する前に、体温測定の誤差を低減するために並列ポテンショメーターを使用する方法を示している。
【0081】
ドレナージバッグは、透明なビニールなどの適切な材料で形成可能である。一方向弁は、ビニールなどの適切な材料で形成可能である。疎水性ベントは、ePTFE、Versapor(登録商標)、または他の適切な材料から形成可能である。流出弁は、PVR、PCなどの適切な材料で形成可能である。
【0082】
検知用フォーリーカテーテルからの圧力測定値は、ポンプを作動させ、ドレナージチューブを空にするために使用されてもよい。例えば、膀胱内で検知された圧力が予め設定された数値を超えると、ポンプが作動して尿をより迅速にドレナージチューブに送り出すことができる。
【0083】
制御部/基部および/またはリザーバー/カセットは、制御部/カセットが水平であるときとそうでないときとを判断するために、加速度計または他のセンサーを含むことができる。制御部/カセットが水平でない場合に、アラームを鳴らしてもよい。これに代えて、尿量の測定は、システム内の異なる角度を考慮して調整することもできる。
【0084】
カセット内の尿リザーバーの底面は丸みを帯びていてもよいし、ピンチ弁が開いたときにカセットから尿が完全に空になるように構成されていてもよい。
【0085】
ある実施形態では、制御部/モニターはベッド自体に組み込まれていてもよい。
【0086】
図10Cは、エアロック解消機構並びに流体収集および分析システム1002を示す詳細図である。画面1110は、患者パラメーターの他、タッチスクリーン、または他の、制御機能を含むユーザー・インターフェイスを表示する。心拍数領域1152は、検知用フォーリーカテーテルによって検知された膀胱内圧測定値に基づいて制御部によって測定される患者の心拍数を示している。呼吸数領域1154は、検知用フォーリーカテーテルによって検知された膀胱内圧測定値に基づいて制御部によって測定される患者の呼吸数を示している。コア体温領域1156は、検知用フォーリーカテーテル内の温度センサー等により検知された患者のコア体温を示す。尿量領域1158は、圧力インターフェイス1150および/または超音波振動子インターフェイス1130に接続された圧力測定装置によって測定された尿量測定値に基づいて制御部によって測定される患者の現在および/または平均の尿量を示す。敗血症指数領域1160は、収集および/または計算された1つ以上の患者パラメーターに基づいて制御部によって測定される患者の敗血症の可能性を示す。例えば、体温異常、心拍数異常、呼吸数異常および/または尿量等の要因を敗血症リスクの判定に考慮することができる。また、これらのパラメーターの推移もリスク評価に用いることができる。例えば、尿量の減少、心拍数の増加、コア体温の上昇または低下などは、敗血症の指標となり得る。
【0087】
その他のリスク評価は、制御部が決定し、敗血症指数に加えて、または敗血症指数に代えて表示することができる。これらには、急性腎臓損傷、尿路感染症、腹部内圧上昇、腹部コンパートメント症候群、感染症リスク、敗血症、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)などのリスク評価が含まれる。図31Aに、例えば、急性腎臓損傷および尿路感染症のリスクアルゴリズムの例を示す。図31Bに、急性腎臓損傷、敗血症、急性呼吸窮迫症候群のリスクアルゴリズムの例を示す。測定される尿パラメーターには、コンダクタンス、比重、尿量、感染症の有無、細菌、白血球、酸素濃度等が含まれ得る。
【0088】
グラフィカルインジケーター1162は、これらの領域のいずれかの履歴データを示す。例えば、ユーザーが画面に触れることでグラフィック表示を切り替え、患者の尿量、体温、心拍数、呼吸数、敗血症指数、急性腎臓損傷のリスク、尿路感染、腹部内圧上昇、腹部コンパートメント症候群、感染リスク等の履歴、またはその他の適切なパラメーターを表示できるようにしてもよい。履歴の時間帯は、全時間帯、日次、1時間毎など、ユーザーが設定した任意の期間とすることができる。範囲外の危険因子は、すなわちリスク上昇における危険因子は、自動的にここまたはディスプレイの他の箇所に表示されてもよい。警告および/または範囲は、ユーザーが設定することができ、絶対値および時間の経過に伴う傾向を含むことができる。例えば、特定の時間帯にコア体温が2度よりも多く上昇した場合に、視覚的な表示や音声による警告を行うことができる。
【0089】
図11Aは、ベント1180が、ベントバーブ(またはバーブ)1182の代わりに、制御部1018またはリザーバー/カセット1022上に位置する、図10Aに示すものと同様の一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステム(エアロック解消機構、流体ドレナージ、収集および分析システム/制御部を含む)を示す図である。この実施形態では、ベント1180は、バーブ1182で尿ルーメン1012に流体的に接続するベントルーメン1184を介して尿ドレナージルーメン1012と流体的に連通している。本実施形態では、図10Aに示す実施形態と比較して、バーブ設計が簡略化され、ドレナージチューブは単に追加のルーメンを有する。ベントはシステムのどこに設けられてもよく、尿ルーメンとの流体インターフェイスもシステムのどこに設けられてもよい。
【0090】
図11Bは、図11Aに示すものと同様の一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。この実施形態では、ガス透過性のベント/フィルターがカセット1022および/または制御部1018に組み込まれる。ベントルーメンは、バーブ1182からドレナージチューブ1012に沿って、ベントチューブ1184内を通過することができる。ベントルーメンは、カセットおよび/または制御部の外部で終端してもよいし、ここに示すように、カセットおよび場合によっては制御部を通過し、ガス透過性ベント/フィルター1180を組み込んでもよい。また、図11Bには、弁1186が示されている。弁は、一方向弁であってよく、これにより、流体(例えば、大気中の空気)の流れは、ベントルーメンを通り、バーブを介してドレナージチューブ内に、またはドレナージチューブ若しくはフォーリーカテーテルに沿った他の箇所に、または基部/制御部1018内に流れることができる。この弁により、尿および/または空気などの流体がベントチューブから流れ、フィルターに到達し得ることを防止することができる。弁はここに示すように受動的であってもよいし、制御部によって能動的に制御されてもよい。弁は、バーブ内、ベントチューブに沿った箇所、カセット内、制御部内、または制御部の外側、例えば、制御部の非患者側等、ベントルーメン内またはベントルーメンに沿った箇所のどこにあってもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、弁は、ドレナージチューブ内の負圧を制御することにより、制御部を介して能動的に制御される。弁は、制御部がドレナージチューブのドレナージルーメン内を負圧にすることによって開き、制御部がドレナージチューブに加わる真空度を低減する(すなわち、ドレナージルーメンに負圧をあまり加えない、圧力をゼロにする、またはドレナージチューブに僅かに正圧を加える)ことによって閉じてもよい。カテーテルのドレナージルーメンおよびドレナージチューブはベントチューブのルーメンと流体連通しているため、ドレナージチューブに加わる負圧はベントチューブのルーメンにも加わり、弁を横断する差圧が弁のクラック圧を超えると弁が開くようになっている。ドレナージルーメンに加わる真空度を低減し、これにより、弁を横断する差圧を弁のクラック圧未満の圧力に低減することで、弁を再び閉じることができる。このように、弁自体が受動的弁であっても、制御部がベントチューブ内の弁の開閉を能動的に制御することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、制御部が能動的に弁を開くことは、例えば、定期的なスケジュールで、周期的に行われてもよい。図11Fにこれをグラフ化したものを示す。例えば、制御部は、少なくとも30分ごとに弁を開き(T1で表される)、弁を少なくとも15秒間開いたままにし(T2で表される)、その後、サイクルが再び開始されるまでさらに30分間弁を閉じることができる。弁を開くために加わる真空と、閉じた弁を維持するために加わる真空との差は、図のDIFFで表される。DIFFは弁のクラック差圧よりも大きい。これに代えて、T1は少なくとも60分であってもよい。これに代えて、T1は少なくとも20分であってもよい。これに代えて、T1は少なくとも10分であってもよい。これに代えて、T1は少なくとも5分であってもよい。これに代えて、T2は少なくとも5秒であってもよい。これに代えて、T2は少なくとも10秒であってもよい。これに代えて、T2は少なくとも20秒であってもよい。これに代えて、T2は少なくとも30秒であってもよい。
【0093】
図11Fでは、弁閉圧が負圧の場合を示しているが、弁閉圧はゼロでもよいし、正圧であってもよい。
【0094】
サイクルの長さは、これに代えて可変であってよく、T1および/またはT2は、尿出力流量に左右される。このサイクルは、これに代えて、ドレナージチューブ内のエアロックを検知するシステムに基づいてもよい。これは、システム内の圧力、例えばドレナージチューブ内の真空圧やバーブにおける圧力を測定することで行うことができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、弁1186は、フィルタなしで所定の位置にあることができる。いくつかの実施形態では、フィルタは、ドレナージルーメンと弁1186との間にあってもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、ベントチューブ1184は、ドレナージチューブの長さのすべて、または一部に沿ってドレナージチューブ1012と一体的に設けられる。
【0097】
弁は、ダックビル弁、アンブレラ弁、ボール弁、ドーム弁、ベルヴィル弁、クロススリット弁、X-fragm弁など、医療用途に適した弁である。弁のクラック圧は非常に低い場合もあれば、高い場合もあるが、一般的にはゼロと真空ポンプで吸引される負圧の大きさとの間になる。いくつかの実施形態では、クラック圧は本質的にゼロである。
【0098】
図11Cは、図11Bに示すものと同様の一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。本実施形態では、ベントチューブは、バーブと弁との間の直径がより小さいルーメンの部分を含む。バーブと弁との間のチューブの内径を小さくすることにより、弁とバーブとの間に空気のカラムを形成することができ、これは、一般的にベントチューブの弁が閉じたときに、尿がベントチューブに入るのを防ぐことができる。ベントチューブの弁が開いているときは、流体の流れは一般的に反対方向に(すなわち、ドレナージルーメン内に)流れるため、ベントチューブに尿が入ることも防止される。
【0099】
図11Dは、異径部を有するベントチューブの一例を示す図である。第1の区分1188は、患者に最も近い区分であり、内径がID1であり、長さがL1である。この実施形態では、弁1186により、破線の矢印で示すように、一般に流体は右から左にのみ流れることができる。第2の区分1190は、患者からさらに離れており、内径ID2および長さL2を有する。いくつかの実施形態では、L1はL2よりも小さく、ID1はID2よりも小さい。いくつかの実施形態では、ID1はID2よりも小さいが、長さは異なってもよいし、互いに同じであってもよい。L1+L2はドレナージチューブと略同じ長さであってもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、ID1は、約1.8乃至2.0mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID1は、約1.6乃至1.8mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID1は、約1.4乃至1.6mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID1は、約1.2乃至1.4mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID1は、約1.0乃至1.2mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID1は、約0.8乃至1.0mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID1は、約0.5乃至0.8mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID1は、約0.2乃至5mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID1は、約1mm未満であってよい。いくつかの実施形態では、ID1は、約2mm未満であってよい。いくつかの実施形態では、ID1は、約3mm未満であってよい。いくつかの実施形態では、ID1は、約4mm未満であってよい。いくつかの実施形態では、ID1は、約2mm未満であってよい。好ましくは、ID1は、その長さの全部または一部についてサイフォンを保持できる程度に小さい。
【0101】
いくつかの実施形態では、ID2は、約1.8乃至2.0mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約1.6乃至1.8mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約1.4乃至1.6mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約1.2乃至1.4mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約1.0乃至1.2mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約0.8乃至1.0mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約0.5乃至0.8mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約0.2乃至5mmであってよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約4mm未満であってよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約5mm未満であってよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約6mm未満であってよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約2mmよりも大きくてよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約3mmよりも大きくてよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約4mmよりも大きくてよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約5mmよりも大きくてよい。いくつかの実施形態では、ID2は、約6mmよりも大きくてよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、L1は、約5cm未満であってよい。いくつかの実施形態では、L1は、約10cm未満であってよい。いくつかの実施形態では、L1は、約5乃至10cmであってよい。いくつかの実施形態では、L1は、約10乃至20cmであってよい。いくつかの実施形態では、L1は、約20乃至30cmであってよい。いくつかの実施形態では、L1は、約30乃至50cmであってよい。いくつかの実施形態では、L1は約50cmよりも大きくてよい。いくつかの実施形態では、L1は約1cmよりも大きくてよい。いくつかの実施形態では、L1は約2cmよりも大きくてよい。いくつかの実施形態では、L1は約5cmよりも大きくてよい。いくつかの実施形態では、L1は約10cmよりも大きくてよい。
【0103】
いくつかの実施形態において、L2は、約50乃至150cmであってよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、ID1およびID2は同一であってよい。
【0105】
図11Eは、ベントルーメン1184が流体収集バッグ1020と直接流体連通している、一実施形態によるカテーテルシステムを示す図である。本実施形態では、検知機能を含む制御部は設けられてもなくてもよい。本実施形態では、流体収集バッグのベント1142を使用して尿ドレナージルーメン1012を通気するベントルーメンによってエアロックが回避される。ベントは、これに加えて、またはこれに代えて、ベントルーメンに沿った任意の箇所に設けることができる。ベントルーメンは、ドレナージルーメンの一部または全部の長さを延びてもよい。尿ドレナージルーメンは、接続点1192でドレナージバッグに流体的に接続し、これは、弁1136を含んでもよい。ベントルーメンは、接続点1194でドレナージバッグに接続する。本実施形態、および潜在的に他の実施形態における流体収集バッグ1020は、流体収集バッグが接続点1194の周囲で確実に折り畳まれないようにするために、剛性または半剛性を備えた部分1196を含んでもよい。本実施形態は、弁1186を含んでもよいし、含まなくてもよい。ベントチューブ1184は、ドレナージチューブシステムに組み込まれていてもよいし、アドオン部品であってもよく、フォーリーカテーテルのバーブまたはその近傍とドレナージバッグの接続点1194とで接続される。
【0106】
図12Aは、図10Aに示されるシステムと同様の一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図であるが、図10Aに示されるシステムとは対照的に、圧力バルーンが利用されない。これに代えて、検知用フォーリーカテーテルの尿ルーメン(またはその他のルーメン)を介して膀胱内の圧力を測定する。この実施形態では、圧力ルーメン1202は、ベント1204、または患者の体外のシステム内の他の箇所に接続され、少なくとも周期的に、カテーテルのドレナージ/尿ルーメンと流体連通している。本実施形態において、検知用フォーリーカテーテルシステムは、任意の標準的なフォーリーカテーテルで使用することができる。なお、検知用フォーリーカテーテルシステムのいずれの実施形態も、標準的なフォーリーカテーテルで使用することができる。図12Aに示すシステムは、膀胱内の圧力測定が望まれない場合に、圧力ルーメン1202を用いずに、標準的なフォーリーカテーテルを用いて使用することも可能である。
【0107】
検知用フォーリーシステムのいくつかの実施形態は、標準的な、すなわち市販のフォーリーカテーテルで腹腔内圧を測定することができる。これにより、標準的なフォーリーカテーテルを使用しても、IAPの測定値を解析に取り入れることができる。いくつかの実施形態では、制御部は、ポンプに、フォーリーカテーテルのドレナージラインに空気または気体の泡を導入させることができる。ドレナージラインの圧力を圧力センサーで測定することで、気体/空気の泡がフォーリーカテーテルを出て膀胱に入るタイミングを制御部が判断することができるのである。気泡を含んだ流体カラムをドレナージラインに押し出すのに必要な圧力は、気泡がドレナージラインから出るまで上昇する。気泡がフォーリーカテーテルから出るときの圧力は、腹腔内圧に等しい。流体カラムは中実であっても間欠的であってもよい。IAP測定シーケンスは、制御部によって定期的に実行されてもよい。これは、エアロックの解消を行う前であっても後であっても実行可能である。また、IAPの測定は、血圧計のようなゲージで物理的に圧力を見ながら、手動で行うこともできる。このタイプのIAP測定を行う前に、ベントチューブを閉じることができる。ガスは無菌であってもよいし、かつ/または輸送中に紫外線によって、例えばバーブ部分で滅菌されてもよい。
【0108】
検知用フォーリーシステムのいくつかの実施形態では、灌流ルーメンがフォーリーカテーテルに含まれていてもよいし、灌流ルーメンを備える別体の灌流カテーテルが膀胱を灌流するために使用されてもよい。これらの実施形態において、検知用フォーリーシステムの制御部は、灌漑流体の体積を測定された流体量から差し引いて尿量(灌漑流体を含まない)を正確に測定できるように、灌漑ポンプと通信することができる。
【0109】
標準的なフォーリーカテーテルが検知用フォーリーシステムとともに使用される実施形態では、専用のクランプが、ドレナージチューブの尿ドレナージルーメンをクランプすることなくドレナージチューブの1つ以上のルーメンをクランプするために使用されてもよい。クランプは、例えば、ドレナージチューブの圧力ルーメンは閉じるが、尿ドレナージルーメンは閉じないように、クランプ機構をドレナージチューブに合わせるように構成されていてもよい。
【0110】
図12Bは、IAPや温度の測定を含まない、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。なお、本実施形態でもエアロック防止機能は搭載している。
【0111】
図10A図10C図11、および図12は、ドレナージチューブ内のサイフォン、ポンプ機構、またはその両者により負圧が生じた場合に、ドレナージチューブに空気が入るようにする、ドレナージチューブの患者側端部近傍にベントを含む検知用フォーリーカテーテルシステムの実施形態を示す図である。ベント/フィルターが無いと、このような負圧により、膀胱の粘膜に外傷を与えるなどの吸引外傷を引き起こす可能性がある。これらの実施形態は、1つ以上のベントによって空気が排出されるがドレナージチューブには入らないようにする装置とは異なることに留意する。
【0112】
尿ドレナージルーメンは、内径が約0.25インチ(約0.63センチメートル)未満であることが好ましく、これによりルーメン内の液体がルーメンと周方向に接触し、シールを形成し、ポンプ機構が作動したときに液体を前進させることができるようになる。ポンプ機構が故障しても流れが滞らないように、複数のドレナージルーメンを設けてもよい。これらの実施形態において、ドレナージルーメンは、優先的に概して空であり、これは、ポンプ機構の連続的な作動を必要とする場合がある。これに代えて、液体がすべて排出されたことを確認するために体積を測定する前にポンプ機構を作動させ、これにより、装置の電力要件を低減させることもできる。
【0113】
検知用フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、身体器官内の圧力が一定に維持される間にドレナージライン内の圧力スパイクを検知することと、ドレナージライン内の圧力が身体器官内の圧力と等しくなるまで、ポンプを使用してドレナージライン内に負圧を発生させることとを含む。
【0114】
一実施形態では、ベントは、患者からの液体の流れに対する抵抗よりも大きい空気流に対する抵抗を有し、患者内の液体のいかなる蓄積もベントから空気が入る前にドレナージラインにパージされるようになっている。例えば、尿ドレナージの場合、ベントを通る空気の抵抗が患者のカテーテルを流れる尿の抵抗よりも大きければ、ベントから空気が入る前に満杯の膀胱が尿ドレナージラインに空けられることになる。しかしながら、吸引外傷を最小限に抑えるために、ベントはこの要件を満たしながら、可能な限り通気に対する抵抗が小さいことが好ましい。
【0115】
別例では、膀胱が吸引からさらに保護されるように、ベントは気流に対してほとんど抵抗がなく、制御部ポンプはより頻繁な間隔、例えば1分毎、5分毎、または10分毎にエアロックを解消するために作動し、ドレナージラインを尿無しに保持することができる。ポンプが作動すると、膀胱が完全に空になったことを示す尿の排出がなくなることを検知するまで作動し続ける。これに代えて、ポンプは、例えば、約30秒、約1分、約3分、約5分、約10分など、設定された時間だけ運転することもできる。制御部ポンプは、所定の時間間隔の間に非能動的であってもよく、エアロック解消の時間間隔の間に、「バックグラウンド真空」(エアロック解消圧力よりも低い負圧)を発生させてもよい。
【0116】
使用されるポンプ機構は、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、ベーンポンプ、インペラーポンプ、渦巻ポンプ、または他の適切なポンプを含むが、これらに限定されない任意の適切な機構とすることができる。ポンプの電源は、コンセント、電池、人力、その他適切な電源から供給することができる。いくつかの実施形態では、真空は、約0乃至-50mmHg(約0乃至約-6.67kPa)の範囲にある。これに代えて、負圧は、病室によくある壁面バキュームで供給することもできる。ポンプ機構には、蠕動性ポンプや収集容器に直接加えられる吸引が含まれ得る。ポンプはドレナージリザーバーの患者側に配置してもよいが、ポンプは好ましくはドレナージリザーバー/カセットの非患者側に配置し、リザーバーが患者とポンプとの間にあるようにしてもよい。ポンプが適切に機能するためには、ドレナージチューブ内の最大流体カラム高さに等しい負圧を発生させることができることが好ましい。これは、ドレナージチューブの半分の長さであってもよい。尿ドレナージチューブの長さが最大60インチ(約1.524メートル)の場合、必要な最大負圧は約30inH2Oまたは56mmHg(約7.47kPa)となる。
【0117】
他の技術を使用して、脈動性の機械的、振動音響的、熱的、振動的、つまむ、ローリングする、または電磁的刺激を含むチューブおよび/またはシステムを通して尿を促し、ドレナージラインおよび中の体液のうちの少なくとも1つの移動を引き起こすことができる。いくつかの実施形態では、ローリングする刺激は、ルーメンが決してすべて同時に圧縮されないように、複数のルーメンを順次圧縮することを含む。
【0118】
別例では、ドレナージルーメン解消機構は、エアポケットがチューブの長さを移動できないように、約0.25インチ(約0.64センチメートル)未満の内径を有するチューブからなる。これは、(膀胱の例のように)チューブの一端を大気に対して閉じたときに、より小型のチューブ内の表面張力によって流体が移動しないようにするためである。このため、ドレナージチューブには常に尿が満杯に溜まっており、尿は非圧縮性であるため、尿が出るたびに同じ量の尿がドレナージチューブから出る必要がある。別例では、内径は0.125インチ(3.175ミリメートル)未満である。別の態様では、前記ドレナージチューブがサイフォンの役割を果たし、膀胱に安全な少量の真空を加える。これに代えて、小ルーメンのドレナージチューブでは、ベント/弁からチューブルーメンに定期的に空気が入ることができるようにする。ポンプによる負圧がこれを助長してもよい。ポンプによる負圧で尿が収集リザーバーに流れ続け、エアロックを防止する。
【0119】
また、小径のチューブを使用することで、先行技術に比べ、ドレナージチューブ内の残尿量が少なくなる。残量がより少ない方が、患者の膀胱から収集容器への尿の移動がより迅速であり、好ましい。より新しく生成された尿を測定するためには、この輸送の速度が重要である。特に、尿生成量の少ない患者では、尿の膀胱から収集容器までの輸送にさらに時間がかかるため、重要である。例えば、標準的なドレナージチューブで毎時10mLしか尿が出ない患者(残量約40mL)の場合、収集容器内の尿を測定すると、実際の尿生成に4時間遅延が生じる。一方、より小型のチューブ(残量5mL程度のチューブ)の場合、測定は実際の生成に30分程度遅延するのみである。小径のルーメンを使用する実施形態では、ベント/弁の有無にかかわらず、ドレナージラインに負圧を供給するためのポンプは必要ない。
【0120】
図13は、患者に一定の負圧を加える胸腔チューブ等のドレナージチューブに好適な一実施形態による装置を示す図である。これらの実施形態は、膀胱からの尿や他の腔からの流体を排出するためにも好適であり得るが。胸腔チューブドレナージに関連して開示された特徴のいずれも、膀胱ドレナージまたは他の体腔ドレナージに応用することも可能である。液体は、収集容器1382に接続するドレナージルーメン1585を通して患者から排出される。ドレナージは、例えば、病院壁吸引に吸引チューブ1383を取り付けるなどして、収集容器1382に負圧を加えることで支援される。吸引は、他の方法、例えば、本明細書の他の箇所に開示されているようなポンプを用いて行うこともできる。空気は、弁1384を介してドレナージルーメン1385に入り、これは、所望の負圧に等しいクラック圧を有する。正しいクラック圧(例えば、-15乃至0mmHg(約-2乃至0kPa)、または-10mmHg(約-1.33kPa))を選択することにより、病院壁吸引/ポンプが収集容器1382において十分な吸引を発生できる限り、患者に加えられる圧力はこの圧力に留まる。好ましくは、胸腔チューブの排液に使用する1つ以上のドレナージルーメンは、サイフォンを維持しながら可能な限り大きくすることである。適切な内径は、約1/4インチ(約0.64センチメートル)、約5/16インチ(約0.8センチメートル)、または約3/8インチ(約0.95センチメートル)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0121】
図14は、患者に一定の負圧を加える胸腔チューブ等のドレナージチューブに好適な別例による装置を示す図である。液体はドレナージルーメン1488を通して患者から排出され、ポンプ機構1486を使用して負圧が加えられる。圧力センサー1487は、患者側のドレナージチューブ内に設けられ、それによって患者に加えられる圧力を測定する。センサー1487で得られた測定値は、ポンプ機構1486を制御する制御部に返され、センサー1487(および患者)での圧力を所望のレベルに保持するために、ポンプ機構1486で発生する圧力が調整される。また、圧力センサー1487は、システムの他の箇所に配置されてもよい。このセンサーは、チューブの患者側の圧力を受動的に監視し、臨床医に加わる吸引のレベルに関する情報を提供するために使用することもできる。図14ではポンプがドレナージリザーバーの患者側にあることが示されているが、ポンプはこれに代えてドレナージリザーバーの反対側に設けられ、リザーバーが患者とポンプとの間に設けられるようにしてもよい。
【0122】
胸腔チューブの排液に使用される本発明の別例では、胸腔チューブの排液状態に関する情報を臨床医に提供するために、排液された流体の体積が測定される。この測定は、任意の適切な手段、特に尿量を測定するために本明細書内で説明した手段によって達成することができる。
【0123】
エアロックをなくすことに加えて、上記のエアロック解消構成のいくつかは、尿のドレナージラインから堆積物および血栓を効果的に除去することが分かっている。これらの課題は、現在の尿ドレナージチューブ、特により小型のルーメンのドレーンチューブ、およびドレナージバッグでのモニタリング技術を悩ませており、本発明は、これらのドレナージを遮るデブリーおよび血栓の除去を自動化することにより、技術水準の向上を図るものである。この機能は、フォーリー先端のバルーン内の、または膀胱と流体連通している圧力センサーと組み合わせて使用すると特に有用である。これにより、膀胱内の圧力および真空度をモニタリングし、血栓/閉塞が解消されるまで、実際の膀胱圧に基づいたより積極的な送液が可能になる。この圧力/真空検知を行わないと、ドレーンチューブ内の流体を圧送する際に、膀胱粘膜が過度の真空にさらされるため、吸引外傷などの臨床的後遺症が膀胱内で発生する可能性がある。
【0124】
図15に示すように、アクティブベントシステムは、エアベント1502、ドレナージライン1504、収集容器1506、およびポンプ1508からなる。ドレナージラインのベント側を患者に接続する。一実施形態では、排出される流体は尿であり、接続は尿道カテーテルに行われる。流体は患者からドレナージラインを通って流れ、収集容器に収集される。本実施形態のポンプは、ドレナージラインに直接作用しているのではなく、収集容器を真空引きしている。ポンプは、収集容器に負圧を加えることで、流体をドレナージラインに押し出し、ドレナージを促進する。好ましくは、ポンプが負圧を加えたときに一定の容積を維持するために、収集容器は剛性を備える。ドレナージチューブの患者側のベントは、気体(好ましくは空気)の透過を許容するが液体の透過を防止するベントであることが好ましい。このベントにより、大気空気がシステムに入り、患者に実質的な負圧が加わることを防止することができる。このような機構により、例えば膀胱の壁などでの吸引外傷を防ぐことができる。
【0125】
本システムのポンプは、気体を送液するのに適したポンプであれば、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、渦巻ポンプなど、どのようなものでもよいが、これらに限定されるものではない。ポンプが適切に機能するためには、ドレナージチューブ内の最大流体カラム高さに等しい負圧を発生させることができることが好ましい。これは、ドレナージチューブの半分の長さであってもよい。尿ドレナージチューブの長さが最大60インチ(約1.524メートル)の場合、必要な最大負圧は約30inH2Oまたは56mmHg(約7.47kPa)となる。
【0126】
図16に示すように、体液を排出するためのアクティブベントシステムは、追加のベントを有していてもよい。そのようなベントの1つであるベント1662は、収集容器に設けられてもよく、収集容器から空気を逃がすことができる。これは、新しい流体が容器に入るたびに、システムに入る流体の各量と同じ体積の空気がシステムから出ることで相殺され、圧力の上昇を防止することができる。別のそのような通気孔であるベント1664は、収集容器とポンプとの間に配置されてもよい。このベントにより、気体(好ましくは空気)の透過が許容されるが液体の透過が防止され、これは、細菌やウイルスが収集容器およびドレナージチューブに出入りするのを防止するためである。好ましくは、このベントは無菌等級にあり、すなわち通過する空気は無菌とみなされる。ドレナージラインの患者側にはベント(図示しない)が設けられても設けられなくてもよい。
【0127】
図17に示すように、圧力相殺は、収集容器に設けられた1つのベントで実現することができる。この場合、通気口であるベント1772は従来通り収集容器とポンプとの間に設けられてもよいが、追加の弁1774により、正圧の存在下で収集容器から空気を逃がすことができる。この弁は、空気をシステムから出すことはできても、入らせることはできない一方向の弁であることが好ましい。ポンプが作動すると一方向弁が閉じ、収集容器から空気を吸引する必要があるため、収集容器内に負圧が発生し、ドレナージラインから流体が流れやすくなる。ドレナージラインの患者側にはベント(ここでは図示しない)が設けられても設けられなくてもよい。
【0128】
感染症の検知
【0129】
図18は、紫外線/ラマン分光法を使用して尿中の細菌、血液および/または他の物質を検知するための検知用フォーリーカテーテルシステムに含まれ得る一実施形態による収集容器、チャンバーまたはカセットを示す図である。カセット1800は、好ましくは剛性を備える容器壁1802を含む。尿1806はカセットに収集される。尿があまりにも迅速に収集されるか、またはカセットが空になること、または十分に迅速に空になることに何らかの障害がある場合(例えば、尿流量が多い状況において)に、オーバーフロー領域1804は、あらゆる過剰な尿をカセットから排出することを可能にする。カセット1800は、好ましくはカセットの外壁に組み込まれる光学的に透明な区分1810と、好ましくはカセットの内壁にあるか、または内壁に組み込まれる反射部1812とを含んでもよい。ここでいう「光学的に透明」とは、光学的に透明な区分を通して、必要な分析波長(複数可)の光を透過させることができることを意味する。好ましくは、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、アクリル、石英等の紫外線を透過することができる材料で形成される光学的透明部である。壁厚は、適切な1つ以上の紫外線波長が光学的に透明な区分を透過するのに十分な薄さが必要な場合がある。例えば、光学的に透明な区分の厚みは、約0.5mm乃至約0.7mmであってもよい。これに代えて、光学的に透明な区分の厚みは、約0.5mm乃至約0.6mmであってもよい。これに代えて、光学的に透明な区分の厚みは、約0.6mm乃至約0.7mmであってもよい。これに代えて、光学的に透明な区分の厚みは、約0.7mm未満であってもよい。
【0130】
紫外線/光送受信器1808は、光学的透明部1810を介して、カセット内の尿を介して、カセット内の反射板1812に適切な波長の紫外線または他の波長光を透過させる。紫外線/光送受信機は、検知用フォーリーカテーテルシステムの制御部部品に組み込まれてもよいし、これに接続されてもよい。光は紫外線/光受信機に反射され、収集されたデータは信号分析のために制御部に送信される。複数の紫外線/光の波長を同時または連続的に分析することができる。光は、紫外線領域内の光に加えて、紫外線領域外の光も使用することができる。光の透過と受光との間に物理的に存在する尿の量は、尿中の1つ以上の物質の濃度を反映したより強い信号のために最大にすることが好ましい。送受信機は図18に示すように配置してもよいし、カセットの他の領域に配置してもよい。受信機は送信機とは別の箇所に設けられ、反射板は必要である場合も必要ない場合もあるし、設けられない場合もある。カセット内の尿は頻繁に空にされるため、紫外線/光吸収測定値を経時的に収集し、尿中の1つ以上の物質のレベルの増減を、本質的に、または略リアルタイムで追跡することができる。これは、特に、尿路感染症およびカテーテル関連の尿路感染症(CAUTI)等の感染症を早期に識別するために重要である。紫外線/光検知は、ドレナージチューブや個別のサンプリング領域など、検知用フォーリーカテーテルシステムの他の箇所で行うこともできる。
【0131】
感染症は、紫外線/光分光法を使用して尿中の細菌、赤血球、血漿および/または白血球を分析することにより識別することができる。図19Aは、尿中の大腸菌、赤血球、および血漿の光に対する様々な吸収波長を示す図である。尿中の血漿/白血球、および/または細菌の存在は、いずれも感染症の指標となる。赤血球の存在は、感染症を示唆するものではない場合がある。そのため、尿中の赤血球と細菌/血漿/白血球とを区別することが望ましい。赤血球は細菌や血漿/白血球と分光学的な特徴が相当異なるため、約414nmの波長で赤血球の信号を細菌および/または血漿/白血球の信号から分離し、この波長の光の吸収を分析することで感染症を識別することができる。血漿および細菌は260nmおよび280nmの波長で署名が互いに異なるため、これらの波長を用いて血漿と細菌とを区別することができる。しかしながら、感染時には血漿および細菌の両者が存在してもよい。
【0132】
広帯域スペクトル分光法は、連続的な波長範囲および時間経過にわたって使用することができる。信号のデコンボリューションまたはデミックスにより、分析物の量を決定し、かつ/または分析アルゴリズムを開発するための特徴の基礎を形成することができる。
【0133】
また、他の波長および他の技術を使用して、尿や収集/排出された体液中の様々な物質を検知することもできる。また、紫外線/光吸収を利用して濁度を検知することもできる。また、色素や薬物、反応性物質をシステム内に導入したり、システムやカセット等の内側にコーティングして、尿中の物質と反応させ、分析を支援してもよい。収集した尿の物質や質を断続的または連続的に、リアルタイムで検知するセンサーであれば、どのようなタイプのものでも使用可能である。例えば、尿中のマグネシウムを検知するセンサー(複数可)は、子癇前症や子癇の診断に使用され得る。乳酸センサーは、尿中の乳酸(または乳酸デヒドロゲナーゼ)を検査するために使用され得る。尿中の乳酸の識別は、敗血症の早期指標となる可能性がある。乳酸センサーには、酵素式乳酸センサーが含まれ得る。例えば、Weber(Weber J., Kumar A., Kumar A., Bhansali S. Novel lactate and pH biosensor for skin and sweat analysis based on single walled carbon nanotubes. Sens. Actuators, B, Chem. 2006;117:308-313)、および/またはMo(Mo, JW, Smart, W, Lactate biosensors for continuous monitoring. Front Biosci. 2004 Sep 1;9:3384-91)に開示されているような乳酸センサーを使用することができる。これらの文献の両者は、その全体がここに開示されたものとする。
【0134】
可視光線の波長も使用することができる。例えば、可視光線を捕捉するカメラを使用して、収集した尿を経時的に監視することもできる。カメラによって収集された画像により、色の波長、濁度、色の強度、色および/または強度および/または濁度の一貫性または不一致、濁り、血液または血栓の存在、溶血、気泡、タンパク質等を分析することができる。尿の画像は、数時間から数日にわたって実質的に任意の時間刻みで撮像することができるため、尿により、患者の状態を示す因子の有無や、患者の状態の変化を表すような変化を監視することができる。例えば、脱水(尿の黄色の度合いに基づく)、出血(血液の存在に基づく)、尿中のタンパク質(尿中の泡に基づく)、および充血(濁り、泡、色、濁度等に基づく)などが識別され得る。カメラを使用して、収集した尿の特性を経時的に評価する場合、尿がより古い収集した尿で希釈されないように、直近に収集した尿を少量ずつ評価することが重要であり得る。これにより、患者の状態を実質的にリアルタイムでフィードバックし得る。これを達成するために、カメラは、カセット1800の入口部分、例えば、ドレナージチューブの下部、またはカセットの上部、またはドレナージチューブがカセットと接続するところの尿に向けられ得る。
【0135】
基準色は、例えばカセットのようにシステムに含まれ、基準赤、青、および緑の色にカメラを較正することができる。例えば、赤、緑、および青の基準領域(赤、緑、および青の領域を持つ基準シールなど)をカメラの近傍(カセットの内側または外側)、およびカセットの反対側に配置し、カメラが両者を見ることができるようにしてもよい。近傍の基準は、尿が存在しない状態での色にカメラを較正し、遠方の基準は、尿を通してカメラで見たのと同じ色になる。
【0136】
カメラ/波長検知器によって収集された画像の画像処理は、制御部によって実行されてもよい。画像処理のステップとしては、分類、特徴抽出、マルチスケール信号解析、パターン認識、投影、エッジまたは境界検知、異方性拡散、隠れマルコフモデル、画像編集、画像復元、独立成分分析、線形フィルタリング、ニューラルネットワーク、偏微分方程式、ピクセル化、主成分分析、自己組織化マップ、ウェーブレット、フィルタリング、ノイズ除去、エッジ強調、コントラスト強調、モーフォロジー、拡張、エロージョン、フーリエ変換等が考えられる。
【0137】
制御部は、例えば、尿の色が正常範囲外である場合、システムの傾きが許容範囲外である場合、システムが予め設定された頻度よりも頻繁に傾き角を変える場合、尿の濁度が正常範囲外である場合、血液、または他の非正常な存在が尿中に検知された場合など、カメラが予め設定された範囲外のものを検知した場合にユーザーに警告することができる。
【0138】
可視波長カメラが使用される実施形態では、システム内の尿のライブ、または半ライブの映像を遠隔地から映し出すことができる。例えば、尿リザーバー/カセットの様子を、部屋の中のテーブル、コンピューター、電話、モニター等に映し出すことができる。この機能により、リザーバーおよび/または尿バッグ内の尿を患者の近傍に隠すことができ、患者およびその見舞い客にとってより快適なものとなり得る。すなわち、患者の近傍にある実際の尿は隠したり、不透明な材料で覆ったりして、尿の画像フィードは別の箇所に表示することができる。カセット、ドレナージチューブ、尿バッグ等の一部または全部に含まれる尿は、不透明な材料によって隠されてもよい。
【0139】
図19Bは、IAP、温度、尿量、および尿色の現在値および過去の傾向を含む、制御部/モニター1018上の一実施形態によるディスプレイ1110を示している。尿の色は、本明細書に開示されるカメラを介して検知されてもよい。本図では黒、白、およびグレースケールで表示しているが、黄、オレンジ、赤等、実際の色を表示することができる。設定1902は、1時間、6時間、12時間、24時間などを含むデータの異なる履歴範囲を表示するために利用可能であってもよい。小さなカラーボックスをクリックして拡大すると、その時の尿の色、濁り、濁度、泡等、実際の写真画像や動画を見ることができる。
【0140】
なお、本明細書で開示する実施形態は、制御部/モニター上のユーザー・インターフェイス表示を示している。しかしながら、ディスプレイ、またはディスプレイの構成要素、または集合的なディスプレイは、追加的または代替的に、コンピューター、モバイルコンピューター、携帯電話、タブレット、別のモニター/スクリーン等に表示することができる。例えば、ディスプレイの一部を携帯用タブレットに表示し、タブレットを個別に使用することも、制御部/モニターにドッキングして使用することも可能である。タブレットや携帯電話等の装置は、近接やRFID等を使用して制御部と同期させることができる。ディスプレイは、個別の患者に関する情報を表示することができ、かつ/または、例えば、ナースステーション等では、複数の患者に関する情報を表示することができる。ディスプレイは、複数の患者のデータを個別に表示してもよいし、複数の患者のデータを集計して表示してもよい。また、ディスプレイは複数の異なる画面を内蔵し、画面を切り替えることでアクセスすることも可能である。一部の画面/表示では、フォーリーシステムの設定を調整する場合等、管理者用のログイン認証が必要な場合がある。
【0141】
これに代えて、またはさらにRFID等の機構を使用して、システムの不正な「剽窃」使い捨て部分の使用を防止することもできる。このように、制御部/モニターは、システムの使い捨て部分を許可/不許可として認識することができる。システムは、ユーザーに警告を発し、未承認の使い捨て部分があると機能しない場合がある。同様のID機構を利用して、システムの機能を制御することもできる。例えば、ユーザーは、システムのIAP機能にアクセスするためにサブスクリプション料金を支払うようにしてもよい。同じ使い捨てユニットを、IAP機能をサブスクライブしている人とサブスクライブしていない人に使用することができるが、制御部はサブスクリプションの詳細を反映するようにプログラムすることができ、ID機構により、使い捨てのIAP機能がこの機能をサブスクライブしている人のために機能することを許可されるようにしてもよい。IDの仕組み上、この機能をサブスクライブしていない人にはIAP機能が機能しない場合がある。あるいは、これに代えて、制御部は、その機能をサブスクライブしていない人に対して、その機能を一度だけ、または限られた回数だけ機能させることができる。
【0142】
収集した尿から、適切なセンサーを使用して薬物または残留薬物を検知することができる。その他、色、透明度、におい、比重、重量オスモル濃度、pHタンパク質、グルコース、クレアチニン、亜硝酸塩、白血球エステラーゼ(WBCエステラーゼ)、ケトン、赤血球または白血球、鋳型、結晶、細菌、酵母細胞、寄生虫、扁平上皮細胞等、検知される収集尿の物質または特性は様々である。
【0143】
CAUTIまたは感染症は、以下のようないくつかの方法によって特定および/または低減することができる:分光法、光波長分析等を用いて尿を分析すること、汚染物を早期に特定すること、吸引によって膀胱に引き起こされる外傷を低減すること、膀胱内の尿閉を低減すること、銀等の材料の抗菌コーティングまたは埋め込み材料の使用によって細菌または微生物の存在を低減すること、膀胱内の吸引を低減することによって膀胱内の圧力測定の精度を高めること、システム内のエアロックおよび膀胱内の吸引を低減することによって尿量測定の精度を高めること等である。膀胱の吸引による圧力スパイクは、約-20mmHg(約-2.67kPa)未満の圧力測定値として定義することができる。これに代えて、膀胱内の吸引による圧力スパイクは、約-10mmHg乃至約-20mmHg(約-1.33kPa乃至約-2.67kPa)未満の圧力測定値として定義してもよい。これに代えて、膀胱内の吸引による圧力スパイクは、約-10mmHg(約-1.33kPa)未満の圧力測定値として定義してもよい。
【0144】
CAUTIはまた、紫外線、または任意の有効な波長の光、または放射線を使用して、尿および/またはシステム内の細菌を低減することによっても低減することができる。尿は、カセット内やシステム内の他の箇所で尿を殺菌するUVライトを使用して処理することもできる。例えば、紫外線は、尿がカセットに入るとき、例えば図41Aに示すように入口弁4104で、またはカセット内で、またはカセットの上、例えばカセットの上のドレナージチューブで殺菌することができる。
【0145】
図20は、隔壁またはフラップ2002を含む、一実施形態によるカセットを示す図である。この隔壁/フラップは、点線の矢印で示すように、カセットの内壁に沿って尿が滲むのを防ぐためのものである。隔壁の先で尿が滲むのを防ぐため、尿は下の測定用リザーバーに戻って落下する。
【0146】
プライミング
【0147】
特定の生理学的ソースからの圧力プロファイル(腹膜圧力、呼吸数、および心拍数、相対的肺一回換気量、心拍出量、相対的心拍出量、および絶対的心拍出量等)を監視することができる高解像度信号を達成するのに特に有利な開示技術の態様は、圧力検知用バルーンの膜によって表される圧力インターフェイスの両側の圧力の均衡を調整および維持することに関するものである。この圧力の均衡を差圧と呼んでもよい。いくつかの実施形態では、好ましい差圧はゼロまたはその近傍である。いくつかの実施形態では、好ましい差圧は異なる値であってもよい。バルーンの外面(膀胱内面に面する面)にかかる圧力は、患者の生理状態に応じて変化する。バルーン内面(流体カラムと流体連通している面)にかかる圧力は、流体の漏泄およびシールの不完全性により劣化にさらされる。
【0148】
検知用フォーリーカテーテルが最初に挿入されると、通常、外部圧力が流体カラムに加えられ、圧力インターフェイスに対して、膀胱内から圧力インターフェイスに加わる圧力に第1の近似した圧力が加えられる。圧力信号は、圧力インターフェースを横断して測定され、差圧が略ゼロのときに振幅が最大になる。したがって、圧力信号の振幅を利用して、流体カラムから圧力インターフェースに加えられる圧力を調整することができる。このように界面に対して適切な圧力をかけることを、流体カラムのプライミングやバルーンのプライミングと呼ぶことがある。上述したように圧力インターフェイスの両側の圧力が変化するため、流体カラムは時々、再プライミングまたは再調整を行う必要がある。圧力信号のプロファイルが最大振幅になるように圧力を小さく変化させる試験を行うことで、再吸引の必要性を監視することができる。これに代えて、定期的に制御部を介して自動的にプライミングを行うことも可能である。
【0149】
開示されるシステムおよび方法の実施形態は、制御部による自動圧力調整を含む。したがって、調整システムは、検知した圧力信号を監視するとともに必要に応じて空気または流体量を追加または削除することにより、バルーンを膨らませる最適な目標圧力および量を検知することができる。例えば、カテーテル挿入時に、バルーン容量および圧力を調整する圧力調整回路が、生理学的ベースの圧力速度を検知するまでバルーンを膨らませることができる。圧力速度を検知すると、圧力調整制御部は、検知した波の振幅が最大になるまで、ルーチン化またはプログラムされた一連のステップで微量の空気を追加するかまたは差し引くことができる。最適に調整された圧力(バルーンの圧力および容積として現れる)と検知された生理学的圧力プロファイルとの間の制御フィードバックループは、確実に生理学的データの忠実度の高い測定を行うため、連続的または必要に応じて繰り返される。ある実施形態では、自動圧力調整は、生理学的データが送信されるとともに表示されている間、見かけ上のバックグラウンドで実行されてもよい。他の実施形態では、システムは圧力調整シーケンス中に生理学的データの送信を一時停止してもよい。
【0150】
開示される技術の実施形態は、プライミング操作でガスを供給することができるガス供給システムを含み、それによって圧力は、圧力インターフェイスの近位側に面した側面の近位側の流体カラムに加えられ得る。圧縮空気や液体などの気体の供給源は、貯蔵タンクに保持されている。COを例にとると、COは、タンク内の圧力(例えば、約850psi(約約5.86054MPa))を約1psi(約6.9kPa)乃至約2psi(約13.8kPa)の範囲に降圧できる圧力調整器を通して貯蔵タンクから制御可能に放出される。放出されたガスはフィルターを通り、約2.5psi(約17.2kPa)に設定された圧力逃し弁を通過する。圧力逃がし弁は、上流側の調整器が故障した場合に、2.5psi(約17.23kPa)を超えるレベルのガスが流れないようにする安全要素である。圧力逃がし弁から出たCOは、次に第1のソレノイド制御の充填弁を通過してカテーテルラインに入り、最終的に圧力検知用インターフェイスを構成するバルーンを充填する。バルーン内の圧力が30mmHg(約4kPa)まで上昇すると、第1のソレノイド弁が閉じる。第1の弁の遠位側にある第2のソレノイド制御弁はドレイン弁として作動し、カテーテルからの圧力を目標圧力まで解放することができる。これに代えて、呼吸波形が検知されるまでドレーン弁を作動させ、その後バルーンを最適にプライミングし、弁を閉じることもできる。ドレーン弁は、電圧またはパルス幅変調(PWM)に作動的に基づく比例制御が可能であり、これにより、目標圧力に到達し、オーバーシュートする前に弁を閉じることができるように、十分に遅いドレーン速度が可能になる。これに代えて、蠕動ポンプ等の空気ポンプを利用して、バルーンに室温の空気を充填してもよい。
【0151】
図21は、いくつかの実施形態における圧力バルーンのプライミング方法を表すグラフである。ここでは、圧力検知用バルーンに少量の液量バースト(大まかに約0.3cc)を加え、バルーン内の圧力を測定している。バルーン内の測定圧力が安定した圧力2101に落ち着くまで、少量の流体のバーストが導入される。この推移は変曲点2102で示されている。この点を過ぎると、測定された圧力が急激に上昇し始めるまで(例えば、曲線の傾斜2104が約2mmHg(約266.645Pa)/10msよりも大きい場合)体積バーストが導入される。この変曲点を2106に示す。この点において、バルーン内の圧力は、安定圧力2101付近またはそれより僅かに高い圧力まで低減される。この圧力は、いくつかの実施形態において、主な圧力測定圧力を表す。図24のフローチャートにこの処理も表されている。
【0152】
これに代えて、圧力バルーンのプライミングは、圧力バルーンを0mmHg(0Pa)よりも十分に上で加圧した後に、少量の空気/ガス/流体を抜き、圧力バルーンの圧力を監視することを含み得る。圧力バルーンの圧力は、最適なプライミング圧力に近づくにつれて安定、すなわち平坦部になる。この最適圧力を決定するために、圧力バルーンから少量の空気を抜きながら圧力測定を行い、その後の圧力測定値が基本的に同じ(互いに約2mmHg(約0.267kPa)以内)であれば、バルーンは最適なプライミング圧力にあることになる。2回の測定値が同等でない場合、圧力バルーンを0mmHg(0Pa)よりも十分に高く再加圧し、このプロセスを繰り返す。圧力バルーンから少量の空気を抜いて行う圧力測定は、呼吸が圧力測定に及ぼす影響を補正するために、約5乃至約15秒かけて行うことができる。いくつかの実施形態では、圧力測定が行われる前に、圧力バルーンから少量の空気/ガス/流体が除去された後に、圧力信号は短い安定化期間を必要とし得る。
【0153】
約0.2cc乃至約0.4ccの少量の流体バーストが噴出してもよい。約0.1cc乃至約0.5ccの少量の流体バーストが噴出してもよい。少量の流体バーストが噴出する場合は、約0.5ccまでとなる。少量の流体バーストが噴出する場合は、約1.0ccまでとなる。
【0154】
図22は、いくつかの実施形態における圧力バルーンのプライミング方法を表すグラフである。この方法は、図21に示したバーストがなく、圧力検知用バルーン内の圧力がよりスムーズに増加することを除いては、図21に示した方法と同様である。圧力検知用バルーンに流体を入れ、バルーン内の圧力を測定する。バルーン内の測定圧力が安定した圧力2205に落ち着くまで、バルーン圧力を上昇させる。この推移は変曲点2206で示されている。バルーン圧は、測定された圧力が急激に上昇し始めるまで(例えば、曲線の傾斜2210が約2mmHg(約266.645Pa)/10msよりも大きい場合)、この点を超えて増加される。この変曲点を2208に示す。この点において、バルーン内の圧力は、安定圧力2205付近またはそれより僅かに高い圧力まで低減される。この圧力は、いくつかの実施形態において、最適な、またはプライムの圧力に相当する。図25のフローチャートにこの処理も表されている。
【0155】
図23は、本発明のある実施形態のバルーンのプライミング処理を示すフローチャートである。開示されるシステムおよび方法の実施形態は、制御部による自動圧力調整を含む。したがって、調整システムは、検知した圧力信号を監視するとともに必要に応じて空気を追加するかまたは差し引くことにより、バルーンを膨らませる最適な目標圧力および量を検知することができる。例えば、一旦カテーテルを挿入すると、バルーン容量および圧力を調整する圧力調整回路が、生理学的ベースの圧力比を検知するまでバルーンを膨らませる。圧力比を検知した圧力調整制御部は、検知した波の振幅が最大になるまで、微量の空気または流体(大まかに約0.3cc)をルーチン化された順序で追加するかまたは差し引く。最適に調整された圧力(バルーンの圧力および容積として現れる)と検知された生理学的圧力プロファイルとの間の制御フィードバックループは、確実に生理学的データの忠実度の高い測定を行うため、連続的または必要に応じて繰り返される。ある実施形態では、自動圧力調整は、生理学的データが送信されるとともに表示されている間、見かけ上のバックグラウンドで実行されてもよい。他の実施形態では、システムは圧力調整シーケンス中に生理学的データの送信を一時停止してもよい。
【0156】
空気や液体の微量な量は、約0.2cc乃至約0.4ccまでとすることができる。空気や液体の微量な量は、約0.1cc乃至約0.5ccまでとすることができる。空気や液体の微量な量は、最大で約0.5ccとすることができる。空気や流体の微量な量は、最大で1.0cc程度とすることができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、バルーンのプライミングは、システムの特性に基づいてもよい。圧力バルーンは、超音波振動子、圧力ポンプ、システム内の抵抗、圧力バルーンなどを含むシステムを特徴付けるために、1回、2回、またはそれ以上膨らませることができる。圧力バルーンは、その時点における特定のシステムの特性を判断するために、ある範囲の圧力で加圧されてもよい。この情報を続いて使用して、圧力バルーンの膨張圧を最適化することができる。
【0158】
ループ制御部
【0159】
検知用フォーリーカテーテルシステムや他の手段で測定される特定の患者パラメーターは、医療処置装置による患者の処置によって影響を受け、かつ/または影響を与える。
【0160】
ループ制御部は、検知用フォーリーカテーテルシステムの制御部と一体的に設けられ(同じ装置内または別体の装置内のいずれか)、患者パラメーターを解釈して患者の医療処置を制御することができる。
【0161】
例えば、IAPは静脈注射の注入速度を制御するために使用することができる。IAPが高くなりすぎた場合、IAPが許容範囲に戻るまで注入速度を低減するか、停止することができる。IAPと、相対的一回拍出量および一回拍出量変動のうちの少なくともいずれか一方(呼吸サイクル中に膀胱に見られる心拍の大きさの変動等)とを組み合わせることにより、IAPを過剰輸液の指標として、また、相対的な一回拍出量の増加および一回拍出量変動の低減を追加輸液が必要であることの指標として、静脈内輸液または血液製品の点滴を優れた方法で制御することが可能になる。尿量を制御ループにさらに追加し、尿量の回復により体液の状態が回復したことを示すようにしてもよい。心拍数および呼吸数の組み合わせは、薬物注入の制御(薬物の種類、注入速度、頻度、投与量等)に使用されてもよい。このように、心拍数および呼吸数で判断される患者をより安定した状態にするために、薬剤を使用してもよい。IAPおよび呼吸数は、機械式ベンチレーターやレスピレーターの制御にも使用され得る。IAPが上昇すると、機械式ベンチレーターから供給される呼気終末陽圧換気(PEEP)もこの圧力に打ち勝つように上昇するはずである。換気が十分でないことを示す指標は、組織酸素化および/または自然呼吸数で見ることができ、これは機械的換気の基礎となる信号とみなすことができる。この信号は、機械的換気中に抽出されるか、または、好ましくは、ループ制御部が機械的ベンチレーターを一時停止して、基礎となる呼吸数/呼吸駆動をより精密かつ正確に検知できるようにしてもよい。このIAP、組織酸素化、および/または呼吸数は、患者の症状の悪化を医療提供者に警告するために、かつ/または呼吸数、PEEP、吸気される%O2および他の設定を含むベンチレーター設定を自動調整するために使用されてもよい。理想的なシナリオでは,機械学習およびアルゴリズム調整によって得られた情報をもとに,ループ制御部がこれらのパラメーターを使用して,治療を監視および制御することができる.これらはほんの一例であり、多くの組み合わせが存在する。1つ以上のパラメーターを使用して、1つ以上の処置装置を制御することができる。
【0162】
図26は、患者環境における一実施形態によるループ制御部を示す図である。この例では、ループ制御部は、検知用フォーリーカテーテル2602から患者パラメーター入力を受信している。検知用フォーリーカテーテルは、患者の膀胱2604に存在し、保持用バルーン2608および圧力検知用バルーン2610を含む。検知用フォーリーカテーテルは、本明細書に開示されるような他のセンサーを含んでもよい。
【0163】
検知用フォーリーカテーテル2602は、保持用バルーン膨張ルーメン、圧力バルーン検知用ルーメン、および尿ルーメンを含む。圧力検知用バルーン2610は、制御部2628に組み込まれてもよい圧力変換器2620に接続されている圧力検知用ルーメンに接続されている。尿ルーメンは、尿出力チューブ2612に接続されている。尿出力チューブは、尿量測定装置2616に接続されてもよいし、本明細書に開示されるように制御部に組み込まれてもよい尿リザーバー2614に出力されて空になる。加えて、尿量は、尿ドレナージチューブ上に配置されてもよいし、制御部に組み込まれてもよいし、本明細書の他の箇所に開示されているように制御部の非患者側に配置されてもよい、尿ポンプ2618によって制御されてもよい。
【0164】
この患者は、レスピレーターチューブ2624によって供給されるレスピレーターマスク2622を備えていることが示されている。呼吸ガスの流れおよび性質は、レスピレーター2626によって制御される。
【0165】
ループ制御部2628は、コネクター2630、2632、2634、および2636をそれぞれ介して、尿量測定装置2616、尿ポンプ2618、圧力変換器2620、およびレスピレーター2626に接続される。コネクターは有線であっても無線であってもよい。これに代えて、この実施形態および他の実施形態では、尿量測定装置2616、尿ポンプ2618、および/または圧力変換器2620の一部または全部が、制御部2628に組み込まれてもよい。
【0166】
この例では、ループ制御部2628は、尿量測定装置2616および圧力変換器2620から患者パラメーター入力を受信し、これらのパラメーターによって提供される情報を使用して、尿ポンプ2618およびレスピレーター2626を制御することができる。ループ制御部が検知用フォーリーカテーテルから受信することができるいくつかのパラメーターには、IAP、呼吸数、心拍数、心拍出量、組織酸素化、組織灌流圧、体温、尿分析物、尿出力速度、および本明細書に開示されるものを含む他のパラメーターが含まれる。
【0167】
例えば、患者のIAPが上昇していることを示すパラメーター情報をループ制御部が受信した場合に、ループ制御部はレスピレーターの灌流速度、圧力、または他のパラメーターを制御することができる。ループ制御部は、1つ以上の入力パラメーターからのデータを取り込み、1つ以上の処置用医療機器を制御することができる。例えば、受信した上昇IAPおよび異常な組織酸素化パラメーターに基づいて、ループ制御部は、レスピレーター2626の出力を制御し、また尿ポンプ2618を制御することによって尿出力速度を制御してもよい。
【0168】
ループ制御部は、1つ以上の患者パラメーターを監視し続け、それに応じて1つ以上の処置用医療機器を調整する。患者パラメーターが正常化すると、それに応じて処置用医療機器の制御が調整され、これにより、ループ制御部によって制御されるフィードバックループは閉ループとなる。また、必要に応じてループを手動で調整することも可能であり、その場合、ループは開ループまたは半閉ループとなる。
【0169】
図27は、患者環境におけるループ制御部の別例を示す。この例では、患者は腕の血管に静脈内(IV)ライン2702を有している。IV流体バッグ2704は、IVライン2702を介してIV流体が患者に滴下および/または流入するように上昇される。弁2706は、流体を自由に流す、流れを制限する、または流れを停止することによって、患者へのIV流体の流量を制御する。ここでは、弁2706は、接続部2708を介してループ制御部2628によって制御される。IV流体バッグ2704は、水和流体および/または薬剤を収容することができる。1つ以上のIVバッグが関与し、1つ以上の弁がIVバッグ(複数可)を制御することができる。ループ制御部は、ループ制御部が受信した患者パラメーターに基づいて、患者への静脈内点滴液(複数可)の流量および成分を制御することができる。
【0170】
図28は、患者環境におけるループ制御部の別例を示す。この例では、患者は、流体ドレナージライン2802を腹部に挿入している。腹部からの流体は、患者からレセプタクル2804に流れてもよい。流体の流れは、接続部2808を介してループ制御部2628によって制御されるポンプ2806によって制御されてもよい。ループ制御部は、受信した患者パラメーターに基づいて、患者からポンプ2806を介してレセプタクル2804への流体の流れを制御してもよい。例えば、IAPが異常に高い場合、ループ制御部は、ポンプ2806を制御することによって、患者からの流体除去の速度を上げるか、または開始させることができる。
【0171】
図29は、患者環境におけるループ制御部の別例を示す。この例では、患者は、腕の血管に静脈内(IV)ライン2902を有している。薬剤注入装置2904は、静脈内ライン2902を介して患者へ注入する薬剤の流量を制御する。薬物注入装置は、複数個使用することも可能である。ここで、薬剤注入装置2904は、接続部2906を介してループ制御部2628により制御される。薬剤注入装置2904は、任意の適切な流体および薬物のうちの少なくともいずれか一方を含むことができる。ループ制御部は、ループ制御部が受信した患者パラメーターに基づいて、患者への1つ以上の薬物の流量および成分を制御することができる。
【0172】
これらの例は、ループ制御部が制御可能な医療処置装置の一部を示したものであるが、任意の医療処置装置を使用することができる。
【0173】
図30は、ループ制御部を示す詳細図である。ループ制御部2628は、検知用フォーリーカテーテルまたは他の装置から1つ以上の患者パラメーター入力を受信することができる。これらの入力には、尿量および尿速度、膀胱からの圧力プロファイル、並びに検知用フォーリーカテーテル等の装置からのセンサー情報などが含まれるが、これらに限定されるものではない。膀胱からの圧力プロファイル情報をさらに分析し、IAP、呼吸数、心拍数、心拍出量、敗血症指数、急性腎臓損傷指数(AKI)、およびその他の患者パラメーターを測定することができる。この分析は、ループ制御部2628において、または有線または無線接続のいずれかによってループ制御部に接続される別体の制御部において実行されてもよい。接続は、インターネット、イントラネット、WAN、LANなどのネットワークを経由してもよいし、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fiなどを経由したローカルなものであってもよい。
【0174】
ループ制御部は、1つ以上の入力を受信し、データを解析して、医療処置装置の制御を変更する必要があるかどうかを判定する。患者パラメーターを目標範囲にするために、1つ以上の医療処置装置を制御してもよい。一旦患者の目標範囲が達成されると、ループ制御部は、制御される1つ以上の医療処置装置を標準状態に戻すことができる。標準状態は、医療装置毎に異なり、また、患者毎に異なるであろう。患者パラメーターの目標範囲も同様に、患者毎に、また患者の状態によって異なる。例えば、患者が鎮静状態にあるかどうかに応じて、レスピレーターの呼吸数目標範囲が異なる場合がある。
【0175】
また、本技術の実施形態では、検知した心拍出量または呼吸数からのフィードバックに基づいて、静脈内輸液または薬剤注入速度を自動的に調整することもできる。そのような一実施形態では、呼吸数が低下しすぎると、患者制御鎮痛ポンプを停止させることができる。この群では呼吸抑制が致命的となる可能性があり、この保護手段により過剰摂取を防止することができる。自動化されたフィードバックシステムは、大容量の蘇生処置においても有利であり、腹腔内圧に基づいて輸液を調整し、腹腔内圧が上昇すると警告を発し、輸液速度を遅くして腹部コンパートメント症候群を予防することができる。さらなる別の自動化されたフィードバック機能は、換気ガスが最適な圧力になるようにベンチレーターシステムに直接フィードバックを提供することができる。腹圧が上昇すると、一般的なベンチレーターの設定では、患者に十分な呼吸を提供することができない。本実施形態からの腹腔内圧フィードバックに基づくベンチレーター設定の自動調整は、最適な患者の換気を有利に提供することができる。また、本技術の実施形態は、他の診断測定の応用や理解における補正として適用することも可能である。例えば、腹腔内圧が上昇すると中心静脈圧は相当歪む可能性がある。中心静脈圧報告システムがこれらのデータに直接アクセスできるようにすることで、この重大な生理学的パラメーターを自動的に補正するとともに正確に報告することができる。また、本技術の実施形態は、心拍出量や他のパラメーターの増減に応答して、昇圧剤や利尿剤等の活性剤をさらに含む流体を注入する等の治療を自動化するために、他の様々な方法で使用することができる。
【0176】
ループ制御部への他の入出力としては、栄養チューブや静脈から供給される栄養、創部ドレナージ、排便、胸腔ドレナージ、発汗、呼気の蒸気の排出等が挙げられる。発汗の評価は、体温、周囲温度、および周囲湿度を測定して行ってもよいし、人工呼吸患者の場合は吸気温および吸気湿度を測定して行ってもよい。これに代えて、または加えて、皮膚発汗センサーを使用してもよい。
【0177】
1つ以上の医療処置装置を直接制御することに加えて、ループ制御部2628は、可聴アラーム、電子メールによるアラーム、テキストによるアラーム、ポケットベルによるアラームなどを含むアラームを鳴らすこともできる。ループ制御部2628は、生涯電子カルテ(EHR)または他のデータアーカイブシステム、または他のシステムに情報を出力する等、システム統合のために他のシステムに出力を提供することもできる。ループ制御部2628は、様々なEHR、EMR、または他のシステムからの入力を受信することもできる。
【0178】
検知用フォーリーカテーテルシステムによって収集されたデータおよび/または分析されたデータの結果として、患者に医療処置が施されてもよい。この処置は、ループ制御部を介して自動的に投与される薬物であってもよいし、従来の薬物方法、すなわち経口、注射などを介して手動で投与されてもよい。
【0179】
また、検知用フォーリーカテーテルシステムの結果に基づいて、さらなる医療診断が行われることもある。
【0180】
比重
【0181】
尿比重は、検知用フォーリーカテーテルを用いた圧力測定および超音波測定により測定することができる。図34は、超音波および圧力の体積測定値が、液体濃度によってどのように発散するかを示すプロットである。測定する液体は濃縮合成尿であり、比重は約1.100である。
【0182】
比重が1.000の液体の場合、2つの測定技術は同じ体積測定値を提供するように較正されている。しかしながら、濃度が高くなるにつれて、両者は乖離し始める。圧力では、V=A*h、P=ρ*g*h、すなわちV=A*ρ*g/Pであるため、濃度が増加すると体積の測定値が増加する。超音波の場合は、V=A*h、v=h*2/t、かつv=(E/ρ)^(1/2)であるから、V=A*(E/ρ)^(1/2)*t/2であるため、濃度の増加により、体積の測定値は減少することになる。
V:体積
A:断面積
h:液体の高さ
P:圧力
ρ:液体濃度
g:重力
v:音速
t:音が反射する時間
E:液体の体積弾性率
【0183】
簡単に述べると、液体の濃度が高くなると、圧力が高くなり、その測定値が高く偏るということである。同時に、音の伝搬速度がより速くなり、超音波の測定値が低く歪んでしまうのである。どれだけ乖離したかを測定することで、液体の濃度を測定することができる。これは温度が変化しないことを前提としているが、温度を監視して温度変動を補正することも可能である。検知用フォーリーカテーテルは、超音波および圧力による体積測定や、体温測定が可能である。このように、検知用フォーリーカテーテルと制御部を組み合わせることで、尿比重を測定することができる。
【0184】
特定の条件の検知/判断
【0185】
図31Aは、AKIの異なる指標(腎前性、内因性、および閉塞性)に対する指紋または署名(複数のパラメーターの1つの組み合わせ)を可能にする複数のパラメーターの複数の組み合わせを一覧化した表である。加えて、パラメーターの変化のタイミングに関する指紋または署名が存在する可能性があり、それによってAKIの原因を特定することもできる(例えば、糸球体腎炎による内因性AKIと急性尿細管壊死による内因性AKIとでは、一部のパラメーターの変化がより速いというのはもっともと思われる)。また、AKIの原因によって有効な治療法が異なるため(例えば、遺伝子組み換えアルカリホスファターゼは内因性(敗血症性)AKIには有効であるが非敗血症性AKIには無効)、このマルチパラメーターによるアプローチによりAKIの処置に有効な治療法の選択が促進され得る。
【0186】
図31Bは、敗血症、AKI、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の異なる指標について、指紋または署名(複数のパラメーターの1つの組み合わせ)を可能にする複数のパラメーターの複数の組み合わせを一覧化した表である。これらの署名は、尿量、心拍数、呼吸数、体温、心拍出量、腹部灌流圧等の様々な患者パラメーターの増加、減少、またはその両者を伴う。腹部灌流圧は、平均動脈圧(MAP)から腹腔内圧(IAP)を差し引いたものである。平均動脈圧は、心拡張期圧(DP)に脈圧(PP)の1/3を加えたものである。(脈圧は心収縮期圧から心拡張期圧を差し引いたものである)。すなわち、MAP=DP+1/3PPとなる。
【0187】
また、その他の患者パラメーターを用いてもよい。1つ、いくつか、またはすべての関連パラメーターは、制御部によって、診断および/またはリスクをユーザーまたは他の装置に伝達するために使用され得る。検知用フォーリーカテーテルシステムで取得した患者パラメーターは、単独で使用することもできるが、心電図、血圧測定装置、EMRからの情報など、他の箇所で取得したパラメーターと組み合わせて使用することも可能である。
【0188】
検知用フォーリーカテーテルシステムは、様々な病状を早期に発見するために、リアルタイムで自動的かつ正確に生理学的パラメーターを監視することができる。これらの高頻度データストリームのリアルタイム多変量解析(点値)および時系列解析(傾向)を機械学習に基づくモデルに活用することで、敗血症発症(またはその他の病状判断)の早期発見のための高感度生理学的署名が開発され得る。これにより、より早い診断および介入が可能になり、臨床結果が改善される。特定の病状の発症前および/または発症中に起こる生理的変化に関するデータに関する署名は、人工神経網を介した機械学習により、関連するパラメーターを強化し、関連性の低いパラメーターを弱め、接続を構築または破壊して継続的に改善することが可能である。これにより、制御部は、病状を互いに区別し、正常と他の病態を区別するアルゴリズムを利用することができるようになる。
【0189】
本発明のいくつかの実施形態は、患者が利尿剤を投与された直後に尿量を測定することができる。このタイプの検査は、AKI患者がより深刻な段階まで進行し、かつ/または死亡するかどうかの強力な指標となり得る。利尿剤投与後に、患者の尿量が増加した場合は、AKIがより重症化する可能性が少ないことを示している。利尿剤を投与しても患者の尿量が有意に増加しない場合は、AKIの重症化が進んでいる可能性が高いことを示している。本発明は、尿量を迅速かつ正確にリアルタイムで測定することが可能である。そのため、利尿剤に対する反応を、従来の尿測定法よりも迅速に(数時間ではなく数分で)検知することができる。
【0190】
この検査は、利尿剤の投与量を制御し、続いて数分から数時間、好ましくは数分間のみ尿量を監視する制御部で自動化することができる。投与される利尿剤は、フロセミド、または他の適切なループ利尿剤または他の利尿剤であってもよい。利尿剤は、Chawla LS, Davison DL, Brasha-Mitchell E, Koyner JL, Arthur JM, Tumlin JA, Shaw AD, Trevino S, Kimmel PL, Seneff MG. Development and standardisation of a furosemide stress test to predict the severity of acute kidney injury. Crit Care. 2013 Sep 20;17(5):R207に開示されているように投与され、データを収集することができる。この文献はその全体がここに開示されたものとする。
【0191】
本発明は、AKIの検知に加えて、酸素分圧、二酸化炭素濃度の低下、比重の増加、並びに尿量およびコンダクタンスが比較的安定していることを指標として、尿路感染症(UTI)を検知することが可能である。UTIの検知は、UTIの指紋のための尿中マーカーを組み合わせることにより、AKIがない場合にも、場合によってはAKIがある場合にも可能である。UTIの指紋は、臨床医にUTIの存在を警告することができる。
【0192】
上述したパラメーターを使用したAKIおよびUTIの検知に加えて、これらのパラメーターは、腹腔内圧(IAP)、呼吸数(RR)、心拍数(HR)、心拍出量(CO)、相対的心拍出量(RSV)、体温(Temp)、脈圧(PP)、尿コンダクタンス(UC)、尿量(UO)、および/または心拍出量(SV)の測定値と組み合わせて使用することができ、これらは、腹部内圧上昇(IAH)、腹部コンパートメント症候群(ACS)、および敗血症等の検知に既に使用されている測定値である。IAP、RR、HR、CO、RSV、Temp、PP、UC、UOおよび/またはSVの測定値を本明細書に記載のアルゴリズムに加えることにより、AKIまたはUTIを検知する感度および特異度が向上され得る。一方、IAP、RR、HR、CO、RSV、Temp、PP、UC、UOおよび/またはSVの測定アルゴリズムに本発明により得られた測定値を加えることにより、IAH、ACSまたは敗血症を検知する感度および特異性が向上され得る。その他、外傷および火傷の処置等にも臨床応用されている。
【0193】
IAP、RR、HR、CO、RSV、Temp、PP、UC、UO、ガス濃度、および/またはSVの絶対的測定に加えて、これらのパラメーターの傾向データも、IAH、ACS、敗血症、またはその他の症状の検知に使用することができる。例えば、これらのパラメーターの値の経時的な傾き、および/または、これらのパラメーターの値の経時的なばらつきも使用することができる。また、データの傾向を利用した例として、脈圧波形解析および脈波伝播速度(または脈遷移時間)の利用が挙げられる。脈遷移時間は、検知用フォーリーカテーテル上のリード線、および/または他の箇所から心電図等の心電信号を取り込み、脈波の圧力信号が膀胱まで遷移する時間を測定することによって測定することができる。IAH、ACS、敗血症等の症状の有無を判断するために、複数のパラメーターおよび/またはパラメーターの傾向を使用することができる。
【0194】
傾向のデータの活用例としては、以下のようなものがある。
【0195】
-バイタルが安定した状態(それ以外)でUOが低下している場合は、急性腎臓損傷の可能性がある。心拍出量が減少している場合、腎臓が虚血している可能性がある。バイタルが安定している状態で尿量が急増した場合、中毒性急性腎臓損傷の可能性がある。
【0196】
-呼吸数が増加するとともに心拍出量が減少している場合は、肺塞栓症、出血、またはその他の体積減少を示している可能性がある。
【0197】
バイタルが安定した状態で呼吸数が増加するのは、気道閉塞が迫っていることを示している可能性がある。
【0198】
-他のパラメーターが安定しているのに、呼吸数が減少している場合は、鎮静剤の過剰投与を示している可能性がある。これは、患者の鎮痛制御の大きな課題である。
【0199】
-心拍出量が安定し、尿量が増加している状態で腹腔内圧(IAP)が上昇することは、水分過負荷が差し迫っていることの指標となり得る。
【0200】
-UOの減少および心拍出量の減少の状態におけるIAPの増加は、心肺機能不全の指標となり得る。これは、水分過負荷、敗血症等によるものである可能性がある。
【0201】
本発明は、病院の様々な環境(例えば、救急室、手術室、集中治療室、病棟)で使用可能である。いつでも、装置は、AKIの進行状況、および改善または減少の有無を確認するために使用することができる。そのアルゴリズムは、新たに発症したAKIの症例やAKIの状態の変化を臨床医に警告するために機能する。腎臓への損傷が発生する前に装置を設け(例えば、心臓手術を受けている患者が術中に腎臓への損傷が始まるかどうかを検知する)、AKIの開始を検知することも可能である。これは、腎臓損傷が既に生じている場合に、その時の損傷の程度を検知するために設けられてもよい。また、この装置は、治療/治療的介入(例えば、腎代替療法、輸液蘇生法)の反応を監視するために使用することもできる。
【0202】
代替的実施形態
【0203】
また、本技術の実施形態は、発作性疾患の検知または診断において、患者の動きを報告することができる。この実施形態では、圧力の変動がEEGまたは記録装置をトリガーして、発作と疑われる症状の発現の間、激しい期間の監視を可能にすることができる。加えて、またはこれに代えて、圧力センサー、音響センサーまたは他のセンサーを使用して、蠕動運動を含む腸の活動、患者の動き、発作の活動、患者の震え、咳の頻度、咳の重症度、睡眠時間、睡眠の質、音声検知、患者の従順性(動きまたはその欠如)を検知し、患者が動いていないため寝返りさせなければならないことを医療従事者に警告することができる。この動きに関連する情報は、低体温装置、薬物送達装置、または発作活動、震え、および/または咳を制御または軽減する他の装置に中継されてもよい。
【0204】
いくつかの実施形態では、検知用フォーリーカテーテルは、空気で満たされたルーメン(圧力ルーメン等)内の水滴または他の障害物の存在を報告し、続いてその水滴を処理または解決するように構成される。特に低体温の環境では、空気ルーメン中の水分が凝縮し、障害となる水滴を形成することがある。空気で満たされたルーメン内の水滴(または水で満たされたルーメン内の気泡)は、水の表面張力により圧力信号を乱したり、複雑にしたりし得る。したがって、開示された技術のいくつかの実施形態における圧力伝達ルーメンは、連続的で中断されない空気チャネルを維持するために、ルーメンから水分を吸い上げる親水性機能(ルーメン自体の壁上のコーティング、またはルーメンの長さを延びる親水性繊維等)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、吸湿性組成物(例えばシリカゲル)を空気注入ラインに沿って、または空気注入ルーメン自体の中で使用して、水または湿度を捕捉することができる。いくつかの実施形態では、吸湿性組成物をカテーテル内に含めることができるので、この材料を交換するために空気注入回路を保守する必要はない。
【0205】
開示された技術のいくつかの実施形態では、上記でさらに詳細に説明したように、バルーンが最適にプライミングされた一定の状態にあるように、圧力検知用バルーンに断続的に(かつ自動的に)空気を注入および抽出することもできる。また、ルーメンにウィッキング繊維や親水性コーティングを施した場合に、空気抜きは、空気ラインから水分を除去するとともに捕捉することに貢献し得る。液体で満たされたルーメンの例では、圧力ルーメンの内側に親水性繊維や親水性コーティングを施すと、このルーメンが気泡を処理できるようになるという同様の利点がある。このとき、気泡があると信号が乱れる可能性があるが、カテーテルのルーメンに親水性のコーティングを施すことで、気水界面の表面張力を緩和している。
【0206】
加えて、液体および/または空気で満たされたルーメンの場合に、閉塞を防ぐために、カスタム押出およびルーメン形状を使用することもできる。本技術のいくつかの実施形態では、例えば、フォーリータイプのカテーテルは、断面形状が星形であるルーメンを有することができる。このようなルーメンは、水滴がそれ自体にまとわりつき、疎水性の壁から押し流される傾向があるため、一般に水滴による閉塞を免れることができる。この挙動により、断面の空間が満たされない傾向があり、水滴の周囲に空気のチャネルが特許されたまま、センサーに伝達することができる。親水性の星状水ルーメンの水中の気泡も同じ理屈である。この場合、親水性の液体が壁に付着し、気泡を排除した水のカラムがルーメンの中心まで連続するようになる。疎水性のルーメンに疎水性の液体がある場合も同様である。いくつかの実施形態では、カテーテルは、空気チャネルと、カテーテル自体の内部、または流体ルーメン内に組み込まれるセンサーとを含み、流体ルーメンは、圧力をセンサーに伝達し返すことができる。
【0207】
ドレナージチューブは、尿ドレナージライン、圧力ルーメン、および熱電対の配線を収納するためのマルチルーメンチューブであってもよく、一端がバーブに、他端が制御部に接続されている。
【0208】
フォーリーカテーテルは、BaSOを押し出したり、透視観察ができるようにX線不透過マーカーを取り付けたりすることができる。
【0209】
カテーテルの先端にあるサーミスターは、複数の押出プロファイルおよび組立技術を使用して所定の位置に固定することができる。
【0210】
いくつかの実施形態では、検知用フォーリーカテーテルは、いくつかの形態のうちのいずれかを取り得る血圧検知用要素を含んでもよい。一実施形態では、血圧検知用要素は、膀胱または尿道内の血管がどの圧力で分岐され血流が停止するかを決定するために、膨張する際に光学的に分析することができる圧力送達バルーン(別の専用バルーンまたは装置保持用バルーンまたは圧力検知用バルーンと流体連通しているバルーン)を含んでいる。この方法では、圧力送達バルーンに接する組織の灌流圧を測定することができ、この測定値は全身血圧および血管抵抗の両者を反映するものである。この実施形態の灌流圧装置は、敗血症、ショック、出血等の様々な急性または緊急の病状を早期に検知または監視するために使用することができ、これらの症状を早期に検知することに特に有利になり得る。敗血症を予測する場合、本発明の実施形態は、白血球数情報を受信して、敗血症をより適切に予測することが可能であり得る。
【0211】
組織が白化または虚血したことを検知するために、他の様式も使用することができ、共通の方法論的側面は、血管系を圧縮するために、ルーメン、体腔または身体組織内で断続的に膨張することである。この装置および関連付けられる方法の実施形態は、断続的に膨張する部材および血流または血液の存在の光学的検知により、身体の他の部位における灌流圧を検知するためにも使用することができる。
【0212】
組織灌流情報は、カテーテルが所定の位置に配置されているときに尿道壁に接触するようにカテーテルのシャフト上に配置されたセンサーによって提供されてもよい。これらの検知技術には、マイクロダイアリシス、ピルビン酸、乳酸、pO、pCO、pH、灌流指数、近赤外分光法、レーザードップラー血流計、尿道カプノグラフィー、および直交偏光分光法等が含まれ得る。これらの検査は、尿や膀胱壁自体にも行われ、組織の灌流を測定することができる。
【0213】
別例による検知用フォーリーカテーテルシステムは、ドレナージラインの開始点近傍に正の気流のための装置および/またはポートを含む、一実施形態による清掃機構を含む。積極的に空気を送り込むことで、尿が強制的にドレナージラインに流され、排液が促進される。正圧気流装置は、尿カテーテルの先端に、尿が尿収集装置に向かってのみ流れるようにするとともにカテーテル内に空気が入るのを防止する一方向弁を含んでもよい。
【0214】
いくつかの実施形態では、尿清掃機構は、尿ドレナージチューブの内側に、表面張力を低減するとともに排水を促進するためのコーティングを含んで構成されている。一態様では、上記コーティングは、PTFEまたはFEPを含むがこれらに限定されない、疎水性ポリマーである。
【0215】
また、圧力センサーおよび力計のうちの少なくともいずれか一方の変位に基づき、相対的心拍出量および相対的一回換気量を算出することもできる。十分な周波数(例えば.、1Hz以上)でサンプリングすれば、カテーテル留置時の呼吸運動(respiratory excursion)の振幅を相対的に定量化することが可能である。大きな運動は一般に、呼吸がより重いこと、またはベースラインが上方へ変動している場合、腹膜の圧力がより高いことに関係する。より速いサンプリングレート(例えば、5Hz以上)を使用することにより、心臓のポンプ作用による振動呼吸波上の小さなピークも追跡することができ、この波の振幅は、比較的一定の腹膜圧の設定において、相対的心拍出量を測定し、周知の安定した腹膜圧の設定において、絶対的心拍出量および/または心拍出量を測定することができる。
【0216】
開示される技術の一実施形態によって検知される腹腔内圧または膀胱圧は、患者の動きのレベル(例えば、実質的に動きがない状態から動きのレベルが高い状態まで変化し得る)を検知し、医療提供者に動きのレベルを報告するために使用することもできる。膀胱圧活動のピークと谷が短時間で発生することは、膀胱圧プロファイルが、例えば、体を起こしたりベッドから出たりするために患者が腹筋を使用していることを示す強い指標となり、体動の代理として機能することができる。本実施形態は、転倒のリスクがある患者にとって特に有益である。転倒リスクのある患者の場合、医療従事者は患者が上体を起こしていることを通知され、それに応じて対応することができる。これに代えて、装置は、患者の不活性および/または患者の動きの欠如を報告するために使用することもできる。
【0217】
パルスオキシメトリー素子は、血中酸素濃度や飽和度を測定することができ、カテーテルの尿道長に沿った任意の箇所に配置することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサーは、尿道粘膜への近似性を確保するために、装置のチューブ内に配置される。この技術により、医療従事者は尿道カテーテルで膀胱を減圧し、パルスオキシメトリーデータを再現性よく正確に取得することができる。パルスオキシメトリー用電源は、尿収集容器内またはカテーテル自体に内蔵されていてもよい。いくつかの実施形態では、パルスオキシメーターは再使用可能であり、カテーテル・インターフェイスは使い捨てである。この配置では、パルスオキシメーターは使い捨てカテーテルに可逆的に取り付けられ、酸素測定がもはや望まれないときには取り外される。検知用フォーリーカテーテルの実施形態は、光ファイバーケーブル、透明窓、および再使用可能なオキシメーターのためのインターフェイス等の、光学的に透明な、または十分に透明なオキシメトリー信号用のチャネルを含んでもよい。この尿道パルスオキシメトリーの方法および装置は、本明細書で詳述する他の実施形態のいずれかと組み合わせて使用してもよいし、独立した装置であってもよい。
【0218】
感染予防のために、抗菌性コーティングや、抗菌性化合物を含浸させた材料を検知用フォーリーカテーテル上に使用してもよい。抗菌性コーティング/材料の例としては、銀、クエン酸銀、パリレン、または任意のその他の適切な材料が挙げられる。
【0219】
また、肺血液量変動も、心不全の有無やリスクを評価することを支援するために、検知用フォーリーカテーテルシステムで測定することができる。左心室機能の低下は、肺血液量(PBV)の増加や肺血液量変動の減少につながり得る。PBV変動は、心周期中のPBVの経時的変化と定義される。PBVは、心拍出量と肺遷移時間(PTT)との積として測定することができる。心拍出量は、一回拍出量と心拍数との積で測定することができ、一回拍出量は、1心周期における流量-時間曲線下の面積である。脈遷移時間は、心電図のQRS群と膀胱内の信号の出現との間の遅延を見ることによって得ることができる。心電図信号は、別の心電図リード、検知用フォーリーカテーテルに組み込まれたリード、カテーテル挿入キットに組み込まれたリード、その他から取得することができる。また、心電図リードは、尿中のどこからでも心電図信号を読み取ることができる。2本のリード線を使用することで、より正確に脈遷移時間を測定できる。
【0220】
心筋梗塞後、心拍出量、駆出率、およびPBV変動が減少し、PBV変動が最も大きく変化することが分かっている。そのため、PBVの変動を測定し、PBVの変動の減少を特定することは、心不全、または心不全リスクの強い徴候となり得る。
【0221】
検知用フォーリーカテーテルシステムで収集されたデータは、データベースに保存され、傾向分析等に利用することができる。データには、臨床データおよび/または装置データが含まれ得る。例えば、複数の患者からデータを収集し、匿名で集計して、将来の患者のより良い処置、監視、または行動の予測に使用することができる。例えば、心拍数、呼吸数、体温、感染症等に関する経時的に収集されるデータを制御部で集計および分析し、様々なパラメーターと結果との関係等の傾向を見つけることができる。例えば、体温のある種の傾向は、単独で、または他のパラメーターと組み合わせて、感染、敗血症の発症、ARDSおよび/またはAKIの予測因子となり得る。図31は周知の例を示す図であるが、これには集約された患者データから他の、現在知られていない傾向が現れる可能性がある。
【0222】
検知用フォーリーカテーテルシステムによって収集されたデータは、生涯電子カルテ(EHR)、電子カルテ(EMR)、および/または他のシステムと統合されてもよい。検知用フォーリーカテーテルシステムの制御部によって収集されたデータは、直接または間接的にEMR/EHRシステムとのインターフェイスとなり得る。EMR/EHRからの患者の人口統計学的データや、病歴データ等のデータも検知用フォーリーカテーテルシステムと統合することができる。
【0223】
データ処理システムの例
【0224】
図33は、本発明の任意の実施形態に用いることができる、データ処理システムを示すブロック図である。例えば、システム3300は、本明細書のいくつかの実施形態に示されるように、制御部の一部として使用されてもよい。図33は、コンピューター・システムの様々な構成要素を示しているが、構成要素を相互接続する特定のアーキテクチャーまたは態様を表すことを意図していないことに留意されたい;そのような詳細は、本発明には関係ないためである。また、ネットワーク・コンピューター、ハンドヘルド・コンピューター、モバイル装置、タブレット、携帯電話、および、より少ない構成要素またはおそらくより多くの構成要素を有する他のデータ処理システムも、本発明と組み合わせて使用され得ることが理解されよう。
【0225】
図33に示すように、データ処理システムの一形態であるコンピューターシステム3300は、1つ以上のマイクロプロセッサー3303およびROM3307、揮発性RAM3305および不揮発性メモリ3306に結合されているバスまたは相互連結部3302を含む。マイクロプロセッサー3303は、キャッシュメモリー3304に結合されている。バス3302は、これらの様々な構成要素を相互に接続し、また、これらの構成要素3303、3307、3305、および3306をディスプレイ制御部およびディスプレイ装置3308、並びにマウス、キーボード、モデム、ネットワーク・インタフェース、プリンター、および当該技術分野で周知の他の装置であってもよい入力/出力(I/O)装置3310に相互接続する。
【0226】
通常、入出力装置3310は、入出力制御部3309を介してシステムに結合される。揮発性RAM3305は、典型的には、メモリー内のデータをリフレッシュまたは維持するために継続的に電力を必要とするダイナミックRAM(DRAM)として実装される。不揮発性メモリ3306は、典型的には、磁気ハードディスク、磁気光学ドライブ、光学ドライブ、あるいはDVD-RAM等、電源を切ってもデータを維持するタイプの記憶装置である。不揮発性メモリはランダムアクセスメモリーであることが一般的であるが、これは必須ではない。
【0227】
図33は、不揮発性メモリーがデータ処理システム内の残りの構成要素に直接結合されたローカル装置である態様を示しているが、本発明は、システムから遠隔にある不揮発性メモリー;例えば、モデムまたはイーサネット(登録商標)・インターフェイスなどのネットワーク・インターフェイスを介してデータ処理システムに結合されたネットワーク・ストレージ装置を利用してもよい。バス3302は、当該技術分野において周知のように、様々なブリッジ、制御部、および/またはアダプターを介して互いに接続された1つ以上のバスを含むことができる。一実施形態では、I/O制御部3309は、USB(Universal Serial Bus)周辺機器を制御するためのUSBアダプターを含む。これに代えて、I/O制御部3309は、FireWire(登録商標)デバイスを制御するための、FireWire(登録商標)アダプターとも呼ばれるIEEE-1394アダプターを含んでもよい。
【0228】
上述した詳細な説明の一部は、コンピューターのメモリー内のデータビットに対する演算のアルゴリズムおよび記号表現で示されてきた。これらのアルゴリズムによる記述および表現は、データ処理技術における当業者が、自分の仕事の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために用いる方法である。ここで言うアルゴリズムとは、一般に、望ましい結果を導く自己矛盾のない一連の作動のことであると考えられている。作動とは、物理量の物理的な操作を必要とするものである。
【0229】
しかしながら、これらの用語および類似の用語はすべて適切な物理量と関連付けられるべきものであり、これらの物理量に適用される便利なラベルに過ぎないことを心に留めておく必要がある。上記の議論から明らかなように特に別段の記載がない限り、本明細書を通じて、特許請求の範囲に記載されるような用語を利用する議論は、コンピューター・システムのレジスターおよびメモリー内の物理的(電子的)量として表されるデータを、コンピューター・システムのメモリーもしくはレジスターまたは他のそのような情報記憶、伝送または表示装置内の物理的量として同様に表される他のデータに操作および変換するコンピューター・システムまたは同様の電子計算装置の作用および処理を指すことが理解されるであろう。
【0230】
図示の技術は、1つ以上の電子機器に格納されるとともに実行されるコードおよびデータを使用して実装することができる。このような電子機器は、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスク、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ装置、相変化メモリ)および一過性のコンピュータ可読伝送媒体(例えば、電気、光学、音響または他の形態の伝播信号-搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)などのコンピュータ可読媒体を使用してコードおよびデータを格納するとともに(内部および/またはネットワーク上の他の電子機器と)通信を行うことができる。
【0231】
先の図面に描かれたプロセスまたは方法は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理など)、ファームウェア、ソフトウェア(例えば、非一過性のコンピュータ可読媒体上で具現化される)、または両者の組み合わせからなる処理論理によって実行されてもよい。プロセスまたは方法は、いくつかの連続した作動の観点から上述されているが、説明された作動のいくつかは、異なる順序で実行され得ることが理解されるべきである。さらに、一部の作動は順次ではなく、並行して行われてもよい。
【0232】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術用語は、医学分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。具体的な方法、装置、および材料は本出願に記載されているが、本明細書に記載されたものと類似または均等の任意の方法および材料を本発明の実施に使用することができる。本発明の実施形態は、いくつかの詳細および図によって説明されてきたが、そのような図は、理解を明確にするためのみのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書では、本発明の理解を伝えるために様々な用語を使用しているが、これらの様々な用語の意味は、その一般的な言語的または文法的変形に及ぶことが理解されよう。さらに、技術の理解を提供するために、いくつかの理論的考察が進められたが、本発明の添付の請求項は、そのような理論に拘束されるものではない。さらに、本発明の任意の実施形態の任意の1つ以上の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の任意の他の実施形態の任意の1つ以上の他の特徴と組み合わせることが可能である。またさらに、本発明は、例示の目的で示された実施形態に限定されるものではなく、その各要素が権利を有する全範囲の均等性を含む、特許出願に添付された請求項の公正な読解によってのみ定義されるものであることを理解されたい。
【0233】
検知用フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、収集チャンバー自体またはシステムの他の構成要素を殺菌するために、紫外線光、または適切な波長の光を使用することを含む。紫外線光源は、収集チャンバーの壁部を通して紫外線を照射してもよいし、あるいは、これに代えて、紫外線光源が収集チャンバーの内部に配置されていてもよい。紫外線光源は、収集チャンバーが空、満杯、または部分的に満杯のときに収集チャンバーを殺菌するために使用することができる。紫外線光源は、尿が収集チャンバーに入るときに殺菌するために使用することができる。紫外線殺菌は、連続的に行われても、断続的に行われてもよい。紫外線光源は、検知用フォーリーカテーテルシステムのいずれの箇所に配置してもよい。膀胱内では、紫外線、または他の波長の光を使用することができる。
【0234】
分光法-分光光度計
【0235】
検知用フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、約520nm乃至約650nmの範囲の光波長を使用して、細菌、赤血球、および/または血漿/白血球を識別することを含む。図34の楕円の内側の領域を参照のこと。
【0236】
検知用フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、感染を識別するために、pOの減少および/またはCOの増加を識別することと組み合わせて、白血球および細菌を識別するための分光光度計を組み合わせることを含む。
【0237】
検知用フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、制御部が、利尿剤の投与直後の尿量の増加を補償するために、尿量データをフィルタリングすることを含む。一般に利尿剤の投与直後は尿量が増加する。しかしながら、所定の状況下では、利尿剤の投与に関連付けられる尿量の増加データを実質的に無視することが有益である。検知用フォーリーカテーテルシステムの制御部は、利尿剤の投与に伴う尿量曲線の形状を特定し、この増加に伴うデータを減算および/または無視することにより、利尿剤の投与に伴う尿量データを自動的に無視することが可能である。曲線の形状の識別は、傾き、増加の長さ、増加の振幅、形状等で行うことができる。利尿剤による尿量データの減算は、AKI発症の判断や予測に有効であり得る。図35を参照のこと。例えば、尿量が約2,000ml/時(ピーク)よりも大きく上昇した場合に、制御部は利尿剤が投与された状況であると認識することができる。
【0238】
利尿剤の投与による尿量の増加は、尿ドレナージチューブおよび/またはフォーリーカテーテルのクランプ等の遮断による尿量の増加と区別することが可能である。ドレナージルーメンがクランプされている状況では、増加前の尿量は実質的にゼロ、または非常に少なく、例えば5ml/時間未満となる。これに対し、利尿剤が投与されている状況では、利尿剤投与直前の尿量は非常に少ないが、おそらくゼロよりも大きく、例えば約5ml/時よりも大きい。加えて、ドレナージルーメンがクランプされている状況では、ドレナージルーメンのクランプ解除後の尿量の増加は、例えば、約30秒乃至約5分程度の比較的短時間の間となる。これに対し、利尿剤が投与された状況では、尿量の増加はより長い時間、例えば約30分乃至約2時間程度となる。加えて、ドレナージルーメンがクランプされている状況では、ドレナージルーメンのクランプ解除後の尿量は約1000ml未満となる可能性が高い。これに対し、利尿剤を投与した状況では、利尿剤投与後の尿量は約1000mlよりも大きくなる可能性が高い。これらの要因のいずれかまたはすべてを制御部が使用して、経時的な尿量曲線を解析し、利尿剤が投与された時を判定し、ユーザーに提示された尿量から利尿剤に起因する尿量増加分を減算してもよい。
【0239】
このように、利尿剤を投与するタイミングを制御部が自動的に判断することもできる。これに代えて、制御部のユーザー・インターフェイスは、利尿剤が投与されたことを示すボタンまたは他のユーザー入力装置(タッチスクリーン、音声制御等)を含んでもよい。制御部は、続いて尿量の増加を探し、ユーザーに提示された尿量データから利尿剤に起因する尿量の増加を減算することになる。
【0240】
検知用フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、制御部が腹部灌流圧(APP)を測定することを含む。APPは、平均動脈圧と腹腔内圧(IAP)との差として定義される。平均動脈圧は従来の方法で測定することができ、制御部によるIAPの測定と組み合わせてAPPを測定することができる。制御部は、さらに、血圧を上昇または低下させるために、流体および/または昇圧剤/血管昇圧剤の注入を自動的に変更することができる。
【0241】
また、図36に示す実施形態では、ベント/フィルターの濡れを防止することもできる。この実施形態は、バーブ領域3606の近傍でドレナージルーメン3604に接続する内腔であって、ベントチューブに沿っておよび/または他端近傍で1つ以上のフィルタ/ベント3608を介して大気、または他の空気/ガス/流体に通気される内腔を有するベントチューブ3602を含む。フィルター/ベントは、図36に示すように収集容器内にあってもよいし、収集容器とは別の箇所等にあってもよい。
【0242】
ベントルーメンは、尿ドレナージルーメンと並んで、または尿ドレナージルーメン内のいずれかにて、ドーレナージルーメン内に組み込まれてもよい。ベントルーメンは、これに代えて、ドレナージルーメンとは別に、ベントチューブとドレナージチューブとの接合部、例えば、バーブ領域3606の近傍でドレナージルーメンに接続されてもよい。
【0243】
本明細書のいずれの実施形態も、生理学的圧力測定を含んでもよいし、生理学的圧力測定を行わずに使用してもよい。例えば、システムは、サーミスターや圧力ルーメンを含まずに、標準的なフォーリーカテーテルで使用することも可能である。
【0244】
ある実施形態では、圧力は正圧管とドレナージチューブとの接合部で測定され得る。これに代えて、圧力は、検知用フォーリーカテーテルとドレナージチューブとの接合部、またはバーブの領域で測定されてもよい。圧力チューブとドレナージチューブとの接合部、またはバーブの領域と一端で流体連通し、他端で圧力センサーまたは変換器と流体連通している追加のチューブまたはルーメンを組み込むことによって、これらの場所のいずれにおいても圧力を測定することができる。例えば、この圧力測定用ルーメンは、一端(センサー側)が圧力センサーを収納する制御部と流体連通しており、他端(検知側)が正圧チューブとドレナージチューブとの接合部と流体連通していてもよい。尿によるルーメンの汚染を防止するために、感圧膜が検知側に設けられてもよい。
【0245】
エアロックをさらに検知することで、エアロックを最適に解消および/または回避することができる。本明細書の実施形態のいずれかを使用して、制御部は、尿ドレナージルーメンに僅かな正圧または負圧を加え、その応答を検知することができる。空気は尿よりも圧縮されやすいため、反応が鈍い場合はエアロックが存在することを示し、反応が鈍くない場合はエアロックがより少ないことを示す。過剰なエアロックが検知された場合に、制御部は、例えば、ドレナージルーメンに負圧を加える等してエアロックの除去を開始することができる。
【0246】
いくつかの実施形態では、エアロックは、システムに組み込まれた流量計(複数可)または流量センサー(複数可)を使用して検知されてもよい。例えば、流量計をベントチューブに、かつ/またはカセットの近傍またはカセット内に追加してもよい。ベントチューブ内の空気の流れが少ない、または現在流れている場合に、尿ドレナージラインにエアロックが発生している可能性がある。ドレナージラインを低真空に引いて、ベントチューブに流れがあるかどうかを判定し、なお流れがない場合は、エアロックの可能性が高いので、エアロックの解消を開始してもよい。さらに、またはこれに代えて、カセット内またはカセット近傍に流量センサーを設けてもよい。ドレナージラインに真空を加える場合に、カセットにおいて、またはカセット近傍において流れがない、あるいは少ない場合は、エアロックの可能性がある。流れのレベルは、システム/ドレナージチューブの従順性に基づき、閉塞の近傍を示し得る。例えば、フォーリーカテーテル近傍のクランプによる閉塞の場合、真空引きをするとカセットに多少の流れが生じるが、カセット近傍にエアロックがある場合、真空引きをするとカセットにほとんど流れが認められなくなる。
【0247】
いくつかの実施形態では、弁は、正圧チューブ内またはリザーバー内を含む、システム内の任意の箇所に設けられてもよい。
【0248】
ベントチューブはドレナージチューブとは別体のチューブであってもよく、ドレナージルーメン内に挿入されてもよいし、フォーリーカテーテル内に挿入されてもよい。図37は、ベントチューブが尿ドレナージチューブ内にある、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。このタイプの実施形態は、一般的なドレナージチューブであれば使用できるという利点がある。ベントチューブは、基本的にドレナージチューブ内、またはフォーリーカテーテル内のいずれかのドレナージルーメン内の任意の箇所にベントを配置する。ベントチューブはドレナージチューブおよび/またはフォーリーカテーテル内に摺動可能に挿入され、いつでも移動させることができる。
【0249】
図37に示す実施形態では、ベントチューブ3704は、一端(「空気端」3708)で収集リザーバー内のベント/フィルター3702(大気圧に開放されている)に対して開放し、尿ドレナージルーメン3706内にある他端(「尿端」3710)において開放していてもよい。ここでは、ベントチューブがフォーリーカテーテルの基部のバーブ内で終端するように示されているが、ベントチューブは、ドレナージチューブ内またはフォーリーカテーテル内の任意の箇所を含む尿ドレナージルーメン内の任意の箇所で終端することができる。ベントチューブは、尿の排出を最大化するとともに膀胱内の負圧によるエアロックおよび膀胱への損傷を最小化するために、一箇所に留めたり、システム内で移動させたりすることができる。
【0250】
図38は、ベントチューブ3802がチューブの「尿端」にベント/フィルター3804を有し、チューブの「空気端」3806で大気に開放されている、別例による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。また、両端にフィルター/ベントが設けられてもよい。ベントチューブの「空気端」は、Yアームアダプター、コックの栓、その他の標準的な方法でドレナージルーメンを退出することができる。ベントチューブの「空気端」は、収集容器に組み込まれたチャネルまたはポートを介して、収集容器内からシステムを退出することができる。この場合も、ベントチューブは、標準的な尿ドレナージチューブを含む任意の尿ドレナージチューブに使用することができる。
【0251】
図39は、図38に示したものと同様の一実施形態に、正圧チューブ3902を追加したものである。
【0252】
任意のタイプのエアロック解消機構を含む実施形態のいずれにおいても、エアロックの解消は、連続的に、定期的に(一定間隔または随時のいずれかで)、要求に応じて、またはエアロック状態が検知されたときに実行され得る。エアロック解消機構により、エアロックを防止または低減する。例えば、エアロック解消機構は、少なくとも60分毎にエアロックを解消するようにエアロックを低減してもよい。これに代えて、エアロックは少なくとも45分毎に解消してもよい。これに代えて、エアロックは少なくとも30分毎に解消してもよい。これに代えて、エアロックは少なくとも20分毎に解消してもよい。これに代えて、エアロックは少なくとも10分毎に解消してもよい。これに代えて、エアロックは少なくとも5分毎に解消してもよい。これに代えて、エアロックは少なくとも1分毎に解消してもよい。
【0253】
バーブ領域またはドレナージチューブの一部としてベントまたはフィルターまたはベントチューブを含む実施形態のいずれにおいても、ベント/フィルター/ベントチューブを介してドレナージルーメンに導入されるガス/空気のために、流体(すなわち尿)の排液が不連続、すなわち中断される場合がある。すなわち、ドレナージルーメンは、液体(すなわち、尿)と気体が交互に流れてもよい。
【0254】
リアルタイムの尿量測定を含む実施形態のいずれにおいても、リアルタイムとは、報告される尿量測定値が約1分以内の精度であることを意味し得る。これに代えて、リアルタイムとは、報告される尿量測定値が約5分以内の精度であることを意味し得る。これに代えて、リアルタイムとは、報告される尿量測定値が約10分以内の精度であることを意味し得る。これに代えて、リアルタイムとは、報告される尿量測定値が約20分以内の精度であることを意味し得る。これに代えて、リアルタイムとは、報告される尿量測定値が約30分以内の精度であることを意味し得る。これに代えて、リアルタイムとは、報告される尿量測定値が約60分以内の精度であることを意味し得る。
【0255】
尿中の気泡-気泡を防ぎ、かつ/または測定への影響を防ぐ。
【0256】
尿中のタンパク質やその他の成分が、ドレナージルーメンおよび/または収集容器内の尿に過度の泡を発生させることがあり、これは、ベント/フィルター(複数可)の濡れ、収集容器のオーバーフロー領域への尿の流入、不正確な測定等の問題を引き起こす可能性がある。検知用フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、抗気泡機構を組み込んでいる。
【0257】
正圧チューブを組み込んだもの等、いくつかの実施形態では、尿ドレナージ内の圧力を正確に制御することができる。気泡を潰すため、あるいは気泡の発生を防ぐために、ドレナージシステム(すなわちドレナージルーメンおよび/または収集チャンバー)内に時折僅かな正圧をかけることも可能である。
【0258】
シリコーン、シメチコン等の適切な材料の界面活性剤をシステムに添加してもよい。例えば、溶解速度の遅いシリコーンカプセルを収集リザーバーに添加してもよい。これに代えて、ドレナージルーメンの内側および/または収集容器の内側に界面活性剤を塗布してもよい。
【0259】
これに代えて、あるいは加えて、平坦な網部をシステム内の任意の箇所、例えばドレナージチューブと収集容器との接合部に挿入することができる。
【0260】
いくつかの実施形態では、カセットおよびドレナージルーメンのうちの少なくともいずれか一方を連続的または断続的に振動させて気泡を破砕することができる。
【0261】
図40A乃至40Cは、収集容器内の尿の表面またはその近傍で気泡を圧縮または分解するために、浮遊または非浮遊のプレートを組み込んだ実施形態を示す図である。プレート4002は、単に表面に浮いていて、容器内の尿4004の量に応じて受動的に上下してもよいし、プレートを能動的に上下させてもよい。プレートは所定の位置に固定されていてもよい。プレートは、多孔質であっても中実であってもよい。プレートが液面上にある実施形態では、プレートは尿量測定にも使用することができる。プレートの位置は、超音波、視覚的手段(カメラ等)、レーザー等の技術により特定することができる。収集容器内の流体の体積は、プレートの位置によって決まる流体の水位から直接測定することができる。
【0262】
カセットの内部は、矩形であってもよいし、それ以外の形状であってもよい。例えば、カセットの内部の両側は、カセット内の尿の容積に対してより大きな尿の上面が存在するように、底部に向かって内側に先端ほど細くなっていてもよい。その結果、より少量の尿量でもより正確に測定が可能である。
【0263】
いくつかの実施形態は、例えば50mlのような設定された容量マークに容量測定隔壁を含むことができる。この容量測定隔壁は、予め定められた容積位置になることを除いて、図20に示す隔壁2002と同様であってもよい。カセット内の尿の容積の上面が容積測定隔壁の位置またはその近傍にある場合に、超音波信号が他の場合よりも強くなる。例えば、尿量の上面が約50ml(または他の設定量)になったときに、尿量の上面が容積測定隔壁の位置またはその近傍になるように、容積測定隔壁を位置決めすることができる。2つの表面(尿および容積測定隔壁)が互いに近づくか接触すると、超音波信号が最も強くなる。
【0264】
いくつかの実施形態は、リザーバーの傾きを考慮するのに役立つウェーブガイドを含んでもよい。例えば、超音波信号を平坦な面や湾曲した面を有する円筒内に導き、超音波をリザーバー内の流体の表面に向け、反射させるようにしてもよい。ウェーブガイドは、リザーバー内の全部または一部まで延びていてもよい。ウェーブガイドは、超音波変換器/センサーと流体の表面との間に延びてもよい。
【0265】
いくつかの実施形態では、超音波変換器/センサーは、平坦であってもよく、いくつかの実施形態では、超音波変換器/センサーの表面は、例えば凸状の曲線に湾曲していてもよい。凸状の曲線は、超音波信号をより多くの角度に拡散させることを支援し、その角度の一部がリザーバー内の液面から確実に反射されることを支援する。
【0266】
いくつかの実施形態は、加速度計を使用してリザーバーの傾きを測定し、続いて、傾き角度を使用して、流体がリザーバーから空にされた後にリザーバー内(すなわち、リザーバーの低い角部)に残っている流体の体積を計算する制御部を含んでいる。この算出されたリザーバー内残量は、総尿量の算出に加えることで精度を高めることができる。
【0267】
図41Aは、ドレナージポート4102、およびドレナージチューブが収集容器に接続する入口部4104の両者に弁を含む、一実施形態による検知用式フォーリーカテーテルシステムを示している。これにより、制御部は定期的に収集容器を加圧し、気泡の低減および/または収集容器の排水を支援することができる。また、この入口ポート弁により、尿が空にされる間に制御部が収集容器への尿の流れを止めることができるため、尿量の測定がより正確になる。
【0268】
弁が受動的ではなく能動的である実施形態では(「能動的」とは、弁間の差圧ではなく、制御部によって制御されることを意味する)、制御部は、チューブの太さ、硬度、直径、材料等の違いを考慮して、それぞれの使い捨てユニットについて弁機構を較正することができる。例えば、本明細書に開示されている弁のような能動的弁を開閉するために、モーターを使用することができる。弁が作動しているチューブが閉じていることを評価するために、ライトゲートを使用することができる。制御部は、特定の使い捨て部品の特定のチューブを閉じるために必要な回転ステップ等のステップ数をカウントすることができる。このカウントは、その後、同じ使い捨て部品を閉じる際に使用することができる。この較正は、使い捨て部品を初めて制御部に装着したときに行うことができる。その後、定期的に、あるいは必要に応じて、同じ使い捨て部品上で較正が実施されてもよい。
【0269】
例えば、RFIDタグ等で識別された新しい使い捨て部品が使用されると、制御部は弁モーターを一回転させ、ライトゲートはチューブの最大閉鎖を検知する。制御部は、チューブが最大に閉じるまでの回転のステップ数をカウントする。このモーター回転ステップ数は、特定の使い捨て部品の弁を次に較正するまでの間、使い捨て部品のチューブを閉じることを仮定し得る。
【0270】
図41Bは、尿オーバーフロー経路4106がより長く、かつ/または複雑に/または曲がりくねった、かつ/または狭小にされた一実施形態による収集容器を示す図である。この構成により、オーバーフロー経路に気泡が流れ込みにくくなり、尿量の測定が不正確になる。オーバーフロー経路は、45度よりも大きい1つ以上の経路角度を含んでいてもよい。
【0271】
図41Cは、リザーバー内の尿とカセットポンプ・インターフェイス1148との間の流体経路(破線の矢印で示す)が、インターフェイス1148の濡れを防止するために入り組んで長い、一実施形態による収集容器を示す図である。カセットポンプ・インターフェイス1148は、ガス透過性、液体不透過性の、フィルターを含んでもよい。流体経路の長さは、約6乃至12cmとすることができる。これに代えて、流体経路の長さは約3乃至6cmであってもよい。これに代えて、流体経路は約12cmよりも長くてもよい。これに代えて、流体経路の長さは約3乃至6cmであってもよい。これに代えて、流体経路は約20cmよりも長くてもよい。
【0272】
図41Eは、リザーバー内の尿とカセットポンプ・インターフェイス1148との間の流体経路(破線で示す)が、インターフェイス1148の濡れを防止するために入り組んで長い、別例による収集容器を示す図である。入り組んだ経路は、流体経路のすべて、または一部として、コイル状に巻かれた、または束ねられた小径チューブ4108を含んでもよい。好ましくは、入り組んだ経路は3次元的に入り組んでいる。
【0273】
図41Eは、リザーバー内の尿とカセットポンプ・インターフェイス1148との間の流体経路(破線で示す)が、インターフェイス1148の濡れを防止するために入り組んで長い、別例による収集容器を示す図である。この実施形態では、小径チューブ4108、およびカセットにモールド成形された入り組んだ経路の両者が含まれている。入り組んだ経路は、部分的にモールド成形されていても、部分的にチューブであっても、すべてチューブであっても、すべてモールド成形されていてもよい。
【0274】
小径チューブ4108の内径は、約1.8乃至2.0mmであってもよい。いくつかの実施形態では、内径は約1.6乃至1.8mmであってもよい。いくつかの実施形態では、内径は約1.4乃至1.6mmであってもよい。いくつかの実施形態では、内径は約1.2乃至1.4mmであってもよい。いくつかの実施形態では、内径は約1.0乃至1.2mmであってもよい。いくつかの実施形態では、内径は約0.8乃至1.0mmであってもよい。いくつかの実施形態では、内径は約0.5乃至0.8mmであってもよい。いくつかの実施形態では、内径は約0.2乃至5mmであってもよい。いくつかの実施形態では、内径は約4mm未満であってもよい。いくつかの実施形態では、内径は約3mm未満であってもよい。いくつかの実施形態では、内径は約2mm未満であってもよい。
【0275】
いくつかの実施形態では、内腔の直径が小さいドレナージチューブが含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、内腔の直径は約2mmである。いくつかの実施形態では、内腔の直径は約1mmである。いくつかの実施形態では、内腔の直径は約3mmである。いくつかの実施形態において、内腔の直径は約2mm未満である。いくつかの実施形態において、内腔の直径は約1mm未満である。いくつかの実施形態では、内腔の直径は約3mm未満である。
【0276】
いくつかの実施形態では、排出された尿は、ドレナージチューブまたは収集リザーバー内の気泡を「洗浄」するために使用することができる。尿をドレナージチューブに戻し、ドレナージチューブ内の容量を増やし、チューブおよびリザーバーのうちの少なくともいずれか一方の内部の気泡を「洗浄」することを支援することができる。制御部は、尿量算出の際、再利用尿を補償する。
【0277】
いくつかの実施形態では、加圧された空気がドレナージチューブおよび/または収集容器に導入されてもよい。強制的に送り込まれた空気は気泡を弾き、かつ/または圧縮し、また尿をシステムの表面に対して押し付け、気泡の形成を減少させる。ドレナージチューブの断面積は、ドレナージチューブが扁平部に移行するにつれて、減少してもよいし、同じであってもよいし、増加してもよい。
【0278】
レベリング
【0279】
超音波を使用して収集容器内で尿量を測定する実施形態では、超音波が超音波センサーから約90度の角度をなす表面(すなわち、尿量の表面)を有することが重要である。装置が数度でも傾くと、超音波センサーが尿の表面を検知できなくなり、正確な尿量を測定できなくなる可能性がある。これを補償するために、収集容器または基部/制御部は、自己水平化アタッチメントを介してベッドに取り付けられてもよく、アタッチメントは、例えば、アタッチメントが取り付けられたときに重力によって基部を自動的に水平になるようにする、ローラー上に設けられるアタッチメントである。
【0280】
いくつかの実施形態では、システム内の僅かな角度は、収集リザーバー内の尿量に「粗い」表面を形成することによって処理される。「粗い」表面により、超音波の反射に対して複数の角度がなされ、そのうちのいくつかは超音波センサー/変換器から約90度の角度をなす。粗さは、空気または他のガスを使用して尿を泡立たせることによって、収集リザーバーおよび/または尿を振動させることによって形成され得る。振動は機械的なもの、超音波的なもの等により得られる。尿の表面上に浮く浮き板は、下面が粗面、下面が凹面、下面が凸面のものを使用することができる。浮遊ビーズは、直径が大きすぎて尿が排出されるときにリザーバーから出ることができないため、尿が排出されるときにリザーバーに残ることができる。ビーズがオーバーフロー領域に入ることを防止するために、網、狭窄部、小径開口部等の機構を使用してもよい。加えて、上述したように、尿量を正確に測定するために、角度をなす隔壁、または角度をなす壁部若しくは先端ほど細くなる壁部を備えるカセット(すなわち尿収集チャンバー)を使用することもできる。
【0281】
圧力バルーンのプライミング
【0282】
圧力バルーンの圧力を調整し、最適な圧力検知測定を行うためのプライミングとして、極少量の空気または流体が必要であり得る。このため、プライミング流体と圧力バルーンとの間に空気/ガス/流体制限器を利用してもよい。制限器により、プライミングポンプはより少量の空気で作動し、より正確な圧力バルーンのプライミングを行うことができる。制限器は、発泡体の挿入物、流体ルーメンの狭窄、または任意の他の適切な制限器を含んでもよい。
【0283】
全般的な改善点
【0284】
いくつかの実施形態では、ベッド上、患者上、検知用フォーリーカテーテルシステム内、またはその他の箇所にあるセンサーが、患者が仰臥位であるか否かを検知する。患者が仰臥位でない場合、膀胱内の測定圧力は上昇し、制御部により解析されるデータに悪影響を及ぼす可能性がある。その結果、制御部は、患者が仰臥位でない間に収集された圧力データを無視するか、またはこの時間の間、圧力データの収集を停止することができる。これに代えて、圧力測定値そのものを使用して、患者が仰臥位でないことを検知することもできる。圧力の急激な上昇やある閾値を超える上昇は、患者が上体を起こしている、動いている、咳をしている等の状態を示している可能性がある。圧力プロファイルが異なると、異なる事象を示し得る。床ずれ防止のための患者の転がりは、このような方法で追跡することができる。
【0285】
いくつかの実施形態では、検知用フォーリーカテーテルシステムに取り付けられたリード線を通じて得られた、または独立して得られた心電図測定が、膀胱内の心拍数を介して測定された心拍を心電図と同期させるために使用される。
【0286】
いくつかの実施形態では、ベッドの角度は、IAPまたはAPP等の計算結果への入力パラメーターとして制御部によって使用され得る。例えば、体の角度を大きくする(患者の頭部の高さを上げる)と、IAPが大きくなる。この増加は、健康な患者とそうでない患者で異なる可能性がある。その結果、異なるベッド角度でIAPを測定することで、患者の健康状態に関する追加情報を得ることができる。また、頭部の高さを下げることでIAPを下げ、IAPの高い患者を一時的に安定させることも可能である。
【0287】
いくつかの実施形態では、検知用フォーリーカテーテルは、外部の圧力センサーと流体連通する少なくとも1つの圧力センサーまたはルーメンを有するであろう。この圧力センサーにより、ルーメン内の圧力を高速すなわち高い周波数で(理想的には1Hzよりも速く)検知し、ルーメン内の生理学的信号を監視することができる。いくつかの実施形態では、圧力ルーメンは、圧力が連続的または断続的に監視されている間、手動または自動で加圧および/または減圧され得る。圧力ルーメンが圧力バルーンを含む実施形態では、圧力バルーンにかかる身体による圧力を監視しながら、バルーンを膨張および/または収縮させることができる。圧力ルーメンは、体腔からの圧力波を伝達することができ、波のうちの1つが、血液の流入によって発生する心拍動であり、管腔臓器および/または周辺組織へ伝達することができる。心臓の脈動および/または呼吸器の興奮による脈動圧は、肺および心臓血管の圧力を測定するために使用することができる。加えて、圧力ルーメン/バルーン内の圧力を閾値(例えば100mmHg(約13.33kPa))よりも大きく上昇させ、その後検知範囲内でゆっくりと減少させて、脈圧の起点、脈圧の消滅点、および/または圧脈サイズの相対的増減を判断することもできる。圧力センサーで検知された圧力脈動の起/消、相対的な増減は、血圧、灌流圧、平均動脈圧、心拍出量、心拍出量変動、呼吸努力、肺動脈圧伝送、およびその他の肺、胃腸、腎臓、または心血管系パラメーターと相関させることが可能である。この過程は、血圧測定用カフの圧力を血圧よりも高くし、続いて血圧波形(心拍)が現れるか消えるまでカフの圧力をゆっくりと下げていく、血圧測定用カフと同様である。
【0288】
図42は、圧力バルーンが膨張する際の圧力波形とその消滅を示す図である。平均動脈圧よりも大きい場合に、心臓の脈動は減少および/または消滅することに留意する。相対圧点での消失の程度を平均動脈圧に相関させるのに十分なデータがあれば、この相対圧波形から平均動脈圧を導き出すことが可能である。これは、肺圧など、体腔内で検知可能な圧力にも同様に使用可能である。
【0289】
いくつかの実施形態では、圧力センサー/ルーメンは、カプセル、またはバルーン、またはリザーバーであり、外部変換器を使用して圧力を監視している間、ゆっくりと膨張または充填させることができる。いくつかの実施形態では、圧力センサーは、フォーリーカテーテル等の尿道カテーテルと関連付けられる。これに代えて、圧力センサーは経鼻胃チューブ、経口胃チューブ、または直腸チューブに関連付けることもできる。さらなる実施形態では、圧力センサー装置および関連付けられる圧力増加装置は、完全に移植可能であってもよい。組織灌流の実施形態では、圧力検知器を尿道内または管腔表面に対して膨らませ、パルスオキシメトリーを実施して、各圧力における管腔組織の白化および/または灌流を検知し、組織灌流圧を測定することができる。
【0290】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、データ解析の質を向上させるために、複数の測定パラメーターを相乗的に使用することができる。一実施形態では、カテーテルは、尿道や膀胱等の内部から、または脚部や腰部等に配置されたセンサーを介する等して外部からECG信号を捕捉するためのセンサーを内蔵している。この信号を使用して、心周期に同期した他の測定パラメーター(例えば、心拍出量)を電気信号と同期させ、多数の個別サンプルの平均値信号または中央値信号を取ることでノイズを除去することができる。別例では、呼吸信号は、解析を実行する前にモデル波形が現れるのを待つことによって、どの心圧信号を心拍出量変動解析に使用すべきかを導くために使用される。
【0291】
図43は、心原性信号(近くの腹部大動脈の脈による膀胱内の圧力変動等)を同期させて、解析用のクリーンな信号を得る方法を示した図である。心電図を関連する他の心臓信号と同期して捕捉する場合に、例えば心電図のR波等を使用して個別のサンプルを同期させることができる。この図では、複数の圧力サンプルを取り込み、心電図のR波を使用して位置合わせを行い、重ね合わせている。続いて心周期中の同時刻のすべての圧力サンプルの中央値をとることで、中間信号を算出する。また、平均値も使用できる。このように、あるサンプルでノイズのために余計に高い値が出ても、別のサンプルで同じように余計に低い値が出れば相殺されるので、ランダムなノイズがフィルタリングされることになる。データポイントが増えれば増えるほど、根本的な信号が強くなり、分析に利用できるようになる。例えば、図示の圧力信号では、信号のピーク間の振幅から、相対的な心拍出量を導き出すことができる。
【0292】
図44は、心拍出量変動(SVV)を測定するために、呼吸圧力信号を心臓圧力信号解析に知らせることに使用する方法を示す図である。この方法は、特に非換気状態の患者、すなわちベンチレーターを装着していない患者において有効である。熱希釈法や脈拍輪郭解析法等の既存の心拍出量測定技術は、呼吸周期が見えないため、心拍出量変動(吸気と呼気との間の心拍出量の変動)の測定を行うには限界がある。膀胱内のフォーリーカテーテル等、本明細書に記載の内腔圧を使用することは、呼吸信号および心臓信号(の他、動きの遅い腹腔内圧)を同時に捕捉できる点で有利である。このように、本装置では、特定の特性が適切な分析により適している(呼吸速度および大きさ等)ため、どの呼吸周期を心拍出量変動の分析に使用するかを識別的に選択することができる。この図では、膀胱から取り込んだ圧力信号のサンプルを示している。上部の生の圧力信号では、大きな変動は呼吸によるもので、例えば、波の幅、振幅、ピーク値等から解析対象として選択される。また、傾斜、曲線下面積、形状、周波数、パターン、または再現性等を含む、図示しない他の特性を使用して適切な波を定義することもできる。所定の値よりも大きい振幅を有する曲線を使用し、同じ所定の値または別の所定値未満の曲線はSVVの計算に使用しない、曲線振幅フィルターを使用することもできる。下図は、同じ信号をハイパスフィルターおよびローパスフィルターに通した後の態様を示す。ハイパスフィルターは基礎をなす心臓の信号を残し(破線)、ローパスフィルターは基礎となる呼吸信号を残す(実線)。この例では、呼吸信号のピークと谷との間の心臓信号の強さの差(ピーク間値等)を使用して、心拍出量変動を算出することができる。
【0293】
呼吸数および他のパラメーターは、検知用フォーリーカテーテルを介して検知されてもよいし、任意の従来型または非従来型の手段によって検知または取得されてもよい。収集され得る他のパラメーターには、一回換気量、スパイロメトリー、呼吸流パラメーター、スパイロメトリーを介して収集されたデータ、呼出努力、吸気努力等が含まれる。これらのパラメーターのいずれかを使用して、心拍出量変動および/または他の心臓パラメーターの算出を支援することができる。
【0294】
SVVの計算で使用する圧力ピークを決定するために使用するフィルターは、ここで開示した圧力曲線パラメーターのいずれかに基づいてもよい。加えて、SVVの計算自体で、どの圧力曲線のピークを計算に使用するかを判断することもできる。例えば、SVVは通常10%前後で収まっている。本明細書に開示されたシステムは、結果として得られるSVV計算が約10%等のある値範囲内にあることに基づいて、圧力曲線データを含むか、または除外することができる。
【0295】
また、SVVの計算は患者ごとに異なり得る。例えば、圧力曲線ピークフィルターは振幅に基づくが、カットオフ振幅は患者に固有であり、その患者の圧力曲線の平均、中間、または他のパラメーターに基づくことができる。これに代えて、複数の患者、または特定の疾患状態などの特定のカテゴリー内の複数の患者に基づいてフィルタリングすることもできる。
【0296】
信号および/またはSVVの計算は、患者の動きおよび/または咳、移動、くしゃみ等の他のアーチファクトをフィルタリングすることもできる。
【0297】
加えて、SVVが非常に低い、あるいは存在しないという計算結果は、水分過負荷の兆候である可能性があり、適切な処置が必要となる場合がある。
【0298】
開示されたシステムのいくつかの実施形態では、患者は、特定の方法で呼吸するように促されてもよい。例えば、圧力曲線の形状(ピーク振幅、周波数等)に基づき、システムは患者に、より深い呼吸、より遅い呼吸、通常の呼吸等を促すことができる。その結果得られた呼吸圧力曲線は、SVVの計算に加味することができる。このタイプの促進は、圧力曲線がSVV計算を行うのに不適切な場合、またはその他の理由でシステムによって実行されてもよい。
【0299】
図45Aおよび図45Bは、カセットと制御部との間のシール機構の基部品を示す2面図である。通常、図45Aおよび図45Bに示す基部品はカセットに、図46に示すピンは制御部に接続される。ただし、ピンをカセットに接続し、基部を制御部に接続する、逆の取り付け方も可能である。シール機構の目的は、カセットが制御部に接続されたときに、カセット内のルーメンと制御部内のルーメンとを接続し、同時にカセットが制御部から切り離されたときに、カセット内のルーメンをシールさせることにある。例えば、患者を手術に運ぶときや、部屋を移動するとき等、一時的にカセットをモニター/制御部から切り離すことがある。カセットが制御部から取り外されている間、カセットのルーメンが汚染されないように、また、尿、流体、またはガスがシステムに漏れたり侵入したりしないように、ルーメンをシールすることが望ましい。
【0300】
例えば、圧力バルーンルーメン(圧力変換器インターフェイス1026等)、ベントルーメン1180、カセットポンプ・インターフェイス1148、および/またはカセット圧力インターフェイス1150等のルーメンは、これらのようなコネクターを有することができる。
【0301】
図45Aおよび図45Bにコネクターの基部450を示す。基部は、例えばシリコーンまたはゴム等の圧縮可能で強度があり、かつ不活性な材料から製造することができる。基部450は、基部頭部4504、基部ステム4508、および基部アンカー4502の他、長さL3を有するスリット4506を含む。好ましくはスリット4506は一本の線状のスリットであるが、基部のモールド成形後に鋭利なナイフで、スリットの縁が丸くならず、比較的緩んだ状態で完全にシールすることができるようにする。基部450がルーメンに接続されると、基部のスリットから流体が流れなくなる。
【0302】
図46に示すピン部分460は、ピン頭部4604と、その内部を通るルーメンを含むピンステム4602とを含む。ピンステム4602は、外径がD3である。ピン460は、基部450のスリット4506の内側に嵌入し、そのように配置されることで、流体がシール機構を通過することができる。いくつかの実施形態では、L3はD3と略同じである。
【0303】
図47Aおよび図47Bは、ピン460が基部450のスリット4506に挿入され、これにより、流体がピンのルーメンを通って流れ、シール機構を通過するのを可能にする態様を示す図である。
【0304】
図48は,制御部の開口部にはめ込むように設計されたカセットの背面にあるシール機構の基部450を示す図である。ここに示すシール機構の基部は、圧力バルーンルーメン・インターフェイス4802、ベントルーメン・インターフェイス4804、カセットポンプ・インターフェイス4806、およびカセット圧力インターフェイス4808(IAP測定用)に接続されている。なお、これらのタイプのシール機構は、全てのカセットインターフェイスに採用されている場合もあれば、一部、あるいは全く採用されていない場合もある。例えば、IAPを測定するための圧力インターフェイス4808は、カセットが切り離されたときにシールする必要がなく、異なるタイプのコネクターを使用することができる。
【0305】
図49は,カセットが制御部に接続されたときのシール機構の作動を示す図である。カセット1022は、シール機構のうちの1つが設置された断面図である。基部450はカセット部に装着され、ピン460が設けられない場合は密閉された状態で装着される。ピン460は制御部(図示しない)に接続され、カセット1022が制御部の所定の位置にはめ込まれると、ピン460が基部450のスリットに挿入され、これにより、制御部からカセットにまたはカセットから制御部に流体を流入させることができる。接続部は、ここではフィルター4902として示されているフィルターを含んでもよい。
【0306】
図50は、一実施形態による基部450の概略寸法を示す。これらの寸法は、用途によって異なり得る。
【0307】
図51は、基部450全体をカセット内に設置した際に、基部450に加わる力の一部を示す図である。これらの力は、設置穴の直径対ステム4508の直径、およびカセット壁の厚み対ステム4508の長さによって引き起こされる。加えて、カセットを制御部に装着する際に、圧縮力が基部頭部4504を押圧し得る。これらの力は、ピンがスリットに挿入されているかどうかにかかわらず、基部450のシールを強化する傾向がある。すなわち、基部の寸法および形状に基づき、スリットがそれ自体で閉じているか、ピンで閉じているかのいずれかに留まることが支援されるように力が加わっている。その力は、スリットをそれ自体の内側に押し込んでいる。また、頭部4504は、底面が(キノコのように)僅かに凹状をなすため、底面(より広い部分)が広がり、上面(スリット開口部がある部分)が圧縮される傾向にある。これは、カセットの壁厚がステム4508の長さよりも大きい場合に特に当てはまる。
【0308】
図52Aおよび図52Bは、基部または頭部または他の構成要素が配向要素5202を含む、シール機構の実施形態を示す図である。組立時にシール機構がカセットの開口部内の特定の位置に配向されるように、配向機能はカセット上またはカセットの開口部内の同様の配向機能と一致させることができる。
【0309】
いくつかの実施形態では、エアロックを防止するために複数のドレナージルーメンを使用することができる。近位側および/または遠位側の開口部は、千鳥状に配置してもよい。ルーメンは、単一または複数のチューブに組み込まれ、サイフォンを保持するものであってもなくてもよい。例えば、ドレナージルーメンを2つ使用してもよいし、ドレナージルーメンを3つ使用してもよいし、ドレナージルーメンを4つ使用してもよいし、ドレナージルーメンを5つ使用してもよいし、ドレナージルーメンを6つ使用してもよいし、ドレナージルーメンを7つ使用してもよいし、ドレナージルーメンを8つ使用してもよいし、ドレナージルーメンを8つよりも多く使用してもよい。
【0310】
本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、ベントチューブは、フォーリーカテーテルのサンプリングポート、またはフォーリーカテーテル近傍のバーブの、またはドレナージシステムの任意の箇所に取り付けることによって、標準または非標準のフォーリーカテーテルに接続され得る。例えば、図53を参照のこと。
【0311】
図53は、サンプリングポート1004等の任意の適切なポートを含むあらゆる尿ドレナージシステムに追加可能な通気機構/ベントチューブを含む一実施形態を示す図である。この実施形態では、通気機構5300は、エアロックを回避するために、サンプリングポート1004をシステムのベントにすることができる。通気機構5300は、ベントチューブ5302と、任意に弁5304および/またはフィルタ5306とを含む。通気機構は、通気機能を実行するために、サンプリングポート1004を穿刺または開放/アクセスし、ドレナージルーメン1012と流体連通するルーメンを開放した状態に保持する針、または穿刺機構または鈍いチューブ5308を含むこともできる。この図では、サンプリングポートはバーブ1016の一部として示されているが、サンプリングポートは、ドレナージライン内、ドレナージカテーテルの一部、ドレナージカテーテルとドレナージラインとの間、または他の箇所を含むドレナージシステム内の任意の箇所に設けられてもよい。これに代えて、任意の他のポートやアクセスポイントを使用することも可能である。本実施形態は、真空ポンプを使用してもしなくてもよい。ベントチューブは、剛性を備えても、可撓性を備えても、屈曲可能なものであってもよい。ベント機構は、ベントチューブを膀胱の高さよりも上方、例えば膀胱の高さよりも1乃至10cm上方に吊るす手段を含んでもよい。ベントチューブの長さは、丁度1cmよりも大きくてもよい。これに代えて、ベントチューブの長さは、丁度2cmよりも大きくてもよい。これに代えて、ベントチューブの長さは、丁度3cmよりも大きくてもよい。これに代えて、ベントチューブの長さは、丁度4cmよりも大きくてもよい。これに代えて、ベントチューブの長さは、丁度5cmよりも大きくてもよい。これに代えて、ベントチューブの長さは、丁度10cmよりも大きくてもよい。ベントチューブの内径は、約5mmよりも小さくてもよい。これに代えて、ベントチューブの内径は、約4mmよりも小さくてもよい。これに代えて、ベントチューブの内径は、約3mmよりも小さくてもよい。これに代えて、ベントチューブの内径は、約2mmよりも小さくてもよい。これに代えて、ベントチューブの内径は、約1mmよりも小さくてもよい。
【0312】
本図では、ベントチューブ5302が大気中で終端するように示されているが、図11Eに示すように、ベントチューブがドレナージバッグに接続されていてもよい。弁およびベントが設けられる場合に、弁はサンプリングポートとベントとの間に設けられてもよいし、ベントはサンプリングポートと弁との間に設けられてもよい。このタイプの通気機構は、膀胱から最初の尿量が排出された後に、サンプリングポートに実装することができる。このタイプの通気機構は、バーブを患者の脚等に固定するためのストラップやパッチに組み込まれてもよい。本実施形態の通気機構/ベントチューブは、図11Dに示すような長さを有する1つ以上の小径部を有していてもよい。例えば、ベントチューブ5302の部分は、尿がベントチューブ内を移動して弁および/またはフィルタに達することを防止するために、比較的小さな直径で比較的長いものであってよい。
【0313】
サンプリングポート1004と連動して穿刺機構5308を使用するのではなく、カテーテルやドレナージチューブのチューブに沿って穿刺機構を使用してもよい。これに代えて、ポートは通常閉鎖されているが、アドオンのベント機構/ベントチューブを受承するような機構を使用することも可能である。例えば、図45乃至52Bに示すようなシール機構-ピン構造体が使用され、これにおいて、基部はカテーテル/ドレナージチューブ上にあり、ピンは通気機構/ベントチューブの一部であるか、またはその逆であってもよい。いくつかの実施形態では、ポート1004は、カテーテルとドレナージチューブとの間に配置されることを意図したアドオンバーブまたはコネクター部品上に設けられてもよい。
【0314】
本明細書に開示されるベントチューブの実施形態のいずれも、加えて、またはこれに代えて、ドレナージバッグまたはカセットを通気するために使用することができる。例えば、図10Aに示すバッグベント1142は、ベントチューブの設計のいずれかを組み込んでもよい。あるいは、例えば、図11Aに示すベント1180は、ベントチューブの設計のいずれかを組み込んでもよい。
【0315】
図54Aおよび図54Bは、チューブ着座機構を含む、一実施形態によるバーブを示す図である。バーブ5402は、尿ドレナージルーメン5406を包囲する尿ドレナージチューブ5404と、ベントルーメン5410を包囲するベントチューブ5408とを含む。チューブ5404および5406は、製造時にバーブに挿入され、段差5412に対して着座する。これにより、図54Bに示すように、尿ドレナージルーメンおよびベントルーメンの両者が、カテーテルマニホールド5414の単一の内腔5416に開放される。
【0316】
いくつかの実施形態では、制御部は、バーブにおけるまたはその近傍の圧力センサーを制御して、膀胱に吸引外傷を引き起こすことなくドレナージラインに真空引きができるように、バーブ領域の圧力が過度に負でないときを判断する。また、圧力センサーは、ドレナージラインの圧力が確実に正でないかまたは負になり過ぎないように、システムの初期配置を決定するために使用されてもよい。ドレナージライン内の圧力が負圧になりすぎた場合に、制御部は、尿収集リザーバー等における弁を操作して、一時的に排尿を停止または減速して圧力を負圧でないようにし、膀胱への吸引外傷の可能性を低減することができる。
【0317】
いくつかの実施形態では、膀胱は、膀胱から尿を排出することを支援するために、定期的に加圧される。これは、保持用バルーン、圧力検知用バルーン、別のバルーン等を使用して行うことができる。
【0318】
いくつかの実施形態では、エアロックの解消は断続的に行われる。いくつかの実施形態では、エアロックの解消は、例えば、ドレナージラインを連続的に僅かに真空引きすることによって、連続的に行われる。
【0319】
いくつかの実施形態では、パルスオキシメトリーデータは、患者の皮膚から、例えば、大腿部、または鼠径部や脚部の他の箇所から収集されてもよい。
【0320】
いくつかの実施形態では、制御部は、システム全体の空気量および圧力のうちの少なくともいずれか一方を管理する。例えば、制御部は、尿収集バッグが過加圧されたときを検知することができ、これは、エアフィルタ(いくつかの図では1142として示されている)が遮蔽されているか、または濡れている場合に発生し得る。そのため、バッグが破れる危険性が高くなる。この場合、制御部は、問題を軽減するために、1つ以上のことを行うようにシステムに指示することができる。制御部は、フィルターに空気を「吹き付ける」ことによって、フィルターを清掃しようと試みてもよい。制御部は、エアロック解消ポンプを減速または停止させることにより、尿の排出を減速または停止させることができる。制御部は、ポンプを間欠的に逆回転させ、ドレナージバッグ内の圧力を低減するように指示することができる。制御部は、ドレナージバッグの問題を変更するか、さもなければ手動で修正するように、ユーザーに警告してもよい。制御部は、システム内の任意の箇所で圧力を監視し、圧力に関連する問題を特定し、場合によっては軽減することができる。制御部は、バーブ、ドレナージライン内、ベントライン内、リザーバー/カセット内、ドレナージバッグ内等の圧力を監視することができる。例えば、制御部は、カセット内の圧力を制御して、カセットを空にすること、フィルタを清掃すること、気泡を低減すること等を支援することができる。
【0321】
いくつかの実施形態では、急性腎臓損傷(AKI)、または他の症状を早期に検知することができ、または場合によっては予測および予防のうちの少なくともいずれか一方を行うことができる。例えば、現在、AKIはRIFLE(リスク、損傷、不全、腎機能低下、および末期腎臓病)基準を使用して分類されている。RIFLEの基準には、以下の分類がある。
【0322】
【表1】
【0323】
本明細書に開示される検知用フォーリーカテーテルシステムの実施形態は、尿量、並びに腹腔内圧および他のパラメーターを、リアルタイムかつ頻繁にまたは連続的に測定することができるので、患者の健康パラメーターは、文脈内で、経時的に評価され得る。例えば、尿量を連続的に測定し、そのデータを取り込んで経時的に保存および分析することも可能である。患者の体重およびその他の患者に関するデータをシステムに入力することができる。その結果、UO/kg/hを容易に取り込み、計算し、経時的に追跡および分析することができる。RIFLE基準に基づき、AKIリスク、傷害、および故障の発生時またはその前に警告を発するようプログラムすることが可能である。患者の体重および/または他の患者データは、手動ユーザー入力、体重計などの他のハードウェアとの統合、生涯電子カルテまたは電子カルテとの統合、無線送信、または他の手段によってシステム制御部に受信され得る。
【0324】
加えて、検知用フォーリーカテーテルシステムは、患者の症状を予測または特定するために、異なるアルゴリズムを使用したり、既存のアルゴリズムを改良したりすることも可能である。例えば、より早い時期に入手可能な尿量データを考慮することで、RIFLE基準よりも早期に腎臓損傷や障害のリスクを予測することができる。
【0325】
一例として、図55A乃至55Eを参照すると、図55Aは、尿量の経時的変化を1時間刻みで示したグラフである。尿量の目盛りは、0.5mL/kg/hの線が表示されている。RIFLE基準では、尿量が連続6時間この量を下回ると腎臓損傷のリスクがあるとされている。直近6回の尿量測定値(12乃至17時間目)は、RIFLE基準で腎臓損傷のリスクが高まるとされる症状を表している。検知用フォーリーカテーテルシステムは、これらのデータの先にあるより多くの情報を患者の症状に加えることができるのである。例えば、9時間目、10時間目、11時間目の尿量を見ると、それぞれの時間帯で尿量が減少していることがわかる。この減少の後、3時間の尿量が0.5mL/kg/h未満になると、さらなる3時間の尿量が0.5mL/kg/h未満になることが予測されることが示された。すなわち、尿量の減少(たとえ0.5mL/kg/hよりも大きくても)に続いて3時間尿量が0.5mL/kg/h未満になると、RIFLE基準よりも早期に腎臓損傷のリスクを予測することができるのである。検知用フォーリーシステムは、現在のRIFLE基準よりも3時間早くAKIリスクを予測することができる。
【0326】
図55B乃至55Eは、RIFLE基準よりも早期に腎臓損傷のリスクを予測する可能な方法を示す追加の例である。図55Bは、0.5mL/kg/h未満の尿量が3時間続く前に、数時間の尿量減少データの傾向を使用して、腎臓損傷のリスクを予測するアルゴリズムを示す図である。図55Cは、0.5mL/kg/h未満の尿量が3時間続く前に、尿量の数時間の移動平均を使用して、腎臓損傷のリスクを予測するアルゴリズムを示す図である。図55Dは、尿量の数時間移動平均を使用して、腎臓損傷のリスクを予測するアルゴリズムを示す。図55Eは、複数時間の尿量データをより複雑に解析して、腎臓損傷のリスクを予測するアルゴリズムを示す。
【0327】
検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大1時間早くAKIリスクを予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大2時間早くAKIリスクを予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大3時間早くAKIリスクを予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大4時間早くAKIリスクを予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大5時間早くAKIリスクを予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大6時間早くAKIリスクを予測することができる。
【0328】
これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも1時間よりも早くAKIリスクを予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも2時間よりも早くAKIリスクを予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも3時間よりも早くAKIリスクを予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも4時間よりも早くAKIリスクを予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも5時間よりも早くAKIリスクを予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも6時間よりも早くAKIリスクを予測することができる。
【0329】
検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大1時間早く腎臓損傷を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大2時間早く腎臓損傷を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大3時間早く腎臓損傷を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大4時間早く腎臓損傷を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大5時間早く腎臓損傷を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大6時間早く腎臓損傷を予測することができる。
【0330】
これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも1時間よりも早く腎臓損傷を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも2時間よりも早く腎臓損傷を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも3時間よりも早く腎臓損傷を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも4時間よりも早く腎臓損傷を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも5時間よりも早く腎臓損傷を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも6時間よりも早く腎臓損傷を予測することができる。
【0331】
検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大1時間早く腎不全を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大2時間早く腎不全を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大3時間早く腎不全を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大4時間早く腎不全を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大5時間早く腎不全を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも最大6時間早く腎不全を予測することができる。
【0332】
これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも1時間よりも早く腎不全を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも2時間よりも早く腎不全を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも3時間よりも早く腎不全を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも4時間よりも早く腎不全を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも5時間よりも早く腎不全を予測することができる。これに代えて、検知用フォーリーシステムは、RIFLE基準よりも6時間よりも早く腎不全を予測することができる。
【0333】
検知用フォーリーシステムのいくつかの実施形態では、従来のRIFLE基準で予測されるよりも3時間早くRIFLEリスクを特定することができる。検知用フォーリーシステムのいくつかの実施形態では、従来のRIFLE基準で予測されるよりも1乃至3時間早くRIFLEリスクを特定することができる。従来のRIFLE基準で予測されるよりも1乃至2時間早くRIFLEリスクを特定することができる。従来のRIFLE基準で予測されるよりも3乃至5時間早くRIFLEリスクを特定することができる。
【0334】
検知用フォーリーシステムのいくつかの実施形態では、従来のRIFLE基準で予測されるよりもRIFLE損傷を9時間早く特定することができる。検知用フォーリーシステムのいくつかの実施形態では、従来のRIFLE基準で予測されるよりもRIFLE損傷を1乃至3時間早く特定することができる。検知用フォーリーシステムのいくつかの実施形態では、従来のRIFLE基準で予測されるよりもRIFLE損傷を3乃至5時間早く特定することができる。検知用フォーリーシステムのいくつかの実施形態では、従来のRIFLE基準で予測されるよりもRIFLE損傷を5乃至8時間早く特定することができる。検知用フォーリーシステムのいくつかの実施形態では、従来のRIFLE基準で予測されるよりもRIFLE損傷を8乃至9時間早く特定することができる。検知用フォーリーシステムのいくつかの実施形態では、従来のRIFLE基準で予測されるよりもRIFLE損傷を9乃至10時間早く特定することができる。
【0335】
図55A乃至55Eに経時的な尿量データを使用するアルゴリズムを示すが、尿量以外の他のパラメーターを、または尿量に加えてこれらのパラメーターを、症状予測または同定アルゴリズムに使用することができる。例えば、経時的な腹腔内圧データ、体温データ、呼吸数データおよび/または心拍数データも、AKIリスクアルゴリズムに加味することができる。例えば、腎灌流および糸球体濾過勾配はlAPに影響され、lAPはしばしば乏尿や血清クレアチニンの上昇に先立って上昇する。
【0336】
図56A乃至56Cは、蠕動ポンプを含む、一実施形態による検知用フォーリーシステムを示す図である。いくつかの実施形態では、ポンプは、モニター/制御部およびリザーバーまたはカセットに組み込まれてもよい。蠕動ポンプは、ポンプを含む本明細書に開示される実施形態のいずれにも使用することができる。図56Aは、可撓性を備える膜5602を含むカセット1022を示す図である。可撓性を備えた膜は、膜と比較的剛性を備えたカセットとの間に空間を形成する。流体は、ローラー5604の回転作用により、その空間を強制的に通過させられる。流体チャンネル5606および5608は、ここではカセットの一部として示されている。ポンプのローラーが可撓性を備えた膜の上を回転すると、流体は入力流体チャネル5606から膜の空間を通って、出力流体チャネル5608を出るように強制的に移動される。このようにして、蠕動ポンプは、流体を、ドレナージチューブから、入力流体チャンネル内、膜空間を通って、出力チャンネルを出るように、カセットのリザーバー領域内(図示しない)に移動させる。
【0337】
図56Bは、膜5602および出力チャネル5608を含むカセットを示す側面図である。
【0338】
図56Cは、カセットと係合した蠕動ポンプ5610が示されたカセットを示す側面図である。ポンプ5610が回転すると、ローラー5604が膜の周囲を回転し、カセットのリザーバーに液体を強制的に送り込む。ポンプはモニター/制御部に内蔵されてもよい。
【0339】
ここではポンプを1つのみ示しているが、2つ以上設けられてもよい。ドレナージチューブに負圧を加えて、カセットのリザーバーを空にするために、同じポンプまたは別体のポンプを使用することもできる。ポンプは2つのローラーを備えていてもよいし、1つのローラーを備えていてもよいし、3つ以上のローラーを備えていてもよい。チャネルは、ポンプを適切に機能させるような任意の配置で構成することができる。ポンプは連続的に作動してもよいし、間欠的に作動してもよい。
【0340】
図57A乃至57Cは、本明細書で開示する実施形態のスクリーンショット例を示す図である。これらのスクリーンショットは、モニター/制御部上に表示されてもよいし、例えばコンピューターやタブレット上等、遠隔で表示されてもよい。これらのスクリーンショットは、図26乃至30に示される実施形態のような、制御されたフィードバックループ、またはループ制御部を含む実施形態に特に応用され得る。
【0341】
図57Aに示す画面は、特定の患者を対象としたものである。患者ID番号および患者名のうちの少なくもいずれか一方を表示することもできる。体重、年齢、性別等、患者の他の生体情報もディスプレイ上に含まれてもよい。この画面では、体液均衡、バイタル、およびリスク指標の3つの表示オプションが表示される。これらの表示オプションは、それぞれタブ5702、タブ5704、またはタブ5706をクリックすることで選択することができる。この図57Aでは、体液均衡タブが選択されている。所望の体液均衡は点線5708で示されている。経時的な実際の体液均衡は、実線5710で示されている。現在の体液均衡は、符号5712で示されている。また、この画面には、患者に接続されている、あるいはされていない様々なタイプの装置の様々な状態およびいくつかの設定も示されている。
【0342】
例えば、尿出力領域5714には、この装置をループ制御システムに接続または切断するオプションが表示される。この装置の接続は、フォーリーカテーテルシステムのいずれかの実施形態による検知用フォーリーカテーテルを患者の体内に挿入する際に、この画面を介して行うことができる。また、検知用フォーリーカテーテルの挿入日、留置日数のデータも表示される。尿出力速度および/または尿量は、ループ制御部による体液均衡解析に使用することができる。
【0343】
経腸栄養領域5716は、栄養装置がループ制御部に接続されているかどうか、またどのようなモデルであるかを示すことができる。その他、供給量および供給速度等を設定することができる。供給速度および/または量は、ループ制御部による流体均衡解析に使用することができる。いくつかの栄養チューブモデルにおいては、胃残留量(GRV)または胃排出量5724を検知することができ、体液均衡解析に組み込むことができる。
【0344】
静脈内輸液ポンプ領域5723は、輸液ポンプがループ制御部に接続されているかどうか、また、どのようなモデルであるかを示すことができる。その他の設定には、輸液量および輸液速度が含まれ得る。輸液速度および/または輸液量は、ループ制御部による体液均衡解析に使用することができる。
【0345】
創部ドレナージ領域5722は、創部ドレナージシステムがループ制御部に接続されているかどうか、また、どのようなモデルであるかを示すことができる。創部ドレナージ速度および/または量は、ループ制御部による体液均衡解析に使用することができる。
【0346】
また、パルスオキシメーター領域5718および心電図領域5720も示されている。これらは体液均衡とは直接関係ないが、ループ制御部で監視することもある。これらのセンサーは、例えば検知用フォーリーシステムの一部であってもよい。
【0347】
ループ制御部は、様々な体液の入出力装置からデータを収集し、これらの装置を制御することで、患者の体内の体液均衡を望ましい状態に保持することができる。例えば、患者が栄養供給および/または注入による体液の入力速度よりも高い体積速度で排尿している場合に、患者の体液均衡はより負に傾いていることになる。体液均衡が所望の範囲よりも低下した場合に、栄養供給速度および/または注入速度を増加させ、体液均衡を所望の範囲内に戻すことができる。あるいは、体液均衡が正に傾きすぎている(体液が多すぎる)場合は、体液均衡が望ましい範囲に戻るまで、栄養供給量および/または注入量を減少させることができる。他の流体出力測定も、領域5722に示される創部ドレナージ等のように、適宜含まれてもよい。また、汗、呼気、および排便による水分損失も、体液均衡解析においてループ制御部が考慮することができる。これらの装置の接続は、この画面上には表示されていないが、含まれていてもよい。所望の体液均衡範囲は、例えばここに示す領域5725のような設定を介して設定することができる。
【0348】
接続される様々な装置は、Bluetooth(登録商標)等の機構を介して自動的に検知されても、手動で接続されてもよい。
【0349】
図57Bは、ループ制御部システムの他の画面例を示す図である。この画面は、「バイタル」タブ領域内に表示される内容の一例を示している。この領域は、患者の1つ以上のバイタルサインを経時的に表示する。時間軸は、例えば、ボタン5726を介して変更することができる。ここは、患者の体温、心拍数、呼吸数、尿量(またはこれに代えて尿出力速度)、腹腔内圧、およびパルスオキシメーターの測定値を経時的に表示したものである。その他のバイタルサインも表示され得る。例えば、心電図、体重、血圧等が表示され得る。これらの測定値の一部または全部は、検知用フォーリーカテーテルシステムによって収集され得る。
【0350】
図57Cは、「体液均衡」タブの背面の画面の一例を示す図である。ここでは、図57Aに示した設定領域が画面下に最小化された状態である。進行中および現在の実際の体液均衡および所望の体液均衡が画面上部に表示される。また、IV注入量、経腸栄養量、尿量、および創部ドレナージ量も、必要に応じて経時的に表示される。この例では、創部ドレナージ装置が患者に使用されていないため、グラフにはデータが表示されない。
【0351】
ディスプレイのリスク領域は、検知用フォーリーカテーテルシステムおよび/または他の装置から収集されたデータの一部または全部に基づいて、様々な病状のリスクを表示することができる。例えば、AKIリスク、敗血症リスク、その他のリスクを制御部で評価し、ここに表示することができる。また、リスク評価に使用する様々なパラメーターの設定も、制御部に入力したり、収集したりすることができる。例えば、患者の体重をリスクプロファイルに入力することができる。
【0352】
図58Aおよび図58Bは、様々な尿パラメーターの分析および記録を含む、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。図58Aは、尿の出力を収集するためのカセットを示しており、これは、光学的透明部5804および試験紙5806を含む。試験紙5806は、1つ以上の試験紙セグメント5808を含む。試験紙セグメントは、尿の様々なパラメーターに基づいて色を変化させることができる。例えば、試験紙セグメントは、白血球、亜硝酸塩、ウロビリノーゲン、タンパク質、ヘモグロビンケトン、ビリルビン、アセトン、グルコース、ホルモン、薬剤、クレアチニンまたは他の実体の存在を検査してもよく、または試験紙は尿のpH、比重、色または他のパラメーターを判定することができる。試験紙セグメントは、病原体を検査することもできる。
【0353】
カメラ5802は、好ましくは可視光カメラであるが、可視スペクトル以外の光の波長を検知するカメラであってもよく、モニター/制御部に組み込まれてもよい。カメラは、制御部により自動的に、または手動で上下に移動し、試験紙上の様々な行の試験紙セグメントの画像を撮像することができる。これに代えて、カメラレンズは、必要な範囲にわたって液面を監視するのに十分な大きさの領域を撮像するのに十分な広角を有していてもよい。これに代えて、複数のカメラを搭載し、制御部と通信可能な状態にしてもよい。これらのカメラオプションは、本明細書に開示された任意のタイプのカメラおよび波長検知器のうちの少なくともいずれか一方を組み込んだ任意の実施形態に適用される。
【0354】
試験紙5806は、複数の行の複数の試験紙セグメントを含んでもよい。好ましくは、各行は同一であるが、異なっていてもよい。各行は1つ以上の試験紙セグメントを含み、各試験紙セグメントは異なるパラメーターを検査することができる。例えば、試験紙は、2つの異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。これに代えて、試験紙は、3つの異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。これに代えて、試験紙は、4つの異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。これに代えて、試験紙は、5つの異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。これに代えて、試験紙は、6つの異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。これに代えて、試験紙は、7つの異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。これに代えて、試験紙は、8つの異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。これに代えて、試験紙は、9つの異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。これに代えて、試験紙は、10つの異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。これに代えて、試験紙は、2つ以上の異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。これに代えて、試験紙は、3つ以上の異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。これに代えて、試験紙は、4つ以上の異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。これに代えて、試験紙は、6つ以上の異なる試験紙セグメントを2行以上含んでもよい。
【0355】
図58Bは、7つの異なる試験紙セグメントを10行有する試験紙5806を示す図である。
【0356】
尿が収集されるときに試験紙セグメントの異なる行を尿にさらすために、図58Aに示すように、試験紙アレイは、尿収集チャンバー内に封入されてもよい。尿がチャンバーに収集されると、最初に試験紙セグメントの最下段のセグメントに尿が接触し得る。これに代えて、試験紙セグメントの一番下の(最初の)行は、収集チャンバーの空になる容積に対応するレベルよりも上にあってもよい。この実施形態において、尿は、カセットポンプ・インターフェイス1148を介して真空を引くようにポンプを制御する制御部によって、最初に試験紙セグメントの下行と接触させられ得る。真空ポンプによって引かれた真空は、真空経路5810を介して、カセットのシリンダー5809内の尿の行を一時的に持ち上げ、これにより尿が試験紙セグメントの後続の行に接触することを可能にする。制御部は、定期的に真空を引き、その後に試験紙セグメントのより高い行を定期的に尿にさらし、収集された尿を検査するようにプログラムされてもよい。このように、新しい試験紙を尿にさらすことで、複数の検査を個別に行うことができる。試験紙の行数は、各試験紙で実行可能な新鮮な検査の数に対応している。例えば、試験紙の行1が最初に使用され、次に行2が使用される、といった具合である。
【0357】
カメラは、試験紙の各行が使用されるたびに、徐々に高く移動してもよい。これに代えて、カメラの視野角を変えて、試験紙の後続の行を見ることもできる。
【0358】
試験紙は、滅菌されたカートリッジを介して交換することができ、このカートリッジを取り外すと、交換することができる。
【0359】
カメラは、試験紙セグメント行の色を検知し、それを標準カラーアレイと比較し、試験紙セグメントのパラメーターのいずれかが、尿がそのパラメーターの範囲外にあることを示すかどうかを判断することができる。カメラは標準的なカラーアレイに較正されてもよい。
【0360】
カメラおよび/または試験紙の構成は、他の構成も想定される。
例えば、試験紙の読み取りは、カメラ/制御部を介して自動的に行うのではなく、手動で行うことができる。
【0361】
図59は、尿ドレナージルーメン1012に直接作用するポンプ5902、または尿ドレナージルーメン1012と一列になって作用するポンプ5902を含む、一実施形態による検知用フォーリーカテーテルシステムを示す図である。このタイプのポンプは、容積型ポンプ、蠕動ポンプ、渦巻ポンプ、または本明細書に記載されているタイプを含む任意の他のタイプのポンプであってもよい。図59には、ポンプバイパスルーメン5904がさらに示されており、これは、ポンプ5902の前後の両者で尿ドレナージラインに接続する。バイパスルーメン5904は、一方向弁5906を含む。この実施形態は、本明細書に開示される他の実施形態と同様に作動するが、故障が発生したとき、またはポンプが尿排液の流れほど速くポンプを作動させないときに、ポンプが尿ドレナージラインを遮断するおそれがあるので、バイパスルーメンは、これらの、または他の状況下で尿排液にポンプをバイパスさせることができる。一方向弁は、尿がバイパスルーメン内を上方に移動することを防止するとともに、ポンプがドレナージラインを効果的に真空引きしてエアロックを解消することを可能にする。ベントラインに空気が入るように、ベント1180が設けられてもよい。加えて、ベント5908は、カセット1022から空気を逃がすために設けられてもよい。
【0362】
図60は、ドレナージライン1012等のドレナージラインを有する任意の標準的なフォーリーシステムを含む任意の尿ドレナージシステムに追加することができるポンプ機構を含む一実施形態を示す図である。アドオンのポンプ機構は、ドレナージラインと並んで配置することができる容器6002等の容器に含まれることができる。ポンプ機構は、ここに示すように、図59に示すものと同様に作動することができる。ポンプ機構は、ドレナージラインとドレナージバッグとの間、またはドレナージラインに沿った任意の箇所に接続することができる。ポンプ機構は、近位側コネクターおよび遠位側コネクターを含んでもよい。
【0363】
図61は、ドレナージライン1012等のドレナージラインを有する任意の標準的なフォーリーシステムを含む任意の尿ドレナージシステムに追加することができるポンプ機構を含む別例を示す図である。アドオンのポンプ機構は、外部容器を含んでも含まなくてもよい。ポンプ機構は、ドレナージラインとドレナージバッグとの間、またはドレナージラインに沿った任意の箇所に接続することができる。ポンプ機構は、近位側コネクターおよび遠位側コネクターを含んでもよい。本実施形態は、入口側一方向弁6102および出口側一方向弁6108を含む。2つの一方向弁の間には、尿の流れが決して妨げられないように、妨げられないままのチューブ長、すなわちリザーバー6104が設けられる。ポンプ6106は、単純なシリンジ、可撓性を備えたスクイズバルブであってもよいし、より洗練されたポンプ機構であってもよい。ポンプとリザーバー6104との間には、フィルタが設けられてもよい。ポンプは、手動または自動のいずれかである。
【0364】
図62は、ドレナージライン1012等のドレナージラインを有する任意の標準的なフォーリーシステムを含む任意の尿ドレナージシステムに追加することができる流体流量計を含む一実施形態を示す図である。アドオンの流体流量計機構6202は、ドレナージラインと並んで配置することができる容器6204等の容器に含まれることができる。流体計量機構は、ドレナージラインとドレナージバッグとの間、またはドレナージラインに沿った任意の箇所に接続することができる。ポンプ機構は、近位側コネクターおよび遠位側コネクターを含んでもよい。流体流量計機構は、圧力ベース、抵抗ベース、静電容量ベース、超音波ベース、重量ベース、または光学ベースの技術、または任意のその他の適切な技術であってもよい。
【0365】
図63は、重量式流体流量計を含む一実施形態を示している。重量制御部6302は、重量センサー6306を介して尿収集リザーバー、この場合はバッグの重量を測定する機能を含み、任意に、重量センサー6304を介して尿ドレナージラインの重量も測定し、これにより、尿ドレナージラインの重量/移動を尿流量または総尿出量の計算に織り込む(例えば、そこから差し引く)ことができる。尿流量、および/またはリアルタイムでの尿量を測定し、任意に重量制御部6302、または他の箇所に表示することができる。本明細書に開示された実施形態のいずれかと同様に、重量制御部からのデータは、遠隔送信され、コンピューター・サーバー上で集計、分析等され、かつ/または様々なユーザーに伝達されてもよい。
【0366】
図64は、図53図61、および図63と同様の実施形態を統合した、標準的なドレナージバッグを備えた標準的なフォーリーカテーテルシステムを示す図である。すなわち、標準的なフォーリーカテーテルおよびドレナージシステムに、3つのモジュール部品を追加して使用されている。
【0367】
-アドオンの通気機構、6402
【0368】
-アドオンのポンプ/エアロック解消機構、6404。
【0369】
-アドオンの尿量測定機構、6406。
【0370】
これら3つのアドオン機構を標準のフォーリーカテーテルドレナージシステムに追加することで、エアロックの解消の他、正確な尿量測定をリアルタイムに行うことができるように改良される。その他、これら3つのアドオン機構を組み合わせることも想定され、例えば、光学的尿量測定機構を使用してもよい。これらの機構は、1つ、2つ、3つのいずれかを組み合わせて1つのシステム上で使用することができる。
【0371】
図65A乃至65Dは、尿の重量オスモル濃度を測定する機能を含む一実施形態によるフォーリーカテーテルシステムを示し、この機能は、特定の健康状態の診断または予測または監視に使用することができる。尿の重量オスモル濃度は、特定の孔径のフィルターを、フィルターにかかる特定の差圧で尿が通過する速度を測定することにより、測定される。いくつかの実施形態では、尿の重量オスモル濃度の測定は、システムのカセット/モニターに組み込まれてもよい。図65Aは、主尿収集領域6502、気泡カラム6504、一方向弁6506、フィルター膜6508、第1の圧力センサーおよびポンプ-カセット・インターフェイス6510、第2の圧力センサーおよびポンプ-カセット・インターフェイス6512、超音波(または他の)尿量測定機構6514、および一方向の空にする弁6516を含む、一実施形態によるカセット1022を示す図である。圧力インターフェイス6510および6512は、それぞれ、主尿収集領域6502および気泡カラム6504内の圧力を測定し、かつ/または正圧および/または負圧をこれらに印加することができる。一方向弁6506およびフィルター膜6508の両者は、主尿収集部および気泡カラムが接続されるカセットの底部、またはその近傍に設けられている。弁6506および膜6508は、ここでは互いに重なって示されているが、両者はできるだけカセットの底部に近づくように互いに隣り合っている可能性が高い。カセットに尿を収集している間、一方向の空にする弁6516は閉鎖されている。
【0372】
尿が収集されると、図65Aに示すように、尿は、主尿収集領域6502から膜6508を介して気泡カラム6504内に移動する。重量オスモル濃度測定を行うために、制御部は、圧力インターフェイス6512を介して気泡カラム6504を加圧し、図65Bに示すように、気泡カラム内のすべての尿を弁6506を介して主収集領域6502に強制的に送り込む。主収集チャンバー6502および気泡カラム6504内の圧力は、それぞれ圧力インターフェイス6510および6512を介して監視される。気泡カラムに尿がない場合、空気の泡が一方向弁6506を通過する。これは、主収集領域および気泡カラムの圧力測定を通じて制御部が検知することができ、この時点で制御部は気泡カラムが空になったことを認識することができる。制御部は、続いて尿が主収集チャンバー6502からフィルター膜6508を介して気泡カラム6504に通過し得るように、気泡カラム6504内の圧力を低減する。主収集チャンバー内の圧力、気泡カラムの他、主収集チャンバー内の尿量が監視される。所与の差圧(ゼロまたはゼロよりも大きい)において、尿がフィルター膜を通過して気泡チャンバーに入る速度は、尿の重量オスモル濃度と関係がある。このように、尿の重量オスモル濃度は、制御部によって測定されてもよい。主収集領域および気泡カラムのうちの少なくともいずれか一方の尿量は、超音波、圧力、または他の機構によって監視することができる。
【0373】
図65Cは、尿の一部が主収集チャンバーからフィルター膜を介して気泡カラムに移動した後のカセットを示す図である。
【0374】
図65Dは、尿がカセットから排出されるように、制御部が空にする弁6516を開放する態様を示す図である。カセットからの尿の排出は、主収集領域6502および/または気泡カラム6504を加圧することによって促進されてもよい。
【0375】
重量オスモル濃度測定は定期的に行い、尿の重量オスモル濃度の経時的な変化を測定してもよい。例えば、重量オスモル濃度の測定は、カセットが充填/空にされるたびに行われてもよい。これに代えて、特定の時間間隔で重量オスモル濃度を測定してもよい。
【0376】
フィルター膜は、定期的に加圧された空気で膜を横断して清掃され得る。
【0377】
いくつかの実施形態は、尿中の様々な伝導性および非伝導性溶質、例えば、塩類、ナトリウム(Na)、クレアチニン、尿素、尿酸、グルコース、カリウム、塩化物、無機リン酸、亜硝酸塩、カルシウム、マグネシウム、塩素、ホルモン、ビタミン、薬剤等の濃度を測定するために、カセット内またはカセット上に、伝導性を測定する電極を含むことができる。電極は、バイオフィルムの蓄積を防ぐために、AuまたはAgメッキが施されていてもよい。バイオフィルムは、振動や超音波等で除去/防止することができる。また、非接触型のインピーダンス電極/測定器を使用することも可能である。
【0378】
図66Aおよび図66Bは、カセット内の尿の導電率を測定するための電極6602を含む、一実施形態によるカセットを示す図である。図66Aはカセットの前面、図66Bはカセットの背面を示している。電極は、カセットの内面上にあってもよいし、カセットの壁面内に埋め込まれていてもよいし、その他の箇所に配置されていてもよい。
【0379】
図67Aおよび図67Bは、図66Aおよび図66Bに示すカセットと組み合わせて使用する、一実施形態による制御部を示す図である。図67Aは、制御部にカセットを装着した状態を示す。Na+濃度の経時変化グラフ6702を表示しているディスプレイをさらに示す。ディスプレイには、単位がある場合とない場合がある。単位がない場合は、数は単に相対的な数値を示し、これは変化を把握するのに有効である。Na+(または任意の他の分析物)レベルや一般的な伝導性の変化は、尿量の変化やその他の健康情報の到来を示唆し得る。例えば、尿量が低減する前に尿の伝導率が上がり得る。このように、伝導率は尿量の低減を早期に検知する指標となり、ひいては患者の健康状態の指標となり得る。装置の実施形態は、伝導率の急激な増加または減少等、特定の伝導率パラメーターが検知または分析されたときに警告を鳴らすか、または通信することができる。
【0380】
図67Aは、カセットが装着されていない状態の図67Aの制御部を示す図である。カセット上の電極6602に接触する電極コネクター6704が示されている。電極コネクターは、ここでは、カセットを受承する開口部6706内に示されている。
【0381】
装置のいくつかの実施形態は、患者の健康状態を評価するために、異なるセンサーからの情報を組み合わせている。例えば、高い尿量と高い尿伝導率との組み合わせは、特定の健康状態の指標となり得る。
【0382】
尿の異なるパラメーターを検知するために、異なるサイズ、数、タイプ、および/または位置の電極を使用することができる。一度に複数のパラメーターを検知することも可能である。
【0383】
いくつかの実施形態では、制御部は、最初はスタンバイ状態にある。圧力、体積、超音波、光学センサー等のセンサーを介して、尿が初めてカセットに入ったことを制御部が検知すると、制御部は自動的に起動し、尿量の監視およびエアロックの解消等の機能を開始することができる。
【0384】
本明細書に開示された任意の実施形態と同様に、圧力センサーは、システム内の圧力(正圧または負圧)を監視して、いつ流体の排出に最適な圧力となるかを判定するために、例えばバーブ領域等、システムの他の箇所に含まれてもよい。例えば、バーブにおける圧力センサーからの信号をモニター/制御部で監視して、最適な圧力範囲、例えば、約0.5mmHg(約66.66Pa)になるようにすることができる。この最適な圧力範囲であれば、膀胱に過度の負圧が加わることなく、適切なエアロックの解消および流体のドレナージが可能になる。この最適な圧力範囲の制御は、ドレナージチューブ内に負圧を発生させるポンプを制御部が制御することにより、定期的に、あるいは継続的に行うことができる。連続運転する場合は、システム内の適切な圧力範囲を維持するために、ポンプの速度をモニター/制御部で制御することができる。
【0385】
ある実施形態では、流量計や流量センサーをシステムに組み込んでもよい。例えば、ベントチューブに流量計を追加して空気の流れを監視し、エアロックの解消機能をより適切に制御することができる。流量は流量計で検知され、その信号が制御部に伝達される。いくつかの実施形態では、流量センサーやメーターは、例えばリザーバー/カセットの中や近傍等、システムの他の箇所に設けられてもよい。
【0386】
例えば、ドレナージラインにエアロックがあると、ベントチューブから空気が流れなくなる。この情報は、例えば、カセットおよびドレナージラインに負圧を加える等して、エアロックの除去サイクルを起動するために制御部によって使用され得る。ベントチューブに空気の流れがある場合、制御部はエアロックが存在しないと判断し得る。リザーバー/カセットに流量センサーもある実施形態では、制御部はシステムのどこに閉塞があるかを判断することができる可能性がある。例えば、ドレナージチューブ、ベントチューブ、カセットのいずれで詰まっているのかを判断でき得る。例えば、制御部は、ユーザーがドレナージラインのクランプを外し忘れたかどうかを判断することができ、制御部は、その旨をユーザーに表示することができる。制御部は、真空ポンプによって真空が引かれたときに、流量を検知することができる。カセット内の流量を検知することで、閉塞箇所を特定することができる。流量が少ない場合はカセットのより近傍の箇所で、流量が多い場合(ただし想定されるカットオフ値未満の流量)はカセットからより遠方の箇所で閉塞していることを示す。
【0387】
本明細書に開示された任意の実施形態と同様に、オーバーフローバリアまたはオーバーフロー経路をリザーバー/カセットに組み込んでもよい。
【0388】
検知用フォーリーシステムのいくつかの実施形態は、本明細書に開示される任意の検知タイプを含む包括的な「スマート」検知を組み込んでよい。例えば、「スマート」フォーリーカテーテル検知用システムは、以下を含むことができる。
【0389】
-パルスオキシメトリー等の検知機構による酸素飽和度、
【0390】
-心電図、すなわち尿道、膀胱、皮膚に接触する電極を介するもの、
【0391】
-分光法を含む可視またはその他の波長カメラによる尿のパラメーター、
【0392】
-尿道、膀胱、皮膚に接触する電極、または尿に接触するリザーバー/カセット内に配置された電極を介して、組織および尿のうちの少なくともいずれか一方の静電容量を測定、
【0393】
-尿道、膀胱、皮膚に接触する電極、または尿に接触するリザーバー/カセット内に配置された電極を介した組織および/または尿の伝導率を測定、
【0394】
-カテーテルおよびドレナージチューブのうちの少なくともいずれか一方、またはモニター/カセット内のセンサーによる尿の化学分析。例として、アルブメン、ビリルビン、赤血球、ヘモグロビン、ミオグロビン、溶血、尿のPH、胆汁、尿素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、クレアチニン等が挙げられる。
【0395】
-心拍数
【0396】
-呼吸数
【0397】
-血圧
【0398】
-睡眠分析(すなわち、持続時間および質のうちの少なくともいずれか一方)-これは、血圧、呼吸数、心拍数、IAP等の分析により達成可能である。
【0399】
-中心静脈圧。
【0400】
なお、本明細書中の任意の実施形態に関連付けられて開示された要素は、本明細書中に開示された他の任意の実施形態に使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40A
図40B
図40C
図41A
図41B
図41C
図41D
図41E
図42
図43
図44
図45A
図45B
図46
図47A
図47B
図48
図49
図50
図51
図52A
図52B
図53
図54A
図54B
図55A
図55B
図55C
図55D
図55E
図56A
図56B
図56C
図57A
図57B
図57C
図58A
図58B
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65A-65B.65D】
図65C
図66A
図66B
図67A
図67B
【国際調査報告】