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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(54)【発明の名称】カテーテル先端部及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230214BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/00 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537063
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 US2020070907
(87)【国際公開番号】W WO2021127690
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/949,332
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/097,400
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ロウス・コーリー
(72)【発明者】
【氏名】ギドリ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヒッツェロ・マシュー
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK12
4C160MM38
4C267AA01
4C267BB42
4C267CC19
4C267FF01
(57)【要約】
ドーム様形状のネガを含むインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、ドーム様形状を有するドームを含むカテーテル先端部の形状を形成することと、カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めすることと、インサートを除去することによって、カテーテル先端部及び複数の灌注孔を残すことと、カテーテル先端部を電気研磨することと、による、カテーテル先端部の製造方法。他の例では、インサートは除去されず、代わりに、電気メッキの工程によって、インサートが導電性材料でカプセル化され、それによってカテーテル先端部を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル先端部を製造する方法であって、
ドーム様形状のネガを含むインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、前記ドーム様形状を有するドームを含む前記カテーテル先端部の形状を形成する工程と、
前記カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程と、
前記インサートを除去することによって、前記カテーテル先端部及び前記複数の灌注孔を残す工程と、
前記カテーテル先端部を電気研磨する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記カテーテル先端部が、ドーム様のカバーを有して略管状である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インサートが、内側管腔を有して略管状である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記インサートが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を含むプラスチックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記インサートが、ポリカーボネートを含むプラスチックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記導電性材料が、金、パラジウム、及び白金のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の灌注孔を選択的に位置決めする前記工程が、
灌注孔径を選択する工程と、
カテーテル先端部の壁厚を選択する工程と、
前記材料の横方向及び垂直方向の成長率を決定する工程と、
前記灌注孔径、前記壁厚、並びに前記材料の前記横方向及び前記垂直方向の成長率に基づいて、インサート灌注孔ネガのサイズを決定する工程と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記材料の前記横方向及び前記垂直方向の成長率が1:1であり、インサート灌注孔ネガのサイズを決定する前記工程が、前記灌注孔径を前記カテーテル先端部の壁厚に加える工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の灌注孔を選択的に位置決めする前記工程が、同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記インサート上に前記導電性材料を電気メッキする工程が、
ピンと前記インサートの長手方向軸とを軸方向に整列させることと、
電気メッキ中に前記ピンによって前記インサートを保持することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の灌注孔を選択的に位置決めする前記工程が、副次的非メッキ性材料から前記カテーテル先端部に灌注孔パターンを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記インサートの外径を前記カテーテル先端部の内径に設定することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記副次的非メッキ性材料の段差を前記カテーテル先端部の基部に隣接する下縁に位置決めすることを更に含み、前記段差はおよそ50.8μm(0.002インチ)の高さを含み、これによって前記下縁を厚くし、丸みのある縁が形成されるのを防止する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記孔パターン内の1つ又は2つ以上の孔の孔径を壁厚分だけオフセットすることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の灌注孔を選択的に位置決めする前記工程及び前記インサートを除去する前記工程の後に、前記導電性材料の横方向及び垂直方向の成長の1:1の比率を維持することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
複数のカテーテル先端部を製造する方法であって、
ドーム様形状のネガを含む複数のインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、前記ドーム様形状を含む複数のカテーテル先端部を形成することと、
それぞれの各カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めすることと、
それぞれの各インサートを除去し、それによって、前記ドーム様形状を含むそれぞれのカテーテル先端部を残すことと、
前記複数のカテーテル先端部の前記カテーテル先端部を電気研磨することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記複数の灌注孔を選択的に位置決めする前記工程が、
灌注孔径を選択する工程と、
カテーテル先端部の壁厚を選択する工程と、
前記材料の横方向及び垂直方向の成長率を決定する工程と、
前記灌注孔径、前記壁厚、並びに前記材料の前記横方向及び前記垂直方向の成長率に基づいて、インサート灌注孔ネガのサイズを決定する工程と、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記材料の前記横方向及び前記垂直方向の成長率が1:1であり、インサート灌注孔ネガのサイズを決定する前記工程が、前記灌注孔径を前記カテーテル先端部の壁厚に加えることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数のカテーテル先端部を製造する方法であって、
ドーム様形状のネガを含む複数のインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、前記ドーム様形状を含む複数のカテーテル先端部を形成することであって、前記電気メッキの工程によって、前記インサートが前記導電性材料でカプセル化され、それによって前記カテーテル先端部を形成する、形成することと、
それぞれの各カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めすることと、
前記複数のカテーテル先端部の前記カテーテル先端部を電気研磨することと、
を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法によって作製された複数のカテーテル先端部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、アブレーションカテーテルに使用するための先端部を製造することに関し、特に、アブレーションカテーテルに使用するための先端部の大量生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の諸領域が、隣接組織に電気信号を異常に伝導することによって正常な心周期を妨害し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。
【0003】
不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に妨害すること、及びそのような信号の伝導路を妨害することがある。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的に焼灼することによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を阻止又は変更することが時に可能である。アブレーションプロセスは、非導電性の損傷部を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。
【0004】
現在、高周波(radiofrequency、RF)アブレーションカテーテル先端部はそれぞれ、灌注孔及び/又はシェルを作製するために個別に機械加工する必要がある。これには、時間及び労力の両方がかかり、全体的なコストが増加し、また製造の再現性及びスケーラビリティも低下する。
【0005】
本開示の解決策は、当該技術分野のこれら及び他の問題点を解決するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本開示の発明者らは、ドームを含むカテーテル先端部を作製するために、電気メッキ可能な1つ又は2つ以上の取り外し可能なインサート又は金型により、複数のカテーテル先端部を一度に製造する必要性が存在することを認識した。サイズに応じて、多くのインサートを1回で処理することができると考えられる。
【0007】
いくつかの例において、カテーテル先端部の製造方法が開示される。この方法は、ドーム様形状のネガを含むインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、ドーム様形状を有するドームを含むカテーテル先端部の形状を形成することと、カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めすることと、インサートを除去することによって、カテーテル先端部及び複数の灌注孔を残すことと、カテーテル先端部を電気研磨することとを含む。
【0008】
いくつかの例では、カテーテル先端部は、ドーム様のカバーを有して略管状である。
【0009】
いくつかの例では、インサートは、内側管腔を有して略管状である。
【0010】
いくつかの例では、インサートは、プラスチックを含む。
【0011】
いくつかの例では、プラスチックは、アクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile Butadiene Styrene、ABS)を含む。
【0012】
いくつかの例では、プラスチックは、ポリカーボネートを含む。
【0013】
いくつかの例では、導電性材料は金を含む。
【0014】
いくつかの例では、導電性材料はパラジウムを含む。
【0015】
いくつかの例では、導電性材料は白金を含む。
【0016】
いくつかの例では、本方法は、カテーテル先端部のサイズ及び形状の金型からプラスチック材料を成形することによってインサートを形成することを含む。
【0017】
いくつかの例では、複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程は、灌注孔径を選択する工程と、カテーテル先端部の壁厚を選択する工程と、材料の横方向及び垂直方向の成長率を決定する工程と、灌注孔径、壁厚、並びに材料の横方向及び垂直方向の成長率に基づいてインサート灌注孔ネガのサイズを決定する工程とを含む。
【0018】
いくつかの例では、材料の横方向及び垂直方向の成長率は1:1であり、インサート灌注孔ネガのサイズを決定する工程は、灌注孔径をカテーテル先端部の壁厚に加えることを含む。
【0019】
いくつかの例では、複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程は、同時に行われる。
【0020】
いくつかの例では、インサート上に導電性材料を電気メッキする工程は、ピンとインサートの長手方向軸とを軸方向に整列させることと、電気メッキ中にピンによってインサートを保持することとを含む。
【0021】
いくつかの例では、複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程は、副次的非メッキ性材料からカテーテル先端部に灌注孔パターンを形成することを含む。
【0022】
いくつかの例では、副次的非メッキ性材料は、ナイロンである。
【0023】
いくつかの例では、副次的非メッキ性材料は、ポリプロピレンである。
【0024】
いくつかの例では、副次的非メッキ性材料は、ポリエステルである。
【0025】
いくつかの例では、本方法は、インサートの外径をカテーテル先端部の内径に設定することを含む。
【0026】
いくつかの例では、本方法は、カテーテル先端部の下縁を副次的非メッキ性材料で厚くし、それによって、カテーテル先端部の基部に隣接して丸みのある縁が形成されるのを防止することを含む。
【0027】
いくつかの例では、本方法は、副次的非メッキ性材料の段差をカテーテル先端部の基部に隣接する下縁に位置決めすることを含む。
【0028】
いくつかの例では、段差は、およそ0.002インチの高さを含み、それによって下縁を厚くし、丸みのある縁が形成されるのを防止する。
【0029】
いくつかの例では、本方法は、孔パターン内の1つ又は2つ以上の孔の孔径を壁厚分だけオフセットすることを含む。
【0030】
いくつかの例では、複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程は、使用可能なカテーテル先端部直径を、カテーテル先端部の壁厚分だけ大きなサイズにすることを含む。
【0031】
いくつかの例では、複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程は、使用可能なカテーテル先端部直径に、カテーテル先端部の壁厚を加えることにより、灌注孔の製造直径のサイズ決めを行うことを含む。
【0032】
いくつかの例では、本方法は、複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程及びインサートを除去する工程の後に、導電性材料の横方向及び垂直方向の成長の1:1の比率を維持することを含む。
【0033】
いくつかの例では、本方法は、副次的非メッキ性材料をインサート上にオーバーモールドすることを含む。
【0034】
いくつかの例では、この孔パターンの孔は、副次的材料によって充填されるように構成されている。
【0035】
いくつかの例では、インサートを除去する工程は、インサートを溶融し、それによってカテーテル先端部を残すことを含む。
【0036】
いくつかの例では、インサートを除去する工程は、インサートを酸で溶解し、それによってカテーテル先端部を残すことを含む。
【0037】
いくつかの例では、ドームを電気研磨する工程は、表面粗さ及び/又はバリを除去することを含む。
【0038】
いくつかの例では、複数のカテーテル先端部を製造する方法が開示される。この方法は、複数のカテーテル先端部を製造するために、先行請求項のいずれかに記載の方法を同時に実行することを含む。
【0039】
いくつかの例では、カテーテル先端部は、本開示の任意の方法によって作製される。
【0040】
いくつかの例では、複数のカテーテル先端部を製造する方法が開示される。この方法は、ドーム様形状のネガを含む複数のインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、ドーム様形状を含む複数のドームを形成することと、それぞれの各ドームの外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めすることと、それぞれの各インサートを除去することによって、それぞれのドームを残すことと、複数のカテーテル先端部のドームを電気研磨することとを含む。
【0041】
いくつかの例では、インサートは、内側管腔を有して略管状である。
【0042】
いくつかの例では、それぞれの各インサートは、プラスチックを含む。
【0043】
いくつかの例では、プラスチックは、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を含む。
【0044】
いくつかの例では、プラスチックは、ポリカーボネートを含む。
【0045】
いくつかの例では、導電性材料は金を含む。
【0046】
いくつかの例では、導電性材料はパラジウムを含む。
【0047】
いくつかの例では、導電性材料は白金を含む。
【0048】
いくつかの例では、本方法は、それぞれの各カテーテル先端部のサイズ及び形状の金型からプラスチック材料を成形することによってそれぞれの各インサートを形成することを含む。
【0049】
いくつかの例では、複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程は、灌注孔径を選択する工程と、カテーテル先端部の壁厚を選択する工程と、材料の横方向及び垂直方向の成長率を決定する工程と、灌注孔径、壁厚、並びに材料の横方向及び垂直方向の成長率に基づいてインサート灌注孔ネガのサイズを決定する工程とを含む。
【0050】
いくつかの例では、材料の横方向及び垂直方向の成長率は1:1であり、インサート灌注孔ネガのサイズを決定する工程は、灌注孔径をカテーテル先端部の壁厚に加えることを含む。
【0051】
いくつかの例では、複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程は、同時に行われる。
【0052】
いくつかの例では、複数のインサート上に導電性材料を電気メッキする工程は、ピンとそれぞれの各インサートの長手方向軸とを軸方向に整列させることと、電気メッキ中にそれぞれのピンによってそれぞれのインサートを保持することとを含む。
【0053】
いくつかの例では、複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程は、副次的非メッキ性材料からそれぞれの各カテーテル先端部に灌注孔パターンを形成することを含む。
【0054】
いくつかの例では、副次的非メッキ性材料は、ナイロンである。
【0055】
いくつかの例では、副次的非メッキ性材料は、ポリプロピレンである。
【0056】
いくつかの例では、副次的非メッキ性材料は、ポリエステルである。
【0057】
いくつかの例では、本方法は、それぞれの各インサートの外径をそれぞれのカテーテル先端部の内径に設定することを含む。
【0058】
いくつかの例では、本方法は、それぞれの各カテーテル先端部の下縁を副次的非メッキ性材料で厚くし、それによって、それぞれのカテーテル先端部の基部に隣接して丸みのある縁が形成されるのを防止することを含む。
【0059】
いくつかの例では、本方法は、副次的非メッキ性材料の段差を、それぞれのカテーテル先端部の基部に隣接する下縁に位置決めすることを含む。
【0060】
いくつかの例では、段差は、およそ0.002インチの高さを含み、それによって下縁を厚くし、丸みのある縁が形成されるのを防止する。
【0061】
いくつかの例では、本方法は、孔パターン内の1つ又は2つ以上の孔の孔径を壁厚分だけオフセットすることを含む。
【0062】
いくつかの例では、複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程は、使用可能なカテーテル先端部直径を、それぞれの各カテーテル先端部の壁厚分だけ大きなサイズにすることを含む。
【0063】
いくつかの例では、複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程は、使用可能なカテーテル先端部直径に、それぞれの各カテーテル先端部の壁厚を加えることにより、灌注孔の製造直径のサイズ決めを行うことを含む。
【0064】
いくつかの例では、本方法は、複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程及びインサートを除去する工程の後に、それぞれの各カテーテル先端部の導電性材料の横方向及び垂直方向の成長の1:1の比率を維持することを含む。
【0065】
いくつかの例では、本方法は、副次的非メッキ性材料をそれぞれの各インサート上にオーバーモールドすることを含む。
【0066】
いくつかの例では、この孔パターンの孔は、副次的材料によって充填されるように構成されている。
【0067】
いくつかの例では、それぞれの各電気メッキされたインサートを除去する工程は、それぞれのインサートを溶融し、それによってそれぞれのカテーテル先端部を残すことを含む。
【0068】
いくつかの例では、それぞれの各電気メッキされたインサートを除去する工程は、それぞれのインサートを酸で溶解し、それによってそれぞれのカテーテル先端部を残すことを含む。
【0069】
いくつかの例では、複数のカテーテル先端部を電気研磨する工程は、表面粗さ及び/又はバリを除去することを含む。
【0070】
いくつかの例では、カテーテル先端部が開示され、このカテーテル先端部は、ドーム様形状のネガを有するインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、ドームを含むカテーテル先端部を形成する工程と、ドームの外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程と、インサートを除去することによって、カテーテル先端部を残す工程と、このカテーテル先端部を電気研磨する工程とを含むプロセスにより作製される。
【0071】
いくつかの例では、複数のカテーテル先端部が開示され、この複数のカテーテル先端部は、ドーム様形状のネガを含む複数のインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、ドームをそれぞれ含む複数のカテーテル先端部を形成する工程と、それぞれの各カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程と、それぞれの各インサートを除去することによって、それぞれのカテーテル先端部を残す工程と、この複数のカテーテル先端部の各カテーテル先端部を電気研磨する工程と、を含むプロセスにより作製される。
【0072】
以下の本発明の実施形態の詳細な説明を図面と併読することによって、本開示のより完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0073】
本開示の上記及び更なる態様は、添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴部を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本開示の原理を図示することが重視されている。図は、限定としてではなく単なる例解として、本発明のデバイスの1つ又は2つ以上の実装形態を描写している。
図1】本開示のいくつかの実施形態による、被験者の組織をアブレーションするためのシステムを図示した概略図である。
図2】例示的なカテーテル先端部を製造するための本開示の一方法における1つの工程の概略図である。
図3】例示的なカテーテル先端部を製造するための本開示の一方法における1つの工程の概略図である。
図4】本開示の態様による、例示的な一方法を示すフロー図である。
図5】本開示の態様による、例示的な一方法を示すフロー図である。
図6】本開示の態様による、例示的な一方法を示すフロー図である。
図7】本開示の態様による、例示的な一方法を示すフロー図である。
図8】本開示の態様による、例示的な一方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本開示における「電気メッキ」という用語は、クロム、銀、金、白金、パラジウムなどの金属での電解析出によって物体をコーティングする行為を意味することが意図される。
【0075】
本明細書で使用される場合、「非メッキ性材料」という用語は、容易に電気メッキされないか、又は電気メッキが不可能である任意の材料を意味し得る。そのような材料は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、非混合プラスチック、Valox(登録商標)として市販されている熱可塑性ポリマー樹脂である材料などの、1つ又は組み合わせを含み得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載される意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指してもよい。
【0077】
一部のタイプのカテーテルなどの医療機器は、例えば、患者組織に又は患者組織から電気信号を伝導するために使用される電極を含む。本明細書の以下に記載される本開示の実施形態は、低周波数で低インピーダンスを有する電極と共に使用するカテーテル先端部を製造するための方法を提供する。原理的には、カテーテルの個別の場所を導電性(例えば、金属)層でコーティング(例えば、はんだ付け又は接着)することによって、こうした電極を製造することが可能である。これらの金属層は、低周波数での電極のインピーダンスを低減するが、こうしたコーティングプロセスは、大量生産(high volume manufacturing、HVM)には非効率的である。開示される技術は、HVMにおける高い生産性を実現する超大規模集積回路(very large-scale integration、VLSI)プロセスを使用して、カテーテル先端部を製造することを可能にする。開示される技術は、製造コストを損なうことなしに、HVMでカテーテル先端部を製造することによって、カテーテル先端部の機能性を高めるのに役立つ。更に、カテーテル先端部にVLSIプロセスを使用すると、遠位端の製造コストが低減される。
【0078】
図1は、本開示の一実施形態に係る、カテーテル法システム20の概略描写図である。システム20は、本例では心臓カテーテル22であるプローブと、制御コンソール24と、を含む。カテーテル22は、患者28の心臓(図示せず)からの信号の感知などの、任意の好適な治療及び/又は診断目的で使用することができる。
【0079】
コンソール24は、カテーテル22からの信号を受信するため、及び本明細書に記載のシステム20の他の構成要素を制御するための好適なフロントエンド回路及びインターフェース回路を有する、典型的には汎用コンピュータであるプロセッサ34を含み得る。コンソール24は駆動回路42を含んでよく、駆動回路42は、台29に横たわる患者28の体外の既知の位置、例えば患者の胴体の下に位置する磁場発生装置36を駆動する。
【0080】
いくつかの実施形態では、コンソール24は、メモリ50と、患者28の心臓の少なくとも一部の画像44などのデータを表示するように構成されているディスプレイ46と、を含む。いくつかの実施形態では、画像44は、コンピュータ断層撮影(computerized tomography、CT)システムを用いて、磁気共鳴撮像(magnetic resonance imaging、MRI)スキャナによって、又は任意の他の好適な解剖学的撮像システムを使用して取得されてもよい。医師30(介入する心臓専門医など)は、台29に横たわる患者28の脈管系を通してカテーテル22を挿入する。カテーテル22は、挿入図26に示される遠位端アセンブリ40を含む。医師30は、カテーテル22の近位端付近のマニピュレータ32を用いてカテーテル22を操作することにより心臓内の標的領域の近傍でアセンブリ40を移動させる。カテーテル22の近位端部は、プロセッサ34のインターフェース回路に接続されている。
【0081】
ここで、遠位端アセンブリ40を備えたインサート26を参照する。これは、内部部材69の周りに配置された可撓性プリント回路基板(printed circuit board、PCB)シート60を含み得る。いくつかの実施形態では、アセンブリ40は、ドーム66を更に含む。シート60及び/又はドーム66は1つ又は2つ以上の灌注孔64を形成するよう穿孔されていてもよく、灌注孔64は、心臓の組織に灌注を行う時、例えばアブレーション処置中に、灌注流体が挿入管から流れ出ることができるように構成されている。
【0082】
完成したアセンブリ40は、1つ又は2つ以上の電極62及び/又は1つ又は2つ以上のリング電極63を含んでよく、これらは、心臓の組織に又は心臓の組織から電気信号を伝導するように構成されている。心臓マッピングなどの医療処置中、電極62及び/又はリング電極63を、心臓の組織と接触させて、その結果それから発信された電気信号を感知することができる。アセンブリ40は、心臓の組織をアブレーションするために使用され得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、プロセッサ34は、典型的には、汎用プロセッサを含み、汎用プロセッサは、本明細書で説明される機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができる、あるいは、代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上に提供及び/又は記憶することができる。
【0084】
図1に示されるアセンブリ40の構成は、概念を明確化する目的でのみ選ばれた構成の一例である。代替的な実施形態では、任意の他の好適な構成もまた用いることができる。例えば、アセンブリ40のサイズ及び形状、並びに電極62及び/又はリング電極63の数及び場所は、患者28の任意の器官の組織に好適な医療処置を行うのに適切な任意の好適な構成要素及びレイアウトを用いて実装されてもよい。
【0085】
図2を参照すると、アセンブリ40の一部又は全部の製造などの、例示的なカテーテル先端部を製造するための本開示の例示的な方法における1つの工程の概略図が示されている。いくつかの例では、本開示の解決策は、ポリカーボネート及びABSなどのプラスチックを含む構成要素を金属化するための電気メッキを使用する。本開示のシステム及び方法は、取り外し可能なインサート及び/又は金型を使用し、これらは電気メッキすることにより、ドームを含むカテーテル先端部を作製することができる。電気メッキされると、インサートは(例えば、インサートを融解することによって、インサートを酸で溶解することによって、など)除去することができ、これによって、電気メッキされたシェルが残り、ここにカテーテル先端部が形成されている。次いで、電気メッキされたカテーテル先端部は、表面粗さ及び/又はバリを除去するために電気研磨され得る。本開示の解決策は、同時に処理することができる複数のインサート(例えば、同時にメッキされる数百個~数千個のインサート)を使用及び/又は製造することを含む。
【0086】
具体的に言えば、図2は、インサート100を作製することができる例示的な金型200を示す。例えば、インサート100は、金型200からプラスチック材料を成形することによって形成することができ、これは図示のように、アセンブリ40のサイズ及び形状であり得る。金型200は、インサート100の中間部155の外表面に対応する中間部165を備えて、実質的に円筒形であり得る。金型200は更に、インサート100のドーム166に対応するドーム領域176、並びにインサート100の基部158に対応する基部部分168、及びアセンブリ40の対応する孔64のための複数の灌注孔領域164を含むことができる。
【0087】
いくつかの例では、孔領域164を位置決めするために、灌注孔の直径、並びに所望のカテーテル先端部の壁厚を選択することができる。材料の横方向及び垂直方向の成長率はまた、灌注孔径、壁厚、並びに材料の横方向及び垂直方向の成長率に基づいて、インサート灌注孔ネガのサイズを決定することと共に決定され得る。例えば、孔領域164のサイズは、およそ0.0035インチの厚さの電気メッキ材料の横方向の成長をオフセットするように、およそ0.0065インチに設定することができる。
【0088】
インサート灌注孔ネガのサイズを決定する際に、孔領域164の灌注孔径を、カテーテル先端部の壁厚に加えることができる。更に、材料の横方向及び垂直方向の成長率は、およそ1:1の比率で予め決定することができるが、必要又は要求に応じて、他のより大きい比率及びより小さい比率が想到される。孔領域164もまた、同時に位置決め、サイズ決め、又は別様に作製することができる。孔領域164は、副次的非メッキ性材料から、インサート100の1つ又は2つ以上の領域(例えば、ドームカバー166)に灌注孔パターンを形成することによって位置付けることができる。
【0089】
孔領域164はまた、インサート100の予め決定された孔にすることによって、作製することができる。特定の例では、灌注孔パターン内の1つ又は複数の孔領域164の孔径は、インサート100の壁厚分だけオフセットされ得る。この例の孔領域164は、使用可能なカテーテル先端部直径を、完成したアセンブリ40の壁厚分だけ大きなサイズにすることによって、位置付けることができる。孔領域164はまた、使用可能なカテーテル先端部直径に、完成したアセンブリ40の壁厚を加えることにより、孔64の製造直径のサイズ決めを行うことによって、位置付けることができる。
【0090】
本開示による任意の孔パターンの孔領域164はまた、副次的非メッキ性材料によって充填されるように構成され得る。アセンブリ40に関連付けられた孔領域164及び/又は孔64自体もまた、インサート100が電気メッキされて除去された後に(例えば、ドリルで孔をあけることによって)作製され得ることが理解される。いくつかの例における副次的非メッキ性材料は、インサート100上にオーバーモールドされ得る。
【0091】
成形されると、インサート100は、内側管腔を有する略管状の特徴部として対応して成形することができ、かつ、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)及びポリカーボネートなどの少なくとも1つのプラスチックを含み得る。インサート100の図示された形状は単なる例示であり、必要又は要求に応じて、他の形状及び設計が想到される。インサート100は、射出成形、開放成形、樹脂トランスファー成形(例えば、キャスタブル樹脂)、大量成形、圧縮成形、積層造形などを含む様々な技術により、金型200内に形成することができる。インサート100は、ドーム部分166を有するドーム様形状に対してネガであり得る。インサート100の外径Dは、完成したアセンブリ40の所望の直径に設定、又は別様にはこれに基づくことができる。例えば、直径Dは、アセンブリ40の内径に似せて、0.091インチであり得る。
【0092】
1つ又は2つ以上のインサート100が形成されると、図3に示すように、導電性材料をインサート100の内表面に沿って電気メッキし、それによって、アセンブリ40と共に使用される電気メッキシェルを、任意の対応する選択的に位置決めされた孔64と共に作製することができる。いくつかの例では、対応する複数のアセンブリ40及び孔64のための複数のシェルを同時に作製することができる。図3のインサート100は、ドーム支持体168を有するドームカバー166を含み、このそれぞれが、電気メッキされるとアセンブリ40と同様の特徴部に対応する。インサート100はまた、ドームカバー166及び中間部分155の上又は周りを含め、金型200によってインサート100の内表面と外表面との間に選択的に位置付けられた1つ又は2つ以上の孔領域164を含む。図示されていないが、孔領域164はまた、基部158の上又はその周りに位置付けることができ、これは、インサート100の近位端に配置され得る。インサート100は、最終的にアセンブリ40の空洞内に灌注を方向付けるための内部管腔を含むことができることが理解される。
【0093】
いくつかの例では、インサート100の内表面に導電性材料を電気メッキする方法は、インサート100の内表面上に導電性材料の薄層を堆積させる蒸着、又はいくつかの他の化学堆積プロセスを含むことができる。導電性材料は、インサート100の内壁を完全に被覆又はメッキすることができ、1つ又は2つ以上のコンピューティングシステムが、電気メッキ及び/又はインサート100の除去のプロセス全体を制御することができる。いくつかの例では、導電性材料はまた、ピン78をインサート100の長手方向軸125と軸方向に整列させ、電気メッキ中にインサート100をピン78によって保持することによって、インサート100上に電気メッキされ得る。
【0094】
いくつかの例では、図示されるように、インサート100の基部158の下縁又は基部158に隣接する下縁を、厚くすることができる。下縁は、周りに丸みを帯びた縁が形成するのを防ぐために、副次的非メッキ性材料で厚くすることができる。段差153を使用して、下縁を厚くすることができる。段差153は、およそ0.002インチの高さ、又は必要若しくは要求に応じて任意の他の高さを有することができる。
【0095】
インサート100が導電性材料で電気メッキされた後、インサート100を除去し、それによってアセンブリ40のカテーテル先端部、並びに対応するドーム66及び孔64を残すことができる。インサート100は、インサート100に熱(例えば、溶融)を加えることによって導電性の電気メッキされた材料から取り外すことができ、それによって、ドームカバー66、中間部分55、基部58、及びアセンブリ40の他の対応する領域を残すことができる。インサート100はまた、インサート100を酸で溶解することによって除去し、それによってアセンブリ40を残すことが想到される。インサート100が取り外されると、アセンブリ40は、電気研磨され得る。いくつかの例では、アセンブリ40を電気研磨することは、前にインサート100で形成された電気メッキされた材料から、表面粗さ及び/又はバリを除去することを含み得る。いくつかの例では、アセンブリ40、及び本明細書に開示される工程のうちの1つ又は2つ以上を用いて製造された任意の構成部品は、一意のマーキング、識別子などの指紋を含むように仕上げることができる。そのようなマーキング及び/又は識別子には、表面粗さ、一部の特定の鋭利さなどの固有の縁などが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0096】
図4は、本開示の一例による、カテーテル先端部を製造する例示的な方法400を示すフロー図である。方法400の工程410は、ドーム様形状のネガを含むインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、ドーム様形状を有するドームを含むカテーテル先端部の形状を形成することを含み得る。方法400の工程420は、カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めすることを含み得る。方法400の工程430は、インサートを除去し、それによってカテーテル先端部及び複数の灌注孔を残すことを含み得る。方法400の工程440は、カテーテル先端部を電気研磨することを含み得る。
【0097】
方法400は、当業者によって認識及び理解される追加の工程を含み得る。例えば、方法400は、カテーテル先端部のサイズ及び形状の金型からプラスチック材料を成形することによってインサートを形成することを含み得る。例示的な方法400は、当業者によって認識及び理解されるように、本明細書に開示される例示的なシステム、その変形例、又はその代替例によって実行することができる。
【0098】
図5は、本開示の一例による、複数のカテーテル先端部を製造する例示的な方法500を示すフロー図である。方法500の工程510は、ドーム様形状のネガを含む複数のインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、ドーム様形状を含む複数のカテーテル先端部を形成することを含み得る。方法500の工程520は、それぞれの各カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めすることを含み得る。方法500の工程530は、それぞれの各インサートを除去し、それによって、ドーム様形状を含むそれぞれのカテーテル先端部を残すことを含み得る。方法500の工程540は、複数のカテーテル先端部の各カテーテル先端部を電気研磨することを含み得る。
【0099】
方法500は、当業者によって認識及び理解される追加の工程を含み得る。例えば、方法500は、それぞれの各カテーテル先端部のサイズ及び形状の金型からプラスチック材料を成形することによってそれぞれの各インサートを形成することを含み得る。例示的な方法500は、当業者によって認識及び理解されるように、本明細書に開示される例示的なシステム、その変形例、又はその代替例によって実行することができる。
【0100】
図6は、本開示の一例による、カテーテル先端部を製造する例示的な方法600を示すフロー図である。方法600の工程610は、ドーム様形状のネガであるインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、カテーテル先端部の形状を、ドーム様形状を有するドームになるよう形成することを含み得る。電気メッキの工程によって、インサートが導電性材料でカプセル化され、それによってカテーテル先端部を形成する。方法600の工程620は、カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めすることを含み得る。方法600の工程630は、カテーテル先端部を電気研磨することを含み得る。
【0101】
図7は、本開示の一例による、複数のカテーテル先端部を製造する例示的な方法700を示すフロー図である。方法700の工程710は、ドーム様形状のネガを含む複数のインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、ドーム様形状を有する複数のカテーテル先端部を形成することを含み得る。電気メッキの工程によって、インサートが導電性材料でカプセル化され、それによってカテーテル先端部を形成する。方法700の工程720は、カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めすることを含み得る。方法700の工程730は、カテーテル先端部を電気研磨することを含み得る。
【0102】
図8は、本開示の一例による、複数のカテーテル先端部を製造する例示的な方法800を示すフロー図である。方法800の工程810は、複数のカテーテル先端部を製造するための、前述の任意の方法を同時に実行することを含み得る。
【0103】
いくつかの例では、インサートは、横方向の成長を考慮に入れ、灌注孔標的及び壁厚に合わせてサイズ決めされた各灌注孔の場所で、ネガの成形部品に、ネガのフォトレジスト形成マスクコーティングを適用することによって形成され得る。いくつかの例では、0.005インチの厚さのドーム内の0.003インチの孔には、0.013インチのフォトレジストドットが含まれ得る。この例のマスクされた領域は、マスクされた領域上の表面メッキを阻止し、周囲のメッキ可能な表面からの環状の成長を可能にすることができる。メッキの厚さを制御すること、及び/又はメッキの高さ:幅の比率をおよそ1:1に維持することによって、結果として生じる孔サイズが、標的を満たすことができる。この点で、ネガフォトレジストプロセスは、ネガ成形部品を光架橋(例えば、SU-8エポキシ系ポリマー)又は光硬化(例えばメチルメタクリレート)材料の層でコーティングし、次いで、孔パターンの場所を適切な硬化処理(例えば、電子ビーム又はUV光)に曝露させることによって、実施することができる。いくつかの例では、次いで、フォトレジスト現像液を適用して、非現像層を除去して、所望のパターン及びサイズでレジスト層のみを残すことができる。いくつかの例では、電極材料は、この表面から成長しない可能性があるため、灌注孔は開いたままであり得る。この例では、灌注孔を作製するために使用されるフォトレジスト堆積物の直径及び厚さを、作製された電極の内部にはめ込む形状(例えば、円)にすることができ、灌注孔は、フォトレジストコーティングの縁にわたって電極金属が成長する際に作製され得るため、特に有利である。
【0104】
本明細書に含まれる記述は、本開示の実施形態の例であり、本開示の範囲を何ら制限するものではない。本明細書に記載されるように、本開示は、複数のカテーテル先端部を同時に製造するために、本明細書で検討されている方法、工程、カテーテル先端部、及び解決策のいずれかを含む多くの変形及び修正が想到される。これらの修正は、本開示が関連する当業者には明らかであり、以下に続く特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0105】
〔実施の態様〕
(1) カテーテル先端部を製造する方法であって、
ドーム様形状のネガ(negative)を含むインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、前記ドーム様形状を有するドームを含む前記カテーテル先端部の形状を形成する工程と、
前記カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めする工程と、
前記インサートを除去することによって、前記カテーテル先端部及び前記複数の灌注孔を残す工程と、
前記カテーテル先端部を電気研磨する工程と、
を含む、方法。
(2) 前記カテーテル先端部が、ドーム様のカバーを有して略管状である、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記インサートが、内側管腔を有して略管状である、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記インサートが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を含むプラスチックを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記インサートが、ポリカーボネートを含むプラスチックを含む、実施態様1に記載の方法。
【0106】
(6) 前記導電性材料が、金、パラジウム、及び白金のうちの少なくとも1つを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記複数の灌注孔を選択的に位置決めする前記工程が、
灌注孔径を選択する工程と、
カテーテル先端部の壁厚を選択する工程と、
前記材料の横方向及び垂直方向の成長率を決定する工程と、
前記灌注孔径、前記壁厚、並びに前記材料の前記横方向及び前記垂直方向の成長率に基づいて、インサート灌注孔ネガのサイズを決定する工程と、
を含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記材料の前記横方向及び前記垂直方向の成長率が1:1であり、インサート灌注孔ネガのサイズを決定する前記工程が、前記灌注孔径を前記カテーテル先端部の壁厚に加える工程を含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記複数の灌注孔を選択的に位置決めする前記工程が、同時に行われる、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記インサート上に前記導電性材料を電気メッキする工程が、
ピンと前記インサートの長手方向軸とを軸方向に整列させることと、
電気メッキ中に前記ピンによって前記インサートを保持することと、
を含む、実施態様1に記載の方法。
【0107】
(11) 前記複数の灌注孔を選択的に位置決めする前記工程が、副次的非メッキ性材料から前記カテーテル先端部に灌注孔パターンを形成することを含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記インサートの外径を前記カテーテル先端部の内径に設定することを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記副次的非メッキ性材料の段差を前記カテーテル先端部の基部に隣接する下縁に位置決めすることを更に含み、前記段差はおよそ50.8μm(0.002インチ)の高さを含み、これによって前記下縁を厚くし、丸みのある縁が形成されるのを防止する、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記孔パターン内の1つ又は2つ以上の孔の孔径を壁厚分だけオフセットすることを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記複数の灌注孔を選択的に位置決めする前記工程及び前記インサートを除去する前記工程の後に、前記導電性材料の横方向及び垂直方向の成長の1:1の比率を維持することを更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0108】
(16) 複数のカテーテル先端部を製造する方法であって、
ドーム様形状のネガを含む複数のインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、前記ドーム様形状を含む複数のカテーテル先端部を形成することと、
それぞれの各カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めすることと、
それぞれの各インサートを除去し、それによって、前記ドーム様形状を含むそれぞれのカテーテル先端部を残すことと、
前記複数のカテーテル先端部の前記カテーテル先端部を電気研磨することと、
を含む、方法。
(17) 前記複数の灌注孔を選択的に位置決めする前記工程が、
灌注孔径を選択する工程と、
カテーテル先端部の壁厚を選択する工程と、
前記材料の横方向及び垂直方向の成長率を決定する工程と、
前記灌注孔径、前記壁厚、並びに前記材料の前記横方向及び前記垂直方向の成長率に基づいて、インサート灌注孔ネガのサイズを決定する工程と、
を含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記材料の前記横方向及び前記垂直方向の成長率が1:1であり、インサート灌注孔ネガのサイズを決定する前記工程が、前記灌注孔径を前記カテーテル先端部の壁厚に加えることを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 複数のカテーテル先端部を製造する方法であって、
ドーム様形状のネガを含む複数のインサート上に導電性材料を電気メッキし、それによって、前記ドーム様形状を含む複数のカテーテル先端部を形成することであって、前記電気メッキの工程によって、前記インサートが前記導電性材料でカプセル化され、それによって前記カテーテル先端部を形成する、形成することと、
それぞれの各カテーテル先端部の外表面と内表面との間に複数の灌注孔を選択的に位置決めすることと、
前記複数のカテーテル先端部の前記カテーテル先端部を電気研磨することと、
を含む、方法。
(20) 実施態様19に記載の方法によって作製された複数のカテーテル先端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】