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特表2023-507152胆汁酸及びフェニル酪酸化合物の組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(54)【発明の名称】胆汁酸及びフェニル酪酸化合物の組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20230214BHJP
   A61K 31/575 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 31/22 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230214BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230214BHJP
   A61P 25/28 20060101ALN20230214BHJP
   A61P 25/02 20060101ALN20230214BHJP
   A61P 21/00 20060101ALN20230214BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20230214BHJP
【FI】
A61K31/192
A61K31/575
A61K31/22
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/04
A61K47/14
A61K47/12
A61K47/10
A61P25/28
A61P25/02
A61P21/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537068
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 US2020065145
(87)【国際公開番号】W WO2021126870
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/948,756
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/030,793
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/940,102
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515265950
【氏名又は名称】アミーリクス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】43 Thorndike St,Cambridge,MA 02141,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】クレー、ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】マー、デイビッド・ワイ・フン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076DD21
4C076DD26Z
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD46
4C076DD47
4C076DD67
4C076EE23
4C076EE30
4C076FF52
4C076GG12
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA11
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA41
4C086NA10
4C086ZA16
4C086ZA22
4C086ZA94
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA21
4C206DA23
4C206DB13
4C206DB48
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA61
4C206NA10
4C206ZA16
4C206ZA22
4C206ZA94
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、フェニル酪酸化合物及び胆汁酸を含む組成物、並びにそのような組成物を処理する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約15%~約45w/w%のフェニル酪酸化合物;
(b)約5%~約15w/w%の胆汁酸;
(c)約8%~約24w/w%のデキストレート;
(d)約1%~約6w/w%の糖アルコール;及び、
(e)約22%~約35%のマルトデキストリン、
を含み、
前記フェニル酪酸化合物及び前記胆汁酸の重量比は約3:1である、組成物。
【請求項2】
約8%~約12w/w%の胆汁酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記胆汁酸は親水性の胆汁酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記胆汁酸は、タウルウルソジオール(TURSO)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ケノデオキシコール酸、コール酸、ヒオデオキシコール酸、リトコール酸及びグリコウルソデオキシコール酸からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記胆汁酸はTURSOである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
約9.7w/w%のTURSOを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
約25%~約35w/w%のフェニル酪酸化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記フェニル酪酸化合物は、4-フェニル酪酸(4-PBA)、グリセロールフェニル酪酸(Glycerly Tri-(4-phenylbutyrate))、フェニル酢酸、2-(4-メトキシフェノキシ)酢酸(2-POAA-OMe)、2-(4-ニトロフェノキシ)酢酸(2-POAA-NO)及び2-(2-ナフチルオキシ)酢酸(2-NOAA)、並びに薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記フェニル酪酸化合物は4-PBAの薬学的に許容される塩である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記4-PBAの薬学的に許容される塩はフェニル酪酸ナトリウムである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
約29.2w/w%のフェニル酪酸ナトリウムを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
約10%~約20w/w%のデキストレートを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
約15.6w/w%のデキストレートを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
約2%~約5w/w%の糖アルコールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記糖アルコールは、ソルビトール、キシリトール及びマンニトールからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記糖アルコールはソルビトールである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
約3.9w/w%のソルビトールを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
約25%~約32w/w%のマルトデキストリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記マルトデキストリンはエンドウマメマルトデキストリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
スクラロースを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
約0.5%~約5w/w%のスクラロースを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
約1%~約3w/w%のスクラロースを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
1種以上の香味剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
約2%~約15w/w%の1種以上の香味剤を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
約5%~約10w/w%の香味剤を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
約0.05%~約2w/w%の多孔質シリカを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
約0.05%~約1.5w/w%の多孔質シリカを含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記多孔質シリカは、約20%以上の湿度における吸湿容量が、ヒュームドシリカと比較して高い、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記多孔質シリカは、約90%以上の湿度における吸湿容量が、ヒュームドシリカと比較して高い、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記多孔質シリカは、湿度約50%の吸湿容量が約5重量%~約40重量%である、請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
前記多孔質シリカは、湿度約50%の吸湿容量が約30重量%~約40重量%である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記多孔質シリカは、約20%以上の湿度における空隙率がヒュームドシリカと比較して高い、請求項27に記載の組成物。
【請求項33】
前記多孔質シリカは、約90%以上の湿度における空隙率がヒュームドシリカと比較して高い、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記多孔質シリカは、平均細孔容積が約0.1cc/gm~約2.0cc/gmである、請求項27に記載の組成物。
【請求項35】
前記多孔質シリカは、平均細孔容積が約0.2~約0.8cc/gmである、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記多孔質シリカは、かさ密度が約100g/L~約600g/Lである、請求項27に記載の組成物。
【請求項37】
前記多孔質シリカは、かさ密度が約400g/L~約600g/Lである、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
約0.5%~約5w/w%の緩衝剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項39】
前記緩衝剤はリン酸ナトリウムである、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記リン酸ナトリウムは二塩基性リン酸ナトリウムである、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
約2.7w/w%の二塩基性リン酸ナトリウムを含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
約0.05%~約1w/w%の1種以上の滑沢剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項43】
前記1種以上の滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、ベヘン酸グリセリル及び水素化油からなる群から選択される、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記1種以上の滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウムである、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
約0.5w/w%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記組成物のCarr指数が約25以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項47】
前記組成物のCarr指数が約20以下である、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物のCarr指数が約12以下である、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
約29.2w/w%のフェニル酪酸ナトリウム;
約9.7w/w%のTURSO;
約15.6w/w%のデキストレート;
約3.9w/w%のソルビトール;
約1.9w/w%のスクラロース;
約28.3w/w%のマルトデキストリン;
約7.3w/w%の香味剤;
約0.1w/w%の二酸化ケイ素;
約2.7w/w%のリン酸ナトリウム;及び、
約0.5w/w%のフマル酸ステアリルナトリウム
を含む、組成物。
【請求項50】
組成物を処理する方法であって、
(i)重量比が約3:1のフェニル酪酸ナトリウム及びTURSOを含むプレブレンド組成物をローラー圧縮し、圧縮されたプレブレンドを形成すること;及び、
(ii)前記圧縮されたプレブレンドを顆粒化し、Carr指数が約12以下の顆粒を形成すること
を含む、方法。
【請求項51】
前記プレブレンド組成物は、約15%~約45w/w%のフェニル酪酸ナトリウム及び約5%~約15w/w%のTURSOを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
工程(i)の前に、フェニル酪酸ナトリウムを含む第1の組成物及びTURSOを含む第2の組成物をブレンドして、プレブレンド組成物を形成することを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記第1及び第2の組成物のブレンド時間は1時間以内である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記第1及び第2の組成物のブレンド時間は30分以内である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記第1及び第2の組成物のブレンド速度は約10rpm~約20rpmである、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記速度が約15rpmである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
工程(i)が、前記プレブレンド組成物を約5kN/cm~約15kN/cmの圧縮力でローラー圧縮することを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
前記圧縮力が約8kN/cm~約12kN/cmである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記圧縮力が約10kN/cmである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
工程(i)が、前記プレブレンド組成物を、ギャップ幅が約1mm~約5mmの少なくとも2つの回転ロールの間でローラー圧縮することを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項61】
前記ギャップ幅が約2mm~約3mmである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
工程(i)が、前記プレブレンド組成物を、ロール速度が約4rpm~約12rpmの少なくとも2つの回転ロールの間でローラー圧縮することを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項63】
工程(i)が、前記プレブレンド組成物を約10℃~約30℃でローラー圧縮することを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項64】
前記プレブレンド組成物を約12℃~約18℃に冷却することを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
工程(ii)が、前記圧縮されたプレブレンドを、直径約0.8mm~約2mmの造粒スクリーンを使用して顆粒化することを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項66】
前記直径が約1.5mmである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
ブレンドの前に、前記第1及び第2の組成物をふるいにかけることを更に含む、請求項52に記載の方法。
【請求項68】
前記顆粒のかさ密度は、約0.2g/mL~約1.0g/mLである、請求項50に記載の方法。
【請求項69】
前記かさ密度は、約0.5g/mL~約0.7g/mLである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記顆粒のタップ密度は、約0.5g/mL~約1.2g/mLである、請求項50に記載の方法。
【請求項71】
前記タップ密度が約0.7g/mL~約0.9g/mLである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記顆粒のCarr指数が約10以下である、請求項50に記載の方法。
【請求項73】
前記顆粒中のTURSOの約75%を放出する溶解時間が約0.5~約15分である、請求項50に記載の方法。
【請求項74】
前記顆粒中のTURSOの約75%を放出する溶解時間が約0.5~約5分である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記顆粒中の前記フェニル酪酸ナトリウムの約75%を放出する溶解時間が約0.5~約15分である、請求項50に記載の方法。
【請求項76】
前記顆粒中の前記フェニル酪酸ナトリウムの約75%を放出する溶解時間が約0.5~約5分である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記組成物が、
約8%~約24w/w%のデキストレート;
約1%~約6w/w%の糖アルコール;及び、
約22%~約35w/w%のマルトデキストリン
を更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項78】
前記組成物が、
約29.2w/w%のフェニル酪酸ナトリウム;
約9.7w/w%のTURSO;
約15.6w/w%のデキストレート;
約3.9w/w%のソルビトール;
約1.9w/w%のスクラロース;
約28.3w/w%のマルトデキストリン;
約7.3w/w%の香味剤;
約0.1w/w%の二酸化ケイ素;
約2.7w/w%のリン酸ナトリウム;及び、
約0.5w/w%のフマル酸ステアリルナトリウム
を含む、請求項50に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月27日に出願された米国特許出願第16/940,102号、2019年12月16日に出願された米国仮特許出願第62/948,756号及び2020年5月27日に出願された米国仮特許出願第63/030,793号の優先権を主張し、これらのいずれも、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に、医薬組成物及びそれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
粉末及び他のバルク固体の流動特性は、医薬組成物の製造における重要な考慮事項である。加えて、粒度分布は、医薬品の下流工程及び包装にも影響を及ぼす。ある原薬は流動性が低く、改善された流動性を含む改善された物理的特性を有する改善された医薬組成物に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、フェニル酪酸化合物及び胆汁酸を含む組成物、並びにこの明細書で開示する組成物を処理する方法に関する。
【0005】
一側面では、この明細書では、(a)約15%~約45w/w%のフェニル酪酸化合物、(b)約5%~約15w/w%の胆汁酸、(c)約8%~約24w/w%のデキストレート、(d)約1%~約6w/w%の糖アルコール、及び、(e)約22%~約35%のマルトデキストリンを含み、フェニル酪酸化合物及び胆汁酸の重量比が約3:1の組成物が提供される。一部の態様では、組成物は約8%~約12w/w%の胆汁酸を含む。一部の態様では、胆汁酸は親水性の胆汁酸である。一部の態様では、胆汁酸は、タウルウルソジオール(TURSO、タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)としても公知である)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ケノデオキシコール酸、コール酸、ヒオデオキシコール酸、リトコール酸及びグリコウルソデオキシコール酸からなる群から選択される。一部の態様では、胆汁酸はTURSOである。一部の態様では、組成物は約9.7w/w%のTURSOを含む。一部の態様では、組成物は約25%~約35w/w%のフェニル酪酸化合物を含む。一部の態様では、フェニル酪酸化合物は、4-フェニル酪酸(4-PBA)、グリセロールフェニル酪酸(Glycerly Tri-(4-phenylbutyrate))、フェニル酢酸、2-(4-メトキシフェノキシ)酢酸(2-POAA-OMe)、2-(4-ニトロフェノキシ)酢酸(2-POAA-NO)及び2-(2-ナフチルオキシ)酢酸(2-NOAA)、並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。一部の態様では、フェニル酪酸化合物は4-PBAの薬学的に許容される塩である。一部の態様では、4-PBAの薬学的に許容される塩はフェニル酪酸ナトリウムである。一部の態様では、組成物は約29.2w/w%のフェニル酪酸ナトリウムを含む。一部の態様では、組成物は約10%~約20w/w%のデキストレートを含む。一部の態様では、組成物は約15.6w/w%のデキストレートを含む。一部の態様では、組成物は約2%~約5w/w%の糖アルコールを含む。一部の態様では、糖アルコールは、ソルビトール、キシリトール及びマンニトールからなる群から選択される。一部の態様では、糖アルコールはソルビトールである。一部の態様では、組成物は約3.9w/w%のソルビトールを含む。一部の態様では、組成物は約25%~約32w/w%のマルトデキストリンを含む。一部の態様では、マルトデキストリンはエンドウマメマルトデキストリンである。一部の態様では、組成物はスクラロースを更に含む。一部の態様では、組成物は約0.5%~約5w/w%のスクラロースを含む。一部の態様では、組成物は約1%~約3w/w%のスクラロースを含む。一部の態様では、組成物は1種以上の香味剤を更に含む。一部の態様では、組成物は約2%~約15w/w%の1種以上の香味剤を含む。一部の態様では、組成物は約5%~約10w/w%の香味剤を含む。
【0006】
一部の態様では、組成物は約0.05%~約2w/w%の多孔質シリカを更に含む。一部の態様では、組成物は約0.05%~約1.5w/w%の多孔質シリカを含む。一部の態様では、多孔質シリカは、約20%以上の湿度で、ヒュームドシリカと比較して高いHO吸着容量を有する。一部の態様では、多孔質シリカは、約90%以上の湿度で、ヒュームドシリカと比較して高いHO吸着容量を有する。一部の態様では、多孔質シリカの湿度約50%の吸湿容量は約5重量%~約40重量%である。一部の態様では、多孔質シリカの湿度約50%の吸湿容量は約30重量%~約40重量%である。一部の態様では、多孔質シリカは、約20%以上の湿度で、ヒュームドシリカと比較して高い空隙率を有する。一部の態様では、多孔質シリカは、約90%以上の湿度で、ヒュームドシリカと比較して高い空隙率を有する。一部の態様では、多孔質シリカの平均細孔容積は約0.1cc/gm~約2.0cc/gmである。一部の態様では、多孔質シリカの平均細孔容積は約0.2~約0.8cc/gmである。一部の態様では、多孔質シリカのかさ密度は約100g/L~約600g/Lである。一部の態様では、多孔質シリカのかさ密度は約400g/L~約600g/Lのかさ密度である。
【0007】
一部の態様では、組成物は約0.5%~約5w/w%の緩衝剤を更に含む。一部の態様では、緩衝剤はリン酸ナトリウムである。一部の態様では、リン酸ナトリウムは二塩基性リン酸ナトリウムである。一部の態様では、組成物は約2.7w/w%の二塩基性リン酸ナトリウムを含む。一部の態様では、組成物は約0.05%~約1w/w%の1種以上の滑沢剤を更に含む。一部の態様では、1種以上の滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、ベヘン酸グリセリル及び水素化油からなる群から選択される。一部の態様では、1種以上の滑沢剤はフマル酸ステアリルナトリウムである。一部の態様では、組成物は約0.5w/w%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0008】
一部の態様では、組成物のCarr指数は約25以下である。一部の態様では、組成物のCarr指数は約20以下である。一部の態様では、組成物のCarr指数は約12以下である。
【0009】
一部の態様では、この明細書では、約29.2w/w%のフェニル酪酸ナトリウム、約9.7w/w%のTURSO、約15.6w/w%のデキストレート、約3.9w/w%のソルビトール、約1.9w/w%のスクラロース、約28.3w/w%のマルトデキストリン、約7.3w/w%の香味剤、約0.1w/w%の二酸化ケイ素、約2.7w/w%のリン酸ナトリウム、及び、約0.5w/w%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む組成物が提供される。
【0010】
別の側面では、この明細書では、組成物を処理する方法であって、(i)重量比が約3:1のフェニル酪酸ナトリウム及びTURSOを含むプレブレンド組成物をローラー圧縮し、圧縮されたプレブレンドを形成すること、及び、(ii)圧縮されたプレブレンドを顆粒化し、Carr指数が約12以下の顆粒を形成することを含む方法が提供される。一部の態様では、プレブレンド組成物は、約15%~約45w/w%のフェニル酪酸ナトリウム及び約5%~約15w/w%のTURSOを含む。一部の態様では、この方法は、工程(i)の前に、フェニル酪酸ナトリウムを含む第1の組成物及びTURSOを含む第2の組成物をブレンドして、プレブレンド組成物を形成することを更に含む。一部の態様では、第1及び第2の組成物のブレンド時間は1時間以内である。一部の態様では、第1及び第2の組成物のブレンド時間は30分以内である。一部の態様では、第1及び第2の組成物のブレンド速度は約10rpm~約20rpmである。一部の態様では、速度は約15rpmである。一部の態様では、工程(i)は、プレブレンド組成物を約5kN/cm~約15kN/cmの圧縮力でローラー圧縮することを含む。一部の態様では、圧縮力は約8kN/cm~約12kN/cmである。一部の態様では、圧縮力は約10kN/cmである。
【0011】
明細書に記載の方法の一部の態様では、工程(i)は、プレブレンド組成物を、ギャップ幅が約1mm~約5mmの少なくとも2つの回転ロールの間でローラー圧縮することを含む。一部の態様では、ギャップ幅は約2mm~約3mmである。一部の態様では、工程(i)は、プレブレンド組成物を、ロール速度が約4rpm~約12rpmの少なくとも2つの回転ロールの間でローラー圧縮することを含む。工程(i)は、プレブレンド組成物を約10℃~約30℃でローラー圧縮することを含む。一部の態様では、この方法は、プレブレンド組成物を約12℃~約18℃に冷却することを含む。
【0012】
明細書に記載の方法の一部の態様では、工程(ii)は、圧縮されたプレブレンドを、直径約0.8mm~約2mmの造粒スクリーンを使用して顆粒化することを含む。一部の態様では、直径は約1.5mmである。一部の態様では、この方法は、第1及び第2の組成物をブレンドの前に、第1及び第2の組成物をふるいにかけることを含む。一部の態様では、顆粒のかさ密度は約0.2g/mL~約1.0g/mLである。一部の態様では、かさ密度は約0.5g/mL~約0.7g/mLである。一部の態様では、顆粒のタップ密度は約0.5g/mL~約1.2g/mLである。一部の態様では、タップ密度は約0.7g/mL~約0.9g/mLである。一部の態様では、顆粒のCarr指数は約10以下である。一部の態様では、顆粒中におけるTURSOの約75%を放出する溶解時間は約0.5~約15分である。一部の態様では、顆粒中におけるTURSOの約75%を放出する溶解時間は約0.5~約5分である。一部の態様では、顆粒中におけるフェニル酪酸ナトリウムの約75%を放出する溶解時間は約0.5~約15分である。一部の態様では、顆粒中におけるフェニル酪酸ナトリウムの約75%を放出する溶解時間は約0.5~約5分である。
【0013】
明細書に記載の方法の一部の態様では、組成物は、約8%~約24w/w%のデキストレート、約1%~約6w/w%の糖アルコール、及び、約22%~約35w/w%のマルトデキストリンを更に含む。一部の態様では、組成物は、約29.2w/w%のフェニル酪酸ナトリウム、約9.7w/w%のTURSO、約15.6w/w%のデキストレート、約3.9w/w%のソルビトール、約1.9w/w%のスクラロース、約28.3w/w%のマルトデキストリン、約7.3w/w%の香味剤、約0.1w/w%の二酸化ケイ素、約2.7w/w%のリン酸ナトリウム、及び、約0.5w/w%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0014】
別段の定義がない限り、ここで使用される技術分野の全ての用語、表記及び他の科学的用語又は術語は、本出願が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味を有するように意図されている。一部の場合において、明確にするために及び/又は即時参照できるように、一般に理解されている意味を持つ用語がここで定義されており、ここでのそのような定義の包含は、当技術分野において概して理解されていることに関して実質的な差異を表すと必ずしも解釈されるべきであるとは限らない。
【0015】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限及び下限との間の各介在する値及びその記載された範囲における任意の他の記載された又は介在する値は、文脈上明確に別のことを指示するのでない限り下限の単位の小数点第1位まで、本開示内に包括されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、より小さい範囲に独立して含まれていてもよく、記載された範囲における任意の具体的に除外される限界次第で、同じく本開示内に包括される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれか又は両方を除く範囲も本開示に含まれる。
【0016】
ある範囲は、用語「約」が先行する数値を伴ってここで提示される。用語「約」は、ここで、それが先行する正確な数字、及び該用語が先行する数字に近い又は近似する数字に文字どおりの支持を提供するために使用される。ある数字が具体的に挙げられている数字に近い又は近似するか否かを決定する際、近い又は近似の挙げられていない数字は、それが提示されている文脈で、具体的に挙げられている数字の実質的同等物を提供する数字であってもよい。
【0017】
明確にするために、別個の態様の文脈で記述されている本開示のある特色は、単一の態様において組み合わせて提供されてもよいことが分かる。逆に、簡潔にするために、単一の態様の文脈で記述されている本開示の種々の特色は、別個に又は任意の好適なサブ組合せで提供されてもよい。本開示に属する態様の全ての組合せは、本開示によって具体的に内包され、あたかもありとあらゆる組合せが個々に及び明示的に開示されているかのように、ここで開示される。加えて、種々の態様及びそれらの要素の全てのサブ組合せも、本開示によって具体的に内包され、あたかもありとあらゆるそのようなサブ組合せが個々に及び明示的にここで開示されているかのように、ここで開示される。
【0018】
ここで記述されているものと同様又は同等の方法及び材料が本発明の実践又は試験において使用されうるが、好適な方法及び材料を以下で記述する。ここで言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、その全体が組み込まれる。矛盾する場合、定義を含めて、本明細書が優先する。加えて、材料、方法及び実施例は、例証にすぎず、限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、フェニル酪酸ナトリウム及びTURSOの粒度分布を示す。
図2図2は、フェニル酪酸ナトリウムの吸着及び脱着のDVS等温プロットである。
図3図3は、TURSOの吸着及び脱着のDVS等温プロットある。
図4図4は、活性ブレンドの吸着及び脱着を示すDVS等温プロットである。
図5図5は、異なるシリカ系を有するブレンドの粒度分布を示す。
図6図6は、ブレンド均一性試料を得た16クォートVシェルの位置を示す。
図7図7は、プレブレンディング後の種々の試料の粒度分布を示す。
図8図8は、スクリーンサイズ1.0mmで造粒後の種々の試料の粒度分布を示す。
図9図9は、スクリーンサイズ1.5mmで造粒後の種々の試料の粒度分布を示す。
図10図10は、スクリーンサイズ2.0mmで造粒後の種々の試料の粒度分布を示す。
図11図11は、図8~10の結果の組合せを示す。
図12図12は、TUDCAの種々のサブバッチの溶解プロファイルを示す。
図13図13は、フェニル酪酸ナトリウムの種々のサブバッチの溶解プロファイルを示す。
図14図14は、最終ブレンディング分析のためにブレンド均一性試料を取得した位置を示す。
図15図15は、プラセボバッチのプレブレンドの粒度分布を示す。
図16図16は、プラセボバッチの圧縮された顆粒の粒度分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
原薬、例えば胆汁酸及びフェニル酪酸化合物は、数ある中でも、粉末医薬品の混合、スケールアップ及び包装を含む下流工程に影響を及ぼす、不十分な流動特性を有しうる。粉末材料の凝集は、含量均一性及び下流工程にも影響を与える可能性がある。本発明は、最終的な顆粒の、流動特性、均一性、安定性が改善され、凝集が減少した、胆汁酸及びフェニル酪酸化合物を含有する製剤、並びに、それを製造する方法を提供する。したがって、本発明は、(a)約15%~約45w/w%のフェニル酪酸化合物(例えば、明細書に記載の又は当技術分野で公知のフェニル酪酸化合物のいずれか)、(b)約5%~約15w/w%の胆汁酸(例えば、明細書に記載の又は当技術分野で公知の胆汁酸のいずれか)、(c)約8%~約24w/w%のデキストレート(例えば、明細書に記載の又は当技術分野で公知のデキストレートのいずれか)、(d)約1%~約6w/w%の糖アルコール(例えば、明細書に記載の又は当技術分野で公知の糖アルコールのいずれか)、及び、(e)約22%~約35%のマルトデキストリンを含み、フェニル酪酸化合物及び胆汁酸の重量比が約3:1の組成物を提供する。本発明の組成物は、Carr指数が約25以下、約20以下又は約12以下であってもよい。明細書に記載の組成物の一部の態様では、組成物は水溶性である。
【0021】
この明細書で提供する製造方法は、一部分において乾式造粒処理に基づく。本発明者らは、活性医薬組成物単独と比較して、流動特性及び安定性が改善される組成物の処理方法を発見した。したがって、明細書では、組成物を処理する方法であって、(i)重量比が約3:1のフェニル酪酸ナトリウム及びTURSOを含むプレブレンド組成物をローラー圧縮し、圧縮されたプレブレンドを形成すること、及び、(ii)圧縮されたプレブレンドを顆粒化し、Carr指数が約12以下の顆粒を形成することを含む方法が提供される。明細書に記載の方法は、工程(i)の前に、フェニル酪酸ナトリウムを含む第1の組成物及びTURSOを含む第2の組成物をブレンドして、プレブレンド組成物を形成することも含みうる。
【0022】
Carr指数
明細書に記載の組成物の一部の態様では、組成物のCarr指数は約25以下である。例えば、組成物のCarr指数は、約21~約25(例.約22、23又は24)、約16~約20(例.約17、18又は19)、約11~約15(例.約12、13又は14)又は約10以下(例.9、8、7、6、5、4、3、2又は1)であってもよい。一部の態様では、組成物のCarr指数は、約26~約31(例.約27、28、29又は30)、約32~約37(例.約32、33、34、35又は36)又は約38超である。
【0023】
組成物のCarr指数(又はCarrの圧縮性指数)は、材料の圧縮性(又は圧縮される組成物の傾向)及び流動性を示すことがある。一部の場合において、Carr指数は材料のかさ密度及びタップ密度に関連する。かさ密度は、材料、例えば粉末及び顆粒の特性であり、材料中における粒子の質量を占有されている全容積で割ることによって測定できる。全容積は、粒子体積、粒子間空隙容積及び/又は内部細孔容積を含みうる。粉末材料では、かさ密度は粒子の密度と粉末中における粒子の空間配置の両者によって決まりうる。タップ密度は、通常、指定された圧縮処理、例えば材料を含有する容器を機械的にタップすること又は振動させることの後に到達したかさ密度の増大である。
【0024】
粉末又は顆粒を含有する組成物のかさ密度及びタップ密度は、当技術分野で公知の方法で測定できる。例えば、粉末のかさ密度は未タップの試料の質量と体積との間の比であることができる。粉末のかさ密度は、ふるいを通過して容器(例えば、メスシリンダー)に入ったものであってもよい公知の重量の粉末試料の体積を測定することによって、又は容積計を通過して容器に入った公知の体積の粉末の質量を測定することによって、決定することもできる。タップ密度は、例えば、試料を含有する容器(例.測定用メスシリンダー又はベッセル)を機械的にタップすることによって取得されうる。材料のCarr指数は、例えば、
式C=100(1-pB/pT)
(CはCarr指数を表し、pBはかさ密度を表し、pTはタップ密度を表す)
に従って、かさ密度及びタップ密度に基づいて算出されうる。材料のCarr指数を決定する追加の方法は、例えば、ASTM-D6393, Standard test method for bulk solids characterization by Carr indices, J. ASTM Int. 04.09 (2014);及びR.E. Riley, H.H. Hausner, Effect of particle size distribution on the friction in a powder mass, Int. J. Powder Metall. 6 (1970) 17-22において見ることができる。
【0025】
Carr指数は材料の流動性を示すことがある。例えば、高いCarr指数(かさ密度とタップ密度の大きな差)は低い流動性に関連する可能性がある。H=pT/pBとして表されるハウスナー比、又はかさ密度に対するタップ密度の比も、材料の流動性に関連する可能性がある。
【0026】
材料の流動性、例えば安息角を測定するための追加の流動指数も、この発明では企図されている。顆粒状材料の安息角は、材料を崩れることなく積み上げることができる水平面から測定された、拘束されていない材料の最も急な傾斜によって表すことができる(例えば、Mehta et al. Prog. Phys. 57 (1994) 383-416を参照)。材料の安息角を測定する代表的な方法は、例えば、Beakawi et al., Powder Technology 330 (2018) 397-417において見ることができる。気体中における粘着力及び懸濁次第で小型顆粒状材料として定義されうる粉末では、安息角の定義はハウスナー比に関連する可能性があり(例えば、Beddow Part. Part. Syst. Charact. 12 (4): 213, 1995を参照)、安息角よりも大きい角度で、粉末は流動できる。安息角は、以下に示す流動性のCarr分類を参照して、顆粒状材料の粘着性を示すこともある。
【0027】
【表A】
【0028】
胆汁酸
本発明は、約5%~約15w/w%(例.約6%~約14%、約7%~約13%、約8%~約12%、約8%~約11%、約9%~約10%又は約9.7w/w%)の胆汁酸を含む組成物を提供する。明細書に記載の胆汁酸は、代表的にはステロール核のC6、C7又はC12位において、3α-ヒドロキシル基で置換されている及び任意に他のヒドロキシル基で置換されていてもよいコラン酸に由来する核を有する自然発生の界面活性剤を含むことができる。好適な胆汁酸は、タウルウルソジオール(TURSO)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ケノデオキシコール酸(「ケノジオール」又は「ケノ酸」とも称される)、コール酸、ヒオデオキシコール酸、デオキシコール酸、7-オキソリトコール酸、リトコール酸、ヨードデオキシコール酸、イオコール酸(iocholic acid)、タウロケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、コール酸、又はそのアナログ、誘導体若しくはプロドラッグを含むがこれらに限定されない。一部の態様では、胆汁酸は、TURSO、UDCA、ケノデオキシコール酸、コール酸、ヒオデオキシコール酸、リトコール酸及びグリコウルソデオキシコール酸を含むがこれらに限定されない、親水性の胆汁酸である。明細書に記載の胆汁酸の薬学的に許容される塩又は溶媒和物も企図されている。胆汁酸誘導体も企図されており、これは、胆汁酸のヒドロキシル及びカルボン酸基で、他の官能基、例えばハロゲン及びアミノ基と形成される誘導体を含むがこれらに限定されない。TURSO及びタウルソデオキシコール(Taursodeoxycholic)酸(TUDCA)は、この明細書では交換可能に使用される。
【0029】
明細書に記載の胆汁酸は、式Iに示すTURSOであることができる(どこで置換がなされてもよいかを理解することを支援するための標識炭素を伴う)。
【0030】
【化1】
【0031】
明細書に記載の組成物は、約5%~約15w/w%(例えばこの範囲内の範囲)のTURSOを含むことができる。一部の態様では、組成物は、約9.7%のTURSOを含む。明細書に記載の組成物のTURSOのCarr指数は、約22~約26(例.約23、24又は25)であってもよい。
【0032】
明細書に記載の胆汁酸は、式IIに示すUDCAであることができる(どこで置換がなされてもよいかを理解することを支援するための標識炭素を伴う)。
【0033】
【化2】
【0034】
生理学的に関連する胆汁酸誘導体、例えば、TURSO又はUDCAの式において3若しくは7位に水素の置換の任意の組合せ及び/又は3若しくは7位にヒドロキシル基の立体化学におけるシフトを有する化合物は、本発明の組成物における使用に好適である。
【0035】
明細書に記載の若しくは当技術分野で公知の胆汁酸、又は薬学的に許容されるその塩のいずれかのアミノ酸抱合体は、現在記述されている組成物にも好適である。抱合体におけるアミノ酸は、タウリン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、メチオニン又はカルボシステインでありうるがこれらに限定されない。例えば、本発明に包含されるのは、式IIIの化合物:
【0036】
【化3】
【0037】
[式中、Rは、-H又はC~Cアルキルであり、Rは、-CH-SOであり、Rは、-Hであるか;又は、Rは、-COOHであり、
は、-CH-CH-CONH、-CH-CONH、-CH-CH-SCH又は-CH-S-CH-COOHであり、Rは、-H又は塩基性アミノ酸の残基である]
又はその薬学的に許容される塩、アナログ、誘導体、プロドラッグ若しくはそれらの混合物である。
【0038】
フェニル酪酸化合物
本発明は、約15%~約45w/w%(例.約20%~約40%、約25%~約35%、約28%~約32%又は約29%~約30%、例えば、約29.2w/w%)のフェニル酪酸化合物を含む組成物を提供する。明細書に記載のフェニル酪酸化合物は、遊離酸(4-フェニルブチレート(4-PBA)、4-フェニル酪酸又はフェニル酪酸)としてのフェニル酪酸(低分子量芳香族カルボン酸)及びその薬学的に許容される塩、共結晶、多形、水和物、溶媒和物、抱合体、誘導体又はプロドラッグを包含する。明細書に記載のフェニル酪酸化合物は、グリセロールフェニル酪酸(Glycerly Tri-(4-phenylbutyrate))、フェニル酢酸(4-PBAの活性代謝産物である)、2-(4-メトキシフェノキシ)酢酸(2-POAA-OMe)、2-(4-ニトロフェノキシ)酢酸(2-POAA-NO)及び2-(2-ナフチルオキシ)酢酸(2-NOAA)を含むがこれらに限定されない4-PBAのアナログ、並びにそれらの薬学的に許容される塩も包含する。4-PBAアナログの構造は、例えば、Zhang et al., Br J Pharmacol 2013 Oct; 170(4): 822-834において見ることができる。フェニル酪酸化合物は、生理学的に関連する4-PBA種、例えばこれらに限定されないが4-PBAの構造において重水素による水素の任意の置換を有するものも包含する。4-PBAの生理学的に許容される塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウム塩を含む。
【0039】
一部の態様では、本発明は、約15%~約45w/w%(例えばこの範囲内の範囲)のフェニル酪酸ナトリウムを含む組成物を提供する。一部の態様では、組成物は、約29.2%のフェニル酪酸ナトリウムを含む。明細書に記載の組成物のフェニル酪酸ナトリウムのCarr指数は、約35以上(例.約36、37、38、39又は40以上)であってもよい。フェニル酪酸ナトリウムは、以下の構造:
【0040】
【化4】
【0041】
を有する。
【0042】
一部の事例において、胆汁酸(例.TURSO)及びフェニル酪酸化合物(例.フェニル酪酸ナトリウム)の組合せは、神経変性疾患に関連する1つ以上の症状を治療するために対象に投与された場合、相乗的効能を有する。代表的な神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病、ハンチントン病、脳卒中、ピック病、多発脳梗塞性認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、レビー小体型認知症、混合型認知症及び前頭側頭型認知症を含むがこれらに限定されない。胆汁酸及びフェニル酪酸化合物の組合せは、例えば、線形モデリングによって強い酸化的傷害モデル(過酸化水素媒介毒性)においてニューロンの生存能力における数学的に相乗的な増大を誘発できる。そのような組合せ療法は、米国特許第9,872,865号及び米国特許第10,251,896号において開示されている。
【0043】
一部の態様では、明細書で提供する組成物におけるフェニル酪酸化合物及び胆汁酸の重量比は、約1:1~約4:1(例.2:1又は3:1)である。一部の態様では、明細書で提供する組成物におけるフェニル酪酸化合物及び胆汁酸の重量比は約3:1である。
【0044】
デキストレート
明細書に記載の組成物の一部の態様は、約8%~約24w/w%(例.約9%~約23%、約10%~約22%、約10%~約20%、約11%~約21%、約12%~約20%、約13%~約19%、約14%~約18%、約14%~約17%、約15%~約16%、又は約15.6w/w%)のデキストレートを含む。無水物及び水和物のデキストレートが本発明では企図されている。本発明のデキストレートは、デンプンの制御された酵素加水分解から開発された糖類の混合物を含むことができる。明細書に記載の組成物の一部の態様は、水和デキストレート(例えば、NFグレード、JRS Pharma、Colonial Scientific又はQuadraから入手したもの)を含む。
【0045】
糖アルコール
明細書に記載の組成物の一部の態様は、約1%~約6w/w%(例.約2%~約5%、約3%~約4%、又は約3.9w/w%)の糖アルコールを含む。糖アルコールは、糖に由来することができ、各炭素原子に結合している1つのヒドロキシル基(-OH)を含有することができる。二糖及び単糖は、糖アルコールを形成することができる。糖アルコールは、天然であってよく、又は糖の水素化によって製造されうる。代表的な糖アルコールは、ソルビトール、キシリトール及びマンニトールを含むがこれらに限定されない。一部の態様では、組成物は、約1%~約6w/w%(例えば、約2%~約5%、約3%~約4%、又は約3.9w/w%)のソルビトールを含む。
【0046】
マルトデキストリン
明細書に記載の組成物の一部の態様は、約22%~約35w/w%(例.約22%~約33%、約24%~約31%、約25%~約32%、約26%~約30%又は約28%~約29w/w%、例えば、約28.3w/w%)のマルトデキストリンを含む。マルトデキストリンは、柔軟ならせんを形成して、溶液中に可溶化された場合に活性原料(例えば、明細書に記載のフェニル酪酸化合物及び胆汁酸のいずれか)の封入を可能にし、それにより、活性原料の味を隠すことができる。エンドウマメ、コメ、タピオカ、コーン及びバレイショを含むがこれらに限定されない、好適な供給源から製造されたマルトデキストリンが、本発明では企図されている。一部の態様では、マルトデキストリンはエンドウマメマルトデキストリンである。一部の態様では、組成物は約28.3w/w%のエンドウマメマルトデキストリンを含む。例えば、Roquette(KLEPTOSE(登録商標)LINECAPS)から入手したエンドウマメマルトデキストリンが使用されうる。
【0047】
スクラロース
明細書に記載の組成物の一部の態様は、スクラロースを更に含む。一部の態様では明細書に記載の組成物は、約0.5%~約5w/w%(例.約1%~約4%、約1%~約3%又は約1%~約2%、例えば、約1.9w/w%)のスクラロースを含む。本発明で企図されている他の糖代用品は、アスパルテーム、ネオテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン及びアドバンテームを含むがこれらに限定されない。
【0048】
香味剤
明細書に記載の組成物の一部の態様は、1種以上の香味剤を更に含む。一部の態様では、明細書に記載の組成物は、約2%~約15w/w%(例.約3%~約13%、約3%~約12%、約4%~約9%、約5%~約10%又は約5%~約8%、例えば、約7.3w/w%)の香味剤を含む。香味剤は、別の物質の香味を与える、又はその味に影響を及ぼすことによって組成物の特徴を変化させる、物質を含むことができる。香味剤は、物理的及び化学的安定性に影響を及ぼすことなく不快な味を隠すために使用でき、組み込まれる薬物の味に基づいて選択できる。好適な香味剤は、天然香味物質、人工香味物質及び模倣香味を含むがこれらに限定されない。一部の態様では、香味剤のブレンドが使用される。例えば、明細書に記載の組成物は、2種以上(例.2、3、4、5種以上)の香味剤を含むことができる。明細書に記載の香味剤は、水中で可溶性及び安定であることができる。好適な香味剤の選択は、味覚試験に基づくことができる。例えば、複数の異なる香味剤を組成物に別個に添加でき、これらは味覚試験が行われる。代表的な香味剤は、任意の果実香味粉末(例.モモ、イチゴ、マンゴー、オレンジ、リンゴ、ブドウ、ラズベリー、サクランボ又はミックスベリー香味粉末)を含む。一部の態様では、明細書に記載の組成物のいずれかは、約0.5%~約1.5w/w%(例.約1w/w%)のミックスベリー香味粉末を含む。一部の態様では、明細書に記載の組成物は、約5%~約7w/w%(例.約6.3w/w%)のマスキングフレーバーを含む。好適なマスキングフレーバーは、例えばFirmenichから入手されうる。
【0049】
シリカ
この明細書で提供する組成物の一部の態様は、二酸化ケイ素(又はシリカ)を更に含む。組成物へのシリカの添加は、組成物の成分の凝集を防止する又は低減させることができる。シリカは、固化防止剤、吸着剤、崩壊剤又は流動促進剤として役立つことができる。一部の態様では、明細書に記載の組成物は、約0.05%~約2w/w%(例.約0.05%~約1.5%、約0.07%~約1.2%又は約0.08%~約0.1%、例えば、0.09w/w%)の多孔質シリカを含む。多孔質シリカは、例えば、湿度約20%以上(例.約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%以上)において、ヒュームドシリカと比較して、高いHO吸収容量及び/又は高い空隙率を有することができる。一部の態様では、多孔質シリカは、湿度約50%で、重量で約5%~約40%(例.約20%~約40%又は約30%~約40%)の吸湿容量を有する。多孔質シリカは、湿度約20%以上(例.約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上)で、ヒュームドシリカと比較して、高い空隙率を有することができる。一部の態様では、多孔質シリカの平均粒度は、約2μm~約10μm(例.約3μm~約9μm、約4μm~約8μm、約5μm~約8μm又は約7.5μm)である。一部の態様では、多孔質シリカの平均細孔容積は、約0.1cc/gm~約2.0cc/gm(例.約0.1cc/gm~約1.5cc/gm、約0.1cc/gm~約1cc/gm、約0.2cc/gm~約0.8cc/gm、約0.3cc/gm~約0.6cc/gm、又は約0.4cc/gm)である。一部の態様では、多孔質シリカのかさ密度は、約50g/L~約700g/L(例.約100g/L~約600g/L、約200g/L~約600g/L、約400g/L~約600g/L、約500g/L~約600g/L、約540g/L~約580g/L、又は約560g/L)である。一部の態様では、明細書に記載の組成物は、約0.05%~約2w/w%(例えば、この範囲のいずれかのサブ範囲)のSyloid(登録商標)63FP(WR Grace)を含む。
【0050】
緩衝剤及び滑沢剤
明細書に記載の組成物の一部の態様は、1種以上の緩衝剤を更に含む。一部の態様では、組成物は、約0.5%~約5w/w%(例.約1%~約4%、約1.5%~約3.5%又は約2%~約3%、例えば、約2.7w/w%)の緩衝剤を含む。緩衝剤は、別の酸又は塩基の添加後に組成物の酸性度又はpHを選択した値付近に維持する、弱酸又は塩基を含むことができる。好適な緩衝剤は当技術分野において公知である。一部の態様では、明細書で提供する組成物における緩衝剤は、ホスフェート、例えばリン酸ナトリウム(例.二塩基性リン酸ナトリウム無水物)である。例えば、組成物は、約2.7w/w%の二塩基性リン酸ナトリウムを含むことができる。
【0051】
明細書に記載の組成物の一部の態様は、1種以上の滑沢剤を更に含む。一部の態様では、組成物は、約0.05%~約1w/w%(例.約0.1%~約0.9%、約0.2%~約0.8%、約0.3%~約0.7%又は約0.4%~約0.6%、例えば、約0.5w/w%)の滑沢剤を含む。代表的な滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、金属ステアリン酸塩、タルク、高い溶融温度を持つワックス及びグリセリド、コロイド状シリカ、ポリエチレングリコール、アルキルサルフェート、ベヘン酸グリセリル、並びに水素化油を含むがこれらに限定されない。追加の滑沢剤は当技術分野において公知である。一部の態様では、組成物は約0.05%~約1w/w%(例えばこの範囲内の範囲)のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。例えば、組成物は、約0.5w/w%のフマル酸ステアリルナトリウムを含むことができる。
【0052】
例えばキシロース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、デキストロース、スクロース、マルトース、ステビオールグリコシド、部分加水分解デンプン及びコーンシロップ固体であるがこれらに限定されない、追加の好適な甘味料又は矯味剤も、明細書に記載の組成物に含まれうる。水溶性人工甘味料、例えば可溶性サッカリン塩(例.ナトリウム又はカルシウムサッカリン塩)、シクラミン酸塩、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、並びにサッカリン及びアスパルテームベースの甘味料の遊離酸形態、例えばL-アスパルチル-フェニルアラニンメチルエステル、Alitame(登録商標)又はNeotame(登録商標)が、本発明で企図されている。甘味料又は矯味剤の量は、特定の最終組成物のために選択される甘味料又は矯味剤の所望の量に伴って変動しうる。
【0053】
上述したものに加えて、薬学的に許容される結合剤も、明細書に記載の組成物のために企図されている。その例には、微結晶性セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例.LH22、LH21、LH20、LH32、LH31、LH30)を含むセルロース誘導体;バレイショデンプンを含むデンプン;クロスカルメロースナトリウム(すなわち、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム塩;例えば、Ac-Di-Sol(登録商標));アルギン酸又はアルギネート;不溶性ポリビニルピロリドン(例.Polyvidon(登録商標)CL、Polyvidon(登録商標)CL-M、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL、Polyplasdone(登録商標)XL-10);カルボキシメチルデンプンナトリウム(例.Primogel(登録商標)及びExplotab(登録商標))が含まれる。
【0054】
追加のフィラー、希釈剤又は結合剤、例えばポリオール、スクロース、ソルビトール、マンニトール、Erythritol(登録商標)、Tagatose(登録商標)、ラクトース(例.噴霧乾燥ラクトース、α-ラクトース、β-ラクトース、Tabletose(登録商標)、種々のグレードのPharmatose(登録商標)、Microtose又はFast-Floc(登録商標))、微結晶性セルロース(例.種々のグレードのAvicel(登録商標)、例えばAvicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102又はAvicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tai(登録商標)及びSolka-Floc(登録商標))、ヒドロキシプロピルセルロース、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換度)(例.L-HPC-CH31、L-HPC-LH11、LH22、LH21、LH20、LH32、LH31、LH30)、デキストリン、マルトデキストリン(例.Lodex(登録商標)5及びLodex(登録商標)10)、デンプン又は修飾デンプン(バレイショデンプン、トウモロコシデンプン及びコメデンプンを含む)、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸カルシウム及び炭酸カルシウムが組み込まれてもよい。
【0055】
医薬組成物
明細書に記載の組成物のいずれかは、医薬組成物として又はその中で使用するために製剤化されうる。そのような組成物は、任意のルート、例えば、食品医薬品局(FDA)によって承認されているルート、例えばこれらに限定されないが経口、非経口又は経皮送達を介する対象への投与のために製剤化又は適応されうる。代表的な方法は、FDAのCDERデータ標準マニュアル、バージョン番号004(fda.give/cder/dsm/DRG/drg00301.htmlで利用可能である)において記述されている。
【0056】
一部の態様では、明細書に記載の組成物は、それを必要とする対象において、神経変性疾患に関連する1種以上の症状を治療する又は予防するために使用される。代表的な神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、多発脳梗塞性認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、レビー小体型認知症、混合型認知症及び前頭側頭型認知症を含むがこれらに限定されない。
【0057】
明細書に記載の組成物のいずれかは、1種以上の追加の治療剤を更に含む医薬組成物として製剤化されうる。代表的な追加の治療剤は、リルゾール(COS、Rilutek(登録商標)及びTiglutik(登録商標)の商品名で販売されている)、エダラボン(Radicava(登録商標)及びRadicut(登録商標)の商品名で販売されている)、メキシレチン(Mexitil及びNaMusclaの商品名で販売されている)、デキストロメトルファン及びキニジンの組合せ(Nuedexta(登録商標))、抗コリン薬、並びに精神科の薬、例えばこれらに限定されないが抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬/催眠薬、気分安定剤及び興奮剤を含む。グリコピロレート、スコポラミン、アトロピン(アトロペン)、ベラドンナアルカロイド、メシル酸ベンズトロピン(コゲンチン)、クリジニウム、シクロペントレート(サイクロジル)、ダリフェナシン(エナブレックス)、ジサイロミン(dicylomine)、フェソテロジン(トビアス)、フラボキセート(ユリスパス)、グリコピロレート、臭化水素酸ホマトロピン、ヒヨスチアミン(レブシネックス)、イプラトロピウム(アトロベント)、オルフェナドリン、オキシブチニン(ジトロパンXL)、プロパンテリン(プロバンサイン)、スコポラミン、メトスコポラミン、ソリフェナシン(ベシケア)、チオトロピウム(スピリーバ)、トルテロジン(デトロール)、トリヘキシフェニジル、トロスピウム及びジフェンヒドラミン(ベネドリル)を含むがこれらに限定されない、公知の抗コリン薬が本発明で企図されている。選択的セロトニン阻害剤、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、セロトニン調節剤及び刺激剤、セロトニンアンタゴニスト及び再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害剤、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、モノアミン酸化酵素阻害剤、並びにNMDA受容体アンタゴニストを含むがこれらに限定されない、公知の抗うつ薬が追加の治療剤として本発明で企図されている。
【0058】
明細書に記載の医薬組成物は、任意の薬学的に許容される担体、アジュバント及び/又はビヒクルを更に含むことができる。薬学的に許容される担体又はアジュバントは、患者に投与されてもよく、その薬理活性を破壊せず、治療量の活性化合物を送達するのに十分な用量で投与された場合に非毒性である、担体又はアジュバントを指す。代表的な薬学的に許容される担体は、生理食塩水、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、並びに等張及び吸収遅延剤を含み、これらは薬学的投与に適合する。一部の場合において、製剤のpHを、薬学的に許容される酸、塩基又は緩衝液で調整して、製剤化された化合物又はその送達形態の安定性を強化してもよい。非経口という用語は、本明細書では、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内及び頭蓋内注射又は注入技術を含む。
【0059】
本明細書で開示される治療用組成物のいずれかは、米国での販売、米国への輸入及び/又は米国からの輸出のために製剤化されうる。医薬組成物は、投与の説明書と一緒に、容器、パック又はディスペンサーに含まれうる。一部の側面では、本発明は胆汁酸及びフェニル酪酸化合物を含むキットを提供する。キットは、医師及び/又は患者のための説明書、シリンジ、針、ボックス、ボトル、バイアル等も含んでいてもよい。
【0060】
投薬量及び投与方法
医薬組成物は、通常、その意図されている投与ルートに適合するように製剤化される。投与ルートの例は、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入又は補給チューブを経由して)、経皮(局所)、経粘膜及び経直腸投与を含む。
【0061】
医薬組成物は、吸入及び/又は経鼻投与のための溶液又は粉末の形態でありうる。そのような組成物は、好適な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用し、当技術分野において公知の技術により製剤化されてもよい。滅菌注射用調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液としてのものであってもよい。許容されるビヒクル及び溶媒の中でも、利用されてもよいものは、マンニトール、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌固定油が溶媒又は懸濁媒として慣例的に利用される。
【0062】
医薬組成物は、散剤、カプセル剤、錠剤、乳剤並びに水性懸濁剤、分散剤及び液剤を含むがこれらに限定されない、任意の経口的に許容される剤形で経口的に投与されうる。経口使用のための錠剤の場合、一般に使用される担体はラクトース及びコーンスターチを含む。カプセル剤形態での経口投与では、有用な希釈剤は、ラクトース及び乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁剤及び/又は乳剤が経口的に投与される場合、活性原料は、乳化及び/又は懸濁化剤を含む油性相に懸濁又は溶解してもよい。所望ならば、着色剤を添加してもよい。固体製剤を水性溶媒(例.水、生理食塩水溶液)中で再構成して、水性製剤を調製できる。本明細書では、用語「水性溶媒」は、少なくとも50%(例.少なくとも60%、70%、80%、90%又は少なくとも95%)の水を含む液体を指す。一部の態様では、水性溶媒は水である。
【0063】
あるいは又は加えて、医薬組成物は鼻エアゾール又は吸入によって投与されうる。そのような組成物は、医薬製剤の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコール若しくは他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを強化するための吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/又は当技術分野で公知の他の可溶化若しくは分散剤を利用して、生理食塩水溶液として調製されてもよい。
【0064】
一部の態様では、本明細書に記載の組成物のいずれかは、対象への経口投与の前に、水に実質的に溶解される。本発明の組成物は、それを必要とする対象に、1日に1回、1日に2回、又は1日に3回以上、投与されうる。
【0065】
一部の態様では、組成物の胆汁酸(例.TURSO)は、1日当たり約0.5~約5g(例.約0.5~約4.5、約0.5~約3.5、約1~約3、例えば、約2g)の量で投与される。一部の態様では、胆汁酸はTURSOであり、1日当たり約2gの量で投与される、例えば、1gが1日に2回投与される。一部の態様では、胆汁酸は、対象の体重の約10mg/kg~約50mg/kg(例.約10mg/kg~約40mg/kg、約10mg/kg~約30mg/kg、約10mg/kg~約20mg/kg、約10mg/kg~約15mg/kg又は約13mg/kg~約15mg/kg)で投与される。
【0066】
一部の態様では、組成物のフェニル酪酸化合物(例.フェニル酪酸ナトリウム)は、1日当たり約0.5~約10g(例.約1~約10、約2~約9、約3~約8、約5~約7、例えば、約6g)の量で投与される。一部の態様では、胆汁酸はフェニル酪酸ナトリウムであり、1日当たり約6gの量で投与される、例えば、3gが1日に2回投与される。一部の態様では、フェニル酪酸化合物は対象の体重の約10mg/kg~約400mg/kg(例.約10mg/kg~約300mg/kg、約10mg/kg~約200mg/kg、約10mg/kg~約100mg/kg、約10mg/kg~約80mg/kg、約30mg/kg~約80mg/kg又は約30mg/kg~約50mg/kg)で投与される。
【0067】
一部の態様では、組成物は1日に1回又は1日に2回投与され、各投与は約1gのTURSO及び約3gのフェニル酪酸ナトリウムを含む。一部の態様では、組成物は1日に1回投与され、各投与は約2gのTURSO及び約6gのフェニル酪酸ナトリウムを含有する。
【0068】
組成物は、それを必要とする対象に、少なくとも約6か月(例.少なくとも約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、16、18、20、21、22、23又は24か月)間投与できる。一部の態様では、組成物は、それを必要とする対象に、約6か月未満(例.約5、4、3、2又は1か月未満)の期間投与する。
【0069】
処理方法
本発明は、また、乾式造粒に基づいて医薬製剤を処理する又は製造する方法に関する。この明細書では、組成物を処理する方法であって、(i)重量比が約3:1のフェニル酪酸ナトリウム及びTURSOを含むプレブレンド組成物をローラー圧縮し、圧縮されたプレブレンドを形成すること、及び、(ii)圧縮されたプレブレンドを顆粒化し、Carr指数が約12以下の顆粒を形成することを含む方法が提供される。
【0070】
プレブレンド組成物は、約15%~約45w/w%(例えばこの範囲内の範囲)のフェニル酪酸ナトリウム及び約5%~約15w/w%(例えばこの範囲内の範囲)のTURSOを含むことができる。
【0071】
明細書に記載の組成物を処理する方法の一部の態様は、工程(i)の前に、フェニル酪酸ナトリウムを含む第1の組成物及びTURSOを含む第2の組成物をブレンドして、プレブレンド組成物を形成することを更に含む。
【0072】
フェニル酪酸ナトリウムを含む第1の組成物及びTURSOを含む第2の組成物をふるいにかける工程は、ブレンドの前に実施されうる。そのような工程は、当業者に公知の従来のふるい分け手段を用いて行われうる。
【0073】
第1及び第2の組成物は、約1時間以内(例.約55、50、45、40、35、30又は25分以下)及び/又はブレンディング速度約10rpm~約20rpm(例.約12rpm~約18rpm、約14~約16、例えば、約15rpm)で、ブレンドしてもよい。ブレンディング時間及びブレンディング速度は、成分の本質的に均質な混和を実現するように調整されうる。ブレンディング速度は、ブレンドしている間に固定されるか又は調整されるかのいずれかでありうる。一部の態様では、第1及び第2の組成物を約30分以内(例.約29、28、27又は26分以下、例えば、約25分又は約15分)の時間、ブレンドすることにより、組成物を30分を超えてブレンドする場合と比較してより少ない粒子の摩耗をもたらし、より望ましい。好適なブレンディング機器及びパラメーターは当技術分野において公知である。例えば、V字型ブレンダー、ダブルコーンブレンダー、ビン(コンテナ)ブレンダー及びロータリードラムブレンダーを含む、2つ以上の成分を均一に混和するために製薬業界において通常利用される任意の装置が使用されうる。ブレンダーの容量は、50L、100L、200L、250L以上であることができる。ブレンドする前、最中又は後に、組成物は、好適な粉砕速度で粉砕してもよい。好適な粉砕機器及びパラメーターは当技術分野において公知である。
【0074】
用語「ローラー圧縮すること」は、粉末を2つの逆回転ロールの間に押し込み、加圧して固体圧縮体又はリボンにする処理を指す。ローラー圧縮は当業者に公知の好適なローラー圧縮機を用いて行われうる。例えば、Gerteis製のMACRO-PACTOR(登録商標)又はMINI-PACTOR(登録商標)が使用されうる。固体圧縮体又はリボンを顆粒に顆粒化する工程は、圧縮体又はリボンを所望の顆粒サイズに粉砕/ふるい分けすることを伴い、ローラー圧縮及び粉砕機能を統合するローラー圧縮機によって行われうるか、又は別個の機器で行われうる。「顆粒化」及び「粉砕」は、本明細書において交換可能に使用され、例えば、研削、粉砕又は切断によって、固体材料を小片に破断する処理を指すことができる。
【0075】
ローラー圧縮機は、概して、3つの主要なユニット:粉末をロール間の圧縮領域へ運搬する送給システム;力を加えることにより、粉末を2つの逆回転ロール間で圧縮してリボンにする圧縮ユニット;及びリボンを所望の粒度に粉砕するためのサイズ縮小ユニットからなることができる。
【0076】
圧縮力、ギャップ幅及び造粒スクリーンサイズを含む幾つかの操作パラメーターを調整/制御して、製品の顆粒を改質できる。圧縮力の単位はkN/cmで、これはロール幅1cm当たりの力を指す。ギャップ幅は2つの回転ローラーの間のギャップの幅を指す。ギャップ幅が増大するにつれて、ローラーによって加えられる一定の力が粉末のより厚いリボンを経由して伝達されなくてはならず、故に、リボンはより低い強度を有していてもよく、粉砕処理後に、より小さく、より弱い顆粒をもたらす可能性が高いであろう。ローラー圧縮加工変数の追加の記述は、例えば、Freeman et al.. Asian Journal of Pharmaceutical Sciences 11:516-527, 2016において見ることができる。
【0077】
工程(i)において使用される圧縮力は、約5kN/cm~約15kN/cm(例.約7kN/cm~約13kN/cm、約8kN/cm~約12kN/cm、又は約9kN/cm~約11kN/cm、例えば、約10kN/cm)であることができる。明細書に記載の方法の一部の態様では、工程(i)は、プレブレンド組成物を、ギャップ幅約1mm~約5mm、約2mm~約4mm又は約2mm~約3mmの少なくとも2つの回転ロールの間でローラー圧縮することを含むことができる。回転ロールのロール速度は、約4rpm~約12rpm(例.約5、6、7、8、9、10又は11rpm)であってもよい。ローラー圧縮は、組成物の溶融又は凝集を防止する温度で実施されうる。例えば、プレブレンド組成物は、約10℃~約30℃(例.約12℃~約30℃、約12℃~約20℃又は約12℃~約18℃、約15℃~約25℃、約20℃~約30℃又は約24℃~約29℃)でローラー圧縮されうる。約10℃~約20℃(例.約12℃~約18℃又は約13℃~約17℃)に設定した冷却ユニットを、この目的のためにローラー圧縮機に追加できる。回転ロールは、例えば、約10℃~約30℃(例えば、この範囲内のサブ範囲のいずれか)であってもよい。
【0078】
明細書に記載の方法の一部の態様では、工程(ii)は、圧縮されたプレブレンドを顆粒化して、顆粒を形成することを含む。直径約0.8mm~約2mm(例.約1mm~約1.8mm、約1.2mm~約1.7mm、約1.4mm~約1.6mm、又は例えば約1.5mm)の造粒スクリーンが使用されうる。方法は、少なくとも1つの好適なメッシュサイズによって顆粒をふるい分けする工程も含むことができる。
【0079】
明細書に記載の方法は、工程(ii)の後に、最終ブレンディングの工程を更に含むことができ、これは、顆粒のブレンド時間が10分以内又は5分以内であることを含む。
【0080】
本発明の方法で製造した顆粒のかさ密度は、約0.2g/mL~約1.0g/mL(例.約0.2g/mL~約0.9g/mL、約0.3g/mL~約0.8g/mL又は約0.5g/mL~約0.7g/mL)であってもよい。顆粒のかさ密度は、当技術分野で公知の方法によって、例えば、顆粒を好適なサイズのメスシリンダーに注ぎ入れることにより測定してもよい。
【0081】
本発明の方法で製造した顆粒のタップ密度は、約0.5g/mL~約1.2g/mL又は約0.7g/mL~約0.9g/mLであってもよい。顆粒のタップ密度は、当技術分野で公知の方法により、例えば、体積変化が5%未満になるまで100タップずつ行って粉末を圧縮するタップ容積計を使用して測定してもよい。
【0082】
明細書に記載の方法で製造した顆粒は、工程(i)のプレブレンド組成物と比較して改善された流動性(例えば、Carr指数、ハウスナー比、安息角、又はかさ密度及び/若しくはタップ密度に反映されるとおり)を有することができる。顆粒は、フェニル酪酸ナトリウムを含む第1の組成物及び/又はTURSOを含む第2の組成物と比較して改善された流動性を有することもできる。一部の態様では、本発明の方法で製造した顆粒のCarr指数は、約12以下(例.約1~12、例えば、約11、10、9、8、7、6又は約5)である。明細書に記載の処理方法は、工程(i)からのプレブレンド組成物のCarr指数と比較して、工程(ii)で形成された顆粒のCarr指数において少なくとも約3(例.少なくとも約4、5、6、7、8又は10)の減少をもたらすことができる。
【0083】
この明細書で提供される組成物を処理する方法の一部の態様では、工程(iii)において形成された顆粒中におけるTURSOの約75%を放出する溶解時間は、約0.5~約15分(例.約0.5~約10分、約0.5~約8分又は約0.5~約5分)である。一部の態様では、工程(iii)において形成された顆粒中におけるフェニル酪酸ナトリウムの約75%を放出する溶解時間は、約0.5~約15分(例.約0.5~約10分、約0.5~約8分又は約0.5~約5分)である。化合物の溶解時間を決定する方法は当技術分野で公知の方法により測定してもよい。
【0084】
この明細書で提供される組成物を処理する方法の一部の態様では、組成物は、約8%~約24w/w%(例えばこの範囲内の範囲)のデキストレート、約1%~約6w/w%(例えばこの範囲内の範囲)の糖アルコール(例えば、明細書に記載の又は当技術分野で公知の糖アルコール。例.ソルビトール)、及び、約22%~約35w/w%(例えばこの範囲内の範囲)のマルトデキストリンを更に含む。組成物は、約0.5%~約5w/w%(例えばこの範囲内の範囲)のスクラロース、約2%~約15w/w%(例えばこの範囲内の範囲)の1種以上の香味剤、約0.05%~約2w/w%(例えばこの範囲内の範囲)の多孔質シリカ、約0.5%~約5w/w%(例えばこの範囲内の範囲)の緩衝剤(例えば、明細書に記載の又は当技術分野で公知の緩衝剤。例.リン酸ナトリウム)、及び/又は約0.05%~約1w/w%(例えばこの範囲内の範囲)の1種以上の滑沢剤(例えば、明細書に記載の又は当技術分野で公知の滑沢剤。例.フマル酸ステアリルナトリウム)を更に含むことができる。
【実施例
【0085】
追加の態様を以下の例において更に詳細に開示し、これらは例証として提供され、本発明又は請求項の範囲を限定することを何ら意図するものではない。
【0086】
実施例1 ソルビトール、デキストレート及びリン酸ナトリウムの種類の変化による流動最適化
以下の実験は、二つの原薬(API、本願ではTURSOとNaPBのこと)を含有する最終的な製剤と味盲プラセボを製造するための製剤化とその関連工程を開発し、最適化するために行った。製剤の開発には、種々の賦形剤によるブレンド流動特性の最適化、活性ブレンドとプラセボブレンドの矯味、及び賦形剤と加工技術による水分制御が含まれた。同じ方法で、活性製剤の外観と味を模倣するプラセボ製剤を開発した。
【0087】
これらのAPIは流動性が悪く、スケールアップした際の自動化の困難性が高まることから、製造のためにブレンド流動を改善すること及びAPIを矯味することの二つの目的で、APIと流動性が良好な賦形剤をブレンドすることによって、流動性を最適化した。
【0088】
材料及び機器
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
結果
さまざまな量のソルビトール及びデキストレートを含有する製剤A、B及びCを調製した。次いで、以下の分析を行った。
【0093】
粒度分布
試料ブレンドは、60、80、100、140、200、325又は400番メッシュスクリーンを装着したW.S.Tyler RX86ふるい振とう機で分析した。最上部のふるいにそれぞれのAPIの10gを入れ、5分間振とうし、その後、各ふるいの中に集められAPIの量を測定して記録した。NaPB及びTURSOの粒度分布を図1に示す。
【0094】
ハウスナー比及びCarr指数
それぞれのAPI及びブレンドについて、25mLのメスシリンダーに粉末を優しく注ぎ入れることにより、かさ密度を算出した。体積変化が5%未満になるまで100タップずつ行って粉末を圧縮するタップ容積計を使用して、タップ密度を算出した。次いで、かさ密度とタップ密度を使用して、ハウスナー比とCarr指数を算出した。API及び製剤A~CのCarr指数を表4に示す。流動性に基づいて製剤Cを選択した。Carr指数は、圧縮性の尺度であることに加えて、材料の流動特性を決定するために使用してもよい。高いCarr指数(かさ密度とタップ密度の大きな差)は、材料が、流動性を低減させるより強い分子間力を有することを示す。許容される流動特性(使用した包装機器によって決定される)は、25を下回る最低限のCarr指数であり、20未満のCarr指数が好ましい。
【0095】
【表4】
【0096】
安息角
製剤Cの流動性を、粉末を一定の高さの漏斗から平らな面にへ落下させることによって決まる安息角を使用して測定した。安息角は、積み重ねの底面の半径及び高さから算出した。製剤Cの安息角は31.1であった。参考のために、特定の範囲の安息角に対応する流動性を表5に示す。
【0097】
【表5】
【0098】
ブレンド凝集
密封したボトルに約1週間貯蔵した後、ブレンドにはわずかな凝集が観察された。ソルビトール及びデキストレートの乾燥減量(LOD)試験結果は、いずれも大量の水分を吸収せず、ソルビトールやデキストレートが凝集の原因となる可能性は低いことを示した。
【0099】
無水物の形態は七水和物の形態よりも吸湿性が高いという懸念から、製剤を完成させる前に、製剤中の二塩基性リン酸ナトリウムを無水物から七水和物に変更した。
【0100】
製剤の選択
安息角及びCarr指数で測定された流動特性の大幅な改善を理由として、製剤Cのソルビトール及びデキストレートの量を選択した。
【0101】
実施例2 矯味最適化
運動機能障害を有する可能性がある患者が摂取できる口当たりの良い剤形を製造するために、再構成用粉末について、さまざまな甘味料及び香味による矯味について調査した。
【0102】
材料
【0103】
【表6】
【0104】
結果
スクラロースの量の最適化
矯味のために、さまざまな量のスクラロースを用いて製剤C(製剤C1~C3)を製造した。製剤C1~C3の組成を表7に示す。最高の矯味性能に基づいて製剤C1を選択した。
【0105】
【表7】
【0106】
香味の選択
バルク活性ブレンドを製造し、投薬単位当たり約250mLの水に溶解した。Kleptose Linecapsマルトデキストリンに加えて、幾つかの香味剤をさまざまな濃度で、所望のレベルの矯味に到達するまで添加した。味の最適化に基づいて、最終的な香味と甘味料の濃度を選択した。
【0107】
マルトデキストリン使用及び更新された製剤
香味剤及びマルトデキストリンの添加後の全材料が10g前後の製剤とするために、全ての他の材料(APIを除く)を調整して、製剤C1を更に改質した。さらに、無水物形態が七水和物形態よりも吸湿性であったことに対する懸念から、製剤中の二塩基性リン酸ナトリウムを、無水物から七水和物に変更した。改質した製剤C1を表8に示す。
【0108】
【表8】
【0109】
注目すべきことに、流動性は、依然としてAPIよりもかなり良く、この製剤の改質が流動性の改善に成功していることを示唆していた。改質した製剤C1のCarr指数は22.3であり、安息角は34.4であった。参考のために、特定の範囲の安息角に対応する流動性を表5に、特定の範囲のCarr指数に対応する流動性を表9に示す。
【0110】
【表9】
【0111】
結果
具体的な香味剤及びマルトデキストリンの添加並びにスクラロースの量を試験して、最適な矯味を確実にした。さらに、これらの作用物質の添加は、実施例1で実現した流動性の改善に影響を与えなかった。
【0112】
実施例3 凝集の発見及び防止
材料及び機器
【0113】
【表10】
【0114】
【表11】
【0115】
【表12】
【0116】
結果
密封したBohleブレンダー5LBinにブレンドを約36時間貯蔵すると凝集が生じ、ブレンドの分配が困難となった。凝集を防止し、ブレンド安定性を更に改善するために、凝集ブレンドを手動で除去し、50℃の乾燥オーブンに入れ、乾燥減量(LOD)試験を行った。
【0117】
乾燥減量(LOD)試験
50℃で約2時間の乾燥後に、回収した凝集ブレンド(PD2016-015-33B)でLOD試験を行い、水分取り込みの程度を決定した。結果を、密封したボトル中に貯蔵していた非凝集ブレンド(PD2016-015-29A)と比較した。LOD試験の結果を表13に示す。
【0118】
【表13】
【0119】
動的蒸気吸着(DVS)試験
NaPB、TURSO及び改質した製剤C1ブレンドの試料のDVS試験を行い、湿度による重量増加の程度を決定した。NaPB及びTURSOのDVS等温線プロットを、それぞれ、図2及び3に示す。NaPBは、湿度が45%超で質量が大幅に変動する結果が示された。これらの質量変化は活性ブレンドにも反映されており(図4に示すとおり)、観察された凝集に寄与すると考えられた。
【0120】
それぞれのAPI及び組み合わせたAPIに対する湿度の影響
NaPB、TURSO及び両者のブレンドを、栓をしていないバイアル中、25℃/湿度60%で約60時間貯蔵し、その後、バイアルを取り出し、観察した。
【0121】
2つのAPIを有するブレンドで、水分取り込みによる凝集が生じた。水分取り込みが効力を変化させ、凝集した材料は加工中のブレンド及び流動の能力が限定されることから、NaPBの質量の最大で50%の変動と凝集は、加工及び投薬を困難にする。2つのAPIがいずれも水分の存在下に曝露されている場合にのみ凝集が観察されたため、凝集を低減させるためには、水分取り込みの防止かAPIの分離が必要であった。凝集を低減させることを目的として、以下の実験を行った。
【0122】
平衡化及びローラー圧縮
材料及び機器
【0123】
【表14】
【0124】
【表15】
【0125】
平衡化
APIの平衡化:平衡化がその後の凝集を防止できるか否かを試験するために、APIを周囲条件に平衡化させた。簡潔に述べると、APIを2つの別個のトレイに広げて平衡化させた。0、1、2、3、4及び24時間後に試料を採取し、カールフィッシャー滴定による分析を行うためにヘッドスペースバイアルに密封した。この実験は、それぞれのAPIについて吸湿率を求めるため、そして、ブレンディング後の水分取り込みの減少に起因して予め平衡化したAPIの凝集が減るかどうかを確認するために行った。
【0126】
カールフィッシャー滴定による含水量の分析:カールフィッシャー滴定により、各試料の含水量を分析した。2つの連続する時点の間のRSDが10%未満となった場合に、平衡化したと定めた。
【0127】
ブレンディングパラメーター:各バッチを20分間ブレンドし、粉砕し、次いで、25RPMで更に20分間ブレンドした。粉砕のために、波形1016コニカルメッシュスクリーンが装着されたクワドロコーミルを出力30%で操作した。非顆粒化試験用小袋を充填した。
【0128】
ローラー圧縮
活性ブレンドのローラー圧縮による乾式造粒を実施した。残りのブレンドを7.5及び10kNでローラー圧縮した。各造粒条件の試験用小袋を充填して、包装内の顆粒化及び非顆粒化試料の挙動を経時的に観察した。表16は使用したローラー圧縮パラメーターを示す。
【0129】
【表16】
【0130】
平衡化実験の結果は、驚くべきことに平衡化がAPIの水分含量に対して有意な効果を有さないことを実証した。全てのブレンド及び顆粒は経時的に凝集した;しかし、10kNの顆粒の凝集は最少で、小袋からの回収が最も多く、驚くべきことにローラー圧縮が凝集防止に大幅な改善をもたらしたことを示唆した。
【0131】
実施例4 凝集防止のためのシリカ処理
凝集が2つのAPI間の相互作用によるものであるか否か、及び多孔質シリカを使用して局所的な水分を制御することで、凝集を低減できるか否かを検討するための実験も行った。表17及び18は、APIのシリカ処理に使用した材料を示す。
【0132】
【表17】
【0133】
【表18】
【0134】
それぞれのAPIをブレンドし、賦形剤とは別々にローラー圧縮して、ブレンド又は顆粒における二つのAPIの近接が凝集の原因になったか否かを検討した。次いで、得られた顆粒を再度組み合わせ、ブレンドした後、試験用小袋を充填した。各ブレンドのかさ密度及びタップ密度をローラー圧縮の前に測定した。この実験では、全てのシリカを1w/w%で使用した。Aerosil 200を陰性対照として使用し、一方、Syloid 244FP及びSyloid 63FPを使用してAPIから水分を除去して、APIが局所的な水分低減により凝集するか否かを検討した。ブレンドの流動特性を表19に示す。
【0135】
【表19】
【0136】
粒度分布
凝集粒子は目の小さなふるいを通過できず、大きい粒子に偏った分布をもたらすと考えられることから、粒度分布を凝集の尺度として使用した。ふるい振とう機分析をT=7日で各試験条件について実施した。結果を図5に示す。
【0137】
安息角
安息角で評価した流動性により、凝集の相対的な程度を各条件について決定した。凝集した試料では流動性が減少すると考えられたため、安息角が小さいほど、凝集が少なく、包装からの最終製品の回収率が高くなる可能性があった。安息角の測定を各試験条件についてT=4で行った(表20)。
【0138】
【表20】
【0139】
結果
当初、シリカの形態であるAerosil 200を製剤において使用した場合の安息角は35.69であった。この材料をsyloid 63FPに替え、10kNの押し込み力でローラー圧縮することにより、流動性が11%改善した。驚くべきことに、異なるsyloid製品であるsyloid 244FPでは、同様の改善は得られなかった。これらの実験の結果、Aerosil 200をsyloid63 FPに換え、ローラー圧縮を処理に追加した。凝集の処理への有害な影響を考慮すると、11%の改善は、重要で及び驚くべき進歩であった。
【0140】
実施例5 活性製剤のための安定性/ツーリングバッチの製造
活性製剤ブレンディング及びローラー圧縮:活性製剤ブレンディング及びローラー圧縮に使用した材料及び機器を表21及び22に示す。表23に活性製剤を示す。
【0141】
【表21】
【0142】
【表22】
【0143】
【表23】
【0144】
全ての材料を秤量し、ふるいにかけ(30番メッシュ)、20Lのブレンダービン中に層状に重ねた後、25RPMで30分間ブレンドした。ブレンダー内容物を取り出し1016波形メッシュコニカルスクリーンが装着されたクワドロコーミルを30%の速度で作動させて粉砕した。粉砕後、ブレンドをブレンダービンに戻し、25RPMで更に30分間ブレンドした。ブレンディングの最後の30分の間に、ブレンド均一性試料を10分間隔で採取し、HPLCでAPI含量を分析した。RSDが5%超で、薬物負荷値が90~110%以内であれば、表24に示すパラメーターを使用して、ブレンドをローラー圧縮した。これらのパラメーター下では、バッチは成功裏に製造された。
【0145】
【表24】
【0146】
実施例6 さらなる香味最適化
実施例2における香味最適化は味を実質的に改善したが、実験のフォローアップセットを行って、味をいっそう更に改善できるか否かを決定した。
【0147】
追加の香味剤
マンゴー、イチゴ、マスキングフレーバー及びミックスベリー香味を含む新たな香味剤を試験した。追加の味覚試験の後、マスキングフレーバー及びミックスベリー香味の組合せが、APIの味を隠すために最適であると判断した。その結果は、製剤開発の初期に開発された製剤C1を上回る、実質的な改善であった。
【0148】
追加のスクラロース
香味剤の変更後、スクラロースの量を更に調整し、味覚試験を行った。追加のスクラロースは、APIの味を更に改善し/隠し、スクラロースの量は単位用量当たり200mgに修正された。
【0149】
製剤D
上記の変更に伴い、製剤を、改善された味覚特性を有する製剤D(表25)に変更した。
【0150】
【表25】
【0151】
これらの結果は、スクラロースの量を変え、香味剤を変更することにより、製剤C1で提供される矯味を超えることが可能であることを示した。製剤C1が最適であると考えられていたため、この変更は驚くべき改善であった。
【0152】
実施例7 処理及び製造
プレブレンディング、圧縮及び最終ブレンディングを含む幾つかの工程を最適化した。プレブレンディング段階におけるブレンディング持続時間は、下流の圧縮のためのブレンド均一性及びプレブレンド特性に影響を及ぼす可能性があるため、最適化を行った。具体的に、3つのロット、CCZHB、CCZHC及びCCZHDを、表26に示す種々のブレンド時間で試験した。16クォートVシェル、062Rコーミルスクリーンを備えた197Sクワドロコーミル、及びGerteisマクロパクターを備えたA&Mブレンダーを使用した。ブレンド均一性、流動指数、かさ密度及びタップ密度、粒度分布(PSD)、再構成時間並びに溶解についてのデータを取得した。ブレンド均一性(BU)試料を、16クォートVシェルの10の異なる位置(図6参照)の各バッチから採取した。表27は3つ全てのバッチのBUの結果をまとめたものである。平均値は、PBについては98.1~99.8%、TUDCAについては98.1~99.3%であった。RSDはPBについては0.5~1.1%、TUDCAについては1.3~1.9であった。図7はプレブレンディング後の試料のPSDを示すグラフである。
【0153】
【表26】
【0154】
【表27】
【0155】
PSD、かさ密度、タップ密度及び流動指数といった物理的特性を求めるために、250gの複合ブレンド試料を入手した。表28は、3つ全てのバッチ(プレブレンド及び最終ブレンド)について取得された物理試験の結果を示す。
【0156】
【表28】
【0157】
次いで、3つのバッチの溶解及び再構成時間を分析した。結果を表29~31に示す。
【0158】
【表29】
【0159】
【表30】
【0160】
【表31】
【0161】
3つのバッチについて、ブレンド均一性、溶解又は再構成時間における統計的有意性は観察されなかった。しかし、プレブレンディング後、3つのバッチのPSDに有意差が観察された。ブレンディング時間が短いCCZHB及びCCZHCのプレブレンドのPSDは、材料が粗いことが示された。これは、ブレンディング時間の増大が、粒子の摩耗を増やすことを示唆している。したがって、短いプレブレンディング時間が好ましい。
【0162】
圧縮工程において、幾つかの圧縮パラメーター、例えばローラーギャップ、圧縮力及び造粒スクリーンサイズは、最終的な顆粒の物理的特性並びに薬物放出の程度及び速度に影響を与える可能性がある。したがって、これらの要素を最適化し、溶解、物理的特性及び再構成時間に対する、それらの影響を評価した。圧縮速度は、物理的特性に影響を与える可能性がある別の要素であり、最終ブレンディングの実験の間に並行して評価した。上記で決定された最適なプレブレンディングパラメーターに基づいてプレブレンドされたバルクブレンド(ロットCDCVY)を、12のサブバッチに分割し、圧縮力(5~15kN/cm)、ローラーギャップ(2~3mm)及びスクリーンサイズ(1~2mm)について異なるパラメーターのセットを使用して、各サブバッチのローラー圧縮及び造粒を行った(表32)。最終ブレンドにおける物理的特性、溶解及び再構成時間を、各サブバッチについて評価した。12全てのサブバッチについて取得された物理的試験結果を、表33及び34に示す。
【0163】
【表32】
【0164】
【表33】
【0165】
【表34】
【0166】
図8~10は、それぞれ、1.00mm、1.5mm及び2.0mmの造粒スクリーンサイズで造粒後の粒度分布を示し、合わせた結果を図11に示す。
【0167】
上記の物理的データをMinitab v.18統計プログラムに入力し、統計モデルを使用して、以下の一連の応答-標的に基づいて最適な圧縮パラメーターを決定した。粒度分布に関する応答-標的を選択して、下流工程の包装のための狭いPSDを実現した。
【0168】
【表35】
【0169】
統計的分析に基づき、最終ブレンドにおける12全てのサブバッチについて、PSDに有意差が観察された。かさ密度及び流動指数は、全体的な統計的分析において中等度の有意差を示した。タップ密度の結果に有意差は認められなかった。最終ブレンドの物理的特性は下流工程の包装の重要な要素であるため、均質な粒度分布が好ましい。上記の応答-標的を実現するための、予測モデルによる最適な圧縮パラメーターは、約2mm~約3mmのローラーギャップ幅、約5~15kN/cm(標的:10.0kN/cm)の圧縮力及び約1.5mmの造粒スクリーンサイズであると考えられた。
【0170】
再構成時間及び溶解プロファイル
圧縮工程は、顆粒の物理的特性に影響を与える可能性があり、故に薬物放出の程度及び速度に影響を与える可能性があるため、再構成時間及び溶解プロファイルを更に検討した。12のサブバッチについて再構成時間及び平均溶解プロファイルを、表36~38に示す。各サブバッチにおけるTUDCA及びフェニル酪酸ナトリウムの溶解プロファイルを、それぞれ、図12及び13に示す。
【0171】
【表36】
【0172】
【表37】
【0173】
【表38】
【0174】
異なるサブバッチ間で、再構成時間に中等度の有意差が観察された。12全てのサブバッチは、NMT(no more than)20分(20分以内)というバルク製品の仕様を満たした。より高い限界を確立するために、NMT=15分という再構成時間を統計プログラムに応答標的として入力した。この応答標的では、サブバッチ番号11(再構成時間が約16~17分で最長)を除きサブバッチの間で有意差は観察されなかった。
【0175】
溶解プロファイルは、試験したパラメーターの影響を強く受けなかった。TUDCA及びPBの溶解放出%は、いずれも15分後に完了したと思われた。溶解放出%の結果は、15分でQ=75%という標的を大幅に上回った。図12及び13にサブバッチの溶解プロファイルを示す。
【0176】
低い温度が顆粒の物理的特性に影響を与える可能性があるか否かを検討するために、15±2℃の冷却ユニットをローラー圧縮機に追加した。これにより、凝集が低減した。
【0177】
最終ブレンディング最適化
最終ブレンディング工程中のブレンディング時間は、下流工程の包装で重要なブレンド均一性及び最終ブレンド物理的特性に影響を与える可能性があるため、最適化を行った。表39に、試験を行ったさまざまな持続時間とそれに対応する回転数を示す。ブレンド均一性及び物理的特性を検討した。BUの試料は図14に示す位置から取得した。BUの結果を表40~42に示す。
【0178】
【表39】
【0179】
【表40】
【0180】
平均値はPBで99.5%、TUDCAで98%であり、適正なプレブレンド均質性が達成され、%RSD値はいずれの原薬も2.5%未満であった。
【0181】
【表41】
【0182】
ローラー圧縮後の全体の平均値は、PBで95.5%、TUDCAで97.8%であり、適正な均質性が達成され、%RSD値はいずれの原薬も2.0%未満であった。
【0183】
【表42】
【0184】
異なる最終ブレンディング持続時間でブレンド均一性に有意差は観察されなかった。適正な最終ブレンド均質性が実現され、平均値は、PBAで99.0~99.6%、TUDCAで97.6~98.5%であった。%RSDは、PBAで1.3~2.8%、TUDCAで1.1~1.5%であった。3分又は5分のブレンディングと比較して、最終ブレンディングを行わなかった場合、BUの結果にばらつきが多かったが、各位置での個々の値は、ブレンド均一性の推奨範囲(85%~115%)内であった。
【0185】
物理的特性の検討のために、250gの複合ブレンド試料を入手した。表43に物理的試験の結果を示す。PSD、かさ密度及びタップ密度に有意差はなかったが、流動指数に有意差があった。ブレンディングなしの条件では流動指数が改善した。短いブレンディング時間では粗い材料が得られた。したがって、最終ブレンディングなしが好ましい条件であると判断された。
【0186】
【表43】
【0187】
【表44】
【0188】
溶解及び再構成時間
溶解又は再構成のいずれにおいても統計的有意性は観察されなかった(表45~47)。表48はバルク製品の好ましい物理的特徴を示す。
【0189】
【表45】
【0190】
【表46】
【0191】
【表47】
【0192】
【表48】
【0193】
これまでの最適化実験より、流動特性を改善し、流動に有害と考えられる最終製品中の微粒子の量を低減する好ましい条件が明らかになった。i.約375回転に対応するプレブレンディング時間、ii.5~15kN/cmの圧縮力、約1.0mm~約5.0mmのギャップ幅、約4~約12rpmのローラー速度及び約1.5mmの造粒スクリーンサイズ、並びに、iii.最終ブレンディングを行わないこと、により、流動性を含む製品特性が改善されることが判明した。これらの改善により、Carr指数は約8~9となり、元の製剤(約20のCarr指数)から大幅で驚くべき改善となった。
【0194】
統計的分析
圧縮実験の結果を統計分析した。入力設定は以下のとおりである:
【0195】
【表B】
【0196】
10メッシュにおける保持%、14メッシュにおける保持%、18メッシュにおける保持%、30メッシュにおける保持%、40メッシュにおける保持%、80メッシュにおける保持%、総%(% Pan)、かさ密度、タップ密度及び流動指数について分析した。
【0197】
結果-粒度分布
粒度分布の結果のそれぞれ(10メッシュにおける保持%、14メッシュにおける保持%、18メッシュにおける保持%、30メッシュにおける保持%、40メッシュにおける保持%、80メッシュにおける保持%及び総%)で、良好又は非常に良好なモデルが見つかった。
【0198】
スクリーンサイズ及び押し込み力の主効果、並びにスクリーン力の相互作用の効果は、これらの各モデルにおいて信頼度95%以上で統計学的に有意であった。曲率効果も、10メッシュにおける保持%及び総%を除く各PSDのモデルで有意であった。モデルにおける曲率項の存在は、主要因の少なくとも1つが応答に対して二次効果を有することを示す。ギャップ幅主効果は、30メッシュにおける保持%について及び総%についてのモデルにおいて信頼度95%以上で統計学的に有意であった。
【0199】
スクリーンサイズのモデル係数は、10メッシュにおける保持%、14メッシュにおける保持%及び18メッシュにおける保持%のモデルでは正であったのに対し、30メッシュにおける保持%、40メッシュにおける保持%、80メッシュにおける保持%、及び総%のモデルでは負であった。これは、スクリーンサイズを大きくすると、圧縮ブレンド内の大きな粒子の量が増加し、小さな粒子の量が減少する傾向があることを示す。
【0200】
同様に、押し込み力のモデル係数は、10メッシュにおける保持%、14メッシュにおける保持%、18メッシュにおける保持%、30メッシュにおける保持%及び40メッシュにおける保持%のモデルでは正であったのに対し、80メッシュにおける保持%及び総%についてのモデルでは負であった。これは、押し込み力を増加すると、圧縮ブレンド内の大きな粒子の量が増加し、小さな粒子の量が減少する傾向があることを示す。
【0201】
ギャップ幅のモデル係数は、10メッシュにおける保持%及び30メッシュにおける保持%で負であった。この係数は、14メッシュにおける保持%、18メッシュにおける保持%、40メッシュにおける保持%及び80メッシュにおける保持%では、ほぼゼロに等しかった。ギャップ幅係数は、総%で正である。したがって、ギャップ幅を増大させると、圧縮ブレンド内の大きい粒子の量を減少させ、小さい粒子の量を増大させる可能性がある。
【0202】
かさ密度及び流動指数でも、良好な予測モデルが見つかった。
【0203】
実施例8 強制分解
各API、及び二つのAPIを含む最終製剤(「小袋中のAMX粉末」と称される)の強制分解を行った。この実験は、熱、熱-湿度、光、酸化、酸又は塩基の条件で、小袋中の、PB(フェニル酪酸ナトリウム)、TURSO、プラセボ及びAMX粉末の試料にストレスをかけることが含まれた(表49)。
【0204】
【表49】
【0205】
対照及びストレスをかけた試料の分析結果を表50にまとめる。相対物質収支損失(Relative Mass Balance Deficit)の値を表51に示す。
【0206】
PBは、実験を行った強制分解条件のいずれにおいても分解しなかった。TURSOは、熱及び光条件では分解しなかった。TURSOは、酸性条件では7日目までに、並びに酸化及び塩基条件では3日目までに、わずかに分解した。TURSOは、7日目までに、塩基条件で約17%分解した。アッセイ試料溶液中にTURSOピークが検出されなかったことから、熱-湿度条件でのTURSOは、性質が完全に変化したか、溶液中に沈殿した。プラセボ混合物を強制分解条件にさらしても、活性ピークの保持時間に干渉するピークは生じなかった。
【0207】
小袋中のAMX粉末のPB及びTURSOは、酸、塩基及び光条件では分解しなかった。小袋中のPBは、酸化条件では分解しなかったが、熱及び熱-湿度条件では、それぞれ約8%及び4%分解した。小袋中のTURSOは、酸化条件ではわずかに、熱及び熱-湿度条件では、それぞれ19%及び10%分解した。さらに、驚くべきことに、熱-湿度条件でのTURSO分解の程度は、TURSOの完全な分解と比較して、小袋中でははるかに小さかった。
【0208】
【表50】
【0209】
【表51】
【0210】
実施例9 ブレンド特性に対する冷却ユニットの影響
冷却ユニット(15±2℃)をローラー圧縮機に追加し、プラセボバッチ(ロット番号CFSMM)を製造した。ローラー(ニップ領域)の温度はバッチ全体で16.0~24.1℃であった。顆粒の温度はバッチ全体で24.8~29.0℃であった。バッチ全体でロータリー1.5mmスクリーン上に蓄積は認められなかった。プレブレンド及び圧縮された顆粒の物理的特性を、表52、53及び図15、16に示す。表53に示すように、冷却ユニットなしで製造されたロットCDZGWの流動指数と比較して、ロットCFSMMは、流動指数が低減(すなわち、流動特性が改善)した。これらの結果は、ローラー圧縮機を冷却することが、処理条件にとって有益となる可能性があることを示唆する。
【0211】
【表52】
【0212】
【表53】
図1
図2
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図15
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【国際調査報告】