(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(54)【発明の名称】マルチチャンバ構造要素及びマルチチャンバ構造要素を製造する方法
(51)【国際特許分類】
E04C 3/32 20060101AFI20230214BHJP
B21D 26/021 20110101ALI20230214BHJP
【FI】
E04C3/32
B21D26/021
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537091
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 IB2020061954
(87)【国際公開番号】W WO2021124093
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522237254
【氏名又は名称】インスティテュート フォーミー エスピー. ゼット オー.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジータ,オスカー
【テーマコード(参考)】
2E163
4E137
【Fターム(参考)】
2E163FA02
2E163FB01
2E163FB09
4E137AA01
4E137AA10
4E137BB01
4E137CA15
4E137EA09
4E137GA11
4E137GB20
(57)【要約】
本発明の目的は、マルチチャンバ構造要素を形成するためのマルチチャンバ構造要素を製造する方法であり、チャンバ・プロファイル(1)の連結によって画定された中心から半径方向に延在するチャンバ・プロファイル(1)は、以下のステップ、すなわち、少なくとも3つのチャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)が提供され、各チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)は、金属材料のシートから作成され、間に隙間を保持した実質的に平行な平面に互いに対して配置された2つの壁(3)を含み、個々の壁(3)の縁部は集結し、弁要素(6)は少なくとも1つの壁(3)上に配置されるステップと、チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)のそれぞれの連結されていない壁(3)の縁部は、チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)の閉鎖した密閉型空の内部空間を形成するためにシール(5)で封止されるステップと、圧力下の流体は、変形されたチャンバ・プロファイル(1)を形成するために、弁要素(6)を通してチャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)の内部空間の中に導入されるステップと、少なくとも3つのチャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)又はチャンバ・プロファイル(1)は、内縁部の少なくとも一部に沿って、連結軸(4)に対して近位のチャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)又はチャンバ・プロファイル(1)の対応する内縁部の面積に連結されるステップとを含む。本発明の目的は、マルチチャンバ構造要素でもある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチチャンバ構造要素を製造する方法であって、以下のステップ、すなわち
a)少なくとも3つのチャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)が提供され、各チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)は、金属材料のシートから作成され、間に隙間を保持した実質的に平行な平面に互いに対して配置された2つの壁(3)を含み、前記個々の壁(3)の縁部は集結し、弁要素(6)は少なくとも1つの壁(3)上に配置されるステップと、
b)前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)のそれぞれの連結していない壁(3)の縁部は、前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)の閉鎖した密閉型空の内部空間を形成するためにシール(5)で封止されるステップと、
c)圧力下の流体は、変形したチャンバ・プロファイル(1)を形成するために、前記弁要素(6)を通って前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)の前記内部空間の中に導入されるステップと、
d)少なくとも3つのチャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)又はチャンバ・プロファイル(1)は、内縁部の少なくとも一部に沿って、連結軸(4)に対して近位の前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)又は前記チャンバ・プロファイル(1)の前記対応する内縁部の面積に連結されるステップとを含み、
ステップc)及びd)は、逆順で実行されてもよいことを特徴とする、マルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項2】
前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)は、実質的に平行な平面で互いに対して配置された2つの壁(3)を形成するために、1つの縁部に沿って曲げられた1枚の金属材料から作成されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項3】
ステップc)は、前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)が圧力板(8)の間に、前記圧力板(8)が前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)の前記壁(3)と接触するような手法で導入された後に実行されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項4】
ステップc)の間に、力が前記圧力板(8)に前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)の方向に加えられることを特徴とする、請求項3に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項5】
ステップc)は、前記弁要素(6)を圧力下の流体源に連結することによって実行されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項6】
ステップc)は、前記マルチチャンバ構造要素における前記チャンバ・プロファイル(1)に対応する前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)の全てに同時に実行されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項7】
ステップd)では、前記チャンバ・プロファイル(1)は連結される一方で、前記連結軸(4)に対してそれらの対称構成を保つことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項8】
ステップb)及び/又はステップd)は、融接、圧接、接着又は圧着によって実現されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項9】
前記流体は、空気、水、油、流体コンクリート又は流体プラスチックであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項10】
ステップc)は、室温又は上昇した温度で実行されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項11】
前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)の中に導入された前記流体の圧力は5バールであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項12】
ステップc)では、圧力下の流体は、前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)の前記内部空間に1分間導入され、その後、定圧が前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)内で30秒間維持されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項13】
ステップb)及びd)は、同時に実現されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項14】
前記内縁部の少なくとも一部に沿って、前記連結軸(4)に対して近位の前記チャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)の前記対応する内縁部の面積に前記少なくとも3つのチャンバ・プロファイル・プリフォーム(2)を同時に封止して連結することは、レーザ溶接によって実現されることを特徴とする、請求項13に記載のマルチチャンバ構造要素を製造する方法。
【請求項15】
マルチチャンバ構造要素は、それらの密閉型空の空間の中に導入された圧力下の流体により変形した少なくとも3つのチャンバ・プロファイル(1)を含み、前記チャンバ・プロファイル(1)は、連結軸(4)によって画定された中心から半径方向に延在する、チャンバ・プロファイル(1)でマルチチャンバ構造要素を形成するために、シール(5)の少なくとも一部に沿って前記対応するシール(5)と互いに連結されることを特徴とする、マルチチャンバ構造要素。
【請求項16】
前記チャンバ・プロファイル(1)は、前記連結軸(4)に対して軸方向に対称に配置されることを特徴とする、請求項15に記載のマルチチャンバ構造要素。
【請求項17】
前記チャンバ・プロファイル(1)は、前記マルチチャンバ構造要素の前記連結軸(4)に向かって方向付けられ、直線又は少なくとも部分的に曲線に延在する内縁部を有することを特徴とする、請求項15又は16に記載のマルチチャンバ構造要素。
【請求項18】
前記チャンバ・プロファイル(1)は、前記マルチチャンバ構造要素の前記連結軸(4)に対して反対の、前記連結軸(4)に平行な直線、前記連結軸(4)から外れた、前記連結軸(4)に対して凹状の曲線、又は前記連結軸(4)に対して凸状の曲線に延在する、外縁部を有することを特徴とする、請求項15~17のいずれか一項に記載のマルチチャンバ構造要素。
【請求項19】
前記チャンバ・プロファイル(1)は、前記連結軸(4)に対して異なる半径長さに延在することを特徴とする、請求項15~18のいずれか一項に記載のマルチチャンバ構造要素。
【請求項20】
前記流体は、空気、水、油、流体コンクリート又は流体プラスチックであることを特徴とする、請求項15~19のいずれか一項に記載のマルチチャンバ構造要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、具体的には垂直支柱型耐荷重構造として使用されるマルチチャンバ構造要素、及びマルチチャンバ構造要素を製造する方法である。本発明の目的は、垂直耐荷重構造を製造するための建設、採掘又はエネルギー業界に適用される。
【0002】
多数の技術分野に使用される最も重要な構造要素の1つは、垂直自立式構造支持体であるピラーである。支柱及びカラムとして、それらは建物、橋、高架橋、その他の構造の重量を支持して耐えるのに使用される。耐荷重構造要素は、洞穴における屋根支持部のような採掘に、又はストリート・ファニチャに、例えばパーゴラの建設にも使用される。
【背景技術】
【0003】
ポーランド国特許第224768B1号は、2つの縦支柱壁を画定する、それぞれが互いに実質的に平行な1対の外梁を含む縦層と、2つの横支柱壁を画定する、それぞれが互いに実質的に平行な1対の外梁を含む横層とを含む、採掘耐荷重支柱を開示し、横層は、横層の外梁が4つの交点で縦層の隣接した外梁と交差し、縦梁及び横梁の上面及び下面に形成された切込みを介してそれに連結されるように、縦層と相互に交換可能に配置される。この種類の構造は、保護要素、屋根支持要素、又は採掘洞穴における床と屋根との間の筋交い要素などの地下採掘に使用される。支柱の耐荷重性能は、その内部空間を自己硬化組成物、例えばセメント鉱物組成物で充填し、複合構造を形成することによって増加される。
【0004】
ポーランド国特許第171919B1号は、層内に配置された木製梁からなる堆積を含む、採掘洞穴、具体的には石炭採掘の屋根支持体を開示し、堆積の1層の梁はその隣接した層の梁に垂直に配置され、堆積の1側面上に配置されたセメントモルタルを充填された袋を備える。表されたシステムは、堆積の1側面上に装着され、木製要素からなる中核部を含み、その大部分は繊維を垂直方向に配置され、中核部は、堆積の垂直方向の剛性より大きい垂直方向の剛性を有する一方で、袋は、中核部を備えた堆積と洞穴の屋根との間に所望の応力を加える量のセメントモルタルを含む。
【0005】
ポーランド国実用新案第67807Y1号は、構造要素、具体的にはシート金属構造に使用するためのシート金属部を開示している。構造要素は、内方に、好ましくは基部の中心で曲げられる縦縁部を備えた内壁を有する。内壁は折り畳まれ、それらの縁壁で、好ましくは側壁に垂直に互いから外れる。好ましくは、縁部は側壁面の付近にある。基部面からの遷移曲線では、内壁は追加として溶接点で接合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的問題は、このようなマルチチャンバ構造要素を製造する方法を提供することであり、これにより、支持支柱として使用するため、具体的には強度及び重量比の耐荷重性能に対して所望の特性を有する一方で、所望の寸法精度を維持するマルチチャンバ構造要素の製造が可能になる。マルチチャンバ構造要素を製造する方法は、技術ステップの数が限られており、専門家及び複雑な装置を使用することなく、簡略化した時間があまり掛からない経済的利益、従ってマルチチャンバ構造要素をより安価に製造するプロセスを直接提供するように実現されることが望ましい。マルチチャンバ構造要素を製造する方法は、材料消費が低いことを特徴とし、広範囲の幾何学的パラメータ、具体的には様々な高さ、空間形成、並びに対称及び非対称の特性の両方を有するマルチチャンバ構造要素を製造できることも望ましい。マルチチャンバ構造要素の形状が、広範囲の幾何学的パラメータ内で容易に修正でき、製造プロセスで使用する装置を再配置する必要がないはずである、マルチチャンバ構造要素を製造する方法を提供することも重要である。重要なことに、容易に輸送し、目的地点で設置する、マルチチャンバ構造要素を提供することも望ましい。本発明の別の技術的問題は、上に挙げた特性及び所望の技術的パラメータを有するマルチチャンバ構成要素も供給することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の目的は、チャンバ・プロファイルの連結によって画定された中心から半径方向に延在する、チャンバ・プロファイルでマルチチャンバ構造要素を形成するために、以下のステップ、すなわち、
a)少なくとも3つのチャンバ・プロファイル・プリフォームが提供され、各チャンバ・プロファイル・プリフォームは、金属材料のシートから作成され、平面の間に保持された隙間を備えた実質的に平行な平面に互いに対して配置された2つの壁を含み、個々の壁の縁部は集結し、弁要素は少なくとも1つの壁上に配置されるステップと、
b)チャンバ・プロファイル・プリフォームのそれぞれの連結していない壁の縁部は、チャンバ・プロファイル・プリフォームの閉鎖した密閉型空の内部空間を形成するためにシールで密封されるステップと、
c)圧力下の流体は、変形したチャンバ・プロファイルを形成するために、弁要素を通ってチャンバ・プロファイル・プリフォームの内部空間の中に導入されるステップと、
d)少なくとも3つのチャンバ・プロファイル・プリフォーム又はチャンバ・プロファイルは、内縁部の少なくとも一部に沿って、連結軸に対して近位のチャンバ・プロファイル・プリフォーム又はチャンバ・プロファイルの対応する内縁部の面積に連結されるステップとを含み、
ステップc)及びd)は、逆順で実行されてもよいことを特徴とする、マルチチャンバ構造要素を製造する方法である。
【0008】
本発明の好ましい実施形態では、チャンバ・プロファイル・プリフォームは、実質的に平行な平面で互いに対して配置された2つの壁を形成するために、1つの縁部に沿って曲げられた1枚の金属材料から作成される。
【0009】
本発明の別の好ましい実施形態では、ステップc)は、チャンバ・プロファイル・プリフォームが圧力板の間に、圧力板がチャンバ・プロファイル・プリフォームの壁と接触するような手法で導入された後に実行される。
【0010】
本発明の別の好ましい実施形態では、ステップc)の間に、力が圧力板にチャンバ・プロファイル・プリフォームの方向に加えられる。
【0011】
好ましくは、ステップc)は、弁要素を圧力下の流体源に連結することによって実行される。
【0012】
ステップc)が、マルチチャンバ構造要素におけるチャンバ・プロファイルに対応するチャンバ・プロファイル・プリフォームの全てに同時に実行されることが同様に好ましい。
【0013】
より好ましくは、ステップd)では、チャンバ・プロファイルは連結される一方で、連結軸に対してそれらの対称構成を保つ。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、ステップb)及び/又はステップd)は、融接、圧接、接着又は圧着によって実現される。
【0015】
本発明の別の好ましい実施形態では、流体は、空気、水、油、流体コンクリート又は流体プラスチックである。
【0016】
本発明の更に好ましい実施形態では、ステップc)は、室温又は上昇した温度で実行される。
【0017】
好ましくは、チャンバ・プロファイル・プリフォームの中に導入された流体の圧力は5バールである。
【0018】
同様に好ましくは、ステップc)では、圧力下の流体は、チャンバ・プロファイル・プリフォームの内部空間に1分間導入され、その後、定圧がチャンバ・プロファイル・プリフォーム内で30秒間維持される。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、ステップb)及びd)は、同時に実現される。
【0020】
本発明の別の好ましい実施形態では、内縁部の少なくとも一部に沿って、連結軸に対して近位のチャンバ・プロファイル・プリフォームの対応する内縁部の面積に少なくとも3つのチャンバ・プロファイル・プリフォームを同時に封止して連結することは、レーザ溶接によって実現される。
【0021】
本発明の第2の目的は、それらの密閉型空の空間の中に導入された圧力下の流体により変形された少なくとも3つのチャンバ・プロファイルを含み、チャンバ・プロファイルは、連結軸によって画定された中心から半径方向に延在するチャンバ・プロファイルでマルチチャンバ構造要素を形成するために、シールの少なくとも一部に沿って対応するシールと互いに連結されることを特徴とする、マルチチャンバ構造要素である。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、チャンバ・プロファイルは、連結軸に対して軸方向に対称に配置される。
【0023】
本発明の更に好ましい実施形態では、チャンバ・プロファイルは、マルチチャンバ構造要素の連結軸に向かって方向付けられ、直線又は少なくとも部分的に曲線に延在する内縁部を有する。
【0024】
本発明の別の好ましい実施形態では、チャンバ・プロファイルは、マルチチャンバ構造要素の連結軸に対して反対の、連結軸に平行な直線、連結軸から外れた、連結軸に対して凹状の曲線、又は連結軸に対して凸状の曲線に延在する、外縁部を有する。
【0025】
好都合なことに、チャンバ・プロファイルは、連結軸に対して異なる半径長さに延在する。
【0026】
やはり好都合なことに、流体は、空気、水、油、流体コンクリート又は流体プラスチックである。
【0027】
本発明によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法は、具体的には構造要素の強度及び剛性係数、並びに重量比の耐荷重性能に対して、所望の特性を有する構造要素の製造が可能になる。具体的には、マルチチャンバ構造要素の製造に比較的薄い金属シートを広範囲に使用するため、本発明による方法で製造したマルチチャンバ構造要素は、当技術分野で公知の昔ながらの解決策に比べて重量比の耐荷重性能を大きく増加することができる。更に、本発明によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法は、経済的利益及びマルチチャンバ構造要素の非常に簡略化した製造プロセスに転換する、複雑でない機械設備の使用で実現される。シールが少ないことにより、速度を向上し、マルチチャンバ構造要素を製造するプロセスの労働強度を低下する。加えて、チャンバ・プロファイル・プリフォームの密閉閉鎖した内部空間の中に圧力下の流体を導入することに基づいて、マルチチャンバ構造要素の基本要素であるチャンバ・プロファイルの製造は、製造したチャンバ・プロファイルの、ひいては最終的なマルチチャンバ構造要素のパラメータを広範囲で、具体的にはその最終的幾何形状に対して修正することができる。重要なことに、金属材料のシートから製造した比較的薄いチャンバ・プロファイル・プリフォームを使用するため、及び複雑でない機械設備を使用するため、マルチチャンバ構造要素は、構成要素を到達が困難な場所、例えば掘削洞穴の中に容易に導入することができ、その中で単純な操作で製造して直立させることができ、屋根構造のための耐荷重要素を形成する。
【0028】
本発明による解決策は、以下の実施形態に示され、図面に例示されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】本発明の一実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のステップを示す。
【
図1B】本発明の一実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のステップを示す。
【
図2A】本発明の更なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のステップを示す。
【
図2B】本発明の更なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のステップを示す。
【
図3A】本発明の更なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のステップを示す。
【
図3B】本発明の更なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のステップを示す。
【
図4A】本発明の更なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のステップを示す。
【
図4B】本発明の更なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のステップを示す。
【
図5A】本発明の更なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のステップを示す。
【
図5B】本発明の更なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のステップを示す。
【
図5C】本発明の更なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のステップを示す。
【
図6A】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【
図6B】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【
図6C】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【
図6D】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【
図6E】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【
図7A】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素に使用するためのチャンバ・プロファイルの正面図を示す。
【
図7B】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素に使用するためのチャンバ・プロファイルの正面図を示す。
【
図7C】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素に使用するためのチャンバ・プロファイルの正面図を示す。
【
図7D】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素に使用するためのチャンバ・プロファイルの正面図を示す。
【
図7E】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素に使用するためのチャンバ・プロファイルの正面図を示す。
【
図7F】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素に使用するためのチャンバ・プロファイルの正面図を示す。
【
図8A】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の正面図を示す。
【
図8B】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の正面図を示す。
【
図8C】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の正面図を示す。
【
図8D】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の正面図を示す。
【
図8E】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の正面図を示す。
【
図9A】
図8Aに表示された交差平面に沿ったマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【
図9B】
図8Bに表示された交差平面に沿ったマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【
図9C】
図8Cに表示された交差平面に沿ったマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【
図9D】
図8Dに表示された交差平面に沿ったマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【
図9E】
図8Eに表示された交差平面に沿ったマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【
図10A】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の正面図を示す。
【
図10B】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の正面図を示す。
【
図10C】本発明の異なる実施形態によるマルチチャンバ構造要素の正面図を示す。
【
図11A】
図10Aに表示された交差平面に沿ったマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【
図11B】
図10Bに表示された交差平面に沿ったマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【
図11C】
図10Cに表示された交差平面に沿ったマルチチャンバ構造要素の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施形態1
本発明の一実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法は、
図1A~Bに一部が概略的に示されている。マルチチャンバ構造要素を製造する方法の表された実施形態は、金属シートから作成され、間に隙間を保持した実質的に平行な平面に互いに対して配置された2つの壁3を含む、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2を提供するステップを含み、個々の壁3の縁部は集結する。弁要素6は、壁3の少なくとも一方の上に配置される。弁要素6は、空気圧又は油圧連結具であり、加圧された流体の外部源から供給ダクト7を防漏締結することができる。本発明の一部の実施形態では、弁要素6は、弁、具体的には逆止弁であってもよい。弁要素6の場所は、本発明の範囲に限定されず、従って弁要素6は、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内部空間と連結できるのであれば、金属シートのあらゆる場所に配置されてもよい。
【0031】
この実施形態では、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2は、2つの壁3から形成され、壁3のそれぞれは別個の金属シートから作成される。代替実施形態では、実質的に平行な平面に互いに対して配置された2つの壁3を形成するために、1つの縁部に沿って、当技術分野で公知の冷間曲げ操作を使用して曲げられる、1枚の金属材料を提供することができる。この実施形態は好都合なことに、製造されたチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の1つの縁部が、金属シートを提供するステップで(金属シートが曲げられる場所で)すでに封止されており、従って連続する封止操作の数が低減する。
【0032】
マルチチャンバ構造要素を製造する方法の次のステップでは、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2は、封止された密閉型内部空間を生成するために封止される。封止は、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の壁3を互いに合わせた後、それらを形成する金属シートの縁部上で実行される。この実施形態では、封止は、こうしてチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の合わせた壁3の全周縁部上で実行され、
図1Aは縦のシール5のみを示す。この実施形態では、封止は、とりわけ縦の溶接を形成する、対応する縁部を一緒に溶接することによって実行された。封止は、更にチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の正面及び背面に置かれた、合わせた壁3の縁部上で実行される。上に挙げた縁部の全てを封止することにより、防漏密閉型内部空間は、
図1Aの断面に概略的に示されたように、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2内に形成される。シール5の種類は、この場合に本発明の範囲に限定されず、代替実施形態では、防漏内部空間がチャンバ・プロファイル・プリフォーム2内に形成されるのであれば、あらゆる種類のシール5の使用、例えば圧接、半田付け、接着、曲げ加工又は加圧を用いることが可能である。
【0033】
次のステップでは、圧力下の流体の外部源は、供給ダクト7を通して弁要素6に連結される。この実施形態では、流体は空気であり、圧力下の流体源は圧縮機であり、供給ダクト7は弁要素6と一緒に空気圧連結を形成する。圧力下の流体及び連結具の外部源の種類は、本発明の範囲に限定されず、代替実施形態では、水、流体セメント、機械油、1型、2型、又は3型発泡材料(例えばフレックス140タイプ)、その他などの流体プラスチックの形の流体を連結具及びそれらの流体に適切な圧力下の流体源と一緒に使用することができる。流体の圧縮率が少ないほど、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の変形状態がより多く制御される。
【0034】
本発明によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法の次のステップでは、画定された圧力下の流体は、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の封止された内部空間に送達される。変形するためにシート金属から作成された閉鎖し封止されたチャンバ要素の中に圧力下の流体を導入し、それらを最終形で提供する技術は、とりわけ欧州特許出願公開第2110189A1号から公知である。圧力下の流体をチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内部空間の中に送達した結果、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の壁3は変形され、最も大きい変形レベルは、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2から製造されたチャンバ・プロファイル1の断面を示す、
図1Bに最も良く示されたように、チャンバ・プロファイル1の中心に置かれる。見てわかるように、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の壁3は、大きく変形されている。次の2つのチャンバ・プロファイル1は、3つのチャンバ・プロファイル1を獲得するために同じ方法によって製造される。
【0035】
圧力下の流体をチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内部空間の中に導入することは、冷間技術で(すなわち室温で)実行されるが、これは本発明の範囲に限定されず、代替実施形態では、プロセスは、上昇した温度又は高温で実行されてもよいことに留意されたい。
【0036】
本発明の一実施形態では、圧力下の流体を導入するステップは、以下のプロセス・パラメータ、すなわち、
プロセス温度:20℃、
作動圧力:5バール、
変形時間:圧力がチャンバ・プロファイル・プリフォーム内で均等になるまで1分、
圧力保持時間:30秒、
合計変形時間:1.5分で実行された。
【0037】
マルチチャンバ構造要素を製造する方法の代替実装形態では、圧力下の流体をチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内部空間の中に導入するステップは、
図5Bに示されたように、圧力板8がチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の壁3と接触するように、圧力板8の間にチャンバ・プロファイル・プリフォーム2を置くことが先行してもよい。圧力板8は、機械プレスの作業要素であってもよい。この場合、制御された力は、圧力板8に、具体的にはチャンバ・プロファイル・プリフォーム2に向かう方向に加えられてもよい。圧力下の流体をチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の封止された内部空間の中に送達するステップでは、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2は、圧力板8の間に保たれる。その結果、この方法の後に形成されたチャンバ・プロファイル1は、
図5Cに示されたマルチチャンバ構造要素の断面に最も良く示されたように、壁3の中心面積に平坦面を有する。
【0038】
後続のステップでは、3つのチャンバ・プロファイル1は、内縁部の少なくとも一部に沿って、連結軸4に対して近位のチャンバ・プロファイル1の対応する内縁部を連結することによって互いに連結される。この実施形態では、対応するシール5を連結することによって実現される。チャンバ・プロファイル1の連結面積は、チャンバ・プロファイル1の3つの縁部(シール5)を含み、これは連結溶接で一緒に連結軸4を形成する。この実施形態では、チャンバ・プロファイル1は互いに溶接によって連結されるが、これは本発明の範囲に限定されず、代替実施形態では、圧接、半田付け、接着、曲げ加工又は加圧などの他の連結技法を使用することができる。
【0039】
チャンバ・プロファイル1の連結は、連結軸4に対してチャンバ・プロファイル1の軸方向に対称の構成で、すなわち
図6Aに示されたような断面図で実現され、チャンバ・プロファイル1のそれぞれは、連結軸4から半径方向外方に延在し、チャンバ・プロファイル1は、連結軸4を中心に等しい角度で、この実施形態では120°の角度で配置される。
【0040】
実施形態2
本発明の第2の実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法は、
図2A~Bに概略的に示されている。マルチチャンバ構造要素を製造する方法の表された実施形態は、実施形態1に示されたマルチチャンバ構造要素を製造する方法に実質的に類似しており、従って類似ステップは、本開示をわかりやすくするために詳細には論じられない。
【0041】
マルチチャンバ構造要素を製造する方法の第2の実施形態では、第1のステップにおいて、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の2つの壁3である、2つの金属シートが提供される。互いに合わせられるチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の壁3は、その後、封止された密閉型内部空間を形成するために自由縁部上で封止される。この方法に続いて、3つのチャンバ・プロファイル・プリフォーム2が製造される。
【0042】
実施形態1に示された構造要素を製造する方法と違い、第2の実施形態による構造要素を製造する方法は、(
図2Aに示されたような)シール5の少なくとも一部に沿って、対応するシール5を連結することにより、こうして形成されたチャンバ・プロファイル・プリフォーム2を互いに連結することを含む。チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の連結面積は、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の3つの縁部(シール5)を含み、これらは連結溶接で一緒に連結軸4を最終的なマルチチャンバ構造要素内に形成する。この実施形態では、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2は溶接によって互いに連結され、連結されたチャンバ・プロファイル・プリフォーム2は
図2Aに示されている。
【0043】
本発明の第2の実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のその後のステップでは、画定された圧力下の流体は、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の封止された内部空間に送達され、この送達は、供給ダクト7を通って圧力下の流体の外部源を弁要素6に連結することによって実現される(
図2B参照)。圧力下の流体をチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内部空間の中に導入することは、各チャンバ・プロファイル・プリフォーム2を一連の操作として(すなわち次から次へと)別個に、又は
図2Bに示されたように、全てのチャンバ・プロファイル・プリフォーム2に対して同時に実現されてもよい。しかし圧力下の流体をチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内部空間の中に同時に導入することは、より多くの数の供給ダクト7を使用する必要があり、圧力下の流体の適切な源は、同数の供給ダクト7を同時に連結する可能性を確実にする。
【0044】
その結果、半径方向に延在し、密封封止された内部空間の中に導入された圧力下の流体によって変形された連結軸4に対して対称に配置された、3つのチャンバ・プロファイル1を有する、
図6Aに示された断面を備えたマルチチャンバ構造要素が獲得される。
【0045】
実施形態3
本発明の次の実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法は、
図3A~Bに概略的に示されている。マルチチャンバ構造要素を製造する方法の表された実施形態は、実施形態2に示されたマルチチャンバ構造要素を製造する方法に実質的に類似しており、従って類似ステップは、本開示をわかりやすくするために詳細には論じられない。
【0046】
マルチチャンバ構造要素を製造する方法の第3の実施形態では、第1のステップにおいて、V字形プロファイルであり、それぞれが隣接したチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の1つの壁3を形成する、3つの金属シートが提供される。V字形プロファイルは、V字形プロファイルのアームが、隣接したV字形プロファイルのアームに平行な平面に延在し、それぞれが3つのチャンバ・プロファイル・プリフォーム2を形成するような手法で互いに合わせられる。その後、封止するステップは、封止された密閉型内部空間を形成するために、そのように形成されたチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の自由縁部(外縁部)上で実行される。次のステップでは(又は同時に)、シール5は、連結されたチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の中心面積内に作成される。チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内縁部を封止するステップは、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の対応する壁3の間に維持された隙間を通る封止技法を使用して実現され、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内部空間を密閉閉鎖するシール5を形成する。この場合、封止技法は、好ましくは隙間を通る溶接シーム(溶接)を形成し、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の壁3の間に形成された空間を封止することにより、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の壁3を互いに連結することができるレーザ溶接を含む。この方法に続いて、3つのチャンバ・プロファイル・プリフォーム2は、
図3Aに示されたように同時に製造される。
【0047】
本発明の第3の実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のその後のステップでは、画定された圧力下の流体は、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の封止された内部空間に送達され、この送達は、供給ダクト7を通って圧力下の流体の外部源を弁要素6に連結することによって実現される(
図3B参照)。圧力下の流体をチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内部空間の中に導入することは、
図3Bに示されたように、全てのチャンバ・プロファイル・プリフォーム2に対して同時に実現される。
【0048】
その結果、半径方向に延在し、密閉封止された内部空間の中に導入された圧力下の流体によって変形された連結軸4に対して対称に配置された、3つのチャンバ・プロファイル1を有する、
図6Aに示された断面を備えたマルチチャンバ構造要素が獲得される。
【0049】
実施形態4
本発明の次の実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法は、
図4A~Bに概略的に示されている。マルチチャンバ構造要素を製造する方法の表された実施形態は、実施形態2に示されたマルチチャンバ構造要素を製造する方法に実質的に類似しており、従って類似ステップは、本開示をわかりやすくするために詳細には論じられない。
【0050】
マルチチャンバ構造要素を製造する方法の第4の実施形態では、第1のステップにおいて、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2を形成するために提供され、対応して合わせられた6つの金属シートが存在する。各チャンバ・プロファイル・プリフォーム2は、前の実施形態に類似してその外縁部上で封止される。前の実施形態と違い、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内縁部は、封止されないままであり、その後のステップでは、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内縁部は、対応するチャンバ・プロファイル・プリフォーム2を内縁部と互いに向かって合わせることによって、互いに対して位置付けられる。チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の合わせた内縁部は、連結軸4及び
図4Aに示されたように全てのチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内部空間の封止された密閉閉鎖を形成するために、その後1つの操作で封止されて互いと連結される。
【0051】
本発明の第4の実施形態によるマルチチャンバ構造要素を製造する方法のその後のステップでは、画定された圧力下の流体は、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の封止された内部空間に送達され、この送達は、供給ダクト7を通って圧力下の流体の外部源を弁要素6に連結することによって実現される(
図4B参照)。圧力下の流体をチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の内部空間の中に導入することは、
図4Bに示されたように、全てのチャンバ・プロファイル・プリフォーム2に対して同時に実現される。
【0052】
その結果、半径方向に延在し、密閉封止された内部空間の中に導入された圧力下の流体によって変形された連結軸4に対して対称に配置された、3つのチャンバ・プロファイル1を有する、
図6Aに示された断面を備えたマルチチャンバ構造要素が獲得される。
【0053】
実施形態5
マルチチャンバ構造要素の更なる非限定的実施形態は、
図4A~Eに断面で示されている。
【0054】
図6Aに示されたように、3つのチャンバ・プロファイル1から形成された構造要素であった実施形態1~4に記載されたマルチチャンバ構造要素と違い、マルチチャンバ構造要素の他の実施形態は、より多くの数の構成要素のチャンバ・プロファイル1を含んでもよい。マルチチャンバ構造要素は、4つのチャンバ・プロファイル1(
図6B)、6つのチャンバ・プロファイル1(
図6C)、及び/又は8つのチャンバ・プロファイル1(
図6D)を含んでもよい。重要なことに、マルチチャンバ構造要素は、幾何形状が同一のチャンバ・プロファイル1から形成されたマルチチャンバ構造要素に限定されず、同じマルチチャンバ構造要素内に異なる幾何形状のチャンバ・プロファイル1を有することが可能である。このような実施形態は
図6Eに示されており、ここでは連結軸4から半径方向に延在し、連結軸4に対して対称の4つのチャンバ・プロファイル1が第1の長さを有し、第1の4つのチャンバ・プロファイル1の間に配置された残りの4つのチャンバ・プロファイル1は、第1の長さより長い第2の長さを有する。この実施形態は、マルチチャンバ構造要素の技術的パラメータを特定の解決策の特定の矢印の力特性に調節することができる、マルチチャンバ構造要素の設計における自由範囲を示す。
【0055】
本発明によるマルチチャンバ構造要素の様々な実施形態は、異なる幾何形状のチャンバ・プロファイル1から形成されたマルチチャンバ構造要素を含む。チャンバ・プロファイル1の幾何形状は、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の幾何形状に厳密に関連し、これは圧力下の流体がチャンバ・プロファイル・プリフォーム2の密閉封止された内部空間の中に導入されることに起因して、変形を受ける。チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の壁3の大きい表面は、最も広範囲の変形を受け、シール5の面積の変形レベルは限定され、又は変形しない。これは、シール5内のチャンバ・プロファイル1の幾何形状が、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の幾何形状と実質的に同一であることを意味し、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の幾何形状は、チャンバ・プロファイル1の最終形状を、ひいてはマルチチャンバ構造要素の最終形状も自由に形状することができる。
図7A~Fは、更なるステップでマルチチャンバ構造要素の構成要素であるチャンバ・プロファイル1の製造に使用される、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2の様々な幾何形状の側面図である。
【0056】
図7Aでは、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2、ひいてはチャンバ・プロファイル1は、マルチチャンバ構造要素の連結軸4に向かって方向付けられ、直線に及び連結軸4に平行に延在する内縁部、並びに連結軸4に平行な直線に延在する、マルチチャンバ構造要素の連結軸4に対して反対の外縁部を有する。
図7Aに表されたチャンバ・プロファイル1から製造されたマルチチャンバ構造要素は、
図8Aに側面図及び
図9Aに断面図で示されている。
【0057】
図7Bでは、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2、ひいてはチャンバ・プロファイル1は、マルチチャンバ構造要素の連結軸4に向かって方向付けられ、直線に連結軸4に平行に延在する内縁部、並びに連結軸4に対して傾斜した直線に延在する、マルチチャンバ構造要素の連結軸4に対して反対の外縁部を有し、チャンバ・プロファイル1の幅は、底部に向かって増加する。
図7Bに表されたチャンバ・プロファイル1から製造されたマルチチャンバ構造要素は、
図8Dに側面図及び
図9Dに断面図で示されている。
【0058】
図7Cでは、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2、ひいてはチャンバ・プロファイル1は、マルチチャンバ構造要素の連結軸4に向かって方向付けられ、直線に連結軸4に平行に延在する内縁部、並びに連結軸4に対して傾斜した直線に延在する、マルチチャンバ構造要素の連結軸4に対して反対の外縁部を有し、チャンバ・プロファイル1の幅は、底部に向かって低減する。
【0059】
図7Dでは、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2、ひいてはチャンバ・プロファイル1は、マルチチャンバ構造要素の連結軸4に向かって方向付けられ、連結軸4に平行な直線に延在する上部領域及び下部領域を備えて曲線に延在する内縁部、並びに連結軸4に平行な直線に延在する、マルチチャンバ構造要素の連結軸4に対して反対の外縁部を有する。
図7Dに表されたチャンバ・プロファイル1から形成されたマルチチャンバ構造要素は、
図8Eに側面図及び
図9Eに断面図で示されている。
【0060】
図7Eでは、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2、ひいてはチャンバ・プロファイル1は、マルチチャンバ構造要素の連結軸4に向かって方向付けられ、直線に連結軸4に平行に延在する内縁部、並びに凹状曲線に延在する、マルチチャンバ構造要素の連結軸4に対して反対の外縁部を有する。
図7Eに表されたチャンバ・プロファイル1から形成されたマルチチャンバ構造要素は、
図8Cに側面図及び
図9Cに断面図で示されている。
【0061】
図7Fでは、チャンバ・プロファイル・プリフォーム2、ひいてはチャンバ・プロファイル1は、マルチチャンバ構造要素の連結軸4に向かって方向付けられ、直線に連結軸4に平行に延在する内縁部、並びに凸状曲線に延在する、マルチチャンバ構造要素の連結軸4に対して反対の外縁部を有する。
図7Fに表されたチャンバ・プロファイル1から形成されたマルチチャンバ構造要素は、
図8Bに側面図及び
図9Bに断面図で示されている。
【0062】
他の実施形態では、マルチチャンバ構造要素は、軸方向に非対称なマルチチャンバ構造要素を形成する、異なる幾何形状を有するチャンバ・プロファイル1から形成されてもよい。軸方向に非対称なマルチチャンバ構造要素の非限定的実施形態は、
図10Aに側面図及び
図11Aに断面図で示されており、マルチチャンバ構造要素は、
図7A及び
図7Bに表されたチャンバ・プロファイル1を使用して製造される。軸方向に非対称なマルチチャンバ構造要素の別の実施形態は、
図10Bに側面図及び
図11Bに断面図で示されており、マルチチャンバ構造要素は、
図7A及び
図7Fに表されたチャンバ・プロファイル1を使用して製造され、チャンバ・プロファイル1の外縁部は、マルチチャンバ構造要素の上部から延在し、マルチチャンバ構造要素の下部で直線断片を緩やかに通過する、湾曲形状である。軸方向に非対称なマルチチャンバ構造要素の尚別の実施形態は、
図10Cに側面図及び
図11Cに断面図で示されており、マルチチャンバ構造要素は、
図5A及び
図5Eに表されたチャンバ・プロファイル1を使用して製造され、チャンバ・プロファイル1の外縁部は、マルチチャンバ構造要素の下部から延在し、マルチチャンバ構造要素の上部で直線断片を緩やかに通過する、湾曲形状である。
【0063】
重要なことに、マルチチャンバ構造要素の一部であるチャンバ・プロファイル1の数、並びにマルチチャンバ構造要素の一部であるチャンバ・プロファイル1の幾何形状は、これらの実施形態に表された範囲に限定されず、これらは本発明の可能な実装形態の例に過ぎない。代替実施形態では、マルチチャンバ構造要素は、4つ以上のチャンバ・プロファイル1を含んでもよく、チャンバ・プロファイル1は、ここに開示された形状の組み合わせである形状を含み、表された形状以外の形状を有してもよい。
【0064】
実装形態6
本発明による方法で製造されたマルチチャンバ構造要素は、当技術分野で共通して使用される標準構造要素との比較試験(数値計算に基づく)を受けた。比較試験の結果は、表1に表されている。本発明の方法で製造された試験したマルチチャンバ構造要素は、FIDU200と表1に指定された。HEB120と指定された比較された構造要素は、フランジ幅120mm、プロファイル高さ120mm、ウェブ厚さ6.5mmの標準化された幅、フランジI、プロファイルである。HEB120のプロファイルに対するシミュレーションで使用した材料は、スチールS235JRであった。本発明のマルチチャンバ構造要素は、
図7Aに示された4つのチャンバ・プロファイル1から形成され、
図6Bに断面図で示されている。各構成要素チャンバ・プロファイル1は、200mmの幅、すなわち連結軸4に対する半径寸法を有し、実施形態1に示されたプロセス・パラメータを使用することにより、厚さ2mmのシートスチールS235JRから形成された。
【0065】
【0066】
表1を見てわかるように、FIDU200の要素の断面積は、HEB120のプロファイルの断面積より約0.8%だけ小さい。更にFIDU200の要素は、HEB120より約5.9%だけ軽く、FIDU200の断面の最小幾何学的慣性モーメントは、HEB120より約7.5倍大きい。その結果、FIDU200の要素は、約7.5倍大きい座屈力、及びHEB120より約0.8%小さい材料の降伏力を特徴とする。
【0067】
これらのパラメータの比較は、本発明(FIDU200)によるマルチチャンバ構造要素の断面が、当技術分野(HEB120)で共通して加えられた標準プロファイルより良好に使用されることを実証する。更に質量がより低く、断面積がより小さい状態で、本発明によるマルチチャンバ構造要素は、7.5倍大きい慣性モーメント及び7.5倍大きい座屈強度に達する。
【符号の説明】
【0068】
参照番号のリスト
1 チャンバ・プロファイル
2 チャンバ・プロファイル・プリフォーム
3 チャンバ・プロファイル・プリフォームの壁
4 連結軸
5 シール
6 弁要素
7 供給ダクト
8 圧力板
【国際調査報告】