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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(54)【発明の名称】ベンチレーテッドブレーキロータ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/00 20060101AFI20230214BHJP
   F16D 65/12 20060101ALI20230214BHJP
   F16D 63/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
F16D65/00 A
F16D65/12 B
F16D65/12 R
F16D65/12 X
F16D63/00 A
F16D65/12 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537107
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-07-12
(86)【国際出願番号】 IB2020061926
(87)【国際公開番号】W WO2021124084
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】102019000024520
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】マロナーティ,ジャンルイージ
(72)【発明者】
【氏名】ボージス,アルベルト
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA03
3J058AA07
3J058AA13
3J058AA17
3J058AA24
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058BA27
3J058BA37
3J058BA61
3J058CB14
3J058CB17
3J058CB23
3J058DD02
3J058DE02
3J058DE08
3J058EA02
(57)【要約】
ベンチレーテッドブレーキロータ。本発明は、制動される車両要素に回転可能に関連付けられたベンチレーテッドブレーキロータ(1)に関するものである。ベンチレーテッドロータ(1)が回転軸(A)を有する。ベンチレーテッドロータ(1)が、回転軸(A)と平行な、または一致する軸方向(A―A)、半径方向(R―R)および周方向(T―T)を規定し、半径方向(R―R)が軸方向(A―A)と直交し、周方向(T―T)が軸方向(A―A)および半径方向(R―R)の両方に垂直である。ベンチレーテッドロータ(1)がカップ状体(2)を備え、カップ状体(2)が少なくとも一つの通気口(10)を備え、少なくとも一つの通気口(10)が記ベンチレーテッドブレーキロータ(1)を冷却するための冷却液を通過させるようにカップ状体の厚さを貫通している。カップ状本体(2)が、少なくとも1つの前部環状部分(3)と、側部(5)を備える。前部環状部分(3)が、通風ブレーキロータ(1)を回転要素に接続するように構成される。側部(5)が、少なくとも軸方向(A―A)に前部環状部分(3)から延在している。保護要素(6)は、少なくとも1つの開口部(10)を遮蔽するように構成され、カップ状本体(2)への異物の侵入を防止する一方、冷却流体は少なくとも1つの開口部(10)を横断できる。
【選択図】14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキがかけられる車両要素に回転可能に関連付けられるベンチレーテッドブレーキロータ(1)であって
前記ベンチレーテッドロータ(1)が回転軸(A)を有し
前記ベンチレーテッドロータ(1)が、前記回転軸(A)と平行な、または前記回転軸(A)に一致する軸方向(A―A)、半径方向(R―R)、および周方向(T―T)を定義し、
前記半径方向(R―R)が前記軸方向(A―A)に垂直であり、
前記周方向(T―T)が前記軸方向(A―A)と前記半径方向(R―R)の両方に垂直であり、
前記ベンチレーテッドロータ(1)がカップ状体(2)を備え、
前記カップ状体(2)が少なくとも一つの通気口(10)を備え、
前記少なくとも一つの通気口(10)が、前記ベンチレーテッドブレーキロータ(1)を冷却するための冷却液を通過させるように前記カップ状体の厚さを貫通し、
前記カップ状本体(2)が、少なくとも1つの前部環状部分(3)と、側部(5)と、を備え、
前記前部環状部分(3)が、前記通風ブレーキロータ(1)を前記回転要素に接続するように構成され、
前記側部(5)が、少なくとも前記軸方向(A―A)に前記前部環状部分(3)から延在する、ベンチレーテッドブレーキロータ(1)において、
前記ベンチレーテッドブレーキロータ(1)保護要素(6)を有し、
前記保護要素(6)は、 前記少なくとも1つの開口部(10)を遮蔽するように構成され、冷却液が前記少なくとも1つの開口部(10)を横切ることを可能にしながら、異物が前記カップ状本体(2)内に入ることを防止する、ベンチレーテッドブレーキロータ(1)。
【請求項2】
前記カップ状本体(2)がカップ状本体の厚さを有し、
前記保護要素(6)が保護要素の厚さを有し、
該保護要素の厚さが前記カップ状本体の厚さより小さい、
および/または、
前記少なくとも1つの換気開口部(10)が大きな寸法の開口部であり、
前記大きな寸法の開口部が、前記カップ状本体の厚さを通過する開口部であり、
前記保護要素(6)が、前記少なくとも1つの開口部(10)を部分的に覆うように配置されて、これにより前記大きな寸法の開口部を小さな寸法の複数の開口部に変形させる、
および/または、
前記保護要素(6)が、前記少なくとも1つの開口部(10)を通して前記カップ状本体(2)の内部から外部への前記冷却流体の吸引を増加させるように構成されている、
および/または、
前記保護要素(6)が複数の換気孔(18)を有する、請求項1に記載のベンチレーテッドブレーキロータ(1)。
【請求項3】
前記保護要素(6)が前記カップ状本体(2)に対して別個のピースで作られる、
および/または、
前記保護要素(6)が前記カップ状本体(2)から取り外し可能である、
および/または
前記保護要素(6)が穴あき金属シートを有する、
および/または
前記保護要素(6)が縦糸及び横糸構成を有する少なくとも一部分を含む、
および/または
前記保護要素(6)が金属材料からなる、
および/または
前記保護要素(6)が合成材料からなる、請求項1又は2に記載のベンチレーテッドブレーキロータ(1)。
【請求項4】
前記側部は、少なくとも1つの円筒形クラウン(9)を備え、
前記前部環状部分(3)は、半径方向内側円形クラウン(11)および半径方向外側円形クラウン(12)を備え、
前記半径方向内側円形クラウン(11)は、前記通気性ロータ(1)を前記制動されるべき要素に接続するよう構成されている複数の接続孔(13)を備え、
前記カップ状本体(2)が、複数の前記少なくとも1つの通気開口部(10)を備え、
前記保護要素(6)が環状保護要素(7、8)であり、
前記環状保護要素(7、8)と前記カップ状本体(2)が、軸方向および半径方向に拘束されるように形状結合して前記通気孔(10)を覆う、請求項1~3のいずれかに記載のベンチレーテッドブレーキロータ(1)。
【請求項5】
前記通気開口部(10)が前記周方向(T―T)に整然と配置された半径方向の通気開口部であり、
前記円筒状クラウン(9)が前記半径方向の通気開口部を構成し、
前記保護要素(6)が円筒状環状保護要素(7)であり、
前記円筒状環状保護要素(7)が軸方向前部結合部(14)と軸方向後部結合部(15)を有し、
前記円筒形クラウン(9)が、軸方向後方連結座(16)と軸方向前方連結座(17)を有し、
前記軸方向前方連結部(14)と前記軸方向後方連結部(15)が、それぞれ前記軸方向前方連結座(16)と前記軸方向後方連結座(17)に接続されて、円筒形の環状の保護要素(7)が前記カップ状本体(2)に対して軸方向および半径方向に拘束される、請求項1~4のいずれかに記載のベンチレーテッドブレーキロータ(1)。
【請求項6】
前記換気口(10)が周方向(T―T)に整然と配置された軸方向換気口であり、
前記半径方向外側の環状クラウン(12)が前記軸方向換気口を有し、
前記保護要素(6)が円環状保護要素(8)であり、
前記円形環状保護要素(8)が、少なくとも1つの半径方向外側の円筒形連結部(18)を備え、
前記円筒形クラウン(9)が、軸方向前部環状連結座(17)を備え、
前記半径方向外側の円筒形連結部(18)が、前記軸方向前部環状連結座(17)に連結されて、前記円形環状保護要素(8)が前記カップ状本体(2)に軸方向及び半径方向に拘束される、請求項4に記載のベンチレーテッドブレーキロータ(1)。
【請求項7】
前記ベンチレーテッドブレーキロータ(1)が、少なくとも1つの制動バンド(20、21)を備え、
前記少なくとも1つの制動バンド(20、21)が、
前記カップ状本体(2)の外側に配置されて前記カップ状本体(3)から半径方向に延びるディスク状制動帯(20)、または 前記カップ状本体(2)の内側に配置された円筒形の制動バンド(21)である、請求項1~6のいずれかに記載のベンチレーテッドブレーキロータ(1)。
【請求項8】
前記ベンチレーテッドブレーキロータ(1)が接続手段(17)を備え、
前記接続手段(22)が、前記カップ状本体(2)を前記ディスクブレーキバンド(20)に拘束するように構成される、前記請求項に記載のベンチレーテッドブレーキロータ(1)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のベンチレーテッドブレーキロータ(1)を含む、ブレーキ(100)。
【請求項10】
ドラムインハットタイプのパーキングブレーキからなる前記請求項に記載のブレーキ(100)。
【請求項11】
請求項1~11のいずれか1項に記載のベンチレーテッドブレーキロータ(1)を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンチレーテッドブレーキロータ及びベンチレーテッドタイプのブレーキに関し、特に、自動車分野、例えばドラムインハットブレーキの分野での用途に限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
ベンチレーテッドタイプのブレーキにおいて、ディスクブレーキであるかドラムブレーキであるかに応じて、ブレーキディスクのベル、回転ドラム、またはドラムブレーキの固定ジョーホルダプレートは、車両のブレーキの熱交換を増加させて冷却プロセスを加速させる空気流の通過を可能にする通気部を構成している。
【0003】
通気部分は、一般に貫通通気開口部を構成するドラム、固定プレート、又はベルの部分である。
【0004】
そのような開口部は、通常、ブレーキの冷却を加速する乱流の空気の動きがベル又はドラムの内部で引き起こされるように、円周方向に配置される。
【0005】
その代わりに、そのような開口部がドラムブレーキの固定プレート上に得られる場合、それらは通常、通気窓および/または通気孔の形状である。
【0006】
車両走行のある状況においては、空気に加えて、固形異物もそのような通気開口部を通過して、ドラム内部又はベルとホイールハブとの間の隙間に捕捉され得ることが判明している。
【0007】
特に、通気開口部を通過する異物は、清浄度に影響を与える以外に、例えば、ABSシステムの部品、ベアリング、及び、例えば、ドラムブレーキ、又は、商用車のディスクブレーキのベル内に収容されたドラムパーキングブレーキ等のブレーキの内部部品に損傷を与える可能性がある。
【0008】
さらに、例えば小石などの異物が通気パイプの内部に閉じ込められて空気の通過が妨げられ、ブレーキの冷却が損なわれることがある。
【0009】
さらに、ブレーキの回転部内部への異物の閉じ込めは、騒音の発生源となり、車両利用者や道路利用者に迷惑をかけることになる。
【0010】
通気型ドラム又は通気型ベルの内部に配置された部品は、非通気型ドラム又はベルの内部に配置された部品と比較して摩耗量が増加するため、通気型ベル又はドラムを有する車両は、非通気型ベル又はドラムを有する車両よりもメンテナンスコストが高くなることが判明した。
【0011】
先行技術から、1960年から1980年の間に製造された、例えば、Ceriani、Fontana、Oldaniの各社による競技用オ―トバイ用の通気型ドラムブレーキが知られており、そこでは固定ジョーホルダ板上に、進行方向に面した大きな寸法の通気窓と複数の軸方向通気開口部とが設けられている。このようなブレーキでは、通気窓はパンチングメタルシートで覆われ、軸方向の通気口は覆いがない。
【0012】
このような通気ドラムブレーキは、通気窓上に配置されたパンチングカバーを含み、したがって、ドラムブレーキへの異物の侵入を防止するが、軸方向通気開口部には何の保護もないままにするという、前述の問題点を部分的に克服するに過ぎない。したがって、異物は依然として軸方向換気開口部を通過して侵入することができる。
【0013】
さらに、前述の問題を部分的にしか克服しないことに加えて、そのような解決策は、専ら、ドラムブレーキの固定部分に換気開口部を有する換気式ブレーキに関するものである。
【0014】
したがって、冷却性能だけでなく作動性能も損なうことなく、先行技術から知られている欠点を克服することを可能にするベンチレーテッドブレーキロータを提供する必要性が強く感じられる。
【0015】
さらに、可能な限り低いコストで既に市販されているベンチレーテッド・ブレーキから安価および/または容易に製造できる、できるだけ少ない構成部品を有する単純なベンチレーテッドロータを得る必要性が感じられる。
【0016】
特に、一方では特に耐久性があり、他方ではブレーキのメンテナンスを減らすことを可能にする、車両のベンチレーテッドブレーキロータを得る必要性が感じられている。
【0017】
したがって、本発明の基礎となる課題は、先行技術を参照して述べた欠点を回避しつつ、前述のニ―ズを満たすような構造的および機能的特徴を有し、前述の感じたニーズを満たす、ベンチレーテッドブレーキロータおよびブレーキを考案することである。
【発明の概要】
【0018】
本発明の目的は、通気性ロータの近くに配置される車両またはブレーキの構成要素の保護として機能するベンチレーテッドブレーキロータを提供することである。
【0019】
本発明の目的は、通気開口部に異物が侵入する可能性が低減され、冷却特性が維持されるベンチレーテッドブレーキロータを、製造のステップにおいてできるだけ単純かつ容易に実施できる解決策で得ることである。
【0020】
この目的および他の目的および利点は、請求項1によるベンチレーテッドブレーキロータ、ならびに請求項9によるブレーキ、および請求項11による車両によって達成される。
【0021】
いくつかの有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0022】
提案された解決策は、非常に高いブレーキロータ冷却効率を維持する。
【0023】
さらに、提案された解決策は、公知のタイプのベンチレーテッドブレーキロータと比較して、1つの追加の保護要素のみを提供することによって、少なくとも1つの通気開口部に関して異物のアクセスを防止するが、冷却液のために通路を自由に残す。
【0024】
保護要素は、通気開口部が得られる通気性ロータのカップ状本体の厚さよりも小さな厚さを有し、実質的に、ベンチレーテッドブレーキロータのカップ状本体の厚さに等しい長さを有する通気パイプを形成している。
【0025】
ここでも、保護要素は、ベンチレーテッドブレーキロータのカップ状本体に対して別個の部品で作られる。
【0026】
さらに、保護要素は、ロータのカップ状本体から可逆的に取り外し可能であり、したがって、保護要素は、ベンチレーテッド・ブレーキのメンテナンス中に容易に洗浄、分解、再組み立て、または交換することができる。
【0027】
さらに、保護要素は環状保護要素であり、これは、カップ状本体部分と相補的であるその形状により、さらなる固定要素を用いることなくカップ状本体と接続されてそれに拘束される。
【0028】
さらに、提案された解決策により、手間のかかる複雑な組立作業を導入する必要なく、通気性ロータを得ることが可能である。
【0029】
ベンチレーテッドブレーキロータ、ブレーキ及び車両の更なる特徴及び利点は、添付の図を参照して非限定的な例として与えられる、その好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、第1の実施形態による保護要素を含むベンチレーテッドブレーキロータの軸方向図であり、ここでベンチレーテッドブレーキロータはドラムである。
図2図2は、ドラムブレーキのジョーホルダプレートに関連する図1のベンチレーテッドブレーキロータの分解軸線図である。
図3図3は、図1のベンチレーテッドブレーキロータの正面図である。
図4図4は、図3の線c-cに沿った断面の、図1のベンチレーテッドブレーキロータの上面図である。
図5図5は、第2の実施形態による保護要素を含むベンチレーテッドブレーキロータの軸方向図であり、ベンチレーテッドブレーキロータは短いドラムを有するドラムである。
図6図6は、ドラムブレーキのジョーホルダプレートに関連付けられた図5のベンチレーテッドブレーキロータの分解軸線図である。
図7図7は、図5のベンチレーテッドブレーキロータの正面図である。
図8図8は、図7の線c-cに沿って断面した図5のベンチレーテッドブレーキロータの上面図である。
図9図9は、第3の実施形態による保護要素を含むベンチレーテッドブレーキロータの軸方向図であり、ベンチレーテッドブレーキロータは、複合ブレーキディスクのベルである。
図10図10は、図9のベンチレーテッドブレーキロータの分解軸線図である。
図11図11は、第4の実施形態による保護要素を含むベンチレーテッドブレーキロータの軸方向図であり、ベンチレーテッドブレーキロータは、短いベルを有する複合ブレーキディスクのベルである。
図12図12は、図11のベンチレーテッドブレーキロータの分解軸線図である。
図13図13は、第5の実施形態による保護要素を含むベンチレーテッドブレーキロータの軸方向図であり、ベンチレーテッドブレーキロータは、一体的に作られたブレーキディスクベルとブレーキバンドを有する。
図14図14は、図13のベンチレーテッドブレーキロータの分解軸線図である。
図15図15は、ドラムインハットタイプのドラムブレーキに関連する図13のベンチレーテッドブレーキロータの部分的な断面軸線図である。
図16図16は、図15におけるドラムインハットブレーキの軸方向図である。
図17図17は、図13のベンチレーテッドブレーキロータを有する図15のドラムインハットブレーキの正面図である。
図18図18は、図17の線c―cに沿って断面した図15におけるドラムインハットブレーキの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
一般的な実施形態によるベンチレーテッドブレーキロータ1が提供される。
【0032】
ベンチレーテッドブレーキロータ(1)は、ブレーキがかけられる車両要素に回転可能に関連付けられる。
【0033】
ベンチレーテッドロータ1は、回転軸Aを有し、回転軸Aに平行な、又は回転軸Aと一致する軸方向A―Aと、径方向R―Rと、周方向T―Tとを定義する。径方向R―Rが軸方向A―Aに垂直であり、周方向T―Tが軸方向A―Aと径方向R―Rの両方に垂直である。
【0034】
前記通気性ロータ1は、カップ状の胴部厚さを有するカップ状胴部2を有する。
【0035】
カップ状本体2は、少なくとも1つの通気口10を有する。各通気口10は、ベンチレーテッドブレーキロータ1を冷却するための冷却流体を通過させるようにカップ状本体の厚さを貫通している。
【0036】
さらに、カップ状本体2は、少なくとも1つの前部環状部分3および側部5を有する。
【0037】
前部環状部分3は、ベンチレーテッドブレーキロータ1を前記制動すべき回転要素に接続するように構成され、側部5は、前部環状部分3から少なくとも軸方向A―Aに延在している。
【0038】
ベンチレーテッドブレーキロータ1は保護要素6を有する。保護要素6は、少なくとも1つの開口部10を遮蔽し、カップ状本体2への異物の侵入を防止する一方、少なくとも1つの開口部10を冷却液が横切ることができるように、構成される。
【0039】
実施形態によれば、カップ状本体2は、前部環状部分3に対して軸方向に対向する後部環状縁部4を備え、側部5は、前部環状部分3から後部環状縁部4まで延在している。
【0040】
実施形態によれば、カップ状体2は、その内部の領域とその外部の領域とを規定する収容体であり、冷却流体は、カップ状体の内部の領域と外部の領域との間の通気開口部を通過する。
【0041】
実施形態によれば、保護要素6は保護厚さを有し、保護要素の厚さはカップ状本体の厚さより小さい。
【0042】
実施形態によれば、少なくとも1つの換気開口部10は、カップ状本体の厚さを通過する大きな寸法の開口部である。保護要素6は、前記少なくとも1つの開口部10を部分的に覆って配置され、大きな寸法の開口部を複数の小さな開口部に変形させる。
【0043】
さらに、大きな寸法を有する換気開口部10は、カップ状本体の厚さに等しい厚さを有し、代わりに、小さな寸法の複数の開口部は、より小さな厚さ、特に保護素子の厚さに等しい厚さを有している。
【0044】
実施形態によれば、前記保護要素6は、前記少なくとも1つの開口部10を介して前記カップ状本体2の内部から外部への冷却流体の引き込みを増加させるように構成される。
【0045】
実施形態によれば、前記保護要素6は、複数の換気孔18を有する。
【0046】
カップ状本体の厚さを通過する少なくとも1つの換気開口部10は、実質的にカップ状本体の厚さに等しい長さのパイプを画定し、カップ状本体2の内側の領域と外側の領域とを連通させる。保護要素6は、通気開口部10を部分的に覆ってカップ状本体2に接続され、複数の小さな開口部、例えば通気孔18の一部で通気開口部10の大きさを縮小させる。したがって、保護要素6の存在により、通気開口部10によって画定されるパイプは、出力冷却流体を加速し、カップ状本体2の内側の領域と外側の領域との間の熱交換の増加を誘発する、より小さな断面を有している。
【0047】
実施形態によれば、保護要素6は、カップ状本体2に対して別個の部品で作られる。
【0048】
実施形態によれば、保護要素6は、カップ状本体2から取り外し可能である。
【0049】
実施形態によれば、保護要素6は、孔があけられた金属シートで構成される。
【0050】
実施形態によれば、保護要素6は、縦糸及び横糸の構成を有する少なくとも1つの部分からなる。
【0051】
実施形態によれば、保護要素6は、金属材料および/または複合材料で作られている。
【0052】
実施形態によれば、カップ状本体2の側部5は、前部環状部分3から軸方向に周辺的に延びる少なくとも1つの円筒形クラウン9を含んでいる。
【0053】
実施形態によれば、前部環状部分3は、半径方向内側の円形クラウン11と半径方向外側の円形クラウン12とから構成される。
【0054】
実施形態によれば、半径方向内側の円形クラウン11は、ベンチレーテッドロータ1を制動される要素に接続するように構成された複数の接続孔13を含んでいる。
【0055】
実施形態によれば、制動される要素は、ベンチレーテッドブレーキロータが回転拘束されるハブに接続される回転要素である。
【0056】
実施形態によれば、カップ状本体2は、複数の前記少なくとも1つの通気開口部10を具備する。
【0057】
実施形態によれば、通気口10は、周方向T―Tに沿ってカップ状体2に配置される。
【0058】
実施形態によれば、通気口10は、カップ状本体2上に整然と配置されている。
【0059】
実施形態によれば、保護要素6は、環状保護要素7、8である。
【0060】
実施形態によれば、環状保護要素7、8は、前記カップ状本体2をロックするためのカップリング手段を有する。
【0061】
ここで、環状保護要素7、8は、回転軸Aと一致する中心軸を有する。
【0062】
実施形態によれば、環状保護要素7、8及びカップ状本体2は、軸方向に、方向A―Aに沿って、及び半径方向に、方向R―Rに沿って拘束されるように、前記少なくとも一つの換気口10を覆う、形状カップリングを有する。
【0063】
実施形態によれば、前記環状保護要素7、8及びカップ状本体2は、保護要素7、8が円周方向T―Tに回転する自由を残して拘束される。環状保護要素7、8の回転は、したがって、制動作用がカップ状本体2を徐々に減速させ、カップ状本体2の内側の領域と外側の領域との間の熱交換を増加させる冷却流体の乱流運動を発生させるように、カップ状本体2よりも大きな速度で発生することが可能である。
【0064】
実施形態によれば、換気口10は、半径方向R―Rに前記カップ状体2を通過する、半径方向の換気口である。
【0065】
実施形態によれば、円筒形クラウン9は、前記換気開口部10を有する。
【0066】
実施形態によれば、保護要素6は、例えば図1図9及び図13に示すような円筒形環状保護要素7である。
【0067】
実施形態によれば、円筒形環状保護要素7は、軸方向前方結合部分14と軸方向後方結合部分15とを有する。ここで、円筒状環状要素は、回転軸Aと一致する中心軸を有する。
【0068】
実施形態によれば、前記軸方向前方結合部分14および前記軸方向後方結合部分15は、例えば図4および図16で見ることができるように、所定形状の環状結合部分である。
【0069】
実施形態によれば、前記円筒形クラウン9が、軸方向後方連結座16と軸方向前方連結座17とからなる場合。
【0070】
実施形態によれば、前記軸方向後方接続座16及び前記軸方向前方接続座17は、円筒状環状保護要素7の成形環状結合部分14、15に対して対向する形状の環状座である。
【0071】
実施形態によれば、軸方向前方連結部分14及び軸方向後方連結部分15は、それぞれ軸方向前方連結座16及び軸方向後方連結座17に連結されるので、前記円筒状環状保護要素7は、前記カップ状本体2に対して軸方向及び半径方向に拘束される。
【0072】
実施形態によれば、円筒状環状保護要素7は周方向T―Tに回転自在であり、連結部分14、15はそれぞれの連結座16、17の内部を摺動する。
【0073】
実施形態によれば、円筒形クラウン9は、軸方向前方の環状接続座19を有する。
【0074】
実施形態によれば、換気開口部10は、前記半径方向外側の環状クラウン12を通過する軸方向換気開口部である。
【0075】
実施形態によれば、保護要素6は、例えば図11及び図5に示すような円形環状保護要素8である。
【0076】
実施形態によれば、円形環状保護要素8は、少なくとも1つの半径方向外側の円筒形結合部18を含んでいる。半径方向外側円筒形結合部18は、半径方向外側円形冠12の軸方向前縁及び半径方向外縁から軸方向に延びている。半径方向外側の円筒形結合部分18は、円形環状保護要素8が前記カップ状本体2に対して軸方向および半径方向に拘束されるように、軸方向前方の環状接続座19に接続されている。
【0077】
実施形態によれば、前記ベンチレーテッドブレーキロータ1は、少なくとも1つのブレーキバンド20、21を有する。
【0078】
実施形態によれば、前記少なくとも1つの制動バンド20、21は、前記カップ状本体2の外側に配置され、前記カップ状本体3から半径方向に延びるディスクブレーキバンド20である。すなわち、前記ベンチレーテッドブレーキロータは、ブレーキディスクである。
【0079】
実施形態によれば、前記少なくとも1つの制動帯20、21は、例えば図4及び図8に見られるように、前記カップ状本体2の内側に配置された円筒形制動帯21である。すなわち、前記ベンチレーテッドブレーキロータは、ドラムブレーキのドラムである。
【0080】
実施形態によれば、ベンチレーテッドブレーキロータ1は、ディスク制動帯20と第2の制動帯20,21を有する。第2の制動帯20,21は、カップ状本体2の内側に配置された円筒状の制動帯21である。言い換えれば、ベンチレーテッドブレーキロータはブレーキディスクで、ベルであるカップ状本体2がカップ状本体2内に配置されたドラムブレーキのドラムとして機能する。
【0081】
実施形態によれば、ベンチレーテッドブレーキロータ1は、カップ状本体2をディスクブレーキバンドに拘束するように構成された接続手段17を含んでいる。この場合、ディスクブレーキバンド21とカップ状体2とは、別個の部品で作られる。
【0082】
実施形態によれば、前記カップ状本体2と前記ディスクブレーキバンドは一体的に作られる。
【0083】
本発明はまた、説明した実施形態のうちの1つによるベンチレーテッドブレーキロータ1を含むブレーキ100に関する。
【0084】
実施形態によれば、ブレーキ100は、車両のディスクブレーキである。
【0085】
実施形態によれば、ブレーキ100は、ドラムブレーキであり、前記ドラムブレーキは、ジョー支持プレート101を含む。
【0086】
実施形態によれば、ブレーキ100は、ドラムインハットブレーキを有する。
【0087】
本発明はまた、説明した実施形態のうちの1つによるベンチレーテッドブレーキロータ1を備える車両に関する。
【0088】
本発明により、それが接続されるブレーキ対象要素と比較して、保護性の高いベンチレーテッドブレーキロータ1を得ることが可能である。
【0089】
単一部品の保護要素6が設けられていることにより、ベンチレーテッドブレーキロータ1を、組み立てが容易な、簡単かつ安価な方法で得ることが可能である。
【0090】
保護要素6は、ベンチレーテッドロータの吊り下げ質量を実質的に増加させないように、非常に軽量に構成される。
【0091】
有利には、保護要素6は、取り外しが簡単であり、したがって、容易に交換することができる。
【0092】
さらに、複数の通気孔18を有する保護要素6の提供は、カップ状本体部分との形状結合を有し、この部分はカップ状本体厚さを通過する少なくとも1つの通気開口10を含んでおり、保護要素6をさらなる固定要素を使用せずにカップ状本体2に接続することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 ベンチレーテッドブレーキロータ
2 カップ状本体
3 前部環状部分
4 後部環状縁部
5 側部
6 保護部材
7 円筒状環状保護部材
8.円環状保護部材
9 円筒状クラウン
10 通気口
11 半径方向内側の円形クラウン
12 半径方向外側の円形クラウン
13 連結孔
14軸方向前方連結部
15 軸方向後方連結部
16軸方向後方連結座
17軸方向前方連結座
18径方向外側の円筒状連結部
19 軸方向前部環状連結座
20 ディスクブレーキバンド
21円筒状ブレーキバンド
22 接続手段
100 ブレーキ
101爪支持板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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【国際調査報告】