(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(54)【発明の名称】積層造形により物品を製造するための構築の配向を最適化する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20230214BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230214BHJP
B29C 64/357 20170101ALI20230214BHJP
B29C 64/40 20170101ALI20230214BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230214BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y50/02
B29C64/357
B29C64/40
B33Y10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537109
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 GB2020053144
(87)【国際公開番号】W WO2021123737
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517102994
【氏名又は名称】エルピーダブリュ テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LPW TECHNOLOGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100091649
【氏名又は名称】初瀬 俊哉
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】ウィークス,ニコラス ポール
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AR07
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL32
4F213WL62
4F213WL67
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】
本発明は、物品の応力領域を予測するステップと、物品の最適な構築の配向を特定するステップと、物品を形成する第1の粉末及び/または第2の粉末を分配するステップとを含む、積層造形によって物品を製造する方法に関する。第1及び第2の粉末は同じタイプの粉末であるがリサイクルされた程度が異なっており、且つ構築の配向はリサイクルされていない粉末またはリサイクルされた程度がより少ない粉末の量が減るように最適化されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品内の応力領域を予測するステップと、
前記物品の最適な構築の配向を特定するステップと、
前記物品を形成する第1の粉末及び/または第2の粉末を分配するステップとを含む、積層造形によって物品を製造する方法であって、
前記第1及び第2の粉末は同じタイプの粉末であり且つリサイクルされた程度が異なっており、且つリサイクルされていない粉末またはリサイクルされた程度がより少ない粉末の量が減るように、前記構築中における、前記構築の前記配向が最適化されることを特徴とする方法。
【請求項2】
使用中の前記物品の応力領域を予測するために、前記物品のモデルに対して応力分析を実行するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モデルをスライスして二次元断面を生成し、且つ前記二次元断面に対して前記応力分析を実施するステップを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記物品の最適化された構築の配向が得られるまで前記モデルを回転させるステップを含む何れかの先行する請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記構築の前記配向は、支持構造の体積を最小化するためにさらに最適化される何れかの先行する請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記構築は実質的に自己支持するように配向される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記構築のプラットフォームに対して45°から90°の間の角度で前記構築が配向される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の粉末は、再利用されていない粉末からなり、前記第2の粉末は、1回以上再利用された粉末を含む何れかの先行する請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の粉末及び前記第2の粉末は、リサイクルされた粉末を含む請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の粉末と前記第2の粉末との混合は、前記粉末が構築プラットフォーム上に分配されると生ずる請求項1乃至9の何れかに記載の方法。
【請求項11】
前記第1の金属粉末と前記第2の金属粉末の混合は、前記金属粉末を前記構築プラットフォーム上に分配する前に行う請求項1乃至10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
前記第2の粉末に対する前記第1の粉末の比率は、前記物品の領域における予測される応力に応じて変えられる何れかの先行する請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の粉末に対する前記第1の粉末の前記比率は、前記領域における前記予測応力及び前記リサイクルされた金属粉末の予測または分析された状態に応じて変えられる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
1つの層における前記第2の金属粉末に対する前記第1の金属粉末の前記比率は、その前の層における前記第2の金属粉末に対する前記第1の金属粉末の前記比率と同じまたは異なっている請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
物品を製造する積層造形機械を運転するように構成されたプロセッサを含むシステムにおいて、前記積層造形機械は、粉末を選択的に分配して前記物品を形成することができる第1の容器及び第2の容器を含み、前記第1の容器及び前記第2の容器は同じタイプの粉末を収容し且つ異なる程度にリサイクルされた粉末をそれぞれ収容し、且つ前記プロセッサは、前記物品を製造するために分配される、再利用されていない粉末の量またはより少ない程度に再利用された前記粉末の量を減らすための最適化された構築の配向を決定するように構成されているシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記積層造形機械に通信可能に連結されている請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記物品のモデルを受信または生成するように構成されている請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記モデルに対して応力解析を実施して、前記物品の応力領域を予測し、前記応力解析の結果に基づいて前記最適化された構築の配向を決定するように構成されている請求項15乃至17の何れかに記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサによって実施される前記応力解析は、有限要素解析を含む請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
プロセッサは、支持構造体の体積を最小化する構築の配向を決定するように構成されている請求項15乃至19の何れかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層造形(additive manufacturing)により物品を製造するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
金属粉末ベースの積層造形(AM)は、複雑な構成部品を比較的容易に構築できることから、航空宇宙、医療、電子機器及び自動車の業界で人気が高まっている。
【0003】
典型的なAMプロセスにおいては、製造される物品のCADモデルが最初に生成される。
【0004】
次に、構築される最終製品の品質と精度を向上させるために、モデルを改良してもよい。
【0005】
次に、モデル(またはそれから得られたデータ)が処理されて、AM機械を制御する命令が形成される。
【0006】
次に、AM機械は、受け取った指示に基づいて構築プラットフォームに粉末の層を堆積し、その後、通常はレーザーまたは電子ビームで、粉末を選択的に溶融さもなくば固化し、単数または複数の物品を形成する。
【0007】
このプロセスが繰り返されて、物品が層ごとに形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
構築作業の間、未溶融の粉末は劣化(degradation)することがある。金属粉末は、例えば、徐々に酸化することがあり、これにより、その特性が変化し、よって粉末から製造された物品の特性も変化してしまう。粉末が酸化する傾向は通常、温度とともに増加し、温度への暴露は他の粉末特性にも影響を与える可能性がある。
【0009】
劣化した粒子が含まれているにも拘わらず、未融合の粉末を他の構築において再利用または「リサイクル」することは、業界内では一般的である。これは、製品の品質と一体性(integrity)を大幅に損なうことなくコストを削減するための一般的なアプローチであるが、物品が使用中に応力を受ける領域に劣化した粒子が存在すると、その領域で物品の早期破壊(premature failure)につながるリスクが残る。
【0010】
上記に照らして、本発明の実施形態の目的は、積層造形によって物品を製造するための、より経済的なルートを提供することにある。
【0011】
特に、本発明の実施形態の目的は、物品の一体性または品質を損なうことなく、劣化粒子を含まない粉末または低濃度の劣化粒子を含む粉末の使用を最小限に抑える方法を提供することにある。
【0012】
本発明の実施形態のさらなる目的は、劣化粒子を含まない、または低濃度の劣化粒子を含む粉末の構築作業における利用法について、改善された制御をユーザに提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によると、物品内の応力領域を予測するステップと、物品の最適な構築の配向を特定するステップと、物品を形成する第1の粉末及び/または第2の粉末を分配するステップとを含む、積層造形によって物品を製造する方法であって、第1及び第2の粉末は同じタイプの粉末であり且つリサイクルされた程度が異なっており、且つリサイクルされていない粉末またはリサイクルされた程度がより少ない粉末の量が減るすように構築の配向が最適化される方法が提供される。
【0014】
本発明の第1の態様による方法は、構築の品質または一体性を損なうことなく、低コストで物品を製造することを可能にする。
【0015】
特に、構築の配向を最適化することにより、リサイクルされていないか、またはリサイクルの程度がより低い、より価格の高い粉末が、物品の厳密に必要でない領域、すなわち使用中に高いレベルのストレスがかかると予測されない領域に、分配されないか、または量が減らされて分配される(dispensed)ことが担保されることが見出された。
【0016】
むしろ、これらの「低応力」領域では、より多くのリサイクルが行われた粉末のみを堆積させ、またはより多い量のブレンドの一部として堆積させることができる。このように、より価格の高い粉末のより効率的な利用は、積層造形によって単数又は複数の物品を製造するためのより経済的な製造ルートをもたらす。
【0017】
この方法は、物品内の応力領域を予測するために、物品のモデルに対して応力分析を実行するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、応力分析は、モデルをスライスして二次元断面を生成し、且つ二次元断面に対して応力分析を実施するステップを含むことができる。
【0018】
このようにすれば、各二次元断面の数値応力値を得ることができ、これにより、構築の特定の領域及び特定の層の応力をより精確に予測することができる。応力分析は、有限要素分析を含むことができる。
【0019】
この方法は、物品の最適化された構築の配向が得られるまでモデルを回転させるステップを含むことができる。例えば、モデルは、実質的に垂直な向きから実質的に水平な向きに、例えば90°まで回転することができる。
【0020】
支持構造(support structure)は、典型的には、製造される物品のオーバーハング及び薄壁に機械的支持を提供するために使用される。いくつかの実施形態では、構築のコストをさらに削減できるため、構築の配向を最適化して支持構造の体積を最小化することができる。
【0021】
例えば、この方法は、構築が実質的に自己支持(self-supporting)するように構築を配向するステップを含むことができる。特に、この方法は、構築プラットフォームに対して45°から90°の間の角度で構築を配向するステップを含むことができる。
【0022】
第1の粉末は、再利用されていない粉末を含んでいてもよく、第2の粉末は、1回以上再利用された粉末を含んでいてもよい。本発明の文脈において、リサイクルされていない粉末とは、以前に構築作業の状態にさらされていない「バージン」粉末であるのに対し、「リサイクルされた」粉末は、1回または複数のAM構築サイクルにさらされた粉末と定義することができる。バージン粉末には劣化粒子が含まれていないため、リサイクル粉末に比べて価格が高いと考えられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の粉末及び第2の粉末は、リサイクルされた粉末を含んでもよい。例えば、第1の粉末は以前に一度だけ構築作業の状態にさらされていてもよく、第2の粉末は2回以上の構築運転にさらされていてもよい。
【0024】
第1の粉末と第2の粉末の混合は、粉末が構築プラットフォーム上に分配されると、生ずるようにしてもよい。代案として、第1の粉末と第2の粉末の混合は、粉末を構築プラットフォーム上に分配する前に行うことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の粉末及び第2の粉末は、金属または金属合金を含むことができる。例えば、粉末は、チタン金属またはTi-6Al-4Vなどのチタン合金を含んでいてもよい。
【0026】
第2の粉末に対する第1の粉末の比率は、物品の領域における予測される応力に応じて変えられる。いくつかの実施形態では、第2の粉末に対する第1の粉末比率は、その領域における予測応力及びリサイクル金属粉末の予測または分析された状態に応じて変えられる。
【0027】
いくつかの実施形態では、1つの層における第1の粉末に対すると第2の粉末との比率は、その前の層における第1の粉末と第2の粉末との比率と同じであっても異なっていてもよい。
【0028】
本発明の第2の態様によると、物品を製造する積層造形機械の運転を制御するためのプロセッサを含むシステムにおいて、積層造形機械は、粉末を選択的に分配して物品を形成することができる第1の容器及び第2の容器を含み、第1の容器及び第2の容器は同じタイプの粉末を収容し且つ異なる程度にリサイクルされた粉末をそれぞれ収容し、且つプロセッサは、物品を製造するために分配される、再利用されていない粉末の量またはより少ない程度に再利用された粉末の量を減らすための最適化された構築の配向を決定するように構成されるシステムが提供される。
【0029】
プロセッサは、積層造形機械に通信可能に連結することができる。プロセッサは、物品のモデルを受信または生成するように構成することができる。モデルは物品の3Dモデルであってもよい。特に、3Dモデルは、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアを使用して生成することができる。
【0030】
プロセッサは、モデルに対して応力解析を実施して、物品の応力領域を予測し、応力解析の結果に基づいて最適化された構築の配向を決定するように構成することができる。特に、プロセッサによって実施される応力解析は、有限要素解析(FEA)を含むことができる。
【0031】
プロセッサは、支持構造体の体積をさらに最小化する構築の配向を決定するように構成されてもよい。
【0032】
本発明をより明確に理解できるようにするために、添付の図面を参照して、その1つまたは複数の実施形態を例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】第1の最適化されていない構築の配向の物品のモデルの概略図を示す。
【
図3】第2の最適化された構築の配向の物品のモデルの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1を参照すると、本発明の例示的な一実施形態では、積層造形によって物品を製造するための装置10が提供される。
【0035】
装置10は、構築プラットフォーム12上の粉末の選択された領域を照射するためのレーザービーム11、第1の粉末を収容するための第1の容器13、第2の粉末を収容するための第2の容器14、第1及び第2の容器13、14からの粉末の流れを制御するための電子弁15、構築プラットフォーム12上に粉末の層を形成するように操作可能なワイパー16、及び構築中に構築プラットフォーム12を下げるための構築ねじ17を備える。この実施例では、第1の容器13及び第2の容器14の両方がチタン粉末を収容する。
【0036】
さらに詳しくは、第1の容器13はリサイクルされていないチタン粉末(粉末A)を収容し、第2の容器14は少なくとも1回リサイクルされたチタン粉末(粉末B)を収容する。すなわち、第1及び第2の容器13、14は、それぞれの粉体がリサイクルされた程度が異なるだけの同じタイプの粉体を収容している。
【0037】
図2は、第1の構築の配向で、積層造形により製造される物品のCADモデル20を表す。CADモデル20は、積層造型装置10の外部のパーソナルコンピュータまたは同様のデバイスで生成され、または受信されたものでもよい。
【0038】
構築作業の開始に先立ち、CADモデル20は、応力などの様々な物理的条件下で製品がどのように反応するかを予測するコンピュータ化された方法である有限要素解析(FEA)を受ける。CADモデル20は必要に応じて改良され、再度FEAを受けるようにしてもよい。したがって、FEAにより、ユーザは、物品内のひずみ及び応力の領域、及び物品が使用中に破損する可能性のある領域を予測することができる。
【0039】
図2に示されるように、物品のCADモデル20は、参照番号21で示される高応力の領域を有する。したがって、物品が使用中に最も損傷する可能性が高い領域21における劣化粒子の蓄積を最小限に抑えるために、その領域に増加した量の粉末Aを含む層を堆積させることが望ましい。その一方、より少ない応力を受ける物品の領域では、より高い割合の粉末Bを含む層を堆積させることが好ましい。粉末Bは、より高い含有量の劣化粒子を含むために価格が低い。
【0040】
また
図2は、最適化されていない構築の配向における物品のCADモデル20を示している。これは、高応力の領域21に加えて、増加した量の粉末Aが層の残りの部分に堆積されるからである(斜線領域Xを参照)。
【0041】
一方
図3は、物品(及び高応力の領域)が実質的に垂直方向から実質的に水平方向に回転された、最適化された構築の配向における同じ物品のCADモデル20を示している。これには高応力領域の外側に堆積される粉末Aの量を減らす効果がある(ハッチングされた領域Yを参照)。
【0042】
減らされた量のより高価/より値段の高い粉末Aを
図3に示される配向に堆積されるので、物品を積層造形する全体のコストが削減される。
【0043】
粉末Aが必要でないか、またはそれほど必要とされない物品の領域における粉末Aの不必要な使用を最小化する最適化された構築の配向が決定されると、CADモデル20は、一連の2D層を得るために電子的にスライスされ、物品のモデル20を貫通する平面断面を画定する。
【0044】
FEA解析から得られた数値応力値は、各層の最高の数値応力値、すなわち最悪のシナリオを特定するために、層ごとに再検討及び解析される。
【0045】
この情報と、チタン粉末の劣化挙動に関する参照データと、製造される物品の適用要件(application requirements)とを使用して、ユーザまたはアルゴリズムは、各層の粉末Aと粉末Bの適切な混合比を決定することができる。
【0046】
各層の混合比はパーソナルコンピュータ又は同様のデバイスに保存される。次にプロセッサは、最適化された配向の3Dモデルと、所定の層のための粉末Aと粉末Bの最適化された混合比を、積層造形装置10が理解できる一連の命令に変換する。
【0047】
パーソナルコンピュータ(または同様のデバイス)は、
図3に示されるように、最適化された配向で物品を製造するようにプロセッサが命令をAM機装置10に出力できるように、AM装置10に通信可能に連結されている。
【0048】
プロセッサから命令を受信すると、電子弁15の一方または両方が開かれ、所定量の粉末A及び粉末Bが第1及び第2の容器13、14から構築プラットフォーム12上に分配される。
【0049】
上述のように、粉末Bに対する粉末Aの比率は、粉末Bの劣化挙動も考慮して、物品の領域内の予測される応力に応じて変えることができる。
【0050】
これは、例えば領域21(
図3)の上下の層のような物品の高レベルの応力を受けない層が、より高い割合の粉末Bを含む一方で、領域21のような高レベルの応力を受けると予測される層はより高い割合の粉末Aを含むことを意味する。
【0051】
場合によっては、粉末は、特定の領域で予測される応力及び構築される物品の適用要件に応じて、粉末Aを100%または粉末Bを100%含み得ることが理解されるだろう。
【0052】
ブレンドされた粉末の層が実質的に均一な厚さを有することを担保するために、ワイパー16が粉末と当接し(engagement with)、その後前後に動かされて、所望の層厚が得られるまで粉末が構築プラットフォーム12全体に広げられる。
【0053】
次に、ワイパー16が引き込まれ、粉体と接触しないように保持される。ブレンドされた粉末の層を形成する際に、ブレンドされた粉末の一部が構築プラットフォーム12の表面から拭き取られることが理解できるだろう。この粉末は、構築プラットフォーム12のいずれかの側に配置された収集チャンバに収集され、この未溶融粉末を再使用できるようになっている。
【0054】
次に、最適化された構築の配向における物品の所望の形状に対応する粉末の選択された領域にレーザビーム11を照射して、層内の粉末を融合し、冷えると固体の塊が形成される。
【0055】
次に、粉末が第1の容器13及び/または第2の容器14から構築プラットフォーム12上に分配され、均一な層厚を有する層を形成し、選択された領域をレーザビーム11で照射する上述のプロセスが、物品が形成されるまで繰り返される。
【0056】
その後の各層における粉末Bに対する粉末Aの比率は、前の層と同じであっても異なっていてもよく、この比率は、FEA分析によって決定される物品の特定の領域における予測応力に依存することが理解されるだろう。
1つまたは複数の実施形態は、例としてのみ上に記載されている。添付の特許請求の範囲によって与えられる保護の範囲から逸脱することなく、多くの変形が可能である。
【国際調査報告】