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特表2023-507189触媒活性物質を活性化するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(54)【発明の名称】触媒活性物質を活性化するための方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 38/62 20060101AFI20230214BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20230214BHJP
   B01J 38/66 20060101ALI20230214BHJP
   B01J 23/94 20060101ALI20230214BHJP
   B01J 23/883 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
B01J38/62
B01J37/08
B01J38/66
B01J23/94 Z
B01J23/883 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537478
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2020086782
(87)【国際公開番号】W WO2021122999
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】PA201901527
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイセ・クレスチャン・フレズレク
(72)【発明者】
【氏名】ルテキ・ミカル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン・フランク・バートニク
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA10
4G169BA01A
4G169BA02A
4G169BA03A
4G169BA21C
4G169BB01C
4G169BC59A
4G169BC59B
4G169BC60A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BD01C
4G169BD06C
4G169BE08C
4G169CB02
4G169DA05
4G169FA08
4G169FB13
4G169FB29
4G169FC04
4G169FC07
4G169FC09
4G169GA11
4G169GA12
(57)【要約】
本発明は、耐熱性酸化物担体と、Ni、Co、MoおよびWから選択される1つ以上の卑金属とを含む、新鮮な酸化物水素化処理触媒をまたは使用済み水素化処理触媒の触媒活性物質を活性化する方法に関し、当該方法は、任意に触媒を再生すること、有機酸を含む水性活性化溶液をアルカリ添加剤でpH>3に調整すること、前記触媒活性物質にpH調整された活性化水溶液を含浸させることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性酸化物担体と、ニッケル、コバルト、モリブデンおよびタングステンを含む群から取られる1つ以上の卑金属とを含む、新鮮な酸化物水素化処理触媒をまたは使用済み水素化処理触媒の触媒活性物質を活性化する方法であって、
-任意に、触媒を再生するステップ、
-3より高い目標pHを有する水性活性化溶液に相当する量で有機酸およびアルカリ添加剤を含む1つまたは複数の活性化溶液を提供するステップ、
-触媒活性物質に1つ以上の水性活性化溶液を含浸させるステップ、および
-触媒を120~450℃の温度で熱処理するステップを含む、前記方法。
【請求項2】
水性活性化溶液中の有機酸が6個以下の炭素原子を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水性活性化溶液が、ヒドロキシル基を有する有機酸もさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
水性活性化溶液のpHが、4<pH<7である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
触媒が120~220℃の温度で熱処理される、請求項1~3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
触媒が350~450℃の温度で熱処理される、請求項1~3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
有機酸が、2-ヒドロキシエタン酸、2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸、2-ヒドロキシブタン二酸、2-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、2-、3-、および4-ヒドロキシブタン酸、2-、3-、4-、5-および6-ヒドロキシヘキサン酸、2,3-ジヒドロキシブタン二酸、2,3-ジヒドロキシプロパン酸、2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサン酸、ポリ乳酸、並びに、(5R)-[(1S)-1,2-ジヒドロキシエチル]-3,4-ジヒドロキシフラン-2(5H)-オンから選択される、請求項1~6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
アルカリ性添加剤が無機系である、請求項1~7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
アルカリ性無機添加剤がアンモニアである、請求項8による方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素化処理触媒または水素化処理触媒を活性化するための方法に関する。活性化される水素化処理触媒は、新鮮な水素化処理触媒であってもよく、使用されその後再生された水素化処理触媒であってもよい。また、本発明は、前記方法により得られる水素化処理触媒、および水素化処理におけるその使用に関する。さらに、本発明は、異性化触媒および水素化分解触媒のような他の水素化処理触媒に適用される同様の方法、およびそのような得られた触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、炭化水素含有供給物を触媒的に水素化処理する目的は、不純物を除去することである。一般的な不純物は、硫黄化合物および窒素化合物である。このような不純物を供給物から少なくとも部分的に除去することにより、最終製品が燃焼された後、環境に有害な硫黄酸化物および/または窒素酸化物の放出がより少なくなることが保証される。さらに、硫黄化合物および窒素化合物は、供給物をすぐに使用できる製品に変換するために精製産業で採用されている多くの触媒に対して有毒である。このような触媒の例としては、分解触媒、水素化分解触媒、および改質触媒が挙げられる。したがって、供給物は、例えば、分解装置で処理される前に、触媒水素化処理(触媒的な水素化処理)にかけられるのが通例である。触媒水素化処理とは、水素化処理触媒の存在下、高温高圧で供給物を水素と接触させることを意味する。この方法においては、供給物に含まれる硫黄化合物と窒素化合物は、容易に除去可能な硫化水素とアンモニアに変換される。
【0003】
一般に、水素化処理触媒は、VI族金属成分とVIII族金属成分を担持した担体を含む。VI族金属としてはモリブデンやタングステンが、VIII族金属としてはコバルトやニッケルが一般的に使用されている。また、リンや他の元素が触媒中に存在することもある。これらの触媒を製造する先行技術の方法は、担体材料を、例えば含浸によって水素化金属成分と複合化し、その後、複合体を焼成(か焼)して金属成分をそれらの酸化物に変換することに特徴がある。水素化処理に使用する前に、触媒は一般的に予備硫化され、水素化金属が硫化物に変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US7956000B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2~3年使用した後、初期活性の大部分を回復する目的で、水素化処理触媒は金属の改善に回されるか、または初期の活性の大部分を回復させる目的で再生と若返りの工程を経ることになる。再生された触媒の活性が低下するのは、再生プロセスまたは使用中に金属が焼結し、活性相の分散が低くなるためである。その結果、新鮮な触媒の活性と比較して、低い活性しか得られない。
【0006】
そこで、本発明の方法においては、再生後の触媒を有機酸と塩基を含む溶液で処理して金属を再分散させることにより、失われた活性の大部分を回復させる。
【0007】
本発明は、水素化処理触媒の再生に加えて、他の水素化処理触媒、例えば異性化触媒や水素化分解触媒、およびその結果得られる触媒に適用される同様の方法に関するものである。
【0008】
文献に記載されている有機酸を利用した再生方法は、酸を水素化処理触媒のアルミナ担体に接触させたときに生じる物理的不安定状態であるLOA(Loss on Attrition、消耗損失、規格ASTM D4058-96に従って測定)の問題に取り組んでいない。再生されたアルミナ系触媒を純粋な有機酸で処理した場合、担体表面の腐食/溶解により高いLOAが観察される。
【0009】
US7956000B2は、VIB族金属酸化物およびVIII族金属酸化物を含む水素化処理触媒を活性化するための方法を記載している。この方法は、触媒を酸と、80~500℃の範囲の沸点および1リットル当たり少なくとも5gの水への溶解度(20℃、大気圧)を有する有機添加物と接触させ、任意に、添加物の少なくとも50%が触媒中に維持されるような条件下で乾燥することを含む。水素化処理触媒は、新鮮なものであってもよいし、再生された使用済み触媒であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
触媒を有機酸とアルカリ性添加剤の組み合わせにより活性化すれば、上記引用文献に記載された方法を改善できることが判明した。
【0011】
従って、本発明は、耐熱性酸化物担体と、ニッケル、コバルト、モリブデンおよびタングステンを含む群から取られる1つ以上の卑金属とを含む、新鮮な酸化物水素化処理触媒をまたは使用済み水素化処理触媒の触媒活性物質を活性化する方法に関し、
当該方法は、
-任意に、触媒を再生するステップ、
-有機酸を含む水性活性化溶液を、アルカリ添加剤でpH>3に調整するステップ、
-再生された触媒に、pH調整された活性化水溶液を含浸させるステップ、および
-触媒を120~450℃の温度で熱処理するステップを含む。
【0012】
触媒を再生するステップは、堆積物、特に可燃性堆積物を、例えば酸素の存在下での熱酸化によって除去することを含む。
【0013】
有機酸を含む水性活性化溶液を、アルカリ添加剤で目標pH値が3以上であるように調整するステップは、有機酸を含むある量の水性溶液の添加とある量のアルカリ添加剤の添加を2段階以上で行うこともでき、ある量の有機酸を含む水性溶液とある量のアルカリ添加剤の量の混合によって、pH>3を有する溶液とする。触媒または触媒活性物質を、ある量のアルカリ性または塩基性添加剤との接触前に有機酸を含む水溶液と接触させる場合、担体を損傷させないために期間および/または温度を制限する必要がある。
【0014】
新鮮な触媒は再生する必要がないので、触媒を再生する任意のステップは、触媒材料が使用された(すなわち、使用済)触媒である場合にのみ含まれる。
【0015】
水性活性化溶液に使用される酸は、好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基を含む。
【0016】
水性活性化溶液の目標pH値は、好ましくは4~7である。
【0017】
卑金属に関して、これらは以下のような量で存在する。Ni、Co:1~10質量%、Mo、W:5~30質量%。
【0018】
本発明の分野での標準的な解決策は、所望の活性の回復を得るために単一の有機酸を使用することであった。しかし、これはしばしば実質的なLOAをもたらす。
【0019】
活性化溶液をpH>3、好ましくは4<pH<7に調整することにより、触媒担体の溶解に関する問題が軽減される。これは、既存の工場やプラントで容易に行うことができ、既に適用されている手順にわずかな変更を加えるだけでよい。
【0020】
pH調整を行わない場合、本来の酸性の活性化溶液は、水素化処理触媒に一般的に使用されているアルカリ性のアルミナ担体に対して攻撃的であり、担体の溶解を引き起こすことになる。この溶解により、触媒の機械的安定性が低下し、ダストの発生および/またはLOAが増加をもたらす。
【0021】
本発明に従って活性化される工業的に再生された使用済み触媒では、コークスおよび硫黄が制御された方法で燃焼され、金属酸化物が形成される。
【0022】
触媒担体は、従来の耐熱性酸化物、例えば、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、シリカ-アルミナが分散したアルミナ、シリカ被覆アルミナ、マグネシア(酸化マグネシウム)、ジルコニア、ボリアおよびチタニア、ならびにこれらの酸化物の混合物からなることができる。原則として、担体はアルミナ、シリカアルミナ、シリカアルミナが分散したアルミナ、シリカ被覆アルミナであることが好ましい。アルミナ、およびシリカを10質量%まで含むアルミナには、特に好ましい。遷移アルミナ、例えばエタ-、シータ-またはガンマ-アルミナを含む担体は、このグループの中で好ましく、ガンマ-アルミナ担体が最も特に好ましい。
【0023】
pHを調整するための塩基性無機添加剤は、アンモニアであってもよいし、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、酸化物およびリン酸塩の無機金属塩、例えばLiOH、KOH、NaOH、NH、Ca(OH)、Mg(OH)および塩基性Co、NiおよびMo化合物、例えばCoおよびNiの炭酸塩、水酸化物、ヒドロキシ炭酸塩ならびにモリブデン酸アンモニウム(アンモニウムモリブデート)、モリブデン酸アンモニウム(アンモニウムメタタスゲステート)の群から選択することができる。活性金属の金属塩の添加は、触媒活性を高める利点があり、また、硝酸塩などの他のCo、Ni、Mo、W化合物の添加と同じステップで行ってもよいし、酸、塩基の添加とは独立に行ってもよい。
【0024】
触媒の細孔容積(水銀浸透を介して測定、接触角140度、表面張力480dyn/cm)は、本発明による方法にとって必須ではなく、一般に0.2~2ml/g、好ましくは0.4~1ml/gの範囲になるであろう。比表面積も本発明による方法にとって必須ではなく、一般に50~400m/g(BET法を用いて測定)の範囲にあるであろう。好ましくは、触媒は、水銀ポロシメトリーによって決定される6~15nmの範囲のメジアン細孔径(中央細孔径)を有し、全細孔容積の少なくとも60%がメジアン細孔径から±3nmの範囲にあり、250Å(直径50nm)の孔半径未満となる。
【0025】
触媒の乾燥は、例えば、空気中、真空下、または不活性ガス中で実施することができる。一般に、220℃未満の乾燥温度を使用することが有利であるが、乾燥中の反応を促進または回避するために、より高いまたはより低い温度が必要である場合もある。
【0026】
一実施形態においては、第1のステップにおいて、出発材料に塩基性添加剤が添加され、任意に、その後、添加された添加剤の少なくとも50%が触媒中に残存するような条件下で乾燥される。次に、得られた材料を有機酸の溶液と接触させ、任意に、アルカリ性添加剤および/または有機酸の少なくとも50%が触媒中に残存するような条件下で乾燥させる。
【0027】
酸と添加剤を別々の工程で触媒に組み込む利点は、含浸溶液の特性を酸と添加剤の要件に合わせて調整することができることである。しかしながら、効率の点から、酸および添加剤の両方を含む単一の含浸溶液を出発触媒に接触させ、任意に、その後、添加剤の少なくとも50%が触媒に残存するような条件下で乾燥/焼成工程を行うことが好ましい。
【0028】
本発明の文脈では、有機酸は、少なくとも1つのカルボキシル基(COOH)を含む化合物として定義される。有機酸は、好ましくは、少なくとも1つのカルボキシル基とカルボキシル基(複数可)中6以下の炭素原子を含むカルボン酸であることが好ましい。好適な酸としては、2-ヒドロキシエタン酸、2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸、2-ヒドロキシブタン二酸、2-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、2-、3-および4-ヒドロキシブタン酸、2-、3-、4-、5-および6-ヒドロキシヘキサン酸、2,3-ジヒドロキシブタン二酸、2,3-ジヒドロキシプロパン酸、2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサン酸、ポリ乳酸および(5R)-[(1S)-1,2-ジヒドロキシエチル]-3,4-ジヒドロキシフラン-2(5H)-オンが挙げられる。また、一般に、炭素原子数4以下の有機酸が好ましい。
【0029】
酸の沸点は、好ましくは100~400℃、より好ましくは150~350℃の範囲である。酸の沸点は、一方では乾燥工程を含む調製工程中に酸が触媒上に残留することが望まれ、他方では触媒の使用時または硫化の間に酸を触媒から除去する必要性との間でバランスをとることができる。なお、有機酸が沸点を持たず、所定の温度範囲で分解する場合、沸点という用語は、分解温度と同義であることを意味する。
【0030】
本発明の熱処理された酸および添加剤含有水素化処理触媒は、炭化水素供給物の水素化処理に使用する前に硫化工程に付すことができるが、-先に説明したように-これは必須ではない。使用前に触媒を硫化することが決定された場合、これは、当該技術分野において公知の方法のうちの1つで行うことができる。
【0031】
例えば、触媒を硫化水素、元素硫黄または有機多硫化物などの無機または有機硫黄化合物と接触させること、または硫黄化合物が添加された炭化水素供給物と接触させることによって触媒を硫化させることができる。
【0032】
上記に示したように、本発明による方法において活性化される触媒は、新鮮な水素化処理触媒または使用され、その後再生された水素化処理触媒のいずれかである。
【0033】
本発明の方法において出発物質として使用するのに適した新鮮な酸化物水素化処理触媒は、当技術分野において公知である。それらは、例えば、以下のように得ることができる。担体前駆体が、例えばアルミナの場合、アルミナヒドロゲル(ベーマイト)の形態で調製される。それが、例えば噴霧乾燥によって乾燥された後、例えば押出成形によって粒子に成形される。次に、成形された粒子を400~850℃の範囲の温度で焼成し、アルミナの場合、遷移アルミナ、例えばガンマ-、シータ-またはエータ-アルミナを含む担体を得る。次に、水素化金属のための適切な量の前駆体および任意の他の成分、例えばリンを、例えば水性溶液の形で触媒上に堆積させる。
【0034】
VI族金属およびVIII族金属の場合、前駆体はモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、硝酸コバルトおよび/または硝酸ニッケルであり得る。好適なリン成分前駆体としては、リン酸および様々なリン酸水素アンモニウムが挙げられる。25~200℃の範囲の温度で任意に乾燥ステップを行った後、得られた材料を350~750℃、特に425~600℃の範囲の温度で焼成して、全ての金属成分前駆体、および任意に他の成分前駆体を変換して、酸化物成分を形成する。
【0035】
本発明の活性化工程は、炭化水素供給物の水素化処理に使用され、後に再生された触媒にも適用されることができる。
【0036】
本発明の方法における再生ステップは、再生後、触媒の炭素含有量が一般に3質量%未満、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満となるような条件下で、使用済みの添加剤ベース触媒を酸素含有ガスと接触させることによって実施される。再生後、触媒の硫黄含有量は一般に2質量%未満、好ましくは1質量%未満である。再生ステップの前に、触媒の炭素含有量は一般に5質量%を超え、典型的には5~25質量%である。再生ステップの前の触媒の硫黄含有量は、一般に5質量%を超え、典型的には5~20質量%である。
【0037】
酸素の存在下での再生ステップは、2つのステップ、すなわち第1の低温ステップおよび第2の高温ステップで実施されることが好ましい。第1の低温ステップでは、触媒を100~370℃、好ましくは175~370℃の温度で酸素含有ガスと接触させる。第2の高温再生ステップでは、触媒を、300~650℃、好ましくは320~550℃、さらに好ましくは350~525℃の温度で酸素含有ガスと接触させる。第2ステップ中の温度は、上述した第1ステップの温度よりも高く、好ましくは少なくとも10℃、より好ましくは少なくとも20℃高い。適切な温度範囲の決定は、上記の示唆を考慮に入れて、当業者の範囲内で行うことができる。
【0038】
触媒は、移動床工程(移動床プロセス)において、好ましくは、可能であれば、1~15cmの床の厚さで再生されることが好ましい。本明細書の文脈では、「移動床」(移動ベッド)という用語は、触媒がユニットと比較して移動中である全ての工程を指すことを意図しており、沸騰床(ebullated bed)工程、流動化工程、触媒がユニットを介して回転される工程、および触媒が移動中である全ての他の工程が含まれる。
【0039】
ストリッピングを含む再生工程の時間は、触媒の特性および工程の正確な実施方法に依存するが、一般に0.25~24時間、好ましくは2~16時間となる。
【0040】
再生された触媒は、上述のように、本発明による方法において、酸および添加剤と接触されることになる。
【実施例
【0041】
本発明は、以下の実施例においてより詳細に説明される。
【0042】

2つの事例を示す:両方の場合において、工業的に再生されたTK-609 HyBRIM(商標)の試料が使用され、出発材料のLOAは0.3質量%であった。
【0043】
第1の事例では、再生触媒を5.5Mの2-ヒドロキシエタン酸、pH1.12で処理し、その後190℃で2時間乾燥させた。この処理の結果、LOAは8.7質量%であった。
【0044】
第2の事例では、再生触媒を5.5Mの2-ヒドロキシエタン酸および4.6MのNH、pH4.86で処理し、その後190℃で2時間乾燥させた。この処理の結果、LOAはわずか0.4質量%であった。
【国際調査報告】