(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(54)【発明の名称】2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法
(51)【国際特許分類】
C01G 51/04 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
C01G51/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538222
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2022-06-17
(86)【国際出願番号】 CN2019126928
(87)【国際公開番号】W WO2021120165
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】201911319087.8
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522244089
【氏名又は名称】格林美(江蘇)鈷業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GEM (JIANGSU) COBALT INDUSTRY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.8 of Binjiang North Road, Taixing City, Taizhou, Jiangsu 225400, China
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】許開華
(72)【発明者】
【氏名】蒋振康
(72)【発明者】
【氏名】張愛青
(72)【発明者】
【氏名】李炳忠
(72)【発明者】
【氏名】忠斉勇
(72)【発明者】
【氏名】王超
(72)【発明者】
【氏名】畢凡
(72)【発明者】
【氏名】許東偉
(72)【発明者】
【氏名】寧超
【テーマコード(参考)】
4G048
【Fターム(参考)】
4G048AA02
4G048AB02
4G048AC06
4G048AD04
4G048AE05
(57)【要約】
本発明は、2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法を開示する。該方法は、コバルト塩溶液、液体アルカリを、底液を含有し且つ空気が導入される反応器中に並流で加え、液体アルカリの流量を調整することで系のpH値を制御しつつ、一定の撹拌速度で共沈反応を行い、反応液がオーバーフローし始めた後、反応系のpH値が9.5に下げられ、コバルト塩流量が340L/hに上げられるまで、1時間毎に反応系のpH値を0.1下げ且つコバルト塩流量を20L/h上げ、粒径を監視し続け、オキシ水酸化コバルトスラリーを得るステップ1)と、オキシ水酸化コバルトスラリーに対して熟成、乾燥を順次行って、乾燥後のオキシ水酸化コバルトを得るステップ2)と、乾燥後のオキシ水酸化コバルトを仮焼して、電池グレードの四酸化三コバルトを得るステップ3)と、を含む。本発明の方法を採用することによって、得られた電池グレードの四酸化コバルトのタップ密度は、従来技術で製造された同じ粒径仕様の四酸化三コバルトのタップ密度よりもはるかに高くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コバルト塩溶液、液体アルカリをそれぞれ一定の供給速度で、底液を含有し且つ空気が導入される反応器中に並流で加え、液体アルカリの流量を調整することで系のpH値を10~11に制御しつつ、一定の撹拌速度で共沈反応を行い、反応液がオーバーフローし始めた後、反応系のpH値が9.2~9.8に下げられ、コバルト塩流量が320~360L/hに上げられるまで、1時間毎に反応系のpH値を0.1~0.2下げ且つコバルト塩流量を15~25L/h上げ、粒径を監視し続け、D50が2~4μmになると供給を停止し、オキシ水酸化コバルトスラリーを得るステップ1と、
ステップ1で得られたオキシ水酸化コバルトスラリーに対して熟成、洗浄、除鉄、乾燥を順次行って、乾燥後のオキシ水酸化コバルトを得るステップ2と、
ステップ2で得られた乾燥後のオキシ水酸化コバルトを低温領域と高温領域を順次通過させて仮焼し、2~4μmの電池グレードの四酸化三コバルトを得るステップ3と、を含むことを特徴とする、2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法。
【請求項2】
前記ステップ1において、前記コバルト塩溶液の濃度は120~140g/Lであり、前記液体アルカリの濃度は300~600g/Lであることを特徴とする、請求項1に記載の2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法。
【請求項3】
前記ステップ1において、前記コバルト塩溶液の供給速度は220~260L/hであり、前記液体アルカリの供給速度は50~150L/hであることを特徴とする、請求項2に記載の2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法。
【請求項4】
前記ステップ1において、前記撹拌速度は150~350r/minであることを特徴とする、請求項3に記載の2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法。
【請求項5】
前記ステップ1において、前記共沈反応の温度は60~80℃であることを特徴とする、請求項4に記載の2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法。
【請求項6】
前記ステップ1において、反応液がオーバーフローし始めた後、反応系のpH値が9.2~9.8に下げられ、コバルト塩流量が320~360L/hに上げられるまで、1時間毎に反応系のpH値を0.1~0.2下げ且つコバルト塩流量を15~25L/h上げることを特徴とする、請求項5に記載の2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法。
【請求項7】
前記ステップ1において、底液を含有する前記反応器中の底液は純水であることを特徴とする、請求項6に記載の2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法。
【請求項8】
前記ステップ3において、前記低温領域は200~400℃であり、前記高温領域は600~800℃であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四酸化三コバルトの技術分野に属し、特に、2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、コバルト酸リチウム電池材料は、全体的な性能向上のために、異なる大きさの四酸化三コバルト粒子を組み合わせて混合して製造する必要があり、したがって、四酸化三コバルトには高いタップと大きな比表面積が求められている。
【0003】
現在の電池材料製造の分野において、電池グレードの四酸化コバルトの調製方法は主として、炭酸水素アンモニウムと硫酸コバルト溶液を反応させて粒子サイズ10~20μmの大粒子炭酸コバルトを調製し、調製された炭酸コバルトを焼成してCO2を放出し、所望の粒度の四酸化三コバルトを得るものである。このような方法で調製された四酸化三コバルトは、タップが2.2g/cm3前後と低いほかに、炭酸コバルトの焼成プロセスにおいて粒子割れの現象が発生しやすく、これは、炭酸コバルト中のコバルト含有量は僅か49.6%であり、他の成分は炭酸根であるため、焼成プロセスにおいて大量の二酸化炭素ガスが放出され、二酸化炭素の放出が速すぎると、粒子割れが発生するからである。結果として、製品の一貫性が悪くなり、微細な微粒子が多くなることによって、電池の諸性能に影響が及ぼされる。したがって、急速な温度変化を避けるように、焼成温度を厳密に制御する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に鑑みて、本願は、2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法を提供し、従来技術で調製されたコアシェル構造前駆体は内部が疎で外部が緻密となる構造形態であり、このような構造を持つ前駆体を後続でLiと混合仮焼すると、Liの分布が均一でなく、必要とされる仮焼温度が高いほか、仮焼後に形成された構造の安定性が低く、さらに正極材料の電気化学的性能に影響が及ぼされるという問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の技術的解決手段は下記のように実現される。
【0006】
コバルト塩溶液、液体アルカリをそれぞれ一定の供給速度で、底液を含有し且つ空気が導入される反応器中に並流で加え、液体アルカリの流量を調整することで系のpH値を10~11に制御しつつ、一定の撹拌速度で共沈反応を行い、反応液がオーバーフローし始めた後、反応系のpH値が9.2~9.8に下げられ、コバルト塩流量が320~360L/hに上げられるまで、1時間毎に反応系のpH値を0.1~0.2下げ且つコバルト塩流量を15~25L/h上げ、粒径を監視し続け、D50が2~4μmになると供給を停止し、オキシ水酸化コバルトスラリーを得るステップ1と、
ステップ1で得られたオキシ水酸化コバルトスラリーに対して熟成、洗浄、除鉄、乾燥を順次行って、乾燥後のオキシ水酸化コバルトを得るステップ2と、
ステップ2で得られた乾燥後のオキシ水酸化コバルトを低温領域と高温領域を順次通過させて仮焼し、2~4μmの電池グレードの四酸化三コバルトを得るステップ3と、を含む、2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法である。
【0007】
好ましくは、前記ステップ1において、前記コバルト塩溶液の濃度は120~140g/Lであり、前記液体アルカリの濃度は300~600g/Lである。
【0008】
好ましくは、前記ステップ1において、前記コバルト塩溶液の供給速度は220~260L/hであり、前記液体アルカリの供給速度は50~150L/hである。
【0009】
好ましくは、前記ステップ1において、前記撹拌速度は150~350r/minである。
【0010】
好ましくは、前記ステップ1において、前記共沈反応の温度は60~80℃である。
【0011】
好ましくは、前記ステップ1において、反応液がオーバーフローし始めた後、反応系のpH値が9.2~9.8に下げられ、コバルト塩流量が320~360L/hに上げられるまで、1時間毎に反応系のpH値を0.1~0.2下げ且つコバルト塩流量を15~25L/h上げる。
【0012】
好ましくは、前記ステップ1において、底液を含有する前記反応器中の底液は純水である。
【0013】
好ましくは、前記ステップ3において、前記低温領域は200~400℃であり、前記高温領域は600~800℃である。
【0014】
従来技術に比べて、本発明では、水酸化ナトリウム、空気及びコバルト塩溶液を反応させてオキシ水酸化コバルトを調製し、調製されたオキシ水酸化コバルトを仮焼する方法によって、最終的に得られた四酸化三コバルトのタップ密度は従来技術で製造された四酸化三コバルトのタップ密度よりもはるかに高くなる。また、本発明の方法において、オキシ水酸化コバルトを焼成するプロセスにおいて水分子が放出され、従来技術において放出される剛直分子である二酸化炭素に比べて、水分子は柔軟な分子であり、粒子割れの現象が起こりにくく、四酸化三コバルトの焼成により有利であるとともに、環境を汚染することがなく、焼成工程の消費電力を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例1で得られた2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトのSEM写真である。
【
図2】本発明の実施例3で得られた2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトのSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、具体的な実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明する具体的な実施例は単に本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するためのものではないことを理解すべきである。
【0017】
本発明はレーザー粒度分析機を用いて、四酸化三コバルト生成プロセスにおける粒子粒径及び最終的に得られた四酸化三コバルト粒子の粒径を測定する。本発明の実施例において使用される化学試薬は、特に説明しない限り、いずれも一般的な商業的供給源から得られるものである。
【0018】
本発明の実施例で提供される2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトの調製方法は、
コバルトイオン濃度120~140g/Lのコバルト塩溶液及び濃度300~600g/Lの液体アルカリをそれぞれ220~260L/h、50~150L/hの供給速度で純水を含有し且つ空気が導入される反応器中に並流で加え、65~80℃且つ撹拌速度150~350r/minの条件下で、液体アルカリの流量を調整することで系のpH値を10~11に制御して共沈反応を行い、反応液がオーバーフローし始めた後、反応系のpH値が9.2~9.8に下げられ、コバルト塩流量が320~360L/hに上げられるまで、1時間毎に反応系のpH値を0.1~0.2下げ且つコバルト塩流量を15~25L/h上げ、粒径を監視し続け、D50が所望のサイズになると供給を停止し、オキシ水酸化コバルトスラリーを得るステップ1であって、
前記コバルト塩は塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルトのうちの少なくとも1つであり、好ましくは硫酸コバルトであるステップ1と、
ステップ1で得られたオキシ水酸化コバルトスラリーに対して熟成、洗浄、除鉄、乾燥を順次行って、乾燥後のオキシ水酸化コバルトを得るステップ2と、
ステップ2で得られた乾燥後のオキシ水酸化コバルトを200~400℃の低温領域と700~800℃の高温領域を順次通過させて仮焼し、2~4μmの電池グレードの四酸化三コバルトを得るステップ3と、を含む。
【0019】
上記解決手段を採用すると、本発明では、水酸化ナトリウム、空気及びコバルト塩溶液を反応させてオキシ水酸化コバルトを調製し、調製されたオキシ水酸化コバルトを仮焼する方法によって、最終的に得られた四酸化三コバルトのタップ密度は従来技術で製造された四酸化三コバルトのタップ密度よりもはるかに高くなる。また、本発明の方法において、オキシ水酸化コバルトを焼成するプロセスにおいて水分子が放出され、従来技術において放出される剛直分子である二酸化炭素に比べて、水分子は柔軟な分子であり、粒子割れの現象が起こりにくく、四酸化三コバルトの焼成により有利であるとともに、環境を汚染することがなく、焼成工程の消費電力を大幅に低減することができる。
【0020】
本発明の解決手段をよりよく解釈できるように、以下において、具体的な実施例によってさらに説明する。
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1で提供される2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトは、
コバルトイオン濃度130g/Lの硫酸コバルト溶液及び濃度450g/Lの液体アルカリをそれぞれ240L/h、100L/hの供給速度で純水を含有し且つ空気が導入される反応器中に並流で加え、70℃且つ撹拌速度200r/minの条件下で、液体アルカリの流量を調整することで系のpH値を10.3に制御して共沈反応を行い、反応液がオーバーフローし始めた後、反応系のpH値が9.5に下げられ、コバルト塩流量が340L/hに上げられるまで、1時間毎に反応系のpH値を0.1下げ且つコバルト塩流量を20L/h上げ、粒径を監視し続け、D50が所望のサイズになると供給を停止し、オキシ水酸化コバルトスラリーを得るステップ1と、
ステップ1で得られたオキシ水酸化コバルトスラリーに対して熟成、洗浄、除鉄、乾燥を順次行って、乾燥後のオキシ水酸化コバルトを得るステップ2と、
ステップ2で得られた乾燥後のオキシ水酸化コバルトを300℃の低温領域と750℃の高温領域を順次通過させて仮焼し、平均粒径3μmの電池グレードの四酸化三コバルトを得るステップ3と、によって調製される。
【実施例2】
【0022】
本発明の実施例2で提供される2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトは、
コバルトイオン濃度120g/Lの硫酸コバルト及び濃度300g/Lの液体アルカリをそれぞれ220L/h、50L/hの供給速度で純水を含有し且つ空気が導入される反応器中に並流で加え、65℃且つ撹拌速度150r/minの条件下で、液体アルカリの流量を調整することで系のpH値を10に制御して共沈反応を行い、反応液がオーバーフローし始めた後、反応系のpH値が9.2に下げられ、コバルト塩流量が320L/hに上げられるまで、1時間毎に反応系のpH値を0.1下げ且つコバルト塩流量を15L/h上げ、粒径を監視し続け、D50が所望のサイズになると供給を停止し、オキシ水酸化コバルトスラリーを得るステップ1と、
ステップ1で得られたオキシ水酸化コバルトスラリーに対して熟成、洗浄、除鉄、乾燥を順次行って、乾燥後のオキシ水酸化コバルトを得るステップ2と、
ステップ2で得られた乾燥後のオキシ水酸化コバルトを200℃の低温領域と700℃の高温領域を順次通過させて仮焼し、2μmの電池グレードの四酸化三コバルトを得るステップ3と、によって調製される。
【実施例3】
【0023】
本発明の実施例3で提供される2~4μmの電池グレードの四酸化コバルトは、
コバルトイオン濃度140g/Lの硫酸コバルト及び濃度600g/Lの液体アルカリをそれぞれ260L/h、150L/hの供給速度で純水を含有し且つ空気が導入される反応器中に並流で加え、80℃且つ撹拌速度350r/minの条件下で、液体アルカリの流量を調整することで系のpH値を11に制御して共沈反応を行い、反応液がオーバーフローし始めた後、反応系のpH値が9.8に下げられ、コバルト塩流量が360L/hに上げられるまで、1時間毎に反応系のpH値を0.2下げ且つコバルト塩流量を25L/h上げ、粒径を監視し続け、D50が所望のサイズになると供給を停止し、オキシ水酸化コバルトスラリーを得るステップ1と、
ステップ1で得られたオキシ水酸化コバルトスラリーに対して熟成、洗浄、除鉄、乾燥を順次行って、乾燥後のオキシ水酸化コバルトを得るステップ2と、
ステップ2で得られた乾燥後のオキシ水酸化コバルトを400℃の低温領域及び800℃の高温領域を順次通過させて仮焼し、4μmの電池グレードの四酸化三コバルトを得るステップ3と、によって調製される。
【0024】
本発明の実施例で調製された2~4μmの電池グレードの四酸化三コバルトにおける割れ現象の有無を検証するために、
図1と
図2に示すように、実施例1と実施例3で得られた電池グレードの四酸化三コバルトを電子顕微鏡走査によって検出した。
図1と
図2から、本発明で得られた電池グレードの四酸化三コバルトの表面に割れ現象がなく、粒子が緻密であることが分かる。
【0025】
本発明の実施例1~3における電池グレードの四酸化三コバルトを調製するプロセスの中間品であるコバルトの含有量を検出し、そして実施例1~実施例3で調製された電池グレードの四酸化三コバルトのタップ密度及び比表面積を測定し、検出結果を下記に示す。
【0026】
【0027】
表1のデータから、本発明における四酸化三コバルト調製プロセスの中間品であるコバルトの含有量は70.01%と高く、また、本発明で得られた電池グレードの四酸化三コバルトのタップ密度は2.47g/cm3と高く、比表面積は4.64m2/gと高い。
【0028】
以上より、本発明では、水酸化ナトリウム、空気及びコバルト塩溶液を反応させてオキシ水酸化コバルトを調製し、調製されたオキシ水酸化コバルトを仮焼する方法によって、最終的に得られた2~4μmの電池グレードの四酸化三コバルトのタップ密度は2.47g/cm3と高く、比表面積は4.64m2/gと高い。また、本発明の方法において、オキシ水酸化コバルトを焼成するプロセスにおいて水分子が放出され、従来技術において放出される剛直分子である二酸化炭素に比べて、水分子は柔軟な分子であり、粒子割れの現象が起こりにくく、四酸化三コバルトの焼成により有利であるとともに、環境を汚染することがなく、焼成工程の消費電力を大幅に低減することができる。
【0029】
以上は、本発明の好ましい具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されず、当業者が本発明に披露された技術範囲で容易に想到できる変化や置換は、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。したがって、本発明の保護範囲は、請求項の保護範囲を基準とすべきである。
【国際調査報告】