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特表2023-507245RF電力増幅器、チップ及び通信端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】RF電力増幅器、チップ及び通信端末
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/02 20060101AFI20230215BHJP
   H03F 3/195 20060101ALI20230215BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
H03F1/02 111
H03F3/195
H03F3/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527830
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 CN2020128471
(87)【国際公開番号】W WO2021093822
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】201911121417.2
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522185416
【氏名又は名称】唯捷創芯(天津)電子技術股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VANCHIP (TIANJIN) TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】チョウ キンシン
(72)【発明者】
【氏名】バイ ウンホウ
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC36
5J500AF10
5J500AF15
5J500AF17
5J500AH02
5J500AH10
5J500AH19
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH32
5J500AH33
5J500AK01
5J500AK11
5J500AK12
5J500AK17
5J500AK29
5J500AK42
5J500AK49
5J500AM08
5J500AM22
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT02
5J500RG05
5J500RG09
5J500WU08
(57)【要約】
本発明には、RF電力増幅器、チップ及び通信端末が開示される。前記RF電力増幅器は、電力増幅回路、出力整合回路、電力検出回路及びバイアス比較回路を備える。主信号経路の出力電力は電力検出回路によって検出され、前記出力電力に比例する等価電圧を得てバイアス比較回路に入力する。等価電圧の数値はバイアス比較回路によって調整され、且つ制御電圧と比較されることによって、電力増幅回路にバイアス電圧及び/またはコレクタ電圧を供給する。それによって、1つの閉ループ回路が形成され、RF電力増幅器は、異なる電力レベル下でゲイン及び出力電力の安定した状態で作動を維持できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF電力増幅器であって、
電力増幅回路、出力整合回路、電力検出回路及びバイアス比較回路を備えており、
前記電力増幅回路は、前記出力整合回路に接続され、
前記電力検出回路の入力端子は、主信号経路上のノードに接続され、
前記電力検出回路の出力端子は、前記バイアス比較回路の入力端子に接続され、
前記バイアス比較回路の出力端子は、前記電力増幅回路のバイアス端子及び/またはコレクタ端子に接続され、
前記主信号経路上の出力電力は前記電力検出回路によって検出して、前記出力電力に比例する等価電圧を得て、前記等価電圧が前記バイアス比較回路に入力された後に、前記電力増幅回路の異なるバイアス端子に必要な異なるバイアス状態に基づいて、前記等価電圧の数値を調製して、1つまたは複数の分岐等価電圧を得て、
各々の前記分岐等価電圧は、前記バイアス比較回路に事前に入力された制御電圧とそれぞれ比較され、前記制御電圧が前記RF電力増幅器の出力電力レベルに対応するまで、前記電力増幅回路にバイアス電圧及び/またはコレクタ電圧を供給し続けることを特徴とする、RF電力増幅器。
【請求項2】
前記電力検出回路は、カプラ及び包絡線検波器を備えており、前記カプラの入力端子は、前記出力整合回路を介して前記電力増幅回路の出力端子に接続され、前記カプラのスルー出力端子は出力負荷に接続され、前記カプラの結合出力端子は、前記包絡線検波器の入力端子に接続され、前記包絡線検波器の出力端子は、前記バイアス比較回路の前記入力端子に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のRF電力増幅器。
【請求項3】
前記カプラは、コンデンサに置き換えられることを特徴とする、請求項2に記載のRF電力増幅器。
【請求項4】
前記包絡線検波器は、第1の抵抗、第2の抵抗、第3の抵抗、第1のダイオード、第4の抵抗及び第1のコンデンサを備えており、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗とは、電源とグランドの間に接続され、前記第3の抵抗は、前記第1のダイオードのアノードと、前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の共通ノードとの間に接続され、前記第1のダイオードのカソードは、前記第4の抵抗及び前記第1のコンデンサの並列ネットワークを介して前記グランドに接続されることを特徴とする、請求項2に記載のRF電力増幅器。
【請求項5】
前記バイアス比較回路は、N個の低ドロップアウトリニアレギュレータを備えており、Nは正の整数であり、各々の前記低ドロップアウトリニアレギュレータの入力端子は、それぞれ前記制御電圧及び前記電力検出回路に接続され、各々の前記低ドロップアウトリニアレギュレータの出力端子は、前記電力増幅回路のバイアス端子及び/またはコレクタ端子に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のRF電力増幅器。
【請求項6】
各々の前記低ドロップアウトリニアレギュレータは、それぞれ、第5の抵抗、第6の抵抗、演算増幅器、PMOSトランジスタ及び第7の抵抗を備えており、前記第5の抵抗と前記第6の抵抗は、第3のノードとグランドとの間に接続され、前記演算増幅器の正相入力端子は、前記第5の抵抗と前記第6の抵抗との間の共通ノードに接続され、前記演算増幅器の反転入力端子は、外部のベースバンド回路に接続され、前記演算増幅器の出力端子は、前記PMOSトランジスタのゲートに接続され、前記PMOSトランジスタのソースは電源に接続され、前記PMOSトランジスタのドレインは、前記第7の抵抗を介してグランドに接続されることを特徴とする、請求項1に記載のRF電力増幅器。
【請求項7】
前記電力増幅回路は、1段または多段の増幅回路及び各1段の増幅回路に対応するバイアス回路を備えており、各1段の増幅回路は、対応する前記バイアス回路に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のRF電力増幅器。
【請求項8】
前記主信号経路上の特定のノードは、前記電力増幅回路の任意の1段の増幅回路、第1のノード及び第2のノードを含むことを特徴とする、請求項7に記載のRF電力増幅器。
【請求項9】
集積回路チップであって、
請求項1~8のいずれか1項に記載のRF電力増幅器を備えることを特徴とする、前記集積回路チップ。
【請求項10】
通信端末であって、
請求項1~8のいずれか1項に記載のRF電力増幅器を備えることを特徴とする、通信端末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF電力増幅器に関し、同時に該RF電力増幅器を備える集積回路チップ及び対応する通信端末にも関し、RF集積回路技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
RF電力増幅器は、無線通信アプリケーションに欠かせない重要な部品であり、無線通信に必要なRF信号の電力要件を満たすために、トランシーバーによって出力される変調RF信号を電力増幅する。無線通信の性能要件により、RFパワーアンプは電力制御を行う必要がある。また、プロセスの偏差により、RF電力増幅器のゲインを招き、出力電力が変化する。
【0003】
従来技術において、RF電力増幅器の電力制御方法は主に以下の2つを含む。
第1は、閉ループ制御に基づく電力制御方法である。該電力制御方法は、主にRF電力増幅器の入力電力を制御することによって、RF電力増幅器の最終の出力電力を制御する。また、該電力制御方法では、同じバイアス電圧を使用して要件を満たす出力電力を生成するため、RF電力増幅器に必要な出力電力が小さい場合、RF電力増幅器の電流に余裕ができ、不要な浪費を招く。
【0004】
第2は、開ループ制御に基づく電力制御方法である。該電力制御方法は、主に電圧を制御することにより、RF電力増幅器の最終の出力電力を制御する。該電力制御方法では、RF電力増幅器を制御する制御電圧の出力電力の大きさを知ることができないため、制御電圧がRF電力増幅回路のバイアス電圧を正確に制御できなくなり、さらに、RF電力増幅器の出力電力を正確に制御できなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明にて解決しようとする主要な技術問題は、RF電力増幅器を提供することである。
【0006】
本発明にて解決しようとする他の技術問題は、上記RF電力増幅器を備える集積回路チップ及び対応する通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策を採用する。
本発明の実施形態の第1の態様により、電力増幅回路、出力整合回路、電力検出回路及びバイアス比較回路を備えるRF電力増幅器が提供される。前記電力増幅回路は前記出力整合回路に接続され、前記RF電力増幅器の主信号経路を形成し、前記電力検出回路の入力端子は、前記主信号経路上の特定のノードに接続され、前記電力検出回路の出力端子は、前記バイアス比較回路の入力端子に接続され、前記バイアス比較回路の出力端子は、前記電力増幅回路のバイアス端子及び/またはコレクタ端子に接続される。
【0008】
前記主信号経路上の出力電力は、前記電力検出回路によって検出し、前記出力電力に比例する等価電圧を得て、前記等価電圧が前記バイアス比較回路に入力された後に、前記電力増幅回路の異なるバイアス端子に必要な異なるバイアス状態に基づいて、前記等価電圧の数値を調製し、1つまたは複数の分岐等価電圧を得る。
【0009】
各々の前記分岐等価電圧は、それぞれ前記バイアス比較回路に事前に入力した制御電圧に比較し、前記制御電圧が前記RF電力増幅器の出力電力レベルに対応するまで、前記電力増幅回路にバイアス電圧及び/またはコレクタ電圧を供給し続け、異なる電力レベル下でのRF電力増幅器の出力電力が安定するように制御される。
【0010】
好ましくは、前記電力検出回路は、カプラ及び包絡線検波器を備える。前記カプラの入力端子は、前記出力整合回路を介して前記電力増幅回路の出力端子に接続され、前記カプラのスルー出力端子は出力負荷に接続され、前記カプラの結合出力端子は前記包絡線検波器の入力端子に接続される。前記包絡線検波器の出力端子は、前記バイアス比較回路の前記入力端子に接続される。
【0011】
好ましくは、前記カプラはコンデンサに置き換えられる。
【0012】
好ましくは、前記包絡線検波器は、第1の抵抗、第2の抵抗、第3の抵抗、第1のダイオード、第4の抵抗及び第1のコンデンサを備える。前記第1の抵抗と前記第2の抵抗とは、電源とグランドとの間に接続され、前記第3の抵抗は、前記第1のダイオードのアノードと、前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の共通ノードとの間に接続され、前記第1のダイオードのカソードは、前記第4の抵抗及び前記第1のコンデンサの並列ネットワークを介して前記グランドに接続される。
【0013】
好ましくは、前記バイアス比較回路は、N個の低ドロップアウトリニアレギュレータを備えており、Nは正の整数である。各々の前記低ドロップアウトリニアレギュレータの入力端子は、前記制御電圧及び前記電力検出回路にそれぞれ接続され、各々の前記低ドロップアウトリニアレギュレータの出力端子は、前記電力増幅回路のバイアス端子及び/またはコレクタ端子に接続される。
【0014】
好ましくは、各々の前記低ドロップアウトリニアレギュレータは、それぞれ、第5の抵抗、第6の抵抗、演算増幅器、PMOSトランジスタ及び第7の抵抗を備える。前記第5の抵抗と前記第6の抵抗は、第3のノードとグランドとの間に接続され、前記演算増幅器の正相入力端子は、前記第5の抵抗と前記第6の抵抗との間の共通ノードに接続される。前記演算増幅器の反転入力端子は、外部のベースバンド回路に接続され、前記演算増幅器の出力端子は、前記PMOSトランジスタのゲートに接続される。前記PMOSトランジスタのソースは電源に接続され、前記PMOSトランジスタのドレインは、前記第7の抵抗を介してグランドに接続される。
【0015】
好ましくは、前記電力増幅回路は、1段または多段の増幅回路、及び各1段の増幅回路に対応するバイアス回路を備える。各1段の増幅回路は、対応する前記バイアス回路に接続される。
【0016】
好ましくは、前記主信号経路上の特定のノードは、前記電力増幅回路の任意の1段の増幅回路、第1のノード及び第2のノードを備える。
【0017】
本発明の実施形態の第2の態様により、上記のRF電力増幅器を備える集積回路チップが提供される。
【0018】
本発明の実施形態の第3の態様により、上記のRF電力増幅器を含む通信端末が提供される。
【0019】
本発明の実施形態により提供されるRF電力増幅器において、主信号経路上の出力電力は、電力検出回路によって検出し、前記出力電力に比例する等価電圧を得てバイアス比較回路に入力する。等価電圧の数値は、バイアス比較回路によって調整され、制御電圧と比較し、電力増幅回路にバイアス電圧及び/またはコレクタ電圧を供給する。このようにして、1つの閉ループが形成すされるため、RF電力増幅器は、異なる電力レベル下でゲイン及び出力電力の安定した状態で作動を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態により提供されるRF電力増幅器の回路ブロック図である。
図2】包絡線検波器とカプラからなる電力検出回路を用いたRF電力増幅器の回路ブロック図である。
図3】本発明の実施形態により提供されるRF電力増幅器における包絡線検波器の回路概略図である。
図4】本発明の実施形態により提供されるRF電力増幅器における包絡線検波器の入力電力と出力直流電圧との関係を示す図である。
図5】本発明の実施形態により提供されるRF電力増幅器におけるバイアス比較回路の回路概略図である。
図6】2段の増幅回路を用いたRF電力増幅器の回路概略図1である。
図7】2段の増幅回路を用いたRF電力増幅器の回路概略図2である。
図8】本発明の実施形態により提供されるRF電力増幅器における電力増幅回路のコレクタ電圧と出力電力との関係を示す図である。
図9】本発明の実施形態により示される通信端末の構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の技術的内容は、添付の図面及び特定の実施形態を組合わせて、以下でさらに詳細に説明する。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施形態により提供されるRF電力増幅器は、電力増幅回路5、出力整合回路2、電力検出回路3及びバイアス比較回路4を備える。電力増幅回路5、出力整合回路2及び出力負荷9が順番に接続されて、RF電力増幅器の主信号経路を形成し、基地局との通信に必要な電力を満たすために、入力RF信号の増幅を実現する。電力検出回路3の入力端子は、主信号経路上の特定のノード(図1に示すように、電力増幅回路5と出力整合回路2との間に位置する第1のノード7と、出力整合回路2と出力負荷9との間に位置する第2のノード8)に接続され、電力検出回路3の出力端子は、バイアス比較回路4の入力端子に接続され、バイアス比較回路4の出力端子は、電力増幅回路5のバイアス端子及び/またはコレクタ端子に接続される。
【0023】
主信号経路上の電力は、電力検出回路3によって検出し、主信号経路の電力に比例する等価電圧を得て、前記等価電圧がバイアス比較回路4に入力された後に、電力増幅回路5の異なるバイアス端子に必要な異なるバイアス状態に基づいて、等価電圧の数値を調整し、1つまたは複数の分岐等価電圧を得る。各々の分岐等価電圧は、外部のベースバンド回路がバイアス比較回路4に事前に入力した制御電圧1とそれぞれ比較され、電力増幅回路5に、制御電圧及び分岐等価電圧との電位差が逆方向に変化するバイアス電圧6及び/またはコレクタ電圧を生成し、生成されたバイアス電圧及び/またはコレクタ電圧が、対応する分岐等価電圧を制御電圧と等しくするまで生成し続ける。また、制御電圧は、RF電力増幅器の出力電力レベルに対応し、RF電力増幅器の出力電力を、異なる電力レベル下で安定性するように制御する。
【0024】
なお、外部のベースバンド回路がバイアス比較回路4に事前に入力した制御電圧は、RF電力増幅器の出力電力レベルに対応し、即ち、1つの出力電力レベルは1つの制御電圧に対応する。ベースバンド回路には、RF電力増幅器の出力電力レベルに対応する複数の制御電圧が事前に設定されている。RF電力増幅器の、ベースバンド回路によって提供される制御電圧の数値は、通信端末(携帯電話など)が基地局と情報を交換する時に必要とする実際の出力電力に基づいて決定される。即ち、異なる制御電圧を設定することにより、RF電力増幅器は異なる出力電力を得ることができる。例えば、携帯電話が基地局と通信すると仮定すると、この時、携帯電話が基地局に近い場合、携帯電話が基地局と情報を交換する時に必要な出力電力は、比較的に小さく、基地局は携帯電話との情報交換に必要な出力電力を携帯電話にフィードバックし、携帯電話は、ベースバンド回路を介して必要な出力電力レベルに対応する制御電圧を、そのRF電力増幅器に供給する。
【0025】
図2に示すように、本発明の一実施形態において、電力検出回路3は、カプラ31と包絡線検波器30とを備える。カプラ31の入力端子は、出力整合回路2を介して電力増幅回路5の出力端子に接続され、カプラ31のスルー出力端子8は出力負荷9に接続される。カプラ31の結合出力端子32は、包絡線検波器30の入力端子に接続され、包絡線検波器30の出力端子は、バイアス比較回路4の入力端子に接続される。
【0026】
カプラ31は、電力増幅回路5、出力整合回路2及び出力負荷9から構成されるRF電力増幅器の主信号経路上の特定の位置での出力電力を検出し、結合電力を生成する。前記結合電力は、RF電力増幅器の出力電力と一定の比例関係がある。例えば、カプラ31によって検出されたRF電力増幅器の主信号経路上の特定位置の出力電力及び生成された結合電力は、RF電力増幅器の出力電力の1パーセントである。
【0027】
カプラ31を、主信号経路上の第2のノード8に接続することは、第1のノード7に接続することより、電力増幅回路5の出力電力に対する影響が小さく、第2のノード8の位置でカプラ31によって検出された電力は、最終の出力電力にもっと近い。したがって、カプラ31は、主信号経路上の第2のノード8に接続することによって、主信号経路に対するRF信号の影響を小さく保証するだけでなく、電力検出回路3によって検出された電力を増幅回路の最終の出力電力にもっと近くすることが好ましい。ここで、カプラ31の結合係数は、一般的に20dBより大きいため、主信号経路上の特定位置での出力電力を検出すると共に、電力増幅回路5の出力電力の損失を低減することもできる。
【0028】
また、コンデンサでカプラを置き換えることによって、RF電力増幅器の主信号経路上の特定位置での出力電力を検出することができる。
【0029】
包絡線検波器30は、カプラ31の結合出力端子32から出力される結合電力を受け取り、前記結合電力に比例する等価電圧33を得る。図3に示すように、包絡線検波器30は、第1の抵抗307、第2の抵抗308、第3の抵抗310、第1のダイオード302、第4の抵抗304及び第1のコンデンサ305を備える。第1の抵抗307及び第2の抵抗308は、電源とグランドとの間に接続され、分圧作用によって第1のダイオード302にバイアス電圧を提供する。第3の抵抗310は、第1のダイオード302のアノード301と、第1の抵抗307及び第2の抵抗308の共通ノード309との間に接続され、第1のダイオード302に適切なバイアス電流を提供する。第1のダイオード302のカソード303は、第4の抵抗304及び第1のコンデンサ305の並列ネットワークを介してグランドに接続される。第4の抵抗304は、第1のダイオード302の負荷として、第1のダイオード302に直流状態を提供すると共に、第1のダイオード302に電力から電圧への変化ゲインを提供する。第1のコンデンサ305は、第1のダイオード302の出力電圧の直流部分を得るために、第1のダイオード302のフィルタコンデンサとして使用される。第4の抵抗304及び第1のコンデンサ305を介して、カプラ31によって出力される結合電力を、事前に振幅された等価電圧に変換することができ、前記等価電圧は結合電力に比例する。ここで、カプラ31によって出力される結合電力は、コンデンサ306を介して第1のダイオード302のアノード301に入力される。包絡線検波器30は、カプラ31によって出力された結合電力を、事前に振幅された等価電圧に変換した後、第4の抵抗304と第1のコンデンサ305との間の共通ノード303を、包絡線検波器30の出力端子として使用し、バイアス比較回路4に入力する。図4に示すように、第1のダイオード302のアノード301での入力電力(カプラ31によって出力される結合電力)が、-15dBmから10dBmに変化する場合、第1のダイオード302のカソード303での直流電圧(結合電力に対応する事前に振幅された等価電圧)は0.3Vから1.35Vに変化する。
【0030】
図5に示すように、本発明の一実施形態において、バイアス比較回路4は、N個の低ドロップアウトリニアレギュレータを備えており、Nは正の整数で、Nの値は、電力増幅回路5によって必要とする実際のバイアス電圧、及びコレクタ電圧の個数によって決定される。各低ドロップアウトリニアレギュレータは、それぞれ、第5の抵抗402、第6の抵抗403、演算増幅器406、PMOSトランジスタ408及び第7の抵抗411を備える。各低ドロップアウトリニアレギュレータの各部分の接続関係及び作動原理は、以下の通りである。第5の抵抗402及び第6の抵抗403は、第3のノード401とグランドとの間に接続され、電力増幅回路5の作動状態に基づいて、第5の抵抗402及び第6の抵抗403の分圧作用によって、電力検出回路3から出力される等価電圧を特定比率でコピーし、1つの分岐等価電圧を得る。演算増幅器406の正相入力端子は、第5の抵抗402と第6の抵抗403との間の共通ノード404に接続され、共通ノード404を介して、第5の抵抗402と第6の抵抗403の分圧作用によって得られた分岐等価電圧を受け取る。演算増幅器406の反転入力端子は、外部のベースバンド回路に接続され、RF電力増幅器で必要とする実際の出力電力レベルに対応する制御電圧を受け取る。演算増幅器406の出力端子は、PMOSトランジスタ408のゲートに接続され、PMOSトランジスタ408のソース409は電源に接続され、PMOSトランジスタ408のドレイン410は、第7の抵抗411を介してグランドに接続される。
【0031】
バイアス比較回路4の作動原理は、電力検出回路3によって出力された等価電圧33(該等価電圧33は、電力検出回路3によって検出された出力電力に比例する)を、各低ドロップアウトリニアレギュレータの演算増幅器406に入力することによって、各低ドロップアウトリニアレギュレータが、電力増幅回路5の作動状態に基づいて、第5の抵抗402と第6の抵抗403の分圧作用によって、電力検出回路3から出力される等価電圧を特定比率でコピーし、1つの分岐等価電圧を得る。演算増幅器406は、分岐等価電圧と事前に演算増幅器406の反転入力端子に入力された制御電圧1とを比較した後、PMOSトランジスタ408のドレイン410は、第7の抵抗411を介して電圧を生成し、電力増幅回路5にバイアス電圧及び/またはコレクタ電圧を供給する。ここで、第7の抵抗411の数値は、必要に応じて異なる値から選択して使用することができる。
【0032】
電力増幅回路5は、1段または多段の増幅回路と、各1段の増幅回路に対応するバイアス回路を備えているため、各低ドロップアウトリニアレギュレータの電力増幅回路5に基づく作動状態とは、電力増幅回路5の特定段の増幅回路の作動状態を意味することができる。即ち、各低ドロップアウトリニアレギュレータは、電力増幅回路5の特定段の増幅回路の作動状態に基づいて、第5の抵抗402と第6の抵抗403の分圧作用によって、電力検出回路3によって出力される等価電圧を特定比率でコピーし、1つの分岐等価電圧を得る。即ち、各低ドロップアウトリニアレギュレータは、電力増幅回路5の対応する特定段の増幅回路にバイアス電圧及び/またはコレクタ電圧を供給し、バイアス電圧またはコレクタ電圧を介して、対応する特定段の増幅回路の出力電力を制御することができる。よって、複数の低ドロップアウトリニアレギュレータを使用して、電力増幅回路5の対応する多段の増幅回路に、バイアス電圧及び/またはコレクタ電圧を提供することができる。
【0033】
各低ドロップアウトリニアレギュレータは、それぞれ、電力増幅回路5、出力整合回路2及び電力検出回路3と閉ループ制御を形成するため、各低ドロップアウトリニアレギュレータは、電力検出回路3によって出力される等価電圧を引き続き受け取る。低ドロップアウトリニアレギュレータは、毎回受け取った等価電圧を動的に調整して、分岐等価電圧を得、分岐等価電圧を制御電圧と比較して、各低ドロップアウトリニアレギュレータの対応する分岐等価電圧が制御電圧と等しくなるまで、電力増幅回路5の対応する特定段の増幅回路にバイアス電圧及び/またはコレクタ電圧を供給する。さらに、制御電圧は、RF電力増幅器の出力電力レベルに対応し、RF電力増幅器の出力電力を、異なる電力レベル下で安定するように制御する。
【0034】
出力整合回路2は、外部のアンテナとの間のインピーダンス整合を実現することによって、電力増幅回路5が、RF信号をアンテナに入力し、アンテナを介してRF信号を基地局に送信することができる。出力整合回路2は、直列インダクタと並列コンデンサを備えており、即ち、インダクタは、第1のノード7と第2のノード8の前に接続され、コンデンサは、第2のノード8とグランドとの間に接続される。
【0035】
以下は、2段の増幅回路及び2段の増幅回路に対応するバイアス回路を用いた電力増幅回路5を例として、第2のノード8の出力電力を検出し、電力増幅回路5の特定段の増幅回路にコレクタ電圧を供給するか、または各1段の増幅回路にそれぞれバイアス電圧及びコレクタ電圧を供給するのが一般的である。本発明の実施形態に提供されるRF電力増幅器の作動原理及び各1段の増幅回路及び対応するバイアス回路の構造に対して説明する。
【0036】
図6に示すように、電力増幅回路5の第1段の増幅回路は、第1の三極管502を備えており、第1の三極管502のコレクタは、第1のインダクタンス509の一端に接続され、第1のインダクタンス509は、第1段の増幅回路の負荷として使用される。第1のインダクタンス509の他端は、第2のコンデンサ510を介してグランドに接続され、第2のコンデンサ510は、第1段の増幅回路のバイパスコンデンサとして使用される。第1のインダクタンス509と第2のコンデンサ510との共通端511は、AC接地と見なすことができる。第8の抵抗505の一端及び第2の三極管504のコレクタは、ノード508に接続され、第8の抵抗505の他端は、第2の三極管504のベース電極に接続され、第8の抵抗505の他端は、第2のダイオード506及び第3のダイオード507を介してグランドに接続される。第2の三極管504のエミッタは、第9の抵抗503を介して第1の三極管502のベース電極に接続され、第1の三極管502にバイアス電流を供給する。ここで、第8の抵抗505、第2の三極管504、第2のダイオード506、第3のダイオード507及び第9の抵抗503は、第1段の増幅回路に対応するバイアス回路を構成する。第1の三極管502のコレクタは、第3のコンデンサ512を介して第3の三極管513のベース電極に接続され、第1段の増幅回路は、コンデンサ501を介してRF信号を受信し、前記RF信号を第3のコンデンサ512を介して第2段の増幅回路に入力する。同様に、第2のインダクタンス520の一端は、第3の三極管513の負荷として、第3の三極管513のコレクタに接続される。第2のインダクタンス520の他端は、第4のコンデンサ521を介してグランドに接続され、第4のコンデンサ521は、第2段の増幅回路のバイパスコンデンサとして使用され、第2のインダクタンス520と第4のコンデンサ521との共通端522はAC接地と見なすことができる。第10の抵抗516の一端及び第4の三極管515のコレクタは、ノード519に接続され、第10の抵抗516の他端は、第4の三極管515のベース電極に接続され、且つ第4のダイオード517及び第5のダイオード518を介してグランドに接続される。第4の三極管51のエミッタは、第11の抵抗514を介して第3の三極管513のベース電極に接続され、第3の三極管513にバイアス電流を供給する。第3の三極管513のコレクタは、出力整合回路2を介して出力負荷に出力される。
【0037】
電力検出回路3は、第2のノード8の出力電力を検出して、前記出力電力に比例する等価電圧526を得、前記等価電圧526はバイアス比較回路4に入力される。バイアス比較回路4は、等価電圧526とバイアス比較回路4に事前に入力された制御電圧1とを比較することによって、バイアス電圧529を得る。バイアス電圧529は、第2のインダクタンス520と第4のコンデンサ521との間の共通ノード522に接続され、第2段の増幅回路にコレクタ電圧を提供する。電力増幅回路の出力電力は、コレクタ電圧によって制御される。
【0038】
図7に示すように、第2のノード8の出力電力は、電力検出回路3によって検出され、前記出力電力に比例する等価電圧526を得、前記等価電圧526は、バイアス比較回路4の4つの低ドロップアウトリニアレギュレータにそれぞれ入力される。ここで、2つの低ドロップアウトリニアレギュレータは、電力増幅回路5の第1段の増幅回路の作動状態に基づいて、等価電圧の数値を調製し、2つの分岐等価電圧を得る。この2つの低ドロップアウトリニアレギュレータは、それぞれ対応する分岐等価電圧を制御電圧と比較し、ノード508及びノード511を介して、第1段の増幅回路に対応するバイアス電圧534及びコレクタ電圧533を生成し、生成されたバイアス電圧とコレクタ電圧とが、対応する分岐等価電圧を制御電圧と等しくするまで、生成し続ける。他の2つの低ドロップアウトリニアレギュレータも、電力増幅回路5の第2段の増幅回路の作動状態に基づいて、等価電圧の数値を調整し、2つの分岐等価電圧を得る。この2つの低ドロップアウトリニアレギュレータは、それぞれ対応する分岐等価電圧をそれぞれ制御電圧と比較し、ノード519及びノード522を介して、第2段の増幅回路に対応するバイアス電圧532及びコレクタ電圧531を生成し、生成されたバイアス電圧とコレクタ電圧とが、対応する分岐等価電圧を制御電圧と等しくするまで、生成し続ける。
【0039】
図8に示すように、第2段の増幅回路の、バイアス比較回路4によって提供されるコレクタ電圧が0.4Vから3.4Vに変化する場合、電力増幅回路の出力電力は11dBmから35dBmに変化する。したがって、図4及び図8により、電力増幅回路は、異なる制御電圧を設定することによって、異なる出力電力が得られることが分かる。
【0040】
本発明の実施形態により提供されるRF電力増幅器は、電力検出回路によって主信号経路上の出力電力を検出して、前記出力電力に比例する等価電圧を得、バイアス比較回路に入力する。等価電圧の数値は、バイアス比較回路によって調整され、且つ制御電圧と比較され、電力増幅回路にバイアス電圧及び/またはコレクタ電圧を供給する。このようにして1つの閉ループ回路が形成され、電力増幅回路の出力電力を安定して制御するという目的を達成する。また、主信号経路上の出力電力を検出することによって、各段の増幅回路の作動状態を調整し、よって、プロセス変化によるRF電力増幅器の作動状態の変化を抑制すると共に、入力電力の変化がRF電力増幅器の作動状態に与える影響を減らすことができる。したがって、RF電力増幅器は、異なる電力レベル下でゲイン及び出力電力の安定した状態で作動を維持することができる。
【0041】
本発明の実施形態により提供されるRF電力増幅器は、集積回路チップに使用することもできる。前記集積回路チップにおけるRF電力増幅器の具体的な構造については、ここでは詳細に説明しない。
【0042】
また、上記のRF電力増幅器は、図9に示すように、通信部品の重要な構成部分として通信端末に使用することもできる。ここで言及される通信端末とは、モバイル環境で使用できるGSM、EDGE、WiFi及び4G/5Gなどの様々な通信規格をサポートする携帯電話、ノートパソコン、タブレットパソコン、カーコンピュータなどを含むコンピュータ機器を指す。また、本発明の実施形態によって提供される技術的解決策は、通信基地局などの他の通信部品が応用される場合にも適用する。
【0043】
図9は、本発明の実施形態に係る通信端末の構造ブロック図である。図9を参照すると、通信端末800は、処理部品802、メモリ804、電源部品806、入力/出力(I/O)インターフェース812、センサ部品814及び通信部品816の1つまたは複数の部品を備えることができる。
【0044】
処理部品802は、一般的に、通信端末800の全体の操作を制御する。処理部品802は、上記方法のステップの全てまたは一部を完成するために、コマンドを実行する1つまたは複数のプロセッサ820を備えることができる。また、処理部品802は、処理部品802と他の部品との間の相互作用を便利にする、1つまたは複数のモジュールを備えることができる。
【0045】
メモリ804は、通信端末800の操作を支持するために、様々なタイプのデータを記憶するように構成される。このようなデータの例には、通信端末800で操作する任意のアプリケーションプログラムまたは方法のコマンド等が含まれる。メモリ804は、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、磁気メモリ、フラッシュメモリ、磁気ディスクまたは光ディスクなどの如何なるタイプの揮発性または不揮発性の記憶装置またはそれらを組み合わせて実装することができる。
【0046】
電源部品806は、通信端末800の様々な部品に電力を供給する。電源部品806は、電源管理システム、1つまたは複数の電源、及び通信端末800への電力の生成、管理及び分配に関連する他の部品を備えることができる。I/Oインターフェース812は、処理部品802及び周辺インターフェースモジュールとの間にインターフェースを提供し、上記の周辺インターフェースモジュールは、キーボード、スクロールホイール、ボタンなどであってもよい。
【0047】
センサ部品814は、通信端末800に様々な側面の状態評価を提供するための1つまたは複数のセンサを備える。一部の実施形態において、前記センサ部品814には、加速センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、圧力センサまたは温度センサなどが含まれる。
【0048】
通信部品816は、通信端末800と他の装置、好ましくは4G/5Gアクセスモジュールとの間の有線方式または無線方式の通信を容易にするように構成される。通信端末800は、GSM、EDGE、WiFi、4G/5Gまたはそれらの組合せなどの様々な通信規格に基づいて、無線ネットワークにアクセスすることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態によって提供されるRF電力増幅器、チップ及び通信端末について詳細に説明した。当業者にとって、本発明の実質的な内容から逸脱することなくそれに対して行われた如何なる明らかな変更は、本発明の特許請求の保護範囲に属する。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】