(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】アプリケータチューブ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20230215BHJP
【FI】
A61B17/00 400
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529733
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 EP2020087599
(87)【国際公開番号】W WO2021130211
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510339094
【氏名又は名称】フェロサン メディカル デバイシーズ エイ/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ハンマースホイ, ピーター, ルンド
(72)【発明者】
【氏名】イグウェビケ, ヘニング, ウゾマ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD70
4C160MM18
4C160MM32
(57)【要約】
本発明は、シリンジからペーストを送達するためのアプリケータチューブであって、ペーストを送達するための遠位端部を含む送達チューブと、送達チューブの近位端部に取り付けられており、かつシリンジに取り付けるように構成されたバルブシステムであって、取り付けられたシリンジの吸引および排出が行われると、アプリケータチューブが、ある量の吸引されたガスを送達チューブを通して輸送するように構成されるように、周囲からのガスの吸引を可能にする第1の構成と、吸引されたガスの送達チューブ内への圧出を可能にする第2の構成とを有する、バルブシステムとを備えるアプリケータチューブに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジからペーストを送達するための内視鏡および/または腹腔鏡用のアプリケータチューブであって、
前記ペーストを送達するための遠位端部を含む送達チューブと、
前記送達チューブの近位端部に取り付けられており、かつ前記シリンジに取り付けるように構成されたバルブシステムであって、取り付けられたシリンジの吸引および排出が行われると、前記アプリケータチューブが、ある量の吸引されたガスを前記送達チューブを通して輸送するように構成されるように、前記チューブの周囲からのガスの吸引を可能にする第1の構成と、吸引されたガスの前記送達チューブ内への圧出を可能にする第2の構成とを有する、バルブシステムと
を備える、アプリケータチューブ。
【請求項2】
前記送達チューブの長さが、20~150cm、より好ましくは25~80cm、例えば30~60cmであり、および/または前記送達チューブの容積が、3~20ml、好ましくは4~10ml、例えば5mlである、請求項1に記載のアプリケータチューブ。
【請求項3】
前記送達チューブの前記近位端部に取り付けられたトランジション部をさらに備える、請求項1または2に記載のアプリケータチューブ。
【請求項4】
前記バルブシステムが、少なくとも2つのバルブ、またはダックビル/アンブレラ複合バルブなどの2バルブ機能複合バルブを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【請求項5】
前記バルブシステムが少なくとも第1の一方向バルブを備える、請求項4に記載のアプリケータチューブ。
【請求項6】
前記バルブシステムが少なくとも2つの一方向バルブを備える、請求項4または5に記載のアプリケータチューブ。
【請求項7】
前記バルブシステムが、前記送達チューブの断面積の20~90%、より好ましくは30~80%、最も好ましくは40~60%の断面積を有する制限バルブを備える、請求項4~6のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【請求項8】
前記バルブシステムが、前記トランジション部、および/または前記送達チューブの前記近位端部に組み込まれている、請求項1~7のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【請求項9】
前記バルブシステムまたは前記トランジション部が、第1の近位開口部、および前記送達チューブと流体連通している第1の遠位開口部を有する第1の管腔と、第2の近位開口部、および周囲と流体連通している第2の遠位開口部を有する第2の管腔とを含み、任意選択的に、前記第1の近位開口部と前記第2の近位開口部が同一であり、前記シリンジと流体連通するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【請求項10】
前記バルブシステムが少なくとも第1の一方向バルブを備え、好ましくは、前記第1の一方向バルブが前記第2の管腔内に配置されている、請求項9に記載のアプリケータチューブ。
【請求項11】
前記第1の管腔が、断面積が減少した部分を含み、好ましくは、前記第1の管腔が、管腔の断面積の20~90%、より好ましくは30~80%、最も好ましくは40~60%の、断面積が減少した部分を含む、請求項9または10に記載のアプリケータチューブ。
【請求項12】
前記バルブシステムが第2の一方向バルブを備え、好ましくは、前記第2の一方向バルブが前記第1の管腔内に配置されている、請求項9~11のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【請求項13】
アプリケータチューブを空にする方法であって、
a)請求項1~12のいずれか一項に記載のアプリケータチューブを準備するステップと、
b)シリンジを前記送達チューブに取り付けるステップと、
c)前記シリンジ内にガスを吸引するステップと、
d)前記ガスを前記シリンジから前記送達チューブ内に圧出し、それによって前記アプリケータチューブを空にするステップと
を含み、
任意選択的に、ステップ(b)で取り付けられた前記シリンジがペーストを含み、前記方法が、ステップ(c)でガスを吸引する前に、前記ペーストの少なくとも一部を前記シリンジから前記送達チューブ内に圧出するステップを任意選択的にさらに含む、方法。
【請求項14】
前記ガスが、空気、CO
2、亜酸化窒素(N
2O)、ヘリウム(He)およびそれらの組合せの群から選択される気腹ガスである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブの部品一式であって、
前記送達チューブと、
前記バルブシステムと
を備え、
前記バルブシステムが、前記送達チューブの近位端部に着脱可能に取り付けられるように構成されており、シリンジに取り付けるようにさらに構成されており、前記バルブシステムが、周囲からの空気の吸引を可能にする第1の構成と、吸引された空気の前記送達チューブ内への圧出を可能にする第2の構成とを有する、内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブの部品一式。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーストなどの粘性流体を送達するためのアプリケータチューブおよび部品一式、より具体的にはペーストなどの粘性流体を送達するための内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブ、ならびに内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブなどのアプリケータチューブを空にする方法に関する。好適には、アプリケータは、気腹された身体部分内に粘性流体を送達するために使用される。
【背景技術】
【0002】
ペーストなどの粘性流体は、シリンジを使用して標的部位に正確に適用されてもよい。シリンジは、開口部を含むバレルに取り付けられたプランジャまたはピストンを含み、バレルはペーストを含む。シリンジプランジャをバレルに沿って押すか並進させることによって、本質的に非圧縮性の濃厚な粘性組成物の形態で典型的なペーストは、制御された方法でシリンジバレルの開口部から排出される。したがってペーストは、シリンジを使用することによって、高い空間精度および柔軟な投与量で標的部位に送達されてもよい。
【0003】
特定の標的部位に正確な量でペーストを送達することは、外科的用途などの医療目的に適用されるペーストにとって特に重要である。例えば外科的用途のための止血用組成物は、典型的にはペーストの形態である。
【0004】
有効な外科用止血剤の例は、止血有効量のトロンビンを含むゼラチンペーストである。トロンビンは凝固剤であり、したがって、出血部位での出血を制御するために使用されてもよい。しかし、医療用ペーストの止血性が効率的であるためには、有効濃度のトロンビンがペースト中に存在すること、およびトロンビンがペースト中に均一に分布していること、ならびにペーストが正確かつ固定的な配置のために適切な粘度およびレオロジーを有することが重要である。
【0005】
内視鏡および/または腹腔鏡処置の場合、シリンジは標的部位に直接アクセスできない。代わりに、ペーストは、アプリケータチューブを介してシリンジから適用され、アプリケータチューブは、トロカールポートを介して体内に導入されてもよい。したがって、シリンジは、正確な量のペーストが放出されるのを容易にし、トロカールおよび関連する栓塞子内に配置されたアプリケータチューブは、ペーストが遠位標的部位への正確に適用されるのを可能にする。
【0006】
遠位標的部位でのアプリケータチューブからのペーストの放出または投与は、チューブが残留ペーストまたはペーストの残留量で充たされていることを暗黙的に意味する。残留ペーストがその後に排出されず、例えば標的部位に適用されない場合、ペーストは無駄になる。さらに、チューブ内の残留ペーストは、ペーストの硬化などの相変化を受ける可能性があり、これがチューブ内で発生した場合、チューブの機械的応力および損傷につながる可能性がある。
【0007】
残留ペーストの利用を確実にし、かつ装置の損傷を回避するために、ペースト適用は、典型的には2つのステップ、すなわち、1)ペーストを含むシリンジのプランジャを押し下げることによるペーストの適用、および、2)アプリケータチューブ内の残留ペーストがラムロッドまたはスタイラスの使用によって排出されることを意味する。
【0008】
第2の工程ステップは、典型的には両手の使用を必要とし、これは腹腔鏡処置において特に困難である。米国特許第2018303531号明細書は、止血用送達チューブを開示しており、残留ペーストはチューブを通って前進するスタイラスを介して排出される。スタイラスがチューブ全体を通って延在する場合、いかなる残留ペーストも回避される。
【発明の概要】
【0009】
外科的処置は、典型的には時間的制約を受け、したがって各医療処置の時間消費が重要となる。例えば、止血剤を含むアプリケータが準備されるのを待つ間に外科医が処置を中断しなければならないので、出血を抑制するために止血ペーストを使用する場合、時間消費が重要となる場合がある。したがって、アプリケータの準備時間のために、失血が増加し、かつ外科的処置の動作時間がより長くなる可能性がある。
【0010】
より効率的なペースト適用処置のために、改良されたアプリケータチューブが必要とされる。
【0011】
本発明の第1の態様は、シリンジからペーストを送達するためのアプリケータチューブであって、
ペーストを送達するための遠位端部を含む送達チューブと、
送達チューブの近位端部に取り付けられており、かつシリンジに取り付けるように構成されたバルブシステムであって、取り付けられたシリンジの吸引および排出が行われると、アプリケータチューブが、ある量の吸引されたガスを送達チューブを通して輸送するように構成されるように、チューブの周囲からのガスの吸引を可能にする第1の構成と、吸引されたガスの送達チューブ内への圧出を可能にする第2の構成とを有する、バルブシステムと
を備えるアプリケータチューブに関する。
【0012】
本発明の第2の態様は、シリンジからペーストを送達するための内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブであって、
ペーストを送達するための遠位端部を含む送達チューブと、
送達チューブの近位端部に取り付けられており、かつシリンジに取り付けるように構成されたバルブシステムであって、取り付けられたシリンジの吸引および排出が行われると、アプリケータチューブが、ある量の吸引されたガスを送達チューブ内に輸送するように構成されるように、チューブの周囲からのガスの吸引を可能にする第1の構成と、吸引されたガスの送達チューブ内への圧出を可能にする第2の構成とを有する、バルブシステムと
を備える内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブに関する。
【0013】
本発明の第3の態様は、アプリケータチューブを空にする方法に関し、当該方法は、
a)第1の態様または第2の態様によるアプリケータチューブを準備するステップと、
b)シリンジを送達チューブに取り付けるステップと、
c)シリンジ内にガスを吸引するステップと、
d)ガスをシリンジから送達チューブ内に圧出し、それによってアプリケータチューブを空にするステップと
を含む。
【0014】
本発明の第4の態様は、送達チューブとバルブシステムとを備える部品一式に関し、バルブシステムは、送達チューブの近位端部に着脱可能に取り付けられるように構成され、シリンジに取り付けるようにさらに構成され、バルブシステムは、周囲からのガスの吸引を可能にする第1の構成と、吸引されたガスの送達チューブ内への圧出を可能にする第2の構成とを有する。
【0015】
好ましい実施形態では、部品一式は、本発明の第1の態様によるアプリケータチューブのためのものである。
【0016】
本開示は、アプリケータチューブを空にすることを含む、より迅速で、より簡単で、より効率的なペースト適用を容易にする改善されたアプリケータチューブを準備し、無駄な量のペーストが低減される。特に、本アプリケータチューブは、アプリケータチューブの送達チューブに取り付けられたバルブシステムにより、スタイラスなどの別個の追加の部品を使用することなく、かつスタイラスなどの別個の部品の導入に関連する追加の工程を必要とせずに、残留ペーストを排出してアプリケータを空にすることを容易にする。アプリケータチューブを空にすることは、代替的にまたは追加的に、アプリケータチューブの気軽な再利用またはリサイクルの可能性を促進することができる。使用後、残留ペーストは容易に廃棄物として排出されてもよく、アプリケータチューブは異なるペーストで直ちに再使用されてもよい。
【0017】
好ましい実施形態では、バルブシステムは少なくとも1つの一方向バルブを備える。
【0018】
より具体的には、本発明のアプリケータチューブは、送達チューブの近位端部に取り付けられており、かつシリンジに取り付けるように構成されたバルブシステムにより、シリンジから送達されたペーストをチューブから放出した直後に、ペーストを送達するシリンジを取り外すことなく、残留ペーストを排出してアプリケータを空にすることを容易にする。これは、バルブシステムが、取り付けられたシリンジの吸引および排出が行われると、アプリケータチューブが、ある量の空気などの吸引されたガスを送達チューブ内に輸送するように構成されるように、チューブの周囲からの空気などのガスの吸引を可能にする第1の構成と、吸引された空気などのガスの送達チューブ内への圧出を可能にする第2の構成とを有するためである。
【0019】
有害ガスおよび有害量のガスを体内に注入する危険性を低減するために、吸引されたガスは、好適には血液などの体液に十分に可溶性のガスである。例えば体腔内に大量の空気を注入すると、空気塞栓症を引き起こす可能性がある。したがって、好適には、ガスは、明確に定義された組成物を含むガス容器から吸引され、チューブの周囲に存在する。代替的または追加的に、ガスは、体内に配置されたチューブの周囲から吸引される。内視鏡および/または腹腔鏡処置の場合、チューブの遠位部は、典型的には気腹された身体部分内に配置され、これは、腹腔鏡処置の間により多くの作業スペースを得るために、身体部分の空洞がガスで充填されて空洞を膨張させていることを意味する。典型的な気腹ガスの例は、空気、CO2、亜酸化窒素(N2O)、ヘリウム(He)である。
【0020】
本開示の好ましい実施形態では、吸引されたガスは、チューブ周囲からの空気、および/または空気、CO2、亜酸化窒素(N2O)、ヘリウム(He)およびそれらの組合せの群から選択される気腹ガスである。
【0021】
本発明を、添付の図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示によるアプリケータチューブの一実施形態の断面図である。
【
図2】本開示によるアプリケータチューブの一実施形態の斜視図である。
【
図3】本開示によるアプリケータチューブの近位端部の一実施形態の断面図である。
【
図4】本開示によるアプリケータチューブの近位端部の別の実施形態の断面図である。
【
図5】本開示によるアプリケータチューブを空にするための工程の一実施形態を示す図である。
【
図6】アプリケータチューブの一実施形態の斜視図を示す図であり、円で示されている強調部分は、シリンジへの取り付け、およびバルブシステム内のバルブの位置の実施形態をそれぞれ示している。
【
図7A】気腹された身体部分内に配置された本開示によるアプリケータチューブの一実施形態を示す図であり、ガスは近位チューブの周囲から吸引される。
【
図7B】気腹された身体部分内に配置された本開示によるアプリケータチューブの別の実施形態を示す図であり、気腹ガスは遠位チューブの周囲から吸引される。
【
図8A】気腹された身体部分内に配置された本開示によるアプリケータチューブの一実施形態を示す図であり、気腹ガスは、周囲の遠位チューブから吸引される。
【
図8B】気腹された身体部分内に配置された本開示によるアプリケータチューブの別の実施形態を示す、具体化された遠位チューブ部分の拡大図である。
【
図8C】気腹された身体部分内に配置された本開示によるアプリケータチューブのさらに別の実施形態を示す、チューブ部分の断面図である。
【
図9A】ダックビル/アンブレラ複合バルブなどの2バルブ機能複合バルブの形態の、本開示によるバルブシステムの一実施形態を示す図であり、バルブは、トランジション部に組み込まれているなど、送達チューブの近位端部に組み込まれてもよい。
【
図9B】ダックビル/アンブレラ複合バルブなどの2バルブ機能複合バルブの形態の、本開示によるバルブシステムの別の実施形態を示す図であり、内側ダックビルバルブは、
図9Bの左側に示すようにいずれも閉じているか、または
図9Bの右側に矢印で示すように尖った嘴部の方向の流れのために開いていてもよい。
【
図9C】ダックビル/アンブレラ複合バルブなどの2バルブ機能複合バルブの形態の、本開示によるバルブシステムのさらに別の実施形態を示す図であり、外側アンブレラバルブは、
図9Cの右側に示すようにいずれも閉じているか、または
図9Cの右側に矢印で示すように反転したアンブレラの方向の流れのために開いていてもよい。
【
図10A】本開示によるアプリケータチューブの管腔の一実施形態を示す、アプリケータチューブの遠位端部の斜視図である。
【
図10B】本開示によるアプリケータチューブの管腔の別の実施形態を示す、アプリケータチューブの遠位端部の斜視図である。
【
図10C】本開示によるアプリケータチューブの管腔のさらに別の実施形態を示す管腔構成の断面図であり、第2の管腔は送達チューブ壁内に配置されてもよい。
【
図10D】本開示によるアプリケータチューブの管腔のさらに別の実施形態を示す管腔構成の断面図であり、第2の管腔は送達チューブ壁の外側に配置されてもよい。
【
図10E】本開示によるアプリケータチューブの管腔のさらに別の実施形態を示す管腔構成の断面図であり、第2の管腔は送達チューブ壁の内側に配置されてもよい。
【
図10F】本開示によるアプリケータチューブの管腔のさらに別の実施形態を示す管腔構成の断面図であり、第2の管腔は送達チューブ壁の外側に配置されてもよい。
【
図10G】本開示によるアプリケータチューブの管腔のさらに別の実施形態を示す管腔構成の断面図であり、第2の管腔は送達チューブ壁の外側に配置されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面を用いて本発明を以下に説明する。当業者であれば、装置の同じ特徴または構成要素が異なる図において同じ参照符号で参照されることを理解するであろう。参照符号のリストは、詳細な説明の節の最後を参照されたい。
【0024】
アプリケータチューブ
図1は、近位端部2.1および遠位端部2.2を含む送達チューブ2を含む本開示によるアプリケータチューブ1の実施形態を示しており、近位端部はシリンジへの接続部を形成するように適合されている。ペーストを含むシリンジが近位端部に取り付けられる場合、前記ペーストは、プランジャを押すことによって送達チューブの遠位端部から送達され、分配され、または放出されてもよく、それによってペーストは最初にシリンジから送達チューブ内に移送され、送達チューブの遠位端部を通って送達チューブから放出される。
【0025】
アプリケータチューブは、好適には内視鏡および/または腹腔鏡による外科的処置に適用され、送達チューブは、トロカールの中空チューブまたはカニューレを介して体内に導入される。典型的には、トロカールは腹腔鏡手術の間に腹部を介して配置された後、以降の処置のためのポータルとして使用される。したがって、内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブは、好適には、トロカール内のアプリケータチューブの容易な操作および正確な配置に適合し、かつそれらを可能にする長さ、直径および剛性を有する。特に、アプリケータチューブは、近位端部を介したアプリケータチューブの遠位端部の操作を可能にする長さ、直径および剛性または硬度を有する必要があり、これは、トロカールポートに位置する使用者によるアクセスが可能である。
【0026】
本開示の一実施形態では、アプリケータチューブは、内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブである。さらなる実施形態では、アプリケータチューブは、トロカールに挿入するように適合されている。さらなる実施形態では、アプリケータチューブの長さは、20~150cm、より好ましくは25~80cm、例えば30~60cmである。さらなる実施形態では、アプリケータチューブは、内径が2~15mm、より好ましくは3~8mm、例えば4~6mmまたは3~5mmであるチューブを含む。さらなる実施形態では、アプリケータチューブは、容積が3~20ml、好ましくは4~10mlまたは5~10ml、例えば5mlであるチューブを含む。
【0027】
さらなる実施形態では、アプリケータチューブは、適切な規格EN10002、例えば金属剛性/引張弾性率の規格としてのEN10002-1(ISO 6892-1)、および/またはプラスチック、ポリマー、複合材料の引張弾性率の規格としてのISO 527-1/-2、ISO 527-4、ISO 527-5、ASTM D 638、および/またはプラスチック、ポリマー、複合材料の曲げ弾性率の規格としてのISO 178/ASTM D 790に従う引張試験によって測定される0.5GPa、1.5GPaまたは2GPa以上の剛性を有するチューブを含む。より好ましくは、アプリケータチューブは、剛性が50GPaまたは60GPaを超えるチューブを含む。剛性が0.5または1.5GPaを超える材料の例には、プラスチック、金属、ポリマー、ガラス、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維、繊維強化材料などの複合材料、およびそれらの組合せが含まれる。本開示の一実施形態では、アプリケータチューブは、金属、プラスチック、ポリマー、ガラス、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維、繊維強化材料などの複合材料、およびそれらの組合せの群から選択される材料からなるチューブを含む。
【0028】
さらなる実施形態では、アプリケータチューブは、剛性が0.5GPa未満のチューブを含む。このような材料は、追加的または代替的に好ましい硬度を有する。剛性が0.5GPa未満の材料の例は、規格ISO868/ASTMD2240に従うショア硬度計の硬度Aおよび/または硬度Dを有する熱可塑性エラストマーである。
【0029】
人間工学的に取り扱うため、およびトロカール内でのアプリケータチューブの正確な操作および配置を容易にするために、好適には、アプリケータチューブは、送達チューブの近位端部に取り付けられたハンドルまたはグリップを備える。アプリケータチューブの小型性および堅牢性を改善するために、ハンドルは、好適には、シリンジがトランジション部に取付け可能であるように、送達チューブとシリンジとの間のトランジション部の形態である。
図1~
図2は、ハンドルとしてさらに機能してもよいトランジション部3を備えるアプリケータチューブの実施形態を示す。
【0030】
本開示の一実施形態では、アプリケータチューブは、送達チューブの近位端部に取り付けられたトランジション部を備え、好ましくは、トランジション部はハンドルとして適合される。
【0031】
シリンジの送達チューブへの容易な取付けを確実にし、かつペーストのシリンジから送達チューブへの容易で安全な移送をさらに確実にするために、シリンジおよび送達チューブは、好適には着脱可能に取付け可能である。着脱可能なアタッチメントの一例は、ルアーフィッティングまたはルアーロックであり、第1の構成要素の雄型テーパフィッティングは、第2の構成要素の雌型嵌合部に接続される。ルアーフィッティングは、2つの構成要素間に本質的に漏れのない接続を提供するという利点をさらに有する。したがってアプリケータチューブは、好適には、
図1~
図2に例示されるように、シリンジを取り付けるように適合された近位端部に配置された、シリンジを取り付けるためのルアーロック4を備える。例えばルアーロックは、送達チューブの近位端部またはトランジション部に配置されてもよい。ルアーロックは、ISO 80369-7に準拠してもよい。
【0032】
本開示の一実施形態では、アプリケータチューブはシリンジを取り付けるためのルアーロックを備える。さらなる実施形態では、送達チューブおよび/またはトランジション部は、シリンジを取り付けるためのルアーロックを備える。
【0033】
取付け可能なシリンジは、好適には、送達チューブに取り付けられる前にペーストで予め充填される。あるいは、空のシリンジが送達チューブに取り付けられてもよく、空のシリンジは、取り付けられた構成にある間に、プランジャを取り外すことによってカートリッジと同じ方法でペーストで充填されるようにさらに構成される。さらに代替的には、以下に説明するように、任意選択的に空気で予め充填された空のシリンジを送達チューブに取り付けて空気を排出してもよい。
【0034】
本開示の一実施形態では、アプリケータチューブは、ペーストで予め充填されたシリンジなどの予め充填されたシリンジを取り付けるように適合されている。別の実施形態では、アプリケータチューブは空のシリンジを取り付けるように適合されている。
【0035】
したがって、ペーストをシリンジから送達するための本開示のアプリケータチューブは、任意の種類のシリンジと共に使用されてもよい。シリンジの例には、単一チャンバシリンジ、およびデュアルチャンバシリンジなどの複数のチャンバを含むシリンジが含まれ、複数のチャンバの内容物は注入前に混合されてもよい。
【0036】
ペーストのアプリケータチューブからの送達を容易にするために、シリンジのプランジャは、ユーザの手または叩打を利用することによって押されることが可能なように適合されている。適度な手の圧力を加えることでペーストの送達を確実にするために、アプリケータチューブまたは送達チューブは、ペーストを放出する遠位端部において十分に大きな内径を有するように適合される。標的部位でのペーストの正確な送達をさらに容易にするために、アプリケータチューブまたは送達チューブは、好適には遠位端部において十分に小さい内径を有する。シリンジおよびアプリケータチューブからのペーストの容易かつ正確な送達は、カニューレを含むアプリケータチューブまたは送達チューブによって得てもよい。さらに好適には、送達チューブはカニューレであり、「カニューレ」という用語は、体内に挿入することができるチューブを意味する。例えばカニューレは、流体にカニューレ全体を通過させるために突起/角度のある開放端で終わるチューブであってもよい。
【0037】
本開示の一実施形態では、送達チューブは、カニューレを含むかまたはカニューレである。
【0038】
成形可能な遠位部分
容易な操作、ならびにペーストの正確かつ柔軟な送達を確実にするために、アプリケータチューブは、好適には成形可能な部分を含む。任意選択的に、アプリケータチューブ全体が成形可能である。好適には、成形可能な部分は、送達チューブの成形可能な遠位先端などの、チューブの少なくとも遠位部分である。したがって、成形可能な部分を曲げるために典型的には手で変形力を加えることによって、チューブを所望の形状または構成に形成するかまたは成形してもよい。次いで、チューブは、チューブを異なる構成に形成するためにさらなる変形力が加えられるまでその構成を保持する。
【0039】
成形可能な部分を、国際公開第2011/047753号に記載されているように、可鍛性部材を含む成形可能な部分によって得てもよい。可鍛性部材は、変形後に構成を維持するように構成された適切な材料で作られる。例えば可鍛性部材は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金を含む金属であってもよく、ワイヤまたはメッシュの形状であってもよく、それにより、好ましくは手曲げによって所望の形状に形成/変形されてもよい。可鍛性部材は、アプリケータチューブまたは送達チューブに組み込まれ、例えば可鍛性部材は、アプリケータチューブの管腔内に受け入れられてもよく、それによって成形可能な部分を形成する。ワイヤ管腔またはメッシュ管腔の形態の可鍛性部材を組み込むことができる管腔の例を
図10に示す。送達チューブは、ペーストを放出するための第1の管腔7を備え、周囲の第2の管腔8の少なくとも1つは可鍛性部材を受け入れてもよい。例えば可鍛性ワイヤは、
図10Cに示すように、送達チューブ壁内の管腔内に位置してもよく、または送達チューブ壁の外側または内側に配置された管腔内に配置されてもよい(
図10D~
図10G)。同様に、可鍛性メッシュは、
図10の任意の管腔内に位置してもよい可鍛性シリンダに圧延されてもよい。あるいは、可鍛性メッシュは、
図10Gに示すように送達チューブの開口部と同心の管腔内に位置してもよい。
【0040】
本開示の一実施形態では、アプリケータチューブは、所望の構成に成形されるように構成された成形可能な遠位部分を含む。さらなる実施形態では、成形可能な遠位部分は、変形後に構成を維持するように構成された可鍛性部材を含み、前記可鍛性部材は、任意選択的に可鍛性ワイヤまたは可鍛性メッシュである。さらなる実施形態では、可鍛性部材は、送達チューブ壁の内側、外側または内部に位置する。
【0041】
アプリケータチューブを空にすること
アプリケータチューブがシリンジからペーストを送達すると、送達チューブの全長を含むアプリケータチューブは、残りのペーストまたは残留ペーストで充填される。残留ペーストを利用するために、例えば残留ペーストを第1の標的部位または第2の標的部位に適用するために、アプリケータチューブを空にしなければならない。本開示によれば、アプリケータチューブ、特に送達チューブは、空気圧などのガス圧によって空にされてもよい。本開示の実施形態を、任意の種類のガスまで拡張してもよいが、以下では空気に基づいて例示する。空にするという用語は、ペーストのアプリケータチューブからの除去または洗浄を意味する。より具体的には、空にするという用語は、残留ペースト、すなわちペーストをチューブから放出した後にチューブ内に残っているペーストの除去を意味する。
【0042】
代替的または追加的に、アプリケータチューブを空にして、アプリケータチューブの簡単で気軽で制御された再利用またはリサイクルを容易にしてもよい。使用後、残留ペーストは廃棄物として排出されかつ処分されてもよく、アプリケータチューブは異なるペーストで直ちに再使用されてもよい。
【0043】
残留ペーストを排出するために必要なガス圧/空気圧は、チューブの内部断面積、チューブの長さ、チューブの剛性、ペースト粘度、およびペーストとチューブ材料との湿潤特性などの要因に依存する。アプリケータチューブ、特に送達チューブを容易に空にするために、送達チューブは、好適には、生成された流れ、ひいては空にする工程を容易にする長さ、直径、剛性および他の材料特性を有する。
【0044】
本開示の一実施形態では、送達チューブの長さは、20~150cm、より好ましくは25~80cm、例えば30~60cmである。さらなる実施形態では、送達チューブの内径は、2~15mm、より好ましくは3~8mm、例えば4~6mmまたは3~5mmである。さらなる実施形態では、送達チューブは、容積が3~20ml、好ましくは4~10ml、例えば5mlであるチューブを含む。さらなる実施形態では、送達チューブは、規格EN10002、または金属剛性/引張弾性率の規格としてのEN10002-1(ISO 6892-1)、および/またはプラスチック、ポリマー、複合材料の引張弾性率の規格としてのISO 527-1/-2、ISO 527-4、ISO 527-5、ASTM D 638、および/またはプラスチック、ポリマーの曲げ弾性率の規格としてのISO 178/ASTM D 790に従う引張試験などの適切な基準によって測定される0.5GPa、1.5GPaまたは2GPa以上の剛性を有する。より好ましくは、送達チューブは50GPaまたは60GPaを超える剛性を有する。本開示の一実施形態では、送達チューブは、金属、プラスチック、ポリマー、ガラス、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維、繊維強化材料などの複合材料、およびそれらの組合せの群から選択される材料を含む。
【0045】
簡単かつ迅速に空にするために、アプリケータチューブは、好適には、シリンジによって生成された空気圧/ガス圧によって残留ペーストが送達チューブの遠位端部から除去されかつ排出されてもよいように構成される。例えばシリンジは、空気/ガスで予め充填されるか、または空気/ガスを溜めるために吸引され、次いで送達チューブの近位端部に取り付けられてもよい。シリンジに溜まったガス/空気を送達チューブに注入または圧出すると、生成された空気圧によって残留ペーストが送達チューブから排出される。
【0046】
手で操作されるシリンジによって生成された適度なガス圧/空気圧を使用することによってアプリケータチューブを空にすることは、送達チューブからのペーストの放出が正確に制御されてもよいという利点をさらに有する。好適には、シリンジのピストンを前進させる速度は、チューブからのペースト放出速度に対応する。したがって、標的部位への正確で制御されたペースト送達が達成されてもよい。
【0047】
既に取り付けられたシリンジによってガス圧/空気圧が生成される場合、より効率的な空にする手順を得ることができる。これは、シリンジをアプリケータチューブから取り外すことなくガス圧/空気圧が生成されることを意味する。したがって、ペーストを含むシリンジを取り外し、その後に気体/空気を含むシリンジを取り付けるステップが回避され、残留ペーストのより迅速かつ効率的な除去が達成される。アプリケータチューブに取り付けられたシリンジの使用によって空にすることは、本開示によるバルブシステムによって達成されてもよい。
【0048】
本開示の一実施形態では、アプリケータチューブを空にする方法は、
a)本開示によるアプリケータチューブを準備するステップと、
b)シリンジを送達チューブに取り付けるステップと、
c)シリンジ内にガスを吸引するステップと、
d)ガスをシリンジから送達チューブ内に圧出し、それによってアプリケータチューブを空にするステップと
を含む。
【0049】
工程の効率をさらに改善するために、取り付けられたシリンジはペーストを含むシリンジであってもよい。したがって、アプリケータチューブが所望の量のペーストをシリンジから送達した場合、シリンジを取り外すことなくガス/空気をシリンジ内に吸引し、続いて吸引したガス/空気を送達チューブ内に圧出することによって、残留ペーストが排出されて送達チューブが空にされる。
【0050】
好ましくは、シリンジに含まれるペーストの全量は、ガス/空気を吸引する前に排出されてもよい。したがって、好ましくは、最初に残留ペーストをシリンジから送達チューブ内に圧出し、次いでシリンジを取り外すことなくガス/空気をシリンジ内に吸引することによって、残留ペーストが排出されてアプリケータチューブが空にされる。次いで、ペーストが入っていないシリンジ内に吸引されたガス/空気は、アプリケータチューブ、特に送達チューブ内に圧出される。
【0051】
本開示の一実施形態では、(b)で取り付けられたシリンジはペーストを含み、方法は、(c)でガス/空気を吸引する前に、ペーストの少なくとも一部をシリンジから送達チューブ内に圧出するステップをさらに含む。
【0052】
したがって、ステップ(c)で周囲から吸引されるガス/空気の量は、シリンジの大きさによって制限される。したがって、シリンジによって生成されるガス圧/空気圧は、シリンジの大きさおよびプランジャを押す力によって決定される。簡単かつ効率的な空にすることを容易にするために、ステップ(c)で周囲から吸引されるガス/空気の量は、好ましくは4~100ml、より好ましくは5~20ml、例えば10~15mlまたは5~10mlである。
【0053】
本開示の一実施形態では、アプリケータチューブは、4~100mL、より好ましくは5~20ml、例えば10~15mlまたは5~10mlの量のガス/空気を周囲から吸引するように適合されている。
【0054】
ステップ(c)および(d)を繰り返すことによって、追加の量のガス/空気が周囲から吸引されてもよい。例えば、ステップは、少なくとも2回、3回、4回、5回または6回繰り返されてもよい。
【0055】
本開示の一実施形態では、ステップ(c)および(d)が繰り返される。
【0056】
図5は、本開示によるアプリケータチューブを空にするための工程の一実施形態を示しており、プランジャの動きは矢印で示されている。
図5Aは、ペースト、例えばゼラチンペーストなどのペーストがシリンジが空になるまで排出される第1のステップを示す。
図5Bは第2のステップを示しており、シリンジのプランジャは、依然としてアプリケータチューブに取り付けられている間に引き戻されるかまたは吸引されて、シリンジをガス/空気で充填する。
図5Cは第3のステップを示しており、ガス/空気の吸引された体積がアプリケータチューブ内に空気圧/ガス圧を生成するようにプランジャが注入され、ゼラチンペーストが排出されてアプリケータが空にされる。
【0057】
図7は、例えば気腹された胃などの気腹された身体部分または体腔12内に配置された本開示によるアプリケータチューブの一実施形態を示す。気腹された身体部分は、送達チューブの遠位端部が気腹された身体部分内に位置するように、トロカール13を介してアクセスされ、ペーストを含むシリンジは送達チューブの近位端部に取り付けられる。ペーストをシリンジから排出した後、シリンジプランジャを後退させてもよく、シリンジまたはアプリケータを取り外すことなく周囲からのガス11をシリンジ内に吸引してもよい。これは以下にさらに説明するバルブシステムを介して達成され、ガスは、
図7Aに示すように近位チューブの周囲から吸引されるか、または
図7Bに示すように遠位チューブの周囲から、すなわち気腹ガスの形態で吸引されてもよい。
【0058】
本開示の一実施形態では、ガスは周囲からの大気である。本開示の別の実施形態では、ガスは、空気、CO2、亜酸化窒素(N2O)、ヘリウム(He)およびそれらの組合せの群から選択される気腹ガスである。
【0059】
バルブシステム
図3は、送達チューブ2の近位端部に取り付けられた、本開示によるバルブシステム5の一実施形態を示す。
【0060】
小型で堅牢なアプリケータチューブの場合、バルブシステムは、好適にはトランジション部またはハンドル3に組み込まれ、バルブシステムは、好適には、
図3に示すように例えばルアーロック4を介してシリンジに取り付けるようにさらに構成される。しかし、部品の数を減らすために、当業者は、バルブシステムが送達チューブの近位端部に直接取り付けられてもよいことを理解するであろう。
【0061】
本開示の一実施形態では、バルブシステムは、トランジション部、および/または送達チューブの近位端部に組み込まれている。
【0062】
バルブシステムは、2つの構成、すなわち、周囲からのガス/空気の吸引を可能にする第1の構成と、吸引されたガス/空気の送達チューブ内への圧出を可能にする第2の構成とを有するように構成される。これは、アプリケータチューブが、取り付けられたシリンジの吸引および排出が行われると、ある量の吸引されたガス/空気を送達チューブ内に輸送するように構成されることを意味する。
【0063】
当業者は、このような制御された流体の流れが、1つまたは複数のバルブを備えるバルブシステムの使用によって得られてもよく、バルブは、流路を開閉する、および/または部分的に閉塞することによって流体(すなわち、気体、液体および流動化した固体、例えばペーストおよびスラリー)の流れを調整、誘導または制御する装置として定義されることを知っている。したがって、バルブの一例は、流体通路内の突起などの流れ制限要素を含み、流体圧が閾値を下回る場合、突起は流体通路を遮断し、流体圧が閾値を上回る場合、流体は突起を避けて流れる。流れ制限要素を含むバルブは「制限バルブ」とも呼ばれる。
【0064】
バルブは、特定の流体の流れを調整するか、誘導するか、または制御するようにさらに適合されてもよい。例えばバルブは、ペーストの流れを調整するように適合されてもよく、その一方で、気相の流れはバルブによって影響されない。特定の流体の流れを調整するように適合されたバルブの例は制限バルブであり、制限要素の寸法は、両方向のガスの流れを可能にするが、一方向の特定の粘度のペーストの流れのみを可能にするように構成される。したがって制限バルブは、ガスの流れのための二方向バルブ、およびペーストの流れのための一方向バルブであるように適合されてもよい。例えば制限バルブは、シリンジから分配チューブ内へのペーストの流れを可能にしてもよいが、ペーストは反対方向の制限部を通過することができない。
【0065】
バルブはさらに、一方向バルブまたは逆止バルブであってもよく、これは、バルブが流体を一方向にのみ流すことを可能にすることを意味する。したがって、一方向バルブは「開」位置および「閉」位置の2つの位置を有し、バルブは、開位置では一方向の流体通路を提供し、閉位置では流体通路を提供しない。一方向バルブの開閉は、磁力、重力および/または流体圧に応じて動作してもよい。例えば一方向バルブは、流体圧が所定の閾値を超えたことに応じて開いてもよい。バルブは、調整された制御可能な流れ方向を有するように適合されることによって、一方向バルブとしてさらに動作してもよい。
【0066】
本開示の一実施形態では、バルブシステムは、
図3に示すように少なくとも2つのバルブ5.1および5.2を備える。第1のバルブは、制御可能な流れ方向を有するように適合された一方向バルブまたはバルブであり、第2のバルブもまた、制御可能な流れ方向を有するように適合された一方向バルブまたはバルブである。例えば、
図3に例示されるように、第1のバルブおよび第2のバルブの両方が一方向バルブであってもよい。あるいは、第2のバルブは、
図4に例示されるように、制御可能な流れ方向を有するように適合されたバルブであってもよく、第2のバルブは流れ制限要素の形態である。
【0067】
図3は、2つの一方向バルブ5.1および5.2を備えるバルブシステムの一実施形態を示す。バルブシステムは、2つの構成、すなわち、
図3の左側に実線矢印および点線矢印で示すように、周囲6から第1の一方向バルブ5.1および第2の管腔8を通って空気を吸引することを可能にする第1の構成と、
図3の右側に実線矢印および点線矢印で示すように、吸引された空気を第2の一方向バルブ5.2および第1の管腔7を通って送達チューブ2内に圧出することを可能にする第2の構成とを有する。
【0068】
例えば
図3に示すルアーロックにおいて、送達チューブの近位端部に取り付けられたシリンジは、取付け位置にある間に吸引されてもよく、それによってガス/空気が周囲から第1の一方向バルブを通って吸引され、さらにシリンジ内に移送され、そこでバレル内に溜まってもよい。バルブシステムにより、周囲と取り付けられたシリンジとの間でのみ流体連通が確立され、吸引されたガス/空気は送達チューブを迂回する。溜まったガス/空気はその後、プランジャを押すことによって排出されてもよく、バルブシステムにより、ある量の吸引されたガス/空気は、第2の一方向バルブを通って送達チューブ内にのみ流れる。したがって、アプリケータチューブは、取り付けられたシリンジの吸引および排出が行われると、ある量の吸引されたガス/空気を送達チューブ内に輸送するように構成される。実施例1は、低粘度ペーストを含むシリンジと共に使用するように構成されたアプリケータチューブの実施形態をさらに説明する。
【0069】
図4は、流れ制限要素または制限バルブの形態の第1の一方向バルブ5.1および第2のバルブ5.2を備えるバルブシステムの一実施形態を示す。
図3と同様に、バルブシステムは、2つの構成、すなわち、
図4の左側に実線矢印および点線矢印で示すように、周囲6から第1の一方向バルブ5.1および第2の管腔8を通ってガス/空気を吸引することを可能にする第1の構成と、
図4の右側に実線矢印および点線矢印で示すように、吸引されたガス/空気を第2のバルブ5.2および第1の管腔7を通って送達チューブ2内に圧出することを可能にする第2の構成とを有する。
【0070】
例えば
図4に示すルアーロックにおいて、送達チューブの近位端部に取り付けられたシリンジは、取付け位置にある間に吸引されてもよく、それによってガス/空気が周囲から第1の一方向バルブを通って吸引され、さらにシリンジ内に移送され、そこでバレル内に溜まってもよい。バルブシステムにより、本質的に周囲と取り付けられたシリンジとの間でのみ流体連通が確立され、吸引されたガス/空気は送達チューブを迂回する。また、制限要素の寸法および送達チューブの内容物に応じて、送達チューブと取り付けられたシリンジとの間に制限された流体連通が確立されてもよい。特に、制限要素が送達チューブの断面積を20~90%減少させ、および/または送達チューブが高粘度の残留ペーストを含む場合、残留ペーストの吸引が防止される。溜まったガス/空気はその後、プランジャを押すことによって排出されてもよく、バルブシステムのために、ある量の吸引されたガス/空気は、第2のバルブを通って送達チューブ内にのみ流れる。したがって、アプリケータチューブは、取り付けられたシリンジの吸引および排出が行われる場と、ある量の吸引されたガス/空を送達チューブ内に輸送するように構成される。実施例2は、高粘度ペーストを含むシリンジと共に使用するように構成されたアプリケータチューブの実施形態をさらに説明する。
【0071】
2つの構成、すなわち、第2の管腔を介して周囲からのガス/空気の吸引を可能にする第1の構成、および第1の管腔を介して送達チューブ内への吸引されたガス/空気の圧出を可能にする第2の構成を有するように構成されたバルブシステムは、
図9に示すように、ダックビル/アンブレラ複合バルブなどの2バルブ機能複合バルブによってそれに応じて得ることができる。
【0072】
複合バルブは、
図9Bに見られるように、少なくとも1つの変形可能なフラップ、例えば2つの回転可能なフラップを有する内側ダックビルバルブ5.2を備え、フラップは、
図9Bの左側に見られるように、無圧/低圧にさらされた場合に第1の管腔7内に封止接続を形成し、フラップは、
図9Bの右側に見られるように、特定の閾値圧にさらされた場合に封止部および管腔に開口部を形成するように分離される。したがって、内側ダックビルバルブは、
図9Bの右側の矢印で示すように嘴部の方向の流れのための一方向バルブとして機能する。複合バルブは、変形可能なフラップを備える外側アンブレラバルブ5.1をさらに備え、この変形可能なフラップは、
図9Cの左側に見られるように、例えば無圧/低圧にさらされた場合に、表面に向かって第2の管腔8内に封止接続を形成してもよく、特定の閾値を超える圧力にさらされた場合に、変形可能なフラップは、
図9Cの右に見られるように表面から分離して開口部を形成する。したがって、アンブレラバルブは、嘴部とは反対方向の流れの一方向バルブとしても機能する。
【0073】
したがって、例えば
図9Aに示すルアーロックにおいて、送達チューブの近位端部に取り付けられたシリンジは、取付け位置にある間に吸引されてもよく、それによってガス/空気が周囲からアンブレラバルブを通って吸引され、さらにシリンジ内に移送され、そこでバレル内に溜まってもよい。バルブシステムにより、周囲と取り付けられたシリンジとの間でのみ流体連通が確立され、吸引されたガス/空気は送達チューブを迂回する。溜まったガス/空気はその後、プランジャを押すことによって排出されてもよく、バルブシステムのために、ある量の吸引されたガス/空気は、ダックビルバルブを通って送達チューブ内にのみ流れる。したがって、アプリケータチューブは、取り付けられたシリンジの吸引および排出が行われると、ある量の吸引されたガス/空気を送達チューブ内に輸送するように構成される。実施例3は、低粘度ペーストを含むシリンジと共に使用するように構成されたアプリケータチューブの実施形態をさらに説明する。
【0074】
本開示の一実施形態では、バルブシステムは、少なくとも2つのバルブ、またはダックビル/アンブレラ複合バルブなどの2バルブ機能複合バルブを備える。さらなる実施形態では、バルブシステムは、少なくとも第1の一方向バルブおよび/または第1の制限バルブを備える。さらなる実施形態では、バルブシステムは少なくとも2つの一方向バルブを備える。さらなる実施形態では、バルブシステムは、送達チューブの断面積の20~90%、より好ましくは30~80%、最も好ましくは40~60%の断面積を有するバルブを備える。
【0075】
バルブシステムを送達チューブの近位端部に直接取り付ける代わりに、バルブシステムは、好適には、小型で堅牢なアプリケータチューブを得るためにトランジション部またはハンドルに組み込まれている。
図3~
図4はまた、バルブシステムが円形ハンドルとして成形されたトランジション部3に組み込まれている実施形態を示す。また、
図9Aに示すように、複合バルブは、トランジション部に統合されるなど、送達チューブの近位端部に組み込まれてもよい。
【0076】
管腔
上述したように、バルブシステムまたはトランジション部は、第1の管腔7および第2の管腔8を含んでもよく、第2の管腔は、第1のバルブ5.1を介して周囲からガスを吸引するように構成され、第1の管腔は、第2のバルブ5.2を介して、吸引されたガスを送達チューブを通して排出すると共にペースト10を放出するように構成される。
【0077】
より具体的には、
図3~
図4および
図9に示すように、バルブシステムまたはトランジション部は、第1の管腔および第2の管腔を備え、第1の管腔がペーストおよび吸引されたガスの標的部位への排出のために構成されるように、第1の管腔7は、第1の近位開口部および第1の遠位開口部を有し、第1の近位開口部は、シリンジへの取り付けに対応し、第1の遠位開口部は、送達チューブと流体連通する。第2の管腔8は第2の近位開口部および第2の遠位開口部を有し、第2の遠位開口部は、第2の管腔が、第2の遠位開口部での周囲からのガスの吸引のために構成されるように、周囲と流体連通する。任意選択的に、第1の近位開口部および第2の近位開口部は、シリンジへの取り付けに対応するように、
図3~
図4および
図9に示すものと同じである。
【0078】
本開示の一実施形態では、バルブシステムまたはトランジション部は、第1の近位開口部、および送達チューブと流体連通している第1の遠位開口部を有する第1の管腔と、第2の近位開口部、およびチューブの周囲と流体連通している第2の遠位開口部を有する少なくとも1つの第2の管腔とを含む。さらなる実施形態では、第1の近位開口部と第2の近位開口部は同一である。
【0079】
したがって、第2の遠位開口部は、ガスを周囲からシリンジ内に吸引するための入口点として機能する。第2の遠位開口部は、
図7Aに示すように、アプリケータチューブまたは送達チューブの近位端部内に位置してもよく、それによって、ガスは、結果として近位チューブの周囲から、すなわち操作者の大気付近から吸引される。第2の遠位開口部はまた、
図7Bに示すように、アプリケータチューブまたは送達チューブの遠位端部内に位置してもよい。その結果、ガスは、遠位チューブの周囲、例えば気腹された身体部分から吸引される。
【0080】
図3~
図4は、第2の遠位開口部が、トランジション部内などのアプリケータチューブの近位端部内に位置する実施形態を示す。これは、第2の管腔8の単純で小型の設計の利点を有し、例えば
図3~
図4に示すように、第2の管腔の延在部は短く、第1の管腔7に対して垂直に配向されてもよい。さらに、第2の管腔は、任意選択的に第2の遠位開口部に着脱可能に直接取り付けられたガス容器と流体連通してもよい。
【0081】
本開示の一実施形態では、第2の遠位開口部は、トランジション部内などの送達チューブの近位端部内に位置する。さらなる実施形態では、第2の管腔の延在部は、第1の管腔に対して垂直に延在するなど、第1の管腔の延在部からある角度で配向される。さらなる実施形態では、第2の遠位開口部はガス容器と流体連通している。
【0082】
あるいは、
図8に示すように、第2の遠位開口部はアプリケータチューブおよび送達チューブの遠位端部内に位置する。これは、アプリケータチューブを空にするために気腹ガスを使用してもよいという利点を有する。この場合、
図8Aおよび
図8Bに見られるように、吸引ガス11のための第2の管腔8は、ペースト10を標的部位に送達する第1の管腔7および送達チューブと平行に延在している。標的部位から血液または他の体液を吸引する危険性を低減するために、第2の遠位開口部は、好適には、遠位端部から15cm未満の距離など、送達チューブの遠位端部または遠位先端から一定の距離に位置する。
【0083】
本開示の一実施形態では、第2の管腔の延在部は第1の管腔の延在部と平行である。さらなる実施形態では、第2の遠位開口部は、送達チューブの遠位端部内に、任意には送達チューブの遠位端部から2cm、5cm、6cm、7cm、8cm、10cmまたは15cm未満の距離に位置する。
【0084】
さらに、体液を吸引する危険性、ならびに気腹ガスを吸引するのに必要な力は、第2の管腔および遠位開口部の大きさおよび形状に依存する。好適には、
図8Cに示す断面図に見られるように、第2の管腔の大きさは第1の管腔よりも小さい。例えば第2の管腔の断面の大きさは、
図8C、
図10Bおよび
図10Cに例示されるように、管腔が送達チューブ壁内に位置するように寸法決めされてもよい。あるいは、
図10D~
図10Fに例示されるように、第2の管腔は送達チューブ壁の内側または外側に位置してもよく、または
図10Gに例示されるように、第2の管腔は第1の管腔と同心であってもよい。
【0085】
本開示の一実施形態では、第2の管腔は、送達チューブ壁の内側、外側または内部に位置する。別の実施形態またはさらなる実施形態では、第2の管腔は第1の管腔と同心である。
【0086】
気腹ガスを吸引するのに必要な力をさらに低減し、かつ吸引効率を改善するために、アプリケータは、
図10A~
図10Fに示すように、好適には複数の第2の管腔を備える。例えばアプリケータは、
図10Aおよび
図10Cに例示されるような8つの第2の管腔、
図10Bに例示されるような6つの第2の管腔、または
図10D~
図10Fに例示されるような4つの第2の管腔を含んでもよい。
【0087】
本開示の一実施形態では、アプリケータチューブは、2個、4個、6個、8個または10個の第2の管腔などの複数の第2の管腔を含む。
【0088】
第2の管腔の各々について、第2の遠位開口部は、好適には、気腹ガスがチューブの長さに沿って複数の開口部で吸引されてもよいように、
図8Bに例示されるように、送達チューブの遠位端部/先端から異なる距離に位置する複数の開口部を含んでもよい。
図10Bはまた、チューブの外壁に見られるように、複数の開口部が送達チューブに沿って配置されている一実施形態を示す。追加的または代替的に、第2の管腔は、開口部が、
図10Bに例示されるように先端壁フランジにおいて、または
図10Aに例示されるように送達先端部から一定の距離において送達チューブ壁フランジに位置するように、送達チューブの遠位端部まで延在してもよい。
【0089】
本開示の一実施形態では、第2の遠位開口部は、送達チューブの外壁および/または送達チューブ壁フランジに位置する1つまたは複数の開口部を含む。
【0090】
図3~
図4および
図9は、トランジション部に組み込まれたバルブシステムの実施形態を示し、第1のバルブは第2の管腔内に配置され、第2のバルブは第1の管腔内に配置される。ガス/空気を効率的に吸引することを確実にし、ガス/空気が周囲へ出ることを制限するために、第2の管腔に配置された第1のバルブは、好適には一方向バルブである。
【0091】
本開示の一実施形態では、バルブシステムは少なくとも第1の一方向バルブを備える。さらなる実施形態では、第1の一方向バルブは第2の管腔に配置される。
【0092】
好適には、第2のバルブは、第1の管腔に配置された第2の一方向バルブである。あるいは、第2のバルブは断面積が縮小された部分を含む。例えば第2のバルブは、好適には第1の管腔の断面積を20~90%に制限する。
【0093】
本開示の一実施形態では、バルブシステムは第2の一方向バルブを備える。さらなる実施形態では、第2の一方向バルブは第1の管腔に配置される。
【0094】
本開示の別の実施形態では、第1の管腔は断面積が減少した部分を含む。さらなる実施形態では、第1の管腔は、管腔の断面積の20~90%、より好ましくは30~80%、最も好ましくは40~60%の、断面積が減少した部分を含む。
【0095】
図4からは、制限バルブの形態の第2のバルブ5.2は、長手方向の第1の管腔7または分配チューブに沿った任意の位置に配置されてもよいことになる。制限バルブは、好適には、ガスの流れのための二方向バルブ、およびペーストの流れのための一方向バルブであるように適合される。したがって、制限バルブは、シリンジから分配チューブ内へのペーストの流れを可能にするが、ペーストは反対方向の制限部を通過することができない。
【0096】
図6は、アプリケータチューブの一実施形態の斜視図を示す図であり、円で示されている強調部分は、シリンジへの取り付け、およびバルブシステム内のバルブの位置の実施形態をそれぞれ示している。空気の一方向バルブとして例示される第1のバルブ5.1の位置、およびペーストの一方向バルブとして例示される第2のバルブ5.2の位置が示されている。第2のバルブは、
図6に示すようにシリンジへの取付け部に隣接して配置されてもよい。
【0097】
部品一式
好適には、アプリケータチューブは、着脱可能に取付け可能な送達チューブおよびバルブシステムを備える。したがって、アプリケータチューブは、分散された状態または別個の部品として、小型で堅牢な方法で保管および輸送されてもよく、使用する前に、送達チューブおよびバルブシステムは、任意選択的にトランジション部の形態で、本開示によるアプリケータチューブに組み立てられてもよい。これに対応して、使用後に部品一式は分解されてもよく、部品は別々に廃棄および/またはリサイクルされてもよい。
【0098】
本開示の態様は、送達チューブとバルブシステムとを備える部品一式に関し、バルブシステムは、送達チューブの近位端部に着脱可能に取り付けられるように構成され、シリンジに取り付けるようにさらに構成され、バルブシステムは、周囲からの空気の吸引を可能にする第1の構成と、吸引された空気の送達チューブ内への圧出を可能にする第2の構成とを有する。
【0099】
本開示の一実施形態では、部品一式はバルブシステムに着脱可能に取り付けられた送達チューブを含み、任意選択的に、バルブシステムは本開示によるトランジション部の形態である。
【0100】
送達チューブとバルブシステムもしくはトランジション部との間の迅速で、容易で、確実な取付けおよび取外しを確実にするために、アタッチメントは、好適には、着脱可能な固定手段によって得られるか、またはロック機構によって着脱可能に取り付けられる。着脱可能な固定手段の例には、ねじ機構、クリックオン機構、スライドオン機構またはスナップフィット機構が含まれる。
【0101】
本開示の一実施形態では、部品一式は、ねじ式、クリックオン式もしくはスライドオン式ロック機構などのロック機構によって送達チューブに着脱可能に取り付けられるように構成されるバルブシステムを含む。
【0102】
ペースト
本開示のアプリケータチューブは、ペーストを排出してアプリケータチューブを空にするように構成され、かつ、ペースト、より具体的には医療用ペーストを分配するように構成される。これは、アプリケータチューブが、ペーストを高効率で排出するかまたは洗浄することを達成するように適合されていることを意味する。送達チューブ内に残っている残留医療用ペーストについては、例えば80%の効率など、50~95%の効率で排出または洗浄が達成されてもよい。例えば、5mlの残留ペーストを含む送達チューブについて、本開示によるアプリケータチューブおよび関連する方法を使用して、少なくとも4mlの残留ペーストが除去され、かつ排出されることが観察された。
【0103】
本開示のアプリケータチューブの効率は、ペーストの特性に依存する。驚くべきことに、本アプリケータチューブは医療用ペーストに特に効率的であることが分かった。「医療用ペースト」という用語は、生物活性剤を含むペーストを意味する。生物活性剤の例は、トロンビンである。
【0104】
「生物活性剤」は、インビボまたはインビトロで実証することができるいくつかの薬理学的な、しばしば有益な効果を提供する任意の作用物質、薬物、化合物、組成物または混合物として定義される。したがって、作用物質は、ヒトまたは動物の体内の細胞組織との相互作用またはこれに対する作用を有する場合、生物活性であると考えられる。本明細書で使用される場合、この用語は、個体において局所的または全身的な効果を生じる任意の生理学的または薬理学的に活性な物質をさらに含む。生物活性剤は、酵素などのタンパク質であってもよい。生物活性剤のさらなる例としては、限定されないが、オリゴ糖、多糖、任意にグリコシル化されたペプチド、任意にグリコシル化されたポリペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂質、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび二次代謝産物を含むかまたはそれらからなる作用物質が挙げられる。これは、ヒトまたは任意の他の動物などの個体の治療に関連して、予防的に、治療的に使用されてもよい。本明細書で使用される「生物活性剤」という用語は、真核細胞または原核細胞などの細胞を包含しない。
【0105】
本開示による「ペースト」は、練り歯磨きなどの展性のあるパテ状の稠度を有する。ペーストは、粉末形態の粉砕固体/固体と液体との濃厚な流体混合物である。ペーストは、十分に大きな負荷または応力が加えられるまで固体として挙動する物質であり、その時点で流体のように流れるので、すなわち、ペーストは流動性である。流動体は、適用時に不規則な表面に効率的に適合する。ペーストは、典型的にはバックグラウンド流体中の粒状材料の懸濁液からなる。個々の粒子は、砂地の砂のように一体に詰まっており、不規則なガラス状または非晶質の構造を形成し、ペーストにそれらの固体状の特徴を与える。ペーストにいくつかのそれらの最も珍しい特性を与えるのは、この「一体に詰まっている」ことである。これにより、ペーストは脆性物質の特性を示すようになる。ペーストはゲル/ゼリーではない。「スラリー」は、粉末化/粉砕された固体と水などの液体との流体混合物である。スラリーは、いくつかの点では濃厚な流体のように挙動し、重力下で流れ、濃厚すぎるとは言わないまでも圧送することができる。スラリーは、機能的には薄い水様性のペーストと見なされてもよいが、スラリーは一般にペーストよりも多くの水を含む。架橋ゼラチン粒子などの実質的に水不溶性の粉末粒子は、水性媒体と混合する際にペーストを形成する。
【0106】
「ゲル」は、軟弱から硬強の範囲に及ぶ特性を有することができる固体のゼリー状材料である。ゲルは、定常状態にある場合には流れを発現しない実質的に希薄な架橋系として定義される。重量によって、ゲルはほとんどが液体であるが、液体内の三次元架橋ネットワークのために固体のように挙動する。ゲルにその構造(硬度)を与え、粘着性(接着性)に寄与するのは、流体内の架橋である。このようにして、ゲルは、固体が連続相であり、かつ液体が不連続相である固体内の液体の分子の分散物である。ゲルはペーストまたはスラリーではない。例えば、非架橋ゼラチンは可溶性であり、水などの水性媒体と接触するとゲルを形成する。
【0107】
シリンジおよびアプリケータチューブから排出される医療用ペーストは、シリンジに適用可能な力を受けた場合に流動性でなければならない。したがって、「流動性ペースト」という用語は、シリンジに適用可能な力を受けた場合に、安定した流れを促進する粘度を有するペーストを意味する。流動性ペーストの例は、30℃および65~75%の相対湿度で測定した場合に500~3500Pa・sの粘度を有するペーストである。本開示の一実施形態では、ペーストは流動性である。
【0108】
流動性医療用ペーストなどの医療用ペーストを形成するには、生物活性剤をペーストまたはペースト形成材料と混合する必要がある。典型的には、生物活性剤は、活性剤の安定した貯蔵を容易にする粉末形態などの固体で乾燥状態で貯蔵され、生物活性剤を調整可能な比で希釈剤と混合することによって濃度が柔軟である。したがって、シリンジ注射によって投与される生物活性剤については、固体生物活性剤を最初に再構成しなければならない。したがって、医療用ペーストを形成するには、典型的には、固体生物活性剤を液体または希釈剤と混合して生物活性剤を再構成し、続いて再構成された生物活性剤を「ペースト前駆体」とも呼ばれるペースト形成材料と混合するステップが必要である。
【0109】
「ペースト形成材料」という用語は、再構成された生物活性剤などの液相からペーストを形成するための材料を意味する。したがって、ペースト形成材料は、ペーストを形成するための前駆体材料と呼ばれてもよい。
【0110】
再構成された生物活性剤は、生物活性剤を滅菌水または生理食塩水などの低粘度の液体と混合し、それによって均一な再構成を確実にすることによって得られる。したがって、再構成された生物活性剤は低粘度の液体である。ペーストは、本質的に粘度を増加させるペースト形成材料を添加することによって、再構成された生物活性剤から得ることができる。
【0111】
実施例
本発明を、以下に提供される実施例によってさらに説明する。
【0112】
実施例1:低粘度ペーストを含むアプリケータチューブ
図3に示すようなアプリケータチューブを使用し、アプリケータチューブは内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブであった。
10mlの低粘度ペーストを含むシリンジをアプリケータチューブに取り付けた。低粘度ペーストは、30℃で、相対湿度65~75%で測定した場合に500Pa・s付近の粘度に相当する流動性が特に高い医療用ペーストであった。
10mlの低粘度ペーストを送達チューブに圧出し、5mlを標的部位に送達した。送達チューブの内容積は5mlであり、したがって、5mlの低粘度ペーストが、送達後のペースト特性のために残留ペーストとしてチューブ内に存在した。
その後、空のシリンジを後退させることによって、周囲からの空気がシリンジ内に吸引された。吸引された空気の量は低粘度ペーストの量に対応し、すなわち、10mlの空気が吸引された。続いて、空気が送達チューブに導入され、送達チューブの遠位端部から約4mlの残留ペーストが発現した。
【0113】
実施例2:高粘度ペーストを含むアプリケータチューブ
図4に示すようなアプリケータチューブを使用し、アプリケータチューブは内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブであった。
10mlの高粘度ペーストを含むシリンジをアプリケータチューブに取り付けた。高粘度ペーストは、30℃で、相対湿度65~75%で測定した場合に3500Pa・s付近の粘度に相当する流動性が特に低い医療用ペーストであった。
10mlの高粘度ペーストを送達チューブに圧出し、5mlを標的部位に送達した。送達チューブの内容積は5mlであり、したがって、5mlの高粘度ペーストが、送達後のペースト特性のために残留ペーストとしてチューブ内に存在した。
その後、空のシリンジを後退させることによって、周囲からの空気がシリンジ内に吸引された。ペーストの流動性が低く粘度が高いため、ペーストはシリンジ内に吸引されなかった。吸引された空気の量は低粘度ペーストの量に対応し、すなわち、10mlの空気が吸引された。続いて、空気が送達チューブに導入され、送達チューブの遠位端部から約4mlの残留ペーストが発現した。
【0114】
実施例3:気腹された身体部分内で使用されるアプリケータチューブ
図9に示すダックビル/アンブレラ複合バルブが使用されたように、アプリケータチューブは複合バルブシステムを含み、アプリケータチューブは、気腹された身体部分内に挿入された内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブであった。
10mlの低粘度ペーストを含むシリンジをアプリケータチューブに取り付けた。低粘度ペーストは、30℃で、相対湿度65~75%で測定した場合に500Pa・s付近の粘度に相当する流動性が特に高い医療用ペーストであった。
10mlの低粘度ペーストを送達チューブに圧出し、5mlを標的部位に送達した。送達チューブの内容積は5mlであり、したがって、5mlの低粘度ペーストが、送達後のペースト特性のために残留ペーストとしてチューブ内に存在した。
その後、
図7Bに示すように、空のシリンジを後退させることによって、挿入された送達チューブの周囲からの気腹ガスがシリンジ内に吸引された。吸引されたガスの量は低粘度ペーストの量に対応し、すなわち、10mlの気腹ガスが吸引された。続いて、ガスが送達チューブに導入され、送達チューブの遠位端部から約4mlの残留ペーストが発現した。
【0115】
項目
本開示は、以下の項目を参照してさらに詳細に説明されてもよい。
【0116】
1.シリンジからペーストを送達するための内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブであって、
ペーストを送達するための遠位端部を含む送達チューブと、
送達チューブの近位端部に取り付けられており、かつシリンジに取り付けるように構成されたバルブシステムであって、取り付けられたシリンジの吸引および排出が行われると、アプリケータチューブが、ある量の吸引されたガスを送達チューブを通して輸送するように構成されるように、チューブの周囲からのガスの吸引を可能にする第1の構成と、吸引されたガスの送達チューブ内への圧出を可能にする第2の構成とを有する、バルブシステムと
を備える内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブ。
【0117】
2.シリンジからペーストを送達するためのアプリケータチューブであって、
ペーストを送達するための遠位端部を含む送達チューブと、
送達チューブの近位端部に取り付けられており、かつシリンジに取り付けるように構成されたバルブシステムであって、取り付けられたシリンジの吸引および排出が行われると、アプリケータチューブが、ある量の吸引されたガスを送達チューブを通して輸送するように構成されるように、チューブの周囲からのガスの吸引を可能にする第1の構成と、吸引されたガスの送達チューブ内への圧出を可能にする第2の構成とを有する、バルブシステムと
を備えるアプリケータチューブ。
【0118】
3.アプリケータチューブが内視鏡および/または腹腔鏡用アプリケータチューブである、項目2に記載のアプリケータチューブ。
【0119】
4.アプリケータチューブがトロカールに挿入されるように適合されている、項目1~3のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0120】
5.送達チューブの長さが、20~150cm、より好ましくは25~80cm、例えば30~60cmである、項目1~4のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0121】
6.送達チューブの内径が、2~15mm、より好ましくは3~8mm、例えば4~6mmまたは3~5mmである、項目1~5のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0122】
7.送達チューブの剛性が、0.5、1.5または2GPaを超え、より好ましくは50または60GPaを超える、項目1~6のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0123】
8.送達チューブの容積が、3~20ml、好ましくは4~10ml、例えば5mlである、項目1~7のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0124】
9.送達チューブが、金属、プラスチック、ポリマー、ガラス、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維、繊維強化材料などの複合材料、およびそれらの組合せの群から選択される材料を含む、項目1~8のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0125】
10.送達チューブの近位端部に取り付けられたトランジション部をさらに備え、好ましくは、トランジション部がハンドルとして適合される、項目1~9のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0126】
11.シリンジを取り付けるためのルアーロックをさらに備える、項目1~10のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0127】
12.送達チューブがカニューレを含むかまたはカニューレである、項目1~11のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0128】
13.所望の構成に成形されるように構成された成形可能な遠位部分を含む、項目1~12のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0129】
14.成形可能な遠位部分が、変形後に構成を維持するように構成された可鍛性部材を含み、前記可鍛性部材が、任意選択的に可鍛性ワイヤまたは可鍛性メッシュである、項目13に記載のアプリケータチューブ。
【0130】
15.可鍛性部材が、送達チューブ壁の内側、外側または内部に位置する、項目14に記載のアプリケータチューブ。
【0131】
16.バルブシステムが、少なくとも2つのバルブ、またはダックビル/アンブレラ複合バルブなどの2バルブ機能複合バルブを備える、項目1~15のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0132】
17.バルブシステムが、少なくとも第1の一方向バルブおよび/または第1の制限バルブを備える、項目16に記載のアプリケータチューブ。
【0133】
18.バルブシステムが少なくとも2つの一方向バルブを備える、項目16および17のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0134】
19.バルブシステムが、送達チューブの断面積の20~90%、より好ましくは30~80%、最も好ましくは40~60%の断面積を有する制限バルブを備える、項目16~18のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0135】
20.バルブシステムが、トランジション部および/または送達チューブの近位端部に組み込まれている、項目10~19のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0136】
21.バルブシステムまたはトランジション部が、第1の近位開口部、および送達チューブと流体連通している第1の遠位開口部を有する第1の管腔と、第2の近位開口部、およびチューブの周囲と流体連通している第2の遠位開口部を有する少なくとも1つの第2の管腔とを含む、項目10~20のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0137】
22.第1の近位開口部と第2の近位開口部とが同一である、項目21に記載のアプリケータチューブ。
【0138】
23.第2の遠位開口部が、トランジション部内などの送達チューブの近位端部内に位置する、項目21および22のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0139】
24.第2の管腔の延在部が、第1の管腔に対して垂直に延在するなど、第1の管腔の延在部からある角度で配向される、項目23に記載のアプリケータチューブ。
【0140】
25.第2の遠位開口部がガス容器と流体連通している、項目23および24のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0141】
26.第2の遠位開口部が、送達チューブの遠位端部内に、任意には送達チューブの遠位端部から2cm、5cm、6cm、7cm、8cm、10cmまたは15cm未満の距離に位置する、項目21および22のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0142】
27.第2の遠位開口部が、送達チューブの外壁および/または送達チューブ壁フランジに位置する1つまたは複数の開口部を含む、項目26に記載のアプリケータチューブ。
【0143】
28.第2の管腔の延在部が第1の管腔の延在部と平行である、項目26および27のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0144】
29.第2の管腔が第1の管腔と同心である、項目26~28のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0145】
30.第2の管腔が、送達チューブ壁の内側、外側または内部に位置する、項目26~29のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0146】
31.2個、4個、6個、8個または10個の第2の管腔などの複数の第2の管腔を含む、項目21~30のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0147】
32.バルブシステムが少なくとも第1の一方向バルブを備え、好ましくは、第1の一方向バルブが第2の管腔内に配置される、項目21~31のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0148】
33.第1の管腔が、断面積が減少した部分を含む、項目21~32のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0149】
34.第1の管腔が、管腔の断面積の20~90%、より好ましくは30~80%、最も好ましくは40~60%の、断面積が減少した部分を含む、項目33に記載のアプリケータチューブ。
【0150】
35.バルブシステムが第2の一方向バルブを備える、項目1~34のいずれか一項に記載のアプリケータチューブ。
【0151】
36.第2の一方向バルブが第1の管腔に配置される、項目35に記載のアプリケータチューブ。
【0152】
37.アプリケータチューブを空にする方法であって、当該方法は、
a)項目1~36のいずれか一項に記載のアプリケータチューブを準備するステップと、
b)シリンジを送達チューブに取り付けるステップと、
c)シリンジ内にガスを吸引するステップと、
d)ガスをシリンジから送達チューブ内に圧出し、それによってアプリケータチューブを空にするステップと
を含む。
【0153】
38.(b)で取り付けられたシリンジがペーストを含み、(c)で空気を吸引する前に、ペーストの少なくとも一部をシリンジから送達チューブ内に圧出するステップをさらに含む、項目37に記載の方法。
【0154】
39.ガスが、空気、CO2、亜酸化窒素(N2O)、ヘリウム(He)およびそれらの組合せの群から選択される気腹ガスである、項目37および38のいずれか一項に記載の方法。
【0155】
40.部品一式であって、送達チューブとバルブシステムとを備え、バルブシステムは、送達チューブの近位端部に着脱可能に取り付けられるように構成され、シリンジに取り付けるようにさらに構成され、バルブシステムは、周囲からのガスの吸引を可能にする第1の構成と、吸引されたガスの送達チューブ内への圧出を可能にする第2の構成とを有する。
【0156】
41.バルブシステムが、ねじ式、クリックオン式もしくはスライドオン式ロック機構などのロック機構によって送達チューブに着脱可能に取り付けられるように構成される、項目40に記載の部品一式。
【0157】
引用文献
[1]US 2018 303531
【符号の説明】
【0158】
1 アプリケータチューブ
2 送達チューブ
2.1 近位端部
2.2 遠位端部
3 トランジション部/ハンドル
4 ルアーロック
5 バルブシステム
5.1 第1のバルブ
5.2 第2のバルブ
6 周囲
7 第1の管腔
8 第2の管腔
10 ペースト
11 ガス
12 気腹された身体部分
13 トロカール
【国際調査報告】