(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】3Dプリンタ及び積層体
(51)【国際特許分類】
B29C 64/129 20170101AFI20230215BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20230215BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230215BHJP
B29C 64/255 20170101ALI20230215BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230215BHJP
【FI】
B29C64/129
B32B27/30 D
B32B27/32 C
B29C64/255
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532571
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 US2020066252
(87)【国際公開番号】W WO2021127591
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522213649
【氏名又は名称】ヴィチ トランジション,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴットリーブ,アモス
【テーマコード(参考)】
4F100
4F213
【Fターム(参考)】
4F100AK08A
4F100AK17B
4F100AK17C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100EJ55
4F100EJ65C
4F100JA12B
4F100JD03A
4F100JD03B
4F100YY00A
4F100YY00B
4F213AA12
4F213AA16
4F213AA32
4F213AA44
4F213AJ09
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL06
4F213WL12
4F213WL29
4F213WL72
(57)【要約】
3Dプリンタ、及び3Dプリンタ中に使用するための新規ポリマー積層体。これらの新規積層体は、PMPポリマー、PPOポリマーなどで構成される第1の層と、非晶質フルオロポリマーで構成される第2の層とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の構成を有する物品を作製するための装置であって、前記構成が、互いに上にある又はその他の方法で隣接する異なる部分を含み、前記装置が、
(1)光重合性ポリマー組成物と、
(2)上面及び反対側の下面を有するウィンドウ、好ましくは平面状のウィンドウと、
(3)前記ウィンドウの前記上面上又はそれに隣接して前記ポリマー組成物を送出する手段と、
(4)前記ウィンドウの前記下面上に光のパターンを投影する手段であって、前記パターンが前記所望の構成の一部に対応し、前記ウィンドウが前記光に対して透明である手段と、
を含み、
それによって、前記装置の作動中、前記ポリマー組成物は、前記ウィンドウの前記上面上又はそれに隣接して光重合して、前記所望の構成の一部に対応する部分を形成し;
前記ウィンドウが、第1の層及び第2の層を含む酸素透過性の積層体であることと、
前記第1の層が、前述の規定のPMPポリマー、及び/又は前述の規定のPPOポリマー、及び/又は前述の規定のカーボンモレキュラーシーブ膜、及び/又はポリアセチレン、及び/又はパラ置換ポリスチレン、及び/又はポリノルボルネンを含む第1のポリマー組成物で構成されることと、
前記第2の層が、前述の規定の非晶質フルオロポリマーで構成されることと、
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1の層の少なくとも80重量%が、4-メチル-1-ペンテンから誘導される繰り返し単位を少なくとも80モル%含む第1のポリマーで構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記積層体の前記第2の層が、少なくとも1つの過フッ素化炭素原子を含むモノマーから誘導される単位を含む非晶質フルオロポリマーを含む第2のポリマー組成物で構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の層の間にプライマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の層の厚さが0.25~5ミルであり、前記第2の層の厚さが0.5~500μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の層の酸素透過率が少なくとも10バラーであり、前記第2の層の酸素透過率が少なくとも100バラーである、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記光の波長が370~450nm、例えば約385nm、約405nm、又は約420nmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
所望の構成を有する物品を作製するための装置であって、前記構成が、互いに上にある又はその他の方法で隣接する異なる部分を含み、前記装置が、
(1)光重合性ポリマー組成物、
(2)上面及び反対側の下面を有するウィンドウ、好ましくは平面状のウィンドウ、
(3)前記ウィンドウの前記上面上又はそれに隣接して前記ポリマー組成物を送出する手段、すべて又は
(4)前記ウィンドウの前記下面上に光のパターンを投影する手段であって、前記パターンが前記所望の構成の一部に対応し、前記ウィンドウが前記光に対して透明である手段、
を含み、それによって、前記装置の作動中、前記ポリマー組成物は、前記ウィンドウの前記上面上又はそれに隣接して光重合して、前記所望の構成の一部に対応する部分を形成し;
前記ウィンドウが、第1の層及び第2の層を含む酸素透過性積層体であり、前記第1の層が第1のポリマー組成物で構成され、前記第1のポリマー組成物が、1つのポリマー又は複数のポリマーの混合物であり、前記ポリマー、又は前記複数のポリマーの少なくとも1つが非エラストマー性ポリマーであり、少なくとも0℃のガラス転移温度を有することを特徴とする装置。
【請求項9】
第1の層及び第2の層を含む積層体であって、前記第1の層が、前述の規定のPMPポリマー及び/又は前述の規定のPPOポリマー、及び/又は前述の規定のカーボンモレキュラーシーブ膜、及び/又はポリアセチレン、及び/又はパラ置換ポリスチレン、及び/又はポリノルボルネンを含む第1のポリマー組成物で構成される、積層体。
【請求項10】
前記第1の層の少なくとも80重量%が、4-メチル-1-ペンテンから誘導される繰り返し単位を少なくとも80モル%含む第1のポリマーで構成される、請求項9に記載の積層体。
【請求項11】
前記積層体の前記第2の層が、少なくとも1つの過フッ素化炭素原子を含むモノマーから誘導される単位を含む非晶質フルオロポリマーを含む第2のポリマー組成物で構成される、請求項9又は10に記載の積層体。
【請求項12】
前記第1及び第2の層の間にプライマーを含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項13】
前記第1の層の厚さが0.25~15ミルであり、前記第2の層の厚さが0.5~500μmである、請求項9~12のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項14】
前記第1の層の酸素透過率が少なくとも10バラーであり、前記第2の層の酸素透過率が少なくとも100バラーである、請求項9~13のいずれか一項に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、3Dプリンタ、及び3Dプリンタ中に使用するためのポリマー積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
幾つかの種類の3Dプリンタでは、所望の透過率特性を有するフィルム又はシートが利用される。幾つかの種類の3Dプリンタ、例えばCLIPプリンタ(CLIPは、連続液体界面製造(Continuous Liquid Interface Production)又は連続液体界面印刷(Continuous Liquid Interface Printing)の略語である)、DLPプリンタ(デジタル光プロジェクタ又はデジタル光プロセッサに基づく3Dプリンタ)、DLVプリンタ(デジタルライトバルブに基づく3Dプリンタ)、及び幾つかのSLA3Dプリンタは、酸素透過性のフィルム又はシートを使用する必要がある。幾つかの別の種類の3Dプリンタでは、必ずしも必要ではないが酸素透過性であってよいフィルム又はシートの使用が有益又は必要となりうる。幾つかの3Dプリンタの説明のためには、米国特許第9,200,678号、米国特許第9,211,678号、米国特許第9,636,873号、米国特許第9,486,964号、及び米国特許第10,016,938号(あらゆる目的でそれらの内容全体が参照により本明細書に援用される)、並びにhttps://www.tth.com/carbon-clipを参照することができる。本発明の積層体は、3Dプリンタに特に有用であるが、別の方法でも有用となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の簡単な説明
第1の態様では、本発明は、所望の構成を有する物品を作製するための装置であって、構成が、互いに上にある又はその他の方法で隣接する異なる部分を含み、装置が、
(1)光重合性ポリマー組成物と、
(2)上面及び反対側の下面を有するウィンドウ、好ましくは平面状のウィンドウと、
(3)ウィンドウの上面上又はそれに隣接してポリマー組成物を送出する手段と、
(4)ウィンドウの下面上に光のパターンを投影する手段であって、パターンが所望の構成の一部に対応し、ウィンドウが光に対して透明である手段と、
を含み、それによって、装置の作動中、ポリマー組成物は、ウィンドウの上面上又はそれに隣接して光重合して、所望の構成の一部に対応する部分を形成し;
ウィンドウが、第1の層及び第2の層を含む酸素透過性の積層体であることと、
第1の層が、前述の規定のPMPポリマー、及び/又は後述の規定のPPOポリマー、及び/又は後述の規定のカーボンモレキュラーシーブ膜、及び/又はポリアセチレン、及び/又はパラ置換ポリスチレン、及び/又はポリノルボルネンを含む第1のポリマー組成物で構成されることと、
第2の層が、後述の規定の非晶質フルオロポリマーで構成されることと、
を特徴とする装置を提供する。
【0004】
第2の態様では、本発明は、所望の構成を有する物品を作製するための装置であって、構成が、互いに上にある又はその他の方法で隣接する異なる部分を含み、装置が、
(1)光重合性ポリマー組成物、
(2)上面及び反対側の下面を有するウィンドウ、好ましくは平面状のウィンドウ、
(3)ウィンドウの上面上又はそれに隣接してポリマー組成物を送出する手段、すべて又は
(4)ウィンドウの下面上に光のパターンを投影する手段であって、パターンが所望の構成の一部に対応し、ウィンドウが光に対して透明である手段、
を含み、それによって、装置の作動中、ポリマー組成物は、ウィンドウの上面上又はそれに隣接して光重合して、所望の構成の一部に対応する部分を形成し;
ウィンドウが、第1の層及び第2の層を含む酸素透過性積層体であり、第1の層が第1のポリマー組成物で構成され、第1のポリマー組成物が、1つのポリマー又は複数のポリマーの混合物であり、ポリマー、又は複数のポリマーの少なくとも1つが非エラストマー性ポリマーであり、少なくとも0℃のガラス転移温度を有することを特徴とする装置を提供する。
【0005】
第3の態様では、本発明は、前述の装置に有用であり、第1の層及び第2の層を含む積層体であって、第1の層が、後述の規定のPMPポリマー及び/又は後述の規定のPPOポリマー、及び/又は後述の規定のカーボンモレキュラーシーブ膜、及び/又はポリアセチレン、及び/又はパラ置換ポリスチレン、及び/又はポリノルボルネンを含む第1のポリマー組成物で構成される、積層体を提供する。
【0006】
本発明の積層体は、好ましくは、
(1)光を透過し、第1のポリマー組成物で構成される第1の層であって、第1のポリマー組成物が、1つのポリマー又は複数のポリマーの混合物であり、ポリマー、又は複数のポリマーの少なくとも1つが、好ましくは非エラストマー性ポリマーであり、好ましくは少なくとも0℃のガラス転移温度を有し、例えば後述の規定のPMPポリマーである、第1の層と、
(2)光を透過し、第1の層に接着し、第2のポリマー組成物で構成される第2の層であって、第2のポリマー組成物が、1つのポリマー又は複数のポリマーの混合物であり、ポリマー、又は複数のポリマーの少なくとも1つが、後述の規定のフルオロポリマーである、第2の層と、
を含む。
【0007】
第1の層(第1のポリマー組成物を含む)は、好ましくは少なくとも10バラー(Barrer)の酸素透過率を有する。第2の層(フルオロポリマーを含む)は、好ましくは少なくとも100バラーの酸素透過率を有する。
【0008】
幾つかの実施形態では、第1及び第2の層の間にあり、2つの層の互いの接着を促進するプライマーの薄層が存在する。プライマー層が存在する場合、これは非常に薄い(例えば80nm未満)ので、その酸素透過率は重要ではない。
【0009】
さらなる態様では、本発明は、本発明の第3の態様による積層体の製造方法を提供する。一実施形態では、この方法は、
(1)第1のポリマー組成物(例えば後述の規定のPMPポリマーであってよい)のあらかじめ形成されたフィルムである第1のフィルムを提供するステップと、
(2)第1のフィルムの表面に対して活性化ステップを行うステップであって、活性化ステップが、例えば、あらかじめ形成されたフィルムの表面に対してコロナ放電及び/又はプラズマエッチング処理を行うこと、及び/又はあらかじめ形成されたフィルムの表面にプライマーを塗布することを含むステップと、
(3)あらかじめ形成されたフィルムの表面上に、第2のポリマー組成物(後述の規定のフルオロポリマーを含む)を含む液体組成物の層を設けるステップと、
(4)第2のポリマー組成物を含む液体組成物の層を硬化させるステップと、
を含む。
【0010】
本発明の第3の態様による積層体の別の製造方法は、発明の詳細な説明において後述される。
【0011】
図面の簡単な説明
本発明は、概略的であり縮尺通りではない添付の図面において例示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】DLP3Dプリンタの代表的な概略図である。
【
図2】本発明の代表的な積層体の概略断面図である。
【
図4】本発明の積層体の作成方法の1つにおけるステップを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
前述の発明の概要、後述の発明の詳細な説明、実施例、及びクレーム、並びに添付の図面において、本発明の特定の特徴が参照される。これらの特徴は、例えば、構成要素、成分、要素、デバイス、装置、システム、群、範囲、方法ステップ、試験結果、及びプログラム命令などの命令であってよい。
【0014】
本明細書中の本発明の開示が、このような特定の特徴のあらゆる可能な組み合わせを含むことを理解すべきである。例えば、特定の特徴が、本発明の特定の態様若しくは実施形態、又は特定のクレーム、又は特定の図の状況で開示される場合、その状況がその可能性を排除する場合を除けば、その特徴は、別の特定の態様、実施形態、クレーム、及び図との組み合わせ及び又はそれらの状況において用いることもでき、全体的に本発明において用いることもできる。
【0015】
本明細書において開示される本発明、及びクレームは、本明細書に特に記載されない実施形態を含み、例えば、本明細書に特に記載されないが、本明細書に特に開示される特徴と同一、同等、又は類似の機能が得られる特徴を利用することができる。
【0016】
「含む」という用語及びその文法的に同等のものは、明確に特定される特徴に加えて、別の特徴が場合により存在することを意味するために本明細書において用いられる。例えば、構成要素A、B、及びCを「含む」(又は「含むところの」)組成物又はデバイスは、構成要素A、B、及びCのみを含むことができ、又は構成要素A、B、及びCだけではなく、1つ以上の別の構成要素も含むことができる。
【0017】
「から本質的になる」という用語及びその文法的に同等のものは、明確に特定される特徴に加えて、請求される発明を実質的に変えることがない別の特徴が存在できることを意味するために本明細書において用いられる。
【0018】
ある数の前にある「少なくとも」という用語は、その数で始まるある範囲(規定される変数によって、上限を有する範囲又は上限を有しない範囲であってよい)の開始を意味するために本明細書において用いられる。例えば、「少なくとも1」は1又は1を超えることを意味し、「少なくとも80%」は、80%又は80%を超えることを意味する。
【0019】
「2つ以上の指定の構成要素の少なくとも1つ」という用語は、1つの指定の要素、又は2つ以上の指定の構成要素のあらゆる組み合わせを意味するために本明細書において用いられる。
【0020】
ある数の前にある「最大」という用語は、その数で終わるある範囲(規定される変数によって、その下限として1又は0を有する範囲、又は下限を有しない範囲であってよい)の開始を意味するために本明細書において用いられる。例えば、「最大4」は4又は4未満を意味し、「最大40%」は40%又は40%未満を意味する。「(第1の数)から(第2の数)」又は「(第1の数)~(第2の数)」としてある範囲が示される場合、これは下限が第1の数であり、上限が第2の数である範囲を意味する。例えば、「8から20個の炭素原子」又は「8~20個の炭素原子」は、下限が8個の炭素原子であり、上限が20個の炭素原子である範囲を意味する。「複数の」、「多数の」、「複数」、及び「多数」という用語は、2つ又は2つを超える特徴を意味するために本明細書において用いられる。
【0021】
本明細書において、規定された2つ以上のステップを含む方法に言及される場合、規定されたステップは、あらゆる順序で又は同時に行うことができ(状況がその可能性を排除する場合を除く)、この方法は、状況がその可能性を排除する場合を除いて、規定されたいずれかのステップの前、規定された2つのステップの間、又は規定されたすべてのステップの後に行われる1つ以上の別のステップを場合により含むことができる。
【0022】
本明細書において、「第1」及び「第2」の特徴に言及される場合、これは一般に識別の目的で行われ、状況が別のことを必要とするのでなければ、第1及び第2の特徴は、同じ場合も異なる場合もあり、第1の特徴への言及が、必ずしも第2の特徴が存在することを意味しない(しかし存在する場合もある)。
【0023】
本明細書において、「1つの(a又はan)」の特徴に言及される場合、これは2つ以上のそのような特徴が存在する可能性を含んでいる(状況がその可能性を排除する場合を除く)。したがって、1つのそのような特徴又は複数のそのような特徴が存在しうる。本明細書において、2つ以上の特徴に言及される場合、これは、状況がその可能性を排除する場合を除いて、2つ以上の特徴が、同じ機能が得られるより少ない数又はより多い数の特徴で置き換えられる可能性を含んでいる。
【0024】
本明細書に示される数は、それらの状況及び表現に適切な許容範囲を有すると解釈すべきであり、例えば、それぞれの数は、本明細書の出願日において当業者によって従来用いられる方法によって測定可能な精度によって決定されるばらつきが生じる。
【0025】
「及び/又は」という用語は、「及び/又は」の前後に記載される可能性の存在を意味するために本明細書において用いられる。これらの可能性は、例えば、構成要素、成分、要素、デバイス、装置、システム、群、範囲、及びステップ)であってよく、存在する。例えば、
(i)「項目A及び/又は項目B」は、3つの可能性、すなわち、(1)項目Aのみが存在する、(2)項目Bのみが存在する、及び(3)項目A及び項目Bの両方が存在する、を開示しており、
(ii)「項目A及び/又は項目B及び/又は項目C」は、7つの可能性、すなわち、(1)項目Aのみが存在する、(2)項目Bのみが存在する、(3)項目Cのみが存在する、(4)項目A及び項目Bの両方が存在するが、項目Cは存在しない、(5)項目A及び項目Cの両方が存在するが、項目Bは存在しない、(6)項目B及び項目Cの両方が存在するが、項目Aは存在しない、並びに(7)項目A、項目B、及び項目Cのすべてが存在する、を開示している。
【0026】
本明細書が、「2つ以上の指定の下位構成要素からなる群から選択される」構成要素に言及する場合、選択される構成要素は、指定の下位構成要素の1つ、又は指定の下位構成要素の2つ以上の組み合わせであってよい。
【0027】
本明細書のクレームにおけるいずれかの要素が、35 USC 112の規定の下で、それらを支持する構造、材料、又は行為のクレームにおいて記載されることなく特定の機能を実行する手段又はステップとして表現される組み合わせに関するクレームにおける要素であると見なされ、したがって、本明細書に記載の対応する構造、材料、又は行為、並びにそれらの均等物に及ぶと解釈される場合、問題の対応する構造、材料、又は行為は、本明細書に明確に記載される対応する構造、材料、又は行為、並びにそのような構造、材料、又は行為の均等物だけでなく、参照により本明細書に援用される米国特許文献に記載のそのような構造、材料、又は行為、並びにそのような構造、材料、又は行為の均等物をも含む。同様に、本明細書のクレームにおけるいずれかの要素が(「手段」という用語は明確には用いられないが)、それらを支持する構造、材料、又は行為のクレームにおいて記載されることなく特定の機能を実行する手段又はステップという用語と均等であると適切に解釈される場合、問題の対応する構造、材料、又は行為は、本明細書に明確に記載される対応する構造、材料、又は行為、並びにそのような構造、材料、又は行為の均等物だけでなく、参照により本明細書に援用される米国特許文献に記載のそのような構造、材料、又は行為、並びにそのような構造、材料、又は行為の均等物をも含む。
【0028】
本明細書には、本明細書に言及されるあらゆる文献、並びに本出願に関連して本明細書と同時に出願された又は先に出願されたすべての文献、例えば、限定するものではないが、本明細書により公衆の閲覧に開放されるそのような文献が参照により援用される。
【0029】
用語「フルオロポリマー」という用語は、少なくとも1つのフッ素化炭素原子、好ましくは少なくとも1つの過フッ素化炭素原子を含むモノマー、例えば、(i)過フッ素化エチレン性不飽和炭化水素であるモノマー、例えばテトラフルオロエチレン、及び/又は(ii)パーフルオロメチルビニルエーテル、及び/又は(iii)パーフルオロプロピルビニルエーテル、及び/又は(iv)パーフルオロプロピレン、及び/又は(v)パーフルオロ-1,3-ジオキソール部分を含むモノマーの1つ以上から誘導される単位を含む非晶質ポリマーを意味するために本明細書において用いられる。フルオロポリマーは、ホモポリマー、又はコポリマー(ターポリマーを含む)であってよい。使用可能なモノマーの例は、(i)パーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール(ii)パーフルオロ-1,3-ジオキソール、(iii)パーフルオロ-1,3-ジオキソラン、(iv)パーフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソール、(v)2,2,4-トリフルオロメチル-5-トリフルオロメトキシ-1.3-ジオキソール、(vi)パーフルオロ-2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン、(vii)パーフルオロ-2,2-ジアルキル-1,3-ジオキソール、(viii)2.2-ビス(トリフルオロメチル)-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソール、及び(ix)2.2-ビス(トリフルオロメチル)-4-フルオロ-5-トリフルオロメトキシ-1,3-ジオキソールである。フルオロポリマーは好ましくは、少なくとも1つのフッ素化炭素原子、好ましくは過フッ素化炭素原子をそれぞれが含む1つ以上のモノマーから誘導される単位を少なくとも80モルパーセント、例えば約100モルパーセント含む。これら及びその他のパーフルオロポリマーは、米国特許第4,399,264号、米国特許第4,935,477号、米国特許第5,286,283号、米国特許第5,498,682号、及び米国特許第5,008,508号に開示されており、それらの内容全体があらゆる目的で本明細書に援用される。
【0030】
市販のパーフルオロポリマーの例としては、Teflon AF 1100、Teflon AF 1300、Teflon AF 2400、Teflon AF 1600、Teflon AF 1601、及びHyflon ADの商品名で販売される製品が挙げられる。
【0031】
「PMPポリマー」という用語は、4-メチル-1-ペンテンから誘導される単位を含むポリマーを意味するために本明細書において用いられる。PMPポリマーは好ましくは、4-メチル-1-ペンテンから誘導される繰り返し単位を少なくとも80モルパーセント、例えば約100モルパーセント含む。PMPポリマーは、4-メチル-1-ペンテンと、官能性単位を含むモノマー、例えば積層体の第1及び第2の層の間の接着性、又は積層体がプライマーを含む場合のプライマーに対する接着性を改善する官能性単位を含むモノマーとのコポリマーであってよい。このようなコポリマーは、例えば、米国特許第7,524,913号(米国特許出願公開第2008 0021172号)に開示されており、その開示全体があらゆる目的で参照により本明細書に援用される。
【0032】
市販のPMPポリマーの例としては、MX 004、MX 0020、MX 002、R-18、及びDX 485の商品名で販売されるものが挙げられる。
【0033】
「PPOポリマー」という用語は、フェニル基が、1、2、又は3個のアルキル基、置換アルキル基、フェニル基、置換フェニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、又はアミノ基で置換される1つ以上の置換フェニレンオキシド(それらの混合物を含む)から誘導されるポリマー、例えばポリ(2,6-ジメチル-p-フェニレンオキシド)、並びに一方又は両方のメチル基が異なる基で置換される関連のポリマー、例えばそれぞれのメチル基がフェニル基で置換されるポリマーを意味するために本明細書において用いられる。
【0034】
「カーボンモレキュラーシーブ膜」という用語は、Xiao-Hau, Gas Separation Membranes, Adv Poly. Materials, 2018),に記載のCMSM材料を意味するために本明細書において用いられる。
【0035】
積層体の第1の層
積層体の第1の層は第1のポリマー組成物で構成され、第1のポリマー組成物は1つのポリマー又は複数のポリマーの混合物であり、ポリマー、又は複数のポリマーの少なくとも1つは、好ましくは非エラストマー性ポリマーであり、好ましくは少なくとも0℃のガラス転移温度を有する。一実施形態では、第1のポリマー組成物は、前述の規定のPMPポリマーを含む。この実施形態では、第1の組成物は、4-メチル-1-ペンテンのホモポリマー又はコポリマーから本質的になることができる。別の実施形態では、第1の層は、異なるポリマー組成物、例えば、Mylarなどのポリエステル、ポリ(2.6-ジフェニル-p-フェニレンオキシド)、Xiao-Hau, Gas Separation Membranes, Adv Poly. Materials, 2018に記載のようなCMSM、ポリアセチレン、パラ置換ポリスチレン、又はポリノルボルネン、例えばポリ(トリメチルシリルノルボルネン)で構成される。
【0036】
第1の層の厚さは、例えば0.25~15ミル、例えば0.25~10ミル、又は0.25~5ミル、又は0.75~2ミルであってよい。第1の層の酸素透過率は好ましくは少なくとも10バラーである。
【0037】
積層体の第2の層
積層体の第2の層は第2のポリマー組成物で構成され、第2のポリマー組成物は1つのポリマー又は複数のポリマーの混合物であり、ポリマー、又は複数のポリマーの少なくとも1つは、前述の規定のフルオロポリマーである。
【0038】
第2の層の厚さは、好ましくは0.5~500μm、例えば1~100μm、例えば5~25μmである。
【0039】
プライマーの層
積層体は場合により、第1及び第2の層の間にプライマーの層を含む。前述のように、積層体の好ましい作製方法は、第1のポリマー組成物のあらかじめ形成されたフィルムの表面上にプライマーの層を形成することを含む。プライマーの層は、連続である必要はないが、例えば、一連の線、長方形のパターン、又は規則的若しくは不規則なパターンの一連の液滴であってよい。
【0040】
プライマーは、好ましくは、第1及び第2の層の一方又は両方と相互作用可能な官能基を含む化合物である。したがって、プライマーは、フルオロポリマーを含む層への接着を促進するフッ素化部分、及び/又は積層体の別の層に接着する別の部分を含むことができる。プライマー化合物は、例えば1つ以上の官能基、例えばカルボン酸基を含むと規定されるフルオロポリマーであってよい。1つ以上の過フッ素化炭素原子のプライマー中の存在は、第2の(フルオロポリマー)層への接着を促進し、適切な官能基、例えば末端及び/又はペンダントカルボキシル基又はホスフェート基の存在は、例えばPMPポリマーを含むことができる第1の層への接着を促進する。適切なプライマーとしては、ジカルボキシ-(ポリパーフルオロ-2,3-ジメチレン-1-オキソラン)、末端及び/又はペンダントカルボン酸基又はホスフェート基を有するパーフルオロエチレンとパーフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールコポリマー、Fluorolink AD1700、Fluorolinkホスフェート、Fluorolink MD 700、及びアミド末端Fluorolinkが挙げられる。使用可能な別の溶媒としては、Fluorinert溶媒、SolvayのGalden流体(例えばGalden HT135)、及びRhone-PoulencのFlutec(例えばFlutec PP6)が挙げられる。
【0041】
プライマーは、後に完全に又はほぼ完全に除去される溶媒中の溶液として、第1のポリマー組成物(例えばPMPポリマーである)のあらかじめ形成されたフィルムに塗布することができ、これによって第1のフィルムの表面上にプライマー化合物の薄層を形成することができる。プライマーの層中に残存する溶媒の量は、プライマーの層の重量を基準として、好ましくは5%未満、特に2%未満である。プライマーは、フッ素化溶媒、例えばFluorinert又はNovack中の溶液として塗布することができ、この溶液は例えば0.5~5重量%のプライマーを含有する。プライマーの溶液は、あらゆる方法、例えば超音波スプレーノズル、又は手作業でぬぐうことによって塗布することができる。乾燥した層の厚さは、例えば約10nm~約5μmであってよい。
【0042】
積層体の透明性
多くの3Dプリンタは、樹脂が特定の波長の光に曝露されるときの樹脂の光重合に依拠している。現在使用される波長は、約385nm、約405nm、及び約420nmであるが、今後はおそらく別の波長も使用されるであろう。積層体は、樹脂の光重合にも値居られる波長に対して十分透明、好ましくは本質的に透明となるべきである。
【0043】
積層体の作製方法
本発明の第1の態様による積層体の好ましい作製方法の1つは前述している。その方法では、好ましくは、第1のポリマー組成物(例えばPMPポリマーを含む)で構成されるあらかじめ形成されたフィルムの活性化と、あらかじめ形成されたフィルムの活性化表面へのプライマー溶液の塗布との両方が用いられる。この活性化は、例えばフィルム表面に対するコロナエッチング及び/又はプラズマエッチングを含むことができる。プライマー溶液の塗布は、活性化の効果が依然として存在する間に行うべきである。次に、あらかじめ形成されたフィルムの表面に第2のポリマー組成物(フルオロポリマーを含む)の溶液をコーティングし、加熱して溶媒の大部分を除去して、フルオロポリマーを含む第2の組成物の硬質層を形成する。
【0044】
別の実施形態では、本発明の第1の態様による積層体は、(A)第1又は第2のポリマー組成物を含むあらかじめ形成されたフィルムを提供するステップと;(B)あらかじめ形成されたフィルムの表面を活性化させる、及び/又はあらかじめ形成されたフィルムの表面にプライマー組成物を塗布するステップと;(C)組成が、ステップ(A)におけるあらかじめ形成されたフィルム中のポリマー組成物とは異なる、第1又は第2のポリマー組成物を含むフィルムを、あらかじめ形成されたフィルムの表面上に提供するステップとによって作製される。ステップ(C)における「フィルムを提供する」という用語は、2つの可能性を含み、すなわち、(i))組成が、ステップ(A)におけるあらかじめ形成されたフィルム中のポリマー組成物とは異なるポリマー組成物のあらかじめ形成されたフィルムを、ステップ(B)において用いられるあらかじめ形成されたフィルムの表面に取り付けること、又は(ii)ステップ(A)で得られるフィルムにポリマー組成物を含む溶液を塗布し、(iii)ステップ(Ciii)で得られた液体組成物を固化させることを含む。
【0045】
別の一実施形態では、
(A)第1及び第2のポリマー組成物の一方で構成される、例えばPMPポリマーを場合により含む第1のポリマー組成物で構成されるあらかじめ形成されたフィルムのロールを、ウェブコーティング装置に搭載するステップと;
(B)あらかじめ形成されたフィルムの一方の表面に対して活性化ステップを行う、及び/又はあらかじめ形成されたフィルムの一方の表面にプライマーの溶液をコーティングして、続いて乾燥させるステップと;
(C)ステップ(B)のあらかじめ形成されたフィルムの表面に、組成が、あらかじめ形成されたフィルムのポリマー組成物とは異なり、例えばフルオロポリマーを含む第2のポリマー組成物である、第1又は第2のいずれかのポリマー組成物を含む溶液を塗布し、溶液を乾燥させるステップと、
(D)乾燥ポリマー組成物の所望の厚さが実現されるまで、連続コーティングステーションにおいてステップ(C)を繰り返すステップと、
を含む方法によって、積層体が作製される。
【0046】
別の一実施形態では、積層体は、2つ以上のポリマー組成物の同時押出が可能な押出ラインを用いて作製される。第1及び第2のポリマー組成物のそれぞれのための別個のホッパー及び押出バレルが存在する。第1及び第2のポリマー組成物のそれぞれは、そのホッパー中に投入され、第1のポリマー組成物からなる1つの層と、第2のポリマー組成物からなる第2の層とを有する積層体が押し出される。
【0047】
以下の実施例によって本発明を説明する。
【実施例】
【0048】
実施例1
ポリ(4-メチル-1ペンテン)の1ミルのフィルム[Air-Tech, Huntington Californiaより入手可能]に対してコロナエッチング処理[Electro-Tech, Chicago, Illinoisより入手可能なModel BD-20を使用]を行い、次に超音波噴霧器[Sono-Tech, , Milton, New Yorkより入手可能]を用いてFluorinert FC-40中のジカルボキシ-(ポリパーフルオロ-2,3-ジメチレン-1-オキソラン)の1%溶液の形態のプライマーの薄層をスプレーコーティングした。このオキソラン溶液を、PMPフィルムの表面全体に均一に広げ、最初は室温、次に150℃で15分間乾燥させた。PMPフィルムのプライマー処理した表面に、Fluorinert FC-40中のTeflon AF 2400の溶液をコーティングした。得られた生成物を最初に80℃で硬化させ、最終的に減圧下で高温において硬化させた。得られたフィルム中の層は手で分離することができなかった。オキソランプライマーの乾燥した層の酸素透過率は10バラー以下であった。
【0049】
実施例2
Model BD-20コロナエッチング装置]Electro-Tech, Chicago, ILを用いて、厚さ50μmのPMPのフィルム]Mitsui Chemical]を処理した。超音波噴霧器[Sono-tek, Milton, New York]を2.3の出力レベル及び1.0ml/分の流量で用いて、Fluorinert FC-40中のジカルボキシ-(ポリパーフルオロ-2,3-ジメチレン-1-オキソラン)の1%溶液を室温で塗布した。プライマーがコーティングされたPMPフィルムを最初に風乾し、次に、150℃で15分間高温乾燥させた。プライマー処理したPMPフィルムに、Teflon AF2400の4.41%溶液をコーティングし、最初に80で乾燥させ、次に0.060mmHgの減圧下180℃で乾燥させた。得られたフィルム中の層は手で分離することができなかった。非接触薄膜測定装置[Filmetrics, Sunnyvale, California]を用いて、積層体の厚さを測定すると、Teflon AF2400層の厚さは25μmであり、PMP層の厚さは50μmであることが示された。
【0050】
実施例3
PMPの2ミルのフィルム[MX 002, Honeywell]に対してコロナエッチングを行い、次に、末端カルボン酸基を有するパーフルオロエチレンとパーフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマー[Chemours, Wilmington, Delaware]であるプライマーの薄層をスプレーコーティングする。このプライマーの酸素透過率は10バラーを超え、典型的には50バラーを超える。スプレーコーティングした層を乾燥させ、次にこのフィルムにFC-40中のTeflon AF 1600の6%溶液をコーティングする。生成物を最初に80℃で硬化させ、次にTeflon AF 1600のガラス転移温度で減圧下で硬化させる。これは、10バラー以上の酸素透過率を有するプライマーの使用の一例である。
【0051】
実施例4
DX 485 PMPの2.5ミルのフィルム[Specialty Extruders, Royersford, Pennsylvania]に対してコロナエッチングを行い、次に、末端ホスフェート基を有するパーフルオロエチレンとパーフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソールとのコポリマーの1%溶液の薄層をスプレーコーティングする。スプレーコーティングした層を乾燥させ、スプレーコーティングしたフィルムにFC-43中のTeflon AF 2400の4.4%溶液をコーティングする。生成物を最初に80℃で硬化させ、次に減圧下で高温において硬化させる。
【0052】
実施例5
DX 485 PMPの5ミルのフィルム[Westlake Plastics, Lenni, Pennsylvania]に対してコロナエッチングを行い、次に、SF60[Chemours, Wilmington, Delaware]の1%溶液の薄層をスプレーコーティングする。スプレーコーティングした層を乾燥させ、スプレーコーティングしたフィルムにFC-40中のTeflonAF2400の4.4%溶液をコーティングする。生成物を最初に80℃で硬化させ、次に減圧下で100℃において硬化させる。
【0053】
実施例6
DX 485 PMPの2ミルのフィルム[Specialty Extruders, Royersford, Pennsylvania]に対してプラズマエッチングを行い、次に1%溶液のEVE-P[Chemours, Wilmington, Delaware]をスプレーコーティングする。スプレーコーティングした層を乾燥させ、スプレーコーティングしたフィルムにFC-43中のTeflon AF 2400の4.4%溶液をコーティングする。生成物を最初に80℃で硬化させ、次に減圧下で180℃において硬化させる。
【0054】
実施例7
B9 Core 550 3Dプリンタ[B9 Creations, Rapid City South Dakota]を用いて、標準的なB9 Creations試験片の3D印刷を行う。従来の、Teflon AF 2400ウィンドウを取り外し、実施例2で作製したウィンドウと交換する。バットに樹脂を満たし、標準試験片の試料を同じ速度で試験する。
【0055】
実施例8
実施例2に記載のように作製した積層体を、異なる3Dプリンタのトレイ中に搭載する。ある回数の3D印刷を行うと、モノリスのTeflon AF 2400フィルムを用いて行った3D印刷と、実施例2により作製した積層体を用いて行った3D印刷との間で明らかな差はないことが確認された。モノリスのTeflon AF 2400フィルムを用いた場合と、実施例2により作製した積層体を用いた場合とで、プリンタ速度、解像度、及び引張力は同じであった。
【0056】
本発明に関するさらなる情報は以下の通りである。
本発明は、一部の3Dプリンタにおける、幾つかの種類の3Dプリンタのトレイ又は造形エリア(造形プレート又は造形アセンブリとも呼ばれる)に使用される光透過性で酸素透過性の材料に対する必要性に対処する。本発明は、一部の3Dプリンタにおける、非粘着性の利点を有し、酸素が透過性の場合も透過性でない場合もある3Dプリンタのトレイ又は造形エリアに使用される光透過性材料に対する要望にも対処する。本発明の好ましい積層体は、1つの層が非晶質フルオロポリマーからなり、第2の層が0℃以上のガラス転移温度を有する非エラストマー性材料である材料からなる少なくとも2つの層を含む。これらの材料の使用によって性能を向上させることができる3Dプリンタの種類の例としては、DLP(デジタル光プロジェクタ又はデジタル光プロセッサに基づく3Dプリンタ)、DLV(デジタルライトバルブに基づく3Dプリンタ)、CLIP3Dプリンタ、SLA3Dプリンタ、及びその他の3Dプリンタが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
幾つかの3Dプリンタは、光源に基づいて作動し、光源から放出される光は、透明の造形領域(造形プレート又は造形アセンブリとも呼ばれる)、通常は、部品を形成する樹脂を保持するトレイの透明領域を通過し、上記光によって、放出される光のパターンにより樹脂の化学重合が開始する。典型的には、部品が形成されるときに、造形領域から垂直方向に離れて移動する移動ステージ(キャリア)が存在する。透明造形領域が、パーフルオロポリマーなどの非粘着性表面を有する場合、部品の造形領域に対する接着性が大幅に低下するであろう。さらに、透明の造形領域が酸素透過性であると、一部の樹脂では、造形される部品と造形領域との間の狭い領域中の重合は停止するであろう。この場合、造形される部品と造形領域とは決して接触せず、3D部品と造形領域との間で接着は生じない。例えば、米国特許第9,636,873号、米国特許第10,016,938号、及び米国特許第9,211,678号が参照され、それぞれの内容全体があらゆる目的で参照により本明細書に援用される。米国特許第9,636,873号に記載されるように、この方法は以下の通りである:
「3次元物体の形成方法は、(a)キャリア及び造形プレートを提供することであって、造形プレートが半透性部材を含み、半透性部材が造形面を含み、造形面とキャリアによってそれらの間に造形領域が画定され、造形面は半透性部材によって重合防止剤の供給源と流体接続することと;(b)造形領域に重合性液体を充填することであって、重合性液体が造形面に接触することと、(c)造形プレートを通して造形領域に照射して、造形領域中に固体重合領域を形成しながら、固体重合領域と及び造形面との間に形成される重合性液体で構成される液膜剥離層を形成又は維持することであって、液膜の重合は重合防止剤によって阻害されることと;(d)重合領域が接着したキャリアを造形プレート上の造形面から離れるように移動させて、重合領域造と造形面との間の次の造形領域を形成し、同時にステップ(b)のように重合性液体を次の造形領域に充填することと、によって行われる。
【0058】
以下の言明によって、本発明のさらなる詳細が示される。
【0059】
言明1A。所望の構成を有する物品を作製するための装置であって、構成が、互いに上にある又はその他の方法で隣接する異なる部分を含み、装置が、
(1)光重合性ポリマー組成物と、
(2)上面及び反対側の下面を有するウィンドウ、好ましくは平面状のウィンドウと、
(3)ウィンドウの上面上又はそれに隣接してポリマー組成物を送出する手段と、
(4)ウィンドウの下面上に光のパターンを投影する手段であって、パターンが所望の構成の一部に対応し、ウィンドウが光に対して透明である手段と、
を含み、
それによって、装置の作動中、ポリマー組成物は、ウィンドウの上面上又はそれに隣接して光重合して、所望の構成の一部に対応する部分を形成し;
ウィンドウが、第1の層及び第2の層を含む酸素透過性の積層体であることと、
第1の層が、前述の規定のPMPポリマー、及び/又は前述の規定のPPOポリマー、及び/又は前述の規定のカーボンモレキュラーシーブ膜、及び/又はポリアセチレン、及び/又はパラ置換ポリスチレン、及び/又はポリノルボルネンを含む第1のポリマー組成物で構成されることと、
第2の層が、前述の規定の非晶質フルオロポリマーで構成されることと、
を特徴とする装置。
【0060】
言明1B。第1の層の少なくとも80重量%、好ましくは実質的に100重量%が、4-メチル-1-ペンテンから誘導される繰り返し単位を少なくとも80モル%含む第1のポリマーで構成される、言明1Aによる装置。
【0061】
言明1C。第1のポリマーが、4-メチル-1-ペンテンから誘導される単位を実質的に100モル%含む、言明1Bによる装置。
【0062】
言明1D。積層体の第2の層が、少なくとも1つの過フッ素化炭素原子を含むモノマーから誘導される単位を含む非晶質フルオロポリマーを含む第2のポリマー組成物で構成される、言明1A~1Cのいずれか1つによる装置。
【0063】
言明1E。モノマーが過フッ素化エチレン性不飽和炭化水素を含む、言明1Dによる装置。
【0064】
言明1F。モノマーが、(i)テトラフルオロエチレン、及び/又は(ii)パーフルオロメチルビニルエーテル、及び/又は(iii)パーフルオロ-1,3-ジオキソール部分を含むモノマーである、言明1Eによる装置。
【0065】
言明1G。モノマーが、(i)パーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール、及び/又は(ii)パーフルオロ-1,3-ジオキソール、及び/又は(iii)パーフルオロ-1,3-ジオキソラン、及び/又は(iv)パーフルオロ-2,2-ビス-メチル-1,3-ジオキソール、及び/又は(v)2,2,4-トリフルオロメチル-5-トリフルオロメトキシ-1.3-ジオキソール、及び/又は(vi)パーフルオロ-2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン、及び/又は(vii)パーフルオロ-2,2-ジアルキル-1,3-ジオキソール、及び/又は(viii)2.2-ビス(トリフルオロメチル)-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソール、及び/又は(ix)2.2-ビス(トリフルオロメチル)-4-フルオロ-5-トリフルオロメトキシ-1,3-ジオキソールを含む、言明1Eによる装置。フルオロポリマーは、好ましくは、それぞれが少なくとも1つのフッ素化炭素原子、好ましくは過フッ素化炭素原子を含む1つ以上のモノマーから誘導される単位を少なくとも80モルパーセント、例えば約100モルパーセント含む。
【0066】
言明1H。第1及び第2の層の間にプライマーを含む、言明1A~1Gのいずれかによる装置。
【0067】
言明1I。装置の作動中全体にわたって、積層体の寸法が変化しないままであり、積層体の層が互いに固定されたままである、言明1A~1Hのいずれかによる装置。
【0068】
言明1J。積層体の層を手で分離できない、言明1A~1Hのいずれかによる装置。
【0069】
言明1K。第1の層の厚さが0.25~15ミル、例えば0.75~10ミルである、言明1A~1Jのいずれかによる装置。
【0070】
言明1L。第2の層の厚さが0.5~500μm、例えば1~100μm、例えば5~25μmである、言明1A~1Kのいずれかによる装置。
【0071】
言明1M 第1の層の酸素透過率が少なくとも10バラーである、言明1A~1Lのいずれかによる装置。
【0072】
言明1N。第2の層の酸素透過率が少なくとも100バラーである、言明1A~1Mのいずれかによる装置。
【0073】
言明10。光の波長が370~450nm、例えば約385nm、約405nm、又は約420nmである、言明1A~1Nのいずれかによる装置。
【0074】
言明2A。所望の構成を有する物品を作製するための装置であって、構成が、互いに上にある又はその他の方法で隣接する異なる部分を含み、装置が、
(1)光重合性ポリマー組成物、
(2)上面及び反対側の下面を有するウィンドウ、好ましくは平面状のウィンドウ、
(3)ウィンドウの上面上又はそれに隣接してポリマー組成物を送出する手段、すべて又は
(4)ウィンドウの下面上に光のパターンを投影する手段であって、パターンが所望の構成の一部に対応し、ウィンドウが光に対して透明である手段、
を含み、それによって、装置の作動中、ポリマー組成物は、ウィンドウの上面上又はそれに隣接して光重合して、所望の構成の一部に対応する部分を形成し;
ウィンドウが、第1の層及び第2の層を含む酸素透過性積層体であり、第1の層が第1のポリマー組成物で構成され、第1のポリマー組成物が、1つのポリマー又は複数のポリマーの混合物であり、ポリマー、又は複数のポリマーの少なくとも1つが非エラストマー性ポリマーであり、少なくとも0℃のガラス転移温度を有することを特徴とする装置。
【0075】
言明2B。積層体が、言明1A~1Nのいずれかで規定されるものである、言明2Aによる装置。
【0076】
言明3A。第1の層及び第2の層を含む積層体であって、第1の層が、前述の規定のPMPポリマー、及び/又は前述の規定のPPOポリマー、及び/又は前述の規定のカーボンモレキュラーシーブ膜、及び/又はポリアセチレン、及び/又はパラ置換ポリスチレン、及び/又はポリノルボルネンを含む第1のポリマー組成物で構成される、積層体。
【0077】
言明3B。積層体が言明1A~1Nのいずれかで規定されるものである、言明3Aによる積層体。
【国際調査報告】