(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】酵素酸性αグルコシダーゼ(GAA)の結合タンパク質及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20230215BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20230215BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230215BHJP
C12Q 1/34 20060101ALI20230215BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230215BHJP
B01J 20/281 20060101ALI20230215BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20230215BHJP
C07K 1/22 20060101ALI20230215BHJP
C12N 9/24 20060101ALN20230215BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C07K14/00 ZNA
C07K19/00
C12Q1/34
C12N15/62 Z
B01J20/281 R
B01J20/281 X
G01N30/88 J
C07K1/22
C12N9/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533480
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2020086701
(87)【国際公開番号】W WO2021122943
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513311653
【氏名又は名称】ナフィゴ プロテインズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Navigo Proteins GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】フィードラー,エリック
(72)【発明者】
【氏名】カール,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ロッツェ,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ボッセ-ドゥエニッケ,エヴァ
【テーマコード(参考)】
4B050
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC07
4B050FF14C
4B050LL05
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ35
4B063QR16
4B063QS17
4H045AA10
4H045BA20
4H045BA41
4H045EA50
4H045EA60
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、タンパク質精製の分野に関し、特に酸性αグルコシダーゼ(GAA)に特異的に結合する新規なタンパク質に関する。本発明はさらに、GAAに特異的に結合する新規なタンパク質を含む融合タンパク質に関する。さらに、本発明は、本発明のGAA結合タンパク質を含むアフィニティーマトリックスに関する。本発明はまた、GAAのアフィニティー精製用のこれらのGAA結合タンパク質又はアフィニティーマトリックスの使用及び本発明のGAA結合タンパク質を用いるGAAのアフィニティー精製方法に関する。さらなる使用は、液体中のGAAの決定のための分析方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の酸性αグルコシダーゼ(GAA)結合ドメインを含むGAA結合タンパク質であって、少なくとも1つのドメインは、SEQ ID NO:1若しくはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列、又はSEQ ID NO:1若しくはSEQ ID NO:2に対して少なくとも95%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む、GAA結合タンパク質。
【請求項2】
前記GAA結合タンパク質は、GAAに対して200nM未満の結合親和性を有する、請求項1に記載のGAA結合タンパク質。
【請求項3】
前記GAA結合タンパク質は、互いに結合した2、3、4、5、又は6個のドメインを含む、請求項1に記載のGAA結合タンパク質。
【請求項4】
前記GAA結合タンパク質は、ホモ多量体である、請求項3に記載のGAA結合タンパク質。
【請求項5】
前記GAA結合タンパク質は、ヘテロ多量体である、請求項3に記載のGAA結合タンパク質。
【請求項6】
1つ又は複数のドメインは、直接又は1つ又は複数のペプチドリンカーにより互いに結合される、請求項3に記載のGAA結合タンパク質。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のGAA結合タンパク質を含む融合タンパク質。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載のGAA結合タンパク質、又は請求項7に記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
【請求項9】
GAAのアフィニティー精製に使用するための請求項1~6のいずれか一項に記載のGAA結合タンパク質、又は請求項7に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
アフィニティー精製マトリックスに対するカップリング用の1つ又は複数のカップリング部位をさらに含み、好ましくは前記GAA結合タンパク質は、アフィニティー精製マトリックスに対するカップリング用の1つ又は複数のシステイン残基を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のGAA結合タンパク質、又は請求項7に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載のタンパク質、又は請求項7に記載の融合タンパク質を含むアフィニティー精製マトリックス。
【請求項12】
GAAのアフィニティー精製用の請求項1~6、10のいずれか一項に記載のGAA結合タンパク質、若しくは請求項7に記載の融合タンパク質、又は請求項11に記載のアフィニティー精製マトリックスの使用。
【請求項13】
GAAのアフィニティー精製方法であって、前記方法は、(a)GAAを含有する液体を提供すること、(b)アフィニティー精製マトリックスに結合した請求項1~6、10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのGAA結合タンパク質、又は請求項7に記載の融合タンパク質を含む前記アフィニティー精製マトリックスを提供すること、(c)請求項1~6、10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのGAA結合タンパク質のGAAに対する結合を可能にする条件下で前記アフィニティー精製マトリックスを前記液体と接触させること、及び(d)前記GAAを前記アフィニティー精製マトリックスから溶出することを含む、方法。
【請求項14】
GAAの存在を判定する方法における、請求項1~6に記載のGAA結合タンパク質又は請求項7に記載の融合タンパク質の使用。
【請求項15】
液体サンプル中のGAAの存在を分析する方法であって、前記方法は、以下の、
(i)GAAを含有する液体を提供するステップ、
(ii)請求項1~6に記載のGAA結合タンパク質、又は請求項7に記載の融合タンパク質を提供するステップ、
(iii)請求項1に記載の少なくとも1つのGAA結合タンパク質又は請求項7に記載の融合タンパク質のGAAに対する結合を可能にする条件下で(i)の液体を請求項1~6に記載のGAA結合タンパク質と接触させるステップ、
(iv)GAAと請求項1~6に記載のGAA結合タンパク質又は請求項7に記載の融合タンパク質との複合体を分離するステップ、及び
(v)(i)の液体中の請求項1~6に記載のGAA結合タンパク質又は請求項7に記載の融合タンパク質の量を定量するステップを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質精製の分野に関し、特に酸性αグルコシダーゼ(GAA)に特異的に結合する新規なタンパク質に関する。本発明はさらに、GAAに特異的に結合する新規なタンパク質を含む融合タンパク質に関する。さらに、本発明は、本発明のGAA結合タンパク質を含むアフィニティーマトリックスに関する。本発明はまた、GAAのアフィニティー精製用のこれらのGAA結合タンパク質又はアフィニティーマトリックスの使用及び本発明のGAA結合タンパク質を用いるGAAのアフィニティー精製方法に関する。さらなる使用は、液体中のGAAの決定のための分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソソーム酵素GAA(GAA)は、グリコーゲンのグルコースへの分解に必須である。GAAに欠陥があると、リソソームにグリコーゲンが蓄積し、糖原病II(ポンペ病)として知られる筋細胞及び神経細胞の損傷につながる。この代謝疾患の治療は、GAAの置換である。したがって、この酵素の精製方法を提供することは必須である。効率的なGAAタンパク質精製を可能にする高度なツールに対して当該技術分野における継続しているニーズがある。
【0003】
本発明は、新規なGAA結合ポリペプチドを提供することによりこのニーズを満たす。これらの新規なGAA結合ポリペプチドは、医療用の高純度GAAを提供するためにアフィニティークロマトグラフィーにおいて正確な捕捉を可能とするので、GAAのアフィニティーリガンドとして特に有利である。
【0004】
上の概要は、必ずしも本発明によって解決される全ての問題を記載するわけではない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、特にこれらに限定されることなく、以下の1~15個の項目、
1.1つ又は複数の酸性αグルコシダーゼ(GAA)結合ドメインを含むGAA結合タンパク質であって、少なくとも1つのドメインは、SEQ ID NO:1若しくはSEQ ID NO:2若しくはSEQ ID NO:16若しくはSEQ ID NO:17若しくはSEQ ID NO:18のアミノ酸配列、又はこれらに対して少なくとも95%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む、GAA結合タンパク質。
2.このタンパク質は、GAAに対して200nM未満の結合親和性を有する(本明細書に記載される表面プラズモン共鳴法により決定した)、項目1に記載のGAA結合タンパク質。
3.このGAA結合タンパク質は、互いに結合した2、3、4、5、又は6個のドメインを含む、項目1に記載のGAA結合タンパク質。
4.このGAA結合タンパク質は、ホモ多量体である、項目3に記載のGAA結合タンパク質。
5.このGAA結合タンパク質は、ヘテロ多量体である、項目3に記載のGAA結合タンパク質。
6.1つ又は複数のドメインは、直接又は1つ若しくは複数のペプチドリンカーにより互いに結合される、項目3に記載のGAA結合タンパク質。
7.項目1~6のいずれか一項に記載のタンパク質を含む融合タンパク質。
8.項目1~6のいずれか一項に記載の結合タンパク質、又は項目7に記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
9.GAAのアフィニティー精製に使用するための項目1~6のいずれか一項に記載のGAA結合タンパク質、又は項目7に記載の融合タンパク質。
10.アフィニティー精製マトリックスに対するカップリング用の1つ又は複数のカップリング部位をさらに含み、好ましくはこのGAA結合タンパク質は、アフィニティー精製マトリックスに対するカップリング用の1つ又は複数のシステイン残基を含む、項目1~6のいずれか一項に記載のGAA結合タンパク質、又は項目7に記載の融合タンパク質。
11.項目1~6のいずれか一項に記載のタンパク質、又は項目7に記載の融合タンパク質を含むアフィニティー精製マトリックス。
12.GAAのアフィニティー精製用の項目1~6、10のいずれか一項に記載のGAA結合タンパク質、若しくは項目7に記載の融合タンパク質、又は項目11に記載のアフィニティー精製マトリックスの使用。
13.GAAのアフィニティー精製方法であって、この方法は、(a)GAAを含有する液体を提供すること、(b)アフィニティー精製マトリックスに結合した項目1~6、10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのGAA結合タンパク質、又は項目7に記載の融合タンパク質を含むこのアフィニティー精製マトリックスを提供すること、(c)項目1~6、10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのGAA結合タンパク質のGAAに対する結合を可能にする条件下でこのアフィニティー精製マトリックスをこの液体と接触させること、及び(d)このGAAをこのアフィニティー精製マトリックスから溶出することを含む、方法。
14.GAAの存在を判定する方法における、項目1~6に記載のGAA結合タンパク質又は項目7に記載の融合タンパク質の使用。
15.液体サンプル中のGAAの存在を分析する方法であって、この方法は、以下のステップ、
(i)GAAを含有する液体を提供するステップ、
(ii)項目1~6に記載のGAA結合タンパク質、又は項目7に記載の融合タンパク質を提供するステップ、
(iii)項目1に記載の少なくとも1つのGAA結合タンパク質又は項目7に記載の融合タンパク質のGAAに対する結合を可能にする条件下で(i)の液体を項目1~6に記載のGAA結合タンパク質と接触させるステップ、
(iv)GAAと項目1~6に記載のGAA結合タンパク質又は項目7に記載の融合タンパク質との複合体を分離するステップ、
(v)(i)の液体中の項目1~6に記載のGAA結合タンパク質の量を定量するステップを含む、
方法。
を提供する。
【0006】
本発明のこの要約は、限定しておらず、本発明の他の態様及び実施形態は、以下の説明、実施例及び図面から明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、GAA結合タンパク質のアミノ酸配列を示す。
【
図2】
図2は、Purolite Praesto 85エポキシ樹脂についてのサイクル試験を示す。
図2Aは、滞留時間6分で、Praesto 85エポキシ樹脂上でのSED ID NO:1(N-末端伸長を有する)についてのDBC10%を示す。結合容量は、19.5mg/mlだった。
図2Bは、Praesto 85樹脂にカップリングされ、2mg/ml GAAをロードしたGAA結合タンパク質(N-末端伸長を有するSEQ ID NO:1)のDBC及び腐食安定性を示す。50回ロード、溶出、及び0.1M NaOH再生サイクル後の残存容量は、少なくとも90%だった。DBC10%は、線上の目立つ点を打った箇所で測定した。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、GAAに対する結合親和性を有する新規なポリペプチドを提供する。本発明のポリペプチドは、タンパク質工学及び精製の分野におけるギャップを埋める高度で強力なツールである。特に、新規なポリペプチドは、GAAに対する結合親和性によってタンパク質精製に有利な効果をもたらす。したがって、本発明の新規なポリペプチドは、アフィニティークロマトグラフィーにおいてGAAの正確な捕捉が可能になるので、特に有利である。本発明のGAA結合タンパク質は、次に医療目的で用いられてよいGAA精製用の非常に効率的なツールを提供する。
【0009】
GAAに対する結合親和性は、SEQ ID NO:1若しくはSEQ ID NO:2若しくはSEQ ID NO:16若しくはSEQ ID NO:17若しくはSEQ ID NO:18を有するポリペプチド、又はSEQ ID NO:1若しくはSEQ ID NO:2若しくはSEQ ID NO:16若しくはSEQ ID NO:17若しくはSEQ ID NO:18に対して少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列によりもたらされる。
【0010】
本発明を以下により詳細に記載する前に、本明細書に記載の方法、プロトコル及び試薬は変化してよいので、本発明は、本明細書に記載の特定の方法、プロトコル及び試薬に限定されないと理解されるべきである。本明細書で用いられる用語は、特定の態様及び実施形態のみを記載する目的のためであり、本発明の範囲を制限することは意図されず、これは添付の特許請求の範囲によって表されるとも理解されるべきである。別段の定めがない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者の1人によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。これには、タンパク質工学及び精製の分野で働く当業者が含まれるが、アフィニティークロマトグラフィーなどの技術的応用、並びに治療及び診断において使用するための新規なGAA特異的結合分子を開発する分野で働く当業者も含まれる。
【0011】
好ましくは、本明細書で用いられる用語は、「A multilingual glossary of biotechnological terms:(IUPAC Recommendations)」,Leuenberger,H.G.W,Nagel,B.and Koelbl,H.eds.(1995),Helvetica Chimica Acta,CH-4010 Basel,Switzerland)に記載されるように定義される。
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて、文脈で別段の要求がない限り、これらは、単語「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などの変形は、述べられた整数若しくはステップ、又は整数若しくはステップの群を包含するが、任意の他の整数若しくはステップ、又は整数若しくはステップの群を除外しないことを意味すると理解されることとなる。用語「含む(comprise(s))」又は「含んでいる(comprising)」は、このような限定がいずれかの理由又はいずれかの程度必要であるならば、「から成る(consists of)」又は「から成っている(consisting of)」に対する限定を含むことができる。
【0013】
本明細書を通していくつかの文書(例えば、特許、特許出願、科学的出版物、製造業者の仕様書、使用説明書、GenBankアクセッション番号配列登録など)を引用してよい。本明細書では、本発明が先の発明によりこのような開示を前日付けにする資格を与えないという承認として解釈されるべきものはない。本明細書で引用される文書のいくつかは、「参照により援用される」ものであるとして特徴づけられてよい。このような援用された参照の定義又は教示と本明細書で列挙された定義又は教示との間に不一致がある場合には、本明細書の文言が優先する。
【0014】
本明細書で参照される全ての配列は、添付の配列表の全ての内容及び開示と共に、本明細書の開示内容の部分を形成する添付の配列表に開示される。
【0015】
本出願で用いられる重要な用語の一般的定義
用語「GAA結合タンパク質」又は「酸性αグルコシダーゼ結合ポリペプチド」又は「酸性αグルコシダーゼ結合タンパク質」又は「GAA結合ポリペプチド」は、酸性αグルコシダーゼ(GAA; Uniprot識別子P10253)と結合する能力があるタンパク質を説明するために本明細書で互換的に用いることができる。本明細書に記載される場合、「GAA結合タンパク質」とは、例えばSPR分析又は当業者にとって公知の他の適切な技術によって測定される、GAAとの検出可能な相互作用を行うタンパク質を指す。
【0016】
用語「結合親和性」及び「結合活性」を本明細書で互換的に用いてよく、これらは、本発明のポリペプチドが別のタンパク質、ペプチド、又はこれらの断片若しくはドメインと結合する能力を指す。結合親和性は典型的には、二分子相互作用の強さを評価し、等級つけるために用いられる平衡解離定数(KD)によって測定され、報告される。この結合親和性及び解離定数は、定量的に測定することができる。結合親和性を測定する方法は、当業者にとって周知であり、例えば以下の当該技術分野で確立した方法、表面プラズモン共鳴法(SPR)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、結合平衡除外分析(KinExA試験法)、バイオレイヤー干渉(BLI)、フローサイトメトリー、蛍光分光法技術、等温滴定熱量測定(ITC)、分析用超遠心システム、ラジオイムノアッセイ(RIA又はIRMA)、及び増強化学発光(ECL)から選択することができる。典型的には、解離定数KDは、20℃~30℃の範囲の温度で測定される。特に別段の指示がない限り、本明細書で列挙されるKD値は、25℃でSPRにより測定される。最も広く用いられるSPRに基づくシステムは、BIAcore ABにより製造されるBIAcoreである。本発明の各種実施形態において、GAAに対する結合親和性を、BIAcore SPRシステムにより測定してよい。各種実施形態において、分析物の濃度は1μMである。他の各種実施形態においては、分析物の濃度は10μMである。本発明の他の各種実施形態において、本発明のポリペプチドは、SPRによって測定された、GAAに対する結合親和性を有し、SPRアッセイにおける分析物の濃度は10μMであり、好ましくは、結合親和性は25℃で測定される。
【0017】
用語「融合タンパク質」とは、少なくとも第2のタンパク質に遺伝的に結合した少なくとも第1のタンパク質を含むタンパク質に関する。融合タンパク質は、本来別々のタンパク質用にコードした2個又はそれ以上の遺伝子を結合することにより作成される。したがって、融合タンパク質は、同一のタンパク質、又は単一の線状ポリペプチドとして発現する異なるタンパク質の多量体を含んでよい。
【0018】
本明細書で用いられる場合、用語「リンカー」とは、最も広い意味で、少なくとも2個の異なる分子を共有結合的に結合する分子を指す。
【0019】
用語「アミノ酸配列相同性」とは、2個又はそれ以上のタンパク質のアミノ酸配列の相同性(又は相違)の定量的比較を指す。参照ポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列相同性」は、必要な場合、最大パーセント配列相同性を果たすよう配列を整列し、ギャップを導入した後の、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である配列中のアミノ酸残基のパーセントとして規定される。配列相同性を決定するためには、質問タンパク質の配列を、例えばSEQ ID NO:1のポリペプチドなどの、参照タンパク質又はポリペプチドの配列と整列する。配列アラインメント方法は、当該技術分野において周知である。例えば、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列に対する任意のポリペプチドのアミノ酸配列相同性の程度を決定するために、好ましくは無料で入手可能なSIM Local類似性プログラム(Xiaoquin Huang and Webb Miller (1991),Advances in Applied Mathematics,vol.12:337-357)、を利用する。マルチプルアライメント解析については、好ましくはClustalWを用いる(Thompson et al.(1994)ucleic Acids Res.,22(22):4673-4680)。
【0020】
用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」とは、ペプチド結合により結合した2個又はそれ以上のアミノ酸の任意の鎖を指し、特定の長さの産物を指さない。したがって、「ペプチド」、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、又は2個又はそれ以上のアミノ酸の鎖を指すために用いられる任意の他の用語は、「ポリペプチド」の定義の中に含まれ、用語「ポリペプチド」をこれらの用語のいずれかの代わりに、又はこれらの用語と互換的に用いてよい。用語「ポリペプチド」はまた、当該技術分野で周知である、グリコシル化などの、ポリペプチドの翻訳後修飾の産物を指すことも意図される。
【0021】
用語「アルカリ安定な」若しくは「アルカリ安定性」又は「腐食安定な」若しくは「腐食安定性」とは、本発明のGAA結合タンパク質がGAAに対する結合能力を著しく失うことなくアルカリ条件に耐えられる能力を指す。本分野の当業者は、GAA結合タンパク質を、実施例に記載されるように、水酸化ナトリウムと共にインキュベートし、続けて、例えばクロマトグラフィー手法などの、当業者に公知の日常的な実験によりGAAに対する結合能力を試験することにより、容易にアルカリ安定性を試験することができる。
【0022】
用語「クロマトグラフィー」とは、移動相及び固定相を利用して試料中の他の分子(例えば、混入物)から一種類の分子(例えば、GAA)を分離する分離技術を指す。液体移動相は、複数の分子の混合物を含み、これらを固定相(固体マトリックスなど)をわたり、又は通じて輸送する。移動相中の異なる分子の固定相との相互作用の相違により、移動相中の分子を分離することができる。
【0023】
用語「アフィニティークロマトグラフィー」とは、固定相に結合したリガンドが移動相(試料)中の分子(すなわち、GAA)と相互作用する、すなわち、リガンドは精製すべき分子に対する特異的結合親和性を有する、特定の型のクロマトグラフィーを指す。本発明の文脈において理解されるように、アフィニティークロマトグラフィーは、GAAを含む試料を、本発明のGAA結合タンパク質などの、クロマトグラフィーリガンドを含む固定相に添加することを含む。
【0024】
用語「固体支持体」又は「固体マトリックス」は、固定相について互換的に用いられる。
【0025】
本明細書で互換的に用いられる用語「アフィニティーマトリックス」又は「アフィニティー精製マトリックス」又は「アフィニティークロマトグラフィーマトリックス」とは、例えば本発明のGAA結合タンパク質などのアフィニティーリガンドが付着した、例えばクロマトグラフィーマトリックスなどの、マトリックスを指す。リガンド(例えばGAA結合タンパク質)は、精製又は混合物から除去されるべき関心のある分子(例えばVH3含有タンパク質)に特異的に結合することができる。
【0026】
本明細書で用いられる場合、用語「アフィニティー精製」とは、GAAをマトリックスに固定されたGAA結合タンパク質に結合することにより、液体のGAAを精製する方法を指す。これにより、GAAを除いた混合物の他の成分が除去される。さらなるステップにおいては、結合したGAAを精製された形状で溶出することができる。
【0027】
本発明の実施形態の詳細な説明
本発明をさらに説明する。以下の一節では、本発明の他の態様をより詳細に規定する。以下に規定する各態様は、反対の明確な表示がない限り、任意の他の1つ又は複数の態様と組み合わせてよい。具体的には、好ましい又は有利であると示される任意の特徴は、好ましい又は有利であると示される任意の他の1つ又は複数の特徴と組み合わせてよい。
【0028】
本発明の新規なポリペプチド(SEQ ID NO:1、2、16、17、18、22、23を含む)は、GAAに対する結合親和性を示す(本明細書ではSPRにより測定した)。酸性αグルコシダーゼに対する新規な結合タンパク質は、SEQ ID NO:1~9、14~20、22~23の群から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む。新規なGAA結合タンパク質は、1つ又は複数のGAA結合ドメインを含んでいて、少なくとも1つのGAA結合ドメインは、SEQ ID NO:1若しくはSEQ ID NO:2若しくはSEQ ID NO:16若しくはSEQ ID NO:17若しくはSEQ ID NO:18のアミノ酸配列又はこれらに対して少なくとも95%の配列相同性を有するアミノ酸を含む、から本質的に成る、又はから成る。GAA結合タンパク質のアミノ酸配列SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:2及びSEQ ID NO:16及びSEQ ID NO:17及びSEQ ID NO:18を
図1及びここに示す。
SEQ ID NO:1(192403)
IAAKFDMKQAWADHFILELPNLTEEQRNAFRQSLSDDPSVSDLVLLQAQKLNQMQAPK
SEQ ID NO:2(192402)
IAAKFDMKQAWADHFILELPNLTEEQRNAFRQSLSDDPSVSDLVLAQAQKLNQSQAPK
SEQ ID NO:16(192403 del2N)
AKFDMKQAWADHFILELPNLTEEQRNAFRQSLSDDPSVSDLVLLQAQKLNQMQAPK
SEQ ID NO:17(192402 del2N)
AKFDMKQAWADHFILELPNLTEEQRNAFRQSLSDDPSVSDLVLAQAQKLNQSQAPK.
【0029】
新規なGAA結合タンパク質は、1つ又は複数のGAA結合ドメインを含んでいて、少なくとも1つのGAA結合ドメインは、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列又はこれに対して少なくとも95%の配列相同性を有するアミノ酸を含む。
QAWADHFILELPNLTEEQRNAFRQSLSDDPSVSDLVLX1QAQKLNQX2
【0030】
X1は、任意のアミノ酸であってよく、いくつかの実施形態においてはアラニン(A)又はロイシン(L)から選択されるアミノ酸であってよい。X1は、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2中の46位に対応している。
【0031】
X2は、任意のアミノ酸であってよく、いくつかの実施形態においてはセリン(S)又はメチオニン(M)から選択されるアミノ酸であってよい。X2は、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2中の54位に対応している。
【0032】
いくつかの実施形態において、GAA結合ポリペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ配列に対して少なくとも95%の配列相同性を有する。いくつかの実施形態において、GAA結合ポリペプチドは、SEQ ID NO:2のアミノ配列に対して少なくとも95%の配列相同性を有する。いくつかの実施形態において、GAA結合ポリペプチドは、SEQ ID NO:16のアミノ配列に対して少なくとも95%の配列相同性を有する。いくつかの実施形態において、GAA結合ポリペプチドは、SEQ ID NO:17又はSEQ ID NO:18のアミノ配列に対して少なくとも95%の配列相同性を有する。いくつかの実施形態において、GAA結合ポリペプチドは、SEQ ID NO:22又はSEQ ID NO:23のアミノ配列に対して少なくとも95%の配列相同性を有する。他の実施形態において、GAA結合ポリペプチドは、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2又はSEQ ID NO:16又はSEQ ID NO:17又はSEQ ID NO:18又はSEQ ID NO:22又はSEQ ID NO:23のアミノ配列に対して少なくとも95%、98%、又は100%の配列相同性を有する。例えば、「SEQ ID NO:1のアミノ酸に対する少なくとも95%の相同性」とは、SEQ ID NO:1のアミノ酸と比較して1個又は2個の置換を指し、「SEQ ID NO:1のアミノ酸に対する少なくとも98%の相同性」とは、SEQ ID NO:1のアミノ酸と比較して1個の置換を指す。例えば、SEQ ID NO:2とSEQ ID NO:1とは、2個のアミノ酸、すなわち、アミノ酸46及びアミノ酸54が異なり、96%同一である。例えば、SEQ ID NO:16とSEQ ID NO:1とは、2個のアミノ酸、すなわち、SEQ ID NO:16のアミノ酸1及びアミノ酸2が欠落する。例えば、SEQ ID NO:17とSEQ ID NO:2とは、2個のアミノ酸、すなわち、SEQ ID NO:17のアミノ酸1及びアミノ酸2が欠落する。
【0033】
開示されたGAA結合ドメイン及びこのドメインを含むタンパク質の1つの利点は、これらがGAAに特異的に結合するという機能的特徴である。このことは、GAAの精製におけるアフィニティーリガンドとしての使用に特に有利である。本発明のGAA結合タンパク質は、200nM未満のGAAに対する結合親和性により機能的に特徴づけられる。本発明のGAA結合タンパク質は、実施例3に示されるように、200nM以下、好ましくは100nM以下、又はより好ましくは50nM以下の解離定数KDでGAAと結合する。
【0034】
多量体。本発明の1つの実施形態において、GAA結合タンパク質は、互いに結合した1個、2個、3個、4個、5個、又は6個のGAA結合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、GAA結合タンパク質は、例えば、単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、又は六量体とすることができる。好ましいGAA結合タンパク質は、単量体又は二量体である。本発明のタンパク質の多量体は、概して当業者に周知の組換えDNA技術によって、人工的に生成された融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、多量体はホモ多量体であり、例えばSEQ ID NO:7(SEQ ID NO:1の二量体)に示されるように、GAA結合タンパク質のアミノ酸配列が同一である。他の実施形態において、多量体はヘテロ多量体であり、例えばGAA結合タンパク質のアミノ酸配列が異なる。
【0035】
融合タンパク質。1つの実施形態によれば、本明細書には、本明細書を通して開示される1つ又は複数の、例えば2個のGAA結合ポリペプチドを含む融合タンパク質が提供される。より具体的には、融合タンパク質は、本明細書に開示される1つ又は複数のGAA結合ポリペプチド及び開示されるポリペプチドとは異なるさらなるポリペプチドを含む。各種実施形態において、本明細書に開示されるGAA結合ポリペプチドとは異なるさらなるポリペプチドは、例えば、限定しないが、免疫グロブリンのFc部分に結合しないタンパク質などの、非Ig結合タンパク質であってよい。いくつかの実施形態において、非Ig結合タンパク質は、SEQ ID NO:10又はSEQ ID NO:11又はSEQ ID NO:21に対して少なくとも80%の相同性を有する。いくつかの実施形態において非Ig結合タンパク質は、SEQ ID NO:10又はSEQ ID NO:11又はSEQ ID NO:21に対して少なくとも89.5%の相同性を有する。例示的な非Ig結合タンパク質は、SEQ ID NO:10又はSEQ ID NO:11又はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列中に示される。したがって、いくつかの実施形態は、本明細書に開示される1つ又は2つのGAA結合ポリペプチド及び1つ又は2つの非Ig結合ポリペプチドを含む融合タンパク質を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、以下の、
(a)GAA結合タンパク質-非Ig結合タンパク質;
(b)非Ig結合タンパク質-GAA結合タンパク質;
(c)非Ig結合タンパク質-GAA結合タンパク質-非Ig結合タンパク質(例えば、SEQ ID NO:9を参照のこと);
(d)GAA結合タンパク質-非Ig結合タンパク質-非Ig結合タンパク質(例えば、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20を参照のこと)。
(e)GAA結合タンパク質-GAA結合タンパク質-非Ig結合タンパク質-非Ig結合タンパク質(例えば、SEQ ID NO:15を参照のこと);
(f)非Ig結合タンパク質-非Ig結合タンパク質-GAA結合タンパク質
の組み合わせ(N-末端からC-末端まで)を含んでよい。
【0037】
非Ig結合タンパク質とGAA結合タンパク質ドメインの他の組み合わせも、当業者にとって実行可能である。
【0038】
いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、SEQ ID NO:1のGAA結合タンパク質、又はこれに対して少なくとも95%のアミノ酸相同性を有するGAA結合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、SEQ ID NO:1のGAA結合タンパク質、又はこれに対して少なくとも95%のアミノ酸相同性を有するGAA結合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、SEQ ID NO:2のGAA結合タンパク質、又はこれに対して少なくとも95%のアミノ酸相同性を有するGAA結合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、SEQ ID NO:16のGAA結合タンパク質、又はこれに対して少なくとも95%のアミノ酸相同性を有するGAA結合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、SEQ ID NO:17のGAA結合タンパク質、又はこれに対して少なくとも95%のアミノ酸相同性を有するGAA結合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、SEQ ID NO:18のGAA結合タンパク質、又はこれに対して少なくとも95%のアミノ酸相同性を有するGAA結合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、SEQ ID NO:22又はSEQ ID NO:23のGAA結合タンパク質、又はこれらに対して少なくとも95%のアミノ酸相同性を有するGAA結合タンパク質を含む。いくつかの好ましい実施形態において、融合タンパク質は、SEQ ID NO:1のGAA結合タンパク質を含む。他の好ましい実施形態において、融合タンパク質は、SEQ ID NO:2のGAA結合タンパク質を含む。他の好ましい実施形態において、融合タンパク質は、SEQ ID NO:16のGAA結合タンパク質を含む。他の好ましい実施形態において、融合タンパク質は、SEQ ID NO:17のGAA結合タンパク質を含む。他の好ましい実施形態において、融合タンパク質は、SEQ ID NO:18のGAA結合タンパク質を含む。
【0039】
融合タンパク質の部分は、head-to-tail型で互いに直接結合されてよく、又はリンカーにより結合されてよく、このリンカーは好ましくはペプチドリンカーである。各種実施形態において、ペプチドリンカーを、融合タンパク質の2つの部分を立体的に分離するアミノ酸配列とみなすことができる。典型的には、このようなリンカーは、1~10個のアミノ酸から成る。
【0040】
融合タンパク質は、本発明のGAA結合ポリペプチドをコードする遺伝子を本明細書で上述したポリペプチドと異なるポリペプチドをコードする遺伝子と遺伝的に融合又は結合することにより形成されるタンパク質として特徴づけられることができる。したがって、融合タンパク質を、同時に翻訳された(間に終止コドンがない)2個又はそれ以上の遺伝子の産物とみなすことができる。
【0041】
精製用又は検出用の分子。いくつかの実施形態において、GAA結合タンパク質又はGAA結合タンパク質を含む融合タンパク質はまた、例えば、N-末端及び/又はC-末端への追加の配列などの、N-末端及び/又はC-末端に追加のアミノ酸残基を含んでよい。追加の配列は、例えば、精製又は検出用などに導入された配列を含んでよい。このような配列の典型的な例としては、限定されないが、Strep-tags(SEQ ID NO:12等を参照)、オリゴヒスチジンタグ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質、インテイン、インテイン断片、又はプロテインGのアルブミン結合ドメイン又は他のものが挙げられる。1つの実施形態において、追加のアミノ酸配列は、特定のクロマトグラフィーカラム材料に対する親和性を与える1つ又は複数のペプチド配列を含む。GAA結合タンパク質又はGAA結合タンパク質を含む融合タンパク質は、好ましくはC-末端に、システイン又はリシンなどの、固体支持体に対して付着するための特異的付着部位を含んでよい。C-末端システインを有するGAA結合タンパク質の例はSEQ ID NO:3、4、5、6、8に示される。N-末端追加アミノ酸を有する本発明のGAA結合タンパク質の例は、SEQ ID NO:5及びSEQ ID NO:6に示される。
【0042】
GAA結合タンパク質の生成方法。本発明はさらに、GAAに対する結合親和性を有する本明細書に開示される新規なGAA結合ポリペプチドの生成方法であって、この方法は、以下の(i)ポリペプチドの母集団を提供するステップ、(ii)(i)のポリペプチドの母集団をGAAと接触させるステップ、(iii)GAAに結合したGAA結合ポリペプチドを含む複合体を同定するステップ、及び(iv)GAAと結合することができるGAA結合ポリペプチドを取得するステップである、ステップを含む、方法を提供する。
【0043】
GAAに対する結合親和性を有する新規なGAA結合ポリペプチドの生成方法は、GAAに対するこのポリペプチドの結合親和性を決定する追加のステップを含んでよい。結合親和性は、本明細書の他の箇所に記載されるように決定してよい。
【0044】
技術的用途における新規なGAA結合ポリペプチドの使用。本明細書にはまた、技術的用途、好ましくはアフィニティークロマトグラフィーにおけるアフィニティーリガンドとしての使用のための、融合タンパク質を含む、本発明の任意の新規なGAA結合ポリペプチドの使用も提供される。
【0045】
本明細書に記載されるように、アフィニティークロマトグラフィー(アフィニティー精製とも呼ばれる)は、分子間の特異的結合相互作用を使用する。タンパク質の固定方法及びアフィニティークロマトグラフィー方法は、タンパク質精製の分野で周知であり、標準的な技術や機器を用いて当業者が容易に実行することができる。
【0046】
各種実施形態において、アフィニティー精製方法はさらに、アフィニティー精製マトリックスからこれに対して特異的に結合しない一部の又は全ての分子を除去するのに充分な条件下で実行される1つ又は複数の洗浄ステップを含んでよい。開示される使用又は方法に適したアフィニティー精製マトリックスは、当業者に公知である。
【0047】
固体支持体に対する結合。本発明の各種態様及び/又は実施形態において、上述した方法のいずれかにより生成又は取得された新規なポリペプチドを含む本明細書に開示される新規なポリペプチドは、固体支持体に結合する。本発明のいくつかの実施形態において、ポリペプチドは、ポリペプチドが固体支持体に部位特異的に共有結合するための付着部位を含む。特異的な付着部位は、限定されないが、固相の反応基と特異的な化学反応を起こすことができる、システイン又はリシンなどの天然アミノ酸、又は固相とタンパク質との間のリンカーを含む。
【0048】
アフィニティー精製マトリックス。別の実施形態において、上述した方法のいずれかによって同定されるポリペプチドを含む、GAA結合ポリペプチドを含有するアフィニティー精製マトリックスを備える。
【0049】
好ましい実施形態において、アフィニティー精製マトリックスは、固体支持体である。アフィニティー精製マトリックスは、本発明によって提供される少なくとも1つのGAA結合ポリペプチドを含む。したがって、本明細書に開示される新規なGAA結合タンパク質は、アフィニティーマトリックスによってGAAを精製する使用も含む。
【0050】
アフィニティークロマトグラフィー用の固体支持体は、当該技術分野において公知であり、これらに限定されないが、アガロース及びアガロースの安定化された誘導体、セルロース又はセルロースの誘導体、細孔性ガラス、モノリス、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、又は合成ポリマー、及び様々な組成物のヒドロゲル、並びに上のものの組み合わせが挙げられる。
【0051】
固体支持体マトリックスの形式は、任意の適した周知の種類のものとすることができる。本発明の新規なタンパク質又はポリペプチドを結合するためのこのような固体支持体マトリックスは、例えば、限定されないが、以下の、カラム、毛細管、粒子、膜、フィルター、モノリス、繊維、パッド、ゲル、スライドグラス、プレート、カセット、又はクロマトグラフィーで普通に用いられ、当業者に公知の任意の他の形式の1つなどを含んでよい。
【0052】
1つの実施形態において、マトリックスは、例えばセファロース又はアガロースビーズなどの、ビーズとしても知られる、実質的に球形の粒子から成る。粒子形のマトリックスは、充填床として又は拡張床を含む懸濁形で用いることができる。本発明の他の実施形態において、固体支持体マトリックスは、例えばヒドロゲル膜などの、膜である。いくつかの実施形態において、アフィニティー精製は、本発明のGAA結合タンパク質が共有結合したマトリックスとしての膜を含んでよい。固体支持体はまた、カートリッジ中の膜の形とすることもできる。
【0053】
いくつかの実施形態において、アフィニティー精製は、本発明の新規なタンパク質が共有結合した固体支持体マトリックスを含むクロマトグラフィーカラムを含む。本発明の新規なタンパク質又はポリペプチドは、従来の結合技術により適した固体支持体マトリックスに付着してよい。タンパク質リガンドを固体支持体に固定する方法は、タンパク質工学及び精製の分野で周知であり、標準的な技術及び機器を用いて当業者が容易に実行することができる。
【0054】
GAAの製造方法。さらなる実施形態は、GAAタンパク質を特異的に結合する親和性を有するアフィニティークロマトグラフィーマトリックスを使用する少なくとも1つのクロマトグラフィーステップを含むこれらのGAA又はGAAを含有するタンパク質の製造プロセスに関し、上述したGAAに対するアフィニティーリガンド(結合タンパク質)は、このアフィニティークロマトグラフィーマトリックスに結合する、プロセスに関する。
【0055】
GAAの存在の決定方法。さらにいくつかの実施形態において、本明細書に記載されるGAA結合タンパク質又は本明細書に記載される融合タンパク質は、GAAの存在を決定するための方法に用いられる。いくつかの実施形態は、液体サンプル中のGAAの存在を分析する方法に関し、この方法は、以下の、(a)GAAを含有する液体を提供するステップ、(b)GAA結合タンパク質(又は融合タンパク質)を提供するステップ、(c)少なくとも1つのGAA結合タンパク質(又は融合タンパク質)のGAAに対する結合を可能にする条件下GAAを含有する液体を本明細書に記載されるGAA結合タンパク質と接触させるステップ、(d)GAAとGAA結合タンパク質(又は融合タンパク質)との複合体を分離するステップ、及び(e)(a)の液体中のGAAの量を示すGAA結合タンパク質(又は融合タンパク質)の量を決定するステップ、のステップを含む。
【0056】
GAAの定量方法。さらなる実施形態は、GAAの定量化方法に関し、この方法は、(a)GAAを含有する液体を提供すること、(b)本明細書に記載されるGAA結合タンパク質(又は融合タンパク質)が共有結合したマトリックスを提供すること、(c)少なくとも1つのGAA結合タンパク質(又は融合タンパク質)のGAAに対する結合を可能にする条件下このアフィニティー精製マトリックスを液体と接触させること、(d)このGAAを溶出すること、及び任意選択的に、(e)溶出したGAAの量を定量化することを含む。液体サンプル中のGAAの存在を決定するための方法は、定量的であっても定性的であってもよい。このような方法は当業者にとって周知であり、例えば、限定されないが、以下の、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、酵素反応、表面プラズモン共鳴法(SPR)又はクロマトグラフィーなどの当該技術分野において確立された方法から選択することができる。
【0057】
ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞。1つの実施形態は、本明細書に開示されるGAA結合ポリペプチドをコードする分離されたポリヌクレオチド又は核酸分子を含む。さらなる実施形態はまた、本明細書に開示されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む。さらに、ベクター、特に、本発明の分離されたポリヌクレオチド又は核酸分子を含む、発現ベクター、並びに分離されたポリヌクレオチド又は発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。例えば、本明細書に開示されるポリペプチドをコードする1つ又は複数のポリヌクレオチドは、適した宿主中で発現されてよく、産生されたタンパク質は分離することができる。ベクターとは、タンパク質をコードする情報を宿主細胞へと導入するために用いることができる任意の分子又は実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ又はウィルス)を意味する。本発明に適用されることができる適したベクターは、当該技術分野において公知である。
【0058】
さらに、本明細書に開示されるポリヌクレオチド若しくは核酸又はベクターを含む分離された細胞を提供する。適した宿主細胞は、例えば、ベクターを保有する細菌性宿主細胞、酵母宿主細胞、又は非ヒト宿主細胞などの、原核生物又は真核生物を含む。適した細菌性発現宿主細胞又はシステムは、当該技術分野において公知である。当該技術分野において公知の各種哺乳又は昆虫細胞培養システムも、組み換えタンパク質を発現するために使用することができる。
【0059】
本発明のタンパク質の製造方法。さらなる実施形態において、記載されるGAA結合ポリペプチドの製造方法を提供し、この方法は、(a)このGAA結合ポリペプチドを取得するようGAA結合ポリペプチドの発現に適した条件下で(適した)宿主細胞を培養するステップ、及び(b)任意選択的にこのGAA結合ポリペプチドを分離するステップ、のステップを含む。原核生物又は真核生物宿主を培養するための適した条件は、当業者にとって周知である。
【0060】
GAA結合ポリペプチドは、簡単な有機合成戦略、固相補助合成手法などの任意の従来の周知の技術、又は市販の自動合成装置により調製してよい。これらはまた、従来の組み換え技術を単独で、又は従来の合成技術と組み合わせて調製してよい。
【0061】
1つの実施形態において、上で詳述したように、GAA結合タンパク質の調製方法を提供し、この方法は、(a)GAA結合ポリペプチドをコードする核酸分子を提供するステップ、(b)この核酸分子を発現ベクターに導入するステップ、(c)この発現ベクターを宿主細胞に導入するステップ、(d)この宿主細胞を培地で培養するステップ、(e)この宿主細胞をこのGAA結合ポリペプチドの発現に適した培養条件にかけて、それによりこのGAA結合ポリペプチドを産生するステップ、任意選択的に(f)ステップ(e)で産生されたこのタンパク質又はポリペプチドを分離するステップ、及び(g)任意選択的にこのタンパク質又はポリペプチドを上述した固体マトリックスに結合させるステップを含む。本発明の各種実施形態において、GAA結合ポリペプチドの産生は、無細胞インビトロ転写及び翻訳により実行される。
【0062】
以下の実施例は、本発明のさらなる例示を提供する。しかしながら本発明は、これに限定されず、以下の実施例は上の記載に基づいた本発明の実行可能性を示すに過ぎない。
【実施例】
【0063】
本発明のさらなる例示のために以下の実施例を提供する。しかしながら、本発明はこれに限定されず、以下の実施例は、上の記載に基づいた本発明の実行可能性を示すに過ぎない。本発明の完全な開示のために、本出願に参照により完全に援用される本出願に引用される文献にも参照がなされる。
【0064】
実施例1.本発明のGAA結合タンパク質の選択
ライブラリ構築及びライブラリのクローニング。無作為化されたアミノ酸位置を含むSEQ ID NO:10に示されるタンパク質A様構造を有する安定な非免疫グロブリン結合タンパク質に基づくライブラリを、バランスがとれて、同時に無作為化された位置のシステイン及び他のアミノ酸残基を排除したアミノ酸分布を達成するために合成トリヌクレオチドホスホロアミダイト(ELLA Biotech)により生成された無作為化されたオリゴヌクレオチドにより社内で合成した。SEQ ID NO:10の、少なくともアミノ酸位置7、8、10、11、14、15、18、20、42、43、46、47、49、50、53及び54を無作為化した。
【0065】
対応するcDNAライブラリを、PCRにより増幅し、pCD33-OmpAファージミドにより連結した。ライゲーション混合物のアリコートを、E.coli ER2738(Lucigen)のエレクトロポレーション用に用いた。別段の指示がない限り、確立した組み換え遺伝子法を用いた。
【0066】
TATファージディスプレイ法による一次選択。ナイーブなライブラリを、選択システムとしてファージディスプレイ法を用いるビオチン化GAA(マイオザイム又はアルグルコシダーゼアルファとしても知られる、Lumizyme(商標))に対して濃縮した。ライブラリを保有するファージミドpCD33-OmpAでコンピテントバクテリアER2738細胞(Lucigene)を形質転換した後、ファージ増幅及び精製を、当業者にとって公知の標準的な方法を用いて実行した。溶媒中のビオチン化GAAとファージライブラリ間の結合を可能とするために、溶液中選択法(SIS)を利用した。GAA-ファージ複合体をストレプトアビジン/ニュートラアビジン磁気ビーズにより捕捉した。ファージインキュベーション中のGAA濃度を、200nM(1回目)から100nM(2回目)へ、50nM(3回目)へ、そして25nM(4回目)へ薄めた。各回において空の磁気ビーズによる事前選択を実行した。各選択回後、GAAが結合したファージをトリプシンにより溶出した。標的特異的なファージプールを同定するために、溶出し、再増幅した各選択回のファージを、ファージプールELISAにより分析した。中結合マイクロタイタープレート(Greiner Bio-One)のウェルをストレプトアビジンでプレコートし(10μg/ml)、その後ビオチン化GAAでコーティングした(2.5μg/ml)。結合したファージをα-M13 HRP結合抗体(GEヘルスケア)を用いて検出した。
【0067】
標的結合ファージプールの発現ベクターへのクローニング。ファージプールELISAにおいてGAAに対する特異的結合を示した選択プールを、当該技術分野において公知の方法に従ってPCRにより増幅し、適切な制限酵素により切断し、プロリン、セリン、及びアラニン並びにsfGFPから成る10個のアミノ酸リンカーを含む発現ベクターpET-28a(Merck,Germany)の誘導体に連結した。
【0068】
実施例2.GAA結合タンパク質の発現及び精製
実施例1に記載された選択により同定されたヒットをスクリーニング後に同定し、タンパク質をμ単位で産生した(Phynexus)。
【0069】
T7プロモーターの調節下、低コピープラスミドシステムを用いて大腸菌BL21(DE3)中に構築物を発現した。培地中に含まれるラクトースによる誘導後(自己誘導培地)、タンパク質を可溶型で産生した。BL21(DE3)コンピテント細胞を発現プラスミドで形質転換し、選択的寒天プレート(カナマイシン)上に広げ、37℃で一晩インキュベートした。50μg/mlカナマイシンを補充した3mlの2xYT培地中の単一コロニーから予備培養を植え付け、37℃で6時間、従来のオービタルシェーカー中200rpmで、培養試験管中で培養した。主要な培養を、1Lエルレンマイヤーフラスコ中50μg/mlカナマイシンを補充した300mL ZYM-5052(0.5%グリセロール、0.2%ラクトース、0.05%グルコース、0.5%酵母抽出物、1.0%カザミノ酸、25mM Na2HPO4、25mM KH2PO4、5mM Na2SO4、2mM MgSO4及び微量元素)で3mLの予備培養を植え付けた。培養物をオービタルシェーカーに移し、30℃、200rpmでインキュベートした。組み換えタンパク質の発現は、グルコースを代謝させ、その後ラクトースを細胞に入れさせることにより誘導した。細胞を約17時間一晩増殖させて約2~4の最終OD600を達成した。採取する前に、OD600を測定し、0.6/OD600に調整した試料を取り出し、ペレット状にし、-20℃で凍結した。バイオマスを収集するために、細胞を22℃で15分間、12000xgで遠心分離機にかけた。ペレットを秤量した(湿重量)。細胞を処理する前に、-20℃で保管した。
【0070】
アフィニティータグを有するタンパク質をアフィニティークロマトグラフィー及びサイズ排除により精製した。アフィニティークロマトグラフィー精製後、Aektaシステム及びSuperdex(商標)200 HiLoad 16/600カラム(GEヘルスケア)を用いてサイズ排除クロマトグラフィー((SE HPLC又はSEC))を実行した。SECカラムは、120mlの体積を有し、2CVで平衡させた。試料を流速1ml/分でかけた。分画分取は、シグナル強度が10mAUに達する時に開始する。SDS-PAGE分析の後、正の分画をためて、タンパク質濃度を測定した。さらなる分析には、SDS-PAGE、SE-HPLC及びRP-HPLCが含まれた。タンパク質濃度は、モル吸収係数を用いた280nmでの吸光度測定により決定した。逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)は、Dionex HPLCシステム及びPLRP-S(5μm、300Å)カラム(アジレント)を用いて実行した。
【0071】
GAA結合タンパク質及び非Ig結合タンパク質の融合タンパク質(SEQ ID NO:14、15、19、20)は、以下の、Q-Sepharose FF 275ml(pH6)(緩衝液A:20mM BisTris、1mM EDTA pH6;緩衝液B:20mM BisTris、1mM EDTA、1M NaCL pH6)、Phenyl Sepharose HP 236ml(緩衝液A:20mM BisTris、1mM EDTA、1M(NH4)2SO4 pH6;緩衝液B:20mM BisTris、1mM EDTA、pH6)、Desalting 560mlの方法により精製した。例えば、SEQ ID NO:14(CID204870)を、細胞培地体積1Lあたり1gタンパク質の収率で首尾よく精製した。SEQ ID NO:19を、細胞培地体積1Lあたり10gタンパク質の収率で首尾よく精製した。
【0072】
実施例3.表面プラズモン共鳴法(SPR)によるタンパク質の分析
500-1500RUのGAA(ON-リガンド)をCM-5センサーチップ(GEヘルスケア)上に固定し、このチップをSPRランニングバッファで平衡させた。GAAをSulfo-NHS-Biotin標準試薬によりビオチン化し、サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200)により精製した。標的タンパク質を、ストレプトアビジンをコーティングしたセンサーチップ上へビオチン化した標的を注入することにより固定した。リガンド結合時、タンパク質分析物を表面に蓄積し、屈折率を上げた。この屈折率の変化をリアルタイムで測定し、応答又は共鳴単位対時間としてプロットした。分析物を系列希釈で流速30μl/分で、チップにかけた。会合を120秒間実行し、解離を360秒間実行した。各ランの後、チップ表面を30μl再生バッファ(10mMグリシン)で再生し、ランニングバッファで平衡させた。結合試験を、BIAcore 3000(GEヘルスケア)を用いることにより実行し、データ評価を、Langmuir1:1モデル(RI=0)を用いることにより、製造業者により提供された、BIAevaluation3.0ソフトウェアにより行った。評価した解離定数(KD)を、GAAに対して正規化し、表示した。リアルタイムで測定し、応答又は共鳴単位[RU]対時間[秒]としてプロットした屈折率の変化を示す。結果。本明細書に開示されるGAA結合タンパク質は、100nM未満の親和性で、固定したGAAに対する強力な特異的結合を示した(表1を参照)。本発明のGAA結合タンパク質は、hIgGと結合しない。SEQ ID NO:19の融合タンパク質は、hIgGと結合せず、親和性は、100nM未満の親和性でGAAに特異的である。
【0073】
【0074】
実施例4.GAA精製用アフィニティーリガンドとしての本発明のGAA結合タンパク質
カップリング効率:20mgの精製したGAA結合タンパク質(C-末端システインを有する)を、製造業者の使用説明書にしたがってmL Praesto(商標)Epoxy 85あたり固定した(カップリングバッファ:50mM Na2HPO4、150mM NaCl、5mM TCEP、2.05M Na2SO4(又はmL樹脂あたり175mg Na2SO4)、pH9.5、カップリング条件:35℃で3時間)。結果を表2に示す。
【0075】
【0076】
DBC10%:ランニングバッファ:20mM クエン酸塩、150mM NaCl、1mM EDTA、pH6.2。第1溶出バッファ:100mM クエン酸塩バッファ、20%(v/v)ヘキシレングリコール、pH3.5;第2溶出バッファ:0.1M クエン酸塩、pH2.0(溶出比の決定)。動的結合容量(DBC)を、滞留時間6分、10%破過で注入したGAAの質量により決定した。結果.結合した樹脂は、アフィニティーリガンド(C-末端Cysを有する)の優れた動的結合容量(DBC10%)を示した。
●SEQ ID NO:1で少なくとも27mg/mlのDBC10%を有する
●SEQ ID NO:1二量体で少なくとも24mg/mlのDBC10%を有する
●SEQ ID NO:1融合タンパク質(SEQ ID NO:19)で少なくとも22.7mg/mlである
●SEQ ID NO:2で少なくとも16mg/mlのDBC10%を有する
【0077】
腐食安定性(サイクル試験)。Praesto(商標)Epoxy 85にカップリングした試料(カップリング条件:20mg/ml、3時間、35oC、2.05M Na2SO4 pH8.5)を室温で少なくとも10時間(610分)、0.1M NaOHで処理した。
【0078】
結果:アフィニティーリガンド(C-末端Cysを介してカップリングした)は、サイクル試験において優れた腐食安定性を示した。
●SEQ ID NO:1(N-末端伸長)で95%の残存容量を有する
●SEQ ID NO:1二量体
〇610分(約10時間)後94.4%の残存容量を有する
〇1515分(25時間)(101サイクルに等しい)後84.4%の残存容量を有する
【0079】
図2は、Praesto(商標)Epoxy 85樹脂上のサイクル試験を示す。
図2Aは、滞留時間6分で、Praesto(商標)Epoxy 85上でのSED ID NO:1(N-末端伸長を有する)についてのDBC10%を示す。結合容量は、19.5mg/mlだった。
図2Bは、Praesto(商標)Epoxy 85樹脂にカップリングされ、2mg/ml GAAをロードしたGAA結合タンパク質(N-末端伸長を有するSEQ ID NO:1)のDBC10%及び腐食安定性を示す。50回ロード、溶出、及び0.1M NaOH再生サイクル後の残存容量は、少なくとも90%だった。
【0080】
表3は、充填カラム形式でNaOH中にインキュベートされた固定したアフィニティーリガンドについての結果を示す。
【0081】
【配列表】
【国際調査報告】