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特表2023-507282ヒトIL‐13に結合特異性を有する抗体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】ヒトIL‐13に結合特異性を有する抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20230215BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20230215BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230215BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230215BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230215BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230215BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230215BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230215BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230215BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230215BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K16/24 ZNA
C07K16/46
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
C12P21/08
A61P11/02
A61P17/00
A61P17/04
A61P1/04
A61P29/00
A61P37/08
A61K39/395 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534780
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2020087053
(87)【国際公開番号】W WO2021123190
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】1919062.8
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514232085
【氏名又は名称】ユーシービー バイオファルマ エスアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライトウッド、ダニエル ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アダムズ、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】パルフラマン、ロジャー トーマス
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064DA01
4B065AA91Y
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB41
4C085BB43
4C085BB44
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C085GG08
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、ヒトIL‐13の抗原決定基に対する特異性を有する抗体分子、該抗体分子の治療的使用及び該抗体分子の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトIL‐13に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントであって、以下のものを含む、抗体又はその抗原結合フラグメント。
(a)以下を含む軽鎖可変領域:
i.配列番号1を含むCDR‐L1、
ii 配列番号2を含むCDR‐L2、及び
iii 配列番号3を含むCDR‐L3
及び
(b)以下を含む重鎖可変領域:
i.配列番号4を含むCDR‐H1、
ii 配列番号5を含むCDR‐H2、及び
iii 配列番号6を含むCDR‐H3。
【請求項2】
軽鎖可変領域が配列番号13又は配列番号17に示される配列を含む、請求項1に記載の抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項3】
重鎖可変領域が配列番号14又は配列番号18に示される配列を含む、請求項1又は請求項2に記載の抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項4】
軽鎖可変領域が配列番号13に示される配列を含み、重鎖可変領域が配列番号14に示される配列、又はそれと少なくとも95%同一である配列を含む、請求項1から3のいずれかに記載の抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項5】
軽鎖可変領域が配列番号17に示される配列を含み、重鎖可変領域が配列番号18に示される配列、又はそれと少なくとも95%同一である配列を含む、請求項1から3のいずれかに記載の抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項6】
CDR‐L1/CDR‐L2/CDR‐L3/CDR‐H1/CDR‐H2/CDR‐H3配列が配列番号1/2/3/4/5/6を含み、軽鎖及び重鎖可変領域の残りが配列番号13及び14又は配列番号17及び18に対してそれぞれ少なくとも95%の同一性を有する、請求項4又は請求項5に記載の抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項7】
抗体がキメラ、ヒト化又は完全ヒト抗体である、請求項1~6のいずれかに記載の抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項8】
抗体が完全長抗体である、請求項1~6のいずれかに記載の抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項9】
抗原結合フラグメントがFab、Fab’、F(ab’)、Fv、dsFv、scFv、又はdsscFvである、請求項1~6のいずれかに記載の抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項10】
抗原結合フラグメントが、配列番号21に示される配列を含むscFvまたは配列番号に示される配列を含むdsscFvである、請求項9に記載の抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の抗体又は抗原結合フラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項12】
請求項11に記載のポリヌクレオチドを有する発現ベクター。
【請求項13】
請求項12に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項14】
請求項13の宿主細胞を、抗体又は抗原結合フラグメントの産生を許容する条件下で培養し、産生された抗体又は抗原結合フラグメントを回収することを含む、請求項1~10のいずれかに記載の抗体又は抗原結合フラグメントの製造方法。
【請求項15】
請求項1~10のいずれかに記載の抗体又は抗原結合フラグメントと、薬学的に許容されるアジュバント又は担体とを含む、医薬組成物。
【請求項16】
ヒト又は動物の身体を治療によって処置する方法に使用するための、請求項1~10のいずれかに記載の抗体又は抗原結合フラグメント、又は請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
アトピー性皮膚炎、慢性手湿疹、鼻のマイクロポリポーシス又はポリポーシス、食物アレルギー、又は好酸球性食道炎の治療に用いるための、請求項16に記載の抗体、抗原結合フラグメント又は医薬組成物。
【請求項18】
アトピー性皮膚炎、慢性手湿疹、鼻のマイクロポリポーシス若しくはポリポーシス、食物アレルギー、又は好酸球性食道炎の治療又は予防方法であって、治療有効量の請求項1~10のいずれかに記載の抗体若しくは抗原結合フラグメント、又は請求項15に記載の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IL‐13抗体及びその結合フラグメントなどのフラグメント、それを含む組成物に関し、特にIL‐13関連疾患の予防及び/又は治療におけるそれらの使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IL‐13は、IL‐4と25%の配列同一性を持つ短鎖のサイトカインである。それは、およそ132個のアミノ酸を含み、残基10~21(ヘリックスA)、残基43~52(ヘリックスB)、残基61~69(ヘリックスC)、及び残基92~110(ヘリックスD)に亘る4つのヘリックスと、残基33~36と残基87~90に亘る2つのβストランドとの2次構造を形成している。IL‐13の溶液構造が解明され、IL‐4でも観察される予測されたアップ‐アップ‐ダウン‐ダウン型の4つのヘリックスバンドル構造が明らかにされた。
【0003】
ヒトIL‐13は17kDaの糖タンパク質で、Th2系統の活性化T細胞によって産生されるが、Th0及びTh1 CD4+T細胞、CD8+T細胞、及びマスト細胞などのいくつかの非T細胞集団もIL‐13を産生する。IL‐13の機能としては、ヒトB細胞におけるIgEへの免疫グロブリンアイソタイプの切り替え、及びヒト及びマウスの両方における炎症性サイトカイン産生の抑制が挙げられる。
【0004】
IL‐13は、細胞表面のレセプターであるIL‐13R‐α1及びIL‐13R‐α2に結合する。IL‐13R‐α1はIL‐13と低親和性(K~10nM)で相互作用し、次いでIL‐4R‐αが高親和性(K~0.4nM)のシグナル伝達ヘテロ二量体レセプター複合体を形成している。
【0005】
IL‐4R/IL‐13R‐α1複合体は、B細胞、単球/マクロファージ、樹状細胞、好酸球、好塩基球、線維芽細胞、内皮細胞、気道上皮細胞、気道平滑筋細胞などの多くの細胞型に発現している。IL‐13R‐α/IL‐4Rレセプター複合体のライゲーションにより、シグナル・トランスデューサー・アンド・アクティベーター・オブ・トランスクリプション6(STAT6)やインスリンレセプター基質2(IRS2)経路を含む様々なシグナル伝達経路が活性化される。
【0006】
IL‐13R‐α2鎖は単独でIL‐13に対して高い親和性を持つ(K~0.25‐0.4nM)。それはIL‐13の結合を負に制御するデコイレセプターとして、またマクロファージやおそらく他の細胞型においてAP‐1経路を介してTGF‐β合成と線維化を誘導するシグナルレセプターとして機能する。
【0007】
IL‐13は、多くのヒト疾患の病態に関与しており、IL‐13の活性を阻害したり、打ち消したりする治療戦略が考案されている。特に、IL‐13に結合して中和する抗体は、IL‐13活性を阻害する手段として求められてきた。しかしながら、IL‐13、特にヒトIL‐13に結合することができる適切な及び/又は改良された抗体、特に、ヒトIL‐13を中和することができる抗体に対する必要性が当技術分野において存在する。本発明は、ヒトIL‐13を結合し、高い親和性で結合し、ヒトIL‐13を結合して中和することができる結合タンパク質、CDRグラフト化抗体、ヒト化抗体及びそのフラグメントの新規ファミリーを提供するものである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ヒトIL‐13に結合する改良型抗体、特にIL‐13の生物学的活性を阻害する中和抗体を提供するものである。本発明はさらに、該抗体を含む医薬組成物、及びIL‐13関連疾患の治療におけるその使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1Ab650ヒト化アラインメント。ラット抗体(ドナー)V領域配列とヒト生殖細胞系列(アクセプター)V領域配列、及び設計されたヒト化配列のアラインメント。(A)軽鎖グラフト650。650=ラット可変軽鎖配列。650gL8=IGKV1‐39ヒト生殖細胞系列をアクセプターフレームワークとして用いた650可変軽鎖のヒト化グラフト。CDRは太字/下線で示す。ドナー残基は太字/イタリック体で示し、ハイライトした:I58とY71。(B)重鎖グラフト650。650=ラット可変重鎖配列。650gH9=IGHV1‐69ヒト生殖細胞系列をアクセプターフレームワークとして用いた650可変重鎖のヒト化グラフト。CDRは太字/下線で示す。ドナー残基は太字/イタリック体で示し、ハイライトした:A67、F69、及びV71。
図2抗IL13アミノ酸配列及びDNA配列。抗体650のCDR、重及び軽可変領域、scFv及びdsscFVフォーマットをコードするアミノ酸及びDNA配列。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
抗体
本開示の文脈において使用するための抗体には、全抗体及びその機能的に活性なフラグメント、すなわち、IL‐13に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む分子(抗原結合フラグメントとも呼ばれる)が挙げられる。抗体に関して本明細書に記載された特徴は、文脈上他に指示されない限り、抗体フラグメントにも適用される。
【0011】
全抗体は、一般に「免疫グロブリン(Ig)」とも呼ばれ、2本の重鎖と2本の軽鎖の要素がジスルフィド結合によって互いに結合し、それらが特徴的なY字型の3次元構造を定義するように集合している、インタクトな又は完全長の抗体である。古典的な天然型全抗体は、1種類の抗原型と結合する一価性と、2つの独立した抗原結合ドメインを持つ二価性を持っている。「インタクトな抗体」、「全長抗体」及び「全抗体」という用語は、本明細書で定義するFc領域を含むネイティブ抗体構造に類似した構造を有する一価性二価性抗体を指すために互換的に使用される。
【0012】
各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVと略記)と軽鎖定常領域(C)から構成されている。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVと略記)と、Igクラスに応じて3つの定常ドメインCH1、CH2及びCH3、又は4つの定常ドメインCH1、CH2、CH3及びCH4から構成される重鎖定常領域(CH)とから構成されている。Ig又は抗体の「クラス」は、定常領域の種類を意味し、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMを含み、それらのいくつかは、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4などのサブクラスにさらに分割することが可能である。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(Clq)を含む宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
【0013】
本発明による抗体のV及びV領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる抗原の認識を決定する超可変性の領域(又は「超可変領域」)にさらに細分化することができ、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより構造的に保存されている領域とともに散在している。各V、Vは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序で並んだ3つのCDRと4つのFRで構成されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。CDRとFRは一緒になって可変領域を形成する。慣習的に、抗体又はその抗原結合フラグメントの重鎖可変領域におけるCDRは、CDR‐H1、CDR‐H2及びCDR‐H3と呼ばれ、軽鎖可変領域におけるCDRは、CDR‐L1、CDR‐L2及びCDR‐L3と呼ばれる。これらは、各鎖のN末端からC末端に向かう方向に順次番号付けされている。
【0014】
CDRは、従来、Kabatらによって考案されたシステムに従って番号付けされる。このシステムは、Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、US Department of Health and Human Services,NIH,USA(以下「Kabatら(前掲)」)に記載されている。本明細書では、特に指示する場合を除き、この番号付けシステムを用いる。
【0015】
Kabat残基の呼称は、アミノ酸残基の線形番号付けと必ずしも直接対応しない。実際の直鎖アミノ酸配列は、フレームワークであれ相補性決定領域であれ、基本可変ドメイン構造の構造的構成要素の短縮又は挿入に対応して、厳密なKabat番号付けよりも少ない又は追加のアミノ酸を含む場合がある。残基の正しいKabat番号付けは、抗体の配列中の相同性のある残基を「標準」Kabat番号付け配列とアラインメントすることにより、所定の抗体について決定することができる。
【0016】
重鎖可変ドメインのCDRは、Kabat番号付けシステムによると、残基31~35(CDR‐H1)、残基50~65(CDR‐H2)、残基95~102(CDR‐H3)に位置している。しかし、Chothia(Chothia,C.and Lesk,A.M.J.Mol.Biol.,196,901‐917(1987))によれば、CDR‐H1に相当するループは、残基26から残基32まで延びている。したがって、本明細書で採用する「CDR‐H1」は、他に示されない限り、Kabat番号付けシステムとChothiaのトポロジカルループ定義の組み合わせによって記述されるように、残基26から35を指すことを意図している。
【0017】
軽鎖可変ドメインのCDRは、Kabat番号付けシステムに従って、残基24~34(CDR‐L1)、残基50~56(CDR‐L2)及び残基89~97(CDR‐L3)に位置している。
【0018】
CDRループに加えて、CDR‐2(CDR‐L2又はCDR‐H2)とCDR‐3(CDR‐L3又はCDR‐H3)の間に第4のループが存在し、これはフレームワーク3(FR3)によって形成されている。Kabat番号付けシステムでは、フレームワーク3は重鎖の66‐94位と軽鎖の57‐88位と定義されている。
【0019】
免疫グロブリンファミリーの異なるメンバーの配列のアラインメントに基づいて、番号付けのスキームが提案されており、例えばKabatら、1991、及びDondelingerら、2018、Frontiers in Immunology,Vol 9,article 2278に記述されている。
【0020】
本明細書で使用する「定常ドメイン」、「定常領域」という用語は、可変領域の外側にある抗体のドメインを指すために互換的に使用される。定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体において同一であるが、あるアイソタイプから別のアイソタイプへは異なる。典型的には、重鎖の定常領域は、N末端からC末端まで、CH1‐ヒンジ‐CH2‐CH3‐任意にCH4で形成され、3つ又は4つの定常ドメインを含む。
【0021】
本発明の抗体分子の定常ドメインは、存在する場合、抗体分子の提案された機能、特に必要とされ得るエフェクター機能を考慮して選択され得る。例えば、定常ドメインは、ヒトIgA、IgD、IgE、IgG又はIgMドメインであってもよい。特に、抗体分子が治療用途に意図され、抗体エフェクター機能が必要とされる場合、特にIgG1及びIgG3アイソタイプのヒトIgG定常ドメインが使用され得る。あるいは、抗体分子が治療目的で、抗体エフェクター機能が必要とされない場合には、IgG2及びIgG4アイソタイプが使用され得る。これらの定常ドメインの配列変異体もまた使用され得ることが理解されよう。例えば、241位のセリン(Kabat番号付けシステムに従った番号付け)が、アンガルら(Angal et al.,1993.A single amino acid substitution abolishes the heterogeneity of chimeric mouse/human(IgG4) antibody as observed during SDS-PAGE analysis Mol Immunol 30,105‐108)(単一のアミノ酸置換は、SDS‐PAGE分析中に観察されるキメラマウス/ヒト(IgG4)抗体の不均一性を廃する)に記載されるようにプロリンに変更され、本明細書ではIgG4Pと呼ばれるIgG4分子を使用することができる。
【0022】
「Fc」、「Fcフラグメント」、及び「Fc領域」は、第1定常免疫グロブリンドメインを除く抗体の定常領域を含む抗体のC末端領域を指すために互換的に使用される。したがって、Fcは、IgA、IgD、及びIgGの最後の2つの定常ドメイン、CH2及びCH3、又はIgE及びIgMの最後の3つの定常ドメイン、及びこれらのドメインのN末端の柔軟なヒンジを指している。ヒトIgG1重鎖Fc領域は、本明細書において、残基C226からそのカルボキシル末端までを含むように定義され、ここで、番号付けは、KabatにおけるようなEUインデックスによるものである。ヒトIgG1の文脈において、下部ヒンジは226~236位を、CH2ドメインは237~340位を、CH3ドメインは341~447位を、KabatにおけるEUインデックスにしたがって指す。他の免疫グロブリンの対応するFc領域は、配列のアラインメントによって同定することができる。
【0023】
本開示の文脈において、存在する場合、定常領域又はFc領域は、機能的なFcR結合ドメイン、好ましくは機能的なFcRn結合ドメインを含むことを条件として、上記で定義したように天然であってもよく、さもなければ様々に修飾されてもよい。好ましくは、修飾された定常領域又はFc領域は、機能性及び/又は薬物動態を改善することにつながる。修飾は、Fcフラグメントの特定の部分の欠失を含んでもよい。修飾は、さらに、抗体の生物学的性質に影響を与えることができる様々なアミノ酸置換を含むことができる。FcRn結合を増加させるための変異、したがってインビボ半減期もまた存在し得る。修飾はさらに、抗体のグリコシル化プロファイルの修飾を含み得る。天然のFcフラグメントは、CH2ドメインでグリコシル化されており、2つの重鎖のそれぞれにおいて、297位のアスパラギン残基(Asn297)に結合したN‐グリカンが存在する。本開示の文脈において、抗体は糖鎖修飾されてもよい。すなわち、特定のグリコシル化プロファイルを有するように改変され、例えば、向上した特性、例えば、向上したエフェクター機能、又は向上した血清半減期を導く。
【0024】
本明細書に記載される抗体は、単離されたものである。「単離された」抗体は、その自然環境の構成要素から(例えば、精製手段によって)分離されたものである。
【0025】
「抗体」という用語は、1価の抗体、すなわち1つのみの抗原結合ドメインを含む抗体(例えば、完全長の重鎖と完全長の軽鎖が連結した1アーム抗体、「ハーフ抗体」とも呼ばれる)、及び多価の抗体、すなわち2つ以上の抗原結合ドメインを含む抗体を包含する。
【0026】
本発明による「抗体」という用語は、抗体の抗原結合フラグメントも包含する。抗体の抗原結合フラグメントには、単鎖抗体(例えばscFv,及びdsscfv)、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、単一ドメイン抗体又はナノボディ(例えばV若しくはV、又はVHH若しくはVNAR)が挙げられる。本発明で使用するための他の抗体フラグメントには、国際特許出願WO2011/117648、WO2005/003169、WO2005/003170及びWO2005/003171に記載されているFab及びFab’フラグメントが挙げられる。
【0027】
これらの抗体フラグメントを作成し、製造する方法は、当技術分野でよく知られている(例えば、Vermaら、1998、Journal of Immunological Methods、216、165‐181を参照)。
【0028】
本明細書で使用する「Fabフラグメント」という用語は、軽鎖のVL(可変軽鎖)ドメインと定常ドメイン(CL)、及び重鎖のVH(可変重鎖)ドメインと第1定常ドメイン(CH1)を含む軽鎖フラグメントを含む抗体フラグメントを意味する。
【0029】
典型的な「Fab’フラグメント」は、重鎖と軽鎖の対を含み、重鎖は可変領域VH、定常ドメインCH1及び天然又は修飾されたヒンジ領域を含み、軽鎖は可変領域VL及び定常ドメインCLを含む。本開示によるFab’の二量体は、例えば、二量化がヒンジを介して行われ得るF(ab’)を作成する。
【0030】
本明細書で使用する「単一ドメイン抗体」という用語は、単一の単量体可変抗体ドメインを含む抗体フラグメントを意味する。単一ドメイン抗体の例としては、V又はV又はVH又はV‐NARが挙げられる。
【0031】
「Fv」は、2つの可変ドメイン、例えば、同族ペアや親和性成熟可変ドメイン、すなわちVHとVLのペアのような共働可変ドメインを指す。
【0032】
本明細書で使用する「一本鎖可変フラグメント」又は「scFv」は、V可変ドメインとV可変ドメインの間のペプチドリンカーによって安定化されている一本鎖可変フラグメントを意味する。
【0033】
本明細書で採用する「ジスルフィド安定化単鎖可変フラグメント」又は「dsscFv」は、V及びV可変ドメイン間のペプチドリンカーによって安定化され、またV及びV間のドメイン間ジスルフィド結合を含む単鎖可変フラグメントを意味する(例えば、Weatherillら、Protein Engineering,Design & Selection,25(321‐329),2012,WO2007109254を参照されたい。
【0034】
一実施形態では、可変ドメインV及びV又はV又はV間のジスルフィド結合は、以下に列挙する残基のうちの2つの間にある(文脈が他に示す場合を除いて、以下のリストではKabat番号付けが採用されている)。Kabat番号付けに言及する場合、関連する文献は、Kabatら、1991年(第5版、Bethesda、Md)、Sequences of Proteins of Immunological Interest、US Department of Health and Human Services、NIH、USAに記載されている。
【0035】
一実施形態では、ジスルフィド結合は、以下のものを含む群から選択される位置:
‐V37+V95C 例えばProtein Science 6,781‐788 Zhu et al(1997)を参照されたい。
‐V44+V100 例えばWeatherillら、Protein Engineering,Design & Selection,25(321‐329),2012を参照されたい。
‐V44+V105 例えば、J Biochem.118,825‐831 Luo et al(1995)を参照されたい。
‐V45+V87 例えば、Protein Science 6,781‐788 Zhu et al(1997)を参照されたい。
‐V55+V101 例えばFEBS Letters 377 135‐139 Young et al(1995)を参照されたい。
‐V100+V50 例えばBiochemistry 29 1362‐1367 Glockshuber et al(1990)を参照されたい。
‐V100b+V49;例えばBiochemistry 29 1362‐1367 Glockshuber et al(1990)を参照されたい。
‐V98+V46 例えばProtein Science 6,781‐788 Zhu et al(1997)を参照されたい。
‐V101+V46 例えばProtein Science 6,781‐788 Zhu et al(1997)を参照されたい。
‐V105+V43 例えば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA Vol.90 pp.7538‐7542 Brinkmann et al(1993);又はProteins 19,35‐47 Jung et al(1994)を参照されたい。
‐V106+V57 例えば、FEBS Letters 377 135‐139 Young et al(1995)を参照されたい。
及び分子内に位置する可変領域対におけるそれに対応する位置(単数又は複数)にある。
一実施形態では、ジスルフィド結合は、位置V44とV100との間に形成される。
【0036】
一実施形態では、本発明の抗IL13抗体は、拮抗抗体である。本明細書で使用される場合、用語「拮抗抗体」は、例えば、IL‐13のIL‐13レセプターへの結合をブロック、又は結合を低減し、したがってレセプターの活性化を阻害することによって、IL‐13の生物学的シグナル伝達活性を阻害又は中和できる抗体を記載する。
【0037】
IL‐13の活性を阻害する抗体は、いくつかの可能性のある作用機序を介して作用し得る。ビン1は、ヒトIL‐13に結合し、IL‐13Rα1の結合を阻止し、その結果、IL‐4Rの結合も阻止する抗体を表す。ビン1抗体は、IL‐13のIL‐13Rα2への結合を阻害することもできる。ビン2は、IL‐13Rα1への結合は可能にするが、IL‐4Rの複合体へのリクルートを阻止するようにhIL‐13と結合する抗体を示す。我々はビン1を経由して作用する抗体を選択していた。
【0038】
一実施形態では、抗IL13抗体は、ヒトIL‐13に結合し、IL‐13Rα1の結合を阻止する。
【0039】
一実施形態では、抗IL13抗体は、ヒトIL‐13に結合し、IL‐13Rα2の結合を阻止する。
【0040】
一実施形態では、抗IL13抗体は、ヒトIL‐13に結合し、IL‐13Rα1及びIL‐13Rα2の結合を阻止する。
【0041】
一実施形態では、抗IL13抗体は、<100pMのKでヒトIL‐13に結合する。
【0042】
本発明で使用するための抗体は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体又はキメラ抗体であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0043】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法(Kohler & Milstein,1975,Nature,256:495‐497)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor et al,1983,Immunology Today,4:72)、EBV‐ハイブリドーマ法(Cole et al,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,pp77‐96,Alan R Liss,Inc,1985)などの当業者に知られている任意の方法によって調製することができる。
【0044】
また、抗体は、例えばBabcook,J.et al.,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93(15):7843‐7848l;WO92/02551;WO2004/051268及び国際特許出願番号WO2004/106377に記載の方法によって、特定の抗体の産生のために選択された単一リンパ球から生成した免疫グロブリン可変領域cDNAをクローニングし発現させることにより、単一リンパ球抗体法を用いて生成することもできる。
【0045】
抗体のスクリーニングは、IL‐13への結合を測定するアッセイ及び/又はIL‐13の1つ以上のレセプターへの結合をブロックする能力を測定するアッセイを用いて行うことができる。結合アッセイの例は、例えば、プレート上に固定化されたIL‐13の融合タンパク質を用いるELISAであり、IL‐13に結合した抗IL‐13抗体を検出するためにコンジュゲートした二次抗体を採用するものである。ブロッキングアッセイの例としては、IL‐13リガンドタンパク質とIL‐13Rの結合のブロッキングを測定するフローサイトメトリーベースのアッセイがある。蛍光標識された二次抗体は、IL‐13Rに結合するIL‐13リガンドタンパク質の量を検出するために使用される。
【0046】
ヒト化抗体(CDRグラフト化抗体を含む)は、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)とヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する抗体分子である(例えば、US5,585,089;WO91/09967を参照されたい)。CDR全体ではなく、CDRの特異性決定残基を移植することだけが必要な場合があることが理解されよう(例えば、Kashmiriら、2005、Methods、36、25‐34を参照)。ヒト化抗体は、任意で、CDRが由来する非ヒト種に由来する1つ以上のフレームワーク残基をさらに含んでもよい。
【0047】
キメラ抗体は、2つの異なる種に由来する要素から構成され、その要素が由来する種の特性を保持するようにしたものである。一般的に、キメラ抗体は、例えばマウス、ラット、ウサギなどの1つの種に由来する可変領域と、ヒトなどの別の種に由来する定常領域を含む。
【0048】
抗体はまた、当技術分野で公知の様々なファージディスプレイ法を用いて生成することができ、Brinkmanら(J.Immunol.Methods,1995,182:41‐50)、Amesら(J.Immunol.Methods,1995,184:177‐186)、Kettleboroughら(Eur.J.Immunol.1994,24:952‐958)、Persic(Gene,1997 187 9‐18)、Burton et al.(Advances in Immunology,1994,57:191‐280)及びWO90/02809;WO91/10737;WO92/01047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO95/20401;及びUS5,698,426;5,223,409;5,403,484;5,580,717;5,427,908;5,750,753;5,821,047;5,571,698;5,427,908;5,516,637;5,780,225;5,658,727;5,733,743及び5,969,108に記載されたものを挙げることができる。
【0049】
完全ヒト抗体とは、重鎖及び軽鎖の両方の可変領域及び定常領域(存在する場合)が全てヒト由来であるか、又はヒト由来の配列と実質的に同一である抗体であるが、必ずしも同じ抗体から得られるとは限らない。完全ヒト抗体の例としては、例えば上記のファージディスプレイ法によって作製された抗体、及びマウス免疫グロブリン可変領域遺伝子及び任意に定常領域遺伝子がヒト対応物に置換されたマウスによって作製された抗体、例えば、EP0546073、US5,545,806、US5,569,825、US5,625,126、US5,633,425、US5,661,016、US5,770,429、EP0438474及びEP0463151に一般的用語で記載されているような抗体を挙げることができる。
【0050】
本発明の抗体は、多重特異性抗体であってもよい。本明細書で採用する「多重特異性抗体又はマルチスペシフィック抗体」とは、少なくとも2つの結合ドメイン、すなわち2つ以上の結合ドメイン、例えば2つ又は3つの結合ドメインを有し、少なくとも2つの結合ドメインが独立して2種類の異なる抗原又は同じ抗原上の2種類の異なるエピトープを結合する本明細書に記載の抗体のことをいう。多重特異性抗体は、一般に、各特異性(抗原)に対して一価である。本明細書に記載の多重特異性抗体は、1価及び多価、例えば、2価、3価、4価の多重特異性抗体を包含する。
【0051】
一実施形態では、構築物は、二重特異性抗体である。本明細書で採用する「二重特異性又はバイスペシフィック抗体」は、2つの抗原結合特異性を有する抗体を指す。一実施形態では、抗体は、2つの抗原結合ドメインを含み、一方の結合ドメインが抗原1を結合し、他方の結合ドメインが抗原2を結合する、すなわち、各結合ドメインが各抗原に対して一価である。一実施形態では、抗体は4価の二重特異性抗体であり、すなわち、抗体は4つの抗原結合ドメインを含み、例えば2つの結合ドメインが抗原1を結合し、他の2つの結合ドメインが抗原2を結合する。一実施形態では、抗体は、3価の二重特異性抗体である。
【0052】
一実施形態では、抗体構築物は、三重特異性抗体である。本明細書で採用される「三重特異性又はトリスペシフィック抗体」は、3つの抗原結合特異性を有する抗体を指す。例えば、抗体は、独立して3つの異なる抗原又は同じ抗原上の3つの異なるエピトープに結合する、すなわち、各結合ドメインが各抗原に対して一価である3つの抗原結合ドメイン(3価)を有する抗体である。
【0053】
パラトープとは、抗原を認識して結合する抗体の領域のことである。本発明の抗体は、マルチパラトピック抗体であってもよい。本明細書で採用される「マルチパラトピック抗体」は、本明細書に記載されるような、同じ抗原からの又は2つの異なる抗原からの、異なるエピトープと相互作用する2つ以上の異なるパラトープを含む抗体をいう。本明細書に記載されるマルチパラトピック抗体は、バイパラトピック、トリパラトピック、テトラパラトピックであってもよい。
【0054】
本明細書で採用する「抗原結合ドメイン」とは、抗体の一部であって、標的抗原と特異的に相互作用する1つ以上の可変ドメインの一部又は全体、例えば一対の可変ドメインVH及びVLの一部又は全体を含むものをいう。結合ドメインは、単一ドメイン抗体を含んでもよい。一実施形態では、各結合ドメインは一価である。好ましくは、各結合ドメインは、1つ以下のVH及び1つのVLを含む。
【0055】
様々なマルチスペシフィック抗体フォーマットが生み出されてきた。異なる分類が提案されているが、多重特異性IgG抗体フォーマットは、一般に、二重特異性IgG、付加IgG、多重特異性(例えば二重特異性)抗体フラグメント、多重特異性(例えば二重特異性)融合タンパク質、及び多重特異性(例えば二重特異性)抗体コンジュゲートを含み、例えば、Spiessら、Alternative molecular formats and therapeutic applications for bispecific antibodies.Mol Immunol.67(2015):95‐106(二重特異性抗体の代替分子フォーマットと治療への応用)に記載の通りである。
【0056】
二重特異性抗体を作るための技術には、CrossMab技術(Kleinら、Engineering therapeutic bispecific antibodies using CrossMab technology,Methods 154(2019)21‐31)(CrossMab技術による治療用二重特異性抗体の作製)、ノブインホール(Knobs‐in‐holes)工学(例えばWO1996027011、WO1998050431)、DuoBody技術(例えばWO2011131746)、Azymetric技術(例えばWO2012058768)などがあるが、それだけにとどまるわけではない。二重特異性抗体を作製するためのさらなる技術は、例えば、Godarら、2018、Therapeutic bispecific antibody formats: a patent applications review(1994‐2017),Expert Opinion on Therapeutic Patents,28:3,251‐276(二重特異性抗体の治療用フォーマット:特許出願レビュー)で説明されている。二重特異性抗体には、特にCrossMab抗体、DAF(two‐in‐one)、DAF(four‐in‐one)、DutaMab、DT‐lgG、ノブインホール共通LC(Knobs-in-holes common LC)、ノブインホールアセンブリ、チャージペア、Fab‐アーム交換、SEEDbody、Triomab、LUZ‐Y、Fcab、κλ体及び直交Fabを挙げることができる。
【0057】
付加IgGは、通常、IgGの重鎖及び/又は軽鎖のN末端及び/又はC末端に追加の抗原結合ドメイン又は抗原結合フラグメントを付加することによって改変された完全長IgGを含む。このような追加の抗原結合フラグメントの例としては、sdAb抗体(例えば、VH又はVL)、Fv、scFv、dsscFv、Fab、scFavがある。付加IgG抗体フォーマットは、特にDVD‐IgG、lgG(H)‐scFv、scFv‐(H)lgG、lgG(L)‐scFv、scFv‐(L)lgG、lgG(L,H)‐Fv、lgG(H)‐V、V(H)‐lgG、lgC(L)‐V、V(L)‐lgG、KIH IgG‐scFab、2scFv‐lgG、lgG‐2scFv、scFv4‐lg、Zybody及びDVI‐IgG(four‐in‐one)、例えばSpiess et al.,Alternative molecular formats and therapeutic applications for bispecific antibodies. Mol Immunol.67(2015):95‐106(二重特異性抗体の代替分子フォーマットと治療への応用。)に記載されるものを含む。
【0058】
多重特異性抗体フラグメントとしては、例えば、Spiess et al.,Alternative molecular formats and therapeutic applications for bispecific antibodies.Mol Immunol.67(2015):95‐106(二重特異性抗体の代替分子フォーマットと治療への応用。)に記載されるように、ナノボディ(nanobody)、ナノボディ‐HAS、BiTE、ダイアボディ(diabody)、DART、TandAb、scDiabody、sc‐Diabody‐CH3、Diabody‐CH3、トリプルボディ(Triple Body)、ミニ抗体(Miniantibody);ミニボディ(minibody)、トリビミニボディ(Tri Bi minibody)、scFv‐CH3 KIH、Fab‐scFv、scFv‐CH‐CL‐scFv、F(ab’)2、F(ab’)2‐scFv2、scFv‐KIH、Fab‐scFv‐Fc、4価のHCAb、scDiabody‐F、Diabody‐FC、タンデム scFv‐F;及びイントラボディ(intrabody)が挙げられる。
【0059】
多重特異性融合タンパク質には、ドックアンドロック(Dock and Lock)、ImmTAC,HSAbody,scDiabody‐HAS、及びタンデム scFv‐トキシンが挙げられる。
【0060】
多重特異性抗体コンジュゲートには、IgG‐lgG、Cov‐X‐Body、scFv1‐PEG‐scFv2がある。
【0061】
追加の多重特異性抗体フォーマットは、例えばBrinkmann and Kontermann,The making of bispecific antibodies,mAbs,9:2,182‐212(2017)、特に図2に、例えばタンデムscFv、トリプルボディ、Fab‐VHH、taFv‐Fc、scFv‐Ig、scFv‐Fcab、scFv‐IgGで説明されている。バイボディ(bibodies)、トリボディ(tribodies)及びその製造方法は、例えば、WO99/37791に開示されている。
【0062】
本発明で使用するための好ましい抗体は、付加IgG及び付加Fabを含み、ここで、全IgG又はFabフラグメントはそれぞれ、例えば、WO2009/040562、WO2010/035012、WO2011/030107、WO2011/061492、WO2011/061246及びWO2011/086091に記載されているように、前記IgG又はFabの重鎖及び/又は軽鎖のN末端及び/又はC末端に、少なくとも1つの追加の抗原結合ドメイン(例えば、2つ、3つ又は4つの追加の抗原結合ドメイン)、例えば単一ドメイン抗体(VH又はVL、又はVHH等)、scFv、dsscFv、dsFvを付加することによって設計される。特に、Fab‐FvフォーマットはWO2009/040562に記載されており、そのジスルフィド安定化バージョンであるFab‐dsFvはWO2010/035012に記載されている。dsFvが、FvのVLドメイン又はVHドメインのいずれかと、FabのLC又はHCのC末との間で、単一リンカーを介してFabに連結されている、単一リンカーFab‐dsFvが、WO2014/096390に記載されている。IgGの重鎖又は軽鎖のC末端にdsFvを付加することによって設計された全長IgG1を含む付加IgGは、WO2015/197789に記載されている。
【0063】
本発明で使用するための別の好ましい抗体は、2つのscFv又はdsscFvに連結したFabを含み、各scFv又はdsscFvは同じ又は異なる標的(例えば、治療標的を結合する1つのscFv又はdsscFv、及び例えば、アルブミンを結合することによって半減期を増加する1つのscFv又はdsscFv)と結合している。そのような抗体は、WO2015/197772に記載されている。本発明フラグメントで使用するための別の好ましい抗体は、例えばWO2013/068571及びDaveら、Mabs、8(7)1319‐1335(2016)に記載されているように、1つのscFv又はdsscFvのみに結合したFabを含む。
【0064】
一実施形態では、本発明は、CDR‐L1について配列番号1に示される配列を有する少なくとも1つのCDR、CDR‐L2について配列番号2に示される配列を有するCDR又はCDR‐L3について配列番号3に示される配列を有するCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、ヒトIL‐13に対して特異性を有する抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0065】
一実施形態では、本発明は、CDR‐L1について配列番号1に示される配列を有するCDR、CDR‐L2について配列番号2に示される配列を有するCDR及びCDR‐L3について配列番号3に示される配列を有するCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、ヒトIL‐13に対して特異性を有する抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0066】
一実施形態では、本発明は、CDR‐H1について配列番号4に示される配列を有する少なくとも1つのCDR、CDR‐H2について配列番号5に示される配列を有するCDR又はCDR‐H3について配列番号6に示される配列を有するCDRを含む重鎖可変ドメインを含む、ヒトIL‐13に対して特異性を有する抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0067】
一実施形態では、本発明は、CDR‐H1について配列番号4に示される配列を有するCDR、CDR‐H2について配列番号5に示される配列を有するCDR及びCDR‐H3について配列番号6に示される配列を有するCDRを含む重鎖可変ドメインを含む、ヒトIL‐13に対して特異性を有する抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0068】
本発明の抗体分子は、それぞれ相補的な軽鎖又は相補的な重鎖を含んでいてもよい。
【0069】
したがって、1つの実施形態において、本発明は、ヒトIL‐13に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントであって、以下を含む抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
(a)以下を含む軽鎖可変領域:
i.配列番号1を含むCDR‐L1、
ii 配列番号2を含むCDR‐L2、及び
iii 配列番号3を含むCDR‐L3;
及び
(b)以下を含む重鎖可変領域:
i.配列番号4を含むCDR‐H1、
ii 配列番号5を含むCDR‐H2、及び
iii 配列番号6を含むCDR‐H3;及び
【0070】
IL‐13に結合し、IL‐13活性を中和する抗体の能力を著しく変化させることなく、本発明によって提供されるCDRに1つ以上のアミノ酸置換、付加及び/又は欠失を行うことができることが理解されるであろう。任意のアミノ酸置換、付加及び/又は欠失の効果は、例えば、本明細書に記載された方法、特に実施例に例示された方法を用いて、IL‐13結合及びIL‐13/IL‐13レセプター相互作用の阻害を決定することにより、当業者によって容易に試験することができる。
【0071】
したがって、本発明は、CDR‐L1(配列番号1)、CDR‐L2(配列番号2)、CDR‐L3(配列番号3)、CDR‐H1(配列番号4)、CDR‐H2(配列番号5)及びCDR‐H3(配列番号6)から選ばれる1以上のCDRを含むヒトIL‐13に対して特異性を有する抗体を提供するものであり、これらにおいては、1つ又は複数のCDRにおける1つ又は複数のアミノ酸が別のアミノ酸、例えば、以下に定義する類似のアミノ酸で置換されているものである。
【0072】
一実施形態では、本発明は、例えば、CDR‐L1(配列番号1)、CDR‐L2(配列番号2又は配列番号20)、CDR‐L3(配列番号3)、CDR‐H1(配列番号4)、CDR‐H2(配列番号5)及びCDR‐H3(配列番号6)を含む、ヒトIL‐13に対して特異性を有する抗体を提供するものであり、これらにおいては、1つ又は複数のCDRにおける1つ又は複数のアミノ酸が別のアミノ酸、例えば、以下に定義する類似のアミノ酸で置換されているものである。
【0073】
本明細書で使用する「同一性」とは、位置合わせした配列中の任意の特定の位置において、アミノ酸残基が配列間で同一であることを示す。本明細書で使用する「類似性」とは、位置合わせした配列中の任意の特定の位置で、アミノ酸残基が配列間で類似のタイプであることを示す。例えば、ロイシンで、イソロイシン又はバリンを置き換えてもよい。しばしば互いに置き換え得る他のアミノ酸には、以下が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
‐フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン(芳香族側鎖を有するアミノ酸)、
‐リジン、アルギニン及びヒスチジン(塩基性側鎖を有するアミノ酸)、
‐アスパラギン酸及びグルタミン酸(酸性側鎖を有するアミノ酸)、
‐アスパラギン及びグルタミン(アミド側鎖を有するアミノ酸)、及び
‐システイン及びメチオニン(硫黄含有側鎖を有するアミノ酸)。同一性や類似性の程度は容易に計算できる(Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing.Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Inc,Academic Press,1987、Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991、NCBIから入手できるBLASTTMソフトウェア(Altschul,S.F.et al,1990,J.Mol.Biol.215:403‐410;Gish,W.& States,D.J.1993,Nature Genet.3:266‐272.Madden,T.L.et al.,1996,Meth.Enzymol.266:131‐141;Altschul,S.F.et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389‐3402;Zhang,J.&Madden,T.L.1997,Genome Res.7:649‐656,)に記載のとおりである。
【0074】
一実施形態では、本発明の抗体は、CDR‐L1の配列が配列番号1に示される配列に対して少なくとも70%、80%、90%、95%若しくは98%の同一性又は類似性を有し、CDR‐L2が配列番号2に示される配列に対して少なくとも70%、80%、90%、95%若しくは98%の同一性又は類似性を有し、及び/又はCDR‐L3が配列番号3に示された配列に対して少なくとも70%、80%、90%、95%若しくは98%の同一性又は類似性を有する3つのCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0075】
一実施形態では、本発明の抗体は、CDR‐H1の配列が配列番号4に示される配列に対して少なくとも70%、80%、90%、95%又は98%の同一性又は類似性を有し、CDR‐H2が配列番号5に示される配列に対して少なくとも70%、80%、90%、95%又は98%の同一性又は類似性を有し、及び/又はCDR‐H3が配列番号6に示される配列に対して少なくとも70%、80%、90%、95%又は98%の同一性又は類似性を有する3つのCDRを含む重鎖可変ドメインを含む。
【0076】
一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号13又は配列番号17に示される配列を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号13又は配列番号17に示される配列に対して少なくとも70%、80%、90%、95%又は98%の同一性又は類似性を有する配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0077】
一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号14又は配列番号18に示される配列を含む重鎖可変領域を含む。一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号14又は配列番号18に示される配列に対して少なくとも70%、80%、90%、95%又は98%の同一性又は類似性を有する配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0078】
一実施形態では、本発明の抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域は、配列番号13に示される配列を含み、重鎖可変領域は、配列番号14に示される配列を含む。一実施形態では、本発明の抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域は、配列番号13に示されたものに対して少なくとも70%、80%、90%、95%又は98%の同一性又は類似性を有する配列を含み、及び/又は重鎖可変領域は、配列番号14に示されたものに対して少なくとも70%、80%、90%、95%又は98%の同一性又は類似性を有する配列を含む。
【0079】
一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号1/2/3/4/5/6をそれぞれ含むCDR‐L1/CDR‐L2/CDR‐L3/CDR‐H1/CDR‐H2/CDR‐H3配列を含み、軽鎖及び重鎖可変領域の残りは、配列番号13及び14又は配列番号17及び18とそれぞれ少なくとも70%、80%、90%、95%又は98%同一又は類似性を有している。
【0080】
一実施形態では、本発明の抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、dsFv、scFv、又はdsscFvである。一実施形態では、本発明の抗体は、単一ドメイン抗体又はナノボディ、例えば、V又はV又はVHH又はVNARである。
【0081】
一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号21に示される配列、又は配列番号21に示される配列に対して少なくとも70%、80%、90%、95%又は98%の同一性又は類似性を有する配列を含むscFvである。
【0082】
一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号1/2/3/4/5/6でそれぞれ示されるCDR‐L1/CDR‐L2/CDR‐L3/CDR‐H1/CDR‐H2/CDR‐H3配列を含むscFvであり、そのscFv残部は配列番号21に対して少なくとも70%、80%、90%、95%、又は98%の同一性及び類似性を有している。
【0083】
一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号23に示される配列、又は配列番号23に示される配列に対して少なくとも70%、80%、90%、95%、又は98%の同一性又は類似性を有する配列を含むdsscFvである。
【0084】
一実施形態では、本発明の抗体は、配列番号1/2/3/4/5/6にそれぞれ示されるCDR‐L1/CDR‐L2/CDR‐L3/CDR‐H1/CDR‐H2/CDR‐H3配列を含むdsscFvであり、そのdsscFvの残りは配列番号23に対して少なくとも70%、80%、90%、95%、又は98%の同一性又は類似性を有している。
【0085】
一実施形態では、抗体は、重鎖及び軽鎖含み、重鎖はCH1ドメインを含み、軽鎖はCLドメイン、カッパ又はラムダのいずれかを含む。
【0086】
抗体やそのフラグメントなどの生体分子は、酸性及び/又は塩基性の官能基を含んでおり、それによって分子に正又は負の電荷を与えている。全体の「観測される」電荷の量は、実体の絶対的なアミノ酸配列、3次元構造における荷電基の局所的な環境、及び分子の環境条件によって決まる。等電点(pI)とは、特定の分子又は表面が正味の電荷を運ばないpHである。一実施形態では、本開示による抗体又はフラグメントは、少なくとも7の等電点(pI)を有する。一実施形態では、抗体又はフラグメントは、8.5、8.6、8.7、8.8又は9などの、少なくとも8の等電点を有する。一実施形態では、抗体のpIは8である。
【0087】
本発明のIL‐13抗体及びフラグメントは、適切な等電点を有するように設計され得る。これは、より堅牢な特性、特に適切な溶解度及び/又は安定性プロファイルを有する抗体及び/又はフラグメントをもたらし得る。したがって、1つの態様において、本発明は、もともと同定された抗体の等電点とは異なる等電点を有するように改変されたヒト化IL‐13抗体を提供する。抗体は、例えば、酸性アミノ酸残基を1つ又は複数の塩基性アミノ酸残基に置き換えるなど、アミノ酸残基を置き換えることによって改変されてもよい。あるいは、塩基性アミノ酸残基を追加してもよいし、酸性アミノ酸残基を除去してもよい。あるいは、分子が許容できないほど高いpI値を持つ場合、必要に応じて酸性残基を導入してpHを下げてもよい。改変された抗体又はフラグメントのpIは、例えば8以上、例えば8.5又は9とすることができる。pIを操作する場合、抗体又はフラグメントの望ましい活性を保持するように注意しなければならないことが重要である。したがって、1つの実施形態において、改変された抗体又はフラグメントは、「非修飾」抗体又はフラグメントと同じ又は実質的に同じ活性を有する。
【0088】
抗体又はフラグメントの等電点を予測するために、**ExPASY http://www.expasy.ch/tools/pi_tool.html及びhttp://www.iut‐arles.up.univ‐mrs.fr/w3bb/d_abim/compo‐p.htmlのようなプログラムを使用することができる。
【0089】
エピトープ
エピトープとは、抗体と結合する抗原の領域のことである。エピトープの定義は構造的なものと機能的なものとに分けられる。機能的エピトープは、一般に構造的エピトープのサブセットであり、相互作用の親和性に直接寄与する残基を有する。エピトープはまた、立体配座的であってもよく、すなわち、非直鎖アミノ酸で構成されていてもよい。特定の実施形態では、エピトープは、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基、又はスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面基である決定基を含んでよく、特定の実施形態では、特定の三次元構造特性、及び/又は特定の電荷特性を有することができる。
【0090】
ある抗体が参照抗体と同じエピトープに結合するか、あるいは参照抗体と結合を競合するかどうかは、当該技術分野で知られている日常的な方法を用いて容易に決定することができる。例えば、試験抗体が本発明の参照抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、参照抗体は飽和条件下でタンパク質又はペプチドに結合させられる。次に、試験抗体がタンパク質又はペプチドに結合する能力を評価する。参照抗体との飽和結合後、試験抗体がタンパク質又はペプチドに結合できる場合、試験抗体は参照抗体とは異なるエピトープに結合すると判断することができる。一方、試験抗体が参照抗体との飽和結合後にタンパク質又はペプチドに結合できない場合、試験抗体は、本発明の参照抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合している可能性がある。
【0091】
抗体が参照抗体と結合するために競合するかどうかを決定するために、上記の結合方法は2つの方法で実行される。第一の方法では、参照抗体を飽和条件下でタンパク質/ペプチドに結合させ、その後、試験抗体のタンパク質/ペプチド分子への結合を評価する。第二の方法では、試験抗体を飽和条件下でタンパク質/ペプチドに結合させ、その後、参照抗体のタンパク質/ペプチドへの結合を評価する。両方の方法で、第一(飽和)抗体だけがタンパク質/ペプチドに結合できる場合、試験抗体と参照抗体はタンパク質/ペプチドへの結合について競合すると結論付けられる。当業者には理解されるように、参照抗体と結合を競合する抗体は、必ずしも参照抗体と同一のエピトープに結合するとは限らず、重複又は隣接するエピトープに結合することによって参照抗体の結合を立体的にブロックすることがある。
【0092】
2つの抗体は、それぞれが他方の抗体の抗原への結合を競合的に阻害(ブロック)する場合、同一又は重複するエピトープに結合する。すなわち、1‐、5‐、10‐、20‐又は100倍過剰の一方の抗体は、競合結合アッセイで測定した場合、他方の結合を少なくとも50%、75%、90%又は99%さえ阻害する(例えば、Junghansら、Cancer Res、1990:50:1495‐1502を参照されたい)。あるいは、一方の抗体の結合を減少又は除去する抗原の本質的にすべてのアミノ酸変異が他方の抗体の結合を減少又は除去する場合、2つの抗体は同じエピトープを有する。一方の抗体の結合を減少又は除去するいくつかのアミノ酸変異が他方の抗体の結合を減少又は除去する場合、2つの抗体は重複するエピトープを有する。
【0093】
その後、追加のルーチン実験(例えば、ペプチド変異及び結合分析)を実施して、試験抗体の観察された結合の欠如が、実際に参照抗体と同じエピトープへの結合によるものか、又は立体的なブロッキング(又は別の現象)が観察された結合の欠如の原因であるかを確認することができる。この種の実験は、ELISA、RIA、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリー、又は当技術分野で利用可能な他の定量的又は定性的な抗体結合アッセイを用いて実施することができる。
【0094】
抗体は、軽鎖、重鎖、軽鎖可変領域(LCVR)、重鎖可変領域(HCVR)又はCDR配列の観点から上で定義されたものと、IL‐13への結合を競合する、又はそれと同じエピトープに結合することができる。特に、抗体は、配列番号1/2/3/4/5/6のCDR‐L1/CDR‐L2/CDR‐L3/CDR‐H1/CDR‐H2/CDR‐H3配列の組み合わせを含む抗体と、IL‐13への結合を競合する、又はそれと同じエピトープに結合することができる。抗体は、配列番号13/14又は17/18のLCVR及びHCVR配列の組を含む抗体と、IL‐13への結合を競合する、又はそれと同じエピトープに結合することができる。抗体は、配列番号21に示される配列を含むscFv、又は配列番号23に示される配列を含むdsscFvと、IL‐13への結合を競合する、又はそれと同じエピトープに結合することができる。
【0095】
エフェクター分子
所望により、本発明で使用するための抗体は、1つ又は複数のエフェクター分子にコンジュゲートされていてもよい。エフェクター分子は、単一のエフェクター分子、又は本発明の抗体に結合できる単一の部位を形成するように連結された2つ以上のそのような分子を含むことができることが理解されよう。エフェクター分子に結合した抗体フラグメントを得たい場合、これは、抗体フラグメントがエフェクター分子に直接又はカップリング剤を介して結合する標準的な化学的又は組み換えDNA手順によって調製することができる。このようなエフェクター分子を抗体にコンジュゲートさせる技術は、当技術分野でよく知られている(Hellstromら、Controlled Drug Delivery,2nd Ed.,Robinsonら、eds.,1987,pp.623‐53;Thorpeら、1982 、Immunol.Rev.,62:119‐58及びDubowchikら,1999,Pharmacology and Therapeutics,83,67‐123参照)。特定の化学的手順には、例えば、WO93/06231、WO92/22583、WO89/00195、WO89/01476及びWO03031581に記載のものが挙げられる。あるいは、エフェクター分子がタンパク質又はポリペプチドの場合、結合は、例えばWO86/01533及びEP0392745に記載されているように、組換えDNA手順を用いて達成され得る。
【0096】
本明細書で使用するエフェクター分子という用語には、例えば、抗悪性腫瘍剤、薬剤、毒素、生物学的に活性なタンパク質、例えば酵素、他の抗体又は抗体フラグメント、合成又は天然由来のポリマー、核酸及びそのフラグメント、例えばDNA、RNA及びそのフラグメント、放射性核種、特に放射性ヨウ化物、ラジオアイソトープ、キレート金属、ナノ粒子及びレポーター基、例えば蛍光化合物又はNMR若しくはESR分光法により検出できる化合物などが挙げられる。
【0097】
エフェクター分子の例としては、細胞に有害な(例えば、殺す)任意の薬剤を含む細胞毒素又は細胞毒性薬剤が含まれ得る。例としては、コンブレスタチン、ドラスタチン、エポチロン、スタウロスポリン、メイタンシノイド、スポンジスタチン、リゾキシン、ハリコンドリン、ロリジン、ヘミアステルリン、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1‐デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、プロマイシン及びそれらのアナログ又は同族体が挙げられる。
【0098】
エフェクター分子にはまた、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6‐メルカプトプリン、6‐チオグアニン、シタラビン、5‐フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、及びシス‐ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧ダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミスラマイシン、アントラマイシン(AMC)、カリケアマイシン又はデュオカルマイシン)、及び抗有糸分裂薬(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0099】
その他のエフェクター分子としては、111Inや90Y、Lu177、ビスマス213、カリホルニウム252、イリジウム192、タングステン188/レニウム188などのキレート化放射性核種、又はアルキルホスホコリン、トポイソメラーゼI阻害剤、タキソイド、スラミンなどではあるが、それらにとどまらない薬物が挙げられる。
【0100】
その他のエフェクター分子としては、タンパク質、ペプチド、酵素などが挙げられる。興味のある酵素には、タンパク質分解酵素、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼが挙げられるが、これらに限定されるものではない。関心のあるタンパク質、ポリペプチド及びペプチドには、免疫グロブリン、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、又はジフテリア毒素などの毒素、インスリン、腫瘍壊死因子、α‐インターフェロン、β‐インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子又は組織プラスミノーゲン活性剤などのタンパク質、血栓剤又は血管新生阻害剤、例えばアンジオスタチン又はエンドスタチン、又は、リンホカイン、インターロイキン‐1(IL‐1)、インターロイキン‐2(IL‐2)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)、神経成長因子(NGF)などの生体応答調節因子又は他の成長因子及び免疫グロブリンを挙げることができるが、それらに限られるわけではない。
【0101】
他のエフェクター分子には、例えば診断に有用な検出可能な物質が挙げられる。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補綴基、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性核種、ポジトロン放出金属(ポジトロン放出断層撮影における使用のため)、及び非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。診断薬として使用するために抗体にコンジュゲートさせることができる金属イオンについては、一般に米国特許第4,741,900号を参照されたい。適当な酵素には、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適当な補体基にはストレプトアビジン、アビジン及びビオチンが挙げられ;適当な蛍光性物質にはウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド及びフィコエリトリンなどが挙げられ;適切な発光材料にはルミノールが挙げられ;適切な生物発光材料にはルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びイクオリンが挙げられ;及び適切な放射性核種には125I、131I、111In、及び99Tcが挙げられる。
【0102】
別の例では、エフェクター分子は、インビボでの抗体の半減期を増加させ、及び/又は抗体の免疫原性を低下させ、及び/又は上皮障壁を越えて免疫系への抗体の送達を強化し得る。このタイプの適切なエフェクター分子の例としては、ポリマー、アルブミン、アルブミン結合タンパク質、又はWO05/117984に記載されているものなどのアルブミン結合化合物が挙げられる。
【0103】
エフェクター分子がポリマーである場合、それは一般に、合成又は天然由来のポリマー、例えば、任意に置換された直鎖又は分岐鎖のポリアルキレン、ポリアルケニレン又はポリオキシアルキレンポリマー、又は分岐若しくは非分岐多糖、例えば、ホモ若しくはヘテロ多糖であってもよい。
【0104】
上記合成ポリマー上に存在し得る具体的な任意の置換基としては、1つ以上のヒドロキシ基、メチル基又はメトキシ基が挙げられる。
【0105】
合成ポリマーの具体例としては、任意に置換された直鎖又は分岐鎖のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)ポリ(ビニルアルコール)又はその誘導体、特にメトキシポリ(エチレングリコール)又はその誘導体などの任意に置換されたポリ(エチレングリコール)が挙げられる。
【0106】
具体的な天然由来のポリマーとしては、ラクトース、アミロース、デキストラン、グリコーゲン又はその誘導体などが挙げられる。
【0107】
本明細書で使用する「誘導体」は、反応性誘導体、例えばマレイミドなどのチオール選択的反応性基を含むことを意図している。反応性基は、ポリマーに直接又はリンカーセグメントを介して連結されてもよい。このような基の残基は、場合によっては、抗体フラグメントとポリマーとの間の連結基として生成物の一部を形成することが理解されよう。
【0108】
ポリマーのサイズは所望により変化させることができるが、一般に500Daから50000Da、例えば5000から40000Da、例えば20000から40000Daの平均分子量範囲になる。ポリマーサイズは特に、例えば腫瘍などの特定の組織に局在化する能力、又は循環半減期を延長する能力などの製品の意図された使用に基づいて選択され得る(レビューについては、Chapman,2002,Advanced Drug Delivery Reviews,54,531‐545を参照されたい)。したがって、例えば、製品が循環を離れて組織に浸透することを意図している場合、例えば約5000Daの分子量を有する低分子量ポリマーを使用することが有利である場合がある。製品が循環系に留まる用途では、例えば分子量が20000Daから40000Daの範囲にあるような、より高分子量のポリマーを使用することが有利である場合がある。
【0109】
好適なポリマーとしては、ポリアルキレンポリマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)、又は特にメトキシポリ(エチレングリコール)又はその誘導体、特に分子量が約15000Da~約40000Daの範囲であるものが挙げられる。
【0110】
一例では、本発明で使用するための抗体は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)部位に結合している。ある特定の例では、抗体は抗体フラグメントであり、PEG分子は、抗体フラグメントに位置する任意の利用可能なアミノ酸側鎖又は末端アミノ酸官能基、例えば任意の遊離アミノ、イミノ、チオール、ヒドロキシル又はカルボキシル基を介して結合されてもよい。そのようなアミノ酸は、抗体フラグメント中に天然に存在してもよいし、組換えDNA法を用いてフラグメント中に設計されてもよい(例えばUS5,219,996;US5,667,425;WO98/25971を参照されたい)。一例として、本発明の抗体分子は修飾Fabフラグメントであり、その修飾は、エフェクター分子の結合を可能にするために、その重鎖のC末端に1つ以上のアミノ酸を付加することである。好適には、追加のアミノ酸は、エフェクター分子が結合され得る1つ以上のシステイン残基を含む修飾されたヒンジ領域を形成する。複数の部位は、2つ以上のPEG分子を結合させるために使用することができる。
【0111】
好適には、PEG分子は、抗体フラグメントに位置する少なくとも1つのシステイン残基のチオール基を介して共有結合していてもよい。修飾抗体フラグメントに結合した各ポリマー分子は、フラグメントに位置するシステイン残基の硫黄原子に共有結合していてもよい。共有結合は、一般に、ジスルフィド結合又は特に硫黄‐炭素結合であろう。チオール基が適切な活性化エフェクター分子の結合点として使用される場合、例えばマレイミド及びシステイン誘導体のようなチオール選択的誘導体が使用され得る。活性化ポリマーは、上記のようなポリマー修飾抗体フラグメントの調製において出発物質として使用することができる。活性化ポリマーは、α‐ハロカルボン酸又はエステル、例えばヨードアセトアミド、イミド、例えばマレイミド、ビニルスルホン又はジスルフィドなどのチオール反応性基を含む任意のポリマーであってもよい。このような出発材料は、商業的に入手することができ(例えば、Nektar、旧Shearwater Polymers Inc.、Huntsville、AL、USAから)、又は従来の化学手順を使用して商業的に入手できる出発材料から調製することもできる。特定のPEG分子には、20Kメトキシ‐PEG‐アミン(Nektar、旧Shearwater;Rapp Polymere;及びSunBioから入手可能)及びM‐PEG‐SPA(Nektar、旧Shearwaterから入手可能)などがある。
【0112】
一実施形態では、抗体は、PEG化されている、すなわち、例えばEP0948544又はEP1090037に開示されている方法に従って、そこにPEG(ポリ(エチレングリコール))が共有結合している修飾Fabフラグメント又はdiFabである[”Poly(ethyleneglycol) Chemistry, Biotechnical and Biomedical Applications”、1992、J.Milton Harris(ed),Plenum Press,New York、”Poly(ethyleneglycol) Chemistry and Biological Applications”、1997、J.Milton Harris and S.Zalipsky(eds),American Chemical Society,Washington DC、及び”Bioconjugation Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences”,1998,M.Aslam and A.Dent,Grove Publishers,New York;Chapman,A.2002,Advanced Drug Delivery Reviews 2002,54:531‐545も参照されたい]。一実施例では、PEGはヒンジ領域のシステインに結合している。一実施例では、PEG修飾Fabフラグメントは、修飾ヒンジ領域において単一のチオール基に共有結合されたマレイミド基を有する。リジン残基は、マレイミド基に共有結合していてもよく、リジン残基上のアミン基の各々に、約20,000Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーが結合してよい。したがって、Fabフラグメントに結合したPEGの総分子量は、約40,000Daであってもよい。
【0113】
一実施形態では、本発明は、ヒトIL‐13に対する特異性を有する拮抗抗体分子を提供し、これは、その重鎖のC末端に、エフェクター分子が結合している少なくとも1つのシステイン残基を含む修飾ヒンジ領域を有する修飾Fab’フラグメントである。好適には、エフェクター分子はPEGであり、(WO98/25971及びWO2004072116又はWO2007/003898に記載の方法を用いて結合させることができる。エフェクター分子は、国際特許出願WO2005/003169、WO2005/003170及びWO2005/003171に記載の方法を用いて抗体フラグメントに結合させることができる。
【0114】
一実施形態では、抗体又はフラグメントは、エフェクター分子が結合していない。
【0115】
抗体の製造
本発明はまた、本発明の抗体分子の重鎖及び/又は軽鎖(複数可)をコードする単離されたDNA配列を提供する。好適には、DNA配列は、本発明の抗体分子の重鎖又は軽鎖をコードする。本発明のDNA配列は、例えば化学処理、cDNA、ゲノムDNA又はそれらの任意の組み合わせによって製造された合成DNAを含むものであってもよい。
【0116】
本発明の抗体分子をコードするDNA配列は、当業者によく知られた方法によって得ることができる。例えば、抗体重鎖及び軽鎖の一部又は全部をコードするDNA配列は、決定されたDNA配列から、又は対応するアミノ酸配列に基づいて所望により合成され得る。
【0117】
アクセプターフレームワーク配列をコードするDNAは、当業者であれば広く入手可能であり、その既知のアミノ酸配列に基づいて容易に合成することが可能である。
【0118】
本発明の抗体分子をコードするDNA配列を調製するために、分子生物学の標準的な技術を用いることができる。所望のDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成技術を使用して、完全に又は部分的に合成され得る。部位特異的突然変異誘発法及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を適宜使用してもよい。
【0119】
好適な配列の例は、本明細書に提供される。したがって、1つの実施形態では、本発明は、配列番号8、10、15、16、19、20、22又は24に示される配列を含む、抗体又は抗原結合フラグメントをコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0120】
ベクターが構築され得る一般的な方法、トランスフェクション方法、及び培養方法は、当業者によく知られている。この点に関しては、「Current Protocols in Molecular Biology」、1999年、F.M.Ausubel(ed),Wiley Interscience,New York及びCold Spring Harbor Publishingが作成したManiatis Manualが参照される。
【0121】
また、本発明の抗体をコードする1つ又は複数のDNA配列を含む1つ又は複数のクローニング又は発現ベクターを含む宿主細胞も提供される。本発明の抗体分子をコードするDNA配列の発現には、任意の適切な宿主細胞/ベクター系を使用することができる。細菌、例えば大腸菌、及び他の微生物系を用いてもよいし、真核生物、例えば哺乳類の宿主細胞発現系を用いてもよい。好適な哺乳類宿主細胞としては、CHO細胞、ミエローマ細胞又はハイブリドーマ細胞が挙げられる。
【0122】
また、本発明は、本発明のベクターを含む宿主細胞を、本発明の抗体分子をコードするDNAからのタンパク質の発現を導くのに適した条件下で培養し、抗体分子を単離することを含む、本発明に係る抗体分子の製造方法を提供する。
【0123】
抗体分子は重鎖又は軽鎖ポリペプチドのみを含んでいてもよく、その場合、重鎖又は軽鎖ポリペプチドのコーディング配列のみを用いて宿主細胞にトランスフェクトする必要がある。重鎖と軽鎖の両方を含む産物を生産するためには、細胞株を2つのベクター、すなわち軽鎖ポリペプチドをコードする第1のベクターと重鎖ポリペプチドをコードする第2のベクターでトランスフェクトすることができる。あるいは、軽鎖及び重鎖ポリペプチドをコードする配列を含む単一のベクターを用いてもよい。
【0124】
本開示による抗体及びフラグメントは、宿主細胞から良好なレベルで発現される。したがって、抗体及び/又はフラグメントの特性は、最適化され、商業的加工に資するようである。
【0125】
医薬組成物、投与量及び投与レジーム
本発明の抗体は、医薬組成物中で提供することができる。医薬組成物は、通常、無菌であり、典型的には、薬学的に許容される担体及び/又はアジュバントを含むであろう。本発明の医薬組成物は、さらに、薬学的に許容されるアジュバント及び/又は担体を含んでいてもよい。
【0126】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」としては、生理学的に適合する任意の及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等が挙げられる。担体は、非経口投与、例えば静脈内、筋肉内、皮内、眼内、腹腔内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路、例えば注射又は点滴による投与に適している場合がある。あるいは、担体は、非経口投与、例えば、局所、表皮又は粘膜の投与経路に適していてもよい。担体は、経口投与に適していてもよい。投与経路に応じて、調節剤は、化合物を不活性化する可能性のある酸及び他の自然条件の作用から化合物を保護する材料でコーティングされてもよい。
【0127】
本発明の医薬組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容される塩を含んでもよい。「薬学的に許容される塩」とは、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、望ましくない毒性学的効果を与えない塩をいう。そのような塩の例としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。
【0128】
薬学的に許容される担体は、水性担体又は希釈剤を含む。本発明の医薬組成物に採用され得る適切な水性担体の例としては、水、緩衝水、及び生理食塩水が挙げられる。他の担体の例としては、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、及び注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルなどが挙げられる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、又は塩化ナトリウムを含めることが望ましいであろう。
【0129】
治療用組成物は通常、無菌であり、製造及び保管の条件下で安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高濃度の薬物に適した他の秩序ある構造として製剤化することができる。
【0130】
本発明の医薬組成物は、さらなる有効成分を含んでいてもよい。
【0131】
また、本発明の範囲内には、本発明の抗体又は調節剤及び使用説明書を含むキットもある。キットは、上述したような追加の治療剤又は予防剤などの、1つ又は複数の追加の試薬をさらに含んでもよい。
【0132】
本発明のモジュレーター及び/又は抗体、あるいはその製剤又は組成物は、予防的及び/又は治療的な処置のために投与され得る。
【0133】
治療用途では、化合物は、上記のような障害又は状態に既に罹患している対象に、その状態又はその症状の1つ以上を治癒、緩和又は部分的に停止するのに十分な量で投与される。このような治療的処置は、疾患症状の重症度の減少、又は無症状期間の頻度若しくは持続時間の増加をもたらす可能性がある。これを達成するのに十分な量が、「治療的に有効な量」と定義される。
【0134】
予防的用途では、製剤は、上記のような障害又は状態の危険性がある対象に、その状態又はその症状の1つ以上の後遺症を予防又は軽減するのに十分な量で投与される。これを達成するのに十分な量が、「予防的に有効な量」と定義される。各目的に有効な量は、疾患又は傷害の重症度、並びに対象の体重及び一般的状態に依存する。
【0135】
投与のための対象は、ヒト又は非ヒト動物であってよい。「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば、哺乳類及び非哺乳類、例えば、非ヒト霊長類、羊、犬、猫、馬、牛、鶏、両生類、爬虫類等を含む。ヒトへの投与が典型的である。
【0136】
本発明の抗体/モデュレーター又は医薬組成物は、当技術分野で知られている様々な方法の1つ又は複数を使用して、1つ又は複数の投与経路を介して投与することができる。当業者によって理解されるように、投与の経路及び/又は様式は、所望の結果に応じて変化する。本発明の化合物又は医薬組成物の投与経路の例としては、静脈内、筋肉内、皮内、眼内、腹腔内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路、例えば、注射又は点滴による投与が挙げられる。本明細書で使用する「非経口投与」という語句は、経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、通常は注射によるものである。あるいは、本発明の抗体/モデュレーター又は医薬組成物は、非非経口経路(non-parenteral route)、例えば、局所、表皮又は粘膜の投与経路を介して投与することができる。本発明の抗体/調節剤又は医薬組成物は、経口投与用であってもよい。
【0137】
本発明の抗体/調節剤又は医薬組成物の適切な投与量は、当業者によって決定され得る。本発明の医薬組成物における活性成分の実際の投与量レベルは、特定の患者、組成物、及び投与様式について、患者に毒性がなく、所望の治療反応を達成するのに有効な活性成分の量を得るように、変化させることができる。選択された投与量レベルは、採用される本発明の特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、採用される特定の化合物の排泄速度、治療の期間、採用される特定の組成物と組み合わせて用いられる他の薬剤、化合物及び/又は材料、治療を受ける患者の年齢、性別、体重、状態、一般健康及び以前の病歴、並びに医学分野で周知の同様の要因を含む種々の薬物動態的要因によって決定される。
【0138】
好適な投与量は、例えば、治療される患者の約0.01μg/kg~約1000mg/kg体重、典型的には約0.1μg/kg~約100mg/kg体重の範囲内であってよい。例えば、好適な投与量は、1日当たり約1μg/kg~約10mg/kg体重、又は1日当たり約10μg/kg~約5mg/kg体重であり得る。
【0139】
投与レジメンは、最適な所望の反応(例えば、治療反応)を提供するように調整されてもよい。例えば、単回投与してもよいし、数回に分けて経時的に投与してもよいし、治療状況の緊急性に応じて投与量を比例的に減少又は増加させてもよい。本明細書で使用される投与単位の形態とは、治療される対象のための単位投与量として適した物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含有する。
【0140】
投与は、単回投与であっても複数回投与であってもよい。複数回投与は、同じ又は異なる経路で、同じ又は異なる場所に投与することができる。あるいは、投与は、徐放性製剤を介して行うことができ、この場合、より少ない投与回数が必要とされる。投与量及び投与頻度は、患者におけるアンタゴニストの半減期及び望まれる治療期間に応じて変化し得る。
【0141】
上述のように、本発明のモジュレーター/抗体又は医薬組成物は、1つ又は他のより多くの他の治療剤と共投与することができる。
【0142】
2種以上の薬剤の併用投与は、多くの異なる方法で達成することができる。両者は単一の組成物で一緒に投与されてもよいし、複合療法の一部として別々の組成物で投与されてもよい。例えば、一方を他方の前に、後に、又は同時に投与することができる。
【0143】
治療適応症
本発明の抗体は、IL-13活性に関連する任意の状態、例えば、IL-13レセプターを介したシグナルの全部又は一部に起因する任意の状態の治療、予防又は改善に使用することができる。
【0144】
IL‐13関連疾患としては、乳がん、結腸がん、直腸がん、肺がん、中咽頭がん、下咽頭がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、肝臓がん、胆嚢がん、胆管がん、小腸がん、尿路がん(腎臓、膀胱、尿路上皮など)、女性生殖系(子宮頸部、子宮、卵巣、絨毛がん、妊娠性絨毛膜症など)、男性生殖系(前立腺、精嚢、精巣、胚細胞腫瘍など)、内分泌腺(甲状腺、副腎、下垂体など)、及び皮膚、並びに血管腫、黒色腫、肉腫(骨軟部組織から発生するもの、及びカポジ肉腫を含む)等の原発性及び転移性がん、脳・神経・眼・髄膜の腫瘍(星状細胞腫、神経膠腫、膠芽細胞腫、網膜芽細胞腫、神経腫、神経芽細胞腫、神経鞘腫、髄膜腫など)、白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)などの造血器悪性腫瘍に起因する固形がん、関節リウマチ、変形性関節症、若年性慢性関節炎、敗血症性関節炎、ライム関節炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎、脊椎関節症、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、インスリン依存性糖尿病、甲状腺炎、アレルギー性疾患、乾癬、強皮症、移植片対宿主病、臓器移植拒絶反応、臓器移植に伴う急性又は慢性免疫性疾患。サルコイドーシス、動脈硬化症、播種性血管内凝固症候群、川崎病、グレーブ病、ネフローゼ症候群、慢性疲労症候群、ウェゲナー肉芽腫症、ヘノッホシェーンライン紫斑病、顕微鏡的腎臓血管炎、慢性活性肝炎、ぶどう膜炎、敗血症性ショック、毒素性ショック症候群、敗血症症候群、悪液質、感染症、寄生虫症、後天性免疫不全症候群、急性横紋筋炎、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳卒中、原発性胆汁性肝硬変、溶血性貧血、悪性腫瘍、心不全、アジソン病、散発性、ポリグランデュラ欠損症I型・ポリグランデュラ欠損症II型、シュミット症候群、成人(急性)呼吸困難症候群、脱毛症、円形脱毛症、関節症、ライター病、乾癬性関節症、潰瘍性大腸菌性関節症、腸管滑膜炎、クラミジア・エルシニア・サルモネラ関連関節症、アテローム性疾患・動脈硬化症、アトピー性アレルギー、自己免疫性水疱性疾患、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、類天疱瘡、線状IgA病、自己免疫性溶血性貧血、Coombs陽性溶血性貧血、後天性悪性貧血、若年性悪性貧血、筋痛性脳炎/ロイヤルフリー病、慢性粘膜皮膚カンジダ症、巨細胞性動脈炎、原発性硬化性肝炎、特発性自己免疫性肝炎、後天性免疫不全関連疾患、B型肝炎、C型肝炎、一般的変動性免疫不全症(一般的変動性低ガンマグロブリン血症)、拡張型心筋症、女性不妊症、卵巣不全、早発性卵巣不全、線維性肺疾患、特発性線維化性肺胞炎、炎症後間質性肺疾患、間質性肺炎、結合組織病関連間質性肺疾患、混合結合組織病関連肺疾患、全身性硬化症関連間質性肺疾患、関節リウマチ関連間質性肺疾患、全身性エリテマトーデス関連肺疾患。皮膚筋炎/多発性筋炎関連肺疾患、シェーグレン病関連肺疾患、強直性脊椎炎関連肺疾患、血管炎性びまん性肺疾患、ヘモジデリン関連肺疾患、薬剤誘発間質性肺疾患、線維症、放射線線維症、閉塞性気管支炎、慢性好酸球性肺炎、リンパ球浸潤性肺疾患、感染後間質性肺疾患、痛風関節炎、自己免疫性肝炎、1型自己免疫性肝炎(古典的自己免疫肝炎又はルポイド肝炎)、2型自己免疫性肝炎(抗LKM抗体性肝炎)、自己免疫介在性低血糖症、黒色表皮腫を伴うB型インスリン抵抗性、副甲状腺機能低下症、臓器移植に伴う急性免疫疾患、臓器移植に伴う慢性免疫疾患、変形性関節症、原発性硬化性胆管炎、1型乾癬、2型乾癬、特発性白血球減少症、自己免疫性好中球減少症、腎疾患 NOS、糸球体腎炎、腎臓の顕微鏡的血管炎、ライム病、円板状エリテマトーデス、男性不妊症 特発性又はNOS、精子自己免疫、多発性硬化症(すべてのサブタイプ)、交感神経性眼症、結合組織病による二次性肺高血圧症、グッドパスチャー症候群、結節性多発動脈炎の肺症状、急性リウマチ熱、リウマトイド脊椎炎、スチル病、全身性硬化症、シェーグレン症候群、高安病/動脈炎、自己免疫性血小板減少症、特発性血小板減少症、自己免疫性甲状腺疾患、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫自己免疫甲状腺機能低下症(橋本病)、萎縮性自己免疫性甲状腺機能低下症、原発性粘液水腫、水晶体起因性ブドウ膜炎、原発性血管炎、白斑 急性肝臓疾患、慢性肝臓疾患、アルコール性肝硬変、アルコール性肝障害、胆汁酸塩症、特発性肝疾患、薬剤性肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、アレルギー、B群連鎖球菌(GBS)感染症、精神疾患、うつ病、統合失調症、Th2型及びTh1型介在疾患、急性及び慢性痛症、異なる形態の痛み、がん、肺がん、乳がん、胃がん、膀胱がん、結腸がん、膵臓がん、卵巣がん、前立腺がん、直腸がん、造血器悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、無βリポタンパク血症(Abetalipoprotemia)、アクロシアン症、急性及び慢性の寄生虫又は感染プロセス、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性又は慢性細菌感染、急性膵炎、急性腎不全、腺がん、空中異所性拍動、AIDS 認知症複合体、アルコール性肝炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎(季節性アレルギー性鼻炎を含む)、非アレルギー性鼻炎、同種移植片拒絶反応、α‐I‐アンチトリプシン欠損症、筋萎縮性側索硬化症、貧血、狭心症、前角細胞変性症、抗cd3療法、抗リン脂質症候群、抗レセプター過敏症反応、大動脈及び末梢動脈瘤、大動脈解離、動脈性高血圧、動脈硬化、動静脈瘻、運動失調、心房細動(持続性又は発作性)、心房粗動、房室ブロック、B細胞性リンパ腫、骨移植片拒絶反応、骨髄移植(BMT)拒絶反応、束枝ブロック、バーキットリンパ腫、熱傷、心臓不整脈、心臓スタン症候群、心臓腫瘍、心筋症、心肺バイパス炎症反応、軟骨移植拒絶反応、小脳皮質変性症、小脳障害、カオス性又は多巣性心房頻拍、化学療法関連障害、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性アルコール中毒、慢性炎症性病態、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、サリチル酸慢性中毒、大腸がん、鬱血性心不全、結膜炎、接触皮膚炎、肺性心、冠動脈疾患、クロイツフェルト・ヤコブ病、培養陰性敗血症、嚢胞性線維症、サイトカイン療法関連疾患、ボクサー認知症、脱髄性疾患、デング出血熱、皮膚炎、皮膚疾患、糖尿病、真正糖尿病(diabetes mellitus)、糖尿病性動脈硬化症、びまん性レビー小体病、拡張うっ血性心筋症、基底核の障害、中年期のダウン症状、中枢神経系ドパミンレセプターを遮断する薬剤による薬剤性運動障害、薬剤過敏症、湿疹、脳脊髄炎、心内膜炎、内分泌障害、喉頭蓋炎、エプスタインバールウイルス感染、肢端紅痛症、錐体外路・小脳障害、家族性血球貪食性リンパ組織球症、胎児胸腺移植拒絶反応、フリードライヒ失調症、機能性末梢動脈障害、真菌性敗血症、ガス壊疽、胃潰瘍、糸球体腎炎、あらゆる臓器又は組織の移植片拒絶反応、グラム陰性敗血症、グラム陽性敗血症、細胞内細菌による肉芽腫、ヘアリー細胞白血病、ハレルボーデンシュパッツ病、橋本病(甲状腺炎)、花粉症、心臓移植拒絶、血色素症、血液透析、溶血性尿毒症症候群/血栓溶解性血小板減少性紫斑病、出血、A型肝炎、ヒスバンドル(His bundle)不整脈、HIV感染症/HIV神経障害、ホジキン病、運動過多症、過敏性反応、過敏性肺炎、高血圧、運動低下症、視床下部‐下垂体‐副腎軸評価、特発性アジソン病、特発性肺線維症、抗体媒介性細胞毒性、無力症、小児脊髄性筋萎縮症、大動脈の炎症、インフルエンザa、電離放射線被曝、虹彩毛様体炎/ぶどう膜炎/視神経炎、虚血・再灌流障害、虚血性脳梗塞、若年性リウマチ様関節炎、若年性脊髄性筋萎縮症 カポジ肉腫、腎移植拒絶反応、レジオネラ症、リーシュマニア症、ハンセン病、皮質脊髄系病変、脂肪浮腫、肝移植拒絶反応、リンパ浮腫、マラリア、悪性リンパ腫、悪性組織球症、悪性黒色腫、髄膜炎、髄膜炎菌血症、代謝性/特発性、片頭痛、ミトコンドリア多系統障害、混合結合組織病、単クローン性免疫グロブリン血症、多発性骨髄腫、多系統変性症(Mencel Dejerine‐Thomas Shi‐Drager及びMachado‐Joseph)、細胞内トリ結核菌(Mycobacterium avium intracellulare)、ヒト結核菌、Melodyplastic症候群、心筋梗塞、心筋虚血障害、鼻咽頭がん、新生児慢性肺疾患、腎炎、ネフローゼ、神経変性疾患、神経原性筋萎縮症、好中球減少性発熱、非ホジキンリンパ腫、腹部大動脈及びその分枝の閉塞、閉塞性動脈疾患、okt3療法、睾丸炎/精巣上体炎、睾丸炎/精管切除術反転手術、臓器肥大症、骨粗鬆症、膵臓移植拒絶反応、膵臓がん、腫瘍随伴症候群/悪性腫瘍高カルシウム血症、副甲状腺移植拒絶反応、骨盤内炎症性疾患、通年性鼻炎、心膜疾患、末梢動脈硬化性疾患、末梢血管障害、腹膜炎、悪性貧血、ニューモシスチスカリニ肺炎(pneumocystis carinii pneumonia)、肺炎、POEMS症候群(多発性神経炎、臓器肥大、内分泌障害、モノクローナル・ガンマ症、皮膚変化症候群)、灌流後症候群、ポストポンプ症候群、Ml開心術後症候群、妊娠高血圧腎症(子癇前症)、進行性核上性麻痺、原発性肺高血圧、放射線療法、レイノー現象及びレイノー病、レイノー病、レフスム病、規則的狭小QRS頻脈、腎血管性高血圧、再灌流障害、拘束性心筋症、肉腫、老人性振戦、レビー小体型認知症の老年性認知症、血清反応陰性関節症、ショック、鎌形赤血球貧血、皮膚同種移植片拒絶反応、皮膚変化症候群、小腸移植拒絶反応、固形腫瘍、特異的不整脈、脊髄失調症、脊髄小脳変性症、溶連菌性筋炎、小脳構造病変、亜急性硬化性全脳炎、失神、循環器系の梅毒、全身性無痛症、全身性炎症反応症候群、全身性発症若年性関節リューマチ、T細胞又はFAB ALL毛細血管拡張症、閉塞性血栓血管炎、血小板減少症、毒性、移植、外傷/出血、III型過敏反応、IV型過敏反応、不安定狭心症、尿毒症、尿性敗血症、心臓弁膜症、静脈瘤、血管炎、静脈性疾患、静脈血栓症、心室細動、ウイルス及び真菌感染症、バイタル脳炎/無菌性髄膜炎、バイタル関連血球貪食症候群、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ウイルソン病、あらゆる臓器・組織の異種移植拒絶反応、急性冠不全症候群、急性特発性多発神経炎、急性炎症性脱髄性多発神経根障害、急性虚血、成人スティル病、アナフィラキシー、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、アトピー性湿疹、アトピー性皮膚炎、自己免疫性皮膚炎、連鎖球菌感染に伴う自己免疫疾患、自己免疫性腸症、自己免疫性難聴、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性早期卵巣不全、眼瞼炎、気管支拡張症、水疱性類天疱瘡、心血管疾患、劇症型抗リン脂質抗体症候群、セリアック病、頸部脊椎症、慢性虚血、瘢痕性類天疱瘡、多発性硬化症のリスクを伴う臨床分離症候群(cis)、小児発症の精神障害、涙嚢炎、皮膚筋炎、糖尿病性網膜症、椎間板ヘルニア、椎間板脱出、薬剤性免疫溶血性貧血、子宮内膜症、眼内炎、上強膜炎、多形紅斑、多形紅斑大斑点、妊娠性類天疱瘡、ギラン・バレー症候群(GBS)、ヒューズ症候群、特発性パーキンソン病、特発性間質性肺炎、IgE介在性アレルギー、免疫溶血性貧血、封入体筋炎、感染性眼炎症性疾患、炎症性脱髄疾患、炎症性心疾患、炎症性腎疾患、IPF/UIP、虹彩炎、角膜炎、乾性角結膜炎、クスマウル病又はクスマウル‐マイヤー病。ランドリー麻痺、ランゲルハーン細胞組織球症、網状皮斑、黄斑変性症、顕微鏡的多発血管炎、モルブス・ベクテレフ、運動ニューロン障害、粘膜類天疱瘡、多臓器不全、重症筋無力症、骨髄異形成症候群、心筋炎、神経根障害、神経障害、非A非B型肝炎、視神経炎、骨溶解、非関節型JRA、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、末梢血管疾患(PVD)、末梢動脈疾患(PAD)、静脈炎、結節性多発動脈炎(又は結節性動脈周囲炎)、多軟骨炎、白毛症、多関節型JRA、多内分泌不全症候群、多発筋炎、リウマチ性多発筋痛症(PMR)、原発性パーキンソニズム、前立腺炎、純赤血球形成不全、原発性副腎不全、再発性視神経脊髄炎、再狭窄、リウマチ性

心疾患、サホ(滑膜炎、にきび、膿疱症、骨過形成、骨炎)、二次性アミロイドーシス、ショック肺、強膜炎、坐骨神経痛、二次性副腎不全、シリコン関連結合組織病、スネドン・ウィルキンソン(Sneddon‐Wilkinson)皮膚病、アンキロサン脊椎炎、スティーブンス‐ジョンソン症候群(SJS)、側頭動脈炎、トキソプラズマ網膜炎、中毒性表皮壊死症、横紋筋炎、TRAPS(腫瘍壊死因子レセプター、1型アレルギー反応、2型糖尿病、蕁麻疹、通常型間質性肺炎(UIP)、血管炎、春季結膜炎、ウイルス性網膜炎、Vogt‐小柳‐原田症候群(VKH症候群)、湿性黄斑変性症、又は創傷治癒、アスピリン感受性喘息、アトピー性喘息、慢性手湿疹、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、セリアック病、Churg‐Strauss症候群(結節性動脈周囲炎+アトピー)、好酸球性筋痛症候群、過好酸球性症候群、エピソード性血管浮腫を含む浮腫性反応、蠕虫感染症、オンコセルカ性皮膚炎、好酸球関連消化管障害、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性腸炎、好酸球性大腸炎、鼻のマイクロポリポーシス及びポリポーシス、食物アレルギー、アスピリン不耐症及び閉塞性睡眠時無呼吸症候群、慢性喘息、クローン病及び心内膜心筋線維症、がん(例えば、膠芽細胞腫(多形性膠芽細胞腫など)、非ホジキンリンパ腫(NHL))、線維症、炎症性腸疾患、肺線維症(特発性肺線維症(IPF)、硬化症に続発する肺線維症など)、COPD、肝線維症、などがある。
【0145】
本発明の抗体は、アトピー性皮膚炎、慢性手湿疹、鼻のマイクロポリポーシス又はポリポーシス、食物アレルギー、又は好酸球性食道炎の治療又は予防に特に有用であると考えられる。
【0146】
したがって、1つの実施形態において、本発明の抗体又は医薬組成物は、ヒト又は動物の身体を治療によって処置する方法において使用するために提供される。
【0147】
一実施形態では、抗体又は医薬組成物は、アトピー性皮膚炎、慢性手湿疹、鼻のマイクロポリポーシス又はポリポーシス、食物アレルギー、又は好酸球性食道炎の治療方法における使用のために提供される。
【0148】
一実施形態では、本発明は、アトピー性皮膚炎、慢性手湿疹、鼻のマイクロポリポーシス又はポリポーシス、食物アレルギー、又は好酸球性食道炎を治療又は予防する方法であって、治療有効量の抗体又は医薬組成物をそれを必要としている患者に投与することを含む、上記方法を提供する。
【0149】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の1つ以上の医学的適応症の治療又は予防のための医薬の製造における、抗体又は医薬組成物の使用を提供する。
【実施例
【0150】
以下の実施例により、本発明を説明する。
【0151】
例1.治療用抗IL‐13抗体CA650の生成と選択
ラットに、精製ヒトIL‐13(Peprotech社)又はヒトIL‐13を発現するラット線維芽細胞(培養上清中に約1μg/mlを発現)で、あるいは場合によっては、この2つを組み合わせて免疫した。3~6回の注射後、動物を犠牲にし、PBMC、脾臓、骨髄、リンパ節を採取した。血清は、ELISAでヒトIL‐13との結合を、またHEK‐293 IL‐13R‐STAT‐6レポーター細胞アッセイ(HEK‐Blueアッセイ、Invivogen)でhIL‐13を中和する能力についてモニターされた。
【0152】
B細胞培養をセットアップし、上清をまずApplied Biosystems社のFMATアッセイでビーズベースのアッセイでhIL‐13との結合能力をスクリーニングした。これは、ストレプトアビジンビーズにコートされたビオチン化ヒトIL‐13と、暴露剤(reveal agent)としてヤギ抗ラットFc‐Cy5コンジュゲートを用いた均一なアッセイであった。次に、このアッセイからの陽性は、中和剤を同定するためにHEK‐293 IL‐13R‐STAT‐6レポーター細胞アッセイ(HEK‐Blue assay,Invivogen)に進められた。次いで中和上清をBiacoreでプロファイリングし、オフレートを推定し、また中和の作用機序を明らかにした。中和は、ビン1又はビン2に分類された。ビン1は、ヒトIL‐13に結合してIL‐13Rα1の結合を阻害し、その結果、IL‐4Rの結合も阻害する抗体を表す。ビン1抗体は、IL‐13のIL‐13Rα2への結合を阻害することもある。Bin2は、IL‐13Rα1への結合は可能であるが、IL‐4Rの複合体へのリクルートを阻止するような形でhIL‐13と結合する抗体を表す。我々は、bin1を経由して作用する抗体を選択していた。
【0153】
合計27x100プレートのSLAM実験から、約7500のIL‐13特異的な陽性がプライマリーFMATスクリーニングで同定された。800ウェルがHEK‐blueアッセイで中和を実証した。170ウェルが望ましいBiacoreプロファイル、すなわちオフレート<5x10-4-1のbin1抗体を有していた。これらの170ウェルから可変領域のクローニングを試みたところ、160ウェルで蛍光巣を得ることに成功した。100ウェルで逆転写(RT)‐PCRを行い、重鎖と軽鎖の可変領域遺伝子ペアを生成した。これらのV領域遺伝子をマウスIgG1完全長抗体としてクローニングし、HEK‐293一過性発現系で再発現させた。配列解析の結果、抗ヒトIL‐13抗体には27のユニークなファミリーが存在することが判明した。これらの組換え抗体は、次に組換えhIL‐13(大腸菌由来及び哺乳類由来)、組換え変異型hIL‐13(R130Q)(大腸菌由来)、天然野生型及び変異型hIL‐13(ヒトドナー由来)、及びカニクイザルIL‐13(哺乳類由来)を細胞ベースのアッセイでブロックする能力について再試験された。組み換え抗体は、またBiacoreで変異型ヒトIL‐13(R130Q)及びカニクイザルIL‐13への結合能力もテストされた。この特性評価の後、我々の基準を満たす抗体ファミリー、すなわち、すべてのヒト及びカニクイザルIL‐13製剤に対して、力価及び親和性の低下が少ない100pM以下の抗体が選択された。
【0154】
ヒト化グラフトにおける中和力、親和性、ドナー含有量(下記参照)に基づき、ヒト化CA650がさらなる進行のために選択された。
【0155】
例2.抗体CA650のヒト化
抗体650は、ラットV領域からのCDRをヒト生殖細胞系列抗体V領域フレームワークに移植することによりヒト化された。抗体の活性を回復するために、ラットV領域からの多数のフレームワーク残基もまたヒト化配列に保持された。これらの残基は、Adairら(1991)(ヒト化抗体、WO91/09967)により概説されたプロトコルを使用して選択された。ラット抗体(ドナー)V領域配列とヒト生殖細胞系列(アクセプター)V領域配列のアラインメントを、設計したヒト化配列と共に示す。(図1(A)軽鎖グラフト650及び図1(B)重鎖グラフト650)。ドナーからアクセプター配列にグラフトされたCDRは、Chothia/Kabatの定義を組み合わせて用いた場合、CDR-H1を除いて、Kabat(Kabatら、1987)によって定義された通りである(Adairら、1991 ヒト化抗体、WO91/09967を参照のこと)。
【0156】
V領域の初期配列をコードする遺伝子はEntelechon GmbHの自動合成法により設計・構築され、オリゴヌクレオチド指向性変異導入によりグラフト版gL8及びgH9を生成するように修正された。gL8配列を、ヒトC‐カッパ定常領域(Km3アロタイプ)をコードするDNAを含むUCB Celltechヒト軽鎖発現ベクターpVhCKにサブクローニングした。gH9配列は、ヒト重鎖γ‐1CH1定常領域をコードするDNAを含むpVhg1Fabにサブクローニングした。
【0157】
ヒトV領域IGKV1‐39+JK2 J領域(International Immunogenetics Information System(登録商標)(IMGT),http://www.imgt.org)が抗体650軽鎖CDRのアクセプターとして選択された。グラフトgL8の軽鎖フレームワーク残基は、残基58と71(Kabatによる番号付け)を除いて、すべてヒト生殖細胞系列遺伝子からのものであり、ドナー残基イソロイシン(I58)とチロシン(Y71)がそれぞれ保持された。I58とY71の残基の保持は、ヒト化抗体の完全な効力に不可欠であった。
【0158】
ヒトV領域IGHV1‐69+JH4J領域(IMGT、http://www.imgt.org)が、抗体650の重鎖CDRのためのアクセプターとして選択された。グラフトgH9の重鎖フレームワーク残基は、残基67、69及び71(Kabatによる番号付け)を除いて、すべてヒト生殖細胞系列遺伝子からのものであり、ドナー残基アラニン(A67)、フェニルアラニン(F69)及びバリン(V71)は、それぞれ保持された。A67、F69及びV71残基の保持は、ヒト化抗体の完全な効力に不可欠であった。ヒトフレームワークの1位のグルタミン残基をグルタミン酸(E1)に置換し、均質な産物の発現と精製を可能にした。抗体及び抗体フラグメントのN末端におけるグルタミンからピログルタミン酸への変換は、広く報告されている。最終的に選択された可変グラフト配列gL8とgH9をそれぞれ図1(A)及び図1(B)に示す。
【0159】
抗体650のCDR、重及び軽可変領域、scFv及びdsscFVフォーマットをコードするアミノ酸配列及びDNA配列を図2に示す。
【0160】
例3.抗IL13抗体の生物学的活性
抗原結合とIL‐13の中和を確認した、データは示していない。
【配列表フリーテキスト】
【0161】
配列番号1~24 <223> 組み換え配列
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
【配列表】
2023507282000001.app
【国際調査報告】