(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】極低温ピストンリングの改良
(51)【国際特許分類】
F16J 9/16 20060101AFI20230215BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
F16J9/16
F04B39/00 107J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536718
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 US2020070914
(87)【国際公開番号】W WO2021127695
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516308722
【氏名又は名称】エイシーディー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ステッフェン,ジョシュア・ウェイン
【テーマコード(参考)】
3H003
3J044
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AC04
3H003BD10
3H003CB08
3J044AA20
3J044BA03
3J044BA06
3J044CB21
3J044CB24
3J044CB29
3J044CB40
(57)【要約】
極低温ポンプのピストンリングのセットは、異なって成形され、また互いと当接状態にあるとき中空円筒形状を形成するように協働的に成形される、第1のピストンリングおよび第2のピストンリングを含む。第1のピストンリングは、C形状であり、第1の端部分と第2の端部分との間に配設される中央部分を画定する。ピストンリング間隙は、第1の端部分の第1の遠位端と第2の端部分の第2の遠位端との間に配設される。第1のピストンリングが第2のピストンリングと当接状態にあって中空円筒形状を形成しているとき、第2のピストンリングは、第1のピストンリングの中央部分に沿って延びないが、第2のピストンリングは、第1のピストンリングの第1の端部分および第2の端部分に沿って延びる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のピストンリングであって、前記第1のピストンリングの中心に沿って長手方向軸を画定する第1のピストンリングと、
前記長手方向軸に沿って前記第1のピストンリングに関係して同軸に配設される第2のピストンリングと
を備える、極低温ポンプのピストンリングセットであって、
前記第1および第2のピストンリングは、異なって成形され、
前記第1および第2のピストンリングは、互いと当接状態にあるとき中空円筒形状を形成するように協働的に成形され、
前記第1のピストンリングは、C形状であり、第1の端部分と第2の端部分との間に配設される中央部分を画定し、
ピストンリング間隙が、前記第1の端部分の第1の遠位端と前記第2の端部分の第2の遠位端との間に配設され、
前記第1のピストンリングが前記第2のピストンリングと当接状態にあって前記中空円筒形状を形成しているとき、前記第2のピストンリングは、前記第1のピストンリングの前記中央部分に沿って延びないが、前記第2のピストンリングは、前記第1のピストンリングの前記第1の端部分および第2の端部分に沿って延びる、極低温ポンプのピストンリングセット。
【請求項2】
前記第1のピストンリングは、底面の反対側である上面と連続しており、これの間に配設される、内径面の反対側の外径面を画定し、前記中央部分、前記第1の端部分、および前記第2の端部分に沿った前記外径面は、同じ直径であり、前記中央部分、前記第1の端部分および前記第2の部分に沿った前記上面は、同じ平面にあり、前記第1の端部分および第2の端部分に沿った前記内径面は、前記中央部分に沿った前記内径面と比較して直径がより大きく、前記中央部分の前記底面は、前記第1の端部分および第2の端部分の前記底面と同じ平面にない、請求項1に記載のピストンリングセット。
【請求項3】
前記第2のピストンリングは、第1および第2の外径面の反対側に配設される内径面、ならびに第1および第2の上面の反対側に配設される底面を画定し、前記内径面は、前記第1の上面と連続しており、そして前記第1の上面は、前記第2の外径面と連続しており、そして前記第2の外径面は、前記第2の上面と連続しており、そして前記第2の上面は、前記第1の外径面と連続しており、そして前記第1の外径面は、前記底面と連続しており、そして前記底面は、前記内径面と連続しており、前記第1の外径面は、前記第2の外径面と比較して直径がより大きく、前記第1および第2の上面は、同じ平面にない、請求項2に記載のピストンリングセット。
【請求項4】
前記第1のピストンリングが前記第2のピストンリングと当接状態にあって前記中空円筒形状を形成しているとき、以下のこと:
前記第1のピストンリングの前記上面は、前記第2のピストンリングの前記第1の上面と整列状態にある、
前記第1のピストンリングの前記外径面は、前記第2のピストンリングの前記第1の外径面と整列状態にある、
前記中央部分に沿った前記第1のピストンリングの前記底面は、前記第2のピストンリングの前記底面と整列状態にある、
前記第1および第2の部分に沿った前記第1のピストンリングの前記内径面は、前記第2のピストンリングの前記第2の外径面に当接する、ならびに
前記第1および第2の部分に沿った前記第1のピストンリングの前記底面は、前記第2のピストンリングの前記第2の上面に当接する
が当てはまる、請求項3に記載のピストンリングセット。
【請求項5】
前記中央部分を通って前記長手方向軸に垂直にとられる断面積は、前記第1の端部分または前記第2の端部分のいずれかを通って前記長手方向軸に垂直にとられる断面積と比較して、より大きい、請求項1に記載のピストンリングセット。
【請求項6】
前記第1のピストンリングが前記第2のピストンリングと当接状態にあって前記中空円筒形状を形成しているとき、前記第1のピストンリングの前記ピストンリング間隙の間に配設されるように構成される、第2のピストンリング突出部を含む、請求項3に記載のピストンリングセット。
【請求項7】
前記第2のピストンリング突出部は、前記第2のピストンリングの前記第2の外径面および前記第1の外径面から外向きに延びる、請求項6に記載のピストンリングセット。
【請求項8】
前記第1および第2のピストンリング内に同軸に配設されるように構成されるエキスパンダリングを含む、請求項3に記載のピストンリングセット。
【請求項9】
前記エキスパンダリングは、前記エキスパンダリングの第1の遠位端と第2の遠位端との間に配設されるエキスパンダリング間隙を有する、請求項8に記載のピストンリングセット。
【請求項10】
前記エキスパンダリング間隙の間に配設されるように構成される第1のピストンリング突出部を含む、請求項8に記載のピストンリングセット。
【請求項11】
前記第1のピストンリング突出部は、前記第1のピストンリングの前記中央部分の中心において前記内径面から内向きに延びる、請求項10に記載のピストンリングセット。
【請求項12】
前記第1および第2のピストンリングは、PTFEを含む、請求項1に記載のピストンリングセット。
【請求項13】
前記エキスパンダリングは、オーステナイト系ステンレス鋼またはベリリウム銅を含む、請求項8に記載のピストンリングセット。
【請求項14】
前記第1のピストンリングの前記外径面および前記第2のピストンリングの前記第1の外径面は、極低温ポンプの穴の内面に当接するように構成される、請求項1に記載のピストンリングセット。
【請求項15】
第1のピストンリングであって、前記第1のピストンリングの中心に沿って長手方向軸を画定する、第1のピストンリングと、
前記長手方向軸に沿って前記第1のピストンリングに関係して同軸に配設される第2のピストンリングと
を備える、極低温ポンプのピストンリングセットであって、
前記第1および第2のピストンリングは、異なって成形され、
前記第1および第2のピストンリングは、互いと当接状態にあるとき中空円筒形状を形成するように協働的に成形され、
前記第1のピストンリングは、C形状であり、第1の端部分と第2の端部分との間に配設される中央部分を画定し、
ピストンリング間隙が、前記第1の端部分の第1の遠位端と前記第2の端部分の第2の遠位端との間に配設され、
前記第1のピストンリングが前記第2のピストンリングと当接状態にあって前記中空円筒形状を形成しているとき、前記第2のピストンリングは、前記第1のピストンリングの前記中央部分に沿って延びないが、前記第2のピストンリングは、前記第1のピストンリングの前記第1の端部分および第2の端部分に沿って延び、
前記第1のピストンリングは、底面の反対側にある上面と連続しており、これの間に配設される、内径面の反対側の外径面を画定し、
前記中央部分、前記第1の端部分および前記第2の端部分に沿った前記外径面は、同じ直径であり、
前記中央部分、前記第1の端部分および前記第2の部分に沿った前記上面は、同じ平面にあり、
前記第1の端部分および第2の端部分に沿った前記内径面は、前記中央部分に沿った前記内径面と比較して直径がより大きく、
前記中央部分の前記底面は、前記第1の端部分および第2の端部分の前記底面と同じ平面になく、
前記第2のピストンリングは、第1および第2の外径面の反対側に配設される内径面、ならびに第1および第2の上面の反対側に配設される底面を画定し、
前記内径面は、前記第1の上面と連続しており、そして前記第1の上面は、前記第2の外径面と連続しており、そして前記第2の外径面は、前記第2の上面と連続しており、そして前記第2の上面は、前記第1の外径面と連続しており、そして前記第1の外径面は、前記底面と連続しており、そして前記底面は、前記内径面と連続しており、
第1の外径面は、前記第2の外径面と比較して直径がより大きく、
前記第1および第2の上面は、同じ平面になく、
前記第1のピストンリングが前記第2のピストンリングに当接した状態で前記中空円筒形状を形成しているとき、以下のこと:
前記第1のピストンリングの前記上面は、前記第2のピストンリングの前記第1の上面と整列状態にある、
前記第1のピストンリングの前記外径面は、前記第2のピストンリングの前記第1の外径面と整列状態にある、
前記中央部分に沿った前記第1のピストンリングの前記底面は、前記第2のピストンリングの前記底面と整列状態にある、
前記第1および第2の部分に沿った前記第1のピストンリングの前記内径面は、前記第2のピストンリングの前記第2の外径面に当接する、ならびに
前記第1および第2の部分に沿った前記第1のピストンリングの前記底面は、前記第2のピストンリングの前記第2の上面に当接する
が当てはまる、極低温ポンプのピストンリングセット。
【請求項16】
第1のピストンリングであって、前記第1のピストンリングの中心に沿って長手方向軸を画定する第1のピストンリングと、
前記長手方向軸に沿って前記第1のピストンリングに関係して同軸に配設される第2のピストンリングと、
前記第1および第2のピストンリング内に同軸に配設されるように構成されるエキスパンダリングと
を備える、極低温ポンプのピストンリングセットであって、
前記第1および第2のピストンリングは、異なって成形され、
前記第1および第2のピストンリングは、互いと当接状態にあるとき中空円筒形状を形成するように協働的に成形され、
前記第1のピストンリングは、C形状であり、第1の端部分と第2の端部分との間に配設される中央部分を画定し、
ピストンリング間隙が、前記第1の端部分の第1の遠位端と前記第2の端部分の第2の遠位端との間に配設され、
前記第1のピストンリングが前記第2のピストンリングと当接状態にあって前記中空円筒形状を形成しているとき、前記第2のピストンリングは、前記第1のピストンリングの前記中央部分に沿って延びないが、前記第2のピストンリングは、前記第1のピストンリングの前記第1の端部分および第2の端部分に沿って延び、
前記中央部分を通って前記長手方向軸に垂直にとられる断面積は、前記第1の端部分または前記第2の端部分のいずれかを通って前記長手方向軸に垂直にとられる断面積と比較して、より大きく、
前記第1のピストンリングの外径面および前記第2のピストンリングの第1の外径面は、極低温ポンプの穴の内面に当接するように構成される、極低温ポンプのピストンリングセット。
【請求項17】
前記エキスパンダリングは、前記エキスパンダリングの第1の遠位端と第2の遠位端との間に配設されるエキスパンダリング間隙を有し、前記エキスパンダリング間隙の間に配設されるように構成される第1のピストンリング突出部を含む、請求項16に記載のピストンリングセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[Para 1]本国際出願は、2019年12月17日に提出された米国仮出願第62/949,409号の優先権を主張する2020年12月15日に提出された米国実用出願第17/247,542号の優先権を主張し、これらの内容全体が、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[Para 2]本発明は、概して、ピストンリングに関する。より詳細には、本発明は、極低温ピストンリングの改良に関する。
【背景技術】
【0003】
[Para 3]ピストンリングは、様々な設計のエンジンのための、および/または様々なポンプのためのピストンの外径に装着される金属スプリットリングである。例えば、そのようなエンジンは、内燃エンジン、蒸気エンジン、およびさらには極低温ポンプ、ならびに同様のものを含む。エンジン内のピストンリングの主たる機能は、クランク室へのガスの損失が最小であるように、燃焼室を密閉することである。良好なピストンリング設計は、ピストンからシリンダ壁への熱伝達を改善すること、ピストンとシリンダ壁との間に適切な量のオイルを維持すること、およびシリンダ壁からサンプへ戻るオイルをそぎ落とすことによってエンジンオイル消費を制御するために重要である。ポンプにおいては、良好なピストンリング設計は、圧力の損失を防ぎ、圧送されるべき流体またはガスをより効率的な様式で移動させる。
【0004】
[Para 4]以上のように、ピストンリング設計は、エンジンおよびポンプを設計する際の重要な因子である。したがって、極低温用途のための改良されたピストンリング設計が必要とされている。本発明は、これらのニーズを満たし、他の関連した利点を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[Para 5]極低温ポンプのピストンリングセット(100)の例示的な実施形態は、第1のピストンリング(112a)であって、第1のピストンリングの中心(115)に沿って長手方向軸(114)を画定する第1のピストンリングと、長手方向軸に沿って第1のピストンリングに関係して同軸に配設される第2のピストンリング(112b)とを備え、第1および第2のピストンリングは、異なって成形され、第1および第2のピストンリングは、互いと当接状態にあるとき中空円筒形状を形成するように協働的に成形され、第1のピストンリングは、C形状であり、第1の端部分(117)と第2の端部分(118)との間に配設される中央部分(116)を画定し、ピストンリング間隙(119)が、第1の端部分の第1の遠位端(117d)と第2の端部分の第2の遠位端(118d)との間に配設され、第1のピストンリングが第2のピストンリングと当接状態にあって中空円筒形状を形成しているとき、第2のピストンリングは、第1のピストンリングの中央部分に沿って延びないが、第2のピストンリングは、第1のピストンリングの第1の端部分および第2の端部分に沿って延びる。
【0006】
[Para 6]他の例示的な実施形態において、第1のピストンリングは、底面(128)の反対側にあり得る上面(126)と連続しており、これの間に配設され得る、内径面(124)の反対側の外径面(122)を画定し得、中央部分、第1の端部分、および第2の端部分に沿った外径面は、同じ直径であり得、中央部分、第1の端部分、および第2の部分に沿った上面は、同じ平面にあり得、第1の端部分および第2の端部分に沿った内径面は、中央部分に沿った内径面と比較して直径がより大きくてもよく、中央部分の底面は、第1の端部分および第2の端部分の底面と同じ平面になくてもよい。
【0007】
[Para 7]他の例示的な実施形態において、第2のピストンリングは、第1の外径面(132)および第2の外径面(133)の反対側に配設される内径面(134)、ならびに第1の上面(136)および第2の上面(137)の反対側に配設される底面(138)を画定し得、内径面は、第1の上面と連続し得、そして第1の上面は、第2の外径面と連続し得、そして第2の外径面は、第2の上面と連続し得、そして第2の上面は、第1の外径面と連続し得、そして第1の外径面は、底面と連続し得、そして底面は、内径面と連続し得、第1の外径面は、第2の外径面と比較して直径がより大きくてもよく、第1および第2の上面は、平面になくてもよい。
【0008】
[Para 8]他の例示的な実施形態において、第1のピストンリングが第2のピストンリングと当接状態にあって中空円筒形状を形成し得るとき、以下のこと:第1のピストンリングの上面(126)は、第2のピストンリングの第1の上面(136)と整列状態にある、第1のピストンリングの外径面(122)は、第2のピストンリングの第1の外径面(132)と整列状態にある、中央部分に沿った第1のピストンリングの底面(128)は、第2のピストンリングの底面(138)と整列状態にある、第1および第2の部分に沿った第1のピストンリングの内径面(124)は、第2のピストンリングの第2の外径面(133)に当接する、ならびに第1および第2の部分に沿った第1のピストンリングの底面(128)は、第2のピストンリングの第2の上面(137)に当接する、が当てはまり得る。
【0009】
[Para 9]他の例示的な実施形態において、中央部分を通って長手方向軸に垂直にとられる断面積は、第1の端部分または第2の端部分のいずれかを通って長手方向軸に垂直にとられる断面積と比較して、より大きくてもよい。
【0010】
[Para 10]他の例示的な実施形態において、ピストンリングセットは、第1のピストンリングが第2のピストンリングと当接状態にあって中空円筒形状を形成しているとき、第1のピストンリングのピストンリング間隙の間に配設されるように構成される第2のピストンリング突出部(140)を含み得る。
【0011】
[Para 11]他の例示的な実施形態において、第2のピストンリング突出部は、第2のピストンリングの第2の外径面および第1の外径面から外向きに延び得る。
[Para 12]他の例示的な実施形態において、ピストンリングセットは、第1および第2のピストンリング内に同軸に配設されるように構成されるエキスパンダリング(120)を含み得る。
【0012】
[Para 13]他の例示的な実施形態において、エキスパンダリングは、エキスパンダリングの第1の遠位端(142d)と第2の遠位端(143d)との間に配設されるエキスパンダリング間隙(140)を有し得る。
【0013】
[Para 14]他の例示的な実施形態において、ピストンリングセットは、エキスパンダリング間隙の間に配設されるように構成される第1のピストンリング突出部(144)を含み得る。
【0014】
[Para 15]他の例示的な実施形態において、第1のピストンリング突出部は、第1のピストンリングの中央部分の中心(146)において内径面から内向きに延び得る。
[Para 16]他の例示的な実施形態において、第1および第2のピストンリングは、PTFEを含み得、エキスパンダリングは、オーステナイト系ステンレス鋼またはベリリウム銅を含み得る。
【0015】
[Para 17]他の例示的な実施形態において、第1のピストンリングの外径面および第2のピストンリングの第1の外径面は、極低温ポンプの穴(20)の内面(21)に当接するように構成され得る。
【0016】
[Para 18]本発明の他の特徴および利点は、例として本発明の原則を例証する添付の図面と併せて読まれるとき、以下のより詳細な説明から明らかになるものとする。
[Para 19]添付の図面は、本発明を例証する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】[Para 20]従来のピストンリング設計の斜視図である。
【
図2】[Para 21]概して
図1の線2-2に沿ってとられ、ピストンおよび穴の中に配設されるピストンリングをここでは示す、断面図である。
【
図3】[Para 22]概して
図1の線3-3に沿ってとられ、ピストンおよび穴の中に配設されるピストンリングならびに下方ピストン間隙をここでは示す、断面図である。
【
図4】[Para 23]概して
図1の線4-4に沿ってとられ、ピストンおよび穴の中に配設されるピストンリングならびに上方ピストン間隙をここでは示す、断面図である。
【
図5】[Para 24]2つのピストン間隙の間の漏れ経路をここでは示す、
図1の構造体の上面図である。
【
図6】[Para 25]本発明のピストンリングセットの実施形態の斜視図である。
【
図7】[Para 26]
図6の構造体の斜視および分解立体図である。
【
図8】[Para 27]
図6の線8-8に沿ってとられた断面斜視図である。
【
図9】[Para 28]
図7の構造体から線9-9に沿ってとられた断面図である。
【
図10】[Para 29]
図7の構造体から線10-10に沿ってとられた断面図である。
【
図11】[Para 30]2つのピストンリングの間の低減容量漏れ経路をここでは示す、
図6の構造体の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[Para 31]本明細書で使用される場合、用語「流体」は、別個に発生し得るか、または同時に発生し得る、液体およびガスの両方を包含する。
[Para 32]
図1は、従来のピストンリング設計の斜視図である。
図2は、概して
図1の構造体から線2-2に沿ってとられ、ピストンおよび穴の中に配設されるピストンリングをここでは示す、断面図である。ピストンリング12aおよび12bは、ピストン16の同じピストン溝14内へ置かれる2つの同一ピストンリング12aおよび12bである。エキスパンダリング18は、付勢力を外向きに作成して、ピストンリングとそれらが置かれる穴20との間に接触を作り出すために、ピストンリング12aおよび12b内に同軸に配設される。
図1から分かるように、上方ピストンリング12aは、使用中のブローバイを低減するために、下方ピストンリング12bと比較して180度回転して設置される。
【0019】
[Para 33]この従来の設計における問題は、ピストン溝外径22とピストンリング内径24との間でピストンリングの後部に軸方向にリングの下に直接漏れ経路が存在することである。第一に、ピストンが圧送中に下方に進む間開いている前間隙26が存在する。流体は、ピストンリングの裏の空間14に自由に入ることができる。
【0020】
[Para 34]第二に、
図3で最もよく分かるように、下方リング12b内の間隙30bが、溝において、ピストンリングの裏の領域に直接漏れ経路を提供する。一旦流体がピストンリングの裏の領域に入ると、流体は、ピストン溝の周辺を自由に進むことができ、
図4に最もよく示されるような上方リング内の間隙30aを見つけて、低い圧力側へと自由に流れ出る。これは、ポンプ全体における最も著しい漏れ経路であり、ポンプ性能に著しい影響を有すると考えられる。間隙30aおよび30bは、周囲温度での設置時には、概して非常に小さい(ゼロに近い)サイズに保持される。動作中となると、極低温流体に応じて、およびピストンリングの材料がはるかに高い熱膨張係数を有するため、材料は、ピストンおよび穴に対して縮み、したがって間隙はさらに開く。
【0021】
[Para 35]
図5は、
図1の構造体の上面図である。漏れ経路32は、間隙30bから、ピストンリングの内側の周りを進んで、他方の間隙30aへ到達するものとして最もよく描写される。
【0022】
[Para 36] 更に悪いことに、動作中、時として、上リングと下リングとの間の間隙30aおよび30bが動作中に回転して整列し得ることが観察されている。これが、密閉能力をさらに低減し、ピストンリングを直接通る非常に直接的な漏れ経路をもたらす。
【0023】
[Para 37]最後に、ピストンリングがサービス中に摩耗すると、間隙および他の許容差は、さらに開き続け、漏れ速度を再び誇張し、性能を低下させる。
[Para 38]エキスパンダリング18は、ピストンリングを穴20の内面21と常に接触状態に保つ役割を果たす。例えば、ピストンリングが、極低温流体温度に曝露されて縮むと、エキスパンダリングは、ピストンリングを外へ押し出すため、ピストンリングは、穴壁と接触状態のままであり、また、外側の周り(これは、リングおよびエキスパンダを崩壊させ、大きい漏れ経路を開くことになる)ではなく、リング間隙を通じておよびリングの内側を通じて、流体を漏れさせる。
【0024】
[Para 39]エキスパンダリング18はまた、ピストンリングに対して回転することができ、その結果として、エキスパンダリング間隙19は、間隙30aおよび30bのいずれかまたは両方と望ましくなく並び得るということにも触れるに値する。
【0025】
[Para 40]
図6~
図11は、熱収縮、動作中の回転、および摩耗に起因する従来のリングにおける直接漏れ経路を低減することを意図した本発明のピストンリングセット100の実施形態を例証する。極低温ポンプのための新規の提案されたピストンリング設計は、これらの3つの問題を低減または除去することを意図する。
【0026】
[Para 41]ここで示されるように、協働的に作用する、ピストンリングアセンブリ100に対する2つの異なって(非同一)成形されたピストンリング112aおよび112bが存在する。大きい方のピストンリング112aは、通常、上に(ピストン溝の下流側/低圧力側に)位置付けられ、第2のピストンリング112bのタブ(突出部140)近くの間隙を除き、連続した密閉を提供する。この場合、ピストンリングセットの後部に入る流体は、それが、間隙が上リング112aの外側に出るタブ140への道を見つけるまで、上リング112aと下リング112bとの間の小間隙を通って進まなければならない。このように構成されるため、この間隙は、リングの裏の圧力によって荷重されて、動作中きつく閉じられ、流れを効果的に制限し、間隙を最小限にする。リングが摩耗したり収縮したりすると、この漏れ経路の長さのみが減少し、それは圧力によって常に依然として荷重され閉じられるため、サイズは減少しない。
【0027】
[Para 42]上方および下方ピストンリングの形状は、言葉で説明するのは難しいが、
図9および
図10の断面と併せて
図6および
図7を見ると最もよく理解される。見て分かるように、極低温ポンプのためのピストンリングセットは、第1のピストンリングの中心115に沿って長手方向軸114を画定する第1のピストンリング112aを有する。第2のピストンリング112bは、長手方向軸に沿って第1のピストンリングに関係して同軸に配設される。
【0028】
[Para 43]
図7から最もよく分かるように、第1および第2のピストンリングは、異なって成形されるが、互いに対して当接状態にあるとき中空円筒形状を形成するように協働的に成形される。本質的に、上方ピストンリング112aおよび下方ピストンリング112bの両方が一緒のとき、それらは、
図1に示されるもののように同様の全体的形状を形成する。これは、本発明のピストンリングが先行技術のピストンリングと置き換えるために使用され得ることを意味し、これは一方が他方の代わりになり得るためである。
【0029】
[Para 44]第1のピストンリング112aは、第1の端部分117と第2の端部分118との間に配設される中央部分116を画定するC形状であるものとして説明され得る。中央部分は、第1および第2の端部分と比較して異なる断面形状を有する。第1および第2の端部分は、全体的な断面サイズがはるかに小さく、下方ピストンリング112bの形状に協働的に当接するように構成される。
図7に最もよく示されるように、ピストンリング間隙119は、第1の端部分の第1の遠位端117dと第2の端部分の第2の遠位端118dとの間に配設される。
【0030】
[Para 45]第1のピストンリングが第2のピストンリングと当接状態にあって中空円筒形状を形成しているとき、第2のピストンリングは、第1のピストンリングの中央部分に沿って延びないが、第2のピストンリングは、第1のピストンリングの第1の端部分および第2の端部分に沿って延びる。このやり方では、2つのピストンリングは、一緒になって、ピストンリングセットの全体的な中空円筒形状を協働的に形成することができる。
【0031】
[Para 46]第1の(上)ピストンリング112aの形状を画定するのを助けるために、これより
図9を見るのが最良である。第1のピストンリングは、底面128の反対側にある上面126と連続しており、この間に配設される、内径面124の反対側の外径面122を画定する。中央部分、第1の端部分、および第2の端部分に沿った外径面は、第1のピストンリング全体を通じて同じ直径である。中央部分、第1の端部分、および第2の部分に沿った上面は、第1のピストンリング全体を通じて同じ平面にある。第1の端部分および第2の端部分に沿った内径面は、中央部分に沿った内径面と比較して直径がより大きい。さらには、中央部分の底面は、第1の端部分および第2の端部分の底面と同じ平面にない。
【0032】
[Para 47]第2の(下方)ピストンリング112bの形状を画定するのを助けるために、これより
図10を見るのが最良である。第2のピストンリングは、第1の外径面132および第2の外径面133の反対側に配設される内径面134を画定する。さらには、底面138は、第1の上面136および第2の上面137の反対側に配設される。
図10を見て、内径面から開始して反時計回りに動くと、内径面は、第1の上面と連続しており、そして第1の上面は、第2の外径面と連続しており、そして第2の外径面は、第2の上面と連続しており、そして第2の上面は、第1の外径面と連続しており、そして第1の外径面は、底面と連続しており、そして底面は、内径面と連続している。第1の外径面は、第2の外径面と比較して直径がより大きく、第1および第2の上面は、同じ平面にないということも言える。
【0033】
[Para 48]本発明の構造体をさらに画定するため、第1のピストンリングが第2のピストンリングと当接状態にあって中空円筒形状を形成しているとき、以下のこと:第1のピストンリングの上面126は、第2のピストンリングの第1の上面136と整列状態にある、第1のピストンリングの外径面122は、第2のピストンリングの第1の外径面132と整列状態にある、中央部分に沿った第1のピストンリングの底面128は、第2のピストンリングの底面138と整列状態にある、第1および第2の部分に沿った第1のピストンリングの内径面124は、第2のピストンリングの第2の外径面133に当接する、ならびに第1および第2の部分に沿った第1のピストンリングの底面128は、第2のピストンリングの第2の上面137に当接する、が当てはまる。
【0034】
[Para 49]
図7~
図10に示される構造体から理解され得るように、第1のピストンリングの中央部分を通って長手方向軸に垂直にとられる断面積は、第1の端部分または第2の端部分のいずれかを通って長手方向軸に垂直にとられる断面積と比較して、より大きい。
【0035】
[Para 50]
図7から最もよく分かるように、第2のピストンリング112bは、第1のピストンリングが第2のピストンリングと当接状態にあって中空円筒形状を形成しているとき、第1のピストンリングのピストンリング間隙119の間に配設されるように構成される、第2のピストンリング突出部140を含む。第2のピストンリング突出部は、第2のピストンリングの第2の外径面および第1の外径面から外向きに延びる。
【0036】
[Para 51]ピストンリング材料は、当該技術分野においてすでに知られている同じタイプの材料のものであり、これは、穴壁との低摩擦性、および押出しを防ぐのに十分な強度を有しながらも、極低温度で可撓性および延性のままでなければならない。第1および第2のピストンリングは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および様々なPTFE複合材料から作製され得る。
【0037】
[Para 52]エキスパンダリング120は、第1および第2のピストンリング内に同軸に配設されるように構成される。エキスパンダリングは、第1および第2のピストンリングを外向きに押して、極低温ポンプの穴20の内面21へのピストンリングの接触を作り出すのを助ける。エキスパンダリングは、エキスパンダリングの第1の遠位端142dと第2の遠位端143dとの間に配設されるエキスパンダリング間隙140を有する。
【0038】
[Para 53]第1のピストンリングは、エキスパンダリング間隙140の間に配設されるように構成される第1のピストンリング突出部144を有し、このことが、使用中エキスパンダリングが長手方向軸の周りで回転することを防ぐ。第1のピストンリング突出部は、第1のピストンリングの中央部分の中心146において内径面から内向きに延びる。
【0039】
[Para 54]エキスパンダリング(ばね)の材料もまた、当該技術分野において知られているものと同じである。エキスパンダリングは、極低温においてばね荷重および延性を維持しなければならない。したがって、エキスパンダリングは、オーステナイト系ステンレス鋼またはベリリウム銅から作製され得る。
【0040】
[Para 55]いくつかの実施形態が例証の目的で詳細に説明されているが、様々な修正が、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなくなされ得る。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除き、限定されないものとする。
【国際調査報告】