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特表2023-507329水溶性フィルム及び水溶性フィルムで形成された水溶性単位用量物品
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  • 特表-水溶性フィルム及び水溶性フィルムで形成された水溶性単位用量物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】水溶性フィルム及び水溶性フィルムで形成された水溶性単位用量物品
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20230215BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20230215BHJP
   C08L 89/00 20060101ALI20230215BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20230215BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20230215BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20230215BHJP
   C11D 1/02 20060101ALI20230215BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20230215BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20230215BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20230215BHJP
   D06M 13/256 20060101ALI20230215BHJP
   D06M 13/17 20060101ALI20230215BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
C08J5/18 CEX
C08J5/18 CFG
C08L29/04 B
C08L89/00
C08K5/053
C08L71/02
C11D17/04
C11D1/02
C11D1/66
C11D3/43
B65D65/40 D
D06M13/256
D06M13/17
D06M15/53
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536761
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 US2020065455
(87)【国際公開番号】W WO2021127073
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】19217967.9
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17/123,868
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】クルシェ、フロランス・カトリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】マ、ジェ
【テーマコード(参考)】
3E086
4F071
4H003
4J002
4L033
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA02
3E086BA15
3E086BB72
3E086CA40
4F071AA29
4F071AA70
4F071AA88
4F071AC05
4F071AE04
4F071AF05
4F071AF13
4F071AF21
4F071AG34
4F071AH04
4F071BA02
4F071BB02
4F071BC01
4F071BC12
4H003BA18
4H003DA01
4H003DA05
4H003DA19
4H003EB33
4H003FA32
4J002AD02X
4J002BE02W
4J002CH02Y
4J002EC046
4J002EC056
4J002ED036
4J002FD010
4J002FD026
4J002FD02Y
4J002FD200
4J002FD310
4J002GC00
4J002GG00
4J002GT00
4L033AB04
4L033AC09
4L033BA14
4L033BA28
4L033CA48
(57)【要約】
水溶性フィルム及び水溶性フィルムで形成された単位用量物品であって、水溶性フィルムは水溶性ポリマーを含み、水溶性ポリマーは、カゼイン塩ポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フィルムであって、水溶性ポリマーを含み、前記水溶性ポリマーが、カゼイン塩ポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドを含み、
前記ポリビニルアルコールホモポリマーが、75%~100%の平均加水分解度(%)を有し、
前記ポリビニルアルコールホモポリマーが、1~30mPasの平均粘度を有し、前記粘度が、20℃で脱塩水中の4%水溶液として測定される、水溶性フィルム。
【請求項2】
前記カゼイン塩ポリマーと前記ポリビニルアルコールホモポリマーとの重量比が、25:75~95:5、好ましくは30:70~80:20、より好ましくは35:65~60:40、最も好ましくは40:60~50:50である、請求項1に記載の水溶性フィルム。
【請求項3】
前記水溶性ポリマーが、前記フィルムの50重量%~95重量%、好ましくは55重量%~90重量%、より好ましくは60重量%~80重量%で存在する、請求項1又は2に記載の水溶性フィルム。
【請求項4】
前記フィルムが非水性可塑剤を含み、好ましくは、前記非水性可塑剤が、ポリオール、糖アルコール、及びこれらの混合物から選択され、より好ましくは、グリセロール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物から選択され、最も好ましくは、グリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは、前記フィルムが、前記フィルムの5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~30重量%の前記非水性可塑剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項5】
前記カゼイン塩ポリマーが、カゼインのアルカリ金属塩から選択され、好ましくはカゼインナトリウムである、請求項1~4のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項6】
前記ポリビニルアルコールホモポリマーが、80%~95%、好ましくは85%~90%の平均加水分解度(%)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項7】
前記ポリビニルアルコールホモポリマーが、5~25mPas、好ましくは10~25mPasの平均粘度を有し、前記粘度が、20℃で脱塩水中の4%水溶液として測定される、請求項1~6のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項8】
前記水溶性フィルムが、前記水溶性フィルムの0.1重量%~2.5重量%、好ましくは1重量%~2重量%の量の界面活性剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項9】
前記水溶性フィルムが、カールフィッシャー滴定によって測定した場合に、前記フィルムの少なくとも4重量%、より好ましくは4重量%~15重量%、更により好ましくは5重量%~10重量%の残留含水量を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項10】
前記水溶性フィルムが、30μm~100μm、好ましくは50μm~90μm、最も好ましくは60μm~85μmの厚さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の水溶性フィルムと、トリートメント組成物と、少なくとも1つの内部区画と、を含む水溶性単位用量物品であって、前記トリートメント組成物が、前記少なくとも1つの内部区画内に収容されている、水溶性単位用量物品。
【請求項12】
前記トリートメント組成物が、洗濯洗剤組成物、洗濯柔軟化組成物、自動食器洗浄組成物、硬質表面洗浄組成物、又はこれらの混合物から選択され、好ましくは洗濯洗剤組成物であり、好ましくは、前記トリートメント組成物が、液体、粉末、又はこれらの混合物であり、好ましくは液体組成物である、請求項11に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項13】
前記トリートメント組成物が非石鹸界面活性剤を含み、好ましくは、前記非石鹸界面活性剤が、アニオン性非石鹸界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは、前記トリートメント組成物が、前記トリートメント組成物の10重量%~60重量%、より好ましくは20重量%~55重量%の前記非石鹸界面活性剤を含む、請求項11又は12に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項14】
前記トリートメント組成物が、前記トリートメント組成物の15重量%未満、より好ましくは12重量%未満、最も好ましくは5重量%~12重量%、更により好ましくは1重量%~12重量%の水を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項15】
前記トリートメント組成物が、前記トリートメント組成物の10重量%~40重量%、好ましくは15重量%~30重量%の非水性溶媒を含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水溶性フィルム及び水溶性フィルムで形成された単位用量物品。
【背景技術】
【0002】
水溶性ポリビニルアルコールのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む水溶性フィルムは長く知られており、多くの用途で使用されている。
【0003】
かかる水溶性フィルムの可能な応用分野の1つに、水溶性洗濯単位用量洗剤物品がある。理論に束縛されるものではないが、水溶性単位用量物品は、水溶性フィルムと、単位用量物品内の1つ以上の区画内に収容されたトリートメント組成物の単位用量とを含む。水に添加すると、水溶性フィルムは溶解及び/又は崩壊してトリートメント組成物を水中に放出する。
【0004】
これらの水溶性フィルムは、短時間及び/又は低温及び/又は低量の洗浄水のような極めて状態の悪い洗浄条件に曝露される場合であっても、溶け残ったフィルム残留物が洗濯物に残らないように使用条件下で完全に溶解することが求められるが、使用前に水に誤って曝露される際の早期の溶解又は分解は回避されるべきである。これは極めて困難であることが見出されており、例えば、より優れた溶解プロファイルを示す水溶性フィルムが、誤って水に曝露される際に極めて早期破裂しやすい傾向も有するのに対して、早期破裂しにくいフィルムも、状態の悪い水条件下では不完全なフィルム溶解を生じやすいようである。したがって、状態の悪い洗浄条件下であっても使用時の完全なフィルム溶解性を担保しつつ、使用前に水に誤って曝露される際の早期破裂に対する耐性が改善された水溶性フィルムが依然として必要とされている。更に、水溶性単位用量物品の製造時の十分なフィルムの変形を可能とする適当なフィルムの機械的強度プロファイルを維持する一方で、それらの製造プロセスの終了時に、ぐにゃぐにゃしたものではなく、強く緊密な水溶性単位用量物品を実現することが求められている。
【0005】
ポリビニルアルコールホモポリマーとカゼイン塩ポリマーとのポリマーブレンドを含む本発明によるフィルムは、カゼイン塩ポリマーを含まない関連するポリビニルアルコールホモポリマーベースのフィルムと比較した場合に、早期破裂に対する改善された堅牢性及び優れたフィルム溶解性の両方を、水溶性単位用量物品用途での使用に適した機械的特性と共に提供することが期せずして見出された。カゼイン塩ポリマー樹脂によるポリビニルアルコール樹脂の部分的置換もまた、水溶性フィルム組成物の内部のバイオ由来含量を増加させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、水溶性フィルムであって、水溶性ポリマーを含み、水溶性ポリマーが、カゼイン塩ポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドを含み、ポリビニルアルコールホモポリマーが、75%~100%の平均加水分解度(%)を有し、ポリビニルアルコールホモポリマーが、1~30mPasの平均粘度を有し、粘度が、20℃の脱塩水中の4%水溶液として測定される、水溶性フィルムである。
【0007】
本発明の第2の態様は、本発明による水溶性フィルムと、トリートメント組成物と、少なくとも1つの内部区画と、を含む水溶性単位用量物品であって、トリートメント組成物が、少なくとも1つの区画内に収容されている、水溶性単位用量物品である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による水溶性単位用量物品である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
水溶性フィルム
本発明の第1の態様は、水溶性フィルムである。水溶性フィルムは、水溶性ポリマーを含み、水溶性ポリマーは、カゼイン塩ポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドを含む。カゼイン塩ポリマーについては以下でより詳細に説明し、ポリビニルアルコールホモポリマーについても以下でより詳細に説明する。
【0010】
本発明の水溶性フィルムは、水溶性又は水分散性である。水溶性フィルムは、好ましくは30μm~100μm、好ましくは50μm~90μm、最も好ましくは60μm~85μmの厚さを有する。
【0011】
好ましくは、最大孔径が20マイクロメートルのガラスフィルタを使用した後に本明細書に記載の方法によって測定したとき、水溶性フィルムは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の水溶性を有する。
【0012】
予め秤量した3Lのビーカーに、5グラム±0.1グラムのフィルム材料を添加し、2L±5mLの蒸留水を添加する。これを、600rpmに設定した磁気撹拌器(Lablineモデル番号1250又は等価物及び5cmの磁気撹拌器)で、30℃で30分間にわたり激しく撹拌する。次いで、混合物を、上記で定義した孔径(最大20マイクロメートル)の折り畳まれた定性焼結ガラスフィルタにより濾過する。任意の従来の方法によって、回収した濾液から水を乾燥させ、残った材料の重量を求める(これが溶解画分又は分散画分である)。次いで、溶解度又は分散率を計算することができる。
【0013】
好ましくは、カゼイン塩ポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとの重量比は、25:75~95:5、好ましくは、30:70~80:20、より好ましくは、35:65~60:40、最も好ましくは、40:60~50:50である。好ましくは、カゼイン塩ポリマー及びポリビニルアルコールホモポリマーの重量パーセントは、合計で水溶性フィルム中のポリマー樹脂の100重量%となる。当業者は、ポリマー樹脂及び各個々のポリビニルアルコールポリマーを調製する方法について理解しているであろう。
【0014】
水溶性ポリマーは、フィルムの50重量%~95重量%、好ましくは55重量%~90重量%、より好ましくは60重量%~80重量%で存在し得る。
【0015】
好ましくは、水溶性フィルムは、非水性可塑剤を含む。好ましくは、非水性可塑剤は、ポリオール、糖アルコール、及びこれらの混合物から選択される。好適なポリオールとしては、グリセロール、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、400MW以下のポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン及びポリエーテルポリオール、又はこれらの混合物からなる群から選択されるポリオールが挙げられる。好適な糖アルコールとしては、イソマルト、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、アドニトール、ズルシトール、ペンタエリスリトール、及びマンニトール、又はこれらの混合物からなる群から選択される糖アルコールが挙げられる。より好ましくは、非水性可塑剤は、グリセロール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物から選択され、最も好ましくは、グリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択される。1つの特に好適な可塑剤系は、グリセロール、ソルビトール、及びトリメチロールプロパンの、ブレンドを含む。別の特に好適な可塑剤系は、グリセリン、ジプロピレングリコール、及びソルビトールの、ブレンドを含む。好ましくは、フィルムは、フィルムの5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~30重量%の非水性可塑剤を含む。
【0016】
好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、界面活性剤を含む。好ましくは、水溶性フィルムは、水溶性フィルムの0.1重量%~2.5重量%、好ましくは1重量%~2重量%の量の界面活性剤を含む。好適な界面活性剤としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性及び双極性の部類を挙げることができる。好適な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第3級アセチレングリコール及びアルカノールアミド(非イオン性物質)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩及び四級化されたポリオキシエチレン化アミン(カチオン性物質)、及びアミンオキシド、N-アルキルベタイン及びスルホベタイン(双極性物質)が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な界面活性剤としては、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、グリセロールとプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチルエステル(lactylic ester)、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセロールとプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、及び脂肪酸のアセチル化エステル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0017】
好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、潤滑剤/剥離剤を含む。好適な潤滑剤/離型剤としては、脂肪酸及びそれらの塩、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、脂肪族アミンアセテート及び脂肪酸アミドが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい潤滑剤/剥離剤は、脂肪酸、脂肪酸塩、及び脂肪族アミンアセテートであり、水溶性フィルム中の潤滑剤/剥離剤の量は、水溶性フィルムの0.02重量%~1.5重量%、好ましくは0.1重量%~1重量%の範囲である。
【0018】
好ましくは、水溶性フィルムは、充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物を含む。好適な充填剤、展延剤、ブロッキング防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物としては、デンプン、変性デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク及び雲母が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい材料は、デンプン、変性デンプン及びシリカである。好ましくは、水溶性フィルム中の充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物の量は、水溶性フィルムの0.1重量%~25重量%、好ましくは1重量%~10%重量%、より好ましくは2重量%~8%重量%、最も好ましくは3重量%~5重量%の範囲である。デンプンの非存在下では、好適な充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物の1つの好ましい範囲は、当該水溶性フィルムの0.1重量%~1重量%、好ましくは4重量%、より好ましくは6重量%、更により好ましくは1重量%~4%重量%、最も好ましくは1重量%~2.5重量%である。
【0019】
好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、カールフィッシャー滴定によって測定した場合に、水溶性フィルムの少なくとも4重量%、より好ましくは4重量%~15%重量%、更により好ましくは5重量%~10%重量%の範囲の残留含水量を有する。
【0020】
好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、嫌悪剤、好ましくは苦味剤を含む。好適な苦味剤としては、ナリンギン、スクロースオクタアセテート、塩酸キニーネ、デナトニウムベンゾエート、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤をフィルムに使用してもよい。好適な濃度としては、水溶性フィルムに対して1ppm~5000ppm、又は更には100ppm~2500ppm、又は更には250ppm~2000rpmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
本発明による水溶性フィルムは、不透明、透明、又は半透明であってよい。本発明による水溶性フィルムは、印刷区域を含んでいてもよい。印刷区域は、フレキソ印刷又はインクジェット印刷などの標準的な技術を使用して得ることができる。
【0022】
本発明による水溶性フィルム若しくは水溶性単位用量物品又は両方は、潤滑剤でコーティングされていてもよい。好ましくは、潤滑剤は、タルク、酸化亜鉛、シリカ、シロキサン、ゼオライト、ケイ酸、アルミナ、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、変性デンプン、粘土、カオリン、石膏、シクロデキストリン、又はこれらの混合物から選択される。
【0023】
カゼイン塩ポリマー
カゼインは、水に比較的不溶性の牛乳由来のタンパク質である。しばしば、カゼインは、牛乳(カゼイン酸)又はレンネット(レンネットカゼイン)に酸を加えた後の沈殿によって得られる。カゼイン塩は、カゼインの塩として定義され、その対イオンは、一般的には、カルシウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム及びナトリウム、又はこれらの混合物、最も好ましくはナトリウムからなる群から選択される。
【0024】
本発明による水溶性フィルムは、カゼイン塩ポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとのブレンドを含む水溶性ポリマーを含み、カゼイン塩ポリマーは、好ましくはカゼイン塩のアルカリ金属塩から選択され、より好ましくはカゼインナトリウムである。
【0025】
本発明によるポリマーはカゼイン塩を含むものとして述べられているが、実際には、このカゼイン塩は、カゼイン塩とカゼイン不純物との混合物である。カゼイン不純物とカゼイン塩との相対重量比は、水溶性フィルムのpHの関数である。したがって、本明細書でカゼイン塩と言う場合、これには、純粋なカゼインナトリウム、及びさまざまなレベルのカゼイン不純物が包含される。
【0026】
理論に拘束されることを望むものではないが、カゼインは、a(s1)-カゼイン、a(s2)-カゼイン、β-カゼイン及びκ-カゼインからなる。あらゆるタンパク質と同様、カゼインは、数百の個々のアミノ酸で構成され、それぞれのアミノ酸は周囲の系のpHに応じて、正電荷又は負電荷を有することができる。特定のpH値において、カゼイン上のすべての正電荷とすべての負電荷は平衡状態を保つ(すなわち、タンパク質上の正味電荷がゼロである)が、このpH値は等電点(IEP)として知られており、カゼインでは4.6である。IEPは、タンパク質が少なくとも可溶性となるpHである。したがって、アルカリ条件がカゼインを可溶性にすることから、カゼインを可溶性とするには、カゼインはカゼイン塩の形態で使用される。
【0027】
ポリビニルアルコールホモポリマー
水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールホモポリマーを含む。
【0028】
理論に束縛されることを望むものではないが、「ホモポリマー」という用語は、一般に、1種類のモノマー繰り返し単位を有するポリマー(例えば、単一のモノマー繰り返し単位からなる、又はそれから本質的になるポリマー鎖)を含む。特にポリビニルアルコールの場合、「ホモポリマー」という用語には、加水分解度に応じて、ある分布のビニルアルコールモノマー単位及び場合により酢酸ビニルモノマー単位を有するポリマー(例えば、ビニルアルコールモノマー単位及び酢酸ビニルモノマー単位からなる、又はそれらから本質的になるポリマー鎖)が含まれる。加水分解が100%である限定的な場合では、ポリビニルアルコールホモポリマーは、ビニルアルコール単位のみを有する純粋なホモポリマーを含んでもよい。
【0029】
理論に束縛されることを望むものではないが、「コポリマー」という用語は、一般に、2種類以上のモノマー繰り返し単位を有するポリマー(例えば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーなどであるかどうかにかかわらず、2つ以上の異なるモノマー繰り返し単位からなる、又はそれらから本質的になるポリマー鎖)を含む。具体的にポリビニルアルコールの場合、「コポリマー」という用語(又は「ポリビニルアルコールコポリマー」)は、加水分解度に応じて、ある分布のビニルアルコールモノマー単位及び任意選択で酢酸ビニルモノマー単位、並びに少なくとも1つの他の種類のモノマー繰り返し単位を有するコポリマー(例えば、ビニルアルコールモノマー単位、酢酸ビニルモノマー単位、及び1つ以上の他のモノマー単位、例えば、アニオン性又は更に非イオン性モノマー単位からなる又はそれらから本質的になるター(又はより高級な)ポリマー鎖)を含む。加水分解が100%である限定的な場合では、ポリビニルアルコールコポリマーは、ビニルアルコール単位及び1つ以上の他のモノマー単位を有するコポリマーを含んでもよいが、ビニルアセテート単位を含まない。
【0030】
ポリビニルアルコールホモポリマーは、75%~100%、好ましくは80%~95%、最も好ましくは85%~90%の平均加水分解度(%)を有する。当業者には、ポリビニルアルコールホモポリマーの加水分解度を測定する方法は周知のものである。加水分解度を測定する好適な試験方法は、標準法であるJIS K6726に準拠するものである。
【0031】
ポリビニルアルコールホモポリマーは、1~30mPas、より好ましくは5~25mPas、最も好ましくは10~25mPasの平均粘度を有し、粘度は、20℃の脱塩水中の4%水溶液として測定される。本発明全体を通して、任意のポリビニルアルコールポリマーの粘度は、British Standard EN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されているように、ULアダプタを備えたBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに作製した溶液を測定することによって求めることができる。20℃の4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を提示することが標準的な慣行である。
【0032】
好適なポリビニルアルコールホモポリマーは、Sigma AldrichからMowiolの商標名で入手することができる。
【0033】
好ましくは、水溶性ポリマーは、本発明による水溶性フィルムの60重量%~80重量%で存在し、カゼイン塩ポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとの40:60~50:50の重量比の混合物からなり、ポリビニルアルコールホモポリマーは、85%~90%の平均加水分解度(%)及び20℃の脱塩水中の4%水溶液として測定した場合に10~20mPasの平均粘度を有する。
【0034】
フィルムの製造方法
本発明による水溶性フィルムは、本明細書に記載される種類及び量に従って、カゼイン塩ポリマーとポリビニルアルコールホモポリマーとを本明細書に記載される好ましくかつ任意選択的な二次添加剤と共に、混合、共流延(co-casting)、又は溶着することによって形成することができる。ポリマーが最初に混合される場合、好ましくは得られた混合物を(例えば、他の可塑剤及び他の添加剤と共に)流延してフィルムを形成することにより水溶性フィルムを形成する。ポリマーが溶着される場合、例えば、溶剤又は熱溶着により、水溶性フィルムを形成してもよい。別の態様は、押出成形、例えばブロウン押出成形(blown extrusion)によって形成される水溶性フィルムを特徴とする。最も好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、溶液流延によって調製される。
【0035】
水溶性単位用量物品
本発明の更なる態様は、本発明による水溶性フィルムと、トリートメント組成物と、少なくとも1つの内部区画と、を含む水溶性単位用量物品であって、トリートメント組成物が、少なくとも1つの区画内に収容されている、水溶性単位用量物品である。トリートメント組成物について、以下でより詳細に説明する。
【0036】
水溶性単位用量物品は、水溶性フィルムによって取り囲まれた少なくとも1つの内部区画を単位用量物品が含むように成形された、水溶性フィルムを含む。単位用量物品は、内部区画を画定するように互いに封止された、第1の水溶性フィルムと、第2の水溶性フィルムとを含んでよい。水溶性単位用量物品は、保管中にトリートメント組成物が区画から漏れ出さないように構成される。しかし、水溶性単位用量物品を水に加えると、水溶性フィルムが溶解して、内部区画の内容物が洗浄液中に放出される。
【0037】
区画は、洗剤組成物を保持する、単位用量物品内の密閉された内部空間を意味すると理解されたい。製造中、第1の水溶性フィルムは、トリートメント組成物が添加される開口区画を含むような形状であってよい。次に、区画の開口部を閉じる向きで、第1のフィルムを第2の水溶性フィルムで覆う。次いで、第1のフィルム及び第2のフィルムは、封止領域に沿って共に封止される。
【0038】
単位用量物品は、2つ以上の区画、更には少なくとも2つの区画、又は更には少なくとも3つの区画を含んでもよい。区画は、重ね合わせる配向で、すなわち、一方が他方の上に位置するように配置されてよい。このような配向では、単位用量物品は、上側、中央、及び下側の3枚のフィルムを含む。あるいは、区画は、隣り合った配向で、すなわち、一方が他方に隣接する配向で位置してよい。区画は、「タイヤ及びリム」配置で配向されていてもよく、すなわち、第1の区画は、第2の区画に隣接して位置付けられるが、第1の区画は、第2の区画を少なくとも部分的に取り囲むが、第2の区画を完全には包囲していない。あるいは、1つの区画が、別の区画内に完全に封入されてもよい。
【0039】
単位用量物品が少なくとも2つの区画を含む場合、区画の一方が他方の区画より小さくてもよい。単位用量物品が少なくとも3つの区画を含む場合、区画のうちの2つが第3の区画より小さくてもよく、好ましくは、小さい方の区画が大きい方の区画上に重ね合わせられている。重ね合わせられた区画は、好ましくは、隣り合って配向される。
【0040】
好ましくは、水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの区画、好ましくは少なくとも3つの区画、更により好ましくは少なくとも4つの区画、最も好ましくは、水溶性単位用量物品は、第1の区画と、第1の区画に重ね合わされた少なくとも第2の区画と、より好ましくは少なくとも第3の区画は第2の区画に対して隣り合った配向された少なくとも第3の区画であって、第2の区画及び第3の区画は第1の区画上に重ね合わせられている、第3の区画と、更により好ましくは、第2の区画及び第3の区画に対して隣り合った配向された少なくとも第4の区画であって、第2の区画、第3の区画、及び第4の区画は第1の区画上に重ね合わせられている、第4の区画と、を含む。
【0041】
多区画配向では、洗剤組成物は、区画のうちの少なくとも1つに含まれていてよい。例えば、洗剤組成物は、1つの区画だけに含まれていてもよく、又は2つの区画、若しくは更には3つの区画、若しくは更には利用可能なすべての区画に含まれていてもよい。
【0042】
各区画は、同一の組成物又は異なる組成物を含んでもよい。異なる組成物はすべて同一形態であってもよく、又は異なる形態であってもよい。水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの内部区画を含んでいてよく、洗剤組成物は、区画のうちの少なくとも1つに含まれ、好ましくは、当該単位用量物品は、少なくとも3つの区画を含み、当該洗剤組成物は、当該区画のうちの少なくとも1つに含まれる。
【0043】
本発明による水溶性単位用量物品は、本発明による少なくとも1枚の水溶性フィルムを含んでいてよい。あるいは、本発明による水溶性単位用量物品は、本発明による少なくとも2枚又は更には少なくとも3枚の水溶性フィルムを含み得る。あるいは、本発明による水溶性単位用量物品は、本発明による水溶性フィルムのみを含み、すなわち、本発明の範囲外の水溶性フィルムを全く含まない。好ましくは、個々の区画を取り囲む下側及び上側の水溶性フィルムの両方が本発明による水溶性フィルムであるような、水溶性単区画単位用量物品又は複数の区画が並んで配置された水溶性多区画単位用量物品が作製される。あるいは、上側又は下側の水溶性フィルムのいずれかが本発明によるものである。重ねて配置された区画を有する水溶性単位用量物品を作製してもよい。この配置では、上側、下側、及び中央の水溶性フィルムのそれぞれが、本発明による水溶性フィルムであってよい。あるいは、1枚、例えば、中央の水溶性フィルムのみ、若しくは上側の水溶性フィルムのみ、若しくは下側の水溶性フィルムのみ、又はこれらの水溶性フィルムのいずれかの組み合わせが本発明による水溶性フィルムであってよいが、残りの水溶性フィルムは、本発明の範囲外である。好ましくは、水溶性単位用量物品内に含まれるすべての水溶性フィルムが、本発明による水溶性フィルムである。本発明によるこれらの水溶性フィルムは、化学的及び物理的に同じであってもよく、あるいは化学的及び/又は物理的に異なっていてもよい。「異なる」とは、第1の水溶性フィルムが、第2の水溶性フィルムとは異なる少なくとも1つの化学的及び/又は物理的特性を有することを意図する。この特徴は、異なるポリマー樹脂、例えば、個々のポリマー溶液の平均粘度、個々のポリマーの平均加水分解度、第1の水溶性ポリマーと第2の水溶性ポリマーとの比、又はこれらの組み合わせが異なるポリマー樹脂を選択することにより得ることができる。「目標とする平均」は、任意の製造プロセスに固有の標準的なポリマーのばらつきを考慮する。あるいは、この特徴は、可塑剤含量若しくは含水量に対する、ポリマー樹脂などの水溶性フィルム内部の個々の成分の相対含量を変化させることにより、又は更には添加剤の正確な化学的性質を変化させることにより得ることもできる。「異なる」特徴は、変形前の出発フィルムについて評価され、例えば、変形作用の結果としての水溶性フィルム含量の違い、カプセル化される洗剤組成物への曝露により生じる、フィルムと洗剤組成物との間の活性物質の交換、並びに周囲の保管環境との活性物質の交換は、この評価において除外される。
【0044】
図1は、本発明による水溶性単位用量物品(1)を開示する。水溶性単位用量物品(1)は、第1の水溶性フィルム(2)と第2の水溶性フィルム(3)とを含み、これらは、封止領域(4)で互いに封止されている。洗剤組成物(5)は、水溶性可溶性単位用量物品(1)内に含まれる。
【0045】
トリートメント組成物
トリートメント組成物は、洗濯洗剤組成物、洗濯柔軟化組成物、自動食器洗浄組成物、硬質表面洗浄組成物、又はこれらの混合物から選択することができ、好ましくは洗濯洗剤組成物であり、好ましくは、トリートメント組成物は、液体、粉末、又はこれらの混合物であり、好ましくは液体組成物である。
【0046】
用語「液体」は、ゲル、溶液、懸濁物、ペースト、又はこれらの混合物を含む。
【0047】
本明細書において粉末とは、トリートメント組成物が固体粒子を含んでいてもよく、又は単一の均質な固体であってもよいことを意味する。好ましくは、粉末トリートメント組成物は、粒子を含む。これは、粉末トリートメント洗剤組成物が、単一の均質な固形物である固体ではなく、個別の固体粒子を含むことを意味する。粒子は、自由流動性であり得るか、又は圧縮され得、好ましくは自由流動性である。
【0048】
好ましくは、トリートメント組成物は、洗濯洗剤組成物、最も好ましくは液体洗濯洗剤組成物である。
【0049】
洗濯洗剤組成物は、布地手洗い操作に使用することもでき、又は自動の布地機械洗い操作に使用することもでき、好ましくは自動の布地機械洗い操作で使用される。
【0050】
好ましくは、トリートメント組成物は、非石鹸界面活性剤を含み、非石鹸界面活性剤は、アニオン性非石鹸界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む。好ましくは、トリートメント組成物は、トリートメント組成物の10重量%~60重量%、より好ましくは20重量%~55重量%の非石鹸界面活性剤を含む。
【0051】
非石鹸アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との重量比は、1:1~20:1、好ましくは3:1~17.5:1、より好ましくは5:1~15:1、最も好ましくは7.5:1~12.5:1であってよい。
【0052】
好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含む。直鎖アルキルベンゼンスルホネートとアルキルサルフェートとの重量比は、1:2~9:1、好ましくは1:1~7:1、より好ましくは1.25:1~5:1、最も好ましくは1.4:1~3:1である。
【0053】
例示的な直鎖アルキルベンゼンスルホネートは、C10~C16アルキルベンゼンスルホン酸又はC11~C14アルキルベンゼンスルホン酸である。「直鎖」とは、本明細書では、アルキル基が直鎖状であることを意味する。アルキルベンゼンスルホネートは、当該技術分野において周知である。
【0054】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルキルサルフェート、若しくは非アルコキシル化アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含んでもよい。アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、好ましくは、エトキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤である。
【0055】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、好ましくは1~5、より好ましくは1~3、最も好ましくは2~3のモル平均エトキシル化度を有する、エトキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み得る。
【0056】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非エトキシル化アルキルサルフェート及びエトキシル化アルキルサルフェートを含んでいてよく、当該アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のモル平均エトキシル化度は、1~5、より好ましくは1~3、最も好ましくは2~3である。
【0057】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル画分は、好ましくは、脂肪族アルコール、オキソ合成アルコール、ゲルベアルコール、又はこれらの混合物から誘導することができる。
【0058】
好ましくは、トリートメント組成物は、トリートメント組成物の10重量%~50重量%、より好ましくは15重量%~45重量%、更により好ましくは20重量%~40重量%、最も好ましくは30重量%~40重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含む。
【0059】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、アルコールアルコキシレート、オキソ合成アルコールアルコキシレート、ゲルベ(Guerbet)アルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコールアルコキシレート、又はこれらの混合物から選択される。
【0060】
トリートメント組成物は、好ましくは、トリートメント組成物の0.01重量%~10重量%、好ましくは0.01重量%~8重量%、より好ましくは0.1重量%~6重量%、最も好ましくは0.15重量%~5重量%の非イオン性界面活性剤を含む。
【0061】
好ましくは、トリートメント組成物は、トリートメント組成物の1.5重量%~20重量%、より好ましくは2重量%~15重量%、更により好ましくは3重量%~10重量%、最も好ましくは4重量%~8重量%の石鹸、好ましくは脂肪酸塩、より好ましくはアミン中和された脂肪酸塩を含み、好ましくは、アミンは、アルカノールアミン、より好ましくは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はこれらの混合物から選択され、より好ましくは、モノエタノールアミンである。
【0062】
好ましくは、トリートメント組成物は、液体トリートメント組成物であり、より好ましくは、液体トリートメント組成物は、液体トリートメント組成物の15重量%未満、より好ましくは12重量%未満、更により好ましくは1重量%~12重量%、最も好ましくは5重量%~12重量%の水を含む。
【0063】
好ましくは、トリートメント組成物は、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、又はこれらの混合物から選択される非水性溶媒を含む液体トリートメント組成物である。好ましくは、液体トリートメント組成物は、液体トリートメント組成物の10重量%~40重量%、好ましくは15重量%~30重量%の非水性溶媒を含む。
【0064】
好ましくは、トリートメント組成物は、香料を含む。
【0065】
好ましくは、トリートメント組成物は、酵素、クエン酸塩、漂白剤、漂白触媒、染料、色相染料、増白剤、アルコキシル化ポリアミン及びポリエチレンイミンを含む洗浄ポリマー、汚れ放出ポリマー、界面活性剤、溶媒、移染防止剤、キレート剤、カプセル化香料、ポリカルボキシレート、構造化剤、pH調整剤、並びにこれらの混合物を含むビルダーを含む群から選択される補助成分を含む。
【0066】
当業者であれば、公知の知識及び技術を用いて好適なトリートメント組成物を配合し、製造する方法が分かるであろう。トリートメント組成物は、界面活性剤、ポリマー、漂白剤、酵素、香料、染料、構造化剤、フィラー、水又はこれらの混合物を含む一般的な洗剤成分を含んでいてもよい。
【0067】
当業者は、本発明による水溶性単位用量物品を製造するための公知の技術を承知しているであろう。
【0068】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値の周辺の機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【実施例
【0069】
試験方法:
1.フィルム崩壊時間:
MSTM-205崩壊プロトコルを10℃の脱塩水中で実施した後、異なるカゼインナトリウム/ポリビニルアルコールホモポリマーベースの水溶性フィルムの冷水フィルム崩壊プロファイルを測定した。この試験では、3つの複製物の平均フィルム破断時間(秒)を記録した。
【0070】
2.フィルム溶解時間:
MSTM-119 Standard Test Method for Residue with Dissolution Chamber by Monosolを20℃の脱塩水中で実施した後、異なるカゼインナトリウム/ポリビニルアルコールホモポリマーベースの水溶性フィルムの冷水溶解プロファイルを測定した。この試験では、3つの複製物について、水中にフィルムを10分間浸漬した後の溶解したフィルムの平均の比率(%)を記録した。
【0071】
3.破断時引張ひずみ率(%)
水溶性フィルムの試験試料を、以下のようにして破断時引張ひずみ率(%)について分析した。この手順は、ASTM D882(「Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting」)に従って破断時引張ひずみ率(%)を測定することを含む。INSTRON引張試験装置(モデル5544引張試験機又は同等のもの、Instron Industrial Products,825 University Ave.,Norwood,MA 02062-2643)を、フィルムデータの試料採集のために使用した。寸法安定性及び再現性を確保するために、それぞれ信頼性の高い切断ツール(例えば、Thwing Albert Instrument Company(Philadelphia,PA U.S.A.)製のJDC高精度試料カッターモデル1-10)で切断した5つの試験標本を試験した。水溶性フィルムは、24時間かけて試験環境条件に予め調整した。20℃及び相対湿度33%の標準的な実験室雰囲気中で試験を実施した。厚さ3.0±0.15ミル(又は76.2±3.8μm)を有する単一のフィルムシートの幅1インチ(2.54cm)の試料を調製した。次に試料をINSTRON引張試験機に移して、試験を進めた。引張試験機は、500Nロードセルを備え、製造者の指示に従って準備し、校正した。適正なグリップ及びフェース面を取り付けた(ゴムでコーティングされた幅25mmのモデル番号2702-032のフェース面を有するINSTRONグリップ、又は同等のもの)。試料を引張試験機に装着し、1N/分の速度で伸長し、分析して、応力-ひずみ曲線を決定した。破断時 引張ひずみ率(%)は、応力-ひずみ曲線から抽出され、例えば、このデータは、フィルムが破断する引張ひずみ率(%)である(この値は高いほど良く、好ましくは>150%、より好ましくは>250%、最も好ましくは>250%である)。3つの試験標本の平均を計算し、報告した。
【0072】
試験材料:
出発ポリマー材料:
・PVAホモポリマー:Mowiol 18/88(例、Sigma Aldrich)
・カゼインナトリウム:牛乳由来のカゼインナトリウム塩(例、Sigma Aldrich)
ポリマーブレンド:
・100%カゼインナトリウム
・重量比80/20のカゼインナトリウム/PVAホモポリマー
・重量比60/40のカゼインナトリウム/PVAホモポリマー
・重量比50/50のカゼインナトリウム/PVAホモポリマー
・重量比40/80のカゼインナトリウム/PVAホモポリマー
・重量比20/80のカゼインナトリウム/PVAホモポリマー
・100%PVA ホモポリマー
それぞれのポリマーブレンドからの水溶性フィルムは、本明細書に詳しく述べられるプロセスに従って調製した。
・ポリマー樹脂/粉末を脱灰水に投入して、15%溶液を調製する。可塑剤及び他の添加剤を、各比に従って添加した。混合物を50mLのガラス瓶中で200rpmで撹拌する。溶液を、還流下のプロピレングリコール浴中、80℃で4時間加熱する。
・ポリマーを水中に十分に溶解させて均質な溶液とし、超音波処理及び吸引によって気泡を送り込んだ。
・均質な溶液を、処理したガラス支持体上に注ぐ(CHCl中、ClSi(CH)。
・溶液を、250μm~350μmの範囲の湿潤間隙を有するフィルムアプリケータを使用して薄層に広げる。
・得られたフィルムを、終夜、周囲条件(22℃、35%RH)で静置する。
・乾燥したフィルムを支持体から剥離する。
【0073】
試験結果:
表1に、本明細書に記載されるフィルム製造プロセスに従って上記に列挙したポリマーブレンドから調製された水溶性フィルムの平均フィルム破断時間(秒)、平均フィルム溶解率(%)、及び平均破断時引張ひずみ率(%)の値を報告する。これらの結果から、本発明によるカゼインナトリウム-ポリビニルアルコールホモポリマーブレンドに基づいた水溶性フィルムは、その水溶性ポリマーブレンドの一部としてカゼインナトリウムを含まず、したがって本発明の範囲外である水溶性フィルムと比較して、フィルム溶解プロファイルが大幅に改善されており(例えば、溶解率(%)がより高い)、誤って水に曝露される際の早期の崩壊に対してより高い耐性を示す(例えば、初期フィルム破裂が遅延される)ことが明らかに分かる。本発明によるこれらのカゼインナトリウム-ポリビニルアルコールホモポリマーブレンドはまた、フィルムの変形を可能とするうえで適当な機械的特性も示す(破断時引張ひずみ率(%)>150%)。
【0074】
【表1】
測定されず
【0075】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値の周辺の機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
図1
【国際調査報告】