(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】尿流量測定信号アーチファクト検出および除去システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/20 20060101AFI20230215BHJP
G16Y 10/60 20200101ALI20230215BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20230215BHJP
【FI】
A61B5/20
G16Y10/60
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536885
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 US2020056103
(87)【国際公開番号】W WO2021126352
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519030176
【氏名又は名称】ラボリエ メディカル テクノロジーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン ジー.ダッコ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ナタニエル コール
(72)【発明者】
【氏名】サイモン ビー.マウンダー
(72)【発明者】
【氏名】ハンス チャン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ドライバー
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038DD06
(57)【要約】
本開示の態様は、尿流量計データを提供するための方法を対象とする。本方法は、尿流量計装置から体積サンプルデータを表す体積サンプルデータを受信することと、体積サンプルデータの勾配を計算することと、計算された勾配がトリガ閾値に達した場合に追加のアクションを実施することとを含む。計算された勾配がトリガ閾値に達した場合、本方法はさらに、アーチファクトが体積サンプルデータに存在するかどうかを判定してもよい。この工程は、潜在的なアーチファクトの形態を、既知のアーチファクトの形態と比較すること、および潜在的なアーチファクトの前後の体積サンプルデータの値を比較することを含んでもよい。アーチファクトが体積サンプルデータ内に存在すると判定され、潜在的なアーチファクトの前の体積サンプルデータが、潜在的なアーチファクトの後の体積サンプルデータ以下である場合、アーチファクトを表す体積サンプルデータの一部を除去する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿流量計データを解析するための尿流量測定システムであって、
尿流量計装置であって、前記尿流量測定システム内の液体の体積を表す体積サンプルデータを生成するように構成された尿流量計装置と、
外部計算装置と、を備え、前記外部計算装置が、
前記尿流量計センサから体積サンプルデータを受信することと、
前記体積サンプルデータの勾配を計算することと、
前記計算された勾配がトリガ閾値に達した場合、
アーチファクトが前記体積サンプルデータ内に存在するかどうかを判定することであって、
前記潜在的なアーチファクトの形態を、既知のアーチファクトの形態と比較すること、および
前記潜在的なアーチファクトの前後の前記体積サンプルデータの値を比較すること、を含む、判定することと、
アーチファクトが前記体積サンプルデータ内に存在すると判定され、前記潜在的なアーチファクトの前の前記体積サンプルデータの値が、前記潜在的なアーチファクトの後の前記体積サンプルデータ以下である場合、前記検出されたアーチファクトを表す前記体積サンプルデータの一部を除去することと、を行うように構成されている、尿流量測定システム。
【請求項2】
前記尿流量計装置が、尿流量計センサを含む、請求項1に記載の尿流量測定システム。
【請求項3】
前記外部計算装置が、コンピュータ、タブレット、およびスマートフォンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の尿流量測定システム。
【請求項4】
前記体積サンプルデータの前記勾配を計算することが、
平均勾配を計算することと、
前記平均勾配によって前記勾配を調整することと、を含む、請求項1または先行請求項のいずれか一項に記載の尿流量測定システム。
【請求項5】
前記平均勾配を計算することが、最小二乗最良適合モデルを使用することを含む、請求項4に記載の尿流量測定システム。
【請求項6】
前記トリガ閾値が、より低い勾配値を含む、請求項1または先行請求項のいずれか一項に記載の尿流量測定システム。
【請求項7】
前記トリガ閾値が、前記計算された勾配が0mL/秒以下である場合を含む、請求項6に記載の流量測定システム。
【請求項8】
アーチファクトが、イベントを含む体積測定データを含み、前記イベントが、ドアの開放、ドアの閉鎖、HVACシステムの運転、足踏み、および機械的振動のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または先行請求項のいずれか一項に記載の尿流量測定システム。
【請求項9】
体積サンプルデータを受信することが、複数の体積サンプルデータ点を受信することを含む、請求項1または先行請求項のいずれか一項に記載の尿流量測定システム。
【請求項10】
前記複数の体積サンプルデータ点を受信することが、ローリングバッファから前記体積サンプル点を受信することをさらに含む、請求項9に記載の尿流量測定システム。
【請求項11】
前記検出されたアーチファクトを表す体積サンプルデータの前記部分を除去することが、前記検出されたアーチファクトの各側から体積サンプルデータを補間することを含む、請求項1または先行請求項のいずれか一項に記載の尿流量測定システム。
【請求項12】
前記外部計算装置が、前記体積サンプルデータの前記勾配を計算する前に、バンドパスフィルタを適用するようにさらに構成されている、請求項1または先行請求項のいずれか一項に記載の尿流量測定システム。
【請求項13】
前記バンドパスフィルタが、0.4Hz~0.8Hzである、請求項12に記載の尿流量測定システム。
【請求項14】
前記体積サンプルデータ中にアーチファクトが存在するかどうかを判定することが、
トリガを判定することであって、前記トリガは、前記トリガが前記トリガ閾値に達した点である、判定することと、
ベースラインを判定することであって、前記ベースラインが、前記潜在的なアーチファクトの開始前の領域である、判定することと、
ポストベースラインを判定することであって、前記ポストベースラインが、前記潜在的なアーチファクトの終了後の領域である、判定することと、
トラフを判定することであって、前記トラフが、前記トリガおよび前記イベントの後の時間によって境界された最も低い局所的最小値である、判定することと、
ポストピークを判定することであって、前記ポストピークが、前記トリガおよび前記ポストベースラインによって境界された最も大きい局所的最大値である、判定することと、
オンセットを判定することであって、前記オンセットを判定することが、
前記ベースラインからプレピーク振幅の10%未満である前記プレピークの前の範囲で局所的最小値または平坦領域の位置を特定することであって、位置を特定された局所的最小値または平坦領域が前記オンセットである、位置を特定すること、または
前記ベースラインと前記トリガとの間の最も急な正の勾配である第1の点の位置を特定し、次いで、前記第1の点と前記ベースラインとの間の最も平坦な点である第2の点の位置を特定することであって、前記第2の点が前記オンセットである、位置を特定すること、のうちの少なくとも1つを含む、判定することと、を含む、請求項1または先行請求項のいずれか一項に記載の尿流量測定システム。
【請求項15】
前記プレピークが前記ベースラインおよび前記ポストピークよりも大きい場合、前記アーチファクトが、正の形状のアーチファクトとして特定され、
前記トラフが前記トリガの後にある場合、前記アーチファクトが、負の形状のアーチファクトとして特定される、請求項14に記載の尿流量測定システム。
【請求項16】
前記外部計算装置が、
ベースラインデルタを判定することであって、前記ベースラインデルタが、前記ベースラインと前記ポストベースラインとの間の差である、判定することと、
前記ベースラインデルタが特定の値を超えている場合、前記潜在的なアーチファクトが、アーチファクトではないと判定されることと、を行うようにさらに構成されている、請求項14または15に記載の尿流量測定システム。
【請求項17】
前記外部計算装置が、
ピーク対トラフ振幅を判定することであって、前記ピーク対トラフ振幅が、前記ベースラインと前記ポストベースラインとの間の最低値と最高値との間の差である、判定することと、
前記ピーク対トラフ振幅を前記ベースラインデルタと比較することと、
前記ベースラインデルタ値が、前記ピーク対トラフ振幅の15%よりも高い場合、前記潜在的なアーチファクトがアーチファクトではないと判定することと、を行うようにさらに構成されている、請求項16に記載の尿流量測定システム。
【請求項18】
尿流量計データを解析するための尿流量測定システムであって、
尿流量計装置であって、前記尿流量測定システム内の液体の体積を表す体積サンプルデータを生成するように構成された尿流量計装置と、
外部計算装置と、を備え、前記外部計算装置が、
前記尿流量計装置から体積サンプルデータを受信することと、
複数のベースラインが存在するかどうかを判定することであって、
ベースラインが、複数の連続した体積サンプルデータ値を含み、前記体積サンプルデータが定常状態にあるとみなされ、
2つのベースライン間の前記複数の連続した体積サンプルデータ値に間隔があり、
2つの連続したベースライン間の差が、デルタベースラインである、判定することと、
前記2つのベースライン間の前記間隔が第1の所定の閾値内にあり、前記2つのベースライン間の前記デルタベースラインが第2の所定の閾値内にある場合、前記間隔がノイズまたは潜在的なアーチファクトのいずれかであると判定することと、を行うように構成されている、尿流量測定システム。
【請求項19】
前記尿流量計装置が、尿流量計センサを含む、請求項18に記載の尿流量測定システム。
【請求項20】
前記外部計算装置が、コンピュータ、タブレット、およびスマートフォンのうちの少なくとも1つを含む、請求項18または19に記載の尿流量測定システム。
【請求項21】
前記外部計算装置が、前記体積サンプルデータの前記勾配を計算する前にバンドパスフィルタを適用するようにさらに構成されている、請求項18または請求項19~20のいずれか一項に記載の尿流量測定システム。
【請求項22】
前記バンドパスフィルタは、0.4Hz~0.8Hzである、請求項21に記載の尿流量測定システム。
【請求項23】
アーチファクトが、イベントを含む体積測定データを含み、前記イベントが、ドアの開放、ドアの閉鎖、HVACシステムの運転、足踏み、および機械的振動のうちの少なくとも1つを含む、請求項18または請求項19~22のいずれか一項に記載の尿流量測定システム。
【請求項24】
体積サンプルデータを受信することが、複数の体積サンプルデータ点を受信することを含む、請求項18または請求項19~23のいずれか一項に記載の尿流量測定システム。
【請求項25】
前記複数の体積サンプルデータ点を受信することが、ローリングバッファから前記体積サンプル点を受信することをさらに含む、請求項24に記載の尿流量測定システム。
【請求項26】
前記検出されたアーチファクトを表す体積サンプルデータの前記部分を除去することが、前記検出されたアーチファクトの各側から体積サンプルデータを補間することを含む、請求項18または請求項19~25のいずれか一項に記載の尿流量測定システム。
【請求項27】
尿流量計データを提供する方法であって、
尿流量計装置から、体積サンプルデータを表す体積サンプルデータを受信することと、
前記体積サンプルデータの勾配を計算することと、
前記計算された勾配がトリガ閾値に達した場合、
アーチファクトが前記体積サンプルデータ内に存在するかどうかを判定することであって、
前記潜在的なアーチファクトの形態を、既知のアーチファクトの形態と比較すること、および
前記潜在的なアーチファクトの前後の前記体積サンプルデータの値を比較すること、を含む、判定することと、
アーチファクトが前記体積サンプルデータ内に存在すると判定され、前記潜在的なアーチファクトの前の前記体積サンプルデータの値が、前記潜在的なアーチファクトの後の前記体積サンプルデータ以下である場合、前記検出されたアーチファクトを表す前記体積サンプルデータの一部を除去することと、を含む、方法。
【請求項28】
前記体積サンプルデータの前記勾配を計算することが、
平均勾配を計算することと、
前記平均勾配によって前記勾配を調整することと、を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記平均勾配を計算することが、最小二乗最良適合モデルを使用することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記トリガ閾値が、より低い勾配値を含む、請求項27または請求項27~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記トリガ閾値が、前記計算された勾配が0mL/秒以下である場合を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
アーチファクトが、イベントを含む体積測定データを含み、前記イベントが、ドアの開放、ドアの閉鎖、HVACシステムの運転、足踏み、および機械的振動のうちの少なくとも1つを含む、請求項27または請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
体積サンプルデータを受信することが、複数の体積サンプルデータ点を受信することを含む、請求項27または請求項28~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記複数の体積サンプルデータ点を受信することが、前記体積サンプルデータ点をローリングバッファから受信することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記検出されたアーチファクトを表す体積サンプルデータの前記部分を除去することが、前記検出されたアーチファクトの各側から体積サンプルデータを補間することを含む、請求項27または請求項28~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記体積サンプルデータの前記勾配を計算する前にバンドパスフィルタを適用することをさらに含む、請求項27または請求項28~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記バンドパスフィルタが、0.4Hz~0.8Hzである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
アーチファクトが前記体積サンプルデータ中に存在するかどうかを判定することが、
トリガを判定することであって、前記トリガは、前記トリガが前記トリガ閾値に達した点である、判定することと、
ベースラインを判定することであって、前記ベースラインが、前記潜在的なアーチファクトの開始前の領域である、判定することと、
ポストベースラインを判定することであって、前記ポストベースラインが前記潜在的なアーチファクトの終了後の領域である、判定することと、
トラフを判定することであって、前記トラフが前記トリガおよび前記イベントの後の時間によって境界された最も低い局所的最小値である、判定することと、
ポストピークを判定することであって、前記ポストピークが、前記トリガおよび前記ポストベースラインによって境界される最も大きい局所的最大値である、判定することと、
オンセットを判定することであって、前記オンセットを判定することが、
前記ベースラインから前記プレピーク振幅の10%未満である前記プレピークの前の範囲で局所的最小値または平坦領域の位置を特定することであって、前記位置を特定された局所的最小値または平坦領域が前記オンセットである、位置を特定すること、または
前記ベースラインと前記トリガとの間の最も急な正の勾配である第1の点の位置を特定し、次いで、前記第1の点と前記ベースラインとの間の最も平坦な点である第2の点の位置を特定することであって、前記第2の点が前記オンセットである、位置を特定すること、のうちの少なくとも1つを含む、判定することと、を含む、請求項27または請求項28~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記プレピークが前記ベースラインおよび前記ポストピークよりも大きい場合、前記アーチファクトが、正の形状のアーチファクトとして特定され、
前記トラフが前記トリガの後にある場合、前記アーチファクトが、負の形状のアーチファクトとして特定される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ベースラインデルタを判定することであって、前記ベースラインデルタが、前記ベースラインと前記ポストベースラインとの間の差である、判定することと、
前記ベースラインデルタが特定の値を超えている場合、前記潜在的なアーチファクトが、アーチファクトではないと判定されることと、をさらに含む、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
ピーク対トラフ振幅を判定することであって、前記ピーク対トラフ振幅が、前記ベースラインと前記ポストベースラインとの間の最小値と最高値との間の差である、判定することと、
前記ピーク対トラフ振幅を前記ベースラインデルタと比較することと、
前記ベースラインデルタ値が前記ピーク対トラフ振幅の15%よりも高い場合、前記潜在的なアーチファクトがアーチファクトではないと判定することと、をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
尿流量計データを提供する方法であって、
尿流量計装置から、体積サンプルデータを表す体積サンプルデータを受信することと、
複数のベースラインが存在するかどうかを判定することであって、
ベースラインが、複数の連続した体積サンプルデータ値を含み、前記体積サンプルデータが定常状態にあるとみなされ、
2つのベースライン間の前記複数の連続した体積サンプルデータ値には間隔があり、
2つの連続したベースライン間の差が、デルタベースラインである、判定することと、
前記2つのベースライン間の前記間隔が第1の所定の閾値内にあり、前記2つのベースライン間の前記デルタベースラインが第2の所定の閾値内にある場合、前記間隔がノイズまたは潜在的なアーチファクトのいずれかであると判定することと、を含む、方法。
【請求項43】
前記体積サンプルデータの前記勾配を計算する前に、バンドパスフィルタを適用することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記バンドパスフィルタは、0.4Hz~0.8Hzである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
アーチファクトが、イベントを含む体積測定データを含み、前記イベントが、ドアの開放、ドアの閉鎖、HVACシステムの運転、足踏み、および機械的振動のうちの少なくとも1つを含む、請求項42または請求項43~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
体積サンプルデータを受信することが、複数の体積サンプルデータ点を受信することを含む、請求項42または請求項43~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記複数の体積サンプルデータ点を受信することが、前記体積サンプル点をローリングバッファから受信することをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記検出されたアーチファクトを表す体積サンプルデータの前記部分を除去することが、前記検出されたアーチファクトの各側から体積サンプルデータを補間することを含む、請求項42または請求項43~47のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年10月14日に出願された米国特許出願第17/070,858号の優先権を主張し、また、2019年12月16日に出願された米国仮出願第62,948,804号の優先権を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
尿流量測定検査は、一般的に尿の流れを測定する。尿流量測定は、尿の流速、尿の流量、および患者が完全に排尿するまでの時間など、患者の排尿の多くの態様を追跡することができる。尿流の平均速度および最高速度を測定することで、尿流量測定検査は、尿路に関する様々な健康上の問題を明らかにすることができる。しかしながら、健康上の問題をより良く診断するには、常により正確なデータを医師に提供する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示のいくつかの態様は、尿流量計データを提供するための方法を対象とする。本方法は、尿流量計装置から体積サンプルデータを表す体積サンプルデータを受信すること、体積サンプルデータの勾配を計算すること、計算された勾配がトリガ閾値に達した場合に追加のアクションを実施することを含んでもよい。計算された勾配がトリガ閾値に達した場合、本方法は、アーチファクトがその体積サンプルデータ内に存在するかどうかを判定する工程をさらに含んでもよい。この工程は、潜在的なアーチファクトの形態を、既知のアーチファクトの形態と比較すること、および潜在的なアーチファクトの前後の体積サンプルデータの値を比較すること、を含んでもよい。アーチファクトが体積サンプルデータに存在すると判定され、潜在的なアーチファクトの前の体積サンプルデータが、潜在的なアーチファクトの後の体積サンプルデータ以下である場合、検出されたアーチファクトを示す体積サンプルデータの部分を除去する。
【0004】
いくつかの実施形態では、体積サンプルデータの勾配を計算することは、平均勾配を計算すること、および平均勾配によって勾配を調整することを含んでもよい。さらに、平均勾配は、最小二乗最良適合モデルを使用して計算されてもよい。いくつかの実施形態では、トリガ閾値は、より低い勾配値を含む。例えば、トリガ閾値は、勾配が0mL/秒以下である場合であってもよい。アーチファクトは、ドアの開放、ドアの閉鎖、HVACシステムの運転、足踏み、および機械的振動のうちの少なくとも1つなどのイベントを含む可能性がある。
【0005】
いくつかの実施形態では、体積サンプルデータを受信することは、複数のサンプルデータ点を受信することを含む。このような実施形態では、複数の体積サンプルデータ点を受信することは、ローリングバッファなどのバッファから体積サンプルデータ点を受信することをさらに含んでもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、アーチファクトが存在することを判定することは、ベースラインを判定することであって、ベースラインは、潜在的なアーチファクト開始前の領域である、判定することと、ポストベースラインを判定することであって、ポストベースラインは、潜在的なアーチファクト終了後の領域である、判定することと、トラフを判定することであって、トラフは、トリガおよびイベント後の時間によって境界される最も低い局所的な最小値である、判定することと、ポストピークを判定することであって、ポストピークは、トリガおよびポストベースラインによって境界される最大の局所的な最大値である、判定することと、オンセットを判定することと、を含んでもよい。オンセットを判定することは、ベースラインからのプレピーク振幅の10%未満である、プレピークの前の範囲内の局所的最小値または平坦領域の位置を特定することであって、位置を特定された局所的最小値または平坦領域がオンセットである、特定すること、またはベースラインとトリガとの間の最も急な正の勾配を有する点の位置を特定し、次に、最も急な正の勾配を有する点とベースラインとの間の最も平坦な点の位置を特定することであって、位置を特定された点が、オンセットである、特定すること、のうちの少なくとも1つを含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態では、プレピークがベースラインおよびポストピークよりも大きい場合、アーチファクトは、正の形状のアーチファクトとして特定され、トラフがトリガの後にある場合、アーチファクトは、負の形状のアーチファクトとして特定される。追加的または代替的に、ベースラインデルタを判定することであって、ベースラインデルタは、ベースラインとポストベースラインとの間の差である、判定することと、ベースラインデルタが特定の値を超える場合、潜在的なアーチファクトは、アーチファクトではないと判定される、判定すること。このような実施形態では、本方法は、ピーク対トラフ振幅を判定する工程であって、ピーク対トラフ振幅は、ベースラインとポストベースラインとの間の最低値と最高値との間の差である、工程と、ベースラインデルタ値がピーク対トラフ振幅の15%よりも高い場合、潜在的なアーチファクトがアーチファクトではないと判定する工程と、をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2A】2つの例示的なアーチファクト、正の形状のアーチファクトおよび負のアーチファクトを提供する。
【
図2B】2つの例示的なアーチファクト、正の形状のアーチファクトおよび負のアーチファクトを提供する。
【
図3】アーチファクトを特定するために従ってもよいノイズアーチファクト検出方法の例示的なフローチャートを提供する。
【
図3A】正規化前の
図2Aおよび2Bの例示的なアーチファクトを示す。
【
図3B】正規化前の
図2Aおよび2Bの例示的なアーチファクトを示す。
【
図4A】正規化前の
図2Aおよび2Bの例示的なアーチファクトを示す。
【
図4B】正規化前の
図2Aおよび2Bの例示的なアーチファクトを示す。
【
図6】アーチファクトおよび/またはアーチファクト複合体を解析する場合に構成されてもよい様々なパラメータを含む表を提供する。
【
図7A】2つの例示的なアーチファクト、正の形状のアーチファクトおよび負の形状のアーチファクトの例示的な最大持続時間を提供する。
【
図7B】2つの例示的なアーチファクト、正の形状のアーチファクトおよび負の形状のアーチファクトの例示的な最大持続時間を提供する。
【
図8】平均、平均二乗誤差、および体積サンプルの間の関係を示す例を提供する。
【
図9】クラスタ中央値、クラスタサイズ、および体積サンプルの間の例示的な関係を詳細に示す。
【
図10】ベースラインチェックを実施する場合および/または2つのベースライン間の間隔が、流れ、漏れ、ノイズ、またはアーチファクトであるかどうかを判定する場合のいくつかの例示的な値を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本明細書で説明されるように、尿流量測定データを解析するために使用されてもよい例示的な尿流量測定システム100を提供する。いくつかの実施形態では、尿流量測定システム100は、圧力波を測定して排尿の様々な属性を判定するための尿流量計110を含んでもよい。しかしながら、いくつかの状況では、尿流量計110の外部の圧力波(例えば、外部イベント145)は、尿流量計データ内でノイズおよび/またはアーチファクトを生じさせる可能性がある。外部イベント145は、尿流量計110のセンサ(例えば、尿流量計センサ113)にまたはその周辺に破損または変動を引き起こす外部振動またはノイズを含む場合もあり、外部イベント145からのノイズおよび/またはアーチファクトとなってデータ(例えば、体積データおよび/または流量データ)内に存在することになる。いくつかの実施形態では、尿流量計110は、容器120(例えば、ビーカー、カップなど)内の液体125のレベルを測定するように構成されてもよい。このような実施形態では、外部イベント145(例えば、容器120の変動)は、容器120が蹴られる、流出する、またはぶつかる場合などに、アーチファクトをデータ内に存在させる可能性がある。
【0009】
本明細書で説明されるように、尿流量計110は、尿流量計センサ113を含んでもよい。尿流量計センサ113は、ロードセル、変換器などの様々なセンサ種を含んでもよい。このような例では、外部イベント145は、尿流量計センサ113に加わるより高いまたはより低い圧力を瞬間的に生じさせ、尿流量計センサ113にかかる尿流量計内の圧力に影響を及ぼす可能性がある。その後、この圧力の差は、アーチファクトがデータ内に存在する結果となる可能性がある。
【0010】
本明細書で説明されるように、尿流量計は、センサ(例えば、ロードセル、変換器など)を含んでもよい。このような例では、外部イベントは、尿流量計センサに加わるより高いまたはより低い圧力を瞬間的に生じさせ、センサにかかる尿流量計内の圧力に影響を及ぼす可能性がある。その後、この圧力の差は、アーチファクトがデータ内に存在する結果となる可能性がある。
【0011】
さらに、いくつかの実施形態では、尿流量計110は、システムを防水性またはより耐水性にするために、シリコンブーツまたは他の材料によって覆われるか、または部分的に覆われてもよい。このような例では、シリコンブートの内側と外側との間に局所的な圧力差が存在する場合もある。したがって、外部圧力が存在するとき、シリコンブートは、ダイヤフラムとして機能し、追加の力が圧力測定装置(例えば、尿流量計センサ113)に加えられる結果となる場合もある。したがって、尿流量計は、データ内のアーチファクトまたはノイズとして現れる可能性がある外部イベント145から生じる圧力波を検出する確率を上げることができる。
【0012】
外部イベント145は、様々な原因から発生する可能性がある。例えば、外部イベント145は、ドアの開閉、HVACシステムの運転、足踏み、機械的振動(例えば、重機から)、容器120または尿流量計の一部の変動、または実質的な振動および/もしくはノイズを発する可能性のある他の状況からであってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、尿流量計110によって収集されたデータは、ローパスフィルタまたはバンドパスフィルタなどでフィルタリングされ、環境および/または外部条件からのノイズを低減および/または除去する。このような例では、生理的要因(例えば、排尿)に関連する尿流量計信号は、一般に、5Hz未満、またはいくつかの例では、1.5Hz未満の周波数を有するため、5Hzローパスフィルタを使用することができる。いくつかの実施形態では、対象帯域は、約0~1Hz、0~1.5Hz、0.4~0.8Hz、または当業者に周知の他の対象帯域とすることができる。しかしながら、いくつかの例では、一部のノイズアーチファクトは、外部イベント145からのアーチファクトのような5Hz未満の周波数を有する場合もあり、したがって、重要な生理的情報までもフィルタリング除去すること無しにローパスフィルタリングまたはバンドパスフィルタリングによって簡単に除去することはできない。
【0014】
さらに、帯域幅を広げて収集することなどによって、より多くのデータが尿流量計110から収集されるため、尿流量計110は、データ内のより多くの外部イベント145を収集することができる。データ内のこのようなアーチファクトは、データに非尿流量測定情報を含ませる可能性があり、読み取りをより困難にし、ユーザ(例えば、医師)が不正確な結果を解釈することにつながる恐れがある。
【0015】
このような問題を克服するために、ノイズアーチファクト検出方法は、尿流量計110からの体積チャネルデータ上で動作し得る専門的なアーチファクト検出器として使用されてもよい。ノイズアーチファクト検出方法は、ドアの開閉などの感応測定装置(例えば、尿流量計110)周辺の外部イベント145に関連する局所的な大気圧アーチファクト、振動アーチファクトなどを特定するために使用することができる。さらに、本明細書で説明されるようなノイズアーチファクト検出方法は、
図1に示すように、尿流量測定システム100に組み込まれたシステムなどのノイズアーチファクト検出システムを使用して実施されてもよい。
【0016】
ノイズアーチファクト検出方法は、尿流量計110において実施されてもよい。追加的または代替的に、ノイズアーチファクト検出方法は、外部計算装置150(例えば、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなど)などの別の装置上で実施されてもよい。このような実施形態では、尿流量計110は、接続155などを介して、外部計算装置150と通信してもよい。接続155は、有線接続、無線接続、それらの組み合わせなどの、当技術分野で知られている様々な接続を含んでもよい。
【0017】
ノイズアーチファクト検出方法は、尿流量計センサ113によって生成されたデータ内の影響を受けた波形形状の形態を解析するために使用されてもよい。より具体的には、ノイズアーチファクト検出方法は、データ内の様々な外部イベント145からのアーチファクトを特定するために使用されてもよい。いくつかの例では、排尿パターンはアーチファクトとして特定されることはない。しかしながら、テーピング、しぶき、床の上の足踏みなどの他の外部イベントが、尿流量計110によって検出された信号の振幅、周波数、および/または形状などの様々なパラメータに基づいてアーチファクトとして特定される場合もある。データの一部がアーチファクトとして特定される場合、データの該部分は、除去、補間、マーキングなどが行われてもよい。例えば、FlowNoiseDataRetractionイベントは、本明細書で説明されるように、アーチファクトの時間範囲に開始および/または生成される場合もある。
【0018】
本明細書で説明されるように、様々なアーチファクトが特定され得る。いくつかの実施形態では、アーチファクトは、明確な形状で現れる場合もある。
図2Aおよび2Bは、2つの例示的なアーチファクト、正の形状のアーチファクトおよび負のアーチファクトを提供する。図示されるように、
図2Aおよび2Bは、それぞれ例示的な正の形状のアーチファクトおよび例示的な負の形状のアーチファクトについての時間と体積変化との間の関係を提供する。いくつかの実施形態では、
図2Aに示される正の形状のアーチファクトは、ドアの開放の結果である可能性があり、同様に、
図2Bに示される負の形状のアーチファクトは、ドアの閉鎖の結果である可能性がある。しかしながら、このようなアーチファクト(例えば、正の形状、負の形状など)は、本明細書で説明されるように、様々な外部イベントの結果である可能性がある。
【0019】
図2Aに示されるような正の形状のアーチファクトは、振幅の急激な上昇、続いてトラフ、およびベースライン値への復帰を特徴とすることができる。逆に、
図2Bに示されるような負の形状のアーチファクトは、振幅の急速な減少、続いてベースライン値への復帰を特徴とすることができる。
【0020】
図3は、アーチファクトを特定するために従ってもよいノイズアーチファクト検出方法300の例示的なフローチャートを提供する。図示されるように、方法300は、プライミング工程310、初期検索工程320、データ収集工程330、および解析工程340を含んでもよい。プライミング工程310に関して、初期化工程301は、プライミング工程310の前に発生してもよく、プライミングサンプルが収集されたことを確認するチェック315は、プライミング工程310の後に発生してもよい。プライミングサンプルが収集されたと判定されると(例えば、チェック315における、はい)、初期検索工程320が実施されてもよい。
【0021】
さらに、トリガ値のためのチェック325が実施されてもよく、トリガが見つからない場合(例えば、チェック325における、いいえ)、本方法は初期検索工程320に戻り、トリガが見つかった場合(例えば、チェック325における、はい)、データ収集工程330が初期化されてもよい。いくつかの実施形態では、初期トリガが、すぐに再開されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、初期トリガは、周期的に、または他の要因(例えば、ユーザ入力、流量、他のセンサ情報など)に基づいて発生する場合もある。工程330でのデータ収集が初期化された後、必要な量のサンプルが収集されたかどうかを確認するためのチェック335。いくつかの実施形態では、サンプルは、1秒当たり100サンプルの割合で収集されてもよいが、1秒当たり100サンプルを上回るまたは下回る割合など他のサンプリングレートが検討されている。いくつかの実施形態では、工程330で収集されたデータは、円形バッファなどのバッファに置かれてもよい。サンプルの必要量は、サンプルの量、ある時間範囲のサンプルなどとすることができる。いくつかの実施形態では、必要なサンプルは、所定の量に基づいてもよい。必要なサンプルが収集された後(例えば、チェック335における、はい)、解析工程340が実施されてもよい。次に、いくつかの実施形態では、解析が完了した後に別の初期検索が実施されてもよい。いくつかの実施形態では、初期検索は、解析と同時に実施されてもよい。
図3に関して説明したものと同様の様々な他の実施形態が検討されている。例えば、解析工程340の後、プロセスは、初期検索工程320ではなくプライミング工程310または初期化工程301に戻ってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、サンプル(例えば、尿流量計センサ113からの体積サンプル)は、受信後および方法300などによって解析される前に、バンドパスフィルタを通過させる。追加的または代替的に、バンドパスフィルタリングは、プライミング工程310、初期検索320、および/またはデータ収集工程330の間など、様々な他の時間に実施されてもよい。いくつかの実施形態では、解析工程340の間に使用されるすべてのデータサンプルは、解析工程340の前にフィルタリング(例えば、バンドパスフィルタでフィルタリング)されてもよい。バンドパスフィルタを使用して、対象アーチファクトの主電力中心の外側の周波数を除去するとともに、並流に関してデータを部分的に正規化することもできる。様々な次数およびレンジを有するものなど、様々なバンドパスフィルタが使用されてもよい。いくつかの例では、0.4Hz~0.8Hzの有限インパルス応答(FIR)を有する64次バンドパスフィルタが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、データを正規化することは、検討されている領域の前後の体積データに基づいて、推定流れパターンに対して振幅を正規化することを含んでもよい。いくつかの例では、この推定は、適合線に基づいてもよいが、高次多項式、指数モデル、対数モデルなどの他のモデルが使用されてもよい。
【0023】
サンプルがバンドパスフィルタを通過した後、方法300に示されるどの工程が現在実施されているかに応じて、処理は、処理された値で続けてもよい。例えば、本方法が現在データ収集工程330を実施している場合、プロセスは解析工程340に続けてもよい。
【0024】
図3に関して、いくつかの実施形態では、プライミング工程310は、データに対して解析を実施することを含まない。このような実施形態では、プライミング工程310は、プライミング持続時間が満たされるまでサンプルを収集する。いくつかの例では、プライミング持続時間は、所定の時間量、所定の量のサンプルを取得することなどであってもよい。いくつかの例では、プライミング持続時間は、例えば、尿流量計にあるユーザインタフェース(例えば、ユーザインタフェース117)および/または外部装置(外部計算装置150)にあるユーザインタフェースなどによって、ユーザによって選択されてもよい。追加的または代替的に、プライミング持続時間は自動的に選択されてもよい。さらに、
図2に示されるように、プライミング持続時間が満たされると(例えば、工程315における、はい)、プロセスは、初期検索工程320に進んでもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、初期検索工程320は、尿流量計から受信されたデータ(例えば、体積データ)の様々な傾向を判定する方法を含んでもよい。この工程は、データ内の現在の勾配を計算するためのアルゴリズムを含んでもよい。このような実施形態では、勾配は、最小二乗最良適合モデルなどの最良適合モデルを使用して計算されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、計算された勾配がトリガ閾値を上回るまたは下回る場合(例えば、チェック325における、はい)、本方法は、サンプルスタンプなどによって収集されたサンプルを記録してもよい。いくつかの実施形態では、トリガ閾値は、計算された勾配が0mL/秒以下である場合であってもよい。計算された勾配が0mL/秒を下回った場合、尿流量測定検査の間などに全体の体積が減少するはずはないため、アーチファクト検出を開始することができる。さらに、トリガ閾値は、-1.2mL/秒などの、0mL/秒を上回るかまたは下回る値などの他の値であってもよい。いくつかの実施形態では、閾値は、0mL/秒以下の値であってもよい。さらに、トリガ閾値は、年齢、性別、体重、症状、または当業者に周知の他の条件など、患者に基づいて設定されてもよい。いくつかの実施形態では、閾値検出は、偽アーチファクトの数を減少させるために初期ローパスフィルタおよび/またはバンドパスフィルタが使用された後となる。
【0027】
トリガ閾値に達した場合(例えば、チェック325における、はい)、本方法は、データ収集工程330に進んでもよい。いくつかの実施形態では、データ収集工程は、解析工程340を実施する前にすべての必要なサンプルを収集することを含んでもよい。いくつかの例では、本明細書で説明されるように、サンプルスタンプから開始するなど、トリガ閾値が見つかった後15000ミリ秒など、所与の時間量にわたってデータを収集することができる。しかしながら、15000ミリ秒超および15000ミリ秒未満などの他の時間量が検討されている。あるいは、データは、特定量のサンプルが収集されるまで収集されてもよい。いくつかの実施形態では、データは、継続的に収集され、ローリングバッファなどのバッファに格納されてもよい。このような実施形態では、ローリングバッファは、所定の期間(例えば、15000ミリ秒)にわたって、所定の量のデータサンプルについてなどによりデータを収集してもよい。
【0028】
サンプルが収集されると(例えば、チェック335における、はい)、本方法は、解析工程340に進んでもよい。いくつかの実施形態では、解析工程340は、データ収集工程330と同時に実施されてもよく、および/またはサンプルは、後で使用するために格納されてもよい。
【0029】
本明細書に記載されるように、解析工程は、イベントが発生した(例えば、トリガ閾値に達した)後にアーチファクトが存在するかどうかを判定するために実施されてもよい。いくつかの実施形態では、解析工程340は、潜在的なアーチファクトの形態が、
図2Aおよび2Bに示されるような正の形状のアーチファクト(例えば、ドアを開く)および負の形状のアーチファクト(例えば、ドアを閉じる)などの既知のアーチファクトの形態を表すか、または厳密に表すか否かを判定することを含んでもよい。しかしながら、他のアーチファクトの形態が使用されてもよい。さらに、解析工程340は、本明細書で説明されるように、ローパスフィルタまたはバンドパスフィルタなどを用いてデータの初期フィルタリングの後に行われてもよい。
【0030】
図2Aおよび2Bに関して、体積データの一般的な傾向は、全体的な体積の変化がほとんどまたは全くない(例えば、患者が排尿していない)時間などの間、平坦であることを示す。しかしながら、データは、体積の全体的な変化がある(例えば、患者が排尿している)時間にも収集されてよい。患者が排尿している実施形態では、ベースラインは、上で説明したように、最良適合モデル(例えば、最小二乗最良適合モデルなど)を使用することによって調整および/または補償されてもよい。このような実施形態では、データは、初期ベースライン値および/またはトリガとなるイベントの前の最も近いベースラインに対して正規化されてもよい。
図4Aおよび4Bは、正規化イベントの前の
図2Aおよび2Bの図を提供する。図示されるように、
図4Aおよび4Bは共に、正の勾配で増加する体積データの一般的な傾向を有するが、各アーチファクト(例えば、正の形状のアーチファクトおよび負の形状のアーチファクト)の一般的な形状が依然として存在し得る。いくつかの実施形態では、データは、
図2Aおよび2Bに示されるように、正規化されてもよい。
【0031】
いくつかの例では、
図2Aおよび2Bに示されるように、および本明細書で説明されるように、より相対的に平坦なデータセットを提供するために、最適適合は、体積データから差し引かれてもよい。患者が排尿しているときの流量は常に一定であるとは限らないため、このような調整は、データを解釈/解析する場合に有益となり得る。したがって、データを調整することにより、より正確なアーチファクト検出を提供することができる。このような正規化は必ずしも必要なわけではないが、説明を容易にするために、本明細書の実施形態は、データの正規化に関して記載されている。
【0032】
図3に戻ると、いくつかの実施形態では、解析工程340は、サンプルデータが収集されている間(例えば、データ収集工程330)またはその直後(例えば、1/10秒後、所定量のサンプル、データがバッファ内に収集されるとすぐ、閾値が検出されるとすぐ、など)のように、リアルタイムで発生してもよい。あるいは、解析工程340は、閾値の後の所定の時間の後、ユーザ入力時、または全てのサンプルが収集された後のようなデータ収集後に発生してもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、本方法300は、アーチファクト複合体が存在するか否かを判定する(例えば、解析工程340を実施する)前に、特定のイベントを検索してもよい。本明細書に記載されるように、特定のイベントは、0mL/秒、-1.2mL/秒などの閾値を下回る流量である可能性もある。
【0034】
解析工程の間、本方法は、アーチファクトがどの形状か、アーチファクト複合体の開始および/または終了かを判定するのに役立ついくつかの基本的要素を検索してもよい。基本的要素は、本明細書でさらに詳細に説明され、
図2Aおよび
図2Bに関して示される、初期ベースライン、トラフ、ポストピーク、プレピーク、およびポストベースラインのうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらの要素は、サンプル間で採取された複数のサンプル、または2回の間に採取されたサンプルのグループなどの複数のサンプルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、基本的要素は、
図2Aおよび2Bに示されるように、データが初期ベースラインに対して正規化された後に判定されてもよい。
【0035】
初期ベースラインは、アーチファクトの開始前の領域として定義することができる。いくつかの実施形態では、初期ベースラインは、トリガの前のプロセスサンプル値のウィンドウまたはグループ化の算術平均(例えば、平均)として計算される。あるいは、初期ベースラインは、最小平均二乗からの最良適合線、R2値などの、その値を計算する他の方法を使用してもよい。
【0036】
トラフは、トリガおよびポストベースラインによって境界された、ウィンドウまたはサンプルのグループ内の最も低い局所的最小値として定義することができる。局所的最小値が判定できないまたは見つけることができない場合、トラフは、トリガおよびポストベースラインによって境界された最も平坦な時間として定義することができる。
【0037】
ポストピークは、トリガおよびポストベースラインによって境界された、ウィンドウまたはサンプルのグループ内における最も大きい局所的最大値として定義することができる。
【0038】
プレピークは、初期ベースラインおよびトリガによって境界された、ウィンドウまたはサンプルのグループ内の最も大きい局所的最大値として定義することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、イベント(例えば、正の形状、負の形状)は、アーチファクトとみなされる、特定されたトラフを有する必要がある場合もある。いくつかの例では、プレピークが初期ベースラインおよびポストピークよりも大きい場合、正の形状のアーチファクトが特定されてもよい。追加的にまたは代替的に、特定されたトラフがトリガの後にある場合、負の形状のアーチファクトが特定されてもよい。本明細書に記載されるように、
図2Aは、例示的な正の形状のアーチファクトを示し、
図2Bは、例示的な負の形状のアーチファクトを示す。潜在的なアーチファクトの様々な属性(例えば、正の形状のアーチファクト、負の形状のアーチファクトなど)を特定する場合、本明細書に記載されるように、データは、初期ベースラインに基づいて正規化されてもよい。
【0040】
形状が正の形状であると考えられる場合、追加の要素が判定されてもよい。いくつかの例では、オンセットを判定することができる。オンセットは、ピーク(
図2Aに図示)の前に正の振れが始まる点として定義することができる。以下に記載される2つのような様々な方法を使用して、オンセットを判定してもよい。いくつかの実施形態では、第1の方法が使用され、次に、第1の方法が正確なオンセット値を返さない場合、第2の方法が使用される。
【0041】
例えば、オンセットを判定するための第1の方法は、初期ベースラインからのプレピーク振幅の10%未満であるプレピークの前の範囲で局所的な最小値または平坦領域の位置を特定することを含んでもよい。
図2Aに関して、正の形状にマーキングされたオンセットは、プレピーク値のほぼ10%である点として示されることが分かる。オンセットを判定するための第2の方法は、プレピークの前の範囲内の最も急勾配な点の位置を特定し、次いで、最も急勾配な点の前の最も平坦な領域を検索することを含んでもよい。いくつかの例では、最も平坦な領域は、初期ベースラインの後にさらに存在する。
【0042】
いくつかの例では、オンセットが特定されない場合、アーチファクト複合体は、潜在的なアーチファクトとして排除されてもよい。
【0043】
オンセットが特定された後、アーチファクトの持続時間を推定することができる。いくつかの例では、アーチファクトの持続時間は、以下の経験比率を用いて推定されてもよい:
EQ.1:持続時間アーチファクト=振幅ピーク対ピーク*40
【0044】
ここで、持続時間アーチファクトは、オンセットからのアーチファクトの持続時間をミリ秒(ms)で表し、振幅ピーク対ピークは、潜在的なアーチファクト内のピークとトラフとの間の差、またはプレピークとトラフとの間の差であり、ミリリットル(mL)で測定することができる。40の値は、使用された尿流量計(例えば、尿流量計110)および使用されたセンサ(例えば、尿流量計センサ113)に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、システムおよび/または周囲の環境に応じて、40を上回るまたは下回る値が、持続時間アーチファクトを計算するために使用されてもよい。
【0045】
EQ.1を使用して計算された推定持続時間(例えば、持続時間アーチファクト)は、本明細書で説明されるように、最大推定持続時間によって境界され得る。さらに、終了点は、任意の検出された要素に対してチェックすることができ、アーチファクト複合体の任意の部分が推定範囲外で見つかった場合、その点は終了点として設定される。
【0046】
境界が計算されると、アーチファクト複合体全体について正規化されたピーク対ピーク振幅を計算し、それが閾値を満たしているかどうかを確認するためにチェックすることができる。正規化されたピーク対ピーク振幅は、初期ベースラインの正規化または追加の正規化に基づいて計算されてもよい。いくつかの実施形態では、データは、潜在的なアーチファクトの開始と終了との間のライン(例えば、初期ベースライン値とポストベースライン値との間のライン)に基づいて正規化されてもよい。いくつかの実施形態では、閾値は、0.30mLであってもよいが、0.30mLを超える値および0.30mLを下回る値が検討されている。追加的または代替的に、ピーク対ピーク振幅は、潜在的なアーチファクトの開始と終了との間のデータに基づいていてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、潜在的なアーチファクトを評価して、ピークの正の流れが閾値を上回っているかどうかを確認することができる。このような実施形態では、閾値は、0.48mL/秒のように0.4mL/秒~0.6mL/秒であってもよいが、0.6mL/秒を超える値および0.4mL/秒を下回る値が検討されている。
【0048】
アーチファクト複合体が特定された後(例えば、正の形状、負の形状、アーチファクトではないなど)。ホールドオフ点が使用されてもよく、次いで、本方法は、初期検索工程320に戻ってもよい。いくつかの実施形態では、ホールドオフ点は10ミリ秒であってもよいが、10ミリ秒を超える値および10ミリ秒未満の値が検討されている。
【0049】
形状が負の形状であると考えられる場合、追加の要素が判定されてもよい。いくつかの例では、オンセットおよびポストベースラインが判定されてもよい。オンセットは、トリガの前のウィンドウで負の振れが始まる点として定義することができる。いくつかの例では、このオンセットは、ウィンドウ内の負の勾配の最も初期の点を検索することによって見つけることができる。ポストベースラインは、ポストピーク後の領域で最も平坦な勾配として定義することができる。いくつかの例では、アーチファクト複合体は、オンセットおよびポストベースラインが特定されない場合、潜在的なアーチファクトとして排除されてもよい。
【0050】
オンセットとポストベースラインが特定された後、アーチファクトの持続時間を推定することができる。いくつかの例では、アーチファクトの持続時間は、以下の経験比率を使用して推定されてもよい:
EQ.2:持続時間アーチファクト=振幅ピーク対ピーク*40
【0051】
ここで、持続時間アーチファクトは、オンセットからのアーチファクトの持続時間、単位ミリ秒(ms)であり、振幅ピーク対ピークは、トラフとポストピークとの間またはトラフとポストベースラインとの間の差とすることができ、ミリリットル(mL)で測定することができる。いくつかの実施形態では、システムおよび/または周囲の環境に応じて、40を上回るまたは下回る値が、持続時間アーチファクトを計算するために使用されてもよい。
【0052】
本明細書で説明されるように、数式2で計算される推定持続時間(持続時間アーチファクト)は、最大推定持続時間によって境界されてもよい。さらに、終了点は、任意の検出された要素に対してチェックすることができ、アーチファクト複合体の任意の部分が推定範囲外で見つかった場合、その点は終了点として設定される。
【0053】
境界が計算されると、アーチファクト複合体全体について正規化されたピーク対ピーク振幅を計算し、それが閾値を満たしているかどうかを確認するためにチェックすることができる。正規化されたピーク対ピーク振幅は、初期ベースラインの正規化または追加の正規化に基づいて計算されてもよい。いくつかの実施形態では、データは、潜在的なアーチファクトの開始と終了との間のライン(例えば、初期ベースライン値とポストベースライン値との間のライン)に基づいて正規化されてもよい。いくつかの実施形態では、閾値を満たさないアーチファクト複合体は、アーチファクトとして特定されない。いくつかの実施形態では、閾値は、0.08mLであってもよいが、0.08mLを超える値および0.08mLを下回る値が検討されている。
【0054】
追加的または代替的に、潜在的なアーチファクトを評価して、ピークの正の流れが閾値を上回っているかどうかを確認することができる。このような実施形態では、閾値は、0.48mL/秒のような0.4mL/秒~0.6mL/秒であってもよいが、0.6mL/秒を超える値および0.4mL/秒を下回る値が検討されている。
【0055】
アーチファクト複合体が特定された後(例えば、正の形状、負の形状、アーチファクトではないなど)。ホールドオフ点が使用されてもよく、次いで、アルゴリズムが初期検索状態に戻ってもよい。いくつかの実施形態では、ホールドオフ点は10ミリ秒であってもよいが、10ミリ秒を超える値および10ミリ秒未満の値が検討されている。
【0056】
図5は、漏れを含むデータの一例を提供する。漏れは、予期せず排尿する患者などからである場合もある。図から分かるように、漏れのアーチファクトは、
図2Aおよび2Bに示される正の形状および負の形状と非常に類似している場合もある。ただし、漏れには重要な診断情報が含まれている可能性があるため、除去されるべきではない。
【0057】
いくつかの実施形態では、漏れ検出は、
図5に示されるように、初期ベースラインおよびポストベースラインの勾配が平坦であるかまたは実質的に平坦である場合に評価される。いくつかの実施形態では、実質的に平坦とは、1.2mL/秒~-1.2mL/秒のような閾値内であってもよいが、他の閾値も検討されている。
【0058】
本方法はさらに、ベースライン領域(例えば、初期ベースラインおよびポストベースライン)の平均値を判定および/または計算することを含んでもよく、初期ベースラインとポストベースラインとの間の差に基づいてベースラインデルタを判定してもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、ベースラインデルタが、正規化されたピーク対ピーク振幅(例えば、ピーク対トラフ振幅および/またはトラフ対ポストピーク振幅)の閾値よりも大きい場合、漏れが判定される。このような例では、デルタベースラインが特定の値を超える場合、イベントは、外部イベント(例えば、正の形状、負の形状など)からのアーチファクトではなく、漏れであると判定される。例えば、閾値は、ピーク対トラフ振幅および/またはトラフ対ポストピーク振幅の15%であってもよいが、15%よりも高い他の値および15%よりも低い他の値が検討されている。いくつかの実施形態では、全体の体積が実質的に変化しないまたはアーチファクトの大きさに関連している場合、アーチファクトは、生理的イベント(例えば、漏れ、排尿の初期化)ではなく、外部イベント(例えば、正の形状、負の形状など)からのアーチファクトであると判定されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、イベントの前後の体積の比較が行われ、体積の変化は、例えば、イベントの大きさと比較され、イベントが生理的イベント以外のものであるかどうかを判定する。このような解析を使用して、このようなイベントの解析を起動してノイズアーチファクトが存在するかどうかを判定してもよい。データ内のノイズアーチファクトは、本明細書に開示されるものなどの多くの異なる方法、ならびに他の種類の既知の信号解析、既知のアーチファクトのアトラスとの比較、および多くの異なるノイズアーチファクトを認識するための人工知能を訓練することを含む多くの種類の解析を介して特定されてもよい。
【0060】
追加的または代替的に、ベースラインデルタが負の場合(例えば、初期ベースラインがポストベースラインよりも小さい場合)、誤差が発生した、センサ(例えば、尿流量計センサ113)が誤較正されている、などと判定されてもよい。しかしながら、いくつかの状況では、ベースラインデルタは、容器(例えば、容器120)がぶつかり、容器内の液体の一部分が流出した場合などに、負の値を有することもある。このような例では、ベースラインデルタは、容器内の液体の損失を反映してもよい。いくつかの実施形態では、ポストベースラインの値は、初期ベースラインとポストベースラインとの間のトラフ値および/または局所的最小値に関してチェックされてもよい。このような実施形態では、ポストベースラインの値がトラフ値および/または最小値よりも小さい場合、誤差が発生した、センサが誤較正されたなどと判定される場合もある。
【0061】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態では、トリガ点検索の間にホールドオフ期間が存在する(例えば、チェック325)。しかしながら、以前に検出されたアーチファクト複合体のウィンドウ内にオンセットを有する適切な波形形態が見つかる可能性がある。このような例では、後続のアーチファクト複合体は、ホールドオフウィンドウの後にのみ発生するように調整されたオンセットを有する可能性がある。
【0062】
追加的または代替的に、漏れは、イベントが1つ以上の所定のケースに適合するかどうかに基づいて判定されてもよい。例えば、第1のケースは、非常に低い流量の生理的漏れを特定することであってもよく、第2のケースは、速い/短い生理的漏れを特定することであってもよく、第3のケースは、速い/短い生理的漏れに類似しているように見える流れの中のアーチファクトを特定することであってもよい。
【0063】
第1のケースに関して、いくつかの状況では、生理的漏れは非常に低い、または小さい場合もあるが、依然として、アーチファクトではなく生理的漏れとしてカウントすることが重要であり得る。このような生理的漏れを特定することは、イベントの前後の流量が閾値流量未満であるかどうか(例えば、0.1mL/秒以下など)を判定することを含んでもよい。さらに、このような生理的漏れを特定することは、ポストベースラインの値がピーク値の閾値パーセントを超えて上昇するかどうかを判定すること(例えば、40%など)を含んでもよい。閾値パーセントに達した場合、イベントは、アーチファクトではなく生理的漏れとして判定されてもよい。
【0064】
第2のケースに関して、いくつかの状況では、生理的漏れは長く続かない場合もあるが(例えば、相対的に短いまたは速い)、アーチファクトではなく生理的漏れとして特定することが依然として重要であり得る。このような生理的漏れを特定することは、イベントの前後の流量が閾値流量を上回っているかどうか(例えば、0.8mL/秒を超えるかなど)を判定することを含んでもよい。さらに、このような生理的漏れを特定することは、ピーク値をポストベースラインの値と比較することを含んでもよく、ポストベースラインの値がピーク値の閾値パーセント未満上昇する場合(例えば、50%など)、イベントは、アーチファクトではなく流れの間の生理的漏れとして特定されてもよい。
【0065】
第3のケースに関して、いくつかの状況では、様々なアーチファクトは、第2のケースに関して上述したように生理的漏れに非常に類似しているように見える場合があるが、真の生理的漏れではなく、アーチファクトとしてカウントすることが依然として重要であり得る。このような状況では、このようなアーチファクトを特定することは、イベントの前後の流量が閾値流量を下回っているかどうかを判定することを含んでもよく、いくつかの例では、第3のケース(例えば、0.8mL/秒未満)に関して本明細書で説明される閾値流量に対して相補的であってもよい。さらに、ピーク値は、ポストベースラインの値と比較されてもよく、ポストベースラインの値がピーク値の閾値パーセントを超えて上昇する場合、イベントは、アーチファクトとして特定されてもよい。いくつかの実施形態では、閾値パーセントは、第2のケースに関して本明細書で説明される閾値パーセントに対して相補的であってもよい(例えば、50%超)。
【0066】
図6は、アーチファクトおよび/またはアーチファクト複合体を解析する場合に構成され得る様々なパラメータを含む表を提供する。
図6に詳述される各パラメータは、例示的な詳細値を有するが、本明細書に記載されるように、デフォルト値は、限定するのではなく例示的であることを意味する。デフォルト値を上回る値および下回る値などのその他の値。
【0067】
いくつかの実施形態では、最大アーチファクト持続時間が定義されてもよい。例えば、最大アーチファクト持続時間は15000ミリ秒であってもよいが、15000ミリ秒未満または15000ミリ秒超の持続時間が検討されている。例えば、最大アーチファクト持続時間は、センサの種類、尿流量計の種類、場所、温度、空気圧などの様々な品質に対して調整されてもよい。いくつかの実施形態では、最大アーチファクト持続時間がスケーリングされると、他のパラメータは、
図7Aのオンセット、プレピーク、トリガ、トラフ、ポストピーク、およびポストベースライン間の時間、または
図7Bのオンセット、トリガ、トラフ、ポストピーク、およびポストベースライン間の時間など、類似の量によってさらにスケーリングされてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、アーチファクト検出領域の最大持続時間が境界される。このような実施形態では、2つの要因が最大持続時間を境界してもよい。第1の要因は、形態的要素の検出範囲の制限であってもよく、第2の要因は、ピーク対ピーク振幅に基づいて推定されたアーチファクト持続時間であってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、正の形状のアーチファクトの推定持続時間は、正の形状のアーチファクトの最大推定持続時間(例えば、15000ミリ秒)によって明示的に境界される。さらに、最大推定持続時間は、閾値振幅よりも大きいアーチファクトに適用されてもよい。いくつかの例では、閾値は、持続時間アーチファクトが15000ミリ秒であるEQ.1を使用して計算されてもよい。しかしながら、他の閾値が使用されてもよい。
【0070】
図7Aは、正の形状のアーチファクトの例示的な最大持続時間を提供する。図示されるように、正の形状のアーチファクトの最大持続時間は、15000ミリ秒であってもよいが、15000ミリ秒を超える他の値および15000ミリ秒を下回る他の値が検討されている。
【0071】
図7Bは、負の形状のアーチファクトの例示的な最大持続時間を提供する。図示されるように、様々なアーチファクト(例えば、正の形状および負の形状)の最大持続時間は、同一である必要はない。例えば、
図7Bは、負の形状のアーチファクトの最大持続時間を12692ミリ秒として提供する。しかしながら、12692ミリ秒は、負の形状のアーチファクトの最大持続時間に対する例示的な値に過ぎず、12692ミリ秒を上回る値および下回る値。同様に、負の形状のアーチファクトの最大持続時間は、正の形状のアーチファクトの最大持続時間と同一であっても異なってもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、負の形状のアーチファクトの推定持続時間は、正の形状のアーチファクトの最大推定持続時間(例えば、12692ミリ秒)によって明示的に境界される。さらに、最大推定持続時間は、閾値振幅よりも大きいアーチファクトに適用されてもよい。いくつかの例では、閾値は、持続時間アーチファクトが12692ミリ秒であるEQ.2を使用して計算されてもよい。しかしながら、他の閾値が使用されてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、アーチファクト(例えば、正の形状のアーチファクト、負の形状のアーチファクトなど)が見つかると、それらのアーチファクトはデータサンプルセットから省略される。このような例では、アーチファクト内のデータは、アーチファクトの各側からのデータを使用して補間されてもよい。あるいは、アーチファクトは、時間のウィンドウ内のデータが診断情報ではなくアーチファクトであることをユーザ(例えば、医師)に通知するようにして、単にマーキングされてもよい。
【0074】
追加的または代替的に、積極的ノイズ検出器としてAUND(aggressive Urocap Noise Detection)法が使用されてもよい。AUND法はまた、本明細書に記載されるノイズアーチファクト検出方法300と同様に、尿流量計(例えば、尿流量計110)の体積チャネル上で動作してもよい。いくつかの実施形態では、AUND法を使用して、より広範囲のアーチファクトを除去することができる。このような実施形態では、AUND法は、有効な流れまたは漏れの近傍以外の時間など、漏れが存在しない時間中に使用されてもよい。しかしながら、AUND法は、有効な流れまたは漏れの近くなどの他の時間に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、AUND法は、本明細書に記載されるようなノイズアーチファクト検出方法とは別に使用されてもよい。追加的または代替的に、AUND法は、併用されてもよい。さらに、本明細書で説明されるAUND法は、
図1に示すように、尿流量測定システム100に組み込まれたシステムなどのAUNDシステムを使用して実施されてもよい。
【0075】
AUND法を使用して、ベースラインと呼ばれる、期間または連続して収集されたサンプル体積データのグループ化を検出することができる。ベースラインは、本明細書に記載されるように、尿流量計が定常状態にある場合など、推定される予想体積値に高い信頼性がある間隔であってもよい。いくつかの実施形態では、2つのベースラインの間に間隔があり、それぞれのベースライン体積値が、重要な流れまたは漏れが発生し得ないように十分に近接している場合、2つのベースライン間の間隔内の値の変化はすべて、ノイズとみなすことができる。データの一部がノイズとして特定される場合、データの該部分は、除去、補間、マーキングなどが行われてもよい。例えば、その後、FlowNoiseDataRetractionイベントをその間隔で生成して、すべてのノイズおよびアーチファクトを除去することができる。追加的または代替的に、間隔内のデータは、当業者に周知の任意の方法を使用して補間されてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、AUND法は、閾値内の任意の間隔および閾値内の任意のベースライン差を考慮してもよい。いくつかの実施形態では、間隔の閾値は、30秒以下の間隔であるが、30秒を超える間隔または30秒未満の間隔などの他の間隔が使用されてもよい。あるいは、1秒~30秒の間隔などの間隔についての高い閾値および低い閾値が使用されてもよい。同様に、ベースライン閾値は、0.4mL未満の値であってもよいが、0.4mL超または0.4mL未満などの他の値が使用されてもよい。あるいは、0.1~0.4mLの値などのベースライン差に対して、高い閾値および低い閾値が使用されてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、AUND法は、サンプルデータが収集されている間、またはその直後(例えば、1/10秒後、所定量のサンプル、データがバッファ内で収集されるとすぐ、閾値が検出されるとすぐ、など)など、リアルタイムで使用されてもよい。あるいは、AUND法は、閾値の後の所定の時間の後、ユーザ入力時、または全てのサンプルが収集された後など、データ収集後に発生してもよい。
【0078】
様々なアルゴリズムおよび/または方法を使用して、サンプルデータ内のベースラインおよびそれらのベースラインに対する信頼性を判定することもできる。使用され得る2つの例示的な種類のベースラインは、一時的なベースラインおよびグローバルベースラインである。
【0079】
一時的なベースラインは、ベースラインを定義するために追加のサンプルに依存してもよい他の方法を待つことに対して、低レイテンシで明確に定義されたアーチファクトを除去するために使用することができる。例えば、体積サンプルデータに不安定期間が検出された場合、一時的なベースラインを使用して、不安定期間が流れ、漏れ、またはアーチファクトを含むかどうかを判定することもできる。
【0080】
グローバルベースラインは、一時的なベースラインと比較した場合、より大きなサンプル間隔を使用して計算することができる。結果として、グローバルベースラインは、ベースライン値を推定する際により高い信頼性を有することができ、これにより、体積サンプル内の不安定期間が流れ、漏れ、またはアーチファクトを含むかどうかのより良い解析が可能となり得る。さらに、より多くのサンプルを使用することにより、追加のチェックを使用して、ベースラインが存在するか否かを判定することが可能となり得る。
【0081】
間隔の平均は、0の勾配を有するという制限を有するサンプルを使用してプロットすることができる最適適合のラインを表すことで計算することができる。平均二乗誤差は、インターバル内のサンプルが平均に対してどれだけ近いかを測定してもよい。平均二乗誤差値が低いほど、サンプル間隔を表す平均値の信頼性が高いことを示すことができる。
【0082】
図8は、平均(青い線)、平均二乗誤差[1/信頼度](灰色の線)、および体積サンプル(紫色の線)の間の関係を示す例を提供する。いくつかの実施形態では、低い平均二乗誤差を有する平均値の有意な値の変化は、流れまたは漏れを示すことができる一方、高い平均二乗誤差を有する平均値は、差がノイズまたはアーチファクトに起因することを示すことができる。
【0083】
R2値を計算することは、サンプル間隔内にどの程度の相関が存在するかについての着想を与えることもできる。いくつかの実施形態では、高いR2値は、間隔内の体積サンプルが高い信頼度で増加または減少傾向にあることを示すこともできる。高いR2値を含む実施形態では、尿流量計が定常状態にない可能性もあるため、適切なベースラインを確立することができない可能性もある。これに対して、R2値が低い場合、尿流量計は定常状態であり得るため、適切なベースラインを確立することもできる。
【0084】
より多くのサンプルを有する実施形態では、潜在的なベースライン値を判定する場合に、より厳密な計算を実施することも可能となり得る。サンプル間隔の平均をベースライン値として使用するのではなく、平均二乗平均を信頼度として使用することで、サンプル間隔のクラスタベースの中央値を使用することも可能となり得る。このような実施形態では、間隔内のサンプルは、各クラスタで許可される値の範囲について事前に定義された値によって制限される値クラスタにグループ化されてもよい。次に、ベースライン基準は、最大数の体積サンプルを含むクラスタ内のサンプルの中央値によって与えられてもよい。この値の信頼性は、間隔内で解析されるサンプルの総数に対する最大のクラスタ内のサンプルのパーセンテージによって測定されてもよい。このように、高いクラスタサイズのパーセンテージは、より高い信頼性を示すことができる。
【0085】
図9は、クラスタ中央値(オレンジ線)、クラスタサイズ[信頼度](緑線)、および体積サンプル(青線)の間の例示的な関係を詳述する。本明細書に記載されるように、高い信頼性を有するクラスタ中央値の値変化は、低い信頼性を有する流れまたは漏れがノイズまたはアーチファクトを示す可能性があることを示すこともできる。
【0086】
閾値は、本明細書に記載されるように、見つけられた各ベースライン間の不明瞭な領域の組み合わせに対して構成されてもよい。例えば、2つのグローバルベースライン間、2つの一時的ベースライン間、グローバルベースラインと一時的ベースラインとの間、または当業者に周知の任意の他の2つのベースライン間。次に、本明細書で説明されるように、ベースライン値間の変化が閾値よりも大きい場合、間隔は漏れまたは流れとみなされてもよく、そうでなく、ベースライン値間の変化が所定の閾値よりも小さい場合、間隔はアーチファクトとみなされてもよく、間隔内に含まれるデータは除去されても、補間されても、マーキングされてもよい。例えば、FlowNoiseDataRetractionアーチファクトが生成されてもよく、または当業者に周知の任意の他の補間方法。
【0087】
図10は、ベースラインチェックを実施する場合および/または2つのベースライン間の間隔が、流れ、漏れ、ノイズ、またはアーチファクトであるかどうかを判定する場合の、いくつかの例示的な値を提供する。いくつかの実施形態では、
図10の値は、ユーザによって調整されることを意図していないが、他の実施形態では、この値は、ユーザインタフェースなどによって調整可能であってもよい。さらに、
図10に示される値は、単一の実施形態を詳細に示しており、決して限定するものではない。
図10に示される値を上回る値および下回る値が検討されている。
【0088】
様々な実施形態が説明された。このような例は、非限定的であり、いかなる方法でも本発明の範囲を定義または制限しない。
【国際調査報告】