(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】フィラメント接着剤を適用する方法
(51)【国際特許分類】
B05D 7/24 20060101AFI20230215BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
B05D7/24 301P
C09J201/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537308
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-06-17
(86)【国際出願番号】 IB2020061912
(87)【国際公開番号】W WO2021124081
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ナピエララ,マーク イー.
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドレイ,ジョエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】チャスティーク,トーマス キュー.
(72)【発明者】
【氏名】ダイシャウ,ニコラス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ミエルク,エリク エー.
【テーマコード(参考)】
4D075
4J040
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC07
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4J040PB03
(57)【要約】
フィラメント接着剤をターゲット基材上に分注するための方法及びシステムが提供される。ビーズ適用計画に従って、フィラメント接着剤をターゲット基材上に適用し、次いで、適用されたビーズを性能基準に照らしてチェックする。第2のビーズ適用計画が生成され、第2のビーズ適用計画に従って、後続のフィラメントビーズが適用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材トポグラフィを有するターゲット基材にフィラメント接着剤のビーズを自動的に適用する方法であって、
ビーズ適用計画を定義しているデジタル入力及び前記基材トポグラフィに関連する性能基準をプロセッサにおいて受信することと、
前記ビーズ適用計画に従って、分注ヘッドを有する分注システムに、溶融したコアシースフィラメント接着剤のビーズの第1のセットを分注させる信号を、前記プロセッサから提供することと、
押し出されたコアシースフィラメント接着剤のビーズの分注された第1のセットに関連する第1のセンサ入力を、前記プロセッサにおいて受信することと、
前記適用計画及び前記性能基準に関連する第1のセンサ入力を、前記プロセッサにおいて分析して、前記押し出されたコアシースフィラメント接着剤のビーズの分注された第1のセットに関連する欠陥を計算すること、及び前記計算された欠陥を修復するために第2のビーズ適用計画を作成することと、
前記第2のビーズ適用計画に従って、分注ヘッドを有する前記分注システムに、押し出されたコアシースフィラメントのビーズの第2のセットを前記ターゲット基材へ分注させる信号を、前記プロセッサから提供することと、を含む方法。
【請求項2】
スキャン装置から信号を受信して、前記基材トポグラフィを画定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材トポグラフィが、前記基材トポグラフィに関連する表面エネルギーの不規則性の表示を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表面エネルギーの不規則性が、油性液体の存在、水分の存在、又は別の汚染物質の存在を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ビーズ適用計画が、前記表面エネルギーの不規則性に特化した命令を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
コアシースフィラメント接着剤のビーズの前記分注された第1のセットに関連する欠陥が、停止/開始事象又はスパッタリングに関連する欠陥を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
コアシースフィラメント接着剤のビーズの前記分注された第1のセットに関連する欠陥が、感知された前記接着剤の体積が、接着剤の目標体積と一定しない体積異常を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記適用性能基準が、許容可能な適用条件を定義している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記適用性能基準が、欠陥に対する許容可能な補修措置を更に定義している、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記許容可能な補修措置が、ビーズの増強を指定している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
性能基準が、欠陥に対処するためにビーズの増強が許可可能か否かを指定している、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記性能基準が、前記ターゲット基材の、接着剤が許可されていない領域を指定している、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記フィラメント接着剤が、感圧接着剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記フィラメント接着剤が、コアシース接着剤である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記分注ヘッドが、
1つ以上の加熱要素を含むバレルと、
前記フィラメント接着剤を受け入れるための、前記バレルの側面を貫通して延びる注入口と、
溶融形態の前記フィラメント接着剤を分注するための、前記バレルの遠位端の注出口と、
前記バレル内に受け入れられている回転可能スクリューと、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの混合要素が、回転可能シャフト上に配置されている複数のポストを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コアシース接着剤が、周囲温度において粘弾性である感圧接着剤コアを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記コアシース接着剤が、周囲温度において非粘着性であるシースを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記注入口が、前記回転可能スクリューの長手方向軸に対して鋭角に延びる前記注入口の前方側壁表面によって部分的に画定されている、傾斜ニップ点を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記鋭角が13度~53度である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記注入口が、前記回転可能スクリューの名目上スクリュー長さの10パーセント~40パーセントに沿って延びている、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記回転可能スクリューが、前記注入口に隣接する供給要素を更に含み、前記供給要素が複数の把持ラグを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記回転可能スクリューが、8:1~20:1である長さ:直径の比を有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フィラメント接着剤を分注するためのシステム及び方法が、その構成要素及び方法と共に提供される。提供されるディスペンサは、例えば結合表面に感圧接着剤を適用する際に、有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤は、圧力がかけられると基材に接着する材料である。それらは、接着結合をもたらすために溶媒、水、又は熱を必要としない。最新技術の感圧接着剤は、極めて高い結合性能を実現することができ、多くの工業用途において、従来の機械的締結具に取って代わることが可能である。これらの結合ソリューションはまた、経済的でもあり、使用も容易である。
【0003】
従来の感圧接着剤は、薄く平坦であり、一般にシート又はロールの形態で分注される。しかしながら、特定の用途では、感圧接着剤を、その場で形成することが有利であり得る。例えば、自動車に関する結合用途では、部品の結合表面を非平面状にすることにより、機械的保持力の向上をもたらすことができる。いくつかの部品は、リブ付きの結合表面を有することができ、適正な結合強度を得るためには、リブ状構造内への感圧接着剤の著しい侵入を必要とする。
【0004】
更には、多くの自動車用途で使用される一般的なプラスチックの1つは、ポリプロピレンと同様の低表面エネルギープラスチックである、熱可塑性オレフィン(「TPO」、場合により「PP/EPDM」とも称されるもの)である。一般的な感圧接着剤は、これらのプラスチック及び同様のプラスチック上での高い度合の「ウェットアウト」を実現するものではなく、結果として、接着剤と基材との間の表面積が低減される。「ウェットアウト」を改善するために、プライマー及び他の表面処理を使用することができるが、これらは、結合の複雑性及びコストを増加させる。これらの理由から、非平面状の低表面エネルギー基材への結合が、困難な技術的問題として残されている。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、コンピュータプロセッサに通信可能に結合された、分注ヘッド及び適用センサを有する自律型ロボット適用装置を使用して、フィラメント接着剤のビーズをターゲット領域に適用するためのシステム及び方法が提供される。一実施形態では、適用装置は、コンピュータプロセッサ制御の適用アームを備え、ターゲット基材は静止している。別の実施形態では、適用装置は、静止した分注ヘッドとともに、ターゲット基材に連結された可動基材を備える。ターゲット基材の第1のトポグラフィをマッピング及び分析し、ビーズ適用計画及び適用計画に関連する性能基準を決定する。次いで、ビーズ適用計画に従って、押し出されたコアシースフィラメントの第1のビーズを適用する。次いで、分注された第1のビーズに関連する第1のセンサ入力を受信し、適用計画及び性能基準と比較する。この分析に基づいて、所望の幾何学的形状又は適用からの閾値レベルの偏差、第2のビーズ適用計画を計算する。次いで、この第2のビーズ適用計画を、ロボット-コンピュータ制御された分注ヘッドによって実行することができる。
【0006】
フィラメント接着剤は、感圧接着剤を提供するために、ホットメルト形態で分注された後に冷却される接着剤を含めた、コア/シース構成を使用するものを含む。提供される分注デバイスを使用して、及び、任意選択的にコンピュータの支援を受けて、これらの接着剤を、基材上の所定の場所に正確に適用することができる。感圧接着剤のサイズ及び形状をカスタマイズする能力により、汎用性の向上が製造業者にもたらされる。
【0007】
感圧接着剤コアを有するコアシース接着剤(すなわち、コアシースPSA)は、いくつかの点で従来のフィラメントから区別される。1つには、感圧接着剤は、比較的軟質の粘弾性稠度を有する傾向があり、このことにより、感圧接着剤は、多くの従来のFFF(fused filament fabrication;溶融フィラメント製造)プリントヘッドにとって困難なものとなる。これらの材料は、溶融ゾーン内に押し込まれる際に、座屈する傾向及び/又は詰まる傾向がある。一部のFFFプリントヘッドには、ゴム系フィラメントを供給することを可能にする、供給チューブ又は供給ガイドが追加されている。しかしながら、これらのフィラメントを成功裏に供給することができる理由は、主として、典型的な感圧接着剤材料よりも著しく高いショアAデュロメータを有しているためである。
【0008】
別の技術的課題は、フィラメント接着剤の寸法に関する。ポンプ輸送可能な接着剤を利用する工業用途には、約4.5~18kg/時(10~40lba/時)の材料供給速度が必要である。殆どの工業用途に関してこれらの所望のスループットを満たすためには、提供されるフィラメントの直径を十分に大きく、一般には約6ミリメートル以上にする必要がある。これは、3Dプリンタにおいて使用される従来のフィラメントの直径よりも、数倍大きい可能性がある。
【0009】
コアシースPSAはまた、従来のホットメルト接着剤とは異なる挙動も示す。従来のホットメルト材料とは異なり、コアシースPSAは、加熱された場合にも高い溶融粘度を保つ。これは、基材上の分注された接着剤の寸法安定性のために望ましい。溶融している場合であっても、これらの材料は、それらが分注されている場所から滴り落ちることも(drip)、垂れ下がることも、又は他の方式で移動することもない。
【0010】
本開示は、ビーズ適用計画に従って、コアシースPSAなどのフィラメント接着剤を分注することが可能な、分注システムを説明する。好適な基材としては、限定するものではないが、不規則な表面、複雑な幾何学的形状、及び可撓性の媒体が挙げられる。この感圧接着剤の更なる用途としては、シーリング、狭い空間における結合、パターン化された接着剤配置、及び家電製品の結合が挙げられる。
【0011】
第1の態様では、基材トポグラフィを有するターゲット基材にフィラメント接着剤のビーズを適用することを含む分注方法が記載され、この方法は、ビーズ適用計画を定義しているデジタル入力及び基材トポグラフィに関連する性能基準をプロセッサにおいて受信することと、ビーズ適用計画に従って、分注ヘッドを有する分注システムに、溶融したコアシースフィラメント接着剤のビーズの第1のセットを分注させる信号を、プロセッサから提供することと、押し出されたコアシースフィラメント接着剤のビーズの分注された第1のセットに関連する第1のセンサ入力を、プロセッサにおいて受信することと、適用計画及び性能基準に関連する第1のセンサ入力を、プロセッサにおいて分析して、押し出されたコアシースフィラメント接着剤のビーズの分注された第1のセットに関連する欠陥を計算すること、及び計算された欠陥を修復するために第2のビーズ適用計画を作成することと、第2のビーズ適用計画に従って、分注ヘッドを有する分注システムに、押し出されたコアシースフィラメントのビーズの第2のセットをターゲット基材へ分注させる信号を、プロセッサから提供することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】例示的な一実施形態による、
図1のフィラメント接着剤を分注するための、分注ヘッドの側断面図である。
【
図3】特定の内部表面を点線で示している、
図2の分注ヘッドのバレル構成要素の側面図である。
【
図4】
図2の分注ヘッドのスクリュー構成要素の側面図である。
【
図6】
図1のフィラメント接着剤及び
図2、
図3の分注ヘッドをそれぞれ組み込む、システムの斜視図である。
【
図8】2つの異なるタイプのフィラメント接着剤を有する、
図7に示したターゲット基材の図である。
【
図9】リボンプロファイルを有する接着剤のビーズの平面図視である。
【
図11】フィラメント接着剤のビーズを適用する例示的な方法である。 明細書及び図面中の参照文字が繰り返して使用されている場合、本開示の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。当業者は多くの他の修正形態及び実施形態を考案することができ、それらは本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれることを理解されたい。図は、縮尺通りに描かれていないことがある。
【0013】
定義
本明細書で使用される場合、
「接着剤結合線」とは、2つの接着部品間の接着剤結合領域である。
「周囲条件」とは、摂氏25度の温度及び1気圧(約100キロパスカル)の圧力を意味する。
「周囲温度」とは、摂氏25度の温度を意味する。
「ビーズ」とは、分注されたままのフィラメント接着剤を意味する。ビーズは、円形、卵形、リボン形、矩形、三角形などを含む、分注ヘッドによって画定された任意の実行可能なプロファイルを有し得る。
「名目上スクリュー長さ」とは、押出スクリューのフライト付き部分(通常の場合に押出物と接触する部分)の長さを指す。
「非粘着性」とは、材料を破砕することなく、材料をそれ自体から引き剥がすのに必要とされる力が、所定の最大閾値量以下である、「自己接着試験」に合格する材料を指す。自己接着試験は、以下で説明されており、典型的には、シース材料の試料に対して行われ、そのシースが非粘着性であるか否かを判定する。
「感圧接着剤」とは、室温において通常は粘着性であり、軽い指圧を加えることによって表面に接着させることが可能な材料を指し、それゆえ、感圧性ではない他のタイプの接着剤と区別することができる。感圧接着剤の一般的な説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.13,Wiley-Interscience Publishers(New York,1988)に見出すことができる。感圧接着剤の更なる説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.1,Interscience Publishers(New York,1964)に見出すことができる。本明細書で使用される場合、「感圧接着剤」又は「PSA」は、以下の特性、すなわち、(1)強力で恒久的な粘着性、(2)指圧以下でのフッ素熱可塑性フィルム以外の基材への接着、及び(3)基材からきれいに剥離されるために十分な凝集力、を有する粘弾性材料を指す。感圧接着剤はまた、Handbook of Pressure-Sensitive Adhesive Technology,D.Satas,2nd ed.,page172(1989)に説明されるダールキスト評価基準(Dahlquist criterion)を満たし得る。この評価基準は、感圧接着剤を、その使用温度において(例えば、15℃~35℃の範囲内の温度において)1×10-6cm2/ダインを超える1秒クリープコンプライアンスを有する接着剤として定義している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される場合、「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、特定の状況下で特定の利点をもたらすことができる、本明細書に記載の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態もまた、同じ状況又は他の状況下で好ましい場合がある。更にまた、1つ以上の好ましい実施形態の説明は、他の実施形態が有用でないことを示唆するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを意図するものでもない。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、文脈上別段の明記がない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の指示物を含むものとする。したがって、例えば、「a」又は「the」が付いた構成要素への言及には、1つ以上の、その構成要素、及び当業者に公知のそれらの等価物を含んでもよい。更に、「及び/又は」という用語は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
「含む」という用語及びそのバリエーションは、これらの用語が添付の記載に現れた場合、限定的意味を有しないことに注意されたい。また更に、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、本明細書では互換的に使用される。左、右、前方、後方、上部、底部、側、上方、下方、水平、垂直などの相対語が、本明細書において使用される場合があり、その場合、特定の図面において見られる視点からのものである。しかしながら、これらの用語は、記載を簡単にするために使用されるに過ぎず、決して本発明の範囲を制限するものではない。
【0016】
本明細書全体において、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」又は「ある実施形態」に対する言及は、その実施形態に関して記載される特定の特徴、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」又は「実施形態では」などの句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態に言及しているわけではない。該当する場合、商品名は、全て大文字で記載する。
【0017】
本明細書で説明されるアセンブリ及び方法は、基材上に接着剤を溶融形態で分注する際に有用である。分注される接着剤は、任意選択的に、感圧接着剤である。いくつかの実施形態では、分注される接着剤は、表面を事前処理すること又は基材上にプライマーを事前に適用することを不要にさせる組成物を有する。事前処理又はプライマー処理工程をなくすことは、時間及びコストを節減し、ユーザにとって多大な利便性がある。
【0018】
有利には、提供されるアセンブリ及び方法は、フィラメント接着剤を使用することができる。フィラメント接着剤は、連続的な糸状構成で提供される接着剤である。フィラメント接着剤は、好ましくは、均一な断面を有するが、不均一な断面を有することもできる。有利には、スプールから、分注ヘッドなどの分注装置内に、フィラメント接着剤を連続的に供給することができる。
【0019】
特に有用なフィラメント接着剤は、同時係属中の米国仮特許出願第62/633,140号(Nyariboら)で説明されているような、コアシースフィラメント構成を有する。コアシースフィラメント材料は、第1の材料(すなわち、コア)が第2の材料(すなわち、シース)によって取り囲まれている構成を有する。好ましくは、コアとシースとは同心であり、共通の長手方向軸線を共有している。コアの端部は、シースによって取り囲まれている必要はない。
【0020】
例示的なフィラメント接着剤が
図1に示されており、以降では数字100によって参照される。コアシースフィラメント接着剤100は、接着剤コア102及び非粘着性シース104を含む。接着剤コア102は、周囲温度において感圧接着剤である。図示のように、コア102は、円筒状の外表面106を有し、シース104は、コア102の外表面106の周りに延びている。コアシースフィラメント接着剤100は、ここで示されるように、一般に円形の断面を有するが、他の断面形状(例えば、正方形、六角形、長方形、卵形、又は多葉形状)もまた可能である点を理解されたい。
【0021】
有利には、非粘着性シース104は、フィラメント接着剤100がそれ自体に固着することを防ぎ、それにより、スプール上でのフィラメント接着剤100の簡便な保管及び取り扱いを可能にする。いくつかの実施形態では、シースは、ロール形態の間にフィラメント接着剤がそれ自体に固着するのを防ぐ粉末又は他の材料を含む。シースは、押出プロセス中にコア材料に組み合わされる。
【0022】
コアシースフィラメントの直径は特に制限されない。フィラメント径の選択に影響を及ぼす要因としては、接着剤ディスペンサに対するサイズ制約、所望される接着剤スループット、及び、接着剤の適用に関する精度要件が挙げられる。コアシースフィラメントは、1ミリメートル~20ミリメートル、3ミリメートル~13ミリメートル、6ミリメートル~12ミリメートルの平均直径、あるいは、いくつかの実施形態では、1ミリメートル、2ミリメートル、3ミリメートル、4ミリメートル、5ミリメートル、6ミリメートル、7ミリメートル、8ミリメートル、9ミリメートル、10ミリメートル、11ミリメートル、12ミリメートル、13ミリメートル、14ミリメートル、15ミリメートル、16ミリメートル、17ミリメートル、18ミリメートル、19ミリメートル、若しくは20ミリメートルよりも小さいか、それに等しいか、又はそれよりも大きい平均直径を有し得る。フィラメント接着剤100は、ストック物品とすることができ、用途に適した任意の長さで提供することができる。
【0023】
本明細書で説明される分注方法は、多くの潜在的な技術的利点をもたらすものであり、それらのうちの少なくとも一部は、予想外のものである。これらの技術的利点としては、いくつかの実施形態では、分注後の接着特性の保持、低い揮発性有機化合物(volatile organic compound;VOC)特性、ダイ切断、及び/又は剥離ライナーの使用の回避、設計の柔軟性、複雑な非平面状結合パターンの実現、薄い基材及び/又は繊細な基材上への印刷、より少量の材料の利用/システム廃棄物の削減、並びに、不規則なトポロジー及び/又は複雑なトポロジー上への印刷が挙げられる。
【0024】
本開示によるコアシースフィラメント接着剤は、任意の既知の方法を使用して作製することができる。例示的な実施形態では、これらのフィラメント接着剤は、溶融ポリマーを同軸ダイを通して押し出すことによって作製される。上述のコアシースフィラメント接着剤に関する技術的詳細、オプション、及び利点は、米国特許仮出願第62/633,140号(Nyariboら)で説明されている。フィラメント接着剤及び分注システムの作製を示す更なる実施形態及び実施例は、米国特許仮出願第62/907,325号(Napieralaら)に示されている。
【0025】
図2は、
図1のフィラメント接着剤100を受け入れ、溶融させ、混合し、分注するための構成を有する、分注ヘッド150を示す。分注ヘッド150は、バレル152と、その内部に受け入れられている回転可能なスクリュー154と、を含む。ギヤボックス156及びモータ158が、スクリュー154に動作可能に連結されており、フィラメントが分注ヘッド150内へと誘導される、バレル152の側面に、電動式とすることが可能な位置合わせホイール160が装着されている。これらの構成要素のそれぞれに関する更なる詳細は、以下の通りである。
【0026】
バレル152は、単軸スクリュー押出機において使用されるバレルの構成を有する。バレル152は、円筒状の内表面170を有し、包囲する関係でスクリュー154と係合している。内表面170は、バレル152の遠位端において注出口172で終端している。注出口172は、一般に円形であるが、矩形とすることも可能であり、又は、任意の他の好適な形状を有することも可能である。バレル152は、分注動作の間に内表面170を加熱してフィラメント接着剤を溶融させるための、1つ以上の(見えていない)埋め込み式加熱要素を含む。任意選択的に、バレル152の内表面170は、バレル152と押し出された接着剤との間の摩擦を増大させるために、溝付きとするか、又は他の方式でテクスチャ加工することもでき、バレル152は、いくつかの実施形態では、スリーブ挿入部を含む。
【0027】
再び
図2を参照すると、フィラメント接着剤を受け入れるために、バレルの上面を貫通して注入口174が延びている。更に図示されているように、注入口174は、傾斜ニップ点を画定している前方側壁176を含み、この傾斜ニップ点において、前方側壁176がスクリュー154の外表面と合流している。有利には、傾斜ニップ点は、フィラメント接着剤がバレル152内に引き込まれる際に、そのフィラメント接着剤が破断することを防ぐ。傾斜ニップ点は、操作者の立会いを必要とすることなく、バレル152内にフィラメント接着剤が連続的に供給されることを可能にする、堅牢な供給機構の一部であり、また、いくつかの実施形態では、押し出されたフィラメント接着剤が時々注入口に蓄積する可能性があるので、傾斜ニップ点は、洗浄を支援することができる。
【0028】
分注ヘッド150の駆動機構は、ギヤボックス156及びモータ158によって提供される。いくつかの実施形態では、分注ヘッド150は、回転可能スクリュー154の速度及び/又はトルクの調節を可能にする、制御部を含む。いくつかの実施形態では、モータ158はサーボモータである。サーボモータは、広範囲の回転速度にわたって高い度合のトルクを提供することができるため、有利である。
【0029】
図示のように、注入口174は一般に、逆漏斗の形状を有しており、注入口174の断面積は、スクリュー154に近接するにつれて増大している。注入口174は、図示のような前方側壁176などの、1つ以上の側壁を有する。前方側壁176は、平面状又は湾曲状であってもよい。横断方向から見たとき、前方側壁176の少なくとも一部分は、スクリュー154の長手方向軸線に対して鋭角で延びている。フィラメント接着剤の供給を容易にする鋭角は、10度~70度、18度~43度、23度~33度、又はいくつかの実施形態では、10度、13度、15度、17度、20度、22度、25度、27度、30度、32度、35度、37度、40度、42度、45度、47度、50度、53度、55度、57度、60度、65度、若しくは70度よりも小さいか、それに等しいか、又はそれよりも大きいものとすることができる。
【0030】
図3は、注入口174の形状に関する更なる詳細を示す、バレル152の上面図を示している。注入口174は、外側入口175と、外側入口175から延びて点線で示されている、隠れた表面とを含む。
図3から分かるように、前方側壁176は平面状ではなく、複雑な複合曲率を有する。前方側壁176を含む、注入口174の湾曲表面は、フィラメント接着剤が供給されている際にフィラメント接着剤を収容するために、全体としてバレル152の内表面170内に凹部を画定している。全体として、注入口174は、名目上スクリュー長さの10パーセント~40パーセント、15パーセント~35パーセント、20パーセント~30パーセントに沿って、あるいは、いくつかの実施形態では、名目上スクリュー長さの10パーセント、12パーセント、15パーセント、17パーセント、20パーセント、22パーセント、25パーセント、27パーセント、30パーセント、32パーセント、35パーセント、37パーセント、若しくは40パーセントよりも小さく、それに等しく、又はそれを超えて延びることができる。
【0031】
注入口174によって取り囲まれている凹部は、ここにおけるように、スクリュー154に対して軸方向及び周方向の双方に沿って延びることができる。バレル152内でフィラメント接着剤が移動するための空間を設けることによって、凹部は、分注ヘッド150の動作中に回転可能スクリュー154のフライトがフィラメント接着剤を切断する可能性を低減する。切断されることが不都合である理由は、フィラメントの破断により、分注プロセスが中断し、プロセスを再始動する前に、操作者が分注ヘッド150内にフィラメント接着剤を手動で再挿入することが必要となるためである。
【0032】
図4及び
図5は、より詳細にスクリュー154の特徴部を示している。スクリュー154は、一方の端部に、駆動機構に連結するためのシャンク180を含む。シャンク180は、その長さに沿って漸進的に増大する直径を有する、シャフト182に接続されている。シャフト182の周りには、バレル152内でスクリュー154が回転する際に、溶融材料を順方向に搬送するための、螺旋状フライト184が延びている。
【0033】
フィラメント接着剤が分注ヘッド150内に供給される場所の近位では、
図5の断面図にも示されるように、螺旋状フライト184にノッチ188が設けられることにより、把持ラグ186を提供している。把持ラグ186は、注入口174を通過する連続的なフィラメント接着剤を捕捉して、バレル152内に能動的に引き込むことを支援する、追加的な縁部を提供する。このことは、供給ゾーン内に接着剤を押し込むことが必要とされ、フィラメント接着剤の座屈及び捩れを誘発する恐れがある供給機構に勝る、著しい利点である。把持ラグ186は、名目上スクリュー長さの1パーセント~30パーセント、3パーセント~25パーセント、5パーセント~20パーセントにわたって、あるいは、いくつかの実施形態では、名目上スクリュー長さの1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、6パーセント、7パーセント、8パーセント、9パーセント、10パーセント、11パーセント、12パーセント、13パーセント、14パーセント、15パーセント、16パーセント、17パーセント、18パーセント、19パーセント、20パーセント、22パーセント、25パーセント、27パーセント、若しくは30パーセントよりも小さく、それに等しく、又はそれを超えて延びることができる。把持ラグは、浅過ぎると、フィラメントを注入口内に効果的に引き込まないであろう。把持ラグは、深過ぎると、フィラメントがバレルを長手方向に移動することができる速度よりも速い速度でフィラメントを引き込むことになり、その結果、注入口における接着剤の蓄積を引き起こし、これは分注を妨げる可能性がある。
【0034】
スクリュー154の反対側端部には、混合セクション190が配置されている。混合セクション190は、複数の円筒状ポスト192を含む。しかしながら、混合セクション190は、
図4に示されていない他の構成で表すこともできる。採用することが可能な他のスクリュー特徴部としては、(Maddockミキサにおいて見出されるような)溝付きシリンダ、(Saxtonミキサにおいて見出されるような)クロスカットを有する高密度フライト付きスクリューセクション、又は、パイナップルミキサに使用されるものを含めた様々な既知のポストパターンのうちのいずれかが挙げられる。任意選択的に、バレル152の内部側壁上にポスト又はピンを配置して、混合プロセスを支援することができ、その場合には、干渉を回避するために、スクリュー154のフライトにクロスカットが存在し得る。
【0035】
混合セクション190の長さは、特に制限されるものではなく、押し出される接着剤組成物、及びフィラメント接着剤の供給速度を含めた、様々な要因に依存し得る。混合セクション190は、名目上スクリュー長さの5パーセント~30パーセント、7パーセント~25パーセント、8パーセント~20パーセント、あるいは、いくつかの実施形態では、名目上スクリュー長さの5パーセント、6パーセント、7パーセント、8パーセント、9パーセント、10パーセント、11パーセント、12パーセント、13パーセント、14パーセント、15パーセント、16パーセント、17パーセント、18パーセント、19パーセント、20パーセント、22パーセント、25パーセント、27パーセント、30パーセント、若しくは35パーセントよりも小さいか、それに等しいか、又はそれよりも大きいものとすることができる。
【0036】
比較的コンパクトなエンクロージャ内での、フィラメント接着剤の効果的な溶融、混合、及び分注のために、名目上スクリュー長さとスクリュー直径との比は、8:1~20:1、9:1~17:1、10:1~14:1、あるいは、いくつかの実施形態では、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、若しくは20:1よりも小さいか、それに等しいか、又はそれよりも大きいものとすることができる。
【0037】
提供される分注ヘッド150は、著しいスループットを発揮することができる。好ましい実施形態では、分注ヘッドは、少なくとも3kg/時、少なくとも4kg/時、少なくとも5kg/時、少なくとも6kg/時、少なくとも7kg/時、少なくとも8kg/時、又は少なくとも20kg/時のスループットで、接着剤組成物を分注することが可能である。
【0038】
図6は、可動アーム230の端部に取り付けるためのマウントが装備された分注ヘッド250を含む、分注システム228の概略図を提示している。分注ヘッド250は、前述のような分注ヘッド150の特徴部に類似した特徴部を有し得る。可動アーム230は、テーブル232に装着されており、最大6自由度で分注ヘッド250が並進及び回転することを可能にする、任意の数の関節を有し得る。可動アーム230は、分注ヘッド250が、精度及び再現性を伴って、かつテーブル232に対して広範囲の場所にわたって、接着剤組成物を分注することを可能にする。
【0039】
任意選択的に、また図示のように、分注システム228は、
図6に示されるような、分注ヘッド250内に連続的に供給するためのフィラメント接着剤234を更に含む。フィラメント接着剤234は、図示のようにスプール236から連続的に繰り出すことができる。分注システム228の他の構成要素に対するスプール236の場所は、重要なものではなく、好都合な場所に取り付けることができる点を理解されたい。スプール236は、テーブル232に、又はテーブル上の構造体に固定することができる。
【0040】
図6の分注ヘッド250は、ホットメルト形態の接着剤組成物238を、基材240の結合表面上に分注することが示されている。基材240は、限定される必要はなく、例えば、アセンブリに接着連結するための工業部品とすることができる。オプションとして、基材240をテーブル232上に取り付けることにより、分注ヘッド250の位置決めのための空間的基準点を提供することができる。このことは、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータを使用して分注ヘッド250の位置及び向きを制御する自動プロセスにおいて、特に有用であり得る。
【0041】
接着剤組成物238の分注は、自動化又は半自動化することができ、したがって、人間の操作者による介入をほとんど又は全く必要としない。提供される方法の1つの利点は、コンピュータによって提供される命令に従って、及び所定のパターンに基づいて、接着剤組成物238を基材240上に分注することが可能である点である。所定のパターンは、(平面状の表面に沿った)2次元又は(非平面状の表面に沿った)3次元のものとすることができる。所定のパターンは、その所定のパターンを多種多様な基材のいずれかに関してカスタマイズすることが可能となる、コンピュータプロセッサ上のデジタル化されたモデルによって表すことができる。本明細書で使用する場合、コンピュータは、プロセッサ及びメモリを有するデバイスであり、ターゲット基材のトポグラフィを調べるためのスキャン装置、又は分注システムに関連付けられた機構を制御するための装置などの他のデバイス、並びにコンピュータシステムを人間が制御するための他の入力手段(必要に応じて、例えば、ユーザインターフェース、キーボードなど)に通信可能に結合され得る。
【0042】
ここでは、接着剤組成物238は、分注された後も流動し続けることが可能となる、熱可塑性エラストマーである。特定の用途では、この溶融接着剤は、機械的保持力の向上のための、基材240の突出特徴部又は凹状特徴部の形状に適合する。任意選択的に、突出特徴部又は凹状特徴部は、結合の強度を更に向上させるために、1つ以上のアンダーカットを有し得る。
【0043】
図6では、基材240の結合表面は、リブ付きの構成を有することにより、接着剤組成物238が、リブ間の凹状領域に流れ込んで侵入することを可能にする。結合のための増大した表面積を提供することによって、この構成は、平面状の結合構成と比較して著しく強固な結合もたらす。接着剤組成物238を、周囲温度まで冷却すると、その凝集力が増大して、この材料は、感圧接着剤として挙動する。
【0044】
いくつかの実施形態では、接着剤付き基材240を、対応する物品又はアセンブリに直ちに接触させて配置することにより、結合を完了させることができる。そのような操作は、手動とするか、半自動化するか、又は完全に自動化することができる。接着剤付き基材240が、結合される準備がなされていない場合には、分注された接着剤の露出面を剥離ライナーによって覆うことにより、その粘着性を保つことができる。用途に応じて、接着剤付き基材を、その後、パッケージ化するか、保管するか、又は後続の製造プロセスに搬送することができる。
【0045】
更なる改良もまた可能である。図面には明示されていないが、フィラメント接着剤が分注ヘッドの加熱されたバレルに入る前に、そのフィラメント接着剤を予熱するために、1つ以上の追加的な加熱要素を設けることができる。予熱された接着剤は、溶融させるために必要な熱が少なくてすむため、フィラメント接着剤を予熱することによりスクリュー/バレルを短くすることが可能となり得る。追加的な加熱要素は、周辺構成要素上に、又は分注ヘッド自体の一部分上に配置することができる。いくつかの実施形態では、位置合わせホイール160が、追加的な加熱要素を組み込んでいる。
【0046】
分注される接着剤はまた、別の接着剤物品に適用することもできる。例えば、発泡テープ上の皮膚接着剤を作製するために使用することができる。分注される材料は、発泡又は非発泡のものとすることができる。非発泡接着剤組成物は、性能の損失を伴わずに、より容易に再加工されるため、好ましい場合がある。その一方で、発泡接着剤は、費用対効果が高く、粗面又は他の不均一な表面への結合に関して有用であり得る。任意選択的に、フィラメント接着剤は、ガラスバブル又は他の発泡成分を、フィラメント接着剤組成物中に組み込むことによって発泡されている。
【0047】
提供される分注ヘッドに関する、有用な特徴部及び用途は、本開示におけるものを超えて拡張することができ、いくつかは、いずれも2019年2月25日に出願された、同時係属中の米国仮特許出願第62/810,221号(Napieralaら)及び同第62/810,248号(Napieralaら)で説明されている。
【0048】
提供される分注ヘッドを使用して感圧接着剤を分注することには、多くの利点がある。分注システムへのその分注ヘッドの配備は、スプールに巻かれたフィラメント接着剤をロール製品として使用することにより、特に自動化プロセスにおいて、消耗材料の装填及び交換を、より容易にする。提供されるスクリュー構成はまた、比較的軟質の粘弾性稠度を有し、従来のディスペンサ内に供給することが困難な、PSAフィラメント接着剤を使用するためにも、よく適している。従来のディスペンサとは異なり、提供される分注ヘッドは、加熱されたホースを必要とせず、典型的なホットメルト又は硬化性液体接着剤分注システムと比較して、切り替えがより容易である。更に、加熱要素を小さな空間(分注ヘッド)に閉じ込めることにより、ホットメルト技術と比較して、接着剤適用システムの多くの態様が、大幅に簡素化される。例えば、ホットメルト技術では、大量の材料を加熱してからポンピングする必要があり、実行の終了時にはホースをパージする必要がある。このパージ及び清掃には数時間かかる可能性がある。対照的に、本明細書に記載される分注システムを伴うフィラメント式接着剤は、加熱要素を相対的に非常に小さな領域(分注ヘッド)に閉じ込めており、いくつかの実施形態では、ジョブの終了時には分注システムを単にオフすることができ、適用は後で再開され得る。
【0049】
提供された分注ヘッドはまた、モジュール式であることにより、カスタマイズされた様々なノズルのいずれかと共に使用することを可能にし、接着剤配置の際の、所望の精度を提供する。提供される分注ヘッドは、接着剤がカスタマイズされた様式で分注されることを可能にすることができる。例えば、ドット、ストライプ、又は他の不連続なパターンで、基材上に接着剤を分注することが可能である。前述のように、好適なコーティングパターンは、平坦である必要はなく、複雑で不規則な結合表面上に配置することができる。
【0050】
提供される分注ヘッドは、高効率かつ軽量である。いくつかの実施形態では、分注ヘッドは、最大で10kg、最大で8kg、又は最大で6kgの総重量を有する。分注ヘッドの実用例は、製造施設で現在使用されている軽質ロボットアームに取り付けられるために、十分に軽くコンパクトである。スクリュー及びバレルは、溶融ゾーン内での短い滞留時間内に、優れた混合をもたらすように構成されているため、廃棄物も低減され、接着剤の熱劣化のリスクも最小限に抑えられる。
図6に示されていない別の実施形態では、静止した分注ヘッドが、可動ベース上に取り付けられたターゲット基材に接着剤の溶融ビーズを適用する。
【0051】
ここで、品質の高い適用を保証するためにセンサを用いてフィラメント接着剤をターゲット基材に適用し得る方法の説明に移り、
図7はスキャン構成300を示している。具体的には、ターゲットワークピース302が、スキャナ306によって放射線308を使用してスキャンされていることが示されている。スキャナ306は、制御システム304に通信可能に結合されている。スキャナ306は、ターゲット表面のトポグラフィを2次元超で(例えば、2D、2.5D、又は3Dのいずれか)マッピングする信号を取得することができる任意の好適なスキャナであり得る。2Dシステムは、コントラストベースの技術に依拠しているため、本用途には、3D技術が好ましい。例示的なスキャナとしては、カメラ、ビジョンシステム、レーザーレンジファインダ、写真測量システム、レーザースキャナ、及び構造化光イメージングシステムが挙げられる。一実施形態では、高解像度集束光学ビーム、プロフィロメータ、又はレーザー走査顕微鏡法を使用して、ターゲットワークピース302の2Dプロファイルを測定することができる。VRシリーズ(Keyence Corporation,Osaka,Japan)又はSURFTEST SJシリーズ(Mitutoyo Corporation,Sakado,Japan)を例示的なスキャナとして使用することができる。ターゲットワークピース302表面の面積平均は、光学散乱技術又は低エネルギー回折技術を使用することによっても取り込むことができる。走査型トンネル顕微鏡又は高解像度イメージングカメラを使用して、ターゲットワークピース302の3Dマップを取得することができる。放射線ベースのシステムが図に示されているが、プローブを使用してターゲット基材のトポグラフィを調べる機械的システムも使用することができる。ターゲットワークピースは、そのワークピースに関連する結合用途を有する任意のワークピースであり得る。これには、非限定的な実施例として、工業製造品、家電製品、ビークル、家庭用電化製品などが含まれる。制御システム304は、汎用又は専用のコンピュータ又は制御回路であり得る。制御システム304は、スキャナ306から信号を受信し、ターゲット基材302のデジタル第1トポグラフィを作成する。このトポグラフィは、基材302の3次元表面を画定する情報を含む。結果として生じるトポグラフィプロファイルは、一実施形態では、ターゲット基材302のタイプを示し、ターゲット基材の表面上のピークの高さについての、又はピーク間の距離についての平均値を定義する。トポグラフィプロファイルは、基材302の1つの「面」、又は基材302が多次元の複雑な形状である場合には、多くの面を含み得る。スキャナ306は、スキャン中に基材302がスキャナ306に対して移動するときに静止していてもよく、あるいはスキャナ306は、スキャン中に基材302に対して移動してもよい。モデルワークピースは、スキャナ306によってスキャンされ、結果として得られるデジタルトポグラフィ情報がコンピュータメモリ又はデータベースに記憶され、同じデザインの後続のワークピースに関連して検索及び利用され得る。あるいは、各ワークピースは、事前準備としてスキャナ306によって個別にスキャンされてもよい。この個別化されたターゲット基材のスキャンは、例えば、表面汚染物又は他の異常が存在し、接着剤の適用を妨げ得る場合など、特定のシナリオにおいて有益であり得る。例えば、スキャナ306は、油、水分、異物などの表面エネルギー汚染物質、又は接着剤ビーズ適用に悪影響を及ぼし得る他の欠陥を特定することができる。
【0052】
ターゲット基材の第1のトポグラフィを取得又は生成すると、ビーズ適用計画が、その第1のトポグラフィについて決定又は検索される。ビーズ適用計画は、可動アーム230に連結された分注ヘッド250が、ターゲット基材上にフィラメント、つまりフィラメント接着剤ビーズを出力し得る方法を定義している。ビーズ適用計画には、例えば、場所を定義する情報、及び適用するべきビーズの領域及びタイプ(2つ以上のタイプ、例えば、リボンプロファイル又は円形プロファイル、あるいは別のタイプの接着剤がある場合)が含まれる。ビーズ適用計画はまた、ターゲット基材へのビーズ適用の順序も定義し得る。ビーズ適用計画は、コンピュータ上のコンピュータプログラム内の規則を使用して自動的に計算されることができ、その後、いくつかの実施形態では、人間の操作者によって検証されることができるか、あるいは人間の操作者によってコンピュータシステムを使用して大部分が定義されることができる。更に、人間の操作者は、コンピュータが提案した適用計画を修正又は拡張することができる。一実施形態では、ターゲット基材に嵌合される部品の表面トポグラフィもデジタルで利用可能であり、この情報は、ビーズ適用計画を設計するためにコンピュータシステムで利用可能である。ターゲット基材に嵌合される部品の表面トポグラフィを利用できるようにすることで、接着剤結合線のより良好な設計、すなわち、例えば、一部の領域では、適用されたビーズは薄く広い必要があり、他の領域では、適用されたビーズは狭く厚い必要があるなど、が可能になる。結果として生じるビーズ適用計画は、例えば、XMLファイル又は任意の他の適切な形式で記憶され得る。結果として得られたビーズ適用計画は、ローカルに、ストレージクラウドに、又は任意の他の適切な場所若しくは媒体内に、記憶され得る。ターゲットトポグラフィのスキャンにより、反りなど、ビーズ適用計画によって対処されることができる部分異常が生じ得るか、あるいは、ターゲット基材が更なる処理に適していない(例えば、ターゲット基材が、破損している、又は他の欠陥を有する)ことを示す情報をもたらし得る。更に、スキャンは、例えば、油、水、又は残留物などの外来汚染物質の存在など、ターゲット基材に関連する表面エネルギーの不規則性を明らかにし得る。適用の詳細によっては、表面エネルギー不規則性の存在は、その部品が更なる処理に適していることを意味する場合と、意味しない場合がある。
【0053】
適用計画とともに、ターゲット基材に関連する性能基準もまた定義される。繰り返しになるが、これは、基材トポグラフィに規則のセットを適用するコンピュータによって定義され、その後、必要に応じて人間の操作者によって検証されることができるか、あるいは、人間の操作者によってコンピュータを使用して設計されることができる。性能基準とは、ターゲット基材上での許容可能なビーズ適用の特性を定義する規則である。例えば、性能基準は、接着剤が適用されるパターン、最小ビーズ幅、厚さ若しくは体積、適用領域での許容可能な被覆率、接着剤を含有することができない領域、又はセンサ検証のターゲットとなるターゲット基材上の許容可能なビーズ適用を定義する任意の他の基準を、定義し得る。典型的なエラー条件、即ち一般的なエラー及びワークピースに特有のエラーの両方、もまた定義することができる。例えば、ビーズの適用中の開始/停止事象は、コーキングのビーズの適用を開始及び停止した場合と同様の、ビーズ形状に関連する特定の視覚的異常で現れることがある。開始/停止事象は、ターゲットワークピースのある特定の領域では問題がないものとして定義され得るが、他の領域では許容不可能である。開始/停止事象の性質に応じて、ビーズがターゲットワークピースの特定の領域で不足していると判定された場合、可能性のある回復条件(例えば、ビーズの増強)も定義することができる。定義され得る別のエラー条件は、フィラメント接着剤のビーズが様々な理由で適切に押し出されないスパッタリングである。スパッタリングは、典型的には、空気が分注ヘッドに閉じ込められること、接着剤が分注ヘッドを通って移動する間に大量の剪断を生成すること、又はシステムが効果的に管理することができる以上の熱を生成するか若しくはシステムが効果的に管理することができる以上の熱に曝露されること、で定義される。この状態は、フィラメント接着剤が、尽きるか又は繰り出しを停止した場合に存在することがあり、又は、分注ヘッドの他のエラー条件(詰まり、モータの故障など)に基づいて存在することがある。開始/停止事象と同様に、スパッタリングは、ターゲットワークピースのある特定の領域において問題となる場合とならない場合とがあり、スパッタリングの許容性は、例えば、スパッタリングされる体積の関数であり得る。これは、いくつかの実施形態では、性能基準において定義される。所与の領域における接着剤の最小体積出力もまた、性能基準の態様であり得る。更に、適切な修正処置を定義することもでき、例えば、ある領域ではビーズ増強が適切であるが、別の領域ではそのピースを完全にやり直す必要があるか又は人間の操作者の注意を必要とする場合、これもまた性能基準において定義することができる。別の条件を条件とする修正処置の概念は、条件付き修正処置と呼ばれ、このような場合、修正処置(例えば、ビーズの増強、すなわち、例えば、エラー条件が存在する領域に新たなビーズを更に適用する)と条件付き態様(例えば、ターゲット基材のこの領域における)との両方が、性能基準の一部として両方とも定義されることになる。
【0054】
ビーズ適用計画及び性能基準の両方は、任意の好適なコンピュータ可読媒体で定義され得る。例えば、テキストファイル若しくはXMLファイル、又は任意の他の好適なマークアップ言語を使用すること。1つ以上のデータベースサーバ上で実行されるデータベース管理システム(DBMS)も使用することができる。データベース管理システムは、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)、階層型データベース管理システム(HDBMS)、多次元データベース管理システム(MDBMS)、オブジェクト指向データベース管理システム(ODBMS若しくはOODBMS)、又はオブジェクトリレーショナルデータベース管理システム(ORDBMS)であってもよい。ビーズ適用計画を記述したデータは、Microsoft Corporation製のSQLサーバなど、単一のリレーショナルデータベース内に記憶されることができる。ビーズ適用計画は、一実施形態では、制御アーム及び分注ヘッドの移動を定義することができるが、より好ましくは、
図7に関する説明と関連して取得されたターゲット基材のトポグラフィマップを含み、様々なビーズ分注のための適用順序を代わりに定義し、次いで接着剤ビーズの実際の分注と関連付けられた制御システムが、ビーズ適用計画を受け取り、それを、その計画に従って分注ヘッドに接着剤ビーズを分注させるために必要な特定のコマンドに変換することになる。
【0055】
ここで
図8を参照すると、ターゲット基材302が再び示されているが、ここでは、ターゲット基材302は、リボンプロファイルの接着剤310の第1のビーズ及び円形プロファイルのビーズ接着剤238を含んでおり、接着剤238は、
図6に関して前述した分注ヘッド250及び分注システムによって適用されている最中である(特に記載のない限り、同様の番号は同様の要素を指す)。プロセス及びメモリを有するコンピュータである制御システム276が、アプリケータに通信可能に結合されて示されている。それぞれが異なるプロファイルを有する2つの別個のビーズが
図8に示されているが、他の任意の数のビーズプロファイルを、実用的な任意のパターンで使用することができる。
図8に示されるビーズを、上記のように、ビーズ適用計画に従って堆積させた。
図10に関して後でより十分に説明されるビーズプロファイルは、分注ヘッド250の押出オリフィス285を変えることによって変更することができる。これは手動で行うことができ、例えば、制御システム276は、ビーズ適用計画を解釈して、別の押出オリフィスを要求してもよく、作業者が押出オリフィスを変えるように可聴又は視覚的警告を発することができ、あるいは、好ましくは、このことは、制御システム276が押出オリフィス交換ルーチンに入ることによって自動的に行われ、これにより、分注ヘッドをオリフィスストレージアレイ280に移動させ、第1のプロファイルの1つの押出オリフィスを第2のプロファイルの第2の押出オリフィスと交換させる。
図8は、異なるプロファイルを有する2つの押出オリフィスを示しており、押出オリフィス281は、堆積されたビーズ310などのリボンプロファイルを堆積するのに適したリボンスタイルのオリフィスであり得、又は押出オリフィス283は、小さな円形ビーズプロファイルであり得る。
【0056】
図9は、適用シナリオ340でターゲット基材342に適用されたリボンプロファイルを有するビーズ310を示す。この種のプロファイルは、その後プラカード又は更に大きな表面積の基材を適用するのに適し得る。
【0057】
図10は、様々な押出オリフィスを用いて形成することができるビーズプロファイルの非限定的な例を示す。長方形ビーズ350;円形ビーズ352;リボンビーズ354;卵形ビーズ356;及び三角形ビーズ358が、全て示されている。必要に応じて、他の押出プロファイルが可能である。
【0058】
図11は、フィラメント接着剤のビーズをターゲット基材に適用する方法500を示す。最初に、(工程552)ターゲット基材のトポロジーマップが作成される。これは、
図7に関して更に上記した。ターゲット基材トポグラフィが既知である場合、この工程は省略されてもよく、その基材トポグラフィが直接利用した。次に、工程554において、
図8に関して説明したように、ビーズ適用計画及び性能基準が、ロードされるか、又は受信される。次に、フィラメント接着剤のビーズが、ビーズ適用計画に従って、コンピュータ制御された分注ヘッドを用いて適用される(工程556)。センサであって、
図7に関して説明したようにターゲット基材のトポグラフィマップを作成するために使用されるのと同じセンサであってもよく、上述のように異なるセンサであってもよいセンサが、次に、分注されたビーズに関連するセンサ入力を受信する(工程558)。このセンサは、適用されたビーズと組み合わされたターゲット基材の任意の有用な特性を感知することができる。例えば、センサは、適用されたビーズが基材上で存在している場所をスキャンすることができ、プロファイリングされたビーズをスキャンして判定することもでき、又は被覆率をスキャンして判定することもできる。センサは、ターゲット基材のある領域におけるビーズプロファイル又はビーズの体積をスキャンすることができる。次に、工程560では、センサ入力が、ターゲット基材の性能基準と比較される。性能基準は、
図8に関して上述したものである。例えば、特定の基材の性能基準は、ターゲット基材の特定の領域がその上に特定の体積の接着剤、又は特定の被覆%を有する必要があることを指定し得る。性能基準はまた、エラー条件のタイプに対して有効な修正処置を定義することもできる。例えば、ターゲット基材の特定の領域において、十分な接着剤が適用されていないことがスキャンにより明らかになった場合、修正処置は、ビーズ増強(例えば、再適用)が有効な修正処置であることを示す論理ほどに単純となり得る。他の領域では、ビーズ適用が有効ではない可能性もあり、これは、例えば、ビーズ適用が、ある特定の領域に過剰な量の接着剤をもたらす場合があり、このことが、用途に基づいて許容可能である場合も許容不可能である場合もあるためである。
【0059】
センサ入力と性能基準との比較の結果は、第2のビーズ適用計画となり、第2のビーズ適用計画は、性能基準に示される任意の有効な修正処置と整合している。例えば、第2の適用計画は、後続のビーズ適用計画を定義した情報を含むことになる。これは、必要に応じて様々に異なる押出プロファイルを有する適用ヘッドを使用して、ある特定の領域においてビーズを増強することを含み得る。また、適用後のビーズプロファイルレビューが、他の情報、例えば、押し出されたビーズが基材上にどれだけうまく配置されたか、を提供してもよい。例えば、あるビーズプロファイルは、表面上で接着剤が濡れている程度を示し得る。
【0060】
最後に、フィラメント接着剤の2番目のビーズが、2番目のビーズ適用計画と整合的にターゲット基材に適用される。いくつかの実施形態では、これは、1番目の適用計画のビーズの適用及び検査の直後に、以前にターゲット基材に適用された接着剤が冷えすぎないうちに行われる。
【0061】
図11に概説されるこの基本的なプロセスは、ターゲット基材の複雑さ、適用計画の複雑さ、及びエラーの傾向に応じて、更に1回、又は更に数回繰り返され得る。反復するたびに、更なるビーズ適用計画がもたらされ、更なるビーズ適用計画は、理論的には、全ての性能基準が満たされるまで、反復するたびに縮小されることになる。
【0062】
材料の調製及び評価
このセクションでは、上記のように、及び上記の方法によって増強及び拡張されるように、分注ヘッドを使用してフィラメント接着剤の作製及び堆積について説明する。
【0063】
【0064】
試験方法:
90°剥離強度試験:幅12.5ミリメートル×厚さ1.5ミリメートル×長さ125ミリメートルの試料接着剤のストリップを、基材上に直接分注した。試料接着剤を、室温(25℃)まで10分間放冷した。次に、露出した試料接着剤表面に、アルミニウム箔を、6.8キログラムのスチールローラーを各方向に2回通過させて手動で積層した。結合させた試料を、25℃及び湿度50%で、4時間放置した。50キロニュートンのロードセルを装備した引張試験機を使用して、30.5センチメートル/分の分離速度で、室温において剥離試験を実施した。平均剥離力を記録して、ニュートン/センチメートル単位の平均剥離接着強度を算出するために使用した。
【0065】
静的剪断強度試験:幅12.5ミリメートル×厚さ1.5ミリメートル×長さ25.4ミリメートルの試料接着剤のストリップを、アルミニウムクーポン上に、ストリップの長さがアルミニウムクーポンの幅にわたる状態で直接分注した。アルミニウムクーポンは、アルミニウムプラーク材料(Lawrence&Frederic Inc(Streamwood,Illinois,United States)より入手した、厚さ1.6mm、幅101.6mm、長さ304.8mmの、陽極酸化アルミニウム5005-H34 Code 990MX)を、幅25.4ミリメートル×長さ50ミリメートルの小片に切り出すことによって製作され、結合させた試料を試験フックに吊り下げるための6ミリメートルの穴を、狭い縁部の中央に設けた。室温まで10分間冷却した後、露出した試料接着剤表面に、幅25.4ミリメートル×長さ120ミリメートルのアルミニウム箔ストリップを、6.8キログラムのスチールローラーを各方向に手動で2回通過させて取り付けた。箔の尾部をループ状に巻いて、ステープル留めした。結合させた試料を、25℃及び湿度50%で、4時間の放置時間に付した。試験パネルを室温においてフックに垂直に取り付け、アルミニウム箔のループ部に250グラムの重りを取り付けた。試料がプラスチック基材から落下する、吊り下げ時間を記録した。破断が生じなかった場合には、72時間後に試験を停止した。
【0066】
自己接着試験:保管中にコアシースフィラメントが一体に融合又はブロック化しないことが望ましい。シース材料は、コア接着剤を被覆する非接着面を提供する。候補となるシース材料が、「非粘着性」であるという要件を満たすか否かを判定するために、純粋なシース材料のフィルムに対して自己接着試験を実施した。クーポン(25ミリメートル×75ミリメートル×0.8ミリメートル)を切り取った。各材料に関して、2つのクーポンを互いに積み重ね、オーブン内の平坦表面上に配置した。2つのクーポンの上に、750グラムの重り(直径43ミリメートル、平底)を、フィルムの上で重りが中央にある状態で配置した。オーブンを摂氏50度まで加熱して、その条件で試料を4時間放置した後、室温まで冷却した。静的T型剥離試験を使用して、合格/不合格を評価した。一方のクーポンの端部を、静止フレームに固定し、他方のクーポンの対応する端部に、250gの重りを取り付けた。フィルムが可撓性であり剥離し始めた場合には、それらはT字形状を形成した。第2のクーポンに重りを適用してから3分以内に、この静的な250グラムの荷重で2つのクーポンを分離することが可能であった場合には、その試料を合格と見なし、非粘着性とした。そうではなく、2つのクーポンが接着したまま維持されていた場合には、不合格と見なした。
【0067】
工程1:アクリル樹脂の調製
6%の酢酸ビニル含量及び0.0635ミリメートル(0.0025インチ)の厚さを有する、エチレン/酢酸ビニルフィルムの2枚のシート(Consolidated Thermoplastics Co.(Schaumburg,IL.United States)より入手)を、それらの側縁部及び底部で、液体用製袋充填機を使用してヒートシールすることにより、幅5cm(1.97インチ)の矩形チューブを形成した。次いで、このチューブを、89.8%のEHA、10%のAA、0.05%のIOTG、及び0.15%のIrg651の、モノマー混合物で充填した。次いで、充填したチューブを、頂部と、チューブの長さに沿った一定の間隔の横断方向とでヒートシールすることにより、それぞれが26グラムの組成物を含む、寸法18cm×5cmの個別のパウチを形成した。それらのパウチを、約21℃~32℃に維持された水浴中に置き、最初に一方の側を、次いで反対側を、約4.5ミリワット/平方センチメートルの強度の紫外線放射に8.3分間曝露して、組成物を硬化させた。この放射は、300~400ナノメートル(nm)の発光の約90%を有する、ランプから供給された。
【0068】
工程2:試料接着剤組成物の製作
アクリル樹脂(工程1で製作されたもの)及びNucrelを同軸で共押出しして、コアシースフィラメントを形成した。Nucrelは、外側シース材料であり、接着剤組成物全体の6.5質量%とした。フィラメント径は、8ミリメートルとした。アクリル樹脂を、200RPMで回転する40ミリメートルの二軸スクリューを介して、摂氏163度で同軸ダイ内に供給した。Nucrelを、9RPMで回転する19ミリメートルの二軸スクリューから、摂氏193度でダイ内に供給した。このフィラメント接着剤をロール上に巻き付けて、分注のために保管した。Nucrelを、自己接着試験に供したところ、合格した。
【0069】
工程3:試料接着剤の分注
分注温度は、摂氏180度とした。試験試料に関するスクリュー速度は、試験片の作製に関しては300RPMとし、スループット測定に関しては、表3に表されるように変化させるものとした。
【0070】
【0071】
材料を60秒間収集して、分注された材料を秤量することによって、ディスペンサのスループットを測定した。
【0072】
スループット測定に加えて、接着剤の結合性能を、工程2の接着剤を使用して評価した。分注ヘッドの下で基材を毎秒25ミリメートルで手動で移動させることによって、コーティングした。分注中の、基材とノズルとの間の間隙は、1ミリメートルとした。アルミニウム(Lawrence&Frederic Inc(Streamwood,Illinois,United States)より入手した、厚さ1.6mm、幅101.6mm、長さ304.8mmの、陽極酸化アルミニウム5005-H34 Code 990MX)及び木材(厚さ12.7、幅76.2mm、長さ300mmのS4Sポプラ)の基材に、追加的な洗浄工程又はプライマー処理工程をなにも施さずに、受け入れたままで剥離強度試験を行った。次いで、結合させた試験片を、90°剥離強度及び静的剪断強度について評価した。結果を表3に表す。
【0073】
比較例
工程2の接着剤との比較のために、同等の組成を有するアクリル発泡テープを選択した。アクリル発泡テープに対して推奨される基材及び推奨されない基材の双方を代表する基材として、アルミニウム及び木材を選択した。多孔質の不規則な木材の基材は、結合性能が限られたものであるため、アクリル発泡テープの結合に対しては一般に推奨されない。3M Company(St.Paul,MN,United States)より入手したアクリル発泡テープ、5665を、以下で説明されるサイズに切断して、上述のような90°剥離強度試験及び静的剪断強度試験に供した。試料の調製に関する試験方法への若干の修正を伴うものとし、以下のように定義した:幅12.5ミリメートル×長さ125ミリメートルのストリップを、アルミニウム箔ストリップに、非ライナー側がアルミニウムストリップに取り付けられる状態で接着した。剥離ライナーを除去して、対象とする基材に、ライナー側を、6.8キログラムのスチールローラーを各方向に手動で2回通過させて取り付けた。アルミニウム(Lawrence&Frederic Inc(Streamwood,Illinois,United States)より入手した、厚さ1.6mm、幅101.6mm、長さ304.8mmの、陽極酸化アルミニウム5005-H34 Code 990MX)及び木材(厚さ12.7、幅76.2mm、長さ300mmのS4Sポプラ)の基材に、追加的な洗浄工程又はプライマー処理工程をなにも施さずに、受け入れたままで剥離強度試験を行った。結果を表3に表す。
【0074】
【0075】
スクリューの作製:
図4に表されるような、1.91cm(0.75インチ)の直径を有する25.4cm(10.0インチ)のヘッドスクリュー154を、コンピュータ数値制御(computer numerical controlled;CNC)三軸立型エンドミルで機械加工した。機械加工プロセスは、アルミニウムの中実ブロックに対して、2つの操作を使用して実行した。第1の工程で、スクリュー軸を見下ろすように、スクリューの上半分を機械加工した。部分的にミル加工されたブロックを反転させ、次いで、スクリューの他の半分を機械加工した。
【0076】
バレルの作製:
図2に表されるような、22.9cm(9.0インチ)×5.08cm(2.0インチ)×5.08cm(2.0インチ)のバレル152を、CNC三軸立型エンドミルで機械加工した。機械加工プロセスは、アルミニウムの中実ブロックに対して実行した。中心空洞部を最初にドリルビットで穿孔し、次いで1.92cm(0.7574インチ)までリーマ加工した。傾斜注入口174を、最初にバレル軸に垂直にミリング加工し、次いで、バレル軸の平行から28度オフセットした角度で、第2のミリング加工操作を実行した。
【0077】
ロボット取り付けブラケットの作製:
1.27cm(0.5インチ)の厚さを有するロボット取り付けブラケットを、アルミニウムから機械加工した。ロボット取り付けブラケットは、位置合わせホイールモータを取り付けるためのタップ穴を特徴とするものとした。2セットの貫通穴を、ギヤボックス156取り付けブラケット及びバレル取り付けブラケットに接続するために配置した。更には、Brass Corp.(Eden Prairie,MN,United States)製のUR-10ロボットアームに取り付けるための、穴及び円形の凹みを設けた。
【0078】
ギヤボックス取り付けブラケットの作製:
1.27cm(0.5インチ)の厚さを有するギヤボックス156取り付けブラケットを、アルミニウムから機械加工した。ギヤボックス156取り付けブラケットは、ギヤボックスの面に接続するための穴を特徴とするものとした。
【0079】
バレル取り付けブラケットの作製:
1.27cm(0.50インチ)の厚さを有するバレル152取り付けブラケットを、アルミニウムから機械加工した。バレル152取り付けブラケットは、ギヤボックス156の面に接続するための穴を特徴とするものとした。
【0080】
分注ノズルの作製:
ねじ山付きの端部を有する分注ノズル172を、機械加工した。ねじ山付きの端部は、0.1cm(3.94E-2インチ)×1.27cm(0.5インチ)のスロット開口部に接続している0.64cm(0.25インチ)の穴を有するものとした。
【0081】
位置合わせホイールの作製:
接続シャフトを有する厚さ2.54cm(1.00インチ)の位置合わせホイール160を、アルミニウムから機械加工した。位置合わせホイールの外側の曲率半径は、0.5cm(0.196インチ)とした。
【0082】
位置合わせホイール加熱ブロックの作製:
厚さ1.20cmの位置合わせホイール160加熱ブロックを、アルミニウムから機械加工した。このブロックは、McMaster-Carr(Elmhurst,IL.United States)より入手した挿入加熱カートリッジを取り付けるための、2つのスロットを有するものとした。
【0083】
熱シールドの作製:
厚さ0.16cmの4つの熱シールド(左、右、上部、及び底部)を、McMaster-Carr(Elmhurst,IL.United States)より入手したガラス雲母セラミックプレートから機械加工した。
【0084】
分注ヘッドの組み立て:
Automation Direct(Cumming,GA.United States)より入手したSVL-204サーボモータ158を、10:1のギヤボックスに接続した。スクリュー154を、バレル152内に挿入して、各側のワッシャとともにスラスト軸受を、スクリューシャフトに配置した。次いで、バレルとスクリューとのアセンブリを、スラスト軸受及びワッシャがバレル取り付けブラケット内に安置される状態で、バレル152取り付けブラケットに通して挿入した。ギヤボックス156を、ギヤボックスブラケットに取り付けた。ギヤボックス156のシャフトとスクリュー154とを、モータシャフト連結器で接続した。バレル152ブラケット及びギヤボックス156ブラケットの双方を、モータ取り付けブラケットに接続した。分注ヘッドを、ロボットアーム上に取り付けた。ノズルをバレル内にねじ込んだ。全ての電気的接続を行った。バレル内に埋め込まれている3つの100ワット加熱カートリッジで、バレルを加熱した。Jタイプ熱電対で温度を監視した。バレルは、バレルの外側に締結されたセラミックプレートで断熱するものとした。
【0085】
上記の特許出願において引用された全ての参考文献、特許文献及び特許出願は、一貫した形でその全文が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の部分と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先される。前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。
【国際調査報告】