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特表2023-507408神経系疾患および障害を改善するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】神経系疾患および障害を改善するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20230215BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/27 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/138 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/18 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/166 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P43/00 121
A61P25/28
A61K31/137
A61K31/27
A61K31/138
A61K31/165
A61K31/18
A61K31/166
A61P25/14
A61P25/00
A61P9/10
A61P25/24
A61P25/16
A61P17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537311
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 US2020065655
(87)【国際公開番号】W WO2021127210
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/950,077
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/034,364
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】520489318
【氏名又は名称】キュラセン セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】フォード アンソニー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルガス ガブリエル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA20
4C084NA05
4C084ZA01
4C084ZA02
4C084ZA12
4C084ZA15
4C084ZA36
4C084ZA89
4C084ZC54
4C084ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA05
4C206FA08
4C206FA14
4C206FA18
4C206GA07
4C206GA09
4C206GA22
4C206HA24
4C206JA11
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206ZA01
4C206ZA02
4C206ZA12
4C206ZA15
4C206ZA36
4C206ZA89
4C206ZC54
4C206ZC75
(57)【要約】
様々な態様および実施形態では、患者における認知の改善および/または神経変性疾患の治療を必要とする患者を特定するための、ならびにそのような患者を治療するための、組成物および方法が提供される。より具体的には、いくつかの実施形態における本開示は、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、前記投与すること
を含む、方法。
【請求項2】
患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、β2-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、前記投与すること
を含む、方法。
【請求項3】
認知機能を判定する、ならびに/または前記患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、前記患者に脳画像診断を受けさせることをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
その後、認知機能の任意の改善および/または前記神経変性疾患の治療を判定するために前記患者に脳画像診断を再び受けさせることをさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記脳画像診断が、フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影(FDG-PET)スキャン、磁気共鳴画像診断-動脈スピン標識(MRI-ASL)、または磁気共鳴画像診断-血中酸素濃度依存性コンピュータ断層撮影(MRI-BOLD)である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記β-ARアゴニストが、約30~160μgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記β-ARアゴニストが、約50~160μgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記β-ARアゴニストの前記用量が、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、約0.1~15mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、約5~10mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)の前記用量が、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記β-ARアゴニストが、ツロブテロール、マブテロール、リトドリン、サルメテロール、バンブテロール、ホルモテロール、およびクレンブテロールからなる群から選択される1つ以上である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
その後、クレンブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、前記投与することと
を含む、方法。
【請求項15】
認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
その後、クレンブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、前記投与することと
を含む、方法。
【請求項16】
認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
前記患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、前記投与することと、
その後、認知機能の任意の改善および/または前記神経変性疾患の治療を判定するために前記患者に脳画像診断を再び受けさせることと
を含む、方法。
【請求項17】
認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
前記患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、前記投与することと、
その後、認知機能の任意の改善および/または前記神経変性疾患の治療を判定するために前記患者に脳画像診断を再び受けさせることと
を含む、方法。
【請求項18】
患者における認知機能を判定するために、前記患者に脳画像診断を受けさせることと、
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
クレンブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、前記投与することと、
その後、認知機能の任意の改善を判定するために対象に脳画像診断を再び受けさせることと
を含む、方法。
【請求項19】
患者における認知機能を判定するために、前記患者に脳画像診断を受けさせることと、
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
クレンブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、前記投与することと、
その後、認知機能の任意の改善を判定するために対象に脳画像診断を再び受けさせることと
を含む、方法。
【請求項20】
認知機能を判定する、ならびに/または対象にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、対象に脳画像診断を受けさせることと、
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
その後、ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、前記投与することと
を含む、方法。
【請求項21】
認知機能を判定する、ならびに/または対象にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、対象に脳画像診断を受けさせることと、
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
その後、ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、前記投与することと
を含む、方法。
【請求項22】
認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
前記患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、前記投与することと、
その後、認知機能の任意の改善および/または前記神経変性疾患の治療を判定するために前記患者に脳画像診断を再び受けさせることと
を含む、方法。
【請求項23】
認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
前記患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、前記投与することと、
その後、認知機能の任意の改善および/または前記神経変性疾患の治療を判定するために前記患者に脳画像診断を再び受けさせることと
を含む、方法。
【請求項24】
患者における認知機能を判定するために、前記患者に脳画像診断を受けさせることと、
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、前記投与することと、
その後、認知機能の任意の改善を判定するために前記患者に脳画像診断を再び受けさせることと
を含む、方法。
【請求項25】
患者における認知機能を判定するために、前記患者に脳画像診断を受けさせることと、
脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、前記投与することと、
その後、認知機能の任意の改善を判定するために前記患者に脳画像診断を再び受けさせることと
を含む、方法。
【請求項26】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、ナドロール、アテノロール、ソタロール、およびラベタロールからなる群から選択される1つ以上である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、ナドロールである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ナドロールが、4つのジアステレオマーの混合物である、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
投与されるナドロールが、特定の鏡像異性体的に純粋な異性体である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、アテノロールである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記β2-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)が、各々経口投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記β2-ARアゴニストが、約30~160μgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記β2-ARアゴニストが、約50~160μgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記β2-ARアゴニストの前記用量が、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記β2-ARアゴニストの前記用量が、週用量であり、2週間以上の期間にわたって毎週投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、約0.1~15mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、約5~10mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)の前記用量が、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)の前記用量が、週用量であり、2週間以上の期間にわたって毎週投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記神経変性疾患が、MCI、aMCI、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症;ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群;アルコール性認知症およびチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、およびダウン症候群からなる群から選択される1つ以上である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記神経変性疾患が、MCI、aMCI、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症;ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群;アルコール性認知症およびチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、およびADHD(注意欠陥多動性障害)からなる群から選択される1つ以上である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記患者が、アルツハイマー病を有しない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記患者が、ダウン症候群を有しない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記患者が、パーキンソン病を有しない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記患者が、レビー小体型認知症を有しない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記ツロブテロールが、(R)-ツロブテロールを実質的に含まない(S)-ツロブテロールである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記ツロブテロールが、(S)-ツロブテロールを実質的に含まない(R)-ツロブテロールである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に試験を受けさせることと、
試験結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
その後、β1-ARアゴニスト、β2-ARアゴニスト、末梢作用β遮断薬(PABRA)、またはこれらの任意の組み合わせを含む医薬組成物を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、前記投与することと
を含む、方法。
【請求項49】
認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に試験を受けさせることと、
試験結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
その後、β1-ARアゴニスト、β2-ARアゴニスト、末梢作用β遮断薬(PABRA)、またはこれらの任意の組み合わせを含む医薬組成物を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、前記投与することと
を含む、方法。
【請求項50】
認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に試験を受けさせることと、
試験結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
前記患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、医薬組成物を前記患者に投与することであって、前記医薬組成物が、β1-ARアゴニスト、β2-ARアゴニスト、末梢作用β遮断薬(PABRA)、またはこれらの任意の組み合わせを含み、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、約15mg以下の用量で投与される、前記投与することと、
その後、認知機能の任意の改善および/または前記神経変性疾患の治療を判定するために前記患者に前記試験を再び受けさせることと
を含む、方法。
【請求項51】
認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に試験を受けさせることと、
試験結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
前記患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、医薬組成物を前記患者に投与することであって、前記医薬組成物が、β1-ARアゴニスト、β2-ARアゴニスト、末梢作用β遮断薬(PABRA)、またはこれらの任意の組み合わせを含み、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、治療量以下の用量で投与される、前記投与することと、
その後、認知機能の任意の改善および/または前記神経変性疾患の治療を判定するために前記患者に前記試験に再び受けさせることと
を含む、方法。
【請求項52】
患者における認知機能を判定するために、前記患者に試験を受けさせることと、
試験結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
β1-ARアゴニスト、β2-ARアゴニスト、末梢作用β遮断薬(PABRA)、またはこれらの任意の組み合わせを含む医薬組成物を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、前記投与することと、
その後、認知機能の任意の改善を判定するために前記患者に前記試験に再び受けさせることと
を含む、方法。
【請求項53】
患者における認知機能を判定するために、前記患者に試験を受けさせることと、
試験結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、
β1-ARアゴニスト、β2-ARアゴニスト、末梢作用β遮断薬(PABRA)、またはこれらの任意の組み合わせを含む医薬組成物を前記患者に投与することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、前記投与することと、
その後、認知機能の任意の改善を判定するために前記患者に前記試験に再び受けさせることと
を含む、方法。
【請求項54】
認知機能が低下している、ならびに/または認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいと特定された対象を、β1-ARアゴニスト、β2-ARアゴニスト、末梢作用β遮断薬(PABRA)、またはこれらの任意の組み合わせを含む医薬組成物を前記対象に投与することによって治療することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、前記治療すること
を含む、方法。
【請求項55】
認知機能が低下している、ならびに/または認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいと特定された対象を、β1-ARアゴニスト、β2-ARアゴニスト、末梢作用β遮断薬(PABRA)、またはこれらの任意の組み合わせを含む医薬組成物を前記対象に投与することによって治療することであって、前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、前記治療すること
を含む、方法。
【請求項56】
前記試験が、脳画像診断である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記試験が、フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影(FDG-PET)スキャン、磁気共鳴画像診断-動脈スピン標識(MRI-ASL)、または磁気共鳴画像診断-血中酸素濃度依存性コンピュータ断層撮影(MRI-BOLD)である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記医薬組成物が、β2-ARアゴニストおよびPABRAを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記医薬組成物が、クレンブテロールおよびPABRAを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記医薬組成物が、ツロブテロールおよびPABRAを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記β2-ARアゴニストが、約30~160μgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記β2-ARアゴニストが、約50~160μgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記β2-ARアゴニストが、ツロブテロール、マブテロール、リトドリン、サルメテロール、バンブテロール、ホルモテロール、およびクレンブテロールからなる群から選択される1つ以上である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記β2-ARアゴニストの前記用量が、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記ツロブテロールが、(R)-ツロブテロールを実質的に含まない(S)-ツロブテロールである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記ツロブテロールが、(S)-ツロブテロールを実質的に含まない(R)-ツロブテロールである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記医薬組成物の投与量が、前記試験結果に基づいて調整される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、存在する場合、ナドロール、アテノロール、ソタロール、およびラベタロールからなる群から選択される1つ以上である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、ナドロールである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、アテノロールである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、約0.1~15mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)が、約5~10mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)の前記用量が、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記末梢作用β遮断薬(PABRA)の前記用量が、週用量であり、数週間以上の期間にわたって毎週投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記医薬組成物が、経口投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記神経変性疾患が、MCI、aMCI、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症;ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群;アルコール性認知症およびチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、およびダウン症候群からなる群から選択される1つ以上である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記神経変性疾患が、MCI、aMCI、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症;ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群;アルコール性認知症およびチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、およびADHD(注意欠陥多動性障害)からなる群から選択される1つ以上である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記患者が、アルツハイマー病を有しない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記患者が、ダウン症候群を有しない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記患者が、パーキンソン病を有しない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記患者が、レビー小体型認知症を有しない、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
治療有効量のβ2-ARアゴニストと、
15mg以下の量の末梢作用β遮断薬(PABRA)と
を含む、医薬錠剤。
【請求項83】
治療有効量のβ2-ARアゴニストと、
治療量以下の用量を達成する量の末梢作用β遮断薬(PABRA)と
を含む、医薬錠剤。
【請求項84】
約30~160μgの量のβ2-ARアゴニストと、
15mg以下の量の末梢作用β遮断薬(PABRA)と
を含む、医薬錠剤。
【請求項85】
約30~160μgの量のβ2-ARアゴニストと、
治療量以下の用量の末梢作用β遮断薬(PABRA)と
を含む、医薬錠剤。
【請求項86】
治療有効量のβ2-ARアゴニストと、
治療量以下の用量を達成する量の末梢作用β遮断薬(PABRA)と
を含む、複合製剤。
【請求項87】
約30~160μgの量のβ2-ARアゴニストと、
15mg以下の量の末梢作用β遮断薬(PABRA)と
を含む、複合製剤。
【請求項88】
治療有効量のβ2-ARアゴニストと、
治療量以下の用量を達成する量の末梢作用β遮断薬(PABRA)と
を含む、単一製剤。
【請求項89】
前記PABRAが治療量以下の用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法または組成物。
【請求項90】
前記PABRAの前記用量が、前記薬剤が特定の疾患適応症の治療に有効であるかまたはその治療に承認されている用量と比較して、90%以下、または85%以下、または80%以下、または75%以下、または70%以下、または65%以下、または60%以下、または55%以下、または50%以下、または45%以下、または40%以下、または35%以下、または30%以下、または25%以下、または20%以下、または15%以下、または10%以下、または5%以下、または4%以下、または3%以下、または2.5%以下、または2%以下、または1.5%以下、または1%以下、または0.5%以下である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法または組成物。
【請求項91】
前記PABRAが、治療量以下の用量で投与され、前記治療量以下の用量が、前記薬剤が特定の疾患適応症の治療に承認されている用量と比較して、90%以下、または85%以下、または80%以下、または75%以下、または70%以下、または65%以下、または60%以下、または55%以下、または50%以下、または45%以下、または40%以下、または35%以下、または30%以下、または25%以下、または20%以下、または15%以下、または10%以下、または5%以下、または4%以下、または3%以下、または2.5%以下、または2%以下、または1.5%以下、または1%以下、または0.5%以下である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法または組成物。
【請求項92】
前記β2-ARアゴニストの前記1日当たりの総用量が、約1~300μg、5~200μg、10~180μg、10~40μg、20~50μg、40~80μg、50~100μg、100~200μg、30~160μg、50~160μg、80~160μg、100~160μg、120~160μg、140~160μg、150~170μg、30~140μg、50~140μg、80~140μg、100~140μg、120~140μg、30~120μg、50~120μg、80~120μg、100~120μg、30~100μg、50~100μg、80~100μg、30~80μg、50~80μg、30~50μg、約10μg、約20μg、約25μg、約30μg、約40μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約100μg、約110μg、約120μg、約125μg、約130μg、約140μg、約150μg、または約160μg、約170μg、約175μg、約180μg、約190μg、または約200μgである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法または組成物。
【請求項93】
前記β2-ARアゴニストが、0.5~20mg、または1~10mg、または2~8mg、または約1mg、または約2mg、または約3mg、または約4mg、または約5mg、または約6mg、または約7mg、または約8mg、または約10mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法または組成物。
【請求項94】
前記β2-ARアゴニストが、クレンブテロールであり、前記1日当たりの総用量が、1~300μg、5~200μg、10~180μg、10~40μg、20~50μg、40~80μg、50~100μg、100~200μg、30~160μg、50~160μg、80~160μg、100~160μg、120~160μg、140~160μg、150~170μg、30~140μg、50~140μg、80~140μg、100~140μg、120~140μg、30~120μg、50~120μg、80~120μg、100~120μg、30~100μg、50~100μg、80~100μg、30~80μg、50~80μg、30~50μg、約10μg、約20μg、約25μg、約30μg、約40μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約100μg、約110μg、約120μg、約125μg、約130μg、約140μg、約150μg、または約160μg、約170μg、約175μg、約180μg、約190μg、または約200μgである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法または組成物。
【請求項95】
前記β2-ARアゴニストが、ツロブテロールであり、前記1日当たりの総用量が、0.5~20mg、または1~10mg、または2~8mg、または約1mg、または約2mg、または約3mg、または約4mg、または約5mg、または約6mg、または約7mg、または約8mg、または約10mgである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法または組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月18日に出願された米国特許第62/950,077号および2020年6月3日に出願された米国特許第63/034,364号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張するものであり、両方の内容全体は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本開示は、概して、患者における認知の改善および/または神経変性疾患の治療のための組成物ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
米国特許出願公開第2013/0096126号(特許文献1)には、「神経変性障害による学習もしくは記憶、またはその両方の障害を有する哺乳類において、学習もしくは記憶、またはその両方を強化するための方法であって、β-アドレナリン受容体アゴニスト、部分的アゴニスト、もしくは受容体リガンドである少なくとも1つの化合物またはその塩を、当該哺乳類の学習もしくは記憶、またはその両方を改善するのに有効な量で投与する工程を伴う方法」が開示されている。
【0004】
米国特許出願公開第2014/0235726号(特許文献2)には、「ダウン症候群を有する患者における認知を改善する方法であって、1つ以上のβアドレナリン受容体アゴニストを、文脈学習試験により測定される患者の認知を改善するのに有効な量および頻度で患者に投与することを伴う方法」が開示されている。
【0005】
米国特許出願公開第2016/0184241号(特許文献3)には、「ダウン症候群患者における認知を改善する方法であって、1つ以上のβ-ARアゴニストまたは薬学的に許容される塩のうちのいずれかもしくはその両方を、測定された文脈学習試験として患者の認知を改善するのに有効な量および頻度で患者に鼻腔内投与することを伴う方法」が開示されている。
【0006】
PCT出願公開第2017/115873号(特許文献4)には、「アルツハイマー病(AD)の予防または治療薬であり、化合物番号1~130で表される化合物からなる群より選択される2つ以上の化合物の組み合わせ」が開示されており、「前述の目的を達成するために、本発明者らは、AD患者由来のiPS細胞から分化するように誘導された神経細胞を使用することによって、米国食品医薬品局(FDA)によって承認された1280種類の薬学的化合物からなる既存の薬物ライブラリをスクリーニングし、ADの治療薬候補として神経細胞におけるAβ病態を改善する129種類の化合物(1つの併用薬物を含む)を抽出した」と述べられている。
【0007】
PCT出願公開第2006/108424号(特許文献5)には、「本発明は、さらに、皮膚感作性を有さず、かつβアドレナリン受容体アゴニストの鏡像異性体的に純粋な鏡像異性体を含有する、皮膚学的組成物に関する」と述べられている。
【0008】
PCT出願公開第2018/195473号(特許文献6)は、「シヌクレイン症(例えばパーキンソン病)を有する対象を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、治療有効量のβアドレナリン受容体アゴニストおよび少なくとも1つの治療薬を投与することを含む方法」を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0096126号
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0235726号
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/0184241号
【特許文献4】PCT出願公開第2017/115873号
【特許文献5】PCT出願公開第2006/108424号
【特許文献6】PCT出願公開第2018/195473号
【発明の概要】
【0010】
概要
一態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、方法は、治療有効量のβ-ARアゴニストおよび治療量以下の末梢作用β遮断薬(PABRA)を患者に投与することを含む。一実施形態では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、方法は、治療有効量のβ-ARアゴニストおよび治療量以下の末梢作用β遮断薬(PABRA)を患者に投与することを含む。一実施形態では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、方法は、治療有効量のβ-ARアゴニストおよび治療量以下の末梢作用β遮断薬(PABRA)を患者に投与することを含む。
【0011】
本明細書に提供される方法および組成物のいくつかの実施形態では、PABRAの目的は、特定の疾患適応症または状態を直接治療することではなく、β-ARアゴニストの望ましくない末梢副作用を相殺することである(例えば、PABRAは、心臓効果またはパフォーマンス向上効果などのβ-ARアゴニストの任意の有害作用を低減、制限、または対抗するために投与され得、したがって、濫用の可能性を低減させる)。したがって、いくつかの実施形態では、PABRA用量は、PABRAが特定の疾患を直接治療することが意図されている以前に承認された治療状況および適応症において一般的に使用されるものよりも低い場合がある。本明細書で使用される場合、「治療量以下の用量」という用語は、特定の疾患適応症を治療するために独立して有効である最低用量未満である薬剤の用量を意味する。いくつかの実施形態では、治療量以下の用量は、薬剤が規制当局によって任意の特定の疾患適応症を治療するために独立して承認されている最低用量未満である。いくつかの実施形態では、治療量以下の用量は、薬剤が米国FDAによって任意の特定の疾患適応症を治療するために承認されている最低用量未満である。いくつかの実施形態では、治療量以下の用量は、薬剤が規制当局(US FDAなど)によって任意の特定の疾患適応症を治療するために承認されている最低用量未満である。ある特定の実施形態では、PABRAの治療量以下の用量は、β-ARアゴニストの1つ以上の望ましくない副作用を相殺または対抗するのに十分であるが、用量は、疾患または障害を独立して治療するために一般に投与されるものよりも少ない。例えば、いくつかの実施形態では、治療量以下の用量は、薬剤が特定の疾患適応症の治療に有効であるかまたはその治療に承認されている用量と比較して、90%以下、または85%以下、または80%以下、または75%以下、または70%以下、または65%以下、または60%以下、または55%以下、または50%以下、または45%以下、または40%以下、または35%以下、または30%以下、または25%以下、または20%以下、または15%以下、または10%以下、または5%以下、または4%以下、または3%以下、または2.5%以下、または2%以下、または1.5%以下、または1%以下、または0.5%以下である。ある特定の実施形態では、PABRAの治療量以下の用量は、薬剤が特定の疾患適応症の治療に有効であるかまたはその治療に承認されている用量と比較して、約90%、または約85%、または約80%、または約75%、または約70%、または約65%、または約60%、または約55%、または約50%、または約45%、または約40%、または約35%、または約30%、または25%、または約20%、または約15%、または約10%以下、または約5%、または約4%、または約3%、または約2.5%、または約2%、または約1.5%以下、または約1%、または約0.5%であり得る。例えば、1日1回40mgの用量のPABRAナドロールが高血圧および狭心症の治療のために米国で承認されており、したがって、ある特定の実施形態では、ナドロールの治療量以下の用量は、1日40mg未満の用量であり、例えば、ナドロールの治療量以下の用量は、40mgの1日用量と比較して、90%以下、もしくは85%以下、もしくは80%以下、もしくは75%以下、もしくは70%以下、もしくは65%以下、もしくは60%以下、もしくは55%以下、もしくは50%以下、もしくは45%以下、もしくは40%以下、もしくは35%以下、もしくは30%以下、もしくは25%以下、もしくは20%以下、もしくは15%以下、もしくは10%以下、もしくは5%以下、もしくは4%以下、もしくは3%以下、もしくは2.5%以下、もしくは2%以下、もしくは1.5%以下、もしくは1%以下、もしくは0.5%以下であるか、またはいくつかの実施形態では、ナドロールの治療量以下の用量は、40mgの1日用量の約90%、もしくは約85%、もしくは約80%、もしくは約75%、もしくは約70%、もしくは約65%、もしくは約60%、もしくは約55%、もしくは約50%、もしくは約45%、もしくは約40%、もしくは約35%、もしくは約30%、もしくは25%、もしくは約20%、もしくは約15%、もしくは約10%以下、もしくは約5%、もしくは約4%、もしくは約3%、もしくは約2.5%、もしくは約2%、もしくは約1.5%以下、もしくは約1%、もしくは約0.5%であり得る。いくつかの実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、ナドロールであり、約0.01~15mg、0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~0.5mg、0.2~0.3mg、0.23~0.27mg;0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、5~10mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、約0.01mg、約0.05mg;約0.1mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、または約10mgの1日当たりの総用量で投与される。いくつかの実施形態では、前述のナドロールの用量は、週用量であるか、または週2回用量である。本明細書に記載の方法に使用され得るPABRAの別の例は、アテノロールである。アテノロールは、高血圧、狭心症の予防、狭心症、および心筋梗塞を含む様々な適応症に対して、1日1回25~200mgの範囲の用量で承認されている。したがって、ある特定の実施形態では、アテノロールの治療量以下の用量は、1日25mg未満の用量であり、例えば、アテノロールの治療量以下の用量は、25mgの1日用量と比較して、90%以下、もしくは85%以下、もしくは80%以下、もしくは75%以下、もしくは70%以下、もしくは65%以下、もしくは60%以下、もしくは55%以下、もしくは50%以下、もしくは45%以下、もしくは40%以下、もしくは35%以下、もしくは30%以下、もしくは25%以下、もしくは20%以下、もしくは15%以下、もしくは10%以下、もしくは5%以下、もしくは4%以下、もしくは3%以下、もしくは2.5%以下、もしくは2%以下、もしくは1.5%以下、もしくは1%以下、もしくは0.5%以下であるか、またはいくつかの実施形態では、アテノロールの治療量以下の用量は、25mgの1日用量の約90%、もしくは約85%、もしくは約80%、もしくは約75%、もしくは約70%、もしくは約65%、もしくは約60%、もしくは約55%、もしくは約50%、もしくは約45%、もしくは約40%、もしくは約35%、もしくは約30%、もしくは25%、もしくは約20%、もしくは約15%、もしくは約10%以下、もしくは約5%、もしくは約4%、もしくは約3%、もしくは約2.5%、もしくは約2%、もしくは約1.5%以下、もしくは約1%、もしくは約0.5%であり得る。いくつかの実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、アテノロールであり、約0.01~15mg、0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~0.5mg、0.2~0.3mg、0.23~0.27mg;0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、5~10mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、約0.01mg、約0.05mg;約0.1mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、または約10mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、前述のアテノロールの用量は、週用量であるか、または週2回用量である。
【0012】
ある特定の実施形態では、本明細書で使用されるPABRAは、比較的限定されたCNS(血液脳関門)浸透を有し得、ひいては末梢において優先的に活性であり得る。
【0013】
本明細書に開示される方法および組成物のある特定の実施形態では、β-ARアゴニストは、患者における認知の改善および/または神経変性疾患の治療に治療上有効である用量で投与される。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、約30~160μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、約50~160μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、β-ARアゴニストは、約1~300μg、5~200μg、10~180μg、10~40μg、20~50μg、40~80μg、50~100μg、100~200μg、30~160μg、50~160μg、80~160μg、100~160μg、120~160μg、140~160μg、150~170μg、30~140μg、50~140μg、80~140μg、100~140μg、120~140μg、30~120μg、50~120μg、80~120μg、100~120μg、30~100μg、50~100μg、80~100μg、30~80μg、50~80μg、30~50μg、約10μg、約20μg、約25μg、約30μg、約40μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約100μg、約110μg、約120μg、約125μg、約130μg、約140μg、約150μg、または約160μg、約170μg、約175μg、約180μg、約190μg、または約200μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、150μg~1mg、または200μg~500μg、または約250μg、または約300μg、または約400μg、または約500μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、0.5~20mg、または1~10mg、または2~8mg、または約1mg、または約2mg、または約3mg、または約4mg、または約5mg、または約6mg、または約7mg、または約8mg、または約10mgの用量で投与することができる。本明細書に提供される態様または実施形態のいくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、クレンブテロールであり、用量は、1~300μg、5~200μg、10~180μg、10~40μg、20~50μg、40~80μg、50~100μg、100~200μg、30~160μg、50~160μg、80~160μg、100~160μg、120~160μg、140~160μg、150~170μg、30~140μg、50~140μg、80~140μg、100~140μg、120~140μg、30~120μg、50~120μg、80~120μg、100~120μg、30~100μg、50~100μg、80~100μg、30~80μg、50~80μg、30~50μg、約10μg、約20μg、約25μg、約30μg、約40μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約100μg、約110μg、約120μg、約125μg、約130μg、約140μg、約150μg、または約160μg、約170μg、約175μg、約180μg、約190μg、または約200μgである。本明細書に提供される態様または実施形態のいくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、ツロブテロールであり、用量は、0.5~20mg、または1~10mg、または2~8mg、または約1mg、または約2mg、または約3mg、または約4mg、または約5mg、または約6mg、または約7mg、または約8mg、または約10mgである。いくつかの実施形態では、前述の用量は、1日用量、1日2回用量、週用量、または週2回用量である。
【0014】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される任意の薬剤の用量は、1日当たりの総用量であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される1日当たりの総用量は、1日1回投与することによって達成され、いくつかの実施形態では、1日当たりの総用量は、1日2回投与することによって達成され、さらに他の実施形態では、1日当たりの総用量は、1日3回以上投与することによって達成される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される任意の薬剤の用量は、毎週または週2回投与される用量であり得る。いくつかの実施形態において、治療有効量のβ-ARアゴニストおよび治療量以下の用量の末梢作用β遮断薬(PABRA)は、数週間以上、または3週間以上、または5週間以上、または10週間以上、または20週間以上、または1年以上の期間にわたって投与される。
【0015】
一態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、方法は、治療有効量のβ-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む。いくつかの実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA;例えば、ナドロールまたはアテノロール)は、アテノロールであり、約0.01~15mg、0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~0.5mg、0.2~0.3mg、0.23~0.27mg;0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、5~10mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、約0.01mg、約0.05mg;約0.1mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、または約10mgの用量で投与される。差異的に示されていないいくつかの実施形態において、上述の用量は、1日当たりの総用量である。いくつかにおいて、上述の用量は、週当たりの総用量である。いくつかの実施形態において、治療有効量のβ-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)の用量は、数週間以上の期間にわたって投与される。
【0016】
本明細書に提供される方法は、大脳皮質、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化および/もしくは脳灌流を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、単独で、または磁気共鳴画像診断(MRI)およびCTなどの他の画像診断手法と組み合わせて使用される、フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影(FDG-PET)である。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、磁気共鳴画像診断-動脈スピン標識(MRI-ASL)、もしくは磁気共鳴画像診断-血中酸素濃度依存性コンピュータ断層撮影(MRI-BOLD)であるか、またはこれらを含むことができる。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、例えば、海馬または視床への脳血流を含む脳血流を監視するために使用されるMRI-ASLを含み得る。本明細書に開示される態様および実施形態のいくつかの実施形態では、患者において「認知を改善することおよび/または神経変性疾患を治療すること」は、患者において、認知機能および実行機能を改善すること、脳脊髄(cerebral)液もしくは脳脊髄(cerebrospinal)液(CSF)試料における炎症状態を改善すること、タンパク質負荷を減衰すること(例えば、画像診断もしくはCSF試料に基づいて)、ならびに/または局所的脳代謝状態を改善(低代謝を逆転)もしくは低灌流を改善することを含み得る。本明細書に開示される方法および組成物のある特定の実施形態では、β-ARアゴニストは、患者における認知の改善および/または神経変性疾患の治療に治療上有効である用量で投与される。同様に、ある特定の実施形態では、「認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかまたは望ましい患者を特定すること」は、認知機能および実行機能の改善、脳脊髄液もしくはCSF試料における炎症状態の改善、タンパク質負荷の減衰(例えば、画像診断もしくはCSF試料に基づいて)、ならびに/または局所的脳代謝/灌流状態の改善(低代謝/低灌流の逆転)が必要であるかあるいは望ましい患者を特定することを含み得る。別の態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、大脳皮質、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝もしくは灌流活性化を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、当該患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することと、を含む。同様の態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、大脳皮質、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝もしくは灌流活性化を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、当該患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することと、を含む。
【0017】
方法は、その後、大脳皮質、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化、認知機能における任意の改善、ならびに/または当該神経変性疾患の治療を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、単独で、またはMRIおよびCTなどの他の画像診断手法と組み合わせて使用される、FDG-PETである。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、MRI-ASLもしくはMRI-BOLDであるか、またはこれらを含むことができる。
【0018】
さらに別の態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することと、を含む。関連する態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することと、を含む。方法は、その後、大脳皮質、辺縁系、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝または灌流活性化、認知機能における任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、単独で、またはMRIおよびCTなどの他の画像診断手法と組み合わせて使用される、FDG-PETである。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、MRI-ASLもしくはMRI-BOLDであるか、またはこれらを含むことができる。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、例えば、海馬への脳血流を含む脳血流を監視するために使用されるMRI-ASLを含み得、後続のMRI-ASLにおける脳血流(例えば、海馬への脳血流)の改善は、患者におけるβ-ARアゴニストの効果的な作用および/または改善された認知を示す。
【0019】
いくつかの実施形態では、脳画像診断結果の空間パターンを生成することができる、検出可能な標識が提供される。いくつかの実施形態では、2-[18F]フルオロ-2-デオキシ-D-グルコース(18FDG)をFDG-PETに使用することができ、これは、脳灌流の特徴的な空間パターンを提供することができ、かつ、臨床医が、適切な管理または予測のために、合理的に正確かつ早期の診断をするのを助けることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、血中水分子上で検出可能な標識は、頚部の血液の磁気RF治療によって生成され、これは、脳画像診断結果として脳灌流の空間パターンを生成することができる。いくつかのそのような実施形態では、MRI-ASLが使用され、これは、脳灌流の特徴的な空間パターンを提供することができ、かつ、臨床医が、適切な管理または予測のために、合理的に正確かつ早期の診断をするのを助けることができる。
【0021】
いくつかの態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む。いくつかの関連する態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することを含む。
【0022】
方法は、いくつかの実施形態では、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、単独で、または磁気共鳴画像診断(MRI)およびCTなどの他の画像診断手法と組み合わせて使用される、フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影(FDG-PET)である。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、MRI-ASLもしくはMRI-BOLDであるか、またはこれらを含むことができる。本明細書に開示される態様および実施形態のいくつかの実施形態では、患者において「認知を改善することおよび/または神経変性疾患を治療すること」は、患者において、認知機能および実行機能を改善すること、脳脊髄(cerebral)液もしくは脳脊髄(cerebrospinal)液(CSF)試料における炎症状態を改善すること、タンパク質負荷を減衰すること(例えば、画像診断もしくはCSF試料に基づいて)、ならびに/または局所的脳代謝状態を改善(低代謝を逆転)することを含み得る。同様に、ある特定の実施形態では、「認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかまたは望ましい患者を特定すること」は、認知機能および実行機能の改善、脳脊髄液もしくはCSF試料における炎症状態の改善、タンパク質負荷の減衰(例えば、画像診断もしくはCSF試料に基づいて)、ならびに/または局所的脳代謝状態の改善(低代謝の逆転)が必要であるかあるいは望ましい患者を特定することを含み得る。別の態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、当該患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することと、を含む。関連する態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、当該患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することと、を含む。いくつかの実施形態において、末梢作用β遮断薬(PABRA)を投与して、β-ARアゴニストの任意の有害作用、例えば、パフォーマンス向上効果を低減、制限、または対抗することができ、したがって、濫用の可能性を低減させる。
【0023】
方法は、その後、大脳皮質、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝もしくは灌流活性化、認知機能における任意の改善、ならびに/または当該神経変性疾患の治療を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、単独で、またはMRIおよびCTなどの他の画像診断手法と組み合わせて使用される、FDG-PETである。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、MRI-ASLもしくはMRI-BOLDであるか、またはこれらを含むことができる。さらに別の態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することと、その後、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化、認知機能における任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、を含む。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、単独で、またはMRIおよびCTなどの他の画像診断手法と組み合わせて使用される、FDG-PETである。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、MRI-ASLもしくはMRI-BOLDであるか、またはこれらを含むことができる。いくつかの実施形態では、患者は、アルツハイマー病を有しない。いくつかの実施形態では、患者は、ダウン症候群を有しない。いくつかの実施形態では、患者は、パーキンソン病を有しない。いくつかの実施形態では、患者は、レビー小体型認知症を有しない。
【0024】
いくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、約30~160μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、約50~160μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、β-ARアゴニストは、約30~160μg、50~160μg、80~160μg、100~160μg、120~160μg、140~160μg、30~140μg、50~140μg、80~140μg、100~140μg、120~140μg、30~120μg、50~120μg、80~120μg、100~120μg、30~100μg、50~100μg、80~100μg、30~80μg、50~80μg、30~50μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、100μg、110μg、120μg、130μg、140μg、150μg、または160μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、β-ARアゴニストは、0.5~20mg、または1~10mg、または2~8mg、または約1mg、または約2mg、または約3mg、または約4mg、または約5mg、または約6mg、または約7mg、または約8mg、または約10mgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、上述の用量は、1日当たりの総用量である。いくつかの実施形態において、上述の用量は、週当たりの総用量である。いくつかの実施形態において、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)の用量は、数週間以上の期間にわたって毎週投与される。
【0025】
一態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールおよびナドロールを当該患者に投与することであって、ナドロールが約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む。一態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールおよびナドロールを当該患者に投与することであって、ナドロールが治療量以下の用量で投与される、投与することを含む。方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることをさらに含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、ナドロールは、4つのジアステレオマーの混合物である。いくつかの実施形態において、投与されるナドロールは、特定の鏡像異性体的に純粋な異性体である。
【0027】
いくつかの実施形態では、脳画像診断は、単独で、または磁気共鳴画像診断(MRI)およびCTなどの他の画像診断手法と組み合わせて使用される、フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影(FDG-PET)である。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、MRI-ASLもしくはMRI-BOLDであるか、またはこれらを含むことができる。本明細書に開示される態様および実施形態のいくつかの実施形態では、患者において「認知を改善することおよび/または神経変性疾患を治療すること」は、患者において、認知機能および実行機能を改善すること、脳脊髄(cerebral)液もしくは脳脊髄(cerebrospinal)液(CSF)試料における炎症状態を改善すること、タンパク質負荷を減衰すること(例えば、画像診断もしくはCSF試料に基づいて)、ならびに/または局所的脳代謝状態を改善(低代謝を逆転)することを含み得る。同様に、ある特定の実施形態では、「認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかまたは望ましい患者を特定すること」は、認知機能および実行機能の改善、脳脊髄液もしくはCSF試料における炎症状態の改善、タンパク質負荷の減衰(例えば、画像診断もしくはCSF試料に基づいて)、ならびに/または局所的脳代謝状態の改善(低代謝の逆転)が必要であるかあるいは望ましい患者を特定することを含み得る。別の態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、当該患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールおよびナドロールを当該患者に投与することであって、ナドロールが約15mg以下の用量で投与される、投与することと、を含む。関連する態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、当該患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールおよびナドロールを当該患者に投与することであって、ナドロールが治療量以下の用量で投与される、投与することと、を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、ナドロールは、4つのジアステレオマーの混合物である。いくつかの実施形態において、投与されるナドロールは、特定の鏡像異性体的に純粋な異性体である。
【0029】
方法は、その後、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化、認知機能における任意の改善、ならびに/または当該神経変性疾患の治療を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、単独で、またはMRIおよびCTなどの他の画像診断手法と組み合わせて使用される、FDG-PETである。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、MRI-ASLもしくはMRI-BOLDであるか、またはこれらを含むことができる。さらに別の態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、クレンブテロールおよびナドロールを当該患者に投与することであって、ナドロールが約15mg以下の用量で投与される、投与することと、その後、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化、認知機能における任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、を含む。同様の態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、クレンブテロールおよびナドロールを当該患者に投与することであって、ナドロールが治療量以下の用量で投与される、投与することと、その後、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化、認知機能における任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、を含む。
【0030】
クレンブテロールは、以下の化学構造を有するβアゴニストである。
【0031】
ある特定の実施形態では、本明細書で使用されるクレンブテロールは、ラセミ混合物を指す。他の実施形態では、本明細書で使用されるクレンブテロールは、(R)-クレンブテロール異性体を実質的に含まない(S)-クレンブテロールであり得る。他の実施形態では、本明細書で使用されるクレンブテロールは、(S)-クレンブテロール異性体を実質的に含まない(R)-クレンブテロールであり得る。一態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールおよびPABRAを当該患者に投与することであって、PABRAが約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む。一態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールおよびナドロール(PABRA)を当該患者に投与することであって、ナドロールが約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む。一態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールおよびPABRAを当該患者に投与することであって、PABRAが治療量以下の用量で投与される、投与することを含む。一態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールおよびナドロールを当該患者に投与することであって、ナドロールが治療量以下の用量で投与される、投与することを含む。方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、ナドロールは、約0.01~15mg、0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~0.5mg、0.2~0.3mg、0.23~0.27mg;0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、5~10mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、約0.01mg、約0.05mg;約0.1mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、または約10mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、クレンブテロールは、約30~160μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、クレンブテロールは、約50~160μgまたは80~160μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、上述の用量は、1日当たりの総用量である。いくつかの実施形態において、上述の用量は、週用量である。いくつかの実施形態において、クレンブテロールおよびナドロールの用量は、数週間以上の期間にわたって投与される。いくつかの実施形態において、ナドロールは、4つのジアステレオマーの混合物である。いくつかの実施形態において、投与されるナドロールは、特定の鏡像異性体的に純粋な異性体である。
【0032】
いくつかの実施形態では、脳画像診断は、単独で、または磁気共鳴画像診断(MRI)およびCTなどの他の画像診断手法と組み合わせて使用される、フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影(FDG-PET)である。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、MRI-ASLもしくはMRI-BOLDであるか、またはこれらを含むことができる。本明細書に開示される態様および実施形態のいくつかの実施形態では、患者において「認知を改善することおよび/または神経変性疾患を治療すること」は、患者において、認知機能および実行機能を改善すること、脳脊髄(cerebral)液もしくは脳脊髄(cerebrospinal)液(CSF)試料における炎症状態を改善すること、タンパク質負荷を減衰すること(例えば、画像診断もしくはCSF試料に基づいて)、ならびに/または局所的脳代謝状態を改善(低代謝を逆転)することを含み得る。同様に、ある特定の実施形態では、「認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかまたは望ましい患者を特定すること」は、認知機能および実行機能の改善、脳脊髄液もしくはCSF試料における炎症状態の改善、タンパク質負荷の減衰(例えば、画像診断もしくはCSF試料に基づいて)、ならびに/または局所的脳代謝状態の改善(低代謝の逆転)が必要であるかあるいは望ましい患者を特定することを含み得る。別の態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、当該患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールまたはツロブテロールおよびナドロールを当該患者に投与することであって、ナドロールが約15mg以下の用量で投与される、投与することと、を含む。関連する態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、当該患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールまたはツロブテロールおよびナドロールを当該患者に投与することであって、ナドロールが治療量以下の用量で投与される、投与することと、を含む。
【0033】
方法は、その後、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化、認知機能における任意の改善、ならびに/または当該神経変性疾患の治療を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、単独で、またはMRIおよびCTなどの他の画像診断手法と組み合わせて使用される、FDG-PETである。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、MRI-ASLもしくはMRI-BOLDであるか、またはこれらを含むことができる。さらに別の態様では、ある1つの方法が提供され、この方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、当該患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患の治療するために、クレンブテロールまたはツロブテロールおよびナドロールを当該患者に投与することであって、ナドロールが約15mg以下の用量で投与される、投与することと、その後、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化、認知機能における任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、を含む。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、単独で、またはMRIおよびCTなどの他の画像診断手法と組み合わせて使用される、FDG-PETである。いくつかの実施形態では、脳画像診断は、MRI-ASLもしくはMRI-BOLDであるか、またはこれらを含むことができる。
【0034】
ツロブテロールは、以下の化学構造を有する長時間作用βアゴニストである。
【0035】
ツロブテロールは、経皮吸収パッチとして投与するためのラセミ混合物として日本で市販されている。ある特定の実施形態では、本明細書で使用されるツロブテロールは、ラセミ混合物を指す。他の実施形態では、本明細書で使用されるツロブテロールは、(R)-ツロブテロール異性体を実質的に含まない(S)-ツロブテロールであってもよい。他の実施形態では、本明細書で使用されるツロブテロールは、(S)-ツロブテロール異性体を実質的に含まない(R)-ツロブテロールであってもよい。一態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、ツロブテロールおよびPABRAを当該患者に投与することであって、PABRAが治療量以下の用量で投与される、投与することを含む。一態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、ツロブテロールおよびナドロールを当該患者に投与することであって、ナドロールが約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む。一態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、ツロブテロールおよびPABRAを当該患者に投与することであって、PABRAが治療量以下の用量で投与される、投与することを含む。一態様では、認知機能を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するための方法が提供され、この方法は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、ツロブテロールおよびナドロールを当該患者に投与することであって、ナドロールが治療量以下の用量で投与される、投与することを含む。方法は、前脳、中脳、および脳幹領域における局所的代謝活性化を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、ナドロールは、約0.01~15mg、0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~0.5mg、0.2~0.3mg、0.23~0.27mg;0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、5~10mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、約0.01mg、約0.05mg;約0.1mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、または約10mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、ツロブテロールは、0.5~20mg、または1~10mg、または2~8mg、または約1mg、または約2mg、または約3mg、または約4mg、または約5mg、または約6mg、または約7mg、または約8mg、または約10mgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、上述の用量は、1日当たりの総用量である。いくつかの実施形態において、上述の用量は、週用量である。いくつかの実施形態において、ツロブテロールおよびナドロールの用量は、数週間以上の期間にわたって投与される。いくつかの実施形態において、ナドロールは、4つのジアステレオマーの混合物である。いくつかの実施形態において、投与されるナドロールは、特定の鏡像異性体的に純粋な異性体である。
【0036】
いくつかの態様では、認知機能が低下した、ならびに/または認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいと特定された対象を、この対象にβ-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、末梢作用β遮断薬(PABRA)、またはこれらの任意の組み合わせを含む医薬組成物を投与することによって治療することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、治療の有効性を評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、治療は、対象に試験を受けさせて、改善された認知機能または神経変性疾患の寛解を評価することによって、評価される。いくつかの実施形態では、方法は、医薬組成物の投与量および/または投与時期を調整することによって、医薬組成物の投与を調節することをさらに含む。
【0037】
本明細書に提供される態様または実施形態のいずれかのいくつかの実施形態では、方法または組成物は、β-ARアゴニストおよびPABRAを含む。本明細書に提供される態様または実施形態のいずれかのいくつかの実施形態では、方法または組成物は、β-ARアゴニストおよびPABRAを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、クレンブテロールおよびナドロールを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、クレンブテロールおよびアテノロールを含む。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、約30~160μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、約50~160μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、β-ARアゴニストは、約1~300μg、5~200μg、10~180μg、10~40μg、20~50μg、40~80μg、50~100μg、100~200μg、30~160μg、50~160μg、80~160μg、100~160μg、120~160μg、140~160μg、150~170μg、30~140μg、50~140μg、80~140μg、100~140μg、120~140μg、30~120μg、50~120μg、80~120μg、100~120μg、30~100μg、50~100μg、80~100μg、30~80μg、50~80μg、30~50μg、約10μg、約20μg、約25μg、約30μg、約40μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約100μg、約110μg、約120μg、約125μg、約130μg、約140μg、約150μg、または約160μg、約170μg、約175μg、約180μg、約190μg、または約200μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、150μg~1mg、または200μg~500μg、または約250μg、または約300μg、または約400μg、または約500μgの用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、0.5~20mg、または1~10mg、または2~8mg、または約1mg、または約2mg、または約3mg、または約4mg、または約5mg、または約6mg、または約7mg、または約8mg、または約10mgの用量で投与することができる。本明細書に提供される態様または実施形態のいくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、クレンブテロールであり、用量は、1~300μg、5~200μg、10~180μg、10~40μg、20~50μg、40~80μg、50~100μg、100~200μg、30~160μg、50~160μg、80~160μg、100~160μg、120~160μg、140~160μg、150~170μg、30~140μg、50~140μg、80~140μg、100~140μg、120~140μg、30~120μg、50~120μg、80~120μg、100~120μg、30~100μg、50~100μg、80~100μg、30~80μg、50~80μg、30~50μg、約10μg、約20μg、約25μg、約30μg、約40μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約100μg、約110μg、約120μg、約125μg、約130μg、約140μg、約150μg、または約160μg、約170μg、約175μg、約180μg、約190μg、または約200μgである。本明細書に提供される態様または実施形態のいくつかの実施形態では、β-ARアゴニストは、ツロブテロールであり、用量は、0.5~20mg、または1~10mg、または2~8mg、または約1mg、または約2mg、または約3mg、または約4mg、または約5mg、または約6mg、または約7mg、または約8mg、または約10mgである。いくつかの実施形態において、上述の用量は、1日当たりの総用量である。いくつかの実施形態において、上述の用量は、週当たりの総用量である。いくつかの実施形態において、アゴニストおよびPABRAの用量は、数週間以上の期間にわたって投与される。
【0038】
本明細書で使用される場合、「βアゴニスト」という用語は、βアドレナリン受容体アゴニストまたはβ-ARアゴニストを意味するために使用される。ある特定の実施形態では、βアゴニストという用語は、主にβアゴニストであるが、β-アドレナリン受容体などの他のアドレナリン受容体に対しても何らかの末梢活性化作用を呈し得る化合物を含むものとして理解される。本出願では、「β-アドレナリン受容体アゴニスト」、「β-ARアゴニスト」、「βARアゴニスト」および「βアゴニスト」という用語は、互換的に使用され得る。ある特定の実施形態では、β-ARアゴニストという用語は、選択的アゴニストと部分的アゴニストの両方、ならびにバイアスをかけたアゴニストとバイアスをかけていないアゴニストを明示的に含む。βアドレナリンアゴニストの例としては、例えば、キサモテロール、ノルアドレナリン、イソプレナリン、ドーパミン、およびドブタミン、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩が挙げられる。β-ARの部分的アゴニストおよびリガンドは既知である。さらに、Kolbらの方法論を使用して、ただし代わりにβ-ARについて、当業者は、構造に基づく発見によって新しいリガンドを決定することができる。Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2009,106,6843-648を参照されたい。
【0039】
本明細書で使用される場合、「βアゴニスト」という用語は、β-アドレナリン受容体アゴニストまたはβ-ARアゴニストを意味するために使用される。ある特定の実施形態では、βアゴニストという用語は、主にβアゴニストであるが、β-アドレナリン受容体などの他のアドレナリン受容体に対しても何らかの末梢活性化作用を呈し得る化合物を含むものとして理解される。本出願では、「β-アドレナリン受容体アゴニスト」、「β-ARアゴニスト」、「βARアゴニスト」および「βアゴニスト」という用語は、互換的に使用され得る。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニストという用語は、選択的アゴニストと部分的アゴニストの両方を明示的に含む。本開示の様々な態様および実施形態に従って使用され得るβアゴニストは、短時間作用型、長時間作用型、または超長時間作用型であり得る。使用され得る短時間作用型βアゴニストの例は、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、メシル酸ビトルテロール、オリトドリン、イソプレナリン、サルメファモール、フェノテロール、テルブタリン、アルブテロール、およびイソエタリンである。使用され得る長時間作用型βアゴニストの例は、サルメテロール、バンブテロール、ホルモテロール、およびクレンブテロールである。超長時間作用型βアゴニストの例としては、インダカテロール、ビランテロール、およびオロダテロールが挙げられる。βアゴニストの他の例としては、ツロブテロール、マブテロール、およびリトドリンが挙げられる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「末梢作用β遮断薬(PABRA)」という用語は、βアドレナリン受容体アンタゴニスト、または単にβ、β、もしくは非選択的β遮断薬を意味する。本明細書に開示される方法のある特定の実施形態において使用され得る選択的末梢作用β遮断薬(PABRA)の例としては、ナドロール、アテノロール、ソタロール、およびラベタロールが挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書の方法で使用することができるβ遮断薬は、アセブトロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモロール、メタプロロール、およびネビボロールからなる群から選択される1つ以上であり、他の実施形態では、本方法は、アセブトロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモロール、メタプロロール、またはネビボロールをβ遮断薬として使用しない。末梢作用β遮断薬(PABRA)を使用して、β-ARアゴニストおよび/またはβ-ARアゴニストの任意の有害作用、例えば、パフォーマンス向上効果を低減、制限、または対抗することができ、したがって、濫用のリスクを低減させる。例えば、ナドロールを使用して、クレンブテロールの任意の末梢βアゴニスト効果を低減、制限、または対抗することができる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、定量的用語でプラスまたはマイナス10%を意味する。例えば、「約3%」は、2.7~3.3%を包含し、「約10%」は、9~11%を包含する。さらに、「約」が定量的用語と併せて本明細書で使用される場合、プラスまたはマイナス10%の値に加えて、定量的用語の正確な値も企図され、説明されることを理解されたい。例えば、「約3%」という用語は、正確な3%を、明示的に企図し、説明し、含む。
【0042】
ある特定の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロールの投与の前に患者に投与される。他の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロールの投与と同時に患者に投与される。他の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、単回投与製剤で、単一錠剤で、および/または単一カプセル剤で患者に同時投与される。
【0043】
本明細書に提供される組成物および方法のある特定の実施形態では、1つ以上の末梢作用β遮断薬(PABRA)は、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/もしくはツロブテロールの前に、またはそれと同時に、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/もしくはツロブテロールによる末梢βおよび/もしくはβアドレナリン受容体の活性化作用を阻害または排除するために投与される。様々な実施形態では、治療されるヒトに対する任意の有害作用、例えば、末梢心臓作用を排除するか、または少なくとも最小限に抑えるために、本開示の組成物および方法に従って末梢βおよび/またはβアドレナリン受容体を遮断することが好ましい。
【0044】
本明細書に提供される方法のある特定の実施形態では、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロールは、経口、静脈内、筋肉内、経皮、吸入によって、または鼻腔内投与される。本明細書に提供される方法のある特定の実施形態では、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロールは、経口投与される。
【0045】
本明細書に提供される方法のある特定の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、経口、静脈内、筋肉内、吸入によって、または鼻腔内投与される。本明細書に提供される方法のある特定の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、経口投与される。
【0046】
本明細書に提供される方法のある特定の実施形態では、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロール、ならびに末梢作用β遮断薬(PABRA)は、患者に単一製剤で投与される。いくつかの実施形態では、単一製剤は、錠剤の形態である。いくつかの実施形態において、両方の薬剤(β-ARアゴニストおよびPABRA)は、錠剤中に存在する。いくつかの実施形態において、錠剤は、30~160μgのクレンブテロール、および/または0.1mg~10mgのツロブテロール、ならびに約0.1~15mgの末梢作用β遮断薬(PABRA)を含む。いくつかの実施形態において、錠剤は、30~160μgのクレンブテロール、および/または0.1mg~10mgのツロブテロール、ならびに治療量以下の用量のPABRAを含む。いくつかの実施形態において、錠剤は、約0.5~20mgのβ-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロール、ならびに約0.1~15mgの末梢作用β遮断薬(PABRA)を含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、治療量以下の用量の末梢作用β遮断薬(PABRA)を含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、0.01~15mg、0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~0.5mg、0.2~0.3mg、0.23~0.27mg;0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、5~10mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、約0.01mg、約0.05mg;約0.1mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、または約10mgである量の末梢作用β遮断薬(PABRA)を含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、5mgを1日2回(または1日当たり合計で10mg)と比較して、約90%以下、もしくは85%以下、もしくは80%以下、もしくは75%以下、もしくは70%以下、もしくは65%以下、もしくは60%以下、もしくは55%以下、もしくは50%以下、もしくは45%以下、もしくは40%以下、もしくは35%以下、もしくは30%以下、もしくは25%以下、もしくは20%以下、もしくは15%以下、もしくは10%以下、もしくは5%以下、もしくは4%以下、もしくは3%以下、もしくは2.5%以下、もしくは2%以下、もしくは1.5%以下、もしくは1%以下、もしくは0.5%以下の用量をもたらす量で末梢作用β遮断薬(PABRA、例えば、ナドロールまたはアテノロール)を含むか、またはいくつかの実施形態では、錠剤中のPABRAの治療量以下の用量は、薬剤が特定の疾患適応症の治療に有効であるか、もしくはその治療に承認されている用量と比較して、約90%、もしくは約85%、もしくは約80%、もしくは約75%、もしくは約70%、もしくは6約5%、もしくは約60%、もしくは約55%、もしくは約50%、もしくは約45%、もしくは約40%、もしくは約35%、もしくは約30%、もしくは25%、もしくは約20%、もしくは約15%、もしくは約10%以下、もしくは約5%、もしくは約4%、もしくは約3%、もしくは約2.5%、もしくは約2%、もしくは約1.5%以下、もしくは約1%、もしくは約0.5%であり得る。いくつかの実施形態において、前述の用量を有する錠剤は、毎日投与される。いくつかの実施形態において、前述の用量を有する錠剤は、毎週投与される。いくつかの実施形態では、錠剤は、約5~10mgの量の末梢作用β遮断薬(PABRA)を含む。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロールは、錠剤中に約50~160μgまたは80~160μg存在する。いくつかの実施形態において、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロールは、錠剤中に約30~160μg、50~160μg、80~160μg、100~160μg、120~160μg、140~160μg、30~140μg、50~140μg、80~140μg、100~140μg、120~140μg、30~120μg、50~120μg、80~120μg、100~120μg、30~100μg、50~100μg、80~100μg、30~80μg、50~80μg、30~50μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、100μg、110μg、120μg、130μg、140μg、150μg、または160μg存在する。いくつかの実施形態において、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロールは、錠剤中に0.5~20mg、または1~10mg、または2~8mg、または約1mg、または約2mg、または約3mg、または約4mg、または約5mg、または約6mg、または約7mg、または約8mg、または約10mg存在する。いくつかの実施形態において、上述の用量は、1日当たりの総用量である。いくつかの実施形態において、上述の用量は、週用量である。いくつかの実施形態において、錠剤中のβ-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロール、ならびに末梢作用β遮断薬(PABRA)の用量は、数週間以上の期間にわたって投与される。
【0047】
本明細書に提供される方法のある特定の実施形態では、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロール、ならびに末梢作用β遮断薬(PABRA)は、患者に複合製剤で投与される。いくつかの実施形態において、複合製剤は、約30~160μgのβ-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロール、ならびに15mg以下の末梢作用β遮断薬(PABRA)を含む。いくつかの実施形態において、複合製剤は、約0.5~20mgのβ-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロール、ならびに15mg以下の末梢作用β遮断薬(PABRA)を含む。いくつかの実施形態では、複合製剤は、約0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mgの量の末梢作用β遮断薬(PABRA)を含む。いくつかの実施形態では、複合製剤は、約5~10mgの量の末梢作用β遮断薬(PABRA)を含む。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロールは、複合製剤中に約50~160μgまたは80~160μg存在する。いくつかの実施形態において、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロールは、複合製剤中に約30~160μg、50~160μg、80~160μg、100~160μg、120~160μg、140~160μg、30~140μg、50~140μg、80~140μg、100~140μg、120~140μg、30~120μg、50~120μg、80~120μg、100~120μg、30~100μg、50~100μg、80~100μg、30~80μg、50~80μg、30~50μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、100μg、110μg、120μg、130μg、140μg、150μg、または160μg存在する。いくつかの実施形態では、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロールは、複合製剤中に約0.5~20mg存在する。いくつかの実施形態において、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロールは、複合製剤中に0.5~20mg、または1~10mg、または2~8mg、または約1mg、または約2mg、または約3mg、または約4mg、または約5mg、または約6mg、または約7mg、または約8mg、または約10mg存在する。いくつかの実施形態において、上述の用量は、1日当たりの総用量である。いくつかの実施形態において、複合製剤の用量は、毎週投与され、用量は、週当たりの総用量である。いくつかの実施形態において、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、クレンブテロール、および/またはツロブテロール、ならびに末梢作用β遮断薬(PABRA)の用量は、数週間以上の期間にわたって毎日または毎週投与される。
【0048】
本明細書に提供される方法および組成物のいくつかの実施形態において、クレンブテロールとナドロールの両方は、患者に経口投与される。本明細書に提供される方法のいくつかの実施形態において、クレンブテロールおよびナドロールは、患者に経口投与され、両方の薬剤は、錠剤中に存在する。いくつかの実施形態において、錠剤は、約30~160μgのクレンブテロール、および約0.1~15mgのナドロールを含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、約5~10mgの量のナドロールを含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、約0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mgの量のナドロールを含む。いくつかの実施形態において、ナドロールは、4つのジアステレオマーの混合物である。いくつかの実施形態において、投与されるナドロールは、特定の鏡像異性体的に純粋な異性体である。
【0049】
いくつかの実施形態では、クレンブテロールは、錠剤中に約50~160μgまたは80~160μg存在する。いくつかの実施形態において、クレンブテロールは、錠剤中に約30~160μg、50~160μg、80~160μg、100~160μg、120~160μg、140~160μg、30~140μg、50~140μg、80~140μg、100~140μg、120~140μg、30~120μg、50~120μg、80~120μg、100~120μg、30~100μg、50~100μg、80~100μg、30~80μg、50~80μg、30~50μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、100μg、110μg、120μg、130μg、140μg、150μg、または160μg存在する。いくつかの実施形態において、錠剤は、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与されることが想定されている。いくつかの実施形態において、錠剤は、週当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎週投与されることが想定されている。いくつかの実施形態において、ナドロールは、クレンブテロールの任意の有害作用、例えば、パフォーマンス向上効果を低減、制限、または対抗することができ、これにより濫用の可能性を低減させる。
【0050】
本明細書に提供される方法および組成物のいくつかの実施形態において、ツロブテロールとナドロールの両方は、患者に経口投与される。本明細書に提供される方法のいくつかの実施形態において、ツロブテロールおよびナドロールは、患者に経口投与され、両方の薬剤は、錠剤中に存在する。いくつかの実施形態において、錠剤は、約0.5~20mgのツロブテロール、および約0.1~15mgのナドロールを含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、約0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mgの量のナドロールを含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、約5~10mgの量のナドロールを含む。いくつかの実施形態において、ナドロールは、4つのジアステレオマーの混合物である。いくつかの実施形態において、投与されるナドロールは、特定の鏡像異性体的に純粋な異性体である。いくつかの実施形態では、ツロブテロールは、錠剤中に約0.5~20または2~8mg存在する。いくつかの実施形態において、錠剤は、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与されることが想定されている。いくつかの実施形態において、錠剤は、週当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎週投与されることが想定されている。
【0051】
クレンブテロール、およびある特定の他のβ-アゴニストは、筋肉の構築、運動能力の向上、および/または体重減少を望むアスリートおよび個人による不正な濫用をもたらしている肥大特性および脂肪分解特性の副作用を有する。これらの副作用および濫用傾向は、規制当局の承認(FDA承認など)のハードルとなっており、一定レベルの公衆衛生リスクを生み出している。しかしながら、肥大作用および脂肪分解作用は、大部分が末梢β受容体の活性化によって引き起こされており、したがって、本明細書に開示されるようなPABRAをβ-アゴニストと組み合わせて同時投与することにより、肥大性および脂肪分解性の副作用ならびに濫用傾向を低減、軽減、または排除することができる。特に、β-アゴニストおよびPABRAが、本明細書に記載されるような両方の薬剤を有する単一製剤のみで作製および販売される場合、薬剤を不正使用または濫用しようとする者が、筋肉の構築、運動能力の向上、または体重減少に有効な製品を不正使用することは非常に困難または不可能になるあろう。したがって、いくつかの態様および実施形態では、β-アゴニストおよびPABRAを有する単一製剤(例えば、経口錠剤など)に関与する組成物および方法が提供され、この単一製剤は、認知の改善(CNS作用)に有効であるが、PABRAを有しないβ-アゴニストのみを有する製剤と比較して不正使用/濫用のリスクが低減されている。多くの実施形態では、治療量以下の用量のPABRAは、β-アゴニストの副作用に対抗するのに十分であり、したがって、β-アゴニストおよびPABRAを有する本明細書に記載されるような単一製剤(例えば、経口錠剤)は、治療活性用量のβ-アゴニストおよび治療量以下の用量のPABRAを有し得る。
【0052】
本明細書に提供される態様および実施形態のいくつかの実施形態では、患者は、MCI(軽度認知機能障害)、aMCI(健忘型MCI)、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症;ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群;アルコール性認知症およびチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、アルツハイマー病(AD)、早期AD、およびダウン症候群(DS)からなる群より選択される1つ以上の神経変性疾患を有すると特定される。いくつかの実施形態では、患者は、MCI、aMCI、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症、ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群、アルコール性認知症およびチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、およびADHD(注意欠陥多動性障害)からなる群から選択される1つ以上である、神経変性疾患を有すると特定される。いくつかの実施形態では、患者は、アルツハイマー病(AD)を有しない。いくつかの実施形態では、患者は、ダウン症候群を有しない。いくつかの実施形態では、患者は、パーキンソン病を有しない。いくつかの実施形態では、患者は、レビー小体型認知症を有しない。
【0053】
いくつかの実施形態では、患者は、当該投与の後に認知試験またはモデルを受ける。いくつかの実施形態では、患者は、当該投与の後に認知試験またはモデルを受け、この認知試験またはモデルは、記憶試験;精神状態(mental status)、脳機能、精神状態(mental condition)の診断指標;文脈学習試験および/または脳画像診断である。いくつかの実施形態では、患者は、当該投与の前に認知試験またはモデルを受ける。いくつかの実施形態では、患者は、当該投与の前に認知試験またはモデルを受け、この認知試験またはモデルは、記憶試験;精神状態(mental status)、脳機能、精神状態(mental condition)の診断指標;文脈学習試験および/または脳画像診断である。いくつかの実施形態では、患者は、当該投与の前に記憶試験;精神状態(mental status)、脳機能、精神状態(mental condition)の診断指標;文脈学習試験および/もしくは脳画像診断などの認知試験またはモデルを受け、この認知試験またはモデルを使用して、本明細書に提供される方法および組成物に従って、認知機能の改善および/または神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましい患者を特定する。いくつかの実施形態では、患者は、当該投与の前後に認知試験またはモデルを受ける。いくつかの実施形態では、患者は、当該投与の前後に認知試験またはモデルを受け、この認知試験またはモデルは、記憶試験;精神状態(mental status)、脳機能、精神状態(mental condition)の診断指標;文脈学習試験および/または脳画像診断である。
【0054】
ある特定の実施形態では、患者は、当該投与の後に改善された認知を実証する。いくつかの実施形態では、患者は、患者の認知試験またはモデル;記憶試験;精神状態(mental status)、脳機能、精神状態(mental condition)の診断指標;文脈学習試験;脳画像診断などにおける改善によって実証されるように、改善された認知を実証する。
【0055】
「認知の改善」、「改善された認知」もしくは「認知における改善」とは、個人の認知能力、または記憶などの改善を意味する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、例えば、患者における認知試験、記憶試験、脳画像診断および/または文脈学習試験の改善によって実証されるように、認知の改善をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者における文脈学習試験における改善をもたらし、当該文脈学習試験は、空間的文脈学習試験またはアリゾナ認知試験バッテリー(Arizona Cognitive Test Battery、ACTB)である。
【0056】
いくつかの実施形態では、患者は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、患者は、ヒトである。いくつかの実施形態では、患者は、小児のヒトである。いくつかの実施形態では、患者は、成人のヒトである。本明細書で使用される場合、小児は、約5~20歳のヒトを意味する。本明細書で使用される場合、成人は、約21歳以上のヒトを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の様々な実施形態を例示し、説明とともに本開示の原理を説明および例示する役割を果たす。図面は、例示的な実施形態の主要な特徴を図式的な方式で例示することのみを意図している。
【0058】
図1】患者のベースラインと比較した、単回用量のクレンブテロールおよび/またはナドロールを投与された後の患者における脳血流のグラフを示す。
図2】患者のベースラインと比較した、単回用量のクレンブテロールおよび/またはナドロールを投与された後の患者における脳血流のグラフを示す。
図3】患者のベースラインと比較した、単回用量のクレンブテロールを投与された後の患者および単回用量のピンドロールを投与された後の患者における脳血流のグラフを示す。
図4】患者のベースラインと比較した、様々な量の単回用量のクレンブテロールを投与された後の患者における脳血流のグラフを示す。
図5】患者のベースラインと比較した、様々な量の単回用量のクレンブテロールを投与された後の患者ならびに単回用量のクレンブテロールおよび/またはナドロールを投与された後の患者における脳血流のグラフを示す。
図6】単回用量の160μgのクレンブテロールを投与した後に、脳灌流の全体的増加があることを示す。右側の凡例は、異なる関心領域(ROI)を示す。データは、脳の異なる領域における脳血流のベースラインからの変化としてプロットされている。
図7】関心領域(ROI)としての海馬の灌流MRI-ASL画像を示す。44~52歳の6人の健康な対象を、単回用量の80μgのクレンブテロールを用いて治療した。ベースライン対用量後の対応t検定結果:p=0.019。カラースケールを中央に示し、脳血流の低い値を赤で、高い値を黄色で示す。
図8】研究のコホート5では、クレンブテロールの「推定用量」は、1日目に対象に投与された単回用量の80μgのクレンブテロールの24時間後(推定用量50μg)および48時間後(推定用量30μg)での曝露のPKモデリングから計算された用量当量に基づいたことを示す。
図9】クレンブテロールに応答して改善された適応追跡を示す。
図10】視覚言語学習試験(VVLT)に対するクレンブテロールおよびβ-ARアンタゴニスト/β-AR部分アゴニストの効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
詳細な説明
本開示のある特定の態様および実施形態では、組成物および方法は、患者における認知の改善、脳代謝活性の上昇、および/または炎症制御の改善をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、例えば、患者における認知試験またはモデル;記憶試験;精神状態、脳機能、精神条件の診断指標;文脈学習試験;または同等物の改善によって実証されるような認知の改善をもたらす。そのような認知試験、診断、およびモデルは、当該技術分野で周知である。様々な態様および実施形態では、動物またはヒトのための多くの許容される文脈学習試験のいずれかが、ベースライン認知機能を評価するため、および/または認知機能の改善を測定もしくは定量化するために、使用されることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法は、以下のような1つ以上の試験、診断、およびモデルの改善をもたらし得る。同様に、上昇した脳代謝活性および改善された炎症制御について、ある特定の実施形態では、これらは、FDG-PETを介して、および脳脊髄液(CSF)のサンプリングを介して画像化され得、炎症性サイトカインならびにグリア細胞活性化のマーカーの測定を可能にする。いくつかの実施形態では、磁気共鳴画像診断-動脈スピン標識(MRI-ASL)を神経画像診断に使用することができる。いくつかの実施形態では、磁気共鳴画像診断-血中酸素濃度依存性コンピュータ断層撮影(MRI-BOLD)を神経画像診断に使用することができる。様々な実施形態では、FDG-PETは、単独で、あるいはCTならびに/またはMRI-ASLおよび/もしくはMRI-BOLDを含むMRIと組み合わせて、使用され得る。例えば、FDG-PETおよびMRI-BOLDが使用され得るか、またはFDG-PETおよびMRI-ASLが使用され得る。あるいは、FDG-PET、MRI-BOLD、およびMRI-ASLが使用され得る。あるいは、MRI-BOLDおよびMRI-ASLを含むMRIは、単独で、または組み合わせて、および任意選択的にCTとともに、使用され得る。
【0060】
ヒトモデル/試験
様々な実施形態では、ベースライン認知機能を評価するため、および/またはヒト対象において認知機能の改善を測定もしくは定量化するために、本明細書に開示される組成物および方法と併せて使用され得る、当該技術分野で認識ならびに/もしくは許容されている多くの文脈学習試験が存在する。例えば、使用される文脈学習試験は、シングルタスク学習、マルチタスク学習、または空間的文脈記憶に基づいてもよい。空間的文脈記憶に基づく文脈学習試験評価は、例えば、個人が、ショッピングモール、個人の近所、または市内交通機関もしくは地下鉄システムをどの程度良好にナビゲートできるかを評価する際に、ならびに本明細書に記載の治療方法から生じるこれらのタスクを実行する能力の任意の改善を評価する際に有利であり得る。
【0061】
単純な空間的文脈学習試験の一例は、文脈手がかりであり、この場合、ヒトは、繰り返しの空間構成を使用して、標的探索を容易にすることを学習する。高次空間的文脈学習試験は、系列学習であり、この場合ヒトは、微妙な配列規則性を使用して一連の事象により迅速かつ正確に応答することを学習する。例えば、J.H.Howard Jr.,et al.,Neuropsychology,Vol.18(1),January 2004,124-134を参照されたい。
【0062】
いくつかの実施形態では、認知は、ミニメンタルステート検査(Mini-Mental State Examination、MMSE)および/またはモントリオール認知評価(Montreal Cognitive Assessment、MOCA)を使用して評価され得る。
【0063】
アリゾナ認知試験バッテリー(ACTB)。様々な実施形態で使用され得る試験プロトコルは、アリゾナ認知試験バッテリー(ACTB)である。Edgin,J.,et al.J.Neurodevelop.Disord.(2010)2:149-164を参照されたい。ACTBは、DSにおける認知表現型の評価に特化して開発されており、様々なタスク要求と脳機能との関連を伴う様々な試験が含まれる。より詳細には、試験は、1)KBIT II言語サブスケールおよびKBIT II非言語サブスケールIQ試験などのベンチマーク、2)海馬機能、3)前頭前野機能、4)小脳機能、5)指配列決定タスク、6)NEPSY視覚運動精度、および7)単純反応時間について含まれる。
【0064】
いくつかの実施形態では、認知は、ケンブリッジ神経心理学的試験自動バッテリー(Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery、CANTAB)評価を使用して評価され得る(例えば、Sahakian,et al.,(1988)Brain.111(3):695-718を参照されたい)。注意、視空間作業記憶、エピソード記憶、処理速度、および実行機能などの認知ドメインは、以下を含むCANTABバッテリー試験を使用して評価することができる。
●反応時間(RTI)、
●対連合学習(PAL)、
●言語認識記憶(VRM)即時自由想起、
●迅速な視覚情報処理(RVP)、
●空間作業記憶(SWM)、
●適応追跡、および
●VRM遅延自由想起および強制選択認識
【0065】
ACTBに従って評価されるドメイン/試験、試験の説明、および主要能力の相関を以下に提供する。
【0066】
いくつかの実施形態では、時間的制約の下、試験の実用的な必要性によってバランスされたすべての主要な認知プロセスを評価するために、上述の試験バッテリーをすべて行うことができる。本明細書の認知試験は、ある特定の実施形態では、本明細書の治療を受けている患者において使用されて、患者の認知状態および進行を監視し得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、試験バッテリーは、本明細書に記載される組成物および方法の様々な態様および実施形態の有効性を実証するために、試験群の個人、ならびに対照群の個人で行うことができる。試験群は、本明細書に記載の治療レジメンのうちのいずれかを用いて治療され得、対照群は、鼻腔内投与による5%デキストロース生理食塩水溶液などのプラセボを用いて治療される。
【0068】
本明細書に定義される認知機能の改善は、例えば、ATCBに列挙される試験のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ以上において、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%のスコア改善である。上述のATCBのために列挙されたドメイン/試験のいずれかは、改善が行われたかどうかの評価に含まれもよい。試験は、治療後または治療中に実施して、投与量または治療頻度の変更が必要かどうかを確認することができる。
【0069】
脳画像診断。一般的に、脳病理のベースライン(存在するまたは存在しない)を確立し、そこから治療プロトコルのベースラインも両方確立するために、任意の非侵襲的処置を使用できる。しかしながら、いくつかの実施形態では、磁気共鳴画像診断(MRI)は、脳構造、特に海馬および関連領域の3次元(3D)量の正確な測定を可能にすることから、神経画像診断に好ましい場合がある。そのような技術は、米国特許第6,490,472号に記載されるように周知であり、この特許は、全体が本明細書に組み込まれる。
【0070】
さらに、非侵襲性光学的画像診断システムを、神経病理学的事象を監視するためにも使用することができる。例えば、全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2011/0286932号を参照されたい。本明細書に記載される技術は、Aβペプチドを染色するための蛍光マーカーをヒトに投与し、光学的画像診断システムでDSヒトの網膜を撮像し、染色されたAβペプチドについての画像を検査して、脳病理学(AD脳病理学など)の発症が生じたかどうかを判定することを伴う。
【0071】
ある特定の実施形態では、フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影(FDG-PET)は、本明細書に記載の組成物および方法に従って、認知機能を判定するために、ならびに/または神経変性疾患を特定するために神経画像診断に使用され得る。認知機能を監視する、および/もしくは認知障害もしくは神経変性疾患を診断する、ならびに/または認知機能を改善するために治療が必要であるもしくは望ましい患者を特定するためのFDG-PETの使用に関しては、例えば、Brown et al.,RadioGraphics,(2014)34:684-701およびShivamurthy et al.,AJR,(2015)204:W76-W85に記載され、両方とも参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。様々な実施形態では、FDG-PETは、単独で、あるいはCTならびに/またはMRI-ASLおよび/もしくはMRI-BOLDを含むMRIと組み合わせて、使用され得る。例えば、FDG-PETおよびMRI-BOLDが使用され得るか、またはFDG-PETおよびMRI-ASLが使用され得る。あるいは、FDG-PET、MRI-BOLD、およびMRI-ASLが使用され得る。あるいは、MRI-BOLDおよびMRI-ASLを含むMRIは、単独で、または組み合わせて、および任意選択的にCTとともに、使用され得る。
【0072】
アルツハイマー病
AD脳病理は、近接脳の領域に病変を引き起こす高分解耐性アミロイド線維の蓄積を指す。神経毒性レベルにこれらのアミロイド線維が蓄積することにより、神経線維が破壊され、さらにアルツハイマー型認知症に関連した行動が観察されるようになる。疾患の進行とともに段階的に重症化する観察された行動症状には、語彙の喪失、誤った単語置換(錯語症)、読み書きスキルの喪失、転倒、徘徊、言葉の喪失、無気力、さらには筋肉量の喪失のリスクの増加が含まれることが多い。
【0073】
ダウン症候群
数種のトリソミーマウスモデルの作製によって、DSにおける認知機能障害の神経生物学的根拠の解明が大いに容易になった。マウスモデルの中で、Ts65Dnマウスが最も特徴的である。これは、ヒト21番染色体(HSA21)上の遺伝子とオーソロガスである、16番染色体上の約140マウス遺伝子の追加コピーを有する。神経系異常に潜在的な役割を有するHSA21のほぼすべての遺伝子は、Ts65Dnマウスにも見出される。DSと同様に、Ts65Dnマウスにおいて、海馬の構造および機能の変化、ならびに長期増強(LTP)が誘導されないことが広く報告されている。Ts65Dnマウスは、DS研究において最も広く使用され、ヒトのDSに関する調査のための当該技術分野で許容されるモデルであると考えられる。Olson,L.E.,et al.,Dev.Dyn.2004 July;230(3):581-9。
【0074】
DSは、中枢神経系(CNS)における複数のニューロン集団の変性および機能障害を特徴とする。その中で、海馬体(すなわち文脈学習過程のための主要部位)は、DSの問題となる異常を示す。結果として、文脈学習の不全が、DSを有するヒトには多く認められる。DSにおいて文脈学習の不全の神経生物学的根拠を明らかにするために、海馬体に広く投射される皮質下領域の完全性が調べられている。広範な神経支配を通じて、これらの皮質下領域は、海馬ニューロンに強い修飾的影響を与える。これらの皮質下領域の中で、LCは特に重要である。脳幹内のLCニューロンは、海馬にとって大量のノルエピネフリン(NE)作動性神経終末の唯一の供給源であり、覚醒性、注意、およびナビゲーション記憶において重要な役割を果たす。Ts65DnマウスにおいてLCのNE作動性ニューロンの問題となる加齢変性が認められた。興味深いことに、Ts65DnマウスにおけるLC神経終末の欠損により、これらのマウスにおいて認知機能障害のさらなる悪化をもたらす。同様に、LCニューロンは、DSにおいて広範な加齢変性を受ける。Ts65Dnの認知機能障害におけるNE作動性系機能障害の重要な役割は、L-スレオ-3,4-ジヒドロキシフェニルセリン(L-DOPS)、すなわちNEプロドラッグを用いて、脳でNEレベルが増加すると、Ts65Dnの文脈学習が回復したという事実によって裏付けられている。L-DOPSは、パーキンソン病に関連する原発性自律神経機能不全の治療に対する第III相臨床試験中であるが、FDAによりまだ承認されておらず、特に小児への長期的な効果についてはまだ検討されていない。
【0075】
本明細書に記載の薬剤に関して、「変調する」および「変調」という用語は、応答の上方調節(すなわち、活性化もしくは刺激)または下方調節(すなわち、阻害もしくは抑制)を指す。「変調因子」は、変調する薬剤、化合物、または分子であって、例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、活性剤、刺激剤、抑制剤、または阻害剤であり得る。本明細書で使用される場合の「阻害する」、「低減する」、「除去する」という用語は、発現、活性、または症状における任意の阻害、低減、減少、抑制、下方調節、または予防を示し、活性または症状の部分的または完全な阻害を含む。部分的阻害は、例えば、阻害されていない発現、活性、または症状の95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、もしくは5%未満である、発現、活性、または症状のレベルを示唆し得る。「排除する」または「根絶する」という用語は、活性または症状の完全な低減を示す。
【0076】
本明細書で使用される場合、「障害」または「疾患」という用語は、機能の任意の乱れまたは異常、すなわち、病的な身体的または精神的状態を示す。Dorland’s Illustrated Medical Dictionary,(W.B.Saunders Co.27th ed.1988)を参照されたい。
【0077】
本明細書で使用される場合、一実施形態では、任意の疾患もしくは障害の「治療すること」または「治療」という用語は、疾患または障害を回復させること(すなわち、疾患もしくはその臨床症状のうちの少なくとも1つの発症を遅らせる、停止させるまたは減少させること)を示す。別の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、患者によって識別可能ではない場合があるものを含む、少なくとも1つの身体的パラメータを緩和または寛解することを指す。さらに別の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、疾患もしくは障害を、身体的(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的(例えば、身体的パラメータの安定化)、またはその両方のいずれかで、変調することを指す。さらに別の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、疾患もしくは障害の発病、発症、または進行を予防すること、もしくは遅延させることを指す。
【0078】
いくつかの実施形態では、光学的に純粋な(S)-βアゴニストは、βアゴニストが(R)-βアゴニストを実質的に含まない立体中心を有する範囲で使用される。いくつかの実施形態では、光学的に純粋な(R)-βアゴニストが使用され、これは(S)-βアゴニストを実質的に含まない。「純粋」という用語は、本明細書で使用される場合、それらが本質的に会合しているか、または最初に生成された時もしくは精製前に会合した時に、少なくとも一部または大部分の成分から分離された物質を示す。一般的に、そのような精製は、ヒトの手を介した動作を必要とする。純粋な薬剤は、部分的に精製される、実質的に精製される、または純粋であってよい。そのような薬剤は、例えば、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または99%超純粋でもよい。いくつかの実施形態では、核酸、ポリペプチド、もしくは小分子は、調製物に存在する全核酸、ポリペプチドもしくは小分子材料のそれぞれの少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上を構成するように精製される。いくつかの実施形態では、有機物質、例えば、核酸、ポリペプチド、もしくは小分子は、調製物中に存在する全有機物質の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上を構成するように精製される。純度は、例えば、乾燥重量、クロマトグラフィートレーシング上のピークのサイズ(GC、HPLCなど)、分子存在量、電気泳動法、ゲル上のバンドの強度、分光データ(例えば、NMR)、元素分析、ハイスループットシーケンシング、質量分析、または任意の技術分野で許容される定量法に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、水、緩衝剤、イオン、および/または小分子(例えば、ヌクレオチドもしくはアミノ酸などの合成前駆体)は、任意選択的に、精製調製物中に存在することができる。精製剤は、他の物質(例えば、他の気泡材料)から精製剤を分離することによって、または所望の純度を達成するような方法で生成することによって調製されてよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、企図される方法は、例えば、本明細書に記載の化合物のプロドラッグ、またはその医薬組成物を投与することを含んでもよい。「プロドラッグ」という用語は、開示される化合物、または化合物の薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物を得るためにインビボで形質転換される化合物を指す。形質転換は、様々な場所(例えば、腸管腔内、または腸、血液、もしくは肝臓の輸送時など)における様々な機構によって(例えば、エステラーゼ、アミダーゼ、ホスファターゼ、酸化的および/または還元的代謝などによって)生じ得る。プロドラッグは、当該技術分野において周知である(例えば、Rautio,Kumpulainen,et al.,Nature Reviews Drug Discovery 2008,7,255を参照されたい)。いくつかの実施形態では、プロドラッグ構造は、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,849,134号の開示に従って構築される。
【0080】
例えば、本開示の化合物、または化合物の薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物が、カルボン酸官能基を含有する場合、プロドラッグは、(C1-8)アルキル、(C2-12)アルキルカルボニルオキシメチル、4~9個の炭素原子を有する1-(アルキルカルボニルオキシ)エチル、5~10個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルキルカルボニルオキシ)-エチル、3~6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4~7個の炭素原子を有する1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5~8個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3~9個の炭素原子を有するN-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4~10個の炭素原子を有する1-(N-(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3-フタリジル、4-クロトノラクトニル、ガンマ-ブチロラクトン-4-イル、ジ-N,N-(C1-2)アルキルアミノ-(C2-3)アルキル(β-ジメチルアミノエチルなど)、カルバモイル-(C1-2)アルキル、N,N-ジ(C1-2)アルキルカルバモイル-(C1-2)アルキルおよびピペリジノ-、ピロリジノ-またはモルホリノ(C2-3)アルキルなどの基を有する酸性基の水素原子の置換によって形成されるエステルを含むことができる。
【0081】
同様に、本開示の化合物がアルコール官能基を含有する場合、プロドラッグは、(C1-6)アルキルカルボニルオキシメチル、1-((C1-6)アルキルカルボニルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C1-6)アルキルカルボニルオキシ)エチル、(C1-6)アルコキシカルボニルオキシ)メチル、N--(C1-6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1-6)アルキルカルボニル、α-アミノ(C1-4)アルキルカルボニル、アリールアルキルカルボニルおよびα-アミノアルキルカルボニル、またはα-アミノアルキルカルボニルα-アミノアルキルカルボニルなどの基を有するアルコール基の水素原子の置換によって形成され得、各α-アミノアルキルカルボニル基は、独立して、天然型L-アミノ酸、P(O)(OH)、--P(O)(O(C1-6)アルキル)、またはグリコシル(炭水化物のヘミアセタール型ヒドロキシル基の除去から生じるラジカル)から選択される。
【0082】
本開示の化合物がアミン官能基を組み込む場合、プロドラッグは、例えば、アミドもしくはカルバメート、N-アルキルカルボニルオキシアルキル誘導体、(オキソジオキソレニル)メチル誘導体、N-マンニッヒ塩基、イミンまたはエナミンの作成によって形成されることができる。加えて、二級アミンは、代謝的に切断されて、生体活性一級アミンを生成することができるか、または三級アミンは、代謝的に切断されて、生体活性一級もしくは二級アミンを生成することができる。例えば、Simplicio,et al.,Molecules 2008,13,519およびその中の参照文献を参照されたい。
【0083】
本明細書で使用される場合の「治療有効量」とは、細胞、細胞集団、組織、個体、患者、または同等物に少なくとも1つの望ましい変化を引き起こす、化合物または組成物(本明細書に記載されるような)の量を意味する。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される場合の治療有効量とは、疾患もしくは状態または本明細書に記載の疾患もしくは状態の1つ以上の特徴を予防する、またはそれに臨床的に有意な変化を提供する(例えば、少なくとも約30パーセント、少なくとも約50パーセント、または少なくとも約90パーセント低減させる)、化合物または組成物(本明細書に記載されるような)の量を意味する。いくつかの実施形態では、「治療有効量」という用語は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するのに有効もしくは十分な、本明細書に記載されるような化合物もしくは組成物の量を意味する。それに関連する「頻度」という用語は、患者における認知の改善および/または神経変性疾患の治療の結果を得るために、患者に投与が行われる回数を意味する。
【0084】
診断と治療の評価
様々な態様では、本開示の方法は、診断を行うこと、または別な方法で患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定することを含む。本明細書で示すように、これは、本明細書で示されるようなおよび当該技術分野で周知の様々な方法で行われてもよい。例えば、患者の診断は、脳画像診断によって行われてよい。様々な実施形態では、FDG-PETは、単独で、あるいはCTならびに/またはMRI-ASLおよび/もしくはMRI-BOLDを含むMRIと組み合わせて、使用され得る。例えば、FDG-PETおよびMRI-BOLDが使用され得るか、またはFDG-PETおよびMRI-ASLが使用され得る。あるいは、FDG-PET、MRI-BOLD、およびMRI-ASLが使用され得る。あるいは、MRI-BOLDおよびMRI-ASLを含むMRIは、単独で、または組み合わせて、および任意選択的にCTとともに、使用され得る。
【0085】
治療に好適な患者を特定するとともに、投与されるべき治療の種類およびモードの様々な態様に関して、診断によってさらなる判定が可能になる。例えば、診断に応じて、投与されるべき薬学的活性剤、そのような活性剤の投与量、ならびに投与のタイミングスケジュールに関して判定されてもよい。
【0086】
本開示の方法とともに利用される診断方法は、認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましい患者を診断する、または別な方法で特定するために検出可能な標識を利用してもよい。「標識」(「検出可能な標識」とも称される)という用語は、それを構成しているか、またはそれに結合される実体の検出および、任意選択的に定量化を容易にするいずれかの部分を示す。標識は、生物学的または他の方法を問わず、様々な実体にコンジュゲートされるか、または別な方法で結合されることができる。一般に、標識は、例えば、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、化学的、または他の手段によって検出可能であり得る。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、光学的に検出可能なシグナル(例えば、光の放出/もしくは吸収)を生成し、これは、例えば、視覚的に、または光顕微鏡、分光光度計、蛍光顕微鏡、蛍光試料リーダー、蛍光活性化細胞選別機、カメラ、もしくは光検出器を含む任意の装置などの好適な計装を使用して、検出され得る。様々な実施形態に使用され得る標識としては、例えば、有機材料(有機低分子フルオロフォア(「色素」と称される場合がある)、クエンチャ(例えば、ダーククエンチャ)、ポリマー、蛍光タンパク質を含む);酵素;金属キレート、金属粒子、コロイド金属、金属および半導体ナノ結晶などの無機材料(例えば、量子ドット);天然型または合成ルシフェリンなどの酵素触媒酸化時に発光を示す化合物(例えば、ホタルルシフェリンまたはセレンテラジン、および構造的関連化合物);ハプテン(例えば、ビオチン、ジニトロフェニル、ジゴキシゲニン);放射性原子(例えば、H、14C、32P、33P、35S、125Iなどの放射性同位体)、安定同位体(例えば、13C、H);磁性もしくは常磁性分子または粒子などが挙げられる。蛍光色素としては、例えば、アクリジン色素、BODIPY、クマリン、シアニン色素、ナフタレン(例えば、塩化ダンシル、ダンシルアミド)、キサンテン色素(例えば、フルオレセイン、ローダミン)、および前述のいずれかの誘導体が挙げられる。蛍光染料の例としては、少数を挙げれば、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、Alexa(登録商標)Fluor染料、DyLight(登録商標)Fluor染料、FITC、TAMRA、Oregon Green染料、Texas Redが挙げられる。蛍光タンパク質としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質、サファイア蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、オレンジ蛍光タンパク質、ならびに増強GFP(eGFP)などの蛍光変異形、mCherry、mTomato、mStrawberryなどのmFruits;R-フィコエリトリンなどが挙げられる。標識として有用な酵素としては、例えば、着色、蛍光、または発光物質を産生するために基質上に作用する酵素が挙げられる。例としては、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、およびアルカリホスファターゼが挙げられる。ルシフェラーゼとしては、様々な昆虫(例えば、ホタル、カブトムシ)および海洋生物(例えば、レニラなどのクニダリア(例えば、レニラ・レニホルミス(Renilla reniformis))、ガウシア(例えば、ガウシア・プリンセプス(Gaussia princeps))またはメトリジア(例えば、メトリジア・ロンガ(Metridia longa)、メトリジア・パシフィカ(Metridia pacifica))などのコペポッド)由来のもの、ならびに天然型タンパク質の修飾バージョンが挙げられる。標識または標識された実体を標識するおよび/または検出するための多種多様なシステムが当該技術分野で既知である。多数の検出可能な標識、ならびにそれらの使用、検出、修飾、および/または核酸もしくはタンパク質などの生体分子への組み込みもしくはコンジュゲーション(例えば、共有結合もしくは非共有結合)のための方法は、Life Technologiesのウェブサイト(invitrogen.com/site/us/en/home/References/Molecular-Probes-The-Handbook.html)でオンライン入手可能なIain Johnson,I.,and Spence,M.T.Z.(Eds.),The Molecular Probes(登録商標)Handbook--A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies.11th edition(Life Technologies/Invitrogen Corp.)、およびHermanson,G T.,Bioconjugate Techniques,2nd ed.,Academic Press(2008)に記載されている。多くの標識は、標識が、好都合に、適切な第2の官能基を含む生体分子もしくは他の目的の実体にコンジュゲートされ得るように、反応性官能基に結合または組み込まれる誘導体として利用可能である(この第2の官能基は、生体分子内で天然に存在し得るか、または合成中もしくは合成後に導入され得る)。例えば、活性エステル(例えば、スクシンイミジルエステル)、カルボキシレート、イソチオシアネート、またはヒドラジン基は、アミノ基と反応させることができ、カルボジイミドは、カルボキシル基と反応させることができ、マレイミド、ヨードアセトアミド、または臭化アルキル(例えば、臭化メチル)は、チオール(スルフヒドリル)と反応させることができ、アルキンは、アジドと反応させることができる(銅触媒または銅フリーアジドアルキンシクロアドディションなどのクリック化学反応を介して)。したがって、例えば、フルオロフォアまたはハプテン(ビオチンなど)のN-ヒドロキシコハクシニド(NHS)官能化誘導体は、合成中に核酸に組み込まれるタンパク質中のリジン側鎖またはアミノアリル修飾ヌクレオチド中に存在するものなどの一級アミンと反応することができる。標識は、様々な実施形態では、実体に直接結合され得るか、または例えば、アルキル、アルキレン、アミノアリル、アミノアルキニル、もしくはオリゴエチレングリコールスペーサーもしくは連結基を介して実体に結合され得るもので、それは、例えば、1個と4個、4~8個、8~12個、12~20個の原子もしくはそれ以上の長さを有し得る。標識または標識された実体は、様々な実施形態では、直接検出可能または間接的に検出可能であり得る。標識または標識部分は、直接的に検出可能であってもよい(すなわち、検出可能であるためにさらなる反応もしくは試薬を必要とせず、例えば、フルオロフォアは直接的に検出可能である)、または間接的に検出可能であってもよい(例えば、検出可能である別の実体との反応もしくは結合を通じて検出可能にされ、例えば、ハプテンは、フルオロフォアまたは酵素などのレポーターを含む適切な抗体との反応後に免疫染色によって検出可能であり、酵素は、基質上に作用して直接的に検出可能なシグナルを生成する)。標識または標識された実体の検出に加えて、またはその代わりに、様々な目的のために、標識は使用され得る。例えば、標識を含むか、もしくは標識が結合している物質を分離または精製するために、標識は使用され得る。
【0087】
「標識された」という用語は、本明細書では、実体が検出され得るように、実体(例えば、生物学的もしくは小分子、有機化合物、プローブ、細胞、組織などの分子)が標識を含むか、またはそれと物理的に会合する(例えば、共有結合もしくは非共有結合を介して)ことを示すために使用される。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、測定可能であり、その強度が標識の量に関連する(例えば、標識の量に比例する)シグナルを生成するように選択される。いくつかの実施形態では、2つ以上の異なる標識もしくは標識された実体が、組成物中で使用または存在する。いくつかの実施形態では、標識は互いに区別可能であるように選択されてよい。例えば、それらは、異なる波長の光を吸収または放射してもよい。いくつかの実施形態では、標識は互いに相互作用するように選択されてよい。例えば、第1の標識は、共鳴エネルギー移動(RET)、例えば、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET、一般に蛍光共鳴エネルギー移動とも呼ばれる)におけるように、非放射性双極子カップリングを介してアクセプター分子として機能する第2の標識にエネルギーを伝達するドナー分子であり得る。
【0088】
核画像法は、米国だけで毎年推定1200万~1400万の核医学処置が行われる診断医療の最も重要なツールの1つである。したがって、静的構造的外観に基づいて疾患の存在を判定する放射線学的研究とは対照的に、臓器機能に基づいて医学的問題の原因を判定する研究にとって診断的核画像法は重要である。
【0089】
診断用放射性医薬品および放射性トレーサは、しばしば、抗体、特異的阻害剤、もしくは他の標的特異的リガンドなどの結合部分によって、特異的受容体に選択的に結合することができるように設計または選択される。したがって、これらの標的マーカーは、炎症を起こした組織、腫瘍、機能不全の臓器、またはある特定のタンパク質の発現増加を受ける臓器などの関心領域により迅速に濃縮し得る。したがって、血液循環放射性医薬品は、他のもしくは非病理組織とは異なる程度で、特定の臓器または病理組織で採取される。例えば、高度血管組織(例えば、増殖している腫瘍の)は、放射性医薬品がより濃縮され得る一方、虚血性組織は、周囲の組織よりも放射性医薬品が濃縮され得ない。核画像法は、異なる組織および異なる病理に応じた放射性医薬品の分布が変化するこれらの一般的な現象に依存する。結果として、特定の組織種(例えば、腫瘍組織)は、放射性放出画像法では、他の組織と区別することができる。
【0090】
病理の鑑別診断の過程で使用され得る放射性医薬品は、標的化(認識結合)部分にコンジュゲートされてもよく、後述のように、広範囲の放射性同位体を含む。したがって、そのような放射性医薬品としては、例えば、モノクローナル抗体(高度に特異的な所定の標的に結合する)、フィブリノゲン(血液凝固中にフィブリンに変換される)、グルコース、ならびに他の化学部分および薬剤などの認識部分が挙げられる。一般的に使用される診断用結合放射性医薬品としては、例えば、2-[18F]フルオロ-2-デオキシ-D-グルコース(18FDG)、111In-ペンテトレオチド([111In-DTPA-D-Phe]-オクトレオチド)、L-3-[123I]-ヨード-α-メチル-チロシン(IMT)、O-(2-[18F]フルオロエチル)-L-チロシン(L-[18F]FET)、111In-カプロマブペンデチド(CYT-356、Prostascint)および111In-サツモマブペンデチド(Oncoscint)が挙げられる。
【0091】
核画像法には、陽電子放射断層撮影(PET)および単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)の2つの基本的な技術が広く使用されている。PETは、撮像される対象、例えば患者に配置された診断用放射性医薬品トレーサからの陽電子消滅を通して生成された光子を検出し、ならびに光子エネルギーおよび軌道を分析して患者の断層撮影画像を生成する。SPECTは、ガンマ放射性同位体を有する診断用放射性医薬品トレーサからの光子放射事象のコンピュータ分析によって画像を生成する。PETおよびSPECTの両方は、背景放射線と比較して低信号対ノイズ比および希少性を特徴とする単一光子事象の検出ならびに分析を必要とする。PETおよびSPECT画像品質に対する他の制約としては、データ取得プローブ装置(例えば、光電子増倍管など)の感度、時間および空間分解能、ダイナミックレンジ、応答時間、ならびに計数率特性が挙げられる。
【0092】
高エネルギーγおよび/または低エネルギーγ、βおよび/または陽電子放射線の両方を放射し、それ自体で、もしくは放射性医薬品としての化合物の一部として使用することができる放射性同位体としては、テクネチウム-99m(99mTc)、ガリウム-67(67Ga)、タリウム-201(201Tl)、111インジウム-(111In)、ヨウ素-123(123I)、ヨウ素-125(125I)、ヨウ素-131(131I)、キセノン-133(133Xe)、およびフッ素-18(18F)が挙げられるが、これらに限定されない。99mTc、131I、133Xeを除く、これらすべての同位体は、粒子加速器で生成される。
【0093】
一般的に使用される放射線トレーサの非限定的な例としては、結腸直腸癌に罹患している大腸組織を撮像するためのモノクローナル抗体である99mTc-アルチツモマブ(CEA-Scan(商標))、心筋灌流について対象の心臓を撮像するための99mTc-セスタミビ(Cardiolite(商標))および99mTc-テトロホスミン(Myoview(商標))、前立腺癌に罹患している前立腺組織を撮像するためのモノクローナル抗体である111In-カプロマブペンデチド(ProstaScint(商標))、炎症性および感染性組織を撮像するためのモノクローナル抗体である99mTc-ファノレソマブ(NeutroSpec(商標))、ならびに正常および悪性Bリンパ球の表面上に存在するCD20抗原に対するモノクローナル抗体である90Y/111In-ゼバリン(イブリツモマブチウキセタン)が挙げられる。
【0094】
本実施形態のキットでは、任意の診断用放射性医薬品を利用することができる。本発明のこの文脈において利用することができる例示的な放射性医薬品としては、H-水、H-イヌリン、11C-一酸化炭素、13N-アンモニア、14C-イヌリン、15O--HO、15O--O18F-フルオロデオキシグルコース、18F-フッ化ナトリウム、51Cr-赤血球(RBC)、57Co-ビタミンB12(シアノコバラミン)、58Co-ビタミンB12(シアノコバラミン)、59Fe-シトレート、60Co-ビタミンB12(シアノコバラミン)、67Ga-シトレート、68Ga-シトレート、75Se-セレノメチオニン、81mKr-クリプトン(吸入、経口投与、または注射用)、82Rb、85Sr-ニトレート、90Y/111In-イブリツモマブチウキセタン(90Y/111In-ゼバリン)、99mTc-アルブミンミクロスフェア、99mTc-ジソフェニン、リドフェニン、およびメブロフェニン、99mTc-DMSA、99mTc-DTPA(注射)、99mTc-DTPA(エアロゾル)、99mTc-ECD(エチレンシステート二量体)、99mTc-エキサメタジム(HMPAO)、99mTc-グルコヘプトネート、99mTc-HEDP、99mTc-HMDP、99mTc-HSA、99mTc-MAA、99mTc-MAG.sub.3、99mTc-MDP、99mTc-テトロホスミン(Myoview)、99mTc-セスタミビ(Cardiolite)、99mTc-経口投与剤、99mTc-ペルテクネテート、99mTc-ピロホスフェート、99mTc-RBCインビトロおよびインビボ標識、99mTc-硫黄コロイド、99mTc-テボロキシム、99mTc-白血球、111In-イブリツモマブチウキセタン(111In-ゼバリン)、111In-DTPA、111In-血小板、111In-RBC、111In-白血球、123I-ヒプラン、123I-IMP、123I-mIBG、123I-ヨウ化ナトリウム、124I-ヨウ化ナトリウム、125I-フィブリノゲン、125I-IMP、125I-mIBG、125I-ヨウ化ナトリウム、126I-ヨウ化ナトリウム、130I-ヨウ化ナトリウム、131I-ヒプラン、131I-HSA、131I-MAA、131I-mIBG、131I-ローズベンガル、131I-ヨウ化ナトリウム、127Xe-吸入および注射、133Xe-吸入および注射、197Hg-クロルメロドリン、198Au-コロイド、および201Tl-クロリドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
本明細書に記載の診断方法はまた、特定の治療レジメンの有効性を評価するために利用されてもよい。例えば、認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかまたは望ましいと特定され、治療されている患者は、治療レジメンの有効性を判定するために診断される、あるいはそれ以外の方法で評価され得る。診断または評価は、当該技術分野で周知の任意の方法で行われてよいが、認知機能の改善もしくは疾患の寛解を判定するために、認知試験または脳画像診断が使用されてもよい。実施形態では、認知検査もしくは脳画像診断は、単独でまたは組み合わせて使用されてもよい。脳画像診断が利用される実施形態では、FDG-PETは、単独で、あるいはCTならびに/またはMRI-ASLおよび/もしくはMRI-BOLDを含むMRIと組み合わせて、使用され得る。例えば、FDG-PETおよびMRI-BOLDが使用され得るか、またはFDG-PETおよびMRI-ASLが使用され得る。あるいは、FDG-PET、MRI-BOLD、およびMRI-ASLが使用され得る。あるいは、MRI-BOLDおよびMRI-ASLを含むMRIは、単独で、または組み合わせて、および任意選択的にCTとともに、使用され得る。
【0096】
治療有効性の評価を利用して、患者の治療レジメンを変更することができる。例えば、評価は、投薬、投与時期、および/または医薬組成物の活性を変更するために利用することができる。実施形態では、患者に投与される特定の医薬品の投薬量は、異なる薬剤と組み合わせて投与することよって低減することができる。このようにして、治療は、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、および末梢作用β遮断薬(PABRA)の異なる組み合わせを含むように医薬組成物を変更することによって最適化され得る。また、投与時期に応じて投与量も変更され得る。例えば、医薬組成物の各投与間の期間が短いほど、活性剤の投与量を少なくする必要があり得るが、一方で医薬組成物の各投与間の期間が長いほど、活性剤の投与量を高くする必要があるが、これらのいずれかは、患者の診断または評価によって判定されるように治療レジメンを改善してもよい。
【0097】
一実施形態では、患者は、治療期間中に単回評価されて、治療レジメンを最適化されてもよい。あるいは、患者は、医療専門家の指示に従って治療レジメンを継続的に最適化するために、治療期間中に複数回評価されてもよい。
【0098】
投与量、投与、および医薬製剤
「薬学的に許容される塩」という用語は、ヒトまたは獣医学で一般的に使用され、使用上安全であると判断される酸付加塩を意味する。本開示の例として、例えば、以下の酸:酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンホスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、エジシル酸、フマル酸、ゲンチジン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、イセチオン酸、乳酸、硝酸、リン酸、コハク酸、硫酸、および酒石酸から得られる塩が挙げられるが、これらに限定されない。そのような塩の任意の水和物もまた、この定義に含まれる。したがって、例えば、フマル酸塩およびヘミフマル酸塩は両方とも、それらの水和物とともに、具体的に企図される。例えば、フマル酸塩二水和物が、具体的に挙げられ得る。
【0099】
いくつかの実施形態における医薬製剤は、単位剤形であってもよい。そのような剤形では、製剤は、適切量の活性成分を含有する単位用量に細分化される。単位剤形は、包装製剤であり得、包装は、パケット化錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の粉末などの離散量の製剤を含有する。また、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、もしくはトローチ剤そのものであってもよく、またはこれらのいずれかの適切数が包装された剤形であってもよい。好ましくは、単位剤形は、錠剤である。組成物は、所望される場合、他の適合性のある治療薬も含有することができる。好ましい医薬製剤は、徐放性製剤で本開示の化合物を送達することができる。
【0100】
本開示による結合剤、組成物、または化合物について、剤形は、任意選択的に液体剤形であってもよい。溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤またはポリソルベートなどの乳化剤と適切に混合した水で調製されることができる。分散もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、DMSO、およびアルコールの有無を問わずそれらの混合物で、ならびに油で調製されることができる。通常の保存および使用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐための防腐剤を含有する。好適な製剤の選択および調製のための従来の手順および成分は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(2003-20th edition)および1999年に発行されたThe United States Pharmacopeia:The National Formulary(USP 24 NF19)に記載されている。製剤は、限定されないが、緩衝剤、抗酸化剤、安定剤、担体、希釈剤、およびpH調整用剤を含む、賦形剤を任意選択的に含有する。注射液の使用に好適な医薬品形態としては、滅菌水溶液または分散、および滅菌注射液または分散の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、採用される投与量および濃度ではレシピエントに対して非毒性であって、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液、アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤、防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾール)、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、血清、アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸、グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖塁、二糖塁、および他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖、ナトリウムなどの塩形成性対イオン、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体)、および/またはTWEEN、PLURONICS、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性物質を含む。
【0101】
様々な実施形態では、薬剤の用量は、ヒト患者の体重によって決定され得る。例えば、薬剤の絶対用量は、約0~約5kg(例えば、約0、または約1、または約2、または約3、または約4、または約5kg)の小児のヒト患者に対して約30~160μg;または約6~約8kg(例えば、約6、または約7、または約8kg)の小児のヒト患者に対して約30~160μg;または約9~約13kg(例えば、9、または約10、または約11、または約12、または約13kg)の小児のヒト患者に対して約30~160μg;または約14~約20kg(例えば、約14、または約16、または約18、または約20kg)の小児のヒト患者に対して約30~160μg、または約21~約30kg(例えば、約21、または約23、または約25、または約27、または約30kg)の小児のヒト患者に対して約30~160μg、または約31~約33kg(例えば、約31、または約32、または約33kg)の小児のヒト患者に対して約30~160μg、または約34~約50kg(例えば、約34、または約36、または約38、または約40、または約42、または約44、または約46、または約48、または約50kg)の成人のヒト患者に対して約30~160μg、または約51~約75kg(例えば、約51、または約55、または約60、または約65、または約70、または約75kg)の成人のヒト患者に対して30~160μg、または約114kg超(例えば、約114、または約120、または約130、または約140、または約150kg)の成人のヒト患者に対して約30~160μgである。
【0102】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法による薬剤は、経口、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、鼻腔内、または局所的に投与される。本明細書に記載の薬剤の投与は、独立して、1日1~4回、または週1回もしくは2回、または1か月に1~4回、または1年に1~6回、または2、3、4、もしくは5年毎に1回であり得る。投与は、1日または1か月、2か月、3か月、6か月、1年、2年、3年の期間にわたる場合があり、ヒト患者の寿命にわたる場合さえある。投与量は、単回用量として投与され得るか、または複数回用量に分割され得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、約1~約3回(例えば、1、2または3回)投与される。
【実施例
【0103】
本開示は、本開示の範囲を限定するものではない以下の実施例においてさらに記載される。
【0104】
実施例1:ヒト患者の治療
患者を、FDG-PET脳画像診断を使用してスクリーニングする。MCI、aMCI、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症;ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群;アルコール性認知症およびチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、またはADHD(注意欠陥多動性障害)のうちの1つ以上を有すると診断されたものとして特定する。
【0105】
単回用量のクレンブテロールを、30~160μgの範囲の量で患者に提供した。また、クレンブテロールの任意の有害作用に対抗するために、単回用量のナドロールも一部の患者に5mgの量で投与した。クレンブテロールおよび/またはナドロールの単回用量後3日間にわたって、患者を追跡する。患者は、クレンブテロールおよび/またはナドロールを用いた治療の後、脳血流のベースラインからの堅調な全体的増加を実証した。
【0106】
図1に示すように、第1の患者群に、160μgの量のクレンブテロールの単回用量を投与し、第2の患者群には、160μgの量のクレンブテロールおよび5mgの量のナノドロールの単回用量を投与した。単回用量の治療の前のベースラインと比較して、クレンブテロールは、これらの患者のベースラインと比較して、脳血流(CBF)の堅調な全体的増加をもたらす。クレンブテロールの任意の有害作用に対抗するために、クレンブテロールとともにナドロールも投与した、第2の患者群もまた、これらの患者のベースラインと比較して、脳血流(CBF)の堅調な全体的増加を実証した。
【0107】
図3に示すように、第1の患者群に、160μgの量のクレンブテロールの単回用量を投与し、第2の患者群には、60mgの量のピンドロールの単回用量を投与した。クレンブテロールを用いた治療は、ベースラインと比較して、脳血流の良好な増加を示した。ピンドロールを用いた治療は、ベースラインと比較して、脳血流の減少を示した。
【0108】
図4および5に示すように、ある患者群に、30~160μgの範囲の様々な量のクレンブテロールの単回用量を投与し、別の患者群には、クレンブテロールの任意の有害作用に対抗するために、160μgの量のクレンブテロールおよび5mgの量のナドロールの単回用量を投与した。患者を3日間の過程にわたって追跡した。単回用量の治療の前のベースラインと比較して、30~160μgの範囲の量のクレンブテロールは、これらの患者のベースラインと比較して、脳血流(CBF)の堅調な全体的増加をもたらす。160μgの量のクレンブテロールおよび5mgの量のナドロールの単回用量を投与した患者はまた、ベースラインと比較して、脳血流(CBF)の堅調な全体的増加を示した。
【0109】
いくつかの実施形態では、認知試験および/またはFDG-PET画像診断を使用することができる。いくつかの実施形態では、磁気共鳴画像診断-動脈スピン標識(MRI-ASL)を神経画像診断に使用することができる。いくつかの実施形態では、磁気共鳴画像診断-血中酸素濃度依存性コンピュータ断層撮影(MRI-BOLD)を神経画像診断に使用することができる。
【0110】
実施例2:実質的に遊離したツロブテロール立体異性体の調製
光学的に純粋な(S)-ツロブテロールを、当該技術分野で周知の化学合成方法を使用して、以下のスキームに従って調製する。
【0111】
当業者であれば、HPLCまたはフラッシュクロマトグラフィーなどの日常的な精製技術を利用して、上述の反応から混合物を精製して、(R)-ツロブテロールを実質的に含まない光学的に純粋な(S)-ツロブテロールを得ることができる。あるいは、光学的に純粋な(S)-ツロブテロールは、例えば、特許JP54151935に概説されている手順に従うことによって、または日常的なキラルHPLC分離技術(Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis,2018,70-81)を使用することによって、およびSFC分離技術(Journal of Chromatography A,2014,85-97)を使用することによって、ラセミ混合物から単離することができる。
【0112】
反対に、(S)-ツロブテロールを実質的に含まない光学的に純粋な(R)-ツロブテロールを、上述のスキームに従って調製するが、スキーム中の(R)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジンを(S)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジンに置き換える。また、(S)-ツロブテロールを実質的に含まない光学的に純粋な(R)-ツロブテロールを、上記の方法を使用してラセミ混合物から単離して、光学的に純粋な(S)-ツロブテロールを得ることができる。
【0113】
実施例3:脳灌流
近年のいくつかの研究は、脳灌流の臨床的関連性を実証している(De Vis 2018,Staffaroni 2019)。これらの研究は、脳灌流が年齢とともに減少し、ADの進行と相関しており、脳灌流が高い対象が認知試験においてより良いパフォーマンスを発揮する傾向があるように、認知パフォーマンスと強く相関することを実証する。加えて、AD患者における研究は、急性投与後に灌流が増加した対象が、薬物を用いた治療の6か月後に認知機能が改善した対象と同じ対象であるように、薬物の単回用量後に見られる灌流の増加によってドネペジルの臨床効果を予測することができることを実証した(Tepmongkol 2019)。臨床研究では、健康な対象に20~160μgの範囲のクレンブテロールの用量を投与し、この神経画像診断法が臨床的に関連するCNSシグナルの検出を可能にするかどうかを確認する目的で、投与前後にASL MRIを実施した。ASL MRIを使用した研究からの神経画像データは、単回用量のクレンブテロールの後に脳灌流が増加するという臨床的に関連するシグナルを実証した。具体的には、160μgのクレンブテロールは、特に海馬、視床、および皮質などの領域において、脳灌流の堅調な全体的増加を引き起こし、これらのすべては、神経変性障害の病因に非常に関連している(図6を参照)。
【0114】
神経変性障害に罹患することがよく理解されている海馬に焦点を当てた関心領域(ROI)分析では、単回用量の80μgのクレンブテロールは、灌流の堅調な増加を引き起こす(図7を参照)。単回用量の80μgのクレンブテロールを用いて治療した6人の健康な対象のこのコホートでは、すべての対象が海馬灌流の増加を有し、これは平均25%であった。ASL MRIを使用した研究からの神経画像データは、80および160μgのクレンブテロールの用量が、灌流の堅調な全体的増加を刺激することを実証した。特に、神経変性障害の神経病理に関連すると考えられる脳の領域は、25%の範囲で灌流の有意な改善を実証する(図6および7)。44~52歳の6人の健康な対象における海馬のROI分析は、各対象の脳のこの領域の堅調な増加を実証する(図7)。ASL MRIを実施した他のコホートと合わせると、クレンブテロールの用量と脳灌流との間に明確な用量応答関係が見られる(図8)。30μg未満の用量は、CBFによって測定されるように、脳灌流の有意な増加をもたらさず、40μgの用量は、最小限の増加をもたらし、一方、80および160μgの用量は、脳灌流の全体的増加をもたらし、特に、海馬および視床などの神経変性障害に関連する脳の領域において20%~25%の堅調な増加をもたらす(図8、Bartsch 2015,Leh 2016)。出願者らの仮説は、特にPDおよびADなどの神経変性疾患に一般的に見られる症状に関連する脳の領域において、脳灌流を改善することによって、β-ARアゴニストの投与が、記憶および認知などの臨床的に関連する症状に良好な効果をもたらすであろうというものである。特に認知に関して、本研究からの予備データは、160μgのクレンブテロールの単回用量が、適応追跡および単語想起によって測定されるように、健康な対象における認知を改善することを示唆している。
【0115】
実施例4:臨床的有効性
適応追跡は、視覚運動の協調および覚醒性を測定する。この試験では、対象は、ジョイスティックを使用して小さなドットを移動させ、コンピュータ画面上で連続的に移動する円の中にドットが留まるようにする(Boland 1984)。試験中、対象のドットを円の中に維持する能力に応じて円の速度を調整し、試験が個々の対象に適応していることを確実にする。結果は、160μgのクレンブテロールの単回用量後、対象が小さなドットを移動する円内に維持することができる時間の割合によって測定されるように、適応追跡におけるパフォーマンスが改善することを示唆する(図9を参照)。対象が示す改善は、軽度から中等度のADの治療に臨床的に使用されているアセチルコリンエステラーゼ阻害剤ドネペジルを用いて治療した対象で見られる改善と同じ範囲内である(Groeneveld 2016)。
【0116】
視覚言語学習試験(VVLT)は、学習および記憶についての試験である(de Haas 2009)。対象に、30語を一度に1語ずつ、1秒間、単語間1秒間隔で、合計1分間にわたって画面上に提示する。これを3つの臨床試験で繰り返す。各臨床試験の後、対象に、できるだけ多くの単語を想起するよう求める。第3の臨床試験の後、2.5時間の遅延があり、次いで、対象を、遅延想起について1回試験する。クレンブテロールは、即時想起(臨床試験1、図示せず)および遅延想起(図10を参照)の両方において、VVLTにおけるパフォーマンスを改善した。クレンブテロールの効果は、臨床的に意味のある、約1.5~2語の正しく想起される単語における改善である。これはクロスオーバー研究であったため、パートAを完了した全員に、3つの薬剤およびプラセボを投与した。興味深いことに、この研究で試験したβ-ARアゴニストであるクレンブテロールおよびサルブタモールの両方は、VVLTに対して良好な効果を有した。対照的に、β-ARアンタゴニスト/β-AR部分アゴニストであるピンドロールは、この学習および記憶試験に対して有害効果を有した。
【0117】
本開示の態様および実施形態
一態様では、本開示は、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、ならびに/または脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することをさらに含み得る。
【0118】
別の態様では、本開示は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定して、患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定すること、ならびに/またはその後、認知機能の任意の改善および/もしくは当該神経変性疾患の治療を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることをさらに含み得る。
【0119】
さらに別の態様では、本開示は、患者における認知機能を判定するために、当該患者に脳画像診断を受けさせることと、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することと、その後、認知機能の任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、を含む、方法を提供する。
【0120】
なお別の態様では、本開示は、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、ならびに/または脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することをさらに含み得る。
【0121】
別の態様では、本開示は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定すること、ならびに/またはその後、認知機能の任意の改善および/もしくは当該神経変性疾患の治療を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることをさらに含み得る。
【0122】
別の態様では、本開示は、患者における認知機能を判定するために、当該患者に脳画像診断を受けさせることと、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することと、その後、認知機能の任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、を含む、方法を提供する。
【0123】
別の態様では、本開示は、クレンブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、ならびに/または脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することをさらに含み得る。
【0124】
別の態様では、本開示は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、その後、認知機能の任意の改善および/もしくは当該神経変性疾患の治療を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、をさらに含み得る。
【0125】
別の態様では、本開示は、患者における認知機能を判定するために、当該患者に脳画像診断を受けさせることと、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、クレンブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することと、その後、認知機能の任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、を含む、方法を提供する。
【0126】
別の態様では、本開示は、ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、ならびに/または脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定すること、ならびにその後、ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することをさらに含み得る。
【0127】
別の態様では、本開示は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定すること、ならびに/またはその後、認知機能の任意の改善および/もしくは当該神経変性疾患の治療を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることをさらに含み得る。
【0128】
別の態様では、本開示は、患者における認知機能を判定するために、当該患者に脳画像診断を受けさせることと、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、投与することと、その後、認知機能の任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、を含む、方法を提供する。
【0129】
別の態様では、本開示は、認知機能が低下している、ならびに/または認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいと特定された対象を、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、末梢作用β遮断薬(PABRA)、またはこれらの任意の組み合わせを含む医薬組成物を対象に投与することによって治療することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が約15mg以下の用量で投与される、治療することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、治療の有効性を評価することをさらに含み、治療は、対象に試験を受けさせて、改善された認知機能または神経変性疾患の寛解を評価することによって評価することができる。いくつかの実施形態では、方法は、医薬組成物の投与量および/または投与時期を調整することによって、医薬組成物の投与を調節することをさらに含む。
【0130】
一態様では、本開示は、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、ならびに/または脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することをさらに含み得る。
【0131】
別の態様では、本開示は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定して、患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断に受けさせること、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定すること、ならびに/またはその後、認知機能の任意の改善および/もしくは当該神経変性疾患の治療を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることをさらに含み得る。
【0132】
さらに別の態様では、本開示は、患者における認知機能を判定するために、当該患者に脳画像診断を受けさせることと、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することと、その後、認知機能の任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、を含む、方法を提供する。
【0133】
なお別の態様では、本開示は、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、ならびに/または脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することをさらに含み得る。
【0134】
別の態様では、本開示は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定すること、ならびに/またはその後、認知機能の任意の改善および/もしくは当該神経変性疾患の治療を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることをさらに含み得る。
【0135】
別の態様では、本開示は、患者における認知機能を判定するために、当該患者に脳画像診断を受けさせることと、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することと、その後、認知機能の任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、を含む、方法を提供する。
【0136】
別の態様では、本開示は、クレンブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、ならびに/または脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することをさらに含み得る。
【0137】
別の態様では、本開示は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、クレンブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせることと、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、その後、認知機能の任意の改善および/もしくは当該神経変性疾患の治療を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、をさらに含み得る。
【0138】
別の態様では、本開示は、患者における認知機能を判定するために、当該患者に脳画像診断を受けさせることと、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、クレンブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することと、その後、認知機能の任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、を含む、方法を提供する。
【0139】
別の態様では、本開示は、ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、ならびに/または脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定すること、ならびにその後、ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することをさらに含み得る。
【0140】
別の態様では、本開示は、患者における認知を改善するおよび/または神経変性疾患を治療するために、ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することを含む、方法を提供する。方法は、認知機能を判定する、ならびに/または患者にとって認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいかどうかを特定するために、患者に脳画像診断を受けさせること、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定すること、ならびに/またはその後、認知機能の任意の改善および/もしくは当該神経変性疾患の治療を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることをさらに含み得る。
【0141】
別の態様では、本開示は、患者における認知機能を判定するために、当該患者に脳画像診断を受けさせることと、脳画像診断結果の空間パターンに基づいて神経変性疾患の特定の種類を特定することと、ツロブテロールおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)を当該患者に投与することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、投与することと、その後、認知機能の任意の改善を判定するために当該患者に脳画像診断を再び受けさせることと、を含む、方法を提供する。
【0142】
別の態様では、本開示は、認知機能が低下している、ならびに/または認知機能の改善および/もしくは神経変性疾患の治療が必要であるかもしくは望ましいと特定された対象を、β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、末梢作用β遮断薬(PABRA)、またはこれらの任意の組み合わせを含む医薬組成物を対象に投与することによって治療することであって、末梢作用β遮断薬(PABRA)が治療量以下の用量で投与される、治療することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、治療の有効性を評価することをさらに含み、治療は、対象に試験を受けさせて、改善された認知機能または神経変性疾患の寛解を評価することによって評価することができる。いくつかの実施形態では、方法は、医薬組成物の投与量および/または医薬組成物の投与時期を調整することによって、医薬組成物の投与を調節することをさらに含む。
【0143】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、脳画像診断は、フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影(FDG-PET)スキャン磁気共鳴画像診断-動脈スピン標識(MRI-ASL)、または磁気共鳴画像診断-血中酸素濃度依存性コンピュータ断層撮影(MRI-BOLD)である。
【0144】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該β-ARアゴニストは、約30~160μgの用量で投与される。
【0145】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該β-ARアゴニストは、約50~160μgの用量で投与される。
【0146】
本明細書に記載の開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該β-ARアゴニストは、約30~160μg、50~160μg、80~160μg、100~160μg、120~160μg、140~160μg、30~140μg、50~140μg、80~140μg、100~140μg、120~140μg、30~120μg、50~120μg、80~120μg、100~120μg、30~100μg、50~100μg、80~100μg、30~80μg、50~80μg、30~50μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、100μg、110μg、120μg、130μg、140μg、150μg、または160μgの用量で投与される。
【0147】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該β-ARアゴニストは、約0.5~20mg、または1~10mg、または2~8mg、または約1mg、または約2mg、または約3mg、または約4mg、または約5mg、または約6mg、または約7mg、または約8mg、または約10mgの用量で投与される。
【0148】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述の用量は、β-ARアゴニストの1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される。
【0149】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述の用量は、β-ARアゴニストの週当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎週投与される。
【0150】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該β-ARアゴニストは、ツロブテロール、マブテロール、リトドリン、サルメテロール、バンブテロール、ホルモテロール、およびクレンブテロールからなる群から選択される1つ以上である。
【0151】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該β-ARアゴニストは、クレンブテロールである。
【0152】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該β-ARアゴニストは、ツロブテロールである。
【0153】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該末梢作用β遮断薬(PABRA)は、ナドロールである。
【0154】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、ナドロールは、4つのジアステレオマーの混合物である。
【0155】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、投与されるナドロールは、特定の鏡像異性体的に純粋な異性体である。
【0156】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該末梢作用β遮断薬(PABRA)は、約0.1mg~15mgの用量で投与される。
【0157】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該末梢作用β遮断薬(PABRA)は、約0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、5~10mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mgの用量で投与される。
【0158】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述の用量は、当該末梢作用β遮断薬(PABRA)の1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される。
【0159】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該β-ARアゴニスト、β-ARアゴニスト、および/または末梢作用β遮断薬(PABRA)は、各々経口投与される。
【0160】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該β-ARアゴニストおよび末梢作用β遮断薬(PABRA)は、各々経口投与され、両方の薬剤は、錠剤中に存在する。
【0161】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、クレンブテロールおよびナドロールは、各々経口投与され、両方の薬剤は、錠剤中に存在する。
【0162】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、錠剤は、約30~160μgの量のクレンブテロールと、約15mg以下の量のナドロールと、を含む。
【0163】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、ナドロールは、約0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、5~10mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mgの量で提供される。
【0164】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述のクレンブテロールおよびナドロールの用量は、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される。
【0165】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述のクレンブテロールおよびナドロールの用量は、週用量であり、数週間以上の期間にわたって毎週投与される。
【0166】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、ツロブテロールおよびナドロールは、各々経口投与され、両方の薬剤は、錠剤中に存在する。
【0167】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、錠剤は、0.5~20mg、または1~10mg、または2~8mg、または約1mg、または約2mg、または約3mg、または約4mg、または約5mg、または約6mg、または約7mg、または約8mg、または約10mgの量のツロブテロールと、約15mg以下の量のナドロールと、を含む。
【0168】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、ナドロールは、約0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、5~10mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mgの量で提供される。
【0169】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述のツロブテロールおよびナドロールの用量は、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される。
【0170】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述のツロブテロールおよびナドロールの用量は、週用量であり、数週間以上の期間にわたって毎週投与される。
【0171】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該神経変性疾患は、MCI、aMCI、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症;ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群;アルコール性認知症およびチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、およびダウン症候群から選択される1つ以上である。
【0172】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該神経変性疾患は、MCI、aMCI、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症;ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群;アルコール性認知症およびチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(PD認知症)、およびADHD(注意欠陥多動性障害)から選択される1つ以上である。
【0173】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該患者は、アルツハイマー病を有しない。
【0174】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該患者は、ダウン症候群を有しない。
【0175】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該患者は、パーキンソン病を有しない。
【0176】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該患者は、レビー小体型認知症を有しない。
【0177】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該ツロブテロールは、(R)-ツロブテロールを実質的に含まない(S)-ツロブテロールである。
【0178】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該ツロブテロールは、(S)-ツロブテロールを実質的に含まない(R)-ツロブテロールである。
【0179】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、医薬錠剤は、約30~160μgの量のβ2-ARアゴニストと、約15mg以下の量の末梢作用β遮断薬(PABRA)と、を含んで提供される。
【0180】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β-ARアゴニストは、約50~160μgの量である。
【0181】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β2-ARアゴニストは、約80~160μgの量である。
【0182】
本明細書に記載の開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、当該β2-ARアゴニストは、約30~160μg、50~160μg、80~160μg、100~160μg、120~160μg、140~160μg、30~140μg、50~140μg、80~140μg、100~140μg、120~140μg、30~120μg、50~120μg、80~120μg、100~120μg、30~100μg、50~100μg、80~100μg、30~80μg、50~80μg、30~50μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、100μg、110μg、120μg、130μg、140μg、150μg、または160μgの用量で投与される。
【0183】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述のβ2-ARアゴニストの用量は、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される。
【0184】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述のβ2-ARアゴニストの用量は、毎週のものであり、2週間以上の期間にわたって毎週投与される。
【0185】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、約0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~1mg、0.1~5mg、1~15mg、1~10mg、1~5mg、5~10mg、10mg以下、7mg以下、5mg以下、1mg以下、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mgの量で提供される。
【0186】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、約0.1~15mgの量で提供される。
【0187】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、5~10mgの量で提供される。
【0188】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述の末梢作用β遮断薬(PABRA)の用量は、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される。
【0189】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述の末梢作用β遮断薬(PABRA)の用量は、週用量であり、数週間以上の期間にわたって毎週投与される。
【0190】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β2-ARアゴニストは、クレンブテロールである。
【0191】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β-ARアゴニストは、ツロブテロールである。
【0192】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、ナドロールである。
【0193】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、ナドロールは、4つのジアステレオマーの混合物である。
【0194】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、投与されるナドロールは、特定の鏡像異性体的に純粋な異性体である。
【0195】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、複合製剤は、約30~160μgの量のβ2-ARアゴニストと、15mg以下の量の末梢作用β遮断薬(PABRA)と、を含んで提供される。
【0196】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β2-ARアゴニストは、約50~160μgの量である。
【0197】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β2-ARアゴニストは、約80~160μgの量である。
【0198】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β2-ARアゴニストは、約0.5~20mgの量である。
【0199】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β2-ARアゴニストは、約2~8mgの量である。
【0200】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述のβ2-ARアゴニストの用量は、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される。
【0201】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述のβ2-ARアゴニストの用量は、週用量であり、2週間以上の期間にわたって毎週投与される。
【0202】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、約0.1~15mgの量である。
【0203】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、約5~10mgの量である。
【0204】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述の末梢作用β遮断薬(PABRA)の用量は、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される。
【0205】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β2-ARアゴニストは、クレンブテロールである。
【0206】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β2-ARアゴニストは、ツロブテロールである。
【0207】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、ナドロールである。
【0208】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、ナドロールは、4つのジアステレオマーの混合物である。
【0209】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、投与されるナドロールは、特定の鏡像異性体的に純粋な異性体である。
【0210】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、単一製剤は、約30~160μgの量のβ2-ARアゴニストと、15mg以下の量の末梢作用β遮断薬(PABRA)と、を含んで提供される。
【0211】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β2-ARアゴニストは、約50~160μgの量である。
【0212】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β2-ARアゴニストは、約80~160μgの量である。
【0213】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述のβ2-ARアゴニストの用量は、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される。
【0214】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、約0.1~15mgの量である。
【0215】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、約5~10mgの量である。
【0216】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、上述の末梢作用β遮断薬(PABRA)の用量は、1日当たりの総用量であり、数週間以上の期間にわたって毎日投与される。
【0217】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β2-ARアゴニストは、クレンブテロールである。
【0218】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、β2-ARアゴニストは、ツロブテロールである。
【0219】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、ナドロールである。
【0220】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、ナドロールは、4つのジアステレオマーの混合物である。
【0221】
本明細書に記載の本開示の任意の態様または実施形態の実施形態では、投与されるナドロールは、特定の鏡像異性体的に純粋な異性体である。
【0222】
本開示は、特定の実施形態(そのうちのいくつかは好ましい実施形態である)を参照して特に示され、説明されているが、本明細書に開示されるような本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がその中で行われ得ることが、当業者によって理解されるべきである。
【0223】
本開示において参照されるすべての参照文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本開示の様々な実施形態は、本段落の後の段落(および本出願の最後に提供される実際の特許請求の範囲の前)に列挙される潜在的な特許請求の範囲によって特徴付けられ得る。これらの潜在的な特許請求の範囲は、本出願の明細書の一部を形成する。したがって、以下の潜在的な特許請求の範囲の主題は、本出願または本出願に基づいて優先権を主張する任意の出願に関わる後続の手続きにおいて、実際の特許請求の範囲として提示され得る。そのような潜在的な特許請求の範囲を包含することは、実際の特許請求の範囲が潜在的な特許請求の範囲の主題を網羅しないことを意味すると解釈されるべきではない。したがって、後続の手続きにおいてこれらの潜在的な特許請求の範囲を提示しないという決定は、主題を公衆に供与するものと解釈されるべきではない。
【0224】
上記の本開示の実施形態は、単に例示的であることが意図されており、多数の変形例および修正が当業者には明白であろう。すべてのそのような変形例および修正は、任意の添付の特許請求の範囲に定義されるような本開示の範囲内であることが意図されている。
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【国際調査報告】