(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】カテーテル挿入式光散乱分光法を用いた心臓組織性状診断
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20230215BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20230215BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20230215BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
A61B10/00 E
A61B1/018 515
A61B1/00 500
A61B1/045 614
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537323
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 US2020065648
(87)【国際公開番号】W WO2021127204
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399047002
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ナイトン,ネイサン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒッチコック,ロバート・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】サックス,フランク・ビー
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA21
4C161FF43
(57)【要約】
光散乱分光法を用いて組織を性状診断するためのデバイス、システム、および方法が開示される。組織性状診断プローブは、近位端と、遠位端における複数の遠位プローブ先端と、を有する細長い部材を含む。複数の照明ファイバは、各遠位プローブ先端が少なくとも1つの照明ファイバを含むように、細長い部材を通って遠位プローブ先端まで延びる。複数の検出ファイバは、各プローブ先端が少なくとも1つの検出ファイバを含むように、やはり細長い部材を通って延びる。開示されたデバイスおよびシステムは、100μmよりも大きい深度以内で組織の性状診断を有益に可能にする。開示されたデバイスおよびシステムは、心臓の心筋層などの異方性組織の有効な性状診断も可能にする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端および遠位端を有する細長い部材と、
マルチアーム装置を形成するように前記細長い部材の前記遠位端にまたはその近くに配設された複数の遠位プローブ先端と、
前記細長い部材を通って少なくとも部分的に延びる複数の照明ファイバであって、各プローブ先端が少なくとも1つの照明ファイバを含むように、各照明ファイバは、前記マルチアーム装置のそれぞれのプローブ先端まで延びる、複数の照明ファイバと、
前記細長い部材を通って少なくとも部分的に延びる複数の検出ファイバであって、各プローブ先端が少なくとも1つの検出ファイバを含むように、各検出ファイバは、前記マルチアーム装置のそれぞれのプローブ先端まで延びる、複数の検出ファイバと、を備える、組織性状診断プローブ。
【請求項2】
請求項1に記載の組織性状診断プローブであって、カテーテルの内腔またはワーキングチャネル、ガイド可能カテーテル、操縦可能シース、あるいは内視鏡のワーキングチャネルを通って導入されるように構成され、カテーテル、シース、またはワーキングチャネルの先端を越えて延びる、組織性状診断プローブ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組織性状診断プローブと、
前記照明ファイバに動作可能に結合された光源と、
前記検出ファイバに動作可能に結合された1つまたは複数の分光計と、
を備える、組織性状診断システム。
【請求項4】
請求項3に記載の組織性状診断システムであって、約100μmよりも大きい深度以内で、例えば、約1mmまで、または約1.5mmまで、または約2mmまで、または約2.5mmまで、または約3mmまで、または約3.5mmまで、または約4mmまで、または約5mmまで、または約7.5mmまで、または約10mmまで、または約15mmまで、または約20mmまで、または約25mmまで、または約30mmまで組織を性状診断するように構成される、組織性状診断システム。
【請求項5】
請求項3に記載の組織性状診断システムであって、適宜、測定されたスペクトルに対する前記プローブ先端の回転の影響を減少させるように、心臓組織などの構造的異方性組織を性状診断するように構成される、組織性状診断システム。
【請求項6】
近位端および遠位端を有する細長い部材と、
前記細長い部材の前記遠位端に配設された遠位プローブ先端と、
前記細長い部材を通って前記プローブ先端まで少なくとも部分的に延び、構成され、照射軸を定める照明ファイバと、
前記細長い部材を通って前記プローブ先端まで少なくとも部分的に延び、標的組織から散乱される光を受け取るように構成される複数の検出ファイバと、
を備える組織性状診断プローブであって、
検出ファイバの第1のセットは、第1の検出線に沿って実質的に配設され、前記第1の検出線は、前記照射軸に直交し、
検出ファイバの第2のセットは、第2の検出線に沿って実質的に配設され、前記第2の検出線は、前記照射軸に直交し、前記第1の検出線を横断する、組織性状診断プローブ。
【請求項7】
請求項6に記載の組織性状診断プローブであって、カテーテルの内腔またはワーキングチャネル、案内可能カテーテル、操縦可能シース、あるいは内視鏡のワーキングチャネルを通って導入されるように構成され、カテーテル、シース、またはワーキングチャネルの先端を越えて延びる、組織性状診断プローブ。
【請求項8】
請求項6に記載の組織性状診断プローブであって、各検出ファイバは、そのそれぞれの検出線から約30度以下、または約25度以下、または約20度以下、または約15度以下、または約10度以下、または約5度以下だけ半径方向にずれている、組織性状診断プローブ。
【請求項9】
請求項6に記載の組織性状診断プローブであって、前記第1の検出線および第2の検出線は、約30°から約150°、または約45°から約135°、または約60°から約120°、または約75°から約105°の横断角度を形成するように前記照射軸で互いに交わる、組織性状診断プローブ。
【請求項10】
請求項6に記載の組織性状診断プローブであって、前記第2の検出線は、前記第1の検出線に直交している、組織性状診断プローブ。
【請求項11】
請求項6に記載の組織性状診断プローブであって、前記検出ファイバの第1のセットは、少なくとも2つの検出ファイバを含む、組織性状診断プローブ。
【請求項12】
請求項6に記載の組織性状診断プローブであって、前記検出ファイバの第2のセットは、少なくとも2つの検出ファイバを含む、組織性状診断プローブ。
【請求項13】
請求項6に記載の組織性状診断プローブであって、前記検出ファイバの第1のセット、前記検出ファイバの第2のセット、または両方は、前記照明ファイバにほぼ隣接している、組織性状診断プローブ。
【請求項14】
請求項6に記載の組織性状診断プローブであって、前記検出ファイバは、前記照明ファイバから離して間隔をおいて配置される、組織性状診断プローブ。
【請求項15】
請求項14に記載の組織性状診断プローブであって、前記検出ファイバは、互いから離して間隔をおいて配置される、組織性状診断プローブ。
【請求項16】
請求項6に記載の組織性状診断プローブであって、前記細長い部材を通って前記プローブ先端まで少なくとも部分的に延び、前記プローブ先端の曲げ剛性を増大させるように構成されるサポートワイヤをさらに備える、組織性状診断プローブ。
【請求項17】
請求項6に記載の組織性状診断プローブであって、前記細長い部材を通って前記プローブ先端まで少なくとも部分的に延び、前記プローブ先端の前記遠位端に曲がりを形成するように構成されるサポートワイヤをさらに備える、組織性状診断プローブ。
【請求項18】
請求項16に記載の組織性状診断プローブであって、前記サポートワイヤは、四角形の断面形状を有する、組織性状診断プローブ。
【請求項19】
請求項18に記載の組織性状診断プローブであって、前記サポートワイヤは、長方形の断面形状を有する、組織性状診断プローブ。
【請求項20】
請求項6に記載の組織性状診断プローブであって、前記組織性状診断プローブ、または複数のそのような組織性状診断プローブは、請求項1または2に記載のマルチアーム組織性状診断プローブに組み込まれる、組織性状診断プローブ。
【請求項21】
請求項1から2または6から20のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブであって、標的組織の微細構造イメージングを与えるように構成されたイメージングアセンブリ、三次元解剖学的ワーキングスペース内の遠位先端の位置情報を与えるように構成された位置同定アセンブリ、および/または標的組織を治療するために前記遠位先端に配設された1つまたは複数の処置コンポーネントを有する処置アセンブリのうちの1つまたは複数をさらに備える、組織性状診断プローブ。
【請求項22】
請求項21に記載の組織性状診断プローブであって、前記位置同定アセンブリは、前記遠位先端の位置同定のための手段を与えるように1つまたは複数の電極コンポーネント、磁気コンポーネント、光学コンポーネント、または他の位置同定コンポーネントを備える、組織性状診断プローブ。
【請求項23】
請求項6から20のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブと、
前記照明ファイバに動作可能に結合された光源と、
前記検出ファイバに動作可能に結合された1つまたは複数の分光計と、
を備える組織性状診断システム。
【請求項24】
請求項23に記載の組織性状診断システムであって、前記プローブは、約100μmよりも大きい深度以内で、例えば、約1mmまで、または約1.5mmまで、または約2mmまで、または約2.5mmまで、または約3mmまで、または約3.5mmまで、または約4mmまで、または約5mmまで、または約7.5mmまで、または約10mmまで、または約15mmまで、または約20mmまで、または約25mmまで、または約30mmまで組織を性状診断するように構成される、組織性状診断システム。
【請求項25】
組織性状診断システムを用意するステップと、
遠位プローブ先端を、標的とした解剖学的位置へ向けるステップと、
前記標的とした解剖学的位置で、約100μmよりも大きい深度以内で、例えば、約1mmまで、または約1.5mmまで、または約2mmまで、または約2.5mmまで、または約3mmまで、または約3.5mmまで、または約4mmまで、または約5mmまで、または約7.5mmまで、または約10mmまで、または約15mmまで、または約20mmまで、または約25mmまで、または約30mmまでスペクトルを得るように組織性状診断プローブを動作させるステップと、
前記スペクトルを分解して標的組織を性状診断するステップと、
を含む、組織を性状診断する方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記標的組織は、心臓組織である、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、前記標的とした解剖学的位置は、血を含んでいる鼓動する心臓である、方法。
【請求項28】
請求項25から27のいずれか一項に記載の方法であって、前記組織性状診断システムは、請求項3から5または23から24のいずれか一項に記載のシステムである、方法。
【請求項29】
請求項25に記載の方法であって、前記標的組織を性状診断するステップは、線維化、同種移植の受容または拒絶、心筋炎、アミロイドーシス、肥大、あるいは核密度のうちの1つまたは複数を検出、測定、または監視することを含む、方法。
【請求項30】
請求項25に記載の方法であって、前記標的組織を性状診断するステップは、前記標的組織の構成要素の体積分率、および/または心臓内の前記標的組織の構成要素の空間分布を決定することを含む、方法。
【請求項31】
請求項25に記載の方法であって、
複数の目標位置で組織を性状診断するステップ、および前記性状診断を受けた組織の1つまたは複数のデータ点を得るステップと、
データ取得の位置ごとに、三次元解剖学的ワーキングスペース内のプローブ先端の位置を決定するステップと、
各データ点を前記解剖学的ワーキングスペース内のその対応する決定された位置と関連付けるステップと、
前記データ点およびそれらの対応する位置に基づいて、組織微細構造の三次元マップを生成するステップと、をさらに含む方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記三次元マップは、線維化マップである、方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、前記複数の目標位置で組織を性状診断するステップは、前記複数の目標位置で同時の組織の性状診断を含む、方法。
【請求項34】
請求項25に記載の方法であって、スペクトルを分解して前記標的組織を性状診断する前記ステップは、教師なし機械学習法を利用することを含む、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、前記教師なし機械学習法は、クラスタ分析を含む、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、前記クラスタ分析は、主成分分析(PCA)によるスペクトルの次元削減を含む、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、前記クラスタ分析は、前記スペクトルの少なくとも第1および第2の主成分からの類似性を測定するステップを含む、方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法であって、前記スペクトルの少なくとも前記第1および第2の主成分からの類似性は、ユークリッド距離に基づく、方法。
【請求項39】
請求項25に記載の方法であって、スペクトルを分解して前記標的組織を性状診断する前記ステップは、教師あり機械学習法を利用することを含む、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、前記教師あり機械学習法は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含む、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、前記CNNは、組織内の散乱の事前測定のセットからのデータを用いて訓練および試験される、方法。
【請求項42】
請求項40に記載の方法であって、前記CNNの訓練のためのバッチサイズは、50から300まで変わる、方法。
【請求項43】
請求項40に記載の方法であって、前記CNNの学習率は、0.0001から0.015まで変わる、方法。
【請求項44】
請求項40に記載の方法であって、前記CNNの畳み込みフィルタのカーネルサイズは、5から40まで変わる、方法。
【請求項45】
請求項40に記載の方法であって、前記CNNは、特定の波長範囲内のスペクトルから訓練され、および/または減少したサンプリングで訓練される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、「Cardiac Tissue Characterization Using Catheterized Light Scattering Spectroscopy」と題し、2019年12月17日に出願した米国仮特許出願第62/949,290号の優先権および利益を主張するものであり、その全体は、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
[0002]本発明は、アメリカ国立衛生研究所により授与された助成番号HL128813およびHL135077による政府の支援を用いてなされたものである。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
[0003]心臓病は、社会にかなり大きい疾病負荷をもたらす。異常な心臓組織微細構造としては、しばしば、心臓病に関連している。微細構造的な異常に関連している心臓病は、同種移植拒絶、心筋炎、アミロイドーシス、肥大、および他の心筋症を含む。
【0004】
[0004]ある特定タイプのこの再造形は、線維化であり、線維化は、代謝ストレス、血行力学的ストレス、および虚血性ストレスに対する不適応反応として生じる。線維化は、詳細には、細胞外マトリックス、線維芽細胞、および線維芽細胞を含む結合組織の過度の形成として定義される。線維化の発展中、コラーゲン-1およびフィブロネクチン-1を含む細胞外マトリックスたんぱく質は、過度に生産され、心房組織中に放出される。線維化は、心臓組織の機械的特性をかなり変える。影響の1つは、例えば、壁厚方向ストレインおよび駆出率によって定量化されるように、線維化が心筋の力学的機能を減少させることである。
【0005】
[0005]線維化に関連している心臓病の重要な例は、心筋梗塞、および心房細動(AF)である。心筋梗塞では、筋肉組織が、線維化組織と置き換えられ、これにより不整脈を引き起こし得る。線維化は、AFなどの不整脈を保つとも考えられる。典型的なAF処置は、β遮断薬などの薬物を用いるレートコントロール、および血栓塞栓症を防ぐための抗凝固を伴う。しかしながら、症状を残す患者については、抗不整脈薬および/または経カテーテル切除を用いたリズムコントロールが、一般に選ばれる処置オプションである。カテーテル切除は、組織領域を選択的に破壊することを伴い、通常、プロセスは、高周波(「RF」)エネルギーを加えて組織を加熱することによって達成される。いくつかの実験は、カテーテル切除によりAF患者に維持された長期の洞調律をもたらすことができることを示唆している。それにもかかわらず、切除後のAFの再発率は、50%もの高さである。さらに、AF患者の20~40%は、複数の切除処置を受ける。
【0006】
[0006]心臓病についての他の重要な例は、浸潤および増殖による細胞およびその核の密度の変化によって特徴付けられる。これらの例は、心筋炎および同種移植拒絶を含む。同様に、心臓肥大は、心筋細胞の密度の変化によって特徴付けられる。
【0007】
[0007](AF、同種移植拒絶、心筋炎、肥大、およびアミロイドーシスなどの)微細構造異常に関連している心臓病の診断および/または処置は、心臓組織性状診断およびマッピングが改善できる場合、潜在的に強化され得る。残念なことに、心臓組織を識別し、診断する従来の方法は、有効な性状診断を行うことができなかった。
【0008】
[0008]心臓組織の巨視的領域は、磁気共鳴画像法(MRI)、例えば、遅延ガドリニウム造影MRIを用いて視覚化することができる。しかしながら、全てのケアセンターが、必要不可欠なおよび比較的高価なMRI設備にアクセスできるわけでなく、そのような処置は、高いコストに関連している。さらに、MRIイメージングは、巨視的スケールである程度の組織異常を検出することができるが、それは、分解能を限定しており、微視的分布、および微細構造異常の組成への洞察を与えない。
【0009】
[0009]光ファイバ共焦点顕微鏡(FCM)が、心臓組織をイメージングするための光学的手法として利用され得る。しかしながら、適切なFCMシステムは、高価なハードウェアを必要とする。さらに、FCMは、限られた深度の侵入であり、したがって、約100μmよりも深い関心の組織についての情報を与えることができない。
【0010】
[0010]心臓組織微細構造の評価のための確立された臨床ツールは、心内膜下心筋生検(EMB)であり、これは、組織抽出のための侵襲的な処置を必要とする。さらに、この処置は、その高い合併症率により極めてまれにしか心房内で実行されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
[0011]したがって、関連組織の深度でおよび微細構造スケールで心臓組織を性状診断することができるデバイスおよび方法について長年にわたるおよび継続した必要性が存在する。そのような進歩は、有益に、成果を改善し、疾病負荷を減少させる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0012]一実施形態では、組織性状診断プローブは、近位端と、マルチアーム装置を形成するように細長い部材の遠位端にまたはその近くに配設された複数の遠位プローブ先端と、を有する細長い部材を含む。複数の照明ファイバは、細長い部材を通って少なくとも部分的に延び、各々は、各プローブ先端が少なくとも1つの照明ファイバを含むように、マルチアーム装置のそれぞれのプローブ先端まで延びる。複数の検出ファイバは、マルチアーム装置の各プローブ先端が少なくとも1つの検出ファイバ、および適宜、複数の検出ファイバを含むように、やはり細長い部材を通って少なくとも部分的に延びる。
【0013】
[0013]一実施形態では、組織性状診断プローブは、近位端と、遠位端における遠位プローブ先端と、を有する細長い部材を含む。照明ファイバは、細長い部材を通って遠位プローブ先端まで延び、光を搬送し、プローブ先端へおよびプローブ先端を越えて標的組織の中に通すように構成される。複数の検出ファイバは、やはり細長い部材を通ってプローブ先端まで延び、標的組織から散乱される光を受け取るように構成される。
【0014】
[0014]検出ファイバは、100μmよりも大きい深度以内で、例えば、約4mmまで、または約8mmまで、または約12mmまで、または約16mmまで、または約20mmまで、または約25mmまで、または約30mmまで組織の性状診断を有益に可能にするやり方で照明ファイバに対して配置される。検出ファイバは、心筋層などの異方性組織の有効な性状診断も可能にするように配置される。
【0015】
[0015]一実施形態では、検出ファイバの第1のセットは、第1の検出線に沿って配設され、第1の検出線は、照射軸に直交している。検出ファイバの第2のセットは、第2の検出線に沿って配設される。第2の検出線は、第1の検出線を横断し、好ましくは、第1の検出線に直交している。好ましくは、検出ファイバの第1および第2のセットは、少なくとも2つの検出ファイバをそれぞれ有する。
【0016】
[0016]一実施形態では、組織を性状診断する方法は、(i)組織性状診断システムを用意するステップと、(ii)組織性状診断システムの遠位プローブ先端を標的とした解剖学的位置へ向けるステップと、(iii)標的とした解剖学的位置で、約100μmよりも大きい深度で(例えば、約1mmまで、または約1.5mmまで、または約2mmまで、または約2.5mmまで、または約3mmまで、または約3.5mmまで、または約4mmまで、または約5mmまで、または約7.5mmまで、または約10mmまで、または約15mmまで、または約20mmまで、または約25mmまで、または約30mmまで)分光分析データを得るように組織性状診断プローブを動作させるステップと、分光分析データを分解して標的組織を性状診断するステップと、を含む。
【0017】
[0017]標的組織は、心臓組織を含み得る。本明細書中に記載される方法は、血を含んでいる鼓動する心臓内の心臓組織を性状診断することに特に適用可能である。標的組織を性状診断するステップは、線維化組織、同種移植の受容または拒絶、心筋炎、アミロイドーシス、他の心筋症、あるいは核密度などの1つまたは複数の組織パラメータのうちの1つまたは複数を検出、測定、または監視することを含むことができる。方法は、標的組織の構成要素の体積分率、および/または心臓内の標的組織の空間分布を決定することを含むことができる。
【0018】
[0018]本明細書中に記載される方法では、分光分析データを分解して標的組織を性状診断するステップは、1つまたは複数の機械学習法の使用を含むことができる。機械学習法は、教師ありおよび/または教師なしの技法を含むことができる。
【0019】
[0019]本発明の様々な目的、特徴、特性、および利点は、その全部が本明細書の一部を形成する添付図面および添付の特許請求の範囲と併せて参照されると、実施形態の以下の説明から明らかになり、より容易に理解されよう。図面では、同じ参照番号は、様々な図における対応するまたは同様の部分を示すために利用することができ、示された様々な要素は、必ずしも原寸に比例していない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】[0020]心内腔の一例として心房壁の断面を示し、関心の組織がしばしば存在する心内膜表面の真下の深度を視覚化し、関心のそのような組織が光学イメージングの届く範囲を越えてしばしばあることを示す図である。
【
図2】[0021]遠位プローブ先端のマルチアーム装置を有する組織性状診断プローブの遠位端の例示的な実施形態を示す図である。
【
図3A】[0022]臨床的に関連した深度以内の心臓組織を性状診断するために光散乱分光法(LSS)を使用するように構成された例示的な組織性状診断プローブの遠位端の正面図である。
【
図3B】臨床的に関連した深度以内の心臓組織を性状診断するために光散乱分光法(LSS)を使用するように構成された例示的な組織性状診断プローブの遠位端の正面図である。
【
図3C】臨床的に関連した深度以内の心臓組織を性状診断するために光散乱分光法(LSS)を使用するように構成された例示的な組織性状診断プローブの遠位端の正面図である。
【
図4】[0023]例示的な組織プローブアセンブリの拡大図である。
【
図5】[0024]心臓組織のin situまたはin vivo性状診断に利用することができる例示的な組織性状診断システムを示す図である。
【
図6】[0025]年齢に対して測定されたNDの散布図および回帰フィットを示す、心臓組織内の細胞核の計数を示す図である。
【
図7】[0026]
図7Aおよび
図7Bは、心臓組織から測定されるスペクトルのクラスタリングを示す図であって、
図7Aは、主成分プロットにおいて識別されるクラスタを示し、
図7Bは、いくつかの識別されたクラスタのNDが他のクラスタとは異なったことを示す(ブラケット接続は、5%の信頼度レベルで互いから統計的に異なったクラスタを特徴付ける)図である。
【
図8】[0027]スペクトルの分類が有効であったことを示すスペクトルからのNDの全体としてのCNN予測の混同行列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
導入
[0028]本開示は、LSSを用いて組織、詳細には、心臓組織を性状診断するためのデバイス、システム、および方法に関する。プローブ、システム、および方法を含む本明細書中に記載される実施形態は、(WO2018144648A1として発行された)PCT/US2018/016314に記載されたデバイス、システム、および方法と組み合わされたり、および/またはこれと共に利用されたりしてもよく、その全体は、この参照により本明細書中に組み込まれる。
【0022】
[0029]例えば、本明細書中に記載される組織性状診断プローブの構成要素は、PCT/US2018/016314に記載された血管内デバイスのいずれかに追加されて、それによって組織性状診断能力をPCT/US2018/016314の血管内デバイスのイメージング、位置同定、処置(例えば、切除)、および/または電気的マッピング機能に追加することができる。同様に、本明細書中に記載される組織性状診断方法は、PCT/US2018/016314に記載された組織マップを生成および/または描画する方法のいずれかに追加されて、それによってマップの有効な組織性状診断を追加するまたは増強することができる。
【0023】
[0030]例えば、以下により詳細に説明されるように、LSSを本明細書中に記載される最適化された実施形態と併せて用いる組織性状診断は、従来の方法を用いて可能なものよりも大きい深度以内で組織の性状診断を有益に可能にする。したがって、この追加のおよび/またはより正確な組織性状診断情報は、(WO2018144648A1として発行された)PCT/US2018/016314に記載された実施形態を用いて生成される組織マップを強化することができる。
【0024】
[0031]以下に詳述される例の多くは、心臓組織内の線維化の検出に関するが、同じ原理および特徴は、異常な組織微細構造の検出、診断、および/または処置を請け負う他の応用に容易に適用することができることも理解されたい。したがって、実施形態は、心筋炎、アミロイドーシス、および他の心筋症における同種移植拒絶のリスクを監視するために利用することができる。心筋核密度(ND)は、疾病の監視、診断、および/または処置のために心臓の微細構造への強化された洞察を与えるために説明された実施形態を用いて測定され得るおよび有効に性状診断され得るパラメータの1つである。
【0025】
[0032]
図1は、(例えば、心房壁からの)心臓組織の断面を示す。図示の通り、関心の組織は、しばしば、FCMの焦点深度よりも深くなる。詳細には、線維化細胞外組織は、約1mm以上の深度にあり得るのに対して、FCMなどの従来の光学イメージングは、約100μmの最大イメージング深度を有するにすぎないものであり得る。心伝導システムの構造および組織も、比較的より深い組織層に存在し得る。
【0026】
[0033]さらに、心臓組織は、指向性および異方性構造を有する筋繊維で構成されている。そのような異方性は、組織のイメージングおよび性状診断を難しくさせ得る。例えば、LSSが使用されるときでも、散乱光検出信号は、標的心臓組織の異方性配置によって影響を受け、(例えば、線維化対正常として)組織の正確な性状診断を難しくさせる。
【0027】
[0034]したがって、光学イメージングは、上皮細胞などの表面レベルの微細構造を性状診断するのに十分であり得るが、下層組織についての情報与えることができない。これは、関心の組織がとてもよく隣接面レベルを越えて存在する心臓組織の用途において特に不利である。さらに、従来のLSSは、理論では、より深い組織の層についての情報を与えることができるが、心臓組織の異方性の性質が、有効な性状診断を捉えにくくさせる。
【0028】
組織性状診断プローブ&システム
[0035]
図2は、マルチアーム装置に配設された複数のプローブ先端403を含む組織性状診断プローブ400の例示的な実施形態を示す。プローブ400は、細長い部材401を含み、照明ファイバおよび検出ファイバがこれを通って配置されることが可能である。
【0029】
[0036]マルチアーム装置の各プローブ先端403は、以下により詳細に説明されるもののように本明細書中に記載され、
図3Aから
図4に示される他のプローブ先端構成のいずれかに従って独立して構成されることが可能である。しかしながら、いくつかの実施形態では、プローブ先端403のうちの1つまたは複数は、異なったように構成されてもよい。例えば、プローブ先端403のうちの1つまたは複数は、たった1つの単一の検出ファイバおよび単一の照明ファイバを含むことができる。すなわち、プローブ400全体は、複数の検出ファイバ(例えば、別々のプローブ先端403ごとに少なくとも1つ)を含むが、各特定のプローブ先端403は、必ずしも複数の検出ファイバを含む必要はない。
【0030】
[0037]さらに、照明ファイバと検出ファイバとの間の特定の構造的関係が、
図3Aから
図3Cのプローブに関連して説明されるが、プローブ先端403のうちの1つまたは複数は、例えば、照明ファイバを中心にして半径方向のかたちで検出ファイバを配設することによって、またはグリッドに沿って検出ファイバを配設することによって、または照明ファイバに対してランダムな向きに検出ファイバを配設することなどによって、異なる構成を有してもよい。
【0031】
[0038]示された実施形態は、特定の個数のプローブ先端403(すなわち、アーム)を含むが、他の実施形態は、より多くのアームまたはより少ないアームを含んでもよいことが理解されよう。概して、より多くのアームは、それらが所与のスペースおよび/またはコストの制約内に含まれ得る限り、好ましい。
【0032】
[0039]図示の通り、プローブ先端403のいずれかは、ナビゲーション、マッピング、および/または位置同定の機能性を与えるように構成された1つまたは複数の電極407を含んでもよい。例えば、電極407は、測定が標的解剖学的組織内のそれらの対応する位置に関連していることができるように、三次元解剖学的ワーキングスペース内のプローブ先端の位置を決定するために利用することができる。位置と測定データとの間の相関関係は、標的解剖学的組織の(例えば、標的解剖学的組織の組織微細構造の)三次元マップを生成するために利用することができる。図示の通り、電極407は、リングとして形成されてもよい。好ましい実施形態では、複数のリングが、プローブ先端403の遠位断片の長さに沿って異なる長手方向位置でプローブ先端403に配設される。他の実施形態は、さらにまたは代替として、当業界で知られている他のタイプの電極を利用することができる。
【0033】
[0040]
図2に示されたマルチアーム装置は、いくつかの利益を与えることができる。詳細には、マルチアーム装置は、標的にされた解剖学的組織のより迅速な性状診断およびマッピングを可能にする。これは、心臓組織の心臓カテーテル検査および性状診断を含むものなど、侵襲的なおよび/または高価な処置にとって特に重要であり得る。加えて、マルチアーム装置は、含まれる先端/アームの個数の単なる倍数よりも多くだけ性状診断および/またはマッピング速度を改善することができる。例えば、プローブの先端/アームは、読みのために所与の位置に配置することができ、次いで、プローブは、追加の読みのために、先端/アームの位置を容易に変えるために回転することができる。対照的に、単一アームの設計は、ただプローブを回転することによって、任意の追加の情報を与えることができず、プローブ先端が、読みごとに新しい位置へ移動されなければならない。
【0034】
[0041]
図3Aから
図3Cは、臨床的に関連した深度以内で心臓組織などの異方性組織を性状診断するときに有効な組織性状診断を与えるように構成された例示的な組織性状診断プローブの遠位端の正面図を示す。
図3Aは、特定の遠位プローブ100の正面図を示す。遠位プローブ先端は、本明細書中で同義に「遠位先端」または「プローブ先端」と呼ばれ得る。
【0035】
[0042]プローブ100は、患者の血管系を通って心臓へ至るルートを定めるように構成され得るデバイスの外側構造を形成する細長い部材102を含む。照明ファイバ104は、細長い部材102を通って延び、ソース光を搬送し、遠位端を越えて標的組織の中に通すように構成される。図示の通り、複数の検出ファイバ106も、細長い部材102内に配設される。検出ファイバ106は、散乱光を受け入れ、それを細長い部材102の近位端の方へ戻すように構成される。
【0036】
[0043]照明ファイバ104は、(
図3Aの眺めから、紙を通って延びる)プローブの照射軸を定める。
図3Aの実施形態にあるように、照射軸は、細長い部材102内のほぼ中心にあることができるが、(
図3Bの実施形態にあるように)他の実施形態は、照明ファイバを細長い部材の中心から離して配置することができる。「第1の検出線」は、線108によって示されるように、照射軸から直交して延びる線として定義される。「第2の検出線」も、線110によって示されるように、照射軸から直交して延びる線として定義される。
【0037】
[0044]第1の検出線108および第2の検出線110は、図示の通り、互いに横断し(すなわち、互いに非平行であり)、好ましくは、互いに直交する(すなわち、直角である)。
図3Aにあるように、照射軸に沿って見る断面図から、第1の検出線108および第2の検出線110は、約30°から約150°、または約60°から約120°あるいは好ましくは約90°などの横断角度を形成するように照射軸で互いに交わることができる。
【0038】
[0045]検出ファイバの第1のセット112は、第1の検出線108に沿って実質的に配置され、検出ファイバの第2のセット114は、第2の検出線110に沿って実質的に配置される。このように検出ファイバ106を配置することは、有効な機能性を与えることが分かっており、詳細には、臨床的に関連した深度以内で異方性組織を含む心臓組織を性状診断するのに有効であることが分かっている。
【0039】
[0046]本明細書中で使用されるとき、検出ファイバは、それらが検出線から約30度以下、または約25度以下、または約20度以下、または約15度以下、または約10度以下、または約5度以下だけ半径方向にずれている場合、それぞれの第1また第2の検出線に沿って「実質的に配置される」、「実質的に位置合わせされる」、および/または「実質的に配設される」とみなされる。これは、
図3Cを参照して最もよく示される。検出線108が照明ファイバ104から始まり、検出ファイバのうちの1つ(この場合には、106a)を横切って延びると定義される場合、検出ファイバのそのセット内の任意の他の検出ファイバは、検出線108の近くにあるべきであるが、それと正確に位置合わせされる必要はない。例えば、検出ファイバ106bは、検出線108と正確に位置合わせされず、検出線108から角度「A」だけ半径方向にずれており、照明ファイバ104は、頂点を定める。
【0040】
[0047]
図3Aを再び参照すると、検出ファイバの第1のセット112および第2のセット114は、少なくとも2つの検出ファイバをそれぞれ含むのが好ましい。少なくとも2つの検出ファイバをセットに与えることで、深い感度を可能にする。第1のセットから横にずれている検出ファイバの第2のセットを与える(すなわち、2つのセットが互いに対して平行でなく、好ましくは直角を形成し、照明ファイバ104は、頂点として働く)ことで、異方性組織内のスペクトルの指向性感度を有益に減少させることが分かっている。
【0041】
[0048]例えば、検出ファイバの第1のセット112および第2のセット114を横断するやり方で、詳細には直交するやり方で配置することで、標的組織内の高レベルの異方性にもかかわらず、有効な組織性状診断を可能にする異方性組織を探索するときに、全体的な平均効果を与えることが分かっている。したがって、少なくとも2つの検出ファイバの第1のセット112、および第1のセット112のファイバにそれぞれ半径方向に対応する少なくとも2つの検出ファイバの第2のセット114を有することによって、深度感度と異方性感度の両方が達成される。
【0042】
[0049]4つの検出ファイバ106(2つは第1の検出線108に沿って配設され、2つは第2の検出線110に沿って配設される)が、本実施形態に示されているが、他の実施形態は、他の個数の検出ファイバが含まれてもよいことに留意されたい。上述したように、組織性状診断プローブは、有効な深度感度および異方性感度を与えるために、少なくとも4つの検出ファイバ(横方向検出線に沿ってそれぞれ配設された2つを2セット)を含むのが好ましい。追加の検出ファイバが、分解能および/または感度をさらに増加させるために横方向検出線に沿っておよび/または他の位置に配置されてもよい。しかしながら、いくつかの状況では、スペースの制約により、最小数の検出ファイバが好ましい場合がある。
【0043】
[0050]それぞれの検出線108および110に沿った検出ファイバ106の間隔は、変えられてもよい。性状診断システムは、ファイバの間隔および配置を変えることによって特定の用途の必要に合わせて構成され得る。例えば、検出ファイバ106は、特定の用途の必要に関連した距離で照明ファイバ104からおよび/または互いから離して間隔をおいて配置され得る。一例では、(照明ファイバ104に)隣接した検出ファイバおよび遠位の検出ファイバの組合せでいくつかの用途についての最も正確な結果をもたらすことが分かった。
【0044】
[0051]したがって、検出ファイバ106の間隔は、特定の用途の必要に従って変わり得るが、いくつかの実施形態は、検出ファイバがセットの他の検出ファイバに(例えば、約135μm以内で)ほぼ隣接しているように、および各セットが照明ファイバ104に(例えば、約135μm以内で)ほぼ隣接しているように間隔を最小にする。
【0045】
[0052]
図3Bは、示される場合を除いて、遠位プローブ100に類似する特徴を有する遠位プローブ200の別の例示的な実施形態を示す。
図3Aの実施形態と同じように、示された実施形態は、遠位プローブ200を用いたLSSを可能にするために、細長い部材202と、細長い部材202を通って延びる照明ファイバ204と、照明ファイバ204と協調して配置される複数の検出ファイバ206と、を含む。
【0046】
[0053]示された実施形態では、照明ファイバ204は、細長い部材202の長手方向軸から中心がはずれている。遠位プローブ100と同じように、検出線208および210は、照明ファイバ204から延び、検出ファイバ206は、それに対して実質的に位置合わせされ、第1のセット212は、検出線208に対して実質的に位置合わせされ、第2のセット214は、検出線210に対して実質的に位置合わせされる。本実施形態では、検出ファイバ206は、互いから離して間隔をおいて配置され、照明ファイバ204から離して間隔をおいて配置されることに留意されたい。
【0047】
[0054]図示の通り、検出ファイバ206は、それぞれの検出線ごとに実質的に等間隔で配置されてもよい。例えば、第1の検出線208に沿って、(照明ファイバ204および検出ファイバ206を含む)各ファイバ間の間隔は、実質的に等しい。好ましくは、間隔は、第2の検出線210上で同様のやり方で繰り返され、それによって各検出線が、同様にそれぞれの検出ファイバを、間隔をおいて離して配置するようになっているが、他の実施形態は、他とは異なる間隔を含んでもよい。
【0048】
[0055]図示の通り、細長い部材202の中心の照明ファイバ204をずらすことによって、細長い部材202の内部スペースがより有効に利用され、細長い部材202のより小さい全径および/または追加のコンポーネントの利用を可能にする。例えば、示された実施形態は、細長い部材202を通って少なくとも部分的に延び、遠位先端200の曲げ剛性を増加させるように構成され、および/または曲がった/成形された先端の形成を可能にする構造を与えるサポートワイヤ216を含む。
【0049】
[0056]サポートワイヤ216によって与えられる剛性の増加は、処置中に遠位先端200を適切な位置に維持するのを有益に助けることができる。例えば、血を含んでいる鼓動する心臓内の測定値をとるとき、接触を失うことなくまたは位置を滑り出ることなくデバイスを標的組織に対して配置された状態で維持することは難しい可能性がある。増加した構造および剛性により、組織を傷つけることなく、または血管のナビゲーションの難しさを増大させることなく、ユーザが複数の心拍全体にわたって適切な位置を維持するのをより容易にさせる。サポートワイヤ216は、ユーザが、所望の曲がりおよび/または向きを有する先端を「成形」することも可能にする。曲がった先端は、特定の血管系通路をナビゲートするのに、および/または
図2に示された周方向に配置されたプローブ端などの他の所望の構造的配置を与えるのに有益であり得る。
【0050】
[0057]サポートワイヤ216は、四角形の断面形状を有することができる。四角形の断面形状は、指定の曲がっている面を有益に与える。すなわち、サポートワイヤ216の曲げ剛性は、他の方向(例えば、形状の対角の方向に沿うよりも、断面形状の縁に揃えられた方向にあまり沿っていない。いくつかの実施形態では、図示されるように、サポートワイヤ216は、長方形形状を有する。長方形の断面形状は、それが異なる曲げ剛性の曲がっている面を与えることができるので、いくつかの例で望まれ得る。例えば、曲げ剛性は、長方形断面の短軸に揃えられた方向よりも長方形断面の長軸に揃えられた方向に大きい。
【0051】
[0058]サポートワイヤ216は、遠位先端200内のどこに配置されてもよい。好ましくは、示された実施形態にあるように、サポートワイヤ216は、その断面が検出線208と210の間に形成された角度の鋭角側にあるように配設される。この位置は、遠位先端200内のスペースを有効に利用し、したがってより多くの設計柔軟性、サイジング制御などを与える。
【0052】
[0059]したがって、組織性状診断プローブ200は、構造および機能において組織性状診断プローブ100に類似する。しかしながら、組織性状診断プローブ200は、照明ファイバ204(およびしたがって照射軸)が必ずしも細長い部材202の中心軸に位置合わせられる必要はないことを示す。図示の通り、中心外へ照明ファイバ204を移動させることによって、細長い部材202の内部スペースは、より効率的に利用され、細長い部材202のより小さい全径を可能にする。
【0053】
[0060]
図4は、
図3Aおよび
図3Bの遠位先端100および/または遠位先端200のうちの1つまたは複数を含む本明細書中に記載される組織カテーテル検査プローブコンポーネントのいずれかを組み込むことができる組織プローブアセンブリ501の拡大図を示す。また、たった1つの単一の遠位先端500が示されているが、
図2にあるようなマルチアーム装置が利用できると理解されよう。
【0054】
[0061]示されたプローブアセンブリ501は、近位端と遠位端の間で延びる細長い部材502を含む。遠位先端500は、遠位端に配設される。結合器505は、複数のコンポーネント部品をその近位端に受け入れ、遠位先端500に適切な機能に必要とされるやり方でそれらを配置する。例えば、図示の通り、結合器505は、1つまたは複数の照明ファイバ504、および検出ファイバの1つまたは複数のセット512、514を受け入れることができる。これらは、組織性状診断/LSSシステム(例えば、光源および分光計)の対応するコンポーネントへの接続を可能にするコネクタ(図示せず)に接続され得る。
【0055】
[0062]プローブアセンブリ501は、カテーテルの内腔またはワーキングチャネル、シース、内視鏡、または他のそのような管内送達デバイスを通して導入される(遠位端が第一に)ように構成される。送達デバイスは、案内可能カテーテルまたは操縦可能シースの形態などで操縦可能であり得る。
【0056】
[0063]
図5は、組織性状診断システム301の一例を示す。システム301は、組織性状診断プローブ300を含み、組織性状診断プローブ300は、本明細書中に記載される組織性状診断プローブ100および200として構成することができる。照明ファイバ304は、プローブ300から延び、適切な光源316(例えば、タングステンハロゲン光源、または他の適切なLSS光源)に動作可能に接続される。検出ファイバ306は、プローブ300から延び、適切な分光計318(または複数の分光計)に動作可能に接続される。標的組織30は、システム301を用いて性状診断され得る。
【0057】
組織を性状診断する方法
[0064]一実施形態では、組織を性状診断する方法は、(i)組織性状診断システムを用意するステップと、(ii)組織性状診断システムの遠位プローブ先端を標的とした解剖学的位置へ向けるステップと、(iii)標的とした解剖学的位置で、約100μmよりも大きい深度以内で(例えば、約1mmまで、または約1.5mmまで、または約2mmまで、または約2.5mmまで、または約3mmまで、または約3.5mmまで、または約4mmまで、または約5mmまで、または約7.5mmまで、または約10mmまで、または約15mmまで、または約20mmまで、または約25mmまで、または約30mmまで)分光分析データを得るように組織性状診断プローブを動作させるステップと、分光分析データを分解して標的組織を性状診断するステップと、を含む。
【0058】
[0065]標的組織は、心臓組織であり得る。本明細書中に記載される方法は、血を含んでいる鼓動する心臓内の心臓組織を性状診断することに特に適用可能である。標的組織を性状診断することは、線維化組織、同種移植の受容または拒絶、心筋炎、アミロイドーシス、他の心筋症、あるいは核密度などの1つまたは複数の組織パラメータのうちの1つまたは複数を検出、測定、または監視することを含むことができる。方法は、心臓内の標的組織の標的組織および/または空間分布の構成要素の体積分率を決定することを含むことができる。
【0059】
[0066]いくつかの実施形態は、1つまたは複数の性状診断を受けたデータ点を得るように複数の目標位置で組織を性状診断するステップと、位置ごとに、組織性状診断プローブを動作させて三次元解剖学的ワーキングスペース内のプローブ先端の位置を決定するステップと、性状診断を受けたデータ点を解剖学的ワーキングスペース内のその対応する決定された位置と関連付けるステップと、性状診断を受けたデータ点およびそれらの対応する位置に基づいて、解剖学的ワーキングスペースの三次元マップを生成するステップと、をさらに含むことができる。そのような方法に関する追加の詳細は、(WO2018144648A1として発行された)PCT/US2018/016314により詳細に説明され、その全体は、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
機械学習を用いたLSSスペクトルの分析
[0067]本明細書中に記載される方法では、分光分析データを分解して標的組織を性状診断するステップは、1つまたは複数の機械学習法の使用を含むことができる。機械学習法は、教師ありまたは教師なしの技法を含むことができる。
【0061】
[0068]一実施形態では、スペクトルのデータを分解するために利用される教師なし機械学習法は、クラスタ分析を含む。クラスタ分析は、主成分分析(PCA)によるスペクトルの次元削減を適用することができる。ユークリッド距離は、スペクトルの第1および第2の主成分のノード間の類似性を生成するために使用することができ、スペクトルクラスタの固有値は、サンプルデータが該当するグループの個数を示すことができる。組織性状診断のためにスペクトルのデータを分解するためのスペクトルクラスタリングの使用に関連した追加の詳細は、実施例の断片に含まれている。
【0062】
[0069]他の実施形態では、スペクトルのデータを分解するために利用される教師あり機械学習法は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の使用を含む。CNNは、選択した個数のグループ/カテゴリーにスペクトルを分類するように訓練することができる。CNNは、当業界で知られている様々な手法を用いて訓練することができる。特に有用な訓練手法の1つは、N-1手法である。例えば、複数のCNN(各々が同じトポロジーを有する)は、一例を除いてデータセットからの全てのスペクトルを含むデータセットに関して訓練される。各データセットは、訓練用データセットの個数がサンプルの個数に等しいように異なるサンプルを省き、複数のCNNの各CNNは、どのサンプルが省かれたかに応じて、異なるデータセットに関して訓練される。
【0063】
[0070]CNNは、エポックのセット数についておよび/または損失の閾値レベルが達成されるまで訓練することができる。次いで、CNNは、それらのそれぞれの訓練セットから省かれたスペクトルに関して試験することができる。次いで、1つまたは複数の最適なCNNが、性状診断に使用するためにおよび/またはさらなる訓練のために選択され得る。CNNは、特定の波長範囲へのCNNの従属性があるか決定するために、異なるスペクトル波長サブグループ化に従って訓練することもできる。
【0064】
[0071]性状診断前および/または訓練前のスペクトルデータの前処理は、様々なフィルタリングステップおよび/または正規化(例えば、強度正規化)ステップを含むことができる。さらにまたは代替として、当業界で知られている他のスペクトルのデータ処理技法が、利用されてもよい。
【実施例】
【0065】
組織性状診断の機能
[0072]例示の組織スタックが、組織性状診断プローブを試験するために使用された。心筋層または大動脈組織の薄い組織断片(厚さ200μm)は、重ね合わされて配置された。構造高さは、8断片層(1.6mm)までに制限された。基板層は、心臓は大部分心筋層であり、心室は線維化浸潤物がほとんどないという理論的根拠に基づいて、ホルマリン固定された成犬心臓からの心室自由壁心筋層を用いて作製された。これにより、組織異方性の調査も可能にした。標的組織は、大動脈は重量でおよそ50%エラスチンおよびコラーゲンで構成され、in vivoで容易にアクセス可能および識別可能なであるという理論的根拠に基づいて、固定された成犬心臓の上行大動脈および大動脈弓からの組織から作製された。
【0066】
[0073]組織性状診断プローブの深度感度を試験するために、標的組織の2つの断片は、システムが構造を検出することができる深度を決定するために組織スタック内で順次下げられた。組織検出プローブは、約1.5mmから2mmの深度で標的組織を正確に検出することができることが有益であり、少なくともいくつかの状況中を通じて、約4mmまでの深度で標的組織を検出することができることが期待される。この実験装置では、深度検出の全体精度は、およそ95.45±3.99%であった。
【0067】
[0074]試験が、組織の機能的能力の重要な指標である線維化組織の体積分率を検出する組織性状診断プローブの感度を決定するためにやはり行われた。スタック全体内の線維化組織の異なる体積分率は、構造の全体積分率が線維化組織になるまで、構造中の線維化組織の相対的割合を12.5%(すなわち、1つの200μmの断片)だけ変えることによって試験された。下層を隠す標的組織の上層のいくらかの「マスキング」効果が存在し得ることが当初予期されたが、線維化組織の体積分率を決定する際の組織性状診断プローブの全体平均精度は、およそ80.56±2.12%で有益に高かった。
【0068】
[0075]試験は、大動脈断片の全体積分率が50%である混合/変更された断片を説明するためにも行われた。そのような「挟まれた」および/または混合された/埋め込まれた組織は、システムが正確に性状診断するのが難しいことが当初予期されたが、組織性状診断プローブは、そのような混合された/埋め込まれた組織をおよそ84.25±1.88%の高い精度で正確に性状診断することができた。
【0069】
[0076]診査手段も、いくつかの異なる位置(右心房、房室結節、トダーロ腱に沿った中隔RA、三尖弁の中隔葉のジョイント、大動脈、心室壁、および洞房結節などの)からのスペクトルを取得することによって犬心臓全体(n=2)にとられた。組織性状診断プローブは、95%までの精度を与えた。
【0070】
機械学習を用いたLSSスペクトルの分析
[0077]心臓組織の分光法:
【0071】
[0078]LSSシステムが、ヒツジの心室組織からのスペクトルを集めるために使用された。我々は、4.3から56カ月の範囲の胎齢を有する18頭の動物からのホルマリン固定された心臓の右心室(RV)および左心室(LV)自由壁ならびに心室中隔から貫壁性組織試料を得た。試料は、NDの変化を特定するためにLSSを用いて検査された。LSSプローブは、全ての試料について20個のスペクトルを集めるために複数の位置で心外膜面上に配置された。スペクトル取得は、5Hzで行われた。組織試料からのスペクトルは、500~1100nmの波長範囲内で0.6nmの分解能で記録された。
【0072】
[0079]生スペクトルは、試料内および試料間の強度の高度のばらつきを示した。それらのそれぞれの手段に正規化後、個々の試料からのスペクトルは、同じ試料からの他のスペクトルとの高い相関関係(R2≧0.999)を示した。異なるサンプルからのスペクトル間の差は、わずかであった(R2=0.996±0.002)。
【0073】
[0080]組織学:
【0074】
[0081]組織試料は、各試料の中央で探索された領域内で切断された。心外膜面に直角であり、心臓壁の貫壁性平面に平行である厚さ100μmの断片が切断された。切断後、細胞外マトリックスの複合糖質および細胞膜の糖タンパク質は、蛍光物質に結合された小麦胚芽凝集素(WGA)を用いて標識付けられた。細胞核は、1μMの6-ジアミジノ-2-フェニインドール(DAPI)で染色された。NDは、検出された核の個数を総組織面積で除算することによって計算された。心臓ごとの平均NDは、機械学習のためのグラウンドトゥルースを与えた。経時的なNDの削減は、
図6にまとめられている。
【0075】
[0082]クラスタ分析:
【0076】
[0083]クラスタ分析は、主成分分析(PCA)によるスペクトルの次元削減を適用した。異なるNDのプレパラートからスペクトルのクラスタを識別するために、MATLAB(登録商標)関数スペクトラルクラスタを適用した。この関数は、データ、距離メトリック、および所望のグループの個数の選択を可能にする。ユークリッド距離は、スペクトルの第1および第2の主成分のノード間の類似性グラフを生成するために使用された。スペクトルクラスタ関数からの固有値の分析は、5つの別個のグループに落とされたスペクトルを示した。したがって、所望のグループ数は、3から5の間で変えられた。
【0077】
[0084]スペクトルの分散のおよそ95%は、スペクトルの最初の2つの主成分で説明された。固有値の分析は、5つの別個のグループを示した。最初の2つの主成分の散布図(
図7A)は、これらのクラスタを示す。クラスタグループは、NDの増加と共に1から5で標識された。分散の分析は、クラスタの多くについてのNDの差(
図7B)を明らかにした。ブラケット接続は、5%の信頼度レベルで互いから統計的に異なったクラスタを特徴付ける。
【0078】
[0085]畳み込みニューラルネットワーク:
【0079】
[0086]我々は、スペクトルをNDカウントの3つのグループ、2000まで、2000~3800、および3800を越える核/mm2に分類するCNNを設計した。CNNについての損失値は、グラウンドトゥルースと比較して、ソフトマックス活性化を予測されたクラスの交差エントロピー損失に適用することによって計算された。CNNは、N-1手法を用いて体系的に訓練および有効化された。この手法は、スペクトルが1つの試料から集められることなく、それぞれがデータセット全体からの全てのスペクトルを含む異なる訓練セットを有する、同じ技術を用いて22個の異なるCNNを訓練することを必然的に伴う。22個の特有の訓練用データセットの各々は、異なる心臓からのスペクトルを除外した。2000個のエポックの後に、または600個を超えるエポックの後に訓練損失が減少しなかったときに、CNNの訓練は終了した。最小損失値に関連しているCNNの重みは、保存され、試験のために使用されるCNNへ戻された。次いで、これらのCNNは、それらのそれぞれの訓練セットから除外されたスペクトルに関して試験された。
【0080】
[0087]CNNパラメータを最適化するために、我々は、バッチサイズ、学習率、および畳み込みフィルタのカーネルサイズを体系的に変更した。これらのパラメータ変更に使用されるCNN構成は、表1に説明される。50から300まで変わる7個のバッチサイズが試験された。0.0001から0.015まで変わる10個の異なる学習率が試験された。5から40まで変わる15個の異なる畳み込みフィルタのカーネルサイズが試験された。次いで、最大分解能スペクトルは、3つの波長範囲:500~700nm、700~900nm、および900~1100nmに分割された。これらの部分的なスペクトルは、CNNを訓練して特定の波長に関する分類の従属性を決定するために使用された。
【表1】
【0081】
[0088]パラメータ最適化は、カーネルサイズ20、バッチサイズ100、および学習率0.003をもたらした。N-1手法を用いたCNNの訓練は、95.23±12.20%の精度という結果になった。CNN予測の混同行列は、
図8に示されている。異なるスペクトル波長範囲に関するCNNの訓練は、それぞれ500~700nm、700~900nm、および900~1100nmの波長範囲について90.23±21.56%、58.86±36.02%、および81.59±34.52%の精度という結果になった。これらの結果は、NDの予測が中間(700~900nm)の範囲よりも低い(500~700nm)波長範囲および高い(900~100nm)波長範囲により依存することを示す。
【0082】
追加の実施形態
[0089]以下の実施形態は、例として示される。実施形態は、他の実施形態に説明された特性、特徴(例えば、原材料、成分、部材、要素、部品、および/または部分)を含むことができると理解されよう。したがって、いくつかの特徴がこれらに挙げられているが、所与の実施形態の様々な特徴は、本開示の他の実施形態と組み合わされてもよく、および/または本開示の他の実施形態に組み込まれてもよい。したがって、本開示の特定の実施形態に対するいくつかの特徴の開示は、特定の実施形態への特徴の適用または包含を限定するものとして解釈されるべきでない。むしろ、他の実施形態はそのような特徴を含むことができると理解されよう。
【0083】
[0090]実施形態1:近位端および遠位端を有する細長い部材と、
マルチアーム装置を形成するように細長い部材の遠位端にまたはその近くに配設された複数の遠位プローブ先端と、細長い部材を通って少なくとも部分的に延びる複数の照明ファイバであって、各プローブ先端が少なくとも1つの照明ファイバを含むように、各照明ファイバは、マルチアーム装置のそれぞれのプローブ先端まで延びる、複数の照明ファイバと、細長い部材を通って少なくとも部分的に延びる複数の検出ファイバであって、各プローブ先端が少なくとも1つの検出ファイバを含むように、各検出ファイバは、マルチアーム装置のそれぞれのプローブ先端まで延びる、複数の検出ファイバと、を備える、組織性状診断プローブ。
【0084】
[0091]実施形態2:実施形態1に記載の組織性状診断プローブであって、カテーテルの内腔またはワーキングチャネル、ガイド可能カテーテル、操縦可能シース、あるいは内視鏡のワーキングチャネルを通って導入されるように構成され、カテーテル、シース、またはワーキングチャネルの先端を越えて延びる、組織性状診断プローブ。
【0085】
[0092]実施形態3:実施形態1または2に記載の組織性状診断プローブと、照明ファイバに動作可能に結合された光源と、検出ファイバに動作可能に結合された1つまたは複数の分光計と、を備える、組織性状診断システム。
【0086】
[0093]実施形態4:実施形態3に記載の組織性状診断システムであって、約100μmよりも大きい深度以内で、例えば、約1mm、または約1.5mm、または約2mm、または約2.5mm、または約3mm、または約3.5mm、または約4mm、または約5mm、または約7.5mm、または約10mm、または約15mm、または約20mm、または約25mm、または約30mmまで組織を性状診断するように構成される、組織性状診断システム。
【0087】
[0094]実施形態5:実施形態3または4に記載の組織性状診断システムであって、適宜、測定されたスペクトルに対するプローブ先端の回転の影響を減少させるように、心臓組織などの構造的異方性組織を性状診断するように構成される、組織性状診断システム。
【0088】
[0095]実施形態6:近位端および遠位端を有する細長い部材と、細長い部材の遠位端に配設された遠位プローブ先端と、細長い部材を通ってプローブ先端まで少なくとも部分的に延び、構成され、照射軸を定める照明ファイバと、細長い部材を通ってプローブ先端まで少なくとも部分的に延び、標的組織から散乱される光を受け取るように構成される複数の検出ファイバと、を備える組織性状診断プローブであって、検出ファイバの第1のセットは、第1の検出線に沿って実質的に配設され、第1の検出線は、照射軸に直交し、検出ファイバの第2のセットは、第2の検出線に沿って実質的に配設され、第2の検出線は、照射軸に直交し、第1の検出線を横断する、組織性状診断プローブ。
【0089】
[0096]実施形態7:実施形態6に記載の組織性状診断プローブであって、カテーテルの内腔またはワーキングチャネル、案内可能カテーテル、操縦可能シース、あるいは内視鏡のワーキングチャネルを通って導入されるように構成され、カテーテル、シース、またはワーキングチャネルの先端を越えて延びる、組織性状診断プローブ。
【0090】
[0097]実施形態8:実施形態6または7に記載の組織性状診断プローブであって、各検出ファイバは、そのそれぞれの検出線から約30度以下、または約25度以下、または約20度以下、または約15度以下、または約10度以下、または約5度以下だけ半径方向にずれている、組織性状診断プローブ。
【0091】
[0098]実施形態9:実施形態6から8のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブであって、第1の検出線および第2の検出線は、約30°から約150°、または約45°から約135°、または約60°から約120°、または約75°から約105°の横断角度を形成するように照射軸で互いに交わる、組織性状診断プローブ。
【0092】
[0099]実施形態10:実施形態6から9のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブであって、第2の検出線は、第1の検出線に直交している、組織性状診断プローブ。
【0093】
[0100]実施形態11:実施形態6から10のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブであって、検出ファイバの第1のセットは、少なくとも2つの検出ファイバを含む、組織性状診断プローブ。
【0094】
[0101]実施形態12:実施形態6から11のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブであって、検出ファイバの第2のセットは、少なくとも2つの検出ファイバを含む、組織性状診断プローブ。
【0095】
[0102]実施形態13:実施形態6から12のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブであって、検出ファイバの第1のセット、検出ファイバの第2のセット、または両方は、照明ファイバにほぼ隣接している、組織性状診断プローブ。
【0096】
[0103]実施形態14:実施形態6から12のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブであって、検出ファイバは、照明ファイバから離して間隔をおいて配置される、組織性状診断プローブ。
【0097】
[0104]実施形態15:実施形態14に記載の組織性状診断プローブであって、検出ファイバは、互いから離して間隔をおいて配置される、組織性状診断プローブ。
【0098】
[0105]実施形態16:実施形態6から15のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブであって、細長い部材を通ってプローブ先端まで少なくとも部分的に延び、プローブ先端の曲げ剛性を増大させるように構成されるサポートワイヤをさらに備える、組織性状診断プローブ。
【0099】
[0106]実施形態17:実施形態6から15のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブであって、細長い部材を通ってプローブ先端まで少なくとも部分的に延び、プローブ先端の遠位端に曲がりを形成するように構成されるサポートワイヤをさらに備える、組織性状診断プローブ。
【0100】
[0107]実施形態18:実施形態16または17に記載の組織性状診断プローブであって、サポートワイヤは、四角形の断面形状を有する、組織性状診断プローブ。
【0101】
[0108]実施形態19:実施形態18に記載の組織性状診断プローブであって、サポートワイヤは、長方形の断面形状を有する、組織性状診断プローブ。
【0102】
[0109]実施形態20:実施形態6から19のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブであって、組織性状診断プローブ、または複数のそのような組織性状診断プローブは、実施形態1または2に記載のマルチアーム組織性状診断プローブに組み込まれる、組織性状診断プローブ。
【0103】
[0110]実施形態21:実施形態1から20のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブであって、標的組織の微細構造イメージングを与えるように構成されたイメージングアセンブリ、三次元解剖学的ワーキングスペース内の遠位先端の位置情報を与えるように構成された位置同定アセンブリ、および/または標的組織を治療するために遠位先端に配設された1つまたは複数の処置コンポーネントを有する処置アセンブリのうちの1つまたは複数をさらに備える、組織性状診断プローブ。
【0104】
[0111]実施形態22:実施形態21に記載の組織性状診断プローブであって、位置同定アセンブリは、遠位先端の位置同定のための手段を与えるように1つまたは複数の電極コンポーネント、磁気コンポーネント、光学コンポーネント、または他の位置同定コンポーネントを備える、組織性状診断プローブ。
【0105】
[0112]実施形態23:実施形態6から22のいずれか一項に記載の組織性状診断プローブと、照明ファイバに動作可能に結合された光源と、検出ファイバに動作可能に結合された1つまたは複数の分光計と、を備える組織性状診断システム。
【0106】
[0113]実施形態24:実施形態23に記載の組織性状診断システムであって、プローブは、約100μmよりも大きい深度以内で、例えば、約1mm、または約1.5mm、または約2mm、または約2.5mm、または約3mm、または約3.5mm、または約4mm、または約5mm、または約7.5mm、または約10mm、または約15mm、または約20mm、または約25mm、または約30mmまで組織を性状診断するように構成される、組織性状診断システム。
【0107】
[0114]実施形態25:組織性状診断システムを用意するステップと、遠位プローブ先端を標的とした解剖学的位置へ向けるステップと、標的とした解剖学的位置で、約100μmよりも大きい深度以内で、例えば、約1mm、または約1.5mm、または約2mm、または約2.5mm、または約3mm、または約3.5mm、または約4mm、または約5mm、または約7.5mm、または約10mm、または約15mm、または約20mm、または約25mm、または約30mmまでスペクトルを得るように組織性状診断プローブを動作させるステップと、スペクトルを分解して標的組織を性状診断するステップと、を含む、組織を性状診断する方法。
【0108】
[0115]実施形態26:実施形態25に記載の方法であって、標的組織は、心臓組織である、方法。
【0109】
[0116]実施形態27:実施形態26に記載の方法であって、標的とした解剖学的位置は、血を含んでいる鼓動する心臓である、方法。
【0110】
[0117]実施形態28:実施形態25から27のいずれか一項に記載の方法であって、組織性状診断システムは、実施形態3から5または23から24のいずれか一項に記載のシステムである、方法。
【0111】
[0118]実施形態29:実施形態25から28のいずれか一項に記載の方法であって、標的組織を性状診断するステップは、線維化、同種移植の受容または拒絶、心筋炎、アミロイドーシス、肥大、あるいは核密度のうちの1つまたは複数を検出、測定、または監視することを含む、方法。
【0112】
[0119]実施形態30:実施形態25から29のいずれか一項に記載の方法であって、標的組織を性状診断するステップは、標的組織の構成要素の体積分率、および/または心臓内の標的組織の構成要素の空間分布を決定することを含む、方法。
【0113】
[0120]実施形態31:実施形態25から30のいずれか一項に記載の方法であって、複数の目標位置で組織を性状診断するステップ、および性状診断を受けた組織の1つまたは複数のデータ点を得るステップと、データ取得の位置ごとに、三次元解剖学的ワーキングスペース内のプローブ先端の位置を決定することと、各データ点を解剖学的ワーキングスペース内のその対応する決定された位置と関連付けるステップと、データ点およびそれらの対応する位置に基づいて、組織微細構造の三次元マップを生成するステップと、をさらに含む方法。
【0114】
[0121]実施形態32:実施形態31に記載の方法であって、三次元マップは、線維化マップである、方法。
【0115】
[0122]実施形態33:実施形態31または32に記載の方法であって、複数の目標位置で組織を性状診断するステップは、複数の目標位置で同時の組織の性状診断を含む、方法。
【0116】
[0123]実施形態34:実施形態25から33のいずれか一項に記載の方法であって、スペクトルを分解して標的組織を性状診断するステップは、教師なし機械学習法を利用することを含む、方法。
【0117】
[0124]実施形態35:実施形態34に記載の方法であって、教師なし機械学習法は、クラスタ分析を含む、方法。
【0118】
[0125]実施形態36:実施形態35に記載の方法であって、クラスタ分析は、主成分分析(PCA)によるスペクトルの次元削減を含む、方法。
【0119】
[0126]実施形態37:実施形態36に記載の方法であって、クラスタ分析は、スペクトルの少なくとも第1および第2の主成分からの類似性を測定するステップを含む、方法。
【0120】
[0127]実施形態38:実施形態37に記載の方法であって、スペクトルの少なくとも第1および第2の主成分からの類似性は、ユークリッド距離に基づく、方法。
【0121】
[0128]実施形態39:実施形態25から33のいずれか一項に記載の方法であって、スペクトルを分解して標的組織を性状診断するステップは、教師あり機械学習法を利用することを含む、方法。
【0122】
[0129]実施形態40:実施形態39に記載の方法であって、教師あり機械学習法は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含む、方法。
【0123】
[0130]実施形態41:実施形態40に記載の方法であって、CNNは、組織内の散乱の事前測定のセットからのデータを用いて訓練および試験される、方法。
【0124】
[0131]実施形態42:実施形態40または41に記載の方法であって、CNNの訓練のためのバッチサイズは、50から300まで変わる、方法。
【0125】
[0132]実施形態43:実施形態40から42のいずれか一項に記載の方法であって、CNNの学習率は、0.0001から0.015まで変わる、方法。
【0126】
[0133]実施形態44:実施形態40から43のいずれか一項に記載の方法であって、CNNの畳み込みフィルタのカーネルサイズは、5から40まで変わる、方法。
【0127】
[0134]実施形態45:実施形態40から44のいずれか一項に記載の方法であって、CNNは、特定の波長範囲内のスペクトルから訓練され、および/または減少したサンプリングで訓練される、方法。
【0128】
結論
[0135]本開示のいくつかの実施形態は、特定の構成、パラメータ、コンポーネント、要素などを参照して詳細に説明されてきたが、説明は例示であり、権利主張される発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。さらに、説明された実施形態のコンポーネントの任意の所与の要素について、その要素またはコンポーネントについて記載された可能な代替のいずれかは、一般に、別段に暗黙的または明示的に定めがない限り、個々でまたは互いに組み合わされて使用することができると理解されたい。
【0129】
[0136]加えて、別段示されない限り、本明細書および特許請求の範囲に使用された量、構成要素、距離、または他の測定値を表す個数は、用語「約」またはその同義語によって適宜修正されると理解されたい。用語「約」、「およそ」、「実質的に」などが、述べた量または状態と共に使用されるとき、それは、述べた量、値、または状態の20%未満、10%未満、5%未満、または1%未満だけ逸脱する量、値、または状態を意味するようにとることができる。少なくとも、および特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効桁数の観点で、および通常の丸め手法の適用によって解釈されるべきである。
【0130】
[0137]本明細書中に使用されるいずれの見出しおよび小見出しは、組織的な目的のためにすぎず、本明細書または特許請求の範囲の範囲を限定するために使用されることを意味していない。文脈上別段明確に指示しない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数の指示対象を除外しないことにも留意されよう。したがって、例えば、単数形の指示対象(例えば、「機械装置」)に関する実施形態は、2つ以上のそのような指示対象を含むこともできる。
【国際調査報告】