(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】プローブの遠位端からの方向による医用画像上のカーソル位置の選択
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20230215BHJP
A61B 17/24 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B17/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537532
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2022-07-05
(86)【国際出願番号】 IB2020060835
(87)【国際公開番号】W WO2021123958
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
(72)【発明者】
【氏名】ビークラー・クリストファー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】グリナー・バディム
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM06
(57)【要約】
医用プローブ(21)は、患者の腔内に挿入されるように構成された管状の遠位端部分(22)を含み、遠位端部分(22)は、(a)遠位端部分の周りにわたって配置された視覚誘導オブジェクト(32)と、(b)互いに非平行に位置合わせされた2つのセンサーコイル(34a、34b)を含む磁場センサー(34)であって、センサーが、遠位端部分(22)に取り付けられ、(i)遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされたコイルの1つの第1対称軸と、(ii)遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされ、第1対称軸に平行ではない残りのコイルの第2対称軸と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の腔内に挿入されるように構成された管状の遠位端部分を含む医用プローブであって、前記遠位端部分は、
前記遠位端部分の周りにわたって配置された視覚誘導オブジェクトと、
互いに非平行に位置合わせされた2つのセンサーコイルを含む磁場センサーであって、前記センサーが、前記遠位端部分に取り付けられ、
前記遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされた前記コイルの1つの第1対称軸と、
前記遠位端部分の前記中心縦軸に垂直に位置合わせされ、前記第1対称軸に平行ではない残りの前記コイルの第2対称軸と、を有する、磁場センサーと、を含む、医用プローブ。
【請求項2】
前記視覚誘導オブジェクトは、誘導バンプを含む、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記視覚誘導オブジェクトは、前記遠位端部分の前記周りの1つ以上の色付きの傾斜部分を含む、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記2つのセンサーコイルは、相互に直交する、請求項1に記載のプローブ。
【請求項5】
システムであって、
患者の腔内に挿入されるように構成された管状の遠位端部分を含むプローブであって、前記遠位端は、
前記遠位端の遠位エッジの周りにわたって配置された視覚誘導オブジェクトと、
互いに非平行に位置合わせされた2つのセンサーコイルを含む磁場センサーであって、前記センサーが、前記遠位端部分に取り付けられ、
前記遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされた前記コイルの1つの第1対称軸と、
前記遠位端部分の前記中心縦軸に垂直に位置合わせされ、前記第1対称軸に平行ではない残りの前記コイルの第2対称軸と、を有する、磁場センサーと、を含む、プローブと、
磁気追跡システムのプロセッサであって、
前記磁場センサーコイルから受信した信号を使用し、前記患者の前記腔内の前記遠位端の位置、方向、及び回転配向を計算し、
前記測定された位置を医用画像に位置合わせし、
前記計算された方向と回転配向を使用し、前記医用画像で、
前記中心縦軸の方向に沿った第1位置、及び
前記計算された位置から前記オブジェクトまでの方向に沿った第2位置、を見つけ、
前記医用画像の前記第1位置と前記第2位置との間でカーソルを切り替える、ように構成された、磁気追跡システムのプロセッサと、を備える、システム。
【請求項6】
前記視覚誘導オブジェクトは、誘導バンプである、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記遠位端部分の前記遠位エッジの前記周りにわたった色付きの傾斜部分を含み、前記第2対称軸に対する前記色付きの傾斜部分の既知の配向に基づいて、前記プロセッサは、前記腔内に挿入された内視鏡を使用して表示された前記色付きの傾斜部分のいずれかとして前記オブジェクトを定義し、それに応じて前記医用画像の前記第1位置と前記第2位置との間でカーソルを切り替えるように更に構成されている、請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、医用プローブに関し、特に、耳鼻咽喉科(ear-nose-throat、ENT)用ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
器官の腔内部の侵襲性プローブを誘導して組織を標的化する技術は、以前に特許文献で提案されている。例えば、米国特許出願公開第2019/0090959号は、車載ツール追跡(on-board tool tracking、OTT)システムを利用したコンピュータ支援手術(computer aided surgery、CAS)に関連するいくつかの改善について説明する。いくつかの改善は、CASモードに応じて処理されたデータの速度とタイプを含む処置の効率若しくは品質、又はその両方を向上するために、処置中にフィードバックを提供する方法に関連する。一実施形態では、OTT CAS処置中にナビゲーション支援を提供するために、OTT装置は、手術野内の関連する手術道具の位置を監視する。OTT CASシステムは、行われたOTT CAS処置の要件に応じて、1つ以上の位置センサー又は1つ以上の基準マーカーを含む、1つ以上の座標系を使用しない可能性がある。
【0003】
別の例として、米国特許出願公開第2016/0183841号は、患者の解剖学的構造内の標的位置を処理することと、患者の解剖学的構造内の第1位置で介入器具の先端部分の位置を受け取ることと、を含む、患者の解剖学的構造内の介入器具を誘導する方法を記載する。この方法はまた、第1位置と標的の位置との間の3次元距離を決定することと、標的位置を表す記号及び介入器具の先端部分を表す記号を表示することとを含む。一実施形態では、遠位の先端部分の機構の回転配向はまた、ナビゲーション支援画像によって回転補助記号で表示され得る。例えば、生検器具に側方開口部がある場合、開口部のある側は、ナビゲーション支援画像に回転補助記号で示され得る。
【0004】
米国特許出願公開第2007/0208252号は、副鼻腔炎及び副鼻腔、耳、鼻又は喉の他の障害を治療するための様々な処置を含む、画像誘導介入及び外科的処置を実行するための装置、システム並びに方法を記載する。いくつかの用途では、術前の断層撮影スキャン(例えば、CTスキャン)が取得され得、そして画像誘導システムは、断層画像に示された解剖学的構造に対する作業装置の位置のリアルタイム指示(例えば、十字線、照明ドットなど)と共に、断層画像をビデオモニタに表示するようにプログラムすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、患者の腔内に挿入されるように構成された管状の遠位端部分を含む医用プローブであって、遠位端部分は、(a)遠位端部分の周りにわたって配置された視覚誘導オブジェクトと、(b)互いに非平行に位置合わせされた2つのセンサーコイルを含む磁場センサーであって、センサーが、遠位端部分に取り付けられ、(i)遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされたコイルの1つの第1対称軸と、(ii)遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされ、第1対称軸に平行ではない残りのコイルの第2対称軸とを、有する、磁場センサーと、を含む、医用プローブを備える。
【0006】
いくつかの実施形態では、視覚誘導オブジェクトは、誘導バンプを含む。他の実施形態では、視覚誘導オブジェクトは、遠位端部分の周りの1つ以上の色付きの傾斜部分を含む。
【0007】
一実施形態では、2つのセンサーコイルは互いに直交する。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、磁気追跡システムのプローブ及びプロセッサを含むシステムが更に提供される。プローブは、患者の腔内に挿入されるように構成された管状の遠位端部分を含み、(a)遠位端部分の周りにわたって配置された視覚誘導オブジェクトと、(b)互いに非平行に位置合わせされた2つのセンサーコイルを含む磁場センサーであって、センサーが、遠位端部分に取り付けられ、(i)遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされたコイルの1つの第1対称軸と、(ii)遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされ、第1対称軸に平行ではない残りのコイルの第2対称軸とを有する、磁場センサーとを含む。磁気追跡システムのプロセッサは、(a)磁場センサーコイルから受信した信号を使用し、患者の腔内の遠位端の位置、方向、及び回転配向を計算し、(b)測定された位置を医用画像に位置合わせし、(c)計算された方向と回転配向を使用し、医用画像で中心縦軸の方向に沿った第1位置と、計算された位置からオブジェクトまでの方向に沿った第2位置、を見つけ、(d)医用画像の第1位置と第2位置との間でカーソルを切り替える、ように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、システムは、遠位端部分の遠位エッジの周りにわたった色付きの傾斜部分を含み、第2対称軸に対する色付きの傾斜部分の既知の配向に基づいて、プロセッサは、腔内に挿入された内視鏡を使用して表示された色付きの傾斜部分のいずれかとしてオブジェクトを定義し、それに応じて医用画像の第1位置と第2位置との間でカーソルを切り替えるように更に構成されている。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、患者の器官の医用画像上でカーソルを切り替えるための方法が更に提供され、この方法は、プローブの管状の遠位端部分を患者の器官の腔内に挿入することを含み、ここで、遠位端部分は、(a)遠位端部分の周りにわたって配置された視覚誘導オブジェクトと、(b)互いに非平行に位置合わせされた2つのセンサーコイルを含む磁場センサーであって、センサーが、遠位端部分に取り付けられ、(i)遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされたコイルのうち1つの第1対称軸と、(ii)遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされ、第1対称軸に平行ではない残りのコイルの第2対称軸と、を有する、磁場センサーと、を含む。磁場センサーコイルから受信した信号を使用し、患者の腔内の遠位端の位置、方向、及び回転配向を計算する。測定された位置を医用画像に位置合わせする。計算された方向と回転配向を使用し、医用画像で見つけられたのは、中心縦軸の方向に沿った第1位置、及び計算された位置からオブジェクトまでの方向に沿った第2位置である。医用画像の第1位置と第2位置との間でカーソルを切り替える。
【0011】
いくつか実施形態では、この方法は、腔内に挿入された内視鏡を使用して表示された、遠位端部分の遠位エッジの周りにわたった複数の色付きの傾斜部分のうちの1つの色付きの傾斜部分としてオブジェクトを定義することを含む。それに応じて、第2対称軸に対する色付きの傾斜部分の既知の配向に基づいて、医用画像の第1位置と第2位置との間でカーソルを切り替える。
【0012】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による、本発明の実施形態による、耳鼻咽喉科(ear-nose-throat、ENT)用システムの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、
図1で使用される耳鼻咽喉科(ear-nose-throat、ENT)用ツールの遠位端の側面図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による、耳鼻咽喉科(ear-nose-throat、ENT)用ツールの遠位端の上面図である。
【
図4】本発明の実施形態による、
図2及び
図3のENT用ツールの要素の実装を示す、耳鼻咽喉科(ear-nose-throat、ENT)用ツールの遠位端の斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態による、
図2の耳鼻咽喉科(ear-nose-throat、ENT)用ツールの遠位端を使用し、医用画像上の位置間でカーソルを切り替えるための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概論
誘導システムで使用された耳鼻咽喉科(ear-nose-throat、ENT)用プローブなどのプローブの遠位端部分は、患者の腔の3Dビュー(例えば、医用画像)で位置のカーソル(即ち、ポインタ)として視覚的に使用されるために追跡され得る。例えば、ENT用吸引ツール又はシェーバーは、TruDi(商標)ENT追跡システム(カリフォルニア州、アーバイン、Acclarent社製)でこのように使用され得る。医用画像は、例えば、CT又はMRI画像から生成され得る。
【0015】
プローブ(例えば、ENT用吸引装置)の遠位端部分は、遠位端に取り付けられた磁気センサーを使用して追跡され得、追跡された位置は、遠位端の中心縦軸(例えば、吸引ツールの吸引開口部の中心)の方向に沿って医用画像上の位置に投影される。このように、医師は、ツール自体から遠位に「表示した」ように、医用画像(ディスプレイ上)上のカーソル位置を見ることができる。
【0016】
しかし、いくつかの臨床処置では、中心縦軸の方向に沿って投影された画像位置と、プローブの遠位端の遠位エッジの周りにわたって配置された視覚誘導オブジェクトに対応する別の画像位置との間で画像カーソルを切り替えることは、ユーザにとって好ましい場合がある。別の画像位置は、例えば、医師が位置追跡システムのユーザインターフェースを使用し、プローブの遠位端の遠位エッジの中心及び周りの追跡位置に配置した仮想十字線を介してツールから遠位に表示したように交換可能に表示される。
【0017】
以下で説明される本発明の実施形態は、ユーザが、上記の2つの異なる方向に沿って追跡位置を投影することによって受信された医用画像位置間で3Dビュー(例えば、医用画像)上に表示されたカーソルを切り替えることを可能にする手段を提供する。一実施形態では、追跡されたオブジェクトは、以下で説明するように、誘導バンプである。別の実施形態では、管状の遠位端部分(例えば、リボルバー)の遠位エッジは、十字線を配置する部分のユーザ決定に基づいてそれぞれが追跡され得る複数の傾斜部分(例えば、4つの象限)を示すために色付けられる。
【0018】
腔内に挿入された内視鏡(例えば、耳鏡)からのビデオ画像を使用し、医師はリアルタイムでバンプ又は傾斜部分の少なくとも一部を見ることができ、ツールに影響を与えないように標的組織及び近くの組織(例えば、脳組織)を見ることができる。オブジェクトに対する色付きの傾斜部分の既知の配向に基づいて、プロセッサは、内視鏡を使用して表示された色付きの傾斜部分のいずれかとしてオブジェクトを再定義し、それに応じて医用画像上のカーソルを切り替える。
【0019】
典型的には、医療処置の開始時に、医用画像と磁気追跡システムの座標系を位置合わせする。センサーの位置、方向、及び角度配向は、システムによって追跡されるため、追跡された様々な位置に十字線を配置でき、従って、上記のように、医用画像上のカーソルを中心方向と傾斜方向との間で切り替えることができる。
【0020】
開示された技術により、医師は、例えば、ENT吸引などの治療手段を実行するために、ツールの遠位エッジを位置、方向、及び回転配向に最適に位置合わせし、ENT用ツールの遠位エッジを標的の体内位置に向ける。
【0021】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、本発明の実施形態による、耳鼻咽喉科(ear-nose-throat、ENT)用システム20の概略図である。以下の説明では、システム20のENT用ツール21は、患者28の副鼻腔で吸引手段を実行するために使用されると想定されるが、ツールは、患者に対して他の手段を実行するために使用され得ることが理解される。
【0022】
以下で説明するように、一実施形態では、ツール21は、ツール21の遠位端(遠位端及び
図2に記載のセンサー)に取り付けられた傾斜二軸磁気センサー34を含み、これは、処置中に磁気追跡システム23によって追跡される。システム20で追跡を有効にするために、医用画像60、例えば、患者28のコンピュータ断層撮影(CT)画像、及び磁気追跡システム23の座標系を位置合わせする。一方で、CT画像60は、典型的には、磁気共鳴画像法(MRI)の画像又は透視画像を含み得、本明細書の説明では、画像は、例えば、透視CT画像を含むと想定される。
【0023】
副鼻腔手術の前及び最中に、磁気追跡システムに含まれる磁気放射体アセンブリ24は、患者の頭部の下に配置される。アセンブリ24は磁場放射体26を含み、磁場放射体26は、定位置に固定され、患者28の頭部が位置する領域30に交流磁場を送信する。磁場に応答し、領域30のセンサー34によって生成された電位は、磁気追跡システムの座標系におけるその位置、方向、及び角度配向を測定できる。
【0024】
例として、アセンブリ24の5つの放射体26は、患者28の頭部の周りに、ほぼ蹄鉄形に配置される。しかし、アセンブリ24の放射体に関する代替的な構成を使用でき、そのような全ての構成は、本発明の範囲内に含まれると想定される。
【0025】
処置の前に、磁気追跡システムの座標系のCT画像への位置合わせは、患者の鼻の先など、画像の既知の位置に磁気センサーを配置することによって実行できる。しかしながら、座標系を位置合わせするための任意の他の便利なシステムを使用してもよい。
【0026】
システム20の要素は、システムプロセッサ40の全体的な制御下にある。プロセッサ40は、コンソール50に装着されてよく、このコンソールは、マウス又はトラックボールなどのキーパッド及び/又はポインティングデバイスを通常、含む、操作制御部58を備えている。コンソール50は、無線で及び/又は1本以上のケーブルを介して、放射体26及びセンサー34に接続される。医師54は、動作制御装置58を用いて、システム20を用いるENT処置を実行しつつ、プロセッサと相互作用する。処置を実行する時、プロセッサは、画面56上の医用画像60上にカーソル15を示し、医師が遠位端を副鼻腔内の標的組織位置に誘導することを支援する。
【0027】
プロセッサ40は、メモリ42内に記憶されたソフトウェアを用いてシステム20を操作する。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、プロセッサ40に電子形態でダウンロードすることができ、代替的に若しくは追加的に、ソフトウェアは、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体で提供し、かつ/又は保存することができる。
【0028】
バンプの方向と中心の方向に従って、医用画像上の位置間でカーソルを切り替える。
図2は、本発明の実施形態による、
図1で使用される耳鼻咽喉科(ear-nose-throat、ENT)用ツール21の遠位端部分22の側面図である。遠位端部分22は、その2つのコイル(34a、34b)が互いに非平行に位置合わせされる二軸コイルセンサー34を含む。コイル34a及び34bの両方は、それらの対称軸(340a、340b)が、遠位端の中心軸の方向44に対して垂直に位置合わせされる。システム20の磁場の方向に対する遠位端の任意の所与の方向、及び軸44の周りの任意のロール角について、二軸センサー34は、システム20が傾斜方向33及び中心縦軸の方向44を見つけ、以下に説明する方向を使用することができる。
【0029】
ツール21を挿入すると、ツールの遠位端部分22は、典型的には空気中にあり、即ち、解剖学的構造のCT画像205などの医用画像の3つの平面におけるゼロのハウンズフィールドユニット(Hounsfield Unit、HU)値に対応する、概略的に図示された解剖学的構造100の腔領域200内にある。医療処置中、リボルバーは、内視鏡(図示せず)で便利に観察され、内視鏡は、通常、ビデオ画像を取得して表示するために医師によって操作されるため、医師は、解剖学的構造100に対するリボルバーの位置を見ることができる。
図2に示すように、解剖学的構造100は、医師が内視鏡で見たい表面位置62及び64の解剖学的特徴を含む。
【0030】
示された実施形態では、プロセッサは、センサー34の位置を、追跡された中心位置11及び遠位端部分22の遠位エッジの周りにわたったバンプ32位置によって定義された方向に解剖学的構造に投影する。示された実施形態では、位置11、32は、それぞれ方向33、44を定義する。CT画像205及び磁気追跡システムの座標系が位置合わせするため、プロセッサ40は、遠位端22によって実際に向けられた解剖学的位置を使用し、画像205上の一致する位置をカーソルでマークすることができる。従って、追跡システムは、これらの目的でENT用ツールを向ける医師が解決したい視覚的に見た位置62及び64を、CT画像205の3つの平面内のそれぞれの位置202及び204に関連する。
【0031】
解剖学的構造に関連するツールの方向33又は44を選択するために、医師は、ユーザインターフェースを使用し、仮想十字線102及び104をそれぞれ位置11及び32などの位置に配置する。医師は、十字線を遠位の周りにわたった他の任意の傾斜位置に動かすことができ、その結果、カーソルは、CT画像205上の位置62以外の位置をマークする。従って、医師は、医用画像上のカーソルを、ツール上の事前に選択された十字線の位置102又は104に一致する第1位置302と第2位置304との間で切り替え、そのため、解剖学的位置62又は64をそれぞれ方向33及び44から見ることができる。
【0032】
遠位端部分22の異なる部分によってそれぞれ指し示す実際の解剖学的位置62及び64に対応し、その中の位置302及び304の間のCT画像205の平面でカーソルを切り替え、それにより、医師は、マークされた組織の位置でのツールの使用をより適切に制御できる。
【0033】
CT画像205の平面上に常に単一のカーソルのみが示され、
図2の位置302及び304の両方のカーソルを示すことは、単に、(ソフトウェアによって)十字線102及び104に配置するための医療ツール上の選択された位置に従ってカーソルの切り替えを説明するために行われることに留意されたい。
【0034】
磁気ナビゲーションシステムは更に、最も近い組織の位置(例えば、位置62若しくは64)がバンプ32又は中心位置11からどれだけ離れるかを医師に伝えることができる。プロセッサは、医師が近接性を評価することを支援するために、ツール上の選択された追跡位置から最も近い組織領域(ゼロ以外のHU値を有する領域)までの距離を表示することができる。
【0035】
傾斜部分の方向に従って、医用画像上の位置間でカーソルを切り替える。
図3は、本発明の別の実施形態による、耳鼻咽喉科(ear-nose-throat、ENT)用ツールの遠位端部分122の上面図である。示された実施形態では、二軸磁気センサー34は、
図2と同じである。
【0036】
図3に示すように、遠位端122のリボルバーは、象限48に視覚的にマークされる(例えば、色付けられる)。示された実施形態では、色付きの象限48の1つは方向55aを定義し、色付きの象限48の別の1つは方向55bを定義する。遠位端の既知の形状に基づいて、センサー24を使用し、十字線は、位置追跡象限48のいずれかに配置され得、ここで、示された実施形態では、医師は、方向55a及び55bをそれぞれ定義する象限位置に十字線112及び114を配置する。上記のように、3つの平面のCT画像305などの位置合わせされた医用画像に表示されるカーソルは、それぞれ対応する位置302及び304の間で切り替えることができる。更に、医用画像の各平面に常に1つのカーソルしか表示されないことに留意されたい。
【0037】
内視鏡でリボルバーを観察する時、医師は異なる象限を切り替えることができるため、医師が十字線を付けるために選択した傾斜部分に対応する位置と方向に3Dビューのカーソルを選択する。例えば、医師の選択に基づいて、プロセッサ40は、象限48の1つを選択し、その象限上に配置された十字線(102)を介して方向55aに沿って投影された、解剖学的構造101の領域301内の解剖学的位置67に対応する医用画像上の位置302にカーソルを向けさせ、又は別の象限に見られるように配置された(104)十字線104を介して方向55bに沿って投影された、非ゼロのHUを有する解剖学的構造101の領域301内の解剖学的位置68に対応する医用画像上の位置304にカーソルを向けさせることができる。
【0038】
プローブのハードウェア実装
図4は、本発明の実施形態による、
図2及び3のENT用ツールの要素の実装を示す、耳鼻咽喉科(ear-nose-throat、ENT)用ツール211の遠位端部分222の斜視図である。遠位端部分222のそのような斜視図は、前述の内視鏡によって撮影されたビデオ画像の一部であり得る。
【0039】
示された実施形態では、横二軸センサー134のコイル34a及び34bは、それらの対称軸340a及び340bがそれらの間の角度αを有するように形成される。軸は、互いに非平行であり、典型的に、直交に近い(示された実施形態ではα~120度)。二軸センサー34は、軸44(
図2に示す)の周りの遠位端22の回転配向に従って、異なるセットの電圧信号を提供するように構成される。
【0040】
センサー134などの遠位端に多軸磁気センサーを形成することは、本特許出願の譲受人に割り当てられた、三次元(3D)形状に形成されたフレキシブル基板を含む位置センサーを記載する米国特許出願公開第2018/0228392号に記載される。ここで、少なくとも第1磁場感知コイル及び第2磁場感知コイルが、このフレキシブル基板の第1層及び第2層内にそれぞれ形成され、それにより、3D形状において、第1磁場感知コイル及び第2磁場感知コイルはそれぞれ、互いに非平行の第1軸及び第2軸を有する。
【0041】
図4はまた、遠位端22(即ち、リボルバー)上に視覚的にマークされた(例えば、色付けられた)前述の誘導バンプ32及び傾斜部分48(例えば、象限48)を視覚化する。
【0042】
カーソル位置の処置の切り替え
図5は、本発明の別の実施形態による、
図2の耳鼻咽喉科(ear-nose-throat、ENT)用ツール21の遠位端部分22を使用し、医用画像上の位置間でカーソルを切り替えるための方法のフローチャートである。プロセスは、最初のステップ70から始まり、ここで、磁気追跡システム23の座標系と、患者28のCT画像から得られたような医用画像が、上記のように位置合わせされる。医用画像との位置合わせを実行するために、磁気追跡システム23が作動され、上記のように、二軸センサー34の位置、方向、及び角度配向を追跡するために使用される。追跡は、リアルタイムに更新されると想定される。
【0043】
挿入ステップ72では、医師54は、ツール21の遠位端部分22を患者28の鼻孔に挿入する。挿入されると、センサー34からの信号を使用し、プロセッサ40は、範囲検出ステップ74では、ツール21の遠位端部分22に位置する仮想十字線から、患者28の最も近い内部要素の医用画像上の位置を見つける。
【0044】
次に、カーソル配置ステップ76では、プロセッサ40は、ツール21の遠位端部分22の指定された位置に患者28の最も近い内部要素を指し示すように、医用画像上にカーソルを配置する。
【0045】
カーソル切り替えステップ78では、医師54は、ツール21の遠位端部分22上の2つの追跡された位置に配置された十字線に対応する2つの画像化された位置間で医用画像上のカーソルを切り替える。医師が遠位端を動かすと、破線の矢印で示されるように、プロセスが繰り返され、医師が装置を動かしたりカーソルを切り替えたりする時、医用画像上のカーソル位置が変化する。
【0046】
図5に示されたフローチャートの例は、単に概念を明確にするために選択されたものである。
図5は、本発明の実施形態に関連するステップのみを示す。ツール21の遠位端部分22上の中心11及びバンプ32以外の追跡位置を選択して十字線を付け、続いて医用画像上の新たに選択されたそれぞれの位置間でカーソルを切り替えるなどの他のステップは省略される。
【0047】
本明細書に記載の実施形態は主にENTの用途に対処するが、本明細書に記載の方法及びシステムは、心臓、神経、又は眼の用途などの他の用途にも使用できる。
【0048】
したがって、上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記に具体的に示し、かつ説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0049】
〔実施の態様〕
(1) 患者の腔内に挿入されるように構成された管状の遠位端部分を含む医用プローブであって、前記遠位端部分は、
前記遠位端部分の周りにわたって配置された視覚誘導オブジェクトと、
互いに非平行に位置合わせされた2つのセンサーコイルを含む磁場センサーであって、前記センサーが、前記遠位端部分に取り付けられ、
前記遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされた前記コイルの1つの第1対称軸と、
前記遠位端部分の前記中心縦軸に垂直に位置合わせされ、前記第1対称軸に平行ではない残りの前記コイルの第2対称軸と、を有する、磁場センサーと、を含む、医用プローブ。
(2) 前記視覚誘導オブジェクトは、誘導バンプを含む、実施態様1に記載のプローブ。
(3) 前記視覚誘導オブジェクトは、前記遠位端部分の前記周りの1つ以上の色付きの傾斜部分を含む、実施態様1に記載のプローブ。
(4) 前記2つのセンサーコイルは、相互に直交する、実施態様1に記載のプローブ。
(5) システムであって、
患者の腔内に挿入されるように構成された管状の遠位端部分を含むプローブであって、前記遠位端は、
前記遠位端の遠位エッジの周りにわたって配置された視覚誘導オブジェクトと、
互いに非平行に位置合わせされた2つのセンサーコイルを含む磁場センサーであって、前記センサーが、前記遠位端部分に取り付けられ、
前記遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされた前記コイルの1つの第1対称軸と、
前記遠位端部分の前記中心縦軸に垂直に位置合わせされ、前記第1対称軸に平行ではない残りの前記コイルの第2対称軸と、を有する、磁場センサーと、を含む、プローブと、
磁気追跡システムのプロセッサであって、
前記磁場センサーコイルから受信した信号を使用し、前記患者の前記腔内の前記遠位端の位置、方向、及び回転配向を計算し、
前記測定された位置を医用画像に位置合わせし、
前記計算された方向と回転配向を使用し、前記医用画像で、
前記中心縦軸の方向に沿った第1位置、及び
前記計算された位置から前記オブジェクトまでの方向に沿った第2位置、を見つけ、
前記医用画像の前記第1位置と前記第2位置との間でカーソルを切り替える、ように構成された、磁気追跡システムのプロセッサと、を備える、システム。
【0050】
(6) 前記視覚誘導オブジェクトは、誘導バンプである、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記遠位端部分の前記遠位エッジの前記周りにわたった色付きの傾斜部分を含み、前記第2対称軸に対する前記色付きの傾斜部分の既知の配向に基づいて、前記プロセッサは、前記腔内に挿入された内視鏡を使用して表示された前記色付きの傾斜部分のいずれかとして前記オブジェクトを定義し、それに応じて前記医用画像の前記第1位置と前記第2位置との間でカーソルを切り替えるように更に構成されている、実施態様5に記載のシステム。
(8) 患者の器官の医用画像上でカーソルを切り替える方法であって、
プローブの管状の遠位端部分を患者の器官の腔内に挿入することであって、前記遠位端は、
前記遠位端の遠位エッジの周りにわたって配置された視覚誘導オブジェクトと、
互いに非平行に位置合わせされた2つのセンサーコイルを含む磁場センサーであって、前記センサーが、前記遠位端部分に取り付けられ、
前記遠位端部分の中心縦軸に垂直に位置合わせされた前記コイルの1つの第1対称軸と、
前記遠位端部分の前記中心縦軸に垂直に位置合わせされ、前記第1対称軸に平行ではない残りの前記コイルの第2対称軸と、を有する、磁場センサーと、を含む、ことと、
前記磁場センサーコイルから受信した信号を使用し、前記患者の前記腔内の前記遠位端の位置、方向、及び回転配向を計算することと、
前記測定された位置を医用画像に位置合わせすることと、
前記計算された方向と回転配向を使用し、前記医用画像で、
前記中心縦軸の方向に沿った第1位置、及び
前記計算された位置から前記オブジェクトまでの方向に沿った第2位置、を見つけることと、
前記医用画像の前記第1位置と前記第2位置との間でカーソルを切り替えることと、を含む、方法。
(9) 前記オブジェクトは、誘導バンプである、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記腔内に挿入された内視鏡を使用して表示された前記遠位端部分の遠位エッジの周りにわたった複数の色付きの傾斜部分のうちの1つの色付きの傾斜部分として前記オブジェクトを定義することと、それに応じて、前記第2対称軸に対する前記色付きの傾斜部分の既知の配向に基づいて、前記医用画像の前記第1位置と前記第2位置との間でカーソルを切り替えることと、を含む、実施態様8に記載の方法。
【国際調査報告】