(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】磁化可能な基板の基板表面の加工中に磁化可能な基板を保持するための保持装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/15 20060101AFI20230215BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20230215BHJP
B23P 15/28 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
B23Q3/15 A
B23Q7/04 K
B23P15/28 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537645
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2020086512
(87)【国際公開番号】W WO2021122810
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】102019135182.0
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051691
【氏名又は名称】エリコン・サーフェス・ソリューションズ・アクチェンゲゼルシャフト,プフェフィコーン
【氏名又は名称原語表記】OERLIKON SURFACE SOLUTIONS AG, PFAEFFIKON
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】シーベルト,マックス
(72)【発明者】
【氏名】ヘーベリンク,クリストフ
【テーマコード(参考)】
3C016
3C033
【Fターム(参考)】
3C016GA01
3C033HH26
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの基板表面、特に機械加工すべき磁化可能な工具、の機械加工中に磁化可能な基板(8)を保持するための保持装置(2)に関する。保持装置(2)は、端部に配置されて、磁場を形成することによって当該端部において基板(8)を固定するための磁気保持ユニット(4)と、保持ユニット(4)上に配置されて基板(8)を収容するための収容ユニット(6)と、収容ユニット(6)内に配置されて基板(8)を案内および遮蔽するための交換可能なアダプタユニット(10)とを備える。アダプタユニット(10)は、基板(8)を通すための少なくとも1つの凹部(12)を有し、基板(8)は、凹部(12)によって横方向に支持された態様で保持装置(2)内に固定可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、機械加工すべき磁化可能な工具の少なくとも1つの基板表面の機械加工中、磁化可能な基板(8)を保持するための保持装置(2)であって、
- 端部に配置されて、磁場を発生させることにより前記端部において前記基板(8)を固定するための磁気保持ユニット(4)と、
- 前記磁気保持ユニット(4)上に配置されて、前記基板(8)を収容するための収容ユニット(6)と、
- 前記収容ユニット(6)内に配置されて、前記基板(8)を案内および遮蔽するための交換可能なアダプタユニット(10)とを備え、
前記アダプタユニット(10)は、前記基板(8)を通すための少なくとも1つの凹部(12)を有し、
前記基板(8)は、前記凹部(12)によって横方向に支持された態様で前記保持装置(2)内に固定可能である、保持装置(2)。
【請求項2】
前記収容ユニット(6)は、中空円筒状に形作られており、基板(8)を前記収容ユニット(6)内において中央に配置することができるように前記交換可能なアダプタユニット(10)および前記磁気保持ユニット(4)に対して配置される、請求項1に記載の保持装置(2)。
【請求項3】
前記収容ユニット(6)は、前記基板に接触させるための凹部(14)を有し、前記凹部(14)は、好ましくは、前記収容ユニット(6)内において対称的に配置されており、特に、長手方向側に配置された切欠きの形状に形成されている、請求項1または2に記載の保持装置(2)。
【請求項4】
前記交換可能なアダプタユニット(10)は、前記基板(8)を案内するための少なくとも1つの案内要素(16)を有し、前記基板(8)を通すための前記凹部(12)は前記案内要素内に配置されており、前記基板(8)を通すための前記凹部(12)は、好ましくは、前記案内要素(16)内において中央に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項5】
前記案内要素(16)は、平坦な部品の形状で、特に案内ディスクの形状で、形成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項6】
前記案内要素(16)は、2mm未満の材料厚さ、好ましくは1.5mm~1mmの材料厚さを有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項7】
前記交換可能なアダプタユニット(10)は、前記基板(8)を案内するための少なくとも1つの第2の案内要素(16′)を有し、前記第2の案内要素(16′)は、好ましくは、前記基板(8)を通すための凹部(12)が中央に配置されており、前記凹部は、前記案内要素(16)内において特に中央に配置されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項8】
前記第2の案内要素(16′)は、前記第1の案内要素(16)から距離を空けて配置されており、特に前記第1の案内要素と合致するように配置されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項9】
前記交換可能なアダプタユニット(10)は、前記基板(8)を案内するための3つ以上の案内要素(16、16′)、特に4つ以上の案内要素(16、16′)を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項10】
前記交換可能なアダプタユニット(10)は、案内要素(16)を離間させるための離間要素(18)を有し、前記離間要素(18)は、好ましくは、前記案内要素(16)上に直接、特に第1の案内要素(16)と第2の案内要素(16′)との間に直接、配置されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項11】
前記離間要素(18)は、第1の案内要素(16)および/または第2のもしくはさらに別の案内要素(16′)に圧力嵌めさせるためのおよび/または形状をぴったりと嵌合させるための複数の接続片(17)を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項12】
前記離間要素(18)は、前記基板(8)に接触させるための凹部(14)を有し、前記凹部(14)は、好ましくは、前記収容ユニット(6)内において対称的に配置され、特に、長手方向側に配置された切欠きの形状で形成される、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項13】
前記離間要素(18)は、中空円筒状に形作られており、前記収容ユニット(6)内に対称的に配置されており、好ましくは、前記離間要素(18)の凹部(14)が前記収容ユニット(6)の凹部(14)と少なくとも部分的に、特に完全に重なり合うように前記収容ユニット(6)内に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項14】
前記交換可能なアダプタユニット(10)は、前記交換可能なアダプタユニット(10)を前記収容ユニット(6)内に固定するための固定要素(20)を有し、前記固定要素(20)は、好ましくは、ばね要素の形状で、特に締付けリングの形状で形成される、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項15】
前記磁気保持ユニット(4)は、前記磁気保持ユニット(4)内に完全に封入される磁石(22)を有し、前記磁石(22)は、特に永久磁石の形態で形成される、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項16】
前記永久磁石(22)は、少なくとも0.5mmの材料厚さの前記磁気保持ユニット(4)が、前記永久磁石(22)と前記磁気保持ユニット(4)上に直接配置された前記収容ユニット(6)との間に配置されるように、前記磁気保持ユニット(4)内に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項17】
前記保持装置(2)の内側に配置することのできる前記基板(8)を保護するための保護カバー(24)が設けられ、前記保護カバー(24)は開口部(26)を有し、前記開口部(26)を介して、前記保護カバー(24)を好ましくは前記端部において前記磁気保持ユニット(4)に締結することができ、特に、前記磁気保持ユニット(4)に形状をぴったりと嵌合させて、および/または圧力嵌めで、締結することができる、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項18】
前記保護カバー(24)は、前記保持装置(2)において配置可能な基板(8)の向きを検出するための第2の開口部(26′)を含み、前記第2の開口部(26′)は、好ましくは、前記開口部(26)の反対側に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項19】
前記保護カバー(24)は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、プラスチックから形成されており、前記プラスチックは、特にポリエチレンおよび/またはポリ塩化ビニルおよび/またはポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリスチレンの形態で形成される、先行する請求項のいずれか1項に記載の保持装置(2)。
【請求項20】
複数の基板(8)を搬送および/または加工するためのシステム(1)であって、
- 請求項1から22のいずれか1項に記載の基板(8)を保持するための複数の保持装置(2)と、
- 前記複数の保持装置(2)を収容するための収容ユニット(30)とを備え、
前記複数の保持装置(2)は、基板(8)を別々に収容するとき、いずれの場合も、収容された前記複数の基板(8)を保持装置(2)内において一緒に搬送および/または一緒に加工することができるように、前記収容ユニット(30)内に配置される、システム(1)。
【請求項21】
前記収容ユニット(30)は、前記保持装置(2)を収容するための複数の収容要素(32)を備えたバスケットの形状で形成され、前記保持装置(2)は、好ましくは、前記収容要素(32)において形状をぴったりと嵌合させた態様で、および/または圧力嵌めの態様で、締結される、請求項20に記載のシステム(1)。
【請求項22】
前記収容ユニット(30)を収容するための搬送ボックス(34)が設けられ、前記収容ユニット(30)は、減衰要素(36)によって前記搬送ボックス(34)内に固定することができ、前記減衰要素(36)は、好ましくは発泡体インサートの形態で形成される、請求項20または21に記載のシステム(1)。
【請求項23】
前記収容ユニット(30)の前記保持装置(2)内に配置された前記基板(8)を加工するために、特にコーティングするために前記収容ユニット(30)をx方向、y方向およびz方向に並進させるための回転可能な並進ユニットが設けられる、請求項20に記載のシステム(1)。
【請求項24】
複数の基板(8)を搬送および/または加工するための方法であって、
- 複数の基板(8)の各々を1つの保持装置(2)に保持するステップ(50)と、
- 各々が基板(8)を備えた前記複数の保持装置(2)を収容するために前記複数の保持装置(2)を収容ユニット(30)に収容するステップ(52)と、
- 収容された前記複数の基板(8)を一緒に搬送および/または一緒に加工するステップ(54)とを含む、方法。
【請求項25】
前記保持装置(2)は、前記基板(8)を一緒に搬送する前に前記収容ユニット(30)の収容要素(32)において形状をぴったりと嵌合させた態様で、および/または圧力嵌めの態様で、締結され、前記収容ユニット(30)は、好ましくは、前記基板(8)を一緒に搬送する前に搬送ボックス(34)内に移送され、前記収容ユニット(30)は、特に減衰要素(36)によって、前記基板(8)を一緒に搬送する前に前記搬送ボックス(34)内に固定される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記収容ユニット(30)内の前記保持装置(2)は、前記基板(8)を一緒に加工する前に前記収容ユニット(30)を並進させるために回転可能な並進ユニットに移送され、前記収容ユニット(30)は、好ましくは、前記基板(8)を一緒に加工する間、少なくとも2つの空間方向xおよびyに動かされる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前処理および/または後処理および/または表面処理が提供され、前記前処理および/または前記後処理は、好ましくは、超音波浴中での洗浄および/または化学洗浄および/または乾燥を含み、表面処理は、特にプラズマコーティングプロセスを含む、請求項24から26のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、磁化可能な基板を、その少なくとも1つの基板表面の加工中に保持するための保持装置に関し、複数の基板を搬送および/または加工するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、小型工具、切削工具、打抜き工具およびエンボス加工工具の形態で形成されるワークピースなどの繊細な精密工具の機械加工において、搬送動作および保持動作は、当該機械加工プロセスの作業全体のうちかなりの部分を占めている。工具の表面処理のためのコーティングプロセスなどの機械加工プロセスでは、機械加工すべき工具は、顧客の敷地構内で個別に包装され、機械加工の前に対応する機械加工センタに出荷される。次いで、これらの工具は、機械加工センタ内でさまざまな工程で処理され、たとえば、荷解きされ、洗浄され、コーティングされ、空気が吹付けられ、顧客への出荷のために再び個別に包装される。工具を破損から保護するためにこのように個別に包装することが必要である。これらの個々の操作ステップの全てを実行する場合、結果として、これに費やされる時間が非常に長くなってしまい、同時に、個々の工具が破損するリスクが大きくなってしまう。さらに、一貫した工具品質を保証することができなくなる。特に繊細な精密部品を加工する場合、操作労力とそれに伴って破損のリスクとが特に高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、磁化可能な基板を保持するための公知の保持装置と、複数の基板、特に機械加工すべき複数のワークピースまたは工具を搬送および/または機械加工するためのシステムとについての上述の欠点を少なくとも部分的に解消することである。特に、本発明の目的は、搬送および/または機械加工中の基板の安定した固定を単純かつ費用効率の良い態様で可能にし、これにより、複数の基板を機械加工するのに必要な操作労力を最小限にする装置およびシステムを提供することである。加えて、本発明の目的は、加工中に複数の基板を特に正確に配置することを確実にすることで、当該複数の基板の特に正確な加工を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的は、独立請求項に記載の装置の特徴を有するとともに基板を保持するための保持装置と、独立請求項に記載のシステムの特徴を有するとともに複数の基板を搬送および/または加工するためのシステムと、独立請求項に記載の方法の特徴を有するとともに複数の基板を搬送および/または加工するための方法とによって解決される。本発明のさらに別の特徴および詳細は、それぞれの従属請求項、以下の記載および添付の図面から得られる。本発明に従った保持装置に関して記載される特徴および詳細は、当然、本発明に従ったシステムおよび本発明に従った方法に関しても適用され、逆の場合も同様に個々に適用されるため、当該開示に関して、本発明の個々の局面が相互に参照されるかまたは常に相互に参照され得る。
【0005】
本発明に従うと、少なくとも1つの基板表面の加工中に磁化可能な基板を保持するための、特に、加工すべき磁化可能なワークピースまたは工具を保持するための保持装置が提供される。当該保持装置は、端部に配置されて、磁場を形成することによって当該端部において基板を固定するための磁気保持ユニットと、保持ユニット上に配置されて当該基板を収容するための収容ユニットと、当該収容ユニット内に配置されて当該基板を案内および遮蔽するための交換可能なアダプタユニットとを含む。本発明に従うと、アダプタユニットは、基板を通すための少なくとも1つの凹部を有し、これにより、基板は、凹部によって横方向に支持された態様で保持装置内に固定され得る。
【0006】
本保持装置は、搬送と、基板の処理もしくは加工または少なくとも1つの基板表面の加工との両方に用いることができる。当該処理は、たとえば研磨によりおよび/または化学的に実施することができ、特に、基板の洗浄、前処理および/または後処理ならびに基板のコーティングを含み得る。当該磁化可能な基板はまた、部分的にのみ磁化可能となるように形成され得る、すなわち、たとえば、磁化可能な保持ハンドルまたは部分的に磁化可能な保持ハンドルなどの磁化可能な構成要素を有し得ることが理解される。磁化可能な基板はさらに、特に磁化可能なワークピースまたは磁化可能な工具の形態で形成され得る。特に、軸工具または打抜き工具、特に小型パンチ、切削用パンチ、打抜き用パンチ、エンボス加工用パンチまたは成形用パンチなどの破損し易い精密工具を実現可能な工具と見なすことができる。本発明に従った保持装置は、特に単一の基板のみを保持するように設計/構成される。これにより、加工方法の選択に関して最大限の自由度が可能となり、たとえば、コーティング中などの機械加工プロセス中に2次元回転および3次元回転も可能となる。磁気による固定は、有利には、保持装置を磁化可能な基板の端面、好ましくは機械加工すべき磁化可能な工具の端面、と接触させることによって実施可能である。基板を横方向に案内することに加えて、保持装置、特にアダプタユニットは、特にコーティングプロセスなどの表面処理プロセスにおいてこれら基板を遮蔽するかまたは覆い隠す役割を果たす。本発明に従うと、アダプタユニットを単に変更または交換することによって、さまざまな基板、特にさまざまな形状の工具、を加工するために同じ保持装置を使用できることが特に規定される。基板を案内するための凹部は、収容されるべき基板に精密に嵌合させるように設計/構成される必要はなく、このため、基板の収容中に当該基板と完全に接触させる必要はなく、基板と部分的にのみ接触させるだけでもよい。
【0007】
本発明の範囲内であれば、本発明に従った保持装置を用いることで、搬送動作および加工動作中における個々の工具の操作を完全に排除し、これにより、基板を破損させるリスクを大幅に低減させることが認識されている。加えて、本発明に従った保持装置を用いることにより、特に正確な基板の配置が可能となり、これにより、特に正確な基板の加工が可能となる。加えて、本保持装置、特に本発明に従った交換可能なアダプタユニットを用いる場合、アダプタユニットを単に変更または交換することによって、1つの同じ保持装置を多数のさまざまな基板と共に用いるのに適したものにすることで、本保持装置の変形例の必要数が大幅に低減される。
【0008】
特にコンパクトな構成配置の場合、特に均一な基板加工を確実にするために、収容ユニットが中空円筒状に形作られること、ならびに、基板が収容ユニット内で中央に配置され得るように当該収容ユニットが交換可能なアダプタユニットおよび磁気保持ユニットに対して配置されることが有利に規定され得る。ここで、中央に配置するとは、特に、基板が収容可能ユニット内の収容部に沿って当該収容可能ユニットの端縁領域から少なくとも実質的に同じ距離を有するような配置を意味するものと理解される。
【0009】
ピックアップ中の基板の加工を確実にすることに関して、特に、基板の特に均一な加工に関して、ピックアップユニットは基板に接触させるための凹部を有しており、凹部が好ましくはピックアップユニット内に対称的に配置され、特に長手方向側に配置される切欠きの形状で形成されることが、客観的に有利な方法で規定され得る。特に、これにより、たとえば洗浄液、乾燥空気、コーティング剤などを加工中に基板に直接接触させることが可能となる。
【0010】
加工中における基板の安定した配置に関して、交換可能なアダプタユニットが基板を案内するための少なくとも1つの案内手段/要素を有し、基板を案内するための凹部が案内要素内に配置され、基板を案内するための凹部が好ましくは案内要素内において中央に配置されることも有利に規定され得る。この場合、凹部は、好ましくはボア等の形状に形成することができ、特に、案内されるべき基板の幾何学的形状に適合させることができる。基板を案内することに加えて、案内要素はまた、たとえば表面加工動作などの間に基板を遮蔽するかまたは覆い隠す役割を果たし得る。
【0011】
特に単純な交換または特に単純かつ迅速な適合といった状況においては、案内要素が平坦な部品の形状で、特に案内ディスクの形状で形成されることも有利に規定され得る。この場合、ディスクは、特に凹部に関して、加工されるべき基板に合わせて詳細に形作ることができ、このため、別々の基板を加工するために変更する際に、案内要素だけを交換すればよく、別々の基板、たとえば別々の打ち抜き工具、を搬送および操作するために1つの同じ保持装置を用いることができる。
【0012】
材料が節約された軽量な設計/構成に関して、案内要素は、材料厚さが2mm未満、好ましくは1.5mm~1mmと薄くすることができる。材料厚さが1.5mm~1mmでは、確実かつ精密な機械加工に関して特に良好な結果が達成され得る。他方で、材料厚さが1mm未満では、熱効果によって材料に悪影響が及ぶリスクがある。
【0013】
加工中の基板を特に安定して配置する状況においては、交換可能なアダプタユニットが、基板を案内するための少なくとも第2の案内要素を含むことがさらに想到され得る。第2の案内要素は、好ましくは、中央に配置されて基板を通すための凹部を備えており、当該凹部は特に案内要素内において中央に配置されている。
【0014】
保持装置への基板の安定した案内および簡単な挿入の両方を可能にするために、ここでは、特に、第2の案内要素が第1の案内要素から距離を空けて配置され、特に第1の案内要素と合致するように配置されることが規定され得る。本発明の文脈において、合致するように配置するとは、特に、基板を通すための、好ましくは中央に配置された2つの凹部がぴったりと嵌合した状態で上下に配置されている配置を意味するものと理解される。
【0015】
安定化を最大限にすることに関して、交換可能なアダプタユニットが、基板を案内するための3つ以上の案内要素、特に4つ以上の案内要素を備えることが本発明に従ってさらに想到され得る。
【0016】
1つ以上の案内要素の最適な位置決めを確実にするために、交換可能なアダプタユニットが案内要素を離間させるための離間手段/要素を有し、当該離間要素が好ましくは案内要素の上に直接、特に第1の案内要素と第2の案内要素との間に直接、配置されることが本発明に従って有利に規定され得る。本発明の文脈において、直接配置するとは、特に離間要素が案内要素と当接している配置を意味するものと理解される。好ましくは、案内要素は、少なくとも部分的に離間要素上に載せることができる。
【0017】
1つ以上の案内要素と当該離間要素との間の簡単で費用効率の良く柔軟な接続を確実にするために、案内要素は、好ましくは、圧力嵌めにより、たとえばラッチ留め用フック、ラッチ留め用ラグまたは接続ラグによって離間要素に接続することができる。たとえば、案内要素が離間要素に圧力嵌めされている3部品構成が設けられてもよい。安定した配置の範囲内で、案内要素は、代替的には、たとえばアーク溶接プロセス(たとえばTIG溶接プロセス)またはビーム溶接プロセス(たとえばレーザ溶接プロセス)によって、材料同士を接着する態様で互いに接続することもできる。
【0018】
ピックアップ中の基板の加工、特にピックアップ中の基板の特に均一な加工を確実にすることに関して、離間要素が基板への接触のための凹部を有し、当該凹部が好ましくはピックアップユニット内で対称的に配置され、特に長手方向側に配置された切欠きの形状で形成されることが、客観的に有利な態様で規定され得る。これにより、特に、たとえば洗浄液、乾燥空気、コーティング剤などを加工の途中で基板に直接接触させることが可能となる。
【0019】
特にコンパクトな配置および基板の特に均一な加工を確実にする状況において、間隔が中空円筒状に形作られるとともに、収容ユニット内に対称的に配置され、好ましくは、当該間隔の凹部が収容ユニットの凹部と少なくとも部分的に、特に完全に、重なり合うように収容ユニット内に配置されることが、客観的に有利な態様で規定され得る。
【0020】
本発明に従った離間手段/要素もしくは収容ユニットへの案内要素の構造的に単純な固定の範囲内で、アダプタユニットが収容ユニット内にアダプタユニットを固定するための固定手段/要素を有し、固定要素が好ましくはばね要素の形態で、特に締付けリングの形態で、形成されることが有利に規定され得る。固定要素は、ここでは、好ましくは、1つ以上の案内要素の上方、特に第1の案内要素の真上、に配置される。
【0021】
磁気保持力を構造的に単純に保証することのできる範囲内で、磁気保持ユニットが、好ましくは保持ユニット内に完全に封入される磁石、たとえば永久磁石を有しており、当該磁石が、特に耐熱磁石、特に好ましくは450℃以上の温度用の耐熱磁石の形態で形成されることも規定され得る。サマリウムコバルト磁石、たとえばSm2Co17系のSmCo磁石は、この目的のために実現可能な磁石である。本発明の文脈において、封入とは、特に完全に囲い込むことを意味するものと理解される。この文脈においては、磁石は、好ましくは円筒形状であり、20mm未満、好ましくは15mm未満、特に10mm未満の直径を有し得る。封入により、磁力は固定のためにのみ機能し、このため、実行すべき加工動作、たとえばコーティング動作、特にプラズマコーティング動作などに悪影響を及ぼす可能性がなくなり得る。適切な磁石は、これに対応して行なわれる封入と併用することで、実行すべき加工動作に及ぼす影響を低下させると同時に確実な固定を保証するという特別な利点を提供する。
【0022】
磁気遮蔽を構造的に単純に実現することに関して、特に、少なくとも0.5mmの材料厚さの保持ユニットが磁石と保持ユニット上に直接配置される収容ユニットとの間に配置されるように、磁石が保持ユニット内に配置されることが規定され得る。これにより、特に、磁石と基板との直接接触を確実に防ぐ。磁石は、好ましくは、係止ボルトなどによって保持ユニットに押込むことができる。
【0023】
特に基板の搬送中に、保持装置に配置された基板の保護を費用効率良く構造的に単純に保証することのできる範囲内で、保持装置内に配置することができる基板を保護するための保護カバーを設けること、保護カバーが開口部を有し、当該開口部を介して保護カバーが好ましくは端部において収容ユニットに締結され得ること、特に、収容ユニットにしっかりとおよび/または緩く締結され得ることが、本発明に従って有利な態様で規定され得る。この場合、保護カバーは、好ましくは保護キャップまたは搬送キャップなどの形状にすることができ、特に回転部品として設計/構成することができる。特に、保護カバーは、0.3mmの公差で収容ユニットに締結され得るように製造することができる。
【0024】
同様に、保持装置内の基板の正確な配置を確実にすることに関して、保護カバーは、保持装置内において使い捨て可能な基板の向きを検出するための第2の開口部を備えてもよく、第2の開口部は好ましくは第1の開口部の反対側に配置される。
【0025】
費用効率の良い設計/構成の範囲内で、ここでは、保護カバーが少なくとも部分的に、好ましくは完全に、プラスチックから形成されており、プラスチックが特にポリエチレンおよび/またはポリ塩化ビニルおよび/またはポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリスチレンの形態で形成されることが特に想到され得る。上述したプラスチックに加えて、同等の特性を有する同様のプラスチックも使用可能であることが理解される。
【0026】
本発明の目的はまた、複数の基板を搬送および/または加工するためのシステムを提供することである。ここで、本発明に従ったシステムは、基板を保持するための上述の複数の保持装置と、保持装置を保持するための保持ユニットとを備える。本発明に従うと、複数の保持装置は、基板が別々に収容されている場合、収容された複数の基板を保持装置内で一緒に搬送および/または一緒に加工することができるように、収容ユニット内に配置される。このため、本発明に従ったシステムは、本発明に従った保持装置に関して既に詳細に説明した利点と同じ利点を有する。
【0027】
本システムの構造的に単純な設計/構成の範囲内で、保持ユニットが、複数の保持装置を保持するために、当該複数の保持装置を備えたバスケットの形状で形成され、保持装置が、好ましくは、形状をぴったりと嵌合させた態様で、および/または圧力嵌めの態様で、保持要素において締結されることが特に想到され得る。
【0028】
対象となる複数の保持装置を搬送するためのシステムの構造的に単純な設計/構成に関して、収容ユニットを収容するための搬送ボックスが設けられ、収容ユニットが減衰要素によって搬送ボックス内に固定可能であり、当該減衰要素が好ましくは発泡体インサートの形態で形成されることも想到され得る。加えて、搬送ボックスは有利には蓋を有し得るとともに、当該蓋は、好ましくは、装着された状態では、収容ユニット内に配置された保持装置を収容ユニット内において、特に保持装置上に配置された保護カバー上の接点を介して固定するように設計/構成されている。
【0029】
複数の基板を加工するためのシステムの構造的に単純な設計/構成に関して、ピックアップユニットの保持装置内に配置された基板を加工するために、特にコーティングするために、ピックアップユニットをx方向、y方向およびz方向に並進させるための回転可能な並進ユニットを設けることも想到され得る。このような並進ユニットにより、特に、コーティングプロセスなどのために、二重回転または三重回転さえも容易に実行することができる。
【0030】
本発明の目的はまた、複数の基板を搬送および/または加工するための方法を提供することである。ここで、本発明に従った方法は、複数の基板をそれぞれの保持装置に収容するステップ/段階と、それぞれの基板を備えた複数の保持装置を、保持装置を収容するための収容ユニットに収容するステップ/段階と、収容された複数の基板を一緒に搬送するおよび/または一緒に加工するステップ/段階とを含む。したがって、本発明に従った方法は、本発明に従った保持装置および本発明に従ったシステムに関して既に詳細に説明した利点と同じ利点を有する。
【0031】
複数の基板を破損させることなく安全に搬送することに関して、特に、保持装置は、複数の基板を一緒に搬送する前に収容ユニットの収容要素において噛み合い固定された態様および/または締め付け固定された態様で固定されることが規定され得る。収容ユニットは、好ましくは、複数の基板を一緒に搬送する前に搬送ボックス内に移送される。収容ユニットは、特に減衰要素によって、複数の基板を一緒に搬送する前に搬送ボックス内に固定される。
【0032】
複数の基板を構造的に単純かつ安全に破損させることなく加工すること関して、特に、複数の基板を一緒に加工する前にピックアップユニットを並進させるためにピックアップユニット内の保持装置が回転可能な並進ユニットに移送され、これにより、複数の基板を一緒に加工する間、ピックアップユニットが好ましくは少なくとも2つの空間方向x、yに動かされることが規定され得る。
【0033】
基板、特に加工すべき工具の加工に関して、前処理および/または後処理および/または表面加工が規定されており、前処理および/または後処理は、好ましくは、超音波浴中での洗浄および/または化学洗浄および/または乾燥を含み、表面加工は、特にプラズマコーティングプロセスを含むことが、客観的に有利な態様で規定され得る。
【0034】
本発明のさらに別の利点、特徴および詳細は、添付の図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明している以下の説明から明らかになるだろう。このことに関して、添付の特許請求の範囲および以下の記載において言及される特徴は各々、本発明にとって個々にまたは任意の組合わせで必須となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】磁化可能な基板を保持するための本発明に従った保持装置を概略的に示す空間図である。
【
図2】
図1に示す本発明に従った保持装置を概略的に示す断面図である。
【
図3】磁化可能な基板を保持するための本発明に従った保持装置の一部を概略的に示す空間図である。
【
図4】
図3に示す磁化可能な基板を保持するための本発明に従った保持装置の一部を概略的に示す断面図である。
【
図5】磁化可能な基板を保持するための本発明に従った保持装置のさらに別の部分を概略的に示す空間図である。
【
図6】
図5に示す磁化可能な基板を保持するための本発明に従った保持装置のさらに別の部分を概略的に示す断面図である。
【
図7】複数の基板を搬送および/または加工するための本発明に従ったシステムを概略的に示す空間図である。
【
図8】複数の基板を搬送および/または加工するための本発明に従ったプロセスの個々のステップ/段階を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、磁化可能な基板8(ここでは図示せず)を保持するための本発明に従った保持装置2を概略的に示す空間図である。
【0037】
保持装置2は、端部に配置されて、磁場を形成することによって当該端部において基板8を固定するための磁気保持ユニット4と、保持ユニット4上に配置されて基板8を収容するための収容ユニット6と、収容ユニット6の内側に配置されて基板8を案内および遮蔽するための交換可能なアダプタユニット10とを備える。アダプタユニット10はまた、基板8を通すための凹部12を有しており、当該凹部12によって基板8を横方向に支持された態様で保持装置2の内側に固定することができる。
【0038】
収容ユニット6は、中空円筒状に形作られているとともに、基板8が収容ユニット6内において中央に配置され得るように、交換可能なアダプタユニット10および磁気保持ユニット4に対して配置されている。この場合、収容ユニット6は、基板8に接触させるための凹部14を有する。これら凹部14は、ここでは、収容ユニット6内で対称的に配置されるとともに、長手方向側に配置された切欠き14の形状で形成される。収容ユニット6内への凹部14の非対称な配置も規定され得ることが理解される。
【0039】
交換可能なアダプタユニット10はさらに、基板8を案内するための第1の案内要素16および第2の案内要素16′を備え、第1の案内要素16および第2の案内要素16′は各々が、基板8を通すための凹部12を有しており、当該凹部12は、この場合、案内要素16、16′内において中央に配置されている。同様に、ここでは、案内要素16、16′内において凹部12を中心からずらして配置することも規定され得る。案内要素16、16′は、ここでは、案内ディスクの形状で設計/構成されている。さらに、交換可能なアダプタユニット10は、案内要素16または案内要素16、16′を離間させるための離間要素18を備える。離間要素18は、ここでは、第1の案内要素16と第2の案内要素16′との間に直接配置されている。離間要素18はまた、基板8に接触させるための凹部14を有し、当該凹部14は収容ユニット6の凹部14と完全に重なり合っている。
【0040】
さらに、アダプタユニット10は、アダプタユニット10を収容ユニット6内に固定するための固定要素20を備え、固定要素20は、ここでは、締付けリングの形態で形成されている。
【0041】
図2は、
図1に示す磁化可能な基板8を保持するための本発明に従った保持装置2を概略的に示す断面図である。
【0042】
この断面図によれば、
図1の構成に加えて、磁気保持ユニット4は、保持ユニット4内に完全に封入された磁石22を有することが分かる。この磁石22は、特に永久磁石の形態であり得るとともに、保持ユニット4内に封入され得る。
【0043】
図3は、磁化可能な基板8を保持するための本発明に従った保持装置2の一部を概略的に示す空間図である。
【0044】
図3は、この図において明確に視覚化されている長手方向切欠きの形状に形成されて対称的に配置された凹部14を有する本発明に従った収容ユニット6と、当該収容ユニット6の下方に配置された保持ユニット4とを示す。
【0045】
図4は、
図3に示す磁化可能な基板8を保持するための本発明に従った保持装置2の一部を概略的に示す断面図である。
【0046】
この断面図では、
図4に示す保持ユニット6の長手方向の凹部14に加えて、特に、保持ユニット4の内側に配置された永久磁石22を見ることができる。
【0047】
図5は、磁化可能な基板8を保持するための本発明に従った保持装置2のさらに別の一部を概略的に示す空間図である。
【0048】
本発明に従った保持装置2のこのさらに別の一部は、ここでは本発明に従った収容ユニット6とは別個に示されている本発明に従ったアダプタユニット10に関係している。
図5によれば、本発明に従ったアダプタユニット10の構造は、ここでは一例として示されており、第1の案内要素16およびさらに別の案内要素16′を備える。第1の案内要素16およびさらに別の案内要素16′はそれぞれ離間要素18の上方および下方に配置される。
【0049】
この場合、離間要素18は同様に、長手方向に配置されるとともに対称的に配置された凹部14を有する。当該凹部14は、特に、加工の途中で、たとえば洗浄液、乾燥空気、コーティング剤などをアダプタユニット10内に配置された基板8に直接接触させることを確実にする。加えて、この場合、保持すべき基板8を通すために案内要素16、16′内に対称的に配置された凹部12を見ることができる。案内要素16の上方に配置された固定要素20は、特にアダプタユニット10を収容ユニット6内に固定する役割を果たし、この場合、収容ユニット6内にアダプタユニット10を特に構造的に単純に固定することを可能にする締付けリングの形状で形成される。
【0050】
さらに、
図5によれば、離間要素18は、さらに別の案内要素16、16′のうちの第1の案内要素および/または第2の案内要素に圧力嵌めするための、および/または形状をぴったりと嵌合させるための接続タブ17を有することが分かる。接続タブ17は、特に、1つ以上の案内要素16、16′と本離間要素18との間の特に単純な接続を確実にするよう意図されている。
【0051】
図6は、
図5に示す磁化可能な基板8を保持するための本発明に従った保持装置2のさらに別の一部を概略的に示す断面図である。
【0052】
この断面図によれば、案内要素16、16′との圧力嵌めのためにおよび/または案内要素16、16′と形状をぴったりと嵌合させるために離間要素18上に配置された複数の接続タブ17の視認性を向上させることに加えて、保持ユニット4内に配置された永久磁石22も見ることができる。
【0053】
図7は、複数の基板8を搬送および/または加工するための本発明に従ったシステム1を概略的に示す空間図である。
【0054】
本発明に従ったシステム1は、基板8を保持するための上述の複数の保持装置2と、保持装置2を保持するための保持ユニット30とを備える。当該複数の保持装置2は、基板8を別個に保持する際に、いずれの場合も、保持装置2内において、保持された複数の基板8を一緒に搬送および/または一緒に加工することができるように、保持ユニット30内に配置されている。
【0055】
収容ユニット30は、この場合、バスケットの形状で形成されるとともに、保持装置2を収容するための複数の収容要素32を有しており、これにより、保持装置2は、好ましくは、収容要素32において形状をぴったりと嵌合させた態様および/または圧力嵌めの態様で締結することができる。加えて、収容ユニット30は、ここでは、収容ユニット30を収容するための搬送ボックス34に配置されており、この場合、収容ユニット30は、搬送ボックス34内において減衰要素36によって固定されている。減衰要素36は、好ましくは発泡体インサートなどの形態で形成することができる。
【0056】
収容ユニット30内に配置された保持装置2は、保護カバー24によってさらに保護され、当該保護カバー24は第1の開口部26を有する。当該第1の開口部26を介して、保護カバー24を、一方側では、対象の保持装置2の収容ユニット4に締結することができる。さらに、保護カバー24は、保持装置2において配置可能な基板8の向きを検出するための第2の開口部26′を備える。
【0057】
図8は、複数の基板8を搬送および/または加工するための本発明に従った方法の個々のステップの概略図を示す。
【0058】
この場合、当該方法は、複数の基板8をそれぞれの保持装置2に収容するステップ/段階50と、それぞれの基板8を備えた複数の保持装置2を、当該保持装置2を収容するための収容ユニット30に収容するステップ/段階52と、収容された複数の基板8を一緒に搬送および/または一緒に加工するステップ/段階54とを含む。
【0059】
本発明に従った保持装置2、または複数の基板8を搬送および/または加工するための本発明に従ったシステム1および方法により、特に、本発明に従った保持装置2を用いることで、搬送動作および加工動作中の個々の工具の操作を完全に排除し、これにより、基板8に対する破損のリスクを大幅に低減することが可能となる。加えて、本発明に従った保持装置2を用いることにより、基板8を特に正確に配置することが可能となり、基板8を特に正確に加工することが可能となる。さらに、本保持装置8を用いることにより、特に本発明に従った交換可能なアダプタユニット10により、アダプタユニット10を単に変更または交換することで、1つの同じ保持装置が多数のさまざまな基板のために用いるのに適したものとなり、これにより、本保持装置2の変形例に必要な多様性を大幅に低減させる。
【符号の説明】
【0060】
1 複数の基板を搬送および/または加工するためのシステム
2 保持装置
4 磁気保持ユニット
6 収容ユニット
8 基板(本願では明確に図示せず)
10 アダプタユニット
12 基板を通すための凹部
14 凹部
16 第1の案内手段/要素
16′ 第2の/さらに別の案内手段/要素
17 接続片
18 離間手段/要素
20 固定手段/要素
22 永久磁石
24 保護カバー
26 開口部
26′ 第2の開口部
30 収容ユニット
32 収容要素
34 搬送ボックス
36 減衰要素
50 各保持装置における複数の基板をピックアップ
52 各々が基板を備えた複数の保持装置を収容ユニットに収容
54 収容された複数の基板を一緒に搬送および/または一緒に加工
【国際調査報告】