(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】レチノールベースの組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20230215BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230215BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20230215BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/37
A61K8/41
A61Q1/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537879
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2020087259
(87)【国際公開番号】W WO2021123337
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595100370
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】シロン,マリー-リズ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィッド,ガエターヌ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB152
4C083AB222
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC212
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC372
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC512
4C083AC531
4C083AC532
4C083AD092
4C083AD282
4C083AD392
4C083AD621
4C083AD622
4C083BB11
4C083BB46
4C083CC11
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE05
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
本発明は、ケラチン物質をメークアップする為の及び/又はケアする為の組成物、とりわけ化粧品組成物、であって、レチノール、ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル、及びエチレンジアミンジコハク酸塩を少なくとも含む、前記組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物、特にはケラチン物質をメークアップする為の及び/又はケアする為の組成物、とりわけ化粧品組成物、であって、
レチノール;
ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル;及び
エチレンジアミンジコハク酸塩
を少なくとも含む、前記組成物。
【請求項2】
前記組成物の総重量に対して、0.02重量%~5.0重量%、好ましくは0.05重量%~3.0重量%、とりわけ0.08重量%~1.0重量%、より好ましくは0.1重量%~0.5重量%、のレチノールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物の総重量に対して、0.01重量%~2.5重量%、好ましくは0.05重量%~1.5重量%、特には0.1重量%~0.5重量%、より好ましくは0.1重量%~0.3重量%、のペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチルを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の総重量に対して、0.01重量%~2.5重量%、好ましくは0.05重量%~1.5重量%、より好ましくは0.07重量%~0.3重量%、又はさらには0.1重量%~1.1重量%、のエチレンジアミンジコハク酸塩を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記エチレンジアミンジコハク酸塩が、カリウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩、並びにエチレンジアミン二コハク酸のアミン塩であり、好ましくはエチレンジアミン二コハク酸三ナトリウムである、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル/エチレンジアミンジコハク酸塩の質量比が、0.1~5、特には0.3~2.5、例えば1.5~5、好ましくは2.5~4.5、である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
ブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)若しくはそれらの塩を0.2重量%未満、特には0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満、しか含まないこと、又はブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)若しくはそれらの塩を全く含まないことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1つのUV遮断剤をまた含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの不揮発性炭化水素系油をまた含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくともグリセロールをまた含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
ケラチン物質をケアする為の化粧品組成物であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
ケラチン物質、好ましくは皮膚及び/又は唇、をメークアップする為の及び/又はケアする為の、好ましくはケアする為の、化粧方法であって、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物を前記ケラチン物質に施与する少なくとも1つの工程を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質をケアする為の及び/又はメークアップする為の分野に、特には、ケラチン物質、特には皮膚、のアンチエイジングケア(antiaging care)に、関する。
【0002】
本発明の目的の為に、語「ケラチン物質」はとりわけ、皮膚、唇及び/又はまつげ、特には皮膚及び/又は唇、好ましくは体の皮膚及び/又は顔の皮膚、より好ましくは顔の皮膚、を意味する。
【0003】
皮膚の老化(Skin aging)は、皮膚に対する内因性要因及び外因性要因の影響から結果として生じる。老化の過程で、皮膚の構造及び機能における有害な変化が現れる。皮膚代謝のこれらの変化による主な臨床的兆候は、しわ及び細い線の出現であり、その原因は組織のたるみ及び弾力性の喪失である。
【0004】
その上、皮膚における変化をもたらす内因性の老化はとりわけ、皮膚細胞の再生の減速をもたらし、それは本質的に、有害な臨床的変化の出現、例えば、皮下脂肪組織の減少及び小さなしわ若しくは細い線の出現、によって、及び組織病理学的変化、例えば、弾性繊維の数及び太さの増加、弾性組織の膜からの垂直繊維の喪失、及びこの弾性組織の細胞における大きな不規則な線維芽細胞の存在、によって、反映される。
【背景技術】
【0005】
老化と戦うことができる活性剤を含む化粧品又は皮膚科学的組成物を使用して皮膚老化のこれらの兆候を処置することは既知の慣行であり、ここで、そのうちのレチノイドは活性剤の既知のファミリーを表す。
【0006】
レチノイドファミリーの化合物の中で、ビタミンAの形態の一つであるレチノールが特に興味深い。具体的には、レチノールは人体の天然の内因性成分である。さらに、レチノイン酸よりもはるかに高いレベルまで皮膚に施与された場合に、それは十分に許容される。
【0007】
しかしながら、レチノールが局所適用の為の化粧品又は皮膚科学的組成物内に導入される場合に、光、酸素、金属イオン、酸化剤、水の影響の故に、又は特に温度の上昇の故に、レチノールの分解は急速である。
【0008】
レチノール分解の兆候の1つは、それが使用されている化粧品組成物のにおいにおける変化である。
【0009】
具体的には、レチノールの分解はまた、ユーザが特に不快且つ不便であると感じるにおいの放出を引き起こし、これは化粧品組成物におけるその使用を制限する可能性がある。
【0010】
レチノールの熱分解はとりわけ、J.Soc.Cosm.Chem.46,191-198(July-August 1995)において発表された研究の主題である。
【0011】
結果として、化粧品組成物に配合されたレチノールは不安定であり、且つこれらの配合物中に含まれるレチノールを安定化することがすでに提案されている。
【0012】
例えば、国際公開WO96/07396号パンフレットは、少なくとも1つの脂溶性抗酸化活性剤及び/又は少なくとも1つの封鎖剤を使用することによって、水中油型エマルジョンの形態における化粧品組成物中のレチノールを安定化することを示唆している。言及されている抗酸化活性剤の例は、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)である。その上、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びおよびその誘導体が封鎖剤として言及されている。
【0013】
しかしながら、BHTは人間に有毒である可能性がある為に、物議を醸す化合物である。加えて、EDTA及びBHTは環境に優しくもなく生分解性でもない。その上、このシステムは、組成物のにおいにおける変化の問題を解決しない。
【0014】
その上、国際公開WO93/00085号パンフレットは、レチノールと安定化系とを含む油中水型エマルジョンを記載し、該安定化系は、キレート化剤、例えばEDTA、と抗酸化剤とからなる。上記の文書に従うと、脂溶性抗酸化剤と水溶性抗酸化剤とからなる系で安定化されたレチノールを含む油中水型エマルジョンがまた調製されうる。
【0015】
しかしながら、上記の文書は、EDTAとBHTの組み合わせが、油中水型エマルジョンの形の組成物中のレチノールを安定化できることを教示しているけれども、そのような組み合わせは、該組成物が水中油型エマルジョンの形態で配合されている場合には効果がないように思われる。
【0016】
パルミチン酸レチニルを含む組成物がまた提案されている。しかしながら、パルミチン酸レチニルは、転写レベルで測定された場合、単層培養で成長したヒト表皮ケラチノサイトに対してレチノールよりも効果が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、レチノールを含む化粧品組成物についての必要性が依然としてあり、それは、ケラチン物質の老化の兆候と戦う為に効率的であり、且つ貯蔵中及びまた、繰り返し使用中の両方で経時的に安定であり、同時に、ユーザに受け入れられる官能的特性、特に心地よい香り及び色を保持している。
【0018】
とりわけ環境に関して、消費者の要求に適合するそのような化粧品組成物の必要性がまたある。
【0019】
その上、該組成物のガレヌス形態に関係なく、化粧品組成物中のレチノールの効率的な安定化の為の必要性が依然としてある。
【0020】
本発明は、これらの必要性を満たすことに特に向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
従って、本発明の第1の観点に従うと、本発明は、組成物、特にはケラチン物質をメークアップする為の及び/又はケアする為の組成物、とりわけ化粧品組成物、であって、
レチノール;
ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル;及び
エチレンジアミンジコハク酸塩
を少なくとも含む、上記の組成物に関する。
【0022】
本発明者等は、驚くべきことに、少なくとも1つのペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル化合物と、少なくとも1つのエチレンジアミンジコハク酸塩との組み合わせが、化粧品組成物中に含まれているレチノールを効率的に安定化することを可能にすることを観察した。
【0023】
具体的には、下記の実施例に示されている通り、本発明に従う組成物は、そこに含まれているレチノール化合物の損失が経時的に低い限り、安定している。
【0024】
さらに、本発明に従う組成物は安定であると同時に、使用者にとって心地よい官能特性、特に使用者の期待に応えるにおい及び色、を有すること、が観察された。加えて、この組成物を使用した場合に、におい及び色の劣化は生じなかった。
【0025】
有利には、本発明に従う組成物は、低含有量の物議を醸す成分を含み、特には、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はそれらの誘導体を0.2重量%未満しか含まず、好ましくは何らかの物議を醸す成分を含まず、特にブチルヒドロキシトルエン(BHT)若しくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はそれらの誘導体のいずれも含まない。
【0026】
本発明の観点の他の一つに従うと、本発明はまた、レチノールを含む組成物、特には化粧品組成物、中のペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル及び少なくとも1つのエチレンジアミンジコハク酸塩を少なくとも使用して、該組成物中のレチノール化合物の分解を遅らせるか又は分解を防止することに関する。
【0027】
本発明に従う組成物は特には、ケラチン物質をケアする為に及び/又はメークアップする為に、好ましくはケラチン物質をケアする為に、使用される。
【0028】
従って、本発明の観点の他の一つに従うと、本発明はさらに、ケラチン物質、特には皮膚及び/又は唇、をメークアップする為の及び/又はケアする為の化粧方法であって、本発明に従う組成物を、該ケラチン物質に施与する少なくとも1つの工程を含む、上記の化粧方法に関する。
【0029】
上記のケラチン物質、特には皮膚及び/又は唇、をメークアップする為の及び/又はケアする為の化粧方法は、非治療的である。
【0030】
本発明に従う組成物の他の特徴、変形例及び利点は、下記の発明の詳細な説明及び実施例を読むことにより、より明確に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0031】
レチノール
前述されている通り、本発明に従う組成物は、ビタミンAとしても知られているレチノールを含む。
【0032】
本発明の目的の為に、語「レチノール」は、レチノールの全ての異性体、とりわけ、全てのトランスレチノール、13-シスレチノール、11-シスレチノール、及び9-シスレチノール、並びに3.4-ジデヒドロレチノールを意味する。
【0033】
特には、語「レチノール」は、レチノールの全ての異性体、とりわけ、全てのトランスレチノール、13-シスレチノール、11-シスレチノール及び9-シスレチノールを意味する。
【0034】
好ましくは、全てのトランスレチノールが使用される。
【0035】
特には、本発明に従う組成物は、有効量のレチノールを含む。
【0036】
本発明の目的の為に、語「有効量」は、その実施を介する所望の効果、とりわけ、ケラチン物質の老化の兆候における減少、を結果として生じる、レチノールの量を意味する。
【0037】
好ましくは、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、少なくとも0.02重量%のレチノールを含む。
【0038】
より特には、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.02重量%~5.0重量%、とりわけ0.05重量%~3.0重量%、好ましくは0.08重量%~1.0重量%、より好ましくは0.1重量%~0.5重量%、の量のレチノールを含みうる。
【0039】
レチノールの含有量は、該組成物中に導入されたレチノールの、固形分含有量としてまた知られている活性物質の含有量に対応することが理解される。
【0040】
特定の実施態様の変形に従うと、レチノールは、、該組成物中に、油、例えば植物油、例えば大豆油、中に溶解される形態で、とりわけ、該油中の、5重量%~20重量%、好ましくは約10重量%、の含有量で、導入されうる。
【0041】
大豆油中の活性物質の含有量が10重量%である、BASF社によって販売されているレチノール、とりわけレチノール10SUの名称下で販売されているレチノール、が、使用の為に最も特には好適である。
【0042】
他の特定の実施態様の変形体に従うと、カプセル化された形態のレチノールがまた使用されうる。
【0043】
ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル
本発明に従う組成物はまた、ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチルを少なくとも含む。
【0044】
ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル、又はテトラ-ジ-t-ブチル ペンタエリスリチルヒドロキシヒドロシンナメートは、桂皮酸及びその誘導体のファミリーに属する化合物であり、そのCAS番号は6683-19-8である。
【0045】
例として、BASF社によってTinogard TT(登録商標)の名称下で販売されているペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル化合物が言及されうる。
【0046】
好ましくは、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.01重量%~2.5重量%、好ましくは0.05重量%~1.5重量%、特には0.1重量%~0.5重量%、より好ましくは0.1重量%~0.3重量%、のペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチルを含む。
【0047】
エチレンジアミンジコハク酸塩
本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つのエチレンジアミンジコハク酸塩を含む。
【0048】
エチレンジアミン二コハク酸は、下記の式の化合物である。
【0049】
【0050】
好ましくは、該エチレンジアミンジコハク酸塩は、アルカリ金属塩、例えば、カリウム塩及びナトリウム塩、アンモニウム塩、及びアミン塩、から選択される。エチレンジアミン二コハク酸のアルカリ金属塩が、より特に好ましい。
【0051】
好ましくは、本発明に従って使用される該エチレンジアミンジコハク酸塩は、エチレンジアミン二コハク酸三ナトリウムである。
【0052】
そのような化合物は例えば、Innospec Active Chemicals社によってNatrlquest(登録商標) E30の名称下で販売されている化合物、又はOctel Performance Chemicals社によってOctaquest E30(登録商標)の名称下で販売されている化合物である。
【0053】
好ましくは、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して、0.01重量%~2.5重量%、好ましくは0.05重量%~1.5重量%、より好ましくは0.07重量%~0.3重量%、又は0.1重量%~1.1重量%、のエチレンジアミンジコハク酸塩を含む。
【0054】
エチレンジアミンジコハク酸塩の含有量は、該組成物中に導入されたエチレンジアミンジコハク酸塩の、固形分としてまた知られている活性物質の含有量に対応することが理解される。
【0055】
特定の実施態様の変形に従うと、該エチレンジアミンジコハク酸塩は、該組成物中に、水中に溶解する形態で、とりわけ、水中に、25重量%~50重量%、好ましくは35重量%~40重量%、の含有量で導入されうる。
【0056】
そのような化合物は例えば、水中において、37重量%で、Innospec Active Chemicals社によって、Natrlquest(登録商標) E30の名称下で販売されている化合物である。
【0057】
一つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つのペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル化合物及び少なくとも1つのエチレンジアミンジコハク酸塩を、0.1~5、特には0.3~2.5、例えば1.5~5、好ましくは2.5~4.5、のペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル化合物/エチレンジアミンジコハク酸塩の質量比で含む。
【0058】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物、特には化粧品組成物、は、該組成物の総重量に対して、
0.08%~1.0重量%のレチノール、
0.1%~0.3重量%のペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル、
0.05%~1.5重量%のエチレンジアミンジコハク酸塩、
を少なくとも含む。
【0059】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物、特には化粧品組成物、は、該組成物の総重量に対して、
0.08%~0.5重量%のレチノール、
0.1%~1.0重量%のペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル、
0.1%~1.5重量%のエチレンジアミンジコハク酸塩、
を少なくとも含む。
【0060】
水性相
本発明に従う組成物は一般的に、少なくとも1つの水性相及び/又は少なくとも1つの油性相を含み、有効量のレチノール、ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル及びエチレンジアミンジコハク酸塩を組み込み、そして、本発明に従う組成物、とりわけ化粧品組成物、を形成する為の化粧品的に許容される媒体を構成する。
【0061】
特に、該水性相は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、0.1重量%~85重量%、好ましくは30重量%~80重量%、より好ましくは50重量%~80重量%、の範囲の含有量で存在する。
【0062】
一つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は無水であり、すなわち、該組成物は、該組成物の総重量に対して、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より特には1重量%未満、の水を含む。
【0063】
該水性相は、水及び任意的に、水溶性溶媒を含む。
【0064】
本発明に従うと、語「水溶性溶媒」は、室温で液体であり且つ水混和性(25℃及び大気圧で50重量%超の水と混和性)であるところの化合物を意味する。
【0065】
本発明の組成物において使用されうる水溶性溶媒はまた揮発性でありうる。
【0066】
本発明に従う組成物において使用されうる水溶性溶媒の中で、とりわけ、1~5個の炭素原子を含む低級モノアルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、2~8個の炭素原子を含むグリコール、例えばエチレングリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール及びジプロピレングリコール、C3及びC4ケトン、並びにC2~C4アルデヒド、が言及されうる。
【0067】
一つの実施態様の変形例に従うと、本発明に従う組成物の該水性相は、少なくとも1つのC2~C32ポリオールを含みうる。
【0068】
本発明の目的の為に、語「ポリオール」は、少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基を含む任意の有機分子を意味するとして理解されるべきである。
【0069】
好ましくは、本発明に従うポリオールは、室温で、液体の形態で存在する。
【0070】
本発明における使用の為に好適なポリオールは、アルキル鎖上に少なくとも2つの-OH官能基、特には少なくとも3つの-OH官能基、より特には4つの-OH官能基、を有する、直鎖状、分岐状、又は環状の、飽和又は不飽和のアルキルタイプの化合物でありうる。
【0071】
本発明に従う組成物を配合する為に好適なポリオールは特には、とりわけ2~32個の炭素原子、好ましくは2~16個の炭素原子、を含むポリオールである。
【0072】
該ポリオールは例えば、エチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、例えばグリセロールオリゴマー、例えばジグリセロール、及びポリエチレングリコール、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0073】
本発明の好ましい実施態様に従うと、該ポリオールは例えば、エチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物から選択されうる。
【0074】
本発明の好ましい実施モードに従うと、本発明の組成物は、1,3-プロパンジオール、カプリリルグリコール、グリセロール、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含みうる。
【0075】
好ましい実施態様に従うと、本発明の組成物はまた、少なくともグリセロールを含む。
【0076】
油性相
本発明に従って使用される組成物が油相を含む場合、該油相は好ましくは、少なくとも1つの油、とりわけ化粧品油、を含む。該油相はまた、他の脂肪物質が含みうる。
【0077】
語「油」は、室温(20℃)で且つ大気圧(760mmHg)で液体である水非混和性の非水性化合物を意味する。
【0078】
本発明に従う組成物、とりわけ化粧品組成物、を調製する為に好適な油性相は、炭化水素系油、シリコーン油、フルオロ油若しくは非フルオロ油、又はそれらの混合物を含みうる。
【0079】
該油は、揮発性又は非揮発性でありうる。
【0080】
該油は、動物、植物、鉱物又は合成起源のものでありうる。一つの実施態様の変形例に従うと、シリコーン起源の油が好ましい。
【0081】
語「不揮発性」は、室温及び大気圧での蒸気圧がゼロでなく、且つ10-3mmHg(0.13Pa)未満の油を云う。
【0082】
本発明の目的の為に、語「シリコーン油」は、少なくとも1つのケイ素原子、とりわけ少なくとも1つのSi-O基、を含む油を意味する。
【0083】
語「フルオロ油」は、少なくとも1つのフッ素原子を含む油を意味する。
【0084】
語「炭化水素系油」は、水素原子と炭素原子とを主に含む油を意味する。
【0085】
該油は任意的に、例えばヒドロキシル又は酸ラジカルの形態で、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はリン原子を含みうる。
【0086】
本発明の目的の為に、語「揮発性油」は、室温で且つ大気圧下で、1時間未満で皮膚と接触すると蒸発することができる任意の油を意味する。該揮発性油は揮発性化粧用化合物であり、それは室温で液体であり、とりわけ、室温で且つ大気圧下で、非ゼロの蒸気圧を有し、とりわけ、0.13Pa~40,000Pa(10-3~300mmHg)の範囲、特には1.3Pa~13,000Pa(0.01~100mmHg)の範囲、より特には1.3Pa~1,300Pa(0.01~10mmHg)の範囲、の蒸気圧、を有する。
【0087】
揮発性油
該揮発性油は、炭化水素系油又はシリコーン油でありうる。
【0088】
8~16個の炭素原子を含む揮発性炭化水素系油の中で、とりわけ、分岐のC8~C16のアルカン、例えばC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしてまた知られている)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、及び例えば、Isopar又はPermethylの商品名の下で販売されている油、分岐のC8~C16エステル、例えばイソヘキシルネオペンタノエート、及びそれらの混合物が言及されうる。特に、該揮発性炭化水素系油は、8~16個の炭素原子及びそれらの組み合わせを含む揮発性炭化水素系油から選択される。
【0089】
8~16個の炭素原子、特には10~15個の炭素原子、より特には11~13個の炭素原子、含む揮発性直鎖アルカン、例えばParafol 12-97及びParafol 14-97の参照番号の下でSasolによってそれぞれ販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、並びにまた、それらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、Cognisy社からの特許出願である国際公開WO2008/155059号パンフレットの実施例1及び2で得られた、n-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物、並びにそれらの混合物が言及されうる。
【0090】
言及されうる揮発性シリコーン油は、直鎖状揮発性シリコーン油、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサン、を包含する。
【0091】
言及されうる揮発性環状シリコーン油は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン、特にはシクロヘキサシロキサン、を包含する。
【0092】
不揮発性油
該不揮発性油は、とりわけ、不揮発性炭化水素系のフルオロ油及び/又はシリコーン油から選択されうる。
【0093】
とりわけ言及される不揮発性炭化水素系油は、下記を包含する:
- 動物由来の炭化水素系油、
- 植物由来の炭化水素系油、10~40個の炭素原子を含む合成エーテル、例えばジカプリリルエーテル、
- 合成エーテル、例えば、式R1COOR2(ここで、R1は、1~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、及びR2は、1~40個の炭素原子を含む炭化水素系の鎖を表し、該鎖はとりわけ分枝状であり、但し、R1+R2が10以上である)の油。該エステルは特には、アルコール及び脂肪酸エステル、例えば、オクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、ヒドロキシル化されたエステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、リシノール酸アルコール又はポリアルコール、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、例えば、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、及びイソノナン酸エステル、例えば、イソノナノ酸イソノニル及びイソノナノ酸イソトリデシル、から選択されうる、
- ポリオールエステル及びペンタエリスリトールエステル、例えば、ジペンタエリスリトールテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレート、
- 室温で液体であり、12~26個の炭素原子を含む分岐及び/又は不飽和炭素系の鎖を有する脂肪アルコール、例えば、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール及びオレイルアルコール、
- C12~C22の高級脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びそれらの混合物、
- カルボナート、例えば炭酸ジカプリリル、
- 非フェニルシリコーン油、例えばカプリリルメチコン、及び
- フェニルシリコーン油、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、ジメチコン、又は100cSt以下の粘度を有するフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、及びそれらの混合物;並びにまた、
これらの様々な油の混合物。
【0094】
特に、該組成物はまた、少なくとも1つの不揮発性油、特には不揮発性無極性炭化水素系油、不揮発性エステル油から選択される不揮発性油、及びそれらの混合物を含みうる。
【0095】
本発明の目的の為に、語「無極性油」は、25℃での溶解度パラメータ,da,が0(J/cm3)1/2に等しい油を意味する。
【0096】
ハンセンの三次元溶解度空間(Hansen three-dimensional solubility space)における溶解度パラメータの定義及び計算は、C.M.Hansenによる下記の文献に記載されている:“The three dimensional solubility parameters” J.Paint Technol.39,105 (1967)。
【0097】
このハンセン空間に従うと、
- δDは、分子衝撃中に誘発される双極子の形成に由来するロンドン分散力(London dispersion forces)を特徴付ける;
- δpは、永久双極子間のデバイ相互作用力(Debye interaction forces)と、誘発された双極子と永久双極子と間のケーソム相互作用力(Keesom interaction forces)を特徴付ける;
- δhは特定の相互作用力(例えば、水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター)を特徴付ける;及び、
- δaは式 δa=(δp2+δh2)1/2によって決定される。
【0098】
パラメータδp、δh、δD及びδaは、(J/cm3)1/2で表される。
【0099】
特には、該不揮発性の無極性炭化水素系油は、酸素原子を有しない。
【0100】
好ましくは、不揮発性の無極性炭化水素系油は、鉱物又は合成起源の直鎖状又は分岐状の炭化水素から選択されうる。特に、不揮発性の該無極性炭化水素系油は、下記から選択されうる:
- 流動パラフィン又はその誘導体、
- 液体ワセリン(liquid petroleum jelly)、
- ナフタレン油、
- ポリブチレン、とりわけ、Amoco社によって販売又は製造されている、Indopol H-100(モル質量、すなわち、MW=965g/モル)、Indopol H-300(MW=1,340g/モル)、及びIndopol H-1500(MW=2,160g/モル)
- ポリイソブテン及び水素化されたポリイソブテン、とりわけ、日油(Nippon Oil Fats)社によって販売されるParleam(登録商標)、Amoco社によって販売又は製造されるPanalane H-300 E(MW=1,340g/モル)、Synteal社によって販売又は製造されるViseal 20000(MW=6,000g/モル)、及びWitco社によって販売又は製造されるRewopal PIB 1000(MW=1,000g/モル)、
- デセン/ブテンコポリマー及びポリブテン/ポリイソブテンコポリマー、とりわけIndopol L-14、
- ポリデセン及び水素化されたポリデセン、とりわけ、Mobil Chemicals社によって販売又は製造される、Puresyn 10(MW=723g/モル)及びPuresyn 150(MW=9,200g/モル);並びに
それらの組み合わせ。
【0101】
上記の不揮発性油はまた、エステル油、特には18~70個の炭素原子を含むエステル油、でありうる。
【0102】
言及されうる例は、モノエステル、ジエステル、又はトリエステルを包含する。
【0103】
該エステル油は、とりわけ、ヒドロキシル化されうる。
【0104】
該不揮発性エステル油は好ましくは、下記から選択されうる:
- 合計で18~40個の炭素原子を含むモノエステル、特には、式R1COOR2のモノエステル、ここで、R1は4~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の脂肪酸残基を表し、及びR2は、4~40個の炭素原子を含む炭化水素系鎖を表し、該鎖はとりわけ分岐状であり、但し、R1+R2が18以上であり、例えばパーセリン油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、安息香酸C12~C15アルキル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、セバシン酸ジイソプロピル、安息香酸2-オクチルドデシル、オクタノン酸アルコール若しくはポリアルコール、デカノエート若しくはリシノレート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、又はコハク酸2-ジエチルヘキシル。好ましくは、該不揮発性エステル油は、式R1COOR2のエステルであり、ここで、R1は、4~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の脂肪酸残基を表し、及びR2は、4~40個の炭素原子を含む炭化水素系の鎖を表し、該鎖はとりわけ分岐状であり、但し、R1及びR2は、R1+R2が18以上である。好ましくは、該エステルは、合計で18~40個の炭素原子を含む。言及されうる好ましいモノエステルは、イソノナン酸イソノニル、エルカ酸オレイル及び/又はネオペンタン酸2-オクチルドデシルを包含する。好ましくは、該エステルは、合計で18~40個の炭素原子を含む。言及されうる好ましいモノエステルは、イソノナン酸イソノニル、エルカ酸オレイル及び/又はネオペンタン酸2-オクチルドデシルを包含しうる;
- ジエステル、例えば合計で18~60個の炭素原子、特には合計で18~50個の炭素原子を含むジエステル。とりわけ、ジカルボン酸とモノアルコールとのジエステル、好ましくは、例えばリンゴ酸ジイソステアリル、又はモノカルボン酸のグリコールジエステル、例えばジヘプタン酸ネオペンチルグリコール又はジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、とりわけ、例えばAlzo社よりDermol DGDIS(登録商標)の商品名の下で販売されている化合物、を用いることが可能である。;
- トリエステル、特には合計で35~70個の炭素原子を含むトリエステル、特には、例えばトリカルボン酸のトリエステル、例えばクエン酸トリイソステアリル、又はトリメリット酸トリデシル、又はモノカルボン酸のグリコールトリエステル、例えばトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2;
- テトラエステル、とりわけ、35~70個の範囲の総炭素数を有するテトラエステル、例えば、モノカルボン酸のペンタエリスリトール又はポリグリセロールテトラエステル、例えばテトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、トリス(2-デシル)テトラデカン酸グリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、又はテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル;
- 不飽和脂肪酸ダイマー及び/又はトリマーとジオールとの縮合によって得られるポリエステル、例えば仏国特許出願公開第FR0853634号明細書に記載されているポリエステル、特には、例えば、ジリノール酸と1,4-ブタンジオールとの縮合によって得られるポリエステル。この点に関して、BiosynthisによってViscoplast 14436H(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー)の名称下で販売されているポリマー、又はポリオールと二酸ダイマーとのコポリマー、及びそのエステル、例えばHailuscent ISDA、がとりわけ言及されうる;
- ジオールダイマーと、モノカルボン酸又はジカルボン酸との、エステル及びポリエステル、例えばジオールダイマーと脂肪酸とのエステル、及びジオールダイマーとジカルボン酸ダイマーとのエステル、とりわけC8~C34、とりわけC12~C22、特にはC16~C20、より特にはC18、の不飽和脂肪酸の二量化から特に得られる、ジカルボン酸ダイマーから得られうるもの、例えばジリノール二酸とジリノールジオールダイマーとのエステル、例えば日本精化株式会社よりLusplan DD-DA5(登録商標)及びDD-DA7(登録商標)の商品名で販売されているもの;
- ビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマー、例えば、ISP社からAntaron V-216(Ganex V216としてまた知られている)の名称下で販売されている製品(MW=7300g/モル);
- 炭化水素系の植物油、例えば、脂肪酸トリグリセリド(それは、室温で液体である)、とりわけ、7~40個の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、ヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド又はジョジョバ油;飽和トリグリセリド、例えばカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、グリセリルトリヘプタノエート、グリセリルトリオクタノエート、及びC18~36の酸性トリグリセリド、例えばStearinerie Duboisによる、Dub TGI 24の参照番号下で販売されているもの、及び不飽和のトリグリセリド、例えばキャスターオイル、オリーブオイル、キシメニアオイル、及びプラカキシオイル;並びに、
- それらの混合物。
【0105】
油性相中に存在しうる他の脂肪物質は例えば、8~30個の炭素原子の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸;ワックス、例えばラノリン、ミツロウ、カルナウバワックス又はカンデリラワックス、パラフィンワックス、リグナイトワックス又は微結晶ワックス、セレシン又はオゾケライト、及び合成ワックス、例えばポリエチレンワックス及びフィッシャートロプシュ(Fischer-Tropsch)ワックス;シリコーン樹脂、例えば、トリフルオロメチル-C1~C4-アルキルジメチコン及びトリフルオロプロピルジメチコン;並びに、シリコーンエラストマー、例えば、信越化学工業株式会社によってKSGの名称下で販売されている製品、Dow Corning社によってTrefil若しくはBY29の名称下で販売されている製品、又はGrant Industries社によってGransilの名称下で販売されている製品、である。
【0106】
これらの脂肪性物質は、例えば一貫性又はテクスチャーに関して、所望の特性を有する組成物を調製する為に、当業者によって様々な様式で選択されうる。
【0107】
好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの脂肪物質を含む脂肪相を含む。
【0108】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの不揮発性炭化水素系油、好ましくは少なくとも1つの無極性炭化水素系油、を含む。
【0109】
好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくとも2つの不揮発性炭化水素系油及び1つの不揮発性エステル油を含む。
【0110】
特に好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの不揮発性脂肪酸トリグリセリド、1つの不揮発性カルボナート油及び1つの不揮発性エステル油を含む。
【0111】
特に好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、炭酸ジカプリリル及びセバシン酸ジイソプロピルを少なくとも含む。
【0112】
好ましくは、該油性相は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~35重量%、の範囲で存在しうる。
【0113】
日焼け止め
本発明に従う組成物は、1以上のUV遮断剤を含みうる。
【0114】
従って、1つの好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つのUV遮断剤を含む。
【0115】
特に、本発明における使用の為に好適な1以上のUV遮断剤は、水溶性UV遮断剤、脂溶性UV遮断剤、不溶性UV遮断剤、及びそれらの混合物から選択される。これらのUV遮断剤の中で、水溶性有機遮断剤、脂溶性有機遮断剤剤、不溶性有機遮断剤、及び無機遮断剤が区別されることができる。
【0116】
語「水溶性UV遮断剤」は、水性相において分子形態で完全に溶解される又は混和性にされることができる、又は水性相においてコロイド形態(例えばミセル形態)において溶解されることができる、UV放射を遮蔽する為の任意の化合物を意味する。
【0117】
語「脂溶性UV遮断剤」は、脂肪相において分子形態で完全に溶解される又は混和性にされることができる、又は脂肪相においてコロイド形態(例えばミセル形態)において溶解されることができる、UV放射を遮蔽する為の任意の化合物を意味する。
【0118】
語「不溶性UV遮断剤」は、水への溶解度が0.5重量%未満であり、且つ有機溶媒、例えば、流動パラフィン、脂肪アルコール安息香酸塩、脂肪酸トリグリセリド、例えば、Dynamit Nobel DynamitNobel社によって販売されているMiglyol 812(登録商標)、の大部分への溶解度が0.5重量%未満であるところのUV放射を遮蔽する為の任意の化合物を意味する。70℃で決定されたこの溶解度は、周囲温度に戻った後、懸濁液中の過剰な固体と平衡状態にある溶媒中の溶液中の生成物の量として定義される。それは、実験室で容易に評価されうる。
【0119】
語「水溶性有機UVA遮断剤」は、水性相中に分子形態で完全に溶解され又は混和性にすることができる、又は水相中にコロイド形態(例えば、ミセル形態)で溶解されることができる、320~400nmの波長範囲におけるUVA放射を遮蔽する為の任意の有機化合物を意味する。
【0120】
例として、本発明に従って使用されうる水溶性有機UVA遮断剤として、ベンゼン-1,4-ジ(3-メチリデン-10-カンファースルホン)酸(INCI名:テレフタリリデンジカンファースルホン酸)及びその様々な塩、スルホン基を有する少なくとも2つのベンズアゾリル基、特には1,4-ビス(ベンズイミダゾリル)フェニレン-3,3',5,5'-テトラスルホン酸(INCI名:フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム)又はその塩、例えば、Symrise社によりNeoheliopan AP(登録商標)の名称下で販売されているもの、少なくとも1つのスルホン酸官能基を含むベンゾフェノン化合物、例えば、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5又はベンゾフェノン-9が言及されうる。
【0121】
語「水溶性有機UVB遮断剤」は、水性相中に分子形態で完全に溶解され又は混和性にすることができる、又は水相中にコロイド形態(例えば、ミセル形態)で溶解されることができる、280~320nmの波長範囲におけるUVB放射を遮蔽する為の任意の有機化合物を意味する。
【0122】
例として、本発明に従って使用されうる水溶性有機UVB遮断剤として、水溶性桂皮誘導体、例えば、フェルラ酸又は3-メトキシ-4-ヒドロキシ桂皮酸、水溶性ベンジリデンカンファー化合物、水溶性フェニルベンズイミダゾール化合物、水溶性p-アミノ安息香酸(PABA)化合物、水溶性サリチル化合物、及びそれらの混合物が言及されうる。
【0123】
語「脂溶性有機UVB遮断剤」は、脂肪相中に分子形態で完全に溶解され又は混和性にすることができる、又は脂肪相中にコロイド形態で(例えばミセル形で)に溶解されることができる、280~320nmの波長範囲におけるUVB放射を遮蔽する為の任意の有機化合物を意味する。脂溶性有機UVB遮断剤の中には、それらのうちの幾つかが室温で液体のものがある。
【0124】
例として、本発明に従って使用されうる脂溶性有機UV遮断剤として、桂皮誘導体、アントラニレート、サリチル誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、樟脳誘導体、ベンゾフェノン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロネート誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロネート誘導体、特に米国特許第US5624663号明細書に引用されているベンザルマロネート誘導体、イミダゾリン、p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体、欧州特許出願公開第EP0832642号明細書、欧州特許出願公開第EP1027883号明細書、欧州特許出願公開第EP1300137号明細書及び独国特許出願公開第DE10162844号明細書、に記載されているベンゾオキサゾール誘導体、遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、例えば、特に国際公開WO93/04665号パンフレットに記載されている遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、α-アルキルスチレン系二量体、例えば独国特許出願公開第19855649号明細書に記載されているα-アルキルスチレン系二量体、欧州特許出願公開第EP0967200号明細書、独国特許出願公開第19746654号明細書、独国特許出願公開第DE19755649号明細書、欧州特許出願公開第EP-A-1008586号明細書、欧州特許出願公開第EP1133980号明細書及び欧州特許出願公開第EP133981号明細書に記載されている4,4-ジアリールブタジエン、米国特許第US4195999号明細書、国際公開WO2004/006878号パンフレット、国際公開WO2008/090066号パンフレット、国際公開WO2011113718号パンフレット及び国際公開WO2009/027258号パンフレット並びに、2009年2月23日に公開されたIP COM Journal No.000179675D、2009年4月29日に公開されたIP COM Journal No.000182396D、2009年11月12日に公開されたIP COM Journal No.000189542D、及び2004年4月3日に公開されたIP COM Journal No.IPCOM000011179Dに記載されている、メロシアニン誘導体、メロシアニン、並びに、それらの混合物が言及されうる。
【0125】
好ましくは、脂溶性有機UV遮断剤は、ジベンゾイルメタン誘導体、例えば、特にDSM Nutritional Products社によってParsol(登録商標) 1789の商品名の下で販売されているブチルメトキシジベンゾイルメタン又はアボベンゾン、サリチル酸誘導体、例えばRona/EM IndustriesによりEusolex(登録商標) HMSの名称下で販売されているホモサレート、又は特にSymriseにより特にNeo Heliopan(登録商標) OSの名称下で販売されているサリチル酸エチルヘキシル、β、β-ジフェニルアクリレート誘導体、例えばBASFにより特にUvinul(登録商標) N539の商品名の下で販売されているオクトクリレン、若しくはBASFにより特にUvinul(登録商標) N35の商品名の下で販売されているエトクリレン、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0126】
例として、本発明に従って使用されうる不溶性有機UV遮断剤として、オキサラニリド型のUV遮断剤、トリアジン型のUV遮断剤、ベンゾトリアゾール型のUV遮断剤、ビニルアミド型のUV遮断剤、シンナミド型のUV遮断剤、ベンゾアゾール及び/又はベンゾフラン、ベンゾチオフェンである1以上の基を含む型のUV遮断剤、又はインドール型のUV遮断剤、アリールビニレンケトン型のUV遮断剤、フェニレンビス-ベンゾオキサジノン誘導体型のUV遮断剤、アミドのUV遮断剤、スルホンアミドのUV遮断剤、又はアクリロニトリルカルバメート誘導体型のUV遮断剤、又はそれらの混合物が言及されうる。
【0127】
例として、本発明に従って使用されうる無機UV遮断剤として、0.50μm以下、より好ましくは0.005~0.50μm、なおより好ましくは0.01~0.2μm、なおよくは0.01~0.1μm、より特には好ましくは0.015~0.05μm、の平均元素粒子サイズを有する金属酸化物顔料、例えば金属酸化物粒子、が言及されうる。
【0128】
語「基本サイズ」は、凝集していない粒子のサイズを意味する。
【0129】
1以上の日焼け止めが、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、1.0重量%~25重量%の範囲、好ましくは3.0重量%~20重量%の範囲、の含有量で存在しうる。
【0130】
アジュバント
【0131】
界面活性剤
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つの界面活性剤を含みうる。
【0132】
該界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性の界面活性剤、並びにそれらの混合物から選択されうる。界面活性剤の乳化特性及び機能の定義については、Kirk-OthmerのEncyclopedia of Chemical Technology,Volume 22,pages 333-432,3rd Edition,1979,Wiley、特には、アニオン性、両性及び非イオン性の界面活性剤については、この文献の347~377頁が参照されうる。
【0133】
非イオン性界面活性剤
好ましくは、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。
【0134】
該非イオン性界面活性剤は、とりわけ、ポリ(エチレンオキシド)又はポリ(プロピレンオキシド)のアルキル及びポリアルキルエステル、オキシアルキレン化されたアルコール、ポリ(エチレンオキシド)又はポリ(プロピレンオキシド)のアルキル及びポリアルキルエーテル、ソルビタンの任意的にポリオキシエチレン化されていてもよいアルキル及びポリアルキルエステル、ソルビタンの任意的にポリオキシエチレン化されていてもよいアルキル及びポリアルキルエーテル、アルキル及びポリアルキルグリコシド又はポリグリコシド、特にはアルキル及びポリアルキルグルコシド又はポリグルコシド、スクロースのアルキル及びポリアルキルエステル、グリセロールの任意的にポリオキシエチレン化されていてもよいアルキル及びポリアルキルエステル、グリセロールの任意的にポリオキシエチレン化されていてもよいアルキル及びポリアルキルエーテル、ジェミニ界面活性剤、セチルアルコール、ステアリルアルコール、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0135】
好ましくは使用されるオキシアルキレン化された、特にはオキシエチレン化された及び/又はオキシプロピレン化された、アルコールは、1~150個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位、特には20~100個のオキシエチレン単位、特には、とりわけC8~24、好ましくはC12~C18、の脂肪族アルコール、を含みうる上記のアルコール;これらは、エトキシル化されていてもよく又はエトキシ化されていなくてもよく、例えば20個のオキシエチレン単位でエトキシル化されたステアリルアルコール(CTFA名:Steareth-20)、例えばUniqema社より販売されているBrij(登録商標) 78、30個のオキシエチレン単位でエトキシル化されたセテアリルアルコール(CTFA名:Ceteareth-30)、及び7個のオキシエチレン単位を含むC12~C15脂肪アルコールの混合物(CTFA名:C12~15 Pareth-7)、例えばShell ChemicalsよりNeodol 25-7(登録商標)の名称下で販売されている製品;又は特には、1~15個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位を含むオキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)されたアルコール、特にはエトキシル化されたC8~C24、好ましくはC12~C18、の脂肪アルコール、例えば2個のオキシエチレン単位でエトキシル化されたステアリルアルコール(CTFA名:Steareth-2)、例えばUniqema社より販売されているBrij(登録商標) 72、である。
【0136】
任意的にポリオキシエチレン化されていてもよい、好ましくは用いられる、ソルビタンのアルキル及びポリアルキルエステルは、0~100個の範囲の幾つかのエチレンオキシド(EO)単位を有するものを包含する。言及されうる例は、ラウリン酸ソルビタン4又は20 EO、特にはポリソルベート20(又はポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸ソルビタン)、例えばUniqema社より販売されている製品Tween(登録商標) 20、又はポリソルベート60、パルミチン酸ソルビタン20 EO、イソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン20 EO、オレイン酸ソルビタン20 EO、又はBASFからのCremophor(登録商標)製品(RH 40、RH 60等)を包含する。CrodaからArlacel(登録商標) 2121U-FLの名称下で販売されている、ステアリン酸ソルビタンとヤシ脂肪酸スクロース(sucrose cocoate)との混合物がまた言及されうる。
【0137】
好ましくは使用される、アルキル及びポリアルキルグルコシド又はポリグルコシドは、6~30個の炭素原子、好ましくは6~18個、又は更に8~16個、の炭素原子を含むアルキル基を含み、好ましくは1~5、とりわけ1、2又は3、のグルコシド単位を含むグルコシド基を含むものを包含する。アルキルポリグルコシドは、例えばデシルグルコシド(アルキル-C9/C11-ポリグルコシド(1.4))、例えばKao Chemicals社よりMydol 10(登録商標)の名称下で販売されている製品、又はHenkel社よりPlantacare 2000 UP(登録商標)の名称下で販売されている製品、及びSEPPIC社よりOramix NS 10(登録商標)の名称下で販売されている製品;カプリリル/カプリルグルコシド、例えばCognis社よりPlantacare KE 3711(登録商標)の名称下で販売されている製品、又はSEPPIC社よりOramix CG 110(登録商標)の名称下で販売されている製品;ラウリルグルコシド、例えばHenkel社よりPlantacare 1200 UP(登録商標)の名称下で販売されている製品、又はHenkel社よりPlantaren 1200 N(登録商標)の名称下で販売されている製品;ココイルグルコシド、例えばHenkel社よりPlantacare 818 UP(登録商標)の名称下で販売されている製品;カプリリルグルコシド、例えばCognis社よりPlantacare 810 UP(登録商標)の名称下で販売されている製品;アラキジルグルコシドとベヘニルアルコールとアラキジルアルコールとの混合物(そのINCI名はアラキジルアルコール(及び)ベヘニルアルコール(及び)アラキジルグルコシドであり、SEPPIC社よりMontanov(登録商標) 202の名称下で販売されている);並びに、それらの混合物から選択されうる。
【0138】
アニオン性界面活性剤
該アニオン性界面活性剤は、アルキルエーテル硫酸塩、カルボン酸塩、アミノ酸誘導体、スルホン酸塩、イセチオン酸塩、タウリン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、リン酸塩及びアルキルリン酸塩、ポリペプチド、C10~C30、特にはC16~C25、の脂肪酸の金属塩、特には金属ステアリン酸塩及びベヘン酸塩、並びにその混合物から選択されうる。
【0139】
カチオン性界面活性剤
該カチオン性界面活性剤は、アルキルイミドリジニウム、例えばイソステアリルエチルイミドニウムエトスルフェート、アンモニウム塩、例えば(C12~30-アルキル)-トリ(C1~4-アルキル)アンモニウムハライド、例えばN,N,N-トリメチル-1-ドコサナミニウムクロリド(又はベヘントリモニウムクロリド)、から選択されうる。
【0140】
両性界面活性剤
本発明に従う組成物はまた、1以上の両性界面活性剤、例えばN-アシルアミノ酸、例えばN-アルキルアミノ酢酸塩及びココアンホジ酢酸二ナトリウム、並びにアミンオキシド、例えばステアリンオキシド、又は代替的には、シリコーン界面活性剤、例えばジメチコンコポリオールホスフェート、例えばPhoenix Chemical社よりPecosil PS 100(登録商標)の名称下で販売されている製品、を含みうる。
【0141】
シリコーン界面活性剤
該組成物はまた、少なくとも1つのシリコーン界面活性剤を含みうる。例として、単独又は混合物として使用される、25℃で8以上のHLBを有する非イオン性界面活性剤として、ジメチコンコポリオール又はジメチコンコポリオールベンゾエートが言及され得、及び、単独又は混合物として使用される、25℃で8未満のHLBを有する非イオン性界面活性剤として、シクロメチコン/ジメチコンコポリオールの混合物が言及されうる。
【0142】
1以上の該界面活性剤は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、0.5重量%~15重量%、好ましくは0.5重量%~10重量%、の範囲の割合で存在しうる。
【0143】
ゲル化剤及び増粘剤
得ることを所望する組成物の粘度に応じて、1以上の増粘剤及び/又はゲル化剤(それは、とりわけ、親水性であり、すなわち水溶性又は水分散性である)、が、組成物内に組み込まれうる。
【0144】
好ましい実施態様に従うと、該ゲル化剤は、合成高分子ゲル化剤から選択され、特には、架橋化されたアクリルホモポリマー又はコポリマー、会合性ポリマー、特には、ポリウレタン型の会合性ポリマー、ポリアクリルアミド、並びに架橋された及び/又は中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、修飾された又は非修飾のカルボキシビニルポリマー、並びにそれらの混合物、とりわけ、以下に定義されたもの、から選択される。
【0145】
言及されうる親水性ゲル化剤の例は、修飾された又は非修飾のカルボキシビニルポリマー、例えば、Goodrich社によってCarbopol(登録商標)(CTFA名:カルボマー(carbomer))及びPemulen(登録商標)(CTFA名:アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー)の名称下で販売されている製品、ポリアクリルアミド、任意的に架橋された及び/又は中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマー、例えば、Hostacerin(登録商標)AMPS(CTFA名:アンモニウムポリアクリルアミドジメチルタウラミド)という名称下で、Hoechst社により販売されているポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、アクリルアミドとAMPSとの架橋されたアニオン性コポリマー(それは、W/Oエマルジョンの形態である)、例えば、SEPPIC社によって、Sepigel(登録商標) 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13~14イソパラフィン/ラウレス-7)という名称下で、及びSimulgel(登録商標) 600(CTFA名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)という名称下で、販売されている上記アニオン性コポリマー、多糖類バイオポリマー、例えば、変性されたセルロース、カラギーナン、ジェランガム、寒天、キサンタンガム、アルギナート系化合物、特には、アルギン酸ナトリウム、スクレログルカンガム(scleroglucan gum)、グアーガム、イヌリン、プルラン、カッシアガム、カラヤガム、コンニャクガム(konjac gum)、トラガカントガム(gum tragacanth)、タラガム、アカシアガム又はアラビアガム、並びにそれらの混合物、を包含する。
【0146】
本発明での使用に好適な高分子親水性ゲル化剤は、天然のものでも天然由来のものでもよい。
【0147】
本発明の目的の為に、語「天然由来である」は、天然高分子ゲル化剤の修飾によって得られる高分子ゲル化剤を示すことが意図されている。
【0148】
これらのゲル化剤は、粒子状又は非粒子状でありうる。
【0149】
より特には、これらのゲル化剤は、多糖類のカテゴリ内に含まれ、それらは、幾つかのカテゴリに分類されうる。
【0150】
従って、本発明における使用の為に好適な多糖は、ホモ多糖、例えば、フルクタン、グルカン、ガラクタン及びマンナン、又はヘテロ多糖、例えばヘミセルロース、でありうる。
【0151】
同様に、該多糖は、直鎖状多糖類、例えばプルラン、又は分岐状多糖類、例えばアカシアガム及びアミロペクチン、又は混合多糖類(mixed polysaccharides)、例えばデンプン、でありうる。
【0152】
より特には、本発明における使用の為に好適な多糖類は、それらがでんぷん質であるかどうかによって区別されうる。でんぷん質多糖類の代表として、最も特には、天然でんぷん、加工でんぷん、及び粒子状でんぷんが言及されうる。
【0153】
一般的に、非デンプン質多糖類は、微生物によって産生される多糖類;藻類から単離される多糖類、及び高等植物多糖類、例えば同種多糖類(homogeneous polysaccharides)、特にはセルロース及びその誘導体又はフルクトサン、不均一多糖類、例えばアカシアガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン及びペクチン、及びそれらの誘導体;並びに、それらの混合物から選択されうる。
【0154】
1以上の増粘剤及び/又は1以上のゲル化剤が、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、0.05重量%~5.0重量%、好ましくは0.1重量%~4.0重量%の範囲の含有量で存在しうる。
【0155】
充填剤
本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つの 充填剤を含みうる。
【0156】
該充填剤は、顔料、酸化チタン、赤色鉄酸化物、黄色鉄酸化物、黒色鉄酸化物、窒化ホウ素、ナクレ、合成又は天然マイカ、マイカ及び酸化チタンを含むナクレ、シリカ粉末、タルク、ポリアミド粒子、及び、とりわけ、Atochem社によるOrgasol(登録商標)の名称下で販売されているそれら、ポリエチレン粉末、アクリルコポリマーをベースにしたミクロスフェア、例えば、Polytrap(登録商標)の名称下でDow Corning社より販売されているエチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー、膨張粉末(expanded powders)、例えば中空ミクロスフェア(hollow microspheres)、とりわけ、Kemanord Plast社によりExpancel(登録商標)の名称下で販売されているミクロスフェア又はToshiba Silicone社によりTospearl(登録商標)の名称下で販売されているミクロスフェア、並びにそれらの混合物から選択される。
【0157】
好ましくは、本発明に従う組成物は、窒化ホウ素を含む。
【0158】
これらの充填剤は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、0.1重量%~5.0重量%、好ましくは1.0重量%~3.0重量%、の範囲の含有量で存在しうる。
【0159】
活性剤
本発明に従う組成物は、追加の活性剤、特には、本発明に従って使用されるレチノール以外の抗老化活性剤、を含みうる。
【0160】
抗老化活性剤の例として、ヒアルロン酸ナトリウム、n-オクタノイル-5-サリチル酸、アデノシン、c-ベータ-d-キシロピラノシド-2-ヒドロキシプロパン、及び3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンチル酢酸のナトリウム塩が言及されうる。
【0161】
そのような活性剤は、本発明に従う組成物中に、該組成物の総重量に対して、0.05重量%~5.0重量%、好ましくは0.05重量%~1.5重量%、範囲の含有量で存在しうる。
【0162】
上記された通り、好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は好ましくは、ヒト及び/又は環境に有害でありうる化合物を含まない、すなわち、該組成物は、0.2重量%未満、特には0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満、しか含まず、又は、人及び/又は環境に有害でありうる化合物、特にはブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)若しくはその塩を完全に含まない。
【0163】
従って、本発明に従う組成物は特には、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩を含まず、好ましくは、エチレンジアミン四酢酸又はその塩を完全に含まない。
【0164】
本発明に従う組成物はまた、化粧品分野において慣用的に使用されているアジュバント、例えば、保存剤、香料、染料、極性添加剤、フィルム形成ポリマー、pH調整剤(酸又は塩基)、化粧品活性剤、例えば、保湿剤、瘢痕形成剤、脂性皮膚と闘う為の剤、皮膚及び/又は抗汚染剤、並びにそれらの混合物、から選択される少なくとも1つの添加剤を含みうる。
【0165】
言うまでもなく、本発明に従う組成物の有利な特性が、想定される添加によって悪影響を受けない又は実質的に影響を受けないように当業者は、この又はこれらの任意の追加の1以上の化合物、及び/又はそれらの量を選択するように注意を払うであろう。
【0166】
組成物
前に述べた通り、本発明に従う組成物は、化粧用及び/又は皮膚科学的であり得、好ましくは化粧用である。
【0167】
本発明に従う組成物は一般的に、皮膚への局所適用に好適であり、従って、一般的に、生理学的に許容される媒体、すなわち、皮膚と適合性のある媒体、を含む。
【0168】
本発明に従う組成物は好ましくは、化粧用上許容される媒体、すなわち、心地よい色、匂い及び感触を有し、何らの許容できない不快感、すなわち、刺痛、緊張又は発赤を生じず、消費者がこの組成物を施与することを思いとどまらせる傾向がある媒体でない。
【0169】
本発明に従う化粧品組成物は、意図された用途の為の化粧品、特には局所用途の為の化粧品、において慣用的に使用されている任意の提示形態でありうる。
【0170】
ケラチン物質、とりわけ皮膚又はその外皮、への局所適用の場合に、組成物は、とりわけ、水性液又は油性溶液の形態で、又はローション若しくは美容液(セラム)タイプの分散液の形態で、脂肪相を水性相(水中油)若しくは逆に(油中水)中に分散させることによって得られる乳液(milk type)の液体若しくは半液体の粘稠度のエマルジョンの形態、又は柔らかい粘稠度の懸濁液若しくは乳濁液の形態、水性若しくは無水のゲル若しくはクリームタイプの形態、マイクロカプセル若しくはマイクロ粒子の形態、イオン性及び/又は非イオン性タイプの小胞分散液の形態、でありうる。これらの組成物は、通常の方法に従って調製される。
【0171】
好ましくは、本発明に従う組成物は、水中油型(O/W)エマルジョン、乳化されたゲル若しくは油性溶液の形態である。
【0172】
特に、本発明に従う組成物、3~8の範囲のpHを有する。好ましくは、該組成物のpHは、4~7、より好ましくは5~7、の範囲である。
【0173】
本発明に従う組成物は、当業者に周知である技術に従って調製されうる。
【0174】
組成物の意図された使用
本発明に従う組成物は、ケラチン物質、特には身体の又は顔のケラチン物質、好ましくは顔のケラチン物質、をケア及び/又はメークアップする為の化粧品組成物の形態でありうる。
【0175】
これらの組成物は、顔、手又は身体の為のクレンジングクリーム、保護クリーム、処置クリーム又はケアクリーム、例えば、デイクリーム、ナイトクリーム、メイクアップクリーム、ファンデーションクリーム、日焼け防止クリーム(antisun creams)、流動性ファンデーション、保護ボディミルク又はケアボディミルク、日焼け防止ミルク(antisun milks)、ローション若しくはブリスター処置製品(blister treatment products)を構成し得る。
【0176】
従って、本発明に従う化粧品組成物は、液体から半液体例えば、ミルク、多かれ少なかれ滑らかなクリーム、ジェルクリーム又はペースト、の粘稠度、を有する、顔及び/又は身体の為のケア製及び/又は日焼け防止製品(antisun product)として使用されうる。
【0177】
好ましくは、本発明に従う組成物は、ケラチン物質、特には、身体の又は顔の皮膚、好ましくは顔の皮膚、をケアする為の化粧品組成物の形態である。
【0178】
特に、本発明の組成物は、身体又は顔、特には顔、の皮膚の為のアンチエイジングケア組成物の形態でありうる。
【0179】
他の実施態様において、本発明の組成物は、ケラチン物質、特には身体又は顔、好ましくは顔、のケラチン物質、をメークアップする為の組成物の形態でありうる。
【0180】
従って、この実施形態のサブモードに従うと、本発明の組成物は、メークアップする為のメークアップベース組成物の形態でありうる。本発明の組成物は特には、ファンデーションの形態でありうる。
【0181】
この実施形態のさらに他のサブモードに従うと、本発明の組成物は、リップ製品、とりわけ口紅、の形態でありうる。
【0182】
この実施形態のさらに他のサブモードに従うと、本発明の組成物は、眉毛用の製品、特にアイブローペンシル(eyebrow pencil)、の形態であり得る。
【0183】
そのような組成物は、とりわけ、当業者の一般的な知識に従って調製される。
【0184】
従って、本発明はまた、ケラチン物質をケアする為の及び/又はメークアップする為の、好ましくは、ケラチン物質、特には身体及び/又は顔の皮膚、をケアする為の、本発明に従う組成物の使用に関する。
【0185】
本発明はまた、ケラチン物質、特には皮膚及び/又は唇、をメークアップする為の及び/又はケアする為の化粧方法であって、以前に定義された組成物を該ケラチン物質に施与する少なくとも1つの工程を含む、上記の化粧方法に関する。
【0186】
好ましくは、本発明はまた、ケラチン物質、特には皮膚及び/又は唇、をケアする為の化粧方法であって、上記で定義された組成物を該ケラチン物質に施与する少なくとも1つの工程を含む、上記の化粧方法に関する。
【0187】
特に、本発明に従う組成物は、皮膚の老化の兆候と闘う為に使用されうる。
【0188】
従って、本出願はまた、皮膚の老化の兆候と闘う為の本発明に従う組成物の使用に関する。
【0189】
該組成物は、手によって又はアプリケータを使用して皮膚に施与されうる。
【0190】
特許請求の範囲を含む本明細書を通じて、表現「を含む(including a)」は、特に指定されない限り、「少なくとも1つを含む(including at least one)」と同義であると理解されるべきである。
【0191】
語「~の(between...and...)」、「~を含む(comprises from...to...)」、「~から形成される(formed from...to...)」、及び「~の範囲の(ranging from...to...)」は、特に指定されない限り、限界を含むものとして理解されるべきである。
【0192】
本発明は、以下に示す実施例により、より詳細に説明される。特に指定されない限り、示された量は、質量パーセンテージとして表される。
【0193】
実施例
【0194】
測定及び評価方法
【0195】
安定性測定
該組成物の安定性試験が、標準ISO/TR 18811:2018によって課されたガイドラインに従って実施された。それらは、30mLの不透明なラッカー仕上げのガラス瓶中で調整された製剤において実行される。
【0196】
該測定は、配合後、24時間及び1ヶ月で行われる。それらは、3つの異なる温度、具体的には20℃で、4℃で、及び445℃で実行されうる。
【0197】
劣化率の測定
保存後の分解率は、保存後の組成物中の残留レチノールをアッセイすることにより、4℃で及び45℃で1か月間(T=1ヶ月)で測定される。分解率はHPLCによって測定され、そして、理論上の初期パーセンテージ又はHPLCにより測定された初期パーセンテージの関数として計算される。理論割合は、理論上の初期レチノール含有量に対応する。
【0198】
組成物の官能特性(organoleptic properties)の測定
外観、色、及びにおいが、20℃での瓶についてはT=24時間で、20℃で、4℃で、及び45℃で保管された瓶についてはT=1か月で、配合物について、3人のパネルによって判断される。該組成物が「原料」と言われるにおいがある場合、それは、酸化油のにおい(酸敗臭)とは異なり、香料によって偽装されることが可能である。
【0199】
20℃での測定
30mLの不透明なガラス瓶が、個々の食器棚に室温(20℃)で保管される。
【0200】
4℃での測定
4℃で30mLの不透明ガラスビン内の製剤が、Manumesure社によって提供されるLiebbern Gastro Line冷蔵庫中で4℃で保管される。
【0201】
45℃での測定
オーブン保管は、Manumesure社によって提供されるJouvanオーブンを使用して、45℃で1か月間行われる。30-mLの不透明な瓶がオーブンに入れられ、必要な時間放置される。
【0202】
比色特性の評価
組成物の比色特性が、下記のプロトコルに従って評価された。
【0203】
フィルムスプレッダー(film spreader)を使用して、コントラストカード上に50μmの薄膜を作成した後に、該組成物の色が評価された。
【0204】
次に、フィルム上の2点でミノルタCM2600D分光比色計を使用して、比色測定が行われた。
【0205】
結果が、(L*,a*,b*)系で表され、ここで、L*は輝度を表し、a*は赤-緑軸(-a*=緑,+a*=赤)、及びb*は黄-青軸(-b*=青,+b*=黄)を表す。従って、a*及びb*は化合物の色合いを表す。
【0206】
各配合物について、色が、20℃でt=0で測定され、そして次に、再びt=1ヶ月で測定された(45℃での保存後)。
【0207】
次に、下記の式に従って、各組成物の色差ΔE*が測定された。
(ΔE*)2=(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2
ΔL*+t=0でのL*配合物-t=1ヶ月でのL*配合物
Δa*+t=0でのa*配合物-t=1ヶ月でのa*配合物
Δb*+t=0でのb*配合物-t=1ヶ月でのb*配合物
ΔE*の値が高いほど、1か月後の色の変化がより大きくなる。
【0208】
実施例1
本発明に従う組成物I1及び本発明外の組成物CC1~CC5は、下記の表に詳細が示されている重量比を使用して作成される。該値は、該組成物の総重量に対して、重量パーセントとして表される。
【0209】
【0210】
該組成物を調整する為のプロトコル
相Aの成分は、遊星式攪拌機(planetary stirrer)と乳化剤を備えられたMinilabで70℃~75℃の温度に加熱される。
【0211】
相Bの成分は、ホットプレートを使用してビーカー内で75℃の温度に加熱され、そして次に、相A内に注がれる。
【0212】
混合物が10分間乳化される(2000rpmでの乳化剤及び30rpmでの遊星式攪拌機)。
【0213】
相Cが追加され、そして、10分間混合される(3600rpmでの乳化剤及び40rpmでの遊星式攪拌機)。
【0214】
加熱システムが停止され、そして、混合物が放冷される。水が加えられる。
【0215】
次に、該混合物は、-0.60Paに加圧され、そして、乳化剤が2400rpmに調整され、そして、遊星式攪拌機が50rpmに調整される。
【0216】
混合物の温度が40℃に達した場合に、水酸化ナトリウムが加えられ、そして、真空が-0.40Paに調整される。
【0217】
混合物の温度が37℃に達した場合に、充填剤が加えられる。
【0218】
乳化剤の速度が2500rpmに上げられ、そして、該遊星式攪拌機の速度が40 rpmに下げられると同時に、真空を-0.60Paに維持する。
【0219】
他の相が追加される。
【0220】
混合物の温度が33℃に達した場合に、Minilabが停止され、そして、製剤がビーカーに移される。
【0221】
レチノールの添加は、グローブボックス内で、不活性雰囲気(窒素)下で行われる。レチノールの適量が秤量され、そして次に、ビーカーに加えられ、レイネリ(Rayneri)と共に650~700rpmの速度で、10分間攪拌する。
【0222】
配合物が、不活性雰囲気下で、30mLのガラス瓶中と100mLのピルボックス中で調整され、それらは閉じられる。アイテムがエアロックに入れられ、そして、窒素を除去する為に真空サイクルが実行される。次に、調整された配合物が回収される。
【0223】
組成物中のレチノールの安定性の測定
本発明に従う組成物I1及び本発明外の組成物CC1~CC5の劣化率測定の結果が下記の表2に示されている。
【0224】
【0225】
本発明に従う組成物I1は、本発明外の組成物CC1、CC2、CC3及びCC5について観察されたレチノール損失よりも有意に低いレチノール損失を示し、それらはそれぞれ、EDTA及びBHT又はBHTを含み、又は、ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチルとエチレンジアミンジコハク酸塩との組み合わせを含まない。
【0226】
従って、該結果は、本発明に従う組成物が、本発明外の組成物よりも安定していることを示す。
【0227】
組成物の官能特性の測定
本発明に従う組成物I1及び本発明外の組成物CC1~CC5の結果が、下記の表3に示されている。
【0228】
【0229】
比較組成物とは対照的に、本発明に従う組成物I1は、化粧品において使用する為に十分な色及びにおいを有する。特には、におい及び色における変化は時間の経過とともにほとんど変化せず、従って、その官能特性が維持される。
【0230】
特には、組成物CC2及びCC4の色における変化は、本発明に従う組成物の色における変化よりもはるかに大きい。その上、組成物CC4は、酸敗した酸化油のにおいを発する。
【0231】
従って、組成物CC2、CC4及びCC5は、官能的観点から消費者に受け入れられない。
【0232】
実施例2
本発明に従う組成物I2及び本発明外の組成物CC6は、実施例1に示されている通り、下記の表に詳述されている重量比を使用して調製される。該値は、該組成物の総重量に対する重量パーセントとして表されている。
【0233】
【0234】
組成物中のレチノールの安定性の測定
本発明に従う組成物I2及び本発明外の組成物CC6の劣化率測定の結果は、本発明に従う組成物が本発明外の組成物について観察されたものよりも有意に低いレチノール損失を示し、従ってより安定であることを示す。
【0235】
特には、45℃対4℃でのT=1ヶ月で、本発明に従う組成物は、本発明外の組成物よりも14%低いレチノール損失を示し、及び45℃対理論割合でのT=1ヶ月で、本発明に従う組成物は、本発明外の組成物よりも20%低いレチノール損失を示す。
【0236】
実施例3
本発明に従う組成物I3及びI4は、下記の表に詳述されている通りの重量比を使用して調製される。該値は、該組成物の総重量に対する重量パーセントとして表される。
【0237】
【0238】
組成物を調製する為のプロトコル
該組成物は、上記の実施例1に詳述されている通りに調製される。
【0239】
組成物中のレチノールの安定性の測定
本発明に従う組成物I3及びI4の劣化率測定の結果が、下記の表6に示されている。
【0240】
【0241】
本発明に従いうる組成物I3~I4は、有意に低いレチノール損失を示し、従って、本発明に従う組成物がそれらの貯蔵中に非常に安定したままであることを実証している。
【0242】
本発明に従いうる組成物I3~I4はまた、満足のいく官能特性(organoleptic properties)を示す。
【0243】
実施例4
本発明に従う組成物I5~I7は、下記の表に詳述されている通り、重量比を使用して調製される。値は、該組成物の総重量に対して重量パーセントとして表される。
【0244】
【0245】
本発明に従う組成物I5~I7は、満足のいく安定性及び/又はガノレプティック特性(ganoleptic properties)を示す。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物
であって、
レチノール;
ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル;及び
エチレンジアミンジコハク酸塩
を少なくとも含む、前記組成物。
【請求項2】
前記組成物の総重量に対して、0.02重量%~5.0重量%
のレチノールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物の総重量に対して、0.01重量%~2.5重量%
のペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチルを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の総重量に対して、0.01重量%~2.5重量%
のエチレンジアミンジコハク酸塩を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記エチレンジアミンジコハク酸塩が、カリウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩、並びにエチレンジアミン二コハク酸のアミン塩
である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル/エチレンジアミンジコハク酸塩の質量比が、0.1~5
である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
ブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)若しくはそれらの塩を0.2重量%未満
しか含まないこと
を特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1つのUV遮断剤をまた含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの不揮発性炭化水素系油をまた含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくともグリセロールをまた含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
ケラチン物質をケアする為の化粧品組成物であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
ケラチン物質
をメークアップする為の及び/又はケアする為
の化粧方法であって、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物を前記ケラチン物質に施与する少なくとも1つの工程を含む、前記方法。
【国際調査報告】