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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】接着性光防護化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/14 20060101AFI20230215BHJP
   C07D 207/452 20060101ALI20230215BHJP
   C07D 213/71 20060101ALI20230215BHJP
   C07D 317/28 20060101ALI20230215BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20230215BHJP
   C07D 475/04 20060101ALI20230215BHJP
   C07D 211/54 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20230215BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20230215BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/4015 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/357 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/4188 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/275 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230215BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20230215BHJP
   C07C 317/18 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
C07D403/14
C07D207/452 CSP
C07D213/71
C07D317/28
C07D495/04 103
C07D475/04
C07D211/54
A61K8/49
A61K8/46
A61Q17/04
A61Q19/00
A61K31/53
A61K31/4015
A61K31/4402
A61K31/357
A61K31/4188
A61K31/519
A61K31/275
A61K31/445
A61P3/00
A61P17/02
A61P17/06
A61P17/00
A61P17/00 171
A61P43/00 171
A61P35/00
A61P17/14
A61P17/04
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
A61P33/00
A61K9/10
A61K9/12
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/107
A61K9/20
A61K9/14
A61K9/127
A61P31/12 171
A61P31/04 171
A61P33/00 171
A61P27/02
C07D401/10
C07C317/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538253
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2020086955
(87)【国際公開番号】W WO2021123116
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】19306696.6
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522075380
【氏名又は名称】スキノシヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・プレティー
(72)【発明者】
【氏名】ドニ・カルニアート
(72)【発明者】
【氏名】イザベル・ロー
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
4C071
4C076
4C083
4C086
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA47
4C055CA01
4C055DA01
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB06
4C063BB07
4C063BB08
4C063CC42
4C063CC43
4C063CC67
4C063DD04
4C063DD10
4C063EE01
4C063EE10
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC02
4C071CC11
4C071DD06
4C071EE22
4C071FF04
4C071FF10
4C071GG06
4C071HH08
4C071JJ01
4C071LL01
4C071LL10
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA17
4C076AA19
4C076AA24
4C076AA36
4C076AA51
4C076BB31
4C076BB34
4C076CC10
4C076CC18
4C076CC19
4C076CC20
4C076CC21
4C076CC27
4C076CC32
4C076CC34
4C076CC35
4C076FF65
4C083AC761
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC861
4C083CC03
4C083CC19
4C083DD08
4C083DD11
4C083DD17
4C083DD21
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD31
4C083DD39
4C083DD41
4C083DD45
4C083EE12
4C083EE17
4C086AA01
4C086AA10
4C086BA12
4C086BC08
4C086BC17
4C086BC64
4C086CB09
4C086CB28
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZB37
4C086ZC21
4C086ZC61
4C206AA01
4C206AA10
4C206HA13
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA33
4C206ZA89
4C206ZA92
4C206ZB26
4C206ZB33
4C206ZB35
4C206ZB37
4C206ZC21
4C206ZC61
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB12
4H006AB20
4H006TA02
(57)【要約】
本発明は、下記の式(I)によって表される化合物:
A[B-(C)v]w (I)
[式中、Aは、光防護部分であり、Bは、リンカーであり、Cは、官能基であり、vは、1から2000までの整数であり、wは、1から6までの整数である]に関する。本発明は、それを含む組成物、より特定すれば、化粧用又は日焼け止め組成物にも関する。本発明は、化粧及び治療用途におけるそのような化合物の使用にも関する。本発明は、医薬品及び化粧品の光分解及び/又は光不安定性を低減させるためのそのような化合物の使用にも関する。本発明は更に、支持体と、前記支持体に付着しているそのような化合物とを含む、材料に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)によって表される化合物:
A[B-(C)v]w (I)
[式中、
Aは、光防護部分であり、
Bは、リンカーであり、
Cは、官能基であり、
vは、1から2000までの整数であり、
wは、1から6までの整数である]。
【請求項2】
光防護部分Aが、ベモトリジノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスジスリゾール二ナトリウム、メラジメート、テレフタルイリデンジカンフルスルホン酸、ビソクトリゾール、オキシベンゾン、スリソベンゾン、イスコトリジノール、オクチノキサート、オクチサレート、オクチルトリアゾン、パジメートO、ホモサレート、アミロキサート、オクトクリレン、PEG-25PABA、エンスリゾール、サリチル酸トロラミン、シノキサート、ベンゾフェノン-9、ジオキシベンゾン、アボベンゾン、エンザカメン、ジエチルヘキシルナフタレート、ジエチルヘキシルシリンジリデン、テトラメチルヒドロキシピペリジノール、ベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホン酸ナトリウム、ベンゾトリアゾールドデシルp-クレゾールスルホン酸塩、ポリエステル-8、アクリレートコポリマー、サリチル酸ブチルオクチル、ビス(シアノ酢酸ブチル)アントラセンジイリデン、ジメチルカプラミド又はエチルヘキシルメトキシクリレンに、好ましくは、ベモトリジノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、テレフタルイリデンジカンフルスルホン酸、スリソベンゾン、オクチサレート、オクトクリレン、エンスリゾール、アボベンゾン、ポリエステル-8、ビスジスリゾール二ナトリウム、メラジメート、オキシベンゾン-3、イスコトリジノール、オクタノエート、オクチルトリアゾン、パジメートO、シノキサート、ベンゾフェノン-9又はジオキシベンゾンに、より好ましくは、ベモトリジノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、テレフタルイリデンジカンフルスルホン酸又はオクトクリレンに由来する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
リンカーBが、直鎖状ポリマー、分枝鎖状ポリマー、超分枝鎖状ポリマー、デンドリマー、又はそれらの残基である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
リンカーBが、少なくとも1つの-S(O)2-基を更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
リンカーBが、下記の式(II):
-[Y-(CH2)q-(O-CH2-CH2)p-Z-(CH2)s]k- (II)
[式中、
⇒Yは、-O-、-NH-及び-C(O)-から選択され、
qは、0から35まで、好ましくは0から12まで、より好ましくは0から6までの整数であり、
但し、Yが-O-である場合、qは0とは異なり、
pは、0から250まで、好ましくは0から50まで、より好ましくは0から12までの整数であり、
p+qは、0とは異なるか、或いは
⇒Y-(CH2)qは、ピロリジニル及びピペリジニルからなる群の中から選択されるヘテロ環を形成してよく、
pは、0であり、
⇒Zは、単結合、-NH-、-O-、-NH-C(O)-、-S-及び-S(O)2-から選択され、
⇒sは、0から6までの整数であり、
⇒kは、1から4まで、好ましくは1から2までの整数である]
によって表される、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Zが、-NH-、-O-、-NH-C(O)-、-S-及び-S(O)2-から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
官能基Cが、アルデヒド、アセタール、チオアセタール、チオール、マレイミド、マイケルアクセプター、ビニルスルホン、ジスルファニルピリジン、スルホニルアジリジン、エポキシド、ハロアセチル、イソシアネート、イソチオシアネート、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、ヒドロキシ、アミノ、アンモニウム、グアニジニウム、イミドカーボネート、カルボン酸、カルボン酸エステル、無水物、スルホン酸、葉酸、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、抗体及びシングルチェーン抗体又はそれらのフラグメント、並びにそれらの誘導体から、好ましくは、チオール、アセタール、マレイミド、ビニルスルホン、ジスルファニルピリジン、グアニジニウム、葉酸、ビオチン及びそれらの誘導体から選択される、より好ましくは、Cが、マレイミド又はその誘導体である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
部分B-(C)vが、下記の式:
【化1】
[ここで、各式中、
nは、独立して、0から250まで、好ましくは0から50まで、より好ましくは0から12までの整数であり、
tは、独立して、0から30まで、好ましくは0から12までの整数である]
の1つによって表される、請求項1から5及び7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
- 2,2'-[6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ビス[5-[(3-プロピル-1H-ピロール-2,5-ジオン)オキシ]フェノール];
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-安息香酸、6-マレイミド-1-ヘキサノールエステル;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、2-(2-ピリジニルジスルファニル)エタノールエステル;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、N-[5-(-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-2,5-ジオン)ペンチル]アミド;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、N-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)ブタン]アミド;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、ビオチン-PEG2-アミド;
- N-[4-(-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-2,5-ジオン)ブチル]サリチルアミド;
- 2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、6-マレイミド-1-ヘキサノールエステル;
- 2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、葉酸-PEG-1kエステル;
- 2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、1,3-ビス(ビニルスルホニル)-1-プロパノールエステル;
- 2-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール-5-(ビオチン-PEG8-N-エチル)スルホンアミド;
- 2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-(ビオチン-PEG8-N-エチル)スルホンアミド;
- [N-(2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペノイル)-ピペリジン-4-イルスルホニル]酢酸;
- N-[(2-ヒドロキシベンゾイル)-ピペリジン-4-イルスルホニル]酢酸;
- (3-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-5(tert-ブチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロパン酸、N-[(4-ピペリジン-4-イルスルホニル)酢酸]アミド;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-安息香酸、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エチルエステル;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシ-ベンゾイル]安息香酸、2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルエステル;
- 2-シアノ-N-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチル]-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エンアミド;
- 2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルホニル]エチルエステル;
- 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[[(3Z)-3-[[4-[(Z)-[4-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルファモイルメチル]-7,7-ジメチル-3-オキソ-ノルボルナン-2-イリデン]メチル]フェニル]メチレン]-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メチルスルホニルアミノ]エチル]プロペンアミド;
- 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[3-[4-[4-[4-[3-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]プロポキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]プロピル]プロパンアミド;及び
- 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[2-[2-[2-[4-[4-[4-[2-[2-[2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エチル]プロパンアミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの式(I)の化合物と、少なくとも1つの賦形剤とを含む、組成物。
【請求項11】
日焼け止め組成物又は化粧用組成物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
シワ及び/又は小ジワの形成、皮膚のたるみ、弾力の喪失、輝き及び/又は顔色の均一性の喪失等の皮膚の老化の兆候に対抗する及び/又はそれらを低減させるため、並びに/或いは皮膚バリアを補強するための、請求項10に記載の組成物の化粧用使用。
【請求項13】
- 請求項10に記載の組成物と、
- 洗浄組成物、好ましくは、粉末、シャンプー、石鹸、ローション、溶液、固体、スクラブ、ムース、フォーム、合成洗剤、ゲル、シャワージェル、スプレー、ミスト、ワックス、細片又は織物若しくは不織布と、
- 場合により指示ガイドと、
を含む、キット。
【請求項14】
医薬又は獣医用組成物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
皮膚、粘膜、目の角膜又は皮膚付属器の疾患又は状態を処置する及び/又は予防するために使用するための組成物であって、好ましくは、前記皮膚、粘膜、目の角膜又は皮膚付属器の疾患又は状態が、脂肪異栄養症、ケロイド瘢痕、座瘡、乾癬、アトピー性皮膚炎、日光角化症、酒さ、肝斑、黒色腫、メルケル細胞癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、瘢痕処置、創傷治癒、脱毛症、白斑、蕁麻疹(じんましん)、単純疱疹、膿痂疹、湿疹、発疹性皮膚炎、魚鱗癬、疣贅、水疱、掻痒症、壊疽、打撲傷、膿疱、ハンセン病、吹き出もの、蜂巣炎、膿痂疹のような細菌性皮膚感染症、水虫(間擦疹)及びスポロトリクム症のような真菌感染症、真菌性爪感染症、ヘルペスのようなウイルス感染症、日焼け、シラミ、疥癬、褥瘡消毒並びに褥瘡治癒から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
局所用組成物であって、好ましくは、懸濁剤、クリーム、スプレー、エアロゾル、バター、スティック、ゲル、軟膏、ローション、溶液、固体、エマルション、マイクロエマルション、油、凍結乾燥物、ミルク、粉末、ペースト、ワックス、ムース、パッチ、フィルム、ミセル、リポソーム又はフォームの形態である、請求項10、11若しくは12に記載の組成物又は請求項15に記載の使用のための組成物。
【請求項17】
医薬品有効成分又は化粧品の光分解及び/又は光不安定性を低減させるための、請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物の使用。
【請求項18】
支持体と、請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物とを含む材料であって、好ましくは、天然若しくは合成ポリマー性支持体、天然若しくは合成繊維支持体、石、金属、プラスチック、ゴム又はガラス支持体である前記支持体に、前記化合物が付着している、材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性特性を有する光防護化合物に関する。本発明は、それを含む組成物、より特定すれば、化粧用又は日焼け止め組成物にも関する。本発明は、化粧及び治療用途におけるそのような化合物の使用にも関する。本発明は、医薬品及び化粧品の光分解及び/又は光不安定性を低減させるためのそのような化合物の使用にも関する。本発明は更に、支持体と、前記支持体に付着しているそのような化合物とを含む、材料に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽の電磁エネルギーのおよそ5%は、UV光の形態で放出される。このUV光は、UV-A(400~315nm)、UV-B(315~280nm)及びUV-C(280~100nm)の3つの群に分けることができる。UV光、より特定すればUV-B光は、体に有害な短期又は長期影響を有しうる。皮膚老化の加速又は皮膚がん等の深刻な皮膚の損傷は、UV光への曝露によって起こりうる。結果として、UV照射スペクトル全体にわたって有効な保護を提供する新たな日焼け止めの開発が、最大の関心事及び主要課題になっている。現今では多くの日焼け止めが市場で入手可能である。明白な効能はあるにもかかわらず、これらの日焼け止めの活性剤は皮膚を経由して表皮細胞に浸透しうることが実証されており、尿又は母乳においても検出されている。日焼け止め組成物のために小さい非接着性のナノ粒子が、開発され、現在市場で入手可能である。しかしながら、そのような材料は、皮膚浸透性であることも証明されている。生体接着性粒子はまた、皮膚に付着し活性剤を封入するように設計されているため、粒子も活性剤も皮膚に浸透することがない。しかしながら、そのような生体接着性粒子は、複雑で費用がかかる製造プロセスによって調製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US8,106,108
【特許文献2】ES2730924
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、簡単に生成されうる効率的な接着性光防護化合物を生成することが依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この文脈において、本発明者らは、光防護部分と官能基とを含み、いずれもリンカーを経由して互いと連結している、光防護化合物を開発した。官能基は、光防護化合物が接着性であること、より特定すれば生体接着性であることを可能にする。光防護化合物は、その官能基を経由して、生物学的、有機及び/又は無機支持体等の任意の支持体と相互作用することができ、これにより、光防護分野において特に効率的となる。特に、本発明に従う化合物は、皮膚及び粘膜の疾患又は状態を処置する又は予防する、或いは医薬品有効成分又は化粧品の光分解及び/又は光不安定性を低減させる等、化粧又は治療用途において使用されうる。
【0006】
故に、本発明は、下記の式(I)によって表される化合物:
A[B-(C)v]w (I)
[式中、
Aは、光防護部分であり、
Bは、リンカーであり、
Cは、官能基であり、
vは、1から2000までの整数であり、
wは、1から6までの整数である]
に関する。
【0007】
特定の実施形態では、光防護部分Aは、UV遮蔽剤及び/又はSPFブースターに由来する。好ましくは、光防護部分Aは、ベモトリジノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスジスリゾール二ナトリウム、メラジメート、テレフタルイリデンジカンフルスルホン酸、ビソクトリゾール、オキシベンゾン、スリソベンゾン、イスコトリジノール、オクチノキサート、オクチサレート、オクチルトリアゾン、パジメートO、ホモサレート、アミロキサート、オクトクリレン、PEG-25PABA、エンスリゾール、サリチル酸トロラミン、シノキサート、ベンゾフェノン-9、ジオキシベンゾン、アボベンゾン、エンザカメン、ジエチルヘキシルナフタレート、ジエチルヘキシルシリンジリデン、テトラメチルヒドロキシピペリジノール、ベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホン酸ナトリウム、ベンゾトリアゾールドデシルp-クレゾールスルホン酸塩、ポリエステル-8、アクリレートコポリマー、サリチル酸ブチルオクチル、ビス(シアノ酢酸ブチル)アントラセンジイリデン、ジメチルカプラミド又はエチルヘキシルメトキシクリレンに由来する。より好ましくは、光防護部分Aは、ベモトリジノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、テレフタルイリデンジカンフルスルホン酸、スリソベンゾン、オクチサレート、オクトクリレン、エンスリゾール、アボベンゾン、ポリエステル-8、ビスジスリゾール二ナトリウム、メラジメート、オキシベンゾン-3、イスコトリジノール、オクタノエート、オクチルトリアゾン、パジメートO、シノキサート、ベンゾフェノン-9又はジオキシベンゾンに由来する。更に一層好ましくは、光防護部分Aは、ベモトリジノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、テレフタルイリデンジカンフルスルホン酸又はオクトクリレンに由来する。
【0008】
特定の実施形態では、リンカーBは、直鎖状ポリマー、分枝鎖状ポリマー、超分枝鎖状ポリマー、デンドリマー、又はそれらの残基である。より特定の実施形態では、リンカーBは、少なくとも1つの-S(O)2-基を更に含む。
【0009】
別の特定の実施形態では、リンカーBは、下記の式(II):
-[Y-(CH2)q-(O-CH2-CH2)p-Z-(CH2)s]k- (II)
[式中、
⇒Yは、-O-、-NH-及び-C(O)-から選択され、
qは、0から35まで、好ましくは0から12まで、より好ましくは0から6までの整数であり、
但し、Yが-O-である場合、qは0とは異なり、
pは、0から250まで、好ましくは0から50まで、より好ましくは0から12までの整数であり、
p+qは、0とは異なるか、或いは
⇒Y-(CH2)qは、ピロリジニル及びピペリジニルからなる群の中から選択されるヘテロ環を形成してよく、
pは、0であり、
⇒Zは、単結合、-NH-、-O-、-NH-C(O)-、-S-及び-S(O)2-から選択され、
⇒sは、0から6までの整数であり、
⇒kは、1から4まで、好ましくは1から2までの整数である]
によって表される。
【0010】
好ましい実施形態では、Zは、-NH-、-O-、-NH-C(O)-、-S-及び-S(O)2-から選択される。より好ましい実施形態では、Zは、-S(O)2-である。
【0011】
特定の実施形態では、官能基Cは、アルデヒド、アセタール、チオアセタール(thiocetal)、チオール、マレイミド、マイケル(Mickael)アクセプター、ビニルスルホン、ジスルファニルピリジン、スルホニルアジリジン、エポキシド、ハロアセチル、イソシアネート、イソチオシアネート、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、ヒドロキシ、アミノ、アンモニウム、グアニジニウム、イミドカーボネート、カルボン酸、カルボン酸エステル、無水物、スルホン酸、葉酸、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、抗体及びシングルチェーン抗体又はそれらのフラグメント、及びそれらの誘導体から選択される。好ましくは、官能基Cは、チオール、アセタール、マレイミド、ビニルスルホン、ジスルファニルピリジン、グアニジニウム、葉酸、ビオチン及びそれらの誘導体から選択され、より好ましくは、Cは、マレイミド又はその誘導体である。
【0012】
特定の実施形態では、部分B-(C)vは、下記の式:
【0013】
【化1】
【0014】
[ここで、各式中、
nは、独立して、0から250まで、好ましくは0から50まで、より好ましくは0から12までの整数であり、
tは、独立して、0から30まで、好ましくは0から12までの整数である]
の1つによって表される。
【0015】
特定の実施形態では、本発明に従う化合物は、
- 2,2'-[6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ビス[5-[(3-プロピル-1H-ピロール-2,5-ジオン)オキシ]フェノール];
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-安息香酸、6-マレイミド-1-ヘキサノールエステル;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、2-(2-ピリジニルジスルファニル)エタノールエステル;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、N-[5-(-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-2,5-ジオン)ペンチル]アミド;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、N-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)ブタン]アミド;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、ビオチン-PEG2-アミド;
- N-[4-(-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-2,5-ジオン)ブチル]サリチルアミド;
- 2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、6-マレイミド-1-ヘキサノールエステル;
- 2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、葉酸-PEG-1kエステル;
- 2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、1,3-ビス(ビニルスルホニル)-1-プロパノールエステル;
- 2-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール-5-(ビオチン-PEG8-N-エチル)スルホンアミド;
- 2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-(ビオチン-PEG8-N-エチル)スルホンアミド;
- [N-(2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペノイル)-ピペリジン-4-イルスルホニル]酢酸;
- N-[(2-ヒドロキシベンゾイル)-ピペリジン-4-イルスルホニル]酢酸;
- (3-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-5(tert-ブチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロパン酸、N-[(4-ピペリジン-4-イルスルホニル)酢酸]アミド;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-安息香酸、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エチルエステル;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシ-ベンゾイル]安息香酸、2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルエステル;
- 2-シアノ-N-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチル]-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エンアミド;
- 2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルホニル]エチルエステル;
- 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[[(3Z)-3-[[4-[(Z)-[4-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルファモイルメチル]-7,7-ジメチル-3-オキソ-ノルボルナン-2-イリデン]メチル]フェニル]メチレン]-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メチルスルホニルアミノ]エチル]プロペンアミド;
- 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[3-[4-[4-[4-[3-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]プロポキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]プロピル]プロペンアミド;及び
- 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[2-[2-[2-[4-[4-[4-[2-[2-[2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エチル]プロパンアミド
からなる群から選択される。
【0016】
本発明は、本明細書において定義されている通りの少なくとも1つの式(I)の化合物と、少なくとも1つの賦形剤とを含む、組成物にも関する。特定の実施形態では、前記組成物は、日焼け止め組成物又は化粧用組成物である。別の特定の実施形態では、前記組成物は、医薬又は獣医用組成物である。
【0017】
本発明の更なる目的は、シワ及び/又は小ジワの形成、皮膚のたるみ、弾力の喪失、輝き及び/又は顔色の均一性の喪失等の皮膚の老化の兆候に対抗する及び/又はそれらを低減させるため、並びに/或いは皮膚バリアを補強するための、本明細書において定義されている通りの組成物の化粧用使用である。
【0018】
本発明の別の目的は、シワ及び/又は小ジワの形成、皮膚のたるみ、皮膚の弾力の喪失、輝き及び/又は顔色の均一性の喪失等の皮膚の老化の兆候に対抗する及び/又はそれらを低減させるため、並びに/或いは皮膚バリアを補強するための化粧プロセスであって、本明細書において定義されている通りの組成物を皮膚に局所的に塗布する工程を含む、化粧プロセスである。
【0019】
本発明の別の目的は、
- 本明細書において定義されている通りの組成物と、
- 洗浄組成物、好ましくは、粉末、シャンプー、石鹸、ローション、溶液、固体、スクラブ、スクレーパー、ムース、フォーム、合成洗剤、ゲル、シャワージェル、スプレー、ミスト、ワックス、細片、酵素組成物、洗剤組成物又は織物若しくは不織布と、
- 場合により指示ガイドと、
を含む、キットである。
【0020】
本発明は、皮膚、粘膜、目の角膜又は皮膚付属器の疾患又は状態を処置する及び/又は予防するために使用するための、本明細書において定義されている通りの組成物にも関する。好ましくは、前記皮膚、粘膜、目の角膜又は皮膚付属器の疾患又は状態は、脂肪異栄養症、ケロイド瘢痕、座瘡、乾癬、アトピー性皮膚炎、日光角化症、酒さ、肝斑、黒色腫、メルケル(Merker)細胞癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、瘢痕処置、創傷治癒、脱毛症、白斑、蕁麻疹(じんましん)、単純疱疹、膿痂疹、湿疹、発疹性皮膚炎、魚鱗癬、疣贅、水疱、掻痒症、壊疽、打撲傷、膿疱、ハンセン病、吹き出もの、蜂巣炎、膿痂疹のような細菌性皮膚感染症、水虫(間擦疹)及びスポロトリクム症のような真菌感染症、真菌性爪感染症、ヘルペスのようなウイルス感染症、日焼け、シラミ、疥癬、褥瘡消毒並びに褥瘡治癒から選択される。
【0021】
特定の実施形態では、本明細書において定義されている通りの組成物又は本明細書において定義されている通りの使用のための組成物は、局所用組成物である。より特定の実施形態では、本明細書において定義されている通りの組成物又は本明細書において定義されている通りの使用のための組成物は、懸濁剤、クリーム、スプレー、エアロゾル、バター、スティック、ゲル、軟膏、ローション、溶液、固体、エマルション、マイクロエマルション、油、凍結乾燥物、ミルク、粉末、ペースト、ワックス、ムース、パッチ、フィルム、ミセル、リポソーム又はフォームの形態である。
【0022】
本発明は、医薬品有効成分又は化粧品の光分解及び/又は光不安定性を低減させるための、本明細書において定義されている通りの少なくとも1つの式(I)の化合物の使用にも関する。この特定の用途において、前記少なくとも1つの化合物は、ミセル又はリポソームの形態である。
【0023】
本発明の別の目的は、支持体と、本明細書において定義されている通りの少なくとも1つの式(I)の化合物とを含む材料であって、前記支持体に前記化合物が付着している、材料である。好ましくは、前記支持体は、天然若しくは合成ポリマー性支持体、天然若しくは合成繊維支持体、石、金属、プラスチック、ゴム又はガラス支持体である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
光防護化合物
本発明は、少なくとも1個のリンカーを経由して光防護部分と連結している、少なくとも1個の官能基で官能基化された光防護部分を含む化合物に関する。リンカーは、直鎖状、分枝鎖状、超分枝鎖状又は樹枝状であってよく、ポリマー性であってもなくてもよい。官能基は、本発明の化合物を、接着性、好ましくは生体接着性にすることができる。
【0025】
本発明の化合物は、典型的には、下記の式(I):
A[B-(C)v]w (I)
[式中、
Aは、光防護部分であり、
Bは、リンカーであり、
Cは、官能基であり、
vは、1から2000までの整数であり、
wは、1から6までの整数である]
によって表される。
【0026】
故に、本発明に従う式(I)の化合物は、少なくとも1個の官能基C(v)を有する、少なくとも1個のリンカーB(w)と連結している光防護部分Aを含む。
【0027】
本明細書において使用される場合、wは、光防護部分Aと連結している[B-(C)v]基の数を表す。本発明によれば、wは、1から6までの整数である。換言すれば、光防護部分Aは、1から6個のリンカーBと連結している。例えば、wが3である場合、光防護部分Aは、3個のリンカーBと連結している。
【0028】
特定の実施形態では、wは、1から4まで、好ましくは1から3までの整数であり、より好ましくは、wは、1又は2である。
【0029】
本明細書において使用される場合、vは、各リンカーBと連結している官能基Cの数を表す。本発明によれば、vは、1から2000までの整数である。換言すれば、各リンカーBは、独立して、1から2000個の官能基Cと連結している。例えば、vが2である場合、リンカーBは、2個の官能基Cを含む。特定の実施形態では、vは、100から1000まで、好ましくは150から500まで、より好ましくは150から250までの整数である。別の特定の実施形態では、vは、1又は2、好ましくは1である。
【0030】
光防護部分A及びリンカーBは、互いに共有結合的に且つ/又は非共有結合的に、例えばイオン的に、連結(又は「結合」)していてよい。好ましくは、光防護部分A及びリンカーBは、互いに共有結合的に連結している。
【0031】
リンカーB及び官能基Cは、互いに共有結合的に且つ/又は非共有結合的に、例えばイオン的に、連結(又は「結合」)していてよい。好ましくは、リンカーB及び官能基Cは、互いに共有結合的に連結している。
【0032】
光防護部分A
本発明によれば、式(I)の化合物は、光防護部分Aを含む。本明細書において使用される場合、「光防護部分」は、1個又は複数の原子又は原子団を奪われた光防護剤を指し、ここで、光防護部分の光防護活性は、それが由来する光防護剤のものと実質的に同様である。光防護剤は、典型的には、光、特に、紫外(「UV」)光等、保護すべき対象又は材料に損傷を与えうる光のすべて又は一部を遮断する又は吸収することができる有機物質である。光防護剤は、典型的には、UV遮蔽剤及び/又はSPFブースターである。
【0033】
特定の実施形態では、光防護部分Aは、UV遮蔽剤及び/又はSPFブースターに由来する。
【0034】
特に、UV遮蔽剤は、UVA I若しくはUVA II遮蔽剤等のUVA遮蔽剤、UVB遮蔽剤、又はそれらの組合せであってよい。
【0035】
UVA I遮蔽剤の例は、ベモトリジノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(DHHB)、ビスジスリゾール二ナトリウム、メラジメート又はエカムスルを含むがこれらに限定されない。
【0036】
UVA II/UVB遮蔽剤の例は、オキシベンゾン、スリソベンゾン、イスコトリジノール、オクチノキサート、オクチサレート、オクチルトリアゾン、パジメートO、ホモサレート、アミロキサート、オクトクリレン、PEG-25PABA、エンスリゾール、サリチル酸トロラミン、シノキサート、ベンゾフェノン-9、ジオキシベンゾン又はアボベンゾンを含むがこれらに限定されない。
【0037】
UVA/UVB遮蔽剤の例は、エンザカメン又はビソクトリゾールを含むがこれらに限定されない。
【0038】
特に、SPFブースターは、T-Tクエンチャー、励起状態クエンチャー、又はそれらの組合せであってよい。
【0039】
T-Tクエンチャーの例は、ジエチルヘキシルナフタレート又はジエチルヘキシルシリンジリデンを含むがこれらに限定されない。
【0040】
励起状態クエンチャーの例は、テトラメチルヒドロキシピペリジノール、ベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホン酸ナトリウム、ベンゾトリアゾールドデシルp-クレゾールスルホン酸塩、ポリエステル-8、アクリレートコポリマー、サリチル酸ブチルオクチル、ビス(シアノ酢酸ブチル)アントラセンジイリデン(bis(cyano butylacetate)anthracenediylidene)、ジメチルカプラミド又はエチルヘキシルメトキシクリレンを含むがこれらに限定されない。
【0041】
特定の実施形態では、光防護部分Aは、ベモトリジノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(Uvinul(登録商標)A Plus)、ビスジスリゾール二ナトリウム、メラジメート、テレフタルイリデンジカンフルスルホン酸(エカムスルとも称される)、ビソクトリゾール、オキシベンゾン、スリソベンゾン、イスコトリジノール、オクチノキサート、オクチサレート、オクチルトリアゾン、パジメートO、ホモサレート、アミロキサート、オクトクリレン、PEG-25PABA、エンスリゾール、サリチル酸トロラミン、シノキサート、ベンゾフェノン-9、ジオキシベンゾン、アボベンゾン、エンザカメン、ジエチルヘキシルナフタレート、ジエチルヘキシルシリンジリデン、テトラメチルヒドロキシピペリジノール、ベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホン酸ナトリウム、ベンゾトリアゾールドデシルp-クレゾールスルホン酸塩、ポリエステル-8、アクリレートコポリマー、サリチル酸ブチルオクチル、ビス(シアノ酢酸ブチル)アントラセンジイリデン、ジメチルカプラミド又はエチルヘキシルメトキシクリレンに由来する。
【0042】
好ましい実施形態では、光防護部分Aは、ベモトリジノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、テレフタルイリデンジカンフルスルホン酸、スリソベンゾン、オクチサレート、オクトクリレン、エンスリゾール、アボベンゾン、ポリエステル-8、ビスジスリゾール二ナトリウム、メラジメート、オキシベンゾン-3、イスコトリジノール、オクタノエート、オクチルトリアゾン、パジメートO、シノキサート、ベンゾフェノン-9又はジオキシベンゾンに由来する。
【0043】
より好ましい実施形態では、光防護部分は、ベモトリジノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、テレフタルイリデンジカンフルスルホン酸又はオクトクリレンに由来する。
【0044】
更に一層好ましい実施形態では、光防護部分Aは、テレフタルイリデンジカンフルスルホン酸又はジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルに由来する。
【0045】
特定の実施形態では、光防護部分Aは、トリス-アリールトリアジンに由来する。トリス-アリールトリアジンの例は、US8,106,108において記述されているトリス-アリールトリアジン化合物を含むがこれらに限定されない。別の特定の実施形態では、光防護部分Aは、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールに由来する。ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールの例は、ビソクトリゾール、ベンゼンプロパン酸、それらの3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-及びC7~C9-分枝鎖状又は直鎖状アルキルエステルを含むがこれらに限定されない。
【0046】
官能基C
本発明によれば、Cは、官能基を表す。本明細書において使用される場合、「官能基」は、式(I)の化合物を接着性又は生体接着性にする、任意の材料、任意の組織、細胞、細胞内又は細胞外物質の任意の支持体と反応する又は結合することができる基である。
【0047】
特定の実施形態では、官能基Cは、アルデヒド、アセタール、チオアセタール、チオール、マレイミド、マイケルアクセプター、ビニルスルホン、ジスルファニルピリジン、スルホニルアジリジン、エポキシド、ハロアセチル、イソシアネート、イソチオシアネート、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、ヒドロキシ、アミノ、アンモニウム、グアニジニウム、イミドカーボネート、カルボン酸、カルボン酸エステル、無水物、スルホン酸、葉酸、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、抗体及びシングルチェーン抗体又はそれらのフラグメントから選択される。より特定の実施形態では、Cは、上記で詳述した通りのそのような官能基の任意の誘導体を更に含む。
【0048】
例えば、用語「マレイミド」(Mal)は、マレイミド基及びその任意の誘導体を指す。特に、マレイミド(Mal)は、式(Mal 1)及び(Mal 2)の2つの下記の基を含む:
【0049】
【化2】
【0050】
本出願において開示される式で使用される場合、式中の記号「- - - - -」は、前記式のある部分が分子の残りに結合している結合を表す。例えば、(Mal 1)又は(Mal 2)において上記で表される前記記号は、該部分がリンカーBに結合している結合を表す。
【0051】
好ましい実施形態では、官能基Cは、チオール、アセタール、マレイミド、ビニルスルホン、ジスルファニルピリジン、グアニジニウム、葉酸、ビオチン及びそれらの誘導体から選択される。
【0052】
好ましい実施形態では、Cは、上記で開示されている通りのマレイミド(「Mal」とも称される)又はマレイミドの誘導体である。より好ましくは、Cは、Mal 1又はMal 2である。
【0053】
更なる特定の実施形態では、Cは、固有の官能基を表す。
【0054】
本明細書において使用される場合、ポリマーの「固有の官能基」は、ポリマーの構造中に本質的に存在し、故に、別の官能基に変換されていない、官能基である。例えば、ヒドロキシ基は、セルロースの固有の官能基であり、カルボン酸(又はカルボキシレート)は、ポリメタクリル酸の固有の官能基である。
【0055】
更なる特定の実施形態では、Cは、修飾官能基を表す。
【0056】
本明細書において使用される場合、ポリマーの「修飾官能基」は、本明細書において定義されている通りの固有の官能基の、別の官能基への変換から生じる官能基、例えば、セルロースのヒドロキシ基又はセルロースのヒドロキシ基と連結しているビオチンの酸化から生じるアルデヒド基である。
【0057】
リンカーB
本発明によれば、式(I)の化合物は、少なくとも1個のリンカーB(w)を含む。
【0058】
「リンカー」は、光防護部分を少なくとも1個の官能基と連結させる、少なくとも1個の炭素を有する任意の有機鎖を指す。リンカーBは、直鎖状、分枝鎖状、超分枝鎖状又は樹枝状であってよい。Bは、ポリマー性であってもなくてもよい。
【0059】
特定の実施形態では、リンカーBは、生分解性である。
【0060】
用語「生分解性リンカー(又は化合物)」は、物理的、化学的及び/又は生物学的条件下で分解又は腐食して、対象によって代謝、排出又は排泄されうるより小さい単位又は化学種となるであろうリンカー(又は化合物)を指す。分解時間及び速度は、組成及び/又は形態の関数である。分解時間は、数時間から数週間となりうる。
【0061】
特定の実施形態では、リンカーBは、直鎖状ポリマー、分枝鎖状ポリマー、超分枝鎖状ポリマー、デンドリマー(又は「樹枝状ポリマー」)、又はそれらの残基である。
【0062】
本明細書において使用される場合、用語「直鎖状ポリマー」は、いかなる分枝も有さないポリマーを指す。用語「分枝鎖状ポリマー」は、一次分枝及び場合により二次分枝によって置換されている直鎖状鎖を有するポリマーを指す。用語「超分枝鎖状ポリマー」は、無作為に配置された一次及び二次分枝を有するポリマーを指す。用語「デンドリマー」(「樹枝状ポリマー」又は「デンドロナイズドポリマー」とも称される)は、対称的で組織化された木構造を有する繰り返し分枝鎖状ポリマーを指し、ここで、分枝は共通の分枝点を起源とする。用語「ポリマーの残基」は、その官能基(-NH2、-COOH、-OH等)又はその原子(H又は-OH等)の1つ又は複数を奪われたポリマーを指す。
【0063】
前記直鎖状、分枝鎖状、超分枝鎖状のポリマー又は樹枝状ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであってよい。前記直鎖状、分枝鎖状、超分枝鎖状のポリマー又は樹枝状ポリマーは、天然、準合成、半合成又は合成であってよい。
【0064】
用語「ホモポリマー」は、概して、同一のモノマーで構成されるポリマーを指す。
【0065】
用語「コポリマー」は、概して、2つ以上の異なるモノマーで構成されるポリマーを指す。コポリマーは、ランダム、ブロック又はグラフト等、任意の形態のものでありうる。コポリマーは、任意の末端基を有することができる。
【0066】
準合成、半合成又は合成ポリマーの例は、ポリ(ヒドロキシ酸)類、例を挙げると、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)及びポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリグリセロール、ポリアルキレン類、例を挙げると、ポリエチレン及びポリプロピレン、ポリアルキレングリコール類、例を挙げると、ポリ(エチレングリコール)、ポリアルキレンオキシド類、例を挙げると、ポリ(エチレンオキシド)、ポリアルキレンテレフタレート類、例を挙げると、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリハロゲン化ビニル類、例を挙げると、ポリ(塩化ビニル)、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリスチレン、ポリウレタン及びそれらのコポリマー、誘導体化セルロース類、例を挙げると、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、三酢酸セルロース及びセルロース硫酸ナトリウム塩(本明細書ではまとめて「合成セルロース」と称する)、アクリル酸、メタクリル酸のポリマー又はそのコポリマー若しくはエステルを含む誘導体、アクリレート及びメタクリル酸アンモニウムのコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)及びポリ(アクリル酸オクタデシル)(本明細書ではまとめて「ポリアクリル酸」と称する)、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)及びポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、それら
のコポリマー及びブレンドを含むがこれらに限定されない。
【0067】
天然ポリマーの例は、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン及びプロラミン(例えばゼイン)等のタンパク質、並びにアルギネート、デキストラン、キトサン、セルロース誘導体及びポリヒドロキシアルカン酸(例えばポリヒドロキシ酪酸)等の多糖類、並びに微生物のアナトキシンを含むがこれらに限定されない。
【0068】
特定の実施形態では、リンカーBは、少なくとも1つの-S(O)2-基を更に含む。-S(O)2-基は、リンカーBの任意の位置にあってよい。例えば、-S(O)2-基は、リンカーBの1又は2端にあってよく、且つ/又はリンカーBを任意の位置で中断してよい。-S(O)2-基は、有利なことに、本発明の化合物の光防護特性を改善する。特に、本発明の化合物のより高い屈折率及び/又はより高い透明性が取得されうる。
【0069】
本発明によれば、リンカーBは、少なくとも1個の官能基C(v)と連結している。ある実施形態では、リンカーBは、ポリマーの少なくとも1個の残基を含む。そのような実施形態では、官能基Cは、リンカーBのポリマーの少なくとも1個の残基と連結している。そのような実施形態では、Cは、リンカー(B)のポリマーの少なくとも1個の残基の1個又は複数の官能基を表す。
【0070】
部分[B-(C)v]についての種々の実施形態を例証するために、ポリマーリンカーBとしてのセルロースに基づく部分[B-(C)v]の異なる表現を以下で提供する。
- [B-(C)v]は、セルロースであることができる。この実施形態では、Bは、セルロースの残基を表し、Cは、ヒドロキシ基(セルロースの固有の基である)を表し、vは、ヒドロキシ基の数である、
- [B-(C)v]は、アルデヒド修飾セルロースであってもよい。この実施形態では、Bは、セルロースの残基を表し、Cは、アルデヒド基(セルロースの修飾基である)を表し、vは、アルデヒド基の数である、
- [B-(C)v]は、ビオチン修飾セルロースであってもよい。この実施形態では、Bは、セルロースの残基を表し、Cは、ビオチン基(セルロースの修飾基である)を表し、vは、ビオチン基の数である。
【0071】
別の特定の実施形態では、リンカーBは、下記の式(II):
-[Y-(CH2)q-(O-CH2-CH2)p-Z-(CH2)s]k- (II)
[式中、
⇒Yは、-O-、-NH-及び-C(O)-から選択され、
qは、0から35まで、好ましくは0から12まで、より好ましくは0から6までの整数であり、
但し、Yが-O-である場合、qは0とは異なり、
pは、0から250まで、好ましくは0から50まで、より好ましくは0から12までの整数であり、
p+qは、0とは異なるか、或いは
⇒Y-(CH2)qは、ピロリジニル及びピペリジニルからなる群の中から選択されるヘテロ環を形成してよく、
pは、0であり、
⇒Zは、単結合、-NH-、-O-、-NH-C(O)-、-S-及び-S(O)2-から選択され、
⇒sは、0から6までの整数であり、
⇒kは、1から4まで、好ましくは1から2までの整数である]
によって表される。
【0072】
更なる特定の実施形態では、リンカーBは、下記の式(II):
-[Y-(CH2)q-(O-CH2-CH2)p-Z-(CH2)s]k- (II)
[式中、
⇒Yは、-O-、-NH-及び-C(O)-から選択され、好ましくは-O-であり、
qは、1から35まで、好ましくは1から12まで、より好ましくは1から6までの整数であり、
pは、0から250まで、好ましくは0から50まで、より好ましくは0から12までの整数であるか、
又は
⇒Y-(CH2)qは、ピロリジニル及びピペリジニルからなる群の中から選択されるヘテロ環を形成してよく、
pは、0であり、
⇒Zは、単結合、-NH-、-O-、-NH-C(O)-、-S-及び-S(O)2-から選択され、
⇒sは、0から6までの整数であり、
⇒kは、1から4まで、好ましくは1から2までの整数である]
によって表される。
【0073】
特定の実施形態では、リンカーBは、
Yが、-O-、-NH-及び-C(O)-、好ましくは-O-及び-NH-から選択され、
qが、0から12まで、好ましくは0から6までの整数であり、
但し、Yが-O-である場合、qは0とは異なり、
pが、0から50まで、好ましくは0から20まで、より好ましくは0から12までの整数であり、
p+qが、0とは異なる、
式(II)のものである。
【0074】
より特定の実施形態では、pは、0である。
【0075】
更なるより特定の実施形態では、pは、1から50まで、より好ましくは1から12までの整数である。
【0076】
別の特定の実施形態では、リンカーBは、
Y-(CH2)qが、ピロリジニル及びピペリジニルからなる群の中から選択されるヘテロ環を形成し、pが、0である、
式(II)のものである。
【0077】
特定の実施形態では、Zは、単結合、-NH-、-NH-C(O)-及び-S(O)2-から選択される。好ましい実施形態では、Zは、単結合である。別の好ましい実施形態では、Zは、-NH-、-O-、-NH-C(O)-、-S-及び-S(O)2-から選択され、より好ましくは、Zは、-S(O)2-である。
【0078】
特定の実施形態では、sは、0から2までの整数であり、好ましくは、sは、0である。別の特定の実施形態では、sは、1から6までの整数である。
【0079】
特定の実施形態では、kは、1である。
【0080】
特定の実施形態では、リンカーBは、
⇒Yが、-O-、-NH-及び-C(O)-から、好ましくは-O-及び-NH-から選択され、
qが、0から35まで、好ましくは0から12まで、より好ましくは0から6までの整数であり、
但し、Yが-O-である場合、qは0とは異なり、
pが、0から50まで、好ましくは0から12までの整数であり、より好ましくは、pが、0であり、
p+qが、0とは異なるか、或いは
⇒Y-(CH2)qが、ピロリジニル及びピペリジニルからなる群の中から選択されるヘテロ環を形成してよく、
pが、0であり、
⇒Zが、単結合、-NH-、-O-及び-S(O)2-から選択され、
⇒sが、0又は1、好ましくは0であり、
⇒kが、1である、
式(II)のものである。
【0081】
より特定の実施形態では、リンカーBは、
⇒Yが、-O-及び-NH-から選択され、
qが、1から12まで、好ましくは1から6までの整数であり、
pが、0であり、
⇒Zが、単結合であり、
⇒sが、0であり、
⇒kが、1である、
式(II)のものである。
【0082】
そのような実施形態では、官能基Cは、好ましくは、ジスルファニルピリジン、マレイミド、ビニルスルホン、アセタール、又はそれらの誘導体、より好ましくは、マレイミド又はそれらの誘導体である。
【0083】
更なるより特定の実施形態では、リンカーBは、
⇒Y-(CH2)qが、ピロリジニル及びピペリジニルからなる群の中から選択されるヘテロ環を形成し、
pが、0であり、
⇒Zが、-S(O)2-であり、
⇒sが、1から6まで、好ましくは1から3までの整数であり、
⇒kが、1である、
式(II)のものである。
【0084】
そのような実施形態では、官能基Cは、好ましくはカルボン酸である。
【0085】
特定の実施形態では、リンカーBは、
⇒Yが、-O-及び-NH-から選択され、
qが、1から12まで、より好ましくは1から6までの整数であり、
pが、1から50まで、好ましくは1から12までの整数であり、
⇒Zが、単結合、-NH-、-O-及び-S(O)2-から選択され、
⇒sが、0であり、
⇒kが、1である、
式(II)のものである。
【0086】
そのような実施形態では、官能基Cは、好ましくは、ビオチン又は葉酸である。
【0087】
別の特定の実施形態では、リンカーBは、
⇒Yが、-O-、-NH-及び-C(O)-から選択され、
qが、1から35まで、好ましくは2から12まで、より好ましくは2から4までの整数であり、
pが、0から250まで、好ましくは0から50まで、より好ましくは0から12までの整数であるか、
或いは
⇒Zが、-NH-、-O-、-NH-C(O)-、-S-及び-S(O)2-から選択され、
⇒sが、1から6までの整数であり、
⇒kが、1又は2である、
式(II)のものである。
【0088】
好ましい実施形態では、リンカーBは、
⇒Yが、-O-及び-NH-から選択され、
qが、1から6まで、好ましくはqが2から4までの整数であり、
pが、0から12まで、好ましくは0から6までの整数であり、
⇒Zが、-NH-C(O)-及び-S(O)2-から選択され、好ましくは-NH-C(O)-であり、
⇒sが、1から6までの整数であり、好ましくはsが2であり、
⇒kが、1である、
式(II)のものである。
【0089】
そのような実施形態では、官能基Cは、好ましくは、上記で開示されている通りのマレイミド(「Mal」とも称される)又はマレイミドの誘導体である。
【0090】
更なる特定の実施形態では、リンカーBは、式(II)のものであり、-S(O)2-基を更に含む。そのような実施形態では、前記-S(O)2-基は、式(II)の基の任意の位置にあってよい。この特定の実施形態によれば、リンカーBは、下記の式(II'):
-[Y-(CH2)q'-S(O)2-(CH2)q''-(O-CH2-CH2)p-Z-(CH2)s]k- (II')
[式中、
⇒Yは、-O-、-NH-及び-C(O)-から選択され、好ましくは-O-であり、
q'及びq"は、それぞれ、0から35まで、好ましくは1から12まで、より好ましくは1から6までの整数であり、
q'+q"は、0から35の間に含まれ、
但し、Yが-O-である場合、q'+q"は0とは異なり、
pは、0から250まで、好ましくは0から50まで、より好ましくは0から12までの整数であり、
p+qは、0とは異なるか、或いは
⇒Zは、単結合、-NH-、-O-、-NH-C(O)-、-S-及び-S(O)2-から選択され、好ましくは-NH-C(O)-であり、
⇒sは、0から6まで、好ましくは1から4までの整数であり、
⇒kは、1から4まで、好ましくは1から2までの整数、より好ましくは1である]
によって表されうる。
【0091】
式(II')のリンカーBの例は、
【0092】
【化3】
【0093】
を含むがこれらに限定されない。
【0094】
好ましい実施形態では、リンカーBは、下記の式:
【0095】
【化4】
【0096】
の1つによって表される。
【0097】
好ましい実施形態では、部分[B-(C)v]は、
- vが、1であり、
- Bが、下記の式:
【0098】
【化5】
【0099】
から選択され、
- Cが、上記に表した通りの式の官能基(Mal 1)である
ようなものである。
【0100】
別の好ましい実施形態では、部分[B-(C)v]は、
- vが、1であり、
- Bが、下記の式:
【0101】
【化6】
【0102】
によって表され、
- Cが、上記に表した通りの式の官能基(Mal 2)である
ようなものである。
【0103】
本発明に従う式(I)の化合物は、下記の式(III):
A-{[Y-(CH2)q-(O-CH2-CH2)p-Z-(CH2)s]k-(C)v}w (III)
[式中、A、C、v、w、Y、Z、q、p、s及びkは、すべての好ましい及び特定の実施形態を含む上記で定義された通りである]
によって表されうる。
【0104】
リンカーBが式(II)のものである特定の実施形態では、vは、1から15まで、好ましくは1から6までの整数であり、より好ましくは、vは、1又は2であり、更に一層好ましくは、vは、1である。このより好ましい実施形態によれば、すなわちvが1である場合、官能基Cは、好ましくは、式(II)のリンカーBの末端にある。
【0105】
vが1を超える実施形態では、1個の官能基Cは、好ましくは、式(II)のリンカーBの末端にあり、追加の官能基Cは、リンカーBの任意の位置にあってよい。典型的には、前記追加の官能基Cのそれぞれは、式(II)のリンカーBの水素原子をそれぞれ置きかえてよい。
【0106】
特定の実施形態では、部分[B-(C)v]は、下記の式:
【0107】
【化7】
【0108】
[ここで、各式中、
nは、独立して、0から250まで、好ましくは0から50まで、より好ましくは0から12までの整数であり、
tは、独立して、0から30まで、好ましくは0から12までの整数である]
の1つによって表される。
【0109】
好ましくは、部分B-(C)vは、下記の式:
【0110】
【化8】
【0111】
[ここで、各式中、
nは、独立して、0から250まで、好ましくは0から50まで、より好ましくは0から12までの整数であり、
tは、独立して、0から30まで、好ましくは0から12までの整数である]
の1つによって表される。
【0112】
より好ましくは、部分B-(C)vは、下記の式:
【0113】
【化9】
【0114】
の1つによって表される。
【0115】
特定の実施形態では、本発明に従う化合物は、
- 2,2'-[6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ビス[5-[(3-プロピル-1H-ピロール-2,5-ジオン)オキシ]フェノール];
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-安息香酸、6-マレイミド-1-ヘキサノールエステル;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、2-(2-ピリジニルジスルファニル)エタノールエステル;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、N-[5-(-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-2,5-ジオン)ペンチル]アミド;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、N-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)ブタン]アミド;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、ビオチン-PEG2-アミド;
- N-[4-(-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-2,5-ジオン)ブチル]サリチルアミド;
- 2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、6-マレイミド-1-ヘキサノールエステル;
- 2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、葉酸-PEG-1kエステル;
- 2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、1,3-ビス(ビニルスルホニル)-1-プロパノールエステル;
- 2-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール-5-(ビオチン-PEG8-N-エチル)スルホンアミド;
- 2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-(ビオチン-PEG8-N-エチル)スルホンアミド;
- [N-(2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペノイル)-ピペリジン-4-イルスルホニル]酢酸;
- N-[(2-ヒドロキシベンゾイル)-ピペリジン-4-イルスルホニル]酢酸;
- (3-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-5(tert-ブチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロパン酸、N-[(4-ピペリジン-4-イルスルホニル)酢酸]アミド;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-安息香酸、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エチルエステル;
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシ-ベンゾイル]安息香酸、2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルエステル;
- 2-シアノ-N-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチル]-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エンアミド;
- 2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルホニル]エチルエステル;
- 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[[(3Z)-3-[[4-[(Z)-[4-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルファモイルメチル]-7,7-ジメチル-3-オキソ-ノルボルナン-2-イリデン]メチル]フェニル]メチレン]-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メチルスルホニルアミノ]エチル]プロペンアミド;
- 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[3-[4-[4-[4-[3-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]プロポキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]プロピル]プロパンアミド;及び
- 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[2-[2-[2-[4-[4-[4-[2-[2-[2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エチル]プロパンアミド
からなる群から選択される。
【0116】
好ましくは、本発明に従う化合物は、
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-安息香酸、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エチルエステル、
- 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシ-ベンゾイル]安息香酸、2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルエステル、
- 2-シアノ-N-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチル]-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エンアミド、
- 2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルホニル]エチルエステル、
- 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[[(3Z)-3-[[4-[(Z)-[4-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルファモイルメチル]-7,7-ジメチル-3-オキソ-ノルボルナン-2-イリデン]メチル]フェニル]メチレン]-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メチルスルホニルアミノ]エチル]プロペンアミド、
- 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[3-[4-[4-[4-[3-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]プロポキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]プロピル]プロパンアミド;及び
- 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[2-[2-[2-[4-[4-[4-[2-[2-[2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エチル]プロパンアミド
からなる群から選択される。
【0117】
式(I)の化合物の特性
本発明によれば、式(I)の化合物は、接着性である。より特定すれば、式(I)の化合物は、生体接着性であることができる。
【0118】
表現「接着性化合物」は、1個又は複数の官能基(例えば本明細書において定義されている通りの官能基C)を経由して任意の支持体に付着することができる化合物を表示し、前記支持体は、生物学的、有機及び/又は無機である。より具体的には、前記化合物は、前記支持体の反応性基又は実体と反応することができるその官能基の1個又は複数(例えば本明細書において定義されている通りの官能基C)を介して付着する。
【0119】
「生体接着性化合物」は、支持体が生物学的である、上記で定義された通りの接着性化合物を指す。生物学的支持体の例は、組織(例えば、皮膚)、細胞(例えば、軟骨細胞、骨芽細胞、線維芽細胞、血液細胞、形質細胞)、細胞内又は細胞外物質(例えば、タンパク質、糖タンパク質、コラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン)を含むがこれらに限定されない。
【0120】
前記支持体において、より特定すれば前記生物学的支持体において見られる反応性基は、アミン、アンモニウム、グアニジニウム、チオール、カルボン酸及びカルボキシレートを含むがこれらに限定されない。
【0121】
前記官能基Cは、有利なことに、前記支持体において見られる特定の反応性基と選択的に反応しうる。
例えば、
- マレイミド、チオール、マイケルアクセプター、スルホニルアジリジン(sulfonylazeridine)、ビニルスルホン、イソシアネート又はチオシアネートは、典型的には、チオール基に対して選択的であることができる、
- カルボン酸、アルデヒド、アセタール、エステル、NHSエステル、スルホ-NHSエステル又は無水物は、典型的には、アミン基に対して選択的であることができる、
- カルボキシレートは、典型的には、アンモニウムに対して選択的であることができる、
- アミンは、典型的には、カルボン酸に対して選択的であることができる;並びに
- アンモニウム及びグアニジニウムは、典型的には、カルボキシレートに対して選択的であることができる。
【0122】
式(I)の化合物の官能基Cの、反応性基との反応は、アミド、ジスルフィド、チオエーテル、チオカルバメート、イミン、又はイオン対-NH3 +,-OOC-等の結合を作る。式(I)の化合物の官能基と支持体の反応性基との間に作られた結合は、共有結合的又はイオン的であってよい。前記結合は、有利なことに、可逆的である。前記結合は、化学的及び物理的作用物質、例えばタンパク質、ペプチド(例えばグルタチオン)、アミノ酸、酵素(例えばカテプシンB)、チオール(例えば2-メルカプトエタノール、N-アセチルシステイン)、ジチオール(例えばジチオトレイトール)、pH調節剤、酸、塩基、溶媒、及び/又は織物若しくは不織組織から選択される開裂材料の使用によって開裂されうる。当業者ならば、結合及び/又は組成物の性質に応じて、適切な開裂材料を選択することができる。
【0123】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、生体適合性である。
【0124】
用語「生体適合性化合物」は、その任意の代謝産物又は分解生成物とともに、レシピエントにとって概して非毒性であり、レシピエントにいかなる有意な有害作用も引き起こさない化合物を指す。一般的に言えば、生体適合性材料(又は化合物)は、患者に投与された際に有意な炎症又は免疫応答を惹起しない化合物である。
【0125】
別の特定の実施形態では、式(I)の化合物は、生分解性である。
【0126】
組成物
本発明の別の目的は、本明細書において定義されている通りの少なくとも1つの式(I)の化合物と、少なくとも1つの賦形剤とを含む、組成物である。
【0127】
特定の実施形態では、組成物は、組成物の総質量に対して、0.01wt%から99wt%まで、好ましくは0.01wt%から90wt%まで、より好ましくは1wt%から70wt%まで、更に一層好ましくは5wt%から50wt%までの式(I)の化合物を含む。
【0128】
本発明に従う組成物は、特に、懸濁剤、クリーム、スプレー、エアロゾル、バター、スティック、ゲル、軟膏、ローション、溶液、固体、エマルション、マイクロエマルション、油、凍結乾燥物、ミルク、粉末、ペースト、ワックス、ムース、パッチ、フィルム、ミセル、リポソーム又はフォームの形態であってよい。組成物は、当業者に公知のプロセスに従って調製されうる。
【0129】
本発明の組成物は、例えば、水、エタノール、1つ又は複数のポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、植物油(例えば、ピーナッツ油、コーン油、ゴマ油等)等の油、並びにそれらの組合せを含む、溶媒又は分散媒を含みうる。
【0130】
賦形剤の例は、界面活性剤、分散剤、乳化剤、pH改変剤、pH緩衝剤、粘度修正剤、保存剤、重合剤(polymerizer)、顔料、着色剤、安定化剤、流動促進剤、賦形剤、結合剤、水溶性ポリマー、滑沢剤、崩壊剤、膨張剤、充填剤、安定化剤、抗酸化剤、乳化剤、皮膚軟化剤、浸透促進剤、噴射剤、ガス、脱色剤、膜形成剤、ゲル化剤、湿潤剤、着色剤、香料成分、角質除去剤、可溶化剤、溶媒、結合剤、増量剤、保湿剤、クレンジング剤、エラストマー、収斂剤、マスキング剤、帯電防止剤、保護剤、変性剤、吸収剤、固化防止剤、マット剤、構造化剤、酸化剤、還元剤、過脂肪剤、活性ブースター、及びそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0131】
組成物に含まれうる追加の作用物質の例は、剥離剤、美白剤、張力効果剤(tensing effect agent)、鎮静剤、抗刺激剤、皮脂調節剤、創傷治癒剤、抗炎症剤、抗座瘡剤、抗糖化剤、痩身剤、セルフタンニング剤、老化防止剤、シワ防止剤を含むがこれらに限定されない。
【0132】
組成物において使用されうる界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性であってよい。アニオン性界面活性剤の例は、カルボン酸、スルホン酸及び硫酸イオン含有界面活性剤、例を挙げると、長鎖スルホン酸アルキル、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩の、ナトリウム、カリウム、アンモニウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のスルホコハク酸ジアルキルナトリウム;ナトリウムビス-(2-エチルチオキシル)-スルホサクシネート等のスルホコハク酸ジアルキルナトリウム;硫酸化ヒマシ油、プロピレングリコール、レシチン、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、オレイン酸PEG-12(FANCOL(登録商標)HS3 US(登録商標))、並びにラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩を含むがこれらに限定されない。カチオン性界面活性剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ポリオキシエチレン及びココナッツアミン等の第四級アンモニウム化合物を含むがこれらに限定されない。非イオン性界面活性剤の例は、モノステアリン酸エチレングリコール、ミリスチン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸ポリグリセリル-4、アシル化ソルビタン、アシル化スクロース、ラウリン酸PEG-150、モノラウリン酸PEG-400、モノラウリン酸ポリオキシエチレン、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、PEG-1000セチルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、POLOXAMER(登録商標)401、ステアロイルモノイソプロパノールアミド、ポリオキシエチレン水素化獣脂アミドだけでなく、乳化ワックス、モノオレイン酸グリセリル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、シクロデキストリン、モノステアリン酸グリセリン、ポロキサマー、ポビドン、パルミチン酸セチルも含む。両性界面活性剤の例は、ナトリウムN-ドデシル-.ベータ.-アラニン、ナトリウムN-ラウリル-.ベータ.-イミノジプロピオネート、ミリストアンホアセ
テート(myristoamphoacetate)、ラウリルベタイン及びラウリルスルホベタインを含む。
【0133】
保存剤の例は、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェネチルアルコール、ペリル酸及びチメロサールを含むがこれらに限定されない。
【0134】
水溶性ポリマーの例は、ポリビニルピロリドン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース及びポリエチレングリコールを含むがこれらに限定されない。
【0135】
好適な安定化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸、その塩及びエステル、ビタミンE、トコフェロール及びその塩、メタ重亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、システイン及びその誘導体、クエン酸、没食子酸プロピル、並びにブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)を含むがこれらに限定されない。
【0136】
組成物において使用されうるpH緩衝剤の例は、トリエタノールアミンである。
【0137】
皮膚軟化剤の例は、アーモンド油、ヒマシ油、イナゴマメ抽出物、セトステアリル(cetostearoyl)アルコール、セチルアルコール、セチルエステルワックス、コレステロール、綿実油、シクロメチコン、エチレングリコールパルミトステアレート、グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラノリン、レシチン、軽油、中鎖トリグリセリド、鉱油及びラノリンアルコール、ワセリン、ワセリン及びラノリンアルコール、大豆油、デンプン、ステアリルアルコール、ヒマワリ油、キシリトール並びにそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0138】
乳化剤の例は、アカシア、アニオン性乳化ワックス、ステアリン酸カルシウム、カルボマー、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、ジエタノールアミン、エチレングリコールパルミトステアレート、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリル、ヒドロキシプロピル(hydroxpropyl)セルロース、ヒプロメロース、ラノリン、含水物(hydrous)、ラノリンアルコール、レシチン、中鎖トリグリセリド、メチルセルロース、鉱油及びラノリンアルコール、リン酸二水素ナトリウム、モノエタノールアミン、非イオン性乳化ワックス、オレイン酸、ポロキサマー、ポロキサマー類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、アルギン酸プロピレングリコール、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、クエン酸ナトリウム脱水物(dehydrate)、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンエステル、ステアリン酸、ヒマワリ油、トラガカント、トリエタノールアミン、キサンタンガム、ステアリン酸PEG-100/ステアリン酸グリセリル(Arlacel 165(登録商標))、デシルグルコシド(Plantaren 2000(登録商標))、ラウリルグルコシド(Plantaren1200(登録商標))、セテアリルグルコシド、セテアリルアルコール(Emulgade PL68/50(登録商標))、並びにそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0139】
浸透促進剤の例は、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪アルコールエーテル、アミノ酸、リン脂質、レシチン、コール酸塩、酵素、アミン及びアミド、錯化剤(リポソーム、シクロデキストリン、変性セルロース及びジイミド)、大環状物、例を挙げると、大環状ラクトン、ケトン及び無水物及び環状尿素、界面活性剤、N-メチルピロリドン及びその誘導体、DMSO及び関連化合物、イオン化合物、アゾン及び関連化合物、並びに溶媒、例を挙げると、アルコール、ケトン、アミド、ポリオール(例えばグリコール)を含むがこれらに限定されない。
【0140】
噴射剤の例は、ジクロロフルオロメタン、ジフルオロエタン、イソブタン、n-ブタン、プロパン、ジクロロフルオロメタン、窒素、二酸化炭素を含むがこれらに限定されない。
【0141】
剥離剤の例は、ベータヒドロキシ酸、アルファヒドロキシ酸、尿素、桂皮酸、エンジュ(Sophora japonica)抽出物、トリプシンのようなプロテアーゼを含むがこれらに限定されない。
【0142】
脱色剤の例は、ビタミンC及びその誘導体、フェルラ酸、レゾルシノール、アルファ及びベータアルブチンを含むがこれらに限定されない。
【0143】
抗糖化剤の例は、紅茶抽出物及びセイヨウスノキ(Vaccinium myrtillus)抽出物を含むがこれらに限定されない。
【0144】
痩身剤の例は、カフェイン、茶抽出物、ヘデラ・ヘリックス(Hedera helix)抽出物及びテオブロミンを含むがこれらに限定されない。
【0145】
鎮静剤及び抗刺激剤の例は、カフェイン、ビタミンE、C、B5、B3、グリチルレチン酸、それらの塩又は誘導体を含むがこれらに限定されない。
【0146】
皮脂調節剤の例は、グルコン酸亜鉛又はピドロ酸亜鉛(zinc pidolate)等の亜鉛塩、ビタミンB6、塩化セレン及び過酸化ベンゾイルを含むがこれらに限定されない。
【0147】
創傷治癒剤の例は、アルギニン、ヒドロキシプロリン、キトサン及び誘導体、プロポリス抽出物、葉酸並びにキトサンを含むがこれらに限定されない。
【0148】
セルフタンニング剤の例は、エリトルロースを含むがこれに限定されない。
【0149】
老化防止剤の例は、プラセンタ抽出物、ベータグルカン、フコイダン、ヒアルロン酸ナトリウム及びコラーゲンを含むがこれらに限定されない。
【0150】
帯電防止剤の例は、メチルスルホニルメタンを含むがこれに限定されない。
【0151】
増量剤の例は、ポリプロピレンAを含むがこれに限定されない。
【0152】
膜形成剤の例は、1-ビニル-2-ピロリドン及び酢酸ビニルのコポリマー、並びにポリクオタニウム-6を含むがこれらに限定されない。
【0153】
用途
本発明の組成物は、経口的に、局所的に、非経口的に、皮下に、皮膚上に、皮内に、経皮的に(transdermically)、筋肉内に(intramusculary)、腸内に、鼻腔内に、呼吸器内に(intra-respiratory)、血管内、眼科用調製物、膣内、尿道内又は鼻孔吸入によって、投与されうる。特定の実施形態では、本発明の組成物は、皮下に、皮膚上に、皮内に、経皮的に又は局所的に、好ましくは局所的に投与される。本発明の組成物は、顕微針又はパッチによって投与されてよい。
【0154】
組成物は、特に、粘膜、角質、表皮、真皮、上皮、内皮、皮膚、皮膚付属器、結合組織又は骨組織、好ましくは、皮膚、皮膚付属器又は粘膜に適用されうる。
【0155】
ある実施形態では、本発明の組成物は、日焼け止め組成物、化粧用組成物、皮膚用組成物及び治療用組成物から選択される。好ましい実施形態では、組成物は、日焼け止め又は化粧用組成物である。
【0156】
局所用組成物
特定の実施形態では、本発明の組成物は、局所用組成物である。局所用組成物は、本明細書において定義されている通りの少なくとも1つの式(I)の化合物と、少なくとも1つの局所的に許容される賦形剤とを含む。
【0157】
「局所的に許容される賦形剤」は、本明細書において使用される場合、局所適用に好適な賦形剤を表示する。そのような賦形剤は、例えば上述した賦形剤の中から、当業者によって賢明に選択されうる。
【0158】
そのような局所用組成物は、皮膚用組成物、治療用組成物及び/又は化粧用組成物であってよい。
【0159】
局所用組成物は、特に、懸濁剤、クリーム、スプレー、エアロゾル、バター、スティック、ゲル、軟膏、ローション、溶液、固体、エマルション、マイクロエマルション、油、凍結乾燥物、ミルク、粉末、ペースト、ワックス、ムース、パッチ、フィルム、ミセル、リポソーム又はフォームの形態であってよい。組成物は、当業者に公知のプロセスに従って調製されうる。
【0160】
好ましくは、局所用組成物は、クリーム、スプレー、ゲル、軟膏、ローション、エマルション、フォーム、懸濁剤及びミルクから選択される。
【0161】
局所用組成物は、粘膜、角質、表皮、真皮、上皮、内皮、皮膚又は皮膚付属器(例えば、毛髪及び爪)、好ましくは、粘膜、皮膚又は皮膚付属器に適用されうる。
【0162】
化粧用組成物
別の特定の実施形態では、本発明の組成物は、化粧用組成物である。
【0163】
前記化粧用組成物は、本発明に従う少なくとも1つの式(I)の化合物と、少なくとも1つの化粧的に許容される賦形剤とを含む。
【0164】
「化粧的に許容される賦形剤」は、本明細書において使用される場合、化粧用途に好適な賦形剤を表示する。そのような賦形剤は、例えば上述した賦形剤の中から、当業者によって賢明に選択されうる。
【0165】
化粧用組成物は、経口的に、局所的に、非経口的に、皮下に、皮膚上に、皮内に、経皮的に、筋肉内に、腸内に、鼻腔内に、呼吸器内に又は鼻孔吸入によって投与されうる。好ましい実施形態では、化粧用組成物は、局所的に投与される。
【0166】
好ましくは、化粧用組成物は、局所用組成物又は皮膚用組成物、より好ましくは局所用組成物である。
【0167】
化粧用組成物は、特に、粘膜、角質、表皮、真皮、上皮、内皮、皮膚又は皮膚付属器(例えば、毛髪及び爪)、好ましくは、粘膜、皮膚又は皮膚付属器に適用されうる。
【0168】
化粧用組成物は、特に、懸濁剤、クリーム、スプレー、エアロゾル、バター、スティック、ゲル、軟膏、ローション、溶液、固体、エマルション、マイクロエマルション、油、凍結乾燥物、ミルク、粉末、ペースト、ワックス、ムース、パッチ、フィルム、ミセル、リポソーム又はフォームの形態であってよい。組成物は、当業者に公知のプロセスに従って調製されうる。
【0169】
本発明の組成物は、シワ及び/又は小ジワの形成、皮膚のたるみ、弾力の喪失、輝き及び/又は顔色の均一性の喪失等の皮膚の老化の兆候に対抗する及び/又はそれらを低減させるため、並びに/或いは皮膚バリアを補強するために、特によく適合しうる。
【0170】
皮膚の老化の兆候は、加齢に関連する内因性要因だけでなく、外因性要因、特にUV光曝露にも関連しうる。
【0171】
本発明の目的は、シワ及び/又は小ジワの形成、皮膚のたるみ、弾力の喪失、輝き及び/又は顔色の均一性の喪失等の皮膚の老化の兆候に対抗する及び/又はそれらを低減させるため、並びに/或いは皮膚バリアを補強するための、本発明の組成物の化粧用使用に関する。
【0172】
本発明の別の目的は、シワ及び/又は小ジワの形成、皮膚のたるみ、皮膚の弾力の喪失、輝き及び/又は顔色の均一性の喪失等の皮膚の老化の兆候に対抗する及び/又はそれらを低減させるため、並びに/或いは皮膚バリアを補強するための化粧プロセスであって、本発明の組成物を皮膚又はその付属器に局所的に塗布する工程を含む、化粧プロセスである。
【0173】
日焼け止め
別の特定の実施形態では、本発明の組成物は、日焼け止め組成物である。
【0174】
日焼け止め組成物は、有利なことに、局所的に塗布される(すなわち、局所用組成物)。日焼け止め組成物は、特に、懸濁剤、クリーム、スプレー、エアロゾル、バター、スティック、ゲル、軟膏、ローション、溶液、固体、エマルション、マイクロエマルション、油、凍結乾燥物、ミルク、粉末、ペースト、ワックス、ムース、パッチ、フィルム、ミセル、リポソーム又はフォームの形態であってよい。特定の実施形態では、日焼け止め組成物は、製剤日焼け止め型バターである。
【0175】
治療用組成物
特定の実施形態では、本発明の組成物は、治療用組成物であり、より特定すれば、前記組成物は、医薬組成物又は獣医用組成物である。
【0176】
治療用組成物は、本発明に従う少なくとも1つの式(I)の化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む。
【0177】
用語「薬学的に許容される」は、本明細書において使用される場合、妥当な医学的判断の範囲内で、米国食品医薬品局等の機関のガイドラインに従い、合理的なベネフィット/リスク比に見合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題若しくは合併症のいずれもなく、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するために好適な、化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指す。「薬学的に許容される賦形剤」は、本明細書において使用される場合、組成物の製造、保存及び/又はインビボでの送達を容易にする、医薬又は治療用組成物のすべての成分を指す。薬学的に許容される賦形剤は、賦形剤、保存剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、膨張剤、充填剤、安定化剤、及びそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0178】
治療用組成物は、経口的に、局所的に、非経口的に、皮下に、皮膚上に、皮内に、経皮的に、筋肉内に、腸内に、鼻腔内に、呼吸器内に又は鼻孔吸入によって投与されうる。好ましい実施形態では、治療用組成物は、局所的に投与される。
【0179】
特定の実施形態では、治療用組成物は、皮膚、皮膚付属器、粘膜、角質、表皮、真皮、上皮、内皮、結合組織、骨組織及びそれらの組合せ、好ましくは、皮膚、皮膚付属器、粘膜、角質、表皮、真皮、上皮及び内皮、より好ましくは、皮膚、皮膚付属器及び粘膜から選択される組織に適用される。別の実施形態では、治療用組成物は、血液又は血漿等の循環媒体に適用される。
【0180】
特定の実施形態では、治療用組成物は、皮膚用組成物である。
【0181】
本発明の別の目的は、皮膚、粘膜、目の角膜又は皮膚付属器の疾患又は状態の処置及び/又は予防において使用するための、本発明に従う式(I)の化合物又は本発明の組成物(特に、治療用組成物)である。好ましくは、前記皮膚、粘膜、目の角膜又は皮膚付属器の疾患又は状態は、脂肪異栄養症、ケロイド瘢痕、座瘡、乾癬、アトピー性皮膚炎、日光角化症、酒さ、肝斑、黒色腫、メルケル細胞癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、瘢痕処置、創傷治癒、脱毛症、白斑、蕁麻疹(じんましん)、単純疱疹、膿痂疹、湿疹、発疹性皮膚炎、魚鱗癬、疣贅、水疱、掻痒症、壊疽、打撲傷、膿疱、ハンセン病、吹き出もの、蜂巣炎、膿痂疹のような細菌性皮膚感染症、水虫(間擦疹)及びスポロトリクム症のような真菌感染症、真菌性爪感染症、ヘルペスのようなウイルス感染症、日焼け、シラミ、疥癬、褥瘡消毒、褥瘡治癒、膣炎、膀胱がん、子宮内膜症、ブドウ膜炎、角膜疾患、角膜炎、角膜ヘルペス、円錐角膜、角膜ジストロフィー、咽頭炎、皮膚及び粘膜のアレルギーから選択される。より好ましくは、前記皮膚、粘膜、目の角膜又は皮膚付属器の疾患又は状態は、脂肪異栄養症、ケロイド瘢痕、座瘡、乾癬、アトピー性皮膚炎、日光角化症、酒さ、肝斑、黒色腫、メルケル細胞癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、瘢痕処置、創傷治癒、脱毛症、白斑、蕁麻疹(じんましん)、単純疱疹、膿痂疹、湿疹、発疹性皮膚炎、魚鱗癬、疣贅、水疱、掻痒症、壊疽、打撲傷、膿疱、ハンセン病、吹き出もの、蜂巣炎、膿痂疹のような細菌性皮膚感染症、水虫(間擦疹)及びスポロトリクム症のような真菌感染症、真菌性爪感染症、ヘルペスのようなウイルス感染症、日焼け、シラミ、疥癬、褥瘡消毒及び褥瘡治癒から選択される。
【0182】
本明細書において使用される場合、用語「予防する」、「予防すること」又は「予防」は、状態、疾患、障害又はその症状を発病する対象の素因又はリスクの、いかに些細であろうと、任意の低減を指す。予防の目的で、対象は、任意の対象であり、好ましくは、状態、疾患、障害を発病するリスクがある又はかかりやすい素因を持っている対象である。用語「予防」は、臨床的に明らかな状態、疾患、障害の発症を完全に予防すること、又はリスクがある個体において前臨床的に明らかな状態、疾患、障害の発症を予防することのいずれかを含む。これは、状態、疾患、障害を発病するリスクがある対象の防御的処置を含む。
【0183】
本明細書において使用される場合、疾患、障害又は状態を「処置する」、その「処置」又は「処置すること」という用語は、その少なくとも1つの症状の緩和、その重症度における低減、又はその進行の遅延若しくは阻害を包括する。処置は、疾患、障害又は状態が全治することを必ずしも意味するとは限らない。本明細書における有用な組成物は、疾患、障害又は状態の重症度を低減させること、それに関連する症状の重症度を低減させること、患者又は対象の生活の質に改善を提供すること、或いは疾患、障害又は状態の発症を遅延させる又は阻害することのみを必要とする。
【0184】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの式(I)の化合物を、それを必要とする対象の組織に送達するための方法であって、有効量の本発明の組成物を投与する工程を含む、方法である。本発明は、少なくとも1つの式(I)の化合物を対象の組織に送達する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の、該組織の疾患、障害又は状態を処置する際に有用な任意の現在記述されている組成物を、局所的に投与する工程を含む、方法も提供する。
【0185】
特に、前記組織は、皮膚、皮膚付属器、角質、表皮、真皮、上皮、内皮、結合組織、骨組織及びそれらの組合せから選択される。好ましくは、前記組織は、皮膚、皮膚付属器又は粘膜である。
【0186】
「有効量」又は「治療有効量」は、本明細書において使用される場合、疾患又は障害の1つ又は複数の症状を緩和する、その発症を遅延させる、又は予防するために有効な、本明細書において開示される通りの本発明の薬物又は組成物の量を指す。
【0187】
本発明の別の目的は、皮膚、粘膜、目の角膜又は皮膚付属器の疾患又は状態を処置する又は予防するための方法であって、それを必要とする対象に、本発明の組成物(特に、治療用組成物)を投与する工程を含み、前記組成物が、本明細書において定義されている通りの少なくとも1つの式(I)の化合物を含む、方法である。
【0188】
本発明の更なる目的は、対象において、皮膚、粘膜、目の角膜又は皮膚付属器の疾患、障害又は状態を処置する又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の、皮膚、粘膜又は目の角膜の疾患、障害又は状態を処置する際に有用な任意の現在記述されている組成物を局所的に投与する工程を含む、方法である。特定の実施形態では、皮膚、粘膜又は目の角膜の疾患、障害又は状態は、脂肪異栄養症、ケロイド瘢痕、座瘡、乾癬、アトピー性皮膚炎、日光角化症、酒さ、肝斑、黒色腫、メルケル細胞癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、瘢痕処置、創傷治癒、脱毛症、白斑、蕁麻疹(じんましん)、単純疱疹、膿痂疹、湿疹、発疹性皮膚炎、魚鱗癬、疣贅、水疱、掻痒症、壊疽、打撲傷、膿疱、ハンセン病、吹き出もの、蜂巣炎、膿痂疹のような細菌性皮膚感染症、水虫(間擦疹)及びスポロトリクム症のような真菌感染症、真菌性爪感染症、ヘルペスのようなウイルス感染症、日焼け、シラミ、疥癬、褥瘡消毒及び褥瘡治癒、ブドウ膜炎、角膜疾患、角膜炎、角膜ヘルペス、円錐角膜、角膜ジストロフィー、咽頭炎、皮膚及び粘膜のアレルギーから選択される。
【0189】
明確にするために、本明細書において記述されている任意の方法又は組成物又はプロセスの任意の要素又は特色を、本明細書において記述されている任意の他の方法又は組成物又はプロセスの任意の他の要素又は特色と組み合わせることができる。
【0190】
本発明の別の目的は、皮膚、粘膜、目の角膜、皮膚付属器の疾患又は状態を処置する及び/又は予防するための組成物を作製するための、本発明の式(I)の化合物の使用である。
【0191】
本発明の別の目的は、脂肪異栄養症、ケロイド瘢痕、座瘡、乾癬、アトピー性皮膚炎、日光角化症、酒さ、肝斑、黒色腫、メルケル細胞癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、瘢痕処置、創傷治癒、脱毛症、白斑、蕁麻疹(じんましん)、単純疱疹、膿痂疹、湿疹、発疹性皮膚炎、魚鱗癬、疣贅、水疱、掻痒症、壊疽、打撲傷、膿疱、ハンセン病、吹き出もの、蜂巣炎、膿痂疹のような細菌性皮膚感染症、水虫(間擦疹)及びスポロトリクム症のような真菌感染症、真菌性爪感染症、ヘルペスのようなウイルス感染症、日焼け、シラミ、疥癬、褥瘡消毒及び褥瘡治癒、膣炎、膀胱がん等のがん、子宮内膜症、ブドウ膜炎、角膜疾患、角膜炎、角膜ヘルペス、円錐角膜、角膜ジストロフィー、咽頭炎、皮膚及び粘膜のアレルギーからなる群の中から選択される疾患又は状態の処置及び/又は予防において使用するための、本発明の式(I)の化合物又は本発明の組成物(特に、治療用組成物)である。
【0192】
キット
本発明は、
- 本発明に従う組成物と、
- 洗浄組成物と、
- 場合により指示ガイドと
を含む、キットにも関する。
【0193】
好ましい実施形態では、キットにおける本発明に従う組成物は、局所用組成物である。より好ましい実施形態では、キットにおける本発明に従う組成物は、化粧用又は日焼け止め組成物、好ましくは日焼け止め組成物である。
【0194】
「洗浄組成物」は、対象の皮膚、皮膚付属器又は粘膜等の組織に以前に塗布された、本発明に従う組成物の一部又はすべての除去を可能にする組成物を指す。より具体的には、洗浄組成物は、接着性化合物の除去を可能にする。
【0195】
洗浄組成物は、少なくとも1つの「洗浄剤」及び場合により1つ又は複数の賦形剤を含んでよい。「洗浄剤」は、組織に付着している接着性化合物と前記組織との間の結合を破壊することができる化学的又は生物学的作用物質を指す。洗浄剤は、タンパク質、ペプチド(例えばグルタチオン)、アミノ酸、酵素(例えばカテプシンB)、チオール(例えば2-メルカプトエタノール、N-アセチルシステイン)、ジチオール(例えばジチオトレイトール)、pH調節剤、酸、塩基、溶媒、生理食塩水溶液(例えば塩化ナトリウム溶液)又はそれらの組合せであってよい。前記洗浄剤は、組織に付着している接着性化合物と前記組織との間の結合の性質に応じて、当業者によって賢明に選択されうる。
【0196】
特定の実施形態では、前記洗浄組成物は、粉末、シャンプー、石鹸、ローション、溶液、固体、スクラブ、スクレーパー、ムース、フォーム、合成洗剤、ゲル、シャワージェル、スプレー、ミスト、ワックス、細片、酵素組成物、洗剤組成物又は織物若しくは不織布である。
【0197】
他の用途-光防護及び光不安定性
本発明の別の目的は、医薬品有効成分又は化粧品の光分解及び/又は光不安定性を低減させるための、本明細書において定義されている通りの少なくとも1つの化合物の使用である。
【0198】
用語「光分解」は、光、特にUV光によって誘発される部分又は全分解を指す。
【0199】
用語「光不安定性」は、光、特にUV光によって誘発される不安定性を指す。
【0200】
「医薬品有効成分」は、限定されないが、物理的に、生理学的に又は薬理学的に活性な物質を含む。医薬品有効成分は、疾患又は疾病の、処置(例えば、治療剤、ワクチン抗原又は抗原物質)、予防(例えば、防御剤、ワクチン)、診断(例えば、診断剤)、治癒又は軽減のために使用されうる物質である。活性剤は、体の構造若しくは機能に影響する物質、又は所定の生理学的環境に置かれた後に生物学的に活性若しくはより活性になるプロドラッグであってもよい。
【0201】
「化粧品」は、日焼け止め、染料、香料、防臭剤、微生物叢モジュレーター、皮膚調節剤及び皮膚脂質モジュレーター等、化粧用使用、方法及びプロセスにおいて使用される物質である。
【0202】
特定の実施形態では、医薬品有効成分又は化粧品の光分解及び/又は光不安定性を低減させるために使用される少なくとも1つの化合物は、ミセル又はリポソームの形態である。前記医薬品有効成分又は化粧品は、特に、ミセル又はリポソームの形態で、少なくとも1つの本発明の化合物内に封入されてよい。
【0203】
本発明の更なる目的は、支持体と、少なくとも1つの本明細書において定義されている通りの化合物とを含む材料であり、前記化合物は、前記支持体に付着している。
【0204】
支持体は、任意の有機及び/又は無機物でできていてよい。特定の実施形態では、支持体は、天然若しくは合成ポリマー性支持体、天然若しくは合成繊維支持体、石、金属、プラスチック、ゴム又はガラス支持体である。
【0205】
本発明について下記の実施例でも更に詳細に記述するが、これらは添付の請求項によって定義される通りの本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【実施例
【0206】
(実施例1)
式(I)の化合物の調製
化合物番号1. 2,2'-[6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ビス[5-[(3-プロピル-1H-ピロール-2,5-ジオン)オキシ]フェノール]
【0207】
【化10】
【0208】
アセトニトリル(10mL)中の2,4-ビス[2,4-ジヒドロキシフェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(200mg、0.49mmol)及び炭酸セシウム(163mg、0.5mmol)の懸濁液に、1-(3-ブロモプロピル)-1H-ピロール-2,5-ジオン(128mg、0.58mmol)を添加した。反応混合物を終夜還流し、濾過し、濃縮乾固した。残留物を酢酸エチルに溶かし、有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。粗残留物をDIPEで研和して、所望生成物を白色固体(250mg)として取得した。
1H NMR (400 Mhz, CDCl3), δ (ppm): 2.02 (4H, t), 3.80 (4H, t, J = 2.7 Hz), 3.89 (3H, s), 4.36 (4H, t, J = 7.0 Hz), 6.58 (2H, dd, J = 1.6 Hz), 7.03 (2H, dd, J = 8.2, 1.6 Hz), 7.15 (2H, ddd, J = 8.8, 1.4, 0.4 Hz), 7.45 (4H, d, J = 10.2 Hz), 7.83 -7.88 (4H).
【0209】
化合物番号2. 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-安息香酸、6-マレイミド-1-ヘキサノールエステル
【0210】
【化11】
【0211】
30mLのジクロロメタン中の、156mg(0.5mmol)の2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、78mg(0.5mmol)のEDCI、100mg(0.5mmol)の6-マレイミド-1-ヘキサノール及び10mgのDMAPの溶液を、室温で2時間にわたって撹拌した。反応混合物を、水、1N HCl、NaHCO3水溶液で、及び再度水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をショートシリカカラム(溶媒EtOAc)に通して濾過し、75mgの所望生成物が薄黄色固体として取得された。
1HNMR (CDCl3), δ (ppm): 1.10 (6H, t, J = 7.0 Hz), 1.29-1.44 (4H), 1.64 (2H, tt, J = 7.6, 7.1 Hz), 1.73 (2H, tt, J = 7.4, 7.1 Hz), 3.39 (4H, q, J = 7.0 Hz), 3.77 (2H, t, J = 7.6 Hz), 4.19 (2H, t, J = 7.1 Hz), 6.39 (1H, dd), 7.18 (1H, dd, J = 7.9, 1.3 Hz), 7.45 (2H, d, J = 10.2 Hz), 7.63 (1H, ddd, J = 7.8, 7.7, 1.3 Hz), 7.58-7.71 (3H), 7.82 (1H, dd, J = 7.9, 0.4 Hz).
【0212】
化合物番号3. 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、2-(2-ピリジニルジスルファニル)エタノールエステル
【0213】
【化12】
【0214】
化合物番号3は、6-マレイミド-1-ヘキサノールを2-(2-ピリジニルジスルファニル)エタノールによって置きかえ、化合物番号2と同じプロトコールを使用して調製した。54mgの所望生成物が淡黄色固体として取得された。
1HNMR (CDCl3) d (ppm): 1.10 (6H, t, J = 7.0 Hz), 3.39 (4H, q, J = 7.0 Hz), 3.50 (2H, t, J = 5.5 Hz), 4.45 (2H, t, J = 5.5 Hz), 6.39 (1H, dd, J = 1.3, 0.4 Hz), 7.16-7.25 (2H, dl), 7.36 (1H, ddd, J = 7.8, 1.7, 0.5 Hz), 7.58-7.71 (4H), 7.79-7.88 (2H), 8.43 (1H, ddd, J = 5.4, 1.9, 0.5 Hz).
【0215】
化合物番号4. 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、N-[5-(-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-2,5-ジオン)ペンチル]アミド
【0216】
【化13】
【0217】
化合物番号4は、6-マレイミド-1-ヘキサノールを1-(5-アミノペンチル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-2,5-ジオンによって置きかえ、化合物番号2と同じプロトコールを使用して調製した。210mgの所望生成物が白色固体として取得された。
1HNMR (CDCl3) d (ppm): 1.10 (6H, t, J = 7.0 Hz), 1.44 (2H, tt, J = 7.4, 7.1 Hz), 1.61-1.77 (4H), 3.39 (4H, q, J = 7.0 Hz), 3.77 (2H, t, J = 7.5 Hz), 4.20 (2H, t, J = 7.1 Hz), 6.39 (1H, dd, J = 1.3, 0.4 Hz), 7.18 (1H, dd, J = 7.9, 1.3 Hz), 7.45 (2H, d, J = 10.2 Hz), 7.58-7.71 (4H), 7.82 (1H, dd, J = 7.9, 0.4 Hz).
【0218】
化合物番号5. 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、N-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)ブタン]アミド
【0219】
【化14】
【0220】
化合物番号5は、6-マレイミド-1-ヘキサノールを4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)ブタン-1-アミンによって置きかえ、化合物番号2と同じプロトコールを使用して調製した。165mgの所望生成物がベージュ色の固体として取得された。
1HNMR (CDCl3) d (ppm): 1.10 (6H, t, J = 7.0 Hz), 1.47-1.62 (6H, dt, J = 7.4, 7.3 Hz), 3.18 (2H, t, J = 7.1 Hz), 3.39 (4H, q, J = 7.0 Hz), 3.77-3.92 (4H, 3.84 (ddd, J = 10.4, 9.2, 5.7 Hz), 4.92 (1H, t, J = 5.8 Hz), 6.39 (1H, dd, J = 1.3, 0.4 Hz), 7.18 (1H, dd, J = 7.9, 1.3 Hz), 7.55-7.67 (4H), 7.82 (1H, dl, J = 7.9 Hz).
【0221】
化合物番号6. 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸、ビオチン(biotine)-PEG2-アミド
【0222】
【化15】
【0223】
化合物番号6は、6-マレイミド-1-ヘキサノールをビオチン-PEG2-アミンによって置きかえ、化合物番号2と同じプロトコールを使用して調製した。257mgの所望生成物が白色固体として取得された。
1HNMR (DMSO d6) d (ppm): 1.05-1.24 (8H), 1.41-1.62 (3H), 1.54 (1H, tt, J = 7.7, 7.4 Hz), 2.13-2.21 (2H, t, J = 7.4 Hz), 3.05-3.19 (2H, dd), 3.37-3.42 (4H, q), 3.43-3.51 (6H), 3.53-3.60 (2H, t, J = 6.1 Hz), 3.62-3.67 (4H, t, J = 4.2 Hz), 3.74 (1H, dt, J = 5.8, 4.5 Hz), 3.94-4.06 (2H, dl, J = 8.1, 5.8 Hz), 6.39 (1H, dd, J = 1.3 Hz), 7.18 (1H, dd, J = 7.9, 1.3 Hz), 7.55-7.67 (4H, dl, J = 7.8), 7.82 (1H, dl, J = 7.9 Hz).
【0224】
化合物番号7. N-[4-(-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-2,5-ジオン)ブチル]サリチルアミド
【0225】
【化16】
【0226】
サリチロイルクロリド(156mg、1mmol)をTHF(10mL)に溶解し、結果として生じた溶液に1-(4-アミノブチル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-2,5-ジオン(168mg、1mmol)を添加した。溶液を10分間にわたって撹拌し、次いで、トリエチルアミン(279μL、2mmol)を混合物にゆっくりと添加した。反応物を3時間にわたって撹拌した。反応混合物のTLC分析は、出発材料の完全消失を示す。次いで、反応物を40mLの10%塩酸溶液でクエンチした。溶液をジクロロメタン(2×30mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液(2×20mL)で洗浄し、乾燥させ、真空下で蒸発させた。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 ジクロロメタン/MeOHからMeOHまでのステップ勾配)によって精製して、236mgの生成物を取得した。
1HNMR (CDCl3) d (ppm): 1.58 (2H, tt, J = 7.9, 7.2 Hz), 1.70 (2H, tt, J = 7.9, 7.6 Hz), 3.16 (2H, t, J = 7.2 Hz), 3.77 (2H, t, J = 7.6 Hz), 7.02 (1H, dd, J = 8.3, 1.3 Hz), 7.28 (1H, ddd, J = 8.1, 7.4, 1.3 Hz), 7.40-7.49 (4H).
【0227】
化合物番号8. 2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、6-マレイミド-1-ヘキサノールエステル
【0228】
【化17】
【0229】
30mLのジクロロメタン中の、125mg(0.5mmol)の2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、78mg(0.5mmol)のEDCI、100mg(0.5mmol)の6-マレイミド-1-ヘキサノール及び10mgのDMAPの溶液を、室温で6時間にわたって撹拌した。反応混合物を、水、希釈HCl、NaHCO3水溶液で、及び再度水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をショートシリカカラム(溶媒EtOAc)に通して濾過し、175mgの所望生成物が薄黄色固体として取得された。
1HNMR (CDCl3) d (ppm): 1.29-1.44 (4H, tt, J = 7.1, 7.0 Hz), 1.64 (2H, tt, J = 7.6, 7.1 Hz), 1.73 (2H, tt, J = 7.4, 7.1 Hz), 3.77 (2H, t, J = 7.6 Hz), 4.17 (2H, t, J = 7.1 Hz), 7.45 (2H, d, J = 10.2 Hz), 7.51-7.60 (4H), 7.70-7.79 (6H).
【0230】
化合物番号9. 2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、葉酸-PEG-1kエステル
【0231】
【化18】
【0232】
化合物番号9は、6-マレイミド-1-ヘキサノールを葉酸-PEG-OH 1kDA(ナノソフトポリマー)によって置きかえ、DMFを溶媒として使用し、化合物番号8と同じプロトコールを使用して調製した。反応の終わりに、DMFを蒸発させ、残留物をメタノール/アセトンの混合物中に沈殿させ、アセトンで数回洗浄し、真空下で乾燥させた。
【0233】
化合物番号10. 2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、1,3-ビス(ビニルスルホニル)-1-プロパノールエステル
【0234】
【化19】
【0235】
化合物番号10は、6-マレイミド-1-ヘキサノールを1,3-ビス(ビニルスルホニル)-1-プロパノールによって置きかえ、化合物番号8と同じプロトコールを使用して調製した。71mgの所望生成物が白色固体として取得された。
1HNMR (CDCl3) d (ppm): 2.17-2.29 (2H, dt, J = 7.5, 7.0 Hz), 3.61-3.69 (2H, t, J = 7.0 Hz), 6.11 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.92-7.01 (2H, dd, J = 10.7, 1.8 Hz), 7.14-7.37 (3H, dd, J = 16.9, 1.8 Hz), 7.51-7.80 (11H).
【0236】
化合物番号11. 2-フェニル-1H-ベンズイミダゾール-5-(ビオチン-PEG8-N-エチル)スルホンアミド
【0237】
【化20】
【0238】
THF(15mL)中のO-(2-アミノエチル)-O'-[2-(ビオチニルアミノ)エチル]オクタエチレングリコール(285mg、0.41mmol)及びトリエチルアミン(279μL、2mmol)の溶液に、2-フェニル-1H-ベンズイミダゾール-5-スルホニルクロリド塩酸塩(164mg、0.5mmol)を添加した。反応物を4時間にわたって撹拌し、次いで、40mLの10%塩酸溶液でクエンチした。溶液をジクロロメタン(2×30mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液(2×20mL)で洗浄し、乾燥させ、真空下で蒸発させた。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 ジクロロメタン/MeOHからMeOHまでのステップ勾配)によって精製して、326mgの生成物を取得した。
HRMS (M+H)+ = 939
【0239】
化合物番号12. 2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-(ビオチン-PEG8-N-エチル)スルホンアミド
【0240】
【化21】
【0241】
化合物番号12は、2-フェニル-1H-ベンズイミダゾール-5-スルホニルクロリド(sulfonylchlorid)塩酸塩を2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホニルクロリドによって置きかえ、化合物番号11と同じプロトコールを使用して調製した。76mgの所望生成物がベージュ色の固体として取得された。
MRMS (M+H)+ = 973
【0242】
化合物番号13. [N-(2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペノイル)-ピペリジン-4-イルスルホニル]酢酸
【0243】
【化22】
【0244】
30mLのジクロロメタン中の、125mg(0.5mmol)の2-シアノ-3,3-ジフェニルプロペン酸、78mg(0.5mmol)のEDCI、110mg(0.5mmol)のメチル-(ピペリジン-4-イルスルホニル)アセテート及び10mgのDMAPの溶液を、室温で終夜撹拌した。反応混合物を、水、希釈HCl、NaHCO3水溶液で、及び再度水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をショートシリカカラム(溶媒DCM/MeOH)に通して濾過し、203mgの所望のエステルがオフホワイトの固体として取得された。この後者を5mLのTHFに懸濁し、1mLのNaOH 1Nを添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、HCl 0.5Nで酸性化し、沈殿物を濾過して、180mgの所望生成物を得た。
1HNMR (DMSO d6) d (ppm): 2.14 (2H, dl), 2.60 (2H, dl), 3.23-3.40 (4H, 3.31), 3.50 (1H, tt, J = 10.3, 2.7 Hz), 4.36 (2H, s), 7.50-7.59 (4H), 7.68-7.76 (6H).
【0245】
化合物番号14. N-[(2-ヒドロキシベンゾイル)-ピペリジン-4-イルスルホニル]酢酸
【0246】
【化23】
【0247】
10mLのジクロロメタン中の、70mg(0.5mmol)の2-ヒドロキシ安息香酸、78mg(0.5mmol)のEDCI、110mg(0.5mmol)のメチル-(ピペリジン-4-イルスルホニル)アセテート及び3mgのDMAPの溶液を、室温で終夜撹拌した。反応混合物を、水、希釈HCl、NaHCO3水溶液で、及び再度水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をショートシリカカラム(溶媒DCM/MeOH)に通して濾過し、147mgの所望のエステルがオフホワイトの固体として取得された。この後者を5mLのTHFに懸濁し、1mLのNaOH 1Nを添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、HCl 0.5Nで酸性化し、沈殿物を濾過して、89mgの所望生成物を得た。
1HNMR (DMSO d6) d (ppm): 2.15 (2H, dl), 2.59 (2H, dl), 3.27-3.42 (4H), 3.49 (1H, tt, J = 10.3, 2.7 Hz), 4.36 (2H, s), 7.02 (1H, dd, J = 8.3, 1.3Hz), 7.29 (1H, ddd, J = 8.1, 7.4, 1.3 Hz), 7.45 (1H, ddd, J = 8.3, 7.4, 1.4 Hz), 7.74 (1H, dd, J = 8.1, 1.4 Hz).
【0248】
化合物番号15. (3-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-5(tert-ブチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロパン酸、N-[(4-ピペリジン-4-イルスルホニル)酢酸]アミド
【0249】
【化24】
【0250】
15mLのジクロロメタン中の、170mg(0.5mmol)の3-(3-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-5(tert-ブチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロパン酸、78mg(0.5mmol)のEDCI、110mg(0.5mmol)のメチル-(ピペリジン-4-イルスルホニル)アセテート及び5mgのDMAPの溶液を、室温で終夜撹拌した。反応混合物を、水、希釈HCl、NaHCO3水溶液で、及び再度水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をショートシリカカラム(溶媒DCM/MeOH)に通して濾過し、98mgの所望のエステルがオフホワイトの固体として取得された。この後者を5mLのTHFに懸濁し、1mLのNaOH 1Nを添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、HCl 0.5Nで酸性化し、沈殿物を濾過して、75mgの所望生成物を得た。
1HNMR (DMSO d6) d (ppm): 1.26 (9H, s), 2.16 (2H, dl), 2.54-2.65 (4H), 2.95 (2H, t, J = 7.0 Hz), 3.27-3.42 (4H), 3.49 (1H, tt, J = 10.3, 2.7 Hz), 4.36 (2H, s), 6.96 (1H, d, J = 1.6 Hz), 7.64 (1H, d, J = 1.6 Hz), 7.72 (2H, ddd, J = 8.0, 7.3, 1.9 Hz), 8.25 (2H, ddd, J = 8.0, 1.9, 0.5 Hz).
【0251】
化合物番号16. 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-安息香酸、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エチルエステル
【0252】
【化25】
【0253】
a)3-(ジエチルアミノ)ベンゾ[c][1]ベンゾキセピン-6,11-ジオン
磁気撹拌を備えた50mLのナシフラスコ中、20mlの酢酸エチル中の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシ-ベンゾイル]安息香酸(4.90g、15.64mmol)の懸濁液に、10mlの酢酸エチル中のDCC(3.48g、16.89mmol)の溶液を添加した。混合物を室温で18時間にわたって撹拌した。次いで、30mlの石油エーテルを添加した。0.5時間にわたって撹拌した後、固体を濾過し、AcOEt/石油エーテルで洗浄して、3.97gの3-(ジエチルアミノ)ベンゾ[c][1]ベンゾキセピン-6,11-ジオンを黄色固体(収率=86%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=296
【0254】
b)2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]プロパンアミド
磁気撹拌を備えた100mLの丸底フラスコ中、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(1.185g、11.27mmol)をDCM(100mL)に投入した。+5℃で、3-(マレイミド)プロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(3.00g、11.27mmol)をゆっくりと添加した。反応物を室温(「RT」)で4時間にわたって撹拌した。DCMを減圧下で蒸発させて、4.25gの2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]プロパンアミドを無色油(収率=定量的)として得た。生成物を更に精製することなく次の工程において直接使用した。
LCMS-ESI: [M+H]+=257
【0255】
c)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-安息香酸、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エチルエステル
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、3-(ジエチルアミノ)ベンゾ[c][1]ベンゾキセピン-6,11-ジオン(3.10g、10.50mmol)及び2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]プロパンアミド(3.90g、10.50mmol)を50mLのジグリムに投入した。DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)(0.16g、1.05mmol)を添加し、反応物を室温で4日間にわたって撹拌した。ジグリムを減圧下で蒸発させ、粗製油を40gのSiO2カラム上で直接精製し、シクロヘキサン-アセトン 95/5から50/50までの勾配で溶離して、1,40gの2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-安息香酸、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エチルエステルを黄色油(収率=24%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=552
1H NMR 400 MHz, DMSOd6, δ (ppm): 1.10 (6H, t, J = 7.0 Hz), 2.31 (2H, t, J = 7 Hz), 3.10 (2H, t), 3.29-3.31 (2H, m), 3.37 (4H, q, J = 7.0 Hz), 3.41 (2H, sl), 3.58 (2H, t, J = 7 Hz), 4.21 (2H, t, J = 7.4 Hz), 6.10 (1H, sl), 6.20 (1H, dd, J = 8 Hz), 6.82 (1H, d, J = 8 Hz), 7.0 (2H, s), 7.45 (1H, d, J = 8 Hz), 7.66 (2H, td), 8.0 (2H, d, J = 8 Hz), 12.54 (1H, sl).
【0256】
エタノール/DMSO 9/1中におけるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルのλmaxUV吸光度を357nmで測定し、化合物番号16のλmaxUV吸光度を357nmで測定した。
【0257】
化合物番号17. 2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシ-ベンゾイル]安息香酸、2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルエステル
【0258】
【化26】
【0259】
a)3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-(2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、2-アミノエタノール(0.838g、13.72mmol)をDCM(100mL)に投入した。+5℃で、3-(マレイミド)プロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(3.32g、12.47mmol)をゆっくりと添加した。反応物を室温で2時間にわたって撹拌した。DCMを減圧下で蒸発させて、4.15gの3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-(2-ヒドロキシエチル)プロパンアミドを白色固体として得た。生成物を更に精製することなく次の工程において直接使用した。
LCMS-ESI: [M+H]+=213
【0260】
b)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシ-ベンゾイル]安息香酸、2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルエステル
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、3-(ジエチルアミノ)ベンゾ[c][1]ベンゾキセピン-6,11-ジオン(3.68g、12.47mmol)及び3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-(2-ヒドロキシエチル)プロパンアミド(4.08g、12.47mmol)を50mLのジグリムに投入した。DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)(0.16g、1.05mmol)を添加し、反応物を室温で4日間にわたって撹拌した。ジグリムを減圧下で蒸発させ、粗製油を、40gのSiO2カラム上、勾配シクロヘキサン-アセトン 95/5から50/50までで直接精製して、1,40gの2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシ-ベンゾイル]安息香酸、2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルエステルを黄色固体(収率=22%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=508
1H NMR 400 MHz, DMSOd6, δ (ppm): 1.10 (6H, t, J = 7.0 Hz), 2.32 (2H, t, J = 6.4 Hz), 3.24 (2H, dl), 3.37 (4H, q, J = 7.0 Hz), 3.59 (2H, t, J = 6.4 Hz), 4.06 (2H, t, J = 7.4 Hz), 6.09 (1H, s), 6.18 (1H, dd, J = 8 Hz), 6.80 (1H, d, J = 8 Hz), 6.97 (2H, s), 7.43 (1H, d, J = 8 Hz), 7.69 (2H, td), 8.04 (2H, d, J = 8 Hz), 12.51 (1H, sl).
【0261】
エタノール/DMSO 9/1中におけるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルのλmaxUV吸光度を357nmで測定し、化合物番号17のλmaxUV吸光度を357nmで測定した。
【0262】
化合物番号18. 2-シアノ-N-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチル]-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エンアミド
【0263】
【化27】
【0264】
a)2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エン酸
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、オクトクリレン(10.48g、28.99mmol)をTHF(75mL)中で可溶化した。次いで、水酸化ナトリウム1Nの溶液(31.89mL、31.89mmol)を5℃で添加した。反応混合物を室温で18時間にわたって撹拌し、次いで、HCl 1N(31.89mL、31.89mmol)で酸性化した。THFを減圧下で蒸発させ、粗生成物を水(400mL)及びヘプタン(150mL)の混合物とともに撹拌し、濾過した。固体を再度水及びヘプタンで洗浄して、6.26gの2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エン酸を白色固体(収率=87%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=250
【0265】
b)tert-ブチルN-[2-[(2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノイル)アミノ]エチル]カルバメート
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エン酸(2g、8.02mmol)をDCM(50mL)及びDMF(触媒量)に投入した。5℃で、塩化オキサリル(1.36mL、16.05mmol)をゆっくりと添加した。反応物を室温で1時間にわたって撹拌した。溶媒及び過剰の塩化オキサリルを減圧下で蒸発させて、酸塩化物を黄色固体として得た。
【0266】
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、N-Boc-エチレンジアミン(2.7g、16.85mmol)をDCM(50mL)に投入した。次いで、DCM中の先の酸塩化物の溶液(20mL)をゆっくりと添加した。反応物を室温で1時間にわたって撹拌した。反応混合物を水(3×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮乾固して、3.19gのtert-ブチルN-[2-[(2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノイル)アミノ]エチル]カルバメートをオフホワイトの固体(収率=定量的)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=292
【0267】
c)N-(2-アミノエチル)-2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エンアミド
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、tert-ブチルN-[2-[(2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノイル)アミノ]エチル]カルバメート(3.14g、8.02mmol)をDCM(50mL)に投入した。5℃で、TFA(40.5mL、529mmol)をゆっくりと添加した。反応物を室温で1時間にわたって撹拌した(ガス発生の終わりまで)。反応混合物を真空下で濃縮し、25mLのDCMを添加し、得られた溶液をNaOH 0,5N(8mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮乾固して、2.4gのN-(2-アミノエチル)-2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エンアミドを無色油(収率=91%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=292
【0268】
d)2-シアノ-N-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチル]-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エンアミド
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、N-(2-アミノエチル)-2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エンアミド(2.33g、8.01mmol)を60mLのDCMに投入した。3-(マレイミド)プロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(2.774g、10.42mmol)をゆっくりと添加した。反応物を室温で18時間にわたって撹拌し、溶液を水(50mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。粗生成物をシリカパッド上で濾過し、DCM、AcOEt及びアセトンで連続的に溶離した。アセトン層を真空下で濃縮して、オフホワイトの固体を得て、これをアセトニトリル/iPrOH:1/4の混合物から結晶化させて、660mgの所望の化合物を得た。濾液の濃縮後、アセトニトリル/iPrOH:1/4からの第二の結晶化により、322mgの第二のバッチを得た。2つのバッチを合わせ、20mLのジイソプロピルエーテル中で1時間にわたって撹拌し、濾過し、乾燥させて、945mgの2-シアノ-N-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチル]-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エンアミドを白色固体(収率=26%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=443
1H NMR 400 MHz, DMSOd6, δ (ppm): 2.27 (2H, tl), 2.79 (2H, dl), 2.97 (2H, dl), 3.58 (2H, tl), 7.01 (2H, s), 7.16-7.5 (10H, m), 7.84 (1H, sl, NH), 8.54 (1H, sl, NH).
【0269】
エタノール/DMSO 9/1中におけるオクトクリレンのλmaxUV吸光度を305nmで測定し、化合物番号18のλmaxUV吸光度を293nmで測定した。
【0270】
化合物番号19. 2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルホニル]エチルエステル
【0271】
【化28】
【0272】
a)tert-ブチル-N-[2-(2-ヒドロキシエチルスルファニル)エチル]カルバメート
磁気撹拌を備えた250mLのナシフラスコ中、20mLのDCM中のBoc2O(2.12g、9.69mmol)の溶液に、10mLのDCM中の2-((2-アミノエチル)-チオ)エタノール(1.17g、9.69mmol)の溶液を添加した。混合物を室温で30分間にわたって撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて、2.21gのtert-ブチル-N-[2-(2-ヒドロキシエチルスルファニル)エチル]カルバメートを無色油(収率=定量的)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=122 (-Boc)
【0273】
b)2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチルスルファニル]エチルエステル
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エン酸(2g、8.02mmol)をDCM(100mL)及びDMF(触媒量)に投入した。+5℃で、塩化オキサリル(1.36mL、16.05mmol)をゆっくりと添加した。反応物を室温で1時間にわたって撹拌した。溶媒及び過剰の塩化オキサリルを減圧下で蒸発させて、酸塩化物を黄色固体として得た。
【0274】
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、tert-ブチル-N-[2-(2-ヒドロキシエチルスルファニル)エチル]カルバメート(2.13g、9.63mmol)を、DCM(50mL)、ピリジン(973μl)及び触媒量のDMAPに投入した。次いで、DCM中の先の酸塩化物の溶液(20mL)をゆっくりと添加した。反応物を室温で1時間にわたって撹拌した。溶液を水(3×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、3.49gの2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチルスルファニル]エチルエステルを無色油(収率=96%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=353 (-Boc)
【0275】
c)2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチルスルホニル]エチルエステル
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチルスルファニル]エチルエステル(3.49g、7.71mmol)を100mlのDCMに投入した。m-CPBA(3.992g、23.13mmol)を添加し、反応物を室温で1時間にわたって撹拌した。DCM溶液をNaHCO3で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、3.9gの2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチルスルホニル]エチルエステルを無色油(収率=定量的)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=385 (-Boc)
【0276】
d)2-[2-(2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノイル)オキシエチルスルホニル]エチルアンモニウム,2,2,2-トリフルオロアセテート
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチルスルホニル]エチルエステル(3.55g、9.07mmol)をDCM(100mL)に投入した。+5℃で、TFA(6.94mL、90.69mmol)をゆっくりと添加した。反応物を室温で1時間にわたって撹拌した(ガス発生の終わりまで)。反応混合物を真空下で濃縮した。2×25mlのトルエンを添加し、濃縮乾固して、4.5gの2-[2-(2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノイル)オキシエチルスルホニル]エチルアンモニウム;2,2,2-トリフルオロアセテートを淡黄色油(収率=99%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=385
【0277】
e)2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルホニル]エチルエステル
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、2-[2-(2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノイル)オキシエチルスルホニル]エチルアンモニウム;2,2,2-トリフルオロアセテート(4.5g、9.03mmol)を50mLのDCMに投入した。3-(マレイミド)プロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(2.884g、10.83mmol)、続いて、DIPEA(15.72mL、9.03mmol)をゆっくりと添加した。反応物を室温で2時間にわたって撹拌した。溶液を水(50mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、無色油(5,8g)を得た。粗製油を、80gのSiO2カラム上、固体負荷で精製し、DCM100%からAcOEt100%までの勾配で溶離して、2gの2-シアノ-3,3-ジフェニル-プロパ-2-エノエート、2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルホニル]エチルエステルを白色固体(収率=41%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=536
1H NMR 400 MHz, DMSOd6, δ (ppm): 2.32 (2H, t), 3.21 (2H, t), 3.39 (4H, m), 3.59 (2H, t), 4.42 (2H, t), 6.99 (2H, s), 7.20 (2H, d), 7.38-7.52 (8H, m), 8.23 (1H, sl, NH).
【0278】
エタノール/DMSO 9/1中におけるオクトクリレンのλmaxUV吸光度を305nmで測定し、化合物番号19のλmaxUV吸光度を308nmで測定した。
【0279】
化合物番号20. 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[[(3Z)-3-[[4-[(Z)-[4-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルファモイルメチル]-7,7-ジメチル-3-オキソ-ノルボルナン-2-イリデン]メチル]フェニル]メチレン]-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メチルスルホニルアミノ]エチル]プロパンアミド
【0280】
【化29】
【0281】
a)tert-ブチルN-[2-[[(3Z)-3-[[4-[(Z)-[4-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチルスルファモイルメチル]-7,7-ジメチル-3-オキソ-ノルボルナン-2-イリデン]メチル]フェニル]メチレン]-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メチルスルホニルアミノ]エチル]カルバメートの合成
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコ中、冷媒をTHF(60mL)中のN-Boc-エチレンジアミン(2.24g、14.01mmol)及びTEA(2.7mL、20.01mmol)に投入した。溶液を+5℃で冷却し、次いで、エカムスルスルホニルクロリド(4g、6.67mmol)をゆっくりと添加した。反応混合物を室温で2時間にわたって撹拌し、次いで、水(150mL)で希釈した。沈殿物を濾過し、水で洗浄して、5.47gのtert-ブチルN-[2-[[(3Z)-3-[[4-[(Z)-[4-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチルスルファモイルメチル]-7,7-ジメチル-3-オキソ-ノルボルナン-2-イリデン]メチル]フェニル]メチレン]-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メチルスルホニルアミノ]エチル]カルバメートを淡黄色固体(収率=97%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=747 (-Boc)
【0282】
b)N-(2-アミノエチル)-1-[(3Z)-3-[[4-[(Z)-[4-(2-アミノエチルスルファモイルメチル)-7,7-ジメチル-3-オキソ-ノルボルナン-2-イリデン]メチル]フェニル]メチレン]-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミド、ビストリフルオロ酢酸塩
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコに、DCM(20mL)中の先のカルバミン酸tert-ブチル(5.46g、6.45mmol)を添加した。TFA(19.7mL、257.82mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間にわたって撹拌し、減圧下で濃縮して、9.5gの淡黄色固体を得た。固体をEtOH(30mL)及び水(10mL)で希釈し、減圧下で濃縮して、5.67gの所望の化合物を黄色固体(収率=100%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=647
【0283】
c)3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[[(3Z)-3-[[4-[(Z)-[4-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルファモイルメチル]-7,7-ジメチル-3-オキソ-ノルボルナン-2-イリデン]メチル]フェニル]メチレン]-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メチルスルホニルアミノ]エチル]プロパンアミド
磁気撹拌を備えた250mLの丸底フラスコに、THF(50mL)中の先のTFA塩(3.5g、4mmol)及び3-(マレイミド)プロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(2.13g、8mmol)を添加した。次いで、DIPEA(2.09mL、12mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。反応混合物を水(150mL)に注ぎ入れ、DCMで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、黄色固体(4.2g)を得た。固体を40gのSiO2カラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、勾配DCM100%からDCM/MeOH 9/1で溶離して、1.26gの3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[[(3Z)-3-[[4-[(Z)-[4-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エチルスルファモイルメチル]-7,7-ジメチル-3-オキソ-ノルボルナン-2-イリデン]メチル]フェニル]メチレン]-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メチルスルホニルアミノ]エチル]プロパンアミドを白色固体(収率=33%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+= 949.8
1H NMR 400 MHz, DMSOd6, δ (ppm): 0.76 (s, 6H), 1.08 (s, 6H), 1.59 (dd, 4H), 2.24 (sl, 2H), 2.34 (t, 4H), 3.03-3.13 (m, 12H), 3.41 (d, 2H), 3.61 (t, 4H), 7.01 (s, 4H), 7.14 (sl, 2H), 7.19 (s, 2H), 7.64 (s, 4H), 8.07 (s, 2H).
【0284】
エタノール/H2O/DMSO 5/3/2中におけるエカムスルのλmaxUV吸光度を341nmで測定し、化合物番号20のλmaxUV吸光度を344nmで測定した。
【0285】
化合物番号21. 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[3-[4-[4-[4-[3-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]プロポキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]プロピル]プロパンアミド
【0286】
【化30】
【0287】
a)N-[3-[3-ヒドロキシ-4-[4-[2-ヒドロキシ-4-[3-tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロポキシ]フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]フェノキシ]プロピル]tert-ブトキシカルバメート
磁気撹拌を備えた50mLの丸底フラスコ中、ES2730924に従って調製した4-[4-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]ベンゼン-1,3-ジオール(300mg、0.74mmol)及び炭酸カリウム(206mg、1,49mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)に投入した。3-(Boc-アミノ)プロピルブロミド(370mg、1,56mmol)を添加した。反応混合物を50℃で6時間にわたって撹拌した。別の3-(Boc-アミノ)プロピルブロミド(176mg 0.74mmol)を添加し、反応混合物を80℃で9時間にわたって撹拌した。冷却した後、水(20mL)を撹拌しながら添加し、得られた固体を濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、454mgのオフホワイトの固体を得た。固体を3mlの温DMFに溶解し、3mlのACNを添加した。30分間にわたって冷却及び撹拌した後、固体を濾過し、ACNで洗浄して、340mgの所望の化合物をオフホワイトの固体(収率=64%)として得た。
【0288】
b)5-(3-アミノプロポキシ)-2-[4-[4-(3-アミノプロポキシ)-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]フェノール、ビス塩酸塩
磁気撹拌を備えた15mLの反応器中、N-[3-[3-ヒドロキシ-4-[4-[2-ヒドロキシ-4-[3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロポキシ]フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]フェノキシ]プロピル]カルバメート(273mg、0.38mmol)をジオキサン(5mL)に投入した。HCl 6N(317μL、1.90mmol)を添加し、反応混合物を、50℃で1時間にわたって、次いで、室温で18時間にわたって撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、200mgの5-(3-アミノプロポキシ)-2-[4-[4-(3-アミノプロポキシ)-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]フェノールをオフホワイトの固体(収率定量的)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=518
【0289】
c)3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[3-[4-[4-[4-[3-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]プロポキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]プロピル]プロパンアミド
磁気撹拌を備えた15mLの反応器中、5-(3-アミノプロポキシ)-2-[4-[4-(3-アミノプロポキシ)-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]フェノール(197mg、0.38mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(133μL、0.76mmol)をジオキサン(3mL)に投入した。(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノエート(233mg、0.88mmol)を添加した。反応物を室温で3時間にわたって撹拌した。混合物を水(20mL)に注ぎ入れ、固体を濾過し、水で洗浄して、200mgのオフホワイトの固体を得た。固体をAcOH(1mL)中で結晶化し、濾過し、AcOH及びACNで連続的に洗浄して、100mgの3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[3-[4-[4-[4-[3-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]プロポキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]プロピル]プロパンアミドを褐色固体(収率=32%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+=820.3
1H NMR (400 Mhz, DMSOd6, δ (ppm): 1.91 (4H, sl), 2.34 (4H, sl), 3.18 (4H, sl), 3.62 (4H, sl), 3.90 (3H, s), 4.04 (4H, sl), 6.52 (2H, d), 6.65 (2H, sl), 7.01 (4H,s), 7.21 (2H, sl), 8.08 (2H, d), 8.34 (4H, sl), 13.19 (2H, sl)
【0290】
エタノール/ベンジルアルコール/DMSO/フェノキシエタノール 63/18/10/9中におけるベモトリジノールのλmaxUV吸光度を342nmで測定し、化合物番号21のλmaxUV吸光度を342nmで測定した。
【0291】
化合物番号22. 3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[2-[2-[2-[4-[4-[4-[2-[2-[2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エチル]プロパンアミド
【0292】
【化31】
【0293】
a)tert-ブチルN-[2-[2-[2-[2-[4-[4-[4-[2-[2-[2-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エチル]カルバメート
磁気撹拌を備えた50mLの丸底フラスコ中、4-[4-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]ベンゼン-1,3-ジオール(590mg、1,46mmol)及びK2CO3(404mg、2.93mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(3ml)に投入した。Tert-ブチル(2-(2-(2-(2-ブロモエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(998mg 2.93mmol)を添加した。反応混合物を50℃で18時間にわたって撹拌した。水(20mL)を添加し、有機層をAcOEtで抽出し、水、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。混合物を濾過し、溶媒を減圧下で濃縮した。粗製油を、SiO2カラム上でのクロマトグラフィー、DCM100%からDCM/MeOH(93/7)までの溶離によって精製して、1.58gの所望生成物を黄色油(収率=定量的)として得た。
【0294】
b)5-[2-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-[4-[4-[2-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]フェノール;ビス塩酸塩
磁気撹拌を備えた100mLの丸フラスコ中、tert-ブチルN-[2-[2-[2-[2-[4-[4-[4-[2-[2-[2-[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エチル]カルバメート(1.40g、1.46mmol)をジオキサン(5mL)に投入した。HCl 6N(1.22mL、7.31mmol)を添加し、反応混合物を、60℃で1時間にわたって、次いで、室温で18時間にわたって撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた固体をMeOH中で可溶化し、Na2SO4、ベントナイト及び木炭で研和した。30分間にわたって撹拌した後、溶液をセライトのパッドに通して濾過し、減圧下で濃縮して、0.80gの5-[2-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-[4-[4-[2-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]フェノール、ビス塩酸塩を黄色固体(収率=72%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+: 754
【0295】
c)3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[2-[2-[2-[4-[4-[4-[2-[2-[2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エチル]プロパンアミド
磁気撹拌を備えた15mLの反応器中、先の化合物(0.80g、1.06mmol)及びDIPEA(0.37mL、2.12mmol)をジオキサン(6mL)に投入した。(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノエート(0.65g、2.43mmol)を添加した。混合物を室温で3時間にわたって撹拌した。溶液を水(100mL)に注ぎ入れ、AcOEtで抽出した。有機層を、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製油をSiO2カラム上でのクロマトグラフィーによって精製し、ヘプタン100%からアセトン100%までの勾配で溶離して、0.28gの3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-N-[2-[2-[2-[2-[4-[4-[4-[2-[2-[2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]-2-ヒドロキシ-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-3-ヒドロキシ-フェノキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エチル]プロパンアミドを黄色油(収率=25%)として得た。
LCMS-ESI: [M+H]+: 1056.4
【0296】
(実施例2)
式(I)の化合物の生体接着試験
化合物の生体接着を、タンパク質結合のため及びシステインのスルフヒドリル反応性化学基の特異的結合のために、溶液中で行った。化合物を、システインの等モル溶液(2つのマレイミドを含む化合物についてはシステインの2モル当量溶液)又は過剰のシステイン溶液(モル化合物濃度の5又は10倍)のいずれかと混合し、エタノール-1×PBS、pH6.8溶液中、1から2分間インキュベートした。
【0297】
化合物及びシステインと結合している化合物を、LC-MSD(アプティスフィアストラテジーC18又はサンファイアC18カラムを備えたAgilent社1260インフィニティII)によって同定し、Agilent社インフィニティIIプライムUHPLC UV検出器システムを使用するHPLCによってアッセイした。分離は、Agilent社ポロシェル120 EC-C18カラム(3×100mm、2.7μM)で水及びアセトニトリルの勾配相を使用することによって実現した。
【0298】
等モルシステイン溶液(2つのマレイミドを含む化合物についてはシステインの2モル当量溶液)で取得された化合物番号16から20の生体接着結果を、以下のTable 1(表1)に示す。
【0299】
【表1】
【0300】
Table 1(表1)の結果は、システインの等モル溶液(化合物番号20についてはシステインの2モル当量溶液)の存在下、本発明の化合物の71%から85%がシステインと結合していることを示す。これらの結果は、効率的な生体接着が本発明の化合物で取得されたことを実証する。
【0301】
溶液中、過剰のシステインで取得された化合物番号16、18及び20の生体接着結果を、以下のTable 2(表2)に示す。
【0302】
【表2】
【0303】
Table 2(表2)の結果は、過剰のシステインの存在下、本発明の化合物の92%から100%がシステインと結合していることを示す。これらの結果は、効率的な生体接着が本発明の化合物で取得されたことも実証する。
【国際調査報告】