(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-24
(54)【発明の名称】抗CD20×抗CD3二重特異性抗体を含有する安定化製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230216BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230216BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230216BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20230216BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230216BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20230216BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20230216BHJP
【FI】
A61K39/395 D ZNA
A61K39/395 N
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61P35/00
A61K9/08
A61K47/22
A61K47/26
C07K16/46
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535058
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 US2020064025
(87)【国際公開番号】W WO2021119135
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ユアン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】シャオリン・タン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB11
4C076CC27
4C076DD09F
4C076DD60Z
4C076DD67Q
4C076EE23F
4C076FF15
4C076FF16
4C076FF63
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE07
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045GA45
(57)【要約】
本発明は、ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合するヒト二重特異性抗体を含む安定な液体医薬製剤を提供する。ある特定の実施形態では、製剤は、二重特異性抗体に加えて、緩衝液、界面活性剤、および糖を含有する。本発明の医薬製剤は、ストレスおよび保存時に実質的な程度の抗体安定性を示す。
【選択図】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定な液体医薬製剤であって、
(a)ヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、ヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体であって、前記第1の抗原結合ドメインが、重鎖可変領域(HCVR)に含まれる3つの重鎖相補性決定領域(CDR)(A1-HCDR1、A1-HCDR2およびA1-HCDR3)と、軽鎖可変領域(LCVR)に含まれる3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含み、前記第2の抗原-結合ドメインが、重鎖可変領域(HCVR)に含まれる3つの重鎖CDR(A2-HCDR1、A2-HCDR2およびA2-HCDR3)と、軽鎖可変領域(LCVR)に含まれる3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含み、A1-HCDR1、A1-HCDR2およびA1-HCDR3が、それぞれ、配列番号7、8および9のアミノ酸配列を含み、A2-HCDR1、A2-HCDR2およびA2-HCDR3が、それぞれ、配列番号10、11および12の配列のアミノ酸を含み、LCDR1、LCDR2およびLCDR3が、それぞれ、配列番号13、14および15のアミノ酸配列を含む、二重特異性抗体と、
(b)ヒスチジンを含む緩衝液と、
(c)ポリソルベートを含む有機共溶媒と、
(d)糖を含む安定剤と、
を含み、前記製剤が、5.8±0.3のpHを有する、医薬製剤。
【請求項2】
抗体濃度が、1mg/ml±0.1mg/ml~200mg/ml±20mg/mlである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記抗体濃度が、2mg/ml±0.2mg/mlである、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記抗体濃度が、20mg/ml±2mg/mlである、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記抗体濃度が、80mg/ml±8mg/mlである、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記抗体濃度が、100mg/ml±10mg/mlである、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記抗体濃度が、160mg/ml±16mg/mlである、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記抗体濃度が、約2mg/ml~約100mg/mlである、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項9】
ヒスチジン緩衝液濃度が、5mM±1mM~15mM±3mMである、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記ヒスチジン緩衝液濃度が、10mM±1mMである、請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記ヒスチジン緩衝液が、L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物を含む、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記ヒスチジン緩衝液が、0.57±0.05mg/mlのL-ヒスチジンと、1.33±0.13mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物とを含む、請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項13】
ポリソルベート濃度が、0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vである、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記ポリソルベート濃度が、0.1%±0.05%w/vである、請求項13に記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記ポリソルベート濃度が、0.1%±0.01%w/vである、請求項13に記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記ポリソルベートが、ポリソルベート80である、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記糖が、スクロースである、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項18】
スクロース濃度が、5%±1%~20%±4%w/vである、請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記スクロース濃度が、8%±0.5%~12%±0.5%w/vである、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記スクロース濃度が、10%±1%w/vである、請求項19に記載の医薬製剤。
【請求項21】
(a)2mg/ml±0.2mg/mlの抗体と、
(b)5mM±1mM~15mM±3mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vのポリソルベートと、
(d)5%±1%~20%±4%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項22】
(a)2mg/ml±0.2mg/mlの抗体と、
(b)10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.1%±0.05%w/vのポリソルベートと、
(d)10%±1%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項21に記載の医薬製剤。
【請求項23】
(a)2mg/ml±0.2mg/mlの抗体と、
(b)0.57mg/ml±0.05mg/mlのL-ヒスチジンと、
(c)1.33mg/ml±0.13mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、
(d)0.1%±0.05%w/vのポリソルベートと、
(e)10%±1%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項22に記載の医薬製剤。
【請求項24】
(a)20mg/ml±2mg/mlの抗体と、
(b)5mM±1mM~15mM±3mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vのポリソルベートと、
(d)5%±1%~20%±4%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項25】
(a)20mg/ml±2mg/mlの抗体と、
(b)10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.1%±0.05%w/vのポリソルベートと、
(d)10%±1%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項24に記載の医薬製剤。
【請求項26】
(a)20mg/ml±2mg/mlの抗体と、
(b)0.57mg/ml±0.05mg/mlのL-ヒスチジンと、
(c)1.33mg/ml±0.13mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、
(d)0.1%±0.05%w/vのポリソルベートと、
(e)10%±1%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項25に記載の医薬製剤。
【請求項27】
(a)80mg/ml±8mg/mlの抗体と、
(b)5mM±1mM~15mM±3mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vのポリソルベートと、
(d)5%±1%~20%±4%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項28】
(a)80mg/ml±8mg/mlの抗体と、
(b)10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.1%±0.05%w/vのポリソルベートと、
(d)10%±1%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項27に記載の医薬製剤。
【請求項29】
(a)80mg/ml±8mg/mlの抗体と、
(b)0.57mg/ml±0.05mg/mlのL-ヒスチジンと、
(c)1.33mg/ml±0.13mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、
(d)0.1%±0.05%w/vのポリソルベートと、
(e)10%±1%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項28に記載の医薬製剤。
【請求項30】
(a)100mg/ml±10mg/mlの抗体と、
(b)5mM±1mM~15mM±3mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vのポリソルベートと、
(d)5%±1%~20%±4%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項31】
(a)100mg/ml±10mg/mlの抗体と、
(b)10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.1%±0.05%w/vのポリソルベートと、
(d)10%±1%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項30に記載の医薬製剤。
【請求項32】
(a)100mg/ml±10mg/mlの抗体と、
(b)0.57mg/ml±0.05mg/mlのL-ヒスチジンと、
(c)1.33mg/ml±0.13mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、
(d)0.1%±0.05%w/vのポリソルベートと、
(e)10%±1%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項31に記載の医薬製剤。
【請求項33】
(a)160mg/ml±16mg/mlの抗体と、
(b)5mM±1mM~15mM±3mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vのポリソルベートと、
(d)5%±1%~20%±4%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項34】
(a)160mg/ml±16mg/mlの抗体と、
(b)10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.1%±0.05%w/vのポリソルベートと、
(d)10%±1%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項33に記載の医薬製剤。
【請求項35】
(a)160mg/ml±16mg/mlの抗体と、
(b)0.57mg/ml±0.05mg/mlのL-ヒスチジンと、
(c)1.33mg/ml±0.13mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、
(d)0.1%±0.05%w/vのポリソルベートと、
(e)10%±1%w/vのスクロースとを、
pH5.8±0.3で含む、請求項34に記載の医薬製剤。
【請求項36】
前記ポリソルベートが、ポリソルベート80である、請求項21~35のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項37】
前記抗体の少なくとも90%が、サイズ排除-超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって決定される場合に、45℃で1か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する、請求項1~36のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項38】
前記抗体の少なくとも93%が、SE-UPLCによって決定される場合に、45℃で1か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する、請求項37に記載の医薬製剤。
【請求項39】
前記抗体の少なくとも95%が、SE-UPLCによって決定される場合に、45℃で1か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する、請求項38に記載の医薬製剤。
【請求項40】
前記抗体の少なくとも95%が、SE-UPLCによって決定される場合に、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する、請求項1~39のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項41】
前記抗体の少なくとも97%が、SE-UPLCによって決定される場合に、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する、請求項40に記載の医薬製剤。
【請求項42】
前記抗体の少なくとも95%が、SE-UPLCによって決定される場合に、5℃で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する、請求項1~41のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項43】
前記抗体の少なくとも98%が、SE-UPLCによって決定される場合に、5℃で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する、請求項42に記載の医薬製剤。
【請求項44】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合に、45℃で1か月の保存後に6%以下の高分子量(HMW)種を含有する、請求項1~43のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項45】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合に、45℃で1か月の保存後に5.6%以下のHMW種を含有する、請求項44に記載の医薬製剤。
【請求項46】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合に、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後に2%以下のHMW種を含有する、請求項1~45のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項47】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合に、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後に1%以下のHMW種を含有する、請求項46に記載の医薬製剤。
【請求項48】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合に、5℃で3か月の保存後に1.5%以下のHMW種を含有する、請求項1~47のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項49】
前記製剤が、SE-UPLCによって決定される場合に、5℃で9か月の保存後に1%以下のHMW種を含有する、請求項48に記載の医薬製剤。
【請求項50】
前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するLCVRとを含み、前記第2の抗原結合ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するLCVRとを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項51】
前記第1の抗原結合ドメインが、前記配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するHCVRと、前記配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するLCVRとを含み、前記第2の抗原結合ドメインが、前記配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するHCVRと、前記配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するLCVRとを含む、請求項50に記載の医薬製剤。
【請求項52】
前記第1の抗原結合ドメインが、前記配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するHCVRと、前記配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するLCVRとを含み、前記第2の抗原結合ドメインが、前記配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するHCVRと、前記配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するLCVRとを含む、請求項51に記載の医薬製剤。
【請求項53】
前記第1の抗原結合ドメインが、前記配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRと、前記配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含み、前記第2の抗原結合ドメインが、前記配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRと、前記配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項54】
前記抗体が、前記第1の抗原結合ドメインおよび前記第2の抗原結合ドメインの各々の前記HCVRにそれぞれ付着したヒトIgG重鎖定常領域を含む、請求項53に記載の医薬製剤。
【請求項55】
前記重鎖定常領域が、アイソタイプIgG1のものである、請求項54に記載の医薬製剤。
【請求項56】
前記重鎖定常領域が、アイソタイプIgG4のものである、請求項54に記載の医薬製剤。
【請求項57】
前記第1の抗原結合ドメインの前記HCVRに付着した前記重鎖定常領域または前記第2の抗原結合ドメインの前記HCVRに付着した前記重鎖定常領域が、両方ではないが、修飾なしで同じアイソタイプの重鎖と比較してプロテインA結合を低減させるアミノ酸修飾を含む、請求項54~56のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項58】
前記修飾が、アイソタイプIgG1またはIgG4の重鎖におけるH435R置換(EU番号付け)を含む、請求項57に記載の医薬製剤。
【請求項59】
前記修飾が、アイソタイプIgG1またはIgG4の重鎖におけるH435R置換およびY436F置換(EU番号付け)を含む、請求項57に記載の医薬製剤。
【請求項60】
前記抗体が、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項54~56のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項61】
前記抗体が、前記配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域と、前記配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを含む、請求項60に記載の医薬製剤。
【請求項62】
前記抗体が、前記配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域と、前記配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを含む、請求項60に記載の医薬製剤。
【請求項63】
前記抗体が、前記第1の抗原結合ドメインの前記HCVRを含む第1の重鎖と、前記第2の抗原結合ドメインの前記HCVRを含む第2の重鎖とを含み、前記第1の重鎖が、配列番号1のアミノ酸配列の残基1~452を含み、前記第2の重鎖が、配列番号2のアミノ酸配列の残基1~448を含む、請求項53に記載の医薬製剤。
【請求項64】
前記抗体が、前記第1および第2の抗原結合ドメインの前記LCVRを含む共通軽鎖を含み、前記共通軽鎖が、配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項63に記載の医薬製剤。
【請求項65】
医薬製剤であって、
(a)ヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、ヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む2mg/ml±0.2mg/mlの二重特異性抗体であって、前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含み、前記第2の抗原結合ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含む、二重特異性抗体と、
(b)pH5.8±0.2での、10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80と、
(d)10%±1%w/vのスクロースと、を含む、医薬製剤。
【請求項66】
pH5.8±0.2の水中で、(a)2mg/ml±0.2mg/mlの抗体、(b)3.65mM±0.2mMのL-ヒスチジン、(c)6.35mM±0.2mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80、および(e)10%±1%w/vのスクロースからなる、請求項65に記載の医薬製剤。
【請求項67】
pH5.8±0.2の水中で、(a)2mg/ml±0.2mg/mlの抗体、(b)0.57mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン、(c)1.33mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、(d)1mg/ml±0.1mg/mlのポリソルベート80、および(e)100mg/ml±10mg/mlのスクロースからなる、請求項65に記載の医薬製剤。
【請求項68】
医薬製剤であって、
(a)ヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、ヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む20mg/ml±2mg/mlの二重特異性抗体であって、前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含み、前記第2の抗原結合ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含む、二重特異性抗体と、
(b)pH5.8±0.2での、10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80と、
(d)10%±1%w/vのスクロースと、を含む、医薬製剤。
【請求項69】
pH5.8±0.2の水中で、(a)20mg/ml±2mg/mlの抗体、(b)3.65mM±0.2mMのL-ヒスチジン、(c)6.35mM±0.2mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80、および(e)10%±1%w/vのスクロースからなる、請求項68に記載の医薬製剤。
【請求項70】
pH5.8±0.2の水中で、(a)20mg/ml±2mg/mlの抗体、(b)0.57mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン、(c)1.33mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、(d)1mg/ml±0.1mg/mlのポリソルベート80、および(e)100mg/ml±10mg/mlのスクロースからなる、請求項68に記載の医薬製剤。
【請求項71】
医薬製剤であって、
(a)ヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、ヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む100mg/ml±10mg/mlの二重特異性抗体であって、前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含み、前記第2の抗原結合ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含む、二重特異性抗体と、
(b)pH5.8±0.2での、10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、
(c)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80と、
(d)10%±1%w/vのスクロースと、を含む、医薬製剤。
【請求項72】
pH5.8±0.2の水中で、(a)100mg/ml±10mg/mlの抗体、(b)3.65mM±0.2mMのL-ヒスチジン、(c)6.35mM±0.2mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80、および(e)10%±1%w/vのスクロースからなる、請求項71記載の医薬製剤。
【請求項73】
pH5.8±0.2の水中で、(a)100mg/ml±10mg/mlの抗体、(b)0.57mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン、(c)1.33mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、(d)1mg/ml±0.1mg/mlのポリソルベート80、および(e)100mg/ml±10mg/mlのスクロースからなる、請求項71に記載の医薬製剤。
【請求項74】
前記抗体が、前記第1の抗原結合ドメインおよび前記第2の抗原結合ドメインの各々のHCVRにそれぞれ付着したヒトIgG重鎖定常領域を含む、請求項65~73のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項75】
前記重鎖定常領域が、アイソタイプIgG1のものである、請求項74に記載の医薬製剤。
【請求項76】
前記重鎖定常領域が、アイソタイプIgG4のものである、請求項74に記載の医薬製剤。
【請求項77】
前記第1の抗原結合ドメインの前記HCVRに付着した前記重鎖定常領域または前記第2の抗原結合ドメインの前記HCVRに付着した前記重鎖定常領域が、両方ではないが、修飾なしで同じアイソタイプの重鎖と比較してプロテインA結合を低減させるアミノ酸修飾を含む、請求項74~76のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項78】
前記修飾が、アイソタイプIgG1またはIgG4の重鎖におけるH435R置換(EU番号付け)を含む、請求項77に記載の医薬製剤。
【請求項79】
前記修飾が、アイソタイプIgG1またはIgG4の重鎖におけるH435R置換およびY436F置換(EU番号付け)を含む、請求項77に記載の医薬製剤。
【請求項80】
前記抗体が、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項74~76のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項81】
前記抗体が、前記配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域と、前記配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを含む、請求項80に記載の医薬製剤。
【請求項82】
前記抗体が、前記配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域と、前記配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを含む、請求項80に記載の医薬製剤。
【請求項83】
前記抗体が、前記第1の抗原結合ドメインのHCVRを含む第1の重鎖と、前記第2の抗原結合ドメインのHCVRを含む第2の重鎖とを含み、前記第1の重鎖が、配列番号1のアミノ酸配列の残基1~452を含み、前記第2の重鎖が、配列番号2のアミノ酸配列の残基1~448を含む、請求項65~73のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項84】
前記抗体が、前記第1および第2の抗原結合ドメインの前記LCVRを含む共通軽鎖を含み、前記共通軽鎖が、配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項83に記載の医薬製剤。
【請求項85】
SE-UPLCによって決定される場合、(a)前記抗体の少なくとも90%が、45℃で1か月の保存後にネイティブコンホメーションを有し、(b)前記抗体の少なくとも93%が、45℃で1か月の保存後にネイティブコンホメーションを有し、(c)前記抗体の少なくとも95%が、45℃で1か月の保存後にネイティブコンホメーションを有し、(d)前記抗体の少なくとも95%が、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有し、(e)前記抗体の少なくとも97%が、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有し、(f)前記抗体の少なくとも95%が、5℃で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有し、(g)前記抗体の少なくとも98%が、5℃で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有し、(h)前記製剤が、45℃で1か月の保存後に6%以下の高分子量(HMW)種を含み、(i)前記製剤が、45℃で1か月の保存後に5.6%以下のHMW種を含み、(j)前記製剤が、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後に2%以下のHMW種を含み、(k)前記製剤が、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後に1%以下のHMW種を含み、(l)前記製剤が、5℃で3か月の保存し後に1.5%以下のHMW種を含み、ならびに/または(m)前記製剤が、5℃で9か月の保存後に1%以下のHMW種を含む、請求項65~84のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項86】
医薬組成物であって、前記組成物が請求項1~85のいずれか一項に記載の医薬製剤を含み、前記組成物が容器内に含まれている、医薬組成物。
【請求項87】
前記容器が、バイアルである、請求項86に記載の医薬組成物。
【請求項88】
前記バイアルが2ml、5ml、10mlまたは20mlのタイプ1透明ガラスバイアルである、請求項87に記載の医薬組成物。
【請求項89】
前記容器が、シリンジである、請求項86に記載の医薬組成物。
【請求項90】
前記シリンジが、低タングステンガラスである、請求項89に記載の医薬組成物。
【請求項91】
前記容器が、事前充填されたシリンジである、請求項86に記載の医薬組成物。
【請求項92】
自動注射器に含まれる、請求項86に記載の医薬組成物。
【請求項93】
前記容器がガスを含むヘッドスペースを含み、前記ガスが5体積%未満の酸素を含む、請求項87~92のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項94】
前記ガスが、1体積%未満の酸素、または0.1体積%以下の酸素を含む、請求項93に記載の医薬組成物。
【請求項95】
(i)請求項1~85のいずれか一項に記載の医薬製剤を含む組成物を含む容器と、前記組成物の使用説明書とを含む、キット。
【請求項96】
前記容器が、ガラスバイアルである、請求項95に記載のキット。
【請求項97】
前記容器が、事前充填されたシリンジである、請求項95に記載のキット。
【請求項98】
前記容器が、自動注射器である、請求項95に記載のキット。
【請求項99】
前記説明書が、前記組成物の皮下投与を記載する、請求項95に記載のキット。
【請求項100】
前記説明書が、前記組成物の静脈内投与を記載する、請求項95に記載のキット。
【請求項101】
前記容器がガスを含むヘッドスペースを含み、前記ガスが5体積%未満の酸素を含む、請求項95~100のいずれか一項に記載のキット。
【請求項102】
前記ガスが、1体積%未満の酸素、または0.1体積%以下の酸素を含む、請求項101に記載のキット。
【請求項103】
請求項1~85のいずれか一項に記載の医薬製剤を含む単位剤形であって、前記抗体が、0.1mg~500mgの量で存在する、単位剤形。
【請求項104】
前記抗体が、2~2.5mgの量で存在する、請求項103に記載の単位剤形。
【請求項105】
前記抗体が、10~11mgの量で存在する、請求項103に記載の単位剤形。
【請求項106】
前記抗体が、20~25mgの量で存在する、請求項103に記載の単位剤形。
【請求項107】
前記抗体が、80~90mgの量で存在する、請求項103に記載の単位剤形。
【請求項108】
前記抗体が、100~125mgの量で存在する、請求項103に記載の単位剤形。
【請求項109】
前記抗体が、160~180mgの量で存在する、請求項103に記載の単位剤形。
【請求項110】
前記抗体が、190~210mgの量で存在する、請求項103に記載の単位剤形。
【請求項111】
前記抗体が、320~360mgの量で存在する、請求項103に記載の単位剤形。
【請求項112】
ガラスバイアルである、請求項103に記載の単位剤形。
【請求項113】
事前充填されたシリンジである、請求項103に記載の単位剤形。
【請求項114】
自動注射器である、請求項103に記載の単位剤形。
【請求項115】
前記ガラスバイアルがガスを含むヘッドスペースを含み、前記ガスが5体積%未満の酸素を含む、請求項112に記載の単位剤形。
【請求項116】
前記ガスが、1体積%未満の酸素、または0.1体積%以下の酸素を含む、請求項115に記載の単位剤形。
【請求項117】
医薬組成物を含む容器であって、前記組成物が、請求項1~85のいずれか一項に記載の医薬製剤を含む、容器。
【請求項118】
シリンジである、請求項117に記載の容器。
【請求項119】
事前充填されたシリンジである、請求項117に記載の容器。
【請求項120】
自動注射器である、請求項117に記載の容器。
【請求項121】
ガラスバイアルである、請求項117に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照
本出願は、2020年11月20日に作成され、25,368バイトを含むファイル10664WO01-Sequence.txtとしてコンピュータ可読形式で提出された配列表を参照によって組み込む。
【0002】
本発明は、治療用抗体製剤の分野に関する。より具体的には、本発明は、ヒトCD20およびCD3に特異的に結合するヒト二重特異性抗体を含む医薬製剤の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
治療用高分子(例えば、抗体)は、分子を患者に投与するのに好適なものにするだけでなく、保存および続く使用中のそれらの安定性を維持する様式で製剤化されなければならない。例えば、溶液中の治療用抗体は、溶液が適切に製剤化されない限り、分解、凝集、および/または望ましくない化学修飾を起こしやすい。液体製剤中の抗体の安定性は、製剤で使用される賦形剤の種類だけでなく、互いに対する賦形剤の量および比率にも依存する。さらに、液体抗体製剤を調製する際に、安定性以外の他の考慮事項を考慮に入れなければならない。そのような追加の考慮事項の例としては、所与の製剤によって収容され得る抗体の濃度、ならびに製剤の視覚的品質およびアピールが挙げられる。したがって、治療用抗体を製剤化する際に、安定性を維持し、適切な濃度の抗体を含有し、製剤が患者に便利に投与されることを可能にする他の特性を保持する製剤に到達するために、細心の注意を払わなければならない。
【0004】
CD20は、成熟B細胞の細胞膜上に発現する非グリコシル化リンタンパク質である。CD3は、T細胞受容体複合体(TCR)とともにT細胞上に発現されるホモ二量体またはヘテロ二量体抗原であり、T細胞活性化に必要とされる。
【0005】
ヒトCD20およびヒトCD3に対する二重特異性抗体は、適切な製剤を必要とする治療関連高分子の一例である。そのような抗体は、例えば、癌(例えば、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、または他の非ホジキンリンパ腫などのB細胞癌)の治療に臨床的に有用である。
【0006】
抗CD20×抗CD3二重特異性抗体は当該技術分野で既知である(例えば、WO2014/047231を参照されたい)が、十分に安定であり、患者への投与に好適である抗CD20×抗CD3二重特異性抗体を含む医薬製剤に対する必要性が、残っている。
【発明の概要】
【0007】
抗CD20×抗CD3二重特異性抗体および1つ以上の賦形剤を含む安定な液体医薬製剤、同様にそのような製剤およびそれらの使用を含むキットおよび単位剤形が、提供される。
【0008】
一態様では、本発明は、安定な液体医薬製剤であって、(a)ヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインおよびヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む二重特異性抗体であって、第1の抗原結合ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)に含まれる3つの重鎖相補性決定領域(CDR)(A1-HCDR1、A1-HCDR2およびA1-HCDR3)と、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)に含まれる3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含み、第2の抗原結合ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)に含まれる3つの重鎖CDR(A2-HCDR1、A2-HCDR2およびA2-HCDR3)および配列番号6のアミノ酸配列に含まれる軽鎖可変領域(LCVR)に含まれる3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む、二重特異性抗体と、(b)ヒスチジンを含む緩衝液と、(c)ポリソルベートを含む有機共溶媒と、(d)糖を含む安定剤と、を含み、製剤が、5.8±0.3のpHを有する、安定な液体医薬製剤を提供する。
【0009】
一態様では、本発明は、安定な液体医薬製剤であって、(a)ヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインおよびヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む二重特異性抗体であって、第1の抗原結合ドメインが、重鎖可変領域(HCVR)に含まれる3つの重鎖相補性決定領域(CDR)(A1-HCDR1、A1-HCDR2およびA1-HCDR3)および軽鎖可変領域(LCVR)に含まれる3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含み、第2の抗原結合ドメインが、重鎖可変領域(HCVR)に含まれる3つの重鎖CDR(A2-HCDR1、A2-HCDR2およびA2-HCDR3)および軽鎖可変領域(LCVR)に含まれる3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含み、A1-HCDR1、A1-HCDR2およびA1-HCDR3が、それぞれ、配列番号7、8および9のアミノ酸配列を含み、A2-HCDR1、A2-HCDR2およびA2-HCDR3が、それぞれ、配列番号10、11および12のアミノ酸配列を含み、LCDR1、LCDR2およびLCDR3が、それぞれ、配列番号13、14および15のアミノ酸配列を含む、二重特異性抗体と、(b)ヒスチジンを含む緩衝液と、(c)ポリソルベートを含む有機共溶媒と、(d)糖を含む安定剤と、を含み、製剤が、5.8±0.3のpHを有する、安定な液体医薬製剤を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、抗体濃度は、1mg/ml±0.1mg/ml~200mg/ml±20mg/mlである。いくつかの実施形態では、抗体濃度は、2mg/ml±0.2mg/mlである。いくつかの実施形態では、抗体濃度は、20mg/ml±2mg/mlである。いくつかの実施形態では、抗体濃度は、80mg/ml±8mg/mlである。いくつかの実施形態では、抗体濃度は、100mg/ml±10mg/mlである。いくつかの実施形態では、抗体濃度は、160mg/ml±16mg/mlである。いくつかの実施形態では、抗体濃度は、約2mg/ml~約100mg/mlである。
【0011】
いくつかの実施形態では、ヒスチジン緩衝液濃度は、5mM±1mM~15mM±3mMである。場合によっては、ヒスチジン緩衝液濃度は、10mM±1mMである。いくつかの実施形態では、ヒスチジン緩衝液は、L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物を含む。場合によっては、L-ヒスチジン濃度は、3.65mM±0.5mMであり、L-ヒスチジン一塩酸塩一水和物濃度は、6.35mM±0.5mMである。場合によっては、ヒスチジン緩衝液は、0.57±0.05mg/mlのL-ヒスチジンと、1.33±0.13mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物とを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、ポリソルベート濃度は、0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vである。場合によっては、ポリソルベート濃度は、0.1%±0.05%w/vである。場合によっては、ポリソルベート濃度は、0.1%±0.01%w/vである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート80である。
【0013】
いくつかの実施形態では、糖は、スクロースである。場合によっては、ショ糖濃度は、5%±1%~20%±4%w/vである。場合によっては、ショ糖濃度は、8%±0.5%から12%±0.5%w/vである。いくつかの実施形態では、ショ糖濃度は、10%±1%w/vである。
【0014】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)2mg/ml±0.2mg/mlの抗体と、(b)5mM±1mM~15mM±3mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vのポリソルベートと、(d)5%±1%~20%±4%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)2mg/ml±0.2mg/mlの抗体と、(b)10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(d)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)2mg/ml±0.2mg/mlの抗体と、(b)3.65mM±0.2mMのL-ヒスチジンと、(c)6.35mM±0.2mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)0.1%±0.01%w/vポリソルベートと、(e)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)2mg/ml±0.2mg/mlの抗体と、(b)0.57mg/ml±0.05mg/mlのL-ヒスチジンと、(c)1.33mg/ml±0.13mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(e)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)20mg/ml±2mg/mlの抗体と、(b)5mM±1mM~15mM±3mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vのポリソルベートと、(d)5%±1%~20%±4%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)20mg/ml±2mg/mlの抗体と、(b)10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(d)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)20mg/ml±2mg/mlの抗体と、(b)3.65mM±0.2mMのL-ヒスチジンと、(c)6.35mM±0.2mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(e)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)20mg/ml±2mg/mlの抗体と、(b)0.57mg/ml±0.05mg/mlのL-ヒスチジンと、(c)1.33mg/ml±0.13mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(e)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)80mg/ml±8mg/mlの抗体と、(b)5mM±1mM~15mM±3mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vのポリソルベートと、(d)5%±1%~20%±4%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)80mg/ml±8mg/mlの抗体と、(b)10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(d)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)80mg/ml±8mg/mlの抗体と、(b)3.65mM±0.2mMのL-ヒスチジンと、(c)6.35mM±0.2mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(e)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)80mg/ml±8mg/mlの抗体と、(b)0.57mg/ml±0.05mg/mlのL-ヒスチジンと、(c)1.33mg/ml±0.13mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(e)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)100mg/ml±10mg/mlの抗体と、(b)5mM±1mM~15mM±3mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vのポリソルベートと、(d)5%±1%~20%±4%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)100mg/ml±10mg/mlの抗体と、(b)10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(d)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)100mg/ml±10mg/mlの抗体と、(b)3.65mM±0.2mMのL-ヒスチジンと、(c)6.35mM±0.2mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(e)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)100mg/ml±10mg/mlの抗体と、(b)0.57mg/ml±0.05mg/mlのL-ヒスチジンと、(c)1.33mg/ml±0.13mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(e)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)160mg/ml±16mg/mlの抗体と、(b)5mM±1mM~15mM±3mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vのポリソルベートと、(d)5%±1%~20%±4%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)160mg/ml±16mg/mlの抗体と、(b)10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(d)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)160mg/ml±16mg/mlの抗体と、(b)3.65mM±0.2mMのL-ヒスチジンと、(c)6.35mM±0.2mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(e)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、(a)160mg/ml±16mg/mlの抗体と、(b)0.57mg/ml±0.05mg/mlのL-ヒスチジンと、(c)1.33mg/ml±0.13mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベートと、(e)10%±1%w/vのスクロースとを、pH5.8±0.3で含む。
【0034】
これらの実施形態のいずれでも、ポリソルベートは、ポリソルベート80であり得る。
【0035】
上記または本明細書で考察される医薬組成物の様々な実施形態では、抗体の少なくとも90%は、サイズ排除超高速液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって決定される場合に、45℃で1か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する。場合によっては、抗体の少なくとも93%は、SE-UPLCによって決定される場合に、45℃で1か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する。場合によっては、抗体の少なくとも95%は、SE-UPLCによって決定される場合に、45℃で1か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する。
【0036】
上記または本明細書で考察される医薬組成物の様々な実施形態では、抗体の少なくとも95%は、SE-UPLCによって決定される場合に、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する。場合によっては、抗体の少なくとも97%は、SE-UPLCによって決定される場合に、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する。
【0037】
上記または本明細書で考察される医薬組成物の様々な実施形態では、抗体の少なくとも95%は、SE-UPLCによって決定される場合に、5℃で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する。場合によっては、抗体の少なくとも98%は、SE-UPLCによって決定される場合に、5℃で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する。
【0038】
上記または本明細書で考察される医薬組成物の様々な実施形態では、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合に、45℃で1か月の保存後に6%以下の高分子量(HMW)種を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合に、45℃で1か月の保存後に5.6%以下のHMW種を含有する。
【0039】
上記または本明細書で考察される医薬組成物の様々な実施形態では、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合に、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後に2%以下のHMW種を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合に、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後に1%以下のHMW種を含有する。
【0040】
上記または本明細書で考察される医薬組成物の様々な実施形態では、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合に、5℃で3か月の保存後に1.5%以下のHMW種を含有する。場合によっては、製剤は、SE-UPLCによって決定される場合に、5℃で9か月の保存後に1%以下のHMW種を含む。
【0041】
上記または本明細書で考察される医薬組成物のいずれかの様々な実施形態では、抗体は、配列番号7、8および9のアミノ酸配列をそれぞれ含むA1-HCDR1、A1-HCDR2およびA1-HCDR3と、配列番号10、11および12のアミノ酸配列をそれぞれ含むA2-HCDR1、A2-HCDR2およびA2-HCDR3と、配列番号13、14、および15のアミノ酸配列をそれぞれ含むLCDR1、LCDR2およびLCDR3とを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するLCVRとを含み、第2の抗原結合ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するLCVRとを含む。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するLCVRとを含み、第2の抗原結合ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するLCVRとを含む。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するLCVRとを含み、第2の抗原結合ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するLCVRとを含む。
【0043】
上記または本明細書で考察される医薬組成物のいずれかの様々な実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含み、第2の抗原結合ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、抗体は、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインの各々のHCVRにそれぞれ付着したヒトIgG重鎖定常領域を含む。場合によっては、重鎖定常領域は、アイソタイプIgG1のものである。場合によっては、重鎖定常領域は、アイソタイプIgG4のものである。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合ドメインのHCVRに付着した重鎖定常領域または第2の抗原結合ドメインのHCVRに付着した重鎖定常領域は、両方ではないが、修飾なしで同じアイソタイプの重鎖と比較してプロテインA結合を低減させるアミノ酸修飾を含む。場合によっては、修飾は、アイソタイプIgG1またはIgG4の重鎖におけるH435R置換(EU番号付け)を含む。場合によっては、修飾は、アイソタイプIgG1またはIgG4の重鎖におけるH435R置換およびY436F置換(EU番号付け)を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、抗体は、キメラヒンジを含む。例えば、キメラヒンジは、一実施形態では、ヒトIgG1ヒンジ領域またはヒトIgG4ヒンジ領域に由来する第1のアミノ酸配列または「上部ヒンジ」配列と、ヒトIgG2ヒンジ領域に由来する第2のアミノ酸配列または「下部ヒンジ」配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のまたは「上部ヒンジ」配列は、EU番号付けによる位置216~227のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、第2のまたは「下部ヒンジ」配列は、EU番号付けによる位置228~236のアミノ酸残基を含む。抗体重鎖定常領域がアイソタイプIgG4のものであるいくつかの場合、キメラヒンジは、ヒトIgG4由来の上部ヒンジ配列(EU番号付けによる位置216~227)と、ヒトIgG2由来の下部ヒンジ配列(EUの番号付けによる位置228~236)とを含む。抗体重鎖定常領域がアイソタイプIgG1のものであるいくつかの場合、キメラヒンジは、ヒトIgG1由来の上部ヒンジ配列(EU番号付けによる位置216~227)と、ヒトIgG2由来の下部ヒンジ配列(EUの番号付けによる位置228~236)とを含む。重鎖定常領域がアイソタイプIgG1のものであり、抗体がキメラヒンジを含むいくつかの実施形態では、そうではないIgG1重鎖定常領域のCH2ドメインはアイソタイプIgG4のものである。特に明記しない限り、IgG1またはIgG4重鎖定常領域への言及は、キメラヒンジを含む重鎖定常領域(例えば、それぞれIgG1またはIgG4上部ヒンジ配列、およびIgG2下部ヒンジ配列)を含む。例えば、IgG1重鎖定常領域への言及は、IgG2下部ヒンジ配列を含むIgG1重鎖定常領域を含み、IgG4重鎖定常領域への言及は、IgG2下部ヒンジ配列を含むIgG4重鎖定常領域を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号16、17、18および19からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域と、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域と、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域とを含む。
【0047】
上記または本明細書で考察される医薬組成物のいずれかの様々な実施形態では、抗体は、第1の抗原結合ドメインのHCVRを含有する第1の重鎖と、第2の抗原結合ドメインのHCVRを含有する第2の重鎖とを含み、第1の重鎖は、配列番号1のアミノ酸配列の残基1~452を含み、第2の重鎖は、配列番号2のアミノ酸配列の残基1~448を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、第1および第2の抗原結合ドメインのLCVRを含有する共通の軽鎖をさらに含み、共通の軽鎖は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
【0048】
上記または本明細書で考察される医薬組成物のいずれかの様々な実施形態では、抗体は、第1の抗原結合ドメインのHCVRを含有する第1の重鎖と、第2の抗原結合ドメインのHCVRを含有する第2の重鎖とを含み、第1の重鎖は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、第2の重鎖は配列番号2のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、第1および第2の抗原結合ドメインのLCVRを含有する共通の軽鎖をさらに含み、共通の軽鎖は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
【0049】
一態様では、本発明は、(a)ヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、ヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む2mg/ml±0.2mg/mlの二重特異性抗体であって、第1の抗原結合ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含み、第2の抗原結合ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含む、二重特異性抗体と、(b)pH5.8±0.2での、10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80と、(d)10%±1%w/vのスクロースとを含む医薬製剤を提供する。
【0050】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、pH5.8±0.2の水中で、(a)2mg/ml±0.2mg/mlの抗体、(b)3.65mM±0.2mMのL-ヒスチジン、(c)6.35mM±0.2mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、および(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80からなる。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、pH5.8±0.2の水中で、(a)2mg/ml±0.2mg/mlの抗体、(b)0.57mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン、(c)1.33mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、(d)1mg/ml±0.1mg/mlのポリソルベート80、および(e)100mg/ml±10mg/mlのスクロースからなる。
【0051】
一態様では、本発明は、(a)ヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、ヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む20mg/ml±2mg/mlの二重特異性抗体であって、第1の抗原結合ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含み、第2の抗原結合ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含む、二重特異性抗体と、(b)pH5.8±0.2での、10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80と、(d)10%±1%w/vのスクロースとを含む医薬製剤を提供する。
【0052】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、(a)20mg/ml±2mg/mlの抗体、(b)3.65mM±0.2mMのL-ヒスチジン、(c)6.35mM±0.2mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、および(d)pH5.8±0.2の水中での、0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80からなる。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、(a)20mg/ml±2mg/mlの抗体、(b)0.57mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン、(c)1.33mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、(d)1mg/ml±0.1mg/mlのポリソルベート80、および(e)pH5.8±0.2の水中での、100mg/ml±10mg/mlのスクロースからなる。
【0053】
一態様では、本発明は、(a)ヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、ヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む80mg/ml±8mg/mlの二重特異性抗体であって、第1の抗原結合ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含み、第2の抗原結合ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含む、二重特異性抗体と、(b)pH5.8±0.2での、10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80と、(d)10%±1%w/vのスクロースとを含む医薬製剤を提供する。
【0054】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、pH5.8±0.2の水中で、(a)80mg/ml±8mg/mlの抗体、(b)3.65mM±0.2mMのL-ヒスチジン、(c)6.35mM±0.2mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、および(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80からなる。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、(a)80mg/ml±8mg/mlの抗体、(b)0.57mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン、(c)1.33mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、(d)1mg/ml±0.1mg/mlのポリソルベート80、および(e)pH5.8±0.2の水中での、100mg/ml±10mg/mlのスクロースからなる。
【0055】
一態様では、本発明は、(a)ヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、ヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む100mg/ml±10mg/mlの二重特異性抗体であって、第1の抗原結合ドメインが、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含み、第2の抗原結合ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRと、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRとを含む、二重特異性抗体と、(b)pH5.8±0.2での、10mM±1mMのヒスチジン緩衝液と、(c)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80と、(d)10%±1%w/vのスクロースとを含む医薬製剤を提供する。
【0056】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、pH5.8±0.2の水中で、(a)100mg/ml±10mg/mlの抗体、(b)3.65mM±0.2mMのL-ヒスチジン、(c)6.35mM±0.2mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、および(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80からなる。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、(a)100mg/ml±10mg/mlの抗体、(b)0.57mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン、(c)1.33mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、(d)1mg/ml±0.1mg/mlのポリソルベート80、および(e)pH5.8±0.2の水中での、100mg/ml±10mg/mlのスクロースからなる。
【0057】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、(a)1~200mg/mlの抗体(上記または本明細書で考察される場合)と、(b)酢酸塩またはリン酸塩を含む緩衝液と、(c)ポリソルベートを含む有機共溶媒と、(d)糖を含む安定剤とを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、pH5.8±0.2の水中で、(a)1~200mg/mlの抗体(例えば、2mg/ml、20mg/ml、80mg/mlまたは100mg/ml)と、(b)1~50mMの酢酸またはリン酸緩衝液と、(d)0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80とを含む。
【0058】
一態様では、本発明は、医薬組成物であって、組成物が上記または本明細書で考察されるような医薬製剤を含み、組成物が容器に含まれる、医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、容器は、バイアルである。場合によっては、バイアルは、2ml、5ml、10ml、または20mlのタイプ1透明ガラスバイアルである。いくつかの実施形態では、容器は、シリンジである。場合によっては、シリンジは、低タングステンシリンジである。いくつかの実施形態では、シリンジは、事前充填されたシリンジである。いくつかの実施形態では、組成物は、自動注射器に含まれる。
【0059】
一態様では、本発明は、(i)上記または本明細書で考察される医薬製剤を含む組成物を含む容器と、組成物の使用説明書とを含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、容器は、ガラスバイアルである。いくつかの実施形態では、容器は、事前充填されたシリンジである。いくつかの実施形態では、容器は、自動注射器である。場合によっては、説明書には組成物の皮下投与が記載されている。場合によっては、説明書には組成物の静脈内投与が記載されている。
【0060】
一実施形態では、本発明は、容器であって、任意選択で、容器が安定な製剤中に2mgの抗体を含有するガラスバイアルであり、製剤が、pH5.8±0.2の水中で、(a)2mg/ml±0.2mg/mlの抗体と、b)0.57mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジンと、(c)1.33mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)1mg/ml±0.1mg/mlのポリソルベート80と、(e)100mg/ml±10mg/mlのスクロースとを含む、容器を提供する。一実施形態では、本発明は、容器であって、任意選択で、容器が安定な製剤中に20mg、80mgまたは160mgの抗体を含有するガラスバイアルであり、製剤が、pH5.8±0.2の水中で、(a)20mg/ml±2mg/mlの抗体と、b)0.57mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジンと、(c)1.33mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)1mg/ml±0.1mg/mlのポリソルベート80と、(e)100mg/ml±10mg/mlのスクロースとを含む、容器を提供する。一実施形態では、本発明は、容器であって、任意選択で、容器が安定な製剤中に100mg、200mgまたは400mgの抗体を含有するガラスバイアルであり、製剤が、pH5.8±0.2の水中で、(a)100mg/ml±10mg/mlの抗体と、b)0.57mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジンと、(c)1.33mg/ml±0.1mg/mlのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(d)1mg/ml±0.1mg/mlのポリソルベート80と、(e)100mg/ml±10mg/mlのスクロースとを含む、容器を提供する。
【0061】
一態様では、本発明は、上記または本明細書で考察されるような医薬製剤を含む単位剤形であって、抗体が0.1mg~500mgの量で存在する、単位剤形を提供する。場合によっては、抗体は、2~2.5mgの量で存在する。場合によっては、抗体は、10~11mgの量で存在する。場合によっては、抗体は、20~25mgの量で存在する。場合によっては、抗体は、80~90mgの量で存在する。場合によっては、抗体は、100~125mgの量で存在する。場合によっては、抗体は、160~180mgの量で存在する。場合によっては、抗体は、190~210mgの量で存在する。場合によっては、抗体は、320~360mgの量で存在する。いくつかの実施形態では、単位剤形は、ガラスバイアルである。いくつかの実施形態では、シリンジは、事前充填されたシリンジである。いくつかの実施形態では、単位剤形は、自動注射器である。
【0062】
上記または本明細書で考察される医薬組成物、キット、または単位剤形のいずれかにおいて、医薬製剤を含む容器は、ガスが5体積%未満の酸素を含む、ガスを含むヘッドスペースを含み得る。場合によっては、ガスは、1体積%未満の酸素を含む。場合によっては、ガスは、0.1体積%以下の酸素を含む。
【0063】
一態様では、本発明は、医薬組成物を含む容器であって、組成物が上記または本明細書で考察されるような医薬製剤を含む、容器を提供する。場合によっては、容器は、シリンジである。場合によっては、容器は、事前充填されたシリンジである。場合によっては、容器は、自動注射器である。場合によっては、容器は、ガラスバイアルである。
【0064】
様々な実施形態では、上記または本明細書で考察される実施形態の特徴または構成要素のうちのいずれかは組み合わせられ得、そのような組み合わせは本開示の範囲内に包含される。上記または本明細書で考察されるいずれの特定の値も、上記または本明細書で考察される別の関連値と組み合わされて、それらの値が範囲の上限および下限を表す範囲を列挙することができ、かかる範囲およびかかる範囲内にあるすべての値は本開示の範囲内に包含される。上記または本明細書で考察される値のうちの各々は、1%、5%、10%または20%の変動で表され得る。例えば、10mMの濃度は、10mM±0.1mM(1%変動)、10mM±0.5mM(5%変動)、10mM±1mM(10%変動)、または10mM±2mMとして表され得る(20%変動)。
【0065】
他の実施形態は、後述の発明を実施するための形態の精査から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明が記載される前に、記載される特定の方法および実験条件が異なり得るため、本発明がかかる方法および条件に限定されないことを、理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定するようには意図されていないことも、理解されたい。
【0067】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の列挙された数値に関して使用される際に、値が列挙された値から1%以下だけ変動し得ることを意味する。例えば、本明細書で使用される場合、「約100」という表現は、99および101ならびにそれらの間のすべての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
【0068】
本明細書に記載されるものと類似または等価の任意の方法および材料は、本発明の実践または試験に使用され得るが、次に、例示的な方法および材料が、記載される。本明細書において言及されるすべての特許、出願および非特許刊行物は、それらの全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
医薬製剤
本明細書で使用される場合、「医薬製剤」という表現は、少なくとも1つの活性成分(例えば、ヒトまたは非ヒト動物において生物学的効果を発揮することができる二重特異性抗CD20x抗ヒトCD3)と、活性成分または1つ以上の追加の不活性成分と組み合わされた際にヒトまたは非ヒト動物への治療的投与に好適である、少なくとも1つの不活性成分との組み合わせを意味する。本明細書で使用される場合、「製剤」という用語は、別段具体的に示されない限り「医薬製剤」を意味する。本発明は、少なくとも1つの治療用ポリペプチドを含む医薬製剤を提供する。本発明のある特定の実施形態によれば、治療用ポリペプチドは、ヒトCD20およびヒトCD3またはその抗原結合フラグメントに特異的に結合する二重特異性抗体である。より具体的には、本発明は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合するヒト二重特異性抗体と、(ii)ヒスチジンを含む緩衝液と、(iii)ポリソルベートを含む有機共溶媒と、(iv)糖を含む安定剤とを含む医薬製剤を含む。追加の構成要素は、そのような構成要素が製剤の安定性に著しく干渉しない場合、本発明の製剤に含まれ得る。本発明に含まれる具体的な例示的な構成要素および製剤は、以下に詳細に記載される。
【0070】
本発明の医薬製剤は、ある特定の実施形態では、流体製剤であり得る。本明細書で使用される場合、「流体製剤」という表現は、約2℃~約45℃で主に流体状態で存在する少なくとも2つの構成要素の混合物を意味する。流体製剤は、とりわけ、液体製剤を含む。流体製剤は、それらの特定の構成成分に応じて、低、中、または高粘度のものであり得る。
【0071】
ヒトCD20およびヒトCD3を特異的に結合する二重特異性抗体
本発明の医薬製剤は、ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合するヒト二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントを含み得る。
【0072】
「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、一般に、ジスルフィド結合によって相互接続された2つの重鎖(H)鎖および2つの軽(L)鎖である4つのポリペプチド鎖を含む免疫グロブリン分子、同様にそれらの多量体(例えば、IgM)を指すように意図されるが、重鎖のみからなる(すなわち、軽鎖を欠く)免疫グロブリン分子もまた、「抗体」という用語の定義に包含される。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が点在する相補的決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分され得る。各VHおよびVLは、以下、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順にアミノ末端からカルボキシ末端に配置された3つのCDRおよび4つのFRから構成される。
【0073】
本発明のある特定の実施形態では、本発明の抗CD20x抗CD3二重特異性抗体は、ヒト抗体である。本発明で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体を含むことように意図される。本発明のヒト抗体は、例えば、CDR、特にCDR3における、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異誘発によるか、またはインビボでの体細胞変異によって導入された変異)によってコードされないアミノ酸残基を含み得る。ただし、本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列へと移植されている抗体を含むように意図されない。様々な実施形態では、抗CD20x抗CD3二重特異性抗体は、ヒトIgG抗体である。様々な実施形態では、抗CD20x抗CD3二重特異性抗体は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4、または混合アイソタイプのヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体は、ヒトIgG1抗体である(すなわち、抗体は、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインの各々のHCVRにそれぞれ付着したヒトIgG1重鎖定常領域を含む)。いくつかの実施形態では、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体は、ヒトIgG4抗体である(すなわち、抗体は、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインの各々のHCVRにそれぞれ付着したヒトIgG4重鎖定常領域を含む)。上記または本明細書で考察される実施形態のうちのいずれかでは、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体は、ヒトカッパ軽鎖を含み得る。上記または本明細書で考察される実施形態のうちのいずれかでは、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体は、ヒトラムダ軽鎖を含み得る。
【0074】
任意の実施形態では、二重特異性抗体は、ホモ二量体不純物からの二重特異性抗体(すなわち、ヘテロ二量体)の精製を容易にするために、一方または両方の重鎖における修飾を含み得る。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、修飾を欠く抗体と比較して、プロテインAへの二重特異性抗体の結合を低減させる一方または他方の重鎖のCH3ドメインにおける修飾を除いて、同一(例えば、アイソタイプIgG1またはIgG4の両方)である第1および第2の重鎖(すなわち、抗CD20結合アームの重鎖、および抗CD3結合アームの重鎖)を含む。場合によっては、第1の重鎖のCH3ドメイン(例えば、抗CD20結合アームの)は、プロテインAに結合し、第2の重鎖のCH3ドメイン(例えば、抗CD3結合アームの)は、プロテインA結合を低減または消失させる変異を含む。場合によっては、変異はH435R修飾(EUの番号付けによる;IMGTのエクソン番号付けによるH95R)である。場合によっては、変異はH435R修飾(EU番号付けによる;IMGTエクソン番号付けによるH95R)およびY436F修飾(EU番号付けによる;IMGTによるY96F)である。第2のCH3ドメイン内に見られ得るさらなる修飾には、IgG1 CH3ドメインの場合に、EUによるD356E、L358M、N384S、K392N、V397M、およびV422I(IMGTによるD16E、L18M、N44S、K52N、V57M、およびV82I)、ならびにIgG4 CH3ドメインの場合に、EUによるQ355R、N384S、K392N、V397M、R409K、E419Q、およびV422I(IMGTによるQ15R、N44S、K52N、V57M、R69K、E79Q、およびV82I)が含まれる。
【0075】
任意の実施形態では、二重特異性抗体は、キメラヒンジを含み得る。「キメラヒンジ」という用語は、1つのIg分子のヒンジ領域に由来する第1のアミノ酸配列と、Ig分子の異なるクラスまたはサブクラスのヒンジ領域に由来する第2のアミノ酸配列とを含むキメラタンパク質を含むことを意図している。例えば、キメラヒンジは、一実施形態では、ヒトIgG1ヒンジ領域またはヒトIgG4ヒンジ領域に由来する第1のアミノ酸配列または「上部ヒンジ」配列と、ヒトIgG2ヒンジ領域に由来する第2のアミノ酸配列または「下部ヒンジ」配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のまたは「上部ヒンジ」配列は、EU番号付けによる位置216~227のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、第2のまたは「下部ヒンジ」配列は、EU番号付けによる位置228~236のアミノ酸残基を含む。
【0076】
本発明の抗体は、いくつかの実施形態では、組換えヒト抗体であり得る。本明細書で使用される場合、「組み換えヒト抗体」という用語は、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体などの、組換え手段によって調製、発現、作成、もしくは単離されるすべてのヒト抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:6287-6295を参照されたい)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって調製、発現、作成、もしくは単離された抗体を含むように意図される。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する。しかしながら、特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発(または、ヒトIg配列に対してトランスジェニックな動物が使用される際の、インビボ体細胞変異誘発)に供され、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来しそれらに関連しているが、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在し得ない配列である。
【0077】
抗体の「抗原結合部分」または「抗体フラグメント」という用語は、本明細書で使用される場合、抗CD20または抗CD3に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを指す。
【0078】
「単離された抗体」は、本明細書で使用される場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すように意図される(例えば、抗CD20または抗CD3に特異的に結合する単離された二重特異性抗体は、抗CD20または抗CD3以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。
【0079】
「特異的に結合する」または同様の用語は、抗体またはその抗原結合断片が、生理学的条件下で比較的安定である抗原と複合体を形成することを意味する。特異的結合は、少なくとも約1×10-6M以上の解離定数によって特徴付けられ得る。2つの分子が特異的に結合するかどうかを決定するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。しかしながら、抗CD20または抗CD3に特異的に結合する単離された抗体は、他の種(オルソログ)由来のCD20またはCD3分子などの他の抗原に対する交差反応性を有し得る。本発明の文脈において、ヒトCD20およびヒトCD3に結合する多重特異性(例えば、二重特異性)抗体、同様に1つ以上の追加の抗原は、ヒトCD20およびヒトCD3に「特異的に結合する」とみなされる。さらに、単離された抗体は、他の細胞性材料および/または化学物質を実質的に含まない場合がある。
【0080】
本発明の医薬製剤に含まれ得る例示的な抗CD20×抗CD3二重特異性抗体は、WO2014/047231に記載され、その開示は、その全体の参照により組み込まれる。
【0081】
本発明のある特定の実施形態によれば、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体、またはその抗原結合フラグメントは、ヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインおよびヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含み、第1の抗原結合ドメインは、それぞれ、配列番号7、8、および9のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(CDR)A1-HCDR1、A1-HCDR2、およびA1-HCDR3を含み、第2の抗原結合ドメインは、それぞれ、配列番号10、11、および12のアミノ酸配列を含む重鎖CDRであるA2-HCDR1、A2-HCDR2、およびA2-HCDR3を含む。本発明のある特定の実施形態によれば、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体、またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ、配列番号13、14、15のアミノ酸配列を含む共通(第1および第2の抗体結合ドメイン両方に対して)軽鎖相補性決定領域LCDR1-LCDR2-LCDR3を含む。
【0082】
ある特定の実施形態では、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体、またはその抗原結合フラグメントは、ヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインおよびヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含み、第1の抗原結合ドメインは、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)を含み、第2の抗原結合ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRを含む。ある特定の実施形態では、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号6のアミノ酸配列を含む共通軽鎖可変領域(LCVR)を含む。ある特定の実施形態では、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号4/6のアミノ酸配列を含むHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む第1の抗原結合ドメインと、配列番号5/6のアミノ酸配列を含むHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む第2の抗原結合ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体は、上記のHCVR/LCVR配列対と、ヒトIgG1重鎖定常領域とを含む。いくつかの実施形態では、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体は、上記のHCVR/LCVR配列対と、ヒトIgG4重鎖定常領域とを含む。いくつかの実施形態では、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体は、上記のHCVR/LCVR配列対と、ヒトIgG重鎖定常領域とを含む。いくつかの実施形態では、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体は、上記のHCVR/LCVR配列対と、ヒトIgG1またはIgG4重鎖定常領域とを含む。いくつかの実施形態では、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1の重鎖と、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、配列番号3のアミノ酸配列を含む共通軽鎖とを含む。ヒトCD20に特異的に結合し、かつ配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含む第1の抗原結合ドメインと、ヒトCD3に特異的に結合し、かつ配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含む第2の抗原結合ドメインとを有する例示的な抗CD20x抗CD3二重特異性抗体は、本明細書ではREGN1979と称される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(ヒトCD20に特異的に結合するHCVRを含む)、第2の重鎖(ヒトCD3に特異的に結合するHCVRを含む)配列番号2のアミノ酸配列、および配列番号3のアミノ酸配列を含む共通軽鎖を有する。場合によっては、成熟型の抗体は、配列番号1および2のC末端リジン残基を含まない可能性がある。したがって、場合によっては、抗体の抗CD20結合アームは、配列番号1の残基1~452を含む重鎖を含み、抗体の抗CD3結合アームは、配列番号2の残基1~448を含む重鎖を含む。
【0083】
本発明の医薬製剤内に含有される抗体またはその抗原結合フラグメントの量は、製剤の所望の具体的特性、同様に製剤が使用されるように意図される特定の状況および目的に応じて変動し得る。ある特定の実施形態では、医薬製剤は、約0.1mg/mL~約500mg/mLの抗体、約0.5mg/mL~約400mg/mLの抗体、約1mg/mL~約200mg/mLの抗体、約2mg/mL~約100mg/mL、約1mg/mL~約5mg/mLの抗体、約10mg/mL~約30mg/mLの抗体、約75mg/mL~約125mg/mL、約5mg/mL~約50mg/mL、または約2mg/mL~約160mg/mLの抗体を含有し得る。例えば、本発明の製剤は、ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合する、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約11mg/mL、約12mg/mL、約13mg/mL、約14mg/mL、約15mg/mL、約16mg/mL、約17mg/mL、約18mg/mL、約19mg/mL、約20mg/mL、約21mg/mL、約22mg/mL、約23mg/mL、約24mg/mL、約25mg/mL、約26mg/mL、約27mg/mL、約28mg/mL、約29mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、約60mg/mL、約65mg/mL、約70mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約85mg/mL、約90mg/mL、約95mg/mL、約96mg/mL、約97mg/mL、約98mg/mL、約99mg/mL、約100mg/mL、約101mg/mL、約102mg/mL、約103mg/mL、約104mg/mL、約105mg/mL、約110mg/mL、約115mg/mL、約120mg/mL、約125mg/mL、約130mg/mL、約135mg/mL、約140mg/mL、約145mg/mL、約150mg/mL、約155mg/mL、約160mg/mL、約165mg/mL、約170mg/mL、約175mg/mL、約180mg/mL、約185mg/mL、約190mg/mL、約195mg/mL、または約200mg/mLの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む液体製剤であり得る。ある特定の実施形態では、医薬製剤は、1±0.1mg/mL~200±20mg/mLの抗体、2±0.2mg/mL~100±10mg/mLの抗体、1±0.5mg/mL~30±5mg/mLの抗体、10±1mg/mL~30±3mg/mLの抗体、1±0.1mg/mL~3±0.3mg/mLの抗体、15±1.5mg/mL~25±2.5mg/mLの抗体、90±5mg/mL~110±5mg/mLの抗体、または150±7.5mg/mL~170±7.5mg/mLの抗体を含有し得る液体製剤である。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、2±0.2mg/mLの抗体を含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、20±2mg/mLの抗体を含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、80±8mg/mlの抗体を含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、100±10mg/mlの抗体を含む。
【0084】
生物学的等価物
本発明は、本明細書に開示される例示的な分子のものとは異なるが、ヒトCD20およびヒトCD3に結合する能力を保持するアミノ酸配列を有する抗体を包含する。そのようなバリアント分子は、親配列と比較される際に、アミノ酸の1つ以上の付加、欠失、または置換を含み得るが、本明細書で考察される抗体のものと本質的に等価である生物学的活性を示し得る。
【0085】
本発明は、本明細書に定められる例示的な抗体のうちのいずれかと生物学的に等価である抗原結合分子を含む。例えば、単回用量または複数回用量のいずれかである類似の実験条件下の同じモル用量で投与される際に、それらが、吸収の速度および程度が著しい差異を示さない医薬等価物または医薬代替物である場合、2つの抗体は、生物学的等価とみなされる。いくつかの抗体は、それらの吸収の程度において等価であるが吸収のそれらの速度において等価ではない場合、等価物または医薬代替物とみなされることになるが、吸収の速度におけるそのような差異は、意図的でありラベリングに反映され、例えば、慢性的使用時の有効な身体薬物濃度の達成に必須ではなく、試験された特定の医薬品にとって医学的に重要でないとみなされるため、生物学的等価とみなされ得る。
【0086】
一実施形態では、2つの抗体は、それらの安全性、純度、および効力において臨床的に意味のある差異がない場合、生物学的等価である。
【0087】
一実施形態では、2つの抗体は、そのような切り替えを伴わない持続療法と比較して、免疫原性の臨床的に著しい変化、または有効性の減衰を含む有害作用のリスクの期待される増加を伴わずに参照生成物と生物学的生成物との間で患者が1回以上切り替えられることができる場合、生物学的等価である。
【0088】
生物学的等価性は、インビボおよびインビトロの方法によって実証され得る。生物学的等価性測定は、例えば、(a)抗体またはその代謝産物の濃度が血液、血漿、血清または他の生物学的流体中で時間の関数として測定される、ヒトまたは他の哺乳動物におけるインビボ試験、(b)ヒトインビボ生物学的利用能データと相関しており、かつそれらを合理的に予測しているインビトロ試験、(c)抗体(またはその標的)の適切な急性薬理学的効果が時間の関数として測定される、ヒトまたは他の哺乳動物におけるインビボ試験、および(d)抗原結合タンパク質の安全性、効能、または生物学的利用能もしくは生物学的等価性を確立する、十分に管理された臨床試験、を含む。
【0089】
製剤賦形剤およびpH
本発明の医薬製剤は、1つ以上の賦形剤を含む。本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、所望の粘稠度、粘度または安定化効果を提供するために製剤に添加される任意の非治療剤を意味する。
【0090】
ある特定の実施形態では、本発明の医薬製剤は、15cP未満の粘度を有し、これは、事前に充填されたシリンジまたは自動注射器から組成物を送達するために有利である。場合によっては、医薬製剤は、キャピラリー粘度計を使用して測定された場合(例えば、実施例3で考察されるように)、20℃で14cP未満、13cP未満、12cP未満、11cP未満、10cP未満、9cP未満、8cP未満、7cP未満、6cP未満、5cP未満、4cP未満、3cP未満、2cP未満、または1.5cP未満の粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、毛細管粘度計を使用して測定された場合(例えば、実施例3で考察されるように)、20℃で最大150mg/mlの抗体濃度で15cP未満の粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、毛細管粘度計を使用して測定された場合(例えば、実施例3で考察されるように)、20℃で最大100mg/mlの抗体濃度で5cP未満の粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、毛細管粘度計を使用して測定された場合(例えば、実施例3で考察されるように)、20℃で最大20mg/mlの抗体濃度で2cP未満の粘度を有する。
【0091】
ある特定の実施形態では、本発明の医薬製剤は、1つ以上の炭水化物、例えば、1つ以上の糖を含む。糖は、還元糖または非還元糖であり得る。「還元糖」は、例えば、ケトンまたはアルデヒド基を有する糖を含み、糖が還元剤として機能することを可能にする反応性ヘミアセタール基を含む。還元糖の具体例は、フルクトース、グルコース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、マンノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトースおよびマルトースを含む。非還元糖は、アセタールであり、メイラード反応を開始するためにアミノ酸またはポリペプチドと実質的に反応しないアノマー炭素を含むことができる。非還元糖の具体例は、スクロース、トレハロース、ソルボース、スクラロース、メレジトースおよびラフィノースを含む。糖酸は、例えば、サッカリン酸、グルコン酸塩および他のポリヒドロキシ糖ならびにそれらの塩を含む。いくつかの実施形態では、糖は、スクロースである。場合によっては、糖(例えば、スクロース)は、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体に対する熱安定剤として機能する。
【0092】
本発明の医薬製剤内に含有される糖(例えば、スクロース)の量は、製剤が使用される具体的状況および意図された目的に応じて変動するであろう。ある特定の実施形態では、製剤は、約0.1%~約20%の糖、約0.5%~約20%の糖、約1%~約20%の糖、約2%~約15%の糖、約5%~約15%の糖、約7.5%~約12.5%の糖、または約9%~約11%の糖を含有し得る。例えば、本発明の医薬製剤は、約0.5%、約1.0%、約1.5%、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約5.0%、約5.5%、約6.0%、約6.5%、約7.0%、約7.5%、約8.0%、約8.5%、約9.0%、約9.5%、約10.0%、約10.5%、約11.0%、約11.5%、約12.0%、約12.5%、約13.0%、約13.5%、約14.0%、約14.5%、約15%、または約20%の糖(例えば、スクロース)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、約10%の糖(例えば、スクロース)を含有する。上記のパーセンテージの各々は、重量/体積(w/v)パーセントに対応する。場合によっては、製剤は、5%±1%~20%±4%w/vのスクロースを含有する。場合によっては、製剤は、8%±0.5%~12%±0.5%w/vのスクロースを含有する。場合によっては、製剤は、10%±1%w/vのスクロースを含有する。
【0093】
本発明の医薬製剤はまた、乱暴な取り扱いまたは、例えば、軌道振とう(orbital shaking)などの撹拌の条件下で抗CD20×抗CD3二重特異性抗体を安定化する種類および量で1つ以上の有機共溶媒(または界面安定剤)を含み得る。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、界面活性剤である。本明細書で使用される場合、「界面活性剤」という用語は、溶解する流体の表面張力を低下させ、かつ/または油と水との間の界面張力を低下させる物質を意味する。界面活性剤は、イオン性または非イオン性であり得る。本発明の製剤に含まれ得る例示的な非イオン性界面活性剤は、例えば、アルキルポリ(エチレンオキシド)、アルキルポリグルコシド(例えば、オクチルグルコシドおよびデシルマルトシド)、セチルアルコールおよびオレイルアルコールなどの脂肪アルコール、コカミドMEA、コカミドDEA、ならびにコカミドTEAを含む。本発明の製剤に含まれ得る具体的な非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート28、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、およびポリソルベート85などのポリソルベート、ポロキサマー188(プルロニックF68としても知られる)、ポロキサマー407などのポロキサマー、ポリエチレン-ポリプロピレングリコール、またはポリエチレングリコール(PEG)を含む。ポリソルベート20は、TWEEN 20、ソルビタンモノラウレートおよびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートとしても知られている。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート80である。
【0094】
本発明の医薬製剤内に含有される界面活性剤の量は、製剤の所望の具体的特性、同様に製剤が使用されるように意図される特定の状況および目的に応じて変動し得る。ある特定の実施形態では、製剤は、0.01%~約1%の界面活性剤、約0.01%~約0.5%の界面活性剤、約0.05%~約0.15%、約0.08%~約0.12%の界面活性剤、または約0.09%~約0.11%の界面活性剤を含有し得る。例えば、本発明の製剤は、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.10%、約0.11%、約0.12%、約0.13%、約0.14%、約0.15%、約0.16%、約0.17%、約0.18%、約0.19%、約0.20%、約0.21%、約0.22%、約0.23%、約0.24%、約0.25%、約0.26%、約0.27%、約0.28%、約0.29%、または約0.30%の界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、約0.1%の界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)を含有する。上記のパーセンテージの各々は、重量/体積(w/v)パーセントに対応する。場合によっては、製剤は、0.01%±0.005%~0.5%±0.25%w/vのポリソルベート80を含有する。場合によっては、製剤は、0.1%±0.05%w/vのポリソルベート80を含有する。場合によっては、製剤は、0.1%±0.01%w/vのポリソルベート80を含有する。
【0095】
本発明の医薬製剤はまた、安定したpHを維持し、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体を安定化するのを助けるのに役立つ緩衝液または緩衝液系を含み得る。いくつかの実施形態では、緩衝液または緩衝液系は、pH5.5~6.1の範囲に完全にまたは部分的に重複する緩衝範囲を有する少なくとも1つの緩衝液を含む。ある特定の実施形態では、緩衝液は、ヒスチジン緩衝液を含む。ある特定の実施形態では、緩衝液(例えば、ヒスチジン)は、約1mM~約40mM、約1mM~約30mM、約1mM~約20mM、約3mM~約18mM、約5mM~約15mM、または約8mM~約12mMの濃度で存在する。場合によっては、緩衝液(例えば、ヒスチジン)は、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、または約20mMの濃度で存在する。場合によっては、製剤は、5mM±1mM~15mM±3mMの濃度でヒスチジン緩衝液を含有する。場合によっては、製剤は、10mM±1mMの濃度でヒスチジン緩衝液を含有する。いくつかの実施形態では、ヒスチジン緩衝液は、L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物を含む。場合によっては、ヒスチジン緩衝液は、3.65mM±0.5mMの濃度でのL-ヒスチジンと、6.35mM±0.5mMの濃度でのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物とを含む。場合によっては、ヒスチジン緩衝液は、3.65mM±0.2mMの濃度でのL-ヒスチジンと、6.35mM±0.2mMの濃度でのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物とを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、酢酸緩衝液を(例えば、上記または本明細書で考察される濃度のいずれかで)含有する。いくつかの実施形態では、製剤は、リン酸緩衝液を(例えば、上記または本明細書で考察される濃度のいずれかで)含有する。
【0096】
抗体精製プロセス中に、適切な賦形剤濃度、抗体濃度、pHなどを達成するために、ある緩衝液を別の緩衝液と交換することが望ましいまたは必要な場合がある。緩衝液交換は、例えば、半透過性接線流ろ過膜を使用する限外ろ過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)によって達成され得る。ただし、このような手法を使用すると、ギブス-ドナン効果が発生する可能性がある(Bolton et al.,2011,Biotechnol.Prog.27(1):140-152)。タンパク質濃縮中の膜の生成物側での正帯電の立ち上がりは、膜の反対側への正イオンの優先的な移動によって電気的に相殺される。この現象の潜在的な結果は、特定の成分(例えば、ヒスチジン)の最終濃度が、UF/DFステップ中に正に帯電した抗体タンパク質への正に帯電したダイアフィルトレーション緩衝液賦形剤の静電反発力のために、これらの成分の意図された目標濃度よりも低くなる可能性があることである。したがって、本発明は、例えば、ヒスチジンの濃度が、ギブス-ドナン効果のために、本明細書に記載された量または範囲から変化する製剤を含む。
【0097】
体積排除は、溶液の総体積のかなりの部分が溶質、特にこの空間から溶媒を除いたタンパク質などの大きな分子によって占められる、高濃度の試料の挙動を表す。これにより、このとき、他の溶質が溶解するのに利用できる溶媒の総量が減少し、限外ろ過膜全体に不均等な分配が生じる可能性がある。したがって、本発明は、例えば、ヒスチジンの濃度が、体積排除効果のために、本明細書に記載された量または範囲から変化し得る製剤を含む。
【0098】
本発明の製剤の製造中に、製剤の組成に変動が生じる可能性がある。これらの変動には、有効成分の濃度、賦形剤の濃度、および/または製剤のpHが含まれ得る。本発明は、安定であり、賦形剤濃度の少なくとも10%までの変動で効力を保持する抗CD20×抗CD3二重特異性抗体を含む製剤を含む。例えば、本明細書に含まれるのは、抗CD20x抗CD3二重特異性抗体製剤であり、製剤の安定性および効力は、抗体、スクロース、ヒスチジン緩衝液および/またはポリソルベートの濃度の±10%または±20%の変動による影響を受けない。
【0099】
医薬製剤の安定性
本発明の医薬製剤は、高レベルの安定性を示す。医薬製剤に関して本明細書で使用される場合、「安定な」という用語は、医薬製剤内の抗体が、定義された時間量の間の保存後、許容可能な程度の構造および/または機能および/または生物学的活性を保持することを意味する。製剤は、その中に含有される抗体が、定義された時間量の間の保存後、その構造および/または機能および/または生物学的活性の100%を維持しなくても、安定であり得る。ある特定の状況下で、定義された時間量の間の保存後の抗体の構造および/または機能および/または生物学的活性の約90%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%の維持は、「安定な」とみなされ得る。
【0100】
安定性は、とりわけ、所与の温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中に残っているネイティブ抗体のパーセンテージを決定することによって測定され得る。ネイティブ抗体のパーセンテージは、とりわけ、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー[SE-HPLC])によって決定され得る。「許容可能な程度の安定性」は、その句が本明細書で使用される場合、抗体のネイティブ形態の少なくとも90%が、所与の温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中で検出され得ることを意味する。ある特定の実施形態では、抗体のネイティブ形態の少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%は、所与の温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中で検出され得る。安定性が測定された後の定義された時間量は、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、少なくとも30か月、少なくとも36か月、またはそれ以上であり得る。安定性を評価する際に医薬製剤が保存され得る温度は、約-80℃~約45℃の任意の温度、例えば、約-80℃、約-30℃、約-20℃、約0℃、約4℃~8℃、約5℃、約25℃、約35℃、約37℃、または約45℃での保存であり得る。例えば、5℃で3か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、または97%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤は、安定であるとみなされ得る。5℃で6か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、または97%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。5℃で9か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%または99.5%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。5℃で12か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%または99.5%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。5℃で24か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%または99.5%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。5℃で36か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%または99.5%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。25℃で3か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%または99.5%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。25℃で6か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%または99.5%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。25℃で9か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%または99.5%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。45℃で1か月の保存後にネイティブ抗体の約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%超がSE-HPLCによって検出される場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。
【0101】
例えば、熱安定性を決定するための示差走査熱量測定(DSC)、機械的安定性を決定するための制御された撹拌、および溶液濁度を決定するための約350nmまたは約405nmでの吸光度などの他の方法は、本発明の製剤の安定性を評価するために使用され得る。例えば、約5℃~約25℃での6か月以上の保存後、製剤のOD405の変化が、t=0での製剤のOD405から約0.05未満(例えば、0.04、0.03、0.02、0.01、またはそれ未満)である場合、本発明の製剤は、安定であるとみなされ得る。
【0102】
標的に対する抗体の結合親和性を測定することもまた、安定性を評価するために使用され得る。例えば、本発明の製剤は、例えば、-80℃、-30℃、-20℃、5℃、25℃、37℃、45℃などでの定義された時間量(例えば、14日~9か月)の間の保存後、製剤内に含有された抗CD20×抗CD3二重特異性抗体は、該保存前の抗体の結合親和性の少なくとも80%、85%、90%、95%、またはそれ以上である親和性でヒトCD20およびヒトCD3に結合する場合、安定であるとみなされる。結合親和性は、例えば、ELISAまたはプラズモン共鳴などの任意の方法によって決定され得る。生物学的活性は、CD20またはCD3を発現する細胞を抗CD20×抗CD3二重特異性抗体を含む製剤と接触させることによるなどの、CD20またはCD3活性アッセイによって決定され得る。そのような細胞への抗体の結合は、FACS分析を介するなど、直接測定され得る。
【0103】
安定性は、とりわけ、定義された温度で定義された時間量の間の保存後、製剤(内で凝集体高分子量(HMW)種)を形成する抗体のパーセンテージを決定することによって測定され得、安定性は、形成される凝集体パーセントに反比例する。凝集した抗体のパーセンテージは、とりわけ、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー[SE-HPLC]またはサイズ排除超高速液体クロマトグラフィー[SE-UPLC])によって決定され得る。「許容可能な程度の安定性」は、その句が本明細書で使用される場合、抗体の最大6%が、所与の温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中で検出される凝集形態にあることを意味する。ある特定の実施形態では、許容可能な程度の安定性は、抗体の最大約6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%が、所与の温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中の凝集体中で検出され得ることを意味する。安定性が測定された後の定義された時間量は、少なくとも2週間、少なくとも28日、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、少なくとも30か月、少なくとも36か月、またはそれ以上であり得る。安定性を評価する際に医薬製剤が保存され得る温度は、約-80℃~約45℃の任意の温度、例えば、約-80℃、約-30℃、約-20℃、約0℃、約4℃~8℃、約5℃、約25℃、約35℃、約37℃または約45℃での保存であり得る。例えば、5℃で9か月の保存後に抗体の約2%、1.75%、1.5%、1.25%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、または0.1%未満が凝集形態で検出される場合、医薬製剤は、安定であるとみなされ得る。25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後に抗体の約2%、1.75%、1.5%、1.25%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、または0.1%未満が凝集形態で検出される場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。45℃で1か月の保存後に抗体の約6%、5.9%、5.8%、5.7%、5.6%、5.5%、5%、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、または0.1%未満が凝集形態で検出される場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。-20℃、-30℃、または-80℃で3か月の保存後に抗体の約2%、1.9%、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1%、0.5%、または0.1%未満が凝集形態で検出される場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。
【0104】
安定性は、とりわけ、抗体の主要画分(「主電荷形態」)よりもイオン交換中の酸性の画分(「酸性形態」)中で移動する抗体のパーセンテージを決定することによって測定され得、安定性は、酸性形態における抗体の画分に反比例する。理論に拘束されることを望まないが、抗体の脱アミド化は、抗体をより負に荷電させ得、したがって、脱アミド化されていない抗体に対してより酸性にさせ得る(例えば、Robinson,N.,Protein Deamidation,PNAS,April 16,2002,99(8):5283-5288)。「酸性化」抗体のパーセンテージは、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、陽イオン交換高速液体クロマトグラフィー[CEX-HPLC]または陽イオン交換超高速液体クロマトグラフィー[CEX-UPLC])によって決定され得る。「許容可能な程度の安定性」は、その句が本明細書で使用される場合、抗体の最大52%が、定義された温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中で検出されるより酸性の形態にあることを意味する。ある特定の実施形態では、許容可能な程度の安定性は、抗体の最大約52%、50%、45%、40%、35%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%が、所与の温度で定義された時間量の間の保存後、製剤中に酸性形態で検出され得ることを意味する。安定性が測定された後の定義された時間量は、少なくとも2週間、少なくとも28日、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、少なくとも30か月、少なくとも36か月、またはそれ以上であり得る。安定性を評価する際に医薬製剤が保存され得る温度は、約-80℃~約45℃の任意の温度、例えば、約-80℃、約-30℃、約-20℃、約0℃、約4℃~8℃、約5℃、約25℃、または約45℃での保存であり得る。例えば、-80℃、-30℃、または-20℃で3か月の保存後に抗体の約29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満がより酸性の形態にある場合、医薬製剤は、安定であるとみなされ得る。5℃で9か月の保存後に抗体の約28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満がより酸性の形態にある場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。25℃で28日の保存後に抗体の約30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満がより酸性の形態にある場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。37℃で28日の保存後に抗体の約37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満がより酸性の形態にある場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされ得る。45℃で28日の保存後に抗体の約52%、51%、50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満がより酸性の形態で検出され得る場合、医薬製剤はまた、安定であるとみなされる。
【0105】
具体的な期間の「後」の医薬製剤の安定性への言及は、安定性パラメータ(例えば、ネイティブ形態%、HMW種%、または酸性形態%)の測定が、具体的な期間の最後またはその前後に行われ、医薬製剤がその後測定されたパラメータに対して必ずしも同じ程度の安定性を維持することを意味するように意図されないことを、意味するように意図される。例えば、9か月後の特定の安定性への言及は、安定性の測定が試験の開始時または約9か月後に行われたことを意味する。製剤中の抗体の安定性を評価するための追加の方法は、以下に提示される実施例において実証される。
【0106】
以下の実施例に示されるように、本発明は、部分的に、請求された賦形剤の二重特異性抗CD20×抗CD3抗体との組み合わせが、安定である製剤を生成するという発見に基づいている。
【0107】
例示的な製剤
本発明の一態様によれば、医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合するヒト抗CD20×抗CD3二重特異性抗体と、(ii)ヒスチジンを含む緩衝液と、(iii)ポリソルベートを含む有機共溶媒と、(iv)糖を含む安定剤とを含む。
【0108】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび約2mg/ml~約200mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)約5mM~約15mMの濃度のヒスチジンと、(iii)約0.05%w/v~約0.15%w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)約5%w/v~約15%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0109】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび約2mg/ml~約200mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG1の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)約5mM~約15mMの濃度のヒスチジンと、(iii)約0.05%w/v~約0.15%w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)約5%w/v~約15%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0110】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび約2mg/ml~約200mg/mlの濃度での配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)約5mM~約15mMの濃度のヒスチジンと、(iii)約0.05%w/v~約0.15%w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)約5%w/v~約15%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は5.8±0.3のpHを有する。
【0111】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1の重鎖と、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、約2mg/ml~約200mg/mlの濃度の配列番号3のアミノ酸配列を含む共通軽鎖とを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)約5mM~約15mMの濃度のヒスチジンと、(iii)約0.05%w/v~約0.15%w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)約5%w/v~約15%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0112】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび約2mg/ml~約200mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)約8mM~約12mMの濃度のヒスチジンと、(iii)約0.075%w/v~約0.125%w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)約8%w/v~約12%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0113】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび約2mg/ml~約200mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG1の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)約8mM~約12mMの濃度のヒスチジンと、(iii)約0.075%w/v~約0.125%w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)約8%w/v~約12%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0114】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび約2mg/ml~約200mg/mlの濃度での配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)約8mM~約12mMの濃度のヒスチジンと、(iii)約0.075%w/v~約0.125%w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)約8%w/v~約12%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は5.8±0.3のpHを有する。
【0115】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1の重鎖と、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、約2mg/ml~約200mg/mlの濃度の配列番号3のアミノ酸配列を含む共通軽鎖とを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)約8mM~約12mMの濃度のヒスチジンと、(iii)約0.075%w/v~約0.125%w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)約8%w/v~約12%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0116】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび約2mg/ml~約200mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)10mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0117】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび約2mg/ml~約200mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG1の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)10mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0118】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび約2mg/ml~約200mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)10mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0119】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1の重鎖と、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、約2mg/ml~約200mg/mlの濃度の配列番号3のアミノ酸配列を含む共通軽鎖とを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)10mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0120】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび約2mg/ml±0.2mg/ml~約200mg/ml±20mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0121】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび2mg/ml±0.2mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0122】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび20mg/ml±2mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0123】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび100mg/ml±10mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0124】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび2mg/ml±0.2mg/ml~200mg/ml±20mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0125】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび2mg/ml±0.2mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0126】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび20mg/ml±2mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0127】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび100mg/ml±10mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0128】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび2mg/ml±0.2mg/ml~200mg/ml±20mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体が、アイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有し、2つの重鎖の一方がCH3ドメインに修飾(例えば、EU番号付けによるH435RおよびY436F)を有し、これは、修飾されていないIgG4 CH3ドメインと比較して、プロテインAへの結合を減少させる、ヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0129】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび2mg/ml±0.2mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体が、アイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有し、2つの重鎖の一方がCH3ドメインに修飾(例えば、EU番号付けによるH435RおよびY436F)を有し、これは、修飾されていないIgG4 CH3ドメインと比較して、プロテインAへの結合を減少させる、ヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0130】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび20mg/ml±2mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体が、アイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有し、2つの重鎖の一方がCH3ドメインに修飾(例えば、EU番号付けによるH435RおよびY436F)を有し、これは、修飾されていないIgG4 CH3ドメインと比較して、プロテインAへの結合を減少させる、ヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0131】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび100mg/ml±10mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体が、アイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有し、2つの重鎖の一方がCH3ドメインに修飾(例えば、EU番号付けによるH435RおよびY436F)を有し、これは、修飾されていないIgG4 CH3ドメインと比較して、プロテインAへの結合を減少させる、ヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0132】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1の重鎖と、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、2mg/ml±0.2mg/ml~約100mg/ml±10mg/mlの濃度の配列番号3のアミノ酸配列を含む共通軽鎖とを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0133】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1の重鎖と、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、2mg/ml±0.2mg/mlの濃度の配列番号3のアミノ酸配列を含む共通軽鎖とを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0134】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1の重鎖と、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、20mg/ml±2mg/mlの濃度の配列番号3のアミノ酸配列を含む共通軽鎖とを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0135】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1の重鎖と、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、100mg/ml±10mg/mlの濃度の配列番号3のアミノ酸配列を含む共通軽鎖とを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)10mM±1mMの濃度のヒスチジンと、(iii)0.1%±0.01w/vの濃度のポリソルベート80と、(iv)10%±1%w/vの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0136】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、水中で、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび2mg/ml±0.2mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0137】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、水中で、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび2mg/ml±0.2mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG1の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0138】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、水中で、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび2mg/ml±0.2mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0139】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、水中で、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1の重鎖、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2の重鎖、および2mg/ml±0.2mg/mlの濃度の配列番号3のアミノ酸配列を含む共通軽鎖を含むヒト二重特異性抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0140】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、水中で、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび20mg/ml±2mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0141】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、水中で、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび20mg/ml±2mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG1の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0142】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、水中で、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび20mg/ml±2mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0143】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、水中で、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1の重鎖、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2の重鎖、および20mg/ml±2mg/mlの濃度の配列番号3のアミノ酸配列を含む共通軽鎖を含むヒト二重特異性抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0144】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、水中で、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび100mg/ml±10mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0145】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、水中で、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび100mg/ml±10mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG1の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0146】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、水中で、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD20に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCVRおよび100mg/ml±10mg/mlの濃度の配列番号6のアミノ酸配列を含むLCVRを含むヒトCD3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含むヒト二重特異性抗体であって、抗体がアイソタイプIgG4の重鎖定常領域を有する(任意選択で、2つの重鎖の一方が同じアイソタイプの未修飾の重鎖と比較してプロテインA結合を低減させ、任意選択で、2つの重鎖の一方または両方がキメラヒンジを有する)、ヒト二重特異性抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0147】
場合によっては、安定な液体医薬製剤は、水中で、(i)ヒトCD20およびヒトCD3に特異的に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む第1の重鎖、配列番号2のアミノ酸配列を含む第2の重鎖、および100mg/ml±10mg/mlの濃度の配列番号3のアミノ酸配列を含む共通軽鎖を含むヒト二重特異性抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤は、5.8±0.3のpHを有する。
【0148】
これらの例示的な製剤のいずれにおいても、「安定」は次のように定義され得る:(a)サイズ排除-超高性能液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって決定される場合、抗体の少なくとも90%が、45℃で1か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する;(b)SE-UPLCによって決定される場合、抗体の少なくとも93%が、45℃で1か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する;(c)SE-UPLCによって決定される場合、抗体の少なくとも95%が、45℃で1か月の保存後に抗体のネイティブコンホメーションを示す;(d)SE-UPLCによって決定される場合、抗体の少なくとも95%が、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する;(e)SE-UPLCによって決定される場合、抗体の少なくとも97%が、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する;(f)SE-UPLCによって決定される場合、抗体の少なくとも95%が、5℃で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを示す;(g)SE-UPLCによって決定される場合、抗体の少なくとも98%が、5℃で3か月の保存後にネイティブコンホメーションを有する;(h)SE-UPLCによって決定される場合、製剤は、45℃で1か月の保存後に6%以下の高分子量(HMW)種を含有する;(i)SE-UPLCによって決定される場合、製剤は、45℃で1か月の保存後に5.6%以下のHMW種を含有する;(j)SE-UPLCによって決定される場合、製剤は、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後に2%以下のHMW種を含有する;(k)SE-UPLCによって決定される場合、製剤は、25℃および60%の相対湿度で3か月の保存後に1%以下のHMW種を含有する;(l)SE-UPLCによって決定される場合、製剤は、5℃で3か月の保存後に1.5%以下のHMW種を含有する;および/または(m)SE-UPLCによって決定される場合、製剤は、5℃で9か月の保存後に1%以下のHMW種を含有する。
【0149】
これらの例示的な製剤のいずれにおいても、二重特異性抗体は、ホモ二量体不純物由来の二重特異性抗体(すなわち、ヘテロ二量体)の精製を容易にする一方または両方の重鎖に修飾を含み得る。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、修飾を欠く抗体と比較して、プロテインAへの二重特異性抗体の結合を低減させる一方または他方の重鎖のCH3ドメインにおける修飾を除いて、同一(例えば、アイソタイプIgG1またはIgG4の両方)である第1および第2の重鎖(すなわち、抗CD20結合アームの重鎖、および抗CD3結合アームの重鎖)を含む。場合によっては、第1の重鎖のCH3ドメイン(例えば、抗CD20結合アームの)は、プロテインAに結合し、第2の重鎖のCH3ドメイン(例えば、抗CD3結合アームの)は、プロテインA結合を低減または消失させる変異を含む。場合によっては、変異はH435R修飾(EUの番号付けによる;IMGTのエクソン番号付けによるH95R)である。場合によっては、変異はH435R修飾(EU番号付けによる;IMGTエクソン番号付けによるH95R)およびY436F修飾(EU番号付けによる;IMGTによるY96F)である。第2のCH3ドメイン内に見られ得るさらなる修飾には、IgG1 CH3ドメインの場合に、EUによるD356E、L358M、N384S、K392N、V397M、およびV422I(IMGTによるD16E、L18M、N44S、K52N、V57M、およびV82I)、ならびにIgG4 CH3ドメインの場合に、EUによるQ355R、N384S、K392N、V397M、R409K、E419Q、およびV422I(IMGTによるQ15R、N44S、K52N、V57M、R69K、E79Q、およびV82I)が含まれる。
【0150】
本発明によって包含される医薬製剤の追加の非限定的な例は、以下に提示される実施例を含む、本明細書の他の場所に定められる。
【0151】
容器および投与の方法
本発明の医薬製剤は、薬剤および他の治療用組成物の保存に好適な任意の容器内に含まれ得る。例えば、医薬製剤は、バイアル、アンプル、シリンジ、カートリッジ、ボトルまたはIVバッグなどの、定義された体積を有する密封および滅菌されたプラスチックまたはガラス容器内に含まれ得る。例えば、透明および不透明(例えば、こはく色)のガラスまたはプラスチックバイアルを含む、異なる種類のバイアルが、本発明の製剤を含むために使用され得る。同様に、任意の種類のシリンジが、本発明の医薬製剤を含み、かつ/または投与するために使用され得る。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、事前充填されたシリンジに含まれる。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、事前充填された固定針シリンジに含まれる。
【0152】
本発明の医薬製剤は、「通常のタングステン」シリンジまたは「低タングステン」シリンジ内に含まれ得る。当業者によって理解されるであろうように、ガラスシリンジを作製するプロセスは、一般に、ガラスに穴を開け、それによって液体がシリンジから引き出され排出され得る穴を作成するように機能する、高温タングステン棒の使用を含む。このプロセスは、シリンジの内部表面に微量のタングステンの堆積をもたらす。その後の洗浄およびその他の処理ステップは、シリンジ中のタングステンの量を低下させるために使用され得る。本明細書で使用される場合、「通常のタングステン」という用語は、シリンジが500十億分率(ppb)超のタングステンを含むことを意味する。「低タングステン」という用語は、シリンジが500ppb未満のタングステンを含むことを意味する。例えば、本発明による低タングステンシリンジは、約490、480、470、460、450、440、430、420、410、390、350、300、250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10未満、またはそれよりも少ないppbのタングステンを含むことができる。
【0153】
シリンジにおいて使用されるゴム製プランジャ、およびバイアルの開口部を閉じるために使用されるゴム製ストッパは、シリンジまたはバイアルの医薬内容物の汚染を防ぐため、かつ/またはそれらの安定性を維持するためにコーティングされ得る。したがって、本発明の医薬製剤は、ある特定の実施形態によれば、コーティングされたプランジャを含むシリンジ内、またはコーティングされたゴム製ストッパで密封されたバイアル内に含まれ得る。例えば、プランジャまたはストッパは、フルオロカーボン膜でコーティングされ得る。本開示の医薬製剤を含むバイアルおよびシリンジとの使用に好適なコーティングされたストッパおよび/またはプランジャの例は、例えば、米国特許第4,997,423号、同第5,908,686号、同第6,286,699号、同第6,645,635号、および同第7,226,554号において言及され、その内容は、それらの全体の参照により本明細書に組み込まれる。本発明の文脈で使用され得る特定の例示的なコーティングされたゴム製ストッパおよびプランジャは、West Pharmaceutical Services,Inc.(Lionville、PA)から入手可能な商品名「FluroTec(登録商標)」で市販されている。FluroTec(登録商標)は、医薬品がゴム表面に付着するのを最小限に抑えるか、または防止するために使用されるフルオロカーボンコーティングの例である。本発明のある特定の実施形態によれば、医薬製剤は、フルオロカーボンコーティングされたプランジャを含む低タングステンシリンジ内に含まれ得る。
【0154】
医薬製剤は、注射(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内など)、または経皮、粘膜、鼻、肺および/もしくは経口投与などの経口経路によって対象に投与され得る。多数の再利用可能なペンおよび/または自動注射器送達装置が、本発明の医薬製剤を皮下送達するために使用され得る。例としては、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.,Woodstock,UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems,Bergdorf,Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.,Indianapolis,IN)、NOVOPEN(商標)I,IIおよびIII (Novo Nordisk,Copenhagen,Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk,Copenhagen,Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、およびOPTICLIK(商標)(sanofi-aventis,Frankfurt,Germany)が挙げられるが、これらに限定されず、ほんの数種類しか挙げていない。本発明の医薬組成物の皮下送達での用途を有する使い捨てペンおよび/または自動注射器送達デバイスの例としては、SOLOSTAR(商標)ペン(sanofi-aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)自動注射器(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey、L.P.)およびHUMIRA(商標)ペン(Abbott Labs、Abbott Park、IL)が挙げられるが、これらに限定されず、ほんの数種類しか挙げていない。場合によっては、医薬製剤は、自動注射器での使用に特異的に適合したシリンジに含まれる。
【0155】
本発明の医薬製剤を送達するためのマイクロインフューザーの使用もまた、本明細書で企図される。本明細書で使用される場合、「マイクロインフューザー」という用語は、長期間(例えば、約10、15、20、25、30分またはそれ以上)にわたって量の多い(例えば、最大約2.5mL、約3.0mLまたはそれ以上)治療製剤をゆっくりと投与するように設計された皮下送達デバイスを意味する。例えば、US6,629,949、US6,659,982、およびMeehan et al.,J.Controlled Release 46:107-116(1996)を参照されたい。マイクロインフューザーは、高濃度(例えば、約100、125、150、175、200mg/mLもしくはそれ以上)溶液および/または粘性溶液に含有される、量の多い治療用タンパク質の送達に特に有用である。
【0156】
ある特定の実施形態では、薬学的製剤は、製剤が生理的に許容される溶液を含むIVバッグ内で希釈されるように、IV点滴を介して投与される。一実施形態では、医薬組成物は、医薬品の単回投与量が100mL、250mL(または点滴静注送達に好適な他の同様の量)の生理的緩衝液(例えば、0.9%生理食塩水)内に希釈されるように、静脈内輸液バッグ内で複合された滅菌調製物である。
【0157】
本発明の医薬製剤はまた、単位剤形に含まれ得る。本明細書で使用される場合、「単位剤形」という用語は、治療される患者に対する単位投薬量として好適な物理的不連続単位を指し、各単位は、必要とされる医薬担体、希釈剤、または賦形剤に関連して所望の治療効果を生み出すように計算された所定量の活性化合物を含む。様々な実施形態では、単位剤形は、本明細書で考察されるように、容器内に含まれる。本発明の製剤中の活性成分(例えば、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体)の実際の投薬量レベルは、患者に対する有害作用を伴わずに特定の患者、組成物、および投与の様式について所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように、変動し得る。選択される投薬量レベルは、用いられる本発明の特定の組成物の活性、投与の経路、投与の時間、用いられている特定の化合物の排泄の速度、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される治療、他の薬物、化合物および/もしくは材料の持続期間、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、一般的健康状態および以前の病歴、ならびに医療分野で周知の同様の因子を含む、多様な薬物動態学的因子に依存するであろう。本明細書で使用される場合、「希釈剤」という用語は、本明細書に記載される例示的もしくは適切な濃度を変更または達成するのに好適な溶液を指す。
【0158】
様々な実施形態では、単位剤形は、単回使用を意図された量の活性成分(例えば、抗CD20×抗CD3二重特異性抗体)を含有する。様々な実施形態では、単位剤形中の活性成分の量は、約0.1mg~約5000mg、約100mg~約1000mg、および約100mg~約500mg、約100mg~約400mg、約100mg~約200mg、約250mg~約350mg、約125mg~約175mg、約275mg~約325mg、約1mg~約250mg、約1mg~約100mg、約1mg~約50mg、約1mg~約25mg、約1mg~約10mg、約1mg~約5mg、またはそれらの範囲もしくは区間である。上に列挙された量の中間の範囲、例えば、約2mg~約100mgまたは2mg~20mgもまた、本発明の一部であるように意図される。例えば、上に列挙された値(または上に列挙された範囲内に含まれる値)のうちのいずれかの組み合わせを上限および/または下限として使用する値の範囲は、含まれるように意図される。特定の実施形態では、製剤は、しばしば、単位剤形の液体として供給される。いくつかの実施形態では、単位剤形は、2~2.5mg、または10~11mg、20~25mg、80~90mg、100~125mg、160~180mg、200~225、または320~360mgを含む。いくつかの実施形態では、本発明による単位剤形は、患者への皮下投与に好適である(例えば、単位剤形は、約100mg/mlまたは約160mg/mlの濃度で抗体を含有する)。
【0159】
一実施形態では、本発明は、安定な製剤中に約2mgの抗体を含む単位剤形であって、製剤が、水中で、2mg/ml±0.2mg/mlの濃度の抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤が、5.8±0.3のpHを有する、単位剤形を提供する。一実施形態では、本発明は、安定した製剤中に約20mg、約80mg、約160mgまたは約320mgの抗体を含む単位剤形であって、製剤が、水中で、20mg/ml±2mg/mlの濃度の抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤が、5.8±0.3のpHを有する、単位剤形を提供する。一実施形態では、本発明は、安定した製剤中に約100mg、約200mg、約300mgまたは約400mgの抗体を含む単位剤形であって、製剤が、水中で、100mg/ml±10mg/mlの濃度の抗体と、(ii)0.57mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジンと、(iii)1.33mg/mL±0.1mg/mLの濃度のL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、(iv)1mg/mL±0.1mg/mLの濃度のポリソルベート80と、(v)100mg/mL±10mg/mLの濃度のスクロースとを含み、製剤が、5.8±0.3のpHを有する、単位剤形を提供する。
【0160】
本発明はまた、単位剤形を調製する方法を含む。例示的な実施形態では、医薬単位剤形を調製するための方法は、好適な容器(例えば、本明細書で考察されるそれらの容器)内で前述の実施形態のうちのいずれかの製剤を組み合わせることを含む。
【0161】
様々な実施形態では、医薬製剤は、体積で5%未満の酸化性ガス(例えば、酸素)を含むヘッドスペースガスを含み得る容器(例えば、バイアルまたは事前充填されたシリンジ)に含まれる。容器のヘッドスペース内の酸化性ガス(例えば、酸素)の濃度は、様々な実施形態では、4.5%未満、4%未満、3.5%未満、3%未満、2.5%未満、2%未満、または1.5%未満であり得る。一実施形態では、ヘッドスペース内の酸化性ガス(例えば、酸素)の濃度は、約1%未満である。一実施形態では、ヘッドスペース内の酸化性ガス(例えば、酸素)の濃度は、約0.5%以下である。一実施形態では、ヘッドスペース内の酸化性ガス(例えば、酸素)の濃度は、約0.1%以下である。様々な実施形態では、医薬品容器のヘッドスペース内の酸化性ガス(例えば、酸素)の濃度は、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、または0.1%未満である。場合によっては、ヘッドスペースガス中の酸素の濃度は、約0.01%~約1.5%である。場合によっては、ヘッドスペースガス中の酸素の濃度は、約0.75%~約1.25%である。場合によっては、ヘッドスペースガス中の酸素の濃度は、約0.05%~約0.15%である。様々な実施形態では、ヘッドスペース内の酸化ガス(例えば、酸素)は、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン、クリプトンまたはラドンなどの不活性ガスで置換されるか、または実質的に置換される。一実施形態では、非酸化性ガスは、窒素である。一実施形態では、非酸化性ガスは、アルゴンである。
【0162】
医薬製剤の治療的使用
本発明の医薬製剤は、とりわけ、細胞発現ヒトCD20に関連する任意の疾患もしくは障害の治療、予防および/または改善に有用である。本発明の医薬製剤の投与によって治療することができる例示的な非限定的な疾患および障害には、非ホジキンリンパ腫、例えば、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫および辺縁帯リンパ腫などのB細胞癌が含まれる。
【0163】
本発明の治療方法は、本明細書に開示されるような抗CD20×CD3二重特異性抗体を含む任意の製剤を対象に投与することを含む。医薬製剤が投与される対象は、例えば、そのような治療を必要とする任意のヒトまたは非ヒト動物であり得る。例えば、対象は、前述の疾患もしくは障害のうちのいずれかと診断されたか、またはそれに罹患するリスクがあるとみなされる個人であり得る。本発明は、上記の例示的な疾患、障害および状態のうちのいずれかを含む、細胞発現ヒトCD20に関連する任意の疾患もしくは障害の治療のための薬物の製造における、本明細書に開示される医薬製剤のうちのいずれかの使用をさらに含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で考察されるような医薬製剤(例えば、製剤または単位剤形を有する容器)、および上で考察されるような疾患もしくは障害の治療のために医薬製剤を使用するための説明書を有する包装またはラベリング(例えば、添付文書)を含むキットを提供する。場合によっては、説明書は、本明細書で考察されるように、疾患または障害の治療のための単位剤形の使用を提供する。
【0165】
本明細書で参照される配列および対応する配列番号のまとめを、以下の表1に示す。
【表1】
【実施例】
【0166】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物をどのように作製および使用するかに関する完全な開示および説明を当業者に提供するために提示されており、本発明者らが本発明とみなすことの範囲を限定することを企図するものではない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力はしてきたが、いくつかの実験上の誤差および偏差が考慮されるべきである。別段示されない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはそれに近い圧力である。
【0167】
実施例1:安定した液体抗CD20x抗CD3二重特異性抗体製剤の開発
製剤開発活動には、タンパク質の安定性を高める賦形剤を特定するための、緩衝液、pH、有機共溶媒、界面活性剤、および熱安定剤の評価が含まれていた。これらの試験から得られた結果、および実施例2で考察した結果は、臨床使用に好適な安定した液体製剤を開発するために使用された。
【0168】
REGN1979の熱安定性に対する緩衝液およびpHの効果を、変動するpH範囲で一連の緩衝液系において15mg/mLのREGN1979を45℃で28日間インキュベートすることによって、液体製剤中で調べた。以下のpHおよび緩衝液系について、試験した:酢酸塩(pH4.5~5.5)、ヒスチジン(pH5.5~6.5)、およびリン酸塩(pH6.0~7.0)。SE-UPLC分析からの結果に基づいて、REGN1979がヒスチジン緩衝液中pH5.0~pH6.0で製剤化された際に、最大のタンパク質安定性が観察された(表2)。CEX-UPLC分析からの結果に基づいて、REGN1979がヒスチジン緩衝液中pH5.0~pH6.0でまたは酢酸塩緩衝液中pH4.5~pH5.0で製剤化された際に、最大のタンパク質安定性が観察された。これらの分析によってまた、フラグメンテーション(すなわち、低分子量種の形成)、HMW種の形成および電荷バリアントが主要な分解経路であることが明らかになった。ヒスチジン緩衝液は、分解経路がより懸念される高分子量種の形成が最小限に抑えられたため、医薬品(DP)製剤の製剤緩衝液として選択された。高分子量種および電荷変異体の形成がこのpHで最小化されたため、DP製剤には5.8のpHが選択された。これらの結果、および実施例2で考察した結果に基づいて、pH5.8での10mMのヒスチジン緩衝液が、REGN1979 DP製剤のために選択された。
【0169】
タンパク質の熱安定性を高めるために、スクロースなどの熱安定剤が抗体製剤に添加されることがよくある。液体製剤中の25mg/mLのREGN1979は、表3に示されるように、10%のスクロースとともに製剤化され、加速条件下でインキュベートされた際に、改善された安定性を示した。45℃で28日間のインキュベーション後、HMW種は、スクロースを有しない製剤における1.4%の増加と比較して、10%のスクロースを含有する製剤中で0.6%増加した。これらの結果、および実施例2で説明した結果に基づいて、スクロースをREGN1979 DP製剤の熱安定剤として選択した。
【0170】
界面活性剤などの有機共溶媒は、タンパク質を撹拌により誘発される凝集から保護するために、抗体製剤に添加されることがよくある。25mg/mLのREGN1979の撹拌応力安定性および熱安定性に対する界面活性剤の効果を調べた。次の界面活性剤を評価した:この実施例では、0.1%のポリソルベート20および0.1%ポリソルベート80。撹拌応力安定性および熱安定性の試験の結果を、それぞれ表4および表5にまとめている。REGN1979は、界面活性剤の非存在下で120分間ボルテックスすることによって撹拌すると、不安定であった。界面活性剤の非存在下では、製剤は、SE-UPLCによって測定されるように、HMW種の1.5%の増加を示した(表4)。試験された両方の界面活性剤は、REGN1979を撹拌によって誘発される不安定性から同程度に保護した(表4)。さらに、試験された両方の界面活性剤は、REGN1979の熱安定性を同程度に減少させ、これは、HMW種、LMW種、および塩基性荷電種の増加として現れた(表5)。これらの結果、および実施例2で考察した結果に基づいて、ポリソルベート80を、REGN1979 DP製剤の界面活性剤として選択した。
【0171】
REGN1979は、pH5.8でのヒスチジン、ポリソルベート80、およびスクロースの存在下で製剤化された場合に、最大の安定性を示した。REGN1979液体製剤の開発中に特定された主な分解経路は、高および低分子量種ならびに電荷バリアントの形成であった。これらの実験の結果、および実施例2で考察した結果に基づいて、pH5.8での10mMのヒスチジン、0.1%(w/v)のポリソルベート80、10%(w/v)のスクロース、および2~160mg/mL(例えば、2mg/ml、20mg/ml、または100mg/ml)のREGN1979を含有する水性緩衝製剤が、最も安定していると判定された。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0172】
実施例2:製剤の保存およびストレス安定性
調査安定性試験を、REGN1979医薬品(DP)製剤の保存、加速、およびストレス安定性を評価するために実施した。調査安定性試験で使用したDPを、1.2mLまたは5.5mLの原薬をそれぞれ2mLまたは10mLのタイプ1ガラスバイアルに充填し、続いて窒素オーバーレイプロセスを行うことによって生成した。DPを、いくつかの高温条件下でインキュベートした。これらの加速条件は、DPが製造および取り扱い中に受ける可能性のある条件をシミュレートし、窒素オーバーレイを使用したREGN1979 DPの分解経路を解明するために選択された。
【0173】
保存安定性:現在、2mLバイアルおよび10mLバイアルDPについて9か月の調査安定性データが利用可能である。両方のDPプレゼンテーションで、REGN1979 DPは、5℃で9か月保存した場合、物理的および化学的安定性があった(表6および表7)。物理的または化学的安定性の認識可能な変化は、監視された属性のうちのいずれにおいても検出されなかった。
【0174】
加速された安定性:加速された条件下でのインキュベーション後のREGN1979 2mLバイアルおよび10mLバイアルDPの分析による結果を、それぞれ表8および表9に示す。両方のDPプレゼンテーションで、タンパク質を25℃で1か月間インキュベートした場合、感知できるほどの劣化は観察されず、これは、両方のREGN1979 DPが室温で短時間さらされる可能性があることを示している。45℃で28日間インキュベートした後、HMW、LMW、および電荷バリアントのかなりの形成が検出された。この加速された条件による結果は、HMW、LMW、および電荷バリアントの形成が2mLバイアルおよび10mLバイアルDPの主な分解経路であることを示していた。
【0175】
ストレス安定性:REGN1979の2mLバイアルおよび10mLバイアルDPのストレス安定性の結果を、それぞれ表10および表11に示す。両方のDPプレゼンテーションは、120分間撹拌(周囲温度でボルテックス)した場合、または8回の凍結/解凍サイクル(-30℃での凍結および室温での解凍)にかけた場合、物理的および化学的安定性があった。物理的または化学的安定性の認識可能な変化は、監視された属性のうちのいずれにおいても検出されなかった。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【0176】
保存、加速、およびストレス安定性の試験による結果は、REGN1979が、製造(製剤、充填/仕上げ、およびラベリング操作)中安定であり、物理的または化学的安定性なしに室温への短い曝露に耐えることができることを示す。
【0177】
追加の安定性実験が、2mg/ml、20mg/ml、100mg/ml、および160mg/mlの二重特異性抗体(REGN1979)と10mMのヒスチジン、10%w/vのスクロース、0.1%w/vのポリソルベート80およびpH5.8を含む製剤に対して実施された。結果を、以下の表12~27に示す。NR=報告されていない;ND=劣化しすぎて分析できない。
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【0178】
追加の安定性試験を、100mg/mlの二重特異性抗体(REGN1979)濃度を有する他の様々な賦形剤を使用して実施した。様々な製剤(F1~F13)を、以下の表28に示す。これらの安定性実験の結果を表29~41に示す。これらの各実験では、容器/閉鎖は、20mmのFluroTec(登録商標)をコーティングされたWest V2-F451W 4432/50 GRY B2-TRストッパを備えた5mLのタイプ1ホウケイ酸ガラスバイアルであった。
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【表33】
【表34】
【表35】
【表36】
【表37】
【表38】
【表39】
【表40】
【表41】
【0179】
実施例3:配合物の粘度
粘度測定は、Rheosense m-VROCキャピラリー粘度計(Rheosense、San Ramon、CA)を使用して20℃で実行した。79.9~184.9mg/mlの範囲の様々なREGN1979濃度の試料を、10mMのヒスチジンおよび5%のスクロース(pH5.8)を含有する製剤緩衝液に調製した。すべての試料を、測定前に2μmの遠心スピンフィルターを使用してろ過した。測定の結果を、以下の表42に示す。
【表42】
【0180】
特定の濃度のREGN1979、L-ヒスチジン(0.57mg/ml)、L-ヒスチジン一塩酸塩一水和物(1.33mg/ml)、スクロース(100mg/ml)、ポリソルベート80(1mg/ml)を含む医薬品、注射用水(USP)が、以下の表43に示す粘度を有するように決定された。
【表43】
【0181】
154.8mg/mlもの抗体を含有する製剤で観察される低粘度(例えば、15cP未満)は、事前充填されたシリンジまたは自動注射器での使用に有利である。
【0182】
本発明は、本明細書に記載される具体的な実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されるものに加えて本発明の様々な変更が前述の記載から当業者には明らかとなるであろう。そのような変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【配列表】
【国際調査報告】