IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-24
(54)【発明の名称】PRMT5阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20230216BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230216BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20230216BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20230216BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230216BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61P35/00
A61P7/00
C07D487/04 144
A61K31/519
A61K31/4545
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537877
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 US2020064765
(87)【国際公開番号】W WO2021126731
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/949,248
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/949,242
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/025,629
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・マカチェク
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ディー・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】チュンホイ・ホアン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エイチ・ロイターシャン
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・エル・スローマン
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ジェイ・ウィッター
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・アール・ジボー
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE03
4C050FF03
4C050FF04
4C050GG01
4C050GG02
4C050HH04
4C063AA05
4C063BB02
4C063CC15
4C063DD10
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC30
4C086CB05
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA13
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA51
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、PRMT5阻害剤である、
から選択される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステル、及びプロドラッグを提供する。また、本明細書に開示される化合物を作製する方法、本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物、ならびにがん、鎌状赤血球、及び胎児ヘモグロビン(HPFH)変異の遺伝的持続を治療するためにこれらの化合物を使用する方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
【化2】
から選択される、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
1-{4-[(4-{[(3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル]カルボニル}-5-フルオロピリジン-2-イル)アミノ]ピペリジン-1-イル}エタノン、
(6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン、
(6-シクロプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン、若しくは
(6-ブロモ-7-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノンである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
【化3】
である、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
【化4】
である、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
【化5】
である、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
【化6】
である、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
1-{4-[(4-{[(3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル]カルボニル}-5-フルオロピリジン-2-イル)アミノ]ピペリジン-1-イル}エテノン、
である、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
(6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノンである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
(6-シクロプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノンである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
(6-ブロモ-7-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノンである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項13】
がんを治療するための、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項14】
がんを治療するための方法であって、それを必要とする患者に請求項1~11のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
鎌状赤血球症を治療するための方法であって、それを必要とする患者に請求項1~11のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項16】
胎児ヘモグロビン(HPFH)変異の遺伝的持続を治療するための方法であって、それを必要とする患者に請求項1~11のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項17】
がんを治療するための医薬品の製造のための、請求項1~11のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、の使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
PRMT5(JBP1、SKB1、lBP72、SKB1his及びHRMTIL5としても知られる)は、II型アルギニンメチルトランスフェラーゼであり、ヤヌスチロシンキナーゼ(Jak2)と相互作用するタンパク質についての2-ハイブリッド検索で最初に同定された(Pollack et al.,1999)。PRMT5は、遺伝子転写の制御及び調節において重要な役割を果たす。特に、PRMT5は、ヒストンH3をArg-8にて(PRMT4によりメチル化される部位とは別個の部位)、及びヒストンH4をArg-3にて(PRMT1によりメチル化される部位と同じ部位)対称性にメチル化することが知られている。PRMT5は、細胞の生存能力、幹細胞性、DNA損傷修復及びRNAスプライシングに影響を与えることを含む、これらに限定されない多様な役割を果たすことが報告されている(Clarke et al.,Mol Cell(2017)、Chiang et al.,Cell Rep(2017)、Gerhart et al.,Sci Rep(2018))。具体的には、PRMT5の阻害は、p53の負の調節因子MDM4の選択的スプライシングを誘導し、MDM4の短いアイソフォーム(MDM4-S)の発現増加、全長アイソフォーム(MDM4-FL)の発現減少及びp53の活性増大をもたらす(Gerhart el al Sci Rep(2018))。p53の生理学的機能のほとんどは、DNAを損傷する物質に対して応答する、その転写活性化因子としての役割に起因する。p53ステータスは、ヒトのがんの症例の約半数で野生型である。これらには、子宮頸管の94%、血液悪性腫瘍の87%、骨及び内分泌腺の85%、及び原発性乳癌の75%が含まれる。野生型p53を有するがん細胞でのp53を、その機能を抑制する機構を阻害することにより回復させることで、増殖停止及びアポトーシスをもたらし、腫瘍を抑制する潜在的に有効な手段と考えられている。
【0002】
ドキソルビシン、カンプトテシン及びUV光等、様々な薬剤によって生じるDNA損傷に応答して、またヌトリン-3による治療に応答して、PRMT5のノックダウンが、サブG1集団の増加及びそれに付随したG1細胞の減少、ならびにp53の存在下ではアポトーシスの顕著な増加を引き起こす。PRMT5のノックダウンはまた、p53応答時に細胞周期停止を制御するp53の主要標的遺伝子であるp21及びp53のE3ユビキチンリガーゼであるMDM2のレベル増加をもたらしたが、アポトーシスと関連しているp53標的遺伝子のPUMA、NOXA、AlP1及びAPAF1のレベル増加はもたらさなかった。
【0003】
(PRMT1又はCARM1/PRMT4ではなく)PRMT5のノックダウンは、p53安定化の低下、p53基礎レベルの低下、p53のオリゴマー形成の低下をもたらし、また、mRNAへのリボソームの結合に関与する翻訳機構の主な成分であるelF4Eの発現低下ももたらす。事実、elF4Eは強力ながん遺伝子であり、インビトロでの悪性形質転換及びヒトがん形成を促進することが示されている。
【0004】
DNA損傷応答におけるPRMT5の役割が、忠実性の高い相同組換えに媒介されるDNA修復の調節におけるPRMT5の役割を報告するグループで、固形腫瘍モデル(Clarke et al.,Mol Cell(2017))及び血液学的腫瘍モデル(Hamard et al.,Cell Rep(2018))の両方において検討されている。
【0005】
PRMT5は、ヒトのがん症例の約半数で異常発現されており、この機構とがんとをさらに関連付けている。PRMT5過剰発現は、前立腺癌(Gu et al.,2012)、肺癌(Zhongping et al.,2012)、メラノーマ癌(Nicholas et al.,2012)、乳癌(Powers et al.,2011)、大腸癌(Cho et al.,2012)、胃癌(Kim et al.,2005)、食道及び肺癌(Aggarwal et al.,2010)ならびにB細胞リンパ腫及び白血病(Wang,2008)の患者組織試料及び細胞株で観察されている。さらに、メラノーマ、乳癌及び大腸癌でのPRMT5の発現上昇は、予後不良と相関することが示されている。
【0006】
慢性リンパ性白血病(CLL)を含むリンパ性悪性腫瘍は、PRMT5の過剰発現と関連している。PRMT5は、正常CD19+ Bリンパ球と比べて、多くの患者由来のバーキットリンパ腫;マントル細胞リンパ腫(MCL);インビトロでのEBV形質転換リンパ腫;白血病の細胞株;及びB-CLL細胞株の、核及びサイトゾルで(タンパク質レベルで)過剰発現している(Pal et al.,2007、Wang et al.,2008)。興味深いことに、これらの腫瘍細胞でのPRMT5タンパク質のレベル上昇にもかかわらず、PRMT5 mRNAのレベルは低下している(2~5倍)。しかしながら、PRMT5 mRNAの翻訳は、リンパ腫細胞では増強されており、PRMT5のレベル増加をもたらす(Pal et al.,2007、Wang et al.,2008)。
【0007】
ゲノムの変化に加え、CLLは、ほとんどすべてのがんと同様に、全体的な低メチル化、及び腫瘍抑制遺伝子等のプロモーターの抑制性過剰メチル化のホットスポットを特徴とする、異常なエピジェネティック異常を有する。CLLの起源及び進行におけるエピジェネティクスの役割はいまだ不明であるが、エピジェネティックな変化は疾患初期に発生すると思われ、DNAメチル化の特定のパターンは、より不良な予後と関連している(Chen et al.,2009、Kanduri et al.,2010)。ヒストンH3R8及びH4R3の対称性のメチル化は、形質転換リンパ系細胞株及びMCL臨床試料で増加しており(Pal et al.,2007)、多種多様なリンパ系がん細胞株及びMCL臨床試料で観察されるPRMT5の過剰発現と相関している。
【0008】
したがって、PRMT5が、新規がん治療薬の特定のための標的である。
【0009】
ヘモグロビンは、赤血球の主要タンパク質であり、肺から組織への酸素の輸送に不可欠である。ヒト成人では、最も一般的なヘモグロビンの種類は、ヘモグロビンAと呼ばれる四量体であり、2つのαサブユニット及び2つのβサブユニットからなる。ヒト乳児では、ヘモグロビン分子は、2本のα鎖及び2本のγ鎖で構成される。ガンマ鎖は、乳児が成長するにつれ徐々にβサブユニットに置き換わる。出生児に始まる胎児(γ)から成人(β)へのヒトβ様グロビン遺伝子サブタイプの発生スイッチは、ヘモグロビン異常症のβ-サラセミア又は鎌状赤血球症(SCD)の発症を予測する。β-サラセミアでは、成人の鎖が生成されない。SCDでは、βグロビン遺伝子のコード配列中の点変異が、重合特性の変化したタンパク質の生成をもたらす。(胎児ヘモグロビン(HPFH)変異の遺伝的持続の状況での)成人γ-グロビン遺伝子発現の増加がβ-サラセミア及びSCDの臨床的重症度を顕著に改善するという所見により、γ-グロビン遺伝子サイレンシングを逆転させる治療的戦略の探索が行われている。現在までのところ、これは、DNAメチル化及びヒストン脱アセチル化等のエピジェネティックな修飾に広く影響を与える化合物を使用して薬理学的誘導によって達成されている。より的を絞った治療法の開発は、胎児グロビン遺伝子を支える分子機構の特定に依存する。これらの機構は、HPFH変異の徹底的研究、及びグロビン遺伝子調節の他の多くの側面における多大な進歩にもかかわらず、依然として不明である。
【0010】
PRMT5は、ヒストンH4のアルギニン3でのジメチル化(H4R3me2s)に始まり、DNAメチル化及びγ遺伝子の転写サイレンシングに終わる、協調的な抑制性のエピジェネティックなイベントの誘発において重要な役割を果たす(Rank et al.,2010)。抑制マーカーの同調的確立に不可欠なのが、DNAメチルトランスフェラーゼDNMT3Aと他のリプレッサータンパク質とを含有するPRMT5依存性複合体のアセンブリである(Rank et al.,2010)。DNMT3Aは、PRMT5に誘導されたH4R3me2sのマークに結合するよう直接動員され、shRNA媒介性のPRMT5のノックダウンによるこのマークの喪失、又はメチルトランスフェラーゼ活性を欠くPRMT5の変異形態の強制発現は、γ遺伝子発現の顕著なアップレギュレーション、及びγ-プロモーターでのDNAメチル化の完全抑止をもたらす。非特異的メチルトランスフェラーゼ阻害剤(Adox及びMTA)によるヒト赤血球前駆細胞の処理もまた、γ遺伝子発現のアップレギュレーションをもたらした(He Y,2013)。したがって、PRMT5の阻害剤には、β-サラセミア又は鎌状赤血球症(SCD)等のヘモグロビン異常症に対する治療薬としての可能性を秘めている。
【0011】
本願発明者らは、PRMT5の活性を阻害し、ひいてはPRMT5の活性の阻害により改善される状態の治療に役立ち得る、化合物を開発した。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、PRMT5阻害剤である、
【化1】
から選択される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステル、及びプロドラッグを提供する。また、本明細書に開示される化合物を作製する方法、本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物、ならびにがん、鎌状赤血球、及び胎児ヘモグロビン(HPFH)変異の遺伝的持続を治療するためにこれらの化合物を使用する方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、
【化2】
から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0014】
一実施形態では、本発明は、
【化3】
から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。本発明の一実施形態では、化合物は、
1-{4-[(4-{[(3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル]カルボニル}-5-フルオロピリジン-2-イル)アミノ]ピペリジン-1-イル}エタノン、
(6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン、
(6-シクロプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン、
(6-ブロモ-7-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン、
又はその薬学的に許容される塩である。
【0015】
本発明の一実施形態では、化合物は、
【化4】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0016】
本発明の一実施形態では、化合物は、
【化5】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0017】
本発明の一実施形態では、化合物は、
【化6】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0018】
本発明の一実施形態では、化合物は、
【化7】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0019】
本発明の一実施形態では、化合物は、1-{4-[(4-{[(3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル]カルボニル}-5-フルオロピリジン-2-イル)アミノ]ピペリジン-1-イル}エタノン、又はその薬学的に許容される塩である。
【0020】
本発明の一実施形態では、化合物は、(6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン、又はその薬学的に許容される塩である。
【0021】
本発明の一実施形態では、化合物は、(6-シクロプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン、又はその薬学的に許容される塩である。
【0022】
本発明の一実施形態では、化合物は、(6-ブロモ-7-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン、又はその薬学的に許容される塩である。
【0023】
一実施形態では、本発明は、有効量の本明細書に開示される少なくとも1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む、がんを治療するための組成物である。
【0024】
本発明はまた、有効量の本明細書に開示される少なくとも1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び有効量の少なくとも1つの他の薬学的に活性な成分(例えば、化学療法剤等)、ならびに薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0025】
一実施形態では、本発明は、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、β-サラセミア又は鎌状赤血球症(SCD)等のヘモグロビン異常症を治療するための組成物である。
【0026】
一実施形態では、本発明は、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む、β-サラセミア又は鎌状赤血球症(SCD)等のヘモグロビン異常症を治療するための組成物である。
【0027】
一実施形態では、本発明は、PRMT5を阻害することをそれを必要とする患者で行う方法であって、有効量の本明細書に開示される少なくとも1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法である。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、がんを治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の本明細書に開示される少なくとも1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法である。
【0029】
別の実施形態では、本発明は、がんを治療することをそれを必要とする患者で行うための方法であって、有効量の本明細書に開示される少なくとも1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を、有効量の少なくとも1つの化学療法剤と組み合わせて前記患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0030】
本発明の方法には、本明細書に開示される少なくとも1つの化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物の投与が含まれる。
【0031】
別の実施形態では、本発明には、β-サラセミア又は鎌状赤血球症(SCD)等のヘモグロビン異常症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が含まれる。
【0032】
別の実施形態では、本発明は、がんを治療する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法である。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、がんを治療する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を投与することを含む、方法である。
【0034】
別の実施形態では、本発明は、β-サラセミア又は鎌状赤血球症(SCD)等のヘモグロビン異常症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法である。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、β-サラセミア又は鎌状赤血球症(SCD)等のヘモグロビン異常症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を投与することを含む、方法である。
【0036】
別の実施形態では、本発明は、がんを治療する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体、を含む組成物を投与することを含む、方法である。
【0037】
別の実施形態では、本発明は、β-サラセミア又は鎌状赤血球症(SCD)等のヘモグロビン異常症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体、を含む組成物を投与することを含む、方法である。
【0038】
別の実施形態では、本発明は、がんを治療するための医薬品の製造における、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、の使用である。
【0039】
本発明の別の実施形態では、β-サラセミア又は鎌状赤血球症(SCD)等のヘモグロビン異常症を治療するための医薬品の製造における、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、の使用である。
【0040】
別の実施形態では、本発明には、がん、又はβ-サラセミア又は鎌状赤血球症(SCD)等のヘモグロビン異常症の治療用医薬品の調製のための、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、の使用が含まれる。
【0041】
別の実施形態は、がんの治療用医薬品の調製のための、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩の、使用である。下位実施形態(subembodiment)では、がんは、i)噴門癌、ii)肺癌、iii)消化管癌、iv)泌尿生殖器癌、v)肝癌、vi)骨癌、vii)神経系のがん、viii)婦人科がん、ix)血液がん、x)皮膚癌、又はxi)副腎癌である。
【0042】
別の実施形態は、β-サラセミア又は鎌状赤血球症(SCD)等のヘモグロビン異常症の治療用医薬品の調製のための、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩、の使用である。
【0043】
別の実施形態では、本発明には、がん又はβ-サラセミア若しくは鎌状赤血球症(SCD)等のヘモグロビン異常症の治療に使用するための、本明細書に開示される化合物が含まれる。別の実施形態では、本発明には、噴門癌、肺癌、消化管癌、泌尿生殖器癌、肝癌、骨癌、神経系のがん、婦人科がん、血液がん、皮膚癌、又は副腎癌の治療に使用するための、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0044】
本発明の一例では、治療されるがんは、結腸直腸癌(例えば、結腸腺癌及び結腸腺腫等)である。したがって、本発明の別の例は、結腸直腸癌を治療することをそのような治療を必要とする患者で行う方法を対象とし、前記方法は、有効量の本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、を前記患者に投与することを含む。本発明の別の例は、結腸直腸癌を治療することをそのような治療を必要とする患者で行う方法を対象とし、前記方法は、前記患者に、有効量の本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び有効量の少なくとも1つの化学療法剤、を投与することを含む。
【0045】
本発明はまた、メラノーマであるがんを治療する上記方法のいずれかを提供する。したがって、本発明の別の例は、メラノーマを治療することをそのような治療を必要とする患者で行う方法を対象とし、前記方法は、有効量の本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、を前記患者に投与することを含む。本発明の別の例は、メラノーマを治療することをそのような治療を必要とする患者で行う方法を対象とし、前記方法は、前記患者に、有効量の本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び有効量の少なくとも1つの化学療法剤、を投与することを含む。
【0046】
本明細書に記載される、がんを治療する方法には、任意選択で、有効量の照射の投与が含まれ得る(すなわち、本明細書に記載される、がんを治療する方法には、任意選択で、放射線療法を行うことが含まれる)。
【0047】
本明細書に記載される、がんを治療する方法には、がんを治療する方法であって、治療的有効量の本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩を、放射線療法と組み合わせて、及び/又は第2の化合物若しくはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含み、第2の化合物が、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞毒性細胞増殖抑制薬剤、抗増殖剤、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR-γ作動薬、PPAR-δ作動薬、固有の多剤耐性の阻害剤、抗催吐剤、貧血の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫増強薬、細胞の増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、γ-セクレターゼ及び/又はNOTCHの阻害剤、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)を妨げる薬剤、細胞周期チェックポイントを妨げる薬剤、ならびに本明細書に列挙されている任意の治療剤から選択される、方法が含まれる。
【0048】
本明細書に記載される、がんを治療する方法のいずれかにおいて、特に断らない限り、方法には、任意選択で、有効量の放射線療法を行うことが含まれ得る。放射線療法の場合、γ線照射が好ましい。
【0049】
一実施形態では、本明細書に開示される化合物は、本明細書で、例えば、実施例1~4において例示されている化合物からなる群から選択されるか、又はその薬学的に許容される塩である。
【0050】
用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、及び特定の成分の特定の量での組み合わせから直接又は間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。用語「抗がん剤」とは、薬物(医薬品又は薬学的に活性な成分)、又はがんを治療するための抗体を意味する。用語「少なくとも1つ」とは、1又は2以上を意味する。本発明の化合物の数に言及した「少なくとも1つ」の意味は、化学療法剤の数に言及した場合の意味とは独立している。用語「化学療法剤」とは、がんを治療するための薬物(医薬品又は薬学的に活性な成分)(すなわち、抗悪性腫瘍薬)を意味する。用語「有効量」とは、「治療的有効量」を意味する。用語「治療的有効量」とは、組織、系、動物、又はヒトにおいて、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医によって求められている生物学的応答又は薬物応答を誘発する活性化合物又は医薬剤の量を意味する。したがって、例えば、本明細書に記載される、がんを治療する方法において「有効量」(又は「治療的有効量」)とは、(a)がんによって生じる1つ以上の症状の低下、軽減又は消失、(b)腫瘍サイズの縮小、(c)腫瘍の除去、及び/又は(d)腫瘍の長期の疾患安定化(増殖停止)、をもたらす化合物(又は薬物)、又は照射の量を意味する。また、例えば、PRMT5阻害剤(すなわち、本発明の化合物)の有効量又は治療的有効量は、PRMT5活性の低下をもたらす量である。用語「がんを治療すること」又は「がんの治療」とは、がん性状態に罹患している哺乳類への投与を指し、がん性細胞を死滅させることによってがん性状態を軽減する効果を指し、また、がんの増殖及び/又は転移の阻害をもたらす効果も指す。
【0051】
これらの化学療法剤の大部分の安全かつ効果的な投与のための方法は、当業者に公知である。さらに、それらの投与は、標準的文献に記載されている。例えば、多くの化学療法剤の投与は、現在、www.pdr.netを通じて利用可能な”Physicians’ Desk Reference”(PDR)、例えば、Physicians’ Desk Reference,64th Edition,2010(PDR Network,LLC at Montvale,NJ 07645-1725により出版)に記載されており、それらの開示は、それらへの参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
治療サイクル完了後に患者が反応しているか又は安定している場合は、熟練した臨床医の判断に従って治療サイクルを繰り返すことができる。治療サイクルの完了時、患者に、治療プロトコルで投与された用量と同じ用量で本発明の化合物を継続することができる。この維持量は、患者が進行するか又はその用量に耐えられなくなるまで(その場合、用量を減量することができ、患者は、減量された用量で継続することができる)継続することができる。
【0053】
当業者は、本発明の方法で使用される、投与のための実際の投与量及びプロトコルは、熟練した臨床医の判断に応じて異なる場合があることを認識するであろう。使用される実際の投与量は、患者の要件及び治療される状態の重症度に応じて異なる場合がある。特定の状況についての適切な投与量の決定は、当業者の技量の範囲内である。投与のための投与量及びプロトコルを変更する決定は、熟練した臨床医が、患者の年齢、状態及び大きさ、ならびに治療されるがんの重症度及び治療に対する患者の反応のような因子を考慮した後になされ得る。
【0054】
本明細書に開示される化合物及び化学療法剤の投与の量及び頻度は、患者の年齢、状態及び大きさ、ならびに治療されるがんの重症度のような因子を考慮して、主治臨床医(主治医)の判断に従って管理される。
【0055】
本発明の化合物はまた、がんの治療に有用な医薬品の調製に有用である。
【0056】
本発明の化合物はまた、治療薬、化学療法剤及び抗がん剤との組み合わせに有用である。本願で開示される化合物と、治療薬、化学療法剤及び抗がん剤との組み合わせは、本発明の範囲内である。そのような薬剤の例は、Cancer Principles and Practice of Oncology by V.T. Devita and S.Hellman(editors),9th edition(May 16,2011),Lippincott Williams & Wilkins Publishersに見出すことができる。当業者であれば、関与する薬物及びがんの特定の特徴に基づいて、薬剤のどの組み合わせが有用であるかを識別することができるであろう。そのような薬剤としては、以下が挙げられる:エストロゲン受容体モジュレーター、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)阻害剤、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)阻害剤、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞毒性/細胞増殖抑制性の薬剤、抗増殖剤、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤及び他の血管新生阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、細胞の増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、γ-セクレターゼ阻害剤、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)を妨げる薬剤、ならびに細胞周期チェックポイントを妨げる薬剤。本発明の化合物は、放射線療法と同時投与される場合に特に有用である。
【0057】
化学療法剤は、当該技術分野において周知の治療プロトコルに従って投与することができる。治療されるがん及びその疾患に対する化学療法剤の既知の効果に応じて化学療法剤の投与が変更され得ることは、当業者には明らかであろう。また、熟練した臨床医の知識に従って、治療プロトコル(例えば、投与量及び投与回数)は、患者に対する投与治療剤の観察された効果を考慮して、また投与治療剤に対するがんの観察された反応を考慮して変えることができる。
【0058】
初回投与は、当該技術分野で公知の確立されたプロトコルに従って行うことができ、その後、観察された効果に基づいて、投与量、投与方法、及び投与回数を熟練した臨床医が変更することができる。
【0059】
化学療法剤の個々の選択は、主治医の診断ならびに患者の状態及び適切な治療プロトコルについての主治医の判断によって異なる。
【0060】
治療プロトコル中の化学療法剤の投与の順序、及び投与の反復回数についての決定は、治療されるがん及び患者の状態の評価後、十分に熟練医師の知識の範囲内である。
【0061】
したがって、経験及び知識に従って、開業医は、治療が進むにつれ、化学療法剤の投与のための各プロトコルを個々の患者のニーズに従って変更することができる。そのような変更はいずれも本発明の範囲内である。
【0062】
抗がん剤は、当該技術分野において周知の治療プロトコルに従って投与することができる。治療されるがん及びその疾患に対する抗がん剤の既知の効果に応じて抗がん剤の投与が変更され得ることは、当業者には明らかであろう。また、熟練した臨床医の知識に従って、治療プロトコル(例えば、投与量及び投与回数)は、患者に対する投与治療剤の観察された効果を考慮して、また投与治療剤に対するがんの観察された反応を考慮して変えることができる。
【0063】
初回投与は、当該技術分野で公知の確立されたプロトコルに従って行うことができ、その後、観察された効果に基づいて、投与量、投与方法、及び投与回数を熟練した臨床医が変更することができる。
【0064】
抗がん剤の個々の選択は、主治医の診断ならびに患者の状態及び適切な治療プロトコルについての主治医の判断によって異なる。
【0065】
治療プロトコル中の抗がん剤の投与の順序、及び投与の反復回数についての決定は、治療されるがん及び患者の状態の評価後、十分に熟練医師の知識の範囲内である。
【0066】
したがって、経験及び知識に従って、開業医は、治療が進むにつれ、抗がん剤の投与のための各プロトコルを個々の患者のニーズに従って変更することができる。そのような変更はいずれも本発明の範囲内である。
【0067】
主治臨床医は、投与した投与量で治療が有効であるかどうかを判断する際、患者の全般的な健康状態、及びがん関連症状(例えば、疼痛)の緩和、腫瘍増殖の阻害、実際の腫瘍の縮小、又は転移の阻害等のより明らかな徴候を考慮する。腫瘍のサイズは、放射線による試験、例えば、CAT又はMRIスキャン等の標準的方法により測定することができ、連続測定を使用して、腫瘍の増殖が遅延又は逆転したかどうかを判断することができる。疼痛等の疾患関連症状の緩和、及び全体状態の改善も治療の有効性を判断する一助として用いることができる。
【0068】
本明細書で提供される化合物、組成物及び方法は、がんの治療に有用である。本明細書に開示される化合物、組成物及び方法により治療され得るがんとしては、(1)心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫及び奇形腫、(2)肺:気管支原性癌(扁平上皮、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫、非小細胞、(3)消化器:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、腺管腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸、直腸結腸、直腸、(4)泌尿生殖器、腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(セミノーマ、奇形腫、胚性癌腫、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫)、(5)肝臓、肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、(6)骨、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫、脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫及び巨細胞腫、(7)神経系、頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、グリオーマ、上衣腫、胚腫[松果体腫]、多型性神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、グリオーマ、肉腫)、(8)婦人科、子宮(子宮内膜癌)、子宮頸管(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、分類不能の癌腫]、顆粒膜-卵胞膜細胞腫瘍、セルトリ-ライデイッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫)、乳房、(9)血液、血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫]、(10)皮膚、悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、ほくろ、異型母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬、及び(11)副腎、神経芽腫が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物、組成物及び方法により治療され得るがんの例としては、甲状腺癌、甲状腺未分化癌、表皮癌、頭頸部癌(例えば、頭頸部の扁平上皮癌)、肉腫、奇形癌、肝癌及び多発性骨髄腫が挙げられる。したがって、本明細書で記載される「がん性細胞」という用語には、上記で特定された状態のいずれか1つにより侵されている細胞が含まれる。
【0069】
乳癌(例えば、閉経後及び閉経後の乳癌、例えば、ホルモン依存性乳癌)の治療では、本明細書に開示される化合物は、有効量の、(a)アロマターゼ阻害剤、(b)抗エストロゲン剤、及び(c)LHRHアナログからなる群から選択される少なくとも1つの抗ホルモン剤、ならびに任意選択で、有効量の少なくとも1つの化学療法剤、と共に使用され得る。アロマターゼ阻害剤の例としては、アナストロゾール(例えば、アリミデックス)、レトロゾール(例えば、フェマーラ)、エキセメスタン(アロマシン)、ファドロゾール及びホルメスタン(例えば、レンタロン(Lentaron))が挙げられるが、これらに限定されない。抗エストロゲン剤の例としては、タモキシフェン(例えば、ノルバデックス)、フルベストラント(例えば、フェソロデックス)、ラロキシフェン(例えば、エビスタ)、及びアコルビフェンが挙げられるが、これらに限定されない。LHRHアナログの例としては、ゴセレリン(例えば、ゾラデックス)及びリュープロリド(例えば、Lupron又はLupron Depot等のリュープロリド酢酸塩)が挙げられるが、これらに限定されない。化学療法剤の例としては、トラスツズマブ(例えば、ハーセプチン)、ゲフィチニブ(例えば、イレッサ)、エルロチニブ(例えば、タルセバ等のエルロチニブHCl)、ベバシズマブ(例えば、アバスチン)、セツキシマブ(例えば、アービタックス)、及びボルテゾミブ(例えば、ベルケイド)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
「エストロゲン受容体モジュレーター」とは、機構にかかわらず、エストロゲンが受容体に結合することを妨げるか又は阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレーターの例としては、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4-[7-(2,2-ジメチル-1-オキソプロポキシ-4-メチル-2-[4-[2-(1-ピペリジニル)エトキシ]フェニル]-2H-1-ベンゾピラン-3-イル]-フェニル-2,2-ジメチルプロパノアート、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニル-ヒドラゾン、及びSH646が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
PD-1阻害剤としては、ペンブロリズマブ(ランブロリズマブ)、ニボルマブ及びMPDL3280Aが挙げられる。PDL-阻害剤としては、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブが挙げられる。
【0072】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」とは、機構にかかわらず、受容体へのアンドロゲンの結合を妨げるか又は阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレーターの例としては、フィナステリド及び他の5α-還元酵素阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール、ならびにアビラテロン酢酸塩が挙げられる。
【0073】
「レチノイド受容体モジュレーター」とは、機構にかかわらず、受容体へのレチノイドの結合を妨げるか又は阻害する化合物を指す。そのようなレチノイド受容体モジュレーターの例としては、ベキサロテン、トレチノイン、13-cis-レチノイン酸、9-cis-レチノイン酸、α-ジフルオロメチルオルニチン、ILX23-7553、trans-N-(4’-ヒドロキシフェニル)レチンアミド、及びN-4-カルボキシフェニルレチンアミドが挙げられる。
【0074】
「細胞毒性/細胞増殖抑制性の薬剤」とは、細胞死を引き起こすか、又は主に細胞が機能することを直接妨げることによって細胞増殖を阻害するか、又は細胞減数分裂を阻害するか若しくは妨げる、化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、低酸素活性化化合物、微小管阻害剤/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤、増殖因子及びサイトカインシグナル伝達経路に関与するキナーゼの阻害剤、代謝拮抗剤、生体応答調節剤、ホルモン治療剤/抗ホルモン治療剤、造血成長因子、モノクローナル抗体標的治療剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤、及びオーロラキナーゼ阻害剤が含まれる。
【0075】
細胞毒性/細胞増殖抑制剤の例としては、セルテネフ(sertenef)、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、ホテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン、インプロスルファントシル酸塩、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン(profiromycin)、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド(dexifosfamide)、cis-アミンジクロロ(2-メチル-ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(trans,trans,trans)-ビス-mu-(ヘキサン-1,6-ジアミン)-mu-[ジアミン-白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化ヒ素、1-(11-ドデシルアミノ-10-ヒドロキシウンデシル)-3,7-ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’-デアミノ-3’-モルホリノ-13-デオキソ-10-ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、4-デメトキシ-3-デアミノ-3-アジリジニル-4-メチルスルホニル-ダウノルビシン(WO 00/50032を参照のこと)、Rafキナーゼ阻害剤(Bay43-9006等)及びmTOR阻害剤(WyethのCCI-779等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
低酸素活性化化合物の一例は、チラパザミンである。
【0077】
プロテオソーム阻害剤の例としては、ラクタシスチン及びMLN-341(ベルケイド)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
微小管阻害剤/微小管安定化剤の例としては、パクリタキセル、ビンデシン硫酸塩、3’,4’-ジデヒドロ-4’-デオキシ-8’-ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソル(docetaxol)、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、アウリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ-N-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、TDX258、エポチロン(例えば、米国特許第6,284,781号及び同第6,288,237号を参照のこと)及びBMS188797が挙げられる。一例では、エポチロンは、微小管阻害剤/微小管安定化剤には含まれない。
【0079】
トポイソメラーゼ阻害剤のいくつかの例は、トポテカン、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6-エトキシプロピオニル-3’,4’-O-エキソ-ベンジリデン-カルトロイシン、9-メトキシ-N,N-ジメチル-5-ニトロピラゾロ[3,4、5-kl]アクリジン-2-(6H)プロパンアミン、1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]-インドリジノ[1,2b]キノリン-10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン、7-[2-(N-イソプロピルアミノ)エチル]-(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’-ジメチルアミノ-2’-デオキシ-エトポシド、GL331、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-9-ヒドロキシ-5,6-ジメチル-6H-ピリド[4,3-b]カルバゾール-1-カルボキサミド、アスラクリン、(5a,5aB,8aa,9b)-9-[2-[N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-N-メチルアミノ]エチル]-5-[4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル]-5,5a,6,8,8a,9-ヘキソヒドロフロ(hexohydrofuro)(3’,4’:6,7)ナフト(2,3-d)-1,3-ジオキソール-6-オン、2,3-(メチレンジオキシ)-5-メチル-7-ヒドロキシ-8-メトキシベンゾ[c]-フェナントリジニウム、6,9-ビス[(2-アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソギノリン(isoguinoline)-5,10-ジオン、5-(3-アミノプロピルアミノ)-7,10-ジヒドロキシ-2-(2-ヒドロキシエチルアミノメチル)-6H-ピラゾロ[4,5,1-de]アクリジン-6-オン、N-[1-[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]-7-メトキシ-9-オキソ-9H-チオキサンテン-4-イルメチル]ホルムアミド、N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン-4-カルボキサミド、6-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]-3-ヒドロキシ-7H-インデノ[2,1-c]キノリン-7-オン,及びジメスナである。
【0080】
有糸分裂キネシンの阻害剤の例、特に、ヒト有糸分裂キネシンKSPの例は、公開WO 03/039460、WO 03/050064、WO 03/050122、WO 03/049527、WO 03/049679、WO 03/049678、WO 04/039774、WO 03/079973、WO 03/099211、WO 03/105855、WO 03/106417、WO 04/037171、WO 04/058148、WO 04/058700、WO 04/126699、WO 05/018638、WO 05/019206、WO 05/019205、WO 05/018547、WO 05/017190、US 2005/0176776に記載されている。一例では、有糸分裂キネシンの阻害剤として、KSPの阻害剤、MKLP1の阻害剤、CENP-Eの阻害剤、MCAKの阻害剤及びRab6-KIFLの阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
「ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤」の例としては、SAHA、TSA、オキサムフラチン、PXD101、MG98及びスクリプタイドが挙げられるが、これらに限定されない。他のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤へのさらなる言及は、Miller,T.A. et al. J. Med. Chem. 46(24):5097-5116(2003)の原稿に見出され得る。
【0082】
「有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤」としては、オーロラキナーゼの阻害剤、ポロ様キナーゼ(PLK)の阻害剤(特にPLK-1の阻害剤)、bub-1の阻害剤及びbub-R1の阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。「オーロラキナーゼ阻害剤」の一例は、VX-680(トザセルチブ)である。
【0083】
「抗増殖剤」としては、G3139、ODN698、GEM231、及びINX3001等のRNA及びDNAのアンチセンスオリゴヌクレオチド、ならびにエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスファート、ホステアビンナトリウム水和物(fosteabine sodium hydrate)、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフル、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン(nelzarabine)、2’-デオキシ-2’-メチリデンシチジン、2’-フルオロメチレン-2’-デオキシシチジン、N-[5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾフリル)スルホニル]-N’-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、N6-[4-デオキシ-4-[N2-[2(E),4(E)-テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]-L-グリセロ-B-L-マンノ-ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン、4-[2-アミノ-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-3H-ピリミジノ[5,4-b][1,4]チアジン-6-イル-(S)-エチル]-2,5-チエノイル-L-グルタミン酸、アミノプテリン、5-フルオロウラシル、アラノシン、11-アセチル-8-(カルバモイルオキシメチル)-4-ホルミル-6-メトキシ-14-オキサ-1,11-ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)-テトラデカ-2,4,6-トリエン-9-イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デキスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’-シアノ-2’-デオキシ-N4-パルミトイル-1-B-D-アラビノフラノシルシトシン、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン及びトラスツズマブ等の代謝拮抗剤が挙げられる。
【0084】
モノクローナル抗体標的治療剤の例としては、がん細胞特異的又は標的細胞特異的なモノクローナル抗体に結合している細胞毒性剤又は放射性同位体を有する治療剤が挙げられる。例として、ベキサールが挙げられる。
【0085】
「HMG-CoA還元酵素阻害剤」とは、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA還元酵素の阻害剤を指す。使用され得るHMG-CoA還元酵素阻害剤の例としては、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標)(米国特許第4,231,938号、同第4,294,926号及び同第4,319,039号を参照のこと))、シンバスタチン(ZOCOR(登録商標)(米国特許第4,444,784号、同第4,820,850号及び同第4,916,239号を参照のこと))、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標)(米国特許第4,346,227号、同第4,537,859号、同第4,410,629号、同第5,030,447号及び同第5,180,589号を参照のこと))、フルバスタチン(LESCOL(登録商標)(米国特許第5,354,772号、同第4,911,165号、同第4,929,437号、同第5,189,164号、同第5,118,853号、同第5,290,946号及び同第5,356,896号を参照のこと))、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標)(米国特許第5,273,995号、同第4,681,893号、同第5,489,691号及び同第5,342,952号を参照のこと))、ロスバスタチン(CRESTOR(登録商標)、米国再発行特許第RE37,314号)及びセリバスタチン(リバスタチンとしても知られる、BAYCHOL(登録商標)(米国特許第5,177,080号を参照のこと))が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法で使用され得るこれら及び追加のHMG-CoA還元酵素阻害剤の構造式は、M.Yalpani,“Cholesterol Lowering Drugs”,Chemistry & Industry,pp. 85-89(5 February 1996)の87ページならびに米国特許第4,782,084号及び同第4,885,314号に記載されている。本明細書で使用される場合のHMG-CoA還元酵素阻害剤という用語には、すべての薬学的に許容される、ラクトン及び開環した酸形態(すなわち、ラクトン環が開環して遊離酸を形成している)ならびにHMG-CoA還元酵素の阻害活性を有する化合物の塩及びエステルの形態が含まれ、したがって、そのような塩、エステル、開環した酸及びラクトンの形態は、本発明の範囲内に含まれる。
【0086】
「プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤」とは、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ酵素のいずれか1つ又は任意の組み合わせを阻害する化合物を指し、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ(FPTase)、ゲラニルゲラニルタンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTase-I)、及びゲラニルゲラニルタンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTase-II、Rab GGPTaseとも呼ばれる)が含まれる。血管新生でのプレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の役割の一例については、European J.of Cancer,Vol.35,No.9,pp.1394-1401(1999)を参照のこと。
【0087】
「血管新生阻害剤」とは、機構にかかわらず、新たな血管の形成を阻害する化合物を指す。血管新生阻害剤の例としては、チロシンキナーゼ受容体Flt-1(VEGFR1)及びFlk-1/KDR(VEGFR2)の阻害剤、表皮由来、線維芽細胞由来、又は血小板由来の増殖因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断薬、インターフェロン-α、インターロイキン-12、ポリ硫酸ペントサン、シクロオキシゲナーゼ阻害剤等の、チロシンキナーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されるわけではなく、それらとしては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン及びイブプロフェン、ならびにセレコキシブ及びロフェコキシブのような選択的シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤(PNAS,Vol.89,p.7384(1992)、JNCI,Vol.69,p.475(1982)、Arch.Opthalmol.,Vol.108,p.573(1990)、Anat.Rec.,Vol.238,p.68(1994)、FEBS Letters,Vol.372,p.83(1995)、Clin,Orthop.Vol.313,p.76(1995)、J.Mol.Endocrinol.,Vol.16,p.107(1996)、Jpn.J.Pharmacol.,Vol.75,p.105(1997)、Cancer Res.,Vol.57,p.1625(1997)、Cell,Vol.93,p.705(1998)、Intl.J.Mol.Med.,Vol.2,p.715(1998)、J.Biol.Chem.,Vol.274,p.9116(1999))、ステロイド性抗炎症薬(コルチコステロイド、ミネラルコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレド、ベタメタゾン等)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA-4、スクアラミン、6-O-クロロアセチル-カルボニル)-フマギロール、サリドマイド、アンジオスタチン、トロポニン-1、アンジオテンシンII拮抗薬(Fernandez et al.,J.Lab.Clin.Med.105:141-145(1985)を参照のこと)、及びVEGFに対する抗体(Nature Biotechnology,Vol.17,pp.963-968(October 1999)、Kim et al.,Nature,362,841-844(1993)、WO 00/44777、及びWO 00/61186を参照のこと)が挙げられる。
【0088】
血管新生を調節又は阻害し、本発明の化合物と組み合わせても使用され得る他の治療剤としては、凝固及び線溶系を調節又は阻害する薬剤が挙げられる(Clin.Chem.La.Med.38:679-692(2000)の概説を参照のこと)。凝固及び線溶の経路を調節又は阻害するような薬剤の例としては、ヘパリン(Thromb.Haemost.80:10-23(1998)を参照のこと)、低分子量ヘパリン及びカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性型トロンビン活性化型線溶阻害因子[TAFIa]の阻害剤としても知られる)(Thrombosis Res.101:329-354(2001)を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。TAFIa阻害剤は、米国特許出願第60/310,927号(2001年8月8日に出願)及び同第60/349,925号(2002年1月18日に出願)に記載されている。
【0089】
「細胞周期チェックポイントを妨げる薬剤」とは、細胞周期チェックポイントシグナルを伝達するプロテインキナーゼを阻害し、それにより、がん細胞をDNA損傷剤に対して感受性にする化合物を指す。そのような薬剤としては、ATR、ATM、CHK1キナーゼ及びCHK2キナーゼの阻害剤ならびにcdkキナーゼ及びcdcキナーゼの阻害剤が挙げられ、具体的には、7-ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(Cyclacel)及びBMS-387032により例証される。
【0090】
「受容体型チロシンキナーゼ(RTK)を妨げる薬剤」とは、RTKを阻害し、したがって、腫瘍形成及び腫瘍進行に関与する機構を阻害する化合物を指す。そのような薬剤としては、c-Kit、Eph、PDGF、Flt3及びc-Metの阻害剤が挙げられる。さらなる薬剤としては、Bume-Jensen及びHunter(Nature,411:355-365,2001)により記載されているようなRTKの阻害剤が挙げられる。
【0091】
「細胞の増殖及び生存シグナル伝達経路の阻害剤」とは、細胞表面受容体の下流のシグナル伝達カスケードを阻害する化合物を指す。そのような薬剤としては、セリン/トレオニンキナーゼの阻害剤(WO 02/083064、WO 02/083139、WO 02/083140、US 2004-0116432、WO 02/083138、US 2004/0102360、WO 03/086404、WO 03/086279、WO 03/086394、WO 03/084473、WO 03/086403、WO 2004/041162、WO 2004/096131、WO 2004/096129、WO 2004/096135、WO 2004/096130、WO 2005/100356、WO 2005/100344、US 7,454,431、US 7,589,068に記載されているようなAktの阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない)、Rafキナーゼの阻害剤(例えば、BAY-43-9006)、MEKの阻害剤(例えば、CI-1040及びPD-098059)、mTORの阻害剤(例えば、Wyeth、CCI-779)、及びPI3Kの阻害剤(例えば、LY294002)が挙げられる。
【0092】
上記のように、NSAIDとの組み合わせは、強力なCOX-2阻害剤であるNSAIDの使用を対象とする。本明細書の目的の場合、NSAIDは、細胞又はミクロソームのアッセイにより測定した場合に、COX-2の阻害についてIC50が1μM以下であれば強力である。
【0093】
本発明はまた、選択的COX-2阻害剤であるNSAIDとの組み合わせも包含する。本明細書の目的の場合、COX-2の選択的阻害剤であるNSAIDは、細胞又はミクロソームのアッセイにより評価した、COX-2に対するIC50とCOX-1に対するIC50の比により測定した場合に、COX-1よりもCOX-2を少なくとも100倍阻害する特異性を有するものと定義される。そのような化合物としては、米国特許第5,474,995号、米国特許第5,861,419号、米国特許第6,001,843号、米国特許第6,020,343号、米国特許第5,409,944号、米国特許第5,436,265号、米国特許第5,536,752号、米国特許第5,550,142号、米国特許第5,604,260号、米国特許第5,698,584号、米国特許第5,710,140号、WO 94/15932、米国特許第5,344,991号、米国特許第5,134,142号、米国特許第5,380,738号、米国特許第5,393,790号、米国特許第5,466,823号、米国特許第5,633,272号、及び米国特許第5,932,598号(そのいずれも参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
本発明の治療方法に特に有用なCOX-2の阻害剤は、3-フェニル-4-(4-(メチルスルホニル)フェニル)-2-(5H)-フラノン、及び5-クロロ-3-(4-メチルスルホニル)-フェニル-2-(2-メチル-5-ピリジニル)ピリジン、又はその薬学的に許容される塩である。
【0095】
特異的COX-2の阻害剤として報告されており、したがって、本発明において有用な化合物としては、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、BEXTRA(登録商標)及びCELEBREX(登録商標)、又はその薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
他の血管新生阻害剤の例としては、エンドスタチン、ウクライン(ukrain)、ランピルナーゼ、IM862、5-メトキシ-4-[2-メチル-3-(3-メチル-2-ブテニル)オキシラニル]-1-オキサスピロ[2,5]オクト-6-イル(クロロアセチル)カルバマート、アセチルジナナリン(acetyldinanaline)、5-アミノ-1-[[3,5-ジクロロ-4-(4-クロロベンゾイル)フェニル]メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド、CM101、スクアラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースホスファート(sulfated mannopentaose phosphate)、7,7-(カルボニル-ビス[イミノ-N-メチル-4,2-ピロロカルボニルイミノ[N-メチル-4,2-ピロール]-カルボニルイミノ]-ビス-(1,3-ナフタレンジスルホナート)、及び3-[(2,4-ジメチルピロル-5-イル)メチレン]-2-インドリノン(SU5416)、又はその薬学的に許容される塩であるが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
上記で使用されているように、「インテグリン遮断薬」とは、αvβ3インテグリンへの生理学的リガンドの結合に選択的に拮抗する、それを選択的に阻害する、又はそれに選択的に対抗する化合物、αvβ5インテグリンへの生理学的リガンドの結合に選択的に拮抗する、それを選択的に阻害する、又はそれに選択的に対抗する化合物、αvβ3インテグリン及びαvβ5インテグリンの両方への生理学的リガンドの結合に拮抗する、それを阻害する、又はそれに対抗する化合物、ならびに毛細血管内皮細胞に発現される特定のインテグリン(複数可)の活性に拮抗する、それを阻害する、又はそれに対抗する化合物を指す。用語はまた、αvβ6インテグリン、αvβ8インテグリン、α1β1インテグリン、α2β1インテグリン、α5β1インテグリン、α6β1インテグリン及びα6β4インテグリンのアンタゴニストも指す。用語はまた、αvβ3インテグリン、αvβ5インテグリン、αvβ6インテグリン、αvβ8インテグリン、α1β1インテグリン、α2β1インテグリン、α5β1インテグリン、α6β1インテグリン、及びα6β4インテグリンの任意の組み合わせのアンタゴニストも指す。
【0098】
チロシンキナーゼ阻害剤のいくつかの具体例としては、N-(トリフルオロメチルフェニル)-5-メチルイソオキサゾール-4-カルボキサミド、3-[(2,4-ジメチルピロル-5-イル)メチリデニル)インドリン-2-オン、17-(アリルアミノ)-17-デメトキシゲルダナマイシン、4-(3-クロロ-4-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシ-6-[3-(4-モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)-4-キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12-ヘキサヒドロ-10-(ヒドロキシメチル)-10-ヒドロキシ-9-メチル-9,12-エポキシ-1H-ジインドロ[1,2,3-fg:3’,2’,1’-kl]ピロロ[3,4-i][1,6]ベンゾジアゾシン-1-オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4-(3-クロロフェニルアミノ)-5,6-ジメチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンメタンスルホナート、4-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリン、4-(4’-ヒドロキシフェニル)アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N-4-クロロフェニル-4-(4-ピリジルメチル)-1-フタラジンアミン、及びEMD121974、又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0099】
抗がん化合物以外の化合物との組み合わせもまた、本発明の方法に包含される。例えば、本発明の特許請求の範囲の化合物と、PPAR-γ(すなわち、PPAR-ガンマ)作動薬及びPPAR-δ(すなわち、PPAR-デルタ)作動薬との組み合わせは、特定の悪性腫瘍の治療に有用である。PPAR-γ及びPPAR-δは、核内ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体及びである。内皮細胞上のPPAR-γの発現、及び血管新生におけるその関与が文献で報告されている(J.Cardiovasc.Pharmacol.1998,31:909-913、J.Biol.Chem.1999,274:9116-9121、Invest.Ophthalmol Vis.Sci.2000,41:2309-2317を参照のこと)。ごく最近では、PPAR-γ作動薬は、インビトロでのVEGFに対する血管新生反応を阻害することが示されており、トログリタゾンマレイン酸塩及びロシグリタゾンマレイン酸塩のいずれもマウスにおいて網膜血管新生の発達を阻害する(Arch.Ophthamol.2001;119:709-717)。PPAR-γ作動薬及びPPAR-γ/α作動薬の例としては、チアゾリジンジオン系(DRF2725、CS-011、トログリタゾン、ロシグリタゾン、及びピオグリタゾン等)、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、GW2570、SB219994、AR-H039242、JTT-501、MCC-555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2-[(5,7-ジプロピル-3-トリフルオロメチル-1,2-ベンゾイソオキサゾール・-6-イル)オキシ]-2-メチルプロピオン酸(USSN09/782,856に開示)、及び2(R)-7-(3-(2-クロロ-4-(4-フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)-2-エチルクロマン-2-カルボン酸(USSN60/235,708及び同60/244,697に開示)、又はその薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
本発明の別の例は、がん治療のための遺伝子治療と組み合わせた本発明に開示の化合物の使用である。がん治療に対する遺伝子戦略の概要については、Hall et al.,(Am.J.Hum.Genet.61:785-789,1997)及びKufe et al.,(Cancer Medicine,5th Ed,pp 876-889,BC Decker,Hamilton 2000)を参照のこと。遺伝子治療を使用して、任意の腫瘍抑制遺伝子を送達することができる。そのような遺伝子の例としては、組換えウイルスによる遺伝子導入を介して送達され得るp53(例えば、米国特許第6,069,134号を参照のこと)、uPA/uPARアンタゴニスト(“Adenovirus-Mediated Delivery of a uPA/uPAR Antagonist Suppresses Angiogenesis-Dependent Tumor Growth and Dissemination in Mice,”Gene Therapy,August 1998;5(8):1105-13)、及びインターフェロンガンマ(J.Immunol.2000;164:217-222)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
本発明の化合物は、固有の多剤耐性の阻害剤(MDR)、特に、輸送タンパク質の高レベルの発現と関連するMDRと組み合わせて投与してもよい。そのようなMDR阻害剤としては、p-糖タンパク質(P-gp)の阻害剤、例えば、LY335979、XR9576、OC144-093、R101922、VX853及びPSC833(バルスポダール)、又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0102】
本発明の化合物は、本発明の化合物の単独又は放射線療法と併せた使用から生じる場合がある急性、遅発性、後期、及び予測性の嘔吐等の悪心又は嘔吐を治療するために抗催吐剤と併用され得る。嘔吐の予防又は治療の場合、本発明の化合物は、他の抗催吐剤、特に、ニューロキニン-1受容体拮抗薬、5HT3受容体拮抗薬(オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、及びザチセトロン(zatisetron)等)、バクロフェン等のGABAB受容体作動薬、コルチコステロイド(デカドロン(デキサメタゾン)、ケナログ、アリストコート(Aristocort)、ナサリド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)、又は米国特許第2,789,118号、同第2,990,401号、同第3,048,581号、同第3,126,375号、同第3,929,768号、同第3,996,359号、同第3,928,326号、及び同第3,749,712号に開示されているような他のもの)、抗ドパミン作用薬(フェノチアジン(例えば、プロクロルペラジン、フルフェナジン、チオリダジン及びメソリダジン)等)、メトクロプラミド又はドロナビノールと併用され得る。別の例では、本発明の化合物の投与時に生じ得る嘔吐の治療又は予防のための、ニューロキニン-1受容体拮抗薬、5HT3受容体拮抗薬及びコルチコステロイドから選択される抗嘔吐剤との併用療法が開示されている。
【0103】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩はまた、貧血の治療に有用な薬剤と共に投与され得る。そのような貧血治療剤は、例えば、持続性エリスロポエシス受容体活性化因子(エポエチンアルファ等)である。
【0104】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩はまた、好中球減少症の治療に有用な薬剤と共に投与され得る。そのような好中球減少症治療剤は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)等の好中球の産生及び機能を制御する造血成長因子である。G-CSFの例としては、フィルグラスチムが挙げられる。
【0105】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩はまた、レバミソール、イソプリノシン及びザダキシン等の免疫増強薬、又はその薬学的に許容される塩と共に投与され得る。
【0106】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩はまた、生体異物、キニジン、チラミン、ケトコナゾール、テストステロン、キニーネ、メチラポン(methyrapone)、カフェイン、フェネルジン、ドキソルビシン、トロレアンドマイシン、シクロベンザプリン、エリスロマイシン、コカイン、フラフィリン(furafyline)、シメチジン、デキストロメトルファン、リトナビル、インジナビル、アンプレナビル、ジルチアゼム、テルフェナジン、ベラパミル、コルチゾール、イトラコナゾール、ミベフラジル、ネファゾドン及びネルフィナビル、又はその薬学的に許容される塩が含まれる、P450阻害剤と組み合わせてがんを治療又は予防するのに有用であり得る。
【0107】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩はまた、シクロスポリンA、PSC833、GF120918、cremophorEL、フミトレモルジンC、Ko132、Ko134、イレッサ、イマチニブメシル酸塩、EKI-785、Cl1033、ノボビオシン、ジエチルスチルベストロール、タモキシフェン、レスペルピン(resperpine)、VX-710、トリプロスタチンA、フラボノイド、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、オメプラゾール、キニジン、ベラパミル、テルフェナジン、ケトコナゾール、ニフィデピン(nifidepine)、FK506、アミオダロン、XR9576、インジナビル、アンプレナビル、コルチゾール、テストステロン、LY335979、OC144-093、エリスロマイシン、ビンクリスチン、ジゴキシン及びタリノロール、又はその薬学的に許容される塩が含まれる、Pgp及び/又はBCRPの阻害剤と組み合わせてがんを治療又は予防するのに有用であり得る。
【0108】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩はまた、ビスホスホネート系(ビスホスホネート、ジホスホネート、ビスホスホン酸及びジホスホン酸を含むと理解される)と組み合わせて骨癌を含むがんを治療又は予防するのに有用であり得る。ビスホスホネートの例としては、エチドロン酸(ダイドロネル)、パミドロン酸(アレディア)、アレンドロン酸(フォサマック)、リセドロン酸(アクトネル)、ゾレドロン酸(ゾメタ)、イバンドロン酸(ボニバ)、インカドロン酸又はシマドロン酸(cimadronate)、クロドロン酸、EB-1053、ミノドロン酸、ネリドロン酸、ピリドロン酸(piridronate)及びチルドロン酸、ならびにあらゆる薬学的に許容されるそれらの、塩、誘導体、水和物及び混合物を含めたものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩はまた、アロマターゼ阻害剤と組み合わせて乳癌を治療又は予防するのに有用であり得る。アロマターゼ阻害剤の例としては、アナストロゾール、レトロゾール及びエキセメスタン、又はその薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩はまた、siRNA治療薬と組み合わせてがんを治療又は予防するのに有用であり得る。
【0111】
本発明の化合物は、γ-セクレターゼ阻害剤及び/又はNOTCHシグナル伝達の阻害剤と組み合わせて投与され得る。そのような阻害剤としては、WO 01/90084、WO 02/30912、WO 01/70677、WO 03/013506、WO 02/36555、WO 03/093252、WO 03/093264、WO 03/093251、WO 03/093253、WO 2004/039800、WO 2004/039370、WO 2005/030731、WO 2005/014553、USSN 10/957,251、WO 2004/089911、WO 02/081435、WO 02/081433、WO 03/018543、WO 2004/031137、WO 2004/031139、WO 2004/031138、WO 2004/101538、WO 2004/101539及びWO 02/47671に記載の化合物(LY-450139を含む)、又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0112】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩はまた、PARP阻害剤と組み合わせてがんを治療又は予防するのに有用であり得る。
【0113】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩はまた、以下の治療剤、又はその薬学的に許容される塩と組み合わせてがんを治療するのに有用であり得る:ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、アバレリクス(Plenaxis depot(登録商標));アルデスロイキン(Prokine(登録商標));アルデスロイキン(Proleukin(登録商標));アレムツズマブ(Campath(登録商標));アリトレチノイン(Panretin(登録商標));アロプリノール(Zyloprim(登録商標));アルトレタミン(Hexalen(登録商標));アミホスチン(Ethyol(登録商標));アナストロゾール(Arimidex(登録商標));三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標));アスパラギナーゼ(Elspar(登録商標));アザシチジン(Vidaza(登録商標));ベバクジマブ(bevacuzimab)(Avastin(登録商標));ベキサロテンカプセル(Targretin(登録商標));ベキサロテンゲル(Targretin(登録商標));ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標));ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));ブスルファン静注用(Busulfex(登録商標));経口ブスルファン(Myleran(登録商標));カルステロン(Methosarb(登録商標));カペシタビン(Xeloda(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標));カルムスチン(Gliadel(登録商標));カルムスチン及びポリフェプロサン20留置用(Gliadel Wafer(登録商標));セレコキシブ(Celebrex(登録商標));セツキシマブ(Erbitux(登録商標));クロラムブシル(Leukeran(登録商標));シスプラチン(Platinol(登録商標));クラドリビン(Leustatin(登録商標)、2-CdA(登録商標));クロファラビン(Clolar(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan Injection(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan Tablet(登録商標));シタラビン(Cytosar-U(登録商標));シタラビンリポソーム(DepoCyt(登録商標));ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(Cosmegen(登録商標));ダルベポエチンアルファ(Aranesp(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(DanuoXome(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Daunorubicin(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Cerubidine(登録商標));デニロイキンディフチトクス(Ontak(登録商標));デキスラゾキサン(Zinecard(登録商標));ドセタキセル(Taxotere(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin PFS(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標));ドキソルビシン(Adriamycin PFS注射用(登録商標));ドキソルビシンリポソーム(Doxil(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(Dromostanolone(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(Masterone injection(登録商標));Elliott’s B Solution(Elliott’s B Solution(登録商標));エピルビシン(Ellence(登録商標));エポエチンアルファ(epogen(登録商標));エルロチニブ(Tarceva(登録商標));エストラムスチン(Emcyt(登録商標));リン酸エトポシド(Etopophos(登録商標));エトポシド、VP-16(Vepesid(登録商標));エキセメスタン(Aromasin(登録商標));フィルグラスチム(Neupogen(登録商標));フロキシウリジン(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(Fludara(登録商標));フルオロウラシル、5-FU(Adrucil(登録商標));フルベストラント(Faslodex(登録商標));ゲフィチニブ(Iressa(登録商標));ゲムシタビン(Gemzar(登録商標));ゲムツズマブ・オゾガマイシン(Mylotarg(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(Zoladex Implant(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(Zoladex(登録商標));ヒストレリン酢酸塩(Histrelinインプラント(登録商標));ヒドロキシ尿素(Hydrea(登録商標));イブリツモマブ・チウキセタン(Zevalin(登録商標));イダルビシン(Idamycin(登録商標));イホスファミド(IFEX(登録商標));メシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標));インターフェロンアルファ2a(Roferon A(登録商標));インターフェロンアルファ-2b(Intron A(登録商標));イリノテカン(Camptosar(登録商標));レナリドミド(Revlimid(登録商標));レトロゾール(Femara(登録商標));ロイコボリン(Wellcovorin(登録商標)、Leucovorin(登録商標));リュープロリド酢酸塩(Eligard(登録商標));レバミソール(Ergamisol(登録商標));ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン、ナイトロジェンマスタード(Mustargen(登録商標));酢酸メゲストロール(Megace(登録商標));メルファラン、L-PAM(Alkeran(登録商標));メルカプトプリン、6-MP(Purinethol(登録商標));メスナ(Mesnex(登録商標));メスナ(Mesnex錠(登録商標));メトトレキサート(Methotrexate(登録商標));メトキサレン(Uvadex(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ミトタン(Lysodren(登録商標));ミトキサントロン(Novantrone(登録商標));フェニルプロピオン酸ナンドロロン(Durabolin-50(登録商標));ネララビン(Arranon(登録商標));ノフェツモマブ(Verluma(登録商標));オプレルベキン(Neumega(登録商標));オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標));パクリタキセル(Paxene(登録商標));パクリタキセル(Taxol(登録商標));パクリタキセルタンパク質結合粒子(Abraxane(登録商標));パリフェルミン(Kepivance(登録商標));パミドロン酸(Aredia(登録商標));ペグアデマーゼ(Adagen(ウシペグアデマーゼ)(登録商標));ペガスパルガーゼ(Oncaspar(登録商標));ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標));ペメトレキセドナトリウム(Alimta(登録商標));ペントスタチン(Nipent(登録商標));ピポブロマン(Vercyte(登録商標));プリカマイシン、ミトラマイシン(Mithracin(登録商標));ポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標));プロカルバジン(Matulane(登録商標));キナクリン(Atabrine(登録商標));ラスブリカーゼ(Elitek(登録商標));リツキシマブ(Rituxan(登録商標));リダホロリムス;サルグラモスチム(Leukine(登録商標));サルグラモスチム(Prokine(登録商標));ソラフェニブ(Nexavar(登録商標));ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));スニチニブリンゴ酸塩(Sutent(登録商標));タルク(Sclerosol(登録商標));タモキシフェン(Nolvadex(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標));テニポシド、VM-26(Vumon(登録商標));テストラクトン(Teslac(登録商標));チオグアニン、6-TG(Thioguanine(登録商標));チオテパ(Thioplex(登録商標));トポテカン(Hycamtin(登録商標));トレミフェン(Fareston(登録商標));トシツモマブ(Bexxar(登録商標));トシツモマブ/I-131トシツモマブ(Bexxar(登録商標));トラスツズマブ(Herceptin(登録商標));トレチノイン、ATRA(Vesanoid(登録商標));ウラシルマスタード(Uracil Mustard Capsules(登録商標));バルルビシン(Valstar(登録商標));ビンブラスチン(Velban(登録商標));ビンクリスチン(Oncovin(登録商標));ビノレルビン(Navelbine(登録商標));ボリノスタット(Zolinza(登録商標))及びゾレドロン酸(Zometa(登録商標))。
【0114】
一例では、第2の化合物として使用される血管新生阻害剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、表皮由来増殖因子の阻害剤、線維芽細胞由来増殖因子の阻害剤、血小板由来増殖因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断薬、インターフェロン-α、インターロイキン-12、ポリ硫酸ペントサン、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA-4、スクアラミン、6-O-クロロアセチル-カルボニル)-フマギロール、サリドマイド、アンジオスタチン、トロポニン-1、又はVEGFに対する抗体から選択される。一例では、エストロゲン受容体モジュレーターは、タモキシフェン又はラロキシフェン、又はその薬学的に許容される塩である。
【0115】
したがって、本発明の範囲には、以下から選択される第2の化合物と組み合わせた本発明の特許請求の範囲の化合物の使用が包含される:エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞毒性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR-γ作動薬、PPAR-δ作動薬、固有の多剤耐性の阻害剤、抗催吐剤、貧血の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫増強薬、細胞の増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、γ-セクレターゼ及び/又はNOTCHの阻害剤、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)を妨げる薬剤、細胞周期チェックポイントを妨げる薬剤、及び上掲の治療剤のいずれか。
【0116】
また、特許請求の範囲には、治療的有効量の本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩を、放射線療法と組み合わせて投与すること、及び/又は以下から選択される第2の化合物と組み合わせて投与することを含む、がんを治療する方法も含まれる:エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞毒性細胞増殖抑制薬剤、抗増殖剤、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR-γ作動薬、PPAR-δ作動薬、固有の多剤耐性の阻害剤、抗催吐剤、貧血の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫増強薬、細胞の増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、γ-セクレターゼ及び/又はNOTCHの阻害剤、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)を妨げる薬剤、細胞周期チェックポイントを妨げる薬剤、及び上掲の治療剤のいずれか。
【0117】
本発明のさらに別の例は、治療的有効量の本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩を、パクリタキセル又はトラスツズマブと組み合わせて投与することを含む、がんを治療する方法である。
【0118】
本発明はさらに、治療的有効量の本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩を、COX-2阻害剤、又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む、がんを治療又は予防する方法を包含する。
【0119】
本明細書に開示される治療上の組み合わせは、特定の疾患又は状態(例えば、細胞増殖障害)の予防、治療、管理、改善、又はリスクの低減において使用される他の抗がん剤等のこれらに限定されない1つ以上の他の活性薬剤と組み合わせて使用してよい。一実施形態では、本明細書に開示される化合物は、本明細書に開示される化合物が有用である特定の疾患又は状態の予防、治療、管理、改善、又はリスクの低減に使用するための1つ以上の他の抗がん剤と併用される。そのような他の活性薬剤は、それらについて一般的に使用される経路及び量で、本開示の化合物に先立つか、同時か、又は順次に投与され得る。
【0120】
本発明にはまた、治療的有効量の本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び以下から選択される第2の化合物を含む、がんの治療又は予防に有用な医薬組成物も含まれる:エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞毒性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR-γ作動薬、PPAR-δ作動薬、細胞の増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、γ-セクレターゼ及び/又はNOTCHの阻害剤、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)を妨げる薬剤、細胞周期チェックポイントを妨げる薬剤、及び上掲の治療剤のいずれか。
【0121】
本発明には、本明細書に開示される化合物、及び薬学的に許容される塩の他、遊離化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の前駆体として使用されるか又は他の合成操作で使用される場合に薬学的に許容されない塩も含まれる。
【0122】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与され得る。用語「薬学的に許容される塩」とは、無機又は有機の塩基及び無機又は有機の酸等の薬学的に許容される無毒な塩基又は酸から調製される塩を指す。「薬学的に許容される塩」という用語内に包含される塩基性化合物の塩とは、遊離塩基を好適な有機又は無機の酸と反応させることによって一般に調製される、本発明の化合物の無毒な塩を指す。本発明の塩基性化合物の代表的塩としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスピラート(aspirate)、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、4-ブロモベンゼンスルホン酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、シクロヘキシルアミドスルホナート、シクロペンタンプロピオナート、ジエチル酢酸塩、二グルコン酸塩、二塩酸塩、ドデシルスルファナート(dodecylsulfanate)、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストラート、エシラート(esylate)、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコヘプタノアート(glucoheptanoate)、グルコン酸塩、グルクオナート(glucuonate)、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩(glycollylarsanilate)、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘキシルレゾルシナート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヒドロキシナフトアート、ヨウ化物、イソニコチン酸、イソチオナート(isothionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ塩酸、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、メタンスルホン酸塩、ムカート、2-ナフタレンスルホン酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピメリン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、トリエトヨージド、トリフルオロ酢酸塩、トリフルオロメチルスルホナート、p-トルエンスルホン酸、ウンデコナート(undeconate)、吉草酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
さらに、本発明の化合物が酸性部分を持っている場合、その薬学的に許容される好適な塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、マンガマス(mangamous)、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる、無機塩基に由来する塩が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、及びナトリウムの塩である。
【0124】
水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコキシド及びアンモニア等の塩基性試薬、有機塩基又は代替的に塩基性アミノ酸を用いると、本明細書に開示される化合物は、安定なアルカリ金属、アルカリ土類金属、又は任意選択で置換されたアンモニウムの塩を形成する。薬学的に許容される無毒な有機塩基に由来する塩としては、第一級、第二級、及び第三級のアミン、ジシクロヘキシルアミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、オルニチン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタモール、トロメタミン等の塩が挙げられる。また、メチル、エチル、プロピル、及びブチルの塩化物、臭化物及びヨウ化物のような、低級アルキルハロゲン化物;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル及び硫酸ジアミルのような硫酸ジアルキル;デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルの塩化物、臭化物及びヨウ化物のような長鎖ハロゲン化物、臭化ベンジル及び臭化フェネチルのようなアラルキルハロゲン化物等、のような物質を用いて四級化され得る塩基性窒素含有基も含まれる。
【0125】
立体異性体形態を含め、塩形成能のある本明細書に開示される化合物からの薬理学的に許容される塩の調製は、公知の方法、例えば、本発明の化合物を当量及び所望の酸、塩基等を含有する溶液と混合し、その後、塩をろ過するか又は溶媒を留去して所望の塩を回収することによって行われる。本発明の化合物及びその塩は、水、エタノール、又はグリセロール等の溶媒と溶媒和物を形成し得る。本発明の化合物は、側鎖の置換基の種類に応じて、酸付加塩及び塩基を有する塩を同時に形成し得る。
【0126】
本発明は、本明細書に開示される化合物のすべての立体異性体形態を包含する。本発明の構造式において、キラル炭素の結合が直線で描かれている場合、キラル炭素の(R)配置と(S)配置の両方、したがって、それらの鏡像異性体と混合物の両方が、化合物に包含されると理解される。同様に、化合物名が、キラル炭素のキラル表記を用いずに記述されている場合、キラル炭素の(R)配置と(S)配置の両方、したがって、それらの個々の鏡像異性体及び混合物が、その名称に包含されると理解される。特定の立体異性体又はその混合物の生成は、そのような立体異性体又は混合物が得られた実施例で同定され得るが、これは決して、すべての立体異性体及びその混合物を含めることを本発明の範囲内であることから制限するものではない。
【0127】
絶対立体化学は、必要に応じて、既知の配置の立体中心を含有する試薬を用いて誘導体化された結晶生成物又は結晶中間体のX線結晶解析によって決定され得る。本発明の化合物が互変異性化能がある場合、すべての個々の互変異性体及びその混合物が本発明の範囲に含まれる。本発明には、そのようなすべての異性体、ならびにそのような異性体及び互変異性体の塩、溶媒和物(水和物を含む)及び溶媒和による塩、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0128】
本発明の化合物では、原子は、それらの天然の同位体存在量を示し得るか、又は原子番号は同じであるが、原子の質量又は質量数が主に天然に見出される原子の質量又は質量数とは異なる特定の同位体において原子のうちの1つ以上が人工的に濃縮されている場合がある。本発明は、具体的かつ一般的に記載されている化合物のすべての好適な同位体の変型が含まれること意図する。例えば、水素(H)の異なる同位体形態には、プロチウム(1H)及び重水素(2H)が含まれる。プロチウムは、天然に見出される主要な水素同位体である。重水素についての濃縮で、インビボ半減期の増大又は必要投与量の減少等の特定の治療上の利点が得られる場合があるか、又は生体試料の特徴付けの基準として有用な化合物が提供される場合がある。同位体で濃縮した化合物は、同位体が濃縮された適切な試薬及び/又は中間体を使用して、当業者に周知の慣例的な技術によって、又は一般的プロセススキーム及び本明細書の例に記載されているプロセスと類似のプロセスによって、過度の実験を伴うことなく調製することができる。
【0129】
さらに、本発明の化合物は、無晶形及び/又は1つ以上の結晶形で存在し得、そのため、本明細書に開示される化合物の無晶形及び結晶形ならびにその混合物はすべて、本発明の範囲内に含まれることが意図される。さらに、本発明の化合物のいくつかは、水との溶媒和物(すなわち、水和物)又は一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成し得る。本発明の化合物のそのような溶媒和物及び水和物、特に、薬学的に許容される溶媒和物及び水和物は、非溶媒和形態及び無水形態と共に、本発明の範囲内に同様に包含される。
【0130】
本発明には、他に明記しない限り、本明細書に開示される化合物、ならびにその塩、特に、そのような化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物及びその溶媒和の塩形態(そのような形態が可能な場合)が含まれる。
【0131】
アルキル基に一般的に使用される略語が明細書全体を通じて使用され、例えば、メチルは、「Me」又はCH3等の従来の略語、又は末端基として延びた結合の記号、例えば、
【化8】
によって表され得、エチルは、「Et」又はCH2CH3によって表され得、プロピルは、「Pr」又はCH2CH2CH3によって表され得、ブチルは、「Bu」又はCH2CH2CH2CH3によって表され得る等である。
例えば、「C1-4アルキル」(又は「C1-C4アルキル」)は、指定されている数の炭素原子を有する、すべての異性体を含めた直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。例えば、構造
【化9】
は同等の意味を有する。C1-4アルキルとしては、n-、iso-、sec-及びt-のブチル、n-及びイソプロピル、エチル及びメチルが挙げられる。数が指定されていない場合は、直鎖又は分岐したアルキル基では1~4個の炭素原子が意図される。
【0132】
また、本発明の化合物中に存在する、カルボン酸(-COOH)又はアルコール基の場合、メチル、エチル、若しくはピバロイルオキシメチル等のカルボン酸誘導体、又はO-アセチル、O-ピバロイル、O-ベンゾイル、及びO-アミノアシル等のアルコールのアシル誘導体の、薬学的に許容されるエステルを用いることができる。徐放性製剤又はプロドラッグ製剤として使用するために溶解度又は加水分解特性を変更するための当該技術分野で公知のエステル及びアシル基が含まれる。
【0133】
本明細書に開示される化合物が、分子内に酸性基と塩基性基を同時に含有する場合、本発明にはまた、言及されている塩形態に加え、分子内塩又はベタイン類(双性イオン)も含まれる。塩は、当業者に知られる通例の方法によって、例えば、溶媒又は分散剤中での有機又は無機の酸又は塩基との組み合わせによって本明細書に開示される化合物から取得するか、又は他の塩からの陰イオン交換又は陽イオン交換によって取得することができる。本発明にはまた、生理学的適合性が低いことから医薬品での使用には直接的に好適ではないが、例えば、化学反応のため、又は生理学的に許容される塩の調製のための中間体として使用することができる、本明細書に開示される化合物のすべての塩が含まれる。
【0134】
本発明にはまた、プロドラッグ及び溶媒和物として作用する、本明細書に開示される化合物の誘導体も含まれる。本発明の範囲内の化合物へのインビボでの変換をもたらす、本発明の化合物のいかなる薬学的に許容されるプロドラッグ修飾もまた、本発明の範囲内である。プロドラッグは、患者への投与後に、血液での加水分解を介して等の正常な代謝過程又は化学的プロセスにより、本明細書に開示される化合物に体内で変換される。そのようなプロドラッグとしては、本明細書に開示される化合物の薬物吸収を改善するために、バイオアベイラビリティ、組織特異性、及び/又は細胞内送達の増強を示すものが挙げられる。そのようなプロドラッグの効果は、親油性、分子量、電荷等の物理化学的特性、及び薬物の透過特性を決定する他の物理化学的特性の変更によりもたらされ得る。例えば、エステルは、化合物中の、利用可能なカルボン酸基のエステル化によって、又は利用可能なヒドロキシ基上でのエステル形成によって、任意選択で生成することができる。同様に、不安定なアミドを生成することができる。本発明の化合物の薬学的に許容されるエステル又はアミドは、特にインビボで、加水分解されて酸(又は変換が起こる液又は組織のpHに応じて-COO-)又はヒドロキシ形態に戻ることができるプロドラッグとして作用するよう調製され得るため、それらも本発明の範囲内に包含される。薬学的に許容されるプロドラッグ修飾の例としては、-C1-6アルキルエステル及びフェニルエステルで置換される-C1-6アルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
任意の構成要素又は本明細書に開示されるスキームにおいて任意の可変要素が2回以上出現する場合、各出現についてのその定義は、他の出現ごとのその定義とは独立している。また、置換基及び/又は可変要素の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合に限り許容できる。
【0136】
特別の記載がない限り、用語「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0137】
環原子が「X」等の可変要素で表されている、例えば、
【化10】
の場合、可変要素は、可変環の位置に位置させた原子を、その原子と関連する環結合を描かずに示すことによって定義される。例えば、上記の環のXが窒素である場合、定義には「N」と示され、それと関連する結合は描かれず、例えば、「=N-」とは示されない。同様に、Xが臭化物で置換されている炭素原子である場合、定義には「C-Br」と示され、それと関連する結合は描かれず、例えば、
【化11】
とは示されない。
【0138】
本発明はまた、本明細書に開示される化合物のうちの少なくとも1つの化合物、及び/又は化合物の薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つ、ならびに任意選択で、化合物の立体異性体形態又は化合物の立体異性体形態の薬学的に許容される塩を、薬学的に許容されるビヒクル、担体、添加物及び/又は他の活性物質及び助剤と共に含有する、医薬品に関する。
【0139】
本発明による医薬品は、経口、吸入、直腸又は経皮の投与によって、又は皮下、関節内、腹腔内又は静脈内の注射によって投与することができる。経口投与が好ましい。本明細書に開示される化合物を用いたステントのコーティング及び体内の血液と接触する他の表面にも可能である。
【0140】
本発明はまた、薬学的に許容される担体及び任意選択でさらなる好適な活性物質、添加物又は助剤を使用して、本明細書に開示される少なくとも1つの化合物を投与に好適な形態にすることを含む、医薬品の製造のための工程に関する。
【0141】
好適な固体又はガレノス製剤の形態は、例えば、顆粒、粉末、コーティング錠、錠剤、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、ジュース、懸濁液、エマルジョン、液滴又は注射液及び活性物質の放出が持続性の調製物であり、その調製では、通例、ビヒクル、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨潤剤、流動化剤又は滑沢剤、香料、甘味料及び可溶化剤等の添加剤が使用される。言及され得る頻用される助剤は、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、乳糖、マンニトール及び他の糖、タルク、乳糖、ゼラチン、デンプン、セルロース及びその誘導体、動物性及び植物性の油、例えば、タラ肝油、ヒマワリ油、ピーナツ油又はゴマ油、ポリエチレングリコール、ならびに、例えば、滅菌水及び一価又はグリセロール等の多価のアルコール等の溶媒である。
【0142】
化合物を用いる投与レジメンは、患者の種類、種、年齢、体重、性別及び医学的状態;治療される状態の重症度;投与経路;患者の腎機能及び肝機能;ならびに使用される特定の化合物又はその塩を含む、様々な要因に従って選択される。通常の技量を有する医師又は獣医であれば、その状態を予防する、それに対抗する、又はその進行を停止させるのに必要な薬物有効量を容易に決定し処方することができる。
【0143】
示されている効果のために使用される場合、化合物の経口投与量は、1日あたり体重1kgあたりのmg(mg/kg/日)が約0.01から約30mg/kg/日の間の範囲、好ましくは0.025~7.5mg/kg/日、より好ましくは0.1~2.5mg/kg/日、最も好ましくは0.1~0.5mg/kg/日である(他に明記しない限り、活性成分の量は遊離塩基ベースである)。例えば、80kgの患者であれば、約0.8mg/日~2.4g/日、好ましくは2~600mg/日、より好ましくは8~200mg/日、最も好ましくは8~40mg/kg/日を投与されるであろう。したがって、1日1回投与に好適に調製された医薬品であれば、0.8mg~2.4g、好ましくは2mg~600mg、より好ましくは8mg~200mg、最も好ましくは8mg~40mg、例えば、8mg、10mg、20mg及び40mgを含有するであろう。有利なことに、化合物は、1日2回、3回、又は4回の分割量で投与してよい。1日2回の投与の場合、好適に調製された医薬品は、0.4mg~4g、好ましくは1mg~300mg、より好ましくは4mg~100mg、最も好ましくは4mg及び20mg、例えば、4mg、5mg、10mg及び20mgを含有するであろう。
【0144】
静脈内には、患者は、1日あたり体重1kgあたりのmg(mg/kg/日)が約0.01~約30mg/kg/日、好ましくは0.025~7.5mg/kg/日、より好ましくは0.1~2.5mg/kg/日、よりさらに好ましくは0.1~0.5mg/kg/日を送達するのに十分な量の活性成分を投与されるであろう。そのような量は、例えば、1回の長期間又は1日数回の期間中は大量の低濃度の活性成分、短期間中、例えば、1日1回の期間中は少量の高濃度の活性成分等の、いくつかの好適な方法で投与され得る。典型的には、約0.01~1.0mg/ml、例えば、0.1mg/ml、0.3mg/ml、及び0.6mg/mlの濃度の活性成分を含有する従来の静脈内投与製剤を調製して、0.01ml/kg(患者の体重)~10.0ml/kg(患者の体重)、例えば、0.1ml/kg、0.2ml/kg、0.5ml/kgの1日あたりの量で投与してよい。一例では、活性成分の濃度が0.5mg/mlの静脈内投与製剤の8mlを1日2回投与される80kgの患者は、1日あたり8mgの活性成分を投与される。静脈内投与の場合に許容されるpH範囲で妥当な緩衝能を有する、グルクロン酸、L-乳酸、酢酸、クエン酸又は任意の薬学的に許容される酸/共役塩基を、緩衝剤として使用してよい。投与される薬物の溶解度に応じた、製剤の適切な緩衝剤及びpHの選択は、当業者により容易に行われる。
【0145】
本発明の化合物は、文献で既知であるか又は実験手順に例示されている他の標準的操作に加え、以下の反応スキームに示すような反応を用いることによって調製され得る。したがって、以下の例示的な反応スキームは、列挙されている化合物によって、又は例示目的で使用される任意の特定の置換基によって限定されるものではない。
【0146】
本発明の化合物を作製する方法
一般方法
本発明の化合物は、例えば、公開されている文書に記載の既知のプロセスによって既知の化合物又は市販の化合物から容易に生成することができ、また下記の生成プロセスによって生成することができる。本発明は、以下に記載の生成プロセスに限定されない。本発明にはまた、本発明の化合物の調製のための工程も含まれる。
【0147】
本明細書に開示される化合物が、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、又はチオール基等の反応性基をその置換基として有する場合、そのような基を、各反応ステップにおいて保護基で適切に保護してよいこと、及び保護基を、その後の段階で除去してよいことに留意すべきである。保護基のそのような導入及び除去のプロセスは、保護される基及び保護基の種類に応じて適切に決定され得、また、そのような導入及び除去は、例えば、Greene,T.W.,et.al.,“Protective Groups in Organic Synthesis”,2007,4th Ed.,Wiley,New York,or Kocienski,P.,“Protecting Groups”1994,Thiemeの概説の項に記載のプロセスによって行われる。
【0148】
化学名と構造の間で矛盾が存在する場合は、構造が支配すると理解されることに留意すべきである。
【0149】
本発明は、本発明の少数の態様の例示として意図される例に開示される具体的な実施形態により範囲が限定されるものではなく、機能的に等価ないかなる実施形態も、本発明の範囲内である。事実、本明細書で示され記載されている変更に加え、本発明の様々な変更が、関連分野の当業者に明らかとなり、それらの変更は添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
【0150】
使用したすべての溶媒は市販のものであり、それ以上精製することなく使用した。反応は、典型的には、窒素の不活性雰囲気下で無水溶媒を使用して実行された。
【0151】
使用した出発物質は、商業的供給源から入手可能であるか、又は文献の手順に従って調製され、実験データは、報告されているものに一致していた。使用される略語は、当該技術分野で慣用的な以下のものである。
ACN acetonitrile アセトニトリル
Ar Aryl アリール
Aq. Aqueous 水溶液
BSA bovine serum albumin ウシ血清アルブミン
Boc tert-Butyloxycarbonyl protecting group tert-ブチルオキシカルボニル保護基
BrettPhos G3 [(2-Di-cyclohexylphosphino-3,6-dimethoxy-2’,4’,6’-triisopropyl-1,1’-biphenyl)-2-(2’-amino-1,1’-biphenyl)]palladium(II) methanesulfonate methanesulfonate [(2-ジ-シクロヘキシルホスフィノ-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)-2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホナートメタンスルホン酸塩
℃ degree Celsius 摂氏
CDCl3 deuterated chloroform 重水素化クロロホルム
CD3OD deuterated methanol 重水素化メタノール
CHCl3 chloroform クロロホルム
Cs2CO3 cesium carbonate 炭酸セシウム
DCM dichloromethane ジクロロメタン
DIEA N,N-diisopropylethylamine N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMA N,N-dimethylacetamide N,N-ジメチルアセトアミド
DMF N,N-dimethylformamide N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO dimethylsulfoxide ジメチルスルホキシド
DTT dithiothreitol ジチオトレイトール
EtOAc ethyl acetate 酢酸エチル
EtOH ethanol エタノール
g gram グラム
h hour(s) 時間(複数可)
2 Hydrogen 水素
2O Water 水
HATU N-[(Dimethylamino)-1H-1,2,3-triazolo-[4,5-b]pyridin-1-ylmethylene]-N-methylmethanaminium hexafluorophosphate N-oxide N-[(ジメチルアミノ)-1H-1,2,3-トリアゾロ-[4,5-b]ピリジン-1-イルメチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスファートN-オキシド
HCl hydrochloric acid 塩酸
HPLC High Performance Liquid Chromatography 高速液体クロマトグラフィー
2CO3 potassium carbonate 炭酸カリウム
L Liter リットル
LCMS liquid chromatography and mass spectrometry 液体クロマトグラフィー及び質量分析法
LiBr lithium bromide 臭化リチウム
M molar モル
MHz Megahertz メガヘルツ
MeCN Acetonitrile アセトニトリル
MeOH methanol メタノール
MS mass spectrometry 質量分析法
MsCl methanesulfonyl chloride メタンスルホニルクロリド
mmol millimole ミリモル
mg milligram ミリグラム
min minutes 分
mL milliliter(s) ミリリットル(複数可)
2 nitrogen 窒素
NaH sodium hydride 水素化ナトリウム
NaHCO3 Sodium Bicarbonate 炭酸水素ナトリウム
NaI sodium iodide ヨウ化ナトリウム
NaOH Sodium Hydroxide 水酸化ナトリウム
NBS N-bromosuccinimide N-ブロモスクシンイミド
nM nanomolar ナノモル
NMP N-methyl-2-pyrrolidone N-メチル-2-ピロリドン
N normal 正常
NH3
2O ammonia in water アンモニア水
NH4OH ammonium hydroxide 水酸化アンモニウム
NMR nuclear magnetic resonance 核磁気共鳴法
Pd/C又はPd-C palladium on carbon パラジウム炭素
PdCl2(dppf) [1,1-bis(diphenylphosphine)ferrocene]dichloropalladium(II) [1,1-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
Pet. Ether Petroleum ether 石油エーテル
psi pound per square inch ポンド毎平方インチ
rt room temperature 室温
sat. saturated 飽和
SM starting material 出発物質
SFC Supercritical fluid chromatography 超臨界流体クロマトグラフィー
tBuOK potassium tert-butoxide (or t-BuOK) カリウムtert-ブトキシド(又はt-BuOK)
T3P propylphosphonic anhydride プロピルホスホン酸無水物
TBAB tetrabutylammonium bromide テトラブチルアンモニウムブロミド
TEA triethylamine トリエチルアミン
TFA trifluoroacetic acid トリフルオロ酢酸
TfOH trifluromethane sulfonic acid トリフルオロメタンスルホン酸
THF tetrahydrofuran テトラヒドロフラン
TLC thin layer chromatography 薄層クロマトグラフィー
Prep.TLC preparative TLC 分取TLC
TMSCBrF2 (bromodifluoromethyl) trimethylsilane (ブロモジフルオロメチル)トリメチルシラン
μL microliter マイクロリットル
vol volume 体積
【0152】
一般合成スキーム
本発明は、上記の特定の例と併せて記載されているが、多くのその代替案、変更及び変形は当業者に明らかであろう。場合によっては、反応を促進するため、又は望ましくない反応生成物を回避するために、反応スキームのステップを実施する順序が異なり得る。そのような代替案、変更及び変形はいずれも、本発明の趣旨及び範囲内に入ることが意図される。出発物質及び中間体は、商業的供給源から購入されるか、既知の手順から作られるか、又は他の方法で例示される。
【0153】
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法は、以下のスキーム及び実施例に記載されている。別段に示されていない限り、すべての可変要素は、先に定義されているとおりである。すべての一般スキームにおいて、Arは、任意選択で置換されたアリール部分又はヘテロアリール部分を意味する。
スキーム1:
【化12】
スキーム1では、任意選択で置換されたヒドロキシピペリジン1を、任意選択で置換されたアリール又はヘテロアリールカルボン酸に標準的アミドカップリング条件を用いてカップリングさせ、アミド2を得ることができる。
2は水素である。
3は水素である。
9は水素である。
スキーム2:
【化13】
スキーム2では、任意選択で置換されたブロモピリジン3を、金属触媒の存在下で置換アミンとクロスカップリングさせて、形態4の化合物を生成させることができる。
2は、
【化14】
である。
中間体の合成
中間体1:(3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-3-オール
【化15】
ステップ1:1-ベンジルピペリジン-4-オール(200g、1.05mol)のトルエン溶液(1.6L)にTEA(175mL、1.25mol)を25℃で滴加した。MsCl(97.1mL、1.25mol)を混合物に0℃でゆっくりと滴加した。混合物を25℃で2時間撹拌した。水(750mL)を混合物に加えた。有機層を水で洗浄し(400mLで2回)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮し、1-ベンジルピペリジン-4-イルメタンスルホン酸を得、それを、それ以上精製することなく使用した。
ステップ2:1-ベンジルピペリジン-4-イルメタンスルホン酸(280g、1.04mol)のDMA溶液(800mL)に、t-BuOK(175g、1.56mol)を25℃で少しずつ加えた。混合物を45℃で8時間撹拌した。反応を水(1.0L)でクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した(600mLで3回)。有機層をブラインで洗浄し(500mLで2回)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮し、1-ベンジル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンを固体として得た。この材料をそれ以上精製することなく使用した。1H NMR (400 MHz,CDCl3)δ 7.28-7.14(m,5H),5.68-5.65(m,1H),5.59-5.55(m,1H),3.50(s,2H),2.91-2.87(m, H),2.49-2.46(m,2H),2.10-2.06(m,2H)。
ステップ3:1-ベンジル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(160g、924mmol)の水溶液(1.0L)にTFA(68.4mL、924mmol)を25℃で滴加した。混合物にNBS(197g、1.11mol)を25℃で少しずつゆっくりと加えた。混合物を45℃で12時間撹拌した。25℃のトルエン(1.2L)を混合物に加え、次いで、NaOH(240g、6.00mol)のH2O溶液(260mL)を加えた。混合物を45℃で1時間撹拌した。水層をEtOAcで抽出し(1.2Lで2回)、併せた有機層をブラインで洗浄し(1.0Lで2回)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(0~15%の酢酸エチル/石油エーテルの勾配)により精製し、3-ベンジル-7-オキサ-3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタンを油として得、それを、それ以上精製することなく使用した。
ステップ4:3-ベンジル-7-オキサ-3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン(80g、423mmol)のACN溶液(600mL)に、LiBr(66.1g、761mmol)を25℃で少しずつ加えた。混合物を30℃で0.5時間撹拌した。混合物に、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(53.1mL、423mmol)を25℃で少しずつゆっくりと加えた。混合物を30℃で10時間撹拌した。混合物に、水(250mL)及びEtOAc(250mL)を加えた。併せた有機層をブラインで洗浄し(250Lで2回)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(60%の酢酸エチル/石油エーテルの勾配)により精製し、trans-1-ベンジル-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-3-オールを油として得た。1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ 7.28-7.21(m,5H),7.10-7.07(m,3H),7.07-6.97(m,1H),3.91-3.87(m,1H),3.72-3.64(m,2H),3.54-3.52(m,2H),3.20-3.15(m,1H),3.03-2.99(m,1H),2.98-2.96(m,1H),2.87-2.84(m,2H),2.61-2.58(m,1H),2.37-2.30(m,1H),1.97-1.96(m,1H),1.89-1.83(m,1H),1.73-1.69(m,1H),1.61-1.55(m,1H)。
ステップ5:N2雰囲気下、trans-1-ベンジル-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-3-オール(90g、279mmol)のMeOH溶液(800mL)を、Pd-C(10重量%;40g)が入ったボトルに加えた。混合物を脱気し、H2を再充填した(3回)。得られた混合物をH2(50psi)下で50℃にて6時間撹拌した。触媒をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLC(0.05%の水酸化アンモニウムモディファイアを含む、水/ACN)により精製し、trans-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-3-オール(中間体1)を油として得、これは、後続反応においてに使用することができた。MS:233(M + 1)。Trans-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-3-オールをキラルSFC(Chiralpak AD-Hカラム、イソプロパノール/CO2)により精製し、2つの生成物を固体として得た:
中間体1(ピーク1):(3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-3-オール。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 7.10-7.01(m,4H),4.16(br s,1H),3.85-3.71(m,2H),3.48-3.46(m,1H),3.02-2.91(m,1H),2.89-2.88(m,2H),2.79-2.73(m,3H),2.39-2.35(m,2H),2.22-2.19(m,1H),2.0(br s,1H),1.70-1.65(m,1H),1.37-1.30(m,1H)
ピーク2:(3R,4R)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-3-オール。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 7.15-7.01(m,4H),4.18(br s,1H),3.86-3.72(m,2H),3.49-3.47(m,1H),3.01-2.90(m,1H),2.90-2.89(m,2H),2.80-2.72(m,3H),2.39-2.35(m,2H),2.21-2.20(m,1H),2.0(br s,1H),1.70-1.65(m,1H),1.38-1.31(m,1H)。
中間体2:6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸
【化16】
ステップ1:5-ブロモ-2-クロロピリミジン(200mg、1.03mmol)のTHF(5mL)及び水(1mL)の溶液に、カリウムトリフルオロ(ビニル)ボラート(230mg、1.55mmol)、Cs2CO3(1010mg、3.10mmol)、及びPdCl2(dppf)(151mg、0.207mmol)を加えた。反応混合物を窒素の雰囲気下で85℃にて2時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、水で処理した。混合物をEtOAcで抽出し(30mLで3回)、併せた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(3%の酢酸エチル/石油エーテル)により精製し、2-クロロ-5-ビニルピリミジンを固体として得た。MS:141(M + 1)。
ステップ2:テトラブチルアンモニウムブロミド(0.193g、0.598mmol)、2-クロロ-5-ビニルピリミジン(1.4g、10mmol)及び(ブロモジフルオロメチル)トリメチルシラン(6.07g、29.9mmol)の混合物のトルエン溶液(5mL)を110℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を減圧下で濃縮し、残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(10/1~5/1(v/v)石油エーテル/酢酸エチル)により精製し、2-クロロ-5-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)ピリミジンを固体として得た。MS:191(M + 1)。1H NMR(400 MHz,CDCl3) δ 8.51(s,2H),2.79 - 2.60(m,1H),2.08 - 1.98(m,1H),1.76 - 1.62(m,1H)。
ステップ3:DIEA(9.6mL、55mmol)、ビス(4-メトキシベンジル)アミン(9.5g、37mmol)及び2-クロロ-5-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)ピリミジン(3.5g、18mmol)の混合物のNMP溶液(70mL)を110℃で12時間加熱した。反応物を室温に冷却し、水で希釈した。混合物をEtOAcで抽出した(50mLで3回)。併せた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(5%の酢酸エチル/石油エーテル)により精製し、5-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)ピリミジン-2-アミンを油として得た。MS:412(M + 1)。
ステップ4:5-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)ピリミジン-2-アミン(6.0g、15mmol)のDCM溶液(10mL)、TFA(10mL)、及びTfOH(0.1mL)の混合物を室温で12時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水(50mL)に溶解し、NH32OでpH約10に塩基性にした。水層をDCMで抽出し(50mLで3回)、併せた有機層をブラインで洗浄し(50mL)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(100/1~1/3(v/v)石油エーテル/酢酸エチル)により精製し、5-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)ピリミジン-2-アミンを固体として得た。MS:172(M + 1)。
ステップ5:5-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)ピリミジン-2-アミン(1.5g、8.8mmol)及び3-ブロモ-2-オキソプロパン酸エチル(2.96g、11.4mmol)の混合物のジオキサン溶液(20mL)を80℃で2時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(0.1%のTFAモディファイアを含む、ACN/水)により精製し、6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸エチルを得た。ラセミ混合物をキラルSFC(ODカラム、20~30%のEtOH/CO2)により精製し、6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸エチル(異性体1、第1の溶出)を固体として得た。MS:268(M + 1)、また、6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸エチル(異性体2、第2の溶出)を固体として得た。MS:268(M + 1)。
ステップ6:6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸エチル(異性体1、第1の溶出)(180mg、0.674mmol)のHCl溶液(35%含有水、5mL)を70℃で12時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮して、6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸を固体として得、それを、それ以上精製することなく次ステップで使用した。MS:240(M + 1)。両異性体とも、上記の条件により加水分解が可能であったことに留意。
中間体3:6-シクロプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸
【化17】
ステップ1:5-ブロモピリミジン-2-アミン(2.0g、12mmol)のTHF溶液(15mL)及び水(3mL)の混合物に、K2CO3(4.77g、34.5mmol)、シクロプロピルボロン酸(4.94g、57.5mmol)、及びPdCl2(dppf)(0.841g、1.15mmol)を加えた。混合物を脱気し、N2を再充填し(3回)、反応物を80℃で12時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(0~45%の酢酸エチル/石油エーテル)により精製し、5-シクロプロピルピリミジン-2-アミンを固体として得た。MS:136(M + 1)。
ステップ2:5-シクロプロピルピリミジン-2-アミン(3.5g、26mmol)の混合物のEtOH溶液(50mL)に、3-ブロモ-2-オキソプロパン酸エチル(6.1g、31mmol)を加えた。混合物を80℃で16時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、TEA(7.2mL、52mmol)を加えた。混合物を室温で0.5時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(60%の酢酸エチル/石油エーテル)により精製し、6-シクロプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸エチルを固体として得た。MS:232(M + 1)。1H NMR(500 MHz,CDCl3)δ 8.50(d,J = 2.4 Hz,1H),8.16(d,J = 2.0 Hz,1H),8.04(s,1H),4.44(q,J = 7.2 Hz,2H),2.03 - 1.87(m,1H),1.42(t,J = 7.2 Hz,3H),1.12 - 1.04(m,2H),0.80 - 0.72(m,2H)。
ステップ3:6-シクロプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸エチル(100mg、0.432mmol)のHCl混合溶液(4Mのジオキサン溶液、2mL)を80℃で3時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮して、6-シクロプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸を固体として得、それを、精製せずに次ステップで使用した。MS:204(M + 1)。
中間体4:6-ブロモ-7-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸
【化18】
ステップ1:4-ブロモピリミジン-2-アミン(1g、5.8mmol)及びヨウ化ナトリウム(0.086g、0.58mmol)の混合物のDMF溶液(20mL)に、NaH(0.575g、14.4mmol)を0℃で加えた。その後、混合物を0℃で0.5時間撹拌し、1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼン(1.98g、12.6mmol)を加えた。反応物を室温で30分間撹拌した。混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)でクエンチし、EtOAc(100mL)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(10%の酢酸エチル/石油エーテル)により精製し、4-ブロモ-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)ピリミジン-2-アミンを油として得た。MS:414及び416(M + 1)。
ステップ2:4-ブロモ-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)ピリミジン-2-アミン(2g、4.8mmol)、エチルボロン酸(1.07g、14.5mmol)、PdCl2(dppf)(0.71g、0.96mmol)、及びCs2CO3(3.15g、9.65mmol)の混合物の1,4-ジオキサン(10mL)及び水(10mL)の溶液を、N2の雰囲気下、100℃で10時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(10%の酢酸エチル/石油エーテル)により精製し、4-エチル-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)ピリミジン-2-アミンを油として得た。MS:364(M + 1)。1H NMR(500 MHz,CDCl3)δ 8.29(d,J = 5.04 Hz,1H),7.30 - 7.24(m,4H),6.94 - 6.89(m,4H),6.48(d,J = 5.04 Hz,1H),4.86(s,4H),3.90 - 3.84(m,6H),2.77 - 2.63(m,2H),1.33(t,J = 7.63 Hz,3H)。
ステップ3:4-エチル-N,N-ビス(4-メトキシベンジル)ピリミジン-2-アミン(900mg、2.48mmol)のTFA混合溶液(5mL)を40℃で12時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、NH3・H2OでクエンチしてpH約7にした。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(30~60%の酢酸エチル/石油エーテル)により精製し、4-エチルピリミジン-2-アミンを固体として得た。MS:124(M + 1)。1H NMR(400 MHz,CDCl3) δ 8.17(d,J = 4.82 Hz,1H),6.50(d,J = 5.26 Hz,1H),5.04(br s,2H),2.59(q,J = 7.75 Hz,2H),1.24(t,J = 7.67 Hz,3H)。
ステップ4:4-エチルピリミジン-2-アミン(200mg、1.62mmol)のクロロホルム溶液(4mL)にNBS(318mg、1.79mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(10~80%の酢酸エチル/石油エーテル)により精製し、5-ブロモ-4-エチルピリミジン-2-アミンを固体として得た。MS:202及び204(M + 1)。1H NMR (400 MHz,CDCl3) δ 8.22 (s,1H),5.00(br s,2H),2.74(q,J = 7.45 Hz, 2H),1.23(t,J = 7.67 Hz,3H)。
ステップ5:5-ブロモ-4-エチルピリミジン-2-アミン(100mg、0.495mmol)の1,4-ジオキサン溶液(3mL)に3-ブロモ-2-オキソプロパン酸(99mg、0.59mmol)を加えた。反応物を80℃で15分間撹拌した。混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(0.1%のTFAモディファイアを含む、ACN/水)により精製し、6-ブロモ-7-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸を固体として得た。LCSM:270及び272(M + 1)。
中間体5:(2-ブロモ-5-フルオロピリジン-4-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン
【化19】
0℃の2-ブロモ-5-フルオロイソニコチン酸(538mg、2.44mmol)及び(3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-3-オール(568mg、2.44mmol)DCM(11mL)及びDMF(5mL)の溶液に、DIEA(1.7mL、9.8mmol)及びT3P(1.7mL、2.9mmol、50%含有DMF溶液)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。反応を、飽和NaHCO3水溶液(25mL)でクエンチし、EtOAcで抽出した(50mLで2回)。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(0~60%、EtOAc:EtOH=3:1のヘキサン溶液)で精製し、(2-ブロモ-5-フルオロピリジン-4-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノンを得た。MS:434及び436(M + 1)。
【実施例
【0154】
以下の実験手順は、本開示の具体例の調製を詳述している。注:特許請求されている化合物の多くは、室温で溶液中に回転異性体の混合物として存在しており、1H-NMR分光法によるそれらの解析を複雑にしている。これらの場合、ピークシフトは、個々の回転異性体のピークを記載するのではなく、両方の回転異性体からのシグナルを包含する多重項の範囲として記載される。
実施例1:1-{4-[(4-{[(3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル]カルボニル}-5-フルオロピリジン-2-イル)アミノ]ピペリジン-1-イル}エタノン
【化20】
アルゴン雰囲気下、バイアルに(2-ブロモ-5-フルオロピリジン-4-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン(300mg、0.691mmol)、1-(4-アミノピペリジン-1-イル)エタノン(98mg、0.69mmol)、Cs2CO3(675mg、2.07mmol)、及びTHF(4.6mL)を入れた。混合物をアルゴンで10分間パージした。Brett Phos precat G3(63mg、0.069mmol)を加え、混合物をさらにアルゴンで10分間パージした。反応物を45℃で18時間撹拌した。混合物をろ過して水で希釈し、水層をEtOAcで抽出した(2回)。併せた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(0~100%、EtOAc:EtOH=3:1のヘキサン溶液)で精製し、1-{4-[(4-{[(3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル]カルボニル}-5-フルオロピリジン-2-イル)アミノ]ピペリジン-1-イル}エタノンを固体として得た。MS:496(M + 1)。1H NMR(600 MHz,CD3OD)δ 7.97(d,J = 10.4 Hz,1H),7.13 - 7.08(m,3H),7.08 - 7.03(m, 1H),6.48(d,J = 10.0 Hz,1H),4.78 - 4.73(m,1H),4.67 - 4.58(m,1H),4.44 - 4.38(m,1H),4.01 - 3.85(m,4H),3.83 - 3.76(m,1H),3.75 - 3.70(m,1H),3.66 - 3.61(m,1H),3.22 - 3.15(m,1H),3.07 - 2.99(m,2H),2.96 - 2.88(m,4H),2.82 - 2.74(m,2H),2.13(s,3H),2.08 - 2.00(m,2H),1.96 - 1.90(m,1H),1.71 - 1.54(m,1H),1.51 - 1.34(m,2H)。
【表1】
実施例2:(6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン
【化21】
DIEA(0.219mL、1.25mmol)、6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸(100mg、0.418mmol)、及び(3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-3-オール(117mg、0.502mmol)のDMF溶液(3mL)に、T3P(798mg、1.25mmol)を加えた。混合物を15℃で2時間撹拌した後、減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(ACN/水の勾配)により精製し、(6-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノンを固体として得た。MS:454(M+1)。1H NMR(500 MHz,CD3OD)δ 8.88(s,1H),8.65(br s,1H),8.16(s,1H),7.16 - 7.01(m,4H),4.85 - 4.83(m 2H),4.03 - 3.79(m,3H),3.26 - 2.71(m,8H),2.15 - 1.89(m,3H),1.80 - 1.70(m,1H)。
実施例3:(6-シクロプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン
【化22】
6-シクロプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸(80mg、0.394mmol)のDMF溶液(4mL)に、HATU(180mg、0.472mmol)、DIEA(0.206mL、1.181mmol)、及び(3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-3-オール(91mg、0.394mmol)を加えた。混合物を15℃で30分間撹拌した。混合物を逆相HPLC(0.1%のTFAモディファイアを含む、ACN/水の勾配)により直接精製し、(6-シクロプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノンを固体として得た。MS:418(M+1)。1H NMR(500 MHz,CD3OD)δ 8.70(d,J = 2.1 Hz, 1H),8.66(d,J = 2.3 Hz,1H),8.18(s,1H),7.37 - 7.21(m,4H),5.24 - 4.98(m,1H),4.88 - 4.36(m,3H),4.28 - 3.99(m,1H),3.93 - 3.39(m,4H),3.29 - 2.73(m, 3H),2.27(br s,1H),2.14 - 2.06(m,1H),2.05 - 1.90(m,1H),1.19 - 1.07(m,2H),0.92 - 0.79(m,2H)。
実施例4:(6-ブロモ-7-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン
【化23】
6-ブロモ-7-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-カルボン酸(32mg、0.118mmol)のDMF溶液(4mL)に、HATU(54mg、0.142mmol)、DIEA(0.062mL、0.355mmol)、及び(3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ピペリジン-3-オール(28mg、0.118mmol)を加えた。混合物を20℃で30分間撹拌した。混合物を逆相HPLC(0.1%のTFAモディファイアを含む、ACN/水の勾配)により直接精製し、(6-ブロモ-7-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル)((3S,4S)-4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-3-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノンを固体として得た。MS:484及び486(M+1)。1H NMR(400 MHz,CD3OD)δ 9.16(br s,1H),8.15(br s,1H),7.36-7.21(m,4H),4.98-5.17(m,2H),4.80-4.71(m,1H),4.51-4.45(m,1H),4.15-4.05(m,1H),3.81-3.62(m,3H),3.40-2.80(m,6H),2.26-1.97(m,2H),1.37(t,J = 7.24 Hz,3H)。
【0155】
PRMT5-MEP50酵素のメチル化アッセイ
PRMT5-MEP50の生化学的アッセイは、H4ヒストンのN末端に由来する短いペプチド基質に対する酵素複合体のメチル化活性の直接測定である。組換えPRMT5-MEP50タンパク質複合体を用いてメチル化実験を実施した。小分子の阻害効果の評価は、化合物がこの反応を阻害する有効性(EC50)により測定された。
【0156】
このアッセイでは、各化合物の効力(EC50)を、以下の概説されている手順を使用して20ポイント(1:2の系列希釈;最高化合物濃度は100000nM)の滴定曲線から決定した。白色ProxiPlus 384ウェルプレートの各ウェルに、100nLの化合物(10μLの最終アッセイ体積中1%DMSO)を分注し、その後、1.25nMの全長(FL)-PRMT5-MEP50酵素複合体(バキュロウイルスによりトランスフェクトされたSf21細胞からの組換えタンパク質:FL-PRMT5;MW=73837kDa及びFL-MEP50;MW=38614)を含有する8μLの1×アッセイバッファー(50mMのビシン(pH8.0)、1mMのDTT、0.004%Tween20、0.01%BSA)、及び1μLの150μMのS-(5’-アデノシル)-L-メチオニンクロリド(SAM)の添加を行った。プレートを密封し、37℃の加湿チャンバーに入れ、化合物との60分間のプレインキュベーションを行った。続いて、750nMのビオチン化H4R3(Me1)ペプチドを含有する1μLの1×アッセイバッファーの添加により各反応を開始させた。10μLの各ウェルの最終反応物は、1.0nMのPRMT5-MEP50、75nMのビオチン化ペプチド、及び15μMのSAMで構成される。メチル化反応を、密封プレート内で37℃にて150分間進行させた。反応を、1μLの5%ギ酸の添加により直ちにクエンチした。その後、プレートを凍結し、H4R3(Me1)からH4R3(Me2)への変換パーセントを決定するため、SAMDITM Tech Inc.に出荷した。効果パーセント(生成物変換%;Y軸)対Log10化合物濃度(X軸)をプロットすることによって用量反応曲線を生成した。EC50値を、S字状(4パラメータ)用量反応曲線のモデルに従って非線形回帰により決定した。
【0157】
PRMT5細胞標的会合(TE)アッセイ
PRMT5 TEアッセイは、PRMT5基質のアルギニン(SDMA)の対称性のジメチル化を阻害する化合物を同定するためのバイオマーカーアッセイである。PRMT5には、以下の基質が報告されている:ヒストンH2A及びH4 R3、ヒストンH3 R2、ヒストンH3 R8、スプライスソームSmタンパク質、リボソームタンパク質RPS10、p53、FEN1、ヌクレオプラスミン、ヌクレオリン、EGFR及びEBNA。アッセイは、ハイコンテントイメージング技術を使用して、対称性にジメチル化されている核タンパク質を検出することに焦点を当てている。対称性にジメチル化されている核タンパク質の発現の検出は、SDMAに対する初代ウサギモノクローナル抗体ミックス(CST 13222)を介するもので、これが次にAlexafluor 488色素結合抗ウサギIgG二次抗体によって認識される。IN Cell Analyzer 2200又はOpera-Phenixは、対称性にジメチル化されている核タンパク質の発現レベルに直接関連する、核のAlexafluor 488蛍光色素の強度を単一細胞レベルで測定する。核のAF488色素強度をDMSO処理細胞の平均値と比較して(MIN)、それぞれの化合物処理されたウェルについて阻害パーセントを報告する。
このアッセイでは、各化合物の細胞の効力(EC50)を、以下の概説されている手順を使用して、10ポイント(1:3の系列希釈;最高化合物濃度は10000nM)の滴定曲線から決定した。BD falconのコラーゲンコート済み黒/クリアボトム384ウェルプレートの各ウェルに4000 MCF-7細胞を30μlの培地に入れて播種し、5時間接着させた。培地は、ATCCの処方によるEagle’s Minimum Essential Medium,カタログ番号30-2003である。完全増殖培地を作製するため、基本培地に以下の成分を加えて最終濃度を10%とした:0.01mg/mLのヒト組換えインスリン;ウシ胎児血清。2×化合物を含有する追加の30μlの培地を各ウェルに加えた。細胞を、インキュベーター(37℃、CO2)で3日間処理した。3日目、細胞をCytofixで固定し、0.4% Triton-X-100/Cytofixで透過処理し、Ca/Mg不含のD-PBSで洗浄した。Licor Odesseyブロッキング試薬で細胞を室温にて1時間ブロッキングし、その後、抗SDMA(1:1000)抗体と共に4℃で一晩インキュベーションを行った。一次抗体を除去し、その後、Ca/Mg不含のDPBS及び0.05%Tween20で3回洗浄した。Hoechst(5μg/mL)、Cell Maskディープステイン(1:2000)及びAlexa488結合ヤギ抗ウサギIgG(2μg/mL)を室温で1時間加えた。最終洗浄ステップ(洗浄3回)を実施してから、In Cell Analyzer 2200又はOpera-Phenixでのイメージング用にプレートを密封した。アナライザーからの画像を画像分析用にColumbusに(WP又はBOSで)アップロードした。蛍光単位パーセント対(Log10)化合物濃度の4パラメータのロバストフィットによってIC50値を決定した。
【0158】
本発明の代表的化合物を、この実施例に記載のアッセイプロトコルを使用して試験した。結果は下記表2に提供される。
【表2】
【国際調査報告】