(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-24
(54)【発明の名称】正極活物質、その製造方法、およびそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/525 20100101AFI20230216BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20230216BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20230216BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/36 C
H01M4/505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538285
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 KR2020018641
(87)【国際公開番号】W WO2021125870
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0171281
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコホールディングス インコーポレーティッド
(71)【出願人】
【識別番号】592000705
【氏名又は名称】リサーチ インスティチュート オブ インダストリアル サイエンス アンド テクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】511038879
【氏名又は名称】ポスコ ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】チェ、 クォン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ナム、 サン チョル
(72)【発明者】
【氏名】イ、 サン ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】パク、 インチョル
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ジョン イル
(72)【発明者】
【氏名】ソン、 ジュン フン
(72)【発明者】
【氏名】クウォン、 オ―ミン
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA07
5H050AA13
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA12
5H050HA02
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
本実施形態は、正極活物質、その製造方法およびそれを含むリチウム二次電池に関する。一実施形態によれば、コア、およびコアの表面に位置するシェルを含むリチウム金属酸化物、およびリチウム金属酸化物の表面に位置するコーティング層を含み、下記式1を満たすc値の範囲が0.3~0.7であり、コアおよびシェルは、層状結晶構造(layered crystalline structure)を有する正極活物質を提供することができる。
[式1]
c=b/a
(式1で、aはコーティング層のXPSスペクトルで530~533eVでのピークであり、bは528~531eVでのピークである。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア、および前記コアの表面に位置するシェルを含むリチウム金属酸化物;および
前記リチウム金属酸化物の表面に位置するコーティング層を含み、
下記式1を満たすc値の範囲が0.3~0.7であり、
前記コアおよび前記シェルは、層状結晶構造(layered crystalline structure)を有する正極活物質。
[式1]
c=b/a
(前記式1で、aは前記コーティング層のXPSスペクトルで530~533eVでのピークであり、bは528~531eVでのピークである。)
【請求項2】
前記コーティング層で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値は、前記リチウム金属酸化物で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値より小さい、請求項1に記載の正極活物質。
【請求項3】
前記コーティング層で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値は、0.24~0.43nm範囲である、請求項1に記載の正極活物質。
【請求項4】
前記リチウム金属酸化物で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値は、0.465~0.480nm範囲である、請求項1に記載の正極活物質。
【請求項5】
前記コーティング層は、層状結晶構造(layered crystalline structure)およびスピネル結晶構造(spinel crystalline structure)のうちの少なくとも一つの構造を含む、請求項1に記載の正極活物質。
【請求項6】
前記コーティング層は、Mn、S、Co、NiおよびLiからなるグループより選択された少なくとも一つの元素を含む、請求項1に記載の正極活物質。
【請求項7】
前記コーティング層に含まれるMnの含有量は、正極活物質全体を基準として0.15~0.45モル%である、請求項6に記載の正極活物質。
【請求項8】
前記リチウム金属酸化物内の金属中のニッケルの含有量は、80モル%以上である、請求項1に記載の正極活物質。
【請求項9】
リチウム金属酸化物の前駆体およびドーピング元素の原料物質を混合して混合物を製造する段階;
前記混合物を焼成してリチウム金属酸化物を得る段階;および
前記リチウム金属酸化物を蒸溜水およびマンガン化合物を含む水洗液で水洗して前記リチウム金属酸化物の表面にコーティング層を形成する段階を含み、
前記コーティング層が形成されたリチウム金属酸化物は、下記式1を満たすc値の範囲が0.3~0.7である正極活物質の製造方法。
[式1]
c=b/a
(前記式1で、aは前記コーティング層のXPSスペクトルで測定を通じて得られた530~533eVでのピークであり、bは528~531eVでのピークである。)
【請求項10】
前記リチウム金属酸化物は、コア、および前記コアの表面に位置するシェルを含み、前記コアおよび前記シェルは、層状結晶構造(layered crystalline structure)を有する、請求項9に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項11】
前記マンガン化合物は、硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガンおよびマンガンアセテートからなるグループより選択された少なくとも一つである、請求項9に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項12】
前記水洗液は、
水洗液全体を基準として、1.5~4.5モル%のマンガン化合物を含む、請求項9に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項13】
前記コーティング層で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値は、前記リチウム金属酸化物で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値より小さい、請求項9に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項14】
前記コーティング層を形成する段階は、
前記水洗液で水洗した後に熱処理する段階をさらに含み、
前記熱処理する段階は、600~800℃温度範囲で、5時間~10時間行われる、請求項9に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載の正極活物質を含む正極;
負極活物質を含む負極;および
前記正極および負極の間に位置する電解質;を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
正極活物質、その製造方法、およびそれを含むリチウム二次電池に関する 。
【背景技術】
【0002】
最近、ITモバイル機器および小型電力駆動装置(e-bike、小型EVなど)の爆発的な需要増大、走行距離400km以上の電気自動車の要求に応えてこれを駆動するための高容量、高エネルギー密度を有する二次電池の開発が全世界的に活発に行われている。
【0003】
このような高容量電池を製造するためには、高容量正極活物質を使用しなければならない。
【0004】
現存する層状系(layered)正極活物質のうち最も容量が高い素材は、LiNiO2である(275mAh/g)が、充放電時に構造崩壊が簡単に起こり、酸化水の問題による熱的安定性が低いため、商用化が難しい実情である。
【0005】
このような問題を解決するためには、不安定なNi siteに他の安定した遷移金属(Co、Mnなど)を置換しなければならないが、このためにCoとMnが置換された三元系NCM系が開発された。
【0006】
しかし、三元系NCMの場合には、Niの含有量が増加するほど熱的安全性が減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本実施形態では、表面で電解液の分解反応を抑制された正極活物質を提供することにその目的がある。これによって、高温寿命の特性および熱安定性も向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態による正極活物質は、コア、および前記コアの表面に位置するシェルを含むリチウム金属酸化物、および前記リチウム金属酸化物の表面に位置するコーティング層を含み、下記式1を満たすc値の範囲が0.3~0.7であり、前記コアおよび前記シェルは、層状結晶構造(layered crystalline structure)を有することができる。
【0009】
[式1]
c=b/a
(前記式1で、aは前記コーティング層のXPSスペクトルで530~533eVでのピークであり、bは528~531eVでのピークである。)
【0010】
他の実施形態による正極活物質の製造方法は、リチウム金属酸化物の前駆体およびドーピング元素の原料物質を混合して混合物を製造する段階、前記混合物を焼成してリチウム金属酸化物を得る段階、および前記リチウム金属酸化物を蒸溜水およびマンガン化合物を含む水洗液で水洗して前記リチウム金属酸化物の表面にコーティング層を形成する段階を含み、前記コーティング層が形成されたリチウム金属酸化物は、下記式1を満たすc値の範囲が0.3~0.7であり得る。
【0011】
[式1]
c=b/a
【0012】
(前記式1で、aは前記コーティング層のXPSスペクトルで測定を通じて得られた530~533eVでのピークであり、bは528~531eVでのピークである。)
【0013】
また他の実施形態によるリチウム二次電池は、一実施形態による正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、および前記正極および負極の間に位置する電解質を含むことができる。
【発明の効果】
【0014】
一実施形態による正極活物質は、コア-シェル構造のリチウム金属酸化物の表面にコーティング層を含むことによってXPSスペクトルで530~533eVでのピークに対する528~531eVでのピークの強度比が0.3~0.7範囲を満たし、これによって、正極活物質の表面での分解反応を抑制することができる。また、このような電解液副反応の減少により正極活物質の高温寿命の特性および熱安定性を顕著に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1~3および比較例1に対する容量維持率測定結果を示したものである。
【
図2】実施例1および比較例1により製造された正極活物質のコーティング層に対するXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)分析結果を示したものである。
【
図3(a)】実施例2により製造された正極活物質に対するTEM分析結果である。
【
図3(b)】実施例3により製造された正極活物質に対するTEM分析結果である。
【
図3(c)】比較例1により製造された正極活物質に対するTEM分析結果である。
【
図3(d)】比較例2により製造された正極活物質に対するTEM分析結果である。
【
図3(e)】
図3(d)のA領域に対する高速フーリエ変換T(Fast Fourier Transform、FFT)分析結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0017】
一実施形態による正極活物質は、リチウム金属酸化物、および前記リチウム金属酸化物の表面に位置するコーティング層を含む。
【0018】
前記リチウム金属酸化物は、コア、および前記コアの表面に位置するシェルを含むことができる。また、前記コアおよび前記シェルは、層状結晶構造(layered crystalline structure)を有することができる。
【0019】
本実施形態による正極活物質は、下記式1を満たすc値の範囲が0.3~0.7であり得る。
[式1]
c=b/a
前記式1で、aは前記コーティング層のXPSスペクトルで530~533eVでのピークであり、bは528~531eVでのピークである。
【0020】
このとき、前記c値は、より具体的に0.35~0.6または0.4~0.57範囲であり得る。前記c値が前記範囲を満たす場合、本実施形態の正極活物質を適用したリチウム二次電池の高温寿命を向上させることができる。
【0021】
一方、前記コーティング層で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値は、前記リチウム金属酸化物で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値より小さいものであり得る。
【0022】
より具体的に、本実施形態の正極活物質のコーティング層で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値は、0.24~0.43nm範囲、より具体的に0.30~0.43nmまたは0.40~0.43nm範囲であり得る。コーティング層の面間距離値が前記範囲を満たす場合、本実施形態の正極活物質を適用したリチウム二次電池の高温寿命を顕著に向上させることができる。
【0023】
また、前記リチウム金属酸化物で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値は、0.465~0.480nm範囲であり得る。リチウム金属酸化物の面間距離値が前記範囲を満たす場合、本実施形態の正極活物質を適用したリチウム二次電池の容量および寿命特性を向上させることができる。
【0024】
前記コーティング層は、例えば、層状結晶構造(layered crystalline structure)およびスピネル結晶構造(spinel crystalline structure)のうちの少なくとも一つの構造を含むことができる。
【0025】
次に、前記コーティング層は、例えば、Mn、S、Co、NiおよびLiからなるグループより選択された少なくとも一つの元素を含むことができる。
【0026】
前記コーティング層に含まれるMnの含有量は、正極活物質全体を基準として0.15~0.45モル%、より具体的に0.15~0.3モル%であり得る。コーティング層に含まれるMnの含有量が前記範囲を満たす場合、リチウム二次電池の高温寿命の特性を向上させることができる。
【0027】
一方、本実施形態において、前記リチウム金属酸化物内の金属中のニッケルの含有量は、80モル%以上であり得る。より具体的に、前記リチウム金属酸化物は、例えば、下記の化学式1で表され得る。
【0028】
[化学式1]
LixNiaCobMncM1dM2eO2
【0029】
前記化学式1で、M1およびM2は、それぞれZr、Ti、Mg、Al、Ni、Mn、Zn、Fe、Cr、MoおよびWのうちの少なくとも一つであり、xは0.90≦x≦1.07、aは0.80≦a<1、bは0<b≦0.3、cは0<c≦0.3、dは0<d<0.01、eは0<e<0.01であり、a+b+c+d+e=1である。
【0030】
このとき、前記aは0.85≦a<1、より具体的に、0.90≦a<1であり得る。
【0031】
また、前記bは0<b≦0.2または0<b≦0.1であり得、cは0<c≦0.2または0<c≦0.1であり得る。
【0032】
また、前記M1はZrであり、前記M2はAlであり得る。M1がZrであり、M2がAlである場合、本実施形態の正極活物質は、前記リチウム金属酸化物全体を基準として、Zrを0.05重量部~0.6重量部、およびAlを0.01~0.4重量部の範囲で含むことができる。
【0033】
本実施形態のようにリチウム金属酸化物内の金属中のニッケルの含有量が80%以上、つまり、化学式1でaが0.80以上である場合、高出力特性を有する正極活物質を実現することができる。このような組成を有する本実施形態の正極活物質は、体積当たりのエネルギー密度が高まるため、これを適用する電池の容量を向上させることができ、電気自動車用として使用するにも適している。
【0034】
次に、前記リチウム金属酸化物は、コア、および前記コアの表面に位置するシェルを含むことができる。前記コアおよびシェルは、全て層状結晶構造(layered crystalline structure)を有する。またリチウム金属酸化物内でニッケルはコア部からシェル部まで濃度勾配を有し、リチウム金属酸化物の半径全体中95長さ%までの領域に濃度勾配があり得る。このとき、前記コア部のニッケル濃度を100mol%とする時、前記シェル部のニッケル濃度は50mol%まで徐々に減少することができる。便宜上、前記ニッケルを例に挙げたが、前記濃度勾配に関する説明は前記マンガンおよびコバルトにも適用され得る。
【0035】
他の実施形態による正極活物質の製造方法は、リチウム金属酸化物の前駆体およびドーピング元素の原料物質を混合して混合物を製造する段階、前記混合物を焼成してリチウム金属酸化物を得る段階、および前記リチウム金属酸化物を蒸溜水およびマンガン化合物を含む水洗液で水洗して前記リチウム金属酸化物の表面にコーティング層を形成する段階を含むことができる。
【0036】
このとき、前記コーティング層が形成されたリチウム金属酸化物は、下記式1を満たすc値の範囲が0.3~0.7範囲であり得る。
【0037】
[式1]
c=b/a
前記式1で、aは前記コーティング層のXPSスペクトルで530~533eVでのピークであり、bは528~531eVでのピークである。
【0038】
本実施形態で前記式1に関する特徴は、前述した一実施形態による正極活物質と同一である。したがって、これについては一実施形態による正極活物質で詳しく説明したところ、ここでは省略する。
【0039】
また、前記コーティング層で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値は、前記リチウム金属酸化物で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値より小さいものであり得る。面間距離値に対する特徴は、前述した一実施形態による正極活物質と同一である。したがって、これについては一実施形態による正極活物質で詳しく説明したところ、ここでは省略する。
【0040】
まず、リチウム金属酸化物の前駆体およびドーピング元素の原料物質を混合して混合物を製造する段階は、後述する実施形態に記載された方法でリチウム金属酸化物前駆体を準備した後、ドーピング元素の原料物質を準備して混合する方法で行われ得る。
【0041】
その後、前記混合物を焼成してリチウム金属酸化物を得る段階を行う。前記焼成は、通常の方法で行われ、具体的に焼成、冷却および粉砕工程を含むことができる。
【0042】
次に、前記リチウム金属酸化物の表面にコーティング層を形成する段階を行う。
【0043】
前記コーティング層を形成する段階は、前記リチウム金属酸化物を水洗液で水洗する段階を含むことができる。このとき、前記水洗液は、蒸溜水およびマンガン化合物を含むことができる。前記マンガン化合物は、例えば、硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガンおよびマンガンアセテートからなるグループより選択された少なくとも一つであり得る。
【0044】
より具体的に、前記水洗液は、水洗液全体を基準として、1.5~4.5モル%、より具体的に、1.5~3.0モル%のマンガン化合物を含むことができる。マンガン化合物の含有量が前記範囲を満たす場合、リチウム二次電池の高温寿命の特性を向上させることができる。
【0045】
一方、前記コーティング層を形成する段階は、前記水洗液で水洗した後に熱処理する段階をさらに含むことができる。
【0046】
前記熱処理する段階は、600~800℃温度範囲で、5時間~10時間行われ得る。これは前記水洗液で処理された正極活物質の表面に残っている水分などを除去し、高温寿命の特性を阻害しない適切な温度および時間範囲である。
【0047】
このような工程条件については後述する実施形態でより具体的に説明する。
【0048】
本発明の他の一実施形態では、前述した本発明の一実施形態による正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、および前記正極および負極の間に位置する電解質を含むリチウム二次電池を提供する。
【0049】
前記正極活物質に関する説明は前述した本発明の一実施形態と同一であるため省略する。
【0050】
前記正極活物質層は、バインダー、および導電剤を含むことができる。
【0051】
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また正極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たす。
【0052】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を招かない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能である。
【0053】
前記負極は、集電体、および前記集電体の上に形成された負極活物質層を含み、前記負極活物質層は、負極活物質を含む。
【0054】
前記負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離することができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムをドープおよび脱ドープすることができる物質、または遷移金属酸化物を含む。
【0055】
前記リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離することができる物質としては、炭素物質であって、リチウムイオン二次電池において一般に使用される炭素系負極活物質は如何なるものでも使用することができ、その代表的な例としては、結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらを共に使用することができる。
【0056】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選択される金属の合金を使用することができる。
【0057】
前記リチウムをドープおよび脱ドープすることができる物質としては、Si、SiOx(0<x<2)、Si-Y合金(前記Yはアルカリ金属、アルカリ土類金属、第13族元素、第14族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない。)、Sn、SnO2、Sn-Y(前記Yはアルカリ金属、アルカリ土類金属、第13族元素、第14族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない。)などが挙げられる。
【0058】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。前記負極活物質層はまた、バインダーを含み、選択的に導電剤をさらに含むこともできる。
【0059】
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また負極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たす。
【0060】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を招かない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能である。
【0061】
前記集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステレンス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0062】
前記負極と正極は、活物質、導電剤および結着剤を溶媒中で混合して活物質組成物を製造し、この組成物を電流集電体に塗布して製造する。このような電極製造方法は、当該分野に広く知られた内容であるため、本明細書で詳細な説明は省略する。前記溶媒としては、N-メチルピロリドンなどを使用することができるが、これに限定されるのではない。
【0063】
前記電解質は、非水性有機溶媒とリチウム塩を含む。
【0064】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動することができる媒質の役割を果たす。
【0065】
前記リチウム塩は、有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。
【0066】
リチウム二次電池の種類により正極と負極との間にセパレータが存在することもある。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンまたはこれらの2層以上の多層膜を使用することができ、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜を使用することができることはもちろんである。
【0067】
リチウム二次電池は、使用するセパレータと電解質の種類によりリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池およびリチウムポリマー電池に分類することができ、形態により円筒型、角型、コイン型、パウチ型などに分類することができ、サイズによりバルクタイプと薄膜タイプに分類することができる。これら電池の構造と製造方法は当該分野に広く知られているため、詳細な説明は省略する。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0069】
(実施例1)Ni 88mol%の正極活物質の製造
(1)正極活物質前駆体の製造
正極活物質前駆体は一般的な共沈法により製造した。具体的に、コア部組成は(Ni0.98Co0.01Mn0.01)(OH)2、シェル部組成は(Ni0.64Co0.23Mn0.13)(OH)2に供給溶液を設計した。
【0070】
また、CSG(Core Shell Gradient)構造を形成するためにNi濃度が高い第1供給タンクおよびNi濃度が低い第2供給タンクを直列に配列した。これは、コア部のNi濃度を一定に維持させ、シェル部分のNi濃度を変更させるためである。
【0071】
ニッケル原料物質としては、NiSO4・6H2O、コバルト原料物質としてはCoSO4・7H2O、マンガン原料物質としてはMnSO4・H2Oを利用した。これら原料を蒸溜水に溶解して2.5Mの金属塩水溶液を製造した。
【0072】
共沈反応器を準備した後、共沈反応時、金属イオンの酸化を防止するためにN2をパージング(purging)し、反応器温度は50℃を維持した。
【0073】
前記共沈反応器に金属塩水溶液およびキレート剤としてNH4(OH)を投入した。また、pH調節のためにNaOHを使用した。共沈工程により得られた沈殿物をろ過し、蒸溜水で洗浄した後、100℃オーブンで24時間乾燥して正極活物質前駆体を製造した。
【0074】
製造された前駆体の組成は(Ni0.88Co0.095Mn0.025)(OH)2であり、平均粒径(D50)は14.8μmであった。
【0075】
(2)正極活物質の製造
前記1で製造した正極活物質前駆体1モルを基準として、LiOH・H2O(Samchun Chemicals、battery grade)1.05モル、Zr 3,400ppmになるようにZrO2(Aldrich、4N)、およびAl 280ppmになるようにAl(OH)3(Aldrich、4N)を均一に混合して混合物を製造した。
【0076】
前記混合物をチューブ炉(tube furnace)に装入して酸素を流入させながら焼成した後、常温に冷却した後、粉砕して焼成体粉末を製造した。
【0077】
次に、水洗工程のために、蒸溜水(D.I.water)100gに硫酸マンガン(MnSO4・H2O、manganese sulfate)0.082gを入れて1分間攪拌して水洗液を製造した。
【0078】
前記水洗液に前記焼成体粉末100gを入れて10分間攪拌した後にろ過した。水洗後、ろ過された焼成体粉末を100℃以上のチャンバーで乾燥させた後、酸素雰囲気および750℃で5時間熱処理して最終的に正極活物質を得た。
【0079】
(実施例2~3および比較例1)
水洗液組成を下記表1に記載されたように調節したことを除き、実施例1と同様な方法で正極活物質を製造した。
【0080】
比較例2-コアは層状構造であり、シェルはスピネル構造である場合の正極活物質(bulk)
1)正極活物質前駆体の製造
正極活物質の製造のための前駆体は一般的な共沈法により製造した。
【0081】
まず、原料物質としてNiSO4・6H2O、CoSO4・7H2O、MnSO4・H2Oを準備した後、これら物質を蒸溜水に溶解して2.5Mの金属塩水溶液を製造した。
【0082】
次に、共沈反応器を準備した後、共沈反応時に金属イオンの酸化を防止するためにN2をパージング(purging)し、反応器温度は50℃を維持した。
【0083】
共沈反応器に金属塩水溶液およびキレート剤(chelating agent)としてNH4(OH)を投入した。また、pH調節のためにNaOHを使用した。共沈工程により得られた沈殿物をろ過し、蒸溜水で洗浄した後、100℃オーブンで24時間乾燥した。
【0084】
製造された前駆体の組成は(Ni0.88Co0.095Mn0.025)(OH)2であり、平均粒径(D50)は15.0μmであった。
【0085】
2)正極活物質の製造
前記1)で製造した正極活物質前駆体1モルを基準として、LiOH・H2O(Samchun Chemicals、battery grade)1.05モル、Zr 3,400ppmになるようにZrO2(Aldrich、4N)、およびAl 280ppmになるようにAl(OH)3(Aldrich、4N)を均一に混合して混合物を製造した。
【0086】
前記混合物をチューブ炉(tube furnace)に装入して酸素を流入させながら焼成した後、常温に冷却した後、粉砕して焼成体粉末を製造した。
【0087】
次に、水洗工程のために、蒸溜水(D.I.water)100gに硫酸マンガン(MnSO4・H2O、manganese sulfate)0.385gおよび水酸化リチウム(LiOHH2O)0.147gを入れて1分間攪拌して水洗液を製造した。
【0088】
前記水洗液に前記焼成体粉末100gを入れて10分間攪拌した後にろ過した。水洗後、ろ過された焼成体粉末を100℃以上のチャンバーで乾燥させた後、酸素雰囲気および750℃で3時間熱処理して最終的に正極活物質を得た。
【0089】
【0090】
(実験例1)電気化学特性の評価
実施例1~3、比較例1~2により製造された正極活物質を利用して2032コイン型半電池を製造した後、電気化学評価を進行した。
【0091】
(1)コイン型半電池の製造
具体的に、正極活物質、ポリフッ化ビニリデンバインダー(商品名:KF1100)およびデンカブラック導電剤を92.5:3.5:4の重量比で混合し、この混合物を固形分が約30重量%になるようにN-メチル-2-ピロリドン(N-Methyl-2-pyrrolidone)溶媒に添加して正極活物質スラリーを製造した。
【0092】
前記スラリーをドクターブレード(Doctor blade)を利用して正極集電体であるアルミニウム箔(Al foil、厚さ:15μm)上にコーティングし、乾燥した後、圧延して正極を製造した。前記正極のローディング量は約14.6mg/cm2であり、圧延密度は約3.1g/cm3であった。
【0093】
前記正極、リチウム金属負極(厚さ200μm、Honzo metal)、電解液とポリプロピレンセパレータを使用して通常の方法で2032コイン型半電池を製造した。前記電解液は、1M LiPF6をエチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(混合比はEC:DMC:EMC=3:4:3体積%)に溶解して混合溶液を製造した後、ここにビニレンカーボネート(VC)1.5重量%を添加して使用した。
【0094】
(2)45℃高温サイクル特性の評価
前記(1)で製造されたコイン型半電池を常温(25℃で10時間エイジング(aging)した後、充放電テストを進行した。
【0095】
容量評価は215mAh/gを基準容量とし、充放電条件はCC/CV 2.5~4.25V、1/20C cut-offを適用した。初期容量は0.2C充電/0.2C放電の条件で行った。高温サイクル寿命特性は、高温(45℃)で0.5C充電/0.5C放電の条件で50回を測定後、1回目容量に対する50回目容量の維持率を
図1に示した。
【0096】
図1を参照すると、リチウム金属酸化物の表面にコーティング層が形成された実施例1~3の場合、コーティング層が形成されていない比較例1に比べて高温サイクル寿命が全て優れていることを確認できる。
【0097】
(実験例2)XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)O1s分析
実施例1および比較例1により製造された正極活物質のコーティング層に対してXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)で分析し、その結果を
図2に示した。
【0098】
図2で結合エネルギー(Binding Energy)が530~533eV付近であるCO
3ピーク(peak)と528~531eV付近のM-Oピーク(peak)の強度比を下記式1のように定義し、c値を計算して下記表2に示した。
【0099】
[式1]
c=b/a
前記式1で、aは前記コーティング層のXPSスペクトルで530~533eVでのピークであり、bは528~531eVでのピークである。
【0100】
図2および表2を参照すると、比較例1の場合、c値が0.28に過ぎないが、実施例1~3の場合、0.4~0.57の範囲に含まれることを確認できる。つまり、c値の範囲が本実施例の範囲を満たす場合、実験例1で確認したように高温寿命の特性に優れていることが分かる。
【0101】
(実験例3)TEM(Transmission electron microscopy)分析
比較例1~2および実施例2~3により製造された正極活物質に対してTEM分析を行い、コーティング層およびリチウム金属酸化物内部の面間距離(d-spacing)値をそれぞれ
図3(a)~
図3(d)に示した。
図3(a)は実施例2の正極活物質であり、
図3(b)は実施例3の正極活物質であり、
図3(c)は比較例1の正極活物質であり、
図3(d)は比較例2の正極活物質である。
【0102】
図3(a)を参照すると、実施例2の正極活物質で層状結晶構造を有するコーティング層の面間距離(d-spacing)値は0.412nmであり、層状結晶構造を有するリチウム金属酸化物の面間距離(d-spacing)値は0.473nmであって、リチウム金属酸化物よりコーティング層の面間距離値がより小さいことを確認できる。
【0103】
図3(b)を参照すると、実施例3の正極活物質でスピネル結晶構造を有するコーティング層の面間距離(d-spacing)値は0.248nmであり、コアおよびシェルが全て層状結晶構造を有するリチウム金属酸化物の面間距離(d-spacing)値は0.473nmであって、リチウム金属酸化物よりコーティング層の面間距離値がより小さいことを確認できる。
【0104】
図3(c)を参照すると、比較例1の正極活物質はコーティング層が形成されておらず、リチウム金属酸化物の面間距離(d-spacing)値は0.473nmであることを確認できる。
【0105】
また、
図3(d)および
図3(d)でシェルの一部領域を拡大した
図3(e)を参照すると、比較例2の正極活物質はシェルがスピネル構造を有し、コアは層状結晶構造を有することが分かる。このとき、層状結晶構造を有するコアの面間距離(d-spacing)値は0.473nmである。
【0106】
(実験例4)正極活物質の平均粒度の測定
比較例1および実施例1~3により製造された正極活物質に対して平均粒度(D50、μm)を粒度分析器を使用して測定した。その結果を下記表2に示した。
【0107】
(実験例5)正極活物質の比表面積の測定
比較例1および実施例1~3により製造された正極活物質に対してBET測定器(QuantaChrome社、Autosorb-iQ/MP)を利用して比表面積を測定した。その結果を下記表2に示した。
【0108】
(実験例6)熱安定性の評価
実施例1~3および比較例1の正極活物質を利用して実験例1の(1)と同様な方法でコイン型半電池を製造した後、2.5~4.25V、1/20C cut-offを適用して充電した。
【0109】
充電が完了した電池から正極を水分のないドライルームで回収した後、DMC(Dimethyl carbonate)で洗浄、自然乾燥で乾燥させる。
【0110】
その後、正極活物質10mgを採取して示差重量熱分析(DSC:Differential Scanning Calorimetry)用装置(high pressure pan)に電解液(1M LiPF6 EC/DMC/EMC=30/40/30(Vol.%))10μlと共に密封した。
【0111】
熱量変化測定は、25℃で分当たり5℃の昇温速度で温度を400℃まで増加させる方法で行った。熱安定性の評価結果、つまり、発熱開始温度(on-set)および最大ピーク温度を下記表2に示し、発熱量(DSC上の発熱数値曲線を温度に対して積分した数値)値を
図4および下記表2に示した。
【0112】
【0113】
表2を参照すると、実施例1~3の場合、C値が0.35以上の値を有し、高温寿命の特性が少なくとも90%以上であり、発熱量値が1500以下に非常に低い値を示すことを確認できる。
【0114】
これに反し、比較例1の場合、c値が実施例1~3に比べて顕著に低く、高温寿命の特性も低い値を示し、発熱量は非常に高い値を示した。つまり、比較例1の場合、高温寿命の特性および熱安定性が実施例に比べてよくないことが分かる。また、比較例2の場合、高温寿命の特性が実施例に比べて顕著に低下することを確認できる。
【0115】
本発明は、前記実施例に限定されず、互いに異なる多様な形態で製造することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施することができることを理解できるはずである。したがって、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア、および前記コアの表面に位置するシェルを含むリチウム金属酸化物;および
前記リチウム金属酸化物の表面に位置するコーティング層を含み、
下記式1を満たすc値の範囲が0.3~0.7であり、
前記コアおよび前記シェルは、層状結晶構造(layered crystalline structure)を有する正極活物質。
[式1]
c=b/a
(前記式1で、aは前記コーティング層のXPSスペクトルで530~533eVでのピークであり、bは528~531eVでのピークである。)
【請求項2】
前記コーティング層で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値は、前記リチウム金属酸化物で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値より小さい、請求項1に記載の正極活物質。
【請求項3】
前記コーティング層で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値は、0.24~0.43nm範囲である、請求項1
または2に記載の正極活物質。
【請求項4】
前記リチウム金属酸化物で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値は、0.465~0.480nm範囲である、請求項1
から3のいずれか1項に記載の正極活物質。
【請求項5】
前記コーティング層は、層状結晶構造(layered crystalline structure)およびスピネル結晶構造(spinel crystalline structure)のうちの少なくとも一つの構造を含む、請求項1
から4のいずれか1項に記載の正極活物質。
【請求項6】
前記コーティング層は、Mn、S、Co、NiおよびLiからなるグループより選択された少なくとも一つの元素を含む、請求項1
から5のいずれか1項に記載の正極活物質。
【請求項7】
前記コーティング層に含まれるMnの含有量は、正極活物質全体を基準として0.15~0.45モル%である、請求項6に記載の正極活物質。
【請求項8】
前記リチウム金属酸化物内の金属中のニッケルの含有量は、80モル%以上である、請求項1
から7のいずれか1項に記載の正極活物質。
【請求項9】
リチウム金属酸化物の前駆体およびドーピング元素の原料物質を混合して混合物を製造する段階;
前記混合物を焼成してリチウム金属酸化物を得る段階;および
前記リチウム金属酸化物を蒸溜水およびマンガン化合物を含む水洗液で水洗して前記リチウム金属酸化物の表面にコーティング層を形成する段階を含み、
前記コーティング層が形成されたリチウム金属酸化物は、下記式1を満たすc値の範囲が0.3~0.7である正極活物質の製造方法。
[式1]
c=b/a
(前記式1で、aは前記コーティング層のXPSスペクトルで測定を通じて得られた530~533eVでのピークであり、bは528~531eVでのピークである。)
【請求項10】
前記リチウム金属酸化物は、コア、および前記コアの表面に位置するシェルを含み、前記コアおよび前記シェルは、層状結晶構造(layered crystalline structure)を有する、請求項9に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項11】
前記マンガン化合物は、硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガンおよびマンガンアセテートからなるグループより選択された少なくとも一つである、請求項9
または10に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項12】
前記水洗液は、
水洗液全体を基準として、1.5~4.5モル%のマンガン化合物を含む、請求項9
から11のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項13】
前記コーティング層で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値は、前記リチウム金属酸化物で結晶構造の面間距離(d-sapcing)値より小さい、請求項9
から12のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項14】
前記コーティング層を形成する段階は、
前記水洗液で水洗した後に熱処理する段階をさらに含み、
前記熱処理する段階は、600~800℃温度範囲で、5時間~10時間行われる、請求項9
から13のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載の正極活物質を含む正極;
負極活物質を含む負極;および
前記正極および負極の間に位置する電解質;を含むリチウム二次電池。
【国際調査報告】