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特表2023-507664腫瘍特異的クローディン18.2抗体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-24
(54)【発明の名称】腫瘍特異的クローディン18.2抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230216BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20230216BHJP
   C07K 16/32 20060101ALI20230216BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230216BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230216BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230216BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230216BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230216BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230216BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230216BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20230216BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230216BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20230216BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/18 ZNA
C07K16/32
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61K48/00
A61K35/12
A61P35/00
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538734
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2020087735
(87)【国際公開番号】W WO2021130291
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】19219359.7
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20152510.2
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522224438
【氏名又は名称】ソティオ バイオテック エイ.エス.
【氏名又は名称原語表記】SOTIO BIOTECH A.S.
【住所又は居所原語表記】Jankovcova 15 18/2,17000 Prague 7 Czechia
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】バンメルト,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】キリヒ サディルコワ,レンカ
(72)【発明者】
【氏名】ホスコヴァ,シモナ
(72)【発明者】
【氏名】イヴァ,ヴァレントヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルトマイアー,ローレンツ
(72)【発明者】
【氏名】ベーリ,ロジェール
(72)【発明者】
【氏名】メービウス,ウルリヒ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG26
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA87X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB04
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB26
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB31
4C085BB33
4C085BB34
4C085BB35
4C085BB36
4C085BB37
4C085BB41
4C085BB43
4C085BB44
4C085DD62
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、腫瘍特異的抗CLDN18.2抗体またはその断片を提供する。この抗体またはその断片は、CLDN18.2を発現する正常組織よりもCLDN18.2を発現する腫瘍組織に強く結合する。この抗体はCLDN18.1に対して交差反応性を示さない。さらに、本発明は、核酸、ベクター、宿主細胞および医学的使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、CLDN18.2を発現する正常組織よりもCLDN18.2を発現する腫瘍組織に強く結合する抗体またはその断片。
【請求項2】
CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、配列番号21のHCDR1配列、配列番号22のHCDR2配列および配列番号23のHCDR3配列と、配列番号24のLCDR1配列、配列番号25のLCDR2配列および配列番号26のLCDR3配列とを含む、抗体またはその断片。
【請求項3】
a.配列番号1のHCDR1配列、配列番号15のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
b.配列番号1のHCDR1配列、配列番号16のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
c.配列番号1のHCDR1配列、配列番号16のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号17のLCDR1配列、配列番号14のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列;
d.配列番号1のHCDR1配列、配列番号16のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号18のLCDR1配列、配列番号19のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列;
e.配列番号12のHCDR1配列、配列番号15のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
f.配列番号1のHCDR1配列、配列番号20のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
g.配列番号1のHCDR1配列、配列番号20のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号18のLCDR1配列、配列番号19のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列;
h.配列番号12のHCDR1配列、配列番号20のHCDR2配列および配列番号8のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;または
i.配列番号12のHCDR1配列、配列番号20のHCDR2配列および配列番号8のHCDR3配列と、配列番号17のLCDR1配列、配列番号14のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列
を含む、請求項1または2に記載の抗体またはその断片。
【請求項4】
a.配列番号1のHCDR1配列、配列番号2のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
b.配列番号1のHCDR1配列、配列番号7のHCDR2配列および配列番号8のHCDR3配列と、配列番号9のLCDR1配列、配列番号10のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列;または
c.配列番号12のHCDR1配列、配列番号2のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号13のLCDR1配列、配列番号14のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列
を含み、
好ましくは、
d.配列番号27のVH配列と配列番号28のVL配列;
e.配列番号29のVH配列と配列番号30のVL配列;または
f.配列番号31のVH配列と配列番号32のVL配列
を含む、請求項1または2に記載の抗体またはその断片。
【請求項5】
a.配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVH配列;
b.配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVH配列;
c.配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVH配列;
d.配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVH配列;または
e.配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVH配列と、
f.配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVL配列;
g.配列番号39のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVL配列;
h.配列番号40のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVL配列;または
i.配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVL配列
とを含み、
好ましくは、
a.配列番号33のVH配列;
b.配列番号34のVH配列;
c.配列番号35のVH配列;
d.配列番号36のVH配列;または
e.配列番号37のVH配列と、
f.配列番号38のVL配列;
g.配列番号39のVL配列;
h.配列番号40のVL配列;または
i.配列番号41のVL配列
とを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体またはその断片。
【請求項6】
a.配列番号33のVH配列と配列番号38のVL配列;
b.配列番号34のVH配列と配列番号38のVL配列;
c.配列番号34のVH配列と配列番号39のVL配列;
d.配列番号34のVH配列と配列番号40のVL配列;
e.配列番号35のVH配列と配列番号38のVL配列;
f.配列番号36のVH配列と配列番号41のVL配列;
g.配列番号36のVH配列と配列番号40のVL配列;
h.配列番号37のVH配列と配列番号41のVL配列;
i.配列番号37のVH配列と配列番号38のVL配列;または
j.配列番号37のVH配列と配列番号39のVL配列
を含む、請求項1または2に記載の抗体またはその断片。
【請求項7】
a.配列番号46の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号51の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
b.配列番号47の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号51の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
c.配列番号47の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号52の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
d.配列番号47の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号53の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
e.配列番号48の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号51の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
f.配列番号47の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号54の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
g.配列番号49の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号53の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
h.配列番号50の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号54の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
i.配列番号50の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号51の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;もしくは
j.配列番号50の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号52の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;または
これらのFcドメイン組換え体
を含み、
好ましくは、
k.配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列;
l.配列番号47の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列;
m.配列番号47の重鎖配列と配列番号52の軽鎖配列;
n.配列番号47の重鎖配列と配列番号53の軽鎖配列;
o.配列番号48の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列;
p.配列番号47の重鎖配列と配列番号54の軽鎖配列;
q.配列番号49の重鎖配列と配列番号53の軽鎖配列;
r.配列番号50の重鎖配列と配列番号54の軽鎖配列;
s.配列番号50の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列;または
t.配列番号50の重鎖配列と配列番号52の軽鎖配列
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項8】
CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、
(i)配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列を含む抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合すること;
(ii)配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列を含む抗体と競合結合すること;
および/または
(iii)配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列を含む抗体のCLDN18.2への結合を競合的に阻害すること
を特徴とする、抗体またはその断片。
【請求項9】
a.前記抗体もしくはその断片が、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、合成IgG、IgM、F(ab)2、Fv、scFv、IgGACH2、F(ab’)2、scFvCH3、Fab、VL、VH、scFv4、scFv3、scFv2、dsFv、Fv、scFv-Fc、(scFv)2、non-depleting IgG、ダイアボディ、二価抗体、もしくはこれらのFc組換え体であること;
b.前記抗体もしくはその断片が、ヒト化抗体であること;
c.前記抗体もしくはその断片が、CLDN18.1に結合しないこと;
d.前記抗体もしくはその断片が、単離された抗体であること;および/または
e.前記抗体もしくはその断片が、IMAB362よりも脱アミド化による翻訳後修飾を受けにくいこと
を特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその断片。
【請求項10】
CLDN18.2を発現する正常組織よりもCLDN18.2を発現する腫瘍組織に強く結合することが、フローサイトメトリーまたは免疫組織化学分析による測定によって確認される、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体またはその断片。
【請求項11】
HEK293T細胞またはPA-TU-8988-High細胞において発現させたCLDN18.2に対する前記抗体またはその断片の結合をIMAB362と比較した場合、該抗体またはその断片のEC50値が、IMAB362のEC50値の少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍または少なくとも2.5倍であり、かつ3倍以下であること、およびこの結合の評価を、フローサイトメトリー(FC)による力価測定により行ってもよいことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体またはその断片。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の抗体またはその断片をコードする核酸。
【請求項13】
請求項12に記載の核酸を含むベクター。
【請求項14】
請求項12に記載の核酸または請求項13に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項15】
a.新生物疾患に罹患している対象、b.新生物疾患の発症のリスクがある対象、および/またはc.新生物疾患を有すると診断された対象の治療に使用するための、請求項1~11のいずれか1項に記載の抗体もしくはその断片、請求項12に記載の核酸、請求項13に記載のベクターまたは請求項14に記載の宿主細胞であって、
前記新生物疾患が、膵臓がん、胃がん、食道がん、卵巣がんおよび肺がんからなる群から選択されてもよい、抗体もしくはその断片、核酸、ベクターまたは宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
タイトジャンクションは、隣り合う上皮細胞や内皮細胞をつないでバリアを形成し、分子が細胞間を通過するのを防いで、細胞や組織の極性の維持を助ける多タンパク質複合体である。タイトジャンクションは、クローディン、オクルディンおよびシンギュリンという主に3つの膜貫通タンパク質群からなり、このうち、クローディンとオクルディンは、細胞質内プラークタンパク質である。また、タイトジャンクションは、例えば、アクチン、ミオシンII、PKCζといった細胞骨格タンパク質やシグナル伝達タンパク質も含む。これらのタンパク質は、相互作用することによりタイトジャンクションの構造を維持している(YuおよびTurner、2008)。
【0002】
クローディンは、23種のタンパク質からなるファミリーを構成している(Hewitt、AgarwalおよびMorin、2006)。クローディン18は、CLDN18遺伝子によってコードされるヒトタンパク質であり、上皮細胞においてタイトジャンクションストランドを形成している。ヒトCLDN18は、最初の2つの選択的エキソンが選択的スプライシングを受けることにより、CLDN18.1(クローディン18.1)とCLDN18.2(クローディン18.2)という2種類のタンパク質アイソフォームが生じる。CLDN18.2は、当初、Zsig28タンパク質としてWO2000/015659において開示された。これらの2種類のアイソフォームは、N末端の69残基のアミノ酸配列が異なっており、このアミノ酸配列には第1の細胞外ループが含まれている。この第1の細胞外ドメインは、28~80番目のアミノ酸からなる。このアミノ酸配列において、CLDN18.1とCLDN18.2は8個のアミノ酸が異なっている。これらの2種類のアイソフォームは、異なる組織で発現される。CLDN18.1は主に肺組織に発現し、CLDN18.2は胃に特異的に発現する(Niimiら、2001)。正常な胃におけるCLDN18.2の発現は、分化した短命な胃上皮細胞のみに認められる。さらに、CLDN18.2の発現は、様々な腫瘍組織でも同定されている。例えば、CLDN18.2は、膵腫瘍、食道腫瘍、卵巣腫瘍および肺腫瘍で発現することが判明しており、様々な組織学的亜型が存在することと関連している(Sahinら、2008)。ヒトCLDN18.2タンパク質のアミノ酸配列は、NCBIの参照配列NP_001002026.1に由来するものであってもよい。この配列を配列番号133として開示する。
【0003】
CLDN18.2は、正常組織での発現パターンが特定の細胞のみに限定されること、およびヒトがんにおいて異所性に発現されることから、上皮性腫瘍の抗体療法を行うことを目的としたがんの標的として注目を集めている。このような抗体療法を実現するため、様々な研究がなされている。WO2004/047863では、CLDN18のスプライスバリアントが同定されており、CLDN18.2に由来する様々なペプチドに対する抗体のスクリーニングが行われている。このスクリーニングでは、CLDN18.2由来ペプチドとして、DQWSTQDLYN(配列番号57)からなるペプチド(CLDN18.2のN末端細胞外ドメイン、グリコシル化の有無とは無関係に抗体が結合);NNPVTAVFNYQ(配列番号58)からなるペプチド(CLDN18.2のN末端細胞外ドメイン、主に非グリコシル化形態に抗体が結合);およびSTQDLYNNPVTAVF(配列番号59)からなるペプチド(CLDN18.2のN末端細胞外ドメイン、非グリコシル化形態のみに抗体が結合)が使用された。さらに、この特許文献には、CLDN18.1アイソフォームとCLDN18.2アイソフォームの両方に共通のC末端細胞外ドメインに含まれるTNFWMSTANMYTG(配列番号60)からなるpan-CLDN18ペプチドを用いてスクリーニングされたポリクローナルウサギ抗体も開示されている。WO2005/113587では、ALMIVGIVLGAIGLLV(配列番号61)からなるペプチド配列またはRIGSMEDSAKANMTLTSGIMFIVS(配列番号62)からなるペプチド配列で定義されるCLDN18.2の特定のエピトープに対する抗体が開示されている。WO2007/059997では、METDTLLLWVLLLWVPGSTGDAAQPARRARRTKLGTELGSTPVWWNSADGRMDQWSTQDLYNNPVTAVFNYQGLWRSCVRESSGFTECRGYFTLLGLPAMLQAVRAAIQHSGGRSRRARTKTHLRRGSE(配列番号63)からなるペプチド(N末端およびC末端が伸長されたCLDN18.2の第1の細胞外ドメインを含む)を用いた免疫処置によって得られたCLDN18.2特異的モノクローナル抗体が開示されている。この免疫処置によって得られた抗体は、補体依存性細胞傷害(CDC)および抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)を介して細胞傷害性を発揮する。WO2007/059997およびWO2016/165762では、IMAB362という抗体が開示されており、この抗体は、ClaudiximabあるいはZolbetuximabの名称でも知られている。IMAB362は、マウスモノクローナル抗体に由来するIgG1抗体であり、臨床適用を目的として、キメラ化によりヒトIgG1の定常領域が導入されている。WO2008/145338では、第1の細胞外ドメイン内で重複するペプチドに結合する様々な抗体が開示されている(MDQWSTQDLYNNPVT(配列番号64)、LYNNPVTAVFNYQGL(配列番号65)、VFNYQGLWRSCVRES(配列番号66)、QGLWRSCVRESSGFT(配列番号67)およびRSCVRESSGFTECRG(配列番号68))。WO2013/167259では、診断を目的として、がん組織切片中の細胞におけるCLDN18.2の発現を検出するため、CLDN18.2のC末端部分を標的とする抗体の製造も試みられており、CLDN18.2のC末端エピトープに結合する抗体が開示されている。この特許文献では、CLDN18.2の2つのC末端エピトープとして、TEDEVQSYPSKHDYV(配列番号69)からなる配列と、EVQSYPSKHDYV(配列番号70)からなる配列が開示されている。WO2013/174509では、γδT細胞を安定化する薬剤と抗CLDN18.2抗体の組み合わせ、およびCLDN18.2の発現を安定化または増強させる薬剤と抗CLDN18.2抗体の組み合わせが開示されている。これらの抗CLDN18.2抗体は、細胞毒、薬物(例えば免疫抑制剤)、放射性同位体などの治療効果を有する部分に結合させてもよい。WO2014/075788では、CLDN18.2とCD3の両方に結合する二重特異性抗体を使用してがん疾患を治療する方法が開示されている。WO2014/127906では、CLDN18.2の発現の安定化または増強を目的とした複数の薬剤の併用が開示されている。WO2016/166122では、CLDN18.2に結合すると非常に効率的に内在化させることができる抗CLDN18.2モノクローナル抗体が開示されており、このような特徴から、抗体薬物複合体(ADC)の開発に適している。さらに、この特許文献には、切断可能なSPDBリンカーまたはバリン-シトルリンリンカーを使用して、このような抗体を薬物であるDM4またはMMAEに結合させることも開示されている。しかしながら、これらの特許出願により様々な抗体が開示されているにもかかわらず、現在臨床試験が行われているものは、WO2007/059997とWO2016/165762に開示されているキメラ抗体IMAB362のみである。前述の抗体や抗体薬物複合体に加えて、WO2018/006882では、抗CLDN18.2モノクローナル抗体から作製したキメラ抗原受容体(CAR)が開示されている。WO2018/006882では、様々な抗体がヒト化されており、これらのヒト化抗体の配列は、Jiangら(2018)による共同研究論文の補足資料に開示されている(Jiangら、2018)。ヒト化抗体を利用したCAR T細胞は、現在、進行性胃腺癌患者および膵腺癌患者において第I相臨床試験が行われている(ClinicalTrials.govのID番号:NCT03159819)。CN109762067では、CDCまたはADCCを介して細胞傷害性を発揮する別の抗CLDN18.2モノクローナル抗体が開示されている。WO2019/173420では、ADCC活性を有する抗CLDN18.2ヒト化モノクローナル抗体が開示されている。WO2019/175617では、IMAB362とは異なるエピトープに結合する抗CLDN18.2モノクローナル抗体が開示されている。WO2019/219089では、CLDN18.2の変異体に結合するモノクローナル抗体が開示されている。
【0004】
CLDN18.2は様々な立体構造を有することが報告されており、細胞外領域にN-グリコシル化部位を含むことがある(WO2007/059997の3頁の第1段落を参照されたい)。このことから、正常細胞と腫瘍細胞の間で、CLDN18.2のトポロジーが異なっていたり、グリコシル化部位に違いが生じる可能性がある(WO2007/059997の4頁の第2段落を参照されたい)。しかし、腫瘍細胞に発現されたCLDN18.2を選択的な標的とする抗体はこれまでに報告されていない。CLDN18.2は、腫瘍だけでなく、正常組織すなわち胃組織でも発現されることから(Sahinら、2008)、特に、IMAB362に関して報告されているような(Sahinら、2018;Tureciら、2019)、正常臓器や正常組織に対する治療抗体のオンターゲット効果に付随することが多い安全上の問題や副作用(Hanselら、2010)を回避するために、腫瘍に発現されたCLDN18.2のみを標的とする抗体が有益であることは明白である。
【0005】
治療抗体は、高い親和性で標的に結合することに加えて、開発過程、製造過程、保存過程および(インビボでの)臨床適用において所望の特性を保持すべきである。抗体の安定性は、翻訳後修飾(PTM)によって損なわれる場合がある(Luら、2019;Gervais、2016)。無秩序な翻訳後修飾によって、所望の有効性、活性、効力または安定性を満たさない抗体が生じる可能性があることから、治療抗体の開発過程では、可能な限り最小限の翻訳後修飾しか起こらないように治療抗体を設計することが極めて重要である。また、翻訳後修飾は、バイオシミラーの規制当局による受け入れ、技術移転または加工および開発にも重大な影響を及ぼす。主に利用されている修飾として、酸化、脱アミド化および異性化がある。さらに、IMAB362は、伸長されたマウス配列を有するキメラ抗体であることから、患者において抗薬物抗体が誘導されることがあり、例えば、反復投与された場合に治療有効性が低下する恐れがある。
【0006】
したがって、腫瘍患者の治療に使用するための、CLDN18.2に特異的な改良された抗体が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
用語の定義
「抗体」は「免疫グロブリン(Ig)」とも呼ばれ、通常、4つのポリペプチド鎖、すなわち、2つの重鎖(H)と2つの軽鎖(L)とを含むことから、多量体タンパク質である。「抗体」は、免疫グロブリンと同等な免疫グロブリンホモログを含む場合もある(例えば、重鎖のみを含むラクダ科抗体や、重鎖または軽鎖に由来する単一ドメイン抗体(sdAb)またはナノボディがある)。また、「抗体」には、抗体ベースの結合性タンパク質や、標的に対する結合能を保持する組換え抗体フォーマットも含まれる。さらに、「抗体」には、抗体に必須の免疫グロブリン分子のエピトープ結合性を保持する機能性の全長変異体またはそれらのバリアントもしくは誘導体も含まれ(マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト型抗体が挙げられるが、これらに限定されない)、これらには、両特異性免疫グロブリン、二重特異性免疫グロブリン、多重特異性免疫グロブリン、二重特異性可変ドメインを含む免疫グロブリンも含まれる。免疫グロブリン分子は、どのクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)であってもよく、どのサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)であってもよく、アロタイプであってもよい。免疫グロブリン分子は、例えば、Fcγ受容体や胎児性Fc受容体(FcRn)に対する親和性を向上または低下させるために変異が導入されていてもよい。
【0008】
本明細書において、「抗体断片」は、抗体に由来する少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む分子に関し、この分子は、標的結合性を示すが、全長抗体ではない。抗体断片は、対応する全長抗体と同じエピトープまたは同じ標的に結合することができる。抗体断片として、具体的には、(i)Fab断片(軽鎖可変ドメイン(VL)、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖定常ドメイン(CL)および重鎖定常ドメイン1(CH1)からなる1価の断片);(ii)F(ab’)2断片(ヒンジ領域のジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片(F(ab’)2断片を還元することによって、2つのFab’断片と遊離スルフヒドリル基とが得られる));(iii)Fab(Fa)断片の重鎖部分(VHドメインとCH1ドメインからなる);(iv)可変断片(Fv)(抗体の片方の腕のVLドメインとVHドメインからなる);(v)ドメイン抗体(dAb)断片(1つの可変ドメインを含む);(vi)単離された相補性決定領域(CDR);(vii)一本鎖Fv断片(scFv);(viii)ダイアボディ(VHドメインとVLドメインを単一のポリペプチド鎖上で発現させた二価の二重特異性抗体であり、極めて短いリンカーを使用してVHドメインとVLドメインを同じポリペプチド鎖上で対合させることによって、これらのドメインをもう一方の鎖の相補性ドメインと対合させ、2つの抗原結合部位を形成させた抗体);(ix)線状抗体(直線状に連結したFvセグメント(VH-CH1-VH-CH1)と、これに相補的な軽鎖ポリペプチドとが一対になることによって形成された一対の抗原結合領域);(x)二重可変ドメインを含む免疫グロブリン;ならびに(xi)単独または組み合わせて使用される免疫グロブリンの重鎖および/もしくは軽鎖のその他の断片部分、またはその変異体、バリアントもしくは誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
本明細書において、「抗体ベースの結合性タンパク質」は、免疫グロブリン以外の成分や抗体に由来しない成分中に、抗体由来の少なくとも1つのVH免疫グロブリンドメイン、VL免疫グロブリンドメインまたはCH免疫グロブリンドメインを含むあらゆるタンパク質を指してもよい。このような抗体ベースのタンパク質として、(i)結合性タンパク質とFc部分との融合タンパク質(例えば、免疫グロブリンを構成するすべてのCHドメインもしくはその一部を含む受容体もしくは受容体構成要素)、(ii)VHドメインおよび/もしくはVLドメインが別の分子足場に結合された結合性タンパク質、または(iii)天然の抗体や抗体断片では通常見られない様式で、免疫グロブリンのVHドメイン、VLドメインおよび/もしくはCHドメインが組み合わされた分子、ならびに/もしくはこれらのドメインから構築された分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
本明細書において、「組換え抗体フォーマット」は、抗体薬物複合体(ADC)、ポリアルキレンオキシドで修飾されたscFv、モノボディ、ダイアボディ、ラクダ科抗体、ドメイン抗体、二重特異性抗体または三重特異性抗体、J鎖および分泌成分で連結されたIgA構造または2つのIgGからなる構造、サメ抗体、新世界霊長類のフレームワーク領域と旧世界霊長類のCDRからなる抗体、ヒンジ領域が除去されたIgG4抗体、CH3ドメインに2つの結合部位をさらに組み込んだIgG、Fc領域を改変することによりFcγ受容体に対する親和性を向上または低下させた抗体、CH3、VLおよびVHを含む二量体化コンストラクトなどを包含する。
【0011】
本明細書に開示した抗体には、Kabatナンバリングスキーム(MartinおよびAllemn、2014)を適用した。
【0012】
本発明の詳細な説明および請求項において、「含む」という用語が使用されている場合、その他の構成要素を除外しない。本発明を達成する目的において、「からなる」という用語を使用して述べた態様は、「含む」という用語を使用して述べた態様の好ましい一実施形態であると見なされる。以下において、特定の群が、少なくとも特定の数の実施形態を含むと定義されている場合、これらの実施形態のみからなることが好ましい群も開示されていると理解される。
【0013】
単数名詞に対して、例えば、「a」、「an」、「the」などの不定冠詞または定冠詞が使用されている場合、別段の記載がない限り、この単数名詞の複数形も含まれる。
【0014】
技術用語は、通常の意味で使用される。特定の用語が特定の意味を表す場合、この用語が使用されている以下の文脈においてこの用語の定義を記載する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは、驚くべきことに、以下の実施形態で詳しく述べる新規な抗CLDN18.2抗体を同定した。この抗体は、CLDN18.2を発現する正常胃細胞よりもCLDN18.2を発現する腫瘍細胞に強く結合し、かつ/または安定性が向上しており、かつ/または改善された特性を保持したままヒト化されている。
【0016】
したがって、本発明の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、CLDN18.2を発現する正常組織よりもCLDN18.2を発現する腫瘍組織に強く結合する抗体またはその断片を提供する。一実施形態において、比較対象の正常細胞または正常組織は、正常胃細胞または正常胃組織である。
【0017】
本明細書で提供される抗体またはその断片が腫瘍組織に強く結合することは、実施例4に示すフローサイトメトリー(FC)や、実施例5に示す免疫組織化学分析(IHC)などの生物学的分析法により確認してもよい。CLDN18.2を発現する腫瘍は、CLDN18.2を発現するA549細胞をBalb/cマウスに皮下注射することによって作製してもよい。CLDN18.2を発現するA549細胞は、実施例4の記載に従って作製してもよく、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(Inhoffenstr. 7B 38124 Braunschweig、ドイツ))に2019年12月6日に寄託されたアクセッション番号DSM ACC3360でも入手可能である。正常組織(例えば正常胃組織)は、前述の皮下注射により腫瘍が形成されたマウスから採取してもよい。したがって、正常組織よりも腫瘍組織に強く結合することは、同じ動物から得られた腫瘍組織と正常組織を用いて確認してもよい。
【0018】
正常組織に発現したCLDN18.2よりも腫瘍組織に発現したCLDN18.2に強く結合することは、CLDN18.2の選択的グリコシル化や、CLDN18.2のミスフォールディングなどの翻訳後修飾に起因するものであってもよい。
【0019】
生物学的分析法としてフローサイトメトリー(FC)を用いて、抗体の結合を評価してもよい。CLDN18.2陽性細胞の割合は、例えば、特異的な抗CLDN18.2抗体を用いたフローサイトメトリーで測定することができる。抗体の結合を調べるための別の方法として、例えば、腫瘍細胞試料中のCLDN18.2陽性細胞の割合と、正常組織(例えば正常胃組織)から得られた細胞試料中のCLDN18.2陽性細胞の割合の比率を評価してもよい。正常細胞(例えば正常胃細胞)よりも、CLDN18.2を発現するA549細胞から増殖したCLDN18.2発現腫瘍細胞に抗体が強く結合することは、2を超える比率、5を超える比率、10以上の比率、好ましくは15以上の比率、より好ましくは20以上の比率として示されてもよい。
【0020】
正常細胞(例えば正常胃細胞)よりも、CLDN18.2を発現するA549細胞から増殖したCLDN18.2発現腫瘍細胞に抗体が強く結合することは、抗体に結合した腫瘍細胞の数が、抗体に結合した正常細胞(例えば正常胃細胞)の数の少なくとも2倍、少なくとも5倍または少なくとも10倍、好ましくは少なくとも15倍、好ましくは少なくとも20倍であることを確認することによって評価してもよい。
【0021】
抗体の結合を評価するための生物学的分析法として、免疫組織化学分析(IHC)を使用してもよい。IHCに使用する組織試料は、例えば、実施例5に示すように、切除後に急速凍結し、解凍してからアセトンで固定することが好ましいと考えられる。CLDN18.2は、正常組織に見られるタイトジャンクションタンパク質であることから、正常組織および/または腫瘍組織でのCLDN18.2の陽性染色は、主に細胞間インターフェースの膜状構造の染色として可視化される。したがって、CLDN18.2の陰性染色または弱い染色は、膜状構造が染色されていないことを意味する。
【0022】
別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、CLDN18.2を過剰発現するHEK293T細胞を用いたフローサイトメトリー(FC)による力価測定で測定した場合に、半数効果濃度(EC50)値が、0.4μg/mlを超え1μg/ml以下であること、0.5μg/mlを超え1μg/ml以下であること、好ましくは0.6μg/mlを超え1μg/ml以下であることを特徴とする抗体またはその断片を提供する。CLDN18.2を過剰発現するHEK293T細胞は、実施例3に記載の方法で作製してもよい。本発明の抗体のEC50値は、CLDN18.2を過剰発現するHEK293T細胞を用いたフローサイトメトリー(FC)よる力価測定で測定した場合に、0.4~1μg/mlまたは0.5~1μg/mlであってもよく、0.6~1μg/mlであることが好ましい。
【0023】
別の方法として、CLDN18.2を過剰発現するHEK293T細胞を用いたフローサイトメトリーにより本発明の抗体のEC50値を測定する場合、本発明の抗体のEC50値とIMAB362のEC50値を比較してもよく、本発明の抗体のEC50値は、IMAB362のEC50値の少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、好ましくは少なくとも1.5倍、より好ましくは少なくとも2倍、さらに好ましくは少なくとも2.5倍であり、かつ5倍以下である。本発明の抗体のEC50値は、CLDN18.2を過剰発現するHEK293T細胞を用いたフローサイトメトリーで測定した場合、IMAB362のEC50値の1.1~2.5倍または1.2~2.5倍であり、1.5~2.5倍であることが好ましく、2~2.5倍であることがより好ましい。
【0024】
別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、PA-TU-8988S-High細胞を用いたフローサイトメトリー(FC)による力価測定で測定した場合に、EC50値が、0.6μg/mlを超え3μg/ml以下であること、1μg/mlを超え3μg/ml以下であること、好ましくは1.5μg/mlを超え3μg/ml以下であること、より好ましくは2μg/mlを超え3μg/ml以下であることを特徴とする抗体またはその断片を提供する。PA-TU-8988S-High細胞は、実施例2に記載の方法で作製してもよい。本発明の抗体のEC50値は、PA-TU-8988S-High細胞を用いたフローサイトメトリー(FC)よる力価測定で測定した場合、0.6~3μg/mlまたは1~3μg/mlであってもよく、1.5~3μg/mlであることが好ましく、2~3μg/mlであることがより好ましい。
【0025】
別の方法として、PA-TU-8988S-High細胞を用いたフローサイトメトリーで本発明の抗体のEC50値を測定する場合、本発明の抗体のEC50値とIMAB362のEC50値を比較してもよく、本発明の抗体のEC50値は、IMAB362のEC50値の少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも4倍であり、かつ5倍以下である。本発明の抗体のEC50値は、PA-TU-8988S-High細胞を用いたフローサイトメトリー(FC)で測定した場合に、IMAB362のEC50値の1.5~5倍、2~5倍、3~5倍、または4~5倍であってもよい。
【0026】
別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、CLDN18.2を過剰発現するHEK293T細胞を用いたフローサイトメトリーによりCLDN18.2への結合を測定した場合に、最大MFI値がIMAB362の最大MFI値の±40%の範囲であることを特徴とする抗体またはその断片を提供する。さらに本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、PA-TU-8988S-High細胞を用いたフローサイトメトリーでCLDN18.2への結合を測定した場合に、最大MFI値がIMAB362の最大MFI値と同程度またはその2倍以下であることを特徴とする抗体またはその断片を提供する。
【0027】
CLDN18.2を発現する正常組織よりもCLDN18.2を発現する腫瘍組織に強く結合する抗体またはその機能性断片は、CLDN18.2を発現する正常組織とCLDN18.2を発現する腫瘍組織を区別することができない抗体よりも優れた治療上の利点を有していてもよい。腫瘍に特異的な抗体は、安全上の問題や副作用を引き起こさないと考えられ、これらの問題や副作用は、正常臓器/組織に対する治療抗体のオンターゲットな効果に関連することが非常に多い(Hanselら、2010)。このような望ましくない効果は、例えば、IMAB362に関して報告されている(Sahinら、2018;Tureciら、2019)。
【0028】
本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、重鎖の相補性決定領域(HCDR)として、配列番号21のHCDR1配列、配列番号22のHCDR2配列および配列番号23のHCDR3配列を含み、かつ軽鎖のCDRとして、配列番号24のLCDR1配列、配列番号25のLCDR2配列および配列番号26のLCDR3配列を含むことを特徴とする抗体またはその断片を提供する。
【0029】
さらに本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、配列番号23の重鎖HCDR3配列と配列番号26の軽鎖LCDR3配列とを含むことを特徴とする抗体またはその断片を提供する。
【0030】
各CDRのコンセンサス配列を表1に示す。本発明は、これらのコンセンサス配列に由来するCDRの任意の組み合わせに基づき、かつCLDN18.2に結合するあらゆる抗体またはその断片を包含する。
【表1】
【0031】
抗体の結合または結合親和性は、通常、平衡結合定数(Ka)または平衡解離定数(Kd)で表される。平衡結合定数(Ka)は、結合速度定数(kon)と解離速度定数(koff)の比から求められ、平衡解離定数(Kd)はその逆数である。したがって、速度定数の比率が変化しない限り、同じ親和性を別の速度定数で表してもよい。結合親和性および/または速度定数は、当技術分野で公知の技術または本明細書に記載の方法を使用して測定することができ、このような方法として、ELISA、フローサイトメトリーによる力価測定、等温滴定カロリメトリー(ITC)、Biacore(SPR)、バイオレイヤー干渉法、蛍光偏光法などが挙げられる。抗原の特性によっては、抗体のKa値やKd値が測度しにくい場合もある。これは、特に、クローディンなどの内在性膜タンパク質の場合に当てはまる(Hashimotoら、2018)。このような場合、内在性膜タンパク質をプロテオリポソームまたはリポパーティクルとして発現させてもよい。また、このようなリポパーティクルをプラスチックに固定してELISAアッセイに用いることによって、固定された抗原に対する抗体の結合親和性を測定してもよい。Ka値やKd値の代わりに、個々の試験抗体またはその機能性断片の半数効果濃度(EC50)値を算出することによって、抗原に対する結合親和性(または結合の強さ)を調べてもよい。後述する実施例2および図1では、表1に示したコンセンサス配列を含むCDRを有する抗体のELISAアッセイによる結合親和性曲線の一例を示している。EC50値および最大結合値を利用して、CLDN18.2への抗体の結合を定量することができる。後述の実施例3は、CLDN18.2を発現する細胞を用いたフローサイトメトリーによる、表1に示したコンセンサス配列を含むCDRを有する抗体のEC50値の算出に関する。
【0032】
別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、重鎖のCDRとして、配列番号21のHCDR1配列、配列番号126のHCDR2配列および配列番号23のHCDR3配列を含み、かつ軽鎖のCDRとして、配列番号24のLCDR1配列、配列番号25のLCDR2配列および配列番号26のLCDR3配列を含むことを特徴とする抗体またはその断片を提供する。
【0033】
一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、
a.配列番号1のHCDR1配列、配列番号15のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
b.配列番号1のHCDR1配列、配列番号16のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
c.配列番号1のHCDR1配列、配列番号16のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号17のLCDR1配列、配列番号14のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列;
d.配列番号1のHCDR1配列、配列番号16のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号18のLCDR1配列、配列番号19のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列;
e.配列番号12のHCDR1配列、配列番号15のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
f.配列番号1のHCDR1配列、配列番号20のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
g.配列番号1のHCDR1配列、配列番号20のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号18のLCDR1配列、配列番号19のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列;
h.配列番号12のHCDR1配列、配列番号20のHCDR2配列および配列番号8のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;または
i.配列番号12のHCDR1配列、配列番号20のHCDR2配列および配列番号8のHCDR3配列と、配列番号17のLCDR1配列、配列番号14のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列
を含む、抗体またはその断片に関する。
【0034】
さらに別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、
a.配列番号1のHCDR1配列、配列番号2のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
b.配列番号1のHCDR1配列、配列番号7のHCDR2配列および配列番号8のHCDR3配列と、配列番号9のLCDR1配列、配列番号10のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列;または
c.配列番号12のHCDR1配列、配列番号2のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号13のLCDR1配列、配列番号14のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列
を含む、抗体またはその断片を提供する。
【0035】
さらに別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、
a.配列番号27のVH配列と配列番号28のVL配列;
b.配列番号29のVH配列と配列番号30のVL配列;または
c.配列番号31のVH配列と配列番号32のVL配列
を含む、抗体またはその断片に関する。
【0036】
別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、
a.配列番号33のVH配列;
b.配列番号34のVH配列;
c.配列番号35のVH配列;
d.配列番号36のVH配列;または
e.配列番号37のVH配列と、
f.配列番号38のVL配列;
g.配列番号39のVL配列;
h.配列番号40のVL配列;または
i.配列番号41のVL配列
とを含む、抗体またはその断片に関する。
【0037】
さらに別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、
a.配列番号33のVH配列と配列番号38のVL配列;
b.配列番号34のVH配列と配列番号38のVL配列;
c.配列番号34のVH配列と配列番号39のVL配列;
d.配列番号34のVH配列と配列番号40のVL配列;
e.配列番号35のVH配列と配列番号38のVL配列;
f.配列番号36のVH配列と配列番号41のVL配列;
g.配列番号36のVH配列と配列番号40のVL配列;
h.配列番号37のVH配列と配列番号41のVL配列;
i.配列番号37のVH配列と配列番号38のVL配列;または
j.配列番号37のVH配列と配列番号39のVL配列
を含む、抗体またはその断片に関する。
【0038】
別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、
a.配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列;
b.配列番号47の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列;
c.配列番号47の重鎖配列と配列番号52の軽鎖配列;
d.配列番号47の重鎖配列と配列番号53の軽鎖配列;
e.配列番号48の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列;
f.配列番号47の重鎖配列と配列番号54の軽鎖配列;
g.配列番号49の重鎖配列と配列番号53の軽鎖配列;
h.配列番号50の重鎖配列と配列番号54の軽鎖配列;
i.配列番号50の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列;または
j.配列番号50の重鎖配列と配列番号52の軽鎖配列
を含む、抗体またはその断片に関する。
【0039】
本明細書において開示された抗体の軽鎖定常領域(CL)は、配列番号127のアミノ酸配列を有していてもよく、その重鎖定常領域CH1およびFc領域は、配列番号128のアミノ酸配列を有していてもよい。
【0040】
好ましい一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体であって、配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列とを含む抗体に関する。
【0041】
さらに好ましい一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体であって、配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列からなる抗体に関する。
【0042】
さらに本発明は、CLDN18.2を発現する正常胃細胞よりもCLDN18.2を発現する腫瘍細胞に強く結合する抗体であって、本発明の抗体のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有する抗体に関する。
【0043】
一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体であって、
a.配列番号27のVH配列と配列番号28のVL配列;
b.配列番号29のVH配列と配列番号30のVL配列;または
c.配列番号31のVH配列と配列番号32のVL配列
を含む抗体と少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を持つ抗体に関する。
【0044】
さらに別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体であって、
a.配列番号33のVH配列と配列番号38のVL配列;
b.配列番号34のVH配列と配列番号38のVL配列;
c.配列番号34のVH配列と配列番号39のVL配列;
d.配列番号34のVH配列と配列番号40のVL配列;
e.配列番号35のVH配列と配列番号38のVL配列;
f.配列番号36のVH配列と配列番号41のVL配列;
g.配列番号36のVH配列と配列番号40のVL配列;
h.配列番号37のVH配列と配列番号41のVL配列;
i.配列番号37のVH配列と配列番号38のVL配列;または
j.配列番号37のVH配列と配列番号39のVL配列
を含む抗体と少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を持つ抗体に関する。
【0045】
さらに別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体であって、配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列からなる抗体と少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を持つ抗体に関する。
【0046】
別の一実施形態において、前記抗体(または抗体断片が存在する場合は、抗体断片)のFcドメインは、以下の表2に記載の改変や変異などの、改変または変異を含んでいてもよい。このような改変または変異は、前記抗体のFcドメインのエフェクター活性を調節するために導入してもよい。抗体の改変には、抗体の重鎖および/または軽鎖のC末端に付加されるペプチドタグがさらに含まれていてもよい。このようなタグは、例えば、タンパク質の精製やタンパク質の標識に使用してもよい。
【0047】
別の一実施形態において、本発明は、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、合成 IgG、IgM、F(ab)2、Fv、scFv、IgGACH2、F(ab’)2、scFvCH3、Fab、VL、VH、scFv4、scFv3、scFv2、dsFv、Fv、scFv-Fc、(scFv)2、non-depleting IgG(細胞消失を誘導しないIgG)、ダイアボディ、二価抗体またはこれらのFc組換え体の形態の、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片を提供する。好ましい一実施形態において、本発明の抗体はIgG1抗体である。免疫グロブリンのFc領域は、様々な種類のFcγ受容体(FcγR)および補体タンパク質(例えばC1q)と相互作用し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)または補体依存性細胞傷害(CDC)を介して、免疫系のエフェクター機能(標的細胞の排除など)を担っている。Fc領域に関連するエフェクター機能を増強または抑制すると、治療用途に有益である場合がある。免疫グロブリンの種類(IgA、IgD、IgE、IgG、IgM)は、Fcドメインに関連する抗体の所望のエフェクター機能に応じて選択してもよい。また、合成免疫グロブリンを使用してもよく、例えば、IgG2の118~260番目のアミノ酸残基とIgG4の261~447番目のアミノ酸残基とを含む免疫グロブリンや、IgG4由来の点変異(例えば、H268Q/V309L/A30S/P331S)を導入したIgG2バリアントなどを使用してもよい。このような合成免疫グロブリンは、抗体のエフェクター機能が低下している。また、抗体のエフェクター機能を調節するために、Fc領域を組換えた免疫グロブリンを使用してもよい。このようなFc領域の遺伝子組換えの一例を表2に示す。さらに、フコシル化糖鎖を組換えたタンパク質産生細胞株から発現させることによってFcγ受容体への結合に影響を与えてもよい。
【表2】
【0048】
抗体の半減期を調節してもよい。Fcドメインは、抗体の安定性および血清中半減期において中心的な役割を果たしている。治療用途では、Fcドメインを除去した抗体断片またはFcドメインを一部切断した抗体断片を使用することによって、抗体の半減期を短縮してもよく、このような抗体断片として、F(ab)2、Fv、scFv、IgGACH2、F(ab’)2、scFvCH3、Fab、VL、VH、scFv4、scFv3、scFv2、dsFv、Fv、scFv-Fc、(scFv)2などが挙げられる。本発明の抗体は、ダイアボディまたは二価抗体の形態であってもよい。ダイアボディまたは二価抗体を使用することによって、標的に対する親和性を増加させ、用量を低く抑えてもよい。Fcドメインを除去した機能性断片またはFcドメインを一部切断した機能性断片は、キメラ抗原受容体T細胞(CAR T細胞)や二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE)などの、別の治療方法の開発に使用してもよい。CARコンストラクトでは、通常、短いペプチドリンカーを介して1つのVHドメインと1つのVLドメインとが連結されて、一本鎖可変領域断片(scFv)を形成しており、このscFv断片は、膜貫通ドメインと細胞質内のT細胞免疫受容体活性化チロシンモチーフ(例えばCD3ζに由来する活性化チロシンモチーフ)にさらに連結され、この活性化チロシンモチーフは、共刺激分子ドメイン(例えば、CD28、4-1BB(CD127)またはOX40に由来する共刺激分子ドメイン)にさらに連結されている(ChangおよびChen、2017)。このscFv断片において使用されるVHドメインおよびVLドメインは、表3に記載の抗体のいずれかであってもよい。BiTEは、通常、2種の抗体に由来する2つのscFvが融合されたものである。このうち、一方のscFvドメインは、表3に記載の、CLDN18.2に結合する単離された抗体のいずれかに由来するものであってもよく、もう一方のscFvドメインは、例えば、CD3、CD16、NKG2D、NKp46、CD2、CD28またはCD25に結合する抗体に由来するものであってもよい。T細胞に標的指向性を付与する目的で使用されるBiTE抗体フォーマットや、その他の二重特異性抗体フォーマットに関する詳細なガイダンスは、Diego Ellerman(2019)による総説論文を参照してもよい。
【0049】
別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、配列番号127の軽鎖定常領域(CL)を有し、好ましくは、重鎖定常領域のCH2ドメインにL234A/L235A変異を有することからFcγRへの結合が抑制された配列番号129の重鎖定常領域のCH1ドメインおよびFc領域をさらに有することを特徴とする抗体またはその断片を提供する。より好ましくは、本発明は、重鎖定常領域のCH1ドメインおよびFc領域にL234A/L235A/P329G変異を有することからFcγRへの結合がさらに抑制された配列番号130の重鎖定常領域のCH1ドメインおよびFc領域を有する抗体を提供する。
【0050】
別の好ましい一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、配列番号33のVH配列と、配列番号38のVL配列と、配列番号127の軽鎖定常領域(CL)と、L234A/L235A変異を有する配列番号129の重鎖定常領域CH1およびFc領域とを含む抗体またはその断片に関する。
【0051】
別の好ましい一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、配列番号33のVH配列と、配列番号38のVL配列と、配列番号127の軽鎖定常領域(CL)と、L234A/L235A変異を有する配列番号129の重鎖定常領域CH1およびFc領域からなる抗体またはその断片に関する。
【0052】
別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合するヒト化抗体またはその断片を提供する。モノクローナル抗体のヒト化は既に十分に確立されている。Handbook of Therapeutic Antibodies, Second Editionには、モノクローナル抗体のヒト化(Saldanha、2014)、このような抗体を分析するためのバイオインフォマティクスツール(MartinおよびAllemn、2014)、ならびに治療抗体の開発および製造(Jacobiら、2014)に関する十分な情報が記載されている。
【0053】
別の一実施形態において、前記抗体またはその断片は、CLDN18.2に結合する単離された抗体または単離された断片である。
【0054】
さらに別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.1に結合しないが、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片を提供する。したがって、この抗体は、CLDN18.1に対して交差反応性や交差結合性を示さない。標的タンパク質への抗体の結合は、標的タンパク質を発現する細胞に対してフローサイトメトリーを実施することによって試験することができる。試験した抗体の標的タンパク質への特異的な結合は、ヒストグラムプロットで可視化することができる。試験した抗体が、発現された標的タンパク質に特異的に結合する場合、高い蛍光シグナルのピークがヒストグラムプロットに認められ、試験した抗体が、発現された標的タンパク質に結合しないか、非常に弱くしか結合できない場合、低い蛍光シグナルのピークがヒストグラムプロットに認められる。結合の程度は、フローサイトメトリーで測定した平均蛍光強度の最大値(最大MFI値)を示した棒グラフとして示すこともでき、最大MFI値が高い場合は強力な結合であることを示し、最大MFI値が低い場合または最大MFI値が認められない場合は、非常に弱い結合であること、または結合が起こらなかったことを示す。様々な抗体の最大MFI値を同じ実験セットアップで比較することによって、標的に対する抗体の親和性を調べてもよく、最大MFI値が高いほど、解離しにくく、親和性が高い。このような結合アッセイの一例を実施例3と図4および図5に示す。
【0055】
別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、別の部分に結合された抗体またはその断片を提供する。この抗体またはその断片と別の部分との結合は、共有結合であってもよく、共有結合以外の結合であってもよい。この別の部分として、放射性同位体、蛍光タグ、組織学的マーカー、細胞毒またはサイトカインが挙げられる。この別の部分は、当技術分野で公知のリンカーを介して前記抗体に共有結合してもよい。
【0056】
さらに別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する腫瘍特異的抗体またはその断片であって、IMAB362よりも翻訳後の脱アミド化を受けにくい腫瘍特異的抗体またはその断片に関する。さらに別の一実施形態において、本発明は、CLDN18.2に結合する腫瘍特異的抗体またはその断片であって、翻訳後に脱アミド化を受けない腫瘍特異的抗体またはその断片に関する。翻訳後修飾(PTM)は、抗体の開発と抗体の製造・保存において重要である。翻訳後修飾が無秩序に起こると、抗体の有効性、活性、効力または安定性が損なわれる場合がある。翻訳後修飾は、N-グリコシル化、リシンの糖化、バイオプロセシング過程での細胞培養培地に由来する別のシステイン、グルタチオンもしくはその他のスルフヒドリル含有化合物によるシステインのキャッピング、またはジスルフィド共有結合架橋により連結されたシステインを介したダイマーの形成もしくはそれよりも高次のオリゴマーの形成であってもよい。翻訳後修飾の中でも、アスパラギン(Asn、N)残基の脱アミド化、アスパラギン酸塩(アスパラギン酸、Asp、D)残基の異性化、およびスクシンイミド中間体の形成は、治療抗体の製造、保存または投与後のインビボでの修飾反応として最も頻度が高い。アスパラギンの脱アミド化とアスパラギン酸の異性化は、配列の信頼性、構造環境および保存条件(特に、溶液のpHおよび保存温度)に左右される。これらの修飾は、機能や生物学的活性の低下を起こす可能性があり、さらには機能喪失または生物学的活性の喪失を起こす可能性もあり、特に、影響を受ける残基が標的への結合に関与する場合に機能喪失や生物学的活性の喪失が起こりうる。アスパラギン残基とアスパラギン酸残基は、修飾を受けるリスクがあり、特に、アスパラギン残基とアスパラギン酸残基が、CDRループなどの構造的に柔軟な領域に存在する場合や、構造に関するその他の特定の必要条件が満たされた場合に、アスパラギン残基とアスパラギン酸残基が修飾を受ける。その一方で、フレームワーク領域は、比較的修飾に抵抗性であることが観察されている。アスパラギン残基とアスパラギン酸残基の構造上での位置に加えて、アスパラギンの脱アミド化またはアスパラギン酸の異性化が起こる典型的なモチーフも同定されている。アスパラギンの脱アミド化が起こる典型的なモチーフとして、NG、NS、NN、NTおよびNHが挙げられ、アスパラギン酸の異性化が起こる典型的なモチーフとしてDG、DS、DD、DTおよびDHが挙げられる(Luら、2019)。インシリコ分析を行ったところ、本明細書で開示される抗体は、VLドメインのCDR2の最後のアミノ酸と重鎖のCH2領域およびCH3領域(VL-CDR2(62番目)、CH2(282番目)、CH3(403番目))に、アスパラギン酸の異性化が起こりうるDGモチーフを持つことが判明している。
【0057】
アスパラギン酸の異性化は、低pH(すなわちpH5.5)と熱(すなわち40℃)に抗体を2週間暴露することによって評価することができる。一方、抗体のアスパラギンの脱アミド化は、高pH(すなわちpH8.0)と熱(すなわち40℃)に抗体を1週間暴露することによって評価することができる。この方法によって、製造条件と保存条件を模倣することができる。
【0058】
本明細書において、本発明者らは、本明細書で開示された抗体が、CDRにアスパラギンとアスパラギン酸を含み、かつアスパラギン酸の異性化が起こりうるアスパラギン酸-グリシン(DG)モチーフを持つにもかかわらず、驚くべきことに、前述のような過酷な条件下でもアスパラギンの脱アミド化や(表6参照)アスパラギン酸の異性化を起こさず(表7参照)、CLDN18.2に対する結合親和性にも影響が認められなかったことを示している。一方、IMAB362では、前述のような過酷な条件下でアスパラギンの脱アミド化が認められ、結合親和性が低下した(表6および図10を参照されたい)。したがって、本発明は、CLDN18.2に結合する単離された抗体またはその断片であって、製造過程、保存過程および(インビボでの)臨床適用において、IMAB362よりも翻訳後修飾が起こりにくく、かつ製造過程、保存過程および(インビボでの)臨床適用において、CLDN18.2に対する結合親和性が確実に維持された抗体またはその断片を提供する。
【0059】
さらに本発明は、本明細書に記載の抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合する抗体を提供する。一実施形態において、この抗体は、配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列を含む抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合する。
【0060】
さらに本発明は、本明細書に記載の抗体と競合結合する抗体を提供する。一実施形態において、この抗体は、配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列を含む抗体と競合結合する。
【0061】
さらに本発明は、本明細書に記載の抗体のクローディン18.2への結合を競合的に阻害する抗体を提供する。一実施形態において、この抗体は、配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列を含む抗体のクローディン18.2への結合を競合的に阻害する。
【0062】
同じ抗原への複数の抗体の結合を検出する適切な方法として、抗原と抗体の相互作用をマッピングする方法がある。このような方法は、Abbott(2014)によって報告されている(Abbott、DamschroderおよびLowe、2014)。競合を検出する適切な方法として、Abdiche(2009)によって報告されているエピトープビニングによる競合アッセイがある(Abdicheら、2009)。また、競合的阻害の検出に適した方法として、ELISAアッセイが挙げられる。
【0063】
一実施形態によれば、本発明は、CLDN18.2に結合する単離された腫瘍特異的抗体またはその機能性断片をコードする核酸配列を提供する。この核酸配列は、前記抗体のCDRのみをコードしてもよく、前記抗体の重鎖可変(VH)領域と軽鎖可変(VL)領域をコードしてもよく、前記抗体の重鎖の全長と軽鎖の全長をコードしてもよい。このような核酸配列を表3に示す。前記核酸配列は、F(ab)2、Fv、scFv、IgGACH2、F(ab’)2、scFvCH3、Fab、VL、VH、scFv4、scFv3、scFv2、dsFv、Fv、scFv-Fc、(scFv)2、non-depleting IgG(細胞消失を誘導しないIgG)、ダイアボディ、二価抗体、またはこれらのFc組換え体をコードしてもよい。前記核酸配列によってコードされる免疫グロブリンは、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IdG2、IgG3、IgG4、合成IgG、IgM、またはこれらの変異体もしくはFc組換え体であってもよい。
【0064】
さらに別の一実施形態において、前記核酸配列は、CLDN18.2に結合するCARコンストラクトをさらにコードするものであってもよい。CAR T細胞の構築に関する詳細なガイダンスは、ChangおよびChenによる文献(2017)またはJuneおよびSadelainによる文献(2018)に記載されている。一実施形態において、本発明は、人工T細胞受容体(例えばキメラ抗原受容体(CAR))を産生するように遺伝子組換えされたT細胞であって、該人工T細胞受容体が、CLDN18.2に結合する本発明の抗体またはその機能性断片を含むことを特徴とするT細胞を提供する。
【0065】
さらに別の一実施形態において、本発明は、腫瘍特異的な抗体ベースの結合性タンパク質であって、CLDN18.2に特異的に結合する結合性タンパク質を提供する。このような結合性タンパク質は、本明細書で開示された抗体のCLDN18.2結合ドメインと、抗体とは無関係な別のタンパク質ドメインとを少なくとも含んでいてもよい。さらに本発明は、CLDN18.2に結合する組換え抗体フォーマットを提供する。
【0066】
さらに本発明は、本発明の核酸またはコドンの縮重により生じた縮重核酸を含む発現ベクターを提供する。この発現ベクターは、哺乳動物細胞、細菌細胞、真菌細胞または昆虫細胞においてタンパク質を発現させるための発現ベクターであってもよく、前記抗体またはその機能性断片をコードする核酸を含む前記発現ベクターが導入される宿主細胞の種類に応じて選択してもよい。このようなベクターの構築に関する詳細なガイダンスは、GreenおよびSambrookによる著書に記載されている(GreenおよびSambrook、2012)。
【0067】
別の一実施形態において、本発明は、本発明の核酸または発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。この宿主細胞は、哺乳動物細胞もしくは哺乳動物細胞株、細菌細胞、真菌細胞または昆虫細胞であってもよい。
【0068】
別の一実施形態において、本発明は、新生物疾患に罹患している対象の治療に使用するための、CLDN18.2に結合する抗体もしくはその断片、前記抗体もしくはその断片をコードする核酸、前記核酸を含むベクター、または前記核酸もしくは前記ベクターを含む宿主細胞に関する。
【0069】
別の一実施形態において、本発明は、新生物疾患を発症するリスクがある対象および/または新生物疾患を有すると診断された対象の治療に使用するための、CLDN18.2に結合する抗体もしくはその断片、前記抗体もしくはその断片をコードする核酸、前記核酸を含むベクター、または前記核酸もしくは前記ベクターを含む宿主細胞に関する。
【0070】
本明細書で開示された抗体またはその断片は、単独療法として使用してもよい。好ましい一実施形態において、本明細書で開示された抗体またはその断片は、新生物疾患の確立された標準治療と組み合わせて使用される。
【0071】
前記新生物疾患は、膵臓がん、胃がん、食道がん、卵巣がんおよび肺がんからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。治療の対象となる新生物疾患は、CLDN18.2を発現する。
【0072】
一実施形態において、前記対象は哺乳動物である。好ましい一実施形態において、前記対象はヒトである。
【0073】
本発明の別の一実施形態は、CLDN18.2に結合する抗体またはその機能性断片を使用して、膵臓がん、胃がん、食道がん、卵巣がん、肺がんなどの新生物疾患を治療する方法であって、新生物疾患の治療を必要とする対象に、前記抗体またはその機能性断片の薬学的有効量を投与することを含む方法を提供する。この治療方法は、単独療法であってもよいが、新生物疾患の確立された標準治療と組み合わせた併用療法であることが好ましい。
【0074】
ヒトCLDN18.2タンパク質のアミノ酸配列は、NCBIの参照配列NP_001002026.1に由来するものであってもよい。このNCBI参照配列を配列番号133として開示している。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】CLDN18.2含有リポパーティクルまたはヌルリポパーティクルへの、グラフに示した選択されたキメラ抗CLDN18.2抗体またはヒト化抗CLDN18.2抗体の結合のELISAによる評価を示す。A.キメラ抗体cCl1-1、cCl1-2およびcCl1-3、IMAB362ならびに二次抗体のみ;B.ヒト化抗体hCl1a~hCl1j、キメラ抗体cCl1-1、IMAB362および二次抗体のみ。新規に作製した抗体はいずれも、リポソーム上のCLDN18.2に結合する。
図2】CLDN18.2の発現量に基づくPA-TU-8988S細胞の選別を示す。A.IMAB362で染色したPA-TU-8988S細胞のフローサイトメトリープロファイルを示す。B.CLDN18.2の高発現に基づいてFACSで選別したPA-TU-8988S細胞のフローサイトメトリープロファイルを示す。
図3】huCLDN18.2を過剰発現するHEK293T細胞の作製を示す。HEK293T細胞は、CLDN18.2を内因性に発現しないことから、huCLDN18.2をコードするプラスミドをトランスフェクトしてCLDN18.2を安定に発現させるか、あるいはhuCLDN18.1をコードするプラスミドをトランスフェクトしてCLDN18.1を安定に発現させた。IMAB362、pan-CLDN18.1抗体または抗ヒトIgG二次抗体のみを用いて染色し、フローサイトメトリーによって発現を分析した。A.トランスフェクトしていないHEK293T細胞のフローサイトメトリープロファイルを示す。B.CLDN18.1を安定に発現するトランスフェクトしたHEK293T細胞のフローサイトメトリープロファイルを示す。C.CLDN18.2を安定に発現するトランスフェクトしたHEK293T細胞のフローサイトメトリープロファイルを示す。
図4】CLDN18.1またはCLDN18.2を過剰発現するプレB細胞L11細胞株に対するキメラcCl1-1抗体、キメラcCl1-2抗体またはキメラcCl1-3抗体の結合をフローサイトメトリーアッセイで分析した結果を示す。これらのキメラ抗体は、CLDN18.2に結合するが、CLDN18.1には結合しない。陽性結合を示す対照としてIMAB362を使用した。
図5】CLDN18.1またはCLDN18.2を過剰発現するHEK293T細胞に対するヒト化抗体hCl1a~hCl1jの結合をフローサイトメトリーアッセイで分析した結果を示す。これらのヒト化抗体は、CLDN18.2に結合するが、CLDN18.1には結合しない。陽性結合を示す対照としてIMAB362およびcCl1-1を使用した。
図6】CLDN18.2を過剰発現するA549細胞のFACS発現プロファイルを示す。A549細胞は、CLDN18.2を内因性に発現しないが、CLDN18.2をコードするプラスミドを安定にトランスフェクトして、IMAB362を使用したFACSによりCLDN18.2の発現を分析した。
図7】フローサイトメトリーによる生細胞の染色を示す。CLDN18.2抗体(cCl1-1、hCl1a、hCl1b、hCl1c、hCl1fまたはIMAB362)が結合した単離された単一細胞の割合を示したグラフである。この単一細胞は、注入したCLDN18.2過剰発現A549細胞から増殖したCLDN18.2発現マウス腫瘍から単離されたもの(黒色の棒)、またはCLDN18.2を発現するマウス正常胃から単離されたもの(白色の棒)であった。
図8】凍結胃組織の染色を示す。hCl1a抗体(A)、hCl1b抗体(B)、hCl1c抗体(C)、hCl1f抗体(D)またはIMAB362抗体(E)で、CLDN18.2を発現するマウス正常胃組織を染色した凍結組織スライドを示す。写真は代表的なIHC染色画像を示す。
図9】注入されたCLDN18.2過剰発現A549細胞から増殖した腫瘍組織の凍結切片の染色を示す。hCl1a抗体(A)、hCl1f抗体(B)、IMAB362抗体(C)またはAbcam社のpan-CLDN18抗体[34H14L15]で、CLDN18.2を発現するマウス腫瘍を染色した凍結組織スライドを示す。写真は代表的なIHC染色画像を示す。
図10】IMAB362の結合活性に対する脱アミド化の影響を示す。脱アミド化すると、CLDN18.2に対するIMAB362の親和性が低下する。
【実施例
【0076】
実施例1:キメラ抗体とヒト化抗体の作製
モノクローナル抗体を作製する技術は既に十分に確立されている。Handbook of Therapeutic Antibodies, Second Edition(2014)には、このような技術に関する十分な情報が記載されており、例えば、マウスまたはラットの免疫処置によるモノクローナル抗体の作製(Moldenhauer、2014)、モノクローナル抗体のヒト化(Saldanha、2014)、抗体を分析するためのバイオインフォマティクスツール(MartinおよびAllemn、2014)、治療抗体の開発および製造(Jacobiら、2014)などが記載されている。簡潔に述べると、ヒトCLDN18.2 cDNA(huCLDN18.2)(NCBI参照配列:NM_001002026.3)をコードするプラスミドを用いて、DNAによる免疫処置をラットに行うことによって、CLDN18.2に対するモノクローナル抗体を作製した。huCLDN18.2に対するラット免疫血清の特異的反応性を、フローサイトメトリー(FC分析)とELISAで分析した。次に、免疫したラットから単離したリンパ球からハイブリドーマクローンを作製し、キメラ抗体を得た。CLDN18.2に特異的な3つのクローンが同定され、これらのクローンから、類似したCDRを持つキメラ抗体が得られ、これらをcCl1-1、cCl1-2およびcCl1-3と名付けた(表3参照)。次に、cCl1-1抗体、cCl1-2抗体およびcCl1-3抗体をヒト化したところ、10種のヒト化クローンが得られ、それぞれhCl1a抗体、hCl1b抗体、hCl1c抗体、hCl1d抗体、hCl1e抗体、hCl1f抗体、hCl1g抗体、hCl1h抗体、hCl1i抗体およびhCl1j抗体と名付けた(表3参照)。
【0077】
コントロールとして、WO2013/174509に公開されている方法に従って、重鎖配列(配列番号55)と軽鎖配列(配列番号56)からIMAB362抗体を合成し、モノクローナル抗体182-D1106-362と命名し、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(Inhoffenstr. 7B 38124 Braunschweig、ドイツ))にアクセッション番号DSM ACC2810で2006年10月26日に寄託した。
【表3】
【0078】
以下の実施例2~5に記載の抗体は、重鎖のC末端にRLPQTGGタグ(配列番号131)を含み、かつ/または軽鎖のC末端にGGGGSLPQTGGタグ(配列番号132)を含むように組換えたものである。これらの抗体において、重鎖のC末端リシン(K)は、このタグのアルギニン(R)で置換されていた。これらのタグを付加しても、各抗体のCLDN18.2に対する親和性と特異性に変化は認められなかった。
【0079】
実施例2:キメラ抗体バリアントおよびヒト化抗体バリアントのCLDN18.2への結合を確認するためのELISAアッセイおよびフローサイトメトリー力価測定
CLDN18.2を含むリポパーティクルを抗原の供給源として使用して、CLDN18.2に対するキメラ抗体およびヒト化抗体(hCl)の結合親和性をELISAアッセイで試験した。最終濃度が10U/mlになるように、CLDN18.2リポパーティクルまたは(抗原が表面に結合していない陰性対照としての)ヌルリポパーティクルで96ウェルプレートをコーティングした。0.05% Tween-20を含むPBS(PBS-T)でプレートを洗浄し、3%BSAを含むPBS-Tを用いて37℃で少なくとも1時間ブロッキングし、各試験抗体を2μg/mlの出発濃度から1:3の割合で段階希釈して、コーティングした各ウェルに加え、37℃で少なくとも1時間インキュベートした。次に、HRP標識ヤギ抗ヒト二次抗体を結合させた後、ペルオキシダーゼ基質としてのSIGMAFASTTM OPDを用いて発色させ、2M H2SO4を加えて反応を停止させ、ELISAプレートリーダーを用いて490nmで吸光度を読み取ることによって、プレートに結合した抗体を検出した。代表的な結合曲線を図1に示す。試験した本発明の抗体はいずれも、CLDN18.2を含むリポパーティクルに特異的に結合する。興味深いことに、キメラ抗体をヒト化しても、予想されたような親和性の低下は認められず、10種の抗体のうち6種の抗体において、親抗体のキメラcCl1-1抗体と比較して親和性の増強が認められた。
【0080】
CLDN18.2を過剰発現するPA-TU-8988S細胞(Creative Bioarray、カタログNo.CSC-C0326)とCLDN18.2を過剰発現するHEK293T細胞(ATCC、CRL-3216TM)を使用して、キメラ抗体およびヒト化抗体のCLDN18.2への結合をフローサイトメトリーによる力価測定で試験した。フローサイトメトリーによる力価測定によって、試験した抗体の半数効果濃度(EC50)の測定が可能となる。CLDN18.2を高発現するPA-TU-8988S細胞をFACSで選択した。本明細書において、この選択した細胞をPA-TU-8988S-High細胞と呼ぶ。具体的には、IMAB362抗体を用いてPA-TU-8988S細胞集団を染色し、FACSで分析したところ、CLDN18.2の高発現と中程度の発現が示された(図2A参照)。より均質な細胞集団を得るため、PA-TU-8988S細胞をFACSで選別して、CLDN18.2を高発現する細胞のみを選択した。簡潔に述べると、FACSバッファー(2%FCSを含むPBS)にPA-TU-8988S細胞を懸濁し、2μg/mlのIMAB362を加えて氷上で30分間インキュベートした。FACSバッファーで洗浄後、PE標識Fcγ特異的ヤギIgG抗ヒト二次抗体(eBioscience)を加えて細胞を氷上で30分間インキュベートした。洗浄後、染色した細胞をFACSバッファーに再懸濁し、FACSAriaTM装置で分析して選別することによって、CLDN18.2高発現細胞からCLDN18.2を中程度に発現する細胞を取り除いた(図2B)。選別後、回収したPA-TU-8988S-High細胞を増殖培地に再懸濁し、増殖培地中で増殖させ、分割試料を液体窒素中で凍結保存した。また、実施例3で述べるように、CLDN18.2またはCLDN18.1を過剰発現するHEK293T細胞を作製し、フローサイトメトリーでCLDN18.2の発現を分析した(図3)。
【0081】
CLDN18.2に対する各抗体の結合を定量するため、96ウェルプレートに入れたFCバッファー(2%FBSを含むPBS)に、CLDN18.2を過剰発現するHEK293T細胞またはPA-TU-8988-High細胞を250×103個/ウェルの密度で播種し、遠心分離して沈殿させた。IMAB362抗体および試験対象の各hCl抗体を20μg/mlに希釈した後、1:4の割合で段階希釈し、プレートに播種した細胞に加え、4℃で30分間インキュベートした。FCバッファーで洗浄した後、二次抗体としてPE標識抗ヒトIgG抗体を細胞に加え、4℃でさらに30分間インキュベートし、FCバッファーで再度洗浄した。100μlのFCバッファーに細胞を再懸濁し、FACSCaliburTMセルアナライザー(BDバイオサイエンス、米国)で測定した。フローサイトメトリー分析の結果(図5および表4参照)、hCl抗体はいずれもIMAB362よりもEC50値が高いが、IMAB362と同程度の範囲の最大MFI値を有することが示された。最大MFI値が同程度であることから、IMAB362とhCl抗体の結合速度/解離速度も同程度だと考えられる。
【表4】
【0082】
実施例3:hCLDN18.1またはhCLDN18.2を安定に発現するプレB細胞L11細胞株およびHEK293T細胞の作製;キメラ抗体およびヒト化抗体の結合特異性の試験
プレB細胞L11細胞株(Waldmeierら、2016)およびHEK293T細胞株(ATCC CRL-3216TM)は、CLDN18.1やCLDN18.2を内因性に発現しない。このため、これらの細胞株において遺伝子組換えによりCLDN18.1またはCLDN18.2を過剰発現させて、抗体の結合を試験した。具体的には、トランスポゼース発現コンストラクト(pcDNA3.1-hy-mPB)と、huCLDN18.1の全長を含むトランスポゾンコンストラクト(pPB-Puro-huCLDN18.1)またはhuCLDN18.2の全長を含むトランスポゾンコンストラクト(pPB-Puro-huCLDN18.2)と、ピューロマイシン耐性カセットと、トランスフェクションコントロールとしてのEGFP含有コンストラクト(pEGFP-N3)とを、エレクトロポレーションによりプレB細胞L11細胞株またはHEK293T細胞株に同時にトランスフェクトした(Waldmeierら、2016)。エレクトロポレーション後、L11細胞は7.5%のCO2雰囲気下で、HEK293T細胞は5%のCO2雰囲気下において、湿潤インキュベーター内の増殖培地中にて37℃で2日間回復させた。フローサイトメトリーでEGFPの発現を分析することによって、トランスフェクションを確認した。次に、1μg/mlのピューロマイシンを培養物に添加することによって、CLDN18.1またはCLDN18.2を発現する細胞を選択し、選択した細胞をさらに増殖させて、10%DMSOを含むFCS中の凍結ストックを作製した。トランスフェクトした細胞におけるCLDN18.1またはCLDN18.2の発現はフローサイトメトリーで分析した(図3参照)。簡潔に述べると、トリプシン処理して懸濁培養したHEK293T細胞またはL11細胞を遠心分離で回収した後、2%FCSを含むPBSに再懸濁し、一次抗体として2μg/mlのIMAB362を用いてCLDN18.2を氷上で30分間染色した。2%FCSを含むPBSで細胞を洗浄した後、二次抗体としてPE標識抗ヒトIgG(Fcγ特異的)ヤギ抗体(eBioscience)を用いて氷上で30分間染色した。染色した細胞を再度洗浄した後、氷冷FCバッファーに再懸濁し、FACSCaliburTM装置で分析した(図4および図5参照)。トランスフェクトしていないことからCLDN18.2を発現しない親細胞を陰性対照として使用した。CLDN18.1の発現の分析は、CLDN18.1およびCLDN18.2を認識する市販のpan-CLDN18抗体を使用して同様の方法で行った(図3参照)。フローサイトメトリー測定用のpan-CLDN18抗体であれば、どのようなものであっても適切に使用することができ、このようなpan-CLDN18抗体として、例えば、OriGene Technologies社から市販されている抗クローディン18/CLDN18(C末端)抗体(カタログNo.AP50944PU-N)、MyBioSource社から市販されているCLDN18(C末端)ウサギポリクローナル抗体(カタログNo.MBS8555451)、またはProSci社から市販されているCLDN18抗体(カタログNo.63-847)が挙げられる。
【0083】
huCLDN18.1またはhuCLDN18.2を安定に発現するL11細胞またはHEK293T細胞を最終的に選択し、これらの細胞を使用して、CLDN18.1には結合しないがCLDN18.2には結合するという結合特異性について、キメラ抗体であるcCl1-1、cCl1-2およびcCl1-3と、各ヒト化抗体を試験した。2μg/mlの各抗体を使用して細胞を氷上で30分間染色し、2%FCSを含むPBSで洗浄してから、二次抗体としてのPE標識抗ヒトIgG(Fcγ特異的)ヤギ抗体(eBioscience)で細胞を氷上で30分間染色した。3種のキメラ抗体(図4)および各ヒト化抗体(図5)はいずれも、L11細胞またはHEK293T細胞に発現されたhuCLDN18.2に結合したが、huCLDN18.1には結合しなかった。さらに、各ヒト化抗体のhuCLDN18.2への結合は、IMAB362と同程度の親和性を示すとともに、少なくともcCl1-1と同程度に良好な親和性を示した(図5)。
【0084】
実施例4:生きた腫瘍組織および生きた胃組織に対するヒト化CLDN18.2抗体の結合活性のフローサイトメトリー試験
A549細胞株(ATCC CCL-185TM)は、CLDN18.1やCLDN18.2を内因性に発現しない。このため、A549細胞においてCLDN18.2を発現させて、CLDN18.2への抗体の結合を試験した。具体的には、トランスポゼース発現コンストラクト(pcDNA3.1-hy-mPB)(Kloseら、2017)と、huCldn18.2の全長を含むトランスポゾンコンストラクト(pPB-Puro-huCldn18.1)と、ピューロマイシン発現カセットと、トランスフェクションコントロールとしてのEGFP含有コンストラクト(pEGFP-N3)とを、エレクトロポレーションによりA549細胞に同時にトランスフェクトした(Waldmeierら、2016)。エレクトロポレーション後、湿潤インキュベーター内において5%CO2雰囲気下の増殖培地中で細胞を37℃で2日間回復させた。フローサイトメトリーでEGFPの発現を分析することによって、トランスフェクションを確認した。次に、1μg/mlのピューロマイシンを培養物に添加することによって、CLDN18.1またはCLDN18.2を発現する細胞を選択し、選択した細胞をさらに増殖させて、10%DMSOを含むFCS中の凍結ストックを作製した。トランスフェクトしたA549細胞におけるCLDN18.2の発現はフローサイトメトリーで分析した。簡潔に述べると、トリプシン処理したA549細胞を遠心分離で回収した後、2%FCSを含むPBSに再懸濁し、一次抗体として2μg/mlのIMAB362を用いてCLDN18.2を氷上で30分間染色した。2%FCSを含むPBSで細胞を洗浄した後、二次抗体として2.5μg/mlのPE標識抗ヒトIgG(Fcγ特異的)ヤギ抗体(eBioscience)を用いて氷上で30分間染色した。染色した細胞を再度洗浄した後、氷冷FCバッファーに再懸濁し、FACSCaliburTM装置で分析した(図6参照)。トランスフェクトしていないことからCLDN18.2を発現しない親細胞を陰性対照として使用した。作製したCLDN18.2発現A549細胞株は、2019年12月6日に、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(Inhoffenstr. 7B 38124 Braunschweig、ドイツ))に寄託されており、アクセッション番号DSM ACC3360で入手可能である。
【0085】
50%マトリゲル100μlに懸濁したCLDN18.2発現A549細胞1×106個を2匹のBalb/cマウスの皮下に移植し、腫瘍が150~450mm3の所望のサイズに達するまで腫瘍の成長を数週間観察した。フローサイトメトリー分析を行うため、正常な胃組織および腫瘍組織を採取した。採取した組織を細断し、Miltenyi tumor dissociation kit(MACSミルテニーバイオテク、ドイツ)で消化した。6ウェルプレートにおいて、分散バッファー(製造業者の説明書に従って調製したもの)に組織断片を入れ、常時緩やかに振盪しながら37℃で30分間インキュベートした。試料を再懸濁し、70μmのセルストレーナー(Corning、米国)に通してろ過し、FCバッファー(PBS+2%FBS)20mlで洗浄した。得られた細胞懸濁液を遠心分離し(4℃、400×gで5分間)、上清を除去した。必要に応じて、セルストレーナーを通した細胞懸濁液のろ過と遠心分離を繰り返し行った後、血球溶解バッファー(Biolegend、米国)5mlにペレットを再懸濁し、氷上で4分間インキュベートした。インキュベーション後、PBS25mlを加えて、懸濁液を再度遠心分離した(4℃、400×gで5分間)。ペレットをFCバッファー(ペレットの大きさに応じて0.5~3ml)に再懸濁した。各ウェルの細胞数が等しくなるように細胞を96ウェルプレートに移し、さらに処理を行ってフローサイトメトリー分析を行った。具体的には、プレートに移した細胞をPBSで洗浄し、遠心分離した(4℃、400×gで2分間)。選択した各抗体(4μg/mlのcCl1-1、hCl1a、hCl1b、hCl1cまたはhCl1f;2μg/mlのIMAB364)とPBSで希釈したAF488標識pan-サイトケラチン(AE1/AE3)抗体(サーモフィッシャーサイエンティフィック、米国)とからなる染色ミックスを1ウェルあたり50μl入れた各ウェルにペレットを再懸濁し、氷上で25分間インキュベートした。インキュベーション後、PBSで細胞を2回洗浄し、遠心分離した(4℃、400×gで2分間)。二次染色ミックス(PBS+PE標識抗ヒト抗体)(サーモフィッシャーサイエンティフィック、米国)を1ウェルあたり50μl入れた各ウェルにペレットを再懸濁し、氷上で25分間インキュベートした。インキュベーション後、再度PBSで細胞を2回洗浄した。DAPIを含むPBS100μlにペレットを再懸濁した。フローサイトメトリー分析を行うまで、プレートを氷上で保存した。フローサイトメトリー分析では、前方散乱とDAPI染色により死細胞から生細胞を分離した。次に、生細胞をゲートして、サイトケラチン(AF888陽性)の有無とCLDN18.2抗体の結合(PE陽性細胞)を調べた。フローサイトメトリー分析の結果を図7および表5に示す。これらの結果は、2匹のマウスから得たデータの平均値である。
【0086】
試験した抗体(cCl1-1、hCl1a、hCl1b、hCl1c、hCl1fおよびIMAB364)はいずれも、CLDN18.2を発現する腫瘍細胞に約20%~30%という同程度の割合で結合した。一方、驚くべきことに、IMAB362のみが、CLDN18.2を発現する正常胃細胞に結合性を示し、cCl1-1、hCl1a、hCl1b、hCl1cまたはhCl1fの正常胃細胞への結合は1%未満というわずかに検出できる程度であった。注入したCLDN18.2発現A549細胞から増殖した腫瘍細胞に発現したCLDN18.2と、正常胃細胞に発現したCLDN18.2との間での抗体の結合力の違いは、陽性腫瘍細胞の割合を陽性胃細胞の割合で除した比率でも表した(表5の一番右の列を参照されたい)。この比率は、IMAB362では5未満であり、平均して1前後であったが、試験したヒト化cCl1-1クローン(hCl1a、hCl1b、hCl1cおよびhCl1f)では15を超えており、平均で30を超えていた。
【表5】
【0087】
したがって、試験したcCl1-1のヒト化クローン(hCl1a、hCl1b、hCl1cおよびhCl1f)とcCl1-1は、正常胃細胞よりも腫瘍細胞に強く結合したことから、これらの抗体が腫瘍に特異的なCLDN18.2抗体であることが示された。これに対して、IMAB362では、CLDN18.2を発現する腫瘍細胞とCLDN18.2を発現する正常胃細胞を区別することはできなかった。
【0088】
実施例5:凍結組織試料の免疫組織化学分析(IHC)によるヒト化CLDN18.2抗体の試験
CLDN18.2を発現するA549細胞1×106個を皮下移植したBalb/cマウスから、CLDN18.2を発現する新鮮な胃組織試料および腫瘍組織試料を採取し、適切な組織用包埋皿に入れ、OCTコンパウンド中で急速凍結した。クリオスタットを用いて-20℃で5~15μmの厚さの組織切片に薄切し、室温で顕微鏡用スライドに載せ、IHC染色まで凍結保存した。染色を行う前に、スライドを室温に戻し、あらかじめ冷却していたアセトン(-20℃)中で10分間固定した。室温でアセトンを蒸発させた後、TBSでスライドをリンスし、非特異的な染色部位をブロックした。具体的には、0.3%H2O2中でスライドを室温で15分間インキュベートし、TBSで洗浄し、ペルオキシダーゼブロッキング溶液(アジレント、米国)を滴下して室温で60分間インキュベートした。ブロッキング後、スライドを抗体で染色した。具体的には、一次抗体(hCl1a、hCl1b、hCl1c、hCl1f、IMAB362またはpan-CLDN18抗体[34H14L15](Abcam、米国)をスライドに載せて室温で120分間インキュベートした後、TBSで洗浄し、HRP標識抗ヒト抗体(またはpan-CLDN18抗体用の抗ウサギ抗体)をスライドに載せて室温で30分間インキュベートした。製造業者の説明書に従って、DAB+基質クロモゲン系(アジレント、米国)でスライドを処理することによって、組織切片に結合したCLDN18.2抗体またはpan-CLDN18抗体を検出した。次に、TBSで洗浄後、ヘマトキシリンでスライドを対比染色し、dH2Oで15分間リンスし、95%エタノールと100%エタノールで連続して洗浄することにより脱水し、キシレンでスライドを透徹した。次に、グリセロール封入剤(アジレント、米国)を用いてスライドをカバースリップで封入した。マウス正常胃組織の染色の代表的な顕微鏡写真と、マウス腫瘍組織の染色の代表的な顕微鏡写真をそれぞれ図8および図9に示す。
【0089】
図8は、正常胃組織の代表的な染色を示す。hCl1a、hCl1b、hCl1cまたはhCl1fで共染色した組織(それぞれパネルA、パネルB、パネルCおよびパネルDに示す)では、核のヘマトキシリン染色のみが確認できる。一方、IMAB362(パネルE)で共染色した組織では、膜状構造に発現されたCLDN18.2がDABで染色されている。したがって、CLDN18.2を発現する正常胃組織に結合するIMAB362とは異なり、試験したcCl1-1のヒト化クローン(hCl1a、hCl1b、hCl1cおよびhCl1f)は、CLDN18.2を発現する正常胃組織に結合しないことが示された。さらに、図9は、腫瘍組織の代表的な染色を示す。hCl1a抗体、hCl1f抗体、IMAB362抗体またはAbcam社のpan-CLDN18抗体[34H14L15]で染色した腫瘍組織の代表的な写真を、パネルA、パネルB、パネルCおよびパネルDにそれぞれ示す。試験抗体で染色した腫瘍では、いずれも膜状構造に発現されたCLDN18.2がDABで強く染色されている。試験したcCl1-1のヒト化クローン(hCl1aおよびhCl1f)は、IMAB362やpan-CLDN18抗体と同程度に、CLDN18.2を発現するマウス腫瘍組織に結合した。したがって、cCl1-1のヒト化クローンは、CLDN18.2を発現する正常胃組織よりもCLDN18.2を発現する腫瘍組織に強く結合する。
【0090】
実施例6:ヒト化抗体(hCl)バリアントおよびIMAB362のアスパラギンの脱アミド化傾向とアスパラギン酸の異性化傾向の分析
生物薬剤の製造過程、保存過程または(インビボでの)臨床適用において、アスパラギン(N)残基の脱アミド化やアスパラギン酸(D)残基の異性化が起こる可能性がある。脱アミド化や異性化によって、タンパク質の構造、機能、活性、安定性および免疫原性が変化する可能性がある。したがって、特に医薬品規制に関しては、このような変化を最小限に抑えつつ、制御する必要がある。アスパラギンの脱アミド化モチーフおよびアスパラギン酸の異性化モチーフの有無は、インシリコで分析することができる。アスパラギンの脱アミド化モチーフとして最も一般的なものはNGモチーフであり、アスパラギン酸の異性化モチーフとして最も一般的なものはDGモチーフである。
【0091】
インシリコ分析を行ったところ、hCl抗体はいずれも、アスパラギン酸が異性化する可能性のあるDGモチーフをVL領域の第2のCDRに有するが、hCl抗体もIMAB362も、脱アミド化が起こる可能性のあるNGモチーフをCDR内に有していないことが明らかとなった。インシリコ分析による予測結果を確認するため、hCl抗体およびIMAB362に高pHまたは低pHと熱とによるストレスを与えて、製造過程や長期間保存中に起こりうるアミノ酸の変化を加速させた。簡潔に述べると、アミコン遠心式フィルターを用いて抗体試料中のバッファーを、アスパラギンの脱アミド化ストレス試験用の20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH 8.0)またはアスパラギン酸の異性化ストレス試験用の20mMクエン酸バッファー(pH 5.5)に交換し、各試料を3.0mg/mlの最終濃度に希釈した。濃縮防止機能を有する加熱式蓋付きのブロック恒温槽を用いて、試料30μlを40℃で1週間(アスパラギンの脱アミド化)または2週間(アスパラギン酸の異性化)インキュベートした。ストレスを与えた試料およびストレスを与えなかった試料を-80℃で保存した。強陽イオン交換(SCX)クロマトグラフィーで試料中のアスパラギンの脱アミド化およびアスパラギン酸の異性化を分析した。アスパラギンが脱アミド化されると、SCXクロマトグラムにおいて主要なピークよりも前のピーク面積(bM)が増加し、アスパラギン酸が異性化されると、SCXクロマトグラムにおいて主要なピークよりも後ろのピーク面積(aM)が増加する(Duら、2012)。SCXクロマトグラフィーは、バッファーA(pH4.0)とバッファーB(pH11.0)を用いて、MAbPac SCX-10カラム(サーモフィッシャーサイエンティフィック、スイス、バーゼル)上で行った。流速は0.5ml/分とし、バッファーBが30~80%のpH勾配とした。試料10μgをバッファーA20μlに添加し、カラムに注入した。試料の検出は、タンパク質の吸光度を280nmで測定することによって行った。各hCl抗体のbM値は約27.9~32.2%までしか増加せず(表6参照)、これは特に重要視するものではないと判断した。一方、IMAB362では、可変ドメインにNGモチーフを持たないにもかかわらず、bM値が顕著に増加して40.9%に達した(表6参照)。IMAB362は、本発明の抗CLDN18.2モノクローナル抗体とは異なり、2つのNSモチーフを有し、その位置は、重鎖のCDR3(103~104番目のアミノ酸)(配列番号55)と軽鎖のCDR1(31~32番目のアミノ酸)(配列番号56)である。NSモチーフは、脱アミド化傾向が2番目に高いモチーフである。
【表6】
【0092】
アスパラギンの脱アミド化ストレス試験が、hCl1a抗体、hCl1i抗体またはIMAB362抗体のCLDN18.2に対する結合親和性に及ぼす影響を、CLDN18.2を含むリポパーティクルを抗原の供給源として使用したELISAアッセイにより試験した。100mM炭酸ナトリウム(pH9.6)中の最終濃度が10U/mlになるように、CLDN18.2リポパーティクルまたは(抗原を含まない)ヌルリポパーティクルで96ウェルプレートをコーティングした。0.05% Tween-20を含むPBS(PBS-T)でプレートを洗浄し、3%BSAを含むPBS-Tを用いて37℃で少なくとも1時間ブロッキングし、各hCl抗体を2μg/mlの出発濃度から1:3の割合で段階希釈して各ウェルに加え、37℃で少なくとも1時間インキュベートした。次に、HRP標識ヤギ抗ヒト二次抗体を結合させた後、ペルオキシダーゼ基質としてのSigma-Fast OPDを用いて発色させ、2M H2SO4を加えて反応を停止させ、ELISAプレートリーダーを用いて吸光度を490nmで読み取ることによって、プレートに結合した抗体を検出した。IMAB362のEC50値は、脱アミド化ストレス試験の実施後に1.8倍になった(ストレスを与えていない基準試料:EC50=51.5ng/ml、ストレスを与えた試料:EC50=95.09ng/ml)(図10参照)。この結果は、脱アミド化ストレス試験の実施後のSCXクロマトグラフィーにおいてbMが40.9%に増加したことと関連している可能性がある(表6参照)。SCXクロマトグラフィーによるアスパラギンの脱アミド化ストレス試験の結果を裏付けるように、hCl1a抗体とhCl1i抗体では、脱アミド化ストレス試験の実施後の抗原に対する結合性に有意な差は観察されなかった(表6参照)。したがって、脱アミド化ストレス試験の結果、hCl抗体はIMAB362よりも脱アミド化傾向が低いだけでなく、IMAB362と比べて標的に対する結合性が低下する傾向も低く、予想されたように、製造過程、保存過程および(インビボでの)臨床適用においてIMAB362よりも安定であることが示された。このことから、hCl抗体を用いることによって、IMAB362よりも均質かつ活性な抗体/製品を得ることができることが示された。
【0093】
いずれのhCl抗体も、VL領域の第2のCDRと重鎖のCH2ドメインおよびCH3ドメイン(VL-CDR2(62番目)、CH2(282番目)、CH3(403番目))に、アスパラギン酸の異性化が起こる可能性のあるDGモチーフを有しているが、Duらによる報告から予想された結果とは異なり(Duら、2012)、アスパラギン酸の異性化ストレス試験を行っても、アスパラギン酸の異性化は認められなかった(表7参照)。ストレスを与えなかった試料のaM値は、(IMAB362を除いて)当初から顕著に高かった。これは重鎖のリシンが切り取られたバリアントであることによるものである可能性がある。IMAB362抗体のみが、ストレスを与えなかった試料において高いaM値を示さなかった。試験した抗体のうち、IMAB362抗体のみがC末端にリシンを持たない抗CLDN18.2抗体であったことから、hCl抗体のC末端のリシンが切り取られていたことが、ストレスを与えなかった試料とストレスを与えた試料のいずれでもaM値が高かった理由である可能性が最も高い。
【表7】
【0094】
以下の実施形態により本発明をさらに説明する。
【0095】
1.CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、CLDN18.2を発現する正常組織よりもCLDN18.2を発現する腫瘍組織に強く結合する抗体またはその断片。
【0096】
2.CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、配列番号21のHCDR1配列、配列番号22のHCDR2配列および配列番号23のHCDR3配列と、配列番号24のLCDR1配列、配列番号25のLCDR2配列および配列番号26のLCDR3配列とを含む、抗体またはその断片。
【0097】
3.
a.配列番号1のHCDR1配列、配列番号15のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
b.配列番号1のHCDR1配列、配列番号16のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
c.配列番号1のHCDR1配列、配列番号16のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号17のLCDR1配列、配列番号14のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列;
d.配列番号1のHCDR1配列、配列番号16のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号18のLCDR1配列、配列番号19のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列;
e.配列番号12のHCDR1配列、配列番号15のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
f.配列番号1のHCDR1配列、配列番号20のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
g.配列番号1のHCDR1配列、配列番号20のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号18のLCDR1配列、配列番号19のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列;
h.配列番号12のHCDR1配列、配列番号20のHCDR2配列および配列番号8のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;または
i.配列番号12のHCDR1配列、配列番号20のHCDR2配列および配列番号8のHCDR3配列と、配列番号17のLCDR1配列、配列番号14のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列
を含む、実施形態1または2に記載の抗体またはその断片。
【0098】
4.
a.配列番号1のHCDR1配列、配列番号2のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号4のLCDR1配列、配列番号5のLCDR2配列および配列番号6のLCDR3配列;
b.配列番号1のHCDR1配列、配列番号7のHCDR2配列および配列番号8のHCDR3配列と、配列番号9のLCDR1配列、配列番号10のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列;または
c.配列番号12のHCDR1配列、配列番号2のHCDR2配列および配列番号3のHCDR3配列と、配列番号13のLCDR1配列、配列番号14のLCDR2配列および配列番号11のLCDR3配列
を含む、実施形態1または2に記載の抗体またはその断片。
【0099】
5.
a.配列番号27のVH配列と配列番号28のVL配列;
b.配列番号29のVH配列と配列番号30のVL配列;または
c.配列番号31のVH配列と配列番号32のVL配列
を含む、実施形態1または2に記載の抗体またはその断片。
【0100】
6.
a.配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVH配列;
b.配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVH配列;
c.配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVH配列;
d.配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVH配列;または
e.配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVH配列と、
f.配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVL配列;
g.配列番号39のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVL配列;
h.配列番号40のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVL配列;または
i.配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有するVL配列
とを含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の抗体またはその断片。
【0101】
7.
a.配列番号33のVH配列;
b.配列番号34のVH配列;
c.配列番号35のVH配列;
d.配列番号36のVH配列;または
e.配列番号37のVH配列と、
f.配列番号38のVL配列;
g.配列番号39のVL配列;
h.配列番号40のVL配列;または
i.配列番号41のVL配列
とを含む、実施形態1または2に記載の抗体またはその断片。
【0102】
8.
a.配列番号33のVH配列と配列番号38のVL配列;
b.配列番号34のVH配列と配列番号38のVL配列;
c.配列番号34のVH配列と配列番号39のVL配列;
d.配列番号34のVH配列と配列番号40のVL配列;
e.配列番号35のVH配列と配列番号38のVL配列;
f.配列番号36のVH配列と配列番号41のVL配列;
g.配列番号36のVH配列と配列番号40のVL配列;
h.配列番号37のVH配列と配列番号41のVL配列;
i.配列番号37のVH配列と配列番号38のVL配列;または
j.配列番号37のVH配列と配列番号39のVL配列
を含む、実施形態1または2に記載の抗体またはその断片。
【0103】
9.
a.配列番号46の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号51の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
b.配列番号47の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号51の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
c.配列番号47の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号52の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
d.配列番号47の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号53の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
e.配列番号48の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号51の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
f.配列番号47の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号54の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
g.配列番号49の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号53の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
h.配列番号50の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号54の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;
i.配列番号50の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号51の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;もしくは
j.配列番号50の重鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号52の軽鎖アミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%の配列同一性を有する軽鎖配列;または
これらのFcドメイン組換え体
を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の抗体。
【0104】
10.
a.配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列;
b.配列番号47の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列;
c.配列番号47の重鎖配列と配列番号52の軽鎖配列;
d.配列番号47の重鎖配列と配列番号53の軽鎖配列;
e.配列番号48の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列;
f.配列番号47の重鎖配列と配列番号54の軽鎖配列;
g.配列番号49の重鎖配列と配列番号53の軽鎖配列;
h.配列番号50の重鎖配列と配列番号54の軽鎖配列;
i.配列番号50の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列;もしくは
j.配列番号50の重鎖配列と配列番号52の軽鎖配列または
これらのFcドメイン組換え体
を含む、実施形態1または2に記載の抗体。
【0105】
11.IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、合成IgG、IgM、F(ab)2、Fv、scFv、IgGACH2、F(ab’)2、scFvCH3、Fab、VL、VH、scFv4、scFv3、scFv2、dsFv、Fv、scFv-Fc、(scFv)2、non-depleting IgG、ダイアボディ、二価抗体、またはこれらのFc組換え体である、実施形態1~10のいずれか1つに記載の抗体またはその断片。
【0106】
12.ヒト化抗体である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の抗体またはその断片。
【0107】
13.CLDN18.1に結合しない、実施形態1~12のいずれか1つに記載の抗体またはその断片。
【0108】
14.IMAB362よりも脱アミド化による翻訳後修飾を受けにくい、実施形態1~13のいずれか1つに記載の抗体またはその断片。
【0109】
15.フローサイトメトリー測定において、前記抗体またはその断片で標識されるCLDN18.2発現腫瘍細胞の数が、該抗体またはその断片で標識されるCLDN18.2発現正常組織細胞の数の少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の抗体またはその断片。
【0110】
16.CLDN18.2を発現する正常組織よりもCLDN18.2を発現する腫瘍組織に強く結合することが、フローサイトメトリーまたは免疫組織化学分析による測定によって確認される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の抗体またはその断片。
【0111】
17.HEK293T細胞またはPA-TU-8988-High細胞において発現させたCLDN18.2に対する前記抗体またはその断片の結合をIMAB362と比較した場合、該抗体またはその断片のEC50値が、IMAB362のEC50値の少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍または少なくとも2.5倍であり、かつ3倍以下である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の抗体またはその断片。
【0112】
18.前記結合の評価を、フローサイトメトリー(FC)による力価測定により行う、実施形態17に記載の抗体またはその断片。
【0113】
19.単離された抗体である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の抗体またはその断片。
【0114】
20.実施形態1~19のいずれか1つに記載の抗体またはその断片をコードする核酸。
【0115】
21.実施形態20に記載の核酸を含むベクター。
【0116】
22.実施形態20に記載の核酸または実施形態21に記載のベクターを含む宿主細胞。
【0117】
23.a.新生物疾患に罹患している対象、b.新生物疾患の発症のリスクがある対象、および/またはc.新生物疾患を有すると診断された対象の治療に使用するための、実施形態1~19のいずれか1つに記載の抗体もしくはその断片、実施形態20に記載の核酸、実施形態21に記載のベクターまたは実施形態22に記載の宿主細胞。
【0118】
24.前記新生物疾患が、膵臓がん、胃がん、食道がん、卵巣がんおよび肺がんからなる群から選択される、実施形態23に記載の抗体もしくはその断片。
【0119】
25.CLDN18.2に結合する抗体またはその断片であって、
(i)配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列を含む抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合すること;
(ii)配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列を含む抗体と競合結合すること;
および/または
(iii)配列番号46の重鎖配列と配列番号51の軽鎖配列を含む抗体のCLDN18.2への結合を競合的に阻害すること
を特徴とする、抗体またはその断片。
【0120】
配列
配列番号1 DYAMH

配列番号2 WINTYTGKPTYADDFKG

配列番号3 AVFYGYTMDA

配列番号4 RASEDIYSNLA

配列番号5 SVKRLQD

配列番号6 LQGSNFPLT

配列番号7 WINAYTGKPTYADDFKG

配列番号8 AVYYGYTMDA

配列番号9 RTSEDIYSNFA

配列番号10 SVNRLQD

配列番号11 LQGSKFPLT

配列番号12 DYAMY

配列番号13 RTSEDIYSNLA

配列番号14 AIKRLQD

配列番号15 WINTYTGKPTYAQKFQG

配列番号16 WINTYTGKPTYSQKFQG

配列番号17 RTSEDIYSNLA

配列番号18 RTSEDIYSNFA

配列番号19 SVNRLQD

配列番号20 WINAYTGKPTYAQKFQG

配列番号21 DYAMX
5番目のXはHまたはYである。

配列番号22 WINXYTGKPTYXXXFXG
4番目のXはTまたはAであり;
12番目のXはAまたはSであり;
13番目のXはDまたはQであり;
14番目のXはDまたはKであり;
16番目のXはKまたはQである。

配列番号23 AVXYGYTMDA
3番目のXはFまたはYである。

配列番号24 RXSEDIYSNXA
2番目のXはAまたはTであり;
10番目のXはLまたはFである。

配列番号25 XXXRLQD
1番目のXはSまたはAであり;
2番目のXはVまたはIであり;
3番目のXはKまたはNである。

配列番号26 LQGSXFPLT
5番目のXはKまたはNである。

配列番号27 cCl1-1 重鎖可変領域
QIQLVQSGPELKKPGESVKISCKASGYTFTDYAMHWVKQAPGKGLKWMGWINTYTGKPTYADDFKGRFVFSLEASASTANLQISNLKNEDTATYFCARAVFYGYTMDAWGQGTSVTVSS

配列番号28 cCl1-1 軽鎖可変領域
DIQMTQSPASLSASLGETISIACRASEDIYSNLAWYQQKSGKSPQLLIFSVKRLQDGVPSRFSGSGSGTQYSLKISGMQPEDEGDYFCLQGSNFPLTFGSGTKLEIK

配列番号29 cCl1-2 重鎖可変領域
QIQLVQSGPELKKPGESVKISCKTSGYTFTDYAMHWVKQGPGKGMKWMGWINAYTGKPTYADDFKGRFVLSLEASASTANLQISNLKNEDTATYFCARAVYYGYTMDAWGQGTSVIVSS

配列番号30 cCl1-2 軽鎖可変領域
DIQMTQSPASLSASLGETISIECRTSEDIYSNFAWFQQKSGKSPQLLIYSVNRLQDGVPSRFSGSGSGTQYSLKISGMQPEDEGDYFCLQGSKFPLTFGSGTKLEIK

配列番号31 cCl1-3 重鎖可変領域
QIQLVQSGPELKKPGESVKISCKASGYTFTDYAMYWVKQVPGKGLRWMGWINTYTGKPTYADDFKGRFVFSLEASASTANLQISNLKNEDTATYFCARAVFYGYTMDAWGQGTSVTVSS

配列番号32 cCl1-3 軽鎖可変領域
DIQMTQSPASLSASLGETISIACRTSEDIYSNLAWYQQKSGKSPQLLIFAIKRLQDGVPSRFSGSGSGTQYSLKISGMQPEDEGDYFCLQGSKFPLTFGSGTKLEIK

配列番号33 hCL1a 重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYAMHWVRQAPGQRLEWMGWINTYTGKPTYAQKFQGRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARAVFYGYTMDAWGQGTLVTVSS

配列番号34 hCL1b, hCL1cおよびhCL1d 重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYAMHWVRQAPGQRLEWMGWINTYTGKPTYSQKFQGRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARAVFYGYTMDAWGQGTLVTVSS

配列番号35 hCL1e 重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYAMYWVRQAPGQRLEWMGWINTYTGKPTYAQKFQGRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARAVFYGYTMDAWGQGTLVTVSS

配列番号36 hCL1fおよびhCL1g 重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYAMHWVRQAPGQRLEWMGWINAYTGKPTYAQKFQGRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARAVFYGYTMDAWGQGTLVTVSS

配列番号37 hCL1h, hCL1iおよびhCL1j 重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYAMYWVRQAPGQRLEWMGWINAYTGKPTYAQKFQGRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARAVYYGYTMDAWGQGTLVTVSS

配列番号38 hCL1a, hCL1b, hCL1eおよびhCL1i 軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASEDIYSNLAWYQQKPGKAPKLLIFSVKRLQDGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQGSNFPLTFGQGTKVEIK

配列番号39 hCL1cおよびhCL1j 軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRTSEDIYSNLAWYQQKPGKAPKLLIFAIKRLQDGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQGSKFPLTFGQGTKVEIK

配列番号40 hCL1dおよびhCL1g 軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRTSEDIYSNFAWYQQKPGKAPKLLIYSVNRLQDGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQGSKFPLTFGQGTKVEIK

配列番号41 hCL1fおよびhCL1h 軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASEDIYSNLAWYQQKPGKAPKLLIYSVKRLQDGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQGSNFPLTFGQGTKVEIK

配列番号42 hCL3a, hCL3bおよびhCL3c 重鎖可変領域
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCAVSGYSVSSNYRWHWIRQPPGKGLEWIGYINIAGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARNPSITRAMDAWGQGTLVTVSS

配列番号43 hCL3a 軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKSSQNIFKNLEWYQQKPGKAPKLLIYYTNNLQTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCYQYNSGPFTFGQGTKVEIK

配列番号44 hCL3b 軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRSSQNIFKNLEWYQQKPGKAPKLLIYYTNNLQTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCYQYNSGPFTFGQGTKVEIK

配列番号45 hCL3c 軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRSSQNIFKNLEWYQQKPGKAPKLLIYYTNNLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCYQYNSGPFTFGQGTKVEIK

配列番号46 hCL1a 重鎖全長
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYAMHWVRQAPGQRLEWMGWINTYTGKPTYAQKFQGRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARAVFYGYTMDAWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号47 hCL1b, hCL1cおよびhCL1d 重鎖全長
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYAMHWVRQAPGQRLEWMGWINTYTGKPTYSQKFQGRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARAVFYGYTMDAWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号48 hCL1e 重鎖全長
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYAMYWVRQAPGQRLEWMGWINTYTGKPTYAQKFQGRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARAVFYGYTMDAWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号49 hCL1fおよびhCL1g 重鎖全長
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYAMHWVRQAPGQRLEWMGWINAYTGKPTYAQKFQGRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARAVFYGYTMDAWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号50 hCL1h, hCL1iおよびhCL1j 重鎖全長
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYAMYWVRQAPGQRLEWMGWINAYTGKPTYAQKFQGRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARAVYYGYTMDAWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号51 hCL1a, hCL1b, hCL1eおよびhCL1i 軽鎖全長
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASEDIYSNLAWYQQKPGKAPKLLIFSVKRLQDGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQGSNFPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号52 hCL1cおよびhCL1j 軽鎖全長
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRTSEDIYSNLAWYQQKPGKAPKLLIFAIKRLQDGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQGSKFPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号53 hCL1dおよびhCL1g 軽鎖全長
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRTSEDIYSNFAWYQQKPGKAPKLLIYSVNRLQDGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQGSKFPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号54 hCL1fおよびhCL1h 軽鎖全長
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASEDIYSNLAWYQQKPGKAPKLLIYSVKRLQDGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQGSNFPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号55 IMAB362 重鎖全長
QVQLQQPGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTSYWINWVKQRPGQGLEWIGNIYPSDSYTNYNQKFKDKATLTVDKSSSTAYMQLSSPTSEDSAVYYCTRSWRGNSFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号56 IMAB362 軽鎖全長
DIVMTQSPSSLTVTAGEKVTMSCKSSQSLLNSGNQKNYLTWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVQAEDLAVYYCQNDYSYPFTFGSGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号57 DQWSTQDLYN

配列番号58 NNPVTAVFNYQ

配列番号59 STQDLYNNPVTAVF

配列番号60 TNFWMSTANMYTG

配列番号61 ALMIVGIVLGAIGLLV

配列番号62 RIGSMEDSAKANMTLTSGIMFIVS

配列番号63
METDTLLLWVLLLWVPGSTGDAAQPARRARRTKLGTELGSTPVWWNSADGRMDQWSTQDLYNNPVTAVFNYQGLWRSCVRESSGFTECRGYFTLLGLPAMLQAVRAAIQHSGGRSRRARTKTHLRRGSE

配列番号64 MDQWSTQDLYNNPVT

配列番号65 LYNNPVTAVFNYQGL

配列番号66 VFNYQGLWRSCVRES

配列番号67 QGLWRSCVRESSGFT

配列番号68 RSCVRESSGFTECRG

配列番号69 TEDEVQSYPSKHDYV

配列番号70 EVQSYPSKHDYV

配列番号71 gactacgcgatgcac

配列番号72 tggatcaacacgtacacggggaagccgacatacgcggacgacttcaagggg

配列番号73 gccgtcttctacggatatacgatggacgcg

配列番号74
cagatccagctcgtccagagcgggccggagctgaagaagccgggggagagcgtgaagatctcgtgcaaggcgagcggatatacgttcacggactacgcgatgcactgggtcaagcaagcgccggggaaagggctgaagtggatggggtggatcaacacgtacacggggaagccgacatacgcggacgacttcaaggggcgattcgtgttctcgctggaggcgagcgcgagcacggcgaacctgcaaatctcgaacctgaagaacgaggacacggcgacgtacttctgcgcgcgggccgtcttctacggatatacgatggacgcgtgggggcagggtaccagcgtgacggtctcgagc

配列番号75 cgggcgagcgaggacatctactcgaacctggcg

配列番号76 tccgtcaagcggctgcaagac

配列番号77 ctgcaagggagcaacttcccgctgacg

配列番号78
gacatccagatgacgcagagcccggcgtcgctgagcgcgagcctgggggagacgatctcgatcgcgtgccgggcgagcgaggacatctactcgaacctggcgtggtatcaacagaagagcgggaagagcccgcagctgctgatcttctccgtcaagcggctgcaagacggcgtcccgagccgattctcggggagcgggagcgggacgcagtactcgctgaagatctcggggatgcagccggaggacgagggggactacttctgcctgcaagggagcaacttcccgctgacgttcgggtcgggtaccaaactcgagatcaaa

配列番号79 tggatcaacgcgtacacggggaagccgacctacgcggacgacttcaagggg

配列番号80 gccgtctactacggatatacgatggac

配列番号81
cagatccagctcgtccagagcgggccggagctgaagaagccgggggagagcgtgaagatctcgtgcaagacgagcggatatacgttcacggactacgcgatgcactgggtcaagcaggggccagggaaagggatgaagtggatggggtggatcaacgcgtacacggggaagccgacctacgcggacgacttcaaggggcgattcgtgctgagcctggaggcgagcgcctcgacggcgaacctgcaaatctcgaacctgaagaacgaggacacggcgacgtacttctgcgcgcgggccgtctactacggatatacgatggacgcgtgggggcagggtaccagcgtgatcgtctcgagc

配列番号82 cggacgagcgaggacatctactcgaacttcgcg

配列番号83 tcagtcaaccggctgcaagac

配列番号84 ctgcaagggagcaagttcccgctgacg

配列番号85
gacatccagatgacgcagagcccggcgagcctgagcgcgagcctgggggagacgatctcgatcgagtgccggacgagcgaggacatctactcgaacttcgcgtggttccagcagaagagcgggaagagcccgcagctgctgatctactcagtcaaccggctgcaagacggcgtcccgagccgattctcggggagcgggagcgggacgcagtactcgctgaagatctcggggatgcagccggaggacgagggggactacttctgcctgcaagggagcaagttcccgctgacgttcgggagcggtaccaaactcgagatcaaa

配列番号86 gactacgcgatgtac

配列番号87 tggatcaacacgtacacggggaagccgacctacgcggacgacttcaagggg

配列番号88
cagatccagctcgtccagagcgggccggagctgaagaagccgggggagagcgtgaagatctcgtgcaaggcgagcggatatacgttcacggactacgcgatgtactgggtcaagcaagtgccggggaaagggctgcgatggatggggtggatcaacacgtacacggggaagccgacctacgcggacgacttcaaggggcgattcgtgttctcgctggaggcgagcgcgagcacggcgaacctgcaaatctcgaacctgaagaacgaggacacggcgacgtacttctgcgcgcgggccgtcttctacggatatacgatggacgcgtgggggcagggtaccagcgtgacggtctcgagc

配列番号89 cggacgagcgaggacatctactcgaacctggcg

配列番号90 gcgatcaagcggctgcaagac

配列番号91
gacatccagatgacgcagagcccggcgagcctgagcgcgagcctgggggagacgatctcgatcgcgtgccggacgagcgaggacatctactcgaacctggcgtggtatcaacagaagagcgggaagagcccgcagctgctgatcttcgcgatcaagcggctgcaagacggcgtcccgagccgattctcggggagcgggagcgggacgcagtactcgctgaagatctcggggatgcagccggaggacgagggggactacttctgcctgcaagggagcaagttcccgctgacgttcgggtcgggtaccaaactcgagatcaaa

配列番号92 tggatcaatacatacacggggaagccgacttatgcgcaaaaattccaagga

配列番号93 gcggtcttctacggatatacgatggatgcc

配列番号94
caggtccaactagtccaaagcggggcggaagtcaagaagcccggagcatccgtcaaagtcagctgcaaggcgagcggatatacatttacggactacgcgatgcactgggtcaggcaagcccctgggcaaaggctcgaatggatgggatggatcaatacatacacggggaagccgacttatgcgcaaaaattccaaggaagagtcacaattacgcgggatacatccgcatctaccgcctacatggagctaagctcgctgcggagcgaggatacggcggtctactattgcgcccgagcggtcttctacggatatacgatggatgcctgggggcagggtaccctggtcacggtctcgagc

配列番号95 agggcctccgaagacatctactccaacctggca

配列番号96 agcgtcaaaagactacaagat

配列番号97 ttgcaaggaagcaatttccccttgact

配列番号98
gacattcaaatgacgcaaagcccatcatcgctgagcgcatcggtcggggatagagtcaccataacatgcagggcctccgaagacatctactccaacctggcatggtatcaacaaaaaccggggaaggctccgaagctgctgatatttagcgtcaaaagactacaagatggagtaccgagccgattttcgggaagcgggagcgggacggatttcacgctgaccatatcaagtttgcaaccggaggattttgcgacatactattgcttgcaaggaagcaatttccccttgactttcgggcaaggtaccaaggtcgagatcaaa

配列番号99 gattatgcaatgcac

配列番号100 tggattaacacctacacgggcaagcccacatactcccaaaaattccaagga

配列番号101 gctgtattctatggatatacaatggatgcc

配列番号102
caggtccaattagtccaaagcggggcggaagtcaagaagccgggggcgagcgtcaaagtctcatgcaaagcgagcggatacacatttacggattatgcaatgcactgggtcaggcaagcacccggacaaaggctggaatggatgggatggattaacacctacacgggcaagcccacatactcccaaaaattccaaggaagggtcacgataacgagagacacgagcgcgagcaccggaatggatgggatggattaacacctacacgggcaagcccacatactcccaaaaattccaaggaagggtcacgataacgagagacacgagcgcgagcaccgtaccctggtcaccgtctcgagc

配列番号103 cgaacgagcgaggacatatactcaaaccttgca

配列番号104 gcgataaagaggctgcaagac

配列番号105 ttgcaaggctccaaatttcccctgaca

配列番号106
gacatccaaatgactcaaagcccatcatcgctatcggcatcggtcggggatagagtcacgataacatgccgaacgagcgaggacatatactcaaaccttgcatggtatcaacaaaagccggggaaggccccgaagctactgatattcgcgataaagaggctgcaagacggagttccatcacgattttcgggatctggctcggggaccgattttacgctgactatatcatcgctgcaaccggaagattttgcaacatactactgcttgcaaggctccaaatttcccctgacattcggacaaggtaccaaggtcgagatcaaa

配列番号107 cggacgagcgaggatatttattcgaactttgca

配列番号108 cagtcaatcggctacaagat

配列番号109
gacatccaaatgacgcaatcaccgagctcgctgagcgcatctgtcggggaccgtgtcacaatcacatgccggacgagcgaggatatttattcgaactttgcatggtatcaacaaaaaccgggcaaggctccgaaacttttgatttattcagtcaatcggctacaagatggcgtcccgagccgatttagcgggagcggatcgggaaccgactttacgctgacgatatcatcgctacaaccggaggacttcgcgacttattactgcctacaagggagcaaattcccgctgacattcggacaaggtaccaaggtcgagatcaaa

配列番号110 gattacgcaatgtac

配列番号111 tggataaatacctatacgggaaagccaacatacgcccaaaaattccaaggc

配列番号112 gccgtcttttatggatatacgatggacgca

配列番号113
caggtccaactggtccaatcgggggctgaagtcaaaaagccgggggcgagcgtcaaagtcagctgcaaagcatcgggatacacatttacggattacgcaatgtactgggtcaggcaagcacccggccaacgactggaatggatgggctggataaatacctatacgggaaagccaacatacgcccaaaaattccaaggccgcgtcacaataacgcgggacacgagcgcatcgacggcttatatggaactatcatcgctgcgatcggaagacacggcggtctattattgcgcacgcgccgtcttttatggatatacgatggacgcatgggggcagggtaccctggtcacggtctcgagc

配列番号114 gactacgcaatgcac

配列番号115 tggattaatgcctacacggggaagccgacctacgcacaaaaattccaagga

配列番号116 gccgtcttctatggatatacgatggatgct

配列番号117
caggtccaattggtccaaagcggggcggaggtcaagaagccgggggcgagcgtcaaagtctcatgcaaggcaagcggatatacatttacggactacgcaatgcactgggtccggcaagcccctgggcaacggctggaatggatgggatggattaatgcctacacggggaagccgacctacgcacaaaaattccaaggacgagtcacgattacgcgggatactagcgcgagcaccgcatatatggagctaagctcgctgcgatctgaggataccgctgtatactactgcgcgagagccgtcttctatggatatacgatggatgcttgggggcagggtaccctggtcacggtctcgagc

配列番号118 cgagcttcggaggacatctatagcaacttggct

配列番号119 agcgtcaaaaggctccaagac

配列番号120 ctacaaggctctaacttcccattgaca

配列番号121
gatatccaaatgacgcaatcaccatctagcctatcggcctctgtgggggaccgagtcaccatcacatgccgagcttcggaggacatctatagcaacttggcttggtatcaacaaaagccggggaaagcaccaaagctgctgatatatagcgtcaaaaggctccaagacggagtcccaagccgattctcgggctccggctccgggacggattttacgctgacaatttcgagcctgcaaccggaggactttgcaacctactattgcctacaaggctctaacttcccattgacatttgggcaaggtaccaaggtcgagatcaaa

配列番号122 gactacgctatgtat

配列番号123 tggattaatgcctacaccgggaagccgacttatgcgcaaaaatttcaagga

配列番号124 gcggtctactatggatatacgatggacgca

配列番号125
caggtccaactggttcaatctggagcggaagtcaagaagcccggagcatccgtcaaagtctcgtgcaaggcatctggatacacattcaccgactacgctatgtattgggtccggcaagcccccggacaacggctggaatggatgggatggattaatgcctacaccgggaagccgacttatgcgcaaaaatttcaaggaagggtcacgattacgcgggacacgagcgcctcaaccgcatacatggagctatcgagcctgcgaagcgaggacaccgcggtctactactgcgcgcgggcggtctactatggatatacgatggacgcatgggggcagggtaccctggtcacggtctcgagc

配列番号126 WINXYTGKPTYXQKFQG
4番目のXはTまたはAであり;
12番目のXはAまたはSである。
[hCl1xの重鎖CDR2に関してのみ、
キメラクローンcCl1-1、cCl1-2、cCl1-3には該当しない]

配列番号127
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
[軽鎖定常領域-CLドメイン]

配列番号128
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
[重鎖定常領域-CH1+Fcドメイン]

配列番号129
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
[重鎖定常領域におけるL234A/L235A変異-CH1+Fcドメイン]

配列番号130
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALGAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
[重鎖定常領域におけるL236A/L236A/P329G変異-CH1+Fcドメイン]

配列番号131 RLPQTGG [ソルターゼタグ]

配列番号132 GGGGS-LPQTGG [ソルターゼタグ]

配列番号133 CLDN18.2
MAVTACQGLGFVVSLIGIAGIIAATCMDQWSTQDLYNNPVTAVFNYQGLWRSCVRESSGFTECRGYFTLLGLPAMLQAVRALMIVGIVLGAIGLLVSIFALKCIRIGSMEDSAKANMTLTSGIMFIVSGLCAIAGVSVFANMLVTNFWMSTANMYTGMGGMVQTVQTRYTFGAALFVGWVAGGLTLIGGVMMCIACRGLAPEETNYKAVSYHASGHSVAYKPGGFKASTGFGSNTKNKKIYDGGARTEDEVQSYPSKHDYV
【0121】
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図1A
図1B-1】
図1B-2】
図1B-3】
図2
図3A-B】
図3C
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8A-C】
図8D-E】
図9A-B】
図9C-D】
図10
【配列表】
2023507664000001.app
【国際調査報告】