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特表2023-507732停滞した媒体を回避するくぼみを備えた熱交換器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(54)【発明の名称】停滞した媒体を回避するくぼみを備えた熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 9/00 20060101AFI20230217BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20230217BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
F28D9/00
F28F3/04 B
F28F3/08 301Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536984
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 SE2020051181
(87)【国際公開番号】W WO2021133237
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】1951549-3
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502298310
【氏名又は名称】スウェップ インターナショナル アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ダールベルク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アンデション スヴェン
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103DD15
3L103DD57
(57)【要約】
エンドプレート11と、隣接する熱交換器プレート間に接触点16を形成して、媒体が熱交換器プレート上で熱交換するプレート間流路を熱交換器プレートが形成する隆起R及び溝Gを含むパターンが設けられた熱交換器プレート12、12a、12bのスタックであり、熱交換器プレートには、流路と選択的に流体連通するポート開口O1~O4が更に設けられた、ロウ付けプレート式熱交換器であって、ポート開口は、隣接する熱交換器プレートの対応するポート開口領域に対して密封するポート開口領域13により囲まれ、隣接する熱交換器プレートは、接触点でロウ付け継ぎ手により接続され、エンドプレートには、共通平面においてポート開口とポート開口の周囲の平坦領域14とが設けられ、エンドプレートの平坦領域のいずれかと重なる領域において熱交換器プレートの複数の隆起Rには、くぼみ15が形成され、エンドプレートに隣接する熱交換器プレートのくぼみは、エンドプレートと隣接する熱交換器プレートとの間に形成された流路を隣接する流路と接続して、それらの間の媒体の流通を可能にし、隣接する熱交換器プレートを接続するロウ付け継ぎ手は、ポート開口領域と少なくとも1つのくぼみとの間に配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドプレート(11)と、隣接する熱交換器プレート間に接触点(16)を形成して、媒体が前記熱交換器プレート上で熱を交換するプレート間流路を前記熱交換器プレートが形成するように適合された隆起(R)及び溝(G)を含むパターンが設けられた熱交換器プレート(12、12a、12b)のスタックであって、前記熱交換器プレートには、前記流路と選択的に流体連通するポート開口(O1~O4)が更に設けられた、熱交換器プレート(12、12a、12b)のスタックとを含む、ロウ付けプレート式熱交換器(10)であって、
前記ポート開口は、隣接する熱交換器プレートの対応するポート開口領域に対して密封するポート開口領域(13)により囲まれ、隣接する熱交換器プレートは、前記接触点(16)でロウ付け継ぎ手により接続され、前記エンドプレート(11)には、共通平面においてポート開口(O1~O4)と前記ポート開口の周囲の平坦領域(14)とが設けられ、前記エンドプレート(11)の平坦領域(14)のいずれかと重なる領域において前記熱交換器プレートの複数の隆起(R)には、くぼみ(15)が形成され、前記エンドプレート(11)に隣接する熱交換器プレート(12、12a)の前記くぼみ(15)は、前記エンドプレートと前記隣接する熱交換器プレート(12、12a)との間に形成された流路を隣接する流路と接続して、それらの間の媒体の流通を可能にする、ロウ付けプレート式熱交換器(10)において、
隣接する熱交換器プレートを接続するロウ付け継ぎ手は、前記ポート開口領域(13)と少なくとも1つの前記くぼみ(15)との間に配置されることを特徴とする、ロウ付けプレート式熱交換器(10)。
【請求項2】
接触点(16)は、前記エンドプレート(11)と前記隣接する熱交換器プレート(12、12a)との間に形成された流路を隣接する流路と接続して、それらの間の媒体の流通を可能にする少なくとも1つの前記くぼみ(15)の両側の隆起(R)に配置される、請求項1に記載のロウ付け熱交換器。
【請求項3】
前記熱交換器プレートは、複数列のロウ付け継ぎ手により相互に接続され、複数の前記くぼみ(15)は、最も近いポート開口領域(13)から数えて、1番目列の前記ロウ付け継ぎ手と2番目列の前記ロウ付け継ぎ手との間に配置される、請求項1または2に記載のロウ付け熱交換器。
【請求項4】
隣接する熱交換器プレートを接続するロウ付け継ぎ手は、前記くぼみに直接隣接して配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載のロウ付け熱交換器。
【請求項5】
隣接する熱交換器プレートを接続するロウ付け継ぎ手は、前記くぼみに直接隣接して配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載のロウ付け熱交換器。
【請求項6】
前記熱交換器プレートには、前記エンドプレート(11)と前記隣接する熱交換器プレート(12、12a)との間に形成された少なくとも1つ置きの流路を隣接する流路と接続して、それらの間の媒体の流通を可能にするくぼみ(15)が形成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のロウ付け熱交換器。
【請求項7】
隆起(R)及び溝(G)を含むパターンは、波形の深さで形成され、前記くぼみ(15)は、前記波形の深さの少なくとも5%に対応する深さで形成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のロウ付け熱交換器。
【請求項8】
前記くぼみの深さは、前記波形の深さの30~80%、40~60%又は50%である、請求項7に記載のロウ付け熱交換器。
【請求項9】
前記エンドプレート(11)は、中央部分には、隆起及び溝のパターンが形成される、請求項1~8のいずれか1項に記載のロウ付け熱交換器。
【請求項10】
前記熱交換器プレートのポート開口領域(13)は、様々なレベルに配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載のロウ付け熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停滞した媒体を回避するくぼみ(indentation)を備えた熱交換器に関する。より具体的には、本発明は、エンドプレートと、隣接する熱交換器プレート間に接触点を形成して、媒体が熱交換器プレート上で熱を交換するプレート間流路を熱交換器プレートが形成するように適合された隆起及び溝を含むパターンが設けられた熱交換器プレートのスタックとを含む、ロウ付けプレート式熱交換器に関する。熱交換器プレートには、流路と選択的に流体連通するポート開口が更に形成され、ポート開口は、隣接する熱交換器プレートの対応するポート開口領域に対して密封するポート開口領域により囲まれる。隣接する熱交換器プレートは、接触点でロウ付け継ぎ手により接続される。エンドプレートには、共通平面においてポート開口とポート開口の周囲の平坦領域とが設けられる。エンドプレートの平坦領域と重なる領域において熱交換器プレートの複数の隆起には、くぼみが形成され、エンドプレートに隣接する熱交換器プレートのくぼみは、エンドプレートと隣接する熱交換器プレートとの間に形成された流路を隣接する流路と接続して、それらの間の媒体の流通を可能にする。
【背景技術】
【0002】
任意のタイプの熱交換器で異なる媒体間で熱を交換する場合、停滞した媒体、すなわち、一般的な流路を進まずに静止する媒体を回避することが一般的に好ましい。停滞した媒体は、停滞域で細菌又は微生物が増殖し、媒体が動きを止める可能性があるため、熱交換器を破損するという多くの理由で厄介である。更に、熱交換器の一般的な効率を妨げる可能性がある。熱交換器プレートを互いに距離を置いて維持する隆起及び溝のプレスされたパターンを含むロウ付けプレート式熱交換器の場合、停滞した媒体の形成に対して歴史的に重要な領域は、ポート開口の近傍に平坦領域を有するエンドプレートと隣接する熱交換器プレートとの間にあり、エンドプレートは、隣接する熱交換器プレートとの間に、媒体が停滞しやすいデッドエンド流路を形成する。
【0003】
特許文献1は、流路と隣接する流路との間に流通経路(distribution channel)を設ける(そうでなければデッドエンド流路になる)ことにより、エンドプレートの平坦領域と隣接する熱交換器プレートとの間のスペースに停滞した媒体があるという問題を解決する。流通経路は、流れを可能にする(そうでなければデッドエンド流路において「動かない」)。特許文献1の流通経路は、ポート開口領域に直接隣接し、すなわち、隆起の最後端に配置される。この特許に開示されている解決手段は、停滞した媒体を回避するのに効果的であるが、強度に関して幾つかの欠点がある。
【0004】
したがって、従来技術の熱交換器は、弱く、高圧に耐えることができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0857288号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、停滞した媒体のリスクを低減するとともに、ポート開口領域の周囲における、隣接するプレートの隆起と溝の間の接触点の数を増加させることにより、熱交換器の強度を向上させるロウ付けプレート式熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
エンドプレートと、隣接する熱交換器プレート間に接触点を形成して、媒体が熱交換器プレート上で熱を交換するプレート間流路を熱交換器プレートが形成するように適合された隆起及び溝を含むパターンが設けられた熱交換器プレートのスタックであって、熱交換器プレートには、流路と選択的に流体連通するポート開口が更に設けられた、熱交換器プレートのスタックとを含む、ロウ付けプレート式熱交換器であって、ポート開口は、隣接する熱交換器プレートの対応するポート開口領域に対して密封するポート開口領域により囲まれ、隣接する熱交換器プレートは、接触点でロウ付け継ぎ手により接続され、エンドプレートには、共通平面においてポート開口とポート開口の周囲の平坦領域とが設けられ、エンドプレートの平坦領域のいずれかと重なる領域において熱交換器プレートの複数の隆起には、くぼみが形成され、エンドプレートに隣接する熱交換器プレートのくぼみは、エンドプレートと隣接する熱交換器プレートとの間に形成された流路を隣接する流路と接続して、それらの間の媒体の流通を可能にする、ロウ付けプレート式熱交換器において、隣接する熱交換器プレートを接続するロウ付け継ぎ手は、ポート開口領域と少なくとも1つのくぼみとの間に配置されることを特徴とする、ロウ付けプレート式熱交換器に関する。
【0008】
くぼみを設けることにより、隆起横断流路は、媒体を流通させるために形成され、かつエンドプレートとスタックの1番目又は最後の熱交換器プレートなどの隣接する熱交換器プレートとの間のスペースにおいて、流路(そうでなければデッドエンド流路になる)に停滞した媒体があることを防止する。更に、驚くべきことに、上記くぼみを流路の最後端からわずかな距離を置いて、すなわち、隆起に最も近いポート開口領域から距離を置いて配置することにより、接触点ひいてはロウ付け継ぎ手に対してスペースが提供されるとともに、流路内の停滞した媒体が依然として防止されることが発見された。したがって、くぼみとポート開口領域との間にロウ付け継ぎ手が配置される場合にも、良好な媒体の流れが実現されることが発見された。ポート開口領域と少なくとも幾つかのくぼみとの間のロウ付け継ぎ手により、より強力な熱交換器を得る。また、接触点がポート開口領域により近いことが実現されるため、ポートの周囲の圧力領域が小さくなる。接触点の追加が実現される。また、接触点がポート開口により近いことが実現される。例えば、ポート開口と1番目列の接触点との間の距離は、従来技術より短くすることができ、媒体圧力にさらされるポート開口の周囲の領域は、より小さくなる。また、ポート開口のすぐ近傍でより高い接触点密度を実現することができる。これにより、強力な熱交換器を得るとともに、デッドエンド流路内の停滞した媒体が防止される。
【0009】
エンドプレートは、ポート開口の周囲、例えば、長方形のエンドプレートの端部に平坦領域を有する従来のエンドプレートであってもよい。エンドプレートのポート開口と平坦領域は、共通平面に配置される。エンドプレートは、フロントエンドプレート又はバックエンドプレートであってもよい。エンドプレートの平坦領域は、ハイドロブロック又は類似する従来の接続金具に接続するように適合できる。エンドプレートは、中央部分には、隆起及び溝のパターンが設けられてもよい。
【0010】
接触点は、流路を隣接する流路と接続するくぼみ又は複数のくぼみ(そうでなければ、エンドプレートと共にデッドエンド流路を形成する)の両側の隆起に配置することができる。したがって、停滞した媒体を防止しながら、非常に強力な熱交換器を得ることができる。したがって、熱交換器プレートは、複数列のロウ付け継ぎ手により互いに接続することができ、くぼみ又は複数のくぼみは、くぼみに最も近いポート開口領域から数えて、1番目列のロウ付け継ぎ手と2番目列のロウ付け継ぎ手との間に配置することができる。
【0011】
以下、本発明は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱交換器の概略的分解図である。
図2図2は、図1の熱交換器プレートの概略的正面図である。
図3図3は、図2の熱交換器プレートの概略的正面図であり、示されたプレートと更なる熱交換器プレートとの間の仮想接触点を示す。
図4図4は、本発明の第2の実施形態に係る熱交換器の概略的分解図である。
図5図5は、図4の熱交換器プレートの概略的正面図である。
図6図6は、図5の熱交換器プレートの概略的正面図であり、示されたプレートと更なる熱交換器プレートとの間の仮想接触点を示す。
図7図7は、第3の実施形態に係る熱交換器プレートの概略的正面図である。
図8図8は、図7の熱交換器プレートの概略的正面図であり、示されたプレートと更なる熱交換器プレートとの間の仮想接触点を示す。
図9図9は、本発明の別の実施形態に係る熱交換器プレートの概略的正面図であり、あるタイプのプレートを示す。
図10図10は、本発明の別の実施形態に係る熱交換器プレートの概略的正面図であり、交互に配置される別のタイプのプレートを示す。
図11図11は、図9の熱交換器プレートの一部の概略的斜視図であり、示されたプレートと更なる熱交換器プレートとの間の両方向の仮想接触点を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る熱交換器10を概略的に示す。熱交換器10は、エンドプレート11と、熱交換器10を形成するためにスタックに積み重ねられた複数の熱交換器プレート12とを含む。図1の実施形態では、熱交換器プレート12は、同じである。
【0014】
熱交換器プレート12は、板金から作られ、隆起R及び溝Gのパターンが設けられることにより、プレートがスタックに積み重ねられて熱交換器10を形成する場合、流体が熱を交換するプレート間流路がプレート間に形成され、流体が熱を交換するプレート間流路の形成下で、隣接するプレート12の少なくとも幾つかの交差する隆起及び溝の間に接触点を設置することにより、熱交換器10を形成する。図1図3の実施形態に係るパターンは、ヘリンボーンパターンである。しかしながら、パターンはまた、以下に説明するように、斜めに延びる直線の形態であってもよい。隆起R及び溝Gのパターンは、波形の深さを有する波形パターンである。パターンは、プレスされたパターンである。パターンは、プレート12を、接触点を除いて互いに距離を置いて維持し、隣接する熱交換器プレートと流路との間にスペースを形成するように適合される。
【0015】
示された実施形態では、熱交換器10の円周に沿ってシールを提供するために、各熱交換器プレート12は、熱交換器プレート12の平面にほぼ垂直に延び、かつ隣接するプレート12のスカートに接触するように適合されたスカートSにより囲まれる。
【0016】
熱交換器プレート12には、熱を交換する流体をプレート間流路に出し入れするポート開口O1~O4が配置される。示された実施形態では、エンドプレート11及び熱交換器プレート12には、4つのポート開口O1~O4が配置される。図1では、幾つかのポート開口が示されないが、これは当業者によって理解され、本発明の開示に影響を与えない。ポート開口O1~O4を囲むポート開口領域13は、ポート開口とプレート間流路との間の選択的な連通を実現するように、異なる高さ、すなわち異なるレベルで設けられる。例えば、ポート開口領域13は、平坦である。ポート開口領域13は、隣接する熱交換器プレート12の対応するポート開口領域13に対して密封するように配置される。例えば、ポート開口O1~O4及びポート開口領域13は、従来の方法で配置される。
【0017】
図1の熱交換器10において、ポート開口領域13は、第1のポート開口O1と第2のポート開口O2がプレート間流路により互いに流体連通し、第3のポート開口O3と第4のポート開口O4が隣接するプレート間流路により互いに流体連通するように配置される。示された実施形態では、熱交換器プレート12は、隅が丸い長方形であり、ポート開口O1~O4は、隅の近くに配置される。或いは、熱交換器プレート12は、例えば、隅が丸い正方形である。或いは、熱交換器プレート12は、円形、楕円形、又は他の適切な形状で配置され、大きなポート開口O1~O4は、適切な方法で分布する。示された実施形態では、各熱交換器プレート12には、4つのポート開口O1~O4が形成される。或いは、熱交換器プレート12には、6、8、又は10などの別の数のポートが形成される。図1の実施形態では、熱交換器プレート12は、同じであり、プレート12は、1つ置きに(every other)隣接する熱交換器プレート12に対してその平面内で180度回転している。
【0018】
図1のエンドプレート11には、ポート開口O1~O4を備えた平坦領域14が形成される。エンドプレート11のポート開口O1~O4は、従来の方法で熱交換器プレート12のポート開口と位置合わせされる。例えば、エンドプレート11は、第1の平坦領域、隣接するポート開口O1及びO3を備えた第1の端部と、第2の平坦領域、隣接するポート開口O2及びO4を備えた第2の端部とを含む。例えば、エンドプレート11は、従来のエンドプレートである。示された実施形態では、エンドプレート11は、熱交換器プレート12と類似する隆起(R)及び溝(G)のパターンを有する中央部分を含む。端部には隆起及び溝のパターンがない。代わりに、端部には、少なくともポート開口O1~O4の周囲に平坦領域14が形成される。ポート開口O1~O4及び平坦領域14は、共通平面に配置される。したがって、エンドプレート11の平坦領域14は、熱交換器プレートのスタックの1番目の熱交換器プレートなどの隣接する熱交換器プレート12の溝(G)と共に流路を形成する。平坦領域14は、隣接する熱交換器プレート12のポート開口領域13の近傍に、隣接する熱交換器プレート12と共に流路を形成する。
【0019】
熱交換器プレート12とエンドプレート11がプレート式熱交換器10の一部を形成するために取り付けられる場合、2つのポート開口領域13は、エンドプレート11の平坦領域14と接触する。また、熱交換器プレート12の隆起Rは、エンドプレート11の平坦領域14と接触する。したがって、流路は、エンドプレート11の端部の平坦領域14と隣接する熱交換器プレート12との間に形成される。流路は、熱交換器プレート12の隣接するポート開口の間の領域に形成される。例えば、流路は、第1のポート開口O1に接続された溝Gにより、平坦領域14と隣接する熱交換器プレート12との間に形成され、幾つかの溝(G)は、上記溝Gが隣接する第3のポート開口O3の周囲のポート開口領域13に到達したときに終わる。
【0020】
また図2を参照すると、熱交換器プレート12には、くぼみ(indentation)15が形成される。くぼみ15は、隆起横断流路(trans-ridge flow channel)を設けるように配置される。くぼみ15は、熱交換器プレート12の隆起Rに配置され、少なくとも幾つかの隆起には、少なくとも1つのくぼみ15が形成される。少なくとも幾つかのくぼみ15は、ポート開口O3、O4の近傍に配置されて、平坦領域14と共に流路を形成する溝Gを隣接する溝Gと接続して、熱交換器プレート12とエンドプレート11の平坦領域14との間の上記流路内の停滞した媒体を防止する。くぼみ15を設けることにより、隆起R及びエンドプレート11の平坦な端部14により区切られたデッドエンド流路は回避される。くぼみ15は、熱交換器プレート12の波形の深さの少なくとも5%に対応する深さで配置される。例えば、くぼみ15の深さは、波形の深さの80%未満である。例えば、くぼみ15の深さは、波形の深さの20~80%、40~80%、50~80%、50~60%又は50%である。
【0021】
図3を参照すると、熱交換器プレート12と更なる熱交換器プレートとの間の接触点16は、概略的に示される。一般的に、ロウ付け継ぎ手は、接触点16に配置され、接触点16は、ロウ付け継ぎ手に対応する。例えば、隣接する熱交換器プレート12間の各接触点16は、ロウ付け継ぎ手に対応する。図3では、接触点16は熱交換器プレート12の背面に示され、隣接する熱交換器プレートの前面の接触点16は、当業者によって理解されるように、図3の第3のポート開口O3の近傍の正方形により概略的に示される幾つかの位置など、隆起Rの対応する位置にある。図3に示すように、少なくとも幾つかのくぼみ15は、第3のポート開口O3及び第4のポート開口O4のポート開口領域13から距離を置いて配置され、くぼみ15とポート開口O3、O4との間にロウ付け継ぎ手のためのスペースが残される。したがって、熱交換器プレートを隣接する熱交換器プレートと接続するロウ付け継ぎ手は、ポート開口領域13と少なくとも1つのくぼみ15との間に配置される。熱交換器プレート12の複数の隆起Rは、エンドプレート11の平坦領域14と重なる領域に、くぼみ15が形成される。エンドプレート11に隣接する熱交換器プレート12のくぼみ15は、エンドプレート11の平坦領域14と隣接する熱交換器プレート12との間に形成された流路を隣接する流路と接続して、それらの間の媒体の流通を可能にし、それら内の停滞した媒体を防止する。同時に、エンドプレート11の平坦領域14と重なる領域において、隣接する熱交換器プレート12を接続するロウ付け継ぎ手は、ポート開口領域13と、少なくとも1つのくぼみ15又は複数のくぼみ15又は全てのくぼみ15との間に配置される。
【0022】
図1図3の実施形態では、熱交換器プレート12のくぼみ15は、全てがポート開口O3、O4のすぐ近傍に配置されるわけではない。例えば、くぼみ15は、1つ置きにポート開口O3、O4からかなりの距離を置いて配置される。例えば、少なくとも1つのくぼみ15又は複数のくぼみ15は、ロウ付け継ぎ手に対応する最も近いポート開口領域13から距離を置いて配置され、くぼみ15は、くぼみ15とポート開口領域13との間のロウ付け継ぎ手に直接隣接して配置される。例えば、第4のポートO4を囲むポート開口領域13の近傍は、第3のポート開口O3を囲むポート開口領域13の近傍より多くのくぼみ15が配置される。
【0023】
図4図6を参照すると、熱交換器10の第2の実施形態が示され、エンドプレート11は、図1を参照して上述したものと類似する。また、図4では、幾つかのポート開口が省略され、これは当業者によって理解される。図4図6の実施形態では、熱交換器プレート12は、同じであり、隆起R及び溝Gのヘリンボーンパターンが設けられ、熱交換器プレート12が、1つ置きにその平面内で180度回転している。
【0024】
また、図5を参照すると、熱交換器プレート12には、隆起横断流路(trans-ridge channel)を形成し、隣接する溝Gを接続する複数のくぼみ15が設けられる。示された実施形態では、くぼみ15は、ポート開口O3、O4の近傍に、ポート開口O3、O4から距離を置いて、熱交換器プレート12の隆起Rに配置されて、隣接する溝Gを接続し、平坦領域14と隣接する熱交換器プレート12との間に形成された流路内の停滞した媒体を防止する。図4図6の実施形態では、図6に概略的に示されるように、第1のポート開口O1と第3のポート開口O3との間の領域の全ての隆起Rには、くぼみ15が形成され、第3のポート開口O3及び第4のポート開口O4のポート開口領域13と各くぼみ15との間に、接触点16ひいてはロウ付け継ぎ手のためのスペースが残される。また、図6では、接触点16は、熱交換器プレート12と示された熱交換器プレート12の後ろにある更なる熱交換器プレートとの間で概略的に示され、別の熱交換器プレート12に向かう前面の接触点16は、当業者によって理解されるように、図6の第3のポート開口O3の近傍の正方形により概略的に示される幾つかの位置など、隆起Rの対応する位置にある。図6に示すように、くぼみ15は、第3のポート開口O3及び第4のポート開口O4のポート開口領域13から距離を置いて配置され、くぼみ15とポート開口O3、O4との間にロウ付け継ぎ手のためのスペースが残される。したがって、ロウ付け継ぎ手は、ポート開口領域13とくぼみ15との間に配置される。
【0025】
図4図6の実施形態では、プレートの各端のくぼみ15の1つ以外の全ては、接触点16の間に形成される。したがって、ほとんどのくぼみ15は、接触点16の間に配置される。例えば、少なくとも4つ又は少なくとも5つのくぼみ15は、第3のポート開口O3の近傍に配置され、少なくとも6つ又は7つなどのより多くのくぼみ15は、第4のポート開口O4の近傍に配置される。図4図6の実施形態では、第3のポート開口O3の近傍のくぼみ15は、熱交換器プレート12の長手方向の直線に配置され、例えば、プレートの長手方向の中心線に平行に配置される。例えば、くぼみ15は、1列のくぼみ15の1番目のくぼみ15と最後のくぼみ15との間に、連続的な隆起横断流路(trans-ridge channel)を形成する。例えば、第4のポート開口O4の近傍のくぼみ15は、対応する方法で、任意選択で、上記直線から逸脱する追加のくぼみ15が配置される。例えば、熱交換器プレート12は、複数列の接触点16により互いに接続され、複数のくぼみ15は、最も近いポート開口領域13から数えて、1番目列の接触点16と2番目列の接触点16との間に配置される。したがって、くぼみ15は、1番目列の接触点16の外側に配置される。例えば、連続的な隆起横断流路を形成する1列のくぼみ15は、1番目列の接触点16の外側に配置される。
【0026】
図7及び図8を参照すると、熱交換器プレート12には、別のパターンで隆起横断流路(trans-ridge channel)を形成する複数のくぼみ15が形成され、複数のくぼみ15は、第1のポート開口O1と第3のポート開口O3との間に、接触点16の間に分布する。図7及び図8の実施形態では、より多くのくぼみ15は、第2のポート開口O2と第4のポート開口O4との間のより大きな領域にわたって類似するパターンで分布する。例えば、くぼみ15のパターンは、規則的なパターンである。
【0027】
図9及び図10を参照すると、本発明の別の実施形態が示され、図9は、第1のタイプの熱交換器プレート12aを示し、図10は、第2のタイプの熱交換器プレート12bを示す。第1のタイプの熱交換器プレート12aと第2のタイプの熱交換器プレート12bは、交互に積み重ねられ、エンドプレート11とともに設けられて熱交換器10を形成する。第1のタイプの熱交換器プレート12aと第2のタイプの熱交換器プレート12bは、斜めに延びる直線の形態の隆起R及び溝Gのパターンが設けられる。したがって、図9及び図10の実施形態における熱交換器10は、プレート間流路を形成する隆起R及び溝Gのパターンを有する2つの異なるタイプの熱交換器プレート12a、12bを含み、流路は、エンドプレート11の平坦領域14と隣接する熱交換器プレート12aとの間に、ポート開口O1~O4の間の領域に形成され、隣接する熱交換器プレート12aは、第1のタイプのものである。少なくとも第1のタイプの熱交換器プレート12aには、隆起横断流路(trans-ridge channel)を形成するくぼみ15が形成されて、エンドプレートの平坦領域14と隣接する熱交換器プレート12aとの間のデッドエンド流路を防止する。図9及び図10の実施形態では、くぼみ15はまた、中央の熱交換領域を含む、第1のタイプの熱交換器プレート12aの大きな部分に分布する。
【0028】
図11を参照すると、接触点16ひいてはロウ付け継ぎ手は、第1のタイプの熱交換器プレート12aの一部に概略的に示される。接触点16は、プレート12aの両側に示される。したがって、図11に示すように、ポート開口O1~O4の近傍のくぼみ15、又は少なくともそれらのほとんどは、接触点16の間に配置される。したがって、接触点16は、ポート開口領域13と最も近いくぼみ15との間に形成され、該くぼみ15は、平坦領域14と重なる領域にある隣接する溝Gを接続する隆起横断流路(trans-ridge channel)を形成し、別の接触点16は、同じくぼみ15の他側の隆起Rに配置される。例えば、隣接する熱交換器プレート12の間の接触点16は、流路を隣接する流路と接続する、エンドプレート11の平坦領域14と重なる領域にあるくぼみ15の直前及び直後に配置される。したがって、エンドプレート11に隣接する熱交換器プレート12aのくぼみ15は、エンドプレート11の平坦領域14と隣接する熱交換器プレート12aとの間に形成された流路を隣接する流路と接続して、それらの間の媒体の流通を可能にし、それら内の停滞した媒体を防止し、ロウ付け継ぎ手は、隣接する熱交換器プレート12a、12bの間に、ポート開口領域13とくぼみ15との間の位置に配置されて、強力な熱交換器10を提供する。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】