(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(54)【発明の名称】酸化的脱水素化プロセスからの一酸化炭素、酸素及びアセチレンの除去
(51)【国際特許分類】
C07C 5/48 20060101AFI20230217BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20230217BHJP
B01J 23/80 20060101ALI20230217BHJP
B01J 23/88 20060101ALI20230217BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230217BHJP
【FI】
C07C5/48
C07C11/04
B01J23/80 Z
B01J23/88 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537377
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-06-17
(86)【国際出願番号】 IB2020061522
(87)【国際公開番号】W WO2021124004
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505382548
【氏名又は名称】ノバ ケミカルズ(インターナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユンヒ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、シャオリャン
(72)【発明者】
【氏名】シマンゼンコフ、ワシリー
(72)【発明者】
【氏名】オライーウォラ、ボラジ
(72)【発明者】
【氏名】グッダルズニア、シャーヒン
(72)【発明者】
【氏名】ゲント、デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169BA05A
4G169BB04B
4G169BC11B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC35A
4G169BC35B
4G169BC51A
4G169BC51B
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4G169CB07
4G169EA01Y
4G169FA01
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4G169FC07
4G169FC08
4H006AA02
4H006AC12
4H006AD11
4H006AD18
4H006AD30
4H006BA05
4H006BA06
4H006BA07
4H006BA08
4H006BA09
4H006BA10
4H006BA11
4H006BA12
4H006BA13
4H006BA14
4H006BA15
4H006BA16
4H006BA19
4H006BA20
4H006BA22
4H006BA25
4H006BA30
4H006BA33
4H006BC10
4H006BC18
4H006BD33
4H006BD52
4H006BD81
4H006BD82
4H006BD84
4H039CA29
4H039CC10
(57)【要約】
1種以上のアルカンを1種以上のアルケンに変換する方法であって、1種以上のアルカン及び酸素を含む第1の流れを、酸化的脱水素化反応器に供給すること;前記酸化的脱水素化反応器内で、前記1種以上のアルカンの少なくとも一部を1種以上のアルケンに変換して、1種以上のアルカン、1種以上のアルケン、並びに酸素、一酸化炭素及びアセチレンの1つ以上を含む前記酸化的脱水素化反応器を出る第2の流れを供給すること;前記第2の流れを、CuO及びZnOを含む触媒を含む第2の反応器に供給し、当該第2の流れを反応させて、1種以上のアルカン、1種以上のアルケン、及び前記第2の流れと比較してより低い又は検出できないレベルの酸素とアセチレンとを含む第2の反応器を出る第3の流れを提供すること、を含む方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のアルカンを1種以上のアルケンに変換する方法であって、
a.1種以上のアルカン及び酸素を含む第1の流れを、酸化的脱水素化反応器に供給すること、
b.前記酸化的脱水素化反応器内で、前記1種以上のアルカンの少なくとも一部を1種以上のアルケンに変換して、1種以上のアルカン、1種以上のアルケン、及び酸素とアセチレンの一方又は両方を含む前記酸化的脱水素化反応器を出る第2の流れを供給すること、
c.前記第2の流れを、CuO及びZnOを含む触媒を含む第2の反応器に供給し、当該第2の流れを反応させて、1種以上のアルカン、1種以上のアルケン、及び前記第2の流れと比較してより低い又は検出できないレベルの酸素とアセチレンとを含む第2の反応器を出る第3の流れを提供すること、
を含む、上記方法。
【請求項2】
1種以上のアルカンが、エタンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1種以上のアルケンが、エチレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸化的脱水素化反応器が、以下から選択される1種以上の混合金属酸化物を含有する酸化的脱水素化触媒を含む、請求項1に記載の方法:
i)次式の触媒:
Mo
aV
bTe
cNb
dPd
eO
f
(式中、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ元素Mo、V、Te、Nb、Pd及びOの相対原子量であり;a=1、b=0.01~1.0、c=0.01~1.0、d=0.01~1.0、0.00≦e≦0.10で、fは、少なくとも触媒中に存在する金属の原子価状態を満たす数である);
ii)次式の触媒:
Ni
gA
hB
iD
jO
f
(式中、gは0.1~0.9、場合によっては0.3~0.9、他の場合には0.5~0.85、場合によっては0.6~0.8の数であり;hは0.04~0.9の数であり;iは0~0.5の数であり;jは0~0.5の数であり;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数であり;Aは、Ti、Ta、V、Nb、Hf、W、Y、Zn、Zr、Si及びAl又はそれらの混合物から選択され;Bは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Sb、Sn、Bi、Pb、Tl、In、Te、Cr、Mn、Mo、Fe、Co、Cu、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、Cd、Os、Ir、Au、Hg、及びそれらの混合物から選択され;Dは、Ca、K、Mg、Li、Na、Sr、Ba、Cs、Rb及びそれらの混合物から選択され;Oは、酸素である);
iii)次式の触媒:
Mo
aE
kG
lO
f
(式中、Eは、Ba、Ca、Cr、Mn、Nb、Ta、Ti、Te、V、W及びそれらの混合物から選択され;Gは、Bi、Ce、Co、Cu、Fe、K、Mg、V、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Ti、U、及びそれらの混合物から選択され;a=1;kは0~2;l=0~2、ただし、Co、Ni、Fe及びそれらの混合物のlの合計値は0.5未満であり;fは、少なくとも触媒中に存在する金属の原子価状態を満たす数である);
iv)次式の触媒:
V
mMo
nNb
oTe
pMe
qO
f
(式中、Meは、Ta、Ti、W、Hf、Zr、Sb及びそれらの混合物から選択され;mは0.1~3であり;nは0.5~1.5であり;oは0.001~3であり;pは0.001~5であり;qは0~2であり;fは、少なくとも触媒中に存在する金属の原子価状態を満たす数である);
v)次式の触媒:
Mo
aV
rX
sY
tZ
uM
vO
f
(式中、Xは、Nb及びTaの少なくとも1つであり;Yは、Sb及びNiの少なくとも1つであり;Zは、Te、Ga、Pd、W、Bi及びAlの少なくとも1つであり;Mは、Fe、Co、Cu、Cr、Ti、Ce、Zr、Mn、Pb、Mg、Sn、Pt、Si、La、K、Ag及びInの少なくとも1つであり;a=1.0(正規化);r=0.05~1.0;s=0.001~1.0;t=0.001~1.0;u=0.001~0.5;v=0.001~0.3;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数である);
vi)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo
6.5-7.0V
3O
d
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である);
vii)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo
6.25-7.25V
3O
d
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である)。
【請求項5】
前記第1の流れが、1種以上の希釈剤、酸素含有ガス、及び1種以上の低級アルカンを含有するガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の流れが、1種以上の未反応の低級アルカン、1種以上の低級アルケン、酸素、1種以上の希釈剤、及び水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化的脱水素化反応器が、単一の固定床型反応器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化的脱水素化反応器が、単一の流動床型反応器及び/又は移動床反応器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化的脱水素化反応器が、スイング床型反応器配置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
酢酸スクラバーが、前記酸化的脱水素化反応器と前記第2の反応器との間に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の反応器内の温度が100~200℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の流れが一酸化炭素を含み、前記第3の流れ中の一酸化炭素の量が前記第2の流れ中の一酸化炭素の量よりも少ない、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ガス毎時空間速度(GHSV)が、約400~約3000h
-1である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
重量毎時空間速度(WHSV)が、約0.4h
-1~約30h
-1である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
線速度が、約5cm/秒~約500cm/秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
エタンをエチレンに変換する方法であって、
a.エタン及び酸素を含む第1の流れを、酸化的脱水素化反応器に供給すること、
b.前記酸化的脱水素化反応器内で、前記エタンの少なくとも一部をエチレンに変換して、エタン、エチレン、及び酸素とアセチレンの一方又は両方を含む前記酸化的脱水素化反応器を出る第2の流れを供給すること、
c.前記第2の流れを、CuO及びZnOを含む触媒を含む第2の反応器に供給して、エタン、エチレン、及び前記第2の流れと比較してより低い又は検出できないレベルの酸素とアセチレンとを含む第2の反応器を出る第3の流れを提供すること、
を含む、上記方法。
【請求項17】
前記酸化的脱水素化反応器が、以下から選択される1種以上の混合金属酸化物を含有する酸化的脱水素化触媒を含む、請求項16に記載の方法:
i)次式の触媒:
Mo
aV
bTe
cNb
dPd
eO
f
(式中、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ元素Mo、V、Te、Nb、Pd及びOの相対原子量であり;a=1、b=0.01~1.0、c=0.01~1.0、d=0.01~1.0、0.00≦e≦0.10で、fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数である);
ii)次式の触媒:
Ni
gA
hB
iD
jO
f
(式中、gは0.1~0.9、場合によっては0.3~0.9、他の場合には0.5~0.85、場合によっては0.6~0.8の数であり;hは0.04~0.9の数であり;iは0~0.5の数であり;jは0~0.5の数であり;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数であり;Aは、Ti、Ta、V、Nb、Hf、W、Y、Zn、Zr、Si及びAl又はそれらの混合物から選択され;Bは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Sb、Sn、Bi、Pb、Tl、In、Te、Cr、Mn、Mo、Fe、Co、Cu、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、Cd、Os、Ir、Au、Hg、及びそれらの混合物から選択され;Dは、Ca、K、Mg、Li、Na、Sr、Ba、Cs、Rb及びそれらの混合物から選択され;Oは、酸素である);
iii)次式の触媒:
Mo
aE
kG
lO
f
(式中、Eは、Ba、Ca、Cr、Mn、Nb、Ta、Ti、Te、V、W及びそれらの混合物から選択され;Gは、Bi、Ce、Co、Cu、Fe、K、Mg、V、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Ti、U、及びそれらの混合物から選択され;a=1;kは0~2;l=0~2、ただし、Co、Ni、Fe及びそれらの混合物のlの合計値は0.5未満であり;fは、少なくとも触媒中の金属の原子価状態を満たす数である);
iv)次式の触媒:
V
mMo
nNb
oTe
pMe
qO
f
(式中、Meは、Ta、Ti、W、Hf、Zr、Sb及びそれらの混合物から選択され;mは0.1~3であり;nは0.5~1.5であり;oは0.001~3であり;pは0.001~5であり;qは0~2であり;fは、少なくとも触媒中の金属の原子価状態を満たす数である);
v)次式の触媒:
Mo
aV
rX
sY
tZ
uM
vO
f
(式中、Xは、Nb及びTaの少なくとも1つであり;Yは、Sb及びNiの少なくとも1つであり;Zは、Te、Ga、Pd、W、Bi及びAlの少なくとも1つであり;Mは、Fe、Co、Cu、Cr、Ti、Ce、Zr、Mn、Pb、Mg、Sn、Pt、Si、La、K、Ag及びInの少なくとも1つであり;a=1.0(正規化);r=0.05~1.0;s=0.001~1.0;t=0.001~1.0;u=0.001~0.5;v=0.001~0.3;fは、少なくとも触媒の金属の原子価状態を満たす数である);
vi)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo
6.5-7.0V
3O
d
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である);
vii)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo
6.25-7.25V
3O
d
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である)。
【請求項18】
前記第1の流れが、1種以上の希釈剤、酸素含有ガス、及びエタンを含有するガスを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の流れが、エタン、エチレン、酸素、1種以上の希釈剤、酢酸、及び水の1つ以上を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記酸化的脱水素化反応器が、単一の固定床型反応器を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記酸化的脱水素化反応器が、単一の流動床型反応器及び/又は移動床反応器を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記酸化的脱水素化反応器が、スイング床型反応器配置を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
酢酸スクラバーが、前記酸化的脱水素化反応器と前記第2の反応器との間に配置される、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の反応器内の温度が100~200℃である、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
ガス毎時空間速度(GHSV)が、約400~約3000h
-1である、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
重量毎時空間速度(WHSV)が、約0.4h
-1~約30h
-1である、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
線速度が、約5cm/秒~約500cm/秒である、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
低級アルカンの酸化的脱水素化のための化学コンプレックスであって、
i)少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器であり、酸化的脱水素化触媒を含み、任意に希釈剤の存在下で、酸素含有ガスと低級アルカン含有ガスとを受け入れ、対応するアルケンと1つ以上の以下の成分:
a.未反応の低級アルカン;
b.酸素;
c.希釈剤;
d.アセチレン;
e.酸素化物;
f.水;
を含む生成物流を生成するように設計された、酸化的脱水素化反応器と、
ii)前記生成物流を急冷し、当該生成物流から水と可溶性酸素化物とを除去するための急冷塔と、
iii)CuO及びZnOを含む触媒を含む第2の反応器であり、未反応の低級アルカン、アルケン、及び前記生成物流と比較してより低い又は検出できないレベルの酸素とアセチレンとを含む第2の反応器を出る第2の生成物流を提供するための第2の反応器と、
iv)前記第2の生成物流から二酸化炭素を除去するための任意のアミン洗浄と、
v)前記第2の生成物流から水を除去するための乾燥機と、
vi)前記第2の生成物流からC2/C2+炭化水素を除去して、C1炭化水素が豊富なオーバーヘッド流を生成する蒸留塔と、
を協同配置で備える化学コンプレックスであり、
i)からvi)の構成要素は、記載されている順序で直列に接続される、上記化学コンプレックス。
【請求項29】
少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器に導入する前に、酸素含有ガス、低級アルカン含有ガス及び熱除去ガスを予混合するための不燃性液体フラッド型ガスミキサーをさらに含む、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【請求項30】
前記酸化的脱水素化触媒が、以下から選択される混合金属酸化物を含む、請求項28に記載の化学コンプレックス:
i)次式の触媒:
Mo
aV
bTe
cNb
dPd
eO
f
(式中、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ元素Mo、V、Te、Nb、Pd及びOの相対原子量であり;a=1、b=0.01~1.0、c=0.01~1.0、d=0.01~1.0、0.00≦e≦0.10で、fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数である);
ii)次式の触媒:
Ni
gA
hB
iD
jO
f
(式中、gは0.1~0.9、場合によっては0.3~0.9、他の場合には0.5~0.85、場合によっては0.6~0.8の数であり;hは0.04~0.9の数であり;iは0~0.5の数であり;jは0~0.5の数であり;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数であり;Aは、Ti、Ta、V、Nb、Hf、W、Y、Zn、Zr、Si及びAl又はそれらの混合物から選択され;Bは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Sb、Sn、Bi、Pb、Tl、In、Te、Cr、Mn、Mo、Fe、Co、Cu、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、Cd、Os、Ir、Au、Hg、及びそれらの混合物から選択され;Dは、Ca、K、Mg、Li、Na、Sr、Ba、Cs、Rb及びそれらの混合物から選択され;Oは、酸素である);
iii)次式の触媒:
Mo
aE
kG
lO
f
(式中、Eは、Ba、Ca、Cr、Mn、Nb、Ta、Ti、Te、V、W及びそれらの混合物から選択され;Gは、Bi、Ce、Co、Cu、Fe、K、Mg、V、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Ti、U、及びそれらの混合物から選択され;a=1;kは0~2;l=0~2、ただし、Co、Ni、Fe及びそれらの混合物のlの合計値は0.5未満であり;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数である);
iv)次式の触媒:
V
mMo
nNb
oTe
pMe
qO
f
(式中、Meは、Ta、Ti、W、Hf、Zr、Sb及びそれらの混合物から選択される金属であり;mは0.1~3であり;nは0.5~1.5であり;oは0.001~3であり;pは0.001~5であり;qは0~2であり;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数である);
v)次式の触媒:
Mo
aV
rX
sY
tZ
uM
vO
f
(式中、Xは、Nb及びTaの少なくとも1つであり;Yは、Sb及びNiの少なくとも1つであり;Zは、Te、Ga、Pd、W、Bi及びAlの少なくとも1つであり;Mは、Fe、Co、Cu、Cr、Ti、Ce、Zr、Mn、Pb、Mg、Sn、Pt、Si、La、K、Ag及びInの少なくとも1つであり;a=1.0(正規化);r=0.05~1.0;s=0.001~1.0;t=0.001~1.0;u=0.001~0.5;v=0.001~0.3;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数である);
vi)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo
6.5-7.0V
3O
d
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である);
vii)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo
6.25-7.25V
3O
d
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である)。
【請求項31】
前記少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器が、単一の固定床型反応器を含む、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【請求項32】
前記少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器が、単一の流動床型反応器及び/又は移動床反応器を含む、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【請求項33】
前記少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器が、スイング床型反応器配置を含む、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【請求項34】
前記少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器が、直列に接続された複数の酸化的脱水素化反応器を含み、各反応器は同じ又は異なる酸化的脱水素化触媒を含有し、一連の最後の酸化的脱水素化反応器を除く各酸化的脱水素化反応器からの生成物流が、下流の酸化的脱水素化反応器に供給される、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【請求項35】
前記少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器が、並列に接続された複数の酸化的脱水素化反応器を含み、各反応器は同じ又は異なる酸化的脱水素化触媒を含有する、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【請求項36】
前記化学コンプレックスが、前記急冷塔のすぐ上流に少なくとも1つの熱交換器をさらに含む、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【請求項37】
前記化学コンプレックスが、前記アミン洗浄のすぐ下流に苛性洗浄塔をさらに含む、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【請求項38】
前記C2/C2+炭化水素が、前記蒸留塔を出て、未反応の低級アルカン及び対応するアルケンを未反応の低級アルカン流及び対応するアルケン流に分離するため、第2の蒸留塔に送られる、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【請求項39】
前記第2の蒸留塔が、生成物流のC2/C2+炭化水素部分を、未反応の低級アルカン流と対応するアルケン流に分離することをさらに提供する、請求項38に記載の化学コンプレックス。
【請求項40】
前記未反応の低級アルカン流が、低級アルカン含有ガスの一部として前記少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器に戻される、請求項39に記載の化学コンプレックス。
【請求項41】
前記酸素化物が、酢酸、エタノール、アクリル酸、アセトアルデヒド、マレイン酸及び無水マレイン酸から選択される1種以上を含む、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【請求項42】
ガス毎時空間速度(GHSV)が、約400~約3000h
-1である、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【請求項43】
重量毎時空間速度(WHSV)が、約0.4h
-1~約30h
-1である、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【請求項44】
線速度が、約5cm/秒~約500cm/秒である、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、低級アルカンの対応するアルケンへの酸化的脱水素化(ODH:oxidative dehydrogenation)に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、ODHプロセスからの一酸化炭素、酸素、及び/又はアセチレンの排出量レベルを制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィンは、様々な商業的に価値のあるポリマーの基本的な構成要素である。天然に存在するオレフィンの供給源は商業的な量では存在しないため、ポリマー生産者は、より豊富な低級アルカンをオレフィンに変換する方法に依存している。今日の商業規模の生産者が選択する方法は、蒸気分解である。蒸気分解は、蒸気で希釈されたアルカンが非常に短時間、少なくとも800℃の温度にさらされる吸熱プロセスである。必要な温度を生成するための燃料需要と、その温度に耐えられる機器の必要性により、全体的なコストが大幅に増加する。また、高温は、システム内に蓄積するコークスの形成を促進するため、メンテナンスとコークスの除去のために、費用のかかる定期的な反応器の停止が必要になる。
【発明の概要】
【0003】
酸化的脱水素化(ODH)は、蒸気分解の代替法であり、発熱性でコークスをほとんど又はまったく生成しない。ODHでは、エタンなどの低級アルカンを、触媒の存在下で酸素と混合して、対応するアルケンを生成する。
【0004】
操作例における、又は他に指示がある場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを指す全ての数字又は表現は、全ての場合において「約」という用語によって変更されると理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示が取得することを望む所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を請求項の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数に照らして、通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。
【0005】
本開示の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例に示された数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値もそれぞれの試験測定で見出された標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を本質的に含む。
【0006】
また、本明細書に記載されているいずれの数値範囲も、そこに包含される全てのサブ範囲を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、「1~10」の範囲は、記載されている最小値1と記載されている最大値10とを含むそれらの間の全てのサブ範囲を含むことを意図しており、すなわち、最小値が1以上で、最大値が10以下である。開示されている数値範囲は連続しているため、最小値と最大値との間の全ての値が含まれる。特に明記されていない限り、本出願で指定されている様々な数値範囲は近似値である。
【0007】
本明細書で使用される場合、「アルカン」という用語は、非環式飽和炭化水素を指す。多くの場合、アルカンは、全ての炭素-炭素結合が単結合である直鎖状構造中に配置された水素原子と炭素原子で構成されている。アルカンの一般化学式はCnH2n+2である。本開示の多くの実施形態において、アルカンは、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、及びドデカンのうちの1つ以上を指す。特定の実施形態では、アルカンは、エタン及びプロパンを指し、いくつかの実施形態では、エタンを指す。
【0008】
本明細書で使用される場合、「アルケン」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む不飽和炭化水素を指す。多くの実施形態において、アルケンはアルファオレフィンを指す。本開示の多くの実施形態において、アルケンは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、ブタジエン、ペンテン、ペンタジエン、ヘキセン、オクテン、デセン、及びドデセンのうちの1つ以上を指す。特定の実施形態では、アルケンは、エチレン及びプロピレンを指し、いくつかの実施形態では、エチレンを指す。
【0009】
本明細書で使用される場合、「アルファオレフィン」又は「α-オレフィン」という用語は、化学式CxH2xのアルケン(オレフィンとしても知られている)である有機化合物のファミリーを指し、一次又はアルファ(α)位置に二重結合があることで区別される。本開示の多くの実施形態において、アルファオレフィンは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン及び1-ドデセンのうちの1つ以上を指す。特定の実施形態では、アルファオレフィンは、エチレン及びプロピレンを指し、いくつかの実施形態では、エチレンを指す。
【0010】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」という用語は、炭化水素又は酸化ガスと非爆発性混合物を形成するガスを指す。しかしながら、いくつかの例では、希釈剤は、ODH触媒の存在下でODH反応に関与し得る。さらに、全ての場合において、希釈剤は熱を除去するために使用され、それによりプロセスが可燃性の状態の外に留まる。
【0011】
本明細書で使用される場合、「本質的に酸素を含まない」という用語は、本明細書に記載のプロセス流に残っている酸素の量(存在する場合)が、下流のプロセス流又は装置に可燃性又は爆発性のリスクを与えないほど十分に少ないことを意味する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「固定床反応器」という用語は、直列又は並列の1つ以上の反応器であって、しばしば、反応物が床を通って流れて生成物に変換される触媒ペレットで充填された円筒形の管を含む反応器を指す。反応器内の触媒は、1つの大きな床、いくつかの水平床、いくつかの平行に充填された管、及びそれら自身のシェル内の複数の床を含むがこれらに限定されない複数の構成を有することができる。
【0013】
本明細書で使用される場合、「流動床反応器」という用語は、直列又は並列の1つ以上の反応器であって、しばしば、固体粒状触媒を通過する流体(気体又は液体)を含む反応器を指し、この触媒は、固体を懸濁させて流体であるかのように挙動させるのに十分な速度で、小さな球の形をとることができる。
【0014】
本明細書で使用される場合、「気相ポリエチレンプロセス」という用語は、エチレン、任意のアルファオレフィンコモノマー及び水素の混合物が、固定床反応器内又は流動床反応器内の触媒上を通過するプロセスを指す。エチレンと任意のアルファオレフィンは重合して、ポリエチレンの粒子を形成し、流動ガス中に懸濁し、反応器から出て行くことができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の個々の反応器が並列又は直列に配置され、それぞれがわずかに異なる条件下にあるため、反応器からの異なるポリエチレンの特性が、得られるポリエチレンブレンドに存在することになる。多くの場合、触媒系には、クロム触媒、チーグラー・ナッタ触媒、ジルコノセン触媒、メタロセン触媒、及びそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で使用される場合、「HDPE」という用語は、高密度ポリエチレンを指し、これは、一般に0.941g/cm3以上の密度を有する。HDPEは、分岐の程度が低い。HDPEは、しばしば、クロム/シリカ触媒、チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒を用いて製造される。
【0016】
本明細書で使用される場合、「高圧ポリエチレンプロセス」という用語は、微量の酸素(約<10mpgv酸素)の存在下、約1000~3000バール及び約80~300℃で、エチレンガスを、非常に高圧で加熱することにより、白色固体に変換することを指す。多くの場合、高圧ポリエチレンプロセスではLDPEが製造される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「LDPE」という用語は、低密度ポリエチレンを指し、これは、長鎖を有し、分岐の程度が高いポリエチレンである。LDPEの密度は、しばしば、0.910~0.940g/cm3の範囲になる。LDPEはフリーラジカル重合によって生成される。
【0018】
本明細書で使用される場合、「線速度」という用語は、多くの場合、ガス流の線速度(m/秒)であり、ガス流の流量/反応器の断面積/触媒床の空隙率を指す。多くの場合、流量は、ODH反応器に入る全てのガスの流量の合計を指し、酸素とアルカンが最初にODH触媒に接触するポイントでの温度と圧力で測定される。反応器の断面積はまた、ODH触媒床の入口で測定される。触媒床の「空隙率」は、触媒床内の空隙の体積/触媒床の総体積を指す。「空隙の体積」は、触媒粒子間の空隙を指し、触媒粒子内の細孔の体積を含まない。多くの場合、線速度は5cm/秒~1500cm/秒の範囲、場合によっては10cm/秒~500cm/秒の範囲とすることができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「LLDPE」という用語は、直鎖状低密度ポリエチレンを指し、これは、エチレンと少なくとも1種のαオレフィンコモノマーとの共重合から生じるかなりの数の短鎖分岐を有することができるポリエチレンである。場合によっては、LLDPEは、0.915~0.925g/cm3の範囲の密度を有する。多くの場合、LLDPEは、エチレンヘキセンコポリマー、エチレンオクテンコポリマー、又はエチレンブテンコポリマーである。組み込まれるコモノマーの量は、エチレンに対して、0.5~12モル%、場合によっては1.5~10モル%、他の場合には2~8モル%とすることができる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「長鎖分岐」という用語は、α-オレフィン重合中に、ビニル末端ポリマー鎖が成長中のポリマー鎖に組み込まれる状況を指す。長鎖分岐は、しばしば、直鎖状(長鎖分岐なし)ポリマー鎖の平均臨界交絡距離より長い長さを有する。多くの場合、長鎖分岐は溶融レオロジー挙動に影響を与える。
【0021】
本明細書で使用される場合、「低圧ポリエチレンプロセス」という用語は、多くの場合、高圧ポリエチレンプロセスよりも一般に低い圧力で、アルミニウムを含む触媒を用いてエチレンを重合することを指す。多くの場合、低圧ポリエチレンプロセスは、約10~80バール及び約70~300℃で行われる。多くの場合、低圧ポリエチレンプロセスはHDPEを提供する。特定の場合、LLDPEを提供するために、α-オレフィンコモノマーが低圧ポリエチレンプロセスに含まれる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「MDPE」という用語は、中密度ポリエチレンを指し、これは、いくつかの短鎖分岐及び/又は長鎖分岐を有し、密度が0.926~0.940g/cm3の範囲にあるポリエチレンである。MDPEは、クロム/シリカ触媒、チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒を用いて製造することができる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「モノマー」という用語は、少なくとも1つの二重結合を含む小分子を指し、これは、フリーラジカル重合開始剤の存在下で反応し、他のモノマーと化学的に結合してポリマーを形成する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「移動床反応器」という用語は、触媒材料が反応物と共に流れ、次いで、出口流から分離されてリサイクルされる反応器を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「MoVOx触媒」という用語は、実験式Mo6.5-7.0V3Odを有する混合金属酸化物(式中、dは、少なくとも金属の原子価を満たす数である)、実験式Mo6.25-7.25V3Odを有する混合金属酸化物(式中、dは、少なくとも金属の原子価を満たす数である)、又はそれらの組合せを指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「オレフィン性モノマー」という用語は、限定されないが、α-オレフィン、及び特定の実施形態では、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン及びそれらの組合せを含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「酸化的脱水素化」又は「ODH」という用語は、本明細書でさらに説明されるように、アルカンの吸熱脱水と水素の強力な発熱酸化とを結びつけるプロセスを指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ポリオレフィン」という用語は、少なくとも1種以上のオレフィン性モノマーを含むモノマー組成物を重合することによって調製される材料を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ポリエチレン」という用語は、限定されないが、エチレンのホモポリマー、及びエチレンと1種以上のα-オレフィンとのコポリマーを含む。
【0030】
本明細書で使用される場合、「ポリプロピレン」という用語は、限定されないが、アイソタクチックポリプロピレン及びシンジオタクチックポリプロピレンを含むプロピレンのホモポリマー、並びにプロピレン及び1種以上のα-オレフィンのコポリマーを含む。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、共有化学結合によって接続された繰り返し構造単位から構成される高分子を指し、限定されないが、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー及びグラフトコポリマーを包含することを意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「短鎖分岐」という用語は、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー、又は約40個未満の炭素原子の分岐を有するコポリマーを指す。多くの場合、前記のα-オレフィン又は分岐は、ポリエチレンの20重量%未満、場合によっては15重量%未満で存在する。多くの場合、短鎖分岐の存在は、ポリエチレン結晶構造の形成を妨害し、同じ分子量の直鎖状(短鎖分岐なし)ポリエチレンと比較して低い密度として観察される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「溶液ポリエチレンプロセス」という用語は、1種以上の触媒の存在下で、低級アルカン炭化水素の混合物中で、エチレン及び1種以上の任意のα-オレフィンを重合するプロセスを指す。いくつかの実施形態では、2つ以上の個々の反応器が並列又は直列に配置され、それぞれがわずかに異なる条件下にあることができるため、反応器からの異なるポリエチレンの特性が、得られるポリエチレンブレンドに存在することになる。多くの場合、触媒には、クロム触媒、チーグラー・ナッタ触媒、ジルコノセン触媒、ハフノセン触媒、ホスフィンイミン触媒及びメタロセン触媒、並びにそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「スラリーポリエチレンプロセス」という用語は、触媒系及び希釈剤の存在下で、エチレン及び任意のα-オレフィンを重合するために用いられる単管ループ反応器、二管ループ反応器又はオートクレーブ(撹拌タンク反応器)を指す。希釈剤の非限定的な例には、イソブタン、n-ヘキサン又はn-ヘプタンが含まれる。いくつかの実施形態では、2つ以上の個々の反応器が並列又は直列に配置され、それぞれがわずかに異なる条件下にあることができるため、反応器からの異なるポリエチレンの特性が、得られるポリエチレンブレンドに存在することになる。多くの場合、触媒系には、クロム触媒、チーグラー・ナッタ触媒、ジルコノセン触媒、ハフノセン触媒、ホスフィンイミン触媒及びメタロセン触媒、並びにそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書で使用される場合、「実質的にアセチレンを含まない」という用語は、本明細書に記載のプロセス流に残っているアセチレンの量(存在する場合)が、本明細書に記載の分析技術を用いて検出することができないか、又はゼロppmvであることを意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「スイング床型反応器配置」という用語は、第1の容器が反応器として効果的に作動し、第2の容器が触媒系を再生するための再生器として効果的に作動する気相反応器システムである。この配置は、流動床気相ポリエチレン反応器と共に使用することができ、同様に、固定床気相ポリエチレン反応器と共に使用することができる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「熱可塑性」という用語は、加熱されると軟化し又は液体になり、冷却されると硬化するポリマーの分類を指す。多くの場合、熱可塑性樹脂は、繰り返し加熱して再成形することができる高分子量のポリマーである。本開示の多くの実施形態において、熱可塑性樹脂は、熱可塑性特性を有するポリオレフィン及びエラストマーを含む。
【0038】
本明細書で使用される場合、「熱可塑性エラストマー」及び「TPE」という用語は、熱可塑性及びエラストマーの両方の特性を有する材料を含む、コポリマーの分類又はポリマーのブレンド(多くの場合、熱可塑性及びゴムのブレンド)の分類を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「熱可塑性オレフィン」又は「TPO」という用語は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー、ゴム、及び強化フィラーの一部を含むポリマー/フィラーブレンドを指す。フィラーは、限定されないが、タルク、グラスファイバー、炭素繊維、ウォラストナイト、及び/又は金属オキシ硫酸塩を含むことができる。ゴムは、限定されないが、エチレン-プロピレンゴム、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)、エチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、超低密度ポリエチレン(VLDPE)(例えば、ミシガン州ミッドランドのDow Chemical CoからFLEXOMER(登録商標)樹脂という商品名で販売されているものなど)、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEEPS)を含むことができる。これらは、レオロジー特性を調整するためにインターポリマーによって改質される材料として使用することもできる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「VLDPE」という用語は、超低密度ポリエチレンを指し、これは、高レベルの短鎖分岐を有し、0.880~0.915g/ccの範囲の典型的な密度を有するポリエチレンである。多くの場合、VLDPEは実質的に直鎖状のポリマーである。VLDPEは、典型的には、エチレンとα-オレフィンの共重合によって製造される。VLDPEは、しばしば、メタロセン触媒を用いて製造される。
【0041】
本明細書で使用される場合、「重量毎時空間速度(WHSV)」という用語は、1時間あたりの活性触媒の重量を流れるガスの、体積ではなく重量に関して、ODH反応器内のガス流を指す。WHSVの計算では、ガスの重量には反応物のみが含まれる場合があるが、ガス混合物に添加する希釈剤も含まれる場合がある。本開示の多くの実施形態において、希釈剤の重量を含む場合、使用される場合、WHSVは、0.5h-1~50h-1の範囲、多くの場合、1.0~25.0h-1の範囲とすることができる。
【0042】
特に指定のない限り、全ての分子量の値は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて決定される。分子量は、ポリエチレン当量として表され、相対標準偏差は、数平均分子量(「Mn」)で2.9%、重量平均分子量(「Mw」)で5.0%である。特に明記されていない限り、本明細書に示される分子量の値は、重量平均分子量(Mw)である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、本明細書に記載の実施形態による酸化的脱水素化プロセスのための化学コンプレックス(chemical complex)の概略図である。
【
図2】
図2は、表1に示す結果を生成するために使用される実験セットアップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、ODHプロセス中に一酸化炭素が生成される程度は、それを二酸化炭素に変換することによって軽減することができ、次いで二酸化炭素は酸化剤として作用することができる。プロセスは、プロセスからの二酸化炭素の排出量を所望のレベルに制御するように操作することができる。本明細書に記載の方法を使用して、ユーザーは、余剰の二酸化炭素を大気中で燃焼処理し、又は放出する必要がないように、二酸化炭素ニュートラル条件で操作することを選択することができる。
【0045】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、ODHプロセス中にアセチレンが生成される程度は、それを他の化合物に変換することによって軽減することができる。
【0046】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、酸素がODHプロセス後の流れに保持される程度は、それを他の化合物に変換することによって軽減することができる。
【0047】
本明細書に開示されているのは、ODHプロセスにおける一酸化炭素及び/又はアセチレンの形成を軽減する方法であって、ODHプロセス後の流れにおける酸素の量(存在する場合)を最小化するための方法である。これらの方法の態様は、低級アルカン、酸素、及び任意選択で二酸化炭素のガス混合物を、対応するアルケン及び少量の様々な副生成物の生成を可能にする条件下で、少なくとも1つのODH反応器に、導入することを含む。複数のODH反応器の場合、各反応器には、同じ又は異なるODH触媒が含まれる。いくつかの実施形態では、任意選択の希釈剤を含む蒸気も、ガス混合物の一部として反応器に導入してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、低級アルカンはエタンであり、対応するアルケンはエチレンである。
【0049】
さらなる実施形態では、少なくとも1つのODH反応器は、固定床反応器である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのODH反応器は、固定床内に熱放散性粒子を含む固定床反応器である。いくつかの実施形態では、熱放散性粒子は、触媒よりも大きい熱伝導率を有する。代替の実施形態では、少なくとも1つのODH反応器は、流動床反応器である。
【0050】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのODH触媒は、混合金属酸化物触媒である。特定の実施形態では、少なくとも1つのODH触媒は、式:MoaVbTecNbdPdeOf(式中、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ元素Mo、V、Te、Nb、Pd及びOの相対原子量であり;a=1、b=0.01~1.0、c=0.01~1.0、d=0.01~1.0、0.00≦e≦0.10で、fは、少なくとも触媒中の金属の原子価状態を満たす数である)の混合金属酸化物である。
【0051】
他の特定の実施形態では、少なくとも1つのODH触媒は、次式の混合金属酸化物である:
Mo6.25-7.25V3Od
(式中、dは、少なくとも金属の原子価を満たす数である)。
【0052】
様々な実施形態は、低級アルカンの対応するアルケンへの酸化的脱水素化(ODH)に関する。低級アルカンは、2~4個の炭素を有する飽和炭化水素であり、対応するアルケンは、同じ数の炭素を有するが、1つの炭素-炭素二重結合を有する炭化水素を含む。本明細書に開示された方法を用いて、いずれかの低級アルカンを対応するアルケンに変換することができるが、1つの特定の実施形態は、エタンのODHであり、その対応するアルケンであるエチレンを生成することである。
【0053】
<ODHプロセス>
アルカンのODHは、ODH反応器内で、1種以上のアルカンと酸素の混合物を、アルカンの対応するアルケンへの酸化を促進する条件下で、ODH触媒と接触させることを含む。反応器内の条件は、オペレーターによって制御され、温度、圧力、及び流量などのパラメータを含むが、これらに限定されない。特定のアルカン、特定の触媒、又は反応物の混合に希釈剤を使用するかどうかにあわせて、条件は変動し、条件を最適化することができる。
【0054】
本開示と一致するODHプロセスを実施するためのODH反応器の使用は、当業者の知識の範囲内にある。最良の結果を得るには、1種以上のアルカンの酸化的脱水素化は、300℃~500℃、又は300℃~450℃、又は330℃~425℃の温度、0.5~100psig(3.447~689.47kPag)、又は15~50psig(103.4~344.73kPag)の圧力で行ってもよく、反応器内の1種以上のアルカンの滞留時間は、0.002~30秒、又は1~10秒であってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、このプロセスは、対応するアルケン(エタンODHの場合はエチレン)について、95%を超える、又は例えば98%を超える選択性を有する。ガス毎時空間速度(GHSV)は、約400~約30000h-1、又は1000h-1より大きくすることができる。いくつかの実施形態では、ガス速度は、重量毎時空間速度(WHSV)の観点から記述することができ、約0.4h-1から約30h-1とすることができる。いくつかの実施形態では、ガス速度は、線速度の観点から記述することができ、約5cm/秒~約500cm/秒とすることができる。いくつかの実施形態では、触媒1kgあたりのg/時間での対応するアルケンの空間-時間収率(生産性)は、触媒床の温度プロファイルに応じて、330~500℃で、少なくとも50以上、又は1500超、又は3000超、又は3500超とすることができる。いくつかの実施形態では、触媒の生産性は、選択性が低下するまで、温度の上昇とともに増加するであろう。
【0056】
<ODH触媒>
当技術分野で知られているODH触媒のいずれも、本明細書に開示される方法に使用するのに適している。適切な酸化的脱水素化触媒の非限定的な例には、以下から選択される1つ以上の混合金属酸化物を含有するものが含まれる:
i)次式の触媒:
MoaVbTecNbdPdeOf
(式中、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ元素Mo、V、Te、Nb、Pd及びOの相対原子量であり;a=1、b=0.01~1.0、c=0.01~1.0、d=0.01~1.0、0.00≦e≦0.10で、fは、少なくとも触媒中の金属の原子価状態を満たす数である);
ii)次式の触媒:
NigAhBiDjOf
(式中、gは0.1~0.9、多くの場合0.3~0.9、他の場合には0.5~0.85、場合によっては0.6~0.8の数であり;hは0.04~0.9の数であり;iは0~0.5の数であり;jは0~0.5の数であり;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数であり;Aは、Ti、Ta、V、Nb、Hf、W、Y、Zn、Zr、Si及びAl又はそれらの混合物から選択され;Bは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Sb、Sn、Bi、Pb、Tl、In、Te、Cr、Mn、Mo、Fe、Co、Cu、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、Cd、Os、Ir、Au、Hg、及びそれらの混合物から選択され;Dは、Ca、K、Mg、Li、Na、Sr、Ba、Cs、Rb及びそれらの混合物から選択され;Oは、酸素である);
iii)次式の触媒:
MoaEkGlOf
(式中、Eは、Ba、Ca、Cr、Mn、Nb、Ta、Ti、Te、V、W及びそれらの混合物から選択され;Gは、Bi、Ce、Co、Cu、Fe、K、Mg、V、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Ti、U、及びそれらの混合物から選択され;a=1;kは0~2;l=0~2、ただし、Co、Ni、Fe及びそれらの混合物のlの合計値は0.5未満であり;fは、少なくとも触媒中の金属の原子価状態を満たす数である);
iv)次式の触媒:
VmMonNboTepMeqOf
(式中、Meは、Ta、Ti、W、Hf、Zr、Sb及びそれらの混合物から選択され;mは0.1~3であり;nは0.5~1.5であり;oは0.001~3であり;pは0.001~5であり;qは0~2であり;fは、少なくとも触媒中の金属の原子価状態を満たす数である);
v)次式の触媒:
MoaVrXsYtZuMvOf
(式中、Xは、Nb及びTaの少なくとも1つであり;Yは、Sb及びNiの少なくとも1つであり;Zは、Te、Ga、Pd、W、Bi及びAlの少なくとも1つであり;Mは、Fe、Co、Cu、Cr、Ti、Ce、Zr、Mn、Pb、Mg、Sn、Pt、Si、La、K、Ag及びInの少なくとも1つであり;a=1.0(正規化);r=0.05~1.0;s=0.001~1.0;t=0.001~1.0;u=0.001~0.5;v=0.001~0.3;fは、少なくとも触媒の金属の原子価状態を満たす数である)。
触媒を選択する場合、当業者は、触媒が選択性及び活性のそれぞれについて変化し得ることを理解することができる。本開示におけるエタンのODHのいくつかの実施形態は、活性の著しく損なうことなくエチレンに対して高い選択性を提供することができる混合金属酸化物触媒を使用する。非限定的な例の触媒は、次式の触媒である:
MoaVbTecNbdPdeOf
(式中、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ元素Mo、V、Te、Nb、Pd及びOの相対原子量であり;a=1、b=0.01~1.0、c=0.01~1.0、d=0.01~1.0、0.00≦e≦0.10で、fは、少なくとも触媒中の金属の原子価状態を満たす数である)。
vi)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo6.5-7.0V3Od
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である);
vii)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo6.25-7.25V3Od
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である)。
【0057】
いくつかの実施形態では、触媒は、バインダーで担持/凝集され得る。一部のバインダーには、TiO2、ZrO2、Al2O3、AlO(OH)及びそれらの混合物の酸性、塩基性、又は中性のバインダースラリーが含まれる。別の有用なバインダーには、Nb2O5が含まれる。凝集した触媒は、固定床反応器内で典型的に使用されるサイズの適切な形状(リング、球体、サドルなど)に押し出すことができる。触媒を押し出す場合、当技術分野で知られている様々な押出助剤を使用することができる。場合によっては、結果として得られる担体は、BETで測定した場合の累積表面積が、35m2/g未満、場合によっては20m2/g未満、他の場合には3m2/g未満であってもよく、累積細孔容積は0.05~0.50cm3/gであってもよい。
【0058】
<ODH反応器>
アルカンのODHに適用可能な既知の反応器タイプのいずれも、本明細書に開示される方法で使用することができる。いくつかの実施形態では、この方法は、従来の固定床反応器で使用することができる。典型的な固定床反応器では、反応物は一方の端で反応器に導入され、固定化された触媒を通過して流れ、生成物が形成され、反応器のもう一方の端から出る。本明細書に開示される方法に適した固定床反応器の設計は、このタイプの反応器について知られている技術に従うことができる。当業者は、形状及び寸法、反応物の入力、生成物の排出、温度及び圧力制御、並びに触媒を固定化するための手段に関して、どの特徴が必要であるかを知っているであろう。
【0059】
いくつかの実施形態では、不活性な非触媒性熱放散性粒子を、1つ以上のODH反応器内で使用することができる。様々な実施形態では、熱放散性粒子は床内に存在し、融点が反応の温度上限制御温度より少なくとも30℃、場合によっては少なくとも100℃、いくつかの実施形態では少なくとも250℃、さらなる実施形態では、少なくとも500℃高い融点を有する1つ以上の非触媒性不活性微粒子を含み、粒子サイズは、約0.1mm~約50mmの範囲、いくつかの実施形態では0.5mm~15mm、さらなる実施形態では0.5mm~8mmの範囲、他の実施形態では0.5mm~5mmの範囲であり、反応温度管理限界内で10W/mK(ワット/メートル・ケルビン)を超える熱伝導率を有する。いくつかの実施形態では、微粒子は、反応温度制御限界内で10W/mK(ワット/メートル・ケルビン)を超える熱伝導率を有する金属合金及び化合物である。これらの実施形態で使用することができる適切な金属の非限定的な例には、銀、銅、金、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、モリブデン、及びタングステンが含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
熱放散性粒子は、約1mm~約15mmの粒子サイズを有することができる。いくつかの実施形態では、粒子サイズは、約0.1mm~約50mm、いくつかの実施形態では0.5mm~15mm、他の実施形態では0.5mm~8mmの範囲、さらなる実施形態では0.5mm~5mmの範囲とすることができる。熱放散性粒子は、固定床の全重量に基づいて、5~95重量%、いくつかの実施形態では30~70重量%、他の実施形態では45~60重量%の量で固定床に添加することができる。この粒子は、反応器の壁に直接熱を伝達することにより、固定床の冷却均一性とホットスポットの低減を潜在的に改善するために使用される。
【0061】
追加の実施形態は、流動床反応器の使用を含み、ここで、触媒床は、多孔質構造、又は反応器の下端近くに配置された分配版によって支持され、反応物は、流動床を流動化するのに十分な速度で流れる(例えば、触媒は上昇し、流動的に旋回し始める)。反応物は、流動化された触媒と接触すると生成物に変換され、その後、反応物は反応器の上端から除去される。当業者が修正及び最適化できる設計上の考慮事項には、反応器の形状、分配板の形状及びサイズ、入力温度、出力温度、並びに反応器の温度及び圧力制御が含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
本開示の実施形態は、固定床反応器と流動床反応器の両方の組合せを使用することを含み、各反応器が同じ又は異なるODH触媒を有する。複数の反応器は、直列又は並列構成で配列することができ、その設計は、当業者の知識の範囲内にある。
【0063】
<酸素/アルカン混合物>
多くの実施形態では、1種以上のアルカンと酸素との混合物は、1種以上のアルカン及び酸素の可燃性エンベロープの範囲外にある比率を用いて利用されるべきである。いくつかの実施形態では、アルカンと酸素の比率は、可燃性エンベロープ上部の範囲外にある可能性がある。これらの実施形態では、混合物中の酸素の割合は、30体積%未満、場合によっては25体積%未満、又は他の場合には20体積%未満であるが、ゼロより大きく又は少なくとも0.1体積%とすることができる。
【0064】
酸素の割合が高い実施形態では、混合物を可燃性エンベロープの外側に保つようにアルカンの割合を調整することができる。当業者は適切な比率レベルを決定することができるが、多くの場合、酸素の割合は、約40体積%未満であり、ゼロより大きいか、又は少なくとも0.1体積%である。非限定的な例として、ODHの前のガスの混合物が10体積%の酸素と15体積%のアルカンを含む場合、残りは希釈剤で補うことができる。この実施形態における有用な希釈剤の非限定的な例には、窒素、二酸化炭素、及び蒸気のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、希釈剤は、反応器内の条件においてガス状状態で存在する必要があり、反応器に添加される炭化水素の可燃性を増加させないようにしなければならず、このような特徴は、どの希釈剤を使用するかを決定する際に当業者が理解することである。希釈剤は、ODH反応器に入る前に、アルカン含有ガス又は酸素含有ガスのいずれかに添加することができ、又はODH反応器に直接添加することができる。
【0065】
本開示の実施形態では、1つ以上のODH反応器に供給される酸素対エタン(O2/C2H6)の体積供給比は、少なくとも約0.1、場合によっては約0.2、他の場合には約0.3、場合によっては少なくとも約0.4、及び他の場合には少なくとも約0.5であり、最大で約1、ある場合には最大約0.9、他の場合には最大約0.8、ある場合には最大約0.7、他の場合には最大約0.6であってもよい。酸素対エタンの体積供給比は、上記のいずれかの値、又は上記のいずれかの値の間の範囲であってもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、可燃性エンベロープ内に入る混合物は、非限定的な例として、混合物が制御されていないプロセスの伝播を防止する条件で存在する場合に使用され得る。これらの非限定的な例では、可燃性混合物は、点火がすぐに停止される媒体内で生成される。さらなる非限定的な例として、ユーザーは、酸素と1種以上のアルカンが、火炎抑制材料によって囲まれるポイントで混合される反応器を設計することができる。発火は周囲の材料によって抑制されるであろう。火炎抑制材料には、ステンレス鋼の壁やセラミック製の支持体などの金属又はセラミックのコンポーネントが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、酸素とアルカンを、点火事象によって制御不能なプロセスを導かないような低温で、混合することができ、次いで、温度を上昇させる前に反応器に導入する。可燃性条件は、混合物が反応器内部の火炎抑制材料によって囲まれるまで、存在しない。
【0067】
<一酸化炭素排出量>
一酸化炭素は、ODH反応において、1種以上のアルカンの酸化の副生成物として生成され得る。一酸化炭素の排出量は、酸化プロセスで生成される一酸化炭素の量の関数である。
【0068】
ODH反応器から出てくる一酸化炭素の量を測定することは、当技術分野で知られている任意の手段を用いて行うことができる。例えば、GC、IR、又はRahman検出器などの1つ以上の検出器が、一酸化炭素排出量を測定するために反応器のすぐ下流に配置される。必須ではないが、他の成分の排出量も測定することができる。これらには、エチレン、未反応のエタン、アセチレン、二酸化炭素、酸素、及び酢酸などの副生成物の量が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
一酸化炭素の排出量は、当技術分野で一般的に使用されている任意の測定基準を使用して表すことができる。例えば、一酸化炭素の排出量は、質量流量(g/分)又は体積流量(cm3/分)で表すことができる。いくつかの実施形態では、正規化された選択率を使用して、一酸化炭素が生成又は消費される程度を評価することができる。その場合、COの正味の質量流量(ODH反応器に入るCOの質量流量とODH反応器から出るCOの質量流量との差)は、エタンの変換に対して正規化され、本質的に、エタンのどの割合が、エチレン、又は酢酸などの他の副生成物ではなく、一酸化炭素に変換されるかを説明する。
【0070】
ODHに加えて、多くの工業プロセスでは一酸化炭素が生成されるが、一酸化炭素は、温室効果ガスの排出に寄与する場所で捕捉又は燃焼処理する必要がある。本明細書に開示された一酸化炭素軽減ステップを使用すると、全てではないにしても、ほとんどの、ODHプロセスから生じる一酸化炭素が二酸化炭素に変換される。この場合の利点は、熱分解などの他のプロセスと組み合わせて、ODHプロセスで生成される一酸化炭素の量を削減又は排除できることである。場合によっては、二酸化炭素をアミン洗浄塔に捕捉することができる。
【0071】
<アセチレン排出量>
アセチレンは、ODH反応において、1種以上のアルカンの酸化の副生成物として生成され得る。アセチレンの排出量は、酸化プロセスで生成されるアセチレンの量の関数である。
【0072】
ODH反応器から出てくるアセチレンの量の測定することは、当技術分野で知られている任意の手段を用いて行うことができる。例えば、GC、IR、又はRahman検出器などの1つ以上の検出器が、アセチレン排出量を測定するために反応器のすぐ下流に配置される。必須ではないが、他の成分の排出量も測定することができる。これらには、エチレン、未反応のエタン、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、及び酢酸などの副生成物の量が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
アセチレンの排出量は、当技術分野で一般的に使用されている任意の測定基準を使用して表すことができる。例えば、アセチレンの排出量は、質量流量(g/分)、体積流量(cm3/分)、又は体積百万分率(ppmv)で表すことができる。いくつかの実施形態では、正規化された選択率を使用して、アセチレンが生成又は消費される程度を評価することができる。その場合、アセチレンの正味の質量流量(ODH反応器に入るアセチレンの質量流量とODH反応器から出るアセチレンの質量流量との差)は、エタンの変換に対して正規化され、本質的に、エタンのどの割合が、エチレン、又は酢酸などの他の副生成物ではなく、アセチレンに変換されるかを説明する。
【0074】
本明細書に開示されたアセチレン軽減ステップを使用すると、全てではないにしても、ほとんどのアセチレンが、ODHプロセスから生じるアセチレンに反応する。この場合の利点は、熱分解などの他のプロセスと組み合わせて、ODHプロセスで生成されるアセチレンの量を削減又は排除し、ODHタイプのプロセスで下流の単位操作を排除できることである。
【0075】
<一酸化炭素、アセチレン、酸素の除去>
一酸化炭素、酸素、及びアセチレンは、汚染物質であり、1つ以上のODH反応器の下流にある機器の性能に影響を及ぼし、及び/又は最終的なエチレン製品の純度に悪影響を及ぼしたりする可能性がある。CuO及びZnOを含む触媒材料を含む1つ以上のODH反応器の下流に配置された反応器は、通過するプロセス流中の一酸化炭素、酸素及びアセチレンの全部又は一部を除去する。いくつかの実施形態では、CuO及びZnOを含む材料は、一酸化炭素、酸素及びアセチレンの吸着剤として作用することができる。他の実施形態では、CuO及びZnOを含む材料は、選択的な一酸化炭素酸化触媒として機能することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、CuO及びZnOを含む材料の床が化学吸着された酸素を枯渇させた後、材料は、プロセス流から一酸化炭素を除去することなく、酸素及びアセチレンが除去又は除去される化学反応を開始することができる。単一の理論に限定されないが、この実施形態では、CuO及びZnOは、反応を介してそれらの対応する元素金属形態に還元されると考えられている。
【0077】
CuO及びZnOを含有する触媒材料を含む上記の反応器が、1つ以上のODH反応器の下流に配置される場合、この動作モードは、二酸化炭素と比較して一酸化炭素が下流のプラントの好ましい原料である、様々なプラントとのODHの特定の統合オプションにおいて有益な場合がある。
【0078】
<二酸化炭素排出量>
二酸化炭素は、ODH反応において、アルカンの酸化の副生成物として生成され、一酸化炭素の酸化からリサイクルされることができる。二酸化炭素は、不活性希釈剤として使用する場合、ODH反応器に添加することもできる。逆に、二酸化炭素は、脱水素反応の酸化剤として作用するときに消費され得る。したがって、二酸化炭素排出量は、添加され及び生成された二酸化炭素の量から酸化プロセスで消費された二酸化炭素の量を差し引いたものの関数である。いくつかの実施形態では、開示された方法は、ODHプロセスから出てくる全体的な二酸化炭素排出量に影響を与えるように、二酸化炭素が酸化剤として作用する程度を制御する。
【0079】
ODHプロセスから出てくる二酸化炭素の量を測定することは、当技術分野で知られている任意の手段を用いて行うことができる。例えば、GC、IR、又はRahman検出器などの1つ以上の検出器が、二酸化炭素排出量を測定するために反応器のすぐ下流に配置される。必須ではないが、他の成分の排出量も測定することができる。これらには、エチレン、未反応のエタン、一酸化炭素、酸素、及び酢酸などの副生成物の量が含まれるが、これらに限定されない。また、二酸化炭素排出量について選択された測定基準に応じて、他の成分(例えばエタン)の排出量レベルが実際に必要とされる場合があることに留意されたい。
【0080】
二酸化炭素の排出量は、当技術分野で一般的に使用されている任意の測定基準を使用して表すことができる。例えば、二酸化炭素の排出量は、質量流量(g/分)又は体積流量(cm3/分)で表すことができる。いくつかの実施形態では、正規化された選択率を使用して、二酸化炭素が生成又は消費される程度を評価することができる。その場合、CO2の正味の質量流量(ODH反応器に入るCO2の質量流量とODH反応器から出るCO2の質量流量との差)は、エタンの変換に対して正規化され、本質的に、エタンのどの割合が、エチレン、又は酢酸などの他の副生成物ではなく、二酸化炭素に変換されるかを説明する。炭素選択性が0であることは、反応器に入る二酸化炭素の量が二酸化炭素排出量と同じであることを示す。換言すると、このプロセスは、二酸化炭素ニュートラルである。ポジティブ(正)の二酸化炭素選択率は、二酸化炭素が生成されていること、及び発生している二酸化炭素の酸化がその生成を相殺するには不十分であることをユーザーに警告し、その結果、プロセスは二酸化炭素ポジティブ(正)になり、オレフィンの選択率が低下する可能性がある。
【0081】
本開示のいくつかの実施形態では、二酸化炭素についての生成物選択性は、約10重量%未満、ある場合には約7.5重量%未満、他の場合には約5重量%未満である。二酸化炭素についての生成物選択性は、上記のいずれかの値、又は上記のいずれかの値の間の範囲であってもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、1つ以上のODH反応器を出る流れ中の二酸化炭素の総量は、1つ以上のODH反応器に入る流れ中の二酸化炭素の総量と本質的に同じであることができる。この場合、本質的に同じとは、ODH反応器を出る流れ中の二酸化炭素の量の差がODH反応器に入る二酸化炭素の量の2体積パーセント(+2体積%)以内であることを意味する。本開示の特定の実施形態では、ODH反応器を出る流れ中の二酸化炭素の量は、ODH反応器に入る流れ中の二酸化炭素量の、約+5体積%、ある場合には約+7.5体積%、他の場合には約+10体積%とすることができ、約-5体積%、ある場合には約-7.5体積%、他の場合には約-10体積%とすることができる。ODH反応器を出る流れ中の二酸化炭素の量とODH反応器に入る二酸化炭素の量との間の差は、上記のいずれかの値、又は上記のいずれかの値の間の範囲であってもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法及び装置は、二酸化炭素ネガティブプロセスの可能性を提供する。この場合、二酸化炭素は生成されるよりも速い速度で消費され、ネガティブな(負の)炭素選択率を示す。ODHプロセスは二酸化炭素を生成している可能性があるが、酸化剤として作用している間に二酸化炭素が消費される程度により、発生している生成が相殺される。ODHに加えて、多くの工業プロセスでは二酸化炭素が生成されるが、二酸化炭素は、温室効果ガスの排出に寄与する場所で捕捉又は燃焼処理する必要がある。二酸化炭素ネガティブプロセスを使用すると、他のプロセスからの過剰な二酸化炭素が捕捉され、ネガティブな(負の)炭素選択率がある条件下でODHプロセスの希釈剤として使用され得る。この場合の利点は、熱分解などの他のプロセスと組み合わせて、ODHプロセスで生成される二酸化炭素の量を削減できることである。さらに、二酸化炭素の消費は吸熱性であり、二酸化炭素が酸化剤として作用する程度を高めることにより、エタンのODHから生成される熱が二酸化炭素の消費によって部分的に相殺され、反応器から熱を除去する必要がある程度減少する。いくつかの実施形態では、酸化剤として作用する場合、二酸化炭素は一酸化炭素を生成することができ、これを捕捉して、メタノール又はギ酸などの他の化学生成物の生成における中間体として使用することができる。
【0084】
<酢酸の除去>
1つ以上のODH反応器を出る流れは、場合によっては、第2の反応器に供給される前に、急冷塔又は酢酸スクラバーに向けて送ることができ、これにより、底部出口を介して、酢酸、エタノール及び水などの酸素化物の除去をすることが容易になる。未変換の低級アルカン(エタンなど)、対応するアルケン(エチレンなど)、及び未反応の酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、アセチレン、及び不活性希釈剤の1つ以上を含む流れは、スクラバーを出て下流に供給される。
【0085】
本開示の実施形態では、1つ以上のODH反応器からの流れは、酢酸スクラバーに供給される前に(以下に記載)、より低い温度に冷却される。酢酸スクラバーに入る前の流れの温度は、少なくとも約40℃、ある場合には少なくとも約45℃、他の場合には少なくとも約50℃とすることができ、最大約90℃、ある場合には最大約85℃、他の場合には最大約80℃、ある場合には最大約75℃、他の場合には最大約70℃とすることができる。酢酸スクラバーに供給されるODH反応器生成物流の温度は、上記のいずれかの温度値、又は上記のいずれかの温度値の間の範囲に冷却することができる。
【0086】
急冷塔又は酢酸スクラバーを介して除去される酸素化物は、カルボン酸(例えば酢酸)、アルデヒド(例えばアセトアルデヒド)、アルコール(例えばthanol)及びケトン(例えばアセトン)を含むことができる。スクラバーを出る流れに残存する酸素化物の量は、しばしば、ゼロになり、すなわち、このような化合物を検出するために典型的に用いられる分析試験方法の検出限界を下回る。酸素化物を検出することができる場合、酸素化物は、体積で最大約1/100万(ppmv)、ある場合には最大約5ppmv、他の場合には約10ppmv未満、ある場合には最大約50ppmv、他の場合には最大約100ppmvのレベルで存在することができ、最大約2体積%、ある場合には最大約1体積%、他の場合には最大約1,000ppmで存在することができる。スクラバーを出る流れ中の酸素化物又は酢酸の量は、上記のいずれかの値、又は上記のいずれかの値の間の範囲であってもよい。
【0087】
<第2の反応器>
多くの実施形態では、ODH反応器(又は複数の反応器)は、反応器流出物として残存する少なくとも少量の酸素を含む流れを供給することができる。本開示の実施形態では、酸素は、ODH反応器生成物ガスに利益を与えることができる。いくつかの実施形態では、ODH触媒が高温で酸素を含まない還元環境にさらされると、その触媒は恒久的に分解されるおそれがある。他の実施形態では、ODH反応器からの生成物ガス中の酸素のレベルが約1ppmv未満の酸素を含む場合、全てではないにしても、1種以上のアルカンのほとんどが反応器の入口部分で1種以上のアルケンに変換され、反応器の触媒床の大部分は利用されない。
【0088】
他の実施形態では、ODH反応器生成物ガス中の酸素は、非限定的な例として、ODHプロセスの第1の圧縮段階で、下流の装置に深刻な操作上の問題を引き起こす。このプロセスの考慮事項は、生成物ガスが圧縮される前に、酸素を非常に低いレベル又は検出できないレベルまで除去する必要があることを示している。
【0089】
ODH生成物ガス中の酸素を低減/除去するために用いられる1つの方法は、ODH生成物ガスのごく一部を触媒的に燃焼させ、残留酸素を完全に消費させることに焦点を当てている。このアプローチは実行可能であるが、多くの場合、ODHプロセスにおける全体的な酸素消費量を増加させ、アルカンがエタンである非限定的な例では、エチレンに対するプロセス全体の選択率を低下させるため、望ましくない。
【0090】
上記のように、CuO及びZnOを含有する触媒材料を含む1つ以上のODH反応器の下流に配置された反応器は、通過するプロセス流中の一酸化炭素、酸素及びアセチレンの全部又は一部を除去する。いくつかの実施形態では、CuO及びZnOを含む材料は、一酸化炭素、酸素及びアセチレンの吸着剤として作用することができる。他の実施形態では、CuO及びZnOを含む材料は、選択的な一酸化炭素酸化触媒として機能することができる。
【0091】
本開示の実施形態では、1つ以上のODH反応器を出る流れ中の酸素の量は、少なくとも約80ppmv、ある場合には少なくとも約100ppmv、他の場合には少なくとも約150ppmv、ある場合には少なくとも約200ppmvであることができ、最大で約5体積%、ある場合には最大約4体積%、他の場合には最大約3体積%、ある場合には最大約2体積%、他の場合には最大約1体積%、特定の状況では最大約500ppmvであることができる。1つ以上のODH反応器を出る流れ中の酸素の量は、上記のいずれかの値、又は上記のいずれかの値の間の範囲であってもよい。
【0092】
本開示の実施形態では、第2の反応器を出る流れに酸素が存在する場合(場合によっては、酸素の量は検出できないか、又はゼロpmpvになる)、第2の反応器を出る流れ中の酸素の量は、少なくとも約1ppmv、ある場合には少なくとも約2ppmv、他の場合には少なくとも約3ppmv、ある場合には少なくとも約5ppmvであることができ、最大で約1体積%、ある場合には最大約0.9体積%、他の場合には最大約0.8体積%、ある場合には最大約0.7体積%、他の場合には最大約0.6体積%、特定の状況では最大約0.5体積%であることができる。第2の反応器を出る流れ中の酸素の量は、上記のいずれかの値、又は上記のいずれかの値の間の範囲であってもよい。
【0093】
本開示の実施形態では、1つ以上のODH反応器を出る流れ中の一酸化炭素の量は少なくとも約100ppmv、ある場合には少なくとも約200ppmv、他の場合には少なくとも約300ppmv、ある場合には少なくとも約400ppmvであることができ、最大で約10体積%、ある場合には最大約9体積%、他の場合には最大約8体積%、ある場合には最大約7体積%、他の場合には最大約6体積%、特定の状況では最大約5体積%であることができる。1つ以上のODH反応器を出る流れ中の一酸化炭素の量は、上記のいずれかの値、又はいずれかの値の間の範囲であってもよい。
【0094】
本開示の実施形態では、第2の反応器を出る流れに一酸化炭素が存在する場合(場合によっては、一酸化炭素の量は検出できないか、又はゼロppmvになる)、第2の反応器を出る流れ中の一酸化炭素の量は、少なくとも約1ppmv、ある場合には少なくとも約2ppmv、他の場合には少なくとも約3ppmv、ある場合には少なくとも約5ppmvであることができ、最大で約8体積%、ある場合には最大約7体積%、他の場合には最大約6体積%、ある場合には最大約5体積%、他の場合には最大約4体積%、特定の状況では最大約3体積%であることができる。第2の反応器を出る流れ中の一酸化炭素の量は、上記のいずれかの値、又は上記のいずれかの値の間の範囲であってもよい。
【0095】
本開示の実施形態では、1つ以上のODH反応器を出る流れにアセチレンが存在する場合(場合によっては、アセチレンの量は検出されないか、ゼロppmvになる)、1つ以上のODH反応器を出る流れ中のアセチレンの量は、少なくとも約1ppmv、ある場合には少なくとも約2vppm、他の場合には少なくとも約5ppmv、ある場合には少なくとも約10ppmvであることができ、最大で約1000ppmv、ある場合には最大約750ppmv、他の場合には最大約500ppmv、ある場合には最大約400ppmv、他の場合には最大約300ppmv、特定の状況では最大約300ppmvであることができる。1つ以上のODH反応器を出る流れ中のアセチレンの量は、上記のいずれかの値、又は上記のいずれかの値の間の範囲であってもよい。
【0096】
本開示の実施形態では、第2の反応器を出る流れ中のアセチレンの量は、第2の反応器に入る量よりも少なくなり、多くの場合、第2の反応器を出る流れは、アセチレンを実質的に含まないであろう。
【0097】
本開示の実施形態では、第2の反応器を出る流れにアセチレンが存在する場合(多くの場合、アセチレンの量は検出できないか、1ppmv未満か、又はゼロppmvになる)、第2の反応器を出る流れ中のアセチレンの量は、少なくとも約1ppmv、ある場合には少なくとも約2ppmv、他の場合には少なくとも約3ppmv、ある場合には少なくとも約5ppmvであることができ、最大で約100ppmv、ある場合には最大約50ppmv、他の場合は最大約25ppmv、ある場合には最大約20ppmv、他の場合は最大約15ppmv、特定の状況では最大約10ppmvであることができる。第2の反応器を出る流れ中のアセチレンの量は、上記のいずれかの値、又は上記のいずれかの値の間の範囲であってもよい。
【0098】
本開示の実施形態では、第2の反応器内の温度は、少なくとも約100℃、ある場合には少なくとも約110℃、他の場合には少なくとも約115℃、ある場合には少なくとも約120℃とすることができ、最大で約200℃、ある場合には最大約190℃、他の場合には最大約180℃、ある状況では最大約175℃、他の状況では最大約170℃とすることができる。第2の反応器の温度は、上記のいずれかの温度値、又は上記の第2の反応器内の温度勾配を含むいずれかの温度値の間の範囲であってもよい。
【0099】
本開示の様々な実施形態では、CuO及びZnOを含有する触媒材料を装填した固定床反応器を、ODHプロセスの3つの異なる場所に配置することができる。
・ ODH反応器出口で(反応器出口からの生成物を、第2の反応器に入る前に、200℃未満に冷却することができる)。
・ 酢酸スクラバー/急冷塔の出口で(第2の反応器へのガス状供給物を少なくとも100℃に予熱することができる)。
・ 酢酸スクラバーの下流にある、ガス状ODH生成物の第1段階圧縮の出口で(第2反応器への供給物を少なくとも部分的に圧縮のエネルギーによって予熱することができる。
【0100】
<ODHコンプレックス>
図面を参照するための本開示の以下の説明では、同様の部品が同様の参照番号によって示されることに留意されたい。
【0101】
本開示の実施形態において、
図1に概略的に一実施形態として示されている本開示の化学コンプレックス(chemical complex)は、協同配置で(in cooperative arrangement)、以下を備える:ODH反応器10、急冷塔又は酢酸スクラバー20、第2の反応器25(本明細書に記載)、アミン洗浄塔30(苛性塔を含むことができる)、乾燥機40、及び蒸留塔50(これはC1カラムである)。エチレンとエタンを分離するための別のカラムが必要である。なぜなら、エタンの変換率が100%ではないからである。ODH反応器10は、酸素ライン70を介して導入され得る酸素の存在下で、アルカンライン80を介して導入されたアルカンの酸化的脱水素化を触媒することができるODH触媒を含む。第2の反応器25は、急冷塔又は酢酸スクラバー20の直後に示されているが、多くの場合、ガス流が圧縮された後、多くの場合、アミン洗浄塔30の前に、より効率的に利用される。したがって、多くの場合、第2の反応器25を入力流が圧縮された後に配置すると、プロセス構成を、よりエネルギー効率的にすることができる。
【0102】
ODH反応は、二酸化炭素、窒素、又は蒸気などの不活性希釈剤の存在下でも発生する可能性があり、不活性希釈剤は、酸素と炭化水素の混合物が可燃性限界の外にあることを確認するために追加される。混合物が、所定の温度と圧力について、可燃性限界の外にあるかどうかの判断は、当業者の知識の範囲内である。ODH反応器10内で起こるODH反応はまた、触媒及びODH反応器10内の条件に応じて、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素化物、及び水を含み得る様々な他の生成物も生成し得る。これらの生成物は、未反応のアルカン、対応するアルケン、残留酸素、一酸化炭素、アセチレン、及び不活性希釈剤(添加されている場合)と共に、ODH反応器生成物ライン90を介してODH反応器10を出る。
【0103】
ODH反応器生成物ライン90は、急冷塔又は酢酸スクラバー20に向けられており、ここで、生成物ライン90からの生成物を急冷し、急冷塔底部出口100を介して、酸素化物及び水の除去を容易にする。急冷塔20に添加された未変換の低級アルカン、対応するアルケン、未反応の酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、アセチレン及び不活性希釈剤は、急冷塔オーバーヘッドライン110を通って出て、第2の反応器25に向けられる。
【0104】
上記のように様々に配置することができる第2の反応器25は、CuO及びZnOを含有する触媒材料を含み、これにより、一酸化炭素、酸素及びアセチレンの全部又は一部を除去する。第2の反応器25では、未反応の酸素及びアセチレンのほとんど又は全てが消費される。残りの未変換の低級アルカン、対応するアルケン、未反応の酸素(存在する場合)、二酸化炭素の全部又は一部、一酸化炭素(存在する場合)、アセチレン(存在する場合)及び不活性希釈剤は、ライン115を介してアミン洗浄塔30に運ばれる。
【0105】
ライン115内に存在する任意の二酸化炭素は、アミン洗浄塔30によって分離され、二酸化炭素底部出口120を介して捕捉され、販売されてもよく、あるいは、上記のようにODH反応器10に戻してリサイクルされてもよい。二酸化炭素以外のライン115を介してアミン洗浄塔30に導入された成分は、アミン洗浄塔オーバーヘッドライン130を通ってアミン洗浄塔30を出て、乾燥機40を通過してから蒸留塔50に導かれ、ここで、C2/C2+炭化水素がC2/C2+炭化水素底部出口150を介して単離され、除去される。
【0106】
多くの実施形態では、C2/C2+炭化水素底部出口150は、エタンをエチレンから分離するC2スプリッター(図示せず)に供給される。
【0107】
本開示の多くの実施形態において、1つ以上のODH反応器、又は本明細書に記載のプロセス若しくはコンプレックスのいずれかを用いて生成されたオレフィンを使用して、様々なオレフィン誘導体を製造することができる。オレフィン誘導体には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、アクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル)、熱可塑性エラストマー、熱可塑性オレフィン及びブレンド、並びにそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0108】
<誘導体>
本開示の多くの実施形態において、1つ以上のODH反応器、又は本明細書に記載のプロセス若しくはコンプレックスのいずれかを用いて生成されるオレフィンを使用して、様々なオレフィン誘導体を製造することができる。オレフィン誘導体には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、アクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル)、熱可塑性エラストマー、熱可塑性オレフィン及びブレンド、並びにそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0109】
本開示の多くの実施形態において、エチレン及び任意選択でα-オレフィンは、1つ以上のODH反応器、又は本明細書に記載のプロセス又はコンプレックスのいずれかで生成され、ポリエチレンを製造するために使用される。本明細書に記載のエチレン及び任意選択のα-オレフィンから作製されたポリエチレンは、エチレンのホモポリマー、エチレン及びα-オレフィンのコポリマーを含むことができ、結果として、HDPE、MDPE、LDPE、LLDPE及びVLDPEが得られる。
【0110】
本明細書に記載のエチレン及び任意選択のα-オレフィンを使用して製造されるポリエチレンは、任意の適切な重合プロセス及び装置を使用して製造することができる。適切なエチレン重合プロセスには、気相ポリエチレンプロセス、高圧ポリエチレンプロセス、低圧ポリエチレンプロセス、溶液ポリエチレンプロセス、スラリーポリエチレンプロセス、及び並列又は直列に配置された上記の適切な組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0111】
本開示はまた、化学反応器に一般的に使用される様々なツールの使用も想定しており、これらには、流量計、圧縮機、並びに温度、圧力及び流量などのパラメータを測定するためのセンサーが含まれる。当業者は、操作に必要と思われるこれらの構成要素を含めることが期待される。
(態様)
【0112】
本開示の第1の態様は、1種以上のアルカンを1種以上のアルケンに変換する方法を対象とし、以下を含む:
a.1種以上のアルカン及び酸素を含む第1の流れ(first stream)を、酸化的脱水素化反応器(oxidative dehydrogenation reactor)に供給すること、
b.前記酸化的脱水素化反応器内で、前記1種以上のアルカンの少なくとも一部を1種以上のアルケンに変換して、1種以上のアルカン、1種以上のアルケン、及び酸素とアセチレンの一方又は両方を含む前記酸化的脱水素化反応器を出る第2の流れ(second stream)を供給すること、
c.前記第2の流れを、CuO及びZnOを含む触媒を含む第2の反応器に供給し、当該第2の流れを反応させて、1種以上のアルカン、1種以上のアルケン、及び前記第2の流れと比較してより低い又は検出できないレベルの酸素とアセチレンとを含む第2の反応器を出る第3の流れ(third stream)を提供すること。
【0113】
本開示の第2の態様は、第1の態様を対象とし、1種以上のアルカンがエタンを含む。
本開示の第3の態様は、第2の態様を対象とし、1種以上のアルケンがエチレンを含む。
【0114】
本開示の第4の態様は、第1~第3の態様の1つ以上を対象とし、酸化的脱水素化反応器が、以下から選択される1種以上の混合金属酸化物を含有する酸化的脱水素化触媒を含む:
i)次式の触媒:
MoaVbTecNbdPdeOf
(式中、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ元素Mo、V、Te、Nb、Pd及びOの相対原子量であり;a=1、b=0.01~1.0、c=0.01~1.0、d=0.01~1.0、0.00≦e≦0.10で、fは、少なくとも触媒中に存在する金属の原子価状態を満たす数である);
ii)次式の触媒:
NigAhBiDjOf
(式中、gは0.1~0.9、場合によっては0.3~0.9、他の場合には0.5~0.85、場合によっては0.6~0.8の数であり;hは0.04~0.9の数であり;iは0~0.5の数であり;jは0~0.5の数であり;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数であり;Aは、Ti、Ta、V、Nb、Hf、W、Y、Zn、Zr、Si及びAl又はそれらの混合物から選択され;Bは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Sb、Sn、Bi、Pb、Tl、In、Te、Cr、Mn、Mo、Fe、Co、Cu、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、Cd、Os、Ir、Au、Hg、及びそれらの混合物から選択され;Dは、Ca、K、Mg、Li、Na、Sr、Ba、Cs、Rb及びそれらの混合物から選択され;Oは、酸素である);
iii)次式の触媒:
MoaEkGlOf
(式中、Eは、Ba、Ca、Cr、Mn、Nb、Ta、Ti、Te、V、W及びそれらの混合物から選択され;Gは、Bi、Ce、Co、Cu、Fe、K、Mg、V、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Ti、U、及びそれらの混合物から選択され;a=1;kは0~2;l=0~2、ただし、Co、Ni、Fe及びそれらの混合物のlの合計値は0.5未満であり;fは、少なくとも触媒中に存在する金属の原子価状態を満たす数である);
iv)次式の触媒:
VmMonNboTepMeqOf
(式中、Meは、Ta、Ti、W、Hf、Zr、Sb及びそれらの混合物から選択され;mは0.1~3であり;nは0.5~1.5であり;oは0.001~3であり;pは0.001~5であり;qは0~2であり;fは、少なくとも触媒中に存在する金属の原子価状態を満たす数である);
v)次式の触媒:
MoaVrXsYtZuMvOf
(式中、Xは、Nb及びTaの少なくとも1つであり;Yは、Sb及びNiの少なくとも1つであり;Zは、Te、Ga、Pd、W、Bi及びAlの少なくとも1つであり;Mは、Fe、Co、Cu、Cr、Ti、Ce、Zr、Mn、Pb、Mg、Sn、Pt、Si、La、K、Ag及びInの少なくとも1つであり;a=1.0(正規化);r=0.05~1.0;s=0.001~1.0;t=0.001~1.0;u=0.001~0.5;v=0.001~0.3;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数である);
vi)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo6.5-7.0V3Od
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である);
vii)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo6.25-7.25V3Od
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である)。
【0115】
本開示の第5の態様は、第1~第4の態様の1つ以上を対象とし、第1の流れが、1種以上の希釈剤、酸素含有ガス、及び1種以上の低級アルカンを含有するガスを含む。
【0116】
本開示の第6の態様は、第1~第5の態様の1つ以上を対象とし、第2の流れが、1種以上の未反応の低級アルカン、1種以上の低級アルケン、酸素、1種以上の希釈剤、及び水を含む。
【0117】
本開示の第7の態様は、第1~第6の態様の1つ以上を対象とし、酸化的脱水素化反応器が、単一の固定床型反応器を含む。
【0118】
本開示の第8の態様は、第1~第6の態様の1つ以上を対象とし、酸化的脱水素化反応器が、単一の流動床型反応器及び/又は移動床反応器を含む。
【0119】
本開示の第9の態様は、第1~第6の態様の1つ以上を対象とし、酸化的脱水素化反応器が、スイング床型反応器配置を含む。
【0120】
本開示の第10の態様は、第1~第9の態様の1つ以上を対象とし、酢酸スクラバーが、酸化的脱水素化反応器と第2の反応器との間に配置される。
【0121】
本開示の第11の態様は、第1~第10の態様の1つ以上を対象とし、第2の反応器内の温度が100~200℃である。
【0122】
本開示の第12の態様は、第1~第11の態様の1つ以上を対象とし、第2の流れが一酸化炭素を含み、第3の流れ中の一酸化炭素の量が第2の流れ中の一酸化炭素の量よりも少ない。
【0123】
本開示の第13の態様は、第1~第12の態様の1つ以上を対象とし、ガス毎時空間速度(GHSV)が、約400~約3000h-1である。
【0124】
本開示の第14の態様は、第1~第12の態様の1つ以上を対象とし、重量毎時空間速度(WHSV)が、約0.4h-1~約30h-1である。
【0125】
本開示の第15の態様は、第1~第12の態様の1つ以上を対象とし、線速度が、約5cm/秒~約500cm/秒である。
【0126】
本開示の第16の態様は、エタンをエチレンに変換する方法を対象とし、以下を含む:a)エタン及び酸素を含む第1の流れ(first stream)を、酸化的脱水素化反応器に供給すること;b)前記酸化的脱水素化反応器内で、前記エタンの少なくとも一部をエチレンに変換して、エタン、エチレン、及び酸素とアセチレンの一方又は両方を含む前記酸化的脱水素化反応器を出る第2の流れ(second stream)を供給すること;c)前記第2の流れを、CuO及びZnOを含む触媒を含む第2の反応器に供給して、エタン、エチレン、及び前記第2の流れと比較してより低い又は検出できないレベルの酸素とアセチレンとを含む第2の反応器を出る第3の流れ(third stream)を提供すること。
【0127】
本開示の第17の態様は、第16の態様を対象とし、酸化的脱水素化反応器が、以下から選択される1種以上の混合金属酸化物を含有する酸化的脱水素化触媒を含む:
i)次式の触媒:
MoaVbTecNbdPdeOf
(式中、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ元素Mo、V、Te、Nb、Pd及びOの相対原子量であり;a=1、b=0.01~1.0、c=0.01~1.0、d=0.01~1.0、0.00≦e≦0.10で、fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数である);
ii)次式の触媒:
NigAhBiDjOf
(式中、gは0.1~0.9、場合によっては0.3~0.9、他の場合には0.5~0.85、場合によっては0.6~0.8の数であり;hは0.04~0.9の数であり;iは0~0.5の数であり;jは0~0.5の数であり;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数であり;Aは、Ti、Ta、V、Nb、Hf、W、Y、Zn、Zr、Si及びAl又はそれらの混合物から選択され;Bは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Sb、Sn、Bi、Pb、Tl、In、Te、Cr、Mn、Mo、Fe、Co、Cu、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、Cd、Os、Ir、Au、Hg、及びそれらの混合物から選択され;Dは、Ca、K、Mg、Li、Na、Sr、Ba、Cs、Rb及びそれらの混合物から選択され;Oは、酸素である);
iii)次式の触媒:
MoaEkGlOf
(式中、Eは、Ba、Ca、Cr、Mn、Nb、Ta、Ti、Te、V、W及びそれらの混合物から選択され;Gは、Bi、Ce、Co、Cu、Fe、K、Mg、V、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Ti、U、及びそれらの混合物から選択され;a=1;kは0~2;l=0~2、ただし、Co、Ni、Fe及びそれらの混合物のlの合計値は0.5未満であり;fは、少なくとも触媒中の金属の原子価状態を満たす数である);
iv)次式の触媒:
VmMonNboTepMeqOf
(式中、Meは、Ta、Ti、W、Hf、Zr、Sb及びそれらの混合物から選択され;mは0.1~3であり;nは0.5~1.5であり;oは0.001~3であり;pは0.001~5であり;qは0~2であり;fは、少なくとも触媒中の金属の原子価状態を満たす数である);
v)次式の触媒:
MoaVrXsYtZuMvOf
(式中、Xは、Nb及びTaの少なくとも1つであり;Yは、Sb及びNiの少なくとも1つであり;Zは、Te、Ga、Pd、W、Bi及びAlの少なくとも1つであり;Mは、Fe、Co、Cu、Cr、Ti、Ce、Zr、Mn、Pb、Mg、Sn、Pt、Si、La、K、Ag及びInの少なくとも1つであり;a=1.0(正規化);r=0.05~1.0;s=0.001~1.0;t=0.001~1.0;u=0.001~0.5;v=0.001~0.3;fは、少なくとも触媒の金属の原子価状態を満たす数である);
vi)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo6.5-7.0V3Od
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である);
vii)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo6.25-7.25V3Od
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である)。
【0128】
本開示の第18の態様は、第16及び第17の態様の1つ以上を対象とし、第1の流れが、1種以上の希釈剤、酸素含有ガス、及びエタンを含有するガスを含む。
【0129】
本開示の第19の態様は、第16~第18の態様の1つ以上を対象とし、第2の流れが、エタン、エチレン、酸素、1種以上の希釈剤、酢酸、及び水の1つ以上を含む。
【0130】
本開示の第20の態様は、第16~第19の態様の1つ以上を対象とし、酸化的脱水素化反応器が、単一の固定床型反応器を含む。
【0131】
本開示の第21の態様は、第16~第18の態様の1つ以上を対象とし、酸化的脱水素化反応器が、単一の流動床型反応器及び/又は移動床反応器を含む。
【0132】
本開示の第22の態様は、第16~第18の態様の1つ以上を対象とし、酸化的脱水素化反応器が、スイング床型反応器配置を含む。
【0133】
本開示の第23の態様は、第16~第22の態様の1つ以上を対象とし、酢酸スクラバーが、酸化的脱水素化反応器と第2の反応器との間に配置される。
【0134】
本開示の第24の態様は、第16~第23の態様の1つ以上を対象とし、第2の反応器内の温度が100~200℃である。
【0135】
本開示の第25の態様は、第16~第24の態様の1つ以上を対象とし、ガス毎時空間速度(GHSV)が、約400~約3000h-1である。
【0136】
本開示の第26の態様は、第16~第24の態様の1つ以上を対象とし、重量毎時空間速度(WHSV)が、約0.4h-1~約30h-1である。
【0137】
本開示の第27の態様は、第16~第24の態様の1つ以上を対象とし、線速度が、約5cm/秒~約500cm/秒である。
【0138】
本開示の第28の態様は、低級アルカンの酸化的脱水素化のための化学コンプレックス(chemical complex)を対象とし、当該化学コンプレックスは以下を含む:
i)少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器であり、酸化的脱水素化触媒を含み、任意に希釈剤の存在下で、酸素含有ガスと低級アルカン含有ガスとを受け入れ、対応するアルケンと1つ以上の以下の成分:
a.未反応の低級アルカン;
b.酸素;
c.希釈剤;
d.アセチレン;
e.酸素化物;
f.水;
を含む生成物流(product stream)を生成するように設計された、酸化的脱水素化反応器と、
ii)前記生成物流を急冷し、当該生成物流から水と可溶性酸素化物とを除去するための急冷塔と、
iii)CuO及びZnOを含む触媒を含む第2の反応器であり、未反応の低級アルカン、アルケン、及び前記生成物流と比較してより低い又は検出できないレベルの酸素とアセチレンとを含む第2の反応器を出る第2の生成物流を提供するための第2の反応器と、
iv)前記第2の生成物流から二酸化炭素を除去するための任意のアミン洗浄と、
v)前記第2の生成物流から水を除去するための乾燥機と、
vi)前記第2の生成物流からC2/C2+炭化水素を除去して、C1炭化水素が豊富なオーバーヘッド流を生成する蒸留塔と、
を協同配置(cooperative arrangement)で備え、
i)からvi)の構成要素は、記載されている順序で直列に接続される。
【0139】
本開示の第29の態様は、第28の態様を対象とし、少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器に導入する前に、酸素含有ガス、低級アルカン含有ガス及び熱除去ガスを予混合するための不燃性液体フラッド型ガスミキサーを含む。
【0140】
本開示の第30の態様は、第28及び第29の態様の1つ以上を対象とし、前記酸化的脱水素化触媒は、以下から選択される混合金属酸化物を含む:
i)次式の触媒:
MoaVbTecNbdPdeOf
(式中、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ元素Mo、V、Te、Nb、Pd及びOの相対原子量であり;a=1、b=0.01~1.0、c=0.01~1.0、d=0.01~1.0、0.00≦e≦0.10で、fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数である);
ii)次式の触媒:
NigAhBiDjOf
(式中、gは0.1~0.9、場合によっては0.3~0.9、他の場合には0.5~0.85、場合によっては0.6~0.8の数であり;hは0.04~0.9の数であり;iは0~0.5の数であり;jは0~0.5の数であり;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数であり;Aは、Ti、Ta、V、Nb、Hf、W、Y、Zn、Zr、Si及びAl又はそれらの混合物から選択され;Bは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Sb、Sn、Bi、Pb、Tl、In、Te、Cr、Mn、Mo、Fe、Co、Cu、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、Cd、Os、Ir、Au、Hg、及びそれらの混合物から選択され;Dは、Ca、K、Mg、Li、Na、Sr、Ba、Cs、Rb及びそれらの混合物から選択され;Oは、酸素である);
iii)次式の触媒:
MoaEkGlOf
(式中、Eは、Ba、Ca、Cr、Mn、Nb、Ta、Ti、Te、V、W及びそれらの混合物から選択され;Gは、Bi、Ce、Co、Cu、Fe、K、Mg、V、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Ti、U、及びそれらの混合物から選択され;a=1;kは0~2;l=0~2、ただし、Co、Ni、Fe及びそれらの混合物のlの合計値は0.5未満であり;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数である);
iv)次式の触媒:
VmMonNboTepMeqOf
(式中、Meは、Ta、Ti、W、Hf、Zr、Sb及びそれらの混合物から選択される金属であり;mは0.1~3であり;nは0.5~1.5であり;oは0.001~3であり;pは0.001~5であり;qは0~2であり;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数である);
v)次式の触媒:
MoaVrXsYtZuMvOf
(式中、Xは、Nb及びTaの少なくとも1つであり;Yは、Sb及びNiの少なくとも1つであり;Zは、Te、Ga、Pd、W、Bi及びAlの少なくとも1つであり;Mは、Fe、Co、Cu、Cr、Ti、Ce、Zr、Mn、Pb、Mg、Sn、Pt、Si、La、K、Ag及びInの少なくとも1つであり;a=1.0(正規化);r=0.05~1.0;s=0.001~1.0;t=0.001~1.0;u=0.001~0.5;v=0.001~0.3;fは、少なくとも触媒の原子価状態を満たす数である);
vi)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo6.5-7.0V3Od
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である);
vii)次の実験式を有する混合金属酸化物:
Mo6.25-7.25V3Od
(式中、dは、少なくとも触媒中の金属の原子価を満たす数である)。
少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器が、単一の固定床型反応器を含む、請求項28に記載の化学コンプレックス。
【0141】
本開示の第31の態様は、第28~第30の態様の1つ以上を対象とし、少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器が、単一の流動床型反応器及び/又は移動床反応器を含む。
【0142】
本開示の第32の態様は、第28~第30の態様の1つ以上を対象とし、少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器が、スイング床型反応器配置を含む。
【0143】
本開示の第33の態様は、第28~第30の態様の1つ以上を対象とし、少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器が、直列に接続された複数の酸化的脱水素化反応器を含み、各反応器は同じ又は異なる酸化的脱水素化触媒を含有し、一連の最後の酸化的脱水素化反応器を除く各酸化的脱水素化反応器からの生成物流が、下流の酸化的脱水素化反応器に供給される。
【0144】
本開示の第34の態様は、第28~第30の態様の1つ以上を対象とし、少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器が、並列に接続された複数の酸化的脱水素化反応器を含み、各反応器は同じ又は異なる酸化的脱水素化触媒を含有する。
【0145】
本開示の第35の態様は、第28~第34の態様の1つ以上を対象とし、化学コンプレックスが、前記急冷塔のすぐ上流に少なくとも1つの熱交換器をさらに含む。
【0146】
本開示の第36の態様は、第28~第36の態様の1つ以上を対象とし、化学コンプレックスが、前記アミン洗浄塔のすぐ下流に苛性洗浄塔をさらに含む。
【0147】
本開示の第37の態様は、第28~第36の態様の1つ以上を対象とし、C2/C2+炭化水素が、前記蒸留塔を出て、未反応の低級アルカン及び対応するアルケンを未反応の低級アルカン流及び対応するアルケン流に分離するため、第2の蒸留塔に送られる。
【0148】
本開示の第38の態様は、第37の態様を対象とし、第2の蒸留塔が、生成物流のC2/C2+炭化水素部分を、未反応の低級アルカン流と対応するアルケン流に分離することをさらに提供する。
【0149】
本開示の第39の態様は、第37~第38の態様の1つ以上を対象とし、未反応の低級アルカン流が、低級アルカン含有ガスの一部として前記少なくとも1つの酸化的脱水素化反応器に戻される。
【0150】
本開示の第40の態様は、第28~第39の態様の1つ以上を対象とし、酸素化物が、酢酸、エタノール、アクリル酸、アセトアルデヒド、マレイン酸及び無水マレイン酸から選択される1種以上を含む。
【0151】
本開示の第41の態様は、第28~第40の態様の1つ以上を対象とし、ガス毎時空間速度(GHSV)が、約400~約3000h-1である。
【0152】
本開示の第42の態様は、第28~第40の態様の1つ以上を対象とし、重量毎時空間速度(WHSV)が、約0.4h-1~約30h-1である。
【0153】
本開示の第43の態様は、第28~第40の態様の1つ以上を対象とし、線速度が、約5cm/秒~約500cm/秒である。
【実施例】
【0154】
以下の例は、本開示の理解を助けることを想定しているが、これらの例は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0155】
ODH触媒は、以下のようにして調製した。600mLの蒸留水中における(NH4)6Mo7O24・4H2O(44.20g、35.77mmol、白色固体)の溶液を、磁気撹拌棒を備えた2LのRBF内で調製した。600mLの蒸留水中におけるVOSO4・3.46H2O(14.07g、62.95mmol、明るい青色固体)の溶液を、磁気撹拌棒を備えた1Lのビーカー内で調製した。両方の溶液を60℃の水浴中で均一になるまで撹拌した。次いで、青色のバナジウム溶液を無色透明のモリブデン溶液に添加した。これにより、微細な懸濁液を有する暗紫色の溶液が得られた。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(13.57g、47.06mmol、白色固体)を反応混合物に添加した。紫色のスラリーを60℃で1時間撹拌した。
【0156】
反応混合物をガラスライナーに移し、すすぎ後に測定した総容量は約1380mLであった。ライナーを2Lの圧力反応器(Parr Instrument Company、イリノイ州モリーン)に装填し、ギャップを蒸留水で満たした。反応器を密閉し、ヘッドスペースを排気し、窒素ガスを10回充填した。ヘッドスペースを15psigの窒素ガス下に置き、密閉した。反応器をプログラム可能なオーブンに移し、230℃で24時間加熱した(1時間かけて230℃まで昇温し、24時間かけて室温まで冷却した)。室温まで冷却した後、反応器を排気し、ブフナー漏斗と4枚の定量ろ紙を用いて内容物をろ過した。油性の母液をデカントして取り除き、ろ紙を交換した。ろ過ケークを1250mLの蒸留水ですすいだ。ろ液は暗青色であり、生成物は木炭色/灰色紫色であった。
【0157】
ろ過ケークを90℃のオーブンで一晩乾燥させ、15.29gの生成物を回収した(推定収率37%)。未焼成の触媒をスパチュラで砕き、次いでプログラム可能なマッフル炉に装填した。プログラムを設定して、1時間かけて280℃まで昇温し、そこで9時間保持した後、自然に室温まで冷却した。この空気処理した生成物を、乳鉢と乳棒で粉砕し、CHN分析に供した。炭素と窒素の含有量は1重量%未満であることがわかった。この材料を石英ボートに装填し、QRU炉の石英管の中心に合わせた。石英管をバルク窒素で8時間パージ(400sccm)した後、窒素供給物を酸素スクラビング床に供給して、窒素を4ppmv未満の酸素にさらに精製した。この超高純度(UHP)窒素を、石英管を通して一晩パージした。翌朝、炉の電源を入れ、4時間かけて昇温して400℃まで加熱した。触媒を400℃で2時間焼成した後、自然に周囲温度まで冷却した。
【0158】
5.0gの焼成触媒(92重量%)と0.44gの酸化ベリリウム(8重量%)を100mLのビーカー(92%)に入れた。約30mLの蒸留水をビーカーに加え、手動で撹拌した。このビーカーを約100℃の油浴に入れ、パドルがビーカーの底から少し離れるようにオーバーヘッド撹拌機を設置した。混合物がペーストを形成するまで80rpmで約1.5時間撹拌し、ペーストを入れたビーカーを90℃のオーブンに入れて一晩乾燥させた。固体触媒の塊をスパチュラで砕き、350℃のマッフル炉に3.5時間入れて、ODH触媒を形成した。
【0159】
これらの例における第2の反応器のための触媒組成物は、70重量%のCuO、20重量%のZnO、及び10重量%のZrO2を含む酸化物前駆体組成物の還元形態である。この酸化物前駆体組成物を製造するために、Cu-Zn-Zr硝酸塩溶液(金属含有量15.2重量%、CuO:ZnO:ZrO2の重量比7:2:1に対応するCu:Zn:Zr比)を、pH6.5及び70℃のソーダ溶液(20重量%)を用いて沈殿させた。沈殿が完了した後、懸濁液をpH6.5及び70℃でさらに120分間撹拌した。次に、溶液をろ過し、ろ過ケークを硝酸塩がなくなるまで脱塩水を用いて洗浄し、120℃で乾燥させた。乾燥した粉末を、強制空気オーブン内で300℃で240分間焼成して、第2の反応器触媒を形成した。
【0160】
ODH触媒を、
図2に示す装置で評価した。ODH反応器200は、実験室スケールの脱水素化反応器(ODHマイクロ反応器ユニット)であった。
【0161】
ODH反応器200への供給物は、酸素、エタン及び窒素を、それぞれ8.4psigで18体積%/36体積%/46体積%の重量比で含み、ガス流量は32.8sccmで、外径1/4インチのチューブを通して供給された。上記のODH触媒/酸化ベリリウムをODH反応器200に入れ、このガス供給物を、ODH反応器200を通して327℃で処理した。ODH反応器200からの流出物を凝縮器210に通し、そこで18.5重量%の酢酸を含む水溶液を凝縮させ、残りの流出ガスを14psigで第2の反応器220に通した。
【0162】
第2の反応器220を温度制御オーブン230内に置き、2gの第2の反応器触媒を装填した。凝縮器210からの流出ガスを、14psigの圧力及び32.8sccmの流量で、第2の反応器220に導入し、周囲圧力で第2の反応器220を出る前に、様々な温度で第2の反応器220内の第2の反応器触媒と接触させた。第2の反応器220を出た後の流出ガスのサンプルを収集し、続いてガスクロマトグラフ240で評価した。
【0163】
表1は、第2の反応器を出た後に採取した流出ガスの試料の組成の概要を示している。これらの試料には、温度制御オーブン320が周囲温度を表す「オフ」に設定されたときに採取された2つの元の試料が含まれている。後続する試料は、温度を特定の温度まで上昇させ、示された時間の間それらの温度で保持した後に、採取された。
【0164】
【0165】
表1のデータは、第2の反応器触媒が120℃を超える温度でO2、CO、及びアセチレンを除去することを示している。表1に示すデータから、全ての化合物が、化学吸着されているのではなく、触媒からの酸素又はガス流中の酸素のいずれかと反応していることも明らかである。供給流中の酸素の一定の存在は、全てのアセチレンを酸化するのに十分であり、触媒材料が化学吸着された酸素を使い果たした後であっても、アセチレン及びO2の連続的な除去をもたらした。
【0166】
本開示は、その特定の実施形態に関して特に記載されているが、本開示を考慮して、本開示の多数の変形が現在可能であり、依然としてそれらの変形は本開示の範囲内に存在することが理解される。したがって、本開示は、本明細書に添付されている請求項の範囲及び精神によってのみ広く解釈され、限定されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0167】
このプロセスは、低級アルカンの酸化的脱水素化(ODH)に適用できる。このプロセスは、ODHプロセスからの一酸化炭素、酸素、及び/又はアセチレンの排出量レベルを制御するために適用できる。
【国際調査報告】