(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(54)【発明の名称】複合材料製の四角形シェルを製造するための方法及び工具
(51)【国際特許分類】
B29C 70/68 20060101AFI20230217BHJP
【FI】
B29C70/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537399
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2020087548
(87)【国際公開番号】W WO2021123456
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511096488
【氏名又は名称】ロックツール
【氏名又は名称原語表記】ROCTOOL
【住所又は居所原語表記】Savoie Technolac BP 341, Modul R, 34 allee du lac d’Aiguebelette, F-73375 Le Bourget du Lac Cedex (FR)
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フェイゲンブルム,ジョゼ
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD03
4F205AD05
4F205AD08
4F205AD16
4F205AG06
4F205AG28
4F205AH56
4F205HA08
4F205HA14
4F205HA25
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HB11
4F205HF05
4F205HK03
4F205HK04
4F205HT13
4F205HT16
4F205HT26
(57)【要約】
本発明は、5つの面、及び上記面の間の展開不能な3面コネクタを備える、四角形シェルを製造するための方法に関し、上記方法は、以下のステップを含む:
i.3面コネクタゾーンの外側において、上記シェルの上記5つの面を覆う、連続繊維を含むプライ(210、220)を切断するステップ;
ii.上記3面コネクタの形状に固結された4つのコネクタ構成部品(320)を得るステップであって、上記構成部品はそれぞれ、上記プライの間の統合ゾーン(321)を備える、ステップ;
iii.ステップi)で得た上記プライを位置決めして積層するステップ;
iv.2つのプライの間に上記統合ゾーンを挿入することにより、上記4つの固結済み構成部品(320)を上記3面接続ゾーンへと挿入して、プリフォームを得るステップ;
v.上記プリフォームを工具(502、602)の中に配置し、ステップiv)で得た組立体を所定の圧力/温度サイクルに供することにより、上記繊維プライの積層体の固結を実施するステップ。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジ付き縁部(102)を有する5つの面、及び前記面の間の展開不能な3面接続(121)を備える、四角形シェルを製造するための方法であって、前記方法は、以下のステップ:
i.連続繊維(290)を含むプライ(210、220)を切断するステップであって、前記繊維は、前記シェルのある自由縁部(291)から別の自由縁部(292)まで延在し、前記プライは、3面接続ゾーンを覆わないように切欠部(221、222)を備える、ステップ;
ii.前記3面接続の形状を有する4つの固結済み接続部品(320)を得るステップであって、前記部品はそれぞれ、前記プライの間への挿入のための統合ゾーン(321)を備える、ステップ;
iii.ステップi)で得た前記プライを位置決めして積層するステップ;
iv.2つのプライの間に前記統合ゾーンを挿入することにより、前記4つの固結済み部品(320)を前記3面接続ゾーンへと挿入して、プリフォームを得るステップ;
v.前記プリフォームを工具(502、602)の中に配置し、ステップiv)で得た組立体を所定の圧力‐温度サイクルに供することにより、前記繊維プライの積層体の固結を実施するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記接続部品(320)は熱可塑性ポリマーで作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接続部品(320)を構成する前記ポリマーは、短繊維で補強される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接続部品はプラスチック射出成形によって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記接続部品(320)は熱圧縮法によって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接続部品を構成する前記ポリマーは、ステップv)の間に前記組立体に適用される最高固結温度が、前記ポリマーのガラス転移温度より高いが前記ポリマーの融点より低くなるように、選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記接続部品(320)は、成形された前記シェルの前記フランジ付き縁部の間に延在する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップv)は、対になったパンチ(501)及びダイ(502)を備える工具の中で実施され、ステップiv)で得られた前記組立体は、ステップv)の間、前記パンチと前記ダイとの間に含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップv)は、ステップiv)で得られた前記組立体を不浸透性ターポリン(630)で覆うことと、前記ターポリンと前記工具との間に含まれる空間の真空排気とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法によって得られる旅行かばん要素に適合された、シェルであって、ケーシング支持用キャスターホイールの設置又は伸縮自在ハンドルのアームの通過のための構成を含む、3面接続部品を備える、シェル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料製の四角形シェルを製造するための方法及び工具に関する。
【0002】
本発明は、排他的にではないが主に、剛性シェルを有するスーツケース又はトランクの製造のために、旅行かばんの分野に適用される。
【背景技術】
【0003】
従来技術に関する
図1を参照すると、スーツケース又は剛性トランクは一般に、等しい又は異なる深さの2つの四角形シェル(100)(これらのシェルのうちの1つだけがこの図に示されている)を備え、これは、ヒンジ及び閉鎖機構によって組み立てられた5つの面を備える。
【0004】
各シェルは、底部(101)及びフランジ付き縁部(102)を備える。
【0005】
例示的実施形態によると、上記シェルは、実施形態に応じて短繊維又は連続繊維で補強された又は補強されていない、熱可塑性ポリマーで作製される。
【0006】
いわゆる連続繊維(110)は、シェルの一方の自由縁部(191)から他方の自由縁部(192)まで延在する。このような連続補強の定義は、このテキスト全体を通して保持される。
【0007】
シェルが連続繊維によって補強された複合材料で作製される場合、これは例えば、マトリックスを構成するポリマーを予め含浸させた繊維プライを積層することによって得られ、これは後のステップの間に、熱圧縮法によって成形され、形状が固結される。
【0008】
特許文献1は、熱圧縮による繊維プライの積層体の成形のためのこのような方法の一例を記載している。
【0009】
シェルの面の間の接続ゾーン(121、122)、特に3面接続ゾーン(121)又は「トランクの角(trunk corner)」は、特に使用される補強用繊維が成形温度において可塑性をほとんど若しくは全く持たない場合、又は補強用繊維の剛性によってこの複雑な輪郭への追従が妨げられる場合に、この方法の実装における重要なゾーンである。
【0010】
3面接続(121)は一般に、表面を球形の一部又は楕円体の一部として説明する。
【0011】
まず、これらの形状を、特に展開不能ゾーンであるトランクの角(121)に関して、プライにしわを形成することなく一致させることは、困難である。
【0012】
これらのゾーンに、可動性を有する又は膨張可能な部分を備えるパンチ、従って複雑な工具を使用することなく、圧力を印加することは困難である。
【0013】
特許文献1に記載されているもののような迅速な加熱・冷却用工具を実装することによって、これらのゾーンにおいて均一な加熱温度を保証することは、困難である。
【0014】
例えば上記ゾーンにおける固結のための均一な加熱及び十分な圧力の提供の成功により、成形中の繊維に張力を付与することによって、しわの形成の回避に成功した場合であっても、繊維間のポリマーが絞られる現象が発生する場合があり、これはポリマーマトリックスの局所的な不足及び欠陥の出現につながる。
【0015】
従って、特許文献1に記載されている装置及び方法は、携帯電話用の保護シェル等の浅い深絞り加工部を有するシェルの製造には概ね満足のいくものであるが、旅行かばん用途といった比較的深い深絞り加工部を有する、連続繊維で補強されたシェルのために、この方法を実装するのは、依然として高コストである。
【0016】
特許文献2は、ポリマー繊維で補強されたポリマーで作製された2つのシェルを備える旅行かばん要素を記載している。上記シェルは、熱圧縮/オーバーモールド作業において、ポリマー繊維で補強されたポリマーマトリックスパネルを組み立てること、より詳細には底部をサイドパネルと組み立てることによって得られる。従って、各パネルは連続ポリマー繊維で個別に補強されているものの、得られたシェルは、上記シェルの2つの自由縁部の間に延在する連続補強によって補強されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許第2694277号
【特許文献2】欧州特許第3096643B1号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、従来技術の欠点を解決することを目的としたものであり、この目的のために、フランジ付き縁部を有する5つの面、及び上記面の間の展開不能な3面接続を備える四角形シェルを製造するための方法に関し、上記方法は、以下のステップを含む:
i.連続繊維を含むプライを切断するステップであって、上記繊維は、上記シェルの一方の自由縁部から他方の自由縁部まで延在し、上記プライは3面接続ゾーンを覆わないように切欠部を備える、ステップ;
ii.上記3面接続の形状を有する4つの固結済み接続部品を得るステップであって、上記部品はそれぞれ、上記プライの間への挿入のための統合ゾーンを備える、ステップ;
iii.ステップi)で得た上記プライを位置決めして積層するステップ;
iv.2つのプライの間に上記統合ゾーンを挿入することにより、上記4つの固結済み部品を上記3面接続ゾーンへと挿入して、プリフォームを得るステップ;
v.上記プリフォームを工具の中に配置し、ステップiv)で得た組立体を所定の圧力‐温度サイクルに供することにより、上記繊維プライの積層体の固結を実施するステップ。
【0019】
従って、上記繊維プライは、展開可能ゾーンのみを覆い、いかなるしわも形成することなく、工具の中又は上に容易に設置される。それにもかかわらず、得られた複合部品は、シェルの一方の自由縁部から他方の自由縁部まで延在する連続繊維で補強され、これにより上記シェルの剛性及び堅牢性が保証される。
【0020】
上記トランクの角は、視覚的欠陥を伴わずに、固結後に完璧に統合される。
【0021】
本発明は、個別に、又はいずれの技術的に有効な組み合わせに従って考慮されるべき、以下に記載の実施形態及び変形例に従って実装される。
【0022】
ある実施形態によると、上記接続部品は熱可塑性ポリマーで作製され、プラスチック射出成形プロセスによって得られる。この大量生産プロセスは経済的であり、得られる形状に関して再現性を有する。
【0023】
あるいは、上記接続部品は熱圧縮プロセスによって得られる。
【0024】
有利には、上記接続部品を構成する上記ポリマーは、短繊維で補強される。従って、これらの部品の機械的耐性が向上する。
【0025】
有利には、上記接続部品を構成する上記ポリマーは、ステップv)の間に上記組立体に適用される最高固結温度が、上記ポリマーのガラス転移温度より高いが上記ポリマーの融点より低くなるように、選択される。従って、この3面接続部品の形状は、固結ステップ中に上記シェルの形状に適応する。
【0026】
ある実施形態によると、上記接続部品は、成形された上記シェルの上記フランジ付き縁部の間に延在する。この実施形態により、上記プライの切断を簡単にすることができる。
【0027】
ある実施形態によると、ステップv)は、対になったパンチ及びダイを備える工具の中で実施され、ステップiv)で得られた上記組立体は、ステップv)の間、上記パンチと上記ダイとの間に含まれる。
【0028】
別の実施形態によると、ステップv)は、ステップiv)で得られた上記組立体を不浸透性ターポリンで覆うことと、上記ターポリンと上記工具との間に含まれる空間の真空排気とを含む。
【0029】
本発明を、その好ましい実施形態に従って以下に開示する。これらの実施形態は決して限定的なものではなく、
図1~6を参照したものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の方法によって製造できる部品の例を斜視図で示す。
【
図2A】
図2Aは、本発明の方法による部品の製造のためのプライの切欠部の例を上面図として示す。
【
図2B】
図2Bは、本発明の方法に従ったシェルの製造のためのプライの切欠部の別の例を上面図として示す。
【
図3】
図3は、本発明の方法によって製造されるプリフォームの、工具内での設置の例を、部分断面図で示す。
【
図4】
図4は、本発明の方法の実装のための接続部品の実施形態を斜視図で示す。
【
図5】
図5は、本発明の方法の実装のための工具の例を断面図で示す。
【
図6】
図6は、本発明の方法の実装のための工具の別の例を断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ある実施形態によると、本発明の方法及びデバイスは、連続繊維(290)で補強された熱可塑性ポリマーマトリックスを含む複合材料で作製された、従来技術のものと同様の四角形シェルの大量生産のために実装される。
【0032】
しかしながら本発明はこの実施形態に限定されず、熱硬化性ポリマーが予め含浸されたプライを用いて実装できる。
【0033】
この目的のために、プリフォームは、連続繊維(290)を含む繊維プライ(210、220)の層形成によって作製される。上記繊維プライ(210、220)のうちの少なくとも1つは、上記シェルが本発明の方法に従って製造されると、シェルのある自由縁部(291)から別の自由縁部(292)まで延在する連続繊維(290)を備える。
【0034】
非限定的な例として、上記繊維プライは、熱可塑性ポリマーでコーティングされた、熱可塑性ポリマーと共混合された、又は熱可塑性ポリマーフィルムと共積層された、織布又は不織布の形態の、ガラス繊維、炭素繊維、亜麻、竹、若しくはサイザルアサ繊維等の天然繊維、又はポリマー繊維で構成される。
【0035】
上記繊維プライは、シェルの表面全体上に延在してシェルの5つの面を覆うプライ(210、220)が、シェルの面間の接続ゾーンを覆わないように切欠部(221、222)を備えるように、予め切断される。
【0036】
図2Aを参照すると、ある実施形態によると、プライ(210)は、このプライ(210)が覆うことになるシェルの、フランジ付き縁部の間の接続ゾーンを覆わないように、切欠部(222)を備え、上記切欠部は3面接続ゾーンを含む。
【0037】
図2Bを参照すると、別の実施形態によると、プライ(220)は、このプライ(220)が覆う面の間の3面接続ゾーン又はトランクの角に切欠部(221)を含む。
【0038】
これらの実施形態は限定的なものではない。従って、同様の結果は例えば、長い方の寸法がY軸に沿って延在する長方形のプライを、長い方の寸法がX軸に沿って延在する長方形のプライと交互に重ねることによって得られ、これは切欠部を単純化するためのものである。
【0039】
図2Bを参照すると、同じ原理がこの図に示されている構成に適用される。
【0040】
実施形態にかかわらず、切欠部(222、221)は、最終的な部品のトランクの角、特に面の間の接続部半径において、接続ゾーンの形状に適合される。
【0041】
図2Bを参照すると、プライ(220)の切欠部(221)は円形の切欠部として示されているが、最終的なシェルのトランクの角における目標となる接続部が球形以外の形状を有する場合、切欠部は楕円形又は三葉断面形状を有する。
【0042】
これらの切欠部の存在により、プライは、最終的な部品の展開不能ゾーンを覆わず、これらは、フランジ付き縁部が形成されるようにこれらを折りたたみ線(215、225)に沿って折りたたむことにより、製造されることになる部品の形状を有する工具の上又は中に容易に適用される。
【0043】
有利には、プライの寸法は、製造されることになるシェルの厚さに応じた面間の接続部半径の変動を考慮するために、積層体中のこれらの位置に応じて可変である。
【0044】
プライ(210、220)は、レリーフ状になったパンチタイプの工具又は中空のダイタイプの工具上に、製造されることになるシェルの形状で層形成される。
【0045】
複合材料のマトリックスを構成するポリマーの性質に応じて、ポリマーは、共積層されたフィルム又は共混合された繊維のコーティングの形態のプライ中に存在し、シェルの面の間の接続部半径に応じて、プライの折りたたみは、折りたたみゾーン中のプライを、例えばはんだごて又はいずれの他の好適な手段を用いて局所的に加熱することにより、実施される。
【0046】
有利には、層形成を実施する間、プライは、組立体が安定して取り扱いが容易になるように、スポット又は溶接ラインによって溶接される。
【0047】
図3を参照すると、プライの切欠部ゾーン(221、222)に対応する接続ゾーンにおける、プライ(210、220)の間の接続は、工具(300)内において接続部品(320)によって実施され、ここでダイは、シェルの形状を有するインプリントを備える。
【0048】
上記接続部品(320)は、シェルの面間の上記接続ゾーンにおける接続表面と同様の形状であり、切断ゾーン(221、222)の縁部においてプライ(210、220)の間に組み込まれるよう適合された固定部分(321)を備える。
【0049】
図4を参照すると、ある実施形態によると、接続部品(320)は、別個の又は互いに一体となった、2つの部分(421、422)を備える。これらの2つの部分のうちの一方(421)は3面接続ゾーンに対応し、もう一方(422)は、面間の実質的に展開可能な接続ゾーンに対応する。
【0050】
固定部分(321)は、ここでは単純なものとして示されているが、実施形態に、応じてプライの間での把持を完璧なものとするためのレリーフを備える。
【0051】
ある実施形態(図示せず)によると、上記接続部品は、ケーシング支持用キャスターホイールの設置又は伸縮自在ハンドルのアームの通過のための構成を備える。
【0052】
接続部品はあらゆる種類のものであり、特にプラスチック、金属又は複合材料製である。
【0053】
上記接続部品は、それらの性質に適合された方法を実装することによって得られ、シェルとは独立して製造されるため、シェルの製造ユニットから離れた製造ユニットで大量生産できる。
【0054】
有利な実施形態によると、接続部品は熱可塑性ポリマーで構成され、プラスチック射出成形法又は熱圧縮によって得られる。
【0055】
この実施形態のある代替例によると、接続部品は、短繊維で補強された熱可塑性ポリマーで作製される。
【0056】
有利な実施形態によると、上記接続部品を構成する上記ポリマーの融点は、シェルの残りの部分を構成するプライに含浸させるポリマーの融点(熱可塑性ポリマーの場合)又は硬化温度(熱硬化性ポリマーの場合)より高い。
【0057】
有利には、接続部品を構成するポリマーのガラス転移温度は、シェルの残りの部分を構成するプライに含浸させるポリマーの融点又は硬化温度より低い。従って、組立体の固結又は硬化中に、接続部品はある一定の可塑性を有し、これによりそれらの形状を型に適合させることができる。
【0058】
図5を参照すると、第1の実施形態によると、積層体及び接続部品を含む組立体の固結は、対になったパンチ(501)及びダイ(502)を備える型の中で実施される。
【0059】
パンチ及びダイは、一方はプラテン上に、他方はプレスの可動部分に設置される。
【0060】
パンチ及び/又はダイは有利には、インダクタ(510)を備える加熱ネットワークを備え、このインダクタ(510)は、パンチ及びダイの中に作製されたキャビティ内に延在しており、上記インダクタに10kHz~100kHzの周波数の交流電流が供給された場合にプリフォームの均一な加熱温度が得られるように分散されている。
【0061】
ダイ又はパンチ内でのインダクタの空間的分布は、例えば有限要素法計算を実装する熱シミュレーションを用いて得られる。
【0062】
パンチ及び/又はダイは好ましくは、アルミニウム合金又は銅合金といった、良好な熱伝導率及び高い熱浸透率を有する材料で作製される。
【0063】
この特性は、迅速な加熱、及び型からプリフォームへの熱の迅速な伝達に有利であるが、固結中にプリフォームに接触するパンチ又はダイの表面の温度の均一性の獲得にも関与する。
【0064】
図5を参照すると、詳細図に示されているように、キャビティの壁は、強磁性鋼又はニッケル合金といった、誘導加熱に対する感度が高い材料で作製された層(515)を含むが、これらの例は限定ではない。
【0065】
この層(515)の厚さは約1ミリメートルである。
【0066】
ある実施形態によると、誘導加熱に対する感度が高い材料の層(515)は、キャビティの表面全体を覆うのではなく、キャビティのうちの、プリフォームと接触する型の表面に向かって配向されたセクションのみを覆う。
【0067】
この特性により、熱をプリフォームに向かって配向し、型全体を加熱することなくプリフォームの加熱温度の均一な分布を得ることができるようになる。
【0068】
別の実施形態によると、型は全体的に、所望の成形温度で強磁性の鋼鉄から作製される。
【0069】
インダクタ(510)に交流電流が供給されると、誘導加熱に対する感度が高い層(515)は温度が上昇し、その熱をダイ又はパンチに伝達し、ダイ又はパンチはこの熱をプリフォームに伝達する。
【0070】
型は、水、油、又はガス等の熱伝達流体が循環するダクトの形態の冷却手段(520)も備える。
【0071】
この冷却回路により、型及び固結済みプリフォームの迅速な冷却が可能となり、これによって製造サイクルの期間が短縮される。
【0072】
ある実施形態によると、パンチ(501)は、膨脹式ブラダー(530)、及び上記ブラダーを膨張させるための手段(535)を備える。
【0073】
型は更に、型が閉鎖されたとき、即ちパンチがプレスを用いてダイに近接させられたときに、パンチ(501)とダイ(502)との間を密閉するための手段(540)を備える。
【0074】
従って、型が閉鎖されたとき、プリフォームは、パンチ(501)とダイ(502)との間に画定される密閉キャビティの中に含まれる。
【0075】
プライ(210、220)が熱可塑性ポリマーを含む場合により具体的に適合された実施形態によると、接続部品(320)を統合するプリフォームは、ダイ(502)の中、又はパンチ(501)の上に配置される。
【0076】
予め、プリフォームは、プライ(210、220)と接続部品(320)とを、型の工具、即ちパンチ若しくはダイのうちの一方に直接、又は別個の工具で組み立てることにより、組み立てられる。
【0077】
熱可塑性ポリマーを予め含浸させたプライの場合、プライは溶接スポット又は溶接ラインによって、互いに、及び接続部品と、一体に保持される。
【0078】
プリフォームのこの予備組み立ては、手動で又はロボットによって実施される。
【0079】
ダイをパンチに近接させることによって、上記プリフォームが含まれる密閉キャビティが形成される。
【0080】
ある実施形態によると、上記キャビティは、好適な手段(図示せず)によって真空になるように排気される。
【0081】
並行して、インダクタ(510)は交流電流で給電され、これはプリフォームを、プライに含浸させる熱可塑性ポリマーの融点に少なくとも等しい温度まで加熱する効果を有する。
【0082】
これらの構成により、接続部品(320)は、この温度においてその完全性を保持しているが、有利には、ある実施形態によると、上記接続部品が射出成形ポリマーで作製されるか又は熱圧縮によって形成される場合、接続部品(320)を構成するポリマーのガラス転移温度は、プライに含浸させるポリマーの融点未満である。
【0083】
パンチをダイに向かって動かすことによって、及び/又はパンチのブラダー(530)を膨張させることによって、更なる圧力がプリフォームに印加される。
【0084】
この圧力の印加により、部品の最終的な厚さを較正し、ポリマーの厚さの均一な分布を保証することが可能となる。
【0085】
接続部品(320)は、これらがポリマーで作製される場合、比較的高い展性を有し、上記更なる圧力が印加されると、上記圧力によって接続部品(320)が型の形状に一致し、従ってプライと上記接続部品との審美的に完璧な接続が保証される。
【0086】
インダクタの電力供給が止まり、熱伝達流体がダクト(520)に送られ、これにより、上記プリフォームに対する圧力を依然として維持しながら、型及びプリフォームが冷却される。
【0087】
プリフォームの温度が、プライに含浸させるポリマーのガラス転移温度未満となると、型を開放して型から部品を取り出すことができる。
【0088】
その後、新たなプリフォームを用いてこのサイクルを続行する。
【0089】
誘導加熱及び強制冷却の使用により、このサイクルを5分未満で完了できる。
【0090】
図6を参照すると、例示的実施形態によると、本発明の方法を実装するための工具は:接続部品を有するプリフォームがその上又はその中に設置される、凸又は凹形状(602);ターポリン(630);及び上記ターポリン(630)と工具(602)との間の空間を密閉するための手段(640)を備える。
【0091】
従って、工具の中又は上に設置されたプリフォームは、上記工具とターポリン(630)との間の密閉キャビティの中に収容される。
【0092】
この実施形態は、プリフォームのプライに熱硬化性ポリマーを含浸させる場合に良好に適合されているが、排他的なものではない。
【0093】
先行する実施形態と同様に、工具は、誘導加熱手段及び冷却手段を備える。
【0094】
手段(図示せず)により、プリフォームが配置されるターポリン(630)と工具(602)の壁との間に含まれる空間を真空排気できる。
【0095】
圧縮性材料製の中間部品(650)が、ターポリン(630)と接続部品のプリフォームとの間に配置される。
【0096】
従って、展開不能ゾーンプリフォームは、より詳細には接続ゾーンにおいて、ターポリン(630)におけるしわの形成は、接続部品及び中間部品(650)の存在によって、最終的な部品の品質に影響を及ぼさないこれらの展開不能ゾーンに限定される。この特性により、ターポリン(630)の製造コストを削減することもできる。
【0097】
この実施形態によると、プリフォームが工具の上又は中に配置され、ターポリンが設置された状態で、インダクタが交流電流によって給電されて、プリフォームを、プリフォームのプライに含浸させたポリマーの硬化温度(又は熱可塑性ポリマーの場合は融点)とするのと同時に、プリフォームが配置されているターポリンと工具との間の空間が真空排気される。
【0098】
ターポリンは、均一な圧力をプリフォームのプライ全てに対して提供する。
【0099】
圧力及び温度は、硬化サイクルの間は維持され、その後、冷却手段を用いて型及びこのようにして製造される部品を冷却した後、真空を弱めて上記部品を型から取り出す。
【0100】
図5を参照すると、当業者は、図示した工具を、熱硬化性ポリマーを含浸させたプライを含むプリフォームを硬化させるためにも使用できることを理解するだろう。
【0101】
図6を参照すると、当業者は同様に、図示した工具を、熱可塑性ポリマーを含浸させたプライを含むプリフォームの固結のためにも使用できることを理解するだろう。
【0102】
以上の説明及び実施形態は、本発明が意図した目的を達成し、複雑なドレーピング又は深絞り加工技法に頼ることなく、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーを予め含浸させた繊維プライから、深い深絞り加工部を有する四角形シェルの形態の、連続繊維で補強された複合部品を得ることができることを示している。
【0103】
従って本発明の方法は、旅行かばん製品等の一般消費財の大量生産におけるこのような部品の獲得に適合される。
【国際調査報告】