(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(54)【発明の名称】1p36欠失症候群の治療的処置のためのガボキサドール
(51)【国際特許分類】
A61K 31/437 20060101AFI20230217BHJP
A61K 9/22 20060101ALI20230217BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
A61K31/437
A61K9/22
A61P43/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537866
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 US2020065801
(87)【国際公開番号】W WO2021127308
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516365758
【氏名又は名称】オービッド・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ovid Therapeutics Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221534
【氏名又は名称】藤本 志穂
(72)【発明者】
【氏名】デューリング,マシュー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA38
4C076AA94
4C076BB01
4C076FF06
4C076FF31
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA12
4C086ZC54
(57)【要約】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む、1p36欠失症候群を処置するための方法および医薬組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約20mg~約50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を、処置を必要とする患者に投与することを含む、1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項2】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を1日1回投与する、請求項1に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項3】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を1日2回投与する、請求項1に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項4】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を1日3回投与する、請求項1に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項5】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を従来の剤形で投与する、請求項1に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項6】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を口腔内崩壊剤形で投与する、請求項1に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項7】
約50mg~約250mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、処置を必要とする患者に投与することを含む、1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項8】
医薬組成物が徐放性剤形である、請求項7に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項9】
徐放性剤形が、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を投与後6時間以上放出する、請求項8に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項10】
医薬組成物が遅放性剤形である、請求項7に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項11】
医薬組成物がパルス放出剤形である、請求項7に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項12】
徐放性剤形が、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を投与後12時間以上放出する、請求項8に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項13】
約1mg~約50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を、生後1か月~18歳であって処置を必要とする患者に投与することを含む、1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項14】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を1日1回投与する、請求項13に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項15】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を1日2回投与する、請求項13に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項16】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を1日3回投与する、請求項13に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項17】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を従来の剤形で投与する、請求項13に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項18】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を口腔内崩壊剤形で投与する、請求項13に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項19】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を徐放性剤形で投与する、請求項13に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項20】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を遅放性剤形で投与する、請求項13に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項21】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩をパルス放出剤形で投与する、請求項13に記載の1p36欠失症候群を処置する方法。
【請求項22】
20mg~50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩、および医薬的に許容される担体を含む、1p36欠失症候群の処置のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年12月18日出願の米国仮出願第62/949,551号に基づく利益および優先権を主張し、当該出願は、出典明示により全体として本明細書の一部とする。
【0002】
(発明の分野)
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩での1p36欠失症候群の処置を提供する。
【背景技術】
【0003】
ガボキサドール(4,5,6,7-テトラヒドロイソキサゾロ[5,4-c]ピリジン-3-オール)(THIP)は、欧州特許第0000338号、欧州特許第0840601号、米国特許第4,278,676号、米国特許第4,362,731号、米国特許第4,353,910号および国際公開第2005/094820号に記載されている。ガボキサドールは、δサブユニット含有GABAA受容体を優先する選択的GABAA受容体アゴニストである。ガボキサドールは、視床、海馬および小脳での解剖学的分布がより制限されており、主にシナプス外の位置にある、α4、α6およびδのサブユニットを含むGABA受容体のアゴニストである。ガボキサドールは、α4βδおよびα6βδGABAA受容体、すなわち、シナプス抑制性シナプス後電流ではなく、緊張性抑制性コンダクタンスに寄与するベンゾジアゼピン非感受性受容体で最大の効力を発揮する。したがって、ガボキサドールの作用様式および効果は、ベンゾジアゼピン受容体アゴニストのものとは異なる。シナプス外GABA受容体は、低濃度のGABAに感受性があり、ゆっくりと脱感作され、その活性化は、持続的なニューロン効果を誘発し得る。錠剤やカプセル剤などの従来の医薬組成物では、ガボキサドールは急速に吸収され、30分以内にピーク濃度に達し、半減期は約1.5~2時間である。ガボキサドールは、pKa値が4.3(酸性)および8.3(塩基性)で、logPが0.61の双性イオンである。ガボキサドールは溶解性が高く、生理的pH範囲で30mg/mLを超える。
【0004】
1980年代初頭、ガボキサドールは、鎮痛剤および抗不安剤、ならびに遅発性ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病および痙縮のための処置剤としてその有効性を試験する一連のパイロット研究の対象であった。1990年代、ガボキサドールは、不眠症の処置のための後期開発に移行した。当該化合物が3ヵ月の有効性試験において睡眠開始および睡眠維持に顕著な効果を示さなかった後に、開発は中止された。また、ガボキサドールを受けた薬物濫用の病歴を有する患者は、精神的有害事象の急激な増加を経験した。
【0005】
1p36欠失症候群は、1p36モノソミーとしても知られ、1番染色体の短腕(p)の特定の領域からの遺伝物質の欠失によって引き起こされる染色体障害である。National Institutes of Health, US National Library of Medicine, Genetics Home Reference, https://ghr.nlm.nih.gov/condition/1p36-deletion-syndrome参照。染色体1p36の欠失は、新生児の約5,000人に1人に影響を及ぼし、ヒトで最も一般的な末端染色体欠失を構成する。Jordan et al., The Application of Clinical Genetics 2015:8 189-200参照。1p36欠失に関連する特徴的な機能障害、先天異常および身体的特徴のパターンが明らかになった。同書。このパターンには、発達遅滞、知的障害、発作、視覚障害、難聴、低身長、脳の異常、口唇裂口蓋裂、先天性心疾患、心筋症、腎異常、特徴的な顔貌-まっすぐな眉毛、くぼんだ目、顔面中部後退、幅広でくぼんだ鼻梁、長い人中、尖った顎、大型の後期閉鎖大泉門、小短頭、上眼角襞、および後方回転した低位の異常な耳が含まれる。同書。このパターンを定義することで、1p36欠失症候群は臨床的に認識可能な存在になった。同書。
【0006】
上記のNational Institutes of Healthによれば、1p36欠失症候群は典型的に重度の知的障害を引き起こす。ほとんどの罹患者は、何も話さないか、またはほんの数語しか話せない。彼らは癇癪を起こしたり、自分を噛むなどの自傷行為をしたり、他の行動障害を示したりすることがある。ほとんどが脳の構造異常を有しており、発作がこの障害を持つ人の半数以上で生じる。罹患者は通常、弱い筋緊張(筋緊張低下)と嚥下困難(嚥下障害)を示す。他の特徴としては、異常に短く幅の広い小さな頭;視覚および聴覚の問題;骨格、心臓、消化管系、腎臓または性器の異常;ならびに特徴的な顔貌が挙げられる。ほとんどの場合は遺伝せず;1p36欠失症候群の人の約20%のみが、罹患していない親からセグメントが欠失された染色体を受け継ぐ。次の遺伝子は、様々な1p36欠失症候群の表現型の発生に関与している:MMP23B、GABRD、SKI、PRDM16、KCNAB2、RERE、UBE4B、CASZ1、PDPN、SPEN、ECE1、HSPG2およびLUZP1。上記Jordanら参照。
【0007】
1p36欠失症候群の治療法は存在しない。処置は、疾患の症状を緩和することに焦点を当てている。1p36欠失症候群の効果的な処置が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩での1p36欠失症候群の処置を提供する。一実施態様において、約5mg~約50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を1p36欠失症候群の患者に投与する。一実施態様において、約5mg~約50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を1日2回1p36欠失症候群の患者に投与する。一実施態様において、約5mg~約50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を1日3回1p36欠失症候群の患者に投与する。一実施態様において、約5mg~約50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を1p36欠失症候群の患者に投与する。
【0009】
一実施態様において、1p36欠失症候群の処置方法は、約20mg~約50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を、処置を必要とする患者に投与することを含む。一実施態様において、1p36欠失症候群の処置方法は、約20mg~約50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を、1日1回、2回または3回、処置を必要とする患者に投与することを含む。一実施態様において、1p36欠失症候群の処置方法は、約50mg~約250mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、処置を必要とする患者に投与することを含む。
【0010】
一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、1p36欠失症候群を処置するための医薬組成物を製造するのに用いられる。本明細書における医薬組成物は、従来の剤形および調節放出剤形を含む。一実施態様において、医薬組成物は、口腔内崩壊剤形である。一実施態様において、医薬組成物は、徐放性剤形である。一実施態様において、徐放性剤形は、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を投与後6時間以上放出する。一実施態様において、徐放性剤形は、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を投与後12時間以上放出する。一実施態様において、医薬組成物は、遅放性剤形である。一実施態様において、医薬組成物は、パルス放出剤形である。
【0011】
一実施態様において、1p36欠失症候群の処置は、約1mg~約50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を、生後1か月~18歳であって処置を必要とする患者に投与することを含む。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩での1p36欠失症候群の処置は、1p36欠失症候群の1つ以上の症状を軽減または緩和させる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を、処置を必要とする患者に投与することにより1p36欠失症候群を処置する方法を提供する。また、1p36欠失症候群を処置するのに用いられる、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を、処置を必要とする患者に投与することを含む1p36欠失症候群を処置するための医薬組成物または方法を本明細書で説明する。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む従来の医薬組成物を、処置を必要とする患者に投与することを含む1p36欠失症候群を処置するための医薬組成物または方法を本明細書で説明する。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む調節放出医薬組成物を、処置を必要とする患者に投与することを含む1p36欠失症候群を処置するための医薬組成物または方法を本明細書で説明する。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む経皮医薬組成物を、処置を必要とする患者に投与することを含む1p36欠失症候群を処置するための医薬組成物または方法を本明細書で説明する。
【0013】
上記のように、特定の遺伝子は、様々な1p36欠失症候群の表現型の発生に関与している。γアミノ酪酸(GABA)A受容体、Δ遺伝子(GABRD; chr1:1,950,768-1,962,192; OMIM# 137163)のハプロ不全は、1p36が欠失した子供に見られる神経発達異常、神経精神的問題および発作の原因となる可能性があると示唆されている。Jordan et al., supraを参照。したがって、1p36欠失症候群の幼児のほとんどは、発話および運動能力の発達が遅れている。発話は深刻な影響を受け得て、多くの子供は数語しか学習できないか、またはまったく発話できなかったりする。行動障害も一般的であり、怒りの爆発、物を叩くまたは投げる、人を殴る、叫ぶおよび自傷行為(手首を噛む、頭を殴る/叩く)が挙げられる。罹患者のかなりの割合が自閉症スペクトラムにあり、多くの人が反復的または儀式的な動き、姿勢または発話である常同運動症を示す。常同運動症は、体を揺らすなどの単純な動き、または自己愛撫、脚を組んだりほどいたりするおよび足踏みなどの複雑な動きであり得る。本明細書に記載のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の比較的高用量による1p36欠失症候群の処置は、1p36欠失症候群の上記症状の1つ以上を軽減または緩和し得る。
【0014】
有効量のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を、処置を必要とする患者に投与することにより1p36欠失症候群を処置する方法を提供する。有効量または治療上有効量は、1p36欠失症候群の1つ以上の症状を処置する、抑制するまたは軽減する、例えば発作の頻度または重症度を軽減する、行動障害を軽減する(または他の行動を改善する)、常同運動を軽減する;あるいは所望の薬理学的および/または生理学的効果を提供する、例えば1p36欠失症候群の根底にある行理学的メカニズムの1つ以上を軽減する、抑制するまたは反転させるのに十分な用量であり得る。正確な用量は、様々な因子、例えば対象体に依存する変数(例えば、年齢、免疫系の健康状態、臨床症状など)によって変化する。
【0015】
多くの医薬品は、治療効果を達成するために、一定間隔で固定投与量として投与される。作用の持続時間は、典型的には、薬物投与後の血漿半減期に反映する。ガボキサドールの半減期は、比較的短い(t1/2=1.5~2時間)。有効性は、作用の速やかな発現および中枢神経系内での十分な曝露にしばしば依存するため、半減期の短いCNS薬の投与は、頻繁な維持投与を必要とし得る。
【0016】
異なる臨床状況は、しばしば異なる治療アプローチを必要とする。例えば、1p36欠失症候群に起因する急性の症候性エピソードの処置は、急性症状の速やかな緩和のために作用の速やかな発現を容易にする剤形を必要とし得る。例えば、発作、自傷行為または重度のてんかんを軽減または緩和するために即時性が必要である。薬物の静脈内投与などの非経腸投与は、典型的には、例えば、薬物が吸収される前に飲み込まれ、胃で崩壊されなければならない従来の錠剤またはカプセル剤の組成物より速やかな作用の発現をもたらす。しかしながら、非経腸投与は、非臨床的環境では不便であり得る。
【0017】
従来(非調節)剤形は、患者におけるガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の吸収速度、吸収速度、作用の発現、Cmaxおよび/またはTmaxを実質的に変更または妨害する製剤を含まないか、またはそれら成分を組み込んでいない。一実施態様において、従来の経口剤形は、固形剤形、例えば錠剤、カプレット剤、硬ゼラチンカプセル剤、デンプンカプセル剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル剤または軟腸溶性ゼラチンカプセル剤である。一実施態様において、従来の経口剤形は、液体、例えばシロップ剤、懸濁剤または液剤であり得る。従来の経口剤形、例えば錠剤、カプレット剤またはカプセルは、錠剤、カプレット剤またはカプセル剤の殻が溶解するため、典型的には胃または腸管へ医薬を放出する。直腸または膣投与のための坐剤もまた、従来の剤形である。従来の剤形は、安全かつ有効と考えられる材料で構成される医薬的に許容される「担体」を用いて製造され得る。「担体」は、1つまたは複数の活性成分以外の医薬製剤に存在すべての構成成分を含む。用語「担体」は、希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤およびコーティング組成物を含むが、これらに限定されない。一実施態様において、従来の剤形は、非経腸製剤、例えば、注射もしくは点滴のための液剤、懸濁剤もしくは乳剤、または注射もしくは点滴のための粉末剤であり得る。当業者は、従来の剤形の製造に精通している。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 22nd revised edition, Pharmaceutical Press, 2012参照。
【0018】
一実施態様において、約1mg~約50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む、従来の剤形である1p36欠失症候群を処置するための医薬組成物を提供する。例えば、従来の剤形は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg 6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mgまたは50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含み得る。一実施態様において、組成物は、患者への組成物の投与後6時間超、患者における1p36欠失症候群の症状の改善を提供する。
【0019】
一実施態様において、小児(1歳~18歳)または成人の単回用量として投与される1p36欠失症候群を群を処置するための比較的高用量は、例えば、約5mg~約10mg、約15mg~約20mg、約15mg~約25mg、約15mg~約30mg、約15mg~約35mg、約15mg~約40mg、約15mg~約45mg、約15mg~約50mg、約15mg~約55mg、約15mg~約60mg、約15mg~約65mg、約15mg~約70mg、約15mg~約75mg、約20mg~約25mg、約20mg~約30mg、約20mg~約35mg、約20mg~約40mg、約20mg~約45mg、約20mg~約50mg、約20mg~約55mg、約20mg~約60mg、約20mg~約65mg、約20mg~約70mg、約20mg~約75mg、約25mg~約30mg、約25mg~約35mg、約25mg~約40mg、約25mg~約45mg、約25mg~約50mg、約25mg~約55mg、約25mg~約60mg、約25mg~約65mg、約25mg~約70mg、約25mg~約75mg、約30mg~約35mg、約30mg~約40mg、約30mg~約45mg、約30mg~約50mg、約30mg~約55mg、約30mg~約60mg、約30mg~約65mg、約30mg~約70mg、約30mg~約75mg、約35mg~約40mg、約35mg~約45mg、約35mg~約50mg、約35mg~約55mg、約35mg~約60mg、約35mg~約65mg、約35mg~約70mg、約35mg~約75mg、約40mg~約45mg、約40mg~約50mg、約40mg~約55mg、約40mg~約60mg、約40mg~約65mg、約40mg~約70mg、約40mg~約75mg、約45mg~約50mg、約45mg~約55mg、約45mg~約60mg、約45mg~約65mg、約45mg~約70mg、約45mg~約75mg、約50mg~約55mg、約50mg~約60mg、約50mg~約65mg、約50mg~約50mgまたは約50mg~約75mgの範囲のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を含み得る。
【0020】
1p36欠失症候群を処置するためのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の比較的高い小児(年齢および/または体重に依存する)または成人の単回用量は、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mgまたは75mgである。
【0021】
典型的には、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の用量は、それを必要とする患者に1日1回、1日2回または1日3回投与される。本明細書に記載の方法および組成物は、投与頻度の減少および有害事象の減少および/または有効性の増加を提供し得る。一実施態様において、用量は、例えば、10mg~150mg/日、15mg~150mg/日、20mg~150mg/日、25mg~150mg/日、30mg~150mg/日、35mg~150mg/日、40mg~150mg/日、45mg~150mg/日、50mg~150mg/日、55mg~150mg/日、60mg~150mg/日、65mg~150mg/日、70mg~150mg/日、75mg~150mg/日、80mg~150mg/日、85mg~150mg/日、90mg~150mg/日、95mg~150mg/日、100mg~150mg/日、105mg~150mg/日、110mg~150mg/日、115mg~150mg/日、120mg~150mg/日、125mg~150mg/日、130mg~150mg/日、135mg~150mg/日、140mg~150mg/日、145mg~150mg/日、15mg~225mg/日、20mg~225mg/日、25mg~225mg/日、30mg~225mg/日、35mg~225mg/日、40mg~225mg/日、45mg~225mg/日、50mg~225mg/日、55mg~225mg/日、60mg~225mg/日、65mg~225mg/日、70mg~225mg/日、75mg~225mg/日、80mg~225mg/日、85mg~225mg/日、90mg~225mg/日、95mg~225mg/日、100mg~225mg/日、105mg~225mg/日、110mg~225mg/日、115mg~225mg/日、120mg~225mg/日、125mg~225mg/日、130mg~225mg/日、135mg~225mg/日、140mg~225mg/日、145mg~225mg/日、150mg~225mg/日、155mg~225mg/日、160mg~225mg/日、165mg~225mg/日、170mg~225mg/日、175mg~225mg/日、180mg~225mg/日、185mg~225mg/日、190mg~225mg/日、200mg~225mg/日、205mg~225mg/日、210mg~225mg/日、215mg~225mg/日または220mg~225mg/日である。例えば、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、30mg/日、35mg/日、40mg/日、45mg/日、50mg/日、55mg/日、60mg/日、65mg/日、70mg/日、75mg/日、80mg/日、85mg/日、90mg/日、100mg/日、105mg/日、115mg/日、120mg/日、125mg/日、130mg/日、135mg/日、140mg/日、145mg/日、150mg/日、155mg/日、160mg/日、165mg/日、170mg/日、175mg/日、180mg/日、190mg/日、195mg/日、200mg/日、205mg/日、210mg/日、215mg/日、220mg/日または225mg/日投与され得る。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mgの用量にて1p36欠失症候群の乳児(1か月~6か月)に1日1回、2回または3回投与される。小児(生後6か月~12歳)の用量は、2mg/日から上記で示した量のいずれかまでの範囲であり得て、より多くの量がより年長の子供に与えられ得る。思春期(12歳~18歳)は、10mg/日から上記で示した量のいずれかまでの範囲であり得て、より多くの量がより年長の子供に与えられ得る。
【0022】
本明細書における調節放出(MR)剤形は、患者へのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の放出を調製する製剤または成分を含む。調節放出剤形からの薬物放出のパターンは、所望の治療目的および/または良好な患者コンプライアンスを達成するために、従来の剤形から意図的に変更される。MR剤形は、作用の迅速な発現、作用の遅い発現、作用の持続的な発現、作用のパルス発現を可能にし、または上記の組合せを提供し得る。したがって、MR剤形の種類には、1)即時放出を提供する口腔内崩壊剤形(ODDF)、2)徐放性剤形、3)遅放性剤形(例えば腸溶コーティング)、4)パルス放出剤形、および5)上記の組合せが含まれる。一実施態様において、上記の組合せは、例えば、即放性と徐放性の両方、即放性と遅放性の両方、または本質的にパルス性である即放性と徐放性を提供し得る。したがって、従来の剤形と比較して、調節放出剤形は、患者におけるガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の吸収速度、作用の発現、Cmaxおよび/またはTmaxを増加または減少させ得る。
【0023】
作用の速やかな発現を提供する調節放出剤形、例えばODDF、例えば本明細書に記載の口腔内崩壊錠(「ODT」)または口腔内崩壊フィルム剤(「ODF」)は、ガボキサドールを口内の舌下または頬粘膜(口腔粘膜)にガボキサドールを有利に放出し、作用の速やかな発現ならびにより早いCmaxおよび/またはTmaxを生じさせることできる。ガボキサドールが舌および/または頬の下の粘膜と接触すると、血流に直接吸収され、それ故に消化管を回避する。これは、上皮の下の結合組織が、薬物が拡散して、これにより静脈循環に入る毛細血管の豊富なネットワークを含むためである。対照的に、消化管で吸収される物質は、全身循環に入る前に肝臓で初回通過代謝を受ける。初回通過代謝を回避することは、この経路が、シナプス外GABAAアゴニスト作用を発揮する脳にガボキサドールを直接輸送するため、作用の速やかな発現が望ましいとき、従来の経口投与よりも好ましい場合がある。
【0024】
症状が長期的または慢性的であるような他の臨床状況では、1p36欠失症候群の症状の持続的な処置につながる血流中でガボキサドールの比較的一定の持続的なレベルを維持することが望ましい場合がある。発現が速いが、ガボキサドールの半減期が短いために作用の持続時間が持続しないガボキサドールを含むODDFとは対照的に、徐放性プロファイルを有する本明細書における調節放出剤形は、1日を通して繰り返し投与する必要のない症状緩和時間の持続を提供する、治療レベルのガボキサドールの持続を提供する。以下でより詳細に議論されるように、特定の持続的緩和剤形は経口投与され、初回通過代謝を受ける消化管で吸収される。
【0025】
一実施態様において、医薬ODDF組成物、例えば本明細書におけるODFまたはODTは、20分以下のTmaxを含む薬物動態特性をもたらすガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の即時放出を提供する。一実施態様において、本明細書における医薬組成物は、20分以下のTmax、19分以下のTmax、18分以下のTmax、17分以下のTmax、16分以下のTmax、15分以下のTmax、14分以下のTmax、13分以下のTmax、12分以下のTmax、11分以下のTmax、10分以下のTmax、9分以下のTmax、8分以下のTmax、7分以下のTmax、6分以下のTmaxまたは5分以下のTmaxを提供する。
【0026】
ODDFは、舌の上、舌の下または頬側に置くと、通常は数秒以内に急速に崩壊する医薬物質または活性成分を含む固体剤形である。ODDFの崩壊時間は、一般には1または2秒から約1分の範囲である。ODDFは、唾液と接触すると急速に崩壊または溶出するように設計されている。この投与様式は、身体障害によるものかまたは精神疾患によるものかにかかわらず、錠剤の嚥下に問題を有し得る患者に有益であり得る。1p36欠失症候群の患者は、このような行動を示し得る。また、本明細書におけるODDFは、1p36欠失症候群に関連する急性症状の急速な緩和または停止を提供し得る作用の速やかな発現を提供する。一実施態様において、口腔に投与された場合、本明細書におけるODDFは、1分未満、55秒未満、50秒未満、45秒未満、40秒未満、35秒未満、30秒未満、25秒未満、20秒未満、15秒未満、10秒未満または5秒未満で崩壊する。
【0027】
ODTは、舌の上、舌の下または頬側に置くと、通常は数秒以内に急速に崩壊する医薬物質または活性成分を含む固体剤形である。ODTの崩壊時間は、一般には数秒から約1分の範囲である。ODTは、唾液と接触すると急速に崩壊または溶出するように設計されており、それ故に錠剤を噛んだり、そのまま錠剤を飲み込んだり、または錠剤を液体と共に服用する必要性を排除する。一般的なODDFと同様に、この投与様式は、身体障害によるものかまたは精神疾患によるものかにかかわらず、錠剤の嚥下に問題を有し得る患者に有益であり得る。1p36欠失症候群の患者は、このような行動を示し得る。また、本明細書におけるODTは、1p36欠失症候群に関連する急性症状の急速な緩和または停止をもたらし得る作用の速やかな発現を提供する。一実施態様において、本明細書におけるODTは、例えば2008年8月1日付のRevision Bulletin Officialのセクション701に記載されている米国薬局方(USP)の崩壊試験法に基づいて、1分未満、55秒未満、50秒未満、45秒未満、40秒未満、35秒未満、30秒未満、25秒未満、20秒未満、15秒未満、10秒未満または5秒未満で崩壊する。
【0028】
一実施態様において、ODTの速崩壊特性は、錠剤マトリックスへの水の迅速な侵入を必要とする。これは、錠剤の多孔性構造を最大化し、適切な崩壊剤を組み込み、製剤に水溶性の高い添加剤を使用することにより達成し得る。ODTで用いられる添加剤は、典型的には、少なくとも1つの超崩壊剤(ウィッキング、膨潤、またはその両方のメカニズムを有し得る)、希釈剤、潤滑剤、および所望により膨潤剤、甘味剤および香料を含む。Nagar et al., Journal of Applied Pharmaceutical Science, 2011;01(04):35-45参照(出典明示により本明細書の一部とする)。超崩壊剤は、合成、天然および共処理に分類し得る。本明細書において、合成超崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、部分アルファ化デンプン、架橋アルギン酸および修飾樹脂によって例示され得る。天然超崩壊剤は加工粘液であり、ガムは植物から得られ、レピジウム・サティバム(Lepidium sativum)種子粘液、バナナ粉末、ジェランガム、イナゴ豆ガム、キサンタンガム、グアーガム、カラヤガム、カッシア・フィスツラ(cassia fistula)種子ガム、マンギフェラインディカ(mangifera indica)ガム、カラギーナン、ゲリジウム・アマンシイ(Gelidium amansii)および他の赤藻類からの寒天、大豆多糖類およびキトサンによって例示され得る。希釈剤は、例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウムなどを含み得る。滑沢剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどを含み得る。当業者は、ODT製造技術に精通している。
【0029】
本明細書で用いられ得る他のODDFには、口腔への投与後直ぐに、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩などの薬物を放出する、薄い経口ストリップであるODFが含まれる。フィルム剤が、患者の舌の上、舌の下、頬側またはその他の粘膜表面に置かれ、唾液により直ぐに濡れ、それによりフィルム剤は、急速に水和し、崩壊して、薬物を放出する。例えばChaturvedi et al., Curr Drug Deliv. 2011 Jul;8(4):373-80参照。Fastcapは、ゼラチンカプセルに基づく急速崩壊性薬物送達システムである。従来の硬ゼラチンカプセルとは対照的に、Fastcapは、ゲル強度の低いゲル化剤と、カプセルシェルの機械的特性および崩壊特性を改善するための様々な添加剤からなる。Fastcapは、本明細書において口腔内崩壊カプセル剤とも称する。例えばCiper and Bodmeier, Int J Pharm. 2005 Oct 13;303(1-2):62-71参照。凍結乾燥ウエハー(口腔内崩壊ウエハー剤とも称する)は、医薬物質を含む急速に崩壊する薄いマトリックスである。例えばBoateng et al., Int J Pharm. 2010 Apr 15;389(1-2):24-31参照。ウエハー剤またはフィルム剤は、口腔で急速に崩壊し、唾液中に溶解または分散する薬物を放出する。当業者は、ODDFの製造に利用される様々な技術、例えば凍結乾燥、噴霧乾燥、相転移処理、溶融造粒、昇華、大量押出、綿菓子処理、直接圧縮に精通している。例えば上記Nagar et al.参照。
【0030】
投与されると、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含むODDFは、急速に崩壊して、唾液中に溶解または分散する薬物を放出する。薬物は、口腔内で、例えば舌下、頬側、咽頭および食道から、または唾液が下に移動するときに消化管の他の部分から吸収され得る。このような場合、バイオアベイラビリティは、薬物が放出され得る胃または腸へ移動する従来の錠剤またはカプセル剤の投与形態から観察されるものより著しく大きくなり得る。
【0031】
一実施態様において、ODDFの投与の約4時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、投与された用量より約65%~約85%少ない。一実施態様において、ODDFの投与の約4時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、投与された用量の65%、70%、75%、80%または85%未満である。
【0032】
一実施態様において、約1mg~約50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む、1p36欠失症候群を処置するためのODDFを提供する。例えば、ODDFは、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg 6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mgまたは50mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含み得る。一実施態様において、ODDFは、患者への組成物の投与後6時間超、患者における1p36欠失症候群の症状の改善を提供する。
【0033】
一実施態様において、小児または成人の単回ODDFとして投与される1p36欠失症候群を処置するための比較的高用量は、例えば、約5mg~約20mg、約10mg~約20mg、約15mg~約20mg、約15mg~約25mg、約15mg~約30mg、約15mg~約35mg、約15mg~約40mg、約15mg~約45mg、約15mg~約50mg、約15mg~約55mg、約15mg~約60mg、約15mg~約65mg、約15mg~約70mg、約15mg~約75mg、約20mg~約25mg、約20mg~約30mg、約20mg~約35mg、約20mg~約40mg、約20mg~約45mg、約20mg~約50mg、約20mg~約55mg、約20mg~約60mg、約20mg~約65mg、約20mg~約70mg、約20mg~約75mg、約25mg~約30mg、約25mg~約35mg、約25mg~約40mg、約25mg~約45mg、約25mg~約50mg、約25mg~約55mg、約25mg~約60mg、約25mg~約65mg、約25mg~約70mg、約25mg~約75mg、約30mg~約35mg、約30mg~約40mg、約30mg~約45mg、約30mg~約50mg、約30mg~約55mg、約30mg~約60mg、約30mg~約65mg、約30mg~約70mg、約30mg~約75mg、約35mg~約40mg、約35mg~約45mg、約35mg~約50mg、約35mg~約55mg、約35mg~約60mg、約35mg~約65mg、約35mg~約70mg、約35mg~約75mg、約40mg~約45mg、約40mg~約50mg、約40mg~約55mg、約40mg~約60mg、約40mg~約65mg、約40mg~約70mg、約40mg~約75mg、約45mg~約50mg、約45mg~約55mg、約45mg~約60mg、約45mg~約65mg、約45mg~約70mg、約45mg~約75mg、約50mg~約55mg、約50mg~約60mg、約50mg~約65mg、約50mg~約50mgまたは約50mg~約75mgの範囲のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を含み得る。
【0034】
1p36欠失症候群を処置するためのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の比較的高い小児または成人の単回ODDF用量の例は、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mgまたは75mgである。
【0035】
典型的には、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩のODDF用量は、それを必要とする患者に1日1回、1日2回または1日3回投与される。本明細書に記載の方法および組成物は、投与頻度の減少および有害事象の減少および/または有効性の増加を提供し得る。一実施態様において、ODDFによって送達される用量は、例えば、約15mg~約225mg/日、約20mg~約225mg/日、約25mg~約225mg/日、約30mg~約225mg/日、約35mg~約225mg/日、約40mg~約225mg/日、約45mg~約225mg/日、約50mg~約225mg/日、約55mg~約225mg/日、約60mg~約225mg/日、約65mg~約225mg/日、約70mg~約225mg/日、約75mg~約225mg/日、約80mg~約225mg/日、約85mg~約225mg/日、約90mg~約225mg/日、約95mg~約225mg/日、約100mg~約225mg/日、約105mg~約225mg/日、約110mg~約225mg/日、約115mg~約225mg/日、約120mg~約225mg/日、約125mg~約225mg/日、約130mg~約225mg/日、約135mg~約225mg/日、約140mg~約225mg/日、約145mg~約225mg/日、約150mg~約225mg/日、約155mg~約225mg/日、約160mg~約225mg/日、約165mg~約225mg/日、約170mg~約225mg/日、約175mg~約225mg/日、約180mg~約225mg/日、約185mg~約225mg/日、約190mg~約225mg/日、約200mg~約225mg/日、約205mg~約225mg/日、約210mg~約225mg/日、約215mg~約225mg/日または約220mg~約225mg/日である。例えば、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、15mg/日、20mg/日、25mg/日、30mg/日、35mg/日、40mg/日、45mg/日、50mg/日、55mg/日、60mg/日、65mg/日、70mg/日、75mg/日、80mg/日、85mg/日、90mg/日、100mg/日、105mg/日、115mg/日、120mg/日、125mg/日、130mg/日、135mg/日、140mg/日、145mg/日、150mg/日、155mg/日、160mg/日、165mg/日、170mg/日、1755mg/日、180mg/日、190mg/日、195mg/日、200mg/日、205mg/日、210mg/日、215mg/日、220mg/日または225mg/日投与され得る。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含むODDFは、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の用量にて1p36欠失症候群の乳児に1日1回、2回または3回投与される。
【0036】
一実施態様において、本明細書におけるODDFは、約2500ng/ml、約2000ng/ml、約1750ng/ml、約1500ng/ml、約1250ng/ml、約1000ng/ml、約750ng/ml、約500ng/ml、約450ng/ml、約400ng/ml、約350ng/ml、約300ng/ml、約250ng/ml、約200ng/ml、約150ng/ml、約100ng/ml、約50ng/mlまたは約25ng/ml未満のCmaxを有するインビボ血漿プロファイルを提供する。一実施態様において、本明細書におけるODDFは、例えば約900ng・hr/ml、約850ng・hr/ml、約800ng・hr/ml、約750ng・hr/ml、約700ng・hr/ml、約650ng・hr/ml、約600ng・hr/ml、約550ng・hr/ml、約500ng・hr/mlまたは約450ng・hr/ml未満のAUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する。一実施態様において、本明細書におけるODDFは、例えば約400ng・hr/ml、約350ng・hr/ml、約300ng・hr/ml、約250ng・hr/mlまたは約200ng・hr/ml未満のAUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する。一実施態様において、本明細書におけるODDFは、例えば約150ng・hr/ml、約100ng・hr/ml、約75ng・hr/mlまたは約50ng・hr/ml未満のAUC0-∞を有するインビボ血漿プロファイルを提供する。
【0037】
一実施態様において、調節放出プロファイルを有する医薬製剤は、速やかな発現および作用時間の持続の両方をもたらす薬物動態特性を提供する。このような医薬製剤は、即放性の側面および徐放性(sustained release)または徐放性(extended release)の側面を備える。持続(sustained)または持続(extended)は本明細書で相互交換可能に用いられる。即放性の側面は、ODDFに関連して上記で説明されている。徐放性の剤形(ERDF)は、徐放性プロファイルを有し、従来の剤形、例えば液剤または放出非調節剤形により提供されるものと比較して投与頻度の低減を可能にするものである。ERDFは、薬物の作用時間の持続を提供する。一実施態様において、本明細書における放出調節剤形は、負荷投与量の即時放出を提供するODDFの側面と、薬物の単位用量の摂取により生じる所望の時間、所望の治療範囲内に血中の薬物レベルを維持するための持続放出を提供するERDFの側面を組み込み得る。一実施態様において、ODDFの側面は薬物を即時に放出し、その後、ERDFの側面は持続作用のために薬物の連続放出を提供する。一実施態様において、ERDFは、ODDFの側面と組み合わされず、単独の剤形として投与され得る。
【0038】
一実施態様において、即放性の側面は、上記のTmaxを達成する。一実施態様において、徐放性の側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約100%の、医薬製剤の投与後約4時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約4時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、徐放性の側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約6時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約6時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、徐放性の側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約8時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約8時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、徐放性の側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約10時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約10時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、徐放性の側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約12時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約12時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。
【0039】
一実施態様において、ODDFは、ERDF上のコーティングまたはバンドとして、またはERDFに隣接する層として適用され、口腔へのODDFの直接曝露およびその結果としてのODDFの崩壊を可能にする。一実施態様において、ODDFおよびERDFは、チュアブル樹脂、例えばガムに混合し得る。当業者は、コーティング、バンドおよび層を適用して医薬剤形を製造するための技術に精通している。ERDFは、ODDFの側面なしに投与され得ることを理解されたい。
【0040】
徐放性プロファイルを提供する適切な製剤は当該技術分野で周知である。例えば、コーティングされた徐放性ビーズまたは顆粒(「ビーズ」および「顆粒」は本明細書において相互交換可能に用いられる)では、例えば、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩が、ビーズ、例えば製菓用ノンパレイルビーズに適用され、その後、ワックス、腸溶コーティングなどの従来の放出遅延(retarding)材料でコーティングされる。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩が材料と混合されて、薬物が浸出する塊を提供する、ビーズが形成され得る。一実施態様において、ビーズは、異なる材料を用いてコーティングまたは質量の特性、例えば厚さ、多孔性を変化させることにより、異なる放出速度を提供するように設計され得る。異なる放出速度を有するビーズは、単一の剤形中に組み合されて、可変または連続した放出を提供し得る。ビーズは、カプセル剤に含まれてもよく、あるいは錠剤へ打錠されてもよい。一実施態様において、ODDFは、コーティング、層またはバンドとしてカプセル剤または錠剤に適用される。一実施態様において、錠剤またはカプセル剤に組み込まれる徐放性コアはまた、徐放性プロファイルを提供し得る。例えば、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、消化管から吸収されないが浸出による薬物のゆっくりとした溶解または損失が可能な物質または物質の混合物、および例えば圧縮または噴霧によりコアに適用される外側のODDF層に混合され得る。一実施態様において、徐放性プロファイルは、各層が異なる放出特性を有する多層錠により提供され得る。多層打錠機は、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を異なる速度で放出させるように製造され得る、2層以上の別個の層を有する1錠に組み込むことを可能にする。例えば、1層以上の外層はODDFであり得て、他の各層が異なる放出速度を示すERDFであり得る。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、徐放性プロファイルを提供する多孔性不活性担体に組み込まれる。一実施態様において、多孔性不活性担体は、薬物が周囲の流体に拡散するチャネルまたは流路を組み込んでいる。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、徐放性プロファイルを提供するイオン交換樹脂に組み込まれる。持続作用は、薬物-樹脂複合体が胃腸液およびそこに溶解したイオン成分と接触したとき、所定の速度で薬物が樹脂から放出されることにより生じる。一実施態様において、膜は、薬物含有リザーバーからの放出速度を制御するために利用される。一実施態様において、液製剤はまた、徐放性プロファイルを提供するために利用され得る。例えば、粒子が溶解しない液相全体に分散した固体粒子からなる液製剤である。懸濁液は、従来の剤形(例えば液剤または即時薬物放出の従来の固形剤形)として存在する薬物と比較して投与頻度を少なくとも低減できるように製剤化される。例えば、イオン交換樹脂成分またはマイクロビーズの懸濁液である。
【0041】
一実施態様において、吸収性または非吸収性ポリマーを用いてERDFを形成し得る。上記で説明したものおよび本明細書で利用できる他のものを含む様々なERDFは、当業者に公知である。例えばFu and Kao, Expert Opin Drug Deliv. 2010 Apr; 7(4): 429-444参照。
【0042】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量が経時的にゆっくり放出されるため、ERDFは、比較的多量のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含み得る。一実施態様において、約25mg~約250mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む、1p36欠失症候群を処置するためのERDFを提供する。例えば、ERDFは、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、100mg、105mg、110mg 115mg、120mg、125mg、130mg、135mg、140mg、145mg、150mg、155mg、160mg、165mg、170mg、175mg、180mg、185mg、190mg、195mg、200mg、205mg、210mg、215mg、220mg、225mg、230mg、235mg、240mg、245mgまたは250mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含み得る。一実施態様において、ERDFは、患者への組成物の投与後12時間超、患者における1p36欠失症候群の症状の改善を提供する。
【0043】
一実施態様において、本明細書における調節剤形は、遅延放出プロファイルを有する遅放性剤形を包含する。遅放性剤形は、遅放性錠剤、遅放性カプレット剤または遅放性カプセル剤を含み得る。遅放性錠剤は、薬物、例えばガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を、投与直後以外の時点で放出する固形剤形を含む。便宜上、カプレット剤は、本明細書における錠剤と称され得る。遅放性カプセル剤は、薬物が適切な形態のゼラチンでできた硬いまたは柔らかい可溶性の容器内に封入されおり、投与直後以外の時点で薬物を放出する固形剤形である。例えば、錠剤またはカプセル剤に関して、腸溶コーティングされたものは、遅放性剤形の例である。一実施態様において、遅放性錠剤は、投与直後以外の時点で薬物を放出する医薬粒子の集合体を含有する固形剤形である。一実施態様において、医薬粒子の集合体は、薬物の放出を遅延させるコーティングで覆われている。一実施態様において、遅放性カプセル剤は、投与直後以外の時点で薬物を放出する医薬粒子の集合体を含有する固形剤形である。一実施態様において、医薬粒子の集合体は、薬物の放出を遅延させるコーティングで覆われている。
【0044】
一実施態様において、遅放性剤形中に含まれるガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、従来の剤形が提供する量と同じである。一実施態様において、遅放性剤形中に含まれるガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、徐放性剤形が提供する量と同じである。
【0045】
一実施態様において、遅延放出製剤の側面を有するODDFが提供され、これは、舌の上に置かれると、通常は数秒以内に急速に崩壊するが、投与直後以外の時点で1つまたは複数の薬物も放出する医薬物質を含む固体剤形である。したがって、一実施態様において、本明細書における調節放出剤形は、負荷用量の即時放出を提供するためのODDFの側面と、薬物の負荷用量から生じる活性を超える、所望の期間所望の治療範囲内の血中の薬物レベルを提供するための、薬物送達がない期間とそれに続く薬物送達の期間を提供する遅放性製剤の側面を組み込む。一実施態様において、ODDFの側面は、薬物を直ちに放出し、そして、一定期間の遅延の後、遅延放出製剤の側面は、薬物の単回放出を提供して、追加の活性期間を提供する。一実施態様において、ODDFの側面は、薬物を直ちに放出し、そして、一定期間の遅延の後、遅延放出製剤の側面は、持続作用のための薬物の連続放出を提供する。
【0046】
一実施態様において、遅放性の側面を有するODDFの即放性の側面は、20分以下のTmax、19分以下のTmax、18分以下のTmax、17分以下のTmax、16分以下のTmax、15分以下のTmax、14分以下のTmax、13分以下のTmax、12分以下のTmax、11分以下のTmax、10分以下のTmax、9分以下のTmax、8分以下のTmax、7分以下のTmax、6分以下のTmaxまたは5分以下のTmaxを達成する。一実施態様において、遅放性の側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約1、2、3または4時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約1、2、3または4時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、遅放性製剤の側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約6時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約6時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、遅放性製剤の側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約8時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約8時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、遅放性製剤の側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約10時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約10時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、遅放性製剤の側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約12時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約12時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。
【0047】
遅放性剤形は、当業者に公知である。例えば、コーティングされた遅放性ビーズまたは顆粒(「ビーズ」および「顆粒」は本明細書において相互交換可能に用いられる)では、例えば、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩が、ビーズ、例えば製菓用ノンパレイルビーズに適用され、その後、ワックス、腸溶コーティングなどの従来の放出遅延(delaying)材料でコーティングされる。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩が材料と混合されて、薬物が浸出する塊を提供する、ビーズが形成され得る。一実施態様において、ビーズは、異なる材料を用いてコーティングまたは質量の特性、例えば厚さ、多孔性を変化させることにより、異なる放出速度を提供するように設計され得る。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の腸溶コーティング顆粒は、小腸で顆粒を放出する、腸溶コーティング錠またはカプセル剤中に含まれ得る。一実施態様において、顆粒は、コーティング顆粒が少なくも回腸に到達するまでそのままであり、その後結腸において薬物の遅延放出を提供する、コーティングを有する。適切な腸溶コーティング材料は、当該技術分野で周知であり、例えばEudragit(登録商標)コーティング、例えばメタクリル酸およびメタクリル酸メチルなどである。顆粒は、カプセル剤に含まれてもよく、あるいは錠剤へ打錠されてもよい。一実施態様において、ODDFは、コーティング、層またはバンドとしてカプセル剤または錠剤に適用される。一実施態様において、錠剤またはカプセル剤に組み込まれる遅放性コアはまた、遅放性プロファイルを提供し得る。例えば、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、消化管から吸収されないが浸出による薬物のゆっくりとした溶解または損失が可能な物質または物質の混合物、および例えば圧縮または噴霧によりコアに適用される外側のODDF層に混合され得る。一実施態様において、遅放性プロファイルは、各層が異なる放出特性を有する多層錠により提供され得る。多層打錠機は、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を一定の遅延後に異なる速度で放出させるように製造され得る、2層以上の別個の層を有する1錠に組み込むことを可能にする。例えば、1層以上の外層はODDFであり得て、他の各層が異なる放出速度を示す遅放性剤形であり得る。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、遅放性プロファイルを提供する多孔性不活性担体に組み込まれる。一実施態様において、多孔性不活性担体は、薬物が周囲の流体に拡散するチャネルまたは流路を組み込んでいる。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、遅放性プロファイルを提供するイオン交換樹脂に組み込まれる。遅延作用は、薬物-樹脂複合体が胃腸液およびそこに溶解したイオン成分と接触したとき、所定の速度で薬物が樹脂から放出されることにより生じ得る。一実施態様において、膜は、薬物含有リザーバーからの放出速度を制御するために利用される。一実施態様において、液製剤はまた、遅放性プロファイルを提供するために利用され得る。例えば、粒子が溶解しない液相全体に分散した固体粒子からなる液製剤である。懸濁液は、従来の剤形(例えば液剤または即時薬物放出の従来の固形剤形)として存在する薬物と比較して投与頻度を少なくとも低減できるように製剤化される。例えば、イオン交換樹脂成分またはマイクロビーズの懸濁液である。
【0048】
一実施態様において、ODDFは、遅放性剤形上のコーティングまたはバンドとして、または遅放性剤形に隣接する層として適用され、口腔へのODDFの直接曝露およびその結果としてのODDFの崩壊を可能にする。一実施態様において、ODDFおよび遅放性剤形は、チュアブル樹脂、例えばガムに混合し得る。当業者は、コーティング、バンドおよび層を適用して医薬剤形を製造するための技術に精通している。
【0049】
一実施態様において、本明細書における放出調節医薬製剤は、パルス放出投与製剤(PRDF)を含む。パルス薬物放出は、薬物の負荷用量の初期放出後のラグタイム後に、所定の量または分離量の薬物、例えばガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の急速な放出を含む。一実施態様において、PRDFは、1回のパルスを提供し得る。一実施態様において、PRDFは、経時的な複数回のパルスを提供し得る。様々なPRDFが当業者に公知である。
【0050】
一実施態様において、PRDFは、カプセル剤であり得る。一実施態様において、遅延時間後の放出は、浸透圧を用いてプラグの放出を引き起こすシステムによって提供される。このシステムにおいて、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、浸透圧応答性プラグ、例えば、膨潤または侵食によって押しのけられるヒドロゲルによって密封された不溶性カプセルシェルに含まれる。シールが壊されると、薬剤はカプセル本体からパルスとして放出される。消化管液または溶解媒体との接触により、プラグが膨張し、それ自体がカプセルから押し出されるか、遅延時間後にカプセルが破裂する。プラグの位置および寸法により、遅延時間を制御し得る。薬物の急速な放出のために、発泡剤または崩壊剤を加え得る。発泡性材料は、圧力の上昇を引き起こし、それ故にプラグの排出を助けるかまたは引き起こし得る。適切なプラグ材料の例は、透過性ポリマー(ポリメタクリレート)、侵食性圧縮ポリマー(HPMC、ポリビニルアルコール)、凝固溶融ポリマー(グリセリルモノオレエート)、およびペクチンなどの酵素的に制御された侵食性ポリマーでコーティングされた膨潤性材料であり得る。一実施態様において、不溶性カプセルは、浸透圧的に活性化されたプラグによって分離された複数の薬物コンパートメントを含む。第1のプラグが環境流体に曝されると、第1のコンパートメントが開き、薬物が放出され、隣接するプラグが曝される。このプロセスは、密閉されたコンパートメントがなくなるまで続く。パルス間の遅延時間は、プラグの厚さおよびプラグを構成する材料の特性を変えることによりさらに制御し得る。より吸湿性の高い材料は、流体をより速く吸収し、より速く膨潤する。一実施態様において、膜をプラグの代わりに用い得る。発泡性材料が1つ以上のコンパートメントに含まれる場合、流体は浸透によって膜を通過し、発泡作用および圧力の上昇によって膜が破裂し、これによって薬物が放出される。一実施態様において、膜は侵食性であり、溶解してコンパートメントの内容物を放出する。膜の材料の厚さ、多孔性および特性を変えることにより、パルス間の遅延時間をさらに制御できる。一実施態様において、PRDFは、錠剤であり得る。一実施態様において、単回パルス錠は、膨潤性で破裂性のコーティングの1つ以上の層によって囲まれたガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含むコアを含む。一実施態様において、破裂性のコーティングが膨潤性の層を取り囲む。膨潤性の層が膨張すると、破裂性のコーティングが破裂し、これによって薬物がコアから放出される。ヒドロゲルなどの膨潤性材料は周知である。一実施態様において、内側の膨潤層は、超崩壊剤、例えばクロスカルメロースナトリウムを含み得て、外側の破裂性の層は、高分子多孔質材料、例えばポリエチレンオキシド、エチルセルロースで構成され得る。スクロースの多孔質フィルムコートもまた適切であり得る。一実施態様において、複数回パルス錠は、コアを囲む複数の層を組み込む。第1の最外層が侵食され、層内に含まれる薬物を放出すると、下にある層が露出するため、所定の遅延時間の後に薬物を放出する。このプロセスは、最も内側のコアが露出するまで繰り返される。
【0051】
PRDF中に含まれるまたはそれにより送達されるガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、従来の剤形またはEDRFが提供する量と同じであり得る。
【0052】
一実施態様において、PRDFは、舌の上に置かれると、通常は数秒以内に急速に崩壊するが、パルス様式で1つまたは複数の薬物も放出する医薬物質を含む固体剤形であるODDFを組み込み得る。したがって、一実施態様において、本明細書における調節放出剤形は、負荷用量の即時放出を提供するためのODDFの側面と、薬物の単回負荷用量から生じる活性を超える、所望の期間所望の治療範囲内の血中の薬物レベルを提供するための、薬物送達がない期間(遅延時間)とそれに続くパルス性薬物送達の期間を提供するPRDFの側面を組み込む。一実施態様において、ODDFの側面は、薬物を直ちに放出し、そして、一定期間の遅延の後、PRDFの側面は、薬物の単回パルス放出を提供して、追加の活性期間を提供する。一実施態様において、ODDFの側面は、薬物を直ちに放出し、そして、一定期間の遅延の後、PRDFの側面は、長期の治療効果のための薬物の複数回パルス放出を提供する。
【0053】
一実施態様において、PRDFの側面を有するODDFの即放性の側面は、20分以下のTmax、19分以下のTmax、18分以下のTmax、17分以下のTmax、16分以下のTmax、15分以下のTmax、14分以下のTmax、13分以下のTmax、12分以下のTmax、11分以下のTmax、10分以下のTmax、9分以下のTmax、8分以下のTmax、7分以下のTmax、6分以下のTmaxまたは5分以下のTmaxを達成する。一実施態様において、PRDFの側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約0.5、1、2、3または4時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約0.5、1、2、3または4時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、PRDFの側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約6時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約6時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、PRDFの側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約8時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約8時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、PRDFの側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約10時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約10時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、PRDFの側面は、最初に投与したODDF用量の約50%~約110%の、医薬製剤の投与後約12時間以上における患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量を提供する。一実施態様において、医薬製剤の投与の約12時間後の患者内のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、最初に投与したODDF用量の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%または110%を超える。一実施態様において、PRDFは、上記の量に従って1つのパルスを送達する。一実施態様において、PRDFは、上記の量に従って2つのパルスを送達する。一実施態様において、PRDFは、上記の量に従って3つのパルスを送達する。一実施態様において、PRDFは、上記の量に従って4つのパルスを送達する。一実施態様において、PRDFは、上記の量に従って5つのパルスを送達する。一実施態様において、PRDFは、上記の量に従って6つのパルスを送達する。一実施態様において、PRDFは、上記の量に従って7つのパルスを送達する。一実施態様において、PRDFは、上記の量に従って8つのパルスを送達する。一実施態様において、PRDFは、上記の量に従って9つのパルスを送達する。パルスは、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間、1.25時間、1.5時間、1.75時間、2時間、2.25時間、2.5時間、2.75時間、3時間、3.25時間、3.5時間、3.75時間、4時間、4.25時間、4.5時間、4.75時間、5時間、5.5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間または12時間間隔で提供され得る。一実施態様において、各パルスで放出されるガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、変動し得る。
【0054】
一実施態様において、ODDFは、PRDF上のコーティングまたはバンドとして、またはPRDFに隣接する層として適用され、口腔へのODDFの直接曝露およびその結果としてのODDFの崩壊を可能にする。一実施態様において、ODDFおよびPRDFは、チュアブル樹脂、例えばガムに混合し得る。当業者は、コーティング、バンドおよび層を適用して医薬剤形を製造するための技術に精通している。
【0055】
一実施態様において、調節放出剤形は、経皮剤形を含む。本明細書に記載のガボキサドールの経皮送達は、初回通過代謝を回避しながら、徐放性プロファイルを提供し得る。経皮送達は、ガボキサドールを含む製剤を無傷で健康な皮膚に適用することにより、ガボキサドールを全身的に送達する痛みのない方法である。薬剤は最初に角質層を貫通し、次により深い表皮を通過する。ガボキサドールが真皮層に到達すると、真皮微小循環を介して全身吸収できるようになる。経皮送達は、他の薬物送達経路に対し特定の利点を有し得る。非経口経路の非侵襲的な代替手段を提供できるため、注射恐怖症などの問題を回避できる。皮膚の大きな表面積とアクセスの容易さにより、経皮吸収のために皮膚上に多くの配置オプションが可能になる。さらに、経皮投与されたガボキサドールの薬物動態プロファイルは、より少ないピークでより均一であり得て、それ故に、毒性の副作用のリスクを最小限にし得る。徐放性剤形と同様に、経皮送達は、投与頻度の減少により患者のコンプライアンスを改善し得て、無意識または嘔吐している患者、または自己投与に依存している患者にも適する。
【0056】
経皮製剤は、ゲル剤、軟膏剤、ローション剤、スプレー剤またはパッチ剤の剤形を含み得る。パッチ剤などの経皮製剤は、既知の薬物フラックス(flux)を長期間、通常は1日、数日または1週間皮膚に送達する効果に依存する。薬物フラックスを調節するために2つのメカニズムを用い得る:薬物は、薬物が拡散する合成膜によって着用者の皮膚から分離されている薬物リザーバー内に含まれている;または、薬物は、薬物がそれを介して薬物が皮膚に拡散するポリマーマトリックスに溶解または懸濁された状態で保持されている。一実施態様において、本明細書における経皮医薬製剤は、皮膚にわたる送達を保証するのに十分なガボキサドールのペイロードで飽和される、皮膚にわたる受動拡散のための最大の熱力学的駆動力を提供するように製剤化される。経皮パッチ剤を含む送達システムにおいて、ガボキサドール、例えばガボキサドール一水和物またはガボキサドール塩酸塩は、例えばリザーバーに貯蔵されるか(リザーバー型)、または液体またはゲルベースのリザーバーに溶解される(マトリックス型)。
【0057】
本明細書における経皮医薬製剤中に含まれるまたはそれにより送達されるガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、従来の剤形またはEDRFが提供する量と同じであり得る。
【0058】
一実施態様において、経皮製剤は、角質層にわたるガボキサドールの輸送を容易にする化学的浸透促進剤およびエマルションを含み得る。適切な浸透促進剤の例は、アルコール、スルホキシド、アゾン、ピロリドン、エッセンシャルオイル、テルペンおよびテルペノイド、脂肪酸、水およびウレアである。一実施態様において、プロニオソームおよびマイクロエマルジョンゲルなどの半固形小胞は、浸透促進剤として利用され得る。プロニオソームは非イオンベースの界面活性剤小胞であり、薬物の放出および皮膚への浸透の前に水和を必要とし得るため、「ドライニオソーム」として知られている場合がある。水和すると、プロニオソームは、角質層全体に拡散し、その後細胞表面に付着して、小胞/角質層表面で薬物の高い熱力学的活性勾配を引き起こし、これにより皮膚を通過する薬物の浸透の駆動力として作用することができるニオソームに変換される。
【0059】
経皮パッチ剤からの薬物放出の動態を評価するための出発点は、皮膚にわたる薬物化合物の最大フラックス(典型的には、μg/cm2/hの単位で表されるフラックス(J))の推定である)。フィックの拡散の法則に基づいて、皮膚にわたるガボキサドール分子の輸送は、濃度勾配が存在しなくなるまで維持される。
【0060】
したがって、リザーバーを組み込んだ経皮医薬製剤は、過剰の溶解していない薬物がリザーバーに残っている限り、膜全体にガボキサドールの安定したフラックスを送達する。ガボキサドールが定常拡散状態に達するのに必要な時間は、遅延時間(lag time)と呼ばれる。一実施態様において、マトリックスまたはモノリシックデバイスは、皮膚に近いマトリックス層が薬物を枯渇させるので、時間とともに低下する薬物フラックスによって特徴付けられ得る。一実施態様において、リザーバーパッチ剤は、放出を制御し得る薬物のリザーバーを覆う多孔質膜を含み得て、一方、ポリマーマトリックス(例えば粘着層)に埋め込まれた薬物の熱融解薄層は、マトリックスまたはモノリシックデバイスからの薬物の放出を制御し得る。
【0061】
一実施態様において、経皮パッチ剤は、保管中にパッチ剤を保護し、使用前に除去される剥離ライナー、剥離ライナーと直接接触する薬物または薬物溶液、パッチ剤を皮膚に接着させるとともにパッチ剤の成分を一緒に接着させる働きをする粘着剤、他の層を分離し、リザーバーおよび多層パッチ剤などからの薬物の放出を制御し得る1つ以上の膜、およびパッチ剤を外部環境から保護する支持体(backing)を含み得る。
【0062】
一実施態様において、経皮パッチ剤は、粘着層がガボキサドールを含み、パッチ剤の様々な層を一緒にパッチ剤システム全体とともに接着させる働きをするが、薬物を放出する役割も果たす、単層の粘着剤中薬物型(drug-in-adhesive)パッチ剤;単層の粘着剤中薬物型パッチ剤に類似しているが、複数の層、例えば薬物の即時放出のための層およびリザーバーからの薬物の制御放出のための別の層を含む、多層の粘着剤中薬物型;薬物層が、粘着層によって分離された薬物溶液または懸濁液を含む液体コンパートメントであるリザーバーパッチ剤;薬物溶液または懸濁液を含む半固形マトリックスの薬物層が、粘着層によって囲まれ、部分的に覆われている、マトリックスパッチ剤;粘着層が、様々な層を一緒に接着させるだけでなく、蒸気を放出する働きもする蒸気パッチ剤を含み得るが、これに限定されない。経皮パッチ剤の製造方法は、例えば、米国特許第6,461,644号、第6,676,961号、第5,985,311号および第5,948,433号に記載されている。
【0063】
例えば、例示的なパッチ剤は、その周囲で透過促進剤放出速度制御要素に結合し、その中央部分でそこから間隔を空けて、透過促進剤リザーバーを規定する不浸透性支持体を含み得る。透過促進剤放出速度制御要素は、同様に、その周囲で多孔質支持部材に結合し、その中央部分でそこから間隔を空けて、水溶性であるガボキサドールを含む水性薬物リザーバーを規定する。ガボキサドールおよび促進剤に対して透過性である接触粘着層は、多孔質支持体(support)の表面に結合し得て、使用前に粘着剤を保護するように適合され、そこから容易に除去できる剥離可能な剥離ライナーも提供され得る。薬物および促進剤の皮膚への輸送を可能にするために、粘着剤は、薬物および促進剤に対して透過性であるように多孔性であるかまたは水和され得る。薬物および促進剤に対して不浸透性である場合、粘着剤は、皮膚への薬物および浸透促進剤の輸送に対して著しい抵抗を与えないように配置されるかまたは他の方法で適合させ得る。一実施態様において、多孔性ポリアクリレート粘着剤は、接触粘着層で利用され得る。水和可能な接触粘着配合物を用いる場合、粘着剤は、イオン化された薬物の輸送を可能にするために、少なくとも約10重量%の水で平衡化され得る。しかしながら、周辺に位置する粘着剤を用いる場合、多孔性または透過性である必要はないことを認識されるべきである。また、所望により、粘着性オーバーレイ、またはバックル、ベルトもしくは弾性バンドなどの他の手段を用いて、経皮送達デバイスを皮膚上に維持し得て、その場合、適切に包装されれば、粘着層および剥離可能な剥離ライナーを含めなくてもよい。そのようなシステムは、例えば、薬物が粘着層の接着特性に悪影響を及ぼした場合、または薬物が粘着剤に極めて溶解する場合に望ましい可能性がある。
【0064】
一実施態様において、その中に分散されたガボキサドールを含む水のリザーバーは、少なくとも50%、例えば55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%または90%の水を含み得る。一実施態様において、ガボキサドールは飽和を超えるレベルで存在する。一実施態様において、リザーバーは、安定化剤、他の添加剤および添加物も含み得るゲルの形態であり得る。薬物リザーバーを生理学的pHに維持するために必要な場合は、緩衝剤も存在し得る。
【0065】
透過促進剤放出速度制御膜は、透過促進剤リザーバーから皮膚への透過促進剤の放出速度を制御する。一実施態様において、多孔質基材は、ゲル化した水のリザーバーの物理的支持体として機能し、皮膚への薬物および浸透促進剤の輸送に対してほとんどまたはまったく抵抗を与えないように十分に多孔性でなければならない。これに関して、水のリザーバーの粘度は、多孔質基材の多孔性に関連し得る、すなわち、水のリザーバーが多孔質基材を通って容易に流れないように十分に粘性でなければならない。使用されるゲル化剤または他の増粘剤の量は重要ではないが、リザーバーが多孔質基材を通って移動するか、または他の方法で漏れるかもししくは流れ出るのを防ぐのに十分な粘度を水のリザーバーに生じるのに必要な量でなければならない。多孔質粘着剤も同様に、薬物または促進剤の放出に対する抵抗をほとんどまたはまったく提供しないように選択される。多孔質基材の機能は、多くの場合、多孔質粘着剤とリザーバー内の水性媒体との間に良好な結合を提供することが困難であるため、粘着剤を塗布できる支持体を提供することである。一実施態様において、速度制御膜は、促進剤リザーバーからの浸透促進剤の放出の速度を制御すると同時に、水または薬物のいずれかが促進剤リザーバーに拡散するかまたは他の方法で移動するのを防ぐことができる疎水性膜であり得る。一実施態様において、静置すると、水性薬物リザーバーは、飽和レベルの浸透促進剤を含み得る。
【0066】
不浸透性の支持体は、浸透促進剤に関して所望の柔軟性、不浸透性および不溶性を有する任意の材料であり得て、例えば、単一の成分または金属化もしくは複合コーティングされた成分のいずれかであり得る。適切な材料は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエステル、金属化ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ポリビニル、フッ化ビニリデン、ポリスルホン、または金属化ポリエステル/EVAまたは中密度ポリエチレン/EVAなどの上記のラミネートを含むが、これらに限定されない。
【0067】
一実施態様において、多孔質基材は、基材が、粘着剤に結合可能であり、薬物および浸透促進剤の輸送に対して著しい抵抗を提供することなく、リザーバー内のゲル化した水性材料を維持する果たす限り、柔らかく、オープンメッシュで、疎水性で、繊維性の材料であり得るか、または非繊維性、多孔性またはスポンジ様材料であり得る。適切な材料の例は、スパンレースポリエステル、スパンレースポリオレフィンコーティングポリエステル、スパンボンドポリエチレン、スパンレースポリエチレンまたはEVA、微孔性ポリプロピレン、微孔性ポリカーボネート、ウーブンナイロン、レーヨンまたはポリエステルの布、および連続気泡ポリエチレンまたはポリウレタンフォームを含む。
【0068】
多孔質粘着剤は、例えば、ポリアクリレート接触粘着剤または任意の他の適切な多孔質粘着剤であり得る。あるいは、粘着剤は、周囲に適用され、水のリザーバーの下の中央部分が実質的に粘着剤を含まないままにする非多孔性接触粘着剤であり得る。その場合、多孔質であろうとなかろうと、任意の生体適合性接触粘着剤を適用し得る。粘着性組成物の例は、シリコーン粘着剤、ポリアクリレート、ポリイソブチレン-鉱油粘着剤、粘着性スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(SIS)、粘着性EVA接触粘着剤、ポリアクリルアミド、および様々な水和性、熱溶融または乳化(水性)粘着性組成物を含む。
【0069】
剥離可能な剥離ライナーは、当技術分野で知られている任意の材料であり得て、不浸透性支持体を提供するために用いられる材料と同じであってもよくあるいは異なっていてもよい。剥離可能な剥離ライナーの基本的要件は、リザーバーからの成分の通過に対して実質的に不浸透性であり、パッチ剤の完全性を損なうことなく粘着剤から容易に除去できることである。
【0070】
ゲル化した水性薬物リザーバーに関して、ガボキサドールの場合、水が連続相であることが意図される。そのため、リザーバーは、少なくとも50%、例えば70%超が水である必要がある。リザーバーを増粘するために用いられるゲル化剤は、多種多様なゲル化剤のいずれか、例えばシリカ、粒子状多孔質ポリイソプレン、ベントナイト粘土、様々なガム、例えば寒天、トラガカント、多糖類、セルロース系材料、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリアクリレートであり得る。基本的要件は、ゲル化剤がガボキサドールと非反応性であり、パッチ剤からの材料の容易な拡散を実質的に妨害しないことである。必要な粘度は基材に選択された孔径に反比例して変化するため、用いられるゲル化剤の量に比較的広い柔軟性がある。これらのゲル化剤の約1~10重量%の一般的な範囲が適切であり得る。
【0071】
薬物リザーバーはまた、薬物送達期間中に溶液のpHを所望の範囲に維持するための緩衝剤を含み得る。もちろん、適切な緩衝剤は、システムの他の成分と非反応性でなければならない。酸性薬物および塩基性薬物に適した緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩および炭酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0072】
浸透促進剤放出速度制御膜は、水のリザーバーから浸透促進剤リザーバーへの水およびガボキサドールの流れに対して実質的に不浸透性でなければならない一方で、浸透促進剤が浸透促進剤リザーバーから皮膚へ放出される速度が、適度な厚さ、例えば0.001~0.003インチの範囲内の膜により制御されるような浸透促進剤に対する十分な透過性を有しなければならない。透過促進剤放出速度制御膜は、透過促進剤の放出を測定するために、微細孔内に速度制御材料を有する固体膜または微細孔性膜のいずれかであり得る。膜自体を形成するための、または微細孔性膜の孔に含まれるべき速度制御材料のための速度制御材料の例は、例えば、疎水性材料、例えばポリエチレンEVA、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレートポリマー、ポリスルホンポリマー、ポリビニリジエン、ポリビニリデン、ポリエステルおよびポリイソブチレンであり得る。
【0073】
透過促進剤は、透過促進剤リザーバー内に、そのまま、または適切な媒体中の溶液もしくは分散液として存在し得る。例示的な物質としては、界面活性剤、例えばn-オクチルメチルスルホキシド、n-ノニルメチルスルホキシド、n-デシルメチルスルホキシド(n-DMS)、n-ウンデシルメチルスルホキシド、n-ドデシルメチルスルホキシド;一置換および二置換アルキルポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコールモノラウレートおよびポリエチレングリコールジラウレート;エタノールおよび他の低級アルコール;n-メチルピロリドン、ジメチルラウラミン、ジエチルトルアミドおよび1-置換アザシクロアルカン-2-オンが挙げられる。
【0074】
一実施態様において、角質層にわたるガボキサドールの浸透を駆動するために能動的方法が利用される。一実施態様において、皮膚透過のための能動的方法は、皮膚にわたる薬物輸送のための駆動力として作用するために、または角質層を物理的に破壊することによって、外部エネルギーを使用することを含む。皮膚透過の能動的方法は、超音波、電気的補助法(エレクトロポレーションおよびイオントフォレーシス)、速度ベースのデバイス(粉末注入、ジェットインジェクター)、熱的アプローチ(レーザーおよび高周波加熱)、およびマイクロニードルおよびテープストリッピングなどの機械的方法を含む。
【0075】
明細書に記載の実施態様は、1p36欠失症候群を有し、処置を必要とする患者に、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む従来の放出組成物、調節放出医薬製剤、例えばODDF、ERDF、DRDF、PRDF、または経皮医薬製剤のいずれかが投与されることを提供する。ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、酸付加塩、双性イオン水和物、双性イオン無水物、塩酸塩または臭化水素酸塩として、または双性イオン一水和物の形態で、提供され得る。酸付加塩は、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、シュウ酸、ビス-メチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、ケイ皮酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸またはテオフィリン酢酸の付加塩、および8-ハロテオフィリン、例えば8-ブロモ-テオフィリンを含むが、これらに限定されない。他の適切な実施態様において、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸または硝酸の付加塩を含むがこれらに限定されない無機酸付加塩が、用いられ得る。
【0076】
一実施態様において、ガボキサドールは、ガボキサドール一水和物として提供される。当業者は、医薬製剤中の活性成分の量は、提供されるガボキサドールの形態に依存することを容易に理解する。例えば、5.0、10.0または15.0mgのガボキサドールを含む医薬製剤は、5.6、11.3または16.9mgのガボキサドール一水和物に対応する。
【0077】
一実施態様において、ガボキサドールは、結晶、例えば塩酸塩結晶、臭化水素酸塩結晶または双性イオン一水和物結晶である。一実施態様において、ガボキサドールは、一水和物結晶として提供される。
【0078】
一実施態様において、1p36欠失症候群の患者を処置する方法は、約0.05mg~約250mgのガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む従来の放出組成物または調節放出医薬製剤を、処置を必要とする患者に投与することを含む。上記のように、従来の放出組成物は、非経腸投与のための組成物を含む。非経腸投与様式の例としては、静脈内、腹腔内、くも膜下腔内、筋肉内および皮下投与様式が挙げられる。
【0079】
一実施態様において、医薬組成物が可溶性のままである非経腸投与のための医薬組成物を提供する。一実施態様において、安定で、可溶性で、局所適合性でおよび/または使用準備済み(ready-to-use)である非経腸投与のための医薬組成物を提供する。一実施態様において、非経腸投与のための医薬組成物は、水性組成物である。一実施態様において、非経腸投与のための医薬組成物は、懸濁液である。一実施態様において、非経腸投与のための医薬組成物は、エマルションである。一実施態様において、本明細書における医薬組成物は、処置を必要とする患者への直接投与のために使用準備済みである。
【0080】
本明細書における非経腸医薬製剤中に含まれるまたはそれにより送達されるガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の量は、従来の剤形またはODDFが提供する量と同じであり得る。
【0081】
一実施態様において、非経腸医薬組成物は、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含み、ここでガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、約1.0M未満のモル濃度で存在する。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、例えば、約0.0001M、約0.001M、約0.01M、約0.1M、約0.2Mを超える、約0.5超、約1.0M超、約1.2M超、約1.5M超、約1.75M超、約2.0M超または約2.5M超モル濃度で存在する。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、例えば、約0.00001M~約0.1M、約0.01M~約0.1M、約0.1M~約1.0M、約1.0M~約5.0Mまたは約5.0M~約10.0Mのモル濃度で存在する。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩は、例えば、約0.01M、約0.1M、約1.0M、約5.0Mまたは約10.0M未満のモル濃度で存在する。
【0082】
本明細書で提供される非経腸投与のための医薬組成物は、1つ以上の添加剤、例えば、溶媒、溶解性向上剤、懸濁化剤、緩衝剤、等張化剤、安定化剤または抗菌性防腐剤を含み得る。用いられるとき、非経腸組成物の添加剤は、組成物中に用いられるガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の安定性、バイオアベイラビリティ、安全性および/または有効性に悪影響を及ぼさない。したがって、剤形の構成要素のいずれかの間で不適合性がない非経腸組成物を提供する。
【0083】
一実施態様において、非経腸組成物中のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の溶解度は、例えば25℃の水中で測定するとき、例えば、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約75mg/mL、約100mg/mL、約150mg/mLより大きい。
【0084】
一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の非経腸組成物は、安定化量の少なくとも1つの添加剤を含む。例えば、添加剤は、緩衝剤、可溶化剤、等張化剤、抗酸化剤、キレート剤、抗菌剤および防腐剤からなる群より選択され得る。当業者は、添加剤が2つ以上の機能を有し、1つ以上の所定のグループに分類され得ることを理解するだろう。
【0085】
一実施態様において、非経腸組成物は、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩および添加剤を含み、ここで添加剤が、例えば、約10%、約5%、約2.5%、約1%または約0.5%未満の重量パーセント(w/v)で存在する。一実施態様において、添加剤は、例えば、約1.0%~約10%、約10%~約25%、約15%~約35%、約0.5%~約5%、約0.001%~約1%、約0.01%~約1%、約0.1%~約1%または約0.5%~約1%の重量パーセントで存在する。一実施態様において、添加剤は、例えば、約0.001%~約1%、約0.01%~約1%、約1.0%~約5%、約10%~約15%または約1%~約15%の重量パーセントで存在する。
【0086】
一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩および添加剤を含む非経腸医薬組成物であって、添加剤が安定化量の緩衝剤を含む医薬組成物を提供する。一実施態様において、緩衝剤は、クエン酸、リン酸、酢酸、酒石酸、炭酸、グルタミン酸、乳酸、コハク酸、重炭酸緩衝液、およびそれらの組合せであり得る。例えば、クエン酸ナトリウム、無水クエン酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウム二水和物、クエン酸ナトリウム脱水和物、トリエタノールアミン(TRIS)、クエン酸三ナトリウム五水和物二水和物(すなわち、クエン酸三ナトリウム脱水和物)、酢酸、クエン酸、グルタミン酸、リン酸が、緩衝剤として用いられ得る。一実施態様において、緩衝剤は、アミノ酸、アルカリ金属またはアルカリ土類金属緩衝液であり得る。例えば、緩衝剤は、酢酸ナトリウムまたはリン酸水素塩であり得る。
【0087】
一実施態様において、組成物のpHが約4.0~約8.0であるガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の非経腸組成物を提供する。一実施態様において、組成物のpHは、例えば、約5.0~約8.0、約6.0~約8.0、約6.5~約8.0である。一実施態様において、組成物のpHは、例えば、約6.5~約7.5、約7.0~約7.8、約7.2~約7.8または約7.3~約7.6である。一実施態様において、水溶液のpHは、例えば、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.7、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4または約8.6であり、組成物のpHが約4.0~約8.0である。一実施態様において、組成物のpHは、例えば、約5.0~約8.0、約6.0~約8.0、約6.5~約8.0である。一実施態様において、組成物のpHは、例えば、約6.5~約7.5、約7.0~約7.8、約7.2~約7.8または約7.3~約7.6である。一実施態様において、水溶液のpHは、例えば、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.7、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4または約8.6である。
【0088】
一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩および添加剤を含む非経腸医薬組成物であって、添加剤が可溶化剤を含む医薬組成物を提供する。例えば、本発明による可溶化剤は、例えば、水酸化ナトリウム、L-リシン、L-アルギニン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、および/またはリン酸カリウムを含み得る。組成物中の可溶化剤の量は、溶液がすべての濃度で可溶性なままである、すなわち濁らないおよび/または沈殿を形成しないように十分である。
【0089】
一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩および添加剤を含む非経腸医薬組成物であって、添加剤が粒子形成阻害剤を含む医薬組成物を提供する。粒子形成阻害剤は、非経腸組成物における粒子の形成を阻害する所望の特性を有する化合物を指す。本発明の粒子形成阻害剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩、例えば、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム塩(好ましくは水和物として);エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム塩(好ましくは水和物として);エチレンジアミン四酢酸二カリウム塩(好ましくは二水和物として);エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(好ましくは二水和物として、必要に応じて、無水形態として);エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩(好ましくは水和物として);エチレンジアミン四酢酸三カリウム塩(好ましくは二水和物として);エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム塩(好ましくは水和物として)およびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、USP(好ましくは二水和物として)が含まれる。一実施態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、有効量の粒子形成阻害剤を有する。一実施態様において、添加剤は、例えば、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、タンパク質、例えば血清アルブミン、コラーゲンおよびゼラチン;塩、例えばEDTAまたはEGTAおよび塩化ナトリウム、リポソーム、ポリビニルピロリドン、糖、例えばデキストラン、マンニトール、ソルビトールおよびグリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール(例えば、PEG-4000、PEG-6000)、グリセロール、グリシンおよび/または脂質を含み得る。
【0090】
一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩および添加剤を含む非経腸医薬組成物であって、添加剤が可溶化剤を含む医薬組成物を提供する。例えば、可溶化剤としては、酸、例えばカルボン酸、アミノ酸が挙げられ得るが、これらに限定されない。他の例において、可溶化剤は、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、脂肪酸、ケト酸、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、α-ヒドロキシ酸、アミノ酸、およびそれらの組合せであり得る。
【0091】
一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩および添加剤を含む非経腸医薬組成物であって、添加剤が、可溶化剤、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アクリル酸、ドコサヘキサエン酸、イコサペンタエン酸、ピルビン酸、安息香酸、サリチル酸、アルダル酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、クエン酸、乳酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン(praline)、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、およびそれらの組合せを含む、医薬組成物を提供する。一実施態様において、可溶化剤は、酢酸、その塩、およびそれらの組合せ、(例えば、酢酸/酢酸ナトリウム)、クエン酸、その塩およびそれらの組合せ(例えば、クエン酸/クエン酸ナトリウム)、DLアルギニン、L-アルギニンおよびヒスチジン(histadine)より選択される。一実施態様において、可溶化剤はDL-アルギニンである。一実施態様において、可溶化剤はL-アルギニンである。一実施態様において、可溶化剤は酢酸/酢酸ナトリウムである。一実施態様において、可溶化剤はクエン酸/クエン酸ナトリウムである。
【0092】
一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩および添加剤を含む非経腸医薬組成物であって、添加剤が組成物を等張にする医薬組成物を提供する。本明細書における等張な非経腸医薬組成物は、適正量の塩化ナトリウム、グルコース、フルクトース、デキストロース、マンニトール、または塩化カリウム、または塩化カルシウム、またはグルコノグルコヘプトン酸カルシウムカルシウム、またはそれらの混合物を加えることにより達成され得る。例えば、添加剤は、1つ以上の等張化剤、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトールおよび/またはデキストロースを含み得る。等張化剤は、組織損傷および刺激を最小限にする、血液細胞の溶血を減少させるおよび/または電解質平衡異常を防ぐために用いられ得る。例えば、非経腸組成物は、組成物が等張である塩化ナトリウムを含む水溶液であり得る。一実施態様において、等張化剤は塩化ナトリウムである。一実施態様において、等張化剤の濃度は、約0.01~約2.0重量%である。一実施態様において、医薬組成物は、約10%までの等張化剤を含み得る。一実施態様において、非経腸医薬組成物は、例えば、約0.25%、約0.5%、約1%、約2.5%までの等張化剤を含み得る。一実施態様において、医薬中の等張化剤の量は、例えば、約0.01%~約1%、約0.1%~約1%、約0.25%~約1%または約0.5%~約1%である。
【0093】
一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩および添加剤を含む非経腸医薬組成物であって、添加剤がフリーラジカルアンタゴニストを含む医薬組成物を提供する。一実施態様において、フリーラジカルアンタゴニストは、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、少なくとも1つのチオールを有する有機化合物、ポリ水酸化アルキルおよびポリ水酸化シクロアルキル化合物、およびそれらの組合せである。
【0094】
一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩および添加剤を含む非経腸医薬組成物であって、添加剤が防腐剤を含む医薬組成物を提供する。一実施態様において、防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、クロロクレゾール、メタクレゾール、フェノール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、p-オキシ安息香酸メチル、p-オキシ安息香酸プロピル、p-オキシ安息香酸ブチルまたはチメロサールであり得る。他の実施態様において、防腐剤は、メタクレゾール、ベンジルアルコール、パラベン類(例えば、メチル、プロピル、ブチル)塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、フェニル水銀塩(例えば、酢酸塩、ホウ酸塩または硝酸塩)、または上記防腐剤のいずれかの組合せであり得る。
【0095】
一実施態様において、本明細書における非経腸医薬組成物は、共溶媒を含む。いくつかの例において、ガボキサドールの溶解性は、治療投与量より十分下であり得て、それ故に共溶媒系が用いられ得る。共溶媒は、十分高い溶解性を達成するために用いられ得て、安定性を増加させ得る溶媒の混合物である。例えば、共溶媒は、水混和性有機溶媒、例えばエタノール、プロピレン、グリコール、Capmul PG、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ジメチルアセトアミドおよび/またはジメチルスルホキシド(DMSO)であり得る。一実施態様において、共溶媒は、医薬組成物の約75%までを含み得る。他の実施態様において、用いられる共溶媒の量は、医薬組成物の例えば約1%、約5%、約10%、約15%、約25%、約40%、約50%までを含み得る。
【0096】
一実施態様において、非経腸投与に適する安定な医薬組成物は、225~350 mOsm/kgのオスモル濃度を有し、7.0~8.0の範囲のpHである水溶液中に、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む。一実施態様において、水溶液は、270~310のオスモル濃度を有する。一実施態様において、水溶液は、7.2~7.8の範囲のpHを有する。
【0097】
非経腸医薬組成物は、例えば、均一な混合物が得られるまで無菌条件下混合機においてガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩および1つ以上の添加剤(例えば、緩衝剤、可溶化剤、等張化剤、抗酸化剤、キレート剤、抗菌剤および/または防腐剤)を混合することにより製造され得る。その後、予め滅菌されたバイアルに適正量の無菌混合物を充填し得る。その後、所与の量の無菌混合物は、投与前に溶媒、例えば、水、生理食塩水、約5~10%糖(例えば、グルコース、デキストロース)溶液およびそれらの組合せと混合され得る。また、溶液は、更なる処理の前に凍結および融解され得る。
【0098】
ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む非経腸医薬組成物は、必要量のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩(使用前に精製されていてもよい)を非経腸液体、例えばD5W、蒸留水、生理食塩水またはPEG中で混合し、この溶液のpHを6.8~8に調節することにより製造され得る。工程は、室温で実施され得るか、または濃度を増加させるために、溶液は適切に温められ得る。他の溶媒、例えばPEG 400、600、ポリプロピレングリコールまたは他のグリコールが、溶解性を向上させるために用いられ得る。室温に冷却後得られた溶液は、公知の方法、例えば限外ろ過、例えば0.45μmフィルターを用いてまたはエチレンオキシド処理または加熱によって滅菌され得て、無菌非経腸製剤を投薬するのに適するアンプル、バイアルまたはプレフィルドシリンジに包装され得る。
【0099】
一実施態様において、医薬組成物が少なくとも6ヵ月間安定である非経腸投与のための医薬組成物を提供する。一実施態様において、本明細書における医薬組成物は、例えば3ヵ月間または6ヵ月間後に、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩のわずか約5%の減少を示す。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の分解量は、わずか例えば、約2.5%、約1%、約0.5%または0.1%である。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩の分解は、少なくとも6ヵ月間で、例えば、約5%、約2.5%、約1%、約0.5%、約0.25%、約0.1%未満である。
【0100】
一実施態様において、非経腸投与に適するバイアルまたはアンプル中の単位剤形の安定な医薬組成物であって、治療上有効量のガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩が滅菌水に溶解されて溶液を形成し、組成物が、任意の添加剤、有機溶媒、緩衝剤、酸、塩基、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩以外の塩を実質的に有しない、医薬組成物を提供する。一実施態様において、医薬組成物は、十分に可溶性なままであり、直接投与することができる。一実施態様において、非経腸医薬組成物は、不活性雰囲気の不存在下で少なくとも6ヵ月間保存することができる。
【0101】
一実施態様において、非経腸剤形は、例えば約1mg~約500mgのガボキサドールを含み得て、ここで当該剤形の非経腸投与(例えば、筋肉内、静脈内、皮下、腹腔内またはくも膜下腔内)は、約25ng・時間/mlを越える平均AUC0-∞を含むガボキサドールのインビボ血漿プロファイルを提供する。一実施態様において、剤形の単回投与量投与は、例えば、50ng・時間/ml、約75ng・時間/ml、約150ng・時間/ml、約250ng・時間/ml、約500ng・時間/ml、約1000ng・時間/mlまたは約1500ng・時間/mlを越える平均AUC0-∞を含むガボキサドールのインビボ血漿プロファイルを提供する。一実施態様において、非経腸医薬組成物は、約1mg~約500mgのガボキサドールを含み、ここで当該非経腸医薬組成物の投与は、約10000ng/ml未満の平均Cmaxを含むガボキサドールのインビボ血漿プロファイルを提供する。一実施態様において、非経腸医薬組成物の単回投与量投与は、例えば、約5000ng/ml、約2500ng/ml、約1000ng/ml、約500ng/ml、約250ng/mlまたは約100ng/ml未満の平均Cmaxのガボキサドールのインビボ血漿プロファイルを提供する。
【0102】
一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含む非経腸組成物は、必要に応じて、例えば1日1回、2回、3回、4回、5回、6回またはそれ以上、あるいは患者の必要性に応じて継続的に、投与され得る。一実施態様において、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩含む非経腸組成物は1回投与され、1p36欠失症候群の症状の長期的緩和を提供するのに有効であり得る。
【0103】
投与されるとき、本明細書における非経腸組成物は、ヒト患者における約1時間以上(例えば、約1.5時間以上)のガボキサドールの最高血漿濃度到達時間(Tmax)を提供する。一実施態様において、ヒト患者におけるガボキサドールのTmaxは、例えば、約1~約5時間、約1~約4時間、約1~約3時間、約1~約2時間の範囲である。一実施態様において、約1.5超のヒト患者におけるガボキサドールのTmaxが観察される。一実施態様において、約3時間未満のヒト患者におけるガボキサドールのTmaxが観察される。注入が完了すると、最高血漿濃度到達時間は測定される。
【0104】
一実施態様において、非経腸投与のための医薬組成物は、ガボキサドールまたはその医薬的に許容される塩を含み、ここで当該非経腸投与は、非経腸組成物の投与後約1~約120分のTmax;続いて、約90~約360分間持続して少なくとも50%のCmaxの血漿薬物濃度の薬物動態プロファイルを示す。一実施態様において、ガボキサドールの非経腸投与は、例えば、約10~約60分間、約15~約90分間、約30~約120分間、約60~約180分間、約90~約180分間続いて少なくとも50%のCmaxの血漿薬物濃度が続く。
【0105】
他に断らない限り、本明細書において用いられるすべての技術的および科学的用語は、本明細書における開示が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0106】
本明細書で用いる用語「約」または「およそ」は、当業者により決定されるように特定の値の許容され得る誤差範囲内を意味し、これは、当該値がどのように測定または決定されるか、すなわち測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における慣習につき、3以上の標準偏差内を意味し得る。あるいは、「約」は、所与の値の20%まで、10%まで、5%まで、および/または1%までの範囲を意味し得る。あるいは、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、当該用語は、ある値の1桁内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。
【0107】
「改善」は、少なくとも1つの代表的な症状に対して測定される、1p36欠失症候群を有する患者の処置を指す。
【0108】
「PK」は、薬物動態プロファイルを指す。Cmaxは、薬物の投与後の実験中に推定される最高血漿薬物濃度(ng/ml)として定義される。Tmaxは、Cmaxが推定されるときの時点(分)として定義される。AUC0-∞は、薬物投与から薬物排出までの血漿薬物濃度-時間曲線下総面積(ng・時間/ml)である。曲線下面積は、クリアランスにより管理される。クリアランスは、単位時間当たりの薬物含有量が完全に除去された血液または血漿の容量(ml/分)として定義される。
【0109】
「処置する」または「処置」は、疾患または病態に罹患しているかまたは罹患している可能性があるが、疾患または病態の臨床的または亜臨床的症状をまだ経験していないかまたは示していない、対象体における疾患または病態の臨床的症状の出現を緩和するかまたは遅延させることを指す。ある特定の実施態様において、「処置する」または「処置」は、疾患または病態に罹患しているかまたは罹患している可能性があるが、疾患または病態の臨床的または亜臨床的症状をまだ経験していないかまたは示していない、対象体における疾患または病態の臨床的症状の出現を防止することを指す。「処置する」または「処置」はまた、疾患または病態を抑制すること、例えば、それまたはその臨床的もしくは亜臨床的症状の発生を阻止するかまたは減少させることを指す。「処置する」または「処置」はさらに、疾患または病態を緩和すること、例えば、疾患もしくは病態または少なくとも1つのその臨床的もしくは亜臨床的症状の後退を引き起こすことを指す。処置される対象体の利益は、統計学的に有意であるか、数学上有意であるか、または対象体および/または医師に少なくとも知覚可能であり得る。それでもなお、予防的処置と治療的処置は、本開示の2つの別々の態様である。
【0110】
「医薬的に許容される」は、「一般的に安全と見なされる」、例えば、ヒトに投与されるとき、生理的に忍容性であり、典型的にはアレルギー性または同様の有害反応、例えば胃の不調を生じない、分子、製剤および組成物を指す。ある実施態様において、この用語は、FDAによる市販前調査および承認を受ける、連邦食品・医薬品・化粧品法の項204(s)および409の下のGRASリストまたは類似リスト、米国薬局方、または動物、より具体的にはヒトにおける使用のために一般的に認められている別の薬局方に関して、連邦または州政府の規制機関により承認された分子、製剤および組成物を指す。
【0111】
「有効量」または「治療上有効量」は、処置されている障害、疾患または病態の1つ以上の症状を軽減するか、または別な方法で所望の薬理学的および/または生理的効果を提供するのに十分な服用量を意味する。
【0112】
「医薬組成物」および「医薬製剤」は、相互交換可能に用いられ、剤形(dosage form)および単位投与量(unit dose)を含む。
【0113】
「処置を必要とする患者」は、1p36欠失症候群と診断された個体を含み得る。方法および/または組成物は、患者が新生児、乳児(1か月~6か月)、小児患者(6か月~12歳)、思春期患者(12~18歳)または成人(18歳以上)を含むあらゆる個体に提供され得る。
【0114】
本開示の実施態様は本明細書で説明および例示されているが、本開示が当技術分野で可能な限り広い範囲であり、本明細書が同様に読まれることが意図されるので、本開示がそれに限定されることを意図しない。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、単に様々な実施態様の例示として解釈されるべきである。当業者は、特許請求の範囲およびその精神の範囲内で他の修正を想定するであろう。
【国際調査報告】