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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(54)【発明の名称】架橋PLA系共重合体
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/08 20060101AFI20230217BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230217BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20230217BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230217BHJP
【FI】
C08G63/08
A61K9/16
A61K9/51
A61K47/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538134
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 US2020066347
(87)【国際公開番号】W WO2021127623
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/950,281
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522243406
【氏名又は名称】ペンダント バイオサイエンシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】エルムキスト カール エリック
(72)【発明者】
【氏名】ルク ティモシー トーデラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4J029
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA65
4C076DD56
4C076EE24
4C076EE45
4J029AA02
4J029AA07
4J029AB01
4J029AE06
4J029EH01
4J029EH02
4J029EH03
4J029GA81
4J029GA92
4J029JB131
4J029JF371
4J029KE09
(57)【要約】
本明細書に記載の態様は概して、アリルラクチド残基を含む化合物に関する。本発明に記載の1つの局面は概して、アリルラクチド残基およびラクチド残基を含み、バレロラクトン残基を実質的に含まない、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。別の局面は、薬物を化合物に組み込む方法であって、(i) アリルラクチド残基およびラクチド残基を含み、バレロラクトン残基を実質的に含まない、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する工程; (ii) 薬物担持化合物を形成するために、インキュベーション期間にわたって該化合物および薬物を溶媒の存在下でインキュベートする工程; ならびに(iii) 該薬物担持化合物を溶媒から分離する工程を含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリルラクチド残基; および
ラクチド残基
を含み、
バレロラクトン残基を実質的に含まない、
化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
グリコリド残基をさらに含む、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
下記構造を含む、請求項1記載の化合物:
式中、
mは約1~約1,000の整数であり;
nは約1~約1,000の整数であり;
qは約1~約100の整数であり;
ここで化合物またはその薬学的に許容される塩はバレロラクトン残基を実質的に含まない。
【請求項4】
下記構造を有する、請求項3記載の化合物:
式中、
pは約1~約1,000の整数である。
【請求項5】
mが約1~約100の整数である、請求項3または4記載の化合物。
【請求項6】
mが約1~約25の整数である、請求項3または4記載の化合物。
【請求項7】
nが約1~約100の整数である、請求項3または4記載の化合物。
【請求項8】
nが約1~約25の整数である、請求項3または4記載の化合物。
【請求項9】
m/(m+n)が約0.01~約0.99である、請求項3記載の化合物。
【請求項10】
m/(m+n)が約0.2~約0.5である、請求項3記載の化合物。
【請求項11】
m/(m+n)が約0.4~約0.5である、請求項3記載の化合物。
【請求項12】
m/(m+n)が約0.1~約0.19である、請求項3記載の化合物。
【請求項13】
m/(m+n)が約0.2~約0.29である、請求項3記載の化合物。
【請求項14】
m/(m+n)が約0.3~約0.39である、請求項3記載の化合物。
【請求項15】
m/(m+n)が約0.4~約0.49である、請求項3記載の化合物。
【請求項16】
m/(m+n)が約0.5~約0.59である、請求項3記載の化合物。
【請求項17】
m/(m+n)が約0.6~約0.69である、請求項3記載の化合物。
【請求項18】
m/(m+n)が約0.7~約0.79である、請求項3記載の化合物。
【請求項19】
m/(m+n)が約0.8~約0.89である、請求項3記載の化合物。
【請求項20】
m/(m+n)が約0.9~約0.99である、請求項3記載の化合物。
【請求項21】
m/(m+n)が約0.02である、請求項3記載の化合物。
【請求項22】
m/(m+n)が約0.06である、請求項3記載の化合物。
【請求項23】
m/(m+n)が約0.12である、請求項3記載の化合物。
【請求項24】
m/(m+n)が約0.48である、請求項3記載の化合物。
【請求項25】
m/(m+n+p)が約0.01~約0.99である、請求項4記載の化合物。
【請求項26】
m/(m+n)が約0.2~約0.5である、請求項4記載の化合物。
【請求項27】
m/(m+n+p)が約0.4~約0.5である、請求項4記載の化合物。
【請求項28】
m/(m+n+p)が約0.1~約0.19である、請求項4記載の化合物。
【請求項29】
m/(m+n+p)が約0.2~約0.29である、請求項4記載の化合物。
【請求項30】
m/(m+n+p)が約0.3~約0.39である、請求項4記載の化合物。
【請求項31】
m/(m+n+p)が約0.4~約0.49である、請求項4記載の化合物。
【請求項32】
m/(m+n+p)が約0.5~約0.59である、請求項4記載の化合物。
【請求項33】
m/(m+n+p)が約0.6~約0.69である、請求項4記載の化合物。
【請求項34】
m/(m+n+p)が約0.7~約0.79である、請求項4記載の化合物。
【請求項35】
m/(m+n+p)が約0.8~約0.89である、請求項4記載の化合物。
【請求項36】
m/(m+n+p)が約0.9~約0.99である、請求項4記載の化合物。
【請求項37】
m/(m+n+p)が約0.02である、請求項4記載の化合物。
【請求項38】
m/(m+n+p)が約0.06である、請求項4記載の化合物。
【請求項39】
m/(m+n+p)が約0.12である、請求項4記載の化合物。
【請求項40】
m/(m+n+p)が約0.48である、請求項4記載の化合物。
【請求項41】
前記残基が架橋剤で架橋している、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項42】
架橋剤がチオール部分を含む、請求項41記載の化合物。
【請求項43】
架橋剤が下記:
である、請求項42記載の化合物。
【請求項44】
約1%~約99%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項45】
約1%~約9%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項46】
約10%~約19%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項47】
約20%~約29%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項48】
約30%~約39%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項49】
約40%~約49%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項50】
約50%~約59%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項51】
約60%~約69%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項52】
約70%~約79%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項53】
約80%~約89%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項54】
約90%~約99%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項55】
約2%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項56】
約6%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項57】
約12%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項58】
約48%架橋している、請求項41記載の化合物。
【請求項59】
約37℃で1日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項60】
約37℃で2日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項61】
約37℃で3日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項62】
約37℃で4日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項63】
約37℃で5日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項64】
約37℃で6日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項65】
約37℃で7日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項66】
約37℃で8日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項67】
約37℃で9日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項68】
約37℃で10日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項69】
約37℃で11日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項70】
約37℃で12日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4記載の化合物。
【請求項71】
約37℃で13日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項72】
約37℃で14日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項73】
約37℃で15日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項74】
約37℃で16日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項75】
約37℃で17日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項76】
約37℃で18日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項77】
約37℃で19日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項78】
約37℃で20日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する、請求項1~4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項79】
水性媒体がPBSを含む、請求項45~64のいずれか一項記載の化合物。
【請求項80】
PBSが、約0.5重量%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む、請求項79記載の化合物。
【請求項81】
請求項1~4のいずれか一項記載の化合物を含む、マクロ粒子。
【請求項82】
請求項1~4のいずれか一項記載の化合物を含む、ミクロ粒子。
【請求項83】
請求項1~4のいずれか一項記載の化合物を含む、ナノ粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年12月19日に出願された「架橋PLGA系共重合体(CROSSLINKED PLGA-BASED COPOLYMERS)」と題する米国仮出願第62/950,281号の優先権および恩典を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
開示の分野
本開示は、アリルラクチド残基、ラクチド残基を含み、バレロラクトン残基を実質的に含まない、化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
患者に対する適切なレベルの薬物曝露を確実にするには、薬物放出速度の制御が重要である。十分な薬物曝露を実現するには、多くの薬物では毎日の投与またはより高頻度の投与が必要になる。しかし、このように高頻度の投与が必要になることから、多くの状況において患者コンプライアンスおよび必要な消費頻度が影響を受けることがある。薬物が緩徐放出機構により送達される場合、これにより、患者に対する薬物送達に関連する不確実性を減少させることができ、患者の責任負担を減少させることができる。しかし、現行の技術には薬物放出速度の制御に関して限界がある。ポリマーマトリックスは、所望のレベルに速度制御をしながらインビボで薬物を放出するために十分に調節可能であるわけではない。したがって、薬物放出の新規の方法および機構が求められている。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書に開示の技術は、化合物(例えばアリルラクチド残基、ラクチド残基、および場合によってはグリコリド残基を含むポリマーマトリックス)からの薬物の調節可能な放出を可能にする。薬物の放出速度を架橋密度により制御することができる。いくつかの態様では、薬物の放出速度を化合物の分子量により制御することができる。
【0005】
本明細書に記載の態様は概して、アリルラクチド残基を含む化合物に関する。薬物の調節可能および予測可能な放出速度を、本明細書に開示の適切な化合物開発、架橋密度、および残基により実現することができる。例えば、薬物放出の精度を緩徐制御放出のために細かく調節することができる。
【0006】
本発明に記載の1つの局面は概して、アリルラクチド残基およびラクチド残基を含み、バレロラクトン残基を実質的に含まない、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0007】
いくつかの態様では、化合物はグリコリド残基をさらに含みうる。
【0008】
いくつかの態様では、化合物は下記構造を含みうる:
式中、
mは約1~約1,000の整数であり;
nは約1~約1,000の整数であり;
qは約1~約100の整数であり;
ここで化合物またはその薬学的に許容される塩はバレロラクトン残基を実質的に含まない。
【0009】
いくつかの態様では、化合物は下記構造を含みうる:
式中、
pは約1~約1,000の整数であり;
mは約1~約100の整数であり;
nは約1~約100の整数であり;
qは約1~約100の整数である。
【0010】
いくつかの態様では、mは約1~約25の整数でありうる。
【0011】
いくつかの態様では、nは約1~約25の整数でありうる。
【0012】
いくつかの態様では、m/(m+n)は約0.01~約0.99、約0.2~約0.5、約0.4~約0.5、約0.1~約0.19、約0.2~約0.29、約0.3~約0.39、約0.4~約0.49、約0.5~約0.59、約0.6~約0.69、約0.7~約0.79、約0.8~約0.89、約0.9~約0.99、約0.02、約0.06、約0.12、約0.26、または約0.48でありうる。
【0013】
いくつかの態様では、m/(m+n+p)は約0.01~約0.99、約0.2~約0.5、約0.4~約0.5、約0.1~約0.19、約0.2~約0.29、約0.3~約0.39、約0.4~約0.49、約0.5~約0.59、約0.6~約0.69、約0.7~約0.79、約0.8~約0.89、約0.9~約0.99、約0.02、約0.06、約0.12、約0.26、または約0.48でありうる。
【0014】
いくつかの態様では、残基は、架橋剤で架橋されうる化合物を形成しうる。
【0015】
いくつかの態様では、架橋剤はチオール部分を含みうる。いくつかの態様では、架橋剤は
でありうる。
【0016】
いくつかの態様では、化合物は約1%~約99%架橋、約1%~約9%架橋、約10%~約19%架橋、約20%~約29%架橋、約30%~約39%架橋、約40%~約49%架橋、約50%~約59%架橋、約60%~約69%架橋、約70%~約79%架橋、約80%~約89%架橋、約90%~約99%架橋、約2%架橋、約6%架橋、約12%架橋、約26%架橋、約48%架橋されうる。
【0017】
いくつかの態様では、化合物は、約37℃で1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、または20日間のリン酸緩衝食塩水(PBS)に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する。
【0018】
いくつかの態様では、PBSは約0.5重量%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。
【0019】
いくつかの態様では、薬物は小分子薬である。
【0020】
いくつかの態様では、薬物は大分子薬である。
【0021】
いくつかの態様では、上記化合物のいずれかを含むマクロ粒子が形成されうる。
【0022】
いくつかの態様では、上記化合物のいずれかを含むミクロ粒子が形成されうる。
【0023】
いくつかの態様では、上記化合物のいずれかを含むナノ粒子が形成されうる。
【0024】
別の局面は、薬物を化合物に組み込む方法であって、
(i) アリルラクチド残基およびラクチド残基を含み、バレロラクトン残基を実質的に含まない、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する工程;
(ii) 薬物担持化合物を形成するために、インキュベーション期間にわたって該化合物および薬物を溶媒の存在下でインキュベートする工程; ならびに
(iii) 該薬物担持化合物を溶媒から分離する工程
を含む、方法に関する。
【0025】
いくつかの態様では、化合物はグリコール酸残基をさらに含みうる。
【0026】
いくつかの態様では、化合物は下記構造を含みうる:
式中、
mは約1~約1,000の整数であり;
nは約1~約1,000の整数であり;
qは約1~約100の整数であり;
ここで化合物またはその薬学的に許容される塩はバレロラクトン残基を実質的に含まない。
【0027】
いくつかの態様では、化合物は下記構造を含みうる:
式中、
pは約1~約1,000の整数であり;
mは約1~約100の整数であり;
nは約1~約100の整数であり;
qは約1~約100の整数である。
【0028】
いくつかの態様では、mは約1~約25の整数でありうる。
【0029】
いくつかの態様では、nは約1~約25の整数でありうる。
【0030】
いくつかの態様では、m/(m+n)は約0.01~約0.99、約0.2~約0.5、約0.4~約0.5、約0.1~約0.19、約0.2~約0.29、約0.3~約0.39、約0.4~約0.49、約0.5~約0.59、約0.6~約0.69、約0.7~約0.79、約0.8~約0.89、約0.9~約0.99、約0.02、約0.06、約0.12、約0.26、または約0.48でありうる。
【0031】
いくつかの態様では、m/(m+n+p)は約0.01~約0.99、約0.2~約0.5、約0.4~約0.5、約0.1~約0.19、約0.2~約0.29、約0.3~約0.39、約0.4~約0.49、約0.5~約0.59、約0.6~約0.69、約0.7~約0.79、約0.8~約0.89、約0.9~約0.99、約0.02、約0.06、約0.12、約0.26、または約0.48でありうる。
【0032】
いくつかの態様では、残基は、架橋剤で架橋されうる化合物を形成しうる。
【0033】
いくつかの態様では、架橋剤はチオール部分を含みうる。いくつかの態様では、架橋剤は
でありうる。
【0034】
いくつかの態様では、化合物は約1%~約99%架橋、約1%~約9%架橋、約10%~約19%架橋、約20%~約29%架橋、約30%~約39%架橋、約40%~約49%架橋、約50%~約59%架橋、約60%~約69%架橋、約70%~約79%架橋、約80%~約89%架橋、約90%~約99%架橋、約2%架橋、約6%架橋、約12%架橋、約26%架橋、約48%架橋されうる。
【0035】
いくつかの態様では、化合物は、約37℃で1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、または20日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する。
【0036】
いくつかの態様では、水性媒体はリン酸緩衝食塩水(PBS)を含みうる。
【0037】
いくつかの態様では、PBSは約0.5重量%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。
【0038】
いくつかの態様では、薬物はパクリタキセル(PTX)、トリアムシノロンアセトニド(TAA)、またはトリアムシノロンヘキサアセトニド(TAH)でありうる。
【0039】
いくつかの態様では、本方法は薬物担持化合物を粒子に成形する工程を含みうる。
【0040】
いくつかの態様では、粒子はナノ粒子でありうる。
【0041】
いくつかの態様では、粒子はミクロ粒子でありうる。
【0042】
いくつかの態様では、粒子はマクロ粒子でありうる。
【0043】
いくつかの態様では、溶媒は疎水性溶媒を含みうる。
【0044】
いくつかの態様では、溶媒は親水性溶媒を含みうる。
【0045】
いくつかの態様では、溶媒は疎水性溶媒を含みえ、薬物は小分子薬(例えばPTX、TAH)でありうる。
【0046】
いくつかの態様では、溶媒は疎水性溶媒を含みえ、薬物は大分子薬(例えば抗体)でありうる。
【0047】
いくつかの態様では、溶媒は親水性溶媒を含みえ、薬物は小分子薬でありうる。
【0048】
いくつかの態様では、溶媒は親水性溶媒を含みえ、薬物は大分子薬でありうる。
【0049】
いくつかの態様では、溶媒はジクロロメタンを含みうる。
【0050】
いくつかの態様では、溶媒は水を含みうる。
【0051】
いくつかの態様では、溶媒はエタノールを含みうる。
【0052】
いくつかの態様では、溶媒はメタノールを含みうる。
【0053】
いくつかの態様では、溶媒は酢酸を含みうる。
【0054】
いくつかの態様では、溶媒はプロパノールを含みうる。
【0055】
いくつかの態様では、溶媒は四塩化炭素を含みうる。
【0056】
いくつかの態様では、溶媒はヘキサンを含みうる。
【0057】
いくつかの態様では、溶媒はベンゼンを含みうる。
【0058】
いくつかの態様では、溶媒はテトラヒドロフラン(THF)を含みうる。
【0059】
いくつかの態様では、溶媒はジメチルスルホキシド(DMSO)を含みうる。
【0060】
いくつかの態様では、溶媒はDMSOおよびTHFを重量比で約50:50の混合物として含みうる。
【0061】
いくつかの態様では、インキュベーション期間は約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、または約10日間でありうる。
【0062】
いくつかの態様では、薬物担持化合物は約30重量%~約50重量%の薬物を含みうる。
【0063】
いくつかの態様では、水性媒体中での薬物担持化合物からの薬物の累積的放出速度は35日間にわたって約10重量%~約20重量%でありうる。
【0064】
いくつかの態様では、水性媒体はPBSおよび0.5% SDSの溶液でありうる。
【0065】
いくつかの態様では、水性媒体中での薬物担持化合物からの薬物の累積的放出速度は60日間にわたって約40重量%~約50重量%でありうる。
【0066】
いくつかの態様では、水性媒体はPBSおよび0.5% SDSの溶液でありうる。
【0067】
いくつかの態様では、薬物担持化合物は30日後に約10%以下、約20%以下、約30%以下、約40%以下、約50%以下、約60%以下、または約70%以下の薬物を放出する。
【0068】
別の局面は、アリルラクチド残基およびラクチド残基を含み、バレロラクトン残基を実質的に含まない、薬物担持化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0069】
いくつかの態様では、薬物担持化合物はグリコリド残基を含みうる。
【0070】
いくつかの態様では、薬物担持化合物は下記構造を含みうる:
式中、
mは約1~約1,000の整数であり;
nは約1~約1,000の整数であり;
qは約1~約100の整数であり;
ここで薬物担持化合物またはその薬学的に許容される塩はバレロラクトン残基を実質的に含まない。
【0071】
いくつかの態様では、薬物担持化合物は下記構造を含みうる:
式中、
pは約1~約1,000の整数であり;
mは約1~約100の整数であり;
nは約1~約100の整数であり;
qは約1~約100の整数である。
【0072】
いくつかの態様では、mは約1~約25の整数でありうる。
【0073】
いくつかの態様では、nは約1~約25の整数でありうる。
【0074】
いくつかの態様では、m/(m+n)は約0.01~約0.99、約0.2~約0.5、約0.4~約0.5、約0.1~約0.19、約0.2~約0.29、約0.3~約0.39、約0.4~約0.49、約0.5~約0.59、約0.6~約0.69、約0.7~約0.79、約0.8~約0.89、または約0.9~約0.99、約0.02、約0.06、約0.12、約0.26、または約0.48でありうる。
【0075】
いくつかの態様では、m/(m+n+p)は約0.01~約0.99、約0.2~約0.5、約0.4~約0.5、約0.1~約0.19、約0.2~約0.29、約0.3~約0.39、約0.4~約0.49、約0.5~約0.59、約0.6~約0.69、約0.7~約0.79、約0.8~約0.89、または約0.9~約0.99、約0.02、約0.06、約0.12、約0.26、または約0.48でありうる。
【0076】
いくつかの態様では、薬物担持化合物は架橋剤で架橋されうる。
【0077】
いくつかの態様では、架橋剤はチオール部分を含みうる。いくつかの態様では、架橋剤は
でありうる。
【0078】
いくつかの態様では、薬物担持化合物は約1%~約99%架橋、約1%~約9%架橋、約10%~約19%架橋、約20%~約29%架橋、約30%~約39%架橋、約40%~約49%架橋、約50%~約59%架橋、約60%~約69%架橋、約70%~約79%架橋、約80%~約89%架橋、約90%~約99%架橋、約2%架橋、約6%架橋、約12%架橋、約26%架橋、または約48%架橋されうる。
【0079】
いくつかの態様では、薬物担持化合物は、約37℃で1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、または20日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する。
【0080】
いくつかの態様では、水性媒体はPBSを含みうる。
【0081】
いくつかの態様では、PBSは約0.5重量%のSDSを含む。
【0082】
いくつかの態様では、薬物担持化合物は粒子中に担持されうる。
【0083】
いくつかの態様では、粒子はナノ粒子でありうる。
【0084】
いくつかの態様では、粒子はミクロ粒子でありうる。
【0085】
いくつかの態様では、粒子はマクロ粒子でありうる。
【0086】
いくつかの態様では、対象内で制御薬物放出を実行する方法であって、該対象に上記薬物担持化合物のいずれかを投与する段階を含む、方法を採用することができる。
【0087】
いくつかの態様では、薬物は小分子薬でありうる。
【0088】
いくつかの態様では、薬物は大分子薬でありうる。
【0089】
いくつかの態様では、薬物はPTX、TAA、またはTAHでありうる。
【0090】
いくつかの態様では、水性媒体中での薬物担持化合物からの薬物の累積的放出速度は35日間にわたって約10重量%~約20重量%でありうる。
【0091】
いくつかの態様では、水性媒体はPBSおよび0.5% SDSの溶液でありうる。
【0092】
いくつかの態様では、水性媒体中での薬物担持化合物からの薬物の累積的放出速度は60日間にわたって約40重量%~約50重量%でありうる。
【0093】
いくつかの態様では、水性媒体はPBSおよび0.5% SDSの溶液でありうる。
【0094】
本明細書に記載の化合物、方法、および薬物担持化合物の使用によって、薬物放出の精度を、緩徐な制御放出のために細かく調節することができる。本明細書に開示の化合物、方法、および薬物担持化合物は、薬物放出動態を改善し、それにより薬物送達に関連する薬事規制の遵守を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
本開示の特定の態様に関する以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読まれる際により良く理解されるであろう。本開示を例示する目的で、特定の態様を図面に示す。しかし、本開示が、図面に示される態様の正確な構成および手段に限定されないということを理解すべきである。
【0096】
図1】本明細書においてPLA-12と呼ばれる12%アリル-ラクチドを有するポリマーからのNMRデータを示す。
図2】PBS中での様々なポリマーの分解速度を示す。
図3】PBSおよび0.5% SDS中での様々なポリマーの分解速度を示す。
図4】60日間にわたるポリマーディスクの分解を示す。
図5】PBSおよび0.5% SDS中での様々なポリマー中のPTXの放出速度を示す。
図6】PBSおよび0.5% SDS中での様々なポリマー中のTAAの放出速度を示す。
図7A】薬物の溶解限度による3~4日毎の媒体の変化により実現されたPTX放出速度を示す。
図7B】薬物の溶解限度による3~4日毎の媒体の変化により実現されたPTX放出速度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0097】
発明の詳細な説明
本開示は、部分的に、ポリマーの架橋密度が該ポリマーの分解速度に、したがって該ポリマーからの薬物の放出速度に直接関連するという発見に関する。薬物送達は、所望の治療効果が得られるように患者において薬学的化合物を送達するために細かくかつ予測可能に調節することができるパラメータである。患者の体内での位置だけでなく、薬学的化合物が送達される時間枠も、所望の治療効果が実現されるように操作することができる重要なパラメータである。多くの場合、ポリマーを薬物と組み合わせることができ、ポリマーの構造特性はポリマーからの薬物の放出速度に影響を与えうる。これらの構造特性としては残基の種類、分子量、架橋度、およびいくつかの他のパラメータを挙げることができる。具体的には、バレロラクトン残基の排除がポリマー分解のいっそう細かい制御に道を開くことから、アリルラクチド残基、ラクチド残基を含み、バレロラクトン残基を実質的に含まない、化合物またはその薬学的に許容される塩が、患者に対する薬物の緩徐送達に有益でありうる。すなわち、特許請求される化合物は、架橋密度の関数としての調節可能で予測可能な分解および薬物放出プロファイルを可能にする。薬物の制御放出は、少なくとも30日間にわたる薬物の放出を含みうる。いくつかの態様では、薬物の制御放出は、30日未満の間にわたる薬物の放出(例えばラクチド残基および/またはグリコリド残基を含むポリマーによる)を含みうる。
【0098】
定義
別途定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等である任意の方法および材料を本開示の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および材料を記載する。
【0099】
本明細書において使用される以下の各用語は、本節においてそれに関連づけられる意味を有する。
【0100】
本明細書において使用される「1つの(a)」および「1つの(an)」という冠詞は、該冠詞の文法上の対象が1つまたは2つ以上(すなわち少なくとも1つ)であることを意味するように使用される。例えば、「ある要素」とは1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0101】
量、持続時間などの測定可能な値に言及する際に本明細書において使用される「約」という用語は、特定の値から±20%または±10%(例えば±5%; ±1%; および±0.1%)の変動を、開示される方法を行う上でこれらの変動が適切である場合に包含するように意図されている。
【0102】
疾患もしくは障害の症状の重症度、該症状を患者が経験する頻度、またはその両方が減少する場合に、疾患または障害は「寛解する」。
【0103】
本明細書において使用される「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、および「アルコキシ」という用語は、直鎖基および分岐鎖基の両方、ならびに置換されていない基および置換された基の両方を含む。任意的な置換基としてはハロゲン、C1~C6アルコキシ、CN、OH、NH2、NO2、NH(C1~C6アルキル)、N(C1~C6アルキル)2、CONH2、CO(C1~C6アルキル)、SO2NH2、およびSO2(C1~C6アルキル)を挙げることができるがそれに限定されない。
【0104】
本明細書において使用される「同時投与される」および「同時投与」という用語は、本明細書において想定される化合物、またはその薬学的に許容される塩を、本明細書において想定される障害または疾患をやはり処置可能な化合物と共に、対象に投与することを意味する。いくつかの態様では、同時投与される化合物は、1つの治療アプローチの一部として別々に投与される。いくつかの態様では、同時投与される化合物は、1つの治療アプローチの一部として任意の種類の組み合わせで投与される。いくつかの態様では、同時投与される化合物は、種々の固体製剤、ゲル製剤、および液体製剤に基づく固体および液体の混合物として、ならびに/または溶液として、任意の種類の組み合わせで製剤化されうる。
【0105】
本明細書において使用される「組成物」または「薬学的組成物」という用語は、本明細書において想定される少なくとも1つの化合物と薬学的に許容される担体との混合物を意味する。薬学的組成物は、患者または対象への化合物の投与を促進する。静脈内投与、経口投与、エアロゾル投与、非経口投与、眼内投与、経鼻投与、肺内投与、および局所投与を含むがそれに限定されない、化合物を投与する複数の技術が当技術分野に存在する。
【0106】
「容器」という用語は、薬学的組成物を保持するための、または安定性および/もしくは水分吸収を管理する保護効果を付加するための、任意の入れ物を含む。例えば、いくつかの態様では、容器は、薬学的組成物、例えば液体(溶液もしくは懸濁液); 半固体; 凍結乾燥固体; または二重室中に存在する溶液、粉末、もしくは凍結乾燥製剤を収容する包装である。いくつかの態様では、容器は、薬学的組成物を収容する包装ではなく、すなわち、容器は、包装された薬学的組成物または包装されていない薬学的組成物と該薬学的組成物の使用説明書とを収容するボックスまたはバイアルなどの入れ物である。いくつかの態様では、包装技術は当技術分野において周知である。薬学的組成物の使用説明書が、該薬学的組成物を収容する包装上に含まれうるものであり、これにより該説明書と包装製品との機能的関係性が増加するということを理解すべきである。しかし、説明書が、所期の機能を実行する化合物の能力、例えば患者における呼吸障害の処置、予防、または減少を実行する能力に関する情報を含みうるということを理解すべきである。
【0107】
本明細書において使用される「疾患」とは、対象が恒常性を維持することができず、疾患が寛解しなければ対象の健康が悪化し続ける、対象の健康状態のことである。
【0108】
本明細書において使用される、対象における「障害」とは、対象が恒常性を維持可能であるが、対象の健康状態が障害の非存在下の場合よりも好ましくない、健康状態のことである。処置されないままでも、障害は対象の健康状態のさらなる低下を必ずしも引き起こすわけではない。
【0109】
本明細書において使用される「有効量」、「薬学的有効量」、および「治療有効量」という用語は、無毒であるが所望の生物学的結果を得るために十分な化合物または剤の量を意味する。その結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因の減少および/もしくは軽減、または生体系の任意の他の所望の変化でありうる。その結果は、疾患の徴候もしくは症状の減少および/もしくは軽減、または生体系の任意の他の所望の変化でありうる。任意の個々の症例における適切な治療量は、当業者が日常的実験を使用して確定可能である。治療効果または改善は、障害または疾患に関連する任意の1つの、大部分の、またはすべての症状、合併症、結果、または基礎にある原因の完全な消失では必ずしもない。したがって、いくつかの態様では、良好なエンドポイントが実現されるのは、ある期間(例えば数時間、数日間、数週間、数ヶ月間、または数年間)にわたって、対象の状態が一時的に、中期的に、または長期的に徐々に改善されるか、あるいは、障害または疾患の1つまたは複数の関連する有害症状、合併症、結果、または基礎にある原因、悪化、もしくは進行について、それらの発生、頻度、重症度、進行、もしくは期間が部分的に減少するか、またはそれらが阻害もしくは逆転される(例えば状態、障害、または疾患の1つまたは複数の症状または合併症が安定する)場合である。
【0110】
本明細書において使用される「説明用資材」とは、キット中の、本明細書において想定される組成物および/または化合物の有用性を伝達するために使用可能な刊行物、記録、図表、または任意の他の表現媒体を含む。キットの説明用資材は、例えば、本明細書において想定される組成物および/または化合物を収容する容器に取り付けてもよい。キットの説明用資材は、例えば、組成物および/または化合物を収容する容器と共に輸送してもよい。説明用資材は、レシピエントが説明用資材および化合物を一体的に使用することを意図して、容器とは別に輸送してもよい。説明用資材の運搬は、例えばキットの有用性を伝達する刊行物または他の表現媒体の物理的運搬によるものでもよく、あるいは、例えばコンピュータによる電子的伝送、例えば電子メール、またはウェブサイトからのダウンロードによって実現してもよい。
【0111】
本明細書において使用される「見込み(likelihood)」、「見込みがある(likely to)」、および同様の用語は概して、事象の蓋然性の増加を意味する。したがって、がん治療に対する応答性に関して使用される場合の「見込み」、「見込みがある」、および同様の用語は、個体ががんの重症度もしくはがんの症状の減少またはがんの進行の遅延もしくは緩徐化を示すことの蓋然性の増加を想定する。がん治療に対する応答性に関して使用される場合の「見込み」、「見込みがある」、および同様の用語は、がんが処置に応答性があることの証拠となりうる指標の増加も意味しうる。
【0112】
「患者」、「対象」、または「個体」という用語は、本明細書において互換的に使用され、本明細書に記載の方法が許容される任意の動物、またはインビトロであれインサイチューであれその細胞を意味する。いくつかの態様では、対象は患者である。いくつかの態様では、患者は動物である。いくつかの態様では、患者は哺乳動物である。いくつかの態様では、患者はヒトである。いくつかの態様では、対象は、処置を必要とする対象である。
【0113】
本明細書において使用される「粒子」とは、物質の小さな一部分を意味する。「ナノ粒子」とは、約1nm~約999nmの平均寸法を有する粒子を意味する。「ミクロ粒子」とは、約1μm~約999μmの平均寸法を有する粒子を意味する。「マクロ粒子」とは、約1mm~約15cmの平均寸法を有する粒子を意味する。本明細書において使用される「薬学的に許容される」という用語は、化合物の生物活性または生物特性を抑止せず、相対的に無毒である、担体または希釈剤などの材料を意味し、すなわち、この材料は、望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、または組成物に含まれる組成物の任意の成分との有害な相互作用を起こすことなく、個体に投与可能である。
【0114】
本明細書において使用される「薬学的に許容される担体」という用語は、本明細書に開示の化合物を運搬または輸送することに関与する、液体または固体の充填剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒、または封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物、または担体を意味する。本明細書において使用される「薬学的に許容される担体」という用語は、本明細書に開示の化合物がその所期の機能を果たすことができるようにそれを対象に運搬または輸送することに関与する、液体または固体の充填剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒、または封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物、または担体を意味する。いくつかの態様では、これらの構築物は1つの臓器または身体の一部分から別の臓器または身体の一部分に運搬または輸送される。各担体は、本明細書に開示の化合物を含む製剤の他の成分と適合性があって、患者に有害ではないという意味で、「許容される」ものでなければならない。いくつかの態様では、薬学的に許容される担体の役割を果たしうる材料の例として、糖(例えば乳糖、グルコース、およびショ糖); デンプン(例えばコーンスターチおよびジャガイモデンプン); セルロースならびにその誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース); トラガント末; 麦芽; ゼラチン; タルク; 賦形剤、例えばカカオバターおよび坐薬ワックス; 油(例えばピーナッツ油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油); グリコール(例えばプロピレングリコール); ポリオール(例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール、および以下「PEG」と呼ぶポリエチレングリコール); エステル(例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル); 寒天; 緩衝剤(例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム); 界面活性剤; アルギン酸; パイロジェンフリー水; 等張食塩水; リンゲル液; エチルアルコール; リン酸緩衝液; ならびに薬学的製剤に使用される他の無毒で適合性のある物質が挙げられる。
【0115】
本明細書において使用される「薬学的に許容される担体」は、例えば、本明細書に開示の化合物の活性と適合性があって、患者に生理学的に許容される、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、ならびに吸収遅延剤なども含む。補足的な有効化合物を組成物に組み入れてもよい。
【0116】
「薬学的に許容される担体」は、本明細書に開示の化合物の薬学的に許容される塩をさらに含みうる。本明細書に開示の薬学的組成物に含まれうる他の追加の成分は、当技術分野において公知であり、例えば参照により本明細書に組み入れられるRemington's Pharmaceutical Sciences (Genaro, Ed., Mack Publishing Co., 1985, Easton, PA)に記載されている。
【0117】
本明細書において使用される「薬学的に許容される塩」という語句は、無機酸、有機酸を含む薬学的に許容される無毒の酸から例えば調製される本開示の化合物の塩、その溶媒和物、水和物、またはクラスレートを意味する。
【0118】
本明細書において使用される「予防する」、「予防すること」、または「予防」という用語は、疾患または状態に関連する症状の発症を、剤または化合物の投与を開始する時点では該症状を発生させていない対象において回避するかまたは遅延させることを意味する。
【0119】
本明細書において使用される「プロドラッグ」という用語は、投与後に、少なくとも1つの特性に関して生物学的に活性があるかまたは活性がより高い化合物(例えば薬物)に代謝されるかまたは別のやり方で変換される、化合物を意味する。プロドラッグは、薬物に比べて活性が低くなるかまたは活性がなくなるように、薬物が化学修飾されたものであるが、この化学修飾は、プロドラッグが投与された後に代謝プロセスまたは他の生物学的プロセスによって対応する薬物が生成されるというものである。プロドラッグは、活性薬に比べて変化した代謝安定性、変化した輸送性、少ない副作用、低い毒性、または改善された風味を有しうる(例えば、参照により本明細書に組み入れられる参考文献Nogrady, 1985, Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392を参照)。プロドラッグは、対応する化合物(例えば薬物)以外の反応物を使用して合成可能である。
【0120】
「治療的」処置とは、病態の徴候を示す対象に、該徴候を減少させるかまたは除去する目的で実行される処置のことである。
【0121】
処置に関して使用される場合の「応答性」または「応答性がある」という用語は、処置される疾患、障害、または状態の症状を減弱または減少させる上での処置の有効性の程度を意味する。例えば、細胞または対象の処置に関して使用される場合の「応答性の増加(increased responsiveness)」という用語は、当技術分野において公知である任意の方法を使用して測定される場合の、疾患の症状を減弱または減少させる上での有効性の増加を意味する。いくつかの態様では、有効性の増加は少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、または少なくとも約50%である。
【0122】
本明細書において使用される「処置」または「処置すること」という用語は、本明細書において想定される状態、本明細書において想定される状態の症状、または本明細書において想定される状態を発生させる可能性を治療し(cure)、治癒し、軽減し、緩和し、変化させ、治療し(remedy)、寛解させ、改善し、またはそれに影響を与えるという目的での、本明細書において想定される状態、本明細書において想定される状態の症状、または本明細書において想定される状態を発生させる可能性を有する対象に対する治療剤、すなわち本明細書に開示の化合物の適用または投与(単独または別の薬学的剤との組み合わせでの)、あるいは、該対象から単離された組織または細胞株に対する治療剤の適用または投与(例えば診断用途またはエクスビボ用途での)として定義される。いくつかの態様では、「処置」または「処置すること」という用語は、本明細書において想定される状態、本明細書において想定される状態の症状、または本明細書において想定される状態を発生させる可能性を治療し(cure)、治癒し、軽減し、緩和し、変化させ、治療し(remedy)、寛解させ、改善し、またはそれに影響を与えるという目的での、本明細書において想定される状態または本明細書において想定される状態の症状を有する対象に対する治療剤、すなわち本明細書に開示の化合物の適用または投与(単独または別の薬学的剤との組み合わせでの)、あるいは、該対象から単離された組織または細胞株に対する治療剤の適用または投与(例えば診断用途またはエクスビボ用途での)として定義される。いくつかの態様では、「処置」または「処置すること」という用語は、本明細書において想定される状態、本明細書において想定される状態の症状、または本明細書において想定される状態を発生させる可能性を軽減し、緩和し、変化させ、治療し(remedy)、寛解させ、改善し、またはそれに影響を与えるという目的での、本明細書において想定される状態または本明細書において想定される状態の症状を有する対象に対する治療剤、すなわち本明細書に開示の化合物の適用または投与(単独または別の薬学的剤との組み合わせでの)、あるいは、該対象から単離された組織または細胞株に対する治療剤の適用または投与(例えば診断用途またはエクスビボ用途での)として定義される。これらの処置は、薬理ゲノミクス分野から得られる知識に基づいて具体的に調整または修正可能である。
【0123】
いくつかの態様では、「処置」または「処置すること」という用語は、個体が特定の疾患に罹患している間に生じる作用であって、該疾患の重症度もしくは該疾患の症状を減少させ、かつ/または該疾患の進行を遅延させるかもしくは緩徐化する作用を意味する。例えば、いくつかの態様では、「処置」または「処置すること」とは、疾患の進行速度の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%の減少を意味する。いくつかの態様では、「処置」とは、疾患の任意の身体症状の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%の減少を意味する。いくつかの態様では、「処置」とは、任意の好適な手段、例えば細胞数、アッセイ結果、または他の好適な手段により確定される、個体の全身的健康の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%の増加を意味する。
【0124】
本開示全体を通じて、本開示の様々な局面を範囲という形で提示することができる。範囲という形での記述が、単に便宜および簡潔さを目的としており、本明細書の開示に対する硬直的な制限と解釈されるべきではないということを理解すべきである。したがって、範囲に関する記述は、すべての可能な部分範囲、および該範囲内の個々の数値を具体的に開示したものと考えるべきである。例えば、約1~約6などの範囲に関する記述は、約1~約3、約1~約4、約1~約5、約2~約4、約2~約6、約3~約6などの部分範囲、ならびに該範囲内の個々の数、例えば約1、約2、約2.7、約3、約4、約5、約5.1、約5.3、約5.5、および約6を具体的に開示したものと見なすべきである。したがって、例えば、90~100%の範囲に対する言及は約91~99%、約92~98%、約93~95%、約91~98%、約91~97%、約91~96%、約91~95%、約91~94%、約91~93%などを含む。90~100%の範囲に対する言及は約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%など、ならびに約91.1%、約91.2%、約91.3%、約91.4%、約91.5%など、および約92.1%、約92.2%、約92.3%、約92.4%、約92.5%なども含む。一連の範囲が本開示全体を通じて開示される。一連の範囲の使用は、別の範囲を示す高範囲と低範囲との組み合わせを含む。この解釈は、範囲の幅に関係なく、本開示全体を通じたすべての文脈において適用される。したがって、例えば、5~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~75、75~100、100~150などの一連の範囲に対する言及は5~20、5~30、5~40、5~50、5~75、5~100、5~150、および10~30、10~40、10~50、10~75、10~100、10~150、および20~40、20~50、20~75、20~100、20~150などの範囲を含む。このことは範囲の幅に関係なく適用される。
【0125】
アリル-ラクチド残基およびラクチド残基を含むポリマー
本明細書に記載の態様は概して、ラクチド残基およびアリルラクチド残基を含み、バレロラクトン残基を実質的に含まない化合物、該化合物を生成する方法、薬物を該化合物中に担持させる方法、ならびにラクチド残基、アリルラクチド残基を含み、バレロラクトン残基を実質的に含まない薬物担持化合物に関する。本発明に記載の1つの局面は概して、アリルラクチド残基およびラクチド残基を含み、バレロラクトン残基を実質的に含まない、化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。アリルラクチド残基、ラクチド残基を含み、バレロラクトン残基を実質的に含まない化合物の技術的利点としては、架橋密度の細かい制御、化合物分解の細かい制御、および該化合物に含まれる薬物の放出速度の細かい制御が挙げられるがそれに限定されない。ポリマーからの薬物の放出速度は架橋密度の関数である。化合物分解も架橋密度の関数である。アリル基が多くの場合、架橋剤との反応性がある一次部位であることから、架橋密度はアリルの割合と相関しうる。
【0126】
いくつかの態様では、化合物はグリコリド残基を含みうる。いくつかの態様では、化合物はPEG残基を含みうる。いくつかの態様では、化合物はベンジル残基を含みうる。いくつかの態様では、ベンゼンを開始剤として使用することができる。いくつかの態様では、化合物はベンジル残基およびPEG残基を含みうる。いくつかの態様では、化合物はグリコリド残基およびPEG残基を含みうる。いくつかの態様では、化合物はグリコリド残基およびベンジル残基を含みうる。いくつかの態様では、化合物はグリコリド残基、PEG残基、およびベンジル残基を含みうる。いくつかの態様では、化合物はベンジル残基を含まなくてもよい。
【0127】
いくつかの態様では、触媒を化合物の生成に使用することができる。いくつかの態様では、触媒はスズ系触媒でありうる。いくつかの態様では、触媒はトリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)を含みうる。いくつかの態様では、触媒は4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)を含みうる。いくつかの態様では、触媒の使用なしに化合物を生成することができる。
【0128】
いくつかの態様では、化合物は約1重量%~約99重量%、約1重量%~約9重量%、約10重量%~約19重量%、約20重量%~約29重量%、約30重量%~約39重量%、約40重量%~約49重量%、約50重量%~約59重量%、約60重量%~約69重量%、約70重量%~約79重量%、約80重量%~約89重量%、約90重量%~約99重量%のラクチド残基、または約100重量%のラクチド残基を含みうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0129】
いくつかの態様では、化合物は約1重量%~約100重量%、約1重量%~約99重量%、約1重量%~約9重量%、約10重量%~約19重量%、約20重量%~約29重量%、約30重量%~約39重量%、約40重量%~約49重量%、約50重量%~約59重量%、約60重量%~約69重量%、約70重量%~約79重量%、約80重量%~約89重量%、約90重量%~約99重量%のアリル-ラクチド残基、約100重量%のアリル-ラクチド残基、約2重量%のアリル-ラクチド残基、約6重量%のアリル-ラクチド残基、約12重量%のアリル-ラクチド残基、約26重量%のアリル-ラクチド残基、または約48重量%のアリル-ラクチド残基を含みうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0130】
いくつかの態様では、化合物は約1重量%~約99重量%、約1重量%~約9重量%、約10重量%~約19重量%、約20重量%~約29重量%、約30重量%~約39重量%、約40重量%~約49重量%、約50重量%~約59重量%、約60重量%~約69重量%、約70重量%~約79重量%、約80重量%~約89重量%、または約90重量%~約99重量%のグリコリド残基を含みうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0131】
いくつかの態様では、化合物は約1重量%~約99重量%、約1重量%~約9重量%、約10重量%~約19重量%、約20重量%~約29重量%、約30重量%~約39重量%、約40重量%~約49重量%、約50重量%~約59重量%、約60重量%~約69重量%、約70重量%~約79重量%、約80重量%~約89重量%、または約90重量%~約99重量%のPEG残基を含みうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0132】
いくつかの態様では、化合物は約1重量%~約99重量%、約1重量%~約9重量%、約10重量%~約19重量%、約20重量%~約29重量%、約30重量%~約39重量%、約40重量%~約49重量%、約50重量%~約59重量%、約60重量%~約69重量%、約70重量%~約79重量%、約80重量%~約89重量%、または約90重量%~約99重量%のベンジル残基を含むことができ、これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0133】
いくつかの態様では、化合物は下記構造を有しうる。
【0134】
いくつかの態様では、mは約1~約1,000、約1~約900、約1~約800、約1~約700、約1~約600、約1~約500、約1~約400、約1~約300、約1~約200、約1~約100、約1~約75、約1~約50、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約5~約15、約10~約15、約10~約20、約1~約10、約5~約10、約20~約25、約20~約30、約25~約30、または約15~約20の整数でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0135】
いくつかの態様では、nは約0~約1,000、約1~約1,000、約1~約900、約1~約800、約1~約700、約1~約600、約1~約500、約1~約400、約1~約300、約1~約200、約1~約100、約1~約75、約1~約50、約1~約25、約100~約900、約100~約800、約100~約700、約100~約600、約100~約500、約100~約400、約100~約300、約100~約200、約100~約150、約150~約200、約200~約250、約200~約225、約125~約150、約150~約175、約140~約150、約135~約145、約135~約140、約140~約145、約50~約75、約50~約60、約55~約60、約60~約65、約65~約70、または約65~約75の整数でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0136】
いくつかの態様では、qは約1~約1,000、約1~約900、約1~約800、約1~約700、約1~約600、約1~約500、約1~約400、約1~約300、約1~約200、約1~約100、約1~約75、約1~約50、約1~約25、約1~約15、約1~約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、または約1の整数でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0137】
いくつかの態様では、化合物は下記構造を有しうる。
【0138】
いくつかの態様では、mは約1~約1,000、約1~約900、約1~約800、約1~約700、約1~約600、約1~約500、約1~約400、約1~約300、約1~約200、約1~約100、約1~約75、約1~約50、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約5~約15、約10~約15、約10~約20、または約15~約20の整数でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0139】
いくつかの態様では、nは約1~約1,000、約1~約900、約1~約800、約1~約700、約1~約600、約1~約500、約1~約400、約1~約300、約1~約200、約1~約100、約1~約75、約1~約50、約1~約25、約100~約900、約100~約800、約100~約700、約100~約600、約100~約500、約100~約400、約100~約300、約100~約200、約100~約150、約150~約200、約125~約150、約150~約175、約140~約150、約135~約145、約135~約140、または約140~約145の整数でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0140】
いくつかの態様では、pは約1~約1,000、約1~約900、約1~約800、約1~約700、約1~約600、約1~約500、約1~約400、約1~約300、約1~約200、約1~約100、約1~約75、約1~約50、約1~約25、約25~約1,000、約25~約900、約25~約800、約25~約700、約25~約600、約25~約500、約25~約400、約25~約300、約25~約200、約25~約100、約25~約50、約25~約40、約30~約40、約30~約35、または約35~約40の整数でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0141】
いくつかの態様では、pは約1~約1,000、約1~約900、約1~約800、約1~約700、約1~約600、約1~約500、約1~約400、約1~約300、約1~約200、約1~約100、約1~約75、約1~約50、約1~約25、約1~約15、約1~約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、約1の整数でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0142】
いくつかの態様では、qは約1~約1,000、約1~約900、約1~約800、約1~約700、約1~約600、約1~約500、約1~約400、約1~約300、約1~約200、約1~約100、約1~約75、約1~約50、約1~約25、約1~約15、約1~約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、約1の整数でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0143】
いくつかの態様では、m/(m+n)は約0.01~約1、約0.01~約0.99、約0.2~約0.5、約0.4~約0.5、約0.1~約0.19、約0.2~約0.29、約0.3~約0.39、約0.4~約0.49、約0.5~約0.59、約0.6~約0.69、約0.7~約0.79、約0.8~約0.89、約0.9~約0.99でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0144】
いくつかの態様では、m/(m+n+p)は約0.01~約1、約0.01~約0.99、約0.2~約0.5、約0.4~約0.5、約0.1~約0.19、約0.2~約0.29、約0.3~約0.39、約0.4~約0.49、約0.5~約0.59、約0.6~約0.69、約0.7~約0.79、約0.8~約0.89、約0.9~約0.99でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0145】
いくつかの態様では、化合物は架橋されうる。いくつかの態様では、化合物は架橋性化合物を含みうる。いくつかの態様では、化合物の残基は架橋剤で架橋されうる。いくつかの態様では、架橋剤はチオール部分を含みうる。いくつかの態様では、架橋剤は下記構造を有しうる。
【0146】
いくつかの態様では、fは約0、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20、約25、約30でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0147】
いくつかの態様では、架橋剤は切断可能な架橋剤でありうる。いくつかの態様では、架橋剤はPEGを含みうる。
【0148】
いくつかの態様では、架橋剤は下記構造を有しうる。
【0149】
いくつかの態様では、ポリマー骨格は複数の架橋剤により結びつけられうる。
【0150】
いくつかの態様では、pは約0~約5の整数でありうる。いくつかの態様では、tは約0~約5の整数でありうる。
【0151】
いくつかの態様では、架橋剤は下記構造を有しうる。
【0152】
いくつかの態様では、pは約0~約5の整数でありうる。いくつかの態様では、tは約0~約5の整数でありうる。
【0153】
いくつかの態様では、架橋剤は下記構造を有しうる。
【0154】
いくつかの態様では、pは約0~約5の整数でありうる。いくつかの態様では、tは約0~約5の整数でありうる。
【0155】
いくつかの態様では、架橋剤は下記構造を有しうる。
【0156】
いくつかの態様では、pは約0~約5の整数でありうる。いくつかの態様では、tは約0~約5の整数でありうる。
【0157】
いくつかの態様では、架橋剤は下記構造を有しうる。
【0158】
いくつかの態様では、pは約0~約5の整数でありうる。いくつかの態様では、tは約0~約5の整数でありうる。
【0159】
いくつかの態様では、架橋剤は下記構造を有しうる。
【0160】
いくつかの態様では、pは約0~約5の整数でありうる。いくつかの態様では、tは約0~約5の整数でありうる。
【0161】
いくつかの態様では、架橋剤は下記構造を有しうる。
【0162】
いくつかの態様では、pは約0~約5の整数でありうる。いくつかの態様では、tは約0~約5の整数でありうる。
【0163】
いくつかの態様では、化合物は約1%~約100%架橋、約1%~約99%架橋、約1%~約9%架橋、約10%~約19%架橋、約20%~約29%架橋、約30%~約39%架橋、約40%~約49%架橋、約50%~約59%架橋、約60%~約69%架橋、約70%~約79%架橋、約80%~約89%架橋、約90%~約99%架橋、約100%架橋、約2%架橋、約6%架橋、約12%架橋、約26%架橋、または約48%架橋されうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0164】
いくつかの態様では、化合物は約5kDa~約50kDa、約5kDa~約45kDa、約5kDa~約40kDa、約5kDa~約35kDa、約5kDa~約30kDa、約5kDa~約25kDa、約5kDa~約20kDa、約5kDa~約15kDa、約5kDa~約10kDa、約10kDa~約50kDa、約10kDa~約45kDa、約10kDa~約40kDa、約10kDa~約35kDa、約10kDa~約30kDa、約10kDa~約25kDa、約10kDa~約20kDa、約10kDa~約15kDa、約15kDa~約50kDa、約15kDa~約45kDa、約15kDa~約35kDa、約15kDa~約30kDa、約15kDa~約25kDa、約15kDa~約20kDa、約20kDa~約50kDa、約20kDa~約45kDa、約20kDa~約40kDa、約20kDa~約35kDa、約20kDa~約30kDa、約20kDa~約25kDa、約25kDa~約50kDa、約25kDa~約45kDa、約25kDa~約40kDa、約25kDa~約35kDa、約25kDa~約30kDa、約30kDa~約50kDa、約30kDa~約45kDa、約30kDa~約40kDa、約30kDa~約35kDa、約35kDa~約50kDa、約35kDa~約45kDa、約35kDa~約40kDa、約40kDa~約50kDa、約40kDa~約45kDa、または約45kDa~約50kDaの重量平均分子量(Mw)を有しうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0165】
いくつかの態様では、化合物は約5kDa~約50kDa、約5kDa~約45kDa、約5kDa~約40kDa、約5kDa~約35kDa、約5kDa~約30kDa、約5kDa~約25kDa、約5kDa~約20kDa、約5kDa~約15kDa、約5kDa~約10kDa、約10kDa~約50kDa、約10kDa~約45kDa、約10kDa~約40kDa、約10kDa~約35kDa、約10kDa~約30kDa、約10kDa~約25kDa、約10kDa~約20kDa、約10kDa~約15kDa、約15kDa~約50kDa、約15kDa~約45kDa、約15kDa~約35kDa、約15kDa~約30kDa、約15kDa~約25kDa、約15kDa~約20kDa、約20kDa~約50kDa、約20kDa~約45kDa、約20kDa~約40kDa、約20kDa~約35kDa、約20kDa~約30kDa、約20kDa~約25kDa、約25kDa~約50kDa、約25kDa~約45kDa、約25kDa~約40kDa、約25kDa~約35kDa、約25kDa~約30kDa、約30kDa~約50kDa、約30kDa~約45kDa、約30kDa~約40kDa、約30kDa~約35kDa、約35kDa~約50kDa、約35kDa~約45kDa、約35kDa~約40kDa、約40kDa~約50kDa、約40kDa~約45kDa、または約45kDa~約50kDaの数平均分子量(Mn)を有しうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0166】
いくつかの態様では、化合物は約1~約2、約1~約1.9、約1~約1.8、約1~約1.7、約1~約1.6、約1~約1.5、約1~約1.4、約1~約1.3、約1~約1.2、約1~約1.1、約1.1~約2、約1.1~約1.9、約1.1~約1.8、約1.1~約1.7、約1.1~約1.6、約1.1~約1.5、約1.1~約1.4、約1.1~約1.3、約1.1~約1.2、約1.2~約2、約1.2~約1.9、約1.2~約1.8、約1.2~約1.7、約1.2~約1.6、約1.2~約1.5、約1.2~約1.4、約1.2~約1.3、約1.3~約2、約1.3~約1.9、約1.3~約1.8、約1.3~約1.7、約1.3~約1.6、約1.3~約1.5、約1.3~約1.4、約1.4~約2、約1.4~約1.9、約1.4~約1.8、約1.4~約1.7、約1.4~約1.6、約1.4~約1.5、約1.5~約2、約1.5~約1.9、約1.5~約1.8、約1.5~約1.7、約1.5~約1.6、約1.6~約2、約1.6~約1.9、約1.6~約1.8、約1.6~約1.7、約1.7~約2、約1.7~約1.9、約1.7~約1.8、約1.8~約2、約1.8~約1.9、または約1.9~約2の多分散性指数(PDI)を有しうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0167】
いくつかの態様では、化合物は、約37℃で曝露期間にかけてのPBSに対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する。いくつかの態様では、化合物は、約37℃で20日間のPBSに対する曝露後に、初期質量の99%超、98%超、97%超、96%超、95%超、94%超、93%超、92%超、91%超、90%超、85%超、80%超、75%超、70%超、65%超、60%超、55%超、または50%超を保持する。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。いくつかの態様では、PBSは約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%のSDSを含みうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0168】
いくつかの態様では、曝露期間は約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、約15日間、約16日間、約17日間、約18日間、約19日間、約20日間、約25日間、約30日間、約35日間、約40日間、約45日間、約50日間、約55日間、または約60日間でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0169】
いくつかの態様では、化合物は粒子に含まれうる。いくつかの態様では、化合物はナノ粒子に含まれうる。いくつかの態様では、化合物はミクロ粒子に含まれうる。いくつかの態様では、化合物はミクロ粒子に含まれうる。いくつかの態様では、粒子は約1nm~約500nm、約1nm~約400nm、約1nm~約300nm、約1nm~約200nm、約1nm~約100nm、約1nm~約50nm、約1μm~約500μm、約1μm~約400μm、約1μm~約300μm、約1μm~約200μm、約1μm~約100μm、約1μm~約50μm、約1μm~約40μm、約1μm~約30μm、約1μm~約20μm、約1μm~約10μm、約1μm~約5μm、約1μm~約4μm、約1μm~約3μm、約1μm~約2μm、約500μm~約5mm、約500μm~約4mm、約500μm~約3mm、約500μm~約2mm、約500μm~約1mm、約1mm~約5mm、約1mm~約4mm、約1mm~約3mm、または約1mm~約2mmの平均寸法を有しうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0170】
いくつかの態様では、化合物はマクロ粒子に含まれうる。いくつかの態様では、マクロ粒子はディスクでありうる。いくつかの態様では、マクロ粒子はデポーでありうる。いくつかの態様では、マクロ粒子はインプラントでありうる。いくつかの態様では、マクロ粒子は約1mm~約2mm、約1mm~約3mm、約1mm~約4mm、約1mm~約5mm、約1mm~約6mm、約1mm~約7mm、約1mm~約8mm、約1mm~約9mm、約1mm~約1cm、約1mm~約2cm、約1mm~約3cm、約1mm~約4cm、約1mm~約5cm、約1mm~約6cm、約1mm~約7cm、約1mm~約8cm、約1mm~約9cm、約1mm~約10cm、約1mm~約11cm、約1mm~約12cm、約1mm~約13cm、約1mm~約14cm、または約1mm~約15cmの平均寸法を有しうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0171】
いくつかの態様では、薬物を化合物に組み込むことができる。いくつかの態様では、薬物の化合物への組み込みは以下を含みうる:
(i) 化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する工程;
(ii) 薬物担持化合物を形成するために、インキュベーション期間にわたって該化合物および薬物を溶媒の存在下でインキュベートする工程; ならびに
(iii) 該薬物担持化合物を溶媒から分離する工程。
【0172】
いくつかの態様では、溶媒は疎水性溶媒を含みうる。いくつかの態様では、溶媒は親水性溶媒を含みうる。いくつかの態様では、溶媒は疎水性溶媒を含みうる。いくつかの態様では、溶媒は疎水性溶媒を含みうる。いくつかの態様では、溶媒は親水性溶媒を含みうる。いくつかの態様では、溶媒は親水性溶媒を含みうる。いくつかの態様では、溶媒はジクロロメタンを含みうる。いくつかの態様では、溶媒は水を含みうる。いくつかの態様では、溶媒はエタノールを含みうる。いくつかの態様では、溶媒はメタノールを含みうる。いくつかの態様では、溶媒は酢酸を含みうる。いくつかの態様では、溶媒はプロパノールを含みうる。いくつかの態様では、溶媒は四塩化炭素を含みうる。いくつかの態様では、溶媒は塩化ジメチルを含みうる。いくつかの態様では、溶媒はヘキサンを含みうる。いくつかの態様では、溶媒はベンゼンを含みうる。いくつかの態様では、溶媒はTHFを含みうる。いくつかの態様では、溶媒はDMSOを含みうる。いくつかの態様では、溶媒はTHFおよびDMSOを含みうる。いくつかの態様では、溶媒はTHF:DMSOの約50:50重量%混合物でありうる。いくつかの態様では、溶媒はTHF:DMSOの約10:90重量%、約20:80重量%、約30:70重量%、約40:60重量%、約60:40重量%、約70:30重量%、約80:20重量%、約90:10重量%混合物でありうる。
【0173】
いくつかの態様では、インキュベーション期間は約1日間~約30日間、約1日間~約25日間、約1日間~約20日間、約1日間~約15日間、約1日間~約10日間、約1日間~約5日間、約5日間~約30日間、約5日間~約25日間、約5日間~約20日間、約5日間~約15日間、約5日間~約10日間、約10日間~約30日間、約10日間~約25日間、約10日間~約20日間、約10日間~約15日間、約15日間~約20日間、約20日間~約30日間、約20日間~約25日間、または約25日間~約30日間、約1日間、約2日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、または約10日間でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0174】
いくつかの態様では、インキュベーション期間は約20℃~約50℃、約20℃~約40℃、約20℃~約30℃、約30℃~約50℃、約30℃~約40℃、または約40℃~約50℃の温度で行われうる。
【0175】
いくつかの態様では、薬物は小分子薬でありうる。いくつかの態様では、薬物は大分子薬でありうる。いくつかの態様では、薬物はPTX、TAA、またはTAHを含みうる。
【0176】
いくつかの態様では、薬物担持化合物を溶媒から分離する工程は減圧濾過、遠心濾過、重力濾過、冷濾過、熱濾過、多層濾過、または任意の他の好適な分離プロセスもしくはプロセスの組み合わせを含みうる。
【0177】
いくつかの態様では、薬物担持化合物は約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約30重量%、約30重量%~約60重量%、約30重量%~約50重量%、約30重量%~約40重量%、約40重量%~約60重量%、約40重量%~約50重量%、または約50重量%~約60重量%の薬物を含みうる。
【0178】
いくつかの態様では、薬物担持化合物は温度約37℃の溶液中での放出期間後に約5%以下、約10%以下、約15%以下、約20%以下、約25%以下、約30%以下、約35%以下、約40%以下、約45%以下、約50%以下、約55%以下、約60%以下、約65%以下、約70%以下、約75%以下、約80%以下、約85%以下、約90%以下、または約95%以下の薬物を放出する。
【0179】
いくつかの態様では、溶液はPBSを約0重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%のSDSと共に含みうる。
【0180】
いくつかの態様では、放出期間は約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約15日間、約20日間、約25日間、約30日間、約35日間、約40日間、約45日間、約50日間、約55日間、または約60日間でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0181】
いくつかの態様では、薬物担持化合物は、約37℃で曝露期間にかけての水性媒体に対する曝露後に、初期質量の90%超を保持する。いくつかの態様では、化合物は、約37℃で20日間の水性媒体に対する曝露後に、初期質量の99%超、98%超、97%超、96%超、95%超、94%超、93%超、92%超、91%超、90%超、85%超、80%超、75%超、70%超、65%超、60%超、55%超、または50%超を保持する。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0182】
いくつかの態様では、水性媒体はPBSを含みうる。いくつかの態様では、PBSは約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%のSDSを含みうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0183】
いくつかの態様では、曝露期間は約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約15日間、約20日間、約25日間、約30日間、約35日間、約40日間、約45日間、約50日間、約55日間、または約60日間でありうる。これらは両端間のすべての値および範囲を含む。
【0184】
当業者は、本明細書に記載の具体的な手順、態様、請求項、および実施例の数多くの等価物を認識するであろうし、または単なる日常的な実験を使用してそれらを確認することができるであろう。これらの等価物は、本開示の範囲内にあって、本明細書に添付される特許請求の範囲により網羅されると見なされた。例えば、反応時間、反応サイズ/体積、溶媒などの実験試薬、触媒、圧力、雰囲気条件(例えば窒素雰囲気)、ならびに還元剤/酸化剤を含むがそれに限定されない反応条件を、当技術分野で認識されている代替物によってかつ単なる日常的な実験を使用して修正することが、本開示の範囲内にあると理解すべきである。
【0185】
本明細書において値および範囲がどこに示されようとも、これらの値および範囲に包含されるすべての値および範囲は本開示の範囲内に包含されるように意図されていると理解すべきである。さらに、これらの範囲内にあるすべての値、および値の範囲の上限または下限も、本開示によって想定される。
【0186】
以下の実施例は本開示の局面をさらに示す。しかし、それらは、本明細書に記載の本開示に関する教示または開示を限定するものでは決してない。以下の実施例に記載のように、開示される化合物(例えばラクチド、アリルラクチド、および場合によってはグリコリドを含む化合物)は、調節可能な分解プロファイルおよび調節可能な薬物放出プロファイル、例えば、バレロラクトン(例えばアリルバレロラクトン)をポリマー骨格中に含む化合物に比べて遅い薬物放出プロファイルを示した。理論に拘束されることは望ましくないが、バレロラクトンをポリマー骨格から排除することで、得られる化合物の架橋密度に対するより大きな制御を可能にすることができ、これにより分解特性および薬物放出特性に対するより大きな制御を可能にすることができる。
【実施例
【0187】
以下は、本明細書に記載の方法により合成される化合物に関する非限定的な一組の実施例である。バレロラクトン残基を含む化合物は、バレロラクトン残基を含まない化合物との比較の手段としてのみ実施例に示されるものであり、特許請求される主題に含まれるものと解釈されるべきではない。
【0188】
略語
AVL アリル-バレロラクトン
Da、kDa ダルトン、キロダルトン
DCM ジクロロメタン
EtOH エタノール
NMR、H NMR、C NMR 核磁気共鳴、プロトン核磁気共鳴、炭素13核磁気共鳴
PBS リン酸緩衝食塩水
PLA ポリ乳酸
PLGA ポリ(アリル-乳酸-乳酸-co-グリコール酸)
V-PLGA ポリ(アリル-δ-バレロラクトン-co-乳酸-co-グリコール酸)
PTX パクリタキセル
PVL-AL ポリ(アリル-乳酸-co-バレロラクトン)
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
Sn(OTf)2 トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)
TAA トリアムシノロンアセトニド
TAH トリアムシノロンヘキサアセトニド
THF テトラヒドロフラン
【0189】
実施例1. 本明細書においてPLA-12と呼ぶ12%アリル-ラクチドを有するポリマーの合成
下記構造を有するポリマーを合成した。
【0190】
25mL火炎乾燥およびアルゴン掃流丸底フラスコ中で無水エタノールの無水塩化メチレン中ストック溶液を調製した(エタノール1.0mlをCH2CI2 19ml中に、1:20希釈)。火炎乾燥50mL丸底フラスコに攪拌子を備え付け、ラバーセプタムで密封し、10分間アルゴン掃流した。次に無水塩化メチレン3.6mlを、発生圧力を相殺するためのアルゴン下でシリンジによって反応フラスコ中に加えた。ストックエタノール溶液(1.06mmol)1.24mlをアルゴン下でシリンジによって反応フラスコ中に加えた。
【0191】
開始剤/触媒溶液を室温で30分間攪拌した。攪拌溶液にL-ラクチド(37.15g)のDCMおよびベンジルアルコール(0.33mL)溶液をシリンジによって加えた後、圧力を相殺するためのアルゴンバルーン下でアリル-ラクチド(13.03g)をシリンジによって加えた。反応系をアルゴン下、室温で48時間激しく攪拌した。4-ジメチルアミノピリジン(1.57g)を秤量して無水DCMに入れた。
【0192】
得られたポリマー(ほぼ凝固)を塩化メチレン5mLで希釈し、冷メタノール100mlに滴下することで精製し、冷凍庫中で終夜冷却した。析出物を氷冷メタノール(100mlx3)ですすぎ、遠心分離により収集した。終夜減圧乾燥させた後、最終ポリマー生成物を白色ワックス状固体として作製した。EtOHで無色結晶(収率95%)を得た。1H NMR(500MHz、CDCb/TMS、ppm)δ: 5.2(ラクチド)、5.7(アリル-ラクチド)、7.4(ベンジルアルコール)。
【0193】
図1は、実施例1からのNMRデータを示す。
【0194】
実施例2. 本明細書においてPLA-6と呼ぶ6%アリル-ラクチドを有するポリマーの合成
下記構造を有するポリマーを合成した。
【0195】
25mL火炎乾燥およびアルゴン掃流丸底フラスコ中で無水エタノールの無水塩化メチレン中ストック溶液を調製した(エタノール1.0mlをCH2CI2 19ml中に、1:20希釈)。火炎乾燥50mL丸底フラスコに攪拌子を備え付け、ラバーセプタムで密封し、10分間アルゴン掃流した。次に無水塩化メチレン3.6mlを、発生圧力を相殺するためのアルゴン下でシリンジによって反応フラスコ中に加えた。ストックエタノール溶液(1.06mmol)1.24mlをアルゴン下でシリンジによって反応フラスコ中に加えた。
【0196】
開始剤/触媒溶液を室温で30分間攪拌した。攪拌溶液にL-ラクチド(37.15g)のDCMおよびベンジルアルコール(0.33mL)溶液をシリンジによって加えた後、圧力を相殺するためのアルゴンバルーン下でアリル-ラクチド(13.03g)をシリンジによって加えた。反応系をアルゴン下、室温で48時間激しく攪拌した。4-ジメチルアミノピリジン(1.46g)を秤量して無水DCMに入れた。
【0197】
得られたポリマー(ほぼ凝固)を塩化メチレン5mLで希釈し、冷メタノール100mlに滴下することで精製し、冷凍庫中で終夜冷却した。析出物を氷冷メタノール(100mlx3)ですすぎ、遠心分離により収集した。終夜減圧乾燥させた後、最終ポリマー生成物を白色ワックス状固体として作製した。EtOHで無色結晶(収率95%)を得た。1H NMR(500MHz、CDCb/TMS、ppm)δ: 5.2(ラクチド)、5.7(アリル-ラクチド)、7.4(ベンジルアルコール)。
【0198】
実施例3. 本明細書においてPLGAと呼ぶポリ(アリル-乳酸-乳酸-co-グリコール酸)の合成
下記構造を有するポリマーを合成した。
【0199】
25mL火炎乾燥およびアルゴン掃流丸底フラスコ中で無水エタノールの無水塩化メチレン中ストック溶液を調製した(エタノール1.0mlをCH2CI2 19ml中に、1:20希釈)。火炎乾燥50mL丸底フラスコに攪拌子を備え付け、ラバーセプタムで密封し、10分間アルゴン掃流した。Sn(OTf)2(8.2mL、トルエンとの10%重量/体積溶液)をフラスコ中に直接加えた。反応フラスコにセプタムで再び栓をし、アルゴンでもう1回10分間掃流した。次に無水塩化メチレン3.6mlを、発生圧力を相殺するためのアルゴン下でシリンジによって反応フラスコ中に加えた。ストックエタノール溶液(1.06mmol)1.24mlをアルゴン下でシリンジによって反応フラスコ中に加えた。
【0200】
開始剤/触媒溶液を室温で30分間攪拌した。攪拌溶液にアリル-ラクチド(8.3g)をシリンジによって加えた後、D,L-乳酸(32.737g)をシリンジによって加え、圧力を相殺するためのアルゴンバルーン下で50:50乳酸:グリコール酸プレミックス(18.57g)を加えた。反応系をアルゴン下、室温で48時間激しく攪拌した。
【0201】
得られたポリマー(ほぼ凝固)を塩化メチレン5mLで希釈し、冷メタノール100mlに滴下することで精製し、冷凍庫中で終夜冷却した。析出物を氷冷メタノール(100mlx3)ですすぎ、遠心分離により収集した。終夜減圧乾燥させた後、最終ポリマー生成物を白色ワックス状固体として作製した。収率: 7.90g/90.0%、(純度98.8%/NMR)。NMRデータ解析はポリマー分子量14.9KDaおよびアリル-ラクチド含有量13.3モル%を示す。NMR(500MHz、CDCb/TMS、ppm)δ: 4.8(グリコリド)、5.2(ラクチド)、5.7(アリル-ラクチド)。
【0202】
実施例4. 薬物担持ポリマーの合成
実施例1において合成されたポリマーにパクリタキセル(PTX)、トリアムシノロンアセトニド(TAA)、またはトリアムシノロンヘキサアセトニド(TAH)を以下のプロセスによって担持させた。
【0203】
調製されたテトラヒドロフランまたはジクロロメタン中の薬物溶液にわずか4時間浸漬させることで、予め形成された架橋ミクロ粒子およびディスクに対する薬物担持を行った。例えば、パクリタキセルを架橋ミクロ粒子中に担持させた。パクリタキセル30mgをTHF 0.5mLに溶解させて薬物溶液を作製した後、これを、ガラス管中で精製ミクロ粒子(16±0.5mg)を終夜懸濁させることで膨潤平衡アプローチによって薬物の後担持(post-drug loading)を実現するために使用した。次にTHFをヒュームフード中にて室温で蒸発させた後、パクリタキセル担持ミクロ粒子を凍結乾燥させた。得られた混合物をPBS 10mLと共にボルテックスし、1分間超音波処理し(ミクロ粒子が十分に懸濁するまで)、1分間遠心分離した。上清をデカントした後、ミクロ粒子を保持し、新たなPBS 10mLで置き換え、超音波処理なしでボルテックスし、1分間遠心分離した。次に、上清をデカントした後、放出試験の前にミクロ粒子を終夜凍結乾燥させた。
【0204】
比較例1. 本明細書においてAV-PLGAと呼ぶポリ(アリル-δ-バレロラクトン-co-乳酸-co-グリコール酸)の合成
下記構造を有するポリマーを合成した。
【0205】
25mL火炎乾燥およびアルゴン掃流丸底フラスコ中で無水エタノールの無水塩化メチレン中ストック溶液を調製した(エタノール1.0mlをCH2CI2 19ml中に、1:20希釈)。火炎乾燥50mL丸底フラスコに攪拌子を備え付け、ラバーセプタムで密封し、10分間アルゴン掃流した。Sn(OTf)2(98.6mg、0.237mmol)をフラスコ中に直接加えた。反応フラスコにセプタムで再び栓をし、アルゴンでもう1回10分間掃流した。次に無水塩化メチレン3.6mlを、発生圧力を相殺するためのアルゴン下でシリンジによって反応フラスコ中に加えた。ストックエタノール溶液(1.06mmol)1.24mlをアルゴン下でシリンジによって反応フラスコ中に加えた。
【0206】
開始剤/触媒溶液を室温で30分間攪拌した。攪拌溶液にδ-アリル(バレロラクトン)(2.1ml、16.2mmol)をシリンジによって加えた後、L-乳酸(6.05ml、65.3mmol)をシリンジによって加え、圧力を相殺するためのアルゴンバルーン下でグリコール酸(6.05ml、65.3mmol)を加えた。反応系をアルゴン下、室温で48時間激しく攪拌した。
【0207】
得られたポリマー(ほぼ凝固)を塩化メチレン5mLで希釈し、冷メタノール100mlに滴下することで精製し、冷凍庫中で終夜冷却した。析出物を氷冷メタノール(100mlx3)ですすぎ、遠心分離により収集した。終夜減圧乾燥させた後、最終ポリマー生成物を白色ワックス状固体として作製した。収率: 7.90g/90.0%、(純度98.8%/NMR)。NMRデータ解析はポリマー分子量14.9KDaおよびavl含有量13.3モル%を示す。1H NMR(500MHz、CDCb/TMS、ppm)δ: 4.8(グリコリド)、5.2(ラクチド)、5.7(アリル-バレロラクトン)。
【0208】
比較例2. 本明細書においてPVL-ALと呼ぶポリ(アリル-乳酸-co-バレロラクトン)の合成
PVL-ALポリマーを合成し、精製した。NMRデータ解析はポリマー分子量14.9KDaおよびavl含有量13.3モル%を示す。NMR(500MHz、CDCb/TMS、ppm)δ: 4.2(バレロラクトン)、5.7(アリル-ラクチド)。
【0209】
実施例5. PBS中および0.5重量%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を有するPBS中での分解
上記PLA-6、PLGA、およびV-PLGAをPBSの溶液および0.5重量%のSDSを有するPBSの溶液に入れ、25日間静置した。図2および図3は、プロセス全体を通じた様々な地点で測定されたそれらの残留重量パーセントを示す。図4は、60日間にわたるディスクの分解を示す。PBS中で20日間の後、PLA-6は初期質量の約98%を保持し、PLGAは初期質量の約82%を保持し、V-PLGAは初期質量の約74%を保持する。0.5重量%のSDSを有するPBS中で21日間の後、PLA-6は初期質量の約99%を保持し、PLGAは初期質量の約82%を保持し、V-PLGAは初期質量の約9%を保持する。
【0210】
実施例6. PBSおよび0.5重量%のSDS中での薬物の放出速度
V-PLGA、PLGA、およびPLA-6のディスクに薬物を担持させた。担持ディスクのPTX(パクリタキセル)含有量は33.81重量%~37.79重量%の範囲であった。担持ディスクのTAA(トリアムシノロンアセトニド)含有量は32.95重量%~35.02重量%の範囲であった。担持ディスクを100日間静置した。以下の累積的薬物放出速度が観察された。図5は、PBSおよび0.5% SDS中でのこれらのポリマー中のPTXの放出速度を示す。図6は、PBSおよび0.5% SDS中でのこれらのポリマー中のTAAの放出速度を示す。図7Aおよび図7Bは、薬物の溶解限度による3~4日毎の媒体の変化により実現されたPTX放出速度を示す。0.5重量%のSDSを有するPBS中で60日間の後、PLA-6は初期PTX質量の約50%を放出し、PLGAは初期PTX質量の約60%を放出し、V-PLGAは初期PTX質量の約90%を放出する。0.5重量%のSDSを有するPBS中で約50日後、PLA-6は初期TAA質量の約50%を放出する。0.5重量%のSDSを有するPBS中で約32日後、PLGAは初期TAA質量の約50%を放出する。0.5重量%のSDSを有するPBS中で約23日後、V-PLGAは初期TAA質量の約50%を放出する。50日後、薬物の溶解限度による3~4日毎の媒体の変化により、PLA-6は初期PTX質量の約15%を放出し、PLGAは初期PTX質量の約40%を放出し、V-PLGAは初期PTX質量の約65%を放出する。
【0211】
等価物
本開示の1つまたは複数の態様の詳細が、上記の付随する説明に記載されている。本開示の他の特徴、目的、および利点は、本明細書および特許請求の範囲から明らかであろう。本明細書および添付の特許請求の範囲においては、文脈上別途明らかな指示がない限り、単数形は複数の参照対象を含む。別途定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。本明細書において引用されるすべての特許および刊行物は参照により組み入れられる。
【0212】
上記の説明は、例示目的でのみ提示されており、開示される正確な形態に本開示を限定するようには意図されておらず、本開示は、本明細書に添付される特許請求の範囲により限定されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】