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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(54)【発明の名称】ガスモニタリング装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20230217BHJP
【FI】
A01K29/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538417
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 GB2020053103
(87)【国際公開番号】W WO2021123726
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】1919071.9
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2018568.2
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519455106
【氏名又は名称】ゼルプ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ ノリス
(72)【発明者】
【氏名】パトリシオ ノリス
(57)【要約】
牛に取り付ける動物ガス放出モニタリング装置は、メタンの放出量を検出するセンサユニットを含む鼻部材及び動物の頭部に当該装置を位置決めすることで、前記鼻部材が前記動物の鼻孔を覆うように前記センサ部を位置決めする位置決め手段を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牛に取り付ける動物ガス放出モニタリング装置であって、
メタンの放出量を検出するセンサユニットを含む鼻部材と、
動物の頭部に当該装置を位置決めすることで、前記鼻部材が前記動物の鼻孔を覆うように前記センサ部を位置決めする位置決め手段、
を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記センサユニットは2つのセンサを含み、
前記2つのセンサの各々は、前記動物の各鼻孔に近接する、
装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、前記鼻部材の前記センサユニットは、使用時に、前記動物の前記鼻孔から1~2cmの位置にある、装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の装置であって、前記センサユニットは連続的にデータを収集する、装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の装置であって、前記センサユニットは断続的にモニタリングする、装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置であって、前記センサユニットから収集されたデータを記憶する記憶手段をさらに備える、装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置であって、前記センサユニットからのデータは、ゲートウェイ又はユーザー機器へ無線送信される、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記センサユニットからのデータは、リアルタイムで送信される、装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置であって、電力供給手段をさらに備える、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、前記電力供給手段はバッテリーを含む、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記電力手段は太陽電池を含む、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、前記バッテリーは、前記太陽電池によって再充電される、装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の装置であって、前記センサユニットは、少なくとも1つの二酸化炭素センサを含む、装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の装置であって、防水性である装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の装置であって、前記鼻部材は実質的にY字形状である、装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の装置であって、前記センサユニットは、少なくとも1つの圧力センサを含む、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、前記圧力センサは差圧センサである、装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の装置であって、前記センサユニットは、流体の流量を測定する少なくとも1つの流量センサを含む、装置。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の装置であって、少なくとも1つの温度センサを含む、装置。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の装置であって、少なくとも1つの慣性センサを含む、装置。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載の装置であって、少なくとも1つの位置追跡装置を含む、装置。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の装置であって、少なくとも1つのフィルタを含む、装置。
【請求項23】
請求項1~3のいずれか一項に記載の装置であって、前記センサユニットは、離散的な間隔でモニタリングを行う、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛に位置決めする動物ガス放出モニタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メタンは、有力な温室効果ガスであることが知られており、二酸化炭素よりもかなり高い地球温暖化の潜在可能性を有している。家畜は、呼気やゲップによって放出されるメタンガスの重要な発生源であることが知られている。家畜によって放出量に大きな差があるため、個々の家畜の放出量を測定及びモニタリングすることが重要である。
【0003】
家畜のメタンガス放出は、畜産業者に直接的な経済的影響を与えることが多く、畜産業者はそのカーボンフットプリントに基づいて課税されることがある。さらに、家畜が地球温暖化の主要な原因となっていることから、家畜からのメタンガス放出を測定及びモニタリングすることは、放出の挙動を理解し、放出表を作成するために不可欠である。また、家畜のメタンガス放出量を測定することは、製薬会社や家畜用栄養剤の開発者にとっても、家畜の消化効率の指標となるため重要である。
【0004】
しかし既知のメタンガス測定装置は、かさばる上に高価であり、ユーザーによる操作が必要であり、かつ/あるいは長期間の使用には適していない。例えば、呼吸室として知られるセンサー装備の部屋は、動作に費用がかかり、動物を何週間も封じ込める必要がある。さらに、給餌槽に採用されている検知装置は、給餌時間中しかメタン放出量を測定しないため、日々の放出量に関する限られた知見しか提供しない。さらに、ユーザーが携帯するレーザー検出装置は、ごく短期間の放出量のモニタリングにしか適さない。
【0005】
さらに、光学ガスイメージングは、家畜から放出されるメタンガスの95%近くが鼻と口から放出され、その大部分が家畜の鼻孔から放出されていることを示してきた。既知のメタン測定装置は、この最大の放出点から直接、牛のメタン生成をモニタリングすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的および態様は、先行技術の少なくともこれらの問題を軽減しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様によれば、牛に位置決めする動物ガス放出モニタリング装置が提供される。当該動物ガス放出モニタリング装置は鼻部材を含む。前記鼻部材は、メタン放出量を検出するセンサユニットを備える。当該装置は、前記鼻部材が前記センサユニットを動物の鼻孔の上に位置させるように、当該装置を前記動物の頭部に位置させる位置決め手段をさらに備える。
【0008】
このようにすることで、動物からの放出量を長期間にわたって連続的にモニタリングすることができる。さらに、前記動物の最も大きな放出源からの放出データが取得されることで、データの精度が向上する。
【0009】
好ましくは、当該装置は、前記鼻部材が動物の頭部の上側から延びるように構成されることで、前記センサユニットが配置されている前記鼻部材の部分が前記動物の鼻孔を覆って突出するように、当該装置を前記動物の頭部で位置決めする位置決め手段を含む。
【0010】
好ましくは前記センサユニットは2つのセンサを含み、前記2つのセンサの各々は、前記動物の各鼻孔に近接する。
【0011】
好ましくは、前記鼻部材の前記センサユニットは、使用時に、前記動物の前記鼻孔から1~5cmの距離にある。より好ましくは、前記鼻部材の前記センサユニットは、使用時に、前記動物の前記鼻孔から1~3cmの位置にある。最も好ましくは、前記鼻部材の前記センサユニットは、使用時に、前記動物の前記鼻孔から1~2cmの位置にある。
【0012】
好ましくは前記センサユニットは連続的にデータを収集する。あるいはその代わりに、前記センサユニットは断続的にモニタリングする。このようにして、不定期にデータが収集される。 あるいはその代わりに、前記センサユニットは、離散的な間隔でモニタリングを行う。好ましくは、データは、50~200msごとに収集される。より好ましくは、データは、20~100msごとに収集される。
【0013】
好ましくは当該装置は、前記センサユニットから収集されたデータを記憶する記憶手段をさらに備える。
【0014】
好ましくは、前記センサユニットからのデータは、ゲートウェイ又はユーザー機器に無線送信される。より好ましくは、前記センサユニットからのデータは、リアルタイムで送信される。
【0015】
好ましくは当該装置は電力供給手段をさらに備える。より好ましくは、前記電力供給手段は、バッテリーを含む。さらに好ましくは前記電力手段は太陽電池を含む。さらに好ましくは、前記バッテリーは、前記太陽電池によって再充電される。
【0016】
好ましくは前記太陽電池は、前記電力供給手段を完全に再充電するのに5時間超の太陽光を必要としない。より好ましくは前記太陽電池は、前記電力供給手段を完全に再充電するのに2時間超の太陽光を必要としない。
【0017】
好ましくは前記電力供給手段は、再充電が必要とされる前に少なくとも10日間動作する。 より好ましくは前記電力供給手段は、再充電が必要とされる前に少なくとも15日間動作する。
【0018】
好ましくは前記センサユニットは、少なくとも1つの二酸化炭素センサを含む。より好ましくは前記センサユニットは、2つの二酸化炭素センサを含む。最も好ましくは前記センサユニットは2つの二酸化炭素センサを含み、前記2つの二酸化炭素センサのうちの一のセンサは前記動物の各鼻孔に近接する。
【0019】
好ましくは当該装置は防水性である。
【0020】
好ましくは前記鼻部材は実質的にY字形状である。
【0021】
好ましくは前記センサユニットは、少なくとも1つの圧力センサを含む。好ましくは、前記圧力センサは差圧センサである。加えて又は代わりに、前記センサユニットは、流体の流量を測定する少なくとも1つの流量センサを含む。
【0022】
好ましくは当該装置は、使用時に、前記動物の前記鼻孔覆うように設けられる可撓性部材を備える。好ましくは前記可撓性部材は、実質的に曲がっている。このようにして、風、汚染物質、及び呼気の前分散の干渉が減少し、当該装置のメタン捕獲が改善される。前記可撓性部材は、当該装置のセンサを要素から保護し、センサ捕捉前の前記動物の呼気の希釈すなわち前分散を低減する。
【0023】
好ましくは前記可撓性部材は着脱可能である。このようにして、前記動物の頭及び鼻の寸法に適した大きさの可撓性部材を選択して使用することができる。そのため、違和感なく前記鼻孔を実質的に遮蔽する可撓性部材を提供することができる。あるいはそのかわりに、前記可撓性部材は、当該放出モニタリング装置に固定される。
【0024】
好ましくは当該装置は少なくとも1つの温度センサを含む。代わりに又は加えて、当該装置は、少なくとも1つの慣性センサを含む。代わりに又は加えて、当該装置は、少なくとも1つの位置追跡装置を含む。このようにして、ガス放出データの文脈に関する追加のデータをモニタリングすることができる。
【0025】
前記少なくとも1つの温度センサ及び/又は前記少なくとも1つの慣性センサ及び/又は前記位置追跡装置からのデータは、ガス放出モニタリング中の前記動物の状況を知らせることができる。そのようなデータは、前記メタンセンサからのメタン測定値の分析及びモニタリングを支援することができる。例えば慣性測定装置(IMU)又は他の慣性センサを使用することによって、給餌活動の期間を検出及びモニタリングすることができる。一般に、メタン生成と動物の飼料摂取には相関があり、具体的には、メタン生成量は飼料摂取時に増加する。そのため、飼料摂取量が減少し、メタン生成量が増加する場合、胃内に細菌又は寄生虫が存在する可能性があることを示唆する。
【0026】
好ましくは前記鼻部材は調整可能である。より好ましくは前記鼻部材は、複数の離散的な位置の間で調節可能である。
【0027】
好ましくは当該装置は、少なくとも1つのフィルタを含む。このようにして、飼料、泥、草及び他の汚染物質がセンサーの機能を妨害することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、例示のみで、添付図面を参照しながら説明する。
図1】使用時に、牛の頭部に配置された、本眼請求項に記載の発明に係る動物ガス放出モニタリング装置の斜視図を表している。
図2】使用時に牛の頭部に配置された図1の動物放出ガスモニタリング装置の側面図を表している。
図3】使用時に、牛の頭部に配置された図1の動物ガス放出モニタリング装置の一部の底面図を表している。
図4】使用中に牛の頭部に配置された、本願請求項に記載の発明に係る動物ガス放出モニタリング装置の第2実施形態の斜視図を表している。
図5】使用時に、牛の頭部に配置された図4の動物ガス放出モニタリング装置の側面図を表している。
図6】第2実施形態に係る動物放出ガス監視装置の差圧センサーを表している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1及び図2を参照すると、使用時に、牛20の頭部に装着される放出ガス監視装置10が図示されている。ガス放出モニタリング装置10は、牛20の頭部の上側から鼻部材30が延びるように、牛20の鼻部25上に配置された鼻部材30から構成される。装置10は、動力供給手段40と位置決めストラップ60とをさらに備え、位置決めストラップ60は、装置10を牛20の頭部上に位置決めして保持するためのものである。鼻部材30は、牛20の鼻孔90を覆って突出するセンサユニット70を含む。
【0030】
本実施形態では、鼻部材30は、半可撓性のゴム製ケーシングからなり、牛20の鼻部25の上側に設けられる。鼻部材30の長手方向軸は、鼻部25の長手方向軸と平行である。鼻部材30は、該鼻部材30の長手方向軸に沿って対称で、鼻25を覆って対称に延びるように鼻25に設けられる。
【0031】
鼻部材30は、鼻部材30の本体は鼻部25の長さに及び、かつ、鼻部材30のY字の上部は鼻部25の幅を超えて牛の鼻孔90を覆って延在する、実質的なY字形状である。この実施形態では、鼻部材30の本体は、鼻25の上部の幅にわたって延在し、鼻部材30が鼻25の曲線に沿うように、その長手方向軸を中心にわずかに曲がっている。
【0032】
他の実施形態では、鼻部材30の本体は、水平面内で実質的に平坦であり、鼻25の幅にわたって延在しないことが想定される。あるいはその代わりに、鼻部材30は、鼻25の幅よりも広く、その結果、鼻部材30が鼻25の表面に近接したままになるように鼻25の周囲で曲がっている。このようにして、鼻部材30は、非侵入性であり、牛20の視覚、飼料又は水の摂取、反芻又は他の正常な行動を妨げない。
【0033】
牛からメタンが放出される最大の地点は鼻孔である。そのため装置10は、鼻部材30の一部が牛20の鼻孔に近接して配置されるように、牛20の頭部の上側から延在する。
【0034】
鼻部材30はセンサユニット70を含む。センサユニット70は、牛20の頭部から取り外された鼻部材30の端部に近接している。鼻部材30のセンサユニット70を含む部分は、牛20の鼻孔90覆うように突出する。
【0035】
センサユニット70は、2つのメタンセンサ80,85を含む。各センサ80,85は、メタンの放出データを収集する。2つのセンサ80,85は、図1上でA-Aとラベル付けされた鼻部材30の長手方向軸について対称となるように鼻部材30上で離間して設置されている。このようにして、各センサ80,85は、牛20の各鼻孔90に近接している。各センサ80,85は、ある時点においてセンサ80,85の位置に存在するガス放出量を検出する。
【0036】
センサ80,85は、存在するメタンを連続的に測定する。データは、20~100msの速さで取得されてもよい。このようにして、牛20から正確な放出量のマップが取られる。あるいはその代わりに、センサ80、85がメタンを断続的にモニタリングすることが想定される。このようにすれば、一定期間にわたって収集されるデータ量が少なくなり、データ処理能力が低減される。このようにして、センサ80,85は、より遅い速さでデータを収集してもよいし、ある期間継続してデータを収集した後に、データを収集しない期間を設けてもよい。これにより、夜間又は給餌期間などの特定の関心期間中のみ放出をモニタリングすることができる。このように、本願請求項の発明の実施形態では、ユーザーは、センサ80、85のデータ収集速さを制御又はプログラムすることができる。
【0037】
各メタンセンサ80、85は、鼻部材30の下側に配置されている。図3は、使用中の本発明の実施形態を示している。図3では、鼻部材30の下面が示されている。センサ80,85は、各鼻孔90から2cm離れた位置に配置されている。
【0038】
センサ80,85は、高速応答センサである。 各センサ80,85は、フィルタ等の防水手段を含む。このようにして、センサ80,85は、湿気及び流体による損傷から適切に保護される。
【0039】
他の実施形態では、センサユニット70は、牛20の鼻孔90のうちの1つを覆うように上に同様の方法で配置された1つのメタンセンサ80、85のみを含んでいてもよいし、あるいは複数のメタンセンサ80、85を含んでもよい。単一の鼻孔90からのデータは、結果として、牛20全体からのガス放出をモデル化するために使用することができる。
【0040】
さらに他の実施形態では、センサユニット70が二酸化炭素センサを含むことが想定される。あるいはその代わりに、2つの二酸化炭素センサを含み、2つの二酸化炭素センサの各々は牛20の2つの鼻孔90にそれぞれ近接する。このように、装置10は4つのセンサ80、85を含み得て、メタンセンサ80、85と二酸化炭素センサとが互いに近接し、かつ牛20の各鼻孔90に近接することが想定される。
【0041】
センサユニット70はさらに、マイクロプロセッサ100を備える。マイクロプロセッサは、鼻部材30内に適切に封入されるか、又は、センサユニット70上で湿気や他の損傷から保護される。マイクロプロセッサ100には、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)接続手段が装着されている。このようにして、センサ80、85からのデータは、ゲートウェイ、ユーザー装置、又は他の適切な受信手段及びデータ記憶手段へ無線送信され得る。このように、ユーザーは、モバイルアプリ又はウェブダッシュボードを介して、センサユニット70からのデータにアクセスすることができる。
【0042】
センサユニット70からのデータは、リアルタイムで無線送信されてもよい。このようにして、実データは、例えば、収集されるときに、ゲートウェイを介して、ユーザーによって受信される。このデータは、その後、さらに表示又は処理されてもよい。このデータは、その後、効率指標、行動、健康、及び他の放出関連統計について情報を提供するために使用されてもよい。
【0043】
牛20とセンサ80、85がゲートウェイ、ユーザー機器、又は他の適切な受信手段から遠すぎてデータを受信できない場合、データは一時的に各デバイス10にローカルに保存されてもよい。このようにして、データは、受信手段への近接が、データを転送及び/又はオフロードすることができるようになるまで、一時的に保存される。
【0044】
代わりに又は加えて、センサユニット70から収集されたデータは、装置10上に配置された記憶手段に恒久的に記憶されてもよい。記憶手段は、SDカード又は他の適切なローカルデータ記憶手段を含み得る。このようにして、データの「ハード」コピーが保存される。その後、格納手段は、ユーザーによってアクセス及び取り外し可能で、その結果、データが消去されて装置10に戻されることができる。
【0045】
センサユニット70からのデータの後処理-たとえばアナログデータを百万分の一(ppm)単位のガス濃度に変換すること-が実施されてもよい。このデータは、グラフィックスなどの読み取り可能な形態で表示されてもよい。 このデータは、動物の健康状態、消化性能、病気の兆候、及び/又は発情状態についての知見をユーザーに提供することができる。 さらに、このデータは、個々の牛、群れ又は地域のガス放出量を比較するのに用いられてもよい。
【0046】
この実施形態では、マイクロプロセッサ100は、リチウムポリマー又はリチウムイオン電池などの電力供給手段40によって電力を供給される。この装置10は、数週間又は数ヶ月といった長期間、牛20の頭部に配置されるように設計されている。そのため、この電力供給手段40は再充電を必要とする。太陽電池50は、牛の自然な外部環境から太陽エネルギーを利用するために使用される。そのため太陽電池50は、ユーザーの操作を必要とせずに、太陽エネルギーを電力供給手段40を再充電するための電気エネルギーに自動的に変換する。あるいはその代わりに、ユーザーが手動で電力供給手段40を再充電することが想定される。
【0047】
鼻部材30は、鼻孔90から取り外された鼻部材30の端部で、位置決めストラップ60に取り付けられる。このように鼻部材30は、鼻部25の長さに沿って支持されずに設けられるのに適切な剛性を有する。あるいはその代わりに、鼻部材30は、鼻25と部分的又は全面的に接触している。
【0048】
位置決めストラップ60は、牛20の顎と口の動きが阻害されないように、鼻部材30から鼻25の基部の周りに連続したループで巻き付いている。本実施形態では、位置決めストラップ60は、さらに、牛20の首にかかる首当て部65を含む。位置決めストラップ60は、頭の下側に沿って、牛20の顎の周りに延びており、位置決めストラップ60が首当て部分65で合流するようになっている。
【0049】
首当て部分65は、牛20の首と接触して、牛20の首の長手方向軸に関して対称に延びている。首当て部分65は、牛20の首のかなりの部分の周りに延在しており、使用中、牛20に対する装置10の動きを減少させる。位置決めストラップ60及び首当て部分65は、装置10が、牛20の頭部の周りに、途切れることなく延びるように接続されている。このようにして、首当て部分65は、牛20の頭部に装置10を保持することを補助する。
【0050】
本実施形態では、首当て部65は、電力供給手段40及び太陽電池50をも含む。太陽電池50は、長方形であり、首当て部分65に沿って延在している。太陽電池50は、牛20を直立させたときに首の垂直方向での最高位置にあるように、首当て部分65の中央に位置している。このようにして、太陽電池50は、牛20の日常の活動中に太陽からの最大の太陽エネルギーに曝される。
【0051】
電力供給手段40は、太陽電池に近接しており、太陽電池50によって再充電される。太陽電池50は、電力供給手段40を完全に再充電するのに2時間の太陽光を必要とする。このようにして、電力供給手段40は、再充電が必要とされる前に15日間動作することができる。他の再充電および動作時間も考えられる。
【0052】
太陽電池50、電力供給手段40、及びセンサ80、85を接続する手段は、首当て部分65から首部材30に位置決めストラップ60を通過する配線のように提供される。
【0053】
位置決めストラップ60及び首当て部65は、単一の部材を含んでもよいし、連結された複数の部材を含んでもよい。首当て部65は、任意の適切な接続手段を用いて位置決めストラップ60に接続されてもよい。位置決めストラップ60及び/又は首当て部分65は、装置10が様々な形状並びにサイズの鼻25及び頭部の牛に装着され得るように、調節可能であることが想定される。
【0054】
位置決めストラップ60の代替構成が想定される。例えば位置決めストラップ60は、牛20の頭及び首の任意の領域に沿って-たとえば頭頂部の上、耳の下、又は牛20の顎に沿ってよいがこれらに限定されない-延び得る。首当て部65は、牛20の頭部の他の部分に設けられてもよく、あるいはその代わりに、装置10は首当て部65を含まなくてもよい。あるいはその代わりに、位置決めストラップ60は、装置10が完全に鼻25上で位置決めされるように、牛20の鼻25を越えて延在しないこともあり得る。牛20上での装置10の位置決めは、装置10が牛20の通常の行動を阻害しないようにする必要性を考慮する。
【0055】
位置決めストラップ60の目的は、装置10を牛20の頭部で位置決めし、さらに、使用中に装置10をこの位置に保持することである。この実施形態では、例えば、ユーザーのアクセス、動物の健康及び幸福チェックのため、保守のため、又は装置10の使用終了時に、装置10を取り外すことができるように、装置10は牛20の頭部に取り外し可能に保持される。
【0056】
装置10は、牛10に長期的での使用に適している。そのため、装置10は、軽量で、非侵入性で、牛20の通常の行動が妨げられないように、牛20の頭部に配置される。首当て部分65は適切にクッション性があり、位置決めストラップ60は、装置10が牛20に不快感を与えないように、適切な材料から形成されてもよい。装置10の快適さが欠如していると、結果として、牛20が装置10を取り外そうとするようになる恐れがある。これは、装置10の損傷又は装置10の好ましい位置からの外れが発生する可能性があるため、望ましいことではない。
【0057】
図4及び図5を参照すると、本発明の第1態様に係る放出ガス監視装置200の第2実施形態が、牛220の頭部に装着された使用状態において図示されている。放出ガスモニタリング装置200は、牛220の鼻225上に配置される鼻部材230と、メタンセンサを含むセンサユニット270と、電力供給手段240と、図1に概略的に示した第1実施形態のものと同様の位置決めストラップ260と、首当て部265とを備える。
【0058】
放出ガスモニタリング装置200はさらに、可撓性部材295を備える。可撓性部材295は、弾性変形可能なゴムを含む。可撓性部材295は、使用時に可撓性部材295が牛220の鼻孔を覆うように位置するように、第1取付手段205を介して鼻部材230に取り付けられる。可撓性部材295及び鼻部材230の組立体は、実質的にT字形状である。
【0059】
可撓性部材295は、牛220の両方の鼻孔を覆うように延在して、それを越えるように曲がっている。可撓性部材295は、鼻口部225の幅にまで及び、牛200の鼻孔を外部環境から遮蔽する。このようにして、装置200のセンサによって取得される測定値に対する風、汚染物質、及び呼気の前分散による干渉が低減される。可撓性部材295は、センサユニット270の機能を阻害せず、代わりに正確なメタン捕捉を助けるように構成される。
【0060】
鼻部材230及び可撓性部材295のプロファイルは、放出ガスモニタリング装置200が非侵入性であり、牛220の視覚、飼料又は水の摂取、反芻又は他の通常の行動を妨害しないように、鼻225に対して相対的に平坦である。さらに、可撓性部材295は、可撓性部材295の大きさを牛220の大きさと鼻の特性に合わせて適切に選択できるように、第1取付手段205を介して鼻部材230から着脱可能である。
【0061】
鼻部材230はセンサユニット270を含む。センサユニット270は、温度センサ、慣性センサ、及び位置追跡装置を含む。各センサから提供される追加データにより、メタンセンサからのデータ取得と並行して、放出状況をモニタリングすることが可能となる。鼻部材230は、図4上でA-Aとラベル付けされた鼻部材230の長手方向軸に沿って位置する細長いチャネル300をさらに備える。メタンセンサ及び差圧センサ305は、両者が隣接するようにチャネル300内に配置される。
【0062】
飼料、泥、草、及び他の汚染物質のチャネル300内への入りこみ及びセンサ機能の妨害を防止するためのフィルタが、チャネル300aの第1端部に配置されている。フィルタは、メッシュフィルタ、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルタ、若しくはプリーツ付きPTFEフィルタなどの任意の適切なフィルタ又は複数のフィルタであり得ることが想定される。
【0063】
鼻部材230は、牛220の鼻孔から取り外された鼻部材230の端部で、位置決めストラップ260に取り付けられる。鼻部材230は、鼻部225に沿って延在する長さを変更できるように調節可能である。この実施形態では、鼻部材230は、第2取付手段275によって3つの離散的な位置の間で調節可能である。図4及び図5において、鼻部材230は、鼻225を覆うのに必要な最短範囲を提供するように位置決めされている。
【0064】
図6は、第2実施形態の放出ガスモニタリング装置200の差圧センサ305を表す。メタンセンサのメタン濃度測定値と差圧センサ305の測定値は、牛220が時間経過とともに生成したメタン量を決定するのに用いられ得る。メタン純度と牛220が吐出したガスの総量とを対応させることで、牛220が吐出したメタンの量を求めることができ、このように、差圧センサ305は、牛のメタン放出量を定量化するのに有利である。
【0065】
体積流量を測定するために、差圧センサ305は、3バルブマニホールド330と差圧変換器340を用いて、パイプ310内に位置するオリフィス320の両側の静圧の変化を測定する。パイプ310内の流体がオリフィス320を通過する際にベンチュリー効果が観測され、使用時にはオリフィス320の両側の圧力差が測定される。差圧変換器340は信号Sを出力し、このデータはモニタリング及び処理され得る。
【0066】
差圧センサ305と可撓性部材295の配置によって、牛220の鼻孔の呼気のかなりの部分がチャネル300と差圧センサ305を通過することができる。可撓性部材295及び鼻部材230の遮蔽特性は、メタンセンサ及び差圧センサ305のセンサ捕捉に先立つ呼気の前分散の防止を支援する。
【0067】
本発明の範囲内のさらなる実施形態として、上記で説明されていないものが想定され、例えば、センサユニット70上又は装置10の他の部分に配置されたセンサの異なるタイプ及び組み合わせが存在してもよい。センサユニット70からデータを送受信する他の手段も想定され、ユーザーがデータにアクセスするための代替手段も想定される。装置10の材料は、屋外曝露に適していなければならず、他の材料の組み合わせが想定され得る。さらに装置10は、他のウシ科の動物、又はヒツジやヤギなどの他の様々な動物に使用することができる。本願請求項の発明の実施形態は、使用において、様々な動物からの様々な異なるガスの放出をモニタリングすることができることが想定される。このように、装置10は、牛に使用することに限定されない。本発明は、図示された特定の例又は構造に限定されず、例えば、図に図示されたより多くの構成要素が使用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】