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▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(54)【発明の名称】光学積層体及びディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20230217BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/1335 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538710
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 IB2020061664
(87)【国際公開番号】W WO2021130580
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】62/952,609
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 崇
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 英明
(72)【発明者】
【氏名】阿部 力
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,マシュー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィラー,ブリアナ エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ,アダム ディー.
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
【Fターム(参考)】
2H149AA13
2H149AB01
2H149BA02
2H149BA12
2H149BA22
2H149DA04
2H149EA22
2H149FA03W
2H149FA61
2H149FC01
2H149FC03
2H149FC06
2H149FD09
2H149FD10
2H149FD47
2H291FA22Z
2H291FA25Z
2H291FA41Z
2H291FA52Z
2H291FA71Z
2H291FA81Z
2H291FA95Z
2H291FC05
(57)【要約】
光学積層体は、複数の干渉層を含む反射型偏光子と、反射型偏光子上に配置されている吸収型偏光子とを含む。複数の干渉層は、第1の偏光状態を有する入射光の少なくとも約85%を透過し、第2の偏光状態を有する入射光の少なくとも約80%を反射し、第2の偏光状態を有する入射光の約0.1%未満を透過する。吸収型偏光子は、第1の偏光状態に対する第1の透過率と、第2の偏光状態に対する第2の透過率とを有する。第1の透過率と第2の透過率との平均は、約0.46超である。第2の透過率は、第1の標準偏差を有する。光学積層体は、第1の標準偏差よりも少なくとも約10%小さい第2の標準偏差を有する、第2の偏光状態に対する透過率を有する。ディスプレイは、光学積層体を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学積層体であって、
複数の干渉層を含む反射型偏光子と、
前記反射型偏光子上に配置され、かつ前記反射型偏光子と実質的に同一の広がりを有する吸収型偏光子と、を備え、
実質的な垂直入射光に関して、かつ約450nm~約670nmの間の少なくとも第1の波長に関して、
各干渉層が、主に光干渉によって光を反射又は透過し、
前記複数の干渉層が、第1の偏光状態を有する前記入射光の少なくとも約85%を透過し、直交する第2の偏光状態を有する前記入射光の少なくとも約80%を反射し、前記第2の偏光状態を有する前記入射光の約0.1%未満を透過し、
前記吸収型偏光子が、前記第1の偏光状態に対する第1の光透過率、前記第2の偏光状態に対する約50%超の光吸収率、及び前記第2の偏光状態に対する第2の光透過率を有し、前記第1の光透過率と前記第2の光透過率との平均が約0.46超であり、前記第2の光透過率が、前記吸収型偏光子の少なくとも80%にわたって第1の標準偏差を有し、
前記光学積層体が、前記光学積層体の少なくとも80%にわたって第2の標準偏差を有する、前記第2の偏光状態に対する光透過率を有し、前記第2の標準偏差が、前記第1の標準偏差よりも少なくとも約10%小さい、光学積層体。
【請求項2】
前記第1の波長が、約550nmである、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
各干渉層が、約500nm未満の平均厚さを有する、請求項1又は2に記載の光学積層体。
【請求項4】
前記吸収型偏光子が、前記反射型偏光子に接合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項5】
前記吸収型偏光子が、前記反射型偏光子上にコーティングされている、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項6】
前記第1の標準偏差が、約0.004超である、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項7】
前記第2の標準偏差が、約0.0001未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項8】
実質的な垂直入射非偏光に関して、かつ約450nm~約650nmの第1の波長範囲に関して、
前記吸収型偏光子が、前記吸収型偏光子の少なくとも80%にわたって第3の標準偏差を有する、前記第1の波長範囲にわたって平均化された光透過率を有し、
前記光学積層体が、前記光学積層体の少なくとも80%にわたって第4の標準偏差を有する、前記第1の波長範囲にわたって平均化された光透過率を有し、前記第4の標準偏差が、前記第3の標準偏差よりも少なくとも約10%小さい、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項9】
前記第3の標準偏差が、約0.005超である、請求項8に記載の光学積層体。
【請求項10】
ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに照明を供給するように構成されている、拡張光源と、
前記ディスプレイパネルと前記拡張光源との間に配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学積層体であって、前記吸収型偏光子が前記ディスプレイパネルに面しており、前記反射型偏光子が前記拡張光源に面している、光学積層体と、を備える、ディスプレイ。
【請求項11】
画像を表示するように構成されているアクティブ領域を含む、ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに照明を供給するように構成されている、拡張光源と、
前記ディスプレイパネルと前記拡張光源との間に配置されており、合計で少なくとも50の数の複数のポリマー層を含み、各ポリマー層が約500nm未満の平均厚さを有する、反射型偏光子と、
前記ディスプレイパネルと前記反射型偏光子との間に配置されている、吸収型偏光子と、を備え、
前記拡張光源、前記ディスプレイパネルの前記アクティブ領域、前記反射型偏光子、及び前記吸収型偏光子が、互いに実質的に同一の広がりを有し、
実質的な垂直入射光に関して、かつ約450nm~約650nmの間の少なくとも1つの波長に関して、
前記ディスプレイパネルの前記アクティブ領域にわたる、前記反射型偏光子の偏光効率が、約0.995超の平均及び約0.001未満の標準偏差を有し、
前記ディスプレイパネルの前記アクティブ領域にわたる、前記吸収型偏光子の偏光効率が、約0.93未満の平均及び約0.005超の標準偏差を有する、ディスプレイ。
【請求項12】
前記反射型偏光子の前記偏光効率の前記標準偏差が、約0.0005未満である、請求項11に記載のディスプレイ。
【請求項13】
前記吸収型偏光子の前記偏光効率の前記標準偏差が、約0.006超である、請求項11又は12に記載のディスプレイ。
【請求項14】
■前記反射型偏光子の前記偏光効率の前記平均が、約0.999超である、請求項11~13のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項15】
前記吸収型偏光子の前記偏光効率の前記平均が、約0.92未満である、請求項11~14のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ディスプレイは、反射型偏光子及び吸収型偏光子を含み得る。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、光学積層体及びディスプレイに関する。光学積層体は、反射型偏光子と、反射型偏光子上に配置されている吸収型偏光子とを含み得る。ディスプレイは、光学積層体を含み得る。反射型偏光子は、高コントラスト反射型偏光子(例えば、少なくとも1つの可視波長に関して、通過偏光状態に対する少なくとも約0.85の透過率を有し、少なくとも1つの可視波長に関して、ブロック偏光状態に対する約0.001未満の透過率を有し、及び/又は、少なくとも1つの可視波長に関して、約0.995超の偏光効率を有するもの)とすることができる。吸収型偏光子は、(従来の吸収型偏光子と比較して)高い平均透過率(例えば、少なくとも1つの可視波長に関して、約0.46超の、非偏光に対する透過率)、並びに/あるいは、(従来の吸収型偏光子と比較して)高い標準偏差の、ブロック状態透過率及び/又は偏光効率を有し得る(例えば、ブロック状態透過率の標準偏差は、約0.0035超とすることができ、及び/又は、偏光効率の標準偏差は、約0.005超とすることができる)。いくつかの実施形態によれば、ブロック状態透過率及び/又は偏光効率の標準偏差が高いことに起因する光学的欠陥は、反射型偏光子の存在によって実質的に低減又は排除することができる点が見出されている。
【0003】
いくつかの態様では、本開示は、反射型偏光子と、反射型偏光子上に配置され、かつ反射型偏光子と実質的に同一の広がりを有する吸収型偏光子とを含む、光学積層体を提供する。反射型偏光子は、複数の干渉層を含む。光学積層体は、実質的な垂直入射光に関して、かつ約450nm~約670nmの間の少なくとも第1の波長に関して、各干渉層が、主に光干渉によって光を反射又は透過し、複数の干渉層が、第1の偏光状態を有する入射光の少なくとも約85%を透過し、直交する第2の偏光状態を有する入射光の少なくとも約80%を反射し、第2の偏光状態を有する入射光の約0.1%未満を透過し、吸収型偏光子が、第1の偏光状態に対する第1の光透過率、第2の偏光状態に対する約50%超の光吸収率、及び第2の偏光状態に対する第2の光透過率を有するようなものである。第1の光透過率と第2の光透過率との平均は、約0.46超とすることができる。第2の光透過率は、吸収型偏光子の少なくとも80%にわたって第1の標準偏差を有する。光学積層体は、光学積層体の少なくとも80%にわたって第2の標準偏差を有する、第2の偏光状態に対する光透過率を有する。第2の標準偏差は、第1の標準偏差よりも少なくとも約10%小さいものとすることができる。
【0004】
いくつかの態様では、本開示は、画像を表示するように構成されているアクティブ領域を有する、ディスプレイパネルと、ディスプレイパネルに照明を供給するように構成されている拡張光源と、ディスプレイパネルと拡張光源との間に配置されている反射型偏光子と、ディスプレイパネルと反射型偏光子との間に配置されている吸収型偏光子とを含む、ディスプレイを提供する。反射型偏光子は、合計で少なくとも50の数の、複数のポリマー層を含み、各ポリマー層は、約500nm未満の平均厚さを有する。拡張光源、ディスプレイパネルのアクティブ領域、反射型偏光子、及び吸収型偏光子は、互いに実質的に同一の広がりを有し得る。ディスプレイは、実質的な垂直入射光に関して、かつ約450nm~約650nmの間の少なくとも1つの波長に関して、ディスプレイパネルのアクティブ領域にわたる、反射型偏光子の偏光効率が、約0.995超の平均及び約0.001未満の標準偏差を有し、ディスプレイパネルのアクティブ領域にわたる、吸収型偏光子の偏光効率が、約0.93未満の平均及び約0.005超の標準偏差を有するようなものとすることができる。
【0005】
これらの態様及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかとなるであろう。しかしながら、いかなる場合においても、この簡潔な概要は、特許請求可能な主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】光学積層体の概略断面図である。
図2】反射型偏光子の概略断面図である。
図3】ディスプレイの概略断面図である。
図4】波長範囲内の波長の概略図である。
図5】要素又は層上に実質的に垂直入射する光の概略図である。
図6A】反射型偏光子に関する、光透過対波長のプロットである。
図6B図6Aのプロットの拡大部分である。
図6C図6Aのプロットの拡大部分である。
図6D】反射型偏光子に関する、偏光効率の平均対波長のプロットである。
図6E】反射型偏光子に関する、偏光効率の標準偏差対波長のプロットである。
図6F図6Eのプロットの拡大部分である。
図7】吸収型偏光子及び光学積層体の、光透過率の概略図である。
図8】吸収型偏光子及び反射型偏光子の、偏光効率の概略図である。
図9】吸収型偏光子に関する、光吸収対波長の概略プロットである。
図10A】それぞれ、第1の偏光状態及び第2の偏光状態に対する、吸収型偏光子に関する光透過対波長のプロットである。
図10B】それぞれ、第1の偏光状態及び第2の偏光状態に対する、吸収型偏光子に関する光透過対波長のプロットである。
図10C】吸収型偏光子に関する、第1の偏光状態に対する第1の光透過率と第2の偏光状態に対する第2の光透過率との、平均のプロットである。
図10D】吸収型偏光子に関する、光透過率の標準偏差のプロットである。
図10E】吸収型偏光子に関する、平均偏光効率対波長のプロットである。
図10F】吸収型偏光子に関する、偏光効率の標準偏差対波長のプロットである。
図11A】それぞれ、第1の偏光状態及び第2の偏光状態に対する、光学積層体に関する光透過対波長のプロットである。
図11B】それぞれ、第1の偏光状態及び第2の偏光状態に対する、光学積層体に関する光透過対波長のプロットである。
図11C】光学積層体に関する、第2の偏光状態に対する光透過率の、標準偏差対波長のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示されている、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な縮尺ではない。本明細書の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施することが可能である点を理解されたい。それゆえ、以下の「発明を実施するための形態」は、限定的な意味で解釈されるものではない。
【0008】
光学積層体は、反射型偏光子と、反射型偏光子上に配置されている吸収型偏光子とを含み得る。いくつかの実施形態では、この吸収型偏光子は、従来の吸収型偏光子よりも非力(例えば、より高い平均透過率及び/又はより低い偏光効率)である。より非力な吸収型偏光子は、例えば、従来のヨウ素染色されたポリビニルアルコール吸収型偏光子と比較して、厚さ及び/又はヨウ素濃度を低減することによって作製することができる。より非力な吸収型偏光子は、典型的には、従来の吸収型偏光子よりも、ブロック状態透過率におけるより大きい空間的変動、及び/又は、偏光効率におけるより大きい空間的変動を有する点が見出されている。そのような変動は、多くの用途において光学的欠陥を引き起こす。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、光学積層体又はディスプレイが、高コントラスト反射型偏光子(例えば、ブロック状態における約0.1%未満の透過率、及び/又は、約0.995超の偏光効率)と組み合わされた非力な吸収型偏光子を含む場合、その吸収型偏光子における変動は、視認可能又は顕著な光学的欠陥を引き起こさないことが見出されている。更には、いくつかの実施形態では、非力な反射型偏光子を使用することにより、例えば、ディスプレイシステムにおける効率の改善をもたらし得る、より高い全体的透過率をもたらすことができる点が見出されている。例えば、液晶ディスプレイ(liquid crystal display;LCD)システムにおいては、いくつかの実施形態によれば、吸収型偏光子と反射型偏光子との組み合わせは、従来のディスプレイと比較して、コントラスト比が著しく低下することなく、又はコントラスト比の増大さえも伴って、より高い輝度をもたらす点が見出されている。
【0009】
図1は、反射型偏光子100と、反射型偏光子100上に配置され、かつ反射型偏光子100と実質的に同一の広がりを有する吸収型偏光子200とを含む、光学積層体1000の概略断面図である。光学積層体1000は、任意選択的に、追加層を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、光学積層体は、吸収型偏光子200とは反対側で反射型偏光子100上に配置されている、ハードコート層、リターダ層(例えば、4分の1波長リターダ)、又は拡散層のうちの1つ以上を含む。
【0010】
反射型偏光子100は、多層光学フィルム反射型偏光子とすることができる。当該技術分野において既知であるように、交互配置されたポリマー層を含む、多層光学フィルムを使用して、層厚さを好適に選択することによって、所望の反射帯域及び透過帯域をもたらすことができる。多層光学フィルム、及び多層光学フィルムの製造方法は、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,179,948号(Merrillら)、同第6,783,349号(Neavinら)、同第6,967,778号(Wheatleyら)、及び同第9,162,406号(Neavinら)で説明されている。(例えば、低いブロック状態透過率及び/又は高い偏光効率を有する)高コントラスト反射型偏光子は、例えば、交互配置されたポリマー層の、2つのパケットを使用することによって作製することができ、それら2つのパケットは、実質的に重複する波長範囲において反射を提供する。高コントラスト反射型偏光子は、国際出願公開第2018/163009号(Haagら)、及び、対応する米国特許出願第16/487109号(Haagら)で説明されている。
【0011】
反射型偏光子100の追加的利点は、いくつかの実施形態によれば、この偏光子が、改善された環境性能を提供することができる点である。例えば、いくつかの実施形態では、反射型偏光子100は、従来の反射型偏光子よりも多くのポリマー層を含むことにより、従来の反射型偏光子よりも低い水蒸気透過率(moisture vapor transmission rate;MVTR)を有する。MVTRは、MOCON MVTR試験システム(MOCON,Inc.(Brooklyn Park,MN)より入手可能)を23℃で使用して決定することができる。いくつかの実施形態では、反射型偏光子100は、約4g/m-day未満又は約3g/m-day未満(例えば、約2g/m-day)のMVTRを有する。比較のために、APF-V3反射型偏光子(3M Company(St.Paul,MN)より入手可能)は、約7g/m-dayの、同じ条件下で測定されたMVTRを有するが、その一方で、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール吸収型偏光子のバリア保護のために使用される典型的なフィルムである、厚さ80マイクロメートルの三酢酸セルロースフィルム(TAC)フィルムは、約40g/m-dayのMVTRを有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、吸収型偏光子200は、反射型偏光子100に接合されている。例えば、接着剤層を使用して、反射型偏光子100に吸収型偏光子200を接合することができる。別の実施例として、反射型偏光子100上に吸収型偏光子200を形成することができ、その結果として、吸収型偏光子200を反射型偏光子100に接合することができる。いくつかの実施形態では、吸収型偏光子は、反射型偏光子上にコーティングされている。例えば、ポリビニルアルコール溶液を、多層光学フィルム上に、そのフィルムを配向させる前にコーティングすることができ、次いで、コーティングされたフィルムを実質的に一軸配向させた後、配向されたポリビニルアルコールを、ヨウ素及び/又は染料系の溶液で染色することができる。反射型偏光子と反射型偏光子上にコーティングされた吸収型偏光子とを含む偏光子は、米国特許第6,096,375号(Ouderkirkら)で説明されている。いくつかの実施形態では、吸収型偏光子は、従来の吸収型偏光子よりも非力(例えば、より高い平均透過率及び/又はより低い偏光効率)である。比較的非力な吸収型偏光子は、例えば、より薄いポリビニルアルコール層、及び/又は、より低い濃度のヨウ素溶液若しくは他の染色液を使用することによって、作製することができる。いくつかの実施形態では、吸収型偏光子は、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVOH)偏光子である。
【0013】
図2は、いくつかの実施形態による反射型偏光子100の概略断面図である。反射型偏光子100は、複数の干渉層110、111を含む。干渉層110、111は、合計で少なくとも50の数の、複数のポリマー層とすることができる。各層110、111は、例えば、約500nm未満又は約400nm未満の平均厚さ(層にわたる平均厚さ)を有し得る。干渉層110、111は、主に光学干渉によって、光を反射又は透過することができる。干渉層は、その干渉層の反射率及び透過率を、光干渉によって合理的に説明することができる場合に、又は、光干渉に起因するものとして合理的に正確にモデル化することができる場合に、主に光干渉によって光を反射又は透過するとして説明されてもよい。反射型偏光子100は、任意選択的に、光学的に厚いもの(例えば、約1マイクロメートル超又は約2マイクロメートル超の平均厚さ)とすることが可能な、追加層130、133を含み得る。追加層130、133は、最外スキン層130、及び/又は、干渉層110、111の隣接パケット間の保護境界層133を含み得る。複数の干渉層は、交互配置されている第1のポリマー干渉層(110)と第2のポリマー干渉層(111)とを含み得る。
【0014】
光学積層体1000は、ディスプレイ内で使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ディスプレイは、ディスプレイパネルと、そのディスプレイパネルに照明を供給するように構成されている拡張光源(例えば、ライトガイドであって、好適な光抽出部を有し、そのライトガイドに光を供給するための好適な光源を有する、ライトガイド)と、それらディスプレイパネルと拡張光源との間に配置され、ディスプレイパネルに面している吸収型偏光子200と拡張光源に面している反射型偏光子とを有する、光学積層体1000とを含む。
【0015】
図3は、画像312を表示するように構成されているアクティブ領域310を含む、ディスプレイパネル300と、ディスプレイパネル300に照明410を供給するように構成されている拡張光源400と、ディスプレイパネル300と拡張光源400との間に配置されている反射型偏光子100と、ディスプレイパネル300と反射型偏光子100との間に配置されている吸収型偏光子200とを含む、ディスプレイ2000の概略断面図である。他の箇所で更に説明されているように、反射型偏光子100は、合計で少なくとも50の数の、複数のポリマー層を含み得るものであり、各ポリマー層は、約500nm未満の平均厚さを有する。吸収型偏光子200は、本明細書の他の箇所で更に説明されているように、反射型偏光子100上に配置されることにより、光学積層体1000を形成することができる。ディスプレイ2000は、任意選択的に、追加層を含み得る。例えば、プリズムフィルム及び/又は拡散体を、反射型偏光子100と拡張光源400との間に配置することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、プリズムフィルム及び/又は拡散体は、拡張光源400の一部分とすることもできる。例えば、拡張光源400は、ライトガイドと、そのライトガイド上に配置されているプリズム及び/又は拡散体とを含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、拡張光源400、ディスプレイパネル300のアクティブ領域310、反射型偏光子100、及び吸収型偏光子200は、互いに実質的に同一の広がりを有する。層又は要素は、各層又は各要素の少なくとも約60%が、他の各層又は各要素の少なくとも約60%と同一の広がりを有する場合に、互いに実質的に同一の広がりを有するとして説明することができる。いくつかの実施形態では、互いに実質的に同一の広がりを有するとして説明される層又は要素に関しては、各層又は各要素の少なくとも約80%若しくは少なくとも約90%が、他の各層又は各要素の少なくとも約80%若しくは少なくとも約90%と同一の広がりを有する。
【0017】
反射型偏光子100、吸収型偏光子200、及び/又は光学積層体1000の、透過特性、反射特性、及び/又は吸収特性は、実質的な垂直入射光に関して、若しくは1つ以上の入射角の光に関して、かつ、或る波長範囲内の1つ以上の波長に関して説明することができ、あるいは、或る波長範囲にわたって値を平均化することもできる。光学積層体1000の場合、反射型偏光子100上に入射する光に関して、透過及び反射を測定することができる。
【0018】
図4は、λ1~λ2の波長範囲内の、波長λの概略図である。λ1は、例えば、約400nm、又は約430nm、又は約450nmとすることができる。λ2は、例えば、約650nm、又は約670nm、又は約700nmとすることができる。波長λは、例えば、約500nm、約550nm、又は約600nm、又は約650nmとすることができる。
【0019】
図5は、要素又は層500に実質的に垂直入射する(例えば、垂直入射から30度以内、又は20度以内、又は10度以内、又は5度以内の)光120の概略図である。要素又は層500は、例えば、反射型偏光子、吸収型偏光子、又は光学積層体とすることができる。光120は、(例えば、図1図2のx-y-z座標系を参照すると、x軸に沿って偏光されている)第1の偏光状態、又は(例えば、y軸に沿って偏光されている)直交する第2の偏光状態を有し得るか、あるいは、光120は、非偏光とすることもできる。第1の偏光状態は、通過偏光状態とすることができ、第2の偏光状態は、ブロック偏光状態とすることができる。
【0020】
反射型偏光子100及び吸収型偏光子200のブロック軸は、実質的に整合させることができる(例えば、平行から10度以内、又は5度以内、又は3度以内)。例えば、反射型偏光子100及び吸収型偏光子200のブロック軸は、それぞれy軸に実質的に平行とすることができる。
【0021】
図6Aは、第1の偏光状態(通過状態)及び第2の偏光状態(ブロック状態)における、実質的な垂直入射光に関する、いくつかの実施形態による反射型偏光子100に関する光透過(光透過率×100%)対波長のプロットである。透過は、間隔を空けた4つの(P1~P4で示される)点に関して示されている。いくつかの実施形態では、反射型偏光子の光吸収は無視することができるため、光反射R(光反射率×100%)はほぼ、100%から光透過を減じたものである。図6Bは、第2の偏光状態(ブロック状態)における、実質的な垂直入射光に関する光透過を示す、図6Aのプロットの拡大部分である。図6Cは、第1の偏光状態(通過状態)における、実質的な垂直入射光に関する光透過を示す、図6Aのプロットの拡大部分である。
【0022】
図6Dは、いくつかの実施形態による、反射型偏光子100に関する平均偏光効率対波長のプロットである。偏光効率は、実質的な垂直入射光120に関する通過状態光透過率Tp、及び実質的な垂直入射光120に関するブロック状態光透過率Tbの観点から、(Tp?Tb)/(Tp+Tb)の平方根として表すことができる。図6Eは、いくつかの実施形態による、反射型偏光子100に関する偏光効率の標準偏差対波長のプロットである。図6Fは、図6Eのプロットの拡大部分である。
【0023】
偏光効率又はブロック状態透過率の標準偏差とは、例えば、或る領域(例えば、偏光子の領域の少なくとも80%、又は、ディスプレイパネルのアクティブ領域と同一の広がりを有する偏光子の領域)にわたる分布の標準偏差を指す。平均(平均値)及び標準偏差は、例えば、4つ、又は少なくとも4つ、又は少なくとも10個、又は少なくとも20個の、間隔を空けた点(例えば、4~30個の点)における測定を使用して決定することができる。それらの点は、例えば、0.5~10cmの間隔を空けたものとすることができ、例えば、より大きいサンプルに関しては、より大きい間隔を使用することができる。平均及び標準偏差は、或る波長(例えば、約500nm、又は約550nm)において、又は、或る波長範囲(例えば、約450nm~約650nm)にわたる平均に関して決定することができる。
【0024】
図6A図6Fに示されているプロットは、国際出願公開第2018/163009号(Haagら)の実施例1で概説されているように実施された、反射型偏光子上の4つの間隔を空けた位置において実施された透過測定から決定されたものである。光学積層体、反射型偏光子、及び吸収型偏光子に関する透過測定は、LAMBDA1050 UV/Vis/NIR分光光度計(PerkinElmer,Inc.(Waltham,MA)より入手可能)上で実施された。光学積層体の測定においては、反射型偏光子が光源に面しており、吸収型偏光子が検出器に面していた。反射型偏光子100は、この反射型偏光子に、又は国際出願公開第2018/163009号(Haagら)で説明されている他の反射型偏光子に、又は本明細書の他の箇所で説明されている光学特性を有する更に他の反射型偏光子に対応し得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、光学積層体1000は、実質的な垂直入射光120に関して、かつ少なくとも第1の波長(例えば、λ)に関して、各干渉層110、111が、主に光干渉によって光を反射又は透過し、複数の干渉層110、111が、第1の偏光状態(例えば、x軸)を有する入射光の少なくとも約85%を透過し(例えば、図6Aを参照)、直交する第2の偏光状態(例えば、y軸)を有する入射光の少なくとも約80%を反射し(例えば、図6Aを参照)、第2の偏光状態を有する入射光の約0.1%未満を透過し(例えば、図6Bを参照)、吸収型偏光子200が、第1の偏光状態に対する第1の光透過率(例えば、図10Aを参照)、第2の偏光状態に対する約50%超の光吸収率(例えば、図9を参照)、及び第2の偏光状態に対する第2の光透過率(例えば、図10Bを参照)を有するようなものである。いくつかの実施形態では、複数の干渉層110、111は、第2の偏光状態を有する入射光の約0.05%未満を透過する(例えば、図6Bを参照)。少なくとも第1の波長は、本明細書の他の箇所で説明されている、波長λ1~波長λ2の間とすることができる。例えば、少なくとも第1の波長は、約450nm~約670nmの間、又は約450nm~約650nmの間とすることができる。いくつかの実施形態では、第1の波長は、例えば約550nmである。
【0026】
第1の光透過率と第2の光透過率との平均(例えば、図10Cを参照)は、約0.46超、又は約0.465超、又は約0.47超、又は約0.475超、又は約0.48超とすることができる。第1の光透過率と第2の光透過率との平均の文脈において、例えば約0.46とは、例えば、0.455、又は0.46、又は0.465、あるいは、0.455~0.465の任意の値とすることができる。別の例として、約0.465の平均とは、例えば、0.46、又は0.465、又は0.47、あるいは、0.46~0.47の任意の値とすることができる。更に別の例として、約0.47の平均は、例えば、0.464、又は0.47、又は0.476、あるいは、0.464~0.476の任意の値とすることができる。いくつかの実施形態では、第1の光透過率と第2の光透過率との平均は、0.455超である。
【0027】
図7は、いくつかの実施形態による、吸収型偏光子200の光透過率220の空間的変動と、いくつかの実施形態による、光学積層体1000の光透過率320の空間的変動との概略図である。光透過率220及び光透過率320は、第1の偏光状態(通過状態)に対するもの、第2の偏光状態(ブロック状態)に対するもの、又は非偏光に対するものとすることができる。光透過率220は、μ1の平均(位置にわたる平均値)、及びσ1の標準偏差を有する。光透過率320は、μ2の平均(平均値)、及びσ2の標準偏差を有する。平均及び標準偏差は、様々な位置に関して(例えば、偏光子又は光学積層体の少なくとも80%にわたって)決定され、或る波長(例えば、λ)に関して、又は或る波長範囲内(例えば、λ1~λ2)の波長にわたる平均に関して、決定することができる。いくつかの実施形態では、μ1>μ2、かつσ1>σ2である。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2の光透過率(例えば、220)は、吸収型偏光子200の少なくとも80%にわたって第1の標準偏差(例えば、σ1)を有し、光学積層体は、光学積層体の少なくとも80%にわたって第2の標準偏差(例えば、σ2)を有する、第2の偏光状態に対する光透過率(例えば、320)を有し、第2の標準偏差は、第1の標準偏差よりも少なくとも約10%小さい。いくつかの実施形態では、第1の標準偏差(例えば、σ1)は、例えば、約0.0033超、又は約0.0035超、又は約0.04超、又は約0.0045超、又は約0.005超である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、第2の標準偏差(例えば、σ2)は、例えば、約0.0001未満、又は約0.00002未満、又は約0.00001未満である。いくつかの実施形態では、第2の標準偏差で除算した第1の標準偏差は、少なくとも約2、又は少なくとも約10、又は少なくとも約100、又は少なくとも約200、又は少なくとも約300、又は少なくとも約400である。
【0029】
いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射非偏光(例えば、120)に関して、かつ約450nm~約650nmの第1の波長範囲に関して、吸収型偏光子200は、吸収型偏光子200の少なくとも80%にわたって第3の標準偏差(例えば、σ1)を有する、第1の波長範囲にわたって平均化された光透過率を有し、光学積層体は、光学積層体の少なくとも80%にわたって第4の標準偏差(例えば、σ2)を有する、第1の波長範囲にわたって平均化された光透過率を有する。第4の標準偏差は、第3の標準偏差よりも少なくとも約10%小さいものとすることができる。いくつかの実施形態では、第3の標準偏差は、約0.005超、又は約0.006超、又は約0.65超である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、第4の標準偏差は、約0.0055未満、又は約0.005未満、又は約0.0045未満である。
【0030】
図8は、いくつかの実施形態による、吸収型偏光子200の偏光効率260の空間的変動と、いくつかの実施形態による、反射型偏光子100の偏光効率160の空間的変動との概略図である。偏光効率260は、μ3の平均(位置にわたる平均値)、及びσ3の標準偏差を有する。偏光効率160は、μ4の平均(平均値)、及びσ4の標準偏差を有する。平均及び標準偏差は、様々な位置に関して(例えば、偏光子の少なくとも80%にわたって)決定され、或る波長(例えば、λ)に関して、又は或る波長範囲内(例えば、λ1~λ2)の波長にわたる平均に関して、決定することができる。いくつかの実施形態では、μ4>μ3、かつσ4<σ3である。
【0031】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ2000は、実質的な垂直入射光120に関して、かつ少なくとも1つの波長(例えば、λ)に関して、ディスプレイパネル300のアクティブ領域310にわたる、反射型偏光子100の偏光効率が、約0.995超の平均(例えば、μ4)及び約0.001未満の標準偏差(例えば、σ4)を有し、ディスプレイパネル300のアクティブ領域310にわたる、吸収型偏光子200の偏光効率が、約0.93未満の平均(例えば、μ3)及び約0.005超の標準偏差(例えば、σ3)を有するようなものである。偏光効率の文脈において、例えば約0.93の値とは、例えば、0.92、又は0.93、又は0.94、あるいは、0.92~0.94の任意の値とすることができる。別の例として、約0.999の偏光効率とは、例えば、0.9988、又は0.999、又は0.9992、0.9988~0.9992の任意の値とすることができる。更に別の例として、約0.995の偏光効率とは、例えば、0.994、又は0.995、又は0.996、0.994~0.996の任意の値とすることができる。いくつかの実施形態では、反射型偏光子100の偏光効率の標準偏差は、約0.0005未満、又は約0.0001未満、又は約0.00005未満である。いくつかの実施形態では、吸収型偏光子200の偏光効率の標準偏差は、約0.0055超、又は約0.006超、又は約0.0065超、又は約0.007超である。いくつかの実施形態では、吸収型偏光子200の偏光効率の平均は、約0.92未満、又は約0.91未満である。いくつかの実施形態では、反射型偏光子100の偏光効率の平均は、約0.999超、又は約0.9995超、又は約0.9998超、又は約0.9999超である。
【0032】
少なくとも1つの波長は、本明細書の他の箇所で説明されている、λ1~λ2の間とすることができる。例えば、少なくとも1つの波長は、約450nm~約650nmの間とすることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光120に関して、かつ約450nm~約650nmの波長範囲に関して、吸収型偏光子200は、約0.945未満の平均(例えば、μ3)及び約0.0045超の標準偏差(例えば、σ3)を有する、波長範囲にわたって平均化された、ディスプレイパネル300のアクティブ領域310にわたる偏光効率を有する(偏光効率は、波長範囲内の波長にわたって平均化されており、吸収型偏光子上の位置によって変化する)。
【0034】
図9は、いくつかの実施形態による、吸収型偏光子200に関する光吸収対波長の概略プロットである。いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光120に関して、かつ約450nm~約670の間、又は約450nm~約650nmの間の、少なくとも第1の波長(例えば、λ)に関して、吸収型偏光子200は、第2の偏光状態に対する約50%超の光吸収率を有する。いくつかの実施形態では、吸収型偏光子の光吸収率は、第2の偏光状態に対して、約60%超、又は約70%超、又は約80%超である。
【0035】
図10A図10Bは、それぞれ、第1の偏光状態(通過状態)及び第2の偏光状態(ブロック状態)における、実質的な垂直入射光120に関する、吸収型偏光子に関する光透過対波長のプロットである。これらのプロットは、第1の吸収型偏光子(サンプル「S1」)に関するもの、及び第2の吸収型偏光子(サンプル「S2」)に関するものである。各偏光子に関して、間隔を空けた4つの位置において測定した曲線が示されている。第1の吸収型偏光子「S1」は、ポリビニルアルコール(PVOH)層(ポリビニルアルコールに関しては、KURARAY Co.,Ltd.(Tokyo,JP)より入手可能な、KURARAY POVAL 28-99を使用)を配向させて、ヨウ素で染色することによって作製するものとした。図10A図10Bに示される透過を生じさせるように、PVOH層の厚さ及びヨウ素の濃度を選択した。第2の吸収型偏光子「S2」を同様に作製したが、第1の吸収型偏光子「S1」の約50%の厚さを有するPVOH層を使用するものとした。第1の吸収型偏光子は、従来の反射型偏光子よりも著しく非力であり、第2の吸収型偏光子は更に非力である。例えば、約450nm~約650nmの波長範囲内の実質的な垂直入射光に関して、従来のSANRITZ吸収型偏光子は、約0.007%の平均ブロック状態透過率を有し、第1の吸収型偏光子は、約1.4%の平均ブロック状態透過率を有し、第2の吸収型偏光子は、約5.2%の平均ブロック状態透過率を有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光120に関して、かつ約450nm~約670の間、又は約450nm~約650nmの間の、少なくとも第1の波長(例えば、λ)に関して、吸収型偏光子200は、第2の偏光状態に対する約4%超の光透過率を有する。いくつかの実施形態では、吸収型偏光子の平均光透過率(例えば、吸収型偏光子の少なくとも80%にわたる領域にわたって平均化されたもの)は、第2の偏光状態に対して、約5%超、又は約6%超、又は約7%超である。例えば、図10Bの実施形態(「S2」)では、平均光透過率は、約500nmの波長において、第2の偏光状態に対して約8.5%である。
【0037】
図10Cは、吸収型偏光子に関する、第1の偏光状態に対する第1の光透過率と第2の偏光状態に対する第2の光透過率との、平均のプロットである。図10Cの曲線は、図10A図10Bの曲線から、4つの点において決定された透過率にわたって平均化することによって得られたものである。第2の吸収型偏光子「S2」に関しては、その平均は、例えば、500nmにおいて0.4554、及び670nmにおいて0.4707である。
【0038】
図10Dは、吸収型偏光子に関する、第2の(ブロック)偏光状態を有する実質的な垂直入射光120に関する光透過率の標準偏差対波長のプロットである。図10Dの曲線は、図10Bの曲線から、4つの点における透過率の標準偏差を決定することによって得られたものである。いくつかの実施形態では、吸収型偏光子200は、第2の偏光状態に対して、少なくとも約450nm~約650nmに及ぶ波長範囲の全体にわたって約0.001超又は約0.0015超の標準偏差を有する、実質的な垂直入射光120に関する光透過率を有する。
【0039】
図10Eは、吸収型偏光子に関する、実質的な垂直入射光120に関する平均偏光効率対波長のプロットである。図10Fは、吸収型偏光子に関する、実質的な垂直入射光120に関する偏光効率の標準偏差対波長のプロットである。いくつかの実施形態では、吸収型偏光子200は、第2の偏光状態に対して、少なくとも約450nm~約650nmに及ぶ波長範囲の全体にわたって約0.0015超又は約0.002超の標準偏差を有する、実質的な垂直入射光120に関する偏光効率を有する。図10E図10Fの曲線は、図10A図10Bの曲線から、4つの点において決定された偏光効率の平均及び標準偏差を決定することによって決定されたものである。第2の吸収型偏光子「S2」に関しては、平均偏光効率は、500nmの波長において0.902であり、偏光効率の標準偏差は、0.00852である。
【0040】
いくつかの実施形態では、吸収型偏光子200は、第2の吸収型偏光子「S2」に関して本明細書の他の箇所で説明されている、光透過率及び他の光学特性を有する。いくつかの実施形態では、吸収型偏光子200は、本明細書の他の箇所で説明されている光学特性を有する、別の吸収型偏光子である。いくつかの実施形態では、吸収型偏光子200は、第2の吸収型偏光子よりも薄い第3の吸収型偏光子の、光透過率及び他の光学特性を有する。より薄い吸収型偏光子は、例えば図10Cに示されるものよりも高い平均透過率と、例えば図10Dに示されるものよりも高い標準偏差のブロック状態透過率と、例えば図10Eに示されるものよりも低い偏光効率と、例えば図10Fに示されるものよりも高い標準偏差の偏光効率とを有することが予期されるであろう。
【0041】
図11A図11Bは、それぞれ、第1の偏光状態(通過状態)及び第2の偏光状態(ブロック状態)における、実質的な垂直入射光120に関する、光学積層体に関する光透過対波長のプロットである。これらのプロットは、反射型偏光子と第1の吸収型偏光子(「S1」)とを含む光学積層体に関するもの、及び、反射型偏光子と第1の吸収型偏光子の約50%の厚さを有する第2の吸収型偏光子(「S2」)とを含む光学積層体に関するものである。これらのプロットに関して使用されている反射型偏光子は、図6A図6Fのプロットに関して使用されている反射型偏光子である。各偏光子に関して、間隔を空けた4つの位置において測定した曲線が示されている。図11Cは、光学積層体に関する、第2の偏光状態(ブロック状態)を有する実質的な垂直入射光に関する光透過率の、標準偏差対波長のプロットである。
【0042】
図6A図6Fの反射型偏光子(「RP」)、図10A図10Fの第1の吸収型偏光子(「S1」)及び第2の吸収型偏光子(「S2」)、並びに図11A図11Bの光学積層体に関して、ブロック状態及び通過状態における透過、平均透過率(100%で除算したブロック透過と通過透過との平均)、並びに偏光効率を、サンプル上の4つの点において決定し、それら4つの点のそれぞれに関して、450nm~650nmの波長にわたって平均化した。これらの点において決定された波長平均量の、平均と標準偏差とを決定し、以下の表において、平均の隣に標準偏差を括弧内に添えて報告するものとした。比較のために、市販のSANRITZ偏光子を同様に試験して、その結果を以下の表に含めるものとした。
【表1】
【0043】
「約(about)」などの用語は、それらが本明細書で使用及び説明されている文脈において、当業者によって理解されるであろう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す数量に適用されるような「約」の使用が、本明細書で使用及び説明されている文脈において、当業者にとって特に明確ではない場合には、「約」とは、指定された値の5パーセント以内を意味するものと理解されるであろう。指定された値の「約」として与えられている数量は、正確にその指定された値であってもよい。例えば、本明細書で使用及び説明されている文脈において、当業者にとって特に明確ではない場合には、約1の値を有する数量は、その数量が0.95~1.05の値を有することを意味し、その値が1であってもよいことを意味する。
【0044】
上記で参照された全ての参照文献、特許、又は特許出願は、一貫した方式で、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。組み込まれている参照文献の諸部分と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の説明における情報が優先するものとする。
【0045】
図中の要素に関する説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。本明細書において特定の実施形態が例示され説明されてきたが、本開示の範囲を逸脱することなく、図示され説明されている特定の実施形態を、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えることができる点が、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のあらゆる適応例又はバリエーションを包含することが意図されている。それゆえ、本開示は、請求項及びその等価物によってのみ限定されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11A
図11B
図11C
【国際調査報告】