IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンブ.アイ・オー ゲー・エム・ベー・ハーの特許一覧

<>
  • 特表-ゲーム装置 図1
  • 特表-ゲーム装置 図2
  • 特表-ゲーム装置 図3
  • 特表-ゲーム装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(54)【発明の名称】ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/2145 20140101AFI20230217BHJP
   A63F 13/426 20140101ALI20230217BHJP
   A63F 13/812 20140101ALI20230217BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20230217BHJP
   A63B 71/02 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
A63F13/2145
A63F13/426
A63F13/812 Z
A63B69/00 501A
A63B71/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563243
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2020087488
(87)【国際公開番号】W WO2021130179
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】102019135695.4
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020109414.0
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522250172
【氏名又は名称】リンブ.アイ・オー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】LYMB.iO GmbH
【住所又は居所原語表記】Gysslingstrasse 72, 80805 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルコス アリスティデス ケアン
(57)【要約】
本発明は、表示面(2)と、表示面(2)に割り当てられるゲーム空間(8)と、表示面(2)上の物体(6)の衝突場所(11)を検出するように構成されるセンサシステム(3)と、ゲーム空間(8)の少なくとも一部における物体(6)及び/又は選手(5)の位置を検出するように構成される取得システム(4)と、位置を使用して表示面(2)上の標的フィールド(7)を決定するように構成される計算ユニット(15)とを有するゲーム装置(1)であって、表示面(2)上に標的フィールド(7)を表示するように、及び衝突場所(11)が標的フィールド(7)内にあるかどうかを確かめるように構成される、ゲーム装置(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面(2)と、前記表示面(2)に割り当てられるゲーム空間(8)と、前記表示面(2)上の物体(6)の衝突場所(11)を検出するように構成されるセンサシステム(3)と、前記ゲーム空間(8)の少なくとも一部における前記物体(6)及び/又は選手(5)の位置を検出するように構成される取得システム(4)と、前記位置を使用して前記表示面(2)上の標的フィールド(7)を決定するように構成される計算ユニット(15)とを含む、ゲーム装置(1)であって、前記表示面(2)上に前記標的フィールド(7)を表示するように、及び前記衝突場所(11)が前記標的フィールド(7)内にあるかどうかを確かめるように構成される、ゲーム装置。
【請求項2】
前記位置を使用して所定の規則に基づいて前記ゲーム空間(8)内に配置される標的領域(12)を決定するように、並びに前記標的領域(12)、前記位置、及び前記物体(6)の弾道モデルを使用し、前記選手(5)が前記標的フィールド(7)に向けて前記物体(6)をプレーするとき、前記物体(6)が前記表示面(2)から跳ね返った後に前記標的領域(12)に入るように前記標的フィールド(7)を決定するように前記計算ユニット(15)が構成される、請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記標的領域(12)を表す標的点(9)を決定するように、前記弾道モデルを使用して前記標的点(9)までの前記表示面(2)を経由した前記物体(6)の前記位置から伸びる前記物体(6)の軌道(10)を計算するように、及び前記表示面(2)上の前記軌道(10)の交点の周囲の前記標的フィールド(7)を決定するように前記計算ユニット(15)が構成される、請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記取得システム(4)が前記物体(6)の前記位置を求めるように構成されない場合、前記計算ユニット(15)が前記選手(5)の前記位置に応じて前記物体(6)の前記位置を求めるように構成され、とりわけ前記計算ユニット(15)は前記物体(6)の前記位置を前記選手(5)の前記位置と同一視するように構成される、請求項2又は3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記弾道モデルが前記物体(6)のフォースフリー運動を表す、請求項2乃至4の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記弾道モデルが、前記物体の前記位置における前記物体(6)の初期速度又は前記標的点(9)における前記物体(6)の最終速度を含む、請求項2乃至4の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記弾道モデルが重力による加速を含む、請求項2乃至4及び6の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記弾道モデルが前記表示面(2)から前記跳ね返ることによる前記物体(6)の運動エネルギのエネルギ損を考慮に入れる、請求項2乃至7の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項9】
そのそれぞれが前記ゲーム装置(1)でプレーするとき前記選手(5)にとっての異なる難易度を有する複数の前記所定の規則が前記計算ユニット(15)内に記憶される、請求項2乃至8の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項10】
前記取得システム(4)が選手(5)の人数を求めるように構成される、請求項1乃至9の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項11】
前記取得システム(4)が選手(5)の人数を求めるように構成され、前記所定の規則の異なるもの又は異なる1組の前記所定の規則が、それぞれの事例において選手(5)の人数ごとに前記計算ユニット(15)内に記憶される、請求項2乃至9の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項12】
前記取得システム(4)が、少なくとも前記物体(6)の前記位置及び前記選手(5)の前記位置、又は前記物体(6)の少なくとも2つの前記位置若しくは前記選手(5)の少なくとも2人の前記位置を求めるように構成される、請求項1乃至11の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項13】
前記取得システム(4)が前記選手(5)の少なくとも2人の前記位置を求めるように構成され、前記計算ユニット(15)が前記選手(5)の前記少なくとも2人の前記位置を使用して前記標的領域(12)を決定するように構成される、請求項2乃至12の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項14】
前記取得システム(4)が、前記ゲーム空間(8)の前記一部における前記選手(5)の視点の視点位置を求め、前記表示面(2)上に表示される画像の見え方を前記視点位置に合わせて調節するように構成される、請求項1乃至13の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項15】
前記取得システム(4)は、前記物体(6)が前記選手(5)の手によってプレーされたのか又は前記選手(5)の足によってプレーされたのかを認識するように構成される、請求項1乃至14の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項16】
前記取得システム(4)は、前記選手(5)が前記手にラケットを持っているのかどうか、とりわけ前記物体(6)が前記ラケットによってプレーされたかどうかを認識するように構成される、請求項1乃至15の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項17】
前記取得システム(4)は、前記物体(6)が前記ゲーム装置(1)に属する1組の規則に従ってプレーされたかどうかを認識するように構成される、請求項1乃至16の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項18】
前記物体(6)がボール、メディシンボール、又はフリスビーである、請求項1乃至17の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項19】
リバウンドスポーツ、とりわけスカッシュ、テニス、バレーボール、射撃スポーツ、とりわけアーチェリー、又はアメリカンフットボールを前記ゲーム装置(1)でプレーできるように前記ゲーム装置(1)が構成される、請求項1乃至18の何れか一項に記載のゲーム装置。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れか一項に記載の2つのゲーム装置(1)を有する機器であって、前記ゲーム装置(1)の一方によって取得された位置を前記ゲーム装置(1)の他方に、とりわけ前記ゲーム装置(1)の前記他方の前記表示面(2)上に表示するように構成される、機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リバウンドスポーツとは、1組の特定の規則を守りながら、及びボールを受ける又は返すときに相手にミスをさせようとするプロセスの試みにおいて、2人の選手又は2つのチームが例えばボール等の物体を壁経由で互いにパスする球技である。一方のミスは他方の得点になり、及び/又は他方にサーブ権を与える。スカッシュはリバウンドスポーツである。リバウンドスポーツは、単一の選手が壁経由で自分自身に物体をパスすることを意味するようにも理解される。壁は平面又は曲面又は縁とすることができる。物体は、壁から跳ね返ってくるように壁に向かってプレー可能な任意の手段を意味するように理解すべきである。選手がボールを使って打つ壁上に標的フィールドが表示されるリバウンドスポーツ用のゲーム装置が知られている。ここでは標的フィールドが時間と共に変化し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は既知のゲーム装置を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によるゲーム装置は、表示面と、表示面に指定されるゲーム空間と、表示面上での物体の衝突場所を検出するように構成されるセンサシステムと、ゲーム空間の少なくとも一部における物体及び/又は選手の位置を検出するように構成される取得システムと、その位置を使用して表示面上の標的フィールドを決定するように構成される計算ユニットとを含み、ゲーム装置は表示面上に標的フィールドを表示するように、及び衝突場所が標的フィールド内にあるかどうかを確かめるように構成される。
【0005】
本発明によるゲーム装置を使い、今度は物体及び/又は選手の位置に合わせて調節される標的フィールドを決定することが可能である。このことは選手がプレーするゲームを制御する多くの新たなやり方を切り開く。同時に、センサシステムを使用して衝突場所が標的フィールド内にあるかどうか、即ち物体が標的フィールドに当たったかどうかを判定することができる。このようにして、改善されたゲーム装置を提供する。ゲームは、例えば可変であるように制御することができる。従って、例えば衝突場所が標的フィールド内にあるように物体をプレーするとき、その後再び物体に到達するために選手が常に数歩移動しなければならないように標的フィールドを決定することができる。
【0006】
取得システムは好ましくはデプスカメラを含む。デプスカメラはゲーム空間の二次元画像又は三次元画像を記録するように構成され、二次元画像又は三次元画像の各イメージポイントは距離値を表す。距離値は、例えばデプスカメラからの物体及び/又は選手の点の距離であり得る。デプスカメラは、例えば電磁パルスの飛行時間測定によって距離を求めるように構成され得る。
【0007】
或いは又は加えて、取得システムはレーザスキャナ及び/又はタッチセンスフロアを含み得る。レーザスキャナも、レーザスキャナからの物体及び/又は選手の点の距離を求めるように構成され得る。タッチセンスフロアはゲーム空間の下端においてゲーム空間と境界を接することができ、タッチセンスフロアとの接触によって物体及び/又は選手の位置を求めるように構成され得る。
【0008】
ゲーム装置は、表示面上に標的フィールドを投影するように構成されるプロジェクタを好ましくは含む。プロジェクタを用いて例えばスカッシュコート等の既存のゲーム空間を改装すること、従って本発明によるゲーム装置に変換することがとりわけ容易に可能である。或いは、ゲーム装置は表示面を含む画面を好ましくは含む。
【0009】
物体は好ましくは現実の物体である。その代替形態として、物体は好ましくは仮想的物体である。
【0010】
センサシステムの第1の実施形態によれば、センサシステムは、衝突場所のy座標を確かめるように構成される、並列に配置される光電子センサの第1の行を好ましくは含む。センサシステムは衝突場所のz座標を確かめるように構成されるカメラを含み得る。カメラの代替形態として、センサシステムは衝突場所のz座標を確かめるように構成される、並列に配置される光電子センサの第2の行を含み得る。第1の実施形態によれば、物体は現実の物体である。
【0011】
センサシステムの第2の実施形態によれば、センサシステムは衝突場所のy座標及びz座標を求めるように構成されるカメラを好ましくは含む。第2の実施形態によれば、物体は現実の物体である。
【0012】
センサシステムの第3の実施形態では、ゲーム装置が、タッチスクリーンとして実装され、従ってセンサシステムの少なくとも一部を形成する画面を含み得る。タッチスクリーンは、衝突場所のy座標及びz座標を検出するように構成され得る。そのために、タッチスクリーンは例えば圧力センサ、光センサ、タッチセンス膜、及び/又はタッチセンス導電ペイントを含み得る。第3の実施形態によれば、物体は現実の物体である。
【0013】
センサシステムの第4の実施形態では、センサシステムが取得システムによって少なくとも部分的に形成されてもよく、センサシステムは選手の位置及び/又は動きから衝突場所を導出するように構成され得る。そのために、例えば選手の腕の動きからテニスラケットによるストロークをシミュレートすることができる。第4の実施形態によれば、物体は仮想的物体である。
【0014】
センサシステムの実施形態の全てにおいて、y座標に属するy軸はz座標に属するz軸と直角に配置され得る。センサシステムの実施形態の全てにおいて、y軸は水平に配置することができ、z軸は垂直に配置することができる。
【0015】
ゲーム空間は好ましくは表示面に隣接する。
【0016】
計算ユニットは、好ましくはパーソナルコンピュータ及び/又はサーバである。計算ユニットは、衝突場所が標的フィールド内にあるかどうかを確かめるように構成され得る。或いは、衝突場所が標的フィールド内にあるかどうかを確かめるように構成される更なる計算ユニットをゲーム装置が含むと考えられる。更なる計算ユニットもパーソナルコンピュータ及び/又はサーバであり得る。
【0017】
物体は飛行物体であることが好ましい。
【0018】
物体はボール、メディシンボール、又はフリスビーであることが好ましい。
【0019】
ゲーム装置は好ましくは物体を含む。
【0020】
計算ユニットは、位置を使用して所定の規則に基づいてゲーム空間内に配置される標的領域を決定するように、並びに標的領域、位置、及び物体の弾道モデルを使用し、選手が標的フィールドに向けて物体をプレーするとき、物体が表示面から跳ね返った後に標的領域に入るように標的フィールドを決定するように構成されることが好ましい。所定の規則は、例えば標的領域が選手の位置に配置されるように選択され得る。この形態の結果は、物体に到達するために選手が動かなくてもよいこと又は僅かに動くだけでよいことである。これにより選手は物体のプレーに集中できるようになる。或いは所定の規則は、例えば選手の位置以外の位置に標的領域が配置されるように選択され得る。その結果、物体をプレーした後、選手は物体に到達するために自分の位置を変えなければならず、それによりとりわけ選手の体力が訓練される。ここでは計算ユニットをクライアント計算ユニットとして設計することができ、それを用いて所定の規則をとりわけサーバによって計算ユニットに入れること及び/又は遠隔的に操作することができる。このようにして所定の規則を素早く及び/又は可変的に変更することができる。
【0021】
計算ユニットは、標的領域を表す標的点を決定するように、弾道モデルを使用して標的点までの表示面を経由した物体の位置から伸びる物体の軌道を計算するように、及び表示面上の軌道の交点の周囲の標的フィールドを決定するように好ましくは構成される。計算ユニットが直ちに決定する標的フィールドが大きくなればなるほど、それによって決定されるゲーム空間も大きくなる。交点は例えば標的フィールドの重点に配置され得る。
【0022】
標的領域又は標的点は、位置が変わるとき標的領域又は標的点が変わるように決定することができる。この代替形態として、標的領域又は標的点は所定の時点において物体及び/又は選手が有する位置に基づいて決定されると考えられる。所定の時点は、例えば物体が表示面と衝突する時点と一致することができ、又は物体が表示面と衝突する時点から所定の時間遅延を伴って決定され得る。或いは所定の時点は、物体がその移動方向を表示面から離れる方向から表示面に向かう方向に変える時点と一致すること、又は物体が表示面と衝突する時点から所定の時間遅延を伴って決定されることが考えられる。
【0023】
取得システムが物体の位置を求めるように構成されない事例では、計算ユニットが選手の位置に応じて物体の位置を求めるように構成されることが好ましい。例えば計算ユニットは物体の位置を選手の位置と同一視するように構成され得る。代替的な例では、計算ユニットは選手の位置以外の位置において所定の計算規則に従って物体の位置を求めるように構成され得る。ここでは選手がラケットをフォアハンドで持っているのかバックハンドで持っているのかを区別するように取得システムが構成され、選手がラケットをフォアハンドで持っているのかバックハンドで持っているのかに応じて所定の計算規則が異なると考えられる。
【0024】
弾道モデルは物体のフォースフリー運動(force-free movement)を表すことが好ましい。このことは弾道モデルが特に少ない計算を必要とすることを有利に含む。ここでは計算ユニットは、物体の位置及び標的点の位置を使用して、並びに表示面における物体の反射を考慮に入れて軌道を計算するように構成され得る。物体の速度を求めることはここでは必要としない。ここでは弾道モデルが、表示面から跳ね返ることによる物体の運動エネルギのエネルギ損を考慮に入れることが考えられる。それにより弾道モデルが著しく現実的になり、そのため物体は、標的フィールド内にプレーされる場合に高確率で標的領域に到達する。
【0025】
或いは弾道モデルが重力による加速を含むことが好ましい。それにより弾道モデルが著しく現実的になり、そのため物体は、標的フィールド内にプレーされる場合に高確率で標的領域に到達する。弾道モデルが、表示面から跳ね返ることによる物体の運動エネルギのエネルギ損を考慮に入れることが好ましい。それにより弾道モデルが著しく現実的になり、そのため物体は、標的フィールド内にプレーされる場合に高確率で標的領域に到達する。加えて、弾道モデルが空気摩擦抵抗を考慮に入れることが好ましい。弾道モデルが重力による加速、表示面から跳ね返ることによる物体の運動エネルギのエネルギ損、及び空気摩擦抵抗の複数又は全てを考慮に入れる場合、物体が標的フィールド内にプレーされる場合に標的領域に到達する確率は著しく高い。
【0026】
弾道モデルは、物体の位置における物体の初期速度又は標的点における物体の最終速度を好ましくは含む。物体をプレーするとき生じる通常の初期速度を初期速度に選択することができる。この速度は、例えば選手がスカッシュボール又はテニスボールをラケットで打つ、ハンドボールを投げる、又はフットボールを蹴る通常の速度とすることができる。標的領域内への又は標的点における跳ね返り後に生じる通常の速度を最終速度に選択することができる。弾道モデルが初期速度又は最終速度を含むので物体の速度を測定する必要はなく、そのため選手が物体をプレーする前に標的フィールドを決定し表示することができる。運動方程式の初期条件として物体の位置及び初期速度を用いて運動方程式が解かれるので、今度は例えば軌道を計算することができる。初期速度に属する物体の方向は軌道が標的点の周囲の採択域に入るまで変えることができる。或いは運動方程式は、境界条件として物体の位置、標的点、及び最終速度を用いて解くことができる。
【0027】
そのそれぞれがゲーム装置でプレーするとき選手にとっての異なる難易度を有する複数の所定の規則が計算ユニット内に記憶されることが好ましい。過去に決定された規則を選択することにより、今度は難易度を変更することが可能になる。
【0028】
取得システムは選手の人数を求めるように好ましくは構成される。
【0029】
取得システムが選手の人数を求めるように構成され、所定の規則の異なるもの又は異なる1組の所定の規則がそれぞれの事例において選手の人数ごとに計算ユニット内に記憶されることが好ましい。それにより、選手の人数に合わせて所定の規則を自動で調節することが可能である。
【0030】
取得システムは、少なくとも物体の位置及び選手の位置、又は物体の少なくとも2つの位置若しくは選手の少なくとも2人の位置を求めるように好ましくは構成される。とりわけこのことはゲームを制御する多くの新たなやり方を切り開く。
【0031】
取得システムが選手の少なくとも2人の位置を求めるように構成され、計算ユニットが選手の少なくとも2人の位置を使用して標的領域を決定するように構成されることが好ましい。それにより、選手の少なくとも2人が衝突することが起こりそうにないようにゲームを制御することができ、そのため怪我のリスクが低い。従って、例えば選手の1人が物体に到達するために選手の他の者から離れなければならないように、又は他の選手の方に短い距離だけ移動しなければならないように標的フィールドを決定することができる。
【0032】
取得システムは、ゲーム空間の一部における選手の視点の視点位置を求め、表示面上に表示される画像の見え方を視点位置に合わせて調節するように好ましくは構成される。従ってゲーム装置を使用するとき、選手はとりわけ良い視覚的経験を得る。取得システムは選手の両目の位置を求めるように、及び2つの目の位置の中心点として視点位置を求めるように構成され得る。同等に、取得システムは頭部を検出するように、及び例えば頭部の中心点として又は表示面に向いている頭部の端に位置する面の中心点として視点位置を求めるように構成され得る。
【0033】
取得システムは、物体が選手の手によってプレーされたのか選手の足によってプレーされたのかを認識するように好ましくは構成される。物体が手によってプレーされた場合、物体が足によってプレーされた場合と異なる所定の規則又は異なる1組の所定の規則を計算ユニットに与えることができる。
【0034】
取得システムは、選手が手にラケットを持っているのかどうか、とりわけ物体がラケットによってプレーされたかどうかを認識するように構成されることが好ましい。選手が手にラケットを持っている場合、物体が手又は足によってプレーされた場合と異なる所定の規則又は異なる1組の所定の規則を計算ユニットに与えることができる。
【0035】
取得システムは、物体がゲーム装置に属する1組の規則に従ってプレーされたかどうかを認識するように構成されることが好ましい。それによりゲームの不正行為を防ぐことができる。
【0036】
ゲーム装置は、リバウンドスポーツ、とりわけスカッシュ、テニス、バレーボール、射撃スポーツ、とりわけアーチェリー、又はアメリカンフットボールをゲーム装置でプレーできるように好ましくは構成される。
【0037】
本発明による機器は、本発明によるゲーム装置の2つ又は本発明によるゲーム装置の2つの好ましい実施形態を含み、ゲーム装置の一方によって取得された位置をゲーム装置の他方に表示するように構成される。選手の2人又は2つのチームが遠い距離を隔てて互いを相手にして又は互いにプレーすることができるように、2つのゲーム装置は異なる位置に設置することができる。位置はゲーム装置の他方の表示面上に表示することができる。機器は、両方のゲーム装置内で取得された位置をそれぞれ他方のゲーム装置内で、具体的にはゲーム装置の表示面上に表示するように構成されることが好ましい。
【0038】
本発明を添付の概略図に関して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】ゲーム装置の斜視図を示す。
図2】所定の規則に関する第1の実施形態を示す。
図3】所定の規則に関する第2の実施形態を示す。
図4】所定の規則に関する第3の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1に見られるように、ゲーム装置1は表示面2と、表示面2に割り当てられるゲーム空間8と、表示面2上の物体6の衝突場所11を検出するように構成されるセンサシステム3と、ゲーム空間8の少なくとも一部における物体6及び/又は選手5の位置を検出するように構成される取得システム4と、その位置を使用して表示面2上の標的フィールド7を決定するように構成される計算ユニット15とを含む。ゲーム装置1は、表示面2上に標的フィールド7を表示するように、及び衝突場所11が標的フィールド7内にあるかどうかを確かめるように構成される。ゲーム空間8は表示面2に隣接し得る。計算ユニット15は、パーソナルコンピュータ及び/又はサーバであり得る。計算ユニットは、衝突場所が標的フィールド内にあるかどうかを確かめるように構成され得る。或いは、衝突場所が標的フィールド内にあるかどうかを確かめるように構成される更なる計算ユニットをゲーム装置が含むことが考えられる。更なる計算ユニットもパーソナルコンピュータ及び/又はサーバであり得る。物体は飛行物体であり得る。そのために、物体6はボール、メディシンボール、又はフリスビーであり得る。ゲーム装置1は物体6を含み得る。標的領域12がゲーム空間8の下端から上端まで広がることが考えられる。標的領域12がゲーム空間8の全高の及ぶ範囲の一部にだけ広がることも考えられる。
【0041】
そのそれぞれが互いに直角に配置されるx軸、y軸、及びz軸を有する例示的座標系を図1に示す。x軸及びy軸は水平に配置され、z軸は垂直に配置される。表示面2への法線はx軸に対して平行に配置される。
【0042】
図1は、取得システム4が例えば表示面2の上端に配置され得ることを示す。取得システム4がデプスカメラを含むことが考えられる。デプスカメラはゲーム空間8の二次元画像又は三次元画像を記録するように構成され、二次元画像又は三次元画像の各イメージポイントは距離値を表す。距離値は、例えばデプスカメラからの物体6及び/又は選手5の点の距離であり得る。デプスカメラは、例えば電磁パルスの飛行時間測定によって距離を求めるように構成され得る。
【0043】
或いは又は加えて、取得システム4はレーザスキャナ及び/又はタッチセンスフロア13を含み得る。レーザスキャナも、レーザスキャナからの物体6及び/又は選手5の点の距離を求めるように構成され得る。タッチセンスフロア13はゲーム空間8の下端においてゲーム空間8と境界を接することができ、タッチセンスフロア13との接触によって物体6及び/又は選手5の位置を求めるように構成され得る。
【0044】
ゲーム装置1は、表示面2上に標的フィールド7を投影するように構成されるプロジェクタを含み得る。或いは、ゲーム装置1は表示面2を含む画面を含み得る。
【0045】
物体は現実の物体であり得る。物体が仮想的物体であることが更に考えられる。
【0046】
センサシステム3の第1の例示的実施形態によれば、センサシステム3は、図1のy軸に属する衝突場所11のy座標を確かめるように構成される、並列に配置される光電子センサの第1の行を含み得る。センサシステム3は、図1のz軸に属する衝突場所11のz座標を確かめるように構成されるカメラを含み得る。カメラは、衝突場所11から跳ね返る前後の物体6の速度及び方向を使用してz座標を求めるように構成され得る。カメラの代替形態として、センサシステム3は衝突場所11のz座標を確かめるように構成される、並列に配置される光電子センサの第2の行を含み得る。第1の実施形態によれば、物体は現実の物体であり得る。
【0047】
センサシステム3の第2の例示的実施形態によれば、センサシステム3は衝突場所11の図1のy軸に属するy座標及び図1のz軸に属するz座標を求めるように構成されるカメラを好ましくは含む。第2の実施形態によれば、物体は現実の物体であり得る。
【0048】
センサシステム3の第3の例示的実施形態では、ゲーム装置1が、タッチスクリーンとして実装され、従ってセンサシステム3の少なくとも一部を形成する画面を含み得る。タッチスクリーンは、衝突場所11の図1のy軸に属するy座標及び図1のz軸に属するz座標を求めるように構成され得る。第3の実施形態によれば、物体は現実の物体であり得る。
【0049】
センサシステム3の第4の実施形態では、センサシステム3が取得システム4によって少なくとも部分的に形成されてもよく、センサシステム3は選手5の位置及び/又は動きから衝突場所を導出するように構成され得る。そのために、例えば選手5の腕の動きからテニスラケットによるストロークをシミュレートすることができる。第4の実施形態によれば、物体は仮想的物体である。
【0050】
図2から図4は、位置を使用して所定の規則に基づいてゲーム空間8内に配置される標的領域12を決定するように、並びに標的領域12、位置、及び物体6の弾道モデルを使用し、選手5が標的フィールド7に向けて物体6をプレーするとき、物体6が表示面2から跳ね返った後に標的領域12に入るように標的フィールド7を決定するように計算ユニット15が構成され得ることを示す。そのために計算ユニット15は、標的領域12を表す標的点9を決定するように、弾道モデルを使用して標的点9までの表示面2を経由した物体6の位置から伸びる物体6の軌道10を計算するように、及び表示面2上の軌道10の交点14の周囲の標的フィールド7を決定するように構成され得る。ここでは計算ユニット15をクライアント計算ユニットとして設計することができ、それを用いて所定の規則をとりわけサーバによって計算ユニット15に入れること及び/又は遠隔的に操作することができる。
【0051】
軌道10を求めるために、取得システム4は物体6の位置を求めるように構成され得る。取得システム4が物体6の位置を求めるように構成されない代替的事例では、計算ユニット15が選手5の位置に応じて物体6の位置を求めるように構成され得る。例えば図2から図4に示すように、例えば計算ユニット15は物体6の位置を選手5の位置と同一視するように構成されると考えられる。或いは計算ユニット15は、選手5の位置以外の位置において所定の計算規則に従って物体6の位置を求めるように構成され得ることが考えられる。ここでは選手5がラケットをフォアハンドで持っているのかバックハンドで持っているのかを区別するように取得システム4が構成され、選手5がラケットをフォアハンドで持っているのかバックハンドで持っているのかに応じて所定の計算規則が異なると考えられる。
【0052】
弾道モデルは物体6のフォースフリー運動を表すと考えられる。ここでは計算ユニット15は、物体の速度を使用することなしに軌道10を求めるように構成されると考えられる。或いは弾道モデルは、軌道10の計算において発生する力を考慮に入れると考えられる。ここでは計算ユニット15は、物体6の速度を考慮に入れるように構成されると考えられる。ここでは弾道モデルが、物体の位置における物体6の初期速度又は標的点9における物体6の最終速度を含むと考えられる。発生する力を考慮に入れるために、弾道モデルは重力による加速を含むことができ、空気摩擦抵抗を考慮に入れることができ、及び/又は表示面2から跳ね返ることによる物体6の運動エネルギのエネルギ損を考慮に入れることができる。
【0053】
所定の規則に関する3つの例示的実施形態を図2から図4に示し、図2による所定の規則は選手5の1人だけがゲーム空間8内に位置するゲームに関し、図3による所定の規則は選手のうちの厳密に2人5、5’がゲーム空間8内に位置するゲームに関し、図4による所定の規則は選手のうちの厳密に2人5、5’又は選手のうちの3人以上5、5’、5’’がゲーム空間8内に位置するゲームに関する。図3によれば、ゲームが選手5、5’、5’’によって互いに及び1つだけの物体6を用いてプレーされるのに対し、図4によればゲームが選手5、5’、5’’のそれぞれについて1つの個々の物体6を用いて隣り合った選手5、5’、5’’によってプレーされる。
【0054】
図2による実施形態では、x軸と平行に及び交点14を通る直線が選手5の隣に進むように標的フィールド7が選択される。その結果、選手5が標的フィールド7内に物体6をプレーした後、その後再び物体6に到達するためにその選手は移動しなければならない。或いは、x軸と平行に及び交点14を通る直線が選手5と交わることが考えられる。そのそれぞれがゲーム装置1でプレーするとき選手5にとっての異なる難易度を有する複数の所定の規則が計算ユニット15内に記憶されることが考えられる。従って例えば難易度が上がるとき、その位置から標的領域12までの距離が一層長くなるように選択され得る。
【0055】
図3による実施形態では、取得システム4が選手のうちの2人、即ち第1の選手5及び第2の選手5’の位置を求めるように構成される。加えて計算ユニット15は、第1の選手5の位置及び第2の選手5’の位置を使用して標的領域12を求めるように構成される。第1の選手5は表示面に物体6をプレーし、第2の選手5’は物体6に到達するものとする。今度は標的領域12が、第1の選手5から見て反対方向に面する第2の選手5’の横に配置されるように選択され得る。従って物体6に到達するために、第2の選手5’は第1の選手5から離れなければならない。或いは標的領域12が第2の選手5’の位置に配置されることが考えられる。従って、第2の選手5’は物体6をプレーすることに集中することができる。標的領域12が第1の選手5と第2の選手5’との間に配置されることも考えられる。従って物体6に到達するために、第2の選手5’は第1の選手5の方に移動しなければならない。所定の規則に従い、一連のゲームプレーの中で、第1の選手5から見て反対方向に面する第2の選手5’の横に配置される標的領域12、第2の選手5’の位置に配置される標的領域12、及び/又は第1の選手5と第2の選手5’との間に配置される標的領域12間の交代があることも考えられる。そのそれぞれがゲーム装置1でプレーするとき第2の選手5’にとっての異なる難易度を有する、複数の所定の規則が計算ユニット15内に記憶されることが考えられる。従って例えば難易度が上がるとき、第2の選手5’の位置からの標的領域12の距離が一層長くなるように選択され得る。
【0056】
図3による実施形態では、取得システム4が選手5、5’、5’’のうちの少なくとも2人の位置を求めるように構成される。加えて計算ユニット15は、それぞれの事例における位置を使用して選手5、5’、5’’それぞれのための標的領域12を決定するように構成される。選手5、5’、5’’それぞれの標的領域12は、標的領域12に属する選手5、5’、5’’とその選手の隣の選手5、5’、5’’との間に配置されるように決定することができ、又は選手5’’の隣の選手が1人、5’しかいない場合は隣の選手5’から見て反対方向に面する選手5’’の横に配置される。そのそれぞれがゲーム装置1でプレーするとき選手5、5’、5’’にとっての異なる難易度を有する、複数の所定の規則が計算ユニット15内に記憶されることが考えられる。従って例えば難易度が上がるとき、その位置から標的領域12までの距離が一層長くなるように選択され得る。
【0057】
取得システム4は、選手5の人数を求めるように構成され得る。所定の規則の別のもの又は別の1組の所定の規則が、それぞれの事例において選手5の人数ごとに計算ユニット15内に更に記憶され得る。例えば所定の規則又は所定の規則の組は、図2から図4に関して記載した所定の規則であり得る。
【0058】
取得システムは、ゲーム空間8の一部における選手5の視点の視点位置を求め、表示面2上に表示される画像の見え方を視点位置に合わせて調節するように構成され得る。そのために、取得システムは例えば選手5の両目の位置を求めるように、及び両目の位置の中心点として視点位置を求めるように構成され得る。同等に、例えば取得システムは頭部を検出するように、及び例えば頭部の中心点として又は表示面に向いている頭部の端に位置する面の中心点として視点位置を求めるように構成され得る。
【0059】
取得システム4は、物体6が選手5の手によってプレーされたのか選手5の足によってプレーされたのかを認識するように構成され得る。取得システム4は、選手5が手にラケットを持っているのかどうか、とりわけ物体6がラケットによってプレーされたかどうかを認識するようにも構成され得る。更に取得システム4は、物体6がゲーム装置1に属する1組の規則に従ってプレーされたかどうかを認識するように構成され得る。
【0060】
ゲーム装置1は、リバウンドスポーツ、とりわけスカッシュ、テニス、射撃スポーツ、とりわけアーチェリー、又はアメリカンフットボールをゲーム装置1でプレーできるように構成されると考えられる。
【符号の説明】
【0061】
1 ゲーム装置
2 表示面
3 センサシステム
4 取得システム
5 選手
6 物体
7 標的フィールド
8 ゲーム空間
9 標的点
10 軌道
11 衝突場所
12 標的領域
13 フロア
14 交点
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】