(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】使用済み吸収性衛生製品から高吸水性ポリマー(SAP)を分離および回収するための方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/70 20220101AFI20230220BHJP
B09B 3/35 20220101ALI20230220BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20230220BHJP
B09B 101/67 20220101ALN20230220BHJP
【FI】
B09B3/70 ZAB
B09B3/35
B09B5/00 Z
B09B101:67
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520954
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 IB2020061207
(87)【国際公開番号】W WO2021130575
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】102019000025570
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512292511
【氏名又は名称】ファター エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダレッシオ、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】カルソ、トニノ
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA06
4D004AA07
4D004AA12
4D004BA07
4D004BA09
4D004CA04
4D004CA22
4D004CA42
4D004CA46
4D004CC11
4D004DA03
4D004DA06
4D004DA07
4D004DA10
4D004DA20
(57)【要約】
使用済み吸収性衛生製品から高吸水性ポリマー(SAP)の画分を分離するための方法であって、上記使用済み吸収性衛生製品は更に、少なくとも1つのセルロース画分および1つのプラスチック画分を含む、方法。方法は、少なくとも、使用済み吸収性衛生製品を滅菌する段階と、少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液を有する槽に浸漬することによって上記使用済み吸収性衛生製品を処理する段階とを備える。酸化剤は好ましくは、過硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキシ一硫酸カリウムおよび過酸化水素から成る群から選択され、好ましくは過酸化水素である。浸漬による処理は、上記使用済み吸収性衛生製品に含まれる架橋切断およびSAPの可溶化を可能にし、i)固体画分およびii)液体画分を含む懸濁液を取得し、液体画分は、架橋切断およびSAPの可溶化に由来する直鎖ポリアクリレート(LPA)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み吸収性衛生製品から高吸水性ポリマー(SAP)の画分を分離するための方法であって、前記使用済み吸収性衛生製品は更に、少なくとも1つのセルロース画分および1つのプラスチック画分を含み、前記方法は少なくとも、
前記使用済み吸収性衛生製品を滅菌する段階(SR)と、
少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液を有する槽に浸漬することによって前記使用済み吸収性衛生製品を処理して、前記使用済み吸収性衛生製品に含まれる架橋を切断し、前記SAPを可溶化する段階と、
i)固体画分およびii)液体画分を含む懸濁液を取得する段階であって、前記液体画分は、前記架橋の切断および前記SAPの可溶化に由来する直鎖ポリアクリレート(LPA)を含む、段階と
を備える方法。
【請求項2】
前記滅菌する段階(SR)は、120℃~140℃の温度で、1バール~3.6バール(1000ヘクトパスカル~3600ヘクトパスカル)に含まれる圧力で、前記使用済み吸収性衛生製品を加熱することによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの酸化剤は、過硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキシ一硫酸カリウム、過酸化水素から成る群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法はまた、前記滅菌された使用済み吸収性衛生製品を破砕して(SH)、10cm未満、好ましくは3cm未満、より好ましくは1cm未満の粒子サイズを有する滅菌および破砕された吸収性衛生製品を取得する段階を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法はまた、前記破砕された使用済み吸収性衛生製品を乾燥させ(DR)、破砕および乾燥された使用済み吸収性衛生製品を取得する段階を備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法はまた、前記破砕および乾燥された使用済み吸収性衛生製品から前記プラスチック画分および/または前記セルロース画分を分離する段階(SEP)を備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記架橋を切断し前記SAPを可溶化するための前記段階は、前記滅菌する段階(SR)の後に、前記滅菌された使用済み吸収性衛生製品を、前記水溶液を有する槽に浸漬して前記懸濁液を取得することによって実行され、前記固体画分は前記セルロース画分および前記プラスチック画分を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記架橋を切断し前記SAPを可溶化するための前記段階は、前記破砕する段階(SH)の後に、前記滅菌および破砕された使用済み吸収性衛生製品を、前記水溶液を有する槽に浸漬して前記懸濁液を取得することによって実行され、前記固体画分は前記セルロース画分および前記プラスチック画分を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項9】
前記架橋を切断し前記SAPを可溶化するための前記段階は、前記破砕および乾燥された使用済み吸収性衛生製品から分離された前記プラスチック画分および/または前記セルロース画分を、それぞれの、好ましくは別個の前記水溶液の槽に浸漬することによって実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの酸化剤を含む前記水溶液の体積と、前記滅菌された、任意で破砕された使用済み吸収性衛生製品の重量との比は、3l/kg~12l/kg、好ましくは5l/kg~8l/kgに含まれる、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの酸化剤を含む前記水溶液の体積と、前記セルロース画分または前記プラスチック画分の重量との比は、10l/kg~30l/kg、好ましくは12l/kg~22l/kgに含まれる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記滅菌された、任意で破砕された使用済み吸収性衛生製品を浸漬によって処理する前記段階は、10%~50%(重量/重量)に含まれる、好ましくは15%(重量/重量)に等しい量の、少なくとも1つの酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む水溶液を有する槽において実行される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項13】
前記セルロース画分を処理する前記段階は、10%~50%(重量/重量)に含まれる、好ましくは15%(重量/重量)に等しい量の少なくとも1つの酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む水溶液を有する槽に浸漬することによって実行され、および/または、
前記プラスチック画分を処理する前記段階は、5%~50%(重量/重量)に含まれる、好ましくは10%(重量/重量)に等しい量の少なくとも1つの酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む水溶液を有する槽に浸漬することによって実行される、
請求項9に記載の方法。
【請求項14】
浸漬によって処理する前記段階は、65℃~100℃に含まれる温度で実行される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
浸漬によって処理される前記段階の間に、
前記滅菌された、任意で破砕された使用済み吸収性衛生製品、ならびに、
前記破砕および乾燥された使用済み吸収性衛生製品から分離され、それぞれの、好ましくは別個の前記水溶液の槽に浸漬された前記セルロース画分および/またはプラスチック画分
は、5N/cm
2~20N/cm
2の圧力を加えられて圧縮力に晒される、
請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法はまた、前記懸濁液に含まれる前記液体画分から前記固体画分を分離する段階を備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法はまた、直鎖ポリアクリレート(LPA)を含む前記液体画分を精製する段階を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
使用済み吸収性衛生製品から分離されるセルロースであって、1%(重量/重量)未満のSAP含有量を有するセルロース。
【請求項19】
使用済み吸収性衛生製品から分離されるプラスチックであって、1%(重量/重量)未満のSAP含有量を有するプラスチック。
【請求項20】
請求項1から17のいずれか一項に記載の方法によって取得可能な使用済み吸収性衛生製品から分離される直鎖ポリアクリレート(LPA)。
【請求項21】
前記方法は、使用済み吸収性衛生製品から分離される直鎖ポリアクリレート(LPA)を取得することを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、使用済み吸収性衛生製品のリサイクルに関する。特に、本明細書は、使用済み吸収性衛生製品を連続的な再利用のために様々な成分に分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性衛生製品は一般に、例えば、プラスチックフィルム、セルロース軟毛、および高吸収性ポリマー(SAP)を含む異なる材料から構成される。従って、これらの衛生製品は、市場における再利用のための回収が明らかに望ましい目標である、価値のある材料を含む。
【0003】
様々な成分を分離するために吸収性衛生製品を処理するための、現在知られている方法は、例えば、振動による機械的分離、塩化カルシウム(CaCl2)を用いて不活性化されたSAPの機械的分離と組み合わせたセルロースに対する酵素作用、または、超臨界相における抽出によって、セルロース画分が高吸水性ポリマー(SAP)から分離される段階を含み得る。また、酵素作用および物理的分離の組み合わせを用いて、(カルシウムまたはAlイオンまたは同様のものを用いて以前に不活性化された)プラスチック画分をSAPから分離するための既知の方法もある。
【0004】
使用済み吸収性衛生製品を処理するための既知の方法に関する問題は、他の成分、例えばセルロース画分およびプラスチック画分から高吸水性ポリマー(SAP)を効果的に分離することが困難であることに由来し得る。これらの使用済み製品から回収されたセルロースおよびプラスチックは、実際、分離された成分の純度の程度に影響できる様々な量のSAP残留物を含み得る。
本発明の目的
【0005】
本明細書の目的は、市場における便利な再利用またはリサイクルのための製品の品質を維持しながら、プラスチックおよびセルロース画分の高吸水性ポリマー(SAP)の効果的な分離を達成することを可能にする、使用済み吸収性衛生製品を処理するための方法を提供することである。
【0006】
本明細書によれば、この目的は、添付の特許請求の範囲の主題を形成する特性を有する方法により達成される。特許請求の範囲は、説明される方法に関して、本明細書で提供される開示の不可欠な部分を形成する。
【0007】
本明細書は、高吸水性ポリマー(SAP)の画分を使用済み吸収性衛生製品から分離するための方法を提供し、上記使用済み吸収性衛生製品は更に、少なくとも1つのセルロース画分および1つのプラスチック画分を含み、上記方法は少なくとも、上記使用済み吸収性衛生製品を滅菌して滅菌済み材料を取得する段階と、好ましくは過硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキシ一硫酸カリウム、および過酸化水素から成る群から選択される、好ましくは過酸化水素である少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液を有する槽に浸漬させることによって上記使用済み吸収性衛生製品を処理して、架橋を切断し、上記使用済み吸収性衛生製品に含まれるSAPを可溶化する段階と、i)固体画分およびii)液体画分を含む懸濁液を取得する段階であって、上記液体画分は、架橋切断およびSAPの可溶化に由来する非架橋直鎖ポリアクリレート(LPA)を含む、段階とを備える。
【0008】
滅菌段階は、120℃~140℃の温度、1バール~3.6バール(1000~3600ヘクトパスカル)の圧力で使用済み吸収性衛生製品を加熱することによって実行される。好ましくは、滅菌段階はオートクレーブにおいて実行され得る。
【0009】
1または複数の実施形態において、水溶液は、酸化剤として過酸化水素のみを含み得る。さらに、浸漬による処理の段階は、有利なことに、65℃から100℃の温度で実行され得る。
【0010】
ここで説明される方法は更に、固相を液相から分離するための段階を備え得る。
【0011】
1または複数の実施形態において、方法は更に、少なくとも1つの固相洗浄段階を備え得、上記洗浄段階は好ましくは、水で実行される。
【0012】
1または複数の実施形態において、方法は、好ましくはディスクフィルタ上でのろ過を用いることによって、直鎖ポリアクリレート(LPA)を含む液体画分を任意のセルロースまたはプラスチック残渣から精製する少なくとも1つの段階を備え得る。
【0013】
任意で精製される液相は、下で例として説明される、直鎖ポリアクリレート(LPA)の架橋法、および、例えば、新しいSAPの後の生産に使用され得る。
【0014】
少なくとも1つの洗浄段階に晒される可能性がある、説明された方法から取得される固体画分は、SAP含有量が1重量パーセント(重量/重量)未満である、高い程度の純度のセルロースおよびプラスチックを含み得る。方法から取得されたセルロースの純度および同一性(identity)は、セルロースの分析のためのATR減衰全反射、American Journal of Analytical Chemistry, 2018, Vol. 9、303‐310ページと組み合わされたフーリエ変換赤外分光法(FTIR)における分析によって決定および確認された。方法から取得されたプラスチックの純度および同一性は、UNI EN ISO6427/2013およびISO16152/2005の方法と組み合わされたフーリエ変換赤外分光法(FTIR)における分析によって決定および確認されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
ここで、単に非限定的な例として提供される添付の図面を参照して、方法を詳細に説明する。
【
図1】使用済み吸収性衛生製品を処理するための既知の方法のダイアグラムを表す。
【
図2】例えば
図1において図式化された方法に使用可能な装置の平面図である。
【
図3】本明細書の実施形態による方法のダイアグラムを表す。SAPの架橋切断および可溶化のための段階は、滅菌された使用済み吸収性衛生製品の浸漬によって実行される。
【
図4】本明細書の実施形態による方法のダイアグラムを表す。SAPの架橋切断および可溶化の段階は、破砕され滅菌された使用済み吸収性衛生製品の浸漬によって実行される。
【
図5】本明細書の実施形態による方法のダイアグラムを表す。SAPの架橋切断および可溶化の段階は、分離されたセルロースおよびプラスチック画分の浸漬によって実行される。
【
図6】(上で)説明された方法に由来する液体画分において取得されたLPAと、データベース(下、Spectra DataBase: Spectrum ID 8XQMEFCFImm, Copyright(登録商標) 1980, 1981-2018 Bio-Rad Laboratories, Inc.)からのLPAとのIRスペクトルの比較を示す。
【
図7】Bruker Avance 300MHz分光光度計を用いて重水において実行される、説明された方法に由来する液体画分のサンプルに対して行われた
13C-NMRスペクトルを示す。酸素および/または窒素などのアルファヘテロ原子を保持するクロスリンカ(‐OCH
2、‐NHCH
2NH‐など)のC炭素‐CH
2‐に典型的な約84ppmにおける信号は存在せず、カルボニル基C=Oに結合する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明では、実施形態の全体的な理解を可能にするために、多くの具体的な詳細が提供される。本実施形態は、具体的な詳細の1または複数を用いることなく、または、他の方法、成分、材料などを用いて実現され得る。他の場合には、周知の構造、材料または動作は、本実施形態の態様を混同させないために、詳細には示されていない、または、説明されていない。
【0017】
本開示の全体を通じた「一実施形態」または「実施形態」への参照は、本実施形態を参照して説明される特定の態様、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。このように、本明細書全体を通じた様々なポイントにおいて、「一実施形態において」または「実施形態において」という表現の形式は、必ずしも同一の実施形態のすべてを指しているわけではない。さらに、1または複数の実施形態において、任意の使いやすい方法で、特定の態様、構造または特性が組み合わせられ得る。本説明において提供される見出しは、利便性のみのためであり、本実施形態の範囲または目的を解釈するものではない。
【0018】
「吸収性衛生製品」という表現は、一般的に、例えば、ベビー用おむつ、大人用失禁パッド、生理用ナプキン、ベッドの裏地などの使い捨て可能な吸収性製品を指す。これらの吸収性製品は、プラスチック、高吸水性ポリマー、セルロースを含み得る。または、更にはプラスチックおよび高吸水性ポリマーのみを含み得る。
【0019】
前のセクションにおいて予期されるように、例えばセルロース、プラスチック、および高吸水性ポリマー(SAP)などの様々な成分の分離を得るために使用済み吸収性衛生製品を処理するための方法が現在知られている。
【0020】
現在知られている、使用済み吸収性衛生製品の様々な成分を処理および分離するための方法は、例えば本願の
図1において示され同一の出願人によって文書WO2018/060827において説明される段階を含み得る。この方法は、使用済み吸収性衛生製品を滅菌する段階SRと、滅菌された製品を破砕する段階SHと、滅菌および破砕された製品を乾燥する段階DRと、滅菌、破砕、および乾燥された製品をプラスチックおよびセルロースに分離する段階SEPとを含み得る。
【0021】
使用済み吸収性衛生製品を処理するための方法に関する問題は、高吸水性ポリマー(SAP)を他の成分、例えば、セルロース画分およびプラスチック画分から効果的に分離することが困難であることに由来し得る。
【0022】
使用済み衛生製品から回収されたセルロースおよびプラスチックは、実際、下で説明されるように、様々な量のSAP残留物を含み得る。
【0023】
高吸水性ポリマーは通常、材料の基本構造(主鎖)、すなわち、ナトリウム直鎖ポリアクリレート(LPA)(スペクトルデータベース:スペクトルID 8XQMEFCFImm、Copyright(登録商標) 1980、1981-2018 Bio-Rad Laboratories, Inc.)の元となる1または複数のモノマー(アクリル酸、アクリル酸もしくはメタクリル酸ナトリウムもしくはカリウム、および/またはアクリルアミド)の共重合によって調製される。
【0024】
二官能性架橋剤(クロスリンカ)(例えば、N,N‐メチレンビスアクリルアミド(MBA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、フタル酸ジアリル(DP)、または、トリエチレングリコールジメタクリレート.(TEGDMA))の使用は、使用される架橋剤の量に依存する程度の直鎖ポリアクリレート(LPA)の架橋を生じさせる。この結果、負電荷のカルボキシレート基(‐COO-)を有するポリマーネットワークが形成される。静電反発力に起因して、ネットワークは局地的に拡大し得、ある体積の水または水溶液を吸収(および保持)できる空間をその中に提供する。また、架橋により、SAPポリマーは水性環境において不溶性になる。
【0025】
本願の発明者は、酸化剤を含む水溶液を有する槽に浸漬することによって使用済み吸収性衛生製品を処理する段階を備える方法の特定の動作条件を同定した。少なくとも1つの酸化剤は、好ましくは、過硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキシ一硫酸カリウム、および過酸化水素から成る群から選択され、好ましくは過酸化水素である。水溶液はまた、酸化剤として過酸化水素のみを含み得る。
【0026】
この段階により、i)セルロースおよびプラスチック画分の少なくとも1つを含む固体画分、および、ii)SAPの架橋切断および可溶化に由来する非架橋直鎖ポリアクリレート(LPA)を含む液体画分を含む懸濁液が取得されることが可能となる。特に、液体画分は、ナトリウムまたはカリウム非架橋直鎖ポリアクリレート(LPA)の形態である非架橋直鎖ポリアクリレートを含む。
【0027】
浸漬による処理段階では、プラスチックおよびセルロースを含む固体画分からのSAPの効果的な架橋切断、可溶化、および分離が好ましい。
【0028】
特に、少なくとも1つの酸化剤を含む溶液に浸漬する処理段階は、SAPを構成するポリマー間に存在する架橋の破壊を決定し、液体画分に通過する基本構造または直鎖ポリアクリレート(LPA)(線形形状のアクリレートポリマーとしても定義される)を解放する。
【0029】
ここで説明される方法はまた、i)水を吸収することによって膨張するSAPの能力を完全に阻害するまで低減すること、および、ii)直鎖ポリアクリレート(LPA)としてのSAPの完全可溶化を取得することを可能にする。
【0030】
この直鎖ポリアクリレート(LPA)は次に、有利なことに、例えば新しいSAPを生成するための架橋段階に晒され得る。
【0031】
以下の説明から明らかなように、SAPの架橋切断および可溶化の段階は、滅菌された使用済み吸収性衛生製品の直接浸漬処理によって実行され得る(
図3)。この段階が滅菌されまた破砕された製品の浸漬によって実行されるとき(
図4)、または、この段階が分離済みプラスチックおよびセルロース画分の浸漬によって直接実行されるとき(
図5)も、満足できる結果が得られる。
【0032】
処理される吸収性衛生製品の浸漬による処理は、この溶液の5%から50%(重量/重量)に含まれる量の少なくとも1つの酸化剤、好ましくは、過酸化水素を含む水溶液を有する槽において実行され得る。
【0033】
浸漬による処理の段階は、有利なことに、65℃から100℃の温度で実行され得る。
【0034】
さらに、槽に浸漬される製品は、下で説明されるように、5N/cm2~20N/cm2の範囲の圧力によって加えられる圧縮力に晒され得る。
【0035】
方法は、例えば有機酸または無機酸で材料を処理することによって、SAPを不活性化するように構成される段階を備えないという利点を有する。
【0036】
方法は、使用済み材料、すなわち、セルロース、プラスチック、直鎖ポリアクリレート(LPA)から回収された製品を取得することを可能にする。ここで、便利な再利用のために品質は維持される。
【0037】
1または複数の実施形態において、方法は、例えば
図1に概略的に示される段階、またはむしろ、例えば、同一の出願人による、下で報告される文書WO2018/060827において記載されるような、使用済み吸収性衛生製品の滅菌段階SR、滅菌された製品の破砕段階SH、滅菌および破砕された製品の乾燥段階DR、プラスチックおよびセルロース製品の分離段階SEPの1または複数を備え得る。特に、方法は、貯蔵容器内のリサイクル収集から来る使用済み吸収性衛生製品の収集段階STを備え得る。
図2は、貯蔵容器が参照番号12で示される装置10を示す。廃棄物収集車両が使用済み吸収性衛生製品を荷下ろしエリア14内に下ろし、コンベア16が使用済み吸収性衛生製品を貯蔵容器12に積み込む。収集された使用済み吸収性衛生製品は、150~300kg/m
3オーダの密度、および、65~80%オーダの含水率を有し得る。
【0038】
中に含まれる水のパーセンテージとして理解される、材料の合計含水率は、サンプルの乾燥重量から計算される(IRSA-CNR1984-notebook 64およびUNI936 UNICHIM10506/1996方法による)。
【0039】
収集段階STの後に、例えば、製品を回転オートクレーブ18に積み込むことによって実行される滅菌段階SRが続く。
図2に示される例において、装置10は、2つのオートクレーブ18を備え、貯蔵容器12から来る使用済み吸収性衛生製品がそれらに交互に積み込まれる。コンベア28は、貯蔵容器12から製品を取り出し、オートクレーブ18へ搬送する。2つのローダ30は、製品をそれぞれのオートクレーブ18内に積み込む。製品の積み込み中、オートクレーブのドア20は開かれ、円筒形ボディが回転して製品を後ろへ徐々に移動させる。積み込みが終了すると、ドア20が閉じられ、オートクレーブ18は、約135℃の温度、及び、約3.1バール(3100ヘクトパスカル)の内部圧力に達するまで、蒸気を直接的に、または、間接的に供給することにより、加熱及び加圧される。1または複数の実施形態において、滅菌段階STは、120℃~140℃の温度、1~3.6バール(1000~3600ヘクトパスカル)の圧力で使用済み吸収性衛生製品を加熱することによって実行され得る。滅菌処理中、代替的にオートクレーブは、中に含まれる製品の移動を可能にするために、軸の周りに時計回りおよび反時計回り方向に回転し得る。
【0040】
滅菌段階STは、細菌量の完全な滅菌を得ることが可能な温度まで製品を加熱することを目的とする。滅菌段階は、20分~2時間の期間実行され得る。滅菌処理の最後に、オートクレーブ18内に含まれる蒸気がスクラバ34において抽出され精製される。その後、ドア20が開かれ、製品を排出するためにボディが回転される。
図2の例において、交互に動作する2つのオートクレーブ18が提供される。第1オートクレーブ18は滅菌処理を実行し、一方で他のオートクレーブ18は、滅菌された材料を下ろし新しいバッチを積み込む動作を実行する。このようにして、オートクレーブ18の下流において、滅菌された材料の本質的に連続する流れを得ることが可能である。
【0041】
滅菌処理の最後に、オートクレーブから出た滅菌された材料は貯蔵容器32に収集される。オートクレーブから出る滅菌された材料は、約300~400kg/m3の密度、80~100℃の温度、および(IRSA-CNR1984-notebook64およびUNI936 UNICHIM10506/1996方法に従って)サンプルの乾燥重量から計算された70~85%オーダの合計含水率を有し得る。
【0042】
滅菌された材料は、コンベアベルト38によって、貯蔵容器32からシュレッダ36へ送られる。シュレッダは例えば、モータによって駆動される2つのロータを含み得る。ロータには、材料の破砕を実行する歯が設けられる。破砕により、10cm未満、好ましくは3cm未満、より好ましくは1cm未満の粒子サイズを有する材料を取得することが可能となる。
【0043】
破砕SHの後に、材料は、400~500kg/m3のオーダの密度、約75~95℃の温度、および(IRSA-CNR1984-notebook 64およびUNI936 UNICHIM10506/1996の方法に従って)サンプルの乾燥重量から計算された70~85%のオーダの合計含水率を有し得る。
【0044】
滅菌および破砕段階に晒された材料は、コンベア44によって乾燥器42へ送られ、そこで乾燥段階DRが実行される。乾燥器42は、反対方向に交互に駆動されて互いに鉛直方向に重複する、穴の開いた水平のコンベアが収容されるケーシングを含む。コンベア44は、上側コンベア上に材料を下ろす。各水平コンベアの排出口において、材料が下部のコンベアに落ちる。材料が水平に搬送され、一方のコンベアから下部のものへと連続的に通過する一方、加熱された空気の流れは、ケーシングを底部から上方へと通過する。空気の流れは、穴の開いたコンベア及びそれらに配置される材料を通過する。空気の流れは、フィルタに接続されたファン50によって生成される。空気流は、蒸気が供給される熱交換器54のバッテリにおいて加熱される。熱交換器42から出る空気流は、第2ファンによって吸引され、凝結排出デバイス58、スクラバへ送信される。乾燥器42の排出口において、材料はコンベアベルト62上に下ろされる。乾燥器42は、材料の加熱を加速して乾燥効果を増加させるために、上側コンベアに面するマイクロ波発生器を備え得る。乾燥器の入口における材料は、約70~90℃の温度を有する。乾燥器42内の乾燥空気温度は約140℃である。
【0045】
乾燥器42から出た製品は、約50~70℃の温度、約35~50kg/m3の密度、および、(IRSA-CNR1984-notebook64およびUNI936UNICHIM 10506/1996の方法に従って)サンプルの乾燥重量から計算された5~20%のオーダの合計含水率を有する。
【0046】
乾燥段階DRの下流において、滅菌され、破砕され、乾燥された材料は、プラスチックおよびセルロースを分離する段階が実行される分離アセンブリ64へ送信される。
【0047】
分離段階は、少なくとも1つの遠心分離機において実行され得る。分離アセンブリ64は例えば、基部を含み、かつ、分離される材料のための入口を有する少なくとも1つの第1遠心分離機を含み得る。
図2に示される例では、2つの遠心分離機66、67がカスケード状に提供される。
【0048】
遠心分離機66は、水平軸を中心に回転可能なロータが搭載される穴の開いた円筒形のフィルタが収容される分離チャンバを含み得る。入口材料は、穴の開いたフィルタに対して外側へ放射状に突出している。セルロースは、プラスチックよりも小さい寸法を有し、フィルタを通過し、第1の排出口において収集され、一方、プラスチックは、フィルタに対して内側に残り、第2の排出口で収集される。好ましくは、第1遠心分離機66を出るプラスチックは、より小さい穴を有するフィルタを有する第2遠心分離機67へ送られる。遠心分離機66の排出口において、セルロース流80は、セルロースシュレッダおよびセルロースペレタイザ82へ送られる可能性があり得る。分離機66を出たプラスチックは、プラスチックシュレッダ84へ、その後、押出し成形機または高密度化機86へ送られ得る。
【0049】
上に説明される段階を備える方法は、55%~90%の純度のセルロース、および、80%~97%の純度のプラスチックを取得することを可能にし得る。
【0050】
これらの値は、セルロースの分析のためのATR減衰全反射、American Journal of Analytical Chemistry, 2018, Vol. 9,303-310ページと組み合わされたフーリエ変換赤外分光法(FTIR)、および、プラスチックの純度を決定するためのUNI EN ISO6427/2013およびISO16152/2005の方法と組み合わされたFTIRにおける分析によって決定された。
【0051】
特に、分離されたセルロースは、FTIR赤外分光法分析を用いて実行される評価に従って、5%~15%に含まれる重量比で、平均で11%のオーダで、ある量の残留SAPを含み得る。
【0052】
回収されたプラスチック画分は、微量のセルロースに加えて、FTIR赤外分光法分析を用いて行われた評価に従って、3%~9%の重量比、平均で5%オーダの重量比の残留SAP量を含み得る。
【0053】
SAPの架橋切断、可溶化、除去および再利用のための段階を含む本明細書の方法の主題は、著しく高い程度の純度でプラスチックおよびセルロースを取得することを可能にする。
【0054】
図3に概略的に示されるように、SAPを架橋切断して可溶化するための段階は、滅菌段階の後に、少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液を有する槽に滅菌された衛生製品を浸漬することによって実行され得る。この段階は、少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液が浸された、熱的に絶縁された(断熱)円筒形リアクタ内で実行され得る。
【0055】
水溶液は、10%から50%(重量/重量)の間に含まれる、好ましくは15%(重量/重量)に等しい量の少なくとも1つの酸化剤、好ましくは過酸化水素を含み得る。
【0056】
1または複数の実施形態において、水溶液は、上記浸漬処理された滅菌済み衛生製品の乾燥重量に対して重量比で150%から340%の間に含まれる量の少なくとも1つの酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む。
【0057】
さらに、少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液の体積と、上記組成物で処理される予定の滅菌された使用済み吸収性衛生製品の重量との間の比は、3~12l/kg(リットル/kg)(すなわち3:1~12:1)、好ましくは5~8l/kg(すなわち5:1~8:1)であり得る。回転オートクレーブ18から出た湿った高温の材料の浸漬段階が室温で槽において実行されるとき、有利な結果が観察された。浸漬された材料は、80℃~100℃の温度、70~85%のオーダの合計含水率、および、3cm~80cmのサイズを有し得る。
【0058】
さらに、留まった固体成分からのSAPの最適な分離結果は、分あたり0~120回転(rpm)、好ましくは60rpmの調整可能な速度で、固定されたブレードを有する機械的撹拌ロッドによって、処理された製品が常に動く状態に維持されているときに得られる。
【0059】
さらに、発明者は、槽に配置された滅菌された使用済み衛生製品が、例えば、液圧ポンプによって動作して圧力を加える好ましくは直径1cmの穴を有するディスクヘッドピストンによって加えられる圧縮力に晒される場合に、更に有利な結果が取得され得ることを観察した。加えられる圧力は、5~25N/cm2であり得る。
【0060】
一般に、浸漬によって処理された材料に加えられる圧縮は、材料の塊のすべてを浸透したままにして、液体画分が固体画分から分離することを回避する。実際、適切な逆圧が存在しないとき、固体画分は、反応性の酸化剤を含む水溶液から分離する傾向がある。好ましくは上記の範囲に含まれる、加えられる圧力は一定に維持されるか、または可変であり得る。例えば、浸漬による処理段階の最後に増加して、液体画分を固体画分から分離する後の段階を容易にし得る。
【0061】
説明された動作条件を採用することによって、槽における浸漬段階は、90分未満、好ましくは55分~80分の期間にわたって実行され得る。
【0062】
滅菌された製品の破砕段階の前に、滅菌された製品に対して直接的にSAPの浸漬および可溶化段階を行う利点は、前に説明されたように、オートクレーブから出る製品は、70~85%のオーダの合計含水率および80℃~100℃の温度を有するという事実にある。これらの特性は以下を可能にする。
1.材料に存在する水の既に高い寄与を考慮すると、少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液を構成するために追加される水の体積が低減される。
2.SAPが可溶性LPAとして抽出されているので、後の破砕、乾燥および機械的分離段階における細粒の形態のSAPの損失が最小化される。
3.SAPが可溶性LPAとして抽出されているので、セルロースおよびプラスチック混入が最小化される。
4.ポイント1の結果として、後の乾燥段階DRの熱維持回数が低減する。
5.ポイント3の結果として、高純度セルロースおよびプラスチック画分が取得される。
6.材料自体が、溶液と熱を交換して、それに従って活性化するので、酸化剤を有する溶液の作用時間全体にわたってリアクタを加熱しない。
【0063】
浸漬処理によって、i)セルロースおよびプラスチックを含む混合固体画分、ならびに、ii)可溶化されたSAP、特に非架橋直鎖ポリアクリレート(LPA)を含む液体画分を備える懸濁液を取得することが可能となる。
【0064】
固体画分は、例えば材料の更なる圧縮によって、液体画分から分離され得る。液圧ピストンによって圧力を加えることによって、溶液は、穴の開いたピストンのヘッドの上に上昇することが可能となる。圧力は、10~25N/cm2の間であり得る。流出弁は、廃棄溶液(液体画分)の収集を可能にする。液体画分は、例えばディスクフィルタ上のろ過による精製段階に晒され得る。
【0065】
SAPから精製されたプラスチックおよびセルロース画分を含む固体画分は次に、説明されたように、破砕SH、乾燥DR、および分離SEPに晒され得る。更なるSAP残留物を回収するために、材料をシュレッダへ搬送する前に、セルロースおよびプラスチックを含む固体画分は、同一の断熱性リアクタにおいて、好ましくは水を用いた少なくとも1つの洗浄段階に晒される可能性があり得る。流出弁によって収集された溶液はプールされ得る。
【0066】
前のセクションで説明されたように行われる、破砕段階SHの下流において、固体画分は、好ましくは乾燥器内で乾燥され得る。乾燥空気温度は100℃~140℃である。乾燥段階の下流において、前のセクションにおいて説明されたように、好ましくは少なくとも1つの遠心分離機を用いるプラスチックからのセルロースの分離段階SEPが続き得る。
【0067】
このように取得されたセルロースおよびプラスチックは、99%以上の純度を有する。説明された方法によって取得された固体画分の純度および同一性は、セルロースの分析のためのATR減衰全反射、American Journal of Analytical Chemistry, 2018, Vol. 9, 303‐310ページと組み合わされたフーリエ変換赤外分光法(FTIR)、および、プラスチックの分析のためのUNI EN ISO6427/2013およびISO16152/2005の方法と組み合わされたFTIRにおける分析によって決定および確認された。
【0068】
図4は、前のセクションにおいて説明されたように、滅菌SR、破砕SH、乾燥DR、および分離SEPの段階を含む方法を示す。
図4はまた、SAPを可溶化する段階が破砕段階SHの下流で、すなわち、滅菌および破砕された使用済み吸収性衛生製品に対して実行されることを示す。特に、処理された材料は、1cm~10cmの粒子サイズ、約75℃~95℃の温度、および、70%~85%の合計含水率を有する。
【0069】
滅菌および破砕された製品は、好ましくは断熱性円筒形リアクタ内において、酸化剤を含む水溶液を有する槽に浸漬される。
【0070】
水溶液は、10%~50%(重量/重量)に含まれる、好ましくは15%(重量/重量)に等しい量である少なくとも1つの酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む。
【0071】
1または複数の実施形態において、水溶液は、上記浸漬処理および破砕された滅菌済み衛生製品の乾燥重量に対して重量比で150%から340%の間に含まれる量の少なくとも1つの酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む。
【0072】
さらに、少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液の体積と、上記組成物で処理される予定の滅菌および破砕された使用済み吸収性衛生製品の重量との間の比は、3~12l/kg(すなわち3:1~12:1)、好ましくは5~8l/kg(すなわち5:1~8:1)であり得る。
【0073】
コンベア44によって搬送される湿った高温の材料の浸漬段階が室温で槽において実行されたとき、有利な結果が観察された。浸漬された材料は、75℃~95℃の温度、70~85%のオーダの合計含水率を有し得る。
【0074】
残った固体成分からのSAPの最適な分離結果は、この場合も、分あたり0~60回転(rpm)、好ましくは30rpmの調整可能な速度で、固定ブレードを有する機械的撹拌ロッドによって材料が常に動いた状態で維持されるときに得られる。
【0075】
さらに、発明者は、槽に配置された滅菌された使用済み衛生製品が、例えば、液圧ポンプによって動作して圧力を加える直径1cmの穴を有するディスクヘッドピストンによって加えられる圧縮力に晒される場合に、更に有利な結果が取得され得ることを観察した。加えられる圧力は、5~20N/cm2であり得る。
【0076】
一般に、浸漬によって処理された材料に加えられる圧縮は、材料の塊のすべてを浸透したままにして、液体画分が固体画分から分離することを回避する。実際、適切な逆圧が存在しないとき、固体画分は、酸化剤を含む水溶液から分離する傾向がある。
【0077】
説明される動作条件を採用することにより、槽における浸漬段階は、60分より長くない、30分~45分の期間実行され得る。
【0078】
さらに、
図3に関連して観察されたものと同様に、浸漬に配置され圧縮力に晒された、滅菌および破砕された製品に対して、SAPの浸漬および可溶化段階が直接進行するとき、有利な結果が観察された。
【0079】
当該利点は、前に説明されたように、コンベア44によって搬送された破砕された製品が、約75~95%の温度、および、(IRSA-CNR1984-notebook64およびUNI936UNICHIM10506/1996の方法に従って)サンプルの乾燥重量から計算された70~85%オーダの合計含水率を有するという事実に由来する。これらの特性は以下を可能にする。
1.材料に存在する水の既に高い寄与を考慮すると、少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液を構成するために追加される水の体積が低減される。
2.SAPが可溶性LPAとして抽出されているので、後の乾燥および機械的分離段階における細粒の形態のSAPの損失が最小化される。
3.SAPが可溶性LPAとして抽出されているので、セルロースおよびプラスチック混入が最小化される。
4.ポイント1の結果として、後の乾燥段階DRの熱維持回数が低減する。
5.ポイント3の結果として、高純度セルロースおよびプラスチック画分が取得される。
6.材料自体が溶液と熱を交換して、それに従って活性化するので、水溶液の作用時間全体にわたってリアクタが加熱されない。
【0080】
説明されたように実行されるSAPを可溶化する処理は、i)SAPから精製されたプラスチックおよびセルロースを含む混合された固体画分、および、ii)可溶化されたSAPを含む液体画分を含む懸濁液を形成することを伴う。
【0081】
混合された固体画分は、材料の更なる圧縮によって液体画分から分離され得る。例えば液圧ピストンによって圧力を加えることにより、溶液は、穴の開いたピストンのヘッドの上に上昇することが可能となる。圧力は10~25N/cm2であり得る。流出弁は、廃棄溶液(液体画分)の収集を可能にする。
【0082】
液体画分は、例えば、ディスクフィルタ上のろ過による精製段階に晒され得る。
【0083】
液相から分離された固体画分は、前のセクションにおいて説明されたように、好ましくは少なくとも1つの遠心分離機を用いて実行される、後の乾燥DRおよび分離SEP段階に晒され得る。更なるSAP残留物を回収するために、材料を乾燥器へ搬送する前に、セルロースおよびプラスチックを含む混合された固体画分は、同一の断熱性リアクタにおいて、好ましくは水を用いた少なくとも1つの洗浄段階に晒される可能性があり得る。流出弁によって収集された画分はプールされ得る。
【0084】
前のセクションにおいて説明されたように実行される乾燥段階の下流において、前のセクションにおいて説明されたように、好ましくは少なくとも1つの遠心分離機を用いて、セルロースをプラスチックから分離する段階が続き得る。
【0085】
このように取得されたセルロースおよびプラスチックは、99%以上の純度を有する。説明された方法によって取得された固体画分の純度および同一性は、セルロースの分析のためのATR減衰全反射、American Journal of Analytical Chemistry, 2018, Vol. 9, 303‐310ページと組み合わされたフーリエ変換赤外分光法(FTIR)、および、プラスチックの分析のためのUNI EN ISO6427/2013およびISO16152/2005の方法と組み合わされたFTIRにおける分析によって決定および確認された。
【0086】
図5に示されるように、SAPの架橋切断および可溶化のための段階は、プラスチック画分からのセルロース画分の分離段階SEPの下流で実行され得る。
【0087】
この場合、方法は、使用済み吸収性衛生製品を滅菌する段階SR、滅菌された材料を乾燥する段階DR、場合によっては滅菌された材料を破砕する段階SH、滅菌および乾燥された材料からセルロース画分およびプラスチック画分を分離する段階SEP、好ましくは過硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキシ一硫酸カリウムおよび過酸化水素から成る群から選択された少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液を有する槽に浸漬することによってセルロース画分および/またはプラスチック画分を処理して架橋を切断し、上記セルロース画分および上記プラスチック画分に含まれるSAPを可溶化する段階、ならびに、i)セルロース画分および/またはプラスチック画分を含む固相およびii)直鎖ポリアクリレート(LPA)を含む液体画分を含む懸濁液を取得する段階を備える。
【0088】
特に、室温で分離されるセルロース画分および/またはプラスチック画分はそれぞれの好ましくは別個のリアクタ内、好ましくは少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液を有する槽における加熱可能な断熱性円筒形リアクタ内において各々浸漬される。
【0089】
少なくとも1つの酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む水溶液の体積と、上記の組成物を用いて処理予定の各セルロースおよびプラスチック画分の重量との間の比は、10~30l/kg(すなわち10:1~30:1)、好ましくは17~25l/kg(すなわち17:1~25:1)である。
【0090】
セルロース画分の浸漬によって処理する場合、上記の比は好ましくは10~30l/kg、好ましくは14~25l/kgである。プラスチック画分の浸漬による処理の場合、比は好ましくは10~25l/kg、より好ましくは12~22l/kgである。
【0091】
1または複数の実施形態において、水溶液は、上記セルロース画分または上記浸漬処理されたプラスチック画分の乾燥重量に対して、重量比で150%~300%の範囲の量の過酸化水素を含む。
【0092】
1または複数の実施形態において、浸漬によって上記セルロース画分を処理することは、10%~50%(重量/重量)に含まれる、より好ましくは15%(重量/重量)に等しい量である少なくとも1つの酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む水溶液において実行され得る。
【0093】
5%~50%(重量/重量)の範囲、好ましくは10%(重量/重量)に等しい量の過酸化水素を含む水溶液においてプラスチック画分の浸漬処理が実行されたときに最適な結果が観察された。
【0094】
1または複数の実施形態において、浸漬処理段階は、65℃~100℃の温度で実行される。好ましくは、セルロース画分の浸漬による処理の段階は、85℃の温度で実行され、プラスチック画分の浸漬の段階は好ましくは、75℃の温度で実行され得る。槽は熱交換が実行されることによって、または、コイルにおいて熱伝導流体を循環させることによって、または、電気抵抗によって実行されるオーム加熱によって加熱され得る。
【0095】
1または複数の実施形態において、浸漬によってセルロース画分を処理する段階は、20分~60分間の範囲の期間、好ましくは35分間の期間にわたって実行され得る。
【0096】
1または複数の実施形態において、浸漬によってプラスチック画分を処理する段階は、15分~40分間の範囲の期間、好ましくは20分間の期間にわたって実行され得る。
【0097】
SAP解離プロセスの効率は、酸化組成物の作用の時間に依存する。それは、最初の熱的活性化の後に、示された時間内に最大作用が枯渇するまで急速に進行し、その後、時間に関係ない停滞状態に到達する。
【0098】
発明者はまた、浸漬による処理の段階の間に、セルロース画分および/またはプラスチック画分が圧縮力に晒されるときに最適な結果が得られることを観察した。
【0099】
圧縮は、例えば、液圧ポンプによって動作する、穴の開いた(穴の直径は好ましくは1cmである)ディスクヘッドを有するピストンによって実行され得、セルロースに対して5~20N/cm2、プラスチック画分に対して5~20N/cm2、好ましくは5~15N/cm2の圧力を加える。
【0100】
一般に、浸漬によって処理される材料(
図3~5)に対して加えられる圧縮は、一連の利点を得ることを可能にする。圧縮は、液体画分が固体画分から分離することを回避する。実際、適切な逆圧が存在しない状態で、固体画分は、酸化剤を含む水溶液から分離する傾向がある。高温のときに生成される対流、酸素および水蒸気の発生、ならびに、固体成分の異なる密度に起因して、後者は上方に押され、液体の塊の上に位置する。
【0101】
固体画分(セルロースおよびプラスチックの両方(混合固体画分)、または別々のセルロースおよびプラスチック)に加えられる圧縮はまた、以下を可能にする。
・処理される材料があまり密集していなくて圧縮可能なので、少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液の体積と、固体画分の重量との間の最適な比を維持することを可能にする。これにより、処理される材料を浸透した状態に維持するために使用されるある体積の水溶液を含むことを可能にする。
・処理される材料(セルロースおよびプラスチックの両方、または別々のセルロースおよびプラスチック)が、浸漬段階の期間全体にわたって、少なくとも1つの酸化剤を含む水溶液に浸透された状態を維持する。さらに、浸漬期間の終了時に、圧力を更に増加させることによって、リアクタの下部の固体画分を圧縮し、ピストンのヘッドに含まれる穴を通って上方へ押される液体画分の最適な分離を可能にすることも可能である。
・直鎖ポリアクリレート(LPA)を含む液体画分から分離されたときのセルロース画分およびプラスチック画分の任意の洗浄サイクルを容易にする。
・上記サイクルの下流において、使用される酸化溶液の最初の体積の2倍より多くもない体積の廃水を含む。
【0102】
浸漬による処理段階は、分あたり0~60回転(rpm)、好ましくは30rpmの調整可能な速度で、固定ブレードを有する機械的撹拌ロッドを使用して撹拌することによって実行され得る。
【0103】
ここで説明される方法は更に、液相から固相を分離する段階を備え得る。分離段階は、側面の流出弁を開けることによって、または吸引によって実行され得る。
【0104】
1または複数の実施形態において、方法はまた、SAPに由来する追加の残留物を回収するために、好ましくは水を用いて実行される、固相の少なくとも1つの洗浄段階を備え得る。固相(セルロース/プラスチック)は、例えば、前のセクションにおいて説明されたように、乾燥器における乾燥に晒され得る。
【0105】
プラスチック画分の浸漬処理段階の下流の固体画分から分離された液相は、1.0~15.5g/L、平均2.7~3.6g/Lの全体固体残留物を含み得る。
【0106】
セルロース画分の浸漬処理段階の下流の固体画分から分離された液相は、6.1g/L~11.3g/Lの全体固体残留物を含み得る。
【0107】
シュレッダから出る混合画分の浸漬処理段階の下流の固体画分から分離された液相は、7g/L~13g/Lの全体固体残留物を含み得る。
【0108】
オートクレーブから出る混合画分の浸漬処理段階の下流の固体画分から分離された液相は、8g/L~12g/Lの全体固体残留物を含み得る。
【0109】
滅菌段階、または、滅菌および破砕段階、または、滅菌、破砕および乾燥段階、または、滅菌、破砕。乾燥および分離段階の下流で行われるSAPの可溶化に続いて回収された液相は、直鎖ポリアクリレート(LPA)の架橋法を行い、例えば、2つのモダリティ、すなわち、i)架橋剤および活性化因子の追加、ならびに、ii)モノマー、架橋剤、および活性化因子の追加(米国特許4,295,987号、Cross-linked absorbent sodium polyacrylate;米国特許RE.32,649E, Hydrogel-forming polymer compositions for use in absorbent structures)による米国特許第2017/0022671号において説明されるようなポリサッカリド(ポリサッカリド系SAP)に基づく高吸水性ポリマーを取得するために使用され得る。
【0110】
モダリティi)によれば、窒素気泡によって溶解酸素を除去した後に、架橋剤N,N'‐メチレンビス(アクリルアミド)(MBA)が、0.01~0.5%(重量/体積)、好ましくは0.15(重量/体積、g/ml)に等しい量で、液相を含むリアクタに追加される。結果的に、活性化因子またはむしろペルオキソ二硫酸アンモニウムまたはペルオキソ二硫酸カリウム(APSまたはKPS)は、0.1~0.8%(重量/体積)の量で追加される。75℃で反応を実行することによって、1時間以内に、架橋されたポリマーの沈殿が観察される。
【0111】
ポイントii)において説明された手順によれば、窒素気泡によって溶解酸素を除去した後に、1%~7%(重量/体積)の範囲、好ましくは4.7%に等しい量で、モノマー(アクリルアミド(AM)またはアクリル酸(AA)またはメタクリル酸(MA)またはナトリウムまたはそのカリウム塩)が、液体画分を含むリアクタに追加される。さらに、活性化因子、またはむしろ、ペルオキソ二硫酸アンモニウムまたはペルオキソ二硫酸カリウム(APSまたはKPS)は、0.1~0.8%(重量/体積)の量で追加される。1時間後、10%のNaOHを用いてpHをアルカリ値にして、次に、架橋剤(MBA)が、0.01%~0.5%、好ましくは0.15%(重量/体積;g/ml)の量で追加される。80℃で反応を実行することによって、少なくとも1時間後に、架橋されたポリマーの沈殿が観察される。
【0112】
方法はまた、好ましくはディスクフィルタを用いて実行されるろ過によって実行される液体画分の少なくとも1つの精製段階を備え得る。
【0113】
直鎖ポリアクリレート(LPA)を含む精製された液体画分は、LPAの架橋法および新しいSAPの生成に使用され得る。
【0114】
例えば、精製された液体画分は、典型的にはLPA、好ましくはナトリウムまたはカリウムである一価アルカリ金属を使用して、カルシウムイオンまたは他の二価または三価金属(Me)の交換による後の架橋段階に晒され得る。例えば米国5,558,745号において説明されるように実行される架橋段階は、ろ過によって分離され得る不溶性化合物(ポリアクリル酸塩金属(PA‐Me))が取得されることを可能にする。多座金属が2以上のカルボキシレート基を自身に結合させ、直鎖を架橋で結合するので、カルシウム塩(または他の二価または三価金属の塩)は架橋を可能にする。使用され得る塩は、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、好ましくは塩化カルシウム、更により好ましくは硝酸カルシウムを含み、後者がより可溶性であり、不活性である。カルシウム塩は、1%~5%(重量/体積)の範囲、好ましくは3%(重量/体積)に等しい量(重量/体積)で使用され得る。金属に結合されたポリアクリル酸塩の沈殿が取得されると、溶媒が蒸発されて透明な固体材料が取得され得る。
【0115】
好ましくはろ過によって精製された液体画分はまた、例えば米国4,295,987号に説明されるように、架橋剤およびラジカル活性化因子を追加することによって、線形形状のアクリレートポリマーの架橋段階に晒され得る。簡潔には、窒素気泡によって溶解酸素を除去し、大気を不活性に維持した後に、架橋剤N,N'‐メチレンビス(アクリルアミド)(MBA)が、リアクタまたはタンクに含まれる精製された液相に追加される。MBAの量は、0.02~0.25%(g/L)の範囲であり、好ましくは0.12%(g/ml)に等しい。結果的に、例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウムまたはペルオキソ二硫酸カリウム(APSまたはKPS)などの活性化化合物が、0.1%~0.8%(重量/体積)の量で、室温で追加される。60℃で2時間の期間にわたって実行される反応は、架橋ポリマーの沈殿を伴う。
【0116】
好ましくはろ過によって精製された液体画分はまた、架橋剤および活性化因子に加えてモノマーを追加することによって、架橋に晒され得る。モノマー(アクリルアミド(AM)、またはアクリル酸(AA)またはメタクリル酸(MA)またはそのナトリウムもしくはカリウム塩)が、0.5%(重量・体積)~7%(重量/体積)体積、好ましくは4%(重量/体積)の範囲の量で追加される。活性化化合物、またはむしろ、ペルオキソ二硫酸アンモニウムまたはペルオキソ二硫酸カリウム(APSまたはKPS)が、0.1~0.8%(重量/体積)の量で、後に追加される。1時間の期間の後に、10%NaOHを追加することによって、pHをアルカリ値にし、リアクタの温度は少なくとも3時間にわたって60℃にされる。最後に、上で説明された同一の条件で、架橋剤(MBA)が、モノマーに対してモルで0.04%~0.15%の範囲(好ましくは0.08%mol/mol)の量で追加され、活性化因子化合物が追加される。
【0117】
下の例において実証されるように、説明された方法は、ポリサッカリド骨格を損傷することなくセルロースを白くすることを可能にし、同時に、SAPの架橋切断および可溶化を可能にして、直鎖ポリアクリレート(LPA)を取得する。
【0118】
説明された方法で取得されたセルロースは、1%(重量/重量)より低いSAP含有量を有し、99%より高い純度を有する。説明された方法から取得されたセルロースの純度および完全性が、ATR減衰全反射、American Journal of Analytical Chemistry, 2018, Vol. 9,303-310ページと組み合わされたフーリエ変換赤外分光法(FTIR)における分析によって決定および確認された。
【0119】
さらに、方法は、プラスチック画分を構成するポリオレフィンを維持し、同時に、SAPの架橋切断および可溶化を得ることを可能にする。
【0120】
説明された方法で取得されたプラスチックは、1%(重量/重量)より低いSAP含有量を有し、95%より高い純度を有する。説明された方法から取得されたプラスチックを含む画分の純度および完全性は、UNI EN ISO6427/2013およびISO16152/2005の方法と組み合わされたフーリエ変換赤外分光法(FTIR)における分析によって決定および確認された。
例
【0121】
1.混合されたセルロースおよびプラスチック画分に対してSAPを可溶化する段階の流れ(
図3)
【0122】
使用済み吸収性衛生材料は、2.1バール(2100ヘクトパスカル)の圧力で、20分間にわたって135℃でオートクレーブにおいて滅菌された。
【0123】
滅菌処理の最後に、前のセクションにおいて説明されたように、オートクレーブから出る滅菌された材料は、貯蔵容器32に収集される。上記コレクタはまた、リアクタ機能を有し得る。
セルロース+プラスチック(SAPを含む10cm~35cmの粒子サイズ)
【0124】
合計含水率82%、温度約96℃のセルロース、プラスチックおよびSAPから構成される混合画分が1500リットル円筒形ステンレス鋼断熱リアクタにおいて処理される。リアクタは、機械的撹拌のための固定ブレードを有するロッドを有する。81リットル、密度1.11kg/L(乾燥量に対して300%)の商用の30%(v/V)過酸化水素水溶液が、別の60Lの水と共に低温リアクタに供給される(最終酸化物濃度は、水全体に対する重量で約15%である)。重量比で82%の湿度を有し、温度が約96℃である合計50kgの混合材料がリアクタ内に移され、液圧ポンプによって動作する直径1cmの穴を有するディスクヘッドピストンが、円筒形リアクタのヘッドを閉じ、材料に対して8N/cm2の圧力を加える。ピストンストロークは、レベルセンサによってディスクの表面を越えて液面が現れるときに停止される。ブレードロッドの撹拌は80分間稼働される。この期間の後に、材料に対して25N/cm2の圧力を加えることによって、材料は完全に圧縮され、溶液は、穴の開いたピストンのヘッドの上に上昇することが可能となる。流出弁は廃棄溶液の収集を可能にする。水のみで実行され得る、50Lを用いる2つの続くサイクルは、任意の微量の残留LPAをプロセスの第1ステージから回収することを可能にする。残留する水分が重量比で36%である固体の塊がリアクタに留まる。洗浄段階の下流で回収された水性抽出物の1Lの画分が120℃でオーブンにおいて乾燥された。赤外分光法(ATRと組み合わされたFTIR)によるフィルムの分析に好適な層状材料が回収される。サンプルは、ATRのための透過水晶と直接接触するように配置され、LPAに適合するIRスペクトルの存在が明らかになる。重水に溶解された乾燥化合物も、炭素核磁気共鳴分光法(13C-NMR)によって分析され、約84ppmにおける信号が存在しないことを明らかにした。これは、SAPの分子内架橋の特性である(Liu, Z.S., Rempel, G.L., Preparation of SAP by cross-linking Acrylic Acid and Acrylamide Copolymers, Appl Polym Sci 64: 1345-1353, 1997)。
【0125】
湿った固体画分はリアクタの底部から回収される。任意のSAP残留物をチェックするために、約100gのアリコートが、(純度の程度を表すことができるようにするために)一定の重量まで120℃で乾燥され、少なくとも3cmより小さい粒子まで低減され、水において実行される密度分画による分離に晒された(例えば、米国特許第2015/0238974A1号、Liquid Density Separation Systemにおいて説明される)。より密度が低いプラスチック画分がデバイスにおいて浮き、セルロース画分は底部に沈む。このようにして、2つの画分は、残留SAP汚染の程度を評価するために別々に取られる。分析は、ATRと組み合わせたFTIR赤外分光法によって行われる。両方の成分は、1%以上のSAP汚染を有しない。
【0126】
従って、SAP派生物のほぼすべては、少なくとも2つの洗浄サイクル後に、回収水を通る。
【0127】
化学分析によって、2つのセルロースおよびプラスチック画分がまた、2006年4月3日の政令No.152の184条,段落2に従う、2019年5月15日のDECREE、No.62、人に対する吸収性製品からの廃棄物の要件の終了に関する規制の条項に適合することが確認される。
【0128】
2.混合セルロースおよびプラスチック画分に対してSAPを可溶化する段階の流れ(
図4)
【0129】
使用済み吸収性衛生材料は、2.1バール(2100ヘクトパスカル)の圧力で、20分間にわたって135℃でオートクレーブにおいて滅菌された。
【0130】
滅菌された材料は、シュレッダにおいて破砕され、10cm未満のサイズの材料が取得された。
【0131】
破砕処理の最後に、滅菌および破砕された材料が、コンベア44から、乾燥器の前のリアクタに移される。
セルロース+プラスチック(SAPを含む3cm~10cmの粒子サイズ)
【0132】
合計含水率77%、温度約75℃のセルロース、プラスチックおよびSAPから構成される混合画分が1500リットル円筒形ステンレス鋼断熱リアクタにおいて処理される。リアクタは、機械的撹拌のための固定ブレードを有するロッドを有する。104リットル、密度1.11kg/L(乾燥量に対して301%)の商用の30%(v/V)過酸化水素水溶液が、別の90Lの水と共にリアクタに供給される(最終酸化物濃度は、水全体に対する重量で約15%である)。重量比で77%の水分を有し、温度が約75℃である合計50kgの混合材料がリアクタ内に移され、液圧ポンプによって動作する直径1cmの穴を有するディスクヘッドピストンが、円筒形リアクタのヘッドを閉じ、材料に対して6N/cm2の圧力を加える。ピストンストロークは、レベルセンサによってディスクの表面を越えて液面が現れるときに停止される。ブレードロッドの撹拌が稼働され、追加の過熱が最大75℃で実行され、40分間維持される。この期間の後に、材料に対して22N/cm2の圧力を加えることによって、材料は完全に圧縮され、溶液は、穴の開いたピストンのヘッドの上に上昇することが可能となる。流出弁は廃棄溶液の収集を可能にする。低温で水のみで実行され得る、各々50Lを用いる2つの続くサイクルは、任意の微量の残留LPAをプロセスの第1ステージから回収することを可能にする。残留する水分が重量比で33%である固体の塊がリアクタに留まる。洗浄段階の下流で回収された水性抽出物の1Lの画分が120℃でオーブンにおいて乾燥された。赤外分光法(ATRと組み合わされたFTIR)によるフィルムの分析に好適な層状材料が回収される。サンプルは、ATRのための透過水晶と直接接触するように配置され、LPAに適合するIRスペクトルの存在が明らかになる。重水に溶解された乾燥化合物も、炭素核磁気共鳴分光法(13C-NMR)によって分析され、約84ppmにおける信号が存在しないことを明らかにした。これは、SAPの分子内架橋の特性である(Liu, Z.S., Rempel, G.L., Preparation of SAP by cross-linking Acrylic Acid and Acrylamide Copolymers, Appl Polym Sci 64: 1345-1353, 1997)。
【0133】
湿った固体画分がリアクタの底部から回収される。任意のSAP残留物をチェックするために、約100gのアリコートが、(純度の程度を表すことができるようにするために)一定の重量まで120℃で乾燥され、水において実行される密度分画による分離に晒された(例えば、米国特許第2015/0238974A1号、Liquid Density Separation Systemにおいて説明される)。より密度が低いプラスチック画分がデバイスにおいて浮き、セルロース画分は底部に沈む。このようにして、2つの画分は、残留SAP汚染の程度を評価するために別々に取られる。分析は、ATRと組み合わせたFTIR赤外分光法によって行われる。固体サンプルは、ATRのための透過水晶と直接接触するように配置され、セルロースおよびプラスチック画分の典型的なIRスペクトルの記録を可能にする。両方の成分は、1%より高いSAP汚染を有しない。
【0134】
従って、SAP派生物のほぼすべては、少なくとも2つの洗浄サイクル後に、回収水を通る。
【0135】
化学分析によって、2つのセルロースおよびプラスチック画分がまた、2006年4月3日の政令No.152の184条,段落2に従う、2019年5月15日のDECREE、No.62、人に対する吸収性製品からの廃棄物の要件の終了に関する規制の条項に適合することが確認される。
【0136】
3.セルロース画分およびプラスチック画分に対するSAPを可溶化する段階の流れ(
図5)
【0137】
使用済み吸収性衛生材料は、2.1バール(2100ヘクトパスカル)の圧力で、20分間にわたって135℃でオートクレーブにおいて滅菌された。
【0138】
滅菌された材料は、シュレッダにおいて破砕され、3cm未満のサイズの材料が取得された。
【0139】
滅菌および破砕に晒された材料は、乾燥空気が約140℃の温度を有する乾燥器において実行される乾燥に晒された。
【0140】
乾燥段階の下流において、材料は、前のセクションに説明されるように、異なる密度の2つの画分を利用する遠心分離機を使用することによって、セルロース画分およびプラスチック画分に分離された。
セルロース(SAPを含む3cmより小さい粒子)
【0141】
セルロース画分は、熱交換が実行されることにより、または、コイルにおける熱伝導流体の循環を通じて、または、電気抵抗で達成されるオーム加熱を通じて熱安定性である1500リットル円筒形ステンレス鋼断熱リアクタにおいて処理された。使用されたリアクタは、機械的撹拌のための固定ブレードを有するロッドを有する。合計419リットルの、密度1.11kg/L(乾燥量に対して300%)の商用の30%(v/V)過酸化水素水溶液を、別の550Lの水と共にリアクタに供給し(水と比較した重量比で約15%の最終酸化物濃度)、70℃の温度まで加熱した。7%の水分を有し、温度約20℃の合計50kgのセルロースをリアクタに移し、槽に配置して懸濁液を取得した。液圧ポンプによって動作する直径1cmの穴を有するディスクヘッドピストンは、円筒形リアクタのヘッドを閉じ、材料に対して6N/cm
2の圧力を加える。ピストンストロークは、レベルセンサによってディスクの表面を越えて液面が現れるときに停止される。ブレードロッドの撹拌が稼働され、槽における85℃の温度に到達するまで、追加の過熱が取得され、この温度で35分間維持された。この期間の後に、材料に対して20N/cm
2の圧力を加えることにより、材料は完全に圧縮され、溶液が穴の開いたピストンのヘッドの上に上昇することを可能にする。流出弁は廃棄溶液(液体画分)の収集を可能にする。水のみを用いて低温で実行される、各75Lの2つの洗浄サイクルは、任意の微量の残留LPAがプロセスの第1ステージから回収されることを可能にする。洗浄段階の下流で回収された液体画分の1Lの画分が120℃でオーブンにおいて乾燥された。赤外分光法(ATRと組み合わされたFTIR)によるフィルムの分析に好適な層状材料が回収される。サンプルは、ATRのための透過水晶と直接接触するように配置され、LPAに適合するIRスペクトルの存在が明らかになる(
図6)。
【0142】
重水に溶解された乾燥化合物も、炭素核磁気共鳴分光法(
13C-NMR)によって分析され、約84ppmにおける信号が存在しないことを明らかにした。これは、SAPの分子内架橋の特性である(Liu, Z.S., Rempel, G.L., Preparation of SAP by cross-linking Acrylic Acid and Acrylamide Copolymers, Appl Polym Sci 64: 1345-1353, 1997)(
図7)。
【0143】
液体画分から分離されて、水を用いる2つの洗浄に晒されるセルロース画分は、1%未満の量のSAPを含む(ATRと組み合わされたFTIR分光測色法において行われる分析)。固体サンプルは、ATRのための透過水晶と直接接触するように配置され、セルロースの典型的なIRスペクトルの記録を可能にする。
【0144】
従って、ほぼすべてのSAPが、固体画分の少なくとも2つの洗浄段階の後に、懸濁液から分離された液体画分を通る。
【0145】
化学分析によって、セルロース画分がまた、2006年4月3日の政令No.152の184条、段落2に従う、2019年5月15日のDECREE、No.62、人に対する吸収性製品からの廃棄物の要件の終了に関する規制の条項に適合することが確認される。
プラスチック(SAPを含む3cmより小さい粒子)
【0146】
プラスチック画分は、熱交換が実行されることにより、または、コイルにおける熱伝導流体の循環を通じて、または、電気抵抗で達成されるオーム加熱を通じて熱安定性である1500リットル円筒形ステンレス鋼断熱リアクタに配置された。使用されたリアクタは、機械的撹拌のための固定ブレードを有するロッドを有する。合計442リットルの、密度1.11kg/L(乾燥量に対して300%)の商用の30%(v/V)過酸化水素水溶液を、別の550Lの水と共にリアクタに供給し(水と比較した重量比で約15%の最終酸化物濃度)、70℃の温度まで加熱した。2%の水分を含む、約20℃の温度の合計50kgのプラスチックがリアクタに移され、槽に配置された。液圧ポンプによって動作する直径1cmの穴を有するディスクヘッドピストンは、円筒形リアクタのヘッドを閉じ、6N/cm2の圧力を加える。ピストンストロークは、レベルセンサによってディスクの表面を越えて液面が現れるときに停止される。ブレードロッドの撹拌が稼働され、追加の過熱が最大75℃で実行され、20分間維持される。この期間の後に、材料に対して16N/cm2の圧力を加えることにより、材料は完全に圧縮され、溶液が穴の開いたピストンのヘッドの上に上昇することを可能にする。流出弁は廃棄溶液の収集を可能にする。水のみを用いて低温で実行され得る、各々75Lを用いる1つの続くサイクルは、任意の微量の残留LPAがプロセスの第1ステージから回収されることを可能にする。
【0147】
浸漬による処理の前に、分離されたプラスチック画分は、高温キシレンに可溶性であるポリオレフィン画分を抽出するための方法(方法ASTM D5492-ISO 16152:2005プラスチック、ポリプロピレンにおけるキシレン可溶性物質の決定、UNIEN ISO 6427:2013、プラスチック、有機溶媒によって抽出可能な物質の決定)と組み合わされたFTIR分光測色法によって評価された、85%の純度パーセンテージを有する。
【0148】
洗浄の下流で回収された水性画分が、赤外分光法(ATRと組み合わされたFTIR)によって乾燥および分析され、LPAに適合するIRスペクトルの存在を明らかにし、13C-NMRを用いた分析により、約84ppmにおいて信号が存在しないことを明らかにした。これは、SAPの分子内架橋の特性である。
【0149】
液体画分から分離され、水を用いて洗浄されたプラスチック画分は、1%未満の量のSAPを含む。固体サンプルは、ATRのための透過水晶と直接接触するように配置され、本質的にポリプロピレンおよびポリエチレンに基づいて、プラスチック成分の典型的なIRスペクトルの記録を可能にする。従って、SAPのほぼすべては、固体画分から液体画分に分離される。
【0150】
ATRと組み合わされたFTIR分光測色法分析は、プラスチック画分のわずかな残留汚染物としてのセルロース成分の存在を明らかにする。超臨界相における抽出、または例えば酵素加水分解、または物理的分離による既知の方法は、プラスチック画分からのセルロース残留物によって生じるわずかな汚染であっても除去することが可能である。
【0151】
化学分析によって、プラスチック画分がまた、2006年4月3日の政令No.152の184条、段落2に従う、2019年5月15日のDECREE、No.62、人に対する吸収性製品からの廃棄物の要件の終了に関する規制の条項に適合することが確認される。
【0152】
もちろん、本発明の原理を侵害することなく、構成の詳細及び本実施形態は、以下の特許請求の範囲により規定されるようにそれにより本発明の範囲から逸脱することなく、幅広く変更され得る。
【国際調査報告】