(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】超吸収性ポリマーを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20230220BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230220BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20230220BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230220BHJP
A61K 8/58 20060101ALI20230220BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230220BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230220BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230220BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/02
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/58
A61K8/73
A61Q19/00
A61Q5/00
A61Q1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530937
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 IB2020062356
(87)【国際公開番号】W WO2021130677
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】ピンホア ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ナンシー ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大祐
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC532
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD332
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD571
4C083AD572
4C083BB31
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
少なくとも1種の超吸収性ポリマー;少なくとも1種の水溶性エモリエント剤;及び少なくとも1種の増粘剤を含む化粧料組成物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の超吸水性ポリマー;
少なくとも1種の水溶性エモリエント剤;及び
少なくとも1種の増粘剤
を含む、化粧料組成物。
【請求項2】
シリコーンフリー組成物である、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
非エマルジョンである、請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
ゲルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
少なくとも約70質量%の水を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の超吸水性ポリマーが、架橋アクリル酸ナトリウム、アクリレートグラフト化デンプン及びそれらの混合物のうちの少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の超吸水性ポリマーが、アクリレーツクロスポリマー-2ナトリウムを含む、請求項6に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記組成物が、約2質量%~約4.5質量%のアクリレーツクロスポリマー-2ナトリウムを含有する、請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の水溶性エモリエント剤が、水溶性マイクロ流動化エモリエント組成物を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の水溶性エモリエント剤が、マイクロ流動化スクアランを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
前記水溶性エモリエント組成物が、グリセリン、水、スクアラン、及び水添レシチンを含む、請求項9に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
約1質量%~約5質量%の水溶性エモリエント組成物を含む、請求項11に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の増粘剤が、少なくとも1種の天然増粘剤を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種の増粘剤が、少なくとも1種の合成増粘剤を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種の増粘剤が、キサンタンガムを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項16】
約0.1質量%~約0.3質量%のキサンタンガムを含む、請求項15に記載の化粧料組成物。
【請求項17】
約2質量%~約4.5質量%のアクリレーツクロスポリマー-2ナトリウム、約1質量%~約5質量%のマイクロ流動化エモリエント組成物、約0.1質量%~約0.3質量%のキサンタンガム、及び少なくとも約70質量%の水を含む、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項18】
約4質量%のアクリレーツクロスポリマー-2ナトリウム、約0.2質量%~約0.3質量%のキサンタンガム、約1質量%~約5質量%のマイクロ流動化エモリエント組成物、及び少なくとも約70質量%の水を含む、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の化粧料組成物を角質表面に適用することを含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2019年12月27日に出願された米国仮出願第62/954,159号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、化粧料組成物に関し、より具体的には、超吸水性ポリマーを含む化粧料組成物、及びそれらの製造方法及び使用方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、少なくとも1種の超吸収性ポリマー;少なくとも1種の水溶性エモリエント剤;及び少なくとも1種の増粘剤を含む化粧料組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、化粧料組成物の粘度対アクリレーツクロスポリマー-2ナトリウムの濃度のプロットである。このプロットは、アクリレーツクロスポリマー-2ナトリウムの増粘挙動を示す。
【
図2】
図2は、異なる濃度のアクリレーツクロスポリマー-2ナトリウムを有する化粧料組成物の写真である。
【
図3】
図3は、化粧料組成物の粘度に及ぼすキサンタンガム濃度の効果を示すチャートである。
【
図4】
図4は、化粧料組成物の粘度に及ぼすマイクロ流動化されたスクアラン及びキサンタンガム組成物の濃度の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
別段の指定のない限り、「a」又は「an」は、1つ又は複数を意味する。
【0006】
本明細書において、特定の数値の前に置かれる用語「約」は、数値の±20%、数値の±18%、数値の±15%、数値の±12%、数値の±8%、数値の±5%、数値の±3%、数値の±2%、数値の±1%、又は数値の±0.5%を意味し得る。別段の指定のない限り、%で表示される組成物の成分についてのすべての含有量の情報は、特に明記しない限り、組成物の総質量に対する質量%を指す。
【0007】
超吸収性ポリマー、水及び界面活性剤を含有する化粧料組成物は、例えば、フランス特許番号、FR2,989,884号;米国特許出願公開番号、US20150342864;US2014093461;US20160081895;US2018221256;US2015023895;及び米国特許第9,549,891号に開示されている。
【0008】
本発明者らは、少なくとも1種の超吸収性ポリマー、少なくとも1種の水溶性エモリエント剤及び少なくとも1種の増粘剤を含有し、安定であり得る化粧料組成物を開発した。
【0009】
本明細書で使用する場合、用語「安定」は、組成物が、その成分の分離、色の変化及び/又は質感(例えば、クッション及びエラストマー様の感触)の変化をいずれも、経時的に、例えば、周囲条件(例えば、25℃/65%RH)で2年まで、及び加速条件(例えば、50℃/65%RH)で4週間まで受けることがないことを意味する。
【0010】
好ましくは、化粧料組成物はシリコーンフリーである。しかしながら、それは、シリコーンを含有する化粧料組成物のものと同様に、絹のような肌触り、柔らかさ、無重力感及び/又はクッション感などの知覚特性を有し得る。すなわち、化粧料組成物の質感は、シリコーン含有化粧料組成物のものと同様であってもよい。
【0011】
本明細書で使用する場合、用語「シリコーンフリー」は、シリコーン油、シリコーンエラストマー、及び/又はシリコーン樹脂などの任意のシリコーンベースの成分の化粧料組成物中の合計含有量が、1質量%未満、又は0.5質量%未満、又は0.3質量%未満、又は0.2質量%未満、又は0.1質量%未満であることを意味する。好ましくは、シリコーンフリー組成物は、いかなるシリコーンベースの成分も含有しない。
【0012】
組成物の用途は、メイクアップなどの化粧料用途に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、化粧料組成物の用途は、スキンケア製品、サンケア製品、カラー化粧料製品、デオドラント製品、又は毛髪製品における用途を含み得るが、これらに限定されない。
【0013】
いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、単独で使用され得る。換言すれば、組成物は、別の組成物なしに、ヒトなどの対象の皮膚若しくは毛髪などの角質表面又は基材に単独で適用されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、例えば、化粧料組成物又はスキンケア組成物(例えば、メイクアップ組成物)であり得る別の組成物と一緒に使用されてもよい。例えば、特定の実施形態では、化粧料組成物は、別の組成物が適用される前に、角質表面又は基材に適用されてもよい。
【0014】
好ましくは、化粧料組成物は、プライマーとして使用することができ、これは、水和効果、ふっくらさせる効果、ぼかし効果及び/若しくは耐久効果を角質表面又は基材にもたらすための最初の製品として角質基材に堆積させてもよいことを意味する。
【0015】
いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、上記のような独特の知覚特性の1つ又は複数を有してもよい。いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、無重力感、例えば、重い又は粘着性のない感触を提供し得る。いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、長期間持続し得る。例えば、化粧料組成物は、審美的外観の妨害なしに、角質表面又は基材に、少なくとも4時間、又は少なくとも6時間、又は少なくとも8時間、又は少なくとも10時間、又は少なくとも12時間、又は少なくとも14時間、又は少なくとも16時間、又は少なくとも18時間、又は少なくとも20時間留まることができる。いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、フレッシュ/クーリングウォーター効果を提供し得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、単独で、又は化粧料若しくはスキンケア組成物などの別の組成物と一緒に使用して、ぼかし効果を提供し、角質表面又は基材(例えば、皮膚)の毛穴、しわ及び/若しくは任意の他の欠陥を見えにくくするために使用されてもよい。
【0017】
好ましくは、化粧料組成物は、非エマルジョン組成物であり、これは、それが水相及び油相から構成されないことを意味し得る。さらに、非エマルジョン組成物は、安定性を保つために界面活性剤の使用を必要としない場合がある。
【0018】
好ましくは、化粧料組成物はゲルである。例えば、いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、絹のような滑りやすい質感を有する柔らかくクッション状のゲルであってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、約2000cpsから約8000cps、約2500cpsから約5000cps、又は約3000cpsから約3600cpsの範囲の粘度を有することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、クリアで透明なものから、曇った及び/又は乳白色の視覚的外観を有し得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、水を、組成物の総質量(重量)に対して約70%~約90%、例えば、少なくとも70質量%、又は少なくとも72質量%、又は少なくとも74質量%、又は少なくとも76質量%、又は少なくとも78質量%、又は少なくとも79質量%の水を含有することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の超吸収性ポリマーは、例えば、限定されるものではないが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0221256号に開示されている超吸収性ポリマーの少なくとも1種を含むことができる。本明細書で使用する場合、用語「超吸収性ポリマー」は、ポリマー自体の質量よりも有意に高い質量を有する、水などの液体の量を吸収し、保持することができるポリマーを指すことができる。例えば、超吸水性ポリマーは、ポリマー自体の質量よりも少なくとも3倍、又は少なくとも5倍、又は少なくとも8倍、又は少なくとも12倍、又は少なくとも15倍、又は少なくとも18倍、又は少なくとも20倍の質量を有する、水などの液体の量を吸収し、保持することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の超吸水性ポリマーは、架橋アクリル酸ナトリウム、アクリレートグラフト化デンプン、又はそれらの混合物の少なくとも1種を含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の超吸水性ポリマーは、限定されるものではないが、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン、アクリレーツクロスポリマー-2ナトリウム、又はそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の超吸水性ポリマーを含むことができる。例えば、特定の実施形態では、少なくとも1種の超吸水性ポリマーは、アクリレーツクロスポリマー-2ナトリウムを含むことができる。アクリレーツクロスポリマー-2ナトリウムは、例えば、KoboからBarcril AV又はAqua Keep 10SH-NFCとして市販されている。
【0025】
組成物中の少なくとも1種の超吸収性ポリマーの量は、変化し得る。例えば、約2質量%~約4.5質量%、約2.5質量%~約4.0質量%、又は約3質量%~約3.5質量%であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種の増粘剤を含有し得る。少なくとも1種の増粘剤は、限定されるものではないが、天然増粘剤、合成増粘剤、及びそれらの組み合わせから選択され得る。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1種の増粘剤は、少なくとも1種の天然増粘剤を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、少なくとも1種の増粘剤は、少なくとも1種の合成増粘剤を含むことができる。好適な増粘剤は、例えば、米国特許出願公開番号US2017007512号及び米国特許第6,689,345号に開示されており、これらの各々は、その全体が本明細書に組み込まれる。好適な増粘剤の例としては、限定されるものではないが、サクシノグリカン、キサンタンガム、カラギーナン、ジェランガム、デンプン、ヒドロキシアルキルセルロース、プルラン、カルボマー、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ベントナイト、アクリルアミドコポリマー、アクリロイルジメチルタウリンナトリウム/アクリル酸ヒドロキシエチルコポリマー、寒天、ポリウレタン、及び疎水性ポリエーテルポリウレタンが挙げられ得る。
【0027】
化粧料組成物中の少なくとも1種の増粘剤の量は、変化し得る。例えば、少なくとも1種の増粘剤は、約0.1質量%~約0.3質量%、約0.15質量%~約0.28質量%、又は約0.2質量%~約0.25質量%の範囲で存在してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の水溶性エモリエント剤は、マイクロ流動化エモリエント組成物、すなわち、マイクロ流動化エモリエント剤の水溶性組成物を含み得る。マイクロ流動化エモリエント組成物は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開番号US20160081895号に開示されている。
【0029】
用語「マイクロ流動化」は、流体の粒子の寸法が、毛管浸透が物質輸送を支配し得る小さい寸法、典型的にはサブミリメートル寸法に幾何学的に制限され得る、流体を指すことができる。いくつかの実施形態では、マイクロ流動化物質の粒子サイズは、約0.1ミクロン~2ミクロン、又は約0.2ミクロン~約1.5ミクロン、又は約0.5ミクロン~約1ミクロンであり得る。
【0030】
用語「エモリエント剤」は、皮膚及び毛髪などの角質表面又は基材を軟化及び平滑化する能力を有する物質を指すことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の水溶性エモリエント剤は、マイクロ流動化スクアランを含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、マイクロ流動化エモリエント組成物は、エモリエント剤、溶媒、及び安定化剤を含み得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、マイクロ流動化されたエモリエント組成物のエモリエント剤は、限定されるものではないが、飽和分岐炭化水素を含む天然起源の炭化水素を含む炭化水素から選択され得る。マイクロ流動化されたエモリエント組成物のエモリエント剤の非限定的な例は、スクアランであってもよく、これは、例えば、サメ肝油などの動物源、オリーブ油若しくはホホバ油などの植物油、又はそれらの混合物;又はホホバ油などの植物ベースの油などの油から生成されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、マイクロ流動化されたエモリエント組成物の溶媒は、水、湿潤剤及びそれらの混合物から選択され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、マイクロ流動化されたエモリエント組成物の安定化剤は、トリグリセリド、脂肪酸及び炭水化物並びにそれらの混合物を含むがこれらに限定されない界面活性剤から選択され得る。利用される安定化剤の非限定的な例は、水添レシチンであり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、水溶性のマイクロ流動化エモリエント組成物は、植物性グリセリンであり得るグリセリン;水;マイクロ流動化スクアランであり得るスクアラン;水添レシチン;又はそれらの混合物を含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、水溶性のマイクロ流動化エモリエント組成物は、植物性グリセリンであり得るグリセリン;水、マイクロ流動化ホホバ油であり得るホホバ油;水添レシチン;又はそれらの混合物を含み得る。
【0038】
このような水溶性のマイクロ流動化エモリエント組成物は、化粧料組成物中に、約1質量%~約5質量%、又は約2質量%~約4質量%、又は約2.5質量%~約3質量%の量で存在してもよい。
【0039】
本組成物に利用される水溶性のマイクロ流動化エモリエント組成物の例は、水、(植物性)グリセリン、スクアラン及び水添レシチンを含むエモリエント組成物である。このような組成物は、米国フロリダ州マイアミのブルーサン インターナショナルからDermanet スクアランとして市販されている。
【0040】
本組成物に利用される水溶性のマイクロ流動化エモリエント組成物の別の例は、水、(植物性)グリセリン、ホホバ油及び水添レシチンを含有するエモリエント組成物である。このような組成物は、米国フロリダ州マイアミのブルーサン インターナショナルからDermanet ホホバとして市販されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、水溶性のマイクロ流動化エモリエント組成物は、スクアラン又はホホバ油を含有してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、水溶性のマイクロ流動化エモリエント組成物中に存在する微粒子化エモリエント剤は、水溶性のマイクロ流動化エモリエント組成物の質量当たり、約1質量%~約25質量%、又は約2質量%~約20質量%、例えば約3質量%~約15質量%の範囲で存在してもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、約2質量%~約4.5質量%の超吸収性ポリマー、約1質量%~約5質量%のマイクロ流動化エモリエント組成物、約0.1質量%~約0.3質量%の増粘剤、及び少なくとも約70質量%の水を含み得る。
【0044】
例えば、化粧料組成物は、約2質量%~約4.5質量%の超吸収性ポリマー(例えばアクリレーツクロスポリマー-2ナトリウム)、約0.2質量%~約0.3質量%の増粘剤(例えばキサンタンガム)、約1質量%~約5質量%のマイクロ流動化エモリエント組成物(例えばマイクロ流動化スクアラン組成物)、及び少なくとも約70質量%の水を含むことができる。
【0045】
さらに、化粧料組成物は、ワックス、着色顔料、エステル、軟化/コンディショニング剤、防腐剤、溶媒、界面活性剤及びそれらの組み合わせなどの1つ以上の追加の任意成分を含み得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、追加の任意成分は、約1質量%~約25質量%、2質量%~約20質量%、5質量%~20質量%、又は10質量%~20質量%の量で存在してもよい。
【0047】
本明細書に記載された実施形態は、まったく限定されないが、以下の実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0048】
【0049】
表1は、調査した化粧料組成物の成分を示し、これらの組成物の粘度、安定性、質感及び視覚的外観評価の結果を報告する。
【0050】
[0001]表1に基づくと、スクアラン(非マイクロ流動化形態)を含む対照6の組成物は、安定性試験が不合格であり、その質感、プレイ時間及び粘度は許容範囲外である。さらに、対照例1~3は、増粘剤が存在しないことが、粘度が低すぎるだけでなく、安定性不良に寄与することを実証する。反対に、実施例4は、増粘剤が全く存在しない場合でさえ、超吸水剤の増加量が、粘度を所望のレベルを超えて増加させることを示す。対照7~9の評価に基づくと、超吸収性ポリマー及び増粘剤の両方の存在は、安定性の増加に寄与し得、所望の粘度を得るのに役立ち得ると考えられるが、マイクロ流動化されたエモリエント剤の水溶性組成物の非存在は、クッション性の質感が許容範囲外であることを引き起こすと考えられる。対照5は、3つの成分すべて、すなわち、超吸収性ポリマー;水溶性エモリエント剤;及び増粘剤を使用するが、(上記のように)好ましい範囲から外れている可能性があるレベルで、軽減された粘度及び完全に所望の質感ではないことによって特徴付けられる安定な組成物を得ることができることを例証している。実施例1~4は、超吸収性ポリマー、マイクロ流動化されたエモリエント剤の水溶性組成物及び増粘剤を特定のレベルで利用することにより、シリコーン様の特性を有する組成物を得ることができることを実証する。
【0051】
【0052】
表2は、例示的な化粧料組成物の成分が、組成物を調製するために使用される異なる相の間でどのように分布され得るかを示す。
【0053】
組成物は、以下のように調製した:
A相は、メインビーカーに脱イオン水とEDTAを添加し、次いで、室温でそれらを混合して調製した。
B相は、グリセリンとキサンタンガムを予備混合して調製した。次いで、混合物をメインビーカーに添加した。
C相は、1、3ブチレングリコール及びBarcril AVを予備混合し、それらが十分に混合されていることを確認して調製した。次いで、混合物をメインビーカーに添加し、ここで、全ての成分を10~15分間十分に混合した。
D相は、メインビーカーにフェノキシエタノールなどの防腐剤を添加し、メインビーカー中の成分をよく混合することによって調製した。
A相~F相を、HEIDONオーバーヘッド撹拌機及びプロップミキサーを用いてガラスビーカー中で混合した。
【0054】
粘度測定は、周囲条件(25℃/65%RH)で#3及び#4のスピンドルを有するブルックフィールド粘度計を使用して、2オンスガラス瓶において行った。
【0055】
50℃で4週間保持した試料について、安定性及び質感評価を視覚的に行った。以下の特性が観察された:
合格:クリア/透明で滑らかなゲル、絹のような感触、柔らかいゲル、滑らかなゲル、クッション感、組成物内での分離及び/又は着色なし。
不合格:ゲルからのウォーターブレイク、薄すぎる(粘度1500cps未満)、粘度が高すぎる(粘度8500cps超)、分離及び曇った乳状に色/透明度が変化することが観察された。
【0056】
***
上記は、特定の好ましい実施形態を指すが、本発明は、そのように限定されないことが理解されるであろう。開示された実施形態に様々な変更を加えることができ、そのような変更は本発明の範囲内にあることが意図されることは、当業者には想起されるであろう。
【0057】
本明細書に引用される刊行物、特許出願及び特許の全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】