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  • 特表-超音波処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】超音波処理方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20230220BHJP
   B23K 20/10 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
B29C65/08
B23K20/10
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022531513
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020083101
(87)【国際公開番号】W WO2021105068
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】102019132559.5
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520062177
【氏名又は名称】ヘルマン ウルトラシャルテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】トマス ビプフラー
【テーマコード(参考)】
4E167
4F211
【Fターム(参考)】
4E167AA22
4F211AP01
4F211AR01
4F211AR07
4F211AR11
4F211TA01
4F211TN22
4F211TQ01
(57)【要約】
本発明は、プラスチック材料をソノトロードと対向工具との間に配置すること、溶接段階中に超音波振動により励起されたソノトロードをプラスチック材料に接触させること、及び、ソノトロードも対向工具も超音波振動により励起されない保持段階中に、ソノトロードと対向工具とを互いに向けて移動させて、プラスチック材料に力Fを印加すること、を含む、プラスチック材料の超音波処理方法に関する。処理時間を短縮し、同時に溶接プロセスのクオリティを損なわず、むしろ向上させるために、本発明によれば、力Fを保持段階中に変化させることが提案される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)プラスチック材料をソノトロードと対向工具との間に配置すること、
B)溶接段階中に、超音波振動により励起された前記ソノトロードを前記プラスチック材料に接触させること、及び
C)前記ソノトロードも対向工具も超音波振動により励起されない保持段階中に、前記ソノトロードと前記対向工具とを互いに向けて移動させて、前記プラスチック材料に力Fを印加すること、
を含む、プラスチック材料の超音波処理方法であって、
ステップC)における前記保持段階中に前記力Fを変化させることを特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップC)における前記保持段階中に前記力を増加させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップC)において、前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が制御又は調整されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が、前記ソノトロード及び前記対向工具を互いに向けて移動させる際の実際の圧力を測定し、前記実際の圧力を目標圧力と比較し、前記実際の圧力と前記目標圧力との間の差の関数として互いに向けての前記移動を変更することによって、ステップC)において調整されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が、実際の力Fを測定し、前記実際の力を目標とする力と比較し、前記実際の力と前記目標とする力との間の差の関数として互いに向けての前記移動を変更することによって、ステップC)において調整されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が、前記ソノトロード又は前記対向工具の実際の距離dを測定し、前記実際の距離を目標距離と比較し、前記実際の距離と前記目標距離との間の差の関数として互いに向けての前記移動を変更することによって、ステップC)において調整されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記目標距離として、経時的に単調に減少する関数が選択されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記目標距離として、関数が選択され、この関数の導関数は経時的に一定であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
A)プラスチック材料をソノトロードと対向工具との間に配置すること、
B)溶接段階中に、超音波振動により励起されたソノトロードをプラスチック材料に接触させること、及び
C)ソノトロードも対向工具も超音波振動により励起されない保持段階中に、ソノトロードと対向工具とを互いに向けて移動させて、プラスチック材料に力Fを印加すること、
を含む、プラスチック材料の超音波処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの超音波処理方法は一般的に知られている。この方法は、複数のプラスチック材料パーツの間に材料接続を生じさせる。複数のプラスチック材料パーツは、ソノトロードと対向工具との間に配置される。ソノトロードが超音波振動により励起されると、例えば20kHの周波数と、例えば5μm~50μmの振動振幅を有する縦振動がソノトロードによって複数のプラスチック材料パーツに導入される。アプリケーションに応じて、摩擦によって、ソノトロードとプラスチック材料との間、あるいは接触している複数のプラスチック材料パーツの間に熱が発生し、また分子鎖内にも熱が発生し、材料が溶融する。
【0003】
超音波溶接は、特に、複数の射出成形パーツを接合すること、異なる材料をリベットで留めること、フランジングによる形状固定接合を生じさせることに使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソノトロードと場合によっては対向工具も超音波振動により励起される溶接段階では、被処理プラスチック材料が対向工具とソノトロードとの間に配置されている間に、ソノトロードと対向工具とを、典型的には、互いに向けて移動させる。
【0005】
したがって、溶接段階において、超音波振動は、ソノトロードによって材料に加えられ、場合によっては対向工具によっても加えられ、その間、ソノトロードと対向工具の2つの要素は、互いに向けて移動する。
【0006】
溶接段階では、ソノトロードがプラスチック材料を押圧する力、及び/又は、ソノトロードが対向工具の方向に移動する経路が制御される。例えば、材料にかかる力、ソノトロードの前進速度、又は材料の温度などのプロセスパラメータを調整及び変化させることによって、処理プロセスや溶接接合部の品質に影響を与えることができる。
【0007】
溶接段階の終了時に、超音波励起はオフにされる。超音波処理によって溶融した材料は、その後、固体状態に戻る。
【0008】
溶接段階に続く、ソノトロードが対向工具の方向に一定の力Fで材料を押圧する保持段階は、既に知られている。これにより、材料が再固化する前に材料パーツが互いに分離するのを防止することができる。
【0009】
しかしながら、保持段階を設けると、ソノトロードと対向工具が材料と接触している間の処理時間が長くなる。そのため、保持期間中は、ソノトロードと対向工具は、さらなる材料パーツの溶接に使用できない。
【0010】
超音波処理において、溶接プロセスのクオリティを損なうことなく、あるいは溶接プロセスのクオリティを改善しつつ、処理時間を短縮することは不変の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、ステップC)における保持段階の間、力Fを変化させることによって、本発明にしたがって達成される。保持段階は、材料が固化するのを待つという目的にかなわなければならないだけでなく、超音波振動がもはや材料に導入されない保持段階中に、固化プロセス、ひいては溶接接合部に影響を与えることが可能であることも示された。力Fを変化させることで、目標どおりに液体成分が作用を受けることが可能となり、固化プロセスを制御することが可能となる。
【0012】
ほとんどの場合、保持段階中に力Fを増加させることが有利である。材料に印加された力は、材料におけるより高い圧力のため、液相から固相への転移を支援する。ポリマー鎖の緩和も絡み合いを支援し、良好な接合をもたらす。
【0013】
しかしながら、材料が固化するにつれて、より高い反対圧力が材料によって与えられる。固化プロセス中に印加力Fを増加させることによって、固化が進行しても、材料のまだ液体の成分に十分な力が与えられ、これらの部分の固化を促進及び改善することができるようになる。
【0014】
本発明は、保持段階に初めて注目したものである。驚くべきことに、保持段階での力を変化させ、特に増加させることは、固化プロセスや、溶接接合部の品質にも著しい影響を与える。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態において、ステップC)は、ソノトロード及び対向工具の互いへの移動の制御又は調整を含む。
【0016】
例えば、ソノトロード及び対向工具を互いに向けて移動させる際の実際の圧力を測定し、当該実際の圧力を目標圧力と比較し、実際の圧力と目標圧力との間の差の関数として互いに向けての移動を変更することによって、調整を行うことができる。実際の圧力は、ソノトロード及び対向工具を互いに向けて移動させる前進手段の油圧又は空気圧であることができる。
【0017】
あるいは、実際の力Fを測定し、この実際の力を目標とする力と比較し、当該実際の力と目標とする力との間の差の関数として互いに向けての移動を変更することによって、調整を行うことができる。
【0018】
目標とする力は、例えば、時間の経過とともに増加する時間依存関数であることができる。一時的に、再び低い力を選択することも可能である。しかしながら、時刻tより後の時刻tにおける力Fが、時刻tにおける力Fより大きいことが本質的である。好ましい一実施形態では、単調増加関数が目標とする力として選択される。すなわち、力Fは保持段階中に減少しない。
【0019】
しかしながら、この保持段階の後に、溶接された材料パーツを取り除き、次の被処理材料をソノトロードと対向工具との間に配置するために、ソノトロードを再び対向工具から離さなければならないことに注意することが重要である。この開放段階は、ソノトロードの移動方向が逆になるため、力Fの急激な減少で始まる。開放段階は、保持段階の一部ではなく、保持段階に続く。
【0020】
さらなる好ましい一実施形態において、ソノトロード又は対向工具の実際の距離dを測定し、当該実際の距離を目標距離と比較し、実際の距離と目標距離との間の差の関数として互いに向けての移動を変更することによって、ソノトロード及び対向工具の互いに向けての移動が調整されることが提供される。
【0021】
実際の距離は、例えばソノトロードの位置を測定することによって、直接的又は間接的に測定することができ、ソノトロードの位置から、静止した対向工具までの距離を導き出すことができる。距離を計算する必要はない。実際の距離dは、ソノトロードの位置と、わずかな差しか相違しないので、ソノトロードの位置を測定して、それをソノトロードの目標位置と比較すれば十分である。
【0022】
目標距離は、例えば、経時的に単調に減少する関数であることができる。
【0023】
別の特に好ましい実施形態では、その導関数が経時的に一定である関数が目標距離として選択される。
【0024】
これにより、距離を一定の速度で減少することが確保される。
【0025】
互いに向けての移動は、ソノトロード及び対向工具が被処理材料を押圧する力を変化させることによって、実際の距離と目標距離との間の差の関数として変更することができる。
【0026】
本発明の更なる利点、特徴及び可能な応用は、好ましい実施形態の以下の説明及び関連する図から明らかになるであろう。図には、以下のものが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明にしたがう方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明にしたがう超音波処理方法は、溶接段階1と保持段階2との2つの段階からなる。溶接段階中に、被処理材料を、高周波で振動するソノトロードに接触させる。
【0029】
特に、材料が異なる材料パーツからなる場合、材料パーツ間の接触面で、局部的に材料加熱につながる高周波摩擦効果が生じ、ポリマー材料が溶融する。十分な溶融が起こったらすぐに、溶接段階は終了する。すなわち、ソノトロードと、場合によっては対向工具の超音波励起も終了する。
【0030】
原則的に、ワークピースは超音波溶接システムから取り外すことができる。しかし、ポリマー材料は溶融部分でまだ高い可動性を示すため、材料パーツが再び分離するおそれがある。そのため、ポリマー溶融体が再固化するまで待つ必要がある。このいわゆる保持段階2では、ソノトロードによって被処理材料に力が加えられる。
【0031】
保持段階中に、ポリマー材料の液体成分が固化する。しかしながら、これはすべての液体成分にわたって均一に起こるのではなく、部分的に徐々に起こる。保持段階2において、ソノトロードによって材料に加えられる力を着実に増加させることによって、固化プロセスを加速することができる。
【0032】
液体部分の固化が進むにつれて、材料がソノトロードに提供する抵抗が大きくなる。したがって、固化プロセスをさらに加速し、ポリマー鎖により良好な絡み合いをもたらすために、本発明によれば、保持段階において力を一定に保つのではなく、代わりに変化させ、特に、好ましくは増加させる。
【0033】
特に好ましい実施形態では、これは、ソノトロードと対向工具との間の相対位置を測定し、ソノトロードと対向工具との間の距離を一定の速度で減少させることによって達成される。保持段階の終わりには、超音波処理によって液化したポリマー領域の実質的に全てが再固化しているため、ソノトロードとアンビルを再び互いに離して材料を取り出し、次の被処理材料片を一方でソノトロードと他方で対向工具との間に配置することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 溶接段階
2 保持段階
図1
【手続補正書】
【提出日】2021-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
A)プラスチック材料をソノトロードと対向工具との間に配置すること、
B)溶接段階中に、超音波振動により励起されたソノトロードをプラスチック材料に接触させること、及び
C)ソノトロードも対向工具も超音波振動により励起されない保持段階中に、ソノトロードと対向工具とを互いに向けて移動させて、プラスチック材料に力Fを印加すること、
を含む、プラスチック材料の超音波処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの超音波処理方法は一般的に知られている。この方法は、複数のプラスチック材料パーツの間に材料接続を生じさせる。複数のプラスチック材料パーツは、ソノトロードと対向工具との間に配置される。ソノトロードが超音波振動により励起されると、例えば20kHの周波数と、例えば5μm~50μmの振動振幅を有する縦振動がソノトロードによって複数のプラスチック材料パーツに導入される。アプリケーションに応じて、摩擦によって、ソノトロードとプラスチック材料との間、あるいは接触している複数のプラスチック材料パーツの間に熱が発生し、また分子鎖内にも熱が発生し、材料が溶融する。
【0003】
超音波溶接は、特に、複数の射出成形パーツを接合すること、異なる材料をリベットで留めること、フランジングによる形状固定接合を生じさせることに使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソノトロードと場合によっては対向工具も超音波振動により励起される溶接段階では、被処理プラスチック材料が対向工具とソノトロードとの間に配置されている間に、ソノトロードと対向工具とを、典型的には、互いに向けて移動させる。
【0005】
したがって、溶接段階において、超音波振動は、ソノトロードによって材料に加えられ、場合によっては対向工具によっても加えられ、その間、ソノトロードと対向工具の2つの要素は、互いに向けて移動する。
【0006】
溶接段階では、ソノトロードがプラスチック材料を押圧する力、及び/又は、ソノトロードが対向工具の方向に移動する経路が制御される。例えば、材料にかかる力、ソノトロードの前進速度、又は材料の温度などのプロセスパラメータを調整及び変化させることによって、処理プロセスや溶接接合部の品質に影響を与えることができる。
【0007】
溶接段階の終了時に、超音波励起はオフにされる。超音波処理によって溶融した材料は、その後、固体状態に戻る。
【0008】
溶接段階に続く、ソノトロードが対向工具の方向に一定の力Fで材料を押圧する保持段階は、既に知られている。これにより、材料が再固化する前に材料パーツが互いに分離するのを防止することができる。
【0009】
例えば、米国特許出願公開第2018/304543号明細書(A1)には、熱可塑性材料を含む第1のコンポーネントを第2のコンポーネントに機械的に固定する方法であって、熱可塑性材料が、振動及び関連する摩擦熱の発生の導入により溶融され、溶融後の冷却段階で熱可塑性材料が再固化するときに第2のコンポーネントとの結合が形成される方法が記載されている。同様の方法は、欧州特許出願公開第0 301 831号明細書(A2)、欧州特許出願公開第2 990 182号明細書(A2)、欧州特許出願公開第0 421 019号明細書(A1)、米国特許第3 022 814号明細書(A)及び米国特許第4 904 319号明細書(A)からも公知である。
【0010】
しかしながら、保持段階を設けると、ソノトロードと対向工具が材料と接触している間の処理時間が長くなる。そのため、保持期間中は、ソノトロードと対向工具は、さらなる材料パーツの溶接に使用できない。
【0011】
超音波処理において、溶接プロセスのクオリティを損なうことなく、あるいは溶接プロセスのクオリティを改善しつつ、処理時間を短縮することは不変の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、ステップC)における保持段階の間、力Fを変化させることによって、及び、ステップC)において、ソノトロード及び対向工具の互いに向けての移動を制御又は調整することによって、本発明にしたがって達成される。保持段階は、材料が固化するのを待つという目的にかなわなければならないだけでなく、超音波振動がもはや材料に導入されない保持段階中に、固化プロセス、ひいては溶接接合部に影響を与えることが可能であることも示された。力Fを変化させることで、目標どおりに液体成分が作用を受けることが可能となり、固化プロセスを制御することが可能となる。
【0013】
ほとんどの場合、保持段階中に力Fを増加させることが有利である。材料に印加された力は、材料におけるより高い圧力のため、液相から固相への転移を支援する。ポリマー鎖の緩和も絡み合いを支援し、良好な接合をもたらす。
【0014】
しかしながら、材料が固化するにつれて、より高い反対圧力が材料によって与えられる。固化プロセス中に印加力Fを増加させることによって、固化が進行しても、材料のまだ液体の成分に十分な力が与えられ、これらの部分の固化を促進及び改善することができるようになる。
【0015】
本発明は、保持段階に初めて注目したものである。驚くべきことに、保持段階での力を変化させ、特に増加させることは、固化プロセスや、溶接接合部の品質にも著しい影響を与える。
【0016】
本発明の好ましい一実施形態において、ステップC)は、ソノトロード及び対向工具の互いへの移動の調整を含む。
【0017】
例えば、ソノトロード及び対向工具を互いに向けて移動させる際の実際の圧力を測定し、当該実際の圧力を目標圧力と比較し、実際の圧力と目標圧力との間の差の関数として互いに向けての移動を変更することによって、調整を行うことができる。実際の圧力は、ソノトロード及び対向工具を互いに向けて移動させる前進手段の油圧又は空気圧であることができる。
【0018】
あるいは、実際の力Fを測定し、この実際の力を目標とする力と比較し、当該実際の力と目標とする力との間の差の関数として互いに向けての移動を変更することによって、調整を行うことができる。
【0019】
目標とする力は、例えば、時間の経過とともに増加する時間依存関数であることができる。一時的に、再び低い力を選択することも可能である。しかしながら、時刻tより後の時刻tにおける力Fが、時刻tにおける力Fより大きいことが本質的である。好ましい一実施形態では、単調増加関数が目標とする力として選択される。すなわち、力Fは保持段階中に減少しない。
【0020】
しかしながら、この保持段階の後に、溶接された材料パーツを取り除き、次の被処理材料をソノトロードと対向工具との間に配置するために、ソノトロードを再び対向工具から離さなければならないことに注意することが重要である。この開放段階は、ソノトロードの移動方向が逆になるため、力Fの急激な減少で始まる。開放段階は、保持段階の一部ではなく、保持段階に続く。
【0021】
さらなる好ましい一実施形態において、ソノトロード又は対向工具の実際の距離dを測定し、当該実際の距離を目標距離と比較し、実際の距離と目標距離との間の差の関数として互いに向けての移動を変更することによって、ソノトロード及び対向工具の互いに向けての移動が調整されることが提供される。
【0022】
実際の距離は、例えばソノトロードの位置を測定することによって、直接的又は間接的に測定することができ、ソノトロードの位置から、静止した対向工具までの距離を導き出すことができる。距離を計算する必要はない。実際の距離dは、ソノトロードの位置と、わずかな差しか相違しないので、ソノトロードの位置を測定して、それをソノトロードの目標位置と比較すれば十分である。
【0023】
目標距離は、例えば、経時的に単調に減少する関数であることができる。
【0024】
別の特に好ましい実施形態では、その導関数が経時的に一定である関数が目標距離として選択される。
【0025】
これにより、距離を一定の速度で減少することが確保される。
【0026】
互いに向けての移動は、ソノトロード及び対向工具が被処理材料を押圧する力を変化させることによって、実際の距離と目標距離との間の差の関数として変更することができる。
【0027】
本発明の更なる利点、特徴及び可能な応用は、好ましい実施形態の以下の説明及び関連する図から明らかになるであろう。図には、以下のものが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明にしたがう方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明にしたがう超音波処理方法は、溶接段階1と保持段階2との2つの段階からなる。溶接段階中に、被処理材料を、高周波で振動するソノトロードに接触させる。
【0030】
特に、材料が異なる材料パーツからなる場合、材料パーツ間の接触面で、局部的に材料加熱につながる高周波摩擦効果が生じ、ポリマー材料が溶融する。十分な溶融が起こったらすぐに、溶接段階は終了する。すなわち、ソノトロードと、場合によっては対向工具の超音波励起も終了する。
【0031】
原則的に、ワークピースは超音波溶接システムから取り外すことができる。しかし、ポリマー材料は溶融部分でまだ高い可動性を示すため、材料パーツが再び分離するおそれがある。そのため、ポリマー溶融体が再固化するまで待つ必要がある。このいわゆる保持段階2では、ソノトロードによって被処理材料に力が加えられる。
【0032】
保持段階中に、ポリマー材料の液体成分が固化する。しかしながら、これはすべての液体成分にわたって均一に起こるのではなく、部分的に徐々に起こる。保持段階2において、ソノトロードによって材料に加えられる力を着実に増加させることによって、固化プロセスを加速することができる。
【0033】
液体部分の固化が進むにつれて、材料がソノトロードに提供する抵抗が大きくなる。したがって、固化プロセスをさらに加速し、ポリマー鎖により良好な絡み合いをもたらすために、本発明によれば、保持段階において力を一定に保つのではなく、代わりに変化させ、特に、好ましくは増加させる。
【0034】
特に好ましい実施形態では、これは、ソノトロードと対向工具との間の相対位置を測定し、ソノトロードと対向工具との間の距離を一定の速度で減少させることによって達成される。保持段階の終わりには、超音波処理によって液化したポリマー領域の実質的に全てが再固化しているため、ソノトロードとアンビルを再び互いに離して材料を取り出し、次の被処理材料片を一方でソノトロードと他方で対向工具との間に配置することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 溶接段階
2 保持段階
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)プラスチック材料をソノトロードと対向工具との間に配置すること、
B)溶接段階中に、超音波振動により励起された前記ソノトロードを前記プラスチック材料に接触させること、及び
C)前記ソノトロードも対向工具も超音波振動により励起されない保持段階中に、前記ソノトロードと前記対向工具とを互いに向けて移動させて、前記プラスチック材料に力Fを印加すること、
を含む、プラスチック材料の超音波処理方法であって、
ステップC)における前記保持段階中に前記力Fを変化させること、及び、ステップC)において、前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が制御又は調整されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップC)における前記保持段階中に前記力を増加させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップC)において、前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が調整されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が、前記ソノトロード及び前記対向工具を互いに向けて移動させる際の実際の圧力を測定し、前記実際の圧力を目標圧力と比較し、前記実際の圧力と前記目標圧力との間の差の関数として互いに向けての前記移動を変更することによって、ステップC)において調整されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が、実際の力Fを測定し、前記実際の力を目標とする力と比較し、前記実際の力と前記目標とする力との間の差の関数として互いに向けての前記移動を変更することによって、ステップC)において調整されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が、前記ソノトロード又は前記対向工具の実際の距離dを測定し、前記実際の距離を目標距離と比較し、前記実際の距離と前記目標距離との間の差の関数として互いに向けての前記移動を変更することによって、ステップC)において調整されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記目標距離として、経時的に単調に減少する関数が選択されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記目標距離として、関数が選択され、この関数の導関数は経時的に一定であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)プラスチック材料をソノトロードと対向工具との間に配置すること、
B)溶接段階中に、超音波振動により励起された前記ソノトロードを前記プラスチック材料に接触させること、及び
C)前記ソノトロードも対向工具も超音波振動により励起されない保持段階中に、前記ソノトロードと前記対向工具とを互いに向けて移動させて、前記プラスチック材料に力Fを印加すること、
を含み、ステップC)における前記保持段階中に前記力Fを変化させる、プラスチック材料の超音波処理方法であって、
ステップC)において、前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が制御又は調整されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップC)における前記保持段階中に前記力を増加させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップC)において、前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が調整されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が、前記ソノトロード及び前記対向工具を互いに向けて移動させる際の実際の圧力を測定し、前記実際の圧力を目標圧力と比較し、前記実際の圧力と前記目標圧力との間の差の関数として互いに向けての前記移動を変更することによって、ステップC)において調整されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が、実際の力Fを測定し、前記実際の力を目標とする力と比較し、前記実際の力と前記目標とする力との間の差の関数として互いに向けての前記移動を変更することによって、ステップC)において調整されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ソノトロード及び前記対向工具の互いに向けての移動が、前記ソノトロード又は前記対向工具の実際の距離dを測定し、前記実際の距離を目標距離と比較し、前記実際の距離と前記目標距離との間の差の関数として互いに向けての前記移動を変更することによって、ステップC)において調整されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記目標距離として、経時的に単調に減少する関数が選択されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記目標距離として、関数が選択され、この関数の導関数は経時的に一定であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【国際調査報告】