(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】マスクのフィッティングをガイドするアプリケーション
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20230220BHJP
A61M 16/06 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
A61M16/00 305A
A61M16/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022531561
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 SG2020050693
(87)【国際公開番号】W WO2021107874
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】10201911248T
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521509985
【氏名又は名称】レスメド・アジア・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベン・ハイ・タン
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド・アディル・ビン・アブドゥル・ハリム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ケアト・リム
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ホル・チャン
(72)【発明者】
【氏名】アミット・アルンチャンドラ・ジャドハブ
(72)【発明者】
【氏名】バリー・エン・ケオン・タイ
(72)【発明者】
【氏名】チェオウン・ホン・リー
(72)【発明者】
【氏名】テオン・ホン・チュアー
(72)【発明者】
【氏名】ジン・チェン
(57)【要約】
患者の少なくとも1つの気道と係合するように構成された患者インターフェースを介して患者へ持続的空気陽圧を提供する呼吸圧力治療システム。システムは、患者へ送達されるべき呼吸可能なガスの供給を患者インターフェースを介して生成するように構成された流れ生成器;少なくとも1つのセンサ;ディスプレイ;およびコンピューティングデバイスを含む。コンピューティングデバイスは、呼吸可能なガスの供給の測定された物性に基づいたセンサデータを受信すること;受信されたセンサデータに基づいて流れ生成器を制御して、呼吸可能なガスの供給の特性を調節すること;支援が必要とされている旨を示す入力を患者インターフェースを用いて受信すること;患者の1つ以上の画像を患者インターフェースを用いて受信すること;受信された1つ以上の画像を分析すること;および分析に基づいて、患者インターフェースを位置決めせよとの命令をディスプレイ上に表示することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の少なくとも1つの気道と係合するように構成された患者インターフェースを介して患者へ持続的空気陽圧(CPAP)を提供する呼吸圧力治療システムであって、前記呼吸圧力治療システムは、
前記患者へ送達されるべき呼吸可能なガスの供給を前記患者インターフェースを介して生成するように構成された流れ生成器であって、前記呼吸可能なガスは、雰囲気圧力を超えた圧力レベルにて前記流れ生成器から出力される、流れ生成器;
前記呼吸可能なガスが前記患者へ供給されているときに物理量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ;
ディスプレイ;および
メモリおよび少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含むコンピューティングデバイスであって、前記コンピューティングデバイスは、
前記呼吸可能なガスの供給の測定された物性に基づいたセンサデータを前記少なくとも1つのセンサから受信すること;
前記受信されたセンサデータに基づいて前記流れ生成器を制御して、前記患者へ送達される前記呼吸可能なガスの供給の特性を調節すること;
支援が必要とされている旨を示す入力を前記患者インターフェースを用いて受信すること;
前記患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像を受信すること;
前記受信された1つ以上の画像を分析すること;および
前記分析に基づいて、前記患者インターフェースを位置決めせよとの命令を前記ディスプレイ上に表示すること、を行うように構成される、コンピューティングデバイスを含む、呼吸圧力治療システム。
【請求項2】
前記メモリは、前記患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の基準画像を含み、前記表示された命令は、前記1つ以上の基準画像と前記受信された1つ以上の画像との間の比較に基づいて前記コンピューティングデバイスによって生成される、請求項1に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項3】
コンピューティングデバイスは、前記1つ以上の基準画像をキャプチャするように構成されたカメラへ連結される、請求項2に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項4】
前記コンピューティングデバイスは、前記1つ以上の基準画像と前記受信された1つ以上の画像とを比較して、患者インターフェースの不適切なフィッティング位置を決定するように構成される、請求項2または3に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項5】
前記コンピューティングデバイスは、前記患者インターフェースの正しい位置を前記受信された1つ以上の画像上にスーパーインポーズするように構成され、前記表示された命令は、前記1つ以上のスーパーインポーズされた画像を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項6】
リモートコンピューティングシステムをさらに含み、前記リモートコンピューティングシステムは、前記患者インターフェースを位置決めせよとの命令を決定することと、前記命令を前記コンピューティングデバイスへ送信することとを行うように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項7】
前記リモートコンピューティングシステムは、
前記コンピューティングデバイスから前記1つ以上の画像を受信すること;
患者インターフェースの正しい位置決めの命令について機械学習モデルを訓練すること;を行うように構成され、
前記患者インターフェースを位置決めせよとの命令は、前記訓練された機械学習モデルに基づいて決定される、請求項6に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項8】
前記コンピューティングデバイスは、前記患者インターフェースの種類を示す入力を受信することと、前記入力によって示された前記患者インターフェースの種類を使用せよとの命令を前記ディスプレイ上に表示することとを行うように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項9】
前記コンピューティングデバイスは、前記1つ以上の画像を用いて機械学習を行うように構成されたリモート処理システムへ前記受信された1つ以上の画像を送信するように構成される、請求項1~5または8のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項10】
前記命令は、テキスト、画像および/またはグラフィックを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項11】
患者の少なくとも1つの気道と係合するように構成された患者インターフェースを介して前記患者へ送達される呼吸可能なガスの供給を生成するように構成された持続的空気陽圧(CPAP)デバイスを制御するように構成されるコンピューティングデバイスと共に用いられる命令を保存する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記呼吸可能なガスは、雰囲気圧力を超えた圧力レベルにて流れ生成器から出力され、前記持続的空気陽圧(CPAP)デバイスは、前記呼吸可能なガスが前記患者へ供給されているときに物理量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサと関連付けられ、前記コンピューティングデバイスは、少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含み、前記保存された命令は、前記コンピューティングデバイスに、
前記呼吸可能なガスの供給の測定された物性に基づいたセンサデータを前記少なくとも1つのセンサから受信すること;
前記受信されたセンサデータに基づいて前記流れ生成器を制御して、前記患者へ送達される前記呼吸可能なガスの供給の特性を調節すること;
支援が必要とされている旨を示す入力を前記患者インターフェースを用いて受信すること;
前記患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像を受信すること;
前記受信された1つ以上の画像を分析すること;および
前記分析に基づいて、前記患者インターフェースを位置決めせよとの命令を前記ディスプレイ上に表示すること、を行わせるように構成された命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
ディスプレイ;
カメラ;
メモリ;および
前記ディスプレイ、前記カメラおよび前記メモリへ連結された少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含む処理システムであって、前記処理システムは、
患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを前記患者へ供給するように構成された患者インターフェースの種類を特定する通知を受信すること;
患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像を前記カメラから受信すること;
前記受信された1つ以上の画像を分析して、前記患者上の前記患者インターフェースのフィット感を決定すること;および
前記分析に基づいて、前記患者上の前記患者インターフェースのフィット感の向上のためのフィードバックを前記ディスプレイ上に表示すること、を行うように構成される、処理システム、を含む、デバイス。
【請求項13】
前記患者インターフェースの種類を特定する前記受信された通知は、ユーザ入力である、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記患者インターフェースの種類を特定する前記受信された通知は、前記処理システムによって前記患者インターフェースを含む画像に基づいて決定される、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記分析は、前記受信された1つ以上の画像を1つ以上の基準画像と比較することを含む、請求項12~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記1つ以上の基準画像は、前記患者を前記患者インターフェースと共に含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記1つ以上の基準画像は、複数の基準点を含み、前記分析は、前記受信された1つ以上の画像中の基準点を検出することと、前記検出された基準点を前記1つ以上のディフェンス画像中の前記複数の基準点と比較することとを含む、請求項15または16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記分析は、患者インターフェース中に含まれる1つ以上のインジケータを前記受信された1つ以上の画像から抽出することを含む、請求項12~17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記受信された1つ以上の画像は、前記カメラの異なる位置および方向付けからキャプチャされる、請求項12~18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
複数の画像は、異なる時間においてキャプチャされ、前記分析は、前記複数の画像を比較して、前記異なる時間においてキャプチャされた画像間の前記患者インターフェースの位置決めの変化を決定することを含む、請求項12~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記フィードバックを表示することは、前記受信された画像のうち少なくとも1つを表示することを含み、前記処理システムは、前記患者インターフェースのフィット感の向上が可能な前記患者インターフェース上の位置付けを示す1つ以上の視覚インジケータを前記表示された受信画像内に含めるように構成される、請求項12~20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記処理システムは、前記特定された患者インターフェースの種類を使用せよとの命令を表示するように構成される、請求項12~21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記分析は、前記受信された1つ以上の画像と、他の患者から受信された情報に基づいて生成されたモデルとを比較することを含む、請求項12~22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記分析は、前記受信された1つ以上の画像からフィーチャを抽出することと、前記フィーチャの位置および/または方向付けを前記患者インターフェースの三次元モデルと比較することとを含む、請求項12~23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記分析は、前記受信された1つ以上の画像と、他の患者から受信されたデータに基づいて更新された機械訓練済みのモデルとを比較することを含む、請求項12~24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記デバイスは、携帯電話、タブレットまたはリモートコントロールである、請求項12~25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記処理システムは、前記患者インターフェースの表面または前記患者インターフェース中の表面上に配置された1つ以上のセンサからセンサデータを受信するようにさらに構成される、請求項12~26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記処理システムは、前記分析を行い、前記センサから受信されたデータに基づいて前記フィードバックを表示するようにさらに構成される、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記センサデータは、前記メモリ中に保存された事前設定されたセンサ値と比較される、請求項27または28に記載のデバイス。
【請求項30】
コンピューティングデバイスと共に用いられる命令を保存する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記保存された命令は、前記コンピューティングデバイスに、
患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを前記患者へ供給するように構成された患者インターフェースの種類を特定する通知を受信すること;
患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像をカメラから受信すること;
前記受信された1つ以上の画像を分析して、前記患者上の前記患者インターフェースのフィット感を決定すること;および
前記分析に基づいて、前記患者上の前記患者インターフェースのフィット感の向上のためのフィードバックをディスプレイ上に表示すること、を行わせるように構成された命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項31】
1つ以上の患者インターフェースセンサを含み、患者の少なくとも1つの気道と係合するように構成された患者インターフェースを介して患者へ持続的空気陽圧(CPAP)を提供する呼吸圧力治療システムであって、前記呼吸圧力治療システムは、
前記患者へ送達されるべき呼吸可能なガスの供給を前記患者インターフェースを介して生成するように構成された流れ生成器であって、前記呼吸可能なガスは、雰囲気圧力を超えた圧力レベルにて前記流れ生成器から出力される、流れ生成器;
ディスプレイ;および
メモリおよび少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含むコンピューティングデバイスであって、前記コンピューティングデバイスは、
前記流れ生成器を制御して、前記患者へ送達される前記呼吸可能なガスの供給の特性を調節すること;
前記1つ以上の患者インターフェースセンサからセンサデータを受信すること;
前記受信されたセンサデータを前記メモリ中の事前設定された値と比較すること;および
前記比較に基づいて、前記患者インターフェースを位置決めせよとの命令を前記ディスプレイ上に表示すること、を行うように構成される、コンピューティングデバイスを含む、呼吸圧力治療システム。
【請求項32】
前記メモリは、患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像を含み、前記表示された命令は、前記比較に基づいて前記1つ以上の画像を表示することを含む、請求項31に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項33】
前記コンピューティングデバイスは、前記患者が前記患者インターフェースと共にある様子の1つ以上の画像をキャプチャするように構成されたカメラへ連結される、請求項31または32に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項34】
前記コンピューティングデバイスは、メモリ中に保存された1つ以上の基準画像と、前記キャプチャされた1つ以上の画像とを比較して、患者インターフェースの不適切なフィッティング位置を決定するように構成される、請求項33に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項35】
前記コンピューティングデバイスは、前記患者インターフェースの正しい位置を前記キャプチャされた1つ以上の画像上にスーパーインポーズするように構成され、前記表示された命令は、前記1つ以上のスーパーインポーズされた画像を含む、請求項34に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項36】
リモートコンピューティングシステムをさらに含み、前記リモートコンピューティングシステムは、前記患者インターフェースを位置決めせよとの命令を決定することと、前記命令を前記コンピューティングデバイスへ送信することとを行うように構成される、請求項31~35のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項37】
前記コンピューティングデバイスは、前記患者インターフェースの種類を示す入力を受信することと、前記入力によって示された前記患者インターフェースの種類を使用せよとの命令を前記ディスプレイ上に表示することとを行うように構成される、請求項31~36のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項38】
前記1つ以上の患者インターフェースセンサのうち少なくとも1つは、前記患者インターフェースの表面上に配置される、請求項31~37のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項39】
前記1つ以上の患者インターフェースセンサのうち少なくとも1つは、前記患者インターフェースのマスクの内側の圧力を測定するように構成された圧力センサである、請求項31~38のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項40】
前記1つ以上の患者インターフェースセンサのうち少なくとも1つは、前記患者インターフェースの口クッションまたは鼻クッション中の前記呼吸可能なガスの供給の物性を測定するように構成されたセンサである、請求項31~39のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項41】
前記1つ以上の患者インターフェースセンサのうち少なくとも1つは、前記患者インターフェースのストラップの表面または内側に配置される、請求項31~40のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項42】
ディスプレイ;
カメラ;
メモリ;および
前記ディスプレイ、前記カメラおよび前記メモリへ連結された少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含む処理システムであって、前記処理システムは、
患者を含む1つ以上の画像を前記カメラを用いてキャプチャすること;
顔フィーチャの特性を前記キャプチャされた画像から決定すること;
前記顔フィーチャの前記決定された特性を分析のためにリモート処理システムへ送信すること;
前記患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを前記患者へ供給するように構成された患者インターフェースの1つ以上の設定についてのデータを、前記リモート処理システムから受信すること;および
前記患者インターフェースの前記1つ以上の設定についての前記受信されたデータに基づいて前記患者インターフェースの前記1つ以上の設定を調節せよとの命令を前記ディスプレイ上に表示すること、を行うように構成される、処理システムを含む、デバイス。
【請求項43】
前記処理システムは、
前記患者インターフェースの種類を特定するユーザ入力を受信すること;および
前記患者インターフェースの種類を分析のために前記リモート処理システムへ送信することを行うようにさらに構成される、請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
前記処理システムは、
前記患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の第2の画像を前記カメラから受信すること;
前記受信された1つ以上の第2の画像を分析して、前記患者上の前記患者インターフェースのフィット感を決定すること;および
前記分析と、前記患者インターフェースの前記1つ以上の設定についての前記受信されたデータとに基づいて、前記患者上の前記患者インターフェースのフィット感の向上のためのフィードバックを前記ディスプレイ上に表示すること、を行うようにさらに構成される、請求項42に記載のデバイス。
【請求項45】
前記分析は、前記受信された1つ以上の第2の画像を1つ以上の基準画像と比較することを含む、請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記1つ以上の基準画像は、前記患者インターフェースを着用している前記患者を含む、請求項45に記載のデバイス。
【請求項47】
前記1つ以上の基準画像は、複数の基準点を含み、前記分析は、前記受信された1つ以上の第2の画像中の基準点を検出することと、前記検出された基準点を前記1つ以上のディフェンス画像中の前記複数の基準点と比較することとを含む、請求項45または46に記載のデバイス。
【請求項48】
前記分析は、前記患者インターフェース上に含まれる1つ以上のインジケータを前記受信された1つ以上の第2の画像から抽出することを含む、請求項44~47のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項49】
前記1つ以上のインジケータは、前記患者インターフェースの1つ以上のストラップ上に設けられた複数のインジケータを含む、請求項48に記載のデバイス。
【請求項50】
前記1つ以上のインジケータは、前記患者インターフェースのマスク上に設けられた少なくとも1つのインジケータを含む、請求項48または49に記載のデバイス。
【請求項51】
前記1つ以上のインジケータは、ストラップのうち少なくとも1つを前記患者インターフェースのマスクへ接続させるように構成されたコネクタ上に設けられたインジケータを含む、請求項48または50に記載のデバイス。
【請求項52】
前記処理システムは、1つ以上のストラップから付加される力を前記1つ以上の第2の画像内の前記1つ以上のインジケータの特性に基づいて決定することを行うようにさらに構成される、請求項48または51に記載のデバイス。
【請求項53】
前記処理システムは、前記患者インターフェースの異なるストラップから付加された力の比較を前記異なるストラップ内に含まれる前記1つ以上のインジケータの特性に基づいて行うようにさらに構成される、請求項48または52に記載のデバイス。
【請求項54】
前記処理システムは、前記1つ以上のストラップ内の前記1つ以上のインジケータの特性に基づいて1つ以上のストラップが締め付けすぎである旨を示すようにさらに構成される、請求項48または53に記載のデバイス。
【請求項55】
前記リモート処理システムによって行われる分析は、前記受信された1つ以上の画像と、複数の他の患者から受信された情報に基づいて生成されたモデルとを比較することを含む、請求項42に記載のデバイス。
【請求項56】
前記デバイスは、前記患者へ持続的空気陽圧(CPAP)を提供する呼吸圧力治療デバイスであり、前記呼吸圧力治療デバイスは、
前記患者へ送達されるべき呼吸可能なガスの供給を前記患者インターフェースを介して生成するように構成された流れ生成器であって、前記呼吸可能なガスは、雰囲気圧力を超えた圧力レベルにて前記流れ生成器から出力される、流れ生成器;および
前記呼吸可能なガスが前記患者へ供給されているときに物理量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ、を含む、請求項42または55に記載のデバイス。
【請求項57】
コンピューティングデバイスと共に用いられる命令を保存する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記保存された命令は、前記コンピューティングデバイスに、
カメラによってキャプチャされた、患者を含む1つ以上の画像を受信すること;
顔フィーチャの特性を前記キャプチャされた画像から決定すること;
前記顔フィーチャの前記決定された特性を分析のためにリモート処理システムへ送信すること;
前記患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを前記患者へ供給するように構成された患者インターフェースの1つ以上の設定についてのデータを、前記リモート処理システムから受信すること;および
前記患者インターフェースの前記1つ以上の設定についての前記受信されたデータに基づいて前記患者インターフェースの前記1つ以上の設定を調節せよとの命令を出力すること、を行わせるように構成された命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 関連出願の相互参照
本出願は、シンガポール特許出願第10201911248T(出願日:2019年11月27日)に対する優先権を主張する。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【背景技術】
【0002】
2 技術の背景
2.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連障害のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術は、医療デバイスまたは装置ならびにその使用にも関連し、より詳細には、医療デバイスまたは装置と関連付けられた不適切な患者インターフェースの位置決めの検出ならびに/あるいは患者インターフェースの正しいフィッティング位置への位置決めおよび/または患者インターフェースの正しいフィッティング位置への調節へのガイドを行うための方法およびシステムに関連する。
2.2 関連技術の説明
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその障害
【0003】
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口は、患者の気道への入口を形成する。
【0004】
これらの気道は、一連の枝管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、吸息された空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、誘導気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の胞状の領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:非特許文献1。
【0005】
一定範囲の呼吸障害が存在している。特定の障害は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0006】
呼吸障害の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁障害が含まれる。
【0007】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠時呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。これは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。このような疾病に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候群は一般的な障害であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。特許文献1(Sullivan)を参照されたい。
【0008】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠時呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の障害であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CSRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。特許文献2(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0009】
呼吸不全とは、呼吸障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼息を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の障害のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0010】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0011】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0012】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0013】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋障害は、急速進行性および緩徐進行性に分けることができる。(i)急速進行性障害の特徴:数か月にわたって悪化し、数年以内に死に至る筋肉障害(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および10代のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)など)を特徴とする。(ii)変性または緩徐進行性障害:数年にわたって悪化するものの、予命の短縮は軽度にとどまる筋肉障害(例えば、肢帯型、顔面肩甲上腕型、および筋緊張型筋ジストロフィー)を特徴とする。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる。全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0014】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる。労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0015】
このような疾病を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸障害の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
2.2.2 治療
【0016】
多様な呼吸治療(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)治療、非侵襲的換気(NIV)、侵襲的換気(IV)、および高流量治療(HFT))が上記の呼吸障害の1つ以上の治療のために用いられている。
2.2.2.1 呼吸圧力治療
【0017】
呼吸圧力治療とは、(例えば、タンクベンチレータや陽陰圧体外式人工呼吸器(cuirass)などの陰圧治療とは異なり、)患者の呼吸サイクル全体にかけて雰囲気に対して通常陽圧である制御された目標圧力において気道の入口へ空気を供給することの適用である。
【0018】
持続的気道陽圧(CPAP)治療が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用メカニズムとしては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続的気道陽圧が空気圧スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0019】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0020】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
2.2.2.2 流れ治療
【0021】
全ての呼吸治療において、規定の治療圧力の送達が意図されているわけではない。いくつかの呼吸治療においては、(恐らくは正のベースライン圧力上にスーパーインポーズされた)吸気流量プロファイルの送達を目標継続期間にわたって行うことによる規定呼吸量の送達が、企図されている。他の場合において、患者の気道へのインターフェースが「開放」(シール解除)されており、調整ガスまたは高濃度ガスの流れによる呼吸治療は、患者自身の自発呼吸の補助としてのみ用いられ得る。一例において、高流量治療(HFT)とは、連続的な、加熱された、加湿された空気流れをシールされていないかまたは開口した患者インターフェースを通じて、呼吸サイクル全体にかけてほぼ一定に保持される「治療流量」で提供することである。治療流量は、患者のピーク吸気流量を超えるようにノミナル設定されている。HFTは、OSA、CSR、呼吸不全、COPDおよび他の呼吸障害の治療のために用いられている。1つの作用メカニズムとして、患者の解剖学的死腔から呼気されたCO2のフラッシングまたは押し流しが可能になるため、高流量の空気を気道入口へ提供すると、換気効率が向上する。そのため、HFTは、死腔治療(DST)と呼ばれる場合がある。他の恩恵を挙げると、(恐らくは分泌制御の恩恵による)暖かさおよび加湿の向上や、気道圧力の緩やかな上昇の可能性がある。一定の流量の代替例として、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルに追随し得る。
【0022】
別の形態の流れ治療として、長期酸素治療(LTOT)または酸素補充治療がある。医師は、酸素富化ガスの連続流れを指定酸素濃度(周囲空気中の酸素分率が21%~100%)において指定流量(例えば、1リットル/分(LPM)、2LPM、3LPM)において患者の気道へ送達させる旨を処方し得る。
2.2.2.3 補充酸素
【0023】
特定の患者の場合、補充酸素を加圧空気流れへ付加することにより、酸素治療と呼吸圧力治療またはHFTとの組み合わせが得られ得る。呼吸圧力治療へ酸素を付加した場合、これは、補充酸素を用いたRPTと呼ばれる。HFTへ酸素を付加した場合、その結果得られる治療は、補充酸素を用いたHFTと呼ばれる。
2.2.3 呼吸治療システム
【0024】
これら呼吸治療は、呼吸治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾病を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも、用いられ得る。
【0025】
呼吸治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、酸素呼吸源、およびデータ管理を含み得る。
【0026】
別の形態の治療システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
2.2.3.1 患者インターフェース
【0027】
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口へのマスク、口への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される治療に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、治療実行のための周囲圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば周囲圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。鼻HFTなどの流れ治療の場合、患者インターフェースは、鼻孔への送気を行い(かつ完全なシールを明確に回避する)ように、構成される。このような患者インターフェースの一例として、鼻カニューレがある。
【0028】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0029】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0030】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0031】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0032】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎骨は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0033】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者のコンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0034】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸障害の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者のコンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0035】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠時呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠時呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0036】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
2.2.3.1.1 シール形成構造
【0037】
患者インターフェースは、シール形成構造を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成構造の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0038】
患者インターフェースは、使用時にシール形成構造を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、左鼻孔の周囲にシールを形成するための第1のサブ部分と、右鼻孔の周囲にシールを形成するための第2のサブ部分とを含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻ブリッジ領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に例えば顔の下唇領域上にシールを形成することにより口領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に双方の鼻孔および口領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0039】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成構造は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の前額上に載置される水泳用ゴーグルのシールは、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0040】
特定のシール形成構造は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。シールを形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成構造との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0041】
1つの種類のシール形成構造は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成構造が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成構造は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のあるシール要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成構造により、フィット感が不適切である場合、シール形成構造と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0042】
別の種類のシール形成構造は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成構造の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてこれに折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0043】
別の種類のシール形成構造は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これを不快であると感じる患者も存在する。
【0044】
別の形態のシール形成構造は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0045】
一定範囲の患者インターフェースシール形成構造の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:特許文献3;特許文献4;特許文献5に開示がある。
【0046】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された特許文献6(Trimbleら)の主題になっている。
【0047】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの例についての記載がある:特許文献7(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、特許文献8(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);特許文献9および特許文献10(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(商標)フルフェイスマスクの様相を記載);特許文献11(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
2.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
【0048】
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成構造は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成構造を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0049】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、特許文献12を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0050】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
【0051】
呼吸圧力治療(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。空気流れは、(呼吸圧力治療のために)圧力制御され得るかまたは(HFTなどの流れ治療のために)流れ制御され得る。そのため、RPTデバイスは、流れ治療デバイスとしても機能し得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0052】
空気圧力生成器は、広範な用途(例えば、工業規模換気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧力生成器は、より一般的な空気圧力生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0053】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0054】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH2Oにて測定)。
【0055】
【0056】
睡眠時呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(商標)シリーズ)の場合、複数の疾病(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的換気のための補助を提供し得る。
【0057】
ResMed Elisee(商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(商標)人工呼吸器は、複数の疾病の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的換気の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積換気モードおよび気圧通気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0058】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
2.2.3.3 空気回路
【0059】
空気回路は、使用時において空気流れが呼吸治療システムの2つの構成要素(例えば、RPTデバイスおよび患者インターフェース)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。いくつかの場合において、吸息および呼息のための空気回路の別個の肢があり得る。他の場合において、吸息と呼息との両方のために単一の肢空気回路が用いられる。
2.2.3.4 加湿器
【0060】
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。そのため、加湿器は、空気流れを加熱する能力だけでなく、空気流れを加湿する能力を持つことが多い。
【0061】
一定範囲の人工的加湿機器およびシステムが公知であるが、医療加湿器の特殊な要件を満たせていない。
【0062】
医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。枕元に置かれる医療加湿器は、小型である場合がある。医療加湿器は、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者体内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムの場合、部屋全体も加湿および/または加熱するため、占有者にとって不快感であり得る。さらに、医療加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
【0063】
多数の医療加湿器が公知であるものの、このような医療加湿器の場合、1つ以上の欠陥を被り得る。すなわち、このような医療加湿器の場合、加湿が不適切なものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
2.2.3.5 酸素呼吸源
【0064】
この分野の専門家は、呼吸不全患者が運動すると、疾病進行を遅らせ、生活の質を高め、患者の寿命を延ばす長期的恩恵が得られると認識してきた。しかし、トレッドミルおよび定置式自転車などの定置型の運動は、これらの患者にとって激し過ぎる。そのため、可動性の必要性が、長く認識されている。最近まで、この移動性は、台車に載せた小型の圧縮酸素タンクまたはボンベを使用して促されてきた。これらのタンクの欠点は、格納できる酸素の量が限られていることと、搭載時の重量が約50ポンドと重いことである。
【0065】
酸素濃縮器は、呼吸治療用の酸素供給のためにおよそ50年間にわたって使用されている。従来の酸素濃縮器の場合、嵩高かつ高重量であるため、酸素濃縮器を装着しながら通常の歩行活動を行うことは、困難かつ非実際的である。最近、大型の定置型酸素濃縮器の製造会社は、ポータブル酸素濃縮器(POC)の開発を開始している。POCの利点として、理論的には酸素をエンドレスに供給できる点がある。これらのデバイスを可動性のために小型にするために、酸素富化ガス生成に必要な多様なシステムが高密度化されている。重量、サイズおよび消費電力を最小限にするためには、POCは、生成された酸素の使用をできるたけ効率化する必要が有る。これは、酸素を一連のパルスまたは「ボーラス」として送達させることによって達成され得、各ボーラスは、吸気開始と一致するようなタイミングに設定される。この治療モードは、パルス型または要求(酸素)型の送達(POD)として公知であり、従来の連続流れ送達よりも、据え付け型酸素濃縮器により適している。
2.2.3.6 データ管理
【0066】
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを1つ以上の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0067】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0068】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
2.2.3.7 下顎の再位置決め
【0069】
下顎再位置決めデバイス(MRD)または下顎前方固定デバイス(MAD)は、睡眠時無呼吸およびいびきの治療選択肢の1つである。これは、歯科医または他の供給業者から利用可能である調節可能な口腔用器具であり、下顎部(下顎骨)を睡眠時に前方位置に保持する。MRDは、取り外し可能なデバイスであり、患者の睡眠前に口内に挿入され、睡眠後に取り外される。そのため、MRDは、常時装着用途を想定した設計はされていない。MRDは、カスタム仕様にしてもよいし、あるいは、標準形態で製造してもよく、患者の歯に適合するように設計された咬合印象部分を含む。この下顎からの機械的突起は、舌の後ろ側の空間を拡張させ、咽頭壁上へ張力を付加して、気道崩壊を低減させ、口蓋振動を低減させる。
【0070】
特定の例において、下顎前方固定デバイスは、上顎または上顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された上側スプリントと、上顎または下顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された下側スプリントとを含み得る。上側スプリントおよび下側スプリントは、一対の接続ロッドを介して相互に横方向に接続される。この1組の接続ロッドは、上側スプリントおよび下側スプリント上において対称に固定される。
【0071】
このような設計において、接続ロッドの長さは、MRDが患者の口中に配置されたときに下顎骨が前方位置に保持されるように、選択される。接続ロッドの長さは、下顎骨の突起のレベルを変化させるように、調節され得る。歯科医は、突起のレベルを下顎骨に合わせて決定することができ、その結果、接続ロッドの長さが決定される。
【0072】
下顎骨を上顎骨に対して前方に押し出すように構成されているMRDもあれば、ResMed Narval CC(商標)MRDなどの他のMADのように、下顎骨を前方位置に保持するように設計されているものもある。このデバイスにより、歯科的副作用および側頭/下顎間の関節(TMJ)の副作用も低下または最小化される。そのため、このデバイスは、歯のうち1つ以上の任意の移動を最小化または回避するように構成される。
2.2.3.8 通気技術
【0073】
いくつかの形態の治療システムは、呼息された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。
【0074】
この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0075】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:特許文献13;特許文献14;特許文献15;特許文献16;特許文献17。
【0076】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmH2O圧力)
【0077】
【0078】
(*試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH2Oにて測定)
【0079】
多様な対象の音圧値を以下に羅列する:
【0080】
【0081】
2.2.4 スクリーニング、診断システムおよび監視システム
【0082】
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺障害の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図検査(EMG))を記録するために、典型的には15~20個の接触覚センサを人体上に配置する。睡眠時呼吸障害のPSGのめには、患者を専門病院において二晩にわたって観察する必要があった。すなわち、第一夜は純然たる診断のためであり、第二夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションのために必要であった。そのため、PSGは高コストであり、利便性も低い。睡眠時呼吸障害のスクリーニング/診断/監視は家庭において特に不向きである。
【0083】
一般に、スクリーニングおよび診断は、疾病の兆候と症状によって疾病を特定することである。通常、スクリーニングは、患者のSDBがさらなる調査を求める程であるかないかを示す真/偽結果を出すいっぽう、診断は、臨床で実行可能な情報を出すことが多い。スクリーニングおよび診断は、一回性手続きになる傾向であることに反して、疾病の経過を監視することは無限定に続けられる。いくつかのスクリーニング/診断システムは、スクリーニング/診断にのみ適合されているが、いくつかは監視にも使用することができる。
【0084】
臨床専門家は、患者のスクリーニング、診断または監視をPSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家が居ないまたは臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の疾病について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。さらに、或る臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】米国特許第4944310号
【特許文献2】米国特許第6532959号
【特許文献3】国際公開第1998/004310号
【特許文献4】国際公開第2006/074513号
【特許文献5】国際公開第2010/135785号
【特許文献6】米国特許第4782832号
【特許文献7】国際公開第2004/073778号
【特許文献8】米国特許出願第2009/0044808号
【特許文献9】国際公開第2005/063328号
【特許文献10】国際公開第2006/130903号
【特許文献11】国際公開第2009/052560号
【特許文献12】米国特許出願公開第2010/0000534号
【特許文献13】国際公開第1998/034665号
【特許文献14】国際公開第2000/078381号
【特許文献15】米国特許第6581594号
【特許文献16】米国特許出願公開第2009/0050156号
【特許文献17】米国特許出願公開第2009/0044808号
【非特許文献】
【0086】
【非特許文献1】「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【発明の概要】
【0087】
3 技術の簡単な説明
【0088】
本技術は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0089】
本技術の第1の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0090】
本技術の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0091】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸治療についての患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0092】
本技術の一形態に含まれるデバイスは、以下を含む:ディスプレイ;カメラ;メモリ;ならびにディスプレイ、カメラおよびメモリへ連結された少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含む処理システム。処理システムは、以下を行うように構成される:患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを患者へ供給するように構成された患者インターフェースと共に患者を含む1つ以上の画像を受信すること;受信された1つ以上の画像を分析すること;および分析に基づいて、患者インターフェースのフィット感および/または動作の向上のためのフィードバックをディスプレイ上に表示すること。
【0093】
本技術の別の態様は、患者の少なくとも1つの気道と係合するように構成された患者インターフェースを介して患者へ持続的空気陽圧を提供する呼吸圧力治療システムに関連する。システムは、患者へ送達されるべき呼吸可能なガスの供給を患者インターフェースを介して生成するように構成された流れ生成器;少なくとも1つのセンサ;ディスプレイ;およびコンピューティングデバイスを含む。コンピューティングデバイスは、呼吸可能なガスの供給の測定された物性に基づいたセンサデータを受信すること;受信されたセンサデータに基づいて流れ生成器を制御して、呼吸可能なガスの供給の特性を調節すること;支援が必要とされている旨を示す入力を患者インターフェースを用いて受信すること;患者の1つ以上の画像を患者インターフェースを用いて受信すること;受信された1つ以上の画像を分析すること;および分析に基づいて、患者インターフェースを位置決めせよとの命令をディスプレイ上に表示することを含む。
【0094】
本技術の別の態様は、患者の少なくとも1つの気道と係合するように構成された患者インターフェースを介して患者へ持続的空気陽圧(CPAP)を提供する呼吸圧力治療システムに関連する。このシステムは、以下を含む:患者へ送達されるべき呼吸可能なガスの供給を患者インターフェースを介して生成するように構成された流れ生成器であって、呼吸可能なガスは、雰囲気圧力を超えた圧力レベルにて流れ生成器から出力される、流れ生成器;呼吸可能なガスが患者へ供給されているときに物理量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ;ディスプレイ;ならびに、メモリおよび少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含むコンピューティングデバイス。コンピューティングデバイスは、以下を行うように構成される:呼吸可能なガスの供給の測定された物性に基づいたセンサデータを少なくとも1つのセンサから受信すること;受信されたセンサデータに基づいて流れ生成器を制御して、患者へ送達される呼吸可能なガスの供給の特性を調節すること;支援が必要とされている旨を示す入力を患者インターフェースを用いて受信すること;患者を患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像を受信すること;受信された1つ以上の画像を分析すること;および分析に基づいて、患者インターフェースを位置決めせよとの命令をディスプレイ上に表示すること。
【0095】
例において、(a)メモリは、患者を患者インターフェースと共に含む1つ以上の基準画像を含み、表示された命令は、1つ以上の基準画像と受信された1つ以上の画像との間の比較に基づいてコンピューティングデバイスによって生成され;(b)コンピューティングデバイスは、1つ以上の基準画像をキャプチャするように構成されたカメラへ連結され;(c)コンピューティングデバイスは、1つ以上の基準画像と受信された1つ以上の画像とを比較して、患者インターフェースの不適切なフィッティング位置を決定するように構成され;(d)コンピューティングデバイスは、患者インターフェースの正しい位置を受信された1つ以上の画像上にスーパーインポーズするように構成され、表示された命令は、1つ以上のスーパーインポーズされた画像を含み;(e)システムは、リモートコンピューティングシステムを含み、リモートコンピューティングシステムは、患者インターフェースを位置決めせよとの命令を決定することと、命令をコンピューティングデバイスへ送信することとを行うように構成され;(f)リモートコンピューティングシステムは、以下を行うように構成される:コンピューティングデバイスから1つ以上の画像を受信すること;患者インターフェースの正しい位置決めの命令について機械学習モデルを訓練すること;患者インターフェースを位置決めせよとの命令は、訓練された機械学習モデルに基づいて決定される;(g)コンピューティングデバイスは、患者インターフェースの種類を示す入力を受信することと、入力によって示された患者インターフェースの種類を使用せよとの命令をディスプレイ上に表示することとを行うようにさらに構成され;(h)コンピューティングデバイスは、1つ以上の画像を用いて機械学習を行うように構成されたリモート処理システムへ受信された1つ以上の画像を送信するように構成され;かつ/または(i)命令は、テキスト、画像および/またはグラフィックを含む。
【0096】
本技術の別の態様は、命令を保存する非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関連する。これらの命令は、コンピューティングデバイスと共に用いられる。コンピューティングデバイスは、患者の少なくとも1つの気道と係合するように構成された患者インターフェースを介して患者へ送達される呼吸可能なガスの供給を生成するように構成された持続的空気陽圧(CPAP)デバイスを制御するように構成される。呼吸可能なガスは、雰囲気圧力を超えた圧力レベルにて流れ生成器から出力され、CPAPデバイスは、呼吸可能なガスが患者へ供給されているときに物理量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサと関連付けられ、コンピューティングデバイスは、少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含み、保存された命令は、コンピューティングデバイスに以下を行わせるように構成された命令を含み:呼吸可能なガスの供給の測定された物性に基づいたセンサデータを少なくとも1つのセンサから受信すること;受信されたセンサデータに基づいて流れ生成器を制御して、患者へ送達される呼吸可能なガスの供給の特性を調節すること;支援が必要とされている旨を示す入力を患者インターフェースを用いて受信すること;患者を患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像を受信すること;受信された1つ以上の画像を分析すること;および分析に基づいて、患者インターフェースを位置決めせよとの命令をディスプレイ上に表示すること。
【0097】
本技術の別の態様は、以下を含むデバイスに関連する:ディスプレイ;カメラ;メモリ;ならびにディスプレイ、カメラおよびメモリへ連結された少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含む処理システム。処理システムは、以下を行うように構成される:患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを患者へ供給するように構成された患者インターフェースの種類を特定する通知を受信すること;患者を患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像をカメラから受信すること;受信された1つ以上の画像を分析して、患者上の患者インターフェースのフィット感を決定すること;および分析に基づいて、患者上の患者インターフェースのフィット感の向上のためのフィードバックをディスプレイ上に表示すること。
【0098】
例において、(a)患者インターフェースの種類を特定する受信された通知は、ユーザ入力であり;(b)患者インターフェースの種類を特定する受信された通知は、処理システムによって患者インターフェースを含む画像に基づいて決定され;(c)分析は、受信された1つ以上の画像を1つ以上の基準画像と比較することを含み;(d)1つ以上の基準画像は、患者を患者インターフェースと共に含み;(e)1つ以上の基準画像は、複数の基準点を含み、分析は、受信された1つ以上の画像中の基準点を検出することと、検出された基準点を1つ以上のディフェンス画像中の複数の基準点と比較することとを含み;(f)分析は、患者インターフェース中に含まれる1つ以上のインジケータを受信された1つ以上の画像から抽出することを含み;(g)受信された1つ以上の画像は、カメラの異なる位置および方向付けからキャプチャされ;(h)複数の画像は、異なる時間においてキャプチャされ、分析は、複数の画像を比較して、異なる時間においてキャプチャされた画像間の患者インターフェースの位置決めの変化を決定することを含み;(i)フィードバックを表示することは、受信された画像のうち少なくとも1つを表示することを含み、処理システムは、患者インターフェースのフィット感の向上が可能な患者インターフェース上の位置付けを示す1つ以上の視覚インジケータを表示された受信画像中に含むように構成され;(j)処理システムは、特定された患者インターフェースの種類を使用せよとの命令を表示するように構成され;(k)分析は、受信された1つ以上の画像と、他の患者から受信された情報に基づいて生成されたモデルとを比較することを含み;(l)分析は、受信された1つ以上の画像からフィーチャを抽出することと、フィーチャの位置および/または方向付けを患者インターフェースの三次元モデルと比較することとを含み;(m)分析は、受信された1つ以上の画像と、他の患者から受信されたデータに基づいて更新された機械訓練済みのモデルとを比較することを含み;(n)デバイスは、携帯電話、タブレットまたはリモートコントロールであり;(o)処理システムは、患者インターフェースの表面または患者インターフェース中の表面上に配置された1つ以上のセンサからセンサデータを受信するようにさらに構成され;(p)処理システムは、分析を行い、センサから受信されたデータに基づいてフィードバックを表示すようにさらに構成され;かつ/または、(q)センサデータは、メモリ中に保存された事前設定されたセンサ値と比較される。
【0099】
本技術の別の態様は、コンピューティングデバイスと共に用いられる命令を保存する非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関連する。保存された命令は、コンピューティングデバイスに以下を行わせるように構成された命令を含む:患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを患者へ供給するように構成された患者インターフェースの種類を特定する通知を受信すること;患者を患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像をカメラから受信すること;受信された1つ以上の画像を分析して、患者上の患者インターフェースのフィット感を決定すること;および分析に基づいて、患者上の患者インターフェースのフィット感の向上のためのフィードバックをディスプレイ上に表示すること。
【0100】
本技術の別の態様は、患者の少なくとも1つの気道と係合するように構成された患者インターフェースを介して患者へ持続的空気陽圧(CPAP)を提供する呼吸圧力治療システムに関連する。システムは、以下を含む:患者へ送達されるべき呼吸可能なガスの供給を患者インターフェースを介して生成するように構成された流れ生成器であって、呼吸可能なガスは、雰囲気圧力を超えた圧力レベルにて流れ生成器から出力される、流れ生成器;ディスプレイ;ならびに、メモリおよび少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含むコンピューティングデバイス。コンピューティングデバイスは、以下を行うように構成される:流れ生成器を制御して、患者へ送達される呼吸可能なガスの供給の特性を調節すること;1つ以上の患者インターフェースセンサからセンサデータを受信すること;受信されたセンサデータをメモリ中の事前設定された値と比較すること;および比較に基づいて、患者インターフェースを位置決めせよとの命令をディスプレイ上に表示すること。
【0101】
例において、(a)メモリは、患者を患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像を含み、表示された命令は、比較に基づいて1つ以上の画像を表示することを含み;(b)コンピューティングデバイスは、患者が患者インターフェースと共にある様子の1つ以上の画像をキャプチャするように構成されたカメラへ連結され;(c)コンピューティングデバイスは、メモリ中に保存された1つ以上の基準画像と、キャプチャされた1つ以上の画像とを比較して、患者インターフェースの不適切なフィッティング位置を決定するように構成され;(d)コンピューティングデバイスは、患者インターフェースの正しい位置をキャプチャされた1つ以上の画像上にスーパーインポーズするように構成され、表示された命令は、1つ以上のスーパーインポーズされた画像を含み;(e)リモートコンピューティングシステムをさらに含み、リモートコンピューティングシステムは、患者インターフェースを位置決めせよとの命令を決定することと、命令をコンピューティングデバイスへ送信することとを行うように構成され;(f)コンピューティングデバイスは、患者インターフェースの種類を示す入力を受信することと、入力によって示された患者インターフェースの種類を使用せよとの命令をディスプレイ上に表示することとを行うようにさらに構成され;(g)1つ以上の患者インターフェースセンサのうち少なくとも1つは、患者インターフェースの表面上に配置され;(h)1つ以上の患者インターフェースセンサのうち少なくとも1つは、患者インターフェースのマスクの内側の圧力を測定するように構成された圧力センサであり;(i)1つ以上の患者インターフェースセンサのうち少なくとも1つは、患者インターフェースの口クッションまたは鼻クッション中の呼吸可能なガスの供給の物性を測定するように構成されたセンサであり;および/または(j)1つ以上の患者インターフェースセンサのうち少なくとも1つは、患者インターフェースのストラップの表面または内側上に配置される。
【0102】
本技術の別の態様は、トラブルシューティングのためのプログラムに関連し、以下を含む:ユーザに画像または映像をとるよう命令すること、画像または映像をベースライン映像と比較して結果を生成すること、および結果に基づいてアクションをとるようユーザに命令すること。
【0103】
本技術の別の態様は、トラブルシューティングのためのプログラムに関連し、以下を含む:ユーザに画像または映像をとるよう命令すること、画像または映像をベースライン画像または映像と比較して結果を生成すること、および結果に基づいてアクションをとるようユーザに命令すること。
【0104】
本技術の別の態様は、コンピューティングデバイスと共に用いられる命令を保存する非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関連する。保存された命令に含まれる命令は、実行された場合、コンピューティングデバイスに以下を行わせる:画像または映像をとるようにとの命令を表示すること、キャプチャされた画像または映像をベースライン画像または映像と比較して結果を生成すること、および結果に基づいたアクションについて命令を表示すること。
【0105】
例において、(a)保存された命令にさらに含まれる命令は、実行された場合、コンピューティングデバイスに以下を行わせる:入力キャプチャ画像または映像に応答して;(b)キャプチャされた画像または映像は、ユーザおよび患者インターフェースを含み;および/または(c)保存された命令にさらに含まれる命令は、実行された場合、コンピューティングデバイスに以下を行わせる:患者インターフェースの種類を示す入力を受信すること、および入力に応答して、患者インターフェースを使用するようにとの命令を表示すること。
【0106】
本技術の別の態様は、以下を含むデバイスに関連する:ディスプレイ;カメラ;メモリ;ならびにディスプレイ、カメラおよびメモリへ連結された少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含む処理システム。本処理システムは、以下を行うように構成される:患者を含む1つ以上の画像をカメラを用いてキャプチャすること;顔フィーチャの特性をキャプチャされた画像から決定すること;顔フィーチャの決定された特性を分析のためにリモート処理システムへ送信すること;患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを患者へ供給するように構成された患者インターフェースの1つ以上の設定についてのデータを、リモート処理システムから受信すること;および患者インターフェースの1つ以上の設定についての受信されたデータに基づいて患者インターフェースの1つ以上の設定を調節せよとの命令をディスプレイ上に表示すること。
【0107】
例において、(a)処理システムは、患者インターフェースの種類を特定するユーザ入力を受信すること;および患者インターフェースの種類を分析のためにリモート処理システムへ送信することを行うようにさらに構成され;(b)処理システムは、以下を行うようにさらに構成される:患者を患者インターフェースと共に含む1つ以上の第2の画像をカメラから受信すること;受信された1つ以上の第2の画像を分析して、患者上の患者インターフェースのフィット感を決定すること;および分析と、患者インターフェースの1つ以上の設定についての受信されたデータとに基づいて、患者上の患者インターフェースのフィット感の向上のためのフィードバックをディスプレイ上に表示すること;(c)分析は、受信された1つ以上の第2の画像を1つ以上の基準画像と比較することを含み;(d)1つ以上の基準画像は、患者インターフェースを着用している患者を含み;(e)1つ以上の基準画像は、複数の基準点を含み、分析は、受信された1つ以上の第2の画像中の基準点を検出することと、検出された基準点を1つ以上のディフェンス画像中の複数の基準点と比較することとを含み;(f)分析は、患者インターフェース上に含まれる1つ以上のインジケータを受信された1つ以上の第2の画像から抽出することを含み;(g)1つ以上のインジケータは、患者インターフェースの1つ以上のストラップ上に設けられた複数のインジケータを含み;(h)1つ以上のインジケータは、患者インターフェースのマスク上に設けられた少なくとも1つのインジケータを含み;(i)1つ以上のインジケータは、ストラップのうち少なくとも1つを患者インターフェースのマスクへ接続させるように構成されたコネクタ上に設けられたインジケータを含み;(j)処理システムは、1つ以上のストラップから付加される力を1つ以上の第2の画像内の1つ以上のインジケータの特性に基づいて決定するようにさらに構成され;(k)処理システムは、患者インターフェースの異なるストラップから付加された力の比較を異なるストラップ内に含まれる1つ以上のインジケータの特性に基づいて行うようにさらに構成され;(l)処理システムは、1つ以上のストラップ内の1つ以上のインジケータの特性に基づいて1つ以上のストラップが締め付けすぎである旨を示すようにさらに構成され;(m)リモート処理システムによって行われる分析は、受信された1つ以上の画像と、複数の他の患者から受信された情報に基づいて生成されたモデルとを比較することを含み;および/または(o)デバイスは、患者へ持続的空気陽圧(CPAP)を提供する呼吸圧力治療デバイスであり、呼吸圧力治療デバイスは、以下を含む:患者へ送達されるべき呼吸可能なガスの供給を患者インターフェースを介して生成するように構成された流れ生成器であって、呼吸可能なガスは、雰囲気圧力を超えた圧力レベルにて流れ生成器から出力される、流れ生成器;および呼吸可能なガスが患者へ供給されているときに物理量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ。
【0108】
本技術の別の態様は、コンピューティングデバイスと共に用いられる命令を保存する非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関連する。保存された命令は、コンピューティングデバイスに以下を行わせるように構成された命令を含む:カメラによってキャプチャされた、患者を含む1つ以上の画像を受信すること;顔フィーチャの特性をキャプチャされた画像から決定すること;顔フィーチャの決定された特性を分析のためにリモート処理システムへ送信すること;患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを患者へ供給するように構成された患者インターフェースの1つ以上の設定についてのデータを、リモート処理システムから受信すること;および患者インターフェースの1つ以上の設定についての受信されたデータに基づいて患者インターフェースの1つ以上の設定を調節せよとの命令を出力すること。
【0109】
本技術の一形態の別の態様は、意図される装着者の形状に対して相補的である周辺形状と共に成形または他の場合に構築された患者インターフェースである。
【0110】
本技術の一形態の一態様は、装置の製造方法である。
【0111】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0112】
本技術の一形態の一態様は、人間が(例えば、自宅周囲において)持ち運び可能な、携帯用RPTデバイスである。
【0113】
本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な加湿器タンクであり、特殊な清浄器具は不要である。
【0114】
記載される方法、システム、デバイスおよび装置により、プロセッサにおける機能(例えば、特定目的用コンピュータのプロセッサ、呼吸モニターおよび/または呼吸治療装置の機能)の向上が可能となるように具現され得る。さらに、記載の方法、システム、デバイスおよび装置により、呼吸器疾病(例えば、睡眠時呼吸障害)の自動管理、監視および/または治療の技術分野における向上が可能になる。
【0115】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0116】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
4 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む。
4.1 呼吸治療システム
【
図1A】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって調節され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
【
図1B】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図1C】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。患者は、側臥位睡眠位置において睡眠している。4.2 呼吸器系および顔の解剖学的構造
【
図2A】鼻腔および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
【
図2B】鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻穴、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、口咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
【
図2C】上唇、上唇紅、下唇紅、下唇、口の幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝および口角点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む顔の正面図である。上側、下側、ラジアル内方およびラジアル外方の方向も記載される。
【
図2D】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼頂上点、上耳底点および下耳底点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
【
図2E】頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな位置が記載されている。冠状面も記載される。
【
図2F】鼻唇溝、下唇、上唇紅、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の主軸および正中矢状面を含むいくつかの特徴を含む鼻の底面図である。
【
図2H】側鼻軟骨、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、鼻種子軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨の前頭突起および線維性脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
【
図2I】正中矢状面から約数ミリメートルの位置における鼻の中間切開を示し、特に鼻中隔軟骨および大鼻翼軟骨の内側脚を示す。
【
図2J】前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の骨正面図である。鼻甲介が上顎骨および下顎骨と共に図示されている。
【
図2K】頭蓋骨を頭部表面の外形およびいくつかの筋肉と共に示す側面図である。以下の骨が図示されている:前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、頭頂骨、側頭骨および後頭骨。オトガイ隆起が図示されている。以下の筋肉が図示されている:顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
【
図2L】鼻の前外側を示す。4.3 患者インターフェース
【
図3A】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
【
図3B】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、3Cに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3C】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、
図3Bに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3D】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率の値はゼロである。
【
図3E】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Fに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3F】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Eに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3G】2つの枕を含むマスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。ドーム領域およびサドル領域が図示される。
【
図3H】マスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。点Aと点Bとの間の表面上の経路が図示される。AとBとの間の直線距離が図示される。2つのサドル領域およびドーム領域が図示される。
【
図3I】構造の表面を示し、この表面中には一次元穴が開いている。図示の平面曲線は、一次元穴の境界を形成する。
【
図3J】
図3Iの構造を通じた断面図である。図示の表面は、
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける。
【
図3K】二次元穴および一次元穴を含む
図3Iの構造の斜視図である。また、
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける表面が図示される。
【
図3L】クッションとしての可膨張性ブラダーを有するマスクを示す。
【
図3M】
図3Lのマスクの断面図であり、ブラダーの内面を示す。内面により、マスク中の二次元穴が境界付けられる。
【
図3N】
図3Lのマスクを通じたさらなる断面を示す。内面も図示される。
【
図3T】マスクの異なる領域内の密閉膜の縁部によって規定された空間曲線のねじれのサインを含むマスクの図である。
【
図3U】矢状面および中央接触面を示す、プレナムチャンバ3200の図である。
【
図3V】
図3Uのプレナムチャンバの後方の図である。図中の方向は、中央接触面に対して垂直である。
図3V中、矢状面により、プレナムチャンバが左手側および右手側に二等分される。
【
図3W】
図3Vのプレナムチャンバを通じた断面図であり、この断面は、
図3Vに示す矢状面においてとられる。「中央接触」面が図示される。中央接触面は、矢状面に対して垂直である。中央接触面の方向付けは、腱3210の方向付けに対応する。腱3210は、矢状面上に載置され、矢状面上の2点(すなわち、上点3220および下点3230)においてプレナムチャンバのクッションのみと接触する。この領域におけるクッションのジオメトリに応じて、中央接触面は、上点および下点双方に接し得る。
【
図3X】
図3Uのプレナムチャンバ3200が顔面上の使用位置にある状態を示す。プレナムチャンバ3200の矢状面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、顔の正中矢状面と概して一致する。中央接触面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、「顔の面」に概して対応する。
図3Xにおいて、プレナムチャンバ3200は鼻マスクのものであり、上点3220はほぼセリオン上に載置され、下点3230は上唇上に載置される。
【
図3Y】本技術の一形態による鼻カニューレの形態の患者インターフェースを示す。4.4 RPTデバイス
【
図4A】本技術の一形態によるRPTデバイスを示す。
【
図4B】本技術の一形態に従ったRPTデバイスの空気圧経路の概略図である。上流および下流の方向が、送風機および患者インターフェースに対して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係無く、送風機は患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは送風機の下流にあるものとして規定される。送風機と患者インターフェースとの間の空気圧経路内に配置されたアイテムは、送風機の下流および患者インターフェースの上流にある。
【
図4C】本技術の一形態によるRPTデバイスの電気部品の模式図である。
【
図4D】本技術の1つの形態によるRPTデバイス中において実行されるアルゴリズムの概略図である。
【
図4E】本技術の一態様に従った
図4Dの治療エンジンモジュールによって実施される方法を説明したフローチャートである。4.5 加湿器
【
図5A】本技術の一形態による加湿器の等角図である。
【
図5B】本技術の一形態による加湿器の等角図であり、加湿器リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130から除去した様子を示す。
【
図5C】本技術の一形態による加湿器の模式図である。4.6 ガイド付きの患者インターフェースのフィッティング
【
図6A】本技術の一形態による、ベースラインに基づいた例示的患者インターフェース3000のフィッティングを示す。
【
図6B】本技術の一形態による、RPTデバイス4000、ローカル外部コンピューティングデバイス4288およびリモート外部デバイス4286間の通信システムを示す図である。
【
図6C】本技術の一形態による、セットアップ時において患者インターフェース3000と関連付けられたベースラインに基づいたガイド付きの患者インターフェースのフィッティングの例を示す。
【
図7A】本技術の一形態による、複数の測定可能なインジケータ3350および基準点を含む患者インターフェース3000を示す。
【
図7B】本技術の一形態による、患者および患者インターフェースのキャプチャ画像から抽出され得る測定可能なインジケータ3350および/または基準点3360を示す。
【
図7C】本技術の一形態による、調節可能なストラップの側面図である。
【
図7D】本技術の一形態による、
図7Cに示すストラップの上面図である。
【
図7E】本技術の一形態による、調節可能なストラップの伸展が無いときの上面図および側面図である。
【
図7F】本技術の一形態による、調節可能なストラップが伸展している様子の上面図および側面図である。
【
図8A】ユーザによるマスク(患者インターフェース)のセットアップと、セットアップマスクのベースラインのキャプチャとを支援する一連の表示画面を示す。
【
図8B】ユーザによる位置の修正およびマスク(患者インターフェース)のセットアップを支援する一連の表示画面を示す。
【
図8C】ユーザによるマスク(患者インターフェース)のセットアップを支援する一連の表示画面を示す。
【
図9】例示的コンピューティングデバイス600のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0118】
5 本技術の例の詳細な説明
【0119】
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0120】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な例に関連して提供される。任意の1つの例の1つ以上の特徴は、別の例または他の例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる例を構成し得る。
5.1 治療
【0121】
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加することを含む。
【0122】
本技術の特定の例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0123】
本技術の特定の例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
5.2 呼吸治療システム
【0124】
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための呼吸治療システムを含む。呼吸治療システムは、空気流れを空気回路4170および患者インターフェース3000または3800を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
5.3 患者インターフェース
【0125】
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気部3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的構成要素によって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的構成要素は、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、患者1000の気道への入口(単数または複数)において陽圧を維持するように、患者の気道への入口を包囲するように配置される。よって、シールされた患者インターフェース3000は、正の圧力治療の送達に適している。
【0126】
非シール型患者インターフェース3800は、鼻プロング3810aおよび3810bを含む鼻カニューレの形態をしており、これらは、その先端にあるそれぞれのオリフィスを介して空気を患者1000の各鼻孔へ送達させ得る。このような鼻プロングは、鼻孔の内側皮膚面または外側皮膚面とのシールを形成しないことが多い。鼻プロングへの空気は、1つ以上の空気供給ルーメン3820aおよび3820bから送達される。これらは、鼻カニューレ3800と連結される。ルーメン3820a、3820bは、鼻カニューレ3800から空気回路を介して呼吸治療デバイスに至る。非シール型患者インターフェース3800は、制御された圧力ではなく制御された流量でRPTデバイスが空気流れを生成する流れ治療の提供に特に適している。非シール型患者インターフェース3800には「通気部」が設けられ、この「通気部」を通じて、過剰な空気流が周囲へと逃げる。この「通気部」は、カニューレ3800のプロング3810aおよび3810bの端部間の通路であり、患者の鼻孔を介して雰囲気へ延びる。
【0127】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力治療に不適切であり得る。
【0128】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0129】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0130】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
5.3.1 シール形成構造
【0131】
本技術の一形態において、シール形成構造3100は、目標シール形成領域を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。目標シール形成領域は、シール形成構造3100において密閉が発生し得る領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉面)は、一定範囲の要素(例えば、顔面上の患者インターフェースの配置位置、位置決めおよび安定化構造における張力、および患者の顔の形状)に応じて、所与の治療セッションにおいて患者によって日々変化し得る。
【0132】
一形態において、目標シール形成領域が、シール形成構造3100の外面上に配置される。
【0133】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、生体適合性材料(例えば、シリコーンゴム)から構成される。
【0134】
本技術によるシール形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0135】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くのシール形成構造3100を含むシステムが提供される。各シール形成構造3100は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適したシール形成構造3100の一形態および大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの頭に適した別のものを含み得る。
5.3.1.1 密閉機構
【0136】
一形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉機構を用いる密閉フランジを含む。使用時において、密閉フランジは、プレナムチャンバ3200内のシステム陽圧に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。圧力アシスト機構は、位置決めおよび安定化構造における弾性張力と共に作用し得る。
【0137】
一形態において、シール形成構造3100は、密閉フランジおよび支持フランジを含む。密閉フランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ3200の周辺長さの周囲に延びる。支持フランジは、密閉フランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、密閉フランジと、プレナムチャンバ3200の周縁部との間に配置され、周辺長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、密閉フランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。
【0138】
一形態において、シール形成構造は、圧縮密閉部またはガスケット密閉部を含み得る。使用時において、圧縮密閉部またはガスケット密閉部は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して圧縮状態となるように、構築および配置される。
【0139】
一形態において、シール形成構造は、張力部を含む。使用時において、張力部は、例えば密閉フランジの隣接領域により、ぴんと張られた状態で保持される。
【0140】
一形態において、シール形成構造は、粘着面または接着面を有する領域を含む。
【0141】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉フランジ、圧縮密閉部、ガスケット密閉部、張力部、および粘着面または接着面を有する部分のうち1つ以上を含み得る。
5.3.1.2 鼻梁または鼻堤領域
【0142】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の鼻梁領域上にまたは鼻堤領域上に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0143】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の鼻梁領域上または鼻堤領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含む。
5.3.1.3 上唇領域
【0144】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上に使用時に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0145】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の上唇領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含む。
5.3.1.4 顎領域
【0146】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の顎領域上に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0147】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の顎領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含む。
5.3.1.5 前額領域
【0148】
一形態において、シール形成構造は、シール使用時において患者の顔の前額領域上にシールを形成する。このような形態において、プレナムチャンバは、使用時において眼を被覆し得る。
5.3.1.6 鼻枕
【0149】
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000のシール形成構造は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔とのシールを形成するように構成および配置される。
【0150】
本技術の一態様による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
5.3.2 プレナムチャンバ
【0151】
プレナムチャンバ3200は、使用時に密閉が形成される領域において平均的な人の顔の表面外形に対して相補的である形状の周辺を有する。使用時において、プレナムチャンバ3200の周縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造3100によって提供される。シール形成構造3100は、使用時においてプレナムチャンバ3200の縁部全体の周辺に延び得る。いくつかの形態において、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100は、単一の均質的材料ピースから形成される。
【0152】
本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバ3200は、使用時において患者の眼を被覆しない。換言すると、眼は、プレナムチャンバによって規定される加圧空間外にある。このような形態の場合、押しつけがさが低減しかつ/またはより着用者の快適性が増すことが多いため、治療コンプライアンスが向上し得る。
【0153】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、透明材料(例えば、透明ポリカーボネート)から構築される。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、治療へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェースの配置様態および機能を確認することが補助され得る。
【0154】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、半透明材料から構成される。半透明材料を用いることにより、患者インターフェースの押しつけがましさを低減することができ、治療へのコンプライアンスの向上を補助することができる。
5.3.3 位置決めおよび安定化構造
【0155】
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造3300によって密閉位置において保持され得る。
【0156】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、顔から浮き上がるためのプレナムチャンバ3200中の陽圧の効果に打ち勝つのに少なくとも充分な保持力が得られる。
【0157】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への引力に打ち勝つだけの保持力が得られる。
【0158】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への破壊的作用の可能性(例えば、管引き摺りまたは患者インターフェースとの不慮の干渉に起因するもの)を解消するための安全マージンとして保持力が得られる。
【0159】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、目立たないプロファイルまたは断面厚さを有する。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、矩形の断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0160】
本技術の一形態において、患者が患者頭部の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0161】
本技術の一形態において、患者が患者頭部の側部領域を枕に載せた状態で側臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0162】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の前方部分と位置決めおよび安定化構造3300の後方部分との間に配置された結合解除部分を備える。この結合解除部分は、圧縮に耐えず、例えば可撓性またはぺらぺらのストラップであり得る。結合解除部分は、患者が頭を枕に載せて横たわったときに結合解除部分の存在により後部への力が位置決めおよび安定化構造3300に沿って伝達されてシールが妨害される事態を回避できるように、構築および配置される。
【0163】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、布地患者接触層、発泡体内側層および布地外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡体は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、布地外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0164】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0165】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は第1のタイを含み、第1のタイは、使用時においてその下縁部の少なくとも一部が上を通過して患者の頭の上耳底点へ移動し、後頭骨を被覆することなく頭頂骨の一部を被覆するように、構築および配置される。
【0166】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第2のタイを含む。第2のタイは、使用時においてその上縁部の少なくとも一部が患者頭部の下側の下耳底点の下側を通過し、患者頭部の後頭骨を被覆するかまたは患者頭部の後頭骨の下側に載置されるように、構築および配置される。
【0167】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第1のタイおよび第2のタイが相違に離隔方向に移動する傾向を低減させるように第1のタイおよび第2のタイを相互接続させるように構築および配置された第3のタイを含む。
【0168】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0169】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、内部を水蒸気が通過できるように呼吸可能なように構成されたストラップを含む。
【0170】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くの位置決めおよび安定化構造3300を含むシステムが提供される。各位置決めおよび安定化構造3300は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するための保持力を提供するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適しかつ大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの別の頭に適した位置決めおよび安定化構造3300の一形態を含み得る。
5.3.4 通気部
【0171】
一形態において、患者インターフェース3000は、呼息されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部3400を含む。
【0172】
特定の形態において、通気部3400は、プレナムチャンバ内の圧力が周囲に対して正であるときにプレナムチャンバ3200の内部から周囲への連続的通気流れを可能にするように構成される。通気部3400は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ、通気流量の大きさが呼息されたCO2の患者による再呼吸を低減できるだけの充分な大きさになるように、構成される。
【0173】
本技術による一形態の通気部3400は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0174】
通気部3400は、プレナムチャンバ3200内に配置され得る。あるいは、通気部3400は、結合解除構造(例えば、スイベル)内に配置される。
5.3.5 結合解除構造(複数または単数)
【0175】
一形態において、患者インターフェース3000は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、スイベルまたは球窩)を含む。
5.3.6 接続ポート
【0176】
接続ポート3600は、空気回路4170への接続を可能にする。
5.3.7 前額支持部
【0177】
一形態において、患者インターフェース3000は、前額支持部3700を含む。
5.3.8 窒息防止弁
【0178】
一形態において、患者インターフェース3000は、窒息防止弁を含む。
5.3.9 ポート
【0179】
本技術の一形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
5.4 RPTデバイス
【0180】
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械、空気圧式、および/または電気部品を含み、1つ以上のアルゴリズム4300(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、例えば本文書中のいずれかに記載の呼吸器疾病のうち1つ以上の治療のために患者の気道へ送達される空気流れを生成するように構成され得る。
【0181】
一形態において、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmH2Oまたは少なくとも10cmH2Oまたは少なくとも20cmH2Oの陽圧を維持しつつ、空気流れを-20L/分~+150L/分の範囲で送達できるように構築および配置される。
【0182】
RPTデバイスは、外部ハウジング4010を持ち得る。外部ハウジング4010は、上部4012および下部4014の2つの部分によって形成される。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部構成要素を支持するシャーシ4016を含む。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0183】
空気圧RPTデバイス4000の空気圧経路は、1つ以上の空気経路アイテム(例えば、入口空気フィルタ4112、入口マフラー4122、空気を陽圧で供給することが可能な圧力生成器4140(例えば、送風機4142)、出口マフラー4124)ならびに1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサ4272および流量センサ4274)を含み得る。
【0184】
空気経路アイテムのうち1つ以上は、空気圧ブロック4020と呼ばれる取り外し可能な一体構造内に配置され得る。空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に配置され得る。一形態において、空気圧ブロック4020は、シャーシ4016によって支持されるかまたはシャーシ4016の一部として形成される。
【0185】
RPTデバイス4000は、電気電源4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ4240、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、変換器4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気部品4200は、シングルプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
5.4.1 RPTデバイス機械および空気圧式構成要素
【0186】
RPTデバイスは、以下の構成要素のうち1つ以上を一体ユニット中に含み得る。一代替形態において、以下の構成要素のうち1つ以上が、それぞれの別個のユニットとして配置され得る。
5.4.1.1 空気フィルタ(単数または複数)
【0187】
本技術の一形態によるRPTデバイスは、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0188】
一形態において、入口空気フィルタ4112は、圧力生成器4140の空気圧経路上流の始まり部に配置される。
【0189】
一形態において、出口空気フィルタ4114(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4020の出口と、患者インターフェース3000または3800との間に配置される。
5.4.1.2 マフラー(単数または複数)
【0190】
本技術の一形態によるRPTデバイスは、マフラー4120または複数のマフラー4120を含み得る。
【0191】
本技術の一形態において、入口マフラー4122は、空気圧経路内において圧力生成器4140の上方に配置される。
【0192】
本技術の一形態において、出口マフラー4124は、空気圧経路内において圧力生成器4140と患者インターフェース3000または3800との間に配置される。
5.4.1.3 圧力生成器
【0193】
本技術の一形態において、空気の流れまたは供給を陽圧において生成する圧力生成器4140は、制御可能な送風機4142である。例えば、送風機4142は、1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4144を含み得る。インペラが、ボリュート内へ配置され得る。送風機は、呼吸圧力治療を施しているときに、空気供給の送達を例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmH2O~約20cmH2Oの範囲の陽圧で、または他の形態において約30cmH2Oまで行うことができる。送風機については、以下の特許または特許出願のうちいずれか1つに記載があり得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する:米国特許第7,866,944号、米国特許第8,638,014号、米国特許第8,636,479号およびPCT特許出願公開WO2013/020167。
【0194】
圧力生成器4140は、治療デバイスコントローラ4240の制御下にある。
【0195】
他の形態において、圧力生成器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、圧縮空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
5.4.1.4 変換器(単数または複数)
【0196】
変換器は、RPTデバイスの内部に設けてもよいし、あるいはRPTデバイスの外部に設けてもよい。外部変換器は、例えば空気回路上に配置してもよいし、あるいは空気回路の一部を形成してもよい(例えば、患者インターフェース)。外部変換器は、非接触センサの形態をとり得る(例えば、データRPTデバイスを送信するかまたは移動させるドップラーレーダー移動センサ)。
【0197】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270が、圧力生成器4140の上流および/または下流に配置され得る。1つ以上の変換器4270は、空気流れの特性を示す信号(例えば、空気圧経路中の当該ポイントにおける流量、圧力または温度)を生成するように、構築および配置され得る。
【0198】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270は、患者インターフェース3000または3800の近隣に配置され得る。
【0199】
一形態において、変換器4270からの信号が、(例えば、ローパス、ハイパスまたはバンドパスフィルタリングによって)フィルタリングされ得る。
5.4.1.4.1 流量センサ
【0200】
本技術による流量センサ4274は、差圧変換器(例えば、SENSIRIONからのSDP600シリーズ差圧変換器)に基づき得る。
【0201】
一形態においては、流量センサ4274によって生成され、流量を表す信号が、中央コントローラ4230によって受信される。
5.4.1.4.2 圧力センサ
【0202】
本技術による圧力センサ4272は、空気圧経路と流体連通して配置され得る。適切な圧力センサの一例として、HONEYWELL ASDXシリーズからの変換器がある。別の適切な圧力センサとして、GENERAL ELECTRICからのNPAシリーズからの変換器がある。
【0203】
1つの形態において、圧力センサ4272から生成された信号は、中央コントローラ4230によって受信される。
5.4.1.4.3 モータ速度変換器
【0204】
本技術の一形態において、モータ4144および/または送風機4142の回転速度を決定するために、モータ速度変換器4276が用いられ得る。モータ速度変換器4276からのモータ速度信号は、治療デバイスコントローラ4240へ提供され得る。モータ速度変換器4276は、例えば速度センサであり得る(例えば、ホール効果センサ)。
5.4.1.5 アンチスピルバック弁
【0205】
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁4160が、加湿器5000と、空気圧ブロック4020との間に配置され得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に(例えば、モータ4144へ)流れる危険性を低減させるように、構築および配置される。
5.4.2 RPTデバイス電気部品
5.4.2.1 電源
【0206】
電源4210は、RPTデバイス4000の外部ハウジング4010の内部または外部に配置され得る。
【0207】
本技術の一形態において、電源4210は、RPTデバイス4000にのみ電力を供給する。本技術の別の形態において、電源4210から、電力がRPTデバイス4000および加湿器5000双方へ提供される。
5.4.2.2 入力デバイス
【0208】
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、人間がデバイスと相互作用を可能にするためのボタン、スイッチまたはダイヤルの形態をとる1つ以上の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、タッチスクリーンを介してアクセスすることが可能な物理的デバイスまたはソフトウェアデバイスであり得る。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、一形態において外部ハウジング4010に物理的に接続させてもよいし、あるいは、別の形態において中央コントローラ4230と電気接続された受信器と無線通信してもよい。
【0209】
一形態において、入力デバイス4220は、人間が値および/またはメニュー選択肢を選択することを可能にするように、構築および配置され得る。
【0210】
一例において、入力デバイス4220に含まれ得る撮像センサは、画像および/または一連の画像(例えば、映像)をキャプチャするように構成される。
5.4.2.3 中央コントローラ
【0211】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000の制御に適した1つまたは複数のプロセッサである。
【0212】
適切なプロセッサは、ARM HoldingsからのARM(商標)Cortex(商標)-Mプロセッサに基づいたプロセッサであるx86INTELプロセッサを含み得る(例えば、ST マクロ電子からのS(商標)32シリーズのマイクロコントローラ)。本技術の特定の代替形態において、32ビットRISC CPU(例えば、ST MICRO電子SからのSTR9シリーズマイクロコントローラ)または16ビットRISC CPU(例えば、TEXAS INSTRUMENTSによって製造されたマイクロコントローラのMSP430ファミリーからのプロセッサ)も適切であり得る。
【0213】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、専用電子回路である。
【0214】
一形態において、中央コントローラ4230は、特定用途向け集積回路である。別の形態において、中央コントローラ4230は、個別電子構成要素を含む。
【0215】
中央コントローラ4230は、1つ以上の変換器4270、1つ以上の入力デバイス4220および加湿器5000から入力信号(単数または複数)を受信するように、構成され得る。
【0216】
中央コントローラ4230は、出力信号(単数または複数)を出力デバイス4290、治療デバイスコントローラ4240、データ通信インターフェース4280および加湿器5000のうち1つ以上へ提供するように、構成され得る。
【0217】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、本明細書中に記載の1つ以上の方法(例えば、非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ4260)のような中に格納されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300)を具現するように構成される。本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000と一体化され得る。しかし、本技術のいくつかの形態において、いくつかの方法が、遠隔配置されたデバイスによって行われ得る。例えば、遠隔配置されたデバイスは、記録されたデータ(例えば、本明細書中に記載のセンサのうちいずれかからのもの)の分析により、人工呼吸器の制御設定を決定し得るか、または、呼吸関連事象を検出し得る。
5.4.2.4 時計
【0218】
RPTデバイス4000は、中央コントローラ4230へ接続された時計4232を含み得る。
5.4.2.5 治療デバイスコントローラ
【0219】
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は治療制御モジュール4330であり、中央コントローラ4230によって実行されるアルゴリズム4300の一部を形成する。
【0220】
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は、専用モータ制御集積回路である。例えば、一形態において、ONSEMIによって製造されたMC33035ブラシレスDCモータコントローラが用いられる。
5.4.2.6 保護回路
【0221】
本技術による1つ以上の保護回路4250は、電気保護回路、温度および/または圧力安全回路を含み得る。
5.4.2.7 メモリ
【0222】
本技術の一形態によれば、RPTデバイス4000は、メモリ4260(例えば、不揮発性メモリ)を含む。いくつかの形態において、メモリ4260は、電池式スタティックRAMを含み得る。いくつかの形態において、メモリ4260は、揮発性RAMを含み得る。
【0223】
メモリ4260は、PCBA4202上に配置され得る。メモリ4260は、EEPROMまたはNANDフラッシュの形態をとり得る。
【0224】
追加的にまたは代替的に、RPTデバイス4000は、取り外し可能なメモリ4260(例えば、セキュアデジタル(SD)規格に従って作製されたメモリカード)を含む。
【0225】
本技術の一形態において、メモリ4260は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体として機能する。この記録媒体上に、本明細書中に記載の1つ以上の方法を表現するコンピュータプログラム命令(例えば、1つ以上のアルゴリズム4300)が記録される。
5.4.2.8 データ通信システム
【0226】
本技術の一形態において、データ通信インターフェース4280が設けられ、中央コントローラ4230へ接続される。データ通信インターフェース4280は、リモート外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284へ接続可能であり得る。リモート外部通信ネットワーク4282は、リモート外部デバイス4286へ接続可能であり得る。ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288へ接続可能であり得る。
【0227】
一形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230の一部である。別の形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230と別個であり、集積回路またはプロセッサを含み得る。
【0228】
一形態において、リモート外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インターフェース4280は、インターネットへ接続するために、(例えば、イーサネットまたは光ファイバーを介して)有線通信を用得るかまたは無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM、LTE)を用い得る。
【0229】
一形態において、ローカル外部通信ネットワーク4284は、1つ以上の通信規格(例えば、ブルートゥース(登録商標)またはコンシューマー赤外線プロトコル)を用いる。
【0230】
一形態において、リモート外部デバイス4286は、1つ以上のコンピュータ(例えば、ネットワーク化コンピュータのクラスタ)である。一形態において、リモート外部デバイス4286は、物理的コンピュータではなく仮想コンピュータであり得る。いずれの場合も、このようなリモート外部デバイス4286は、適切に権限を付与された人間(例えば、臨床医)からのアクセスが可能であり得る。
【0231】
ローカル外部デバイス4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットまたはリモートコントロールであり得る。
5.4.2.9 任意選択のディスプレイ、警報を含む出力デバイス
【0232】
本技術による出力デバイス4290は、視覚、音声および触覚ユニットのうち1つ以上の形態をとり得る。視覚ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイであり得る。
5.4.2.9.1 ディスプレイドライバ
【0233】
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上へ表示されるべき文字、記号または画像を入力として受信し、ディスプレイ4294にこれらの文字、記号または画像を表示させるコマンドへ変換する。
5.4.2.9.2 ディスプレイ
【0234】
ディスプレイ4294は、ディスプレイドライバ4292から受信されたコマンドに応答して、文字、記号または画像を視覚的に表示するように構成される。例えば、ディスプレイ4294は8セグメントディスプレイであり得、その場合、ディスプレイドライバ4292は、各文字または記号(例えば、数字「0」)を、特定の文字または記号を表示するために各8個のセグメントを活性化させるべきかを示す8個の論理信号へ変換する。
5.4.3 RPTデバイスアルゴリズム
【0235】
上記したように、本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ4260)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300を具現するように構成され得る。このアルゴリズム4300は、モジュールと呼ばれるグループにグループ付けられることが一般的だ。
【0236】
本技術の他の形態においては、アルゴリズム4300の一部または全部が、ローカル外部デバイス4288またはリモート外部デバイス4286などの外部デバイスのコントローラによって具現され得る。かかる形態においては、アルゴリズム4300のうち外部デバイスで実行される部分に必要な入力信号および/または中間アルゴリズム出力を表すデータが、ローカル外部通信ネットワーク4284またはリモート外部通信ネットワーク4282を介して外部デバイスへと通信され得る。かかる形態においては、アルゴリズム4300のうち外部デバイスで実行される部分が、外部デバイスのコントローラにとってアクセス可能な非一時的コンピュータ可読記憶媒体に格納されたコンピュータプログラムとして表現され得る。かかるプログラムは、外部デバイスのコントローラを、アルゴリズム4300の一部を実行するように構成する。
【0237】
かかる形態においては、治療エンジンモジュール4320を介して外部デバイスによって生成された治療パラメータが(かかる形態においては、アルゴリズム4300の部分の一部が、外部デバイスによって実行される)、中央コントローラ4230に伝達されて治療制御モジュール4330に渡され得る。
5.4.3.1 事前処理モジュール
【0238】
本技術の一形態による事前処理モジュール4310は、変換器4270(例えば流量センサ4274または圧力センサ4272)からの信号を入力として受信し、1つ以上の出力値を計算するための1つ以上のプロセスステップを行う。これらの出力値は、別のモジュール(例えば、治療エンジンモジュール4320)への入力として用いられる。
【0239】
本技術の一形態において、出力値は、インターフェース圧力Pm、呼吸流量Qrおよび漏洩流量Qlを含む。
【0240】
本技術の多様な形態において、事前処理モジュール4310は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:インターフェース圧力推定4312、通気流量推定4314、漏洩流量推定4316および呼吸流量推定4318。
5.4.3.1.1 インターフェース圧力推定
【0241】
本技術の一形態において、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312は、空気圧ブロックの出口の近隣の空気圧経路中の圧力(デバイス圧力Pd)を示す信号を圧力センサ4272から入力として受信し、RPTデバイス4000を退出する気流の流量(デバイス流量Qd)を示す信号を流量センサ4274から入力として受信する。補充用ガス4180を全く含まないデバイス流量Qdが、合計流量Qtとして用いられ得る。インターフェース圧力アルゴリズム4312は、空気回路4170を通じた圧力降下ΔPを推定する。合計流量Qtに対する圧力降下ΔPの依存関係は、圧力降下特性ΔP(Q)により特定の空気回路4170についてモデル化することができ得る。次に、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312は、患者インターフェース3000または3800中の推定圧力Pmを出力として提供する。患者インターフェース3000または3800中の圧力Pmは、デバイス圧力Pdから空気回路圧力降下ΔPを減算した値として推定することができ得る。
5.4.3.1.2 通気流量の推定
【0242】
本技術の一形態において、通気流量推定アルゴリズム4314は、インターフェース圧力推定アルゴリズム4312から患者インターフェース3000または3800中の推定圧力Pmを入力として受信し、患者インターフェース3000または3800中の通気部3400からの空気の通気流量Qvを推定する。特定の通気部3400におけるインターフェース圧力Pmに対する通気流量Qvの使用時の依存関係は、通気特性Qv(Pm)によってモデル化され得る。
5.4.3.1.3 漏洩流量の推定
【0243】
本技術の一形態において、漏洩流量推定アルゴリズム4316は、合計流量Qtおよび通気流量Qvを入力として受信し、漏洩流量Qlの推定を出力として提供する。一形態において、漏洩流量推定アルゴリズムは、いくつかの呼吸サイクル(例えば、約10秒)を含むくらいに充分に長い期間にわたって合計流量Qtと通気流量Qvとの間の差平均を計算することにより、漏洩流量Qlを推定する。
【0244】
一形態において、漏洩流量推定アルゴリズム4316は、漏洩流量Qlを出力として提供し、漏洩コンダクタンスを計算することおよび漏洩流量Qlを漏洩コンダクタンスおよび圧力Pmの関数となるように決定することにより、患者インターフェース3000または3800中の合計流量Qt、通気流量Qv、および推定圧力Pmを入力として受信する。漏洩コンダクタンスは、合計流量Qtと通気流量Qvとの間の差に等しいローパスフィルタされた非通気流量の商と、圧力Pmのローパスフィルタされた平方根として計算され、ローパスフィルタ時定数は、いくつかの呼吸サイクル(例えば、約10秒)を含むだけの充分な値を有する。漏洩流量Qlは、漏洩コンダクタンスの積および圧力Pmの関数として推定され得る。
5.4.3.1.4 呼吸流量推定
【0245】
本技術の一形態において、呼吸流量推定アルゴリズム4318は、合計流量Qt、通気流量Qvおよび漏洩流量Qlを入力として受信し、通気流量Qvおよび漏洩流量Qlを合計流量Qtから減算することにより、患者への空気呼吸流量Qrを推定する。
5.4.3.2 治療エンジンモジュール
【0246】
本技術の一形態において、治療エンジンモジュール4320は、患者インターフェース3000または3800中の圧力Pmおよび患者への空気呼吸流量Qrのうち1つ以上を入力として受信し、1つ以上の治療パラメータを出力として提供する。
【0247】
本技術の一形態において、治療パラメータは、治療圧力Ptである。
【0248】
本技術の一形態において、治療パラメータは、圧力変化の振幅、ベース圧力および目標換気のうち1つ以上である。
【0249】
多様な形態において、治療エンジンモジュール4320は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:フェーズ決定4321、波形決定4322、換気決定4323、吸気流制限決定4324、無呼吸/呼吸低下決定4325、いびき決定4326、気道開通性決定4327、目標換気決定4328、および治療パラメータ決定4329。
5.4.3.2.1 フェーズ決定
【0250】
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、フェーズを決定しない。
【0251】
本技術の一形態において、フェーズ決定アルゴリズム4321は、呼吸流量Qrを示す信号を入力として受信し、患者1000の現在の呼吸サイクルのフェーズを出力Φとして提供する。
【0252】
いくつかの形態において、離散フェーズ決定として知られるフェーズ出力Φは、離散変数である。離散フェーズ決定の一具現例により、吸息または呼息の値を持つ二値フェーズ出力Φが得られる。この値は、自発吸息および呼息それぞれの開始が検出された際に例えば0回転および0.5回転の値としてそれぞれ表される。「トリガ」および「サイクル」するRPTデバイス4000は、離散フェーズ決定を有効に行う。なぜならば、トリガ点およびサイクル点は、フェーズが呼息から吸息へおよび吸息から呼息へそれぞれ変化する瞬間であるからである。二値フェーズ決定の一具現例において、フェーズ出力Φは、呼吸流量Qrが正の閾値を超える値を有するときに、離散値0を有し(これによりRPTデバイス4000を「トリガ」する)、呼吸流量Qrの値が負の閾値よりもより大きな負の値であるときに0.5回転の離散値(これにより、RPTデバイス4000を「サイクルさせる」)を有するように、決定される。吸息時間Tiおよび呼息時間Teは、(吸気を示す)0および(呼気を示す)0.5それぞれに等しいフェーズΦと共に費やされた時間の多くの呼吸サイクルにわたって推定された典型的値であり得る。
【0253】
離散フェーズ決定の別の具現例により、吸息、吸気中の一時停止および呼息のうち1つの値を備えた3値フェーズ出力Φが得られる。
【0254】
他の形態において、連続フェーズ決定として知られるフェーズ出力Φは連続する変数であり、例えば0回転~1回転または0~2πラジアンの間で変動する。連続フェーズ決定を行うRPTデバイス4000は、連続フェーズが0回転および0.5回転それぞれに到達したときに、トリガおよびサイクルし得る。連続フェーズ決定の一具現例において、フェーズの連続値Φは、呼吸流量Qrのファジー論理分析を用いて決定される。本具現例において決定されたフェーズの連続値は、「ファジーフェーズ」と呼ばれることが多い。ファジーフェーズ決定アルゴリズム4321の一具現例において、以下の規則が呼吸流量Qrへ適用される:
1.呼吸流量がゼロになった後に急激に増加した場合、フェーズは0回転である。
2.呼吸流量が大きな正の値でありかつ安定している場合、フェーズは0.25回転である。
3.呼吸流量がゼロであり急激に低下する場合、フェーズは0.5回転である。
4.呼吸流量が大きな負の値でありかつ安定している場合、フェーズは0.75回転である。
5.呼吸流量がゼロでありかつ安定しており、呼吸流量の5秒のローパスフィルタされた絶対値が大きい場合、フェーズは0.9回転である。
6.呼吸流量が正であり、フェーズが呼気である場合、フェーズは0回転である。
7.呼吸流量が負であり、フェーズが吸気であり、フェーズは0.5回転である。
8.呼吸流量の5秒のローパスフィルタされた絶対値が大きい場合、フェーズは、時定数20秒によってローパスフィルタされた患者の呼吸速度に等しい一定速度で増加する。
【0255】
各規則の出力は、フェーズが規則の結果でありかつ大きさが規則が真となるファジー範囲となるベクトルとして表され得る。呼吸流量が「大きい」、「安定している」などのファジー範囲は、適切なメンバシップ関数によって決定される。規則の結果は、ベクトルとして表され、その後、セントロイドをとるなどのいくつかの関数により、組み合わされる。このような組み合わせにおいて、規則は、等しく重み付けしてもよいし、あるいは異なる様態で重み付けしてもよい。
【0256】
連続フェーズ決定の別の具現例において、フェーズΦは、吸息時間Tiおよび呼息時間Teと同様、上記のように先ず呼吸流量Qrから個別に推定される。任意の瞬間における連続フェーズΦは、先行トリガ瞬間から経過した吸息時間Tiの割合の半分または0.5回転に先行サイクル瞬間から経過した呼息時間Teの割合を加算した値(これらのうち、より直近の瞬間)として決定される。
5.4.3.2.2 波形決定
【0257】
本技術の一形態において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、患者の呼吸サイクル全体を通じてほぼ一定の治療圧力を提供する。
【0258】
本技術の他の形態において、治療制御モジュール4330は、圧力生成器4140を制御して、波形テンプレートΠ(Φ)に従って患者呼吸サイクルのフェーズΦの関数として変動する治療圧力Ptを提供させる。
【0259】
本技術の一形態において、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ)を提供する。波形テンプレートは、治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって用いられる予定のフェーズ決定アルゴリズム4321によって提供されるフェーズ値Φの変域について[0,1]の範囲内の値を有する。
【0260】
一形態において、離散的または連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は矩形波テンプレートであり、0.5回転までのフェーズ値に対して1の値を有し、0.5回転を超えるフェーズ値に対して0の値を有する。一形態において、連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は、2つの平滑に曲線状の部分を含む(すなわち、0.5回転までのフェーズ値に対して平滑に曲線状の(例えば、上昇コサインの)0から1への上昇、および0.5回転を超えるフェーズ値に対して1から0への平滑に曲線状の(例えば、指数関数的)低下)。一形態において、連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は矩形波に基づくが、0.5回転よりも低い「立上がり時間」までのフェーズ値に対して0~1の平滑な上昇を持ち、0.5回転後の「下降時間」内のフェーズ値に対して1から0への、0.5回転よりも低い「下降時間」をもつ平滑な下降を有する。
【0261】
本技術のいくつかの形態において、波形決定アルゴリズム4322は、RPTデバイスの設定に応じて、波形テンプレートΠ(Φ)を波形テンプレートのライブラリから選択する。ライブラリ中の各波形テンプレートΠ(Φ)は、フェーズ値Φに対する値Πのルックアップテーブルとして提供され得る。他の形態において、波形決定アルゴリズム4322は、恐らくは1つ以上のパラメータ(例えば、指数曲線部分の時間定数)によってパラメータ化された所定の関数形態を用いて、波形テンプレートΠ(Φ)を「オンザフライ」で計算する。関数形式のパラメータは、所定のものであってもよりし、あるいは患者1000の現在の状態に依存してもよい。
【0262】
吸息(Φ=0回転)または呼息(Φ=0.5回転)の離散二値フェーズに適した本技術のいくつかの形態において、波形決定アルゴリズム4322は、最も直近のトリガ瞬間から測定された離散フェーズΦおよび時間tの関数として、波形テンプレートΠを「オンザフライ」で計算する。1つのこのような形態において、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ,t)を2つの部分(吸気および呼気)において以下のように計算する。
【0263】
【0264】
ここで、Πi(t)およびΠe(t)は、波形テンプレートΠ(Φ,t)の吸気部分および呼気部分である。1つのこのような形態において、波形テンプレートの吸気部分Πi(t)は、立上がり時間によってパラメータ化された0から1への平滑な上昇であり、波形テンプレートの呼気部分Πe(t)は、下降時間によってパラメータ化された1から0への平滑な下降である。
5.4.3.2.3 換気決定
【0265】
本技術の一形態において、換気決定アルゴリズム4323は、呼吸流量Qrを入力として受信し、現在の患者換気Ventを示す測定を決定する。
【0266】
いくつかの具現例において、換気決定アルゴリズム4323は、実際の患者換気の推定値である換気Ventの測定を決定する。このような一具現例として、呼吸流量Qrの絶対値の半値をとることがあり、これは、任意選択的にローパスフィルタ(例えば、コーナ周波数が0.11Hzである2次ベッセルローパスフィルタ)によってフィルタリングされる。
【0267】
他の具現例において、換気決定アルゴリズム4323は、実際の患者換気に大きく比例する換気Ventの測定を決定する。このような一具現例において、ピーク呼吸流量Qpeakが、サイクルの吸気部分において推定される。呼吸流量Qrのサンプリングを含む上記および他の多数の手順により、換気に大きく比例する測定が得られるが、これらの測定の場合、流量波形形状の変動がそれほど大きくない(ここで、2つの呼吸の形状は、時間および振幅において正規化された呼吸の流量波形が類似するときと同様のものとしてとられる)。いくつかの簡単な例を挙げると、正の呼吸流量の中央値、呼吸流量の絶対値の中央値、および流量の標準偏差がある。正の係数を用いた呼吸流量の絶対値の任意次数の統計の任意の線形的組み合わせ(およびさらには正の係数および負の係数双方を用いたいくつかのもの)は、換気におおむね比例する。別の例として、吸気部分の(時間について)中央K割合における呼吸流量の平均であり、ここで、0<K<1である。流量形状が一定である場合、換気に高精度に比例する任意の多数の測定がある。
5.4.3.2.4 吸気流制限の決定
【0268】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、吸気流制限の範囲の決定について、吸気流制限決定アルゴリズム4324を実行する。
【0269】
一形態において、吸気流制限決定アルゴリズム4324は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、呼吸の吸気部分が吸気流制限を示す範囲の計量を出力として提供する。
【0270】
本技術の一形態において、各呼吸の吸気部分は、ゼロ交差検出器によって特定される。均等に間隔を空けて配置された複数の(例えば、65個の)点は、時点を示し、各呼吸について吸気流量-時間曲線に沿って補間器によって補間される。その後、これらの点によって記述された曲線をスケーラーによって単位長さ(継続期間/期間)および単位面積を持つようにスケールすることにより、呼吸数および深さの変化による影響を除去する。次に、スケーリングされた呼吸を比較器内において事前保存されたテンプレートと比較する。このテンプレートは、通常の妨害の無い呼吸を表す。吸気時の任意の時において、試験要素によって決定されたような例えば咳、吐息、嚥下およびしゃっくりに起因したこのテンプレートからの呼吸の逸脱が指定閾(典型的には、1スケール単位)を超える場合、当該呼吸は拒否される。拒否の無かったデータについて、第1のこのようなスケーリングされた点の移動平均を中央コントローラ4230によって先行するいくつかの吸気事象について計算する。これを同一吸気事象にわたって第2のこのような点について繰り返し、以降同様に繰り返す。そのため、例えば、65個のスケーリングされたデータ点が中央コントローラ4230によって生成され、先行するいくつかの吸気事象(例えば、3つの事象)の移動平均を示す。本明細書中以下、連続的に更新された(例えば、65個の)点の値の移動平均を「スケーリングされた流量」と呼び、Qs(t)によって示す。あるいは、移動平均の代わりに単一の吸気事象を用いてもよい。
【0271】
スケーリングされた流量から、部分的閉塞の決定に関連する2つの形状要素が計算され得る。
【0272】
形状要素1は、中間(例えば、32個の)スケーリングされた流量点の平均の全体的(例えば、65個の)スケーリングされた流量点の平均に対する比である。この比が1を超える場合、呼吸は正常であるとみなされる。この比が1未満である場合、呼吸に閉塞が有るとみなされる。比が約1.17である場合、部分的閉塞と非閉塞呼吸との間の閾としてみなされ、典型的な患者における適切な酸素付加の維持を可能にする一定レベルの閉塞に等しい。
【0273】
形状要素2は、中間(例えば、32個の)点にわたって単位スケーリングされた流量からの平均二乗偏差として計算される。平均二乗偏差が約0.2単位である場合、正常とみなされる。平均二乗偏差がゼロである場合、全体的に流れが制限された呼吸とみなされる。平均二乗偏差がゼロに近づくほど、当該呼吸は、流れが制限されたものとみなされる。
【0274】
形状要素1および2は、代替として用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。本技術の他の形態において、サンプルされた点の数、呼吸および中間点は、上記したものと異なり得る。さらに、閾値も上記したものと異なり得る。
5.4.3.2.5 無呼吸および呼吸低下の決定
【0275】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、無呼吸および/または呼吸低下の存在の決定のために、無呼吸/呼吸低下決定アルゴリズム4325を実行する。
【0276】
一形態において、無呼吸/呼吸低下決定アルゴリズム4325は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、無呼吸または呼吸低下が検出されたかを示すフラッグを出力として提供する。
【0277】
一形態において、無呼吸とは、呼吸流量Qrの関数が所定の期間にわたって流量閾値を下回ったときに検出されるものとされる。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る(例えば、RMS流量)。流量閾値は、流量の比較的長期間の測定値であり得る。
【0278】
一形態において、呼吸低下とは、呼吸流量Qrの関数が所定の期間にわたって第2の流量閾値を下回ったときに検出されるものとする。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る(例えば、RMS流量)。第2の流量閾値は、流量の比較的長期の測定値であり得る。第2の流量閾値は、無呼吸の検出に用いられる流量閾値よりも高い。
5.4.3.2.6 いびきの決定
【0279】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、いびき範囲の決定のために、1つ以上のいびき決定アルゴリズム4326を実行する。
【0280】
一形態において、いびき決定アルゴリズム4326は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、いびきが存在している範囲の測定値を出力として提供する。
【0281】
いびき決定アルゴリズム4326は、流量信号の強度を30~300Hzの範囲内において決定するステップを含み得る。さらに、いびき決定アルゴリズム4326は、背景ノイズ(例えば、送風機からのシステム中の気流音)を低減するために呼吸流量信号Qrをフィルタリングするステップを含み得る。
5.4.3.2.7 気道開通性の決定
【0282】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、気道開通性の範囲の決定のために、1つ以上の気道開通性決定アルゴリズム4327を実行する。
【0283】
一形態において、気道開通性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、信号の出力を約0.75Hz~約3Hzの周波数範囲内において決定する。この周波数範囲内におけるピークの存在は、気道開放を示すものとしてみなされる。ピークの不在は、気道閉鎖の兆候とみなされる。
【0284】
一形態において、ピークが求められる周波数範囲は、治療圧力Ptにおける小さな強制オシレーションの周波数となる周波数範囲である。一具現例において、強制オシレーションは、振幅が約1cmH2Oである周波数2Hzである。
【0285】
一形態において、気道開通性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、心臓発生信号の存在または不在を決定する。心臓発生信号の不在は、気道閉鎖の兆候としてみなされる。
5.4.3.2.8 目標換気の決定
【0286】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、現在の換気Ventの測定を入力としてとり、換気測定のための目標値Vtgtの決定のために、1つ以上の目標換気決定アルゴリズム4328を実行する。
【0287】
本技術のいくつかの形態において、目標換気決定アルゴリズム4328は存在せず、目標値Vtgtは所定のものであり、例えばRPTデバイス4000の構成時におけるハードコーディングによりまたは入力デバイス4220を通じた手入力により得られる。
【0288】
適応型サーボ換気(ASV)などの本技術の他の形態において、目標換気決定アルゴリズム4328は、患者の典型的な最近の換気を示す値Vtypから目標値Vtgtを計算する。
【0289】
適応型サーボ換気のいくつかの形態において、目標換気Vtgtは、高割合でありかつ典型的な最近の換気Vtyp未満の値として計算される。このような形態の高割合は、範囲(80%、100%)、または(85%、95%)、または(87%、92%)内にあり得る。
【0290】
適応型サーボ換気の他の形態において、目標換気Vtgtは、典型的な最近の換気Vtypの1の倍数を若干上回る値として計算される。
【0291】
典型的な最近の換気Vtypは、いくつかの所定の時間スケールにわたる複数の時間的瞬間にわたる現在の換気Ventの測定が付近に分布する値であり、密集する傾向がある(すなわち、最近の履歴における現在の換気の測定の中央傾向の測定)。目標換気決定アルゴリズム4328の一具現例において、最近の履歴は、数分のオーダーであるが、どんなも場合もチェーン・ストークス漸増サイクルおよび漸減サイクルの時間スケールよりも長くなければならない。目標換気決定アルゴリズム4328は、中央傾向の多様な周知の測定のいずれかを用いて、典型的な最近の換気Vtypを現在の換気Ventの測定から決定し得る。1つのこのような測定として、現在の換気Ventの測定についてのローパスフィルタ出力であり、時定数が100秒に等しい。
5.4.3.2.9 治療パラメータの決定
【0292】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、治療エンジンモジュール4320中のその他のアルゴリズムのうち1つ以上から返送された値を用いて、1つ以上の治療パラメータの決定のための1つ以上の治療パラメータ決定アルゴリズム4329を実行する。
【0293】
本技術の一形態において、治療パラメータは、瞬間治療圧力Ptである。この形態の一具現例において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、以下の方程式を用いて治療圧力Ptを決定する。
【0294】
【0295】
ここで:
Aは振幅であり、
Π(Φ,t)は、フェーズの現在の値Φおよび時間のtにおける(0から1の範囲の)波形テンプレート値であり、
P0はベース圧力である。
【0296】
波形決定アルゴリズム4322がフェーズΦによってインデックスされた値Πのルックアップテーブルとして波形テンプレートΠ(Φ,t)を提供する場合、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、フェーズ決定アルゴリズム4321から返送されたフェーズの現在の値Φに対して最近接ルックアップテーブル入力をロケートすることまたはフェーズの現在の値Φにまたがる2つの入力間の他により、方程式(1)を適用する。
【0297】
振幅Aおよびベース圧力P0の値は、下記のようにして選択された呼吸圧力治療モードに応じて、治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって設定され得る。
5.4.3.3 治療制御モジュール
【0298】
本技術の一態様による治療制御モジュール4330は、治療エンジンモジュール4320の治療パラメータ決定アルゴリズム4329からの治療パラメータを入力として受信し、これらの治療パラメータに従って圧力生成器4140から空気流れを送達させるように、圧力生成器を制御する。
【0299】
本技術の一形態において、治療パラメータは治療圧力Ptであり、治療制御モジュール4330は、患者インターフェース3000または3800におけるインターフェース圧力Pmが治療圧力Ptに等しい空気流れを圧力生成器4140から送達させるように、圧力生成器を制御する。
5.4.3.4 故障状態の検出
【0300】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、故障状態の検出のための1つ以上の方法4340を実行する。1つ以上の方法4340によって検出された故障状態は、以下のうち少なくとも1つを含み得る:
停電(電力無しまたは電力不足)
変換器故障の検出
構成要素の存在を検出できない
動作パラメータが推奨範囲から外れている(例えば、圧力、流量、温度、PaO2)
検出可能な警告信号を生成するための試験警告の不履行。
【0301】
故障状態が検出されると、対応するアルゴリズム4340信号は、以下のうち1つ以上により、故障の存在を信号伝達する:
聴覚、視覚および/または動力学的(例えば、振動的)警告の開始
外部デバイスへのメッセージ送信
インシデントのロギング
5.5 空気回路
【0302】
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つの構成要素(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000または3800)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0303】
詳細には、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0304】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサ)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
5.5.1 補充用ガス送達
【0305】
本技術の一形態において、補充用ガス、例えば、酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000または3800へ送達され得る。
5.6 加湿器
5.6.1 加湿器の概要
【0306】
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、
図5Aに示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者の気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0307】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達させるための加湿器出口5004とを含み得る。
図5Aおよび
図5Bに示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
5.6.2 加湿器構成要素
5.6.2.1 水リザーバ
【0308】
1つの配置構成によれば、加湿器5000は、空気流れの加湿のために蒸発させるべき一定量の液体(例えば、水)を収容または保持するように構成された水リザーバ5110を含み得る。水リザーバ5110は、少なくとも呼吸治療セッションの継続期間(例えば、一晩の睡眠)にわたって適切な加湿を提供するための所定の最大量の水を収容するように、構成され得る。典型的には、リザーバ5110は、数百ミリリットルの水(例えば、300ミリリットル(ml)、325ml、350mlまたは400ml)を収容するように、構成される。他の形態において、加湿器5000は、外部水源(例えば、建物の水供給システム)から水供給を受容するように、構成され得る。
【0309】
一態様によれば、水リザーバ5110は、空気流れがRPTデバイス4000を通過する際にRPTデバイス4000からの空気流れを加湿するように、構成される。一形態において、水リザーバ5110は、空気流れがリザーバ5110中の一定量の水と接触しつつ、空気流れのリザーバ5110中の蛇行経路の移動を促進するように、構成され得る。
【0310】
一形態によれば、リザーバ5110は、例えば
図5Aおよび
図5Bに示すように横方向において加湿器5000から取り外し可能であり得る。
【0311】
リザーバ5110は、例えばリザーバ5110がその通常の動作の方向付け(例えば、任意のアパチャを通じておよび/またはそのサブ構成要素間に)から変位および/または回転した時にリザーバ5110からの液体放出を抑制するようにも構成され得る。加湿器5000によって加湿すべき空気流れは加圧されていることが多いため、リザーバ5110は、漏洩および/または流れインピーダンスを通じた空気圧の損失を防止するようにも、構成され得る。
5.6.2.2 伝導性部分
【0312】
1つの配置によれば、リザーバ5110は、加熱要素5240からリザーバ5110中の一定量の液体への効率的な熱伝達を可能にするように構成された伝導性部分5120を含む。一形態において、伝導性部分5120はプレートとして配置され得るが、他の形状も適切であり得る。伝導性部分5120の全体または一部は、アルミニウムなどの熱伝導性材料(例えば、厚さおよそ2mm(例えば、1mm、1.5mm、2.5mmまたは3mm))、別の熱伝導金属また何らかのプラスチックによって構成され得る。いくつかの場合において、適切な熱伝導性が、適切なジオメトリのより低伝導性の材料により、達成され得る。
5.6.2.3 加湿器リザーバドック
【0313】
一形態において、加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を受容するように構成された(
図5Bに示すような)加湿器リザーバドック5130を含み得る。いくつかの配置において、加湿器リザーバドック5130は、ロック機能を含み得る(例えば、リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130内に保持するように構成されたロックレバー5135)。
5.6.2.4 水位インジケータ
【0314】
加湿器リザーバ5110は、
図5A~
図5Bに示すような水位インジケータ5150を含み得る。いくつかの形態において、水位インジケータ5150は、加湿器リザーバ5110中の水の量についての1つ以上の兆候を患者1000または介護者などのユーザへ提供し得る。水位インジケータ5150から提供されるこれら1つ以上の兆候は、最大の所定量の水、その任意の一部の通知を含み得る(例えば、25%、50%または75%または量(例えば、200ml、300mlまたは400ml))。
5.6.2.5 加湿器変換器(単数または複数)
【0315】
加湿器5000は、上記した変換器4270の代わりにまたは上記した変換器4270に加えて1つ以上の加湿器変換器(センサ)5210を含み得る。加湿器変換器5210は、
図5Cに示すような空気圧力センサ5212、空気流量変換器5214、温度センサ5216または湿度センサ5218のうち1つ以上を含み得る。加湿器変換器5210は、1つ以上の出力信号を生成し得る。これらの出力信号は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230および/または加湿器コントローラ5250)へ通信され得る。いくつかの形態において、加湿器変換器は、出力信号をコントローラへ通信しつつ、加湿器5000の外部に(例えば、空気回路4170内に)配置され得る。
5.6.2.5.1 圧力変換器
【0316】
1つ以上の圧力変換器5212が、RPTデバイス4000内に設けられた圧力センサ4272に加えてまたはRPTデバイス内に設けられた圧力センサ4272の代わりに加湿器5000へ設けられ得る。
5.6.2.5.2 流量変換器
【0317】
RPTデバイス4000内に設けられた流量センサ4274に加えてまたはRPTデバイス内に設けられた流量センサ4274の代わりに、1つ以上の流量変換器5214が加湿器5000へ設けられ得る。
5.6.2.5.3 温度変換器
【0318】
加湿器5000は、1つ以上の温度変換器5216を含み得る。1つ以上の温度変換器5216は、1つ以上の温度(例えば、加熱要素5240の温度および/または加湿器出口5004の空気流れ下流の温度)を測定するように構成され得る。いくつかの形態において、加湿器5000は、周囲空気の温度を検出する温度センサ5216をさらに含み得る。
5.6.2.5.4 湿度変換器
【0319】
一形態において、加湿器5000は、周囲空気などのガスの湿度を検出する1つ以上の湿度センサ5218を含み得る。いくつかの形態において、湿度センサ5218は、加湿器5000から送達されるガスの湿度を測定するように、加湿器出口5004に向かって配置され得る。湿度センサは、絶対湿度センサであってもよいし、あるいは相対湿度センサであってもよい。
5.6.2.6 加熱要素
【0320】
いくつかの場合において、加熱要素5240は、加湿器リザーバ5110中の水量および/または空気流れへの水量のうち1つ以上へ熱入力を提供する加湿器5000へ設けられ得る。加熱要素5240は、電気抵抗加熱トラックなどの熱生成構成要素を含み得る。加熱要素5240の1つの適切な例として、例えばPCT特許出願公開第WO2012/171072号に記載の層状加熱要素がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0321】
いくつかの形態において、加熱要素5240は、加湿器ベース5006中へ設けられ得る。加湿器ベース5006において、
図5Bに示すように主に伝導により熱が加湿器リザーバ5110へ送られ得る。
5.6.2.7 加湿器コントローラ
【0322】
本技術の1つの配置によれば、加湿器5000は、
図5Cに示すような加湿器コントローラ5250を含み得る。一形態において、加湿器コントローラ5250は、中央コントローラ4230の一部であり得る。別の形態において、加湿器コントローラ5250は、中央コントローラ4230と通信し得る別個のコントローラであり得る。
【0323】
一形態において、加湿器コントローラ5250は、特性(例えば、温度、湿度、圧力および/または流量)の測定を入力として受信し得る(例えばリザーバ5110中および/または加湿器5000中の空気流れ、水の測定)。加湿器コントローラ5250は、加湿器アルゴリズムの実行または実施ならびに/あるいは1つ以上の出力信号の送達を行うようにも、構成され得る。
【0324】
図5Cに示すように、加湿器コントローラ5250は、1つ以上のコントローラを含み得る(例えば、中央加湿器コントローラ5251、加熱空気回路4171の温度を制御するように構成された加熱空気回路コントローラ5254および/または加熱要素5240の温度を制御するように構成された加熱要素コントローラ5252)。
5.7 ガイド付きの患者インターフェースのフィッティング
5.7.1 ガイド付きのフィッティングの概要
【0325】
患者インターフェース3000が医療デバイスと関連付けられている場合、セットアップおよび使用の際に特殊な知識が(例えば医師または他の医療専門家)から必要になる場合がある。さらに、患者インターフェース3000が初期に適切にセットアップされていても、時間経過と共に、特殊な知識を必要とする調節が必要になり得る。しかし、患者による記患者インターフェース3000のセットアップおよび調節の際、常に医療専門家の手が空いているわけではない。そのような場合として、医療デバイスと関連付けられた患者インターフェース3000が患者1000の自宅において使用される場合があり得る。患者が患者インターフェースのセットアップまたは調節が適切にできなければ、患者1000における不快感の発生および患者インターフェース3000の使用停止ならびに/あるいは受けている治療の有効性低下に繋がり得る。
【0326】
本技術の多様な形態において提供されるアプリケーションは、医療デバイス(例えば、RPTデバイス4000)と関連付けられた患者インターフェース3000を患者1000が着用する際に患者をガイドすること、適切なおよび/または不適切な患者インターフェースの位置決めを検出すること、および/または、患者が患者インターフェース3000を患者インターフェース3000の正しいフィッティング位置へ調節するようガイドすることを行う。
【0327】
拡張現実の利用により、患者インターフェース3000の多様な構成要素および/または患者インターフェース3000へ連結された構成要素について異なる範囲の患者に行われた多様なフィッティング範囲の調査に基づいたヘッドギアサイズおよびフィッティングについてのノウハウへ、患者が接続され得る。これにより得られた大型データベースは、仮想/物理インターフェースを通じてタップされ得、これにより、(効率的なヘッドギアサイジング、および患者の位置付けを考慮しない締め付けを通じた)患者インターフェース3000のフィッティングを支援し得る。
【0328】
以下により詳細に述べるように、上記の仮想的解決策により提供されるシステム(例えば、カメラシステム)は、以下を行う:患者の顔プロファイルをスキャンすること、顔構造のキーポイントを多様なデータポイントとしてキャプチャすること、およびデータを分析のために(例えば、クラウド技術を用いて)データバンクへ送信すること。
【0329】
この仮想的解決策により、既存のデータベース(例えば、製造業者、流通業者および/または臨床医のマスクおよび/またはヘッドギア選別ツールからのもの)を用いて、患者の顔構造上のキーデータポイントを決定することが可能になる。患者の顔構造は、所望の構成要素設定(例えば、ヘッドギア調節の長さおよび締め付け)の計算のために、患者インターフェース3000の1つ以上の所定の構成要素(例えば、ヘッドギアストラップの種類および/または長さ)とクロスレファレンスされ得る。決定された構成要素設定の作成において患者に指示する(例えば、マスクシステムの良好なフィット感の達成のためにヘッドギア上に必要な締め付け量を示す)ためのデータが、患者のデバイス(例えば、モバイルデバイスおよび/またはRPTデバイス4000)へ提供され得る。
【0330】
ヘッドギアのフィッティングは、例えば以下の1つ以上の選択肢を通じて達成され得る:手作業による位置決めのためのヘッドギア上の1つ以上の物理的マーキング;伸展力を示すように変化する1つ以上の伸展マークを決定するためのヘッドギア上の物理的マーカー;および/または(ヘッドギアの伸展およびフィットのための長さの決定のための)現在の顔測定の使用、推定される締め付けの患者の顔構造上へのオーバーレイ、ならびに/あるいは、推定されるヘッドギア調節量に患者が到達した場合における視覚キューおよび聴覚キューの提供。
【0331】
いくつかの例において、適切なシールの達成を確保するために、上記の仮想的解決策は、治療時の漏洩の決定のために、規定された流れ生成器と通信技術(例えば、Bluetooth(登録商標)またはWiFi(登録商標))を介して統合され得る。
【0332】
本技術の例によれば、患者インターフェース選択、フィッティングおよび/または調節に対する従来のアプローチにおける1つ以上の制限が解消される。例えば、従来のアプローチの場合、ユーザガイドは印刷形態で提供されるため、患者によっては、写真および言葉からの理解が困難な場合があり得る。また、患者がマスクのフィッティングのために臨床医のオフィスまで出向く必要があり得るか、または、臨床医が患者の位置付けのために出向く必要があり得る。そのような場合、患者にとっては、(調整のために時間がかかり得る(例えば、場合によっては予約のために数日~数週間かかり得る))作業である予約の取り付けと、指示を受けるためのオフィスの訪問とを行う必要が発生し得、時間および労力が増大する。
【0333】
加えて、最初のフィッティングセッションを臨床医の支援を受けながら受けた後でも、自宅では患者自身が上記のフィッティングを模倣することになる。ヘッドギアのフィッティングに変化があった場合または患者が調節の模倣の仕方を(例えば洗浄後に)失念した場合、当該患者は、別に予約を取り付けるかまたは自身で考えるしかなくなり得、その場合、マスクシステムの不適切なフィッティングおよび治療有効性の低下に繋がり得る。マスクシステム/ヘッドギアの使い易さを改善できれば、コンプライアンス向上および患者の治療継続の支援にも繋がる。
【0334】
加えて、患者の顔外形に(例えば、体重の増減に起因して)変化があった場合、ヘッドギアのフィッティングを相応に変更する必要がでてくる。患者がフィッティングを自身で調節することができない場合、当該患者は、(例えば、臨床医のオフィスの再訪により)マスクの再フィッティングについて命令を更新してもらう必要がでてくる。
【0335】
本技術の例によって提供される映像および仮想的解決策は、患者にとって自宅からのアクセスが容易であり、マスクフィッティングのプロセスが合理化され、患者による治療開始が従来の解決策よりもより迅速に行うことが可能になる。
5.7.1.1 確立されたベースラインに基づいた、ガイド付きの患者インターフェースのフィッティング
【0336】
本技術の一形態によれば、患者インターフェースのフィッティングは、ベースラインに基づいて行われる。ベースラインの確立は、製造業者、臨床医により、患者インターフェース3000の初回使用時にかつ/または患者インターフェース3000の使用時において患者によって行われ得る。ベースラインにより、患者の顔上の患者インターフェース3000の適切な位置決めが規定され得る。ベースラインの確立は、(いくつかの例において患者の顔であり得る)人の顔上の患者インターフェースの1つ以上の画像および/または映像に基づいて行われ得る。画像は、データベースから入手され得、初回使用時にかつ/または患者インターフェース3000の使用後にキャプチャされ得る。
【0337】
図6Aは、本技術の一形態による、ベースラインに基づいた例示的患者インターフェース3000のフィッティングを示す。患者インターフェース3000を着用している患者1000は、ローカル外部デバイス4288(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットおよび/またはリモートコントロール)(カメラ630、表示デバイス616および入力デバイス612を含む)を用いて、患者インターフェース3000を患者の顔上に適切に位置決めし得る。例をローカル外部デバイス4288を参照して延べているが、本技術のいくつかの形態において、1つ以上の動作が(カメラ630、表示デバイス616および/または入力デバイス612を含む)RPTデバイス4000によって行われ得る。
【0338】
図6Aに示すように、ローカル外部デバイス4288の処理システムは、患者1000および患者インターフェース3000の1つ以上の画像をキャプチャし(ステップ6910)、これらの画像をベースラインと比較し(ステップ6912)、結果を表示する(ステップ6914)ように構成され得る。
【0339】
これらの画像は、患者による患者インターフェース3000の顔上への位置決めの後にキャプチャされ得、患者による画像のキャプチャからの入力が、入力デバイス612を介して受信される。複数の画像が、キャプチャされ得る。いくつかの例において、一連の画像を含む映像がキャプチャされ得る。ローカル外部デバイス4288は、患者による画像のキャプチャをガイドする際、(患者頭部および患者インターフェース3000のプロファイル全体をキャプチャするように)画像キャプチャが異なる位置および/または方向付けから行われるように、ガイドを行い得る。
【0340】
図6Aに示すように、表示デバイス616と同じ側に設けられた前方を向くカメラ630を制御して画像をキャプチャする際、表示デバイス616は、ユーザをガイドして、次の画像のためにカメラの位置決めを行わせ得る。この画像キャプチャアプリケーションは、患者頭部周囲においてカメラが動かされている間に一連の画像を自動キャプチャするように構成され得る。いくつかの例において、カメラ630に含まれ得る赤外線(IR)感知撮像センサは、IR画像をキャプチャすることならびに/あるいはカメラ630が(可視光の通常画像に加えてかつ/または可視光の通常画像の代わりに)IR画像をキャプチャすることを可能にすることを可能にするフィルを含むことを行うように、構成される。いくつかの例において、ローカル外部デバイス4288は、カメラ630によって検出することが可能なIR信号を送出するように構成されたIRエミッタ632を含み得る。
【0341】
キャプチャされた画像は、ベースラインを規定するデータと比較されて、患者インターフェース3000の位置決めおよび/または設定がベースラインと異なっている箇所を決定し得る。このベースラインは、患者頭部または別の人の頭部上の患者インターフェース3000の1つ以上の画像ならびに/あるいは他のパラメータによって規定され得る。いくつかの例において、キャプチャされた画像は、患者および/または患者インターフェースのプロファイル(例えば、三次元プロファイル)の生成のために用いられ得、生成されたプロファイルは、ベースラインプロファイルと比較され得る。カメラの位置決めおよび/または方向付けは、(各画像がキャプチャされるときに)デバイス内のセンサ(例えば、加速度センサ)によって測定され得、プロファイルの生成において用いられ得る。
【0342】
いくつかの例において、ベースラインを規定するデータは、患者インターフェース3000と関連付けられたパラメータを含み得る。これらのパラメータは、患者および/または患者1000によって用いられる患者インターフェース3000の種類(例えば、モデルおよび構成)へ割りあてられ得、これらのパラメータは、キャプチャされた画像内の患者インターフェース3000がベースラインによって規定された様態で着用されているかを決定するために用いられ得る。例えば、これらのパラメータは、患者インターフェース3000の異なる構成要素の相互に対する間隔および/または位置決めならびに/あるいは患者インターフェース3000の異なる構成要素の患者の顔フィーチャ(例えば、眼、鼻など)に対する関係を規定し得る。これらのパラメータは、キャプチャされた画像から抽出された対応するデータと比較され得る。
【0343】
これらの画像をベースラインと比較することは、画像分析を行って画像中のフィーチャを検出することを含み得る。検出されたフィーチャは、患者インターフェース3000のフィーチャおよび/またはエッジ、患者インターフェース3000上の記号および/またはマークおよび/または顔フィーチャを検出することを含み得る。画像分析は、キャプチャされた画像へ1つ以上のフィルタ(例えば、エッジ検出およびフィーチャ抽出)を適用することを含み得る。検出されたフィーチャは、カウントされ得かつ/または他のフィーチャおよび/またはマークの位置と比較され得る。いくつかの例において、検出されたフィーチャは、
図2B~
図2Fに示す1つ以上の顔フィーチャを含み得る。
【0344】
比較に基づいて、ローカル外部デバイス4288は、比較の結果を表示することおよび/または患者インターフェース3000の位置決めおよび/または設定を修正せよとの命令を提供することを行い得る。患者インターフェース3000の設定は、位置決めおよび安定化構造3300の管および/またはストラップの長さを含み得る。これらの結果は、1つ以上の問題が存在することを示し得、これらの問題それぞれの修正のための選択肢を提供し得る。これらの結果は、問題を特定するテキストおよび/または画像と共に提供され得る。これらの結果は、特定された問題の修正方法を説明および/または提示するテキスト、画像および/または映像と共に提供された命令を含み得る。
【0345】
いくつかの例において、結果は、患者インターフェース3000をキャプチャされた画像(単数または複数)上の正しい位置および/または設定にスーパーインポーズすることを含み得る。結果は、スーパーインポーズされた患者インターフェース3000がキャプチャ画像中の位置から正しい位置へ動いている様子を示す一連の画像を含むアニメーションを含み得る。
【0346】
いくつかの例において、分析は、患者インターフェース3000において欠損または破損している構成要素を検出することを含み得、そのような構成要素の交換方法を示す結果を表示する。表示された結果により、欠損または破損している構成要素を注文する選択肢が提供され得る。例えば、分析において、マスク上の通気部が欠損している旨が決定され得、その欠損している通気部を注文する選択肢が患者に提供され得る。
5.7.2 リモートコンピュータシステムとの通信
【0347】
図6Bは、本技術の一形態による、RPTデバイス4000、ローカル外部コンピューティングデバイス4288およびリモート外部デバイス4286間のデータ送信のための通信システムの図を示す。
図6Bは、患者1000と関連付けられたRPTデバイス4000を含む。本技術は、RPTデバイスに限定されず、他の医療デバイスにも適用され得る。
【0348】
RPTデバイス4000は、データ通信インターフェース4280を介してリモート外部デバイス4286および/またはローカル外部デバイス4288(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットおよび/またはリモートコントロール)と通信するように、構成され得る。ローカル外部デバイス4288は、(RPTデバイス4000の近隣に配置された場合に)RPTデバイス4000と直接通信するように構成してもよいし、あるいは、(ローカル外部デバイス4288がRPTデバイス4000の近隣に配置されていない場合に)ローカルまたは外部ネットワークを介してリモートに通信するように構成してもよい。リモート外部デバイス4286は、適切に承認された者(例えば、臨床医、製造業者、および/またはデバイスの供給業者)からアクセスが可能であり得る。リモート外部デバイス4286は、サーバおよび/またはクラウドコンピューティングプラットフォーム(例えば、Amazon Web Services(登録商標)、Google(登録商標)クラウドプラットフォーム、Microsoft(登録商標)Azure)を含み得る。リモート外部デバイス4286は、RPTデバイス4000の動作の制御のためにRPTデバイス4000および/またはローカル外部デバイス4288によって実行可能なアプリケーションを含み得る。リモート外部デバイス4286は、RPTデバイス4000および/または患者インターフェース3000の使用に関する命令と、RPTデバイス4000および/または患者インターフェース3000の動作および/または使用のトラブルシューティングのためのアプリケーションとを含み得る。
【0349】
1つ以上の他の医療デバイス6062または6064(これは、RPTデバイスであり得る)は、他の患者1002および1004と関連付けられ、リモート外部デバイス4286、サーバ6030および/またはクラウドコンピューティングプラットフォーム6040と通信するように構成され得る。
【0350】
図6Aに示すデバイスは、リモート外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284を含む通信リンク6020を介して通信し得る。
【0351】
RPTデバイス4000、医療デバイス6062および6064ならびにローカル外部コンピューティングデバイス4288は、リモート外部デバイス4286からのデータを受信することと、センサデータ、フィードバック、画像および/または映像を含むデータを通信リンク6020を介してリモート外部デバイス4286へ送信することとを行うように構成され得る。リモート外部デバイス4286は、患者インターフェース3000のフィッティングの際の患者へのガイドを支援するためのデータベースを生成するように構成され得る。このデータベースは、特定の患者インターフェースおよび/または複数の患者と関連付けられたベースライン情報を含み得る。いくつかの例において、リモート外部デバイス4286のサーバおよび/またはクラウドコンピューティングプラットフォームは、患者のデータ(例えば、年齢範囲、性別、体重、環境、顔プロファイル、患者インターフェース種別、RPTデバイス種別)を受信し得、データを分類し得る。受信された情報は、適切なフィット感があるときの患者および患者インターフェースのキャプチャ画像と、フィット感に問題が有る旨を患者が示した場合の患者および患者インターフェースの画像とを含み得る。
【0352】
リモート外部デバイス4286は、受信されたデータをモデル生成のためにセグメント化させ得、ユーザが患者インターフェース3000に関連して問題を経験した場合ならびに/あるいは(例えば、患者の顔外形の変化後および/または患者インターフェース3000の設定の変更後に)ユーザが患者インターフェース3000の再調節を必要とした場合に、これらのモデルを患者インターフェース3000の初期セットアップ時においてユーザをガイドするために用い得る。これらのモデルは、(例えば、患者の写真および/または映像に基づいて)不適切なマスクフィッティングを検出するためのベースラインとして用いられ得る。これらのモデルは、高度分析、人工知能、および/または機械学習によって事前規定され得る。リモート外部デバイス4286は、同じまたは異なる患者インターフェース3000の前回使用時にユーザから受信された情報(例えば、履歴情報)に基づいて決定されたモデルと、他のユーザ(例えば、医療デバイス6062および6064と関連付けられたユーザ)、ならびに/あるいは製造業者および/または臨床医による情報入力を含み得る。高度分析、人工知能および/または機械学習は、多数の患者からのデータに対して行われ得、これらのモデルは、新規データ(例えば、人口統計、フィードバック、画像、ビデオを含むデータおよび/またはコンプライアンスに対する変更)が利用可能となる際に新規データと共に更新され得る。分析結果は、他の医療デバイス6062および6064、製造業者および/または臨床医から受信された情報に基づいて生成された個別調整された命令を含み得る。追加情報が他の医療デバイス6062および6064、製造業者ならびに/あるいは臨床医から受信された際、高度分析により、検出された問題についてのベースラインおよび/または解決策が変更され得る。
【0353】
いくつかの例において、異なるベースラインは、各ユーザおよび/または患者インターフェースのために決定および保存され得る。データベースは、異なるマスクおよび/またはヘッドギアからの相当設定する設定(例えば、ストラップによる締め付け度)を含み得るため、ユーザが1つのマスクおよび/またはヘッドギアの使用から別のマスクおよび/またはヘッドギアへ移行する際に、ユーザに対して正しい設定が提供され得る。
【0354】
いくつかの例において、リモート外部デバイス4286は、分析を行うことおよび/または患者への表示についての命令を決定することを行い得る。本例において、リモート外部デバイス4286は、患者および患者インターフェース3000のキャプチャ画像を受信し得、患者インターフェース3000に関連する問題の決定のために分析を行い得る。分析に基づいて、特定された問題の修正のために患者へ表示すべき情報/命令が決定され、情報/命令が、RPTデバイス4000および/またはローカル外部コンピューティングデバイス4288へ送信される。
5.7.3 ベースラインの確立およびベースラインの使用の方法
【0355】
図6Cは、本技術の一形態による、セットアップ時において患者インターフェース3000と関連付けられたベースラインに基づいたガイド付きの患者インターフェースのフィッティングの例を示す。
図6Cに示す1つ以上の動作は、RPTデバイス4000上において実行されるアプリケーションおよび/または患者によって用いられるローカル外部デバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットおよび/またはリモートコントロール)において実行されるアプリケーションによって行われ得る。いくつかの例において、1つ以上の動作が、リモート外部デバイス4286上において実行するアプリケーションによって行われ得る。
【0356】
アプリケーションにより、ユーザインターフェースが患者情報および/または1つ以上の画像を受信することが可能になり得る(ステップ7012)。この受信された患者情報は、患者の人口統計学的情報を含み得る(例えば、年齢、性別、体重、環境、顔プロファイル情報、睡眠位置、および/またはRPTデバイスの種類)。これらの1つ以上の画像は、RPTデバイス4000またはローカル外部デバイスを含むカメラによってキャプチャされ得る。ステップ7012において、1つ以上の画像が、患者の顔プロファイルの入手のためにカメラによってキャプチャされ得る。いくつかの例において、1つ以上の画像の分析により、顔構造のキーポイントが多様なデータポイントとして決定され得る。
【0357】
ステップ7014において、使用される患者インターフェース3000が選択される。患者インターフェース3000の選択は、患者から受信された入力によって行われ得る。いくつかの例において、ユーザは、患者インターフェース3000のモデルを入力し得、患者インターフェース3000の特定の構成を選択し得、および/または、患者インターフェース3000の画像をキャプチャし得る。いくつかの例において、患者インターフェース3000の画像は、患者インターフェースパッケージングまたは患者インターフェース3000上に設けられたコードを含み得る。このコードは、患者インターフェース3000および/または患者インターフェース3000の構成を特定するために用いられる。患者インターフェース3000の構成により、患者によって用いられる安定化構造3300および/またはシール形成構造3100(例えば、鼻クッションおよび/または口鼻クッション)の種類および/またはサイズが特定され得る。
【0358】
いくつかの例において、使用される患者インターフェース3000は、アプリケーションによって患者のキャプチャ画像に基づいて自動的に選択され得る。米国特許第7、827、038号および/または米国特許第8、254、637号中に開示される(本明細書中、同文献それぞれの全体を参考のため援用する)マスクフィッティングおよび選択システムならびに方法は、患者に合ったマスクの決定のために用いられ得る。
【0359】
これらのキャプチャ画像により、患者の顔の1つ以上の異なるビューが得られ得る。アプリケーションにより、キャプチャ画像に基づいて患者の顔の三次元プロファイルが生成され得る。いくつかの例において、アプリケーションにより、三次元プロファイルに基づいた特定の患者インターフェース3000の推奨が得られ得る。三次元プロファイルにより、顔フィーチャ(例えば、眼、鼻、口、耳、上唇および下唇)の相対的位置決めおよび/またはサイズが特定され得る。いくつかの例において、三次元プロファイルにより、
図2B~
図2Fに示す1つ以上のフィーチャの相対的位置決めが特定され得る。
【0360】
患者インターフェース3000についての推奨は、三次元プロファイルにおいて特定されるフィーチャに基づいてかつ/または患者の人口統計学的情報に基づいて行われ得る。患者インターフェース3000についての推奨により、最も効果的かつ有効なシールが得られる安定化構造3300および/またはシール形成構造3100の種類および/またはサイズが選択され得る。安定化構造3300および/またはシール形成構造3100の種類により、安定化構造3300および/またはシール形成構造3100の材料種類、テクスチャ、および/または色が特定され得る。快適性およびシール有効性が、前回マッチした患者プロファイルおよび患者インターフェース構成のローカルデータベースまたはリモートデータベースに基づいて決定され得る。
【0361】
いくつかの例において、アプリケーションにより、推奨された患者インターフェースまたはキャプチャ画像上にスーパーインポーズされた患者によって選択された患者インターフェースと共に画像または映像が生成され得る。アプリケーションは、患者の顔のキャプチャ画像上にスーパーインポーズされた推奨または選択された患者インターフェースのリアルタイムの拡張現実ディスプレイを提供するように構成され得る。アプリケーションにより、生成された画像を(例えば、ソーシャルメディア上に)保存および/または共有する選択肢を患者に提供され得る。
【0362】
アプリケーションにより、患者に対して選択された「患者インターフェースを使用せよ」との命令が表示され得る(ステップ7016)。これらの命令は、選択された患者インターフェース3000との使用のためにRPTデバイス4000を設定せよとの命令、患者インターフェース3000のRPTデバイス4000の接続方法、患者インターフェース3000の患者の顔上への位置決め方法、および/または患者インターフェース3000の設定を調節せよとの命令を含み得る。これらの命令は、アプリケーションおよび/またはリモート処理システムによってキャプチャ画像(例えば、患者の顔プロファイル)に基づいて生成され得る。例えば、命令により、患者のプロファイルに基づいて決定されたヘッドギアの1つ以上のストラップについての設定について患者に指示が出され得る。
【0363】
ステップ7018において、患者を患者インターフェース3000と共に含む画像がキャプチャされ得る。これらのキャプチャ画像は、選択された患者インターフェース3000を用いて患者がベースラインを確立する際に用いられ得る。
【0364】
これらの画像は、患者が患者インターフェース3000を顔上に位置決めした後にキャプチャされ得、患者インターフェース3000により快適なフィット感が得られた旨の確認通知が患者から受信されかつ/または患者インターフェース3000が適切に動作している(例えば、RPTデバイス4000の動作時における漏洩検出が無い)旨を示す確認通知が患者またはアプリケーションから受信される。
【0365】
ステップ7020において、患者が患者インターフェースについて問題を有しているかについて決定が為される。この決定は、ユーザインターフェースを介して患者から受診された入力に基づいて行われ得る。いくつかの例において、決定は、患者インターフェース3000内の漏洩の有無を示すデータに基づいて自動的に行われ得る。このデータは、RPTデバイス4000および/または空気回路4170内に配置されたセンサから送られる。いくつかの例において、アプリケーションは、患者インターフェースの使用に基づいて、患者が患者インターフェース3000について問題を有しているか否かを通知せよとの旨の患者へのリクエストを表示し得る(例えば、RPTデバイス4000の使用が患者に対して規定されている通りになっていない場合)。
【0366】
患者が患者インターフェースについて問題を経験している旨の信号が受信された場合(ステップ7020において「はい」)、患者および患者インターフェースの画像がキャプチャされ得る(ステップ7022)。画像のキャプチャは、複数の異なる位置および方向付けから行われ得る。いくつかの例において、患者が患者インターフェースについて問題を経験している旨の信号が受信された場合(ステップ7020において「はい」)、患者は、(画像、聴覚命令および/またはテキスト入力の提供により)不快感または問題の発生源を特定するよう依頼され得る。
【0367】
キャプチャ画像の分析(ステップ7024)により、不快感の発生源または呼吸可能なガスの供給の無効性(例えば、呼吸可能なガスの漏洩)が決定され得る。キャプチャ画像は、(ステップ7018においてキャプチャされた画像またはデータベース中に保存された画像を含み得る)ベースラインと比較され得る。
【0368】
分析は、患者インターフェース3000の(不快感の発生源または呼吸可能なガスの供給の無効性であり得る)フィーチャを検出することを含み得る。例えば、画像は、不快感の原因であり得るヘッドギアのストラップの位置特定のために分析され得る。ストラップが過度に応力がかけらているかまたは緩い場合、不快感の原因になり得、(過度の締め付けまたは締め付けの欠如に起因する)ストラップの色の変化によって検出され得る。いくつかの例において、ストラップの締め付けと共に相対位置が変化するストラップの長さに沿って配置されたマーカー間の間隔が検出され得、過度の締め付けまたは締め付けが不十分なストラップを特定するために用いられ得る。これらのマーカーは、患者にとって視認可能であってもよいし、あるいは患者にとって(例えば、カメラ無しには)視認不可能であってもよい。患者にとって視認不可能であるマーカーは、(キャプチャ画像からのマーカーおよび/または特殊カメラまたはカメラ設定(例えば、赤外線カメラの使用)によりキャプチャされたマーカーの抽出のための)画像分析の実行後に検出され得る。
【0369】
いくつかの例において、カメラは、患者の顔のうちストラップおよび/またはシール形成構造に起因して過度の圧力が患者の顔上に発生している箇所を、患者の皮膚の色または温度分布の差に基づいて検出し得る。カメラからの画像の分析により、患者インターフェースの過度の圧力に起因する患者上の熱ゾーンが決定され得る。他の例において、患者インターフェース3000に沿った熱分布を用いて、患者インターフェース3000のうち患者と接触していない部分が決定され得る。患者インターフェース3000のうち患者と接触していない部分は、IR画像内において(患者インターフェース3000のうち患者の顔と接触している部分と比較して)より低温のものとして出現し得る。いくつかの例において、患者インターフェース上の伸展マーク(例えば、ストラップおよび/またはマスククッション)の分析により、患者インターフェースの特定の部分内における伸展レベルが決定され得る(例えば、その特定の部分が過度に伸展しておりかつ/または患者インターフェースの他の部分よりも伸展していることを決定する)。
【0370】
いくつかの例において、分析は、ベースライン画像と、(患者が問題を経験している際の)患者インターフェース3000を含む患者のキャプチャ画像とを比較することを含み得る。本例において、画像の比較により、患者インターフェース3000の患者の顔の1つ以上のフィーチャに相対する位置決めの変化と、患者インターフェースの1つフィーチャ(例えば、第1のストラップ)の患者インターフェースの別のフィーチャ(例えば、第2のストラップ)に対する相対的位置決めの変化との決定が行われ得る。画像の比較の前に、キャプチャ画像に対して分析向上のための処理(例えば、スケーリング、背景除去)が行われ得る。キャプチャ画像のスケーリングは、キャプチャ画像内の患者のフィーチャのサイズがベースライン画像内の患者のフィーチャに対応するように行われ得る。
【0371】
いくつかの例において、分析は、受信された聴覚および/またはテキストの分析を(画像の分析と共にまたは画像の分析無しに)行って、不快感または呼吸可能なガスの供給の無効性の発生源を決定することと、特定された問題に対する解決策を提供することとを含む。他の例において、分析は、フィット感向上のための調節フィードバックの提供のために、センサから入手された漏洩検出データを含み得る。
【0372】
分析結果は、アプリケーションによって表示され得る(ステップ7026)。分析結果は、患者インターフェース3000を用いて特定された問題を修正する方法についてのユーザへのアドバイスを含み得る。分析結果は、ベースライン画像とキャプチャ画像との間の患者インターフェース3000の位置決めの差の特定を含み得る。アプリケーションは、ベースライン画像内に設けられた位置に患者インターフェース3000が設けられるように患者インターフェース3000の位置を修正せよとの命令を表示し得る。例えば、表示された命令は、顔の片側のストラップの長さを調節することにより、当該ストラップからのシール形成構造の当該側上への圧力が(顔の別の側のストラップから)シール形成構造の他方側へ付加される圧力とほぼ等しくなるようにする方法を示すテキスト、画像、および/またはアニメーションを含み得る。
【0373】
表示された分析結果は、キャプチャ画像と、患者インターフェースを(快適感および/またはフィット感の向上のために)調節することが可能な位置付けを示す1つ以上のインジケータとを表示することを含み得る。これらのインジケータは、問題の発生源の位置付けを示す、テキスト、記号、シェーディング、および/または患者インターフェースエッジの外形を含み得る。これらのインジケータは、特定された問題についてより多くの情報を提供できるよう、ユーザにより選択可能であり得る。インジケータは、患者インターフェースの調節が可能な位置付けについて数字による通知を複数含み得、これらの数字は、快適感および/またはフィット感の予測される向上レベルに基づいて順序付けられる。
【0374】
患者インターフェースについて問題が無いと決定された(ステップ7020において「いいえ」)後、プログラムは、解決済み状態に進み得る(ステップ7030)。解決済み状態は、以下のうち1つ以上が発生するまで維持され得る:
ユーザが、患者インターフェースについて問題を経験している旨を示している、
新規患者インターフェースが使用されている旨の決定が(例えば、新規患者インターフェースのRPTデバイス4000への連結の検出に基づいて)なされている、
センサのうち1つ以上からのデータにより、患者インターフェース3000の位置決めが不正確になっている旨が示されている、
解決済み状態になってから所定の長さの時間が経過している、
解決済み状態になった後、RPTデバイス4000が所定の長さの時間にわたって使用された後になっている、または
解決済み状態になった後、RPTデバイス4000が所定の回数にわたって使用された後である。
【0375】
ステップ7022、7024および7026を通じたプログラムの実行後、ステップ7010において、患者が患者インターフェースについて新規の問題/さらなる問題を経験していないかについて再度決定が行われ得る(ステップ7020)。患者インターフェースの位置決め調節後、ユーザが患者インターフェース3000の快適性および有効性に満足するまで、ステップ7022、7024および7026が繰り返され得る。
【0376】
上記したように、本技術のいくつかの例において、患者が患者インターフェースについて問題を有しているかの決定は、1つ以上のセンサ(例えば、変換器)から受信されたデータに基づいて自動的に行われ得る。センサからのデータは、分析(ステップ7024)を行いかつ/またはステップ7026において患者に推奨する)ためにも用いられ得る。センサは、RPTデバイス4000および/または空気回路4170内に配置され得、患者インターフェース3000中の漏洩および/または患者インターフェース3000の位置決めが不正確になっているかを示す。センサデータに基づいた、患者インターフェース300の使用に関する問題の決定(ステップ7020および/または7024)ならびに/あるいは分析結果の表示(ステップ7026)は、画像分析と共に行ってもよいし、あるいは、画像に基づいて行われた分析の代替として行ってもよい。
【0377】
1つ以上のセンサからの出力は、マスクに係わる問題の決定と、当該問題の修正の推奨提供とのための入力データとして用いられ得る。
図7Aに示すように、センサ4270(例えば、変換器)は、マスク(例えば、マスクの口クッションおよび/または鼻クッション)ならびに/あるいは安定化構造3300(例えば、ストラップ3330および/または3340および/または管3310および3320のうち1つ以上)の表面または内側に配置され得る。センサ4270は、流量センサ、圧力センサ、温度センサ、圧電センサ、モーションセンサ、位置センサおよび/または歪みゲージのうち1つ以上を含み得る。いくつかの例において、センサ4270は、患者インターフェースの異なる構成要素間の適切な接続を検出し得る。一例において、歪みゲージは、患者インターフェース3000のヘッドギアおよび/またはクッションの表面または内部に設けられ得、ヘッドギアおよび/またはクッションの部分内の張力を感知するように構成され得る。センサ4270からプロセッサへのデータ提供は、無線的にかつ/または有線接続を介して行われ得る。
【0378】
センサからの出力を用いて、患者が命令に従ってセットアップを調節している際に(例えば、
図8Bに示す表示画面206および208)、マスクおよび/またはヘッドギア配置の位置決めおよび/または特性の変化がリアルタイムで検出され得る。センサからのデータは、メモリ中に保存された(例えば、製造業者または臨床医によって決定された)事前設定値と比較され得るか、または、適切なフィット感が得られるマスク/ヘッドギアとのベースラインを患者が確立させた際にセンサから受信され得る(例えば、
図6C中のステップ7018)。ステップ7020~ステップ7026の実行時において、センサデータは、受信され得、事前設値と比較され得る。分析結果(ステップ7026)は、比較結果に基づいて表示され得、患者による患者インターフェースの調節の際にリアルタイムで更新され得る。
【0379】
いくつかの例において、センサデータは、患者インターフェースの使用に関する問題が検出されたかを決定するために、定期的に受信され得る。例えば、センサデータの受信は、患者が患者インターフェースをRPTデバイス4000へ接続させた際および/または治療サイクル開始後の所定の長さの時間の後に行われ得る。
【0380】
いくつかの例において、1つ以上の動作(例えば、
図6C中の動作)は、所定の期間にわたって連続的に行われ得る。例えば、
図6C中の動作7016および7018は、患者インターフェースのフィッティングについて患者を支援するために、所定の期間にわたってリアルタイムで連続的に行われ得る。本例において、アプリケーションは、患者インターフェースが患者上に適切に配置されるまで、映像の形態でキャプチャされ得る複数の画像をキャプチャし得、患者について選択された患者インターフェースの適切なフィット感(例えば、必要な設定)を患者の顔構造に基づいて決定し得、患者を適切なフィット感の提供へガイドし得る。
【0381】
ヘッドギアストラップ長さの設定提供の例において、患者の顔構造は、所定のヘッドギアストラップ長さについてクロスレファレンスされて、患者についてヘッドギアの長さおよび締め付けが計算され得る。この決定のデータは、アプリケーション中に保存してもよいし、あるいは遠隔位置に保存してもよい。いくつかの例において、患者の人口統計学的情報、画像および/または患者の顔プロファイルについての情報が、分析実行のためにリモート処理システム(例えば、リモート外部デバイス4286)へ送信され得、アプリケーションは、分析結果をリモート処理システムから受信し得る。
【0382】
動作7018においてキャプチャされた患者の画像の分析により、患者インターフェースの現在の設定が患者について決定されたヘッドギアの長さおよび締め付けに対応するかが決定され得る。動作7016において、患者について決定されたヘッドギアの長さおよび締め付けの達成に必要な調節を行うよう患者に指示する命令が表示される。これらの命令は、患者の顔構造上への推定される締め付けのオーバーレイを含み得、患者がヘッドギア調節の推定量に到達したときに、視覚キューおよび聴覚キューを提供し得る。これらの命令は、ヘッドギア調節の推定量が達成された際の視覚インジケータおよび/または聴覚インジケータを含み得る。
5.7.4 インジケータおよび基準点を用いた患者インターフェース
【0383】
図7Aは、本技術の一形態による、複数の測定可能なインジケータ3350および基準点を含む患者インターフェース3000を示す。
図7Aに示す患者インターフェース3000の位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の一部として設けられた管3310および管3320を含む。これらの管により、呼吸可能な空気のための経路が接続ポート3600とシール形成構造3100との間に得られる。位置決めおよび安定化構造3300は、第1のストラップ3330および第2のストラップ3340を含む。第1のストラップ3330の端部は、シール形成構造3100へ取り外し可能に連結され、第2のストラップ3340の端部は、管3310および3320へ取り外し可能に連結される。
【0384】
測定可能なインジケータ3350および/または基準点3360により、(患者による患者インターフェースの着用が適切になっているかを決定するためのベースラインと比較され得る)特定の患者インターフェース3000上の位置付けが得られ得る。測定可能なインジケータ3350および/または基準点3360の使用により、患者インターフェース3000のより複雑なフィーチャの検出のための画像処理の使用に関連する計算量の低減に繋がり得る。測定可能なインジケータ3350および/または基準点3360は、人からは視認できないが、カメラ(例えば、IRカメラ)では検出可能であり得る。
【0385】
図7Aに示すように、基準点3360は、異なる構成要素および患者インターフェース3000の位置付けにおいて設けられる。管3310および3320は、外面および側面上に設けられた基準点3360を含む。基準点3360は、管の端部の近隣および管の中間セクション内に設けられ得る。シール形成構造3100、ストラップ3340および3330ならびに/あるいは接続ポート3600を含む口鼻クッションは、1つ以上の基準点3360も含み得る。1つ以上の基準点3360は、構成要素(例えば、垂直および/または水平方向における口鼻クッション)の中心を示し得る。これらの基準点は、
図7Aに示す位置付けに制限されず、他の位置付けにも(例えば、ストラップおよび/または接続ポート3600上にも)設けられ得る。
【0386】
図7Aに示すように、基準マーカー3362は、ヘッドギアストラップの口鼻クッションまたは鼻クッションへの連結に用いられるコネクタ(例えば、磁気クリップ)上に設けられ得る。基準マーカー3362に含まれ得る形状から、患者インターフェース3000の位置決めおよび/または方向付けおよび/または患者インターフェースの一部が決定され得る。基準マーカー3362の位置決めおよび/または形状は、
図7Aに示す位置および形状に制限されない。同一かつ/または異なる形状を有する1つ以上の基準マーカーが、マスクおよび/またはヘッドギア上の他の位置付けにおいて設けられ得る。
【0387】
図7Aに示すように、第1のストラップおよび第2のストラップは、ストラップの設定(例えば、ストラップをどれだけ遠くまで伸展させるか)の決定に用いられ得るインジケータ3350を含む。ストラップの片側のインジケータ3350間の間隔がストラップの他方側の間隔よりも大きい場合、ストラップの片側が締め付けられ過ぎであるかまたは締め付けが不十分である可能性がある。可視インジケータ3350の数のカウントは、使用時においてストラップを位置決めすべき設定を示し得る。
【0388】
図7Bは、本技術の一形態による、患者および患者インターフェースのキャプチャ画像から抽出された測定可能なインジケータ3350および/または基準点3360を示す。抽出された測定可能なインジケータ3350および/または基準点3360と、測定可能なインジケータ3350および/またはベースラインの基準点3360との比較により、差が決定され得る。上記したように、抽出されたインジケータ3350の数のカウントと、数およびベースライン中の数の比較とにより、ストラップが締め付け過ぎであるかまたは締め付けが不十分であるかが示され得る。
【0389】
特定の抽出された基準点3360と、ベースラインの対応する基準点との間の距離の差により、患者インターフェース3000の構成要素間の適切な接続が存在するかまたは患者インターフェース3000に調節が必要であるかが示され得る。例えば、2つの基準点間の距離D1がベースラインにおける距離から増加した場合、口鼻マスクと口鼻マスクへ接続する管3320との間に適切な接続が無い旨の決定がなされ得る。別の例として、2つの基準点間の距離D2がベースラインにおける距離から増加した場合、管3320の長さが長すぎるため低減する必要がある旨の決定がなされ得る。2つの基準点間の距離D3がベースラインにおける対応する距離と異なる場合、(管3320の拡張可能部3302の伸長または収縮による)管3320の長さの調節が必要である旨の決定がなされ得る。
【0390】
本技術の一形態によれば、抽出された基準点3360は、(例えば、
図7Bに示すような)患者インターフェースの三次元プロファイルの構築に用いられ得、測定が、ベースラインにおいて設けられた患者インターフェースの三次元プロファイルと比較され得る。本例において、基準点を接続する線間の角度、基準点を接続する線の距離、平行線の存在および/または垂直線の存在をベースラインと比較して、患者インターフェース3000の位置決めおよび構成の変化が決定され得る。
【0391】
図7B中図示していないが、患者フィーチャ(例えば、
図2B~
図2Fに示す1つ以上のフィーチャ)を抽出してもよく、その場合、それらの患者フィーチャを患者インターフェース3000の位置決めの変化の決定のために分析の一部として用いることができる。例えば、分析は、人の眼と管上の基準点との間の距離の変化を決定することを含み得る。
【0392】
いくつかの例において、患者インターフェース3000の位置決めに係わる問題は、ベースラインおよび/または患者のフィーチャを用いることなく決定され得る。例えば、患者頭部の片側の抽出された基準点からの測定と、患者頭部の反対側の抽出された基準点からの対応する測定との比較により、患者インターフェース3000の位置決めの問題をベースライン無しに決定することが可能になる。本例において、患者インターフェースの片側は、患者インターフェースの他方側との比較の際の基準として用いられ得る。
【0393】
図7Cおよび
図7Dは、本技術の例に基づいて調節され得る患者インターフェース3000の一部であるヘッドギアストラップ3002の例を示す。
図7Cは、ストラップ3002の側面図であり、
図7Dは、ストラップ3002上面図である。
図7Cおよび
図7Dに示すように、ストラップ3002の一部は、ストラップ3002の別の部分上にオーバーレイされ得、コネクタ3004(例えば、フックタブ)によってオーバーレイ部上に取り外し可能に接続され得る。ストラップ3002は、複数のインジケータ3006を含み得る。これら複数のインジケータ3006は、数値、文字および/または記号を含み得る。ストラップ3002が牽引方向において調節されると、ストラップ3002がさらに細分化されるため、対応するインジケータが
図7Dに示す上面図において可視状態にされ得る。システムにより、インジケータ3006を基準として用いてストラップをどれくらい遠くまで牽引すべきかについての指示がユーザへ提供され得る。例えば、システムは、インジケータ「3」がストラップ上において可視状態となるようにストラップ3002を調節するよう、ユーザに指示し得る。いくつかの例において、システムは、ストラップ3002のキャプチャ画像の分析により、ストラップ3002の現在の設定の詳細を決定し得、設定が患者について決定されたストラップ3002に必要な設定に対応しない場合、ストラップ3002をさらに調節するよう患者に指示し得る。
【0394】
上記したように、本技術のいくつかの例によれば、ストラップの設定(例えば、どれくらい遠くまでストラップを伸展させるか)の決定のためのインジケータ(例えば、
図7A中のインジケータ3350)が提供され得る。
図7Eおよび
図7Fは、本技術の例による、伸展力の決定のためのストラップ3002上のインジケータ3350間の間隔の例を示す。
図7Eは、伸展が無い状態のストラップ3002の上面図および側面図である。
図7Fは、伸展している状態のストラップ3002の上面図である。いくつかの例において、患者インターフェース3000の異なる部分内に設けられたインジケータ3350は、非伸展状態において同じ所定の間隔で設けられ得る。
【0395】
図7Eおよび
図7Fに示すように、伸展していない状態のストラップ3002内の連続するインジケータ3350間の距離D1は、伸展している状態のストラップ3002内の連続するインジケータ3350間の距離D2よりも小さい。システムは、インジケータ3350のキャプチャ画像を分析し、連続するインジケータ3350間の距離に基づいて、患者インターフェース3000の異なるストラップから付加された力を比較し、ストラップから付加された力が所定の上限および/または下限内にあるかを決定し、ストラップから付加された力が患者について決定された設定に対応するかを決定し得る。いくつかの例において、システムは、連続するインジケータ3350間の距離の変化をキャプチャ画像に基づいて監視し、距離が必要な設定に対応したときに聴覚キューおよび/または視覚キューを提供し得る。
【0396】
連続するインジケータ3350間の距離はストラップの距離にわたって変化し得るため、システムは、ストラップがどれくらい伸展しているかを(連続するインジケータ3350間の複数の距離に基づいて)決定するように構成され得る。システムは、ストラップがどれくらい伸展しているかの決定のために、複数の距離の平均を決定し得る。
5.7.4.1 患者インターフェースのフィッティングのガイドのための、例示的表示画面
【0397】
図8Aは、ユーザによるマスク(患者インターフェース)のセットアップおよびセットアップされたマスクのベースラインのキャプチャを支援する一連の表示画面を含む。これらの表示画面は、ローカル外部デバイス4288および/またはRPTデバイス4000のディスプレイ上に表示され得る。
図8Aに示す表示画面のうちいくつかは命令を含み、特定のフィーチャを含むマスクを示しているが、本技術の例はこれに限定されない。1つ以上の命令および/または表示画面が表示されない場合があり、かつ/あるいは、他の命令および/または患者が使用しているマスクの種類に応じて表示画面が追加され得る。例えば、全ての患者インターフェースにおいて、
図8Aに示される磁石、フルフェイスマスクおよび/または下側ストラップが含まれるわけではない。
【0398】
特定の例において、患者が使用しているマスクまたは患者インターフェースの種類に基づいて、特定の表示画面の性質が生成され得る。患者インターフェースの種類の決定は、マスクを指定しているユーザ、マスクに付帯されているバーコードの認識、画像認識の使用、RFID、またはセットアップされている患者インターフェースの種類の特定のための他の技術に基づいて行われ得る。特定の例において、関連情報の内容、または生成および提示する表示画面は、このような認識に基づき得る。特定の例において、表示画面の順序およびユーザへ提示される指示情報の内容は、認識される情報に基づき得る。
【0399】
表示画面120は、マスクが梱包されている箱内からマスクを取り出すよう、患者に提示する。特定の例において、マスクを箱から取り出す方法を示すための画像、ビデオまたはアニメーションが、患者へ表示され得る。特定の例において、患者インターフェースは、その包装材に包まれた状態で搬送され得る。よって、例えば、表示画面120は、患者が支持シェル(例えば、包装材材料のうちマスク周囲に設けられ得るもの)からマスクを取り出す必要がある旨を示す。特定の例において、支持シェルまたは他の包装材材料を取り外す方法を示す画像、ビデオまたはアニメーションが、患者へ表示され得る。
【0400】
表示画面122および124により、マスクの着用方法が患者へ指示される。画面124は、例えば、磁気ヘッドギア接続部を含むマスクと共に用いられ得る。別の画面が、異なるヘッドギア(例えば、スナップ接続、ベルクロ(登録商標)、弾性バンドなどを用いたヘッドギア)を用いたマスクと共に用いられ得る。記載の例において、画面124は、マスクの下ストラップ上の磁石を外してヘッドギアを解放させ、マスクを適切に位置決めするよう患者に指示する。特定の例において、磁石の外しかたを示す画像、ビデオまたはアニメーションが、患者へ表示され得る。
【0401】
表示画面126により、患者は、マスクを着用するよう指示される。特定の例において、患者に対し、マスクの着用方法を示す画像、ビデオまたはアニメーションが表示され得る。
【0402】
表示画面128により、患者は、マスクおよびヘッドギアが適切にフィットしていることを確認するよう指示される。特定の例において、マスクおよび/またはヘッドギアを患者の顔へ適切にフィットさせる方法を示す画像、ビデオまたはアニメーションが、患者へ表示され得る。
【0403】
表示画面130により、患者は、上ストラップおよび下ストラップの調節するよう指示される。特定の例において、マスクの上ストラップおよび/または下ストラップの調節を示す画像、ビデオまたはアニメーションが、患者へ表示され得る。特定の例において、上ストラップおよび下ストラップは、患者の顔に(締め付けすぎること無く)ぴったりとフィットさせる必要がある。この表示画面および表示画面130により、(ストラップの締め付け過ぎまたはストラップの不十分な締め付けを回避するために)患者がストラップを正しく調節することが、促進され得る。
【0404】
表示画面132は、マスクの上ストラップおよび/または下ストラップの調節についての追加情報により患者に指示する。詳細には、表示画面132により、マスクを前方から牽引するときも、マスクのクッション部を患者の顔と接触させておく必要がある旨が示され得る。
【0405】
セットアッププロセスにおける患者インターフェースのための別のステップにおいて、1つ以上の管または導管を相互接続させるよう患者に指示する表示画面134と、マスクを着用している患者を空気導管への接続と共に示す表示画面136とが含まれる。
【0406】
特定の例において、セットアップされている構成要素(例えば、患者インターフェース、空気導管)の性質に応じて、特定の指示注意事項が設けられ得る。例えば、患者インターフェースと空気導管との間の接続が設けられ、これら2つの構成要素間において用いられているコネクタの種類にコネクタのいずれかの側にデュアルクリップが含まれる場合、表示画面上の表示される指示項目は、コネクタの両側が確実にクリップされているか確認するよう患者に注意喚起する注意事項を含み得る。このようなピンポイント指示項目により、問題(例えば、接続時に発生する漏洩)が回避され得る。
【0407】
表示画面132は、マスクのフィット感および動作をチェックするよう患者に指示する。これらの命令は、患者に特定の回数だけ寝転がって立ち上がるよう依頼することを含み得、これにより、患者の予測される動きがあるときに患者インターフェースが良好にフィットしていることを確認する。マスクの動作は、試験サイクルを通じたRPTデバイス4000の動作の制御によってチェックされ得、その際、加圧された呼吸可能なガスが、患者インターフェース3000を介して患者へ提供される。いくつかの例において、システムの構成要素は、適切な動作を自動的に決定するような構造にされ得る。例えば、患者インターフェースおよび/または空気導管は、自身が正確に接続されていることを相互に電子的に決定するような構造にされ得る。このような決定のデータは、コンピューティングデバイスへ送信され得る。
【0408】
マスクが適切に動作しておらずかつ/または不快感が感じられる旨を示す選択肢が患者へ提供され得る。患者がマスクが適切に動作しておらずかつ/または不快感が感じられると示した場合、セットアップの1つ以上のステップが繰り返され得る。表示画面132に示すように、マスクのセットアップについて支援を受ける選択肢が患者へ提供され得る。この支援は、技術者とのビデオ会議を介して提供され得、患者に対してセットアップについてのガイドが技術者へ提供された映像/画像に基づいて提供され得る。いくつかの例において、支援が行われる形態において、さらなる命令(例えば、画像、映像またはアニメーション)へアクセスして、より詳細なマスクフィッティング命令をリモートソース(例えば、リモート外部デバイス4286)から得る。この支援は、マスクのセットアップをガイドする人工知能によって提供され得る。
【0409】
マスクが適切に動作しておりかつ快適性が感じられる旨を示す選択肢が患者に提供され得る。患者がマスクが適切に動作しておりかつ/または快適性が感じられる旨を示した場合、患者およびマスクの画像および/または映像のキャプチャのために、表示画面140が表示され得る。アプリケーションは、表示画面140および/または聴覚命令を介して患者をガイドして、画像および/または映像のキャプチャを異なる位置および/または方向付けから行わせる。キャプチャされた画像および/または映像は、デバイスのローカルメモリ中に保存されかつ/またはリモートコンピューティングデバイス(例えば、リモート外部デバイス4286)へ転送され得る。
【0410】
患者インターフェースのセットアッププロセスの完了を示す表示画面142が表示される。特定の例において、構成要素および/または所与の表示画面のセットアップ完了がデータファイルなどに記録され得、ベースライン画像と関連付けられ得る。特定の例において、機器のセットアップにおける患者の進捗のデータが、リモートコンピューティングデバイスへ送信され得る。これにより、リモートユーザ(例えば、医療またはカスタマーサポート担当者)が所与の構成要素のセットアップが完了したことを確認することおよび/またはキャプチャ画像に基づいて、患者インターフェースが適切にセットアップされていることを確認することを行うことが可能になる。医療またはカスタマーサポート担当者は、患者が患者インターフェースについて問題を経験している場合にキャプチャ画像がベースラインとして使用可能である旨の確認通知を提供し得る。
5.7.4.2 患者インターフェースに係わる問題を検出するための例示的表示画面
【0411】
図8Bは、ユーザによる位置決めおよびマスク(患者インターフェース)のセットアップの修正を支援する一連の表示画面を含む。これらの表示画面は、ローカル外部デバイス4288および/またはRPTデバイス4000のディスプレイ上に表示され得る。
図8Bに示す表示画面のうちいくつかは命令を含みかつ特定のフィーチャのマスクを示すが、本技術の例はこれに限定されない。1つ以上の命令および/または表示画面は示されない場合がありかつ/あるいは他の命令および/または患者が使用しているマスクの種類および特定の患者インターフェースについて特定される問題に応じて表示画面が付加され得る。
【0412】
表示画面200により、患者がマスクに関連して問題を経験している旨を示す選択肢が患者へ提供される。表示画面120は、コンピューティングシステムに基づいて自動的に表示され得、規定されたスケジュールに基づいてユーザインターフェースが使用されていない旨ならびに/あるいはRPTデバイスの動作が不適切にかつ/または一貫性が無い旨が決定される。
【0413】
表示画面202により、患者が患者がマスクと共にある様子の画像または映像をキャプチャする必要がある旨が示される。アプリケーションにより、画像および/または映像のキャプチャが異なる位置および/または方向付けから行われるよう、患者が表示画面202および/または聴覚命令を介してガイドされ得る。キャプチャされた画像および/または映像により、患者および患者インターフェースのスキャンが得られ得る。キャプチャされた画像および/または映像は、デバイスのローカルメモリ中に保存されかつ/またはリモートコンピューティングデバイス(例えば、リモート外部デバイス4286)へ転送され得る。
【0414】
キャプチャ画像の分析により、マスクの患者頭部上へのセットアップおよび/または位置決めの様態に関連する潜在的問題が決定され得る。表示画面204は、患者に対し、患者インターフェースに関連する患者潜在的問題を示す。これらの問題は、テキスト、画像および/またはアニメーションを介して特定され得る。表示画面204内において、これらの問題は、キャプチャ画像のうち1つにオーバーレイされた数によって特定され、各数は、潜在的問題をシステムによって特定された重要度の順に示す。
【0415】
表示画面206および表示画面208により、問題の修正のための命令が特定および提供される。表示画面206および表示画面208は、マスクの正しい設定および/または位置決めを示す画像、映像および/またはアニメーションを含み得る。表示画面206は、表示画面204内に示される第1の問題をユーザが選択するのに応答して表示され得る。表示画面208は、表示画面204内に示される第2の問題をユーザが選択するのに応答して表示され得る。特定された問題のうち1つ以上についての情報の表示後、表示画面210により、当該問題が修正されたかを示してほしいとのリクエストをユーザへ表示され得る。当該問題が修正されている場合、マスク問題の検出は完了され得る。当該問題が修正されていない場合、患者インターフェースに関連するさらなる問題の検出のために画像キャプチャを繰り返すようにとの表示画面202が表示され得る。いくつかの例において、表示画面204および/または206は、マスクおよび/またはヘッドギア内に配置された1つ以上のセンサから受信されたデータに基づいた問題修正のための情報を表示し得、表示された情報の更新を受信されたセンサに基づいてリアルタイムで行い得る。
【0416】
いくつかの例において、患者インターフェースに関連する問題が修正された後(表示画面210において「はい」)、前回使用されたベースライン画像の代わりとしてまたは既存のベースライン画像への追加としてさらなる画像および/または映像をキャプチャせよとの旨の
図8A中の表示画面140が表示され得る。いくつかの例において、問題が修正されたかまたは修正されていないかの決定は、マスクおよび/またはヘッドギア内に配置された1つ以上のセンサから受信されたデータに基づいて自動的に行われ得る。
5.7.4.3 患者のキャプチャ画像を用いて患者インターフェースのフィッティングをガイドするための例示的表示画面
【0417】
図8Cは、ユーザによる患者インターフェースの位置決めを支援するために用いられ得る一連の表示画面を示す。
図8C中に示す画面のうち1つ以上が、
図8Aおよび/または
図8Bに示す一連の画面内において用いられ得る。表示画面302は、ユーザのためにまたはユーザによって選択されたヘッドギアを示す。図示のヘッドギアは、患者についてシステムによって選択されたヘッドギアの種類、サイズおよび構成に対応し得る。表示画面302は、ヘッドギアの異なる部分を相互に取り付けてくださいとの命令を含み得る。
【0418】
表示画面304は、マスクへ取り付けられたヘッドギアの画像と、ヘッドギアをマスクへ取り付けてくださいとの命令を表示する。図示のマスクは、患者についてシステムによって選択されたマスクの種類、サイズおよび構成に対応し得る。これらの命令は、患者インターフェースの着用の前にユーザが行う必要のあるヘッドギア設定についての命令を含み得る。これらの命令は、患者のキャプチャ画像、使用履歴および/またはデータベース中に保存されたデータに基づいて生成され得る。
【0419】
表示画面306は、疑似患者上に設けられた患者インターフェースの画像を表示する。いくつかの例において、疑似患者は、患者の前回キャプチャされた画像から生成され得るか、または、ユーザの画像に基づいて生成されたアバターに対応し得る。ユーザのために選択された患者インターフェースは、拡張現実によって患者の顔上にオーバーレイされ得る。患者インターフェースは、患者の画像から抽出された患者のフィーチャに基づいて患者の顔上にオーバーレイされ得る。いくつかの例において、表示画面306上に示された画像は、例えばモバイルデバイスの前方を向くカメラのフィードからとられた患者のリアルタイムの画像である。患者インターフェースの特定の部分の位置決めの決定は、1つ以上の基準マーカー3362の位置決めを検出することによって行われ得る。例えば、基準マーカー3362は、ヘッドギアストラップの位置の確認のために用いられ得る。これは、患者にとっての最適なフィット感の決定のために用いられ得る。いくつかの例において、表示画面306は、ヘッドギアストラップの調節(例えば、ストラップの短尺化または締め付け)についての命令および/またはストラップおよび/またはマスクの位置決めの調節についての命令を含み得る。これらの命令は、患者のキャプチャ画像、使用履歴および/またはデータベース中に保存されたデータに基づいて生成され得る。これらの命令は、(ユーザへ調節フィードバックを提供するための)矢印などの記号を画像上にオーバーレイすることによって行われ得る。他の例において、これらの命令は、聴覚キューの形態をとり得る。
【0420】
図8A~
図8Cに示す表示画面のうち1つ以上は、ユーザがユーザ入力に基づいて患者および/または患者インターフェースの表示様態を変更することを可能にする患者および/または患者インターフェースの三次元モデルを含み得る。例えば、ユーザ入力は、患者への表示対象として患者および/または患者インターフェースの画像のキャプチャに用いられる仮想カメラの方向付けおよび/または位置決めを変更し得る。
5.7.4.4 例示的コンピューティングデバイス
【0421】
図9は、本明細書中の例示的コンピューティングデバイス600(これは、例えば「コンピューティングデバイス」、「コンピュータシステム」または「コンピューティングシステム」とも呼ばれ得る)のブロック図を示す。特定の例において、コンピューティングデバイス600は、ローカル外部デバイス4288内に設けられ得る。特定の例において、コンピューティングデバイス600は、中央コントローラ4230に対応し得る。
【0422】
特定の例において、コンピューティングデバイス600は、以下のうち1つ以上を含む:1つ以上のハードウェアプロセッサ(例えば、中央処理装置またはCPU)を含む処理システム602;1つ以上のメモリデバイス606;1つ以上のネットワークインターフェースデバイス618;1つ以上の表示インターフェース614;および1つ以上のユーザ入力アダプタ610。コンピューティングデバイス600の要素は、システムバス604を介して相互に通信し得る。さらに、いくつかの例において、コンピューティングデバイス600は、表示デバイス616、ユーザ入力デバイス612、カメラ630、データベース620および/または外部リソース622(これは、コンピューティングデバイス600の別のインスタンスであり得る)へ接続されるかまたはこれらを含む。以下に述べるように、これらの要素(例えば、処理システム602、メモリデバイス606、ネットワークインターフェースデバイス618、表示インターフェース614、ユーザ入力アダプタ610、カメラ630、表示デバイス616)は、コンピューティングデバイス600のために多様な異なる機能を行うように構成されたハードウェアデバイスである(例えば、電子回路または回路の組み合わせ)。
【0423】
いくつかの例において、処理システム602のプロセッサ(例えば、CPU1、2、3または4)それぞれまたはいずれかは、例えば、シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば、これは、中央処理装置またはCPUとも呼ばれ得る)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、DSPコアに関連するマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、および/またはシステムオンチップ(SOC)(例えば、CPUを含む集積回路および他のハードウェア構成要素(例えば、メモリ、ネットワーキングインターフェース))であるかまたはこれらを含む。特定の例において、プロセッサのうちそれぞれまたはいずれかは、指示セットアーキテクチャを用い得る(例えば、x86またはAdvanced RISC Machine(ARM))。
【0424】
いくつかの例において、メモリデバイス606のそれぞれまたはいずれかは、ランダムアクセスメモリ(RAM)(例えば、ダイナミックRAM(DRAM)またはスタティックRAM(SRAM))、フラッシュメモリ(例えば、NANDまたはNOR技術に基づいたもの)、ハードディスク、光磁気媒体、光媒体、キャッシュメモリ、(例えば、指示項目を保持する)レジスター、またはデータおよび/または指示項目の揮発型または不揮発型の保存を行う他の種類のデバイス(例えば、処理システム602のプロセッサ上において実行されるかまたは処理システム602のプロセッサによって実行されるソフトウェア)であるかまたはそのようなものを含む。メモリデバイス606は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体の例である。
【0425】
いくつかの例において、ネットワークインターフェースデバイス618それぞれまたはいずれかは、1つ以上の回路(例えば、ベースバンドプロセッサおよび/または有線トランシーバまたは無線トランシーバ)を含み、1つ以上の有線通信技術(例えば、イーサネット(IEEE802.3))および/または無線通信技術(例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)(IEEE802.11)、GSM、CDMA2000、UMTS、LTE、LTEアドバンスト(LTE-A)のための第1の層、第2の層および/またはより上位層ならびに/あるいは他の短距離、中距離および/または長距離の無線通信技術)を実行する。トランシーバは、送信器および受信器のための回路機構を含み得る。送信器および受信器は、共通ハウジングを共有し得、送信および受信を行うためにハウジング内の回路機構のうちいくつかまたは全てを共有し得る。いくつかの例において、トランシーバの送信器および受信器は、任意の共通回路機構を共有しない場合がありかつ/または同一または別個のハウジング内に設けられ得る。
【0426】
いくつかの例において、表示インターフェース614のそれぞれまたはいずれかは、以下を行う1つ以上の回路であるかまたはそのような回路を含む:処理システム602のプロセッサからのデータ受信、受信データに基づいた(例えば、離散GPU、集積GPU、グラフィカル処理を実行するCPUなどを介した)対応する画像データの生成および/または出力(例えば、高解像度マルチメディアインターフェース(HDMI(登録商標))、ディスプレイポートインターフェース、ビデオグラフィックスアレイ(VGA)インターフェース、デジタルビデオインターフェース(DVI)など)を介した、(画像データを表示する)表示デバイス616への画像データの出力。代替的にまたは追加的に、いくつかの例において、表示インターフェース614それぞれまたはいずれかは、例えば、ビデオカード、ビデオアダプタまたはグラフィックス処理ユニット(GPU)であるかまたはそのようなものを含む。
【0427】
いくつかの例において、ユーザ入力アダプタ610それぞれまたはいずれかは、1つ以上の回路であるかまたは1つ以上の回路を含む。これらの回路は、(コンピューティングデバイス600に含まれるかコンピューティングデバイス600へ取り付けられるかまたは他の方法でコンピューティングデバイス600と通信する)1つ以上のユーザ入力デバイス612からのユーザ入力データを受信および処理し、受信された入力データに基づいてデータをプロセッサ602へ出力する。代替的にまたは追加的に、いくつかの例において、ユーザ入力アダプタ610それぞれまたはいずれかは、例えば、PS/2インターフェース、USBインターフェース、タッチスクリーンコントローラなどであるかまたはそのようなものを含み;かつ/あるいは、ユーザ入力アダプタ610は、ユーザ入力デバイス612からの入力を促進させ得る。ユーザ入力デバイス612は、例えば、キーボード、マウス、トラックパッド、タッチスクリーン、音声入力などを含み得る。特定の例において、ユーザ入力アダプタ610は、ユーザからのものではない他の種類の入力源からのデータを処理するように構成され得る。例えば、ユーザ入力アダプタ610(例えば、入力アダプタ)は、1つ以上のセンサ(例えば、流れ、圧力、温度、または他の種類のセンサ)からのデータを処理し得る。
【0428】
いくつかの例において、表示デバイス616は、液晶表示(LCD)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、または他の種類の表示デバイスであり得る。表示デバイス616がコンピューティングデバイス600の構成要素である(例えば、コンピューティングデバイスおよび表示デバイスが、例えばモバイルまたはタブレットデバイスの一体型ハウジング内に含まれる)例において、表示デバイス616は、タッチスクリーンディスプレイ(例えば、タッチを感知する容量または抵抗の技術を用いたもの)または非タッチスクリーンディスプレイであり得る。表示デバイス616がコンピューティングデバイス600へ接続された(例えば、コンピューティングデバイス600の外部にあり、有線通信技術を介してかつ/または無線通信技術を介してコンピューティングデバイス600と通信する)例において、表示デバイス616は、例えば、外部モニター、プロジェクター、テレビ、表示画面などである。
【0429】
多様な例において、コンピューティングデバイス600は、上記した要素のうち1つまたは2つまたは3つ、4つ、またはそれ以上またはいずれかを含む(例えば、処理システム602、CPU1、2、3または4、メモリデバイス606、ネットワークインターフェースデバイス618、表示インターフェース6514およびユーザ入力アダプタ610)。いくつかの例において、コンピューティングデバイス600は、以下のうち1つ以上を含む:ハードウェアプロセッサを含む処理システム602(例えば、CPU1、2、3および/または4);メモリまたはメモリデバイスを含む記憶システム;およびネットワークインターフェースデバイス618を含むネットワークインターフェースシステム。
【0430】
コンピューティングデバイス600は、多様な例において、多数の異なる様態で配置され得る。ひとえに一例として、コンピューティングデバイス600は、プロセッサが以下のものを含むように配置され得る:マルチコア(またはシングルコア)のプロセッサ;(例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFCなどを実行する)第1のネットワークインターフェースデバイス;1つ以上のセルラー通信技術(例えば、3G、4GLTE、CDMAなど)を実行する第2のネットワークインターフェースデバイス;メモリまたは記憶デバイス(例えば、RAM、フラッシュメモリまたはハードディスク)。プロセッサ、第1のネットワークインターフェースデバイス、第2のネットワークインターフェースデバイスおよびメモリデバイスは、同一SOC(例えば、1つの集積回路チップ)の一部として集積され得る。別の例として、コンピューティングデバイス600は、以下が可能になるように配置され得る:プロセッサが2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のマルチコアプロセッサを含み;ネットワークインターフェースデバイス618が、イーサネットを実行する第1のネットワークインターフェースデバイスと、WiFi(登録商標)および/またはBluetooth(登録商標)を実行する第2のネットワークインターフェースデバイスとを含み;メモリデバイス606が、フラッシュメモリまたはハードディスクの形態のRAMおよび記憶装置を含み得る。
【0431】
本文書中、ソフトウェアモジュールまたはソフトウェアプロセスが任意のアクションを行うことが記載されている場合は必ず、当該アクションは、実際は、ソフトウェアモジュールを含む指示項目に従って下側のハードウェア要素によって行われる。
【0432】
図9中に図示および上記に記載されるハードウェア構成は、例としてのものであり、本明細書中に記載の内容は、多様な異なるハードウェアアーキテクチャおよび要素と関連して用いられ得る。例えば:本文書中の図中、個々の機能ブロック/アクションブロックが図示されているが、多様な例において、これらのブロックの機能は、下記を用いて実行され得る:(a)個々のハードウェア回路、(b)記載の機能/アクションを行うように明示的に構成された特定用途向け集積回路(ASIC)を使用すること、(c)記載の機能/アクションを行うように明示的に構成された1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用すること、(d)
図6を参照して上述されたハードウェア構成を使用すること、(e)他のハードウェア配置構成、アーキテクチャおよび構成を介することおよび/または(a)~(e)に記載の技術の組み合わせを介すること。
【0433】
特定の例において、本明細書中の技術により、患者インターフェースの使用が向上する。このような向上は、ベースラインと、患者および患者インターフェースを含むキャプチャ画像との間の比較に基づき得る。特定の例において、本明細書中の技術により、患者の医療デバイスの自宅での使用における患者快適性の向上が、患者インターフェースの使用法についての医療専門家によるセットアップおよび指示および/または患者インターフェース使用法に関連する問題の修正の必要無く得られる。
5.8 呼吸治療モード
【0434】
多様な呼吸治療モードは、開示した呼吸治療システムによって実行され得る。
5.8.1 CPAP治療
【0435】
呼吸圧力治療のいくつかの具現例において、中央コントローラ4230は、治療圧力Ptを治療圧力方程式(1)に従って治療パラメータ決定アルゴリズム4329の一部として設定する。いくつかのそのような具現例において、振幅Aは等しくゼロであるため、治療圧力Pt(現在瞬間の時間におけるインターフェース圧力Pmによって達成される目標値をしめす)は呼吸サイクル全体において同様にベース圧力P0に等しい。このような具現例は、CPAP治療の見出し下において主にグループ分けされる。このような具現例において、フェーズΦまたは波形テンプレートΠ(Φ)を決定するための治療エンジンモジュール4320は不要である。
【0436】
CPAP治療において、ベース圧力P0は一定の値であり得、ハードコードされるかまたはRPTデバイス4000へ手動入力される。中央コントローラ4230は、治療エンジンモジュール4320中の各アルゴリズムから返送された睡眠時呼吸障害の指標または測定(例えば、流れ制限、無呼吸、呼吸低下、開通性、およびいびきのうち1つ以上)の関数としてベース圧力P0を繰り返して計算し得る。この代替例は、APAP治療とも呼ばれる。
【0437】
図4Eは、中央コントローラ4230によって実行される方法4500を示すフローチャートである。方法4500において、圧力補助Aがゼロに等しい場合、ベース圧力P
0を治療パラメータ決定アルゴリズム4329のAPAP治療実行の一部として連続的に計算する。
【0438】
方法4500は、ステップ4520から開始する。ステップ4520において、中央コントローラ4230は、無呼吸/呼吸低下の存在の測定を第1の閾値と比較し、無呼吸/呼吸低下の存在の測定が事前決定された期間にわたって第1の閾値を超えている(これは、無呼吸/呼吸低下の発生を示す)かを決定する。そうである場合、方法4500は、ステップ4540へ進み、そうでない場合、方法4500は、ステップ4530に進む。ステップ4540において、中央コントローラ4230は、気道開通性の測定を第2の閾値と比較する。気道開通性の測定が第2の閾値を超える場合、気道が開存していることを示し、検出された無呼吸/呼吸低下が中枢性であるとみなされ、方法4500はステップ4560に進む。気道開存性の測定が第2の閾値を超えない場合、無呼吸/呼吸低下は閉塞性であるとみなされ、方法4500は、ステップ4550へ進む。
【0439】
ステップ4530において、中央コントローラ4230は、流れ制限の測定を第3の閾値と比較する。流れ制限の測定が第3の閾値を超える場合、吸気流れが制限されていることを示す。その場合、方法4500は、ステップ4550へ進む。流れ制限の測定が第3の閾値を超えない場合、方法4500は、ステップ4560に進む。
【0440】
ステップ4550において、得られた治療圧力Ptが最大治療圧力Pmaxを超えない場合、中央コントローラ4230は、ベース圧力P0を事前決定された圧力インクリメントΔPだけ増加させる。1つの具現例において、事前決定された圧力インクリメントΔPおよび最大治療圧力Pmaxは、それぞれ1cmH2Oおよび25cmH2Oである。他の具現例において、圧力インクリメントΔPは、0.1cmH2Oまで低くかつ3cmH2Oまで高くすることができるか、または、0.5cmH2Oまで低くかつ2cmH2Oまで高くすることができる。他の具現例において、最大治療圧力Pmaxは、15cmH2Oまで低くかつ35cmH2Oまで高くすることができるか、または、20cmH2Oまで低くかつ30cmH2Oまで高くすることができる。次に、方法4500は、ステップ4520に戻る。
【0441】
ステップ4560において、低下したベース圧力P0が最低治療圧力Pminを下回っていない場合、中央コントローラ4230は、ベース圧力P0をデクリメントだけ低下させる。次に、方法4500は、ステップ4520に戻る。1つの具現例において、デクリメントはP0-Pminの値に比例するため、検出された事象が無い場合、P0の最低治療圧力Pminへの低下は、指数関数的になる。1つの具現例において、比例関係の定数は、P0の指数関数的低下の時定数τが60分でありかつ最低治療圧力Pminが4cmH2Oとなるように、設定される。他の具現例において、時定数τは、1分まで短くかつ300分まで長くすることができるか、または、5分まで短くしかつ180分まで長くすることができる。他の具現例において、最低治療圧力Pminは、0cmH2Oまで低くすることができかつ8cmH2Oまで高くすることができるか、または、2cmH2Oまで低くすることができかつ6cmH2Oまで高くすることができる。あるいは、検出された事象が無い場合にP0の最低治療圧力Pminまでの低下が線状になるように、P0のデクリメントを事前決定してもよい。
5.8.2 バイレベル治療
【0442】
本技術のこの形態の他の具現例において、方程式(1)中の振幅Aの値は正であり得る。このような具現例は、バイレベル治療として公知である。なぜならば、治療圧力Ptを正の振幅Aの方程式(1)を用いて決定する場合、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、患者1000の自発呼吸努力と同期して治療圧力Ptを2つの値またはレベル間で振動させるからである。すなわち、上記した典型的な波形テンプレートΠ(Φ,t)に基づいて、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、吸気の開始時または吸気の最中に治療圧力PtをP0+A(IPAPとして公知)まで増加させ、呼気開始時または呼気の最中に治療圧力Ptをベース圧力P0(EPAPとして公知)まで低下させる。
【0443】
バイレベル治療のいくつかの形態において、IPAPは、CPAP治療モードにおける治療圧力と同じ目的の治療圧力であり、EPAPは、IPAPから振幅Aを減算した値であり、呼気圧力解放(EPR)とも呼ばれる「小さな」値(数cmH2O)を有する。このような形態は、EPRを用いたCPAP治療とも呼ばれ、直接的なCPAP治療よりも快適性高いものとして一般的に考えられる。EPRを用いたCPAP治療の場合、IPAPおよびEPAPのいずれかまたは双方は一定の値であり得、ハードコードされるかまたはRPTデバイス4000へ手動入力される。あるいは、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、EPRを用いたCPAP時において、IPAPおよび/またはEPAPを繰り返して計算し得る。この代替例において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、治療エンジンモジュール4320中の各アルゴリズムから返送された睡眠時呼吸障害の指標または測定の関数としてEPAPおよび/またはIPAPを繰り返して計算する。これは、上記したAPAP治療におけるベース圧力P0の計算と同様に行われる。
【0444】
他の形態のバイレベル治療において、振幅Aは、RPTデバイス4000が患者1000の呼吸動作の一部または全部を行うほど充分に大きい。圧力補助換気治療として公知のこのような形態において、振幅Aは、圧力補助またはスイングと呼ばれる。圧力補助換気治療において、IPAPは、ベース圧力P0+圧力補助Aであり、EPAPはベース圧力P0である。
【0445】
一定圧力補助換気治療として公知の圧力補助換気治療のいくつかの形態において、圧力補助Aは、所定の値(例えば、10cmH2O)に固定される。所定の圧力補助値は、RPTデバイス4000の設定であり、例えばRPTデバイス4000の構成時にハードコードされるかまたは入力デバイス4220を通じた手動入力により設定され得る。
【0446】
サーボ換気として広範に知られる圧力補助換気治療の他の形態において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、呼吸サイクル(例えば、換気の現在測定Vent)の一定の現在測定されているまたは推定されているパラメータと、当該呼吸パラメータの目標値(例えば、換気の目標値Vtgt)とを入力としてとり、式(1)のパラメータを繰り返して調節して、呼吸パラメータの現在の測定を目標値に接近させる。CSR治療に用いられる適応型サーボ換気(ASV)として公知のサーボ-換気の形態において、呼吸パラメータは換気であり、目標換気値Vtgtは、上記したように典型的な最近の換気Vtypから目標換気決定アルゴリズム4328によって計算される。
【0447】
サーボ換気のいくつかの形態において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、呼吸パラメータの現在の測定を目標値へと達するように、圧力補助Aを繰り返し計算する制御方法を適用する。1つのこのような制御方法として、比例積分(PI)制御がある。目標換気Vtgtが典型的な最近の換気Vtypよりも若干低くなるように設定されたASVモードに適したPI制御の1つの具現例において、圧力補助Aは、以下のように繰り返して計算される:
【0448】
【0449】
ここで、Gは、PI制御の利得である。利得Gの値が大きくなると、治療エンジンモジュール4320におけるフィードバックが正になり得る。利得Gの値が小さくなると、一定の残りの未治療CSRまたは中枢性睡眠時無呼吸が発生し得る。いくつかの具現例において、利得Gは、所定の値(例えば、-0.4cmH2O/(L/分)/秒)に固定される。あるいは、利得Gは、CSRを実質的に除いた値に到達するまで、治療セッション間において変更され得る(最初は低い値から開始し、セッション間において増加させる)。治療セッションのパラメータを遡及的に分析して治療セッション時のCSRの深刻度を評価するための従来の手段は、このような具現例において用いられ得る。さらに他の具現例において、利得Gは、換気の現行測定値Ventと、目標換気Vtgtとの間の差に応じて変動し得る。
【0450】
治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって適用され得る他のサーボ換気制御方法を挙げると、比例(P)、比例差分(PD)、および比例積分差(PID)がある。
【0451】
方程式(2)を介して計算された圧力補助Aの値は、[Amin、Amax]として規定された範囲までクリップされ得る。この具現例において、圧力補助Aは、現在の換気Ventの測定が目標換気Vtgtを下回るまで、最小圧力補助Aminにおいてデフォルトとして設定される。現在の換気Ventの測定が目標換気Vtgtを下回った時点においてAが増加し始め、Ventが再度Vtgtを超えた場合にのみ、Aminまで低下する。
【0452】
圧力補助制限AminおよびAmaxは、RPTデバイス4000の設定であり、例えばRPTデバイス4000の構成時にハードコードされるかまたは入力デバイス4220を通じた手動入力によって設定される。
【0453】
圧力補助換気治療モードにおいて、EPAPは、ベース圧力P0である。CPAP治療におけるベース圧力P0と同様に、EPAPは一定の値であり得、タイトレーション時に規定または決定される。このような一定のEPAPは、例えばRPTデバイス4000の構成時にハードコードするかまたは入力デバイス4220を通じた手動入力により、設定され得る。この代替例は、固定EPAP圧力補助換気治療とも呼ばれる。所与の患者についてのEPAPのタイトレーションは、閉塞性無呼吸を予防する目的のために、PSGを用いたタイトレーションセッション時に臨床医によって行われ得、これにより、一定CPAP治療におけるベース圧力P0のタイトレーションと同様の様態で、圧力補助換気治療のために気道確保が維持される。
【0454】
あるいは、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、圧力補助換気治療時のベース圧力P0を繰り返して計算し得る。このような具現例において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、治療エンジンモジュール4320中の各アルゴリズムから返送された睡眠時呼吸障害の指標または測定(例えば、流れ制限、無呼吸、呼吸低下、開通性およびいびきのうち1つ以上)の関数としてEPAPを繰り返して計算する。EPAPの連続的計算は、EPAPのタイトレーション時における臨床医によるEPAPの手動調節に類似するため、このプロセスは、EPAPの自動タイトレーションとも呼ばれ、治療モードは、自動タイトレーションEPAP圧力補助換気治療または自動EPAP圧力補助換気治療として知られる。
5.8.3 高流量治療
【0455】
他の形態の呼吸治療において、空気流れの圧力は、呼吸圧力治療に用いられるため、制御されない。むしろ、中央コントローラ4230は、(デバイス流量Qdが患者の呼吸サイクル全体にかけて典型的に陽である治療流量または目標流量Qtgtになるように制御される)空気流れを圧力生成器4140に送達させるように、圧力生成器4140を制御する。このような形態は、流れ治療の見出し下において主にグループ分けされる。流れ治療において、治療流量Qtgtは一定の値であり得、ハードコードされるかまたはRPTデバイス4000へ手動入力される。治療流量Qtgtが患者のピーク吸気流量を超えるのに十分である場合、その治療は、高流量治療(HFT)と主に呼ばれる。あるいは、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルQtgt(t)であり得る。
5.9 用語集
【0456】
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
5.9.1 一般
【0457】
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0458】
本技術の特定の形態において、「周囲」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0459】
例えば、加湿器に対する周囲湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような周囲湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0460】
別の例において、周囲圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0461】
特定の形態において、周囲(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。周囲ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0462】
自動的な気道陽圧(APAP)治療:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP治療。
【0463】
持続的気道陽圧(CPAP)治療:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧力治療。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0464】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「気流」と呼ぶ場合もある。
【0465】
患者の呼吸の例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。デバイス流量Qdは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。合計流量Qtは、空気回路を介して患者インターフェースへと到達する空気および任意の補充用ガスの流量である。通気流量Qvは、呼息されたガスの流出を可能にするために通気部から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0466】
流れ治療:患者の呼吸サイクル全体にかけて通常陽圧である治療流量と称される制御された流量において気道への入口に空気流れを送達することを含む、呼吸治療。
【0467】
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の医療呼吸器疾病を改善するために治療上有益な量の水(H2O)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
【0468】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の例において、漏洩は、周囲に対するスイベルエルボーにおいて発生し得る。
【0469】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0470】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0471】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気部(例えば、患者インターフェース中の通気穴)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0472】
患者:呼吸器疾病に罹患しているかまたはしていない人。
【0473】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmH2O、g-f/cm2、及びヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカル(1ヘクトパスカル=100Pa=100N/m2=1ミリバール~0.001atm)である。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
【0474】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてインターフェース圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0475】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0476】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
5.9.1.1 材料
【0477】
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0478】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
5.9.1.2 機械的特性
【0479】
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
【0480】
弾性のある:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0481】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0482】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。剛性の反義語は、可撓性である。
【0483】
柔軟な構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
【0484】
剛性の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmH2Oの圧力の負荷において患者の気道への入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0485】
一例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
5.9.2 呼吸サイクル
【0486】
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合型無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0487】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0488】
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0489】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0490】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0491】
流れ制限:流れ制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流れ制限が発生した場合、当該流れ制限は吸気流れ制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流れ制限が発生した場合、当該流れ制限は呼気流れ制限と称することができる。
【0492】
流れ制限吸気の波形の種類:
(i)平坦化:上昇の後に比較的平坦な部分が続いた後、下降が発生すること。
(ii)M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部分がある。
(iii)椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部分が続く。
(iv)逆椅子状:比較的平坦な部分の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がりに発生する。
【0493】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(i) 患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii) 患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0494】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0495】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0496】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
【0497】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の雰囲気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0498】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0499】
呼吸流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸流量」と対照的に用いられる。
【0500】
一回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸息または呼息された空気の量である。原則的に、吸気量Vi(吸息された空気の量)は、呼気量Ve(呼息された空気の量)に等しいため、単一の一回換気量Vtは、いずれかの量に等しいものとして規定され得る。実際には、一回換気量Vtは、何らかの組み合わせ(例えば、吸気量Viと呼気量Veの平均)として推定される。
【0501】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0502】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0503】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0504】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0505】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流れ制限の状態と関連し得る。
【0506】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流れのうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
5.9.3 換気
【0507】
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0508】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0509】
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0510】
呼気の気道陽圧(EPAP):人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のインターフェース圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加されるベース圧力。
【0511】
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のインターフェース圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
【0512】
吸気の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のインターフェース圧力。
【0513】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、ベース圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0514】
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0515】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0516】
スイング:圧力補助に相当する用語。
【0517】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
5.9.4 解剖学的構造
5.9.4.1 顔の解剖学的構造
【0518】
翼:各鼻孔の外部の外壁または「翼」(複数形:alar)
【0519】
翼角度:
【0520】
アラレ(Alare):鼻翼上の最外側の点。
【0521】
翼曲率(または鼻翼頂上)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
【0522】
耳介:耳の視認できる部分全体。
【0523】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0524】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0525】
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
【0526】
鼻柱角度:鼻穴の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフォート水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
【0527】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0528】
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状面において最も顕著な点。
【0529】
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
【0530】
唇、下側(下唇:labrale inferius):
【0531】
唇、上側(上唇:labrale superius):
【0532】
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、外側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
【0533】
鼻孔(鼻穴):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0534】
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
【0535】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
【0536】
下耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0537】
上耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0538】
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
【0539】
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
【0540】
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
【0541】
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
【0542】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面である。正中矢状面は、右半分および左半分に分割する矢状面である。
【0543】
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
【0544】
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
【0545】
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
【0546】
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状面における上唇と合体する点。
【0547】
スプラメントン:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
5.9.4.2 頭蓋骨の解剖学的構造
【0548】
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0549】
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0550】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎骨の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0551】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
【0552】
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0553】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連通する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
【0554】
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0555】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0556】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0557】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
5.9.4.3 呼吸器系の解剖学的構造
【0558】
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0559】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0560】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸細気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0561】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介(nasal conchae)(単数形「concha」)または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0562】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、口咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
5.9.5 患者インターフェース
【0563】
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
【0564】
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0565】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0566】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡体および布地の層状複合材)によって形成される。
【0567】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸展に対しては抵抗する。
【0568】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において雰囲気圧力を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0569】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0570】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0571】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0572】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0573】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気流れの漏れはほとんど無い。
【0574】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0575】
通気部:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、呼息されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
5.9.6 構造の形状
【0576】
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって境界付けられ得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の例において、シール形成構造は、顔接触(例えば、外側の)表面と、別個の非顔接触(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0577】
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。
図3B~
図3Fを参照されたい。
図3B~
図3Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。
図3B~
図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
5.9.6.1 一次元における曲率
【0578】
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
【0579】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。
図3B(
図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および
図3C(
図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
【0580】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。
図3Dを参照されたい。
【0581】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。
図3E(
図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および
図3F(
図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
5.9.6.2 二次元表面の曲率
【0582】
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。
図3B~
図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0583】
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。
図3B~
図3Fの例において、最大曲率は
図3Bにおいて発生し、最小は
図3Fにおいて発生するため、
図3Bおよび
図3Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
【0584】
表面の領域:表面上の接続された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
【0585】
サドル領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
【0586】
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
【0587】
円筒型の領域:1つの主要な曲率がゼロ(または例えば製造交差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
【0588】
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
【0589】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0590】
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的-トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
【0591】
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
【0592】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
5.9.6.3 空間曲線
【0593】
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は閉鎖され得る。すなわち、終点を有さない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(
図3Qを参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(
図3Rを参照)。
図3Sは、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜またはインペラの縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
【0594】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
【0595】
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
【0596】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則(例えば
図3Pを参照)または表すあるいは左手の法則(
図3O)によって決定され得る。
【0597】
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。
図3Oおよび
図3Pを参照されたい。
【0598】
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。
図3Sを参照して、T2>T1であるため、
図3Sの螺旋の最上部コイルの近隣のねじれの大きさは、
図3Sの螺旋の最下部コイルのねじれの大きさよりも大きい。
【0599】
図3Pの右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、
図3Sに示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
【0600】
同様に、左手の法則(
図3Oを参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。
図3Tを参照されたい。
5.9.6.4 穴
【0601】
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、
図3Iに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線によって境界付けられる様子を参照されたい。
【0602】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤ内面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば
図3Lのクッション、および二次元穴を境界付ける内面が示される
図3Mおよび
図3Nにおける
図3Lの例示的断面を参照されたい。さらに別の例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。
図3Kに示す構造を通じておりかつ図示のように表面によって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
5.10 他の注意事項
【0603】
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0604】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0605】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0606】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0607】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0608】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0609】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していないと認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0610】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0611】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0612】
本明細書中の技術について、特定の例を参照して述べてきたが、これらの例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「第1の(first)」および「第2の(second)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0613】
本明細書中用いられるように、「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、以下を含む:レジスター、キャッシュメモリ、ROM、半導体メモリデバイス(例えば、D-RAM、S-RAMまたは他のRAM)、磁気媒体(例えば、フラッシュメモリ、ハードディスク、光磁気媒体)、光媒体(例えば、CD-ROM、DVD、またはブルーレイディスク)、あるいは非一時的な電子データ保存のための他の種類のデバイス。「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、一時的な伝搬性の電磁気信号を含まない。
【0614】
特定の例をCPAPシステムに関連して記載しているが、本明細書中の技術は、他の種類の自宅医療機器にも適用可能であり得ることが理解される。
【0615】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0616】
5.11 参照符号のリスト
120 表示画面
122 表示画面
124 表示画面
126 表示画面
128 表示画面
130 表示画面
132 表示画面
134 表示画面
136 表示画面
140 表示画面
200 表示画面
202 表示画面
204 表示画面
206 表示画面
208 表示画面
210 表示画面
238 表示画面
302 表示画面
304 表示画面
306 表示画面
600 コンピューティングデバイス
602 処理システム
604 システムバス
606 メモリデバイス
610 入力アダプタ
612 入力デバイス
614 表示インターフェース
616 表示デバイス
618 ネットワークインターフェースデバイス
620 データベース
622 外部リソース
630 カメラ
632 IRエミッタ
1000 患者
1002 患者
1004 患者
1100 同床者
3000 患者インターフェース
3002 ストラップ
3004 コネクタ
3006 インジケータ
3100 シール形成構造
3200 プレナムチャンバ
3210 腱
3220 上点
3230 下点
3300 安定化構造
3302 拡張可能部
3310 管
3320 管
3330 第1のストラップ
3340 第2のストラップ
3350 インジケータ
3360 基準点
3362 基準マーカー
3400 通気部
3600 接続ポート
3700 前額支持部
3800 非シール型患者インターフェース
4000 RPTデバイス
4010 外部ハウジング
4012 上部
4014 部分
4015 パネル
4016 シャーシ
4018 ハンドル
4020 空気圧ブロック
4110 空気フィルタ
4112 入口空気フィルタ
4114 出口空気フィルタ
4120 マフラー
4122 入口マフラー
4124 出口マフラー
4140 圧力生成器
4142 送風機
4144 モータ
4160 アンチスピルバック弁
4170 空気回路
4171 空気回路
4180 補充用ガス
4200 電気部品
4202 PCBA
4210 電源
4220 入力デバイス
4230 中央コントローラ
4232 時計
4240 治療デバイスコントローラ
4250 保護回路
4260 メモリ
4270 変換器
4272 圧力センサ
4274 流量センサ
4276 モータ速度変換器
4280 データ通信インターフェース
4282 リモート外部通信ネットワーク
4284 ローカル外部通信ネットワーク
4286 リモート外部デバイス
4288 ローカル外部デバイス
4290 出力デバイス
4292 ディスプレイドライバ
4294 ディスプレイ
4300 アルゴリズム
4310 事前処理モジュール
4312 インターフェース圧力推定アルゴリズム
4314 通気流量推定アルゴリズム
4316 漏洩流量推定アルゴリズム
4318 呼吸流量推定アルゴリズム
4320 治療エンジンモジュール
4321 フェーズ決定アルゴリズム
4322 波形決定アルゴリズム
4323 換気決定アルゴリズム
4324 吸気流制限決定アルゴリズム
4325 無呼吸/呼吸低下決定アルゴリズム
4326 いびき決定アルゴリズム
4326 いびき決定
4327 気道開通性決定アルゴリズム
4328 目標換気決定アルゴリズム
4329 治療パラメータ決定アルゴリズム
4329 治療パラメータ決定
4330 治療制御モジュール
4340 アルゴリズム
4500 方法
4520 ステップ
4530 ステップ
4540 ステップ
4550 ステップ
4560 ステップ
5000 加湿器
5002 加湿器入口
5004 加湿器出口
5006 加湿器ベース
5110 リザーバ
5120 伝導性部分
5130 加湿器リザーバドック
5135 ロックレバー
5150 水位インジケータ
5210 加湿器変換器
5210 加湿器変換器センサ
5212 空気圧力センサ
5214 流量変換器
5216 温度変換器
5218 湿度センサ
5240 加熱要素
5250 加湿器コントローラ
5251 中央加湿器コントローラ
5252 加熱要素コントローラ
5254 空気回路コントローラ
6020 通信リンク
6030 サーバー
6040 クラウドコンピューティングプラットフォーム
6062 医療デバイス
6064 医療デバイス
6514 表示インターフェース
6910 ステップ
6912 ステップ
6914 ステップ
7012 ステップ
7014 ステップ
7016 ステップ
7018 ステップ
7020 ステップ
7022 ステップ
7024 ステップ
7026 ステップ
7030 ステップ
3810a 鼻プロング
3810b 鼻プロング
3820a 空気供給ルーメン
3820b 空気供給ルーメン
【手続補正書】
【提出日】2021-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の少なくとも1つの気道と係合するように構成された患者インターフェースを介して患者へ持続的空気陽圧(CPAP)を提供する呼吸圧力治療システムであって、前記呼吸圧力治療システムは、
前記患者へ送達されるべき呼吸可能なガスの供給を前記患者インターフェースを介して生成するように構成された流れ生成器であって、前記呼吸可能なガスは、雰囲気圧力を超えた圧力レベルにて前記流れ生成器から出力される、流れ生成器;
前記呼吸可能なガスが前記患者へ供給されているときに物理量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ;
ディスプレイ;および
メモリおよび少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含むコンピューティングデバイスであって、前記コンピューティングデバイスは、
前記呼吸可能なガスの供給の測定された物性に基づいたセンサデータを前記少なくとも1つのセンサから受信すること;
前記受信されたセンサデータに基づいて前記流れ生成器を制御して、前記患者へ送達される前記呼吸可能なガスの供給の特性を調節すること;
支援が必要とされている旨を示す入力を前記患者インターフェースを用いて受信すること;
前記患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像を受信すること;
前記患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の基準画像と、前記受信された1つ以上の画像との間の比較に基づいて、前記受信された1つ以上の画像を分析すること;および
前記分析に基づいて、前記患者インターフェースを位置決めせよとの命令を前記ディスプレイ上に表示すること、を行うように構成される、コンピューティングデバイスを含む、呼吸圧力治療システム。
【請求項2】
前記患者を前記患者インターフェースと共に含む
前記1つ以上の基準画
像は、
前記メモリ中に保存される、請求項1に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項3】
コンピューティングデバイスは、前記1つ以上の基準画像をキャプチャするように構成されたカメラへ連結される、請求項
1に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項4】
前記コンピューティングデバイスは、前記1つ以上の基準画像と前記受信された1つ以上の画像とを比較して、患者インターフェースの不適切なフィッティング位置を決定するように構成される、請求項
1~3の
いずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項5】
前記コンピューティングデバイスは、前記患者インターフェースの正しい位置を前記受信された1つ以上の画像上にスーパーインポーズするように構成され、前記表示された命令は、前記1つ以上のスーパーインポーズされた画像を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項6】
リモートコンピューティングシステムをさらに含み、前記リモートコンピューティングシステムは、前記患者インターフェースを位置決めせよとの命令を決定することと、前記命令を前記コンピューティングデバイスへ送信することとを行うように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項7】
前記リモートコンピューティングシステムは、
前記コンピューティングデバイスから前記1つ以上の画像を受信すること;
患者インターフェースの正しい位置決めの命令について機械学習モデルを訓練すること;を行うように構成され、
前記患者インターフェースを位置決めせよとの命令は、前記訓練された機械学習モデルに基づいて決定される、請求項6に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項8】
前記コンピューティングデバイスは、前記患者インターフェースの種類を示す入力を受信することと、前記入力によって示された前記患者インターフェースの種類を使用せよとの命令を前記ディスプレイ上に表示することとを行うように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項9】
前記コンピューティングデバイスは、前記1つ以上の画像を用いて機械学習を行うように構成されたリモート処理システムへ前記受信された1つ以上の画像を送信するように構成される、請求項1~5または8のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項10】
前記命令は、テキスト、画像および/またはグラフィックを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項11】
患者の少なくとも1つの気道と係合するように構成された患者インターフェースを介して前記患者へ送達される呼吸可能なガスの供給を生成するように構成された持続的空気陽圧(CPAP)デバイスを制御するように構成されるコンピューティングデバイスと共に用いられる命令を保存する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記呼吸可能なガスは、雰囲気圧力を超えた圧力レベルにて流れ生成器から出力され、前記持続的空気陽圧(CPAP)デバイスは、前記呼吸可能なガスが前記患者へ供給されているときに物理量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサと関連付けられ、前記コンピューティングデバイスは、少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含み、前記保存された命令は、前記コンピューティングデバイスに、
前記呼吸可能なガスの供給の測定された物性に基づいたセンサデータを前記少なくとも1つのセンサから受信すること;
前記受信されたセンサデータに基づいて前記流れ生成器を制御して、前記患者へ送達される前記呼吸可能なガスの供給の特性を調節すること;
支援が必要とされている旨を示す入力を前記患者インターフェースを用いて受信すること;
前記患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像を受信すること;
前記患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の基準画像と、前記受信された1つ以上の画像との間の比較に基づいて、前記受信された1つ以上の画像を分析すること;および
前記分析に基づいて、前記患者インターフェースを位置決めせよとの命令を前記ディスプレイ上に表示すること、を行わせるように構成された命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
ディスプレイ;
カメラ;
メモリ;および
前記ディスプレイ、前記カメラおよび前記メモリへ連結された少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含む処理システムであって、前記処理システムは、
患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを前記患者へ供給するように構成された患者インターフェースの種類を特定する通知を受信すること;
患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像を前記カメラから受信すること;
前記患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の基準画像と、前記受信された1つ以上の画像との間の比較に基づいて、前記受信された1つ以上の画像を分析して、前記患者上の前記患者インターフェースのフィット感を決定すること;および
前記分析に基づいて、前記患者上の前記患者インターフェースのフィット感の向上のためのフィードバックを前記ディスプレイ上に表示すること、を行うように構成される、処理システム、を含む、デバイス。
【請求項13】
前記患者インターフェースの種類を特定する前記受信された通知は、ユーザ入力である、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記患者インターフェースの種類を特定する前記受信された通知は、前記処理システムによって前記患者インターフェースを含む画像に基づいて決定される、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記1つ以上の基準画像
は、前記メモリ中に保存される、請求項12~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記1つ以上の基準画像は、前記患者を前記患者インターフェースと共に含む、請求項
12~15の
いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記1つ以上の基準画像は、複数の基準点を含み、前記分析は、前記受信された1つ以上の画像中の基準点を検出することと、前記検出された基準点を前記1つ以上のディフェンス画像中の前記複数の基準点と比較することとを含む、請求項
1~16
のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記分析は、患者インターフェース中に含まれる1つ以上のインジケータを前記受信された1つ以上の画像から抽出することを含む、請求項12~17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記受信された1つ以上の画像は、前記カメラの異なる位置および方向付けからキャプチャされる、請求項12~18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
複数の画像は、異なる時間においてキャプチャされ、前記分析は、前記複数の画像を比較して、前記異なる時間においてキャプチャされた画像間の前記患者インターフェースの位置決めの変化を決定することを含む、請求項12~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記フィードバックを表示することは、前記受信された画像のうち少なくとも1つを表示することを含み、前記処理システムは、前記患者インターフェースのフィット感の向上が可能な前記患者インターフェース上の位置付けを示す1つ以上の視覚インジケータを前記表示された受信画像内に含めるように構成される、請求項12~20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記処理システムは、前記特定された患者インターフェースの種類を使用せよとの命令を表示するように構成される、請求項12~21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記分析は、前記受信された1つ以上の画像と、他の患者から受信された情報に基づいて生成されたモデルとを比較することを含む、請求項12~22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記分析は、前記受信された1つ以上の画像からフィーチャを抽出することと、前記フィーチャの位置および/または方向付けを前記患者インターフェースの三次元モデルと比較することとを含む、請求項12~23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記分析は、前記受信された1つ以上の画像と、他の患者から受信されたデータに基づいて更新された機械訓練済みのモデルとを比較することを含む、請求項12~24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記デバイスは、携帯電話、タブレットまたはリモートコントロールである、請求項12~25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記処理システムは、前記患者インターフェースの表面または前記患者インターフェース中の表面上に配置された1つ以上のセンサからセンサデータを受信するようにさらに構成される、請求項12~26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記処理システムは、前記分析を行い、前記センサから受信されたデータに基づいて前記フィードバックを表示するようにさらに構成される、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記センサデータは、前記メモリ中に保存された事前設定されたセンサ値と比較される、請求項27または28に記載のデバイス。
【請求項30】
コンピューティングデバイスと共に用いられる命令を保存する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記保存された命令は、前記コンピューティングデバイスに、
患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを前記患者へ供給するように構成された患者インターフェースの種類を特定する通知を受信すること;
患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像をカメラから受信すること;
前記患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の基準画像と、前記受信された1つ以上の画像との間の比較に基づいて、前記受信された1つ以上の画像を分析して、前記患者上の前記患者インターフェースのフィット感を決定すること;および
前記分析に基づいて、前記患者上の前記患者インターフェースのフィット感の向上のためのフィードバックをディスプレイ上に表示すること、を行わせるように構成された命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項31】
1つ以上の患者インターフェースセンサを含み、患者の少なくとも1つの気道と係合するように構成された患者インターフェースを介して患者へ持続的空気陽圧(CPAP)を提供する呼吸圧力治療システムであって、前記呼吸圧力治療システムは、
前記患者へ送達されるべき呼吸可能なガスの供給を前記患者インターフェースを介して生成するように構成された流れ生成器であって、前記呼吸可能なガスは、雰囲気圧力を超えた圧力レベルにて前記流れ生成器から出力される、流れ生成器;
ディスプレイ;および
メモリおよび少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含むコンピューティングデバイスであって、前記コンピューティングデバイスは、
前記流れ生成器を制御して、前記患者へ送達される前記呼吸可能なガスの供給の特性を調節すること;
前記患者インターフェースの2つの構成要素間の接続を検出するように構成された接続センサを含む前記1つ以上の患者インターフェースセンサからセンサデータを受信すること;
前記受信されたセンサデータを前記メモリ中の事前設定された値と比較すること;および
前記比較に基づいて、前記患者インターフェースを位置決めせよとの命令を前記ディスプレイ上に表示すること、を行うように構成される、コンピューティングデバイスを含む、呼吸圧力治療システム。
【請求項32】
前記メモリは、患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の画像を含み、前記表示された命令は、前記比較に基づいて前記1つ以上の画像を表示することを含む、請求項31に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項33】
前記コンピューティングデバイスは、前記患者が前記患者インターフェースと共にある様子の1つ以上の画像をキャプチャするように構成されたカメラへ連結される、請求項31または32に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項34】
前記コンピューティングデバイスは、メモリ中に保存された1つ以上の基準画像と、前記キャプチャされた1つ以上の画像とを比較して、患者インターフェースの不適切なフィッティング位置を決定するように構成される、請求項33に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項35】
前記コンピューティングデバイスは、前記患者インターフェースの正しい位置を前記キャプチャされた1つ以上の画像上にスーパーインポーズするように構成され、前記表示された命令は、前記1つ以上のスーパーインポーズされた画像を含む、請求項34に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項36】
リモートコンピューティングシステムをさらに含み、前記リモートコンピューティングシステムは、前記患者インターフェースを位置決めせよとの命令を決定することと、前記命令を前記コンピューティングデバイスへ送信することとを行うように構成される、請求項31~35のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項37】
前記コンピューティングデバイスは、前記患者インターフェースの種類を示す入力を受信することと、前記入力によって示された前記患者インターフェースの種類を使用せよとの命令を前記ディスプレイ上に表示することとを行うように構成される、請求項31~36のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項38】
前記1つ以上の患者インターフェースセンサのうち少なくとも1つは、前記患者インターフェースの表面上に配置される、請求項31~37のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項39】
前記1つ以上の患者インターフェースセンサのうち少なくとも1つは、前記患者インターフェースのマスクの内側の圧力を測定するように構成された圧力センサである、請求項31~38のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項40】
前記1つ以上の患者インターフェースセンサのうち少なくとも1つは、前記患者インターフェースの口クッションまたは鼻クッション中の前記呼吸可能なガスの供給の物性を測定するように構成されたセンサである、請求項31~39のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項41】
前記1つ以上の患者インターフェースセンサのうち少なくとも1つは、前記患者インターフェースのストラップの表面または内側に配置される、請求項31~40のいずれか一項に記載の呼吸圧力治療システム。
【請求項42】
ディスプレイ;
カメラ;
メモリ;および
前記ディスプレイ、前記カメラおよび前記メモリへ連結された少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含む処理システムであって、前記処理システムは、
患者を含む1つ以上の画像を前記カメラを用いてキャプチャすること;
顔フィーチャの特性を前記キャプチャされた画像から決定すること;
前記顔フィーチャの前記決定された特性を分析のためにリモート処理システムへ送信すること;
前記顔フィーチャの前記決定された特性を前記リモート処理システムヘ送信することに応答して、前記患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを前記患者へ供給するように構成された患者インターフェースの1つ以上の設定についてのデータを、前記リモート処理システムから受信すること;および
前記患者インターフェースの前記1つ以上の設定についての前記受信されたデータに基づいて前記患者インターフェースの前記1つ以上の設定を調節せよとの命令を前記ディスプレイ上に表示すること、を行うように構成される、処理システムを含む、デバイス。
【請求項43】
前記処理システムは、
前記患者インターフェースの種類を特定するユーザ入力を受信すること;および
前記患者インターフェースの種類を分析のために前記リモート処理システムへ送信することを行うようにさらに構成される、請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
前記処理システムは、
前記患者を前記患者インターフェースと共に含む1つ以上の第2の画像を前記カメラから受信すること;
前記受信された1つ以上の第2の画像を分析して、前記患者上の前記患者インターフェースのフィット感を決定すること;および
前記分析と、前記患者インターフェースの前記1つ以上の設定についての前記受信されたデータとに基づいて、前記患者上の前記患者インターフェースのフィット感の向上のためのフィードバックを前記ディスプレイ上に表示すること、を行うようにさらに構成される、請求項42に記載のデバイス。
【請求項45】
前記分析は、前記受信された1つ以上の第2の画像を1つ以上の基準画像と比較することを含む、請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記1つ以上の基準画像は、前記患者インターフェースを着用している前記患者を含む、請求項45に記載のデバイス。
【請求項47】
前記1つ以上の基準画像は、複数の基準点を含み、前記分析は、前記受信された1つ以上の第2の画像中の基準点を検出することと、前記検出された基準点を前記1つ以上のディフェンス画像中の前記複数の基準点と比較することとを含む、請求項45または46に記載のデバイス。
【請求項48】
前記分析は、前記患者インターフェース上に含まれる1つ以上のインジケータを前記受信された1つ以上の第2の画像から抽出することを含む、請求項44~47のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項49】
前記1つ以上のインジケータは、前記患者インターフェースの1つ以上のストラップ上に設けられた複数のインジケータを含む、請求項48に記載のデバイス。
【請求項50】
前記1つ以上のインジケータは、前記患者インターフェースのマスク上に設けられた少なくとも1つのインジケータを含む、請求項48または49に記載のデバイス。
【請求項51】
前記1つ以上のインジケータは、ストラップのうち少なくとも1つを前記患者インターフェースのマスクへ接続させるように構成されたコネクタ上に設けられたインジケータを含む、請求項48または50に記載のデバイス。
【請求項52】
前記処理システムは、1つ以上のストラップから付加される力を前記1つ以上の第2の画像内の前記1つ以上のインジケータの特性に基づいて決定することを行うようにさらに構成される、請求項48または51に記載のデバイス。
【請求項53】
前記処理システムは、前記患者インターフェースの異なるストラップから付加された力の比較を前記異なるストラップ内に含まれる前記1つ以上のインジケータの特性に基づいて行うようにさらに構成される、請求項48または52に記載のデバイス。
【請求項54】
前記処理システムは、前記1つ以上のストラップ内の前記1つ以上のインジケータの特性に基づいて1つ以上のストラップが締め付けすぎである旨を示すようにさらに構成される、請求項48または53に記載のデバイス。
【請求項55】
前記リモート処理システムによって行われる分析は、前記受信された1つ以上の画像と、複数の他の患者から受信された情報に基づいて生成されたモデルとを比較することを含む、請求項42に記載のデバイス。
【請求項56】
前記デバイスは、前記患者へ持続的空気陽圧(CPAP)を提供する呼吸圧力治療デバイスであり、前記呼吸圧力治療デバイスは、
前記患者へ送達されるべき呼吸可能なガスの供給を前記患者インターフェースを介して生成するように構成された流れ生成器であって、前記呼吸可能なガスは、雰囲気圧力を超えた圧力レベルにて前記流れ生成器から出力される、流れ生成器;および
前記呼吸可能なガスが前記患者へ供給されているときに物理量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ、を含む、請求項42または55に記載のデバイス。
【請求項57】
コンピューティングデバイスと共に用いられる命令を保存する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記保存された命令は、前記コンピューティングデバイスに、
カメラによってキャプチャされた、患者を含む1つ以上の画像を受信すること;
顔フィーチャの特性を前記キャプチャされた画像から決定すること;
前記顔フィーチャの前記決定された特性を分析のためにリモート処理システムへ送信すること;
前記顔フィーチャの前記決定された特性を前記リモート処理システムヘ送信することに応答して、前記患者の少なくとも1つの気道と係合しかつ持続的空気陽圧(CPAP)デバイスから受容された呼吸可能なガスを前記患者へ供給するように構成された患者インターフェースの1つ以上の設定についてのデータを、前記リモート処理システムから受信すること;および
前記患者インターフェースの前記1つ以上の設定についての前記受信されたデータに基づいて前記患者インターフェースの前記1つ以上の設定を調節せよとの命令を出力すること、を行わせるように構成された命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】