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特表2023-507901無線電力伝送システムにおいて電力伝送中にデータ送信する方法、装置及びテストシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】無線電力伝送システムにおいて電力伝送中にデータ送信する方法、装置及びテストシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 5/02 20060101AFI20230220BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230220BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
H04B5/02
H02J50/10
H04B1/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022531582
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2020083508
(87)【国際公開番号】W WO2021105283
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】19212465.9
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319004364
【氏名又は名称】エレクトディス アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ラウレンス スバーンス
(72)【発明者】
【氏名】ブオン キオン ラウ
【テーマコード(参考)】
5K012
5K060
【Fターム(参考)】
5K012AC08
5K012AC10
5K012AE13
5K060FF06
(57)【要約】
無線電力伝送システム(100)で電力伝送中にデータ送信する方法が開示される。無線電力伝送システム(100)は、送信周波数で動作している誘導型無線電力伝送インターフェース(105)を介して電力を電力受信装置(110)へ伝送するよう配された電力送信装置(120)を備える。無線電力伝送システム(100)は、半二重通信で一方向に周波数偏移変調(FSK)を使用して、もう一方向には振幅偏移変調(ASK)を使用して情報を伝送するよう適合されている。方法は、電力送信装置(120)により、電力を電力受信装置(110)へ送信周波数で伝送することと、伝送中に、第1のデータパケットを、電力送信装置(120)又は電力受信装置(110)のうちの1つにより、電力送信装置(120)又は電力受信装置(110)のうちの他方へ、送信周波数で、FSK又はASKの2つの変調方法のうち1つを使用して送信することと、を含む。方法は更に、送信中、第1のデータパケットを送信する装置(110、120)により、信号条件が満たされているかどうかを判定することを含み、信号条件が満たされていれば、第1のデータパケットを送信(311)する装置(110、120)のデータ通信構成を変更する。更に、電力送信装置、電力受信装置、及びテストシステムが開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力伝送システム(100)において電力伝送(308)中にデータ送信する方法(310)であって、前記無線電力伝送システム(100)は、送信周波数(fTX)で動作している誘導型無線電力伝送インターフェース(105)を介して電力を電力受信装置(110)へ伝送(308)するよう配された電力送信装置(120)を備え、前記無線電力伝送システム(100)は、半二重通信で一方向に周波数偏移変調(FSK)を使用して、もう一方向には振幅偏移変調(ASK)を使用して情報を伝送(311)するように構成され、前記方法(310)は
前記電力送信装置(120)により、前記送信周波数(fTX)で、電力を前記電力受信装置(110)へ伝送(308)することを含み、前記伝送(308)中に
第1のデータパケットを、前記電力送信装置(120)又は前記電力受信装置(110)のうちの一方により、前記電力送信装置(120)又は前記電力受信装置(110)のうちの他方へ、前記送信周波数(fTX)で、FSK又はASKの2つの変調方法のうち1つを使用して送信(311)し、前記送信(311)中に、
前記第1のデータパケットの前記送信に関する特定の信号条件が満たされると、前記装置(110、120)が、前記第1のデータパケットを送信(311)することを判定(313)し、
前記第1のデータパケットの前記送信に関する前記信号条件が満たされると、前記第1のデータパケットを送信する前記装置(110、120)のデータ通信構成を変更(319)する、
方法(310)。
【請求項2】
前記電力送信装置(120)はFSKを使用して情報を送信(311)しASKを使用して情報を受信(311)し、前記電力受信装置はASKを使用して情報を送信(311)しFSKを使用して情報を受信(311)する、請求項1に記載の方法(310)。
【請求項3】
前記変更されたデータ通信構成は、
1つ以上の変調インデックス、
1つ以上のシンボルレート、又は
1つ以上のシンボルあたりのビット数、
のうちの少なくとも1つを備え、予め定義された又は構成可能であるうちの1つである変調パラメーターのセットである、請求項1又は2に記載の方法(310)。
【請求項4】
前記第1のデータパケットを送信(311)する前記装置(110、120)は前記電力受信装置(110)であり、前記変更されたデータ通信構成は振幅偏差の形をとる変調インデックスである、請求項1から3の何れか一項に記載の方法(310)。
【請求項5】
前記第1のデータパケットを送信(311)する前記装置(110、120)は前記電力送信装置(120)であり、前記変更されたデータ通信構成は前記送信周波数(fTX)及び/又は周波数偏差の形をとる変調インデックスの変化である、請求項1から3の何れか一項に記載の方法(310)。
【請求項6】
信号条件が満たされているかどうかを判定(313)することは、前記第1のデータパケットを含む信号の変調の正確性を評価(315)することを含み、前記評価(315)された変調の正確性が変調の正確性の閾値よりも低ければ、前記信号条件が満たされたと判定される、請求項1から5の何れか一項に記載の方法(310)。
【請求項7】
前記変調の正確性を評価(315)することは、前記第1のデータパケットを備える前記信号の振幅を評価(315)することを含む、請求項6に記載の方法(310)。
【請求項8】
前記変更(319)を行うステップは、
前記信号条件がもはや満たされなくなると判定されるまで、若しくは、予め定義された、又は構成可能な構成のセットが評価されるまで前記構成を変更(319)することを繰り返し行うことを含む、
請求項1から7の何れか一項に記載の方法(310)。
【請求項9】
前記繰り返し変更(319)することは更に、
信号品質インジケーター(SQI)、及び/又は、前記予め定義された、又は構成可能なデータ通信構成のセットのそれぞれへと伝送された電力を評価(315)することと、
前記予め定義された、又は構成可能なデータ通信構成のセットのそれぞれに対する少なくとも1つの信号条件が満たされる場合は(313、314)、最も高いSQIを有した、及び/又は最も多く電力が伝送された前記構成への変更(319、316)を行うことと、
を含む、請求項8に記載の方法(310)。
【請求項10】
前記第1のパケットを受信する前記装置からオペレーショナルフィードバックが受信(317)されると、前記信号条件が満たされたと判定(313)される、請求項1から9の何れか一項に記載の方法(310)。
【請求項11】
前記第1のデータパケットを送信していない前記装置(110、120)により前記第1のデータパケットを受信することと、前記受信中に、
前記第1のデータパケットを送信しない前記装置(110、120)により、前記第1のパケットを含む前記信号の信号品質を評価することと、前記第1のデータパケットを含む前記信号の前記評価された品質が信号品質閾値を満たさない場合は、
前記第1のデータパケットを送信しない前記装置(110、120)によりFSK又はASKの2つの変調方式のうちの他方を使用して前記送信周波数(fTX)でオペレーショナル情報を送信し、それにより前記オペレーショナルフィードバックを提供することと、
を更に含む、請求項10に記載の方法(310)。
【請求項12】
電力送信装置(120)からの送信周波数(fTX)で動作する誘導型無線電力伝送インターフェース(105)を介して電力を受信するために無線電力伝送システム(100)内に配置可能な電力受信装置(110)であって、前記無線電力伝送システム(100)は1方向に周波数偏移変調(FSK)を使用して、そしてもう1方向に振幅偏移変調(ASK)を使用して半二重通信で情報を伝送するために構成されていて、前記電力受信装置(110)は電力受信回路(112)にオペレーション可能に接続された受信コントローラ(111)を備え、前記電力受信装置(110)は前記電力受信回路(112)に
前記電力送信装置(120)から前記送信周波数(fTX)で電力を受信することであり、前記受信中に
前記電力送信装置(120)へ前記送信周波数(fTX)で第1のデータパケットを送信することであり、前記送信中に、
前記第1のデータパケットの前記送信に関する信号条件が満たされるかどうかを判定することと、
前記第1のデータパケットの前記送信に関する前記信号条件が満たされると、前記電力受信装置(110)のデータ通信構成を変更することと、
を行わせる、電力受信装置(110)。
【請求項13】
前記電力受信装置(110)の前記機能を請求項2から11の何れか一項に記載の前記方法(310)で更に実行する、請求項12に記載の電力受信装置(110)。
【請求項14】
無線電力伝送システム(100)内に配置可能な、送信周波数(fTX)で動作する誘導型無線電力伝送インターフェース(105)を介して電力受信装置(110)へ電力を送信するための電力送信装置(120)であり、前記無線電力伝送システム(100)は半二重通信で1方向に周波数偏移変調(FSK)を使用して、またもう1方向に振幅偏移変調(ASK)を使用して情報を伝送することに構成されていて、前記電力送信装置(120)は電力送信回路(122)にオペレーション可能に接続された送信コントローラ(121)を備え、前記電力送信装置(120)は前記電力送信回路(122)に
前記電力受信装置(110)へ前記送信周波数(fTX)で電力を送信することであり、電力の前記送信中に、
前記電力受信装置(110)へ前記送信周波数(fTX)で第1のデータパケットを送信することであり、前記第1のデータパケットの前記送信中に
前記第1のデータパケットの前記送信に関する信号条件が満たされるかどうかを判定することと、
前記第1のデータパケットの前記送信に関する前記信号条件が満たされると、前記電力送信装置(120)のデータ通信構成を変更することと、
を行わせる、電力送信装置(120)。
【請求項15】
前記電力送信装置(120)の前記機能を請求項2から11の何れか一項に記載の前記方法(310)で更に実行する、請求項13に記載の電力送信装置(120)。
【請求項16】
プローブ装置(132)及び解析装置(136)を備えるテストシステム(130)であって、前記プローブ装置(132)は送信周波数(fTX)で動作する誘導型無線電力伝送インターフェース(105)を介して電力を電力受信装置(110)に伝送するために配置された電力送信装置(120)を備える無線電力伝送システム(100)内に配置可能であり、前記無線電力伝送システム(100)は1方向には周波数偏移変調(FSK)を使用して、もう1方向には振幅偏移変調(ASK)を使用して半二重通信で情報を伝送するように構成されている種類のものであり、
前記プローブ装置(132)は少なくとも1つのピックアップコイル(133)を備え、更に前記プローブ解析装置(134)を備えるか又は前記プローブ解析装置にオペレーション可能に接続され、
前記解析装置(134)は、前記プローブ装置(132)が前記無線電力伝送システム(100)内に配される時、
前記電力送信装置(120)により、電力が前記電力受信装置(110)へ前記送信周波数(fTX)で伝送(308)されることを検出し、前記伝送(308)中に、
第1のデータパケットが、前記電力送信装置(120)又は前記電力受信装置(110)のうちの1つにより、前記電力送信装置(120)又は前記電力受信装置(110)のうちの他方へ、前記送信周波数(fTX)で、FSK又はASKの2つの変調方法のうち1つを使用して送信(311)されることを検出し、
前記第1のデータパケットを送信する前記装置(110、120)によるデータ通信構成の変更を検出し、
前記検出に関する情報を出力として提供する、
テストシステム(130)。
【請求項17】
データ通信構成の前記変更の検出前に、信号条件が満たされているかどうかを判定することを更に行い、
前記信号条件が満たされることは、以下の、
前記第1のデータパケットを含む信号の変調の正確性が変調の正確性の閾値よりも低いことと、
前記第1のデータパケットを送信する前記装置(110、120)に対して前記第1のデータパケットを受信する前記装置(110、120)によりオペレーショナルフィードバックが提供されることと、
のうちの1つである、請求項16に記載のテストシステム(130)。
【請求項18】
前記信号条件が満たされずに前記構成が変更されたかどうかを更に検出し、その点に関する出力を生成する、請求項17に記載のテストシステム(130)。
【請求項19】
前記解析装置(134)が更に、前記解析装置(134)により前記信号条件が満たされるように前記誘導型無線電力伝送インターフェース(105)へ信号を吐出するよう構成可能な生成部(139)を備える、請求項16から18の何れか一項に記載のテストシステム(130)。
【請求項20】
前記解析装置(134)は更に、請求項2から11に記載の前記方法(310)における前記データ構成の変更を検出する、請求項16から19の何れか一項に記載のテストシステム(130)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線電力伝送、特に誘導型無線電力伝送に関する。更に具体的には、本発明は、電力伝送中における信頼性の高いデータ通信に関する。
【背景技術】
【0002】
無線電力伝送は、例えば携帯端末、タブレットコンピューター、ノートパソコン、カメラ、オーディオプレイヤー、充電式歯ブラシ、無線ヘッドセット、加えてその他の様々な民生機器及び電気製品のようなモバイル装置の無線充電の用途において特に著しく進化している。
【0003】
典型的には、無線充電を行える装置は平面コイル間の磁気誘導に依存している。2種類の装置、すなわち無線電力を提供する装置(ベースステーション又は無線電力送信装置と称される)と、無線電力を消費する装置(モバイル装置又は電力受信装置と称される)が関連する。例えばベースステーションからモバイル装置へ電力伝送が行われる。この目的のために、ベースステーションはプライマリーコイルを備えるサブシステム(電力送信器)を含み、モバイル装置はセカンダリーコイルを備えるサブシステム(電力受信器)を含む。動作中は、プライマリーコイル及びセカンダリーコイルはコアレス変圧器を2分割したものを構成する。典型的には、電力送信装置は平面を有し、その上にユーザーは1つ以上の(典型的には平面を有する)モバイル装置を置くことができ、ベースステーション上に置かれたモバイル装置への無線充電又は動作中の電力供給を行うことができる。全ての種類の誘導電力伝送に共通することは、電力伝送の効率はコイルの距離、及びコイルが一直線に配されるかどうかに依存するということである。
【0004】
ワイヤレスパワーコンソーシアムはQi規格として知られる無線電力伝送規格を開発した。その他の無線電力伝送アプローチにはAlliance for Wireless PowerとPower Matters Allianceがある。
【0005】
ワイヤレスパワーコンソーシアムによるQi規格として知られる無線電力伝送規格は、本明細書内において、本発明に適用可能な現在好ましい無線電力伝送方法として、限定することなく参照される。しかしながら、本発明は一般的に、上に示したものを限定せず含むその他の無線電力伝送規格又はアプローチへ適用されてもよい。Qi規格に準拠した装置は、電力伝送が開始される前に、規定されたスキームに従い相互作用する。スキームは選択状態からピン(ping)状態へ、更に識別及び構成状態へ、その後に電力伝送状態へと移行する。装置が電力伝送状態にあるときは、電力が電力送信装置から電力受信装置へと伝送される。電力伝送中、電力受信装置は受信した電力を評価し、電力の増加又は減少が必要であることを、電力送信装置へ、制御エラーパケットを使用して通信する。電力送信装置は伝送された電力を電力受信装置より制御エラーパケットにおいて要求された通りに調整する。電力送信装置により制御エラーパケットが期待通りに受信されなかった場合には、電力送信装置は電力伝送を中断し、システムは選択状態に戻る。
【0006】
このことは、電力受信装置から電力送信装置への通信の失敗により電力伝送スキームが再スタートされることを意味する。電力伝送スキームが再スタートされることは例えば携帯電話の充電の中断、開始プロセスによる充電時間の増加、及び/又は充電効率の低下を意味し得る。
【0007】
上記により、改善の余地があることが理解される。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、無線電力伝送システムにおける、従来技術よりも改善され、そして上に議論された欠点を除去するか、少なくとも軽減する、新しい種類のデータ通信の方法を提供することである。より具体的には、本発明の目的は、電力伝送中に信頼性が高く効率的にデータ通信を行える、無線電力伝送システムにおける改善されたデータ通信の方法を提供することである。これらの目的は添付された独立した請求項及びそれに関連する従属請求項内で定義される好ましい実施形態により明らかにされる技術により達成される。
【0009】
第1の態様では、無線電力伝送システムにおいて電力伝送中にデータ送信する方法が提示される。無線電力伝送システムは、送信周波数において動作している誘導型無線電力伝送インターフェースを介して電力を電力受信装置へ伝送するよう配された電力送信装置を備える。無線電力伝送システムは、半二重通信において一方向に周波数偏移変調(FSK)を使用して、もう一方向には振幅偏移変調(ASK)を使用して情報を伝送するよう適合されている。方法は、電力送信装置により、電力を電力受信装置へ送信周波数で伝送することを含む。伝送中、第1のデータパケットが、電力送信装置又は電力受信装置のうちの1つにより、電力送信装置又は電力受信装置のうちのもう1つへ、送信周波数で、FSK又はASKの2つの変調方法のうち1つを使用して送信される。伝送中、第1のデータパケットの送信に関する特定の信号条件が満たされているかどうかを第1のデータパケットを送信する装置が判定し、第1のデータパケットの送信に関する信号条件が満たされていれば、第1のデータパケットを送信する装置のデータ通信構成を変更する。
【0010】
方法の1つの変形例では、電力送信装置はFSKを使用して情報を送信し、ASKを使用して情報を受信する。更に、電力受信装置はASKを使用して情報を送信し、FSKを使用して情報を受信する。これは効率的な仕組みであり無線電力伝送における数多くの規格化された方法により通信が行われる方法であるため利点がある。
【0011】
方法の更なる変形例では、変更されたデータ通信構成は、予め定義された、又は構成可能なうちの1つである、1つ以上の変調インデックス、1つ以上のシンボルレート又は1つ以上のシンボルあたりのビット数のうちの少なくとも1つを含む、変調パラメーターのセットである。変調パラメーターの変更に柔軟性を有していることにより、無線電力伝送システムの変更への応答性が得られ、データ送信の最適化が可能になる。
【0012】
方法の別の変形例では、第1のデータパケットを送信する装置は電力受信装置であり、変更されたデータ通信構成は振幅偏差の形をとる変調インデックスである。上記の1つの利点は、電力伝送を最適化することと共に良い信号条件を保証するために振幅偏差を最適化することができることである。
【0013】
方法の更に別の変形例では、第1のデータパケットを送信する装置は電力送信装置であり、変更されるデータ通信構成は周波数偏差の形を取る送信周波数及び/又は変調インデックスへの変更である。上記の1つの効果は、電力伝送を最適化することと共に良い信号条件を保証するために送信周波数及び/又は変調インデックスを最適化することができることである。
【0014】
方法の1つの変形例では、信号条件が満たされるかどうかを判定することは第1のデータパケットを含む信号の変調の正確性を評価することを含み、評価された変調の正確性が変調の正確性の閾値よりも低ければ、信号条件が満たされたと判定する。変調の正確性を評価することにより、電力伝送を最適化すると同時に良い信号条件を保証しながらデータ送信が最適化されるよう、構成を変更することが可能になる。
【0015】
方法の更なる変形例では、変調の正確性を評価することは、第1のデータパケットを含む信号の振幅を評価することを含む。振幅を評価することは、低品質又は非効率な振幅が検出され得ることと、電力伝送を最適化することと共に良い信号条件を保証するために信号を最適化することができることを意味する。
【0016】
方法の別の変形例では、変更のステップは、信号条件がもはや満たされなくなると判定されるまで、若しくは予め定義された、又は構成可能な構成のセットが評価されるまで構成を変更することを繰り返し行うことを含む。構成を変更し信号条件を再評価することにより、概ね最適な構成が発見されるように信号を効率的に構成することが可能になる。
【0017】
方法の更に別の変形例では、繰り返し変更を行うことは更に、信号品質インジケーター(SQI)及び/又は予め定義された、又は構成可能なデータ通信構成のそれぞれに対して伝送された電力を評価することを含む。加えて、繰り返し変更することは更に、予め定義された、又は構成可能なデータ通信構成のセットのそれぞれに対する少なくとも1つの信号条件が満たされると、最も高いSQIを有した、及び/又は最も多く電力が伝送された構成への変更を行うことを含む。構成を変更し信号条件及びSQIを再評価することにより、概ね最適な構成が発見されるように信号を効率的に構成することが可能になる。
【0018】
方法の1つの変形例では、第1のパケットを受信する装置からオペレーショナル(operational)フィードバックが受信されると信号条件が満たされたと判定される。受信する装置がオペレーショナルフィードバックをフィードバックできるようにすることで双方の装置を含む閉ループシステムが実現し、概して最適な構成が見つかるように効率的に信号を構成することが可能になる。
【0019】
方法の更なる変形例では、方法は更に第1のデータパケットを送信していない装置が第1のデータパケットを受信することを含む。受信中、第1のデータパケットを送信していない装置が、第1のパケットを含む信号の信号品質を評価する。第1のデータパケットを含む信号の品質の評価により信号品質が閾値に見合わない場合は、第1のデータパケットを送信していない装置はFSK又はASKの2つの変調方式のうちの前述の他方を使用してオペレーショナル情報を送信周波数で送信し、そのことにより前述のオペレーショナルフィードバックを提供する。受信する装置がオペレーショナルフィードバックをフィードバックできるようにすることで双方の装置を含む閉ループシステムが実現し、概して最適な構成が見つかるように効率的に信号を構成することが可能になる。
【0020】
第2の態様では、電力受信装置が提示される。送信周波数で動作する誘導型無線電力伝送インターフェースを介して電力送信装置から電力を受信するために、電力受信装置は無線電力伝送システム内に配置可能である。無線電力伝送システムは、半二重通信で一方向に周波数偏移変調(FSK)を使用して、もう一方向には振幅偏移変調(ASK)を使用して情報を伝送するよう適合されている。電力受信装置は電力受信回路にオペレーション可能に接続された受信コントローラを備える。電力受信装置は電力受信回路により電力を電力送信装置から送信周波数で受信させるよう構成されている。電力受信装置は更に電力受信回路によって、受信中に、第1のデータパケットを電力送信装置へ送信周波数で送信させ、送信中に第1のデータパケットの送信に関連する信号条件が満たされているかどうかを判定させるよう構成されている。第1のデータパケットの送信に関する信号条件が満たされると、電力受信装置は電力受信装置のデータ通信構成を変更する。
【0021】
電力受信装置の1つの変形例では、電力受信装置は更に、上に提示した方法により電力受信装置の機能を実行する。
【0022】
第3の態様では、電力送信装置が提示される。送信周波数で動作する誘導型無線電力伝送インターフェースを介して電力受信装置へ電力を送信するために、電力送信装置は無線電力伝送システム内に配置可能である。無線電力伝送システムは、半二重通信で一方向に周波数偏移変調(FSK)を使用して、もう一方向には振幅偏移変調(ASK)を使用して情報を伝送するよう適合されている。電力送信装置は電力送信回路にオペレーション可能に接続された送信コントローラを備える。電力送信装置は電力送信回路により電力を電力受信装置へ送信周波数で送信させるよう構成されている。電力送信装置は更に電力送信回路によって、電力の送信中に、第1のデータパケットを電力受信装置へ送信周波数で送信させ、第1のデータパケットの送信中に第1のデータパケットの送信に関連する信号条件が満たされているかどうかを判定させるよう構成されている。第1のデータパケットの送信に関する信号条件が満たされると、電力送信装置は電力送信装置のデータ通信構成を変更する。
【0023】
電力送信装置の1つの変形例では、電力送信装置は更に、上に提示した方法により電力送信装置の機能を実行する。
【0024】
第4の態様では、プローブ装置及び解析装置を備えるテストシステムが提示される。プローブ装置は、送信周波数で動作している誘導型無線電力伝送インターフェースを介して電力を電力受信装置へ伝送するよう配された電力送信装置を備える無線電力伝送システム内に配置可能である。無線電力伝送システムは、半二重通信で一方向に周波数偏移変調(FSK)を使用して、もう一方向には振幅偏移変調(ASK)を使用して情報を伝送するよう適合されている種類のものである。プローブ装置は少なくとも1つのピックアップコイルを備え、更にプローブ装置は前述のプローブ解析装置を備えるか、又は前述の解析装置にオペレーション可能に接続されている。解析装置は、電力送信装置により、電力が電力受信装置へ送信周波数で伝送されることを検出する。解析装置は更に、伝送中、第1のデータパケットが、電力送信装置又は電力受信装置のうちの1つにより、電力送信装置又は電力受信装置のうちのもう1つへ、送信周波数で、FSK又はASKの2つの変調方法のうち1つを使用して送信されることを検出する。解析装置は更に第1のデータパケットを送信する装置によるデータ通信構成の変更を検出し、検出に関する情報を出力として提供する。
【0025】
テストシステムの1つの変形例では、テストシステムは更に、データ通信構成の変更を検出する前に、信号条件が満たされたかどうかを判定する。信号条件が満たされることとは、次に挙げる、
・第1のデータパケットを含む信号の変調の正確性が変調の正確性の閾値よりも低いことと、
・オペレーショナルフィードバックが装置へ提供されていることと、
・第1のデータパケットが第1のデータパケットを受信する装置により送信されていることと、
のうちの1つである。
【0026】
テストシステムの別の変形例では、信号条件が満たされずに構成が変更されたかどうかを更に検出し、その点に関する出力を生成する。
【0027】
テストシステムの更なる変形例では、解析装置は更に、信号条件が満たされるように誘導型無線電力伝送インターフェースへと信号を吐出するように、解析装置により構成可能な生成部を備える。
【0028】
テストシステムの更に別の変形例では、解析装置は更に上記の方法において示されたデータ構成の変更を検出する。
【0029】
以下、本発明の実施形態について説明するが、添付の図面を参照することにより、本発明概念をどのように実践に還元できるかの非限定的な例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は幾つかの実施形態による無線電力伝送システムのブロック図である。
図2a図2aから図2cは異なる送信信号のプロットである。
図2b図2aから図2cは異なる送信信号のプロットである。
図2c図2aから図2cは異なる送信信号のプロットである。
図3図3は無線電力伝送の処理の簡略化されたフローチャートである。
図4a図4a及び図4bは異なる送信信号のプロットである。
図4b図4a及び図4bは異なる送信信号のプロットである。
図5図5は幾つかの実施形態による電力受信装置のブロック図である。
図6図6は幾つかの実施形態による電力送信装置のブロック図である。
図7a図7a及び図7bは幾つかの実施形態による負荷回路の簡略化された模式図である。
図7b図7a及び図7bは幾つかの実施形態による負荷回路の簡略化された模式図である。
図8a図8a及び図8bは幾つかの実施形態による負荷回路の簡略化された模式図である。
図8b図8a及び図8bは幾つかの実施形態による負荷回路の簡略化された模式図である。
図9図9は幾つかの実施形態による送信信号のプロットである。
図10a図10a及び図10bは幾つかの実施形態による信号の振幅対周波数の簡略化されたプロットである。
図10b図10a及び図10bは幾つかの実施形態による信号の振幅対周波数の簡略化されたプロットである。
図11図11は幾つかの実施形態による、無線電力伝送システムにおいて電力伝送中にデータ送信する方法の簡略化されたフローチャートである。
図12図12は幾つかの実施形態による、信号条件が満たされたかどうかを判定する方法の簡略化されたフローチャートである。
図13図13は幾つかの実施形態による、無線電力伝送システムにおいて電力伝送中にデータ送信する方法の簡略化されたフローチャートである。
図14図14は幾つかの実施形態による、テストシステム及び無線電力伝送システムのブロック図である。
図15図15は幾つかの実施形態によるテストシステムのブロック図である。
図16図16は幾つかの実施形態によるテストシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、添付図面を参照して特定の実施形態を詳細に説明する。発明は、数々の異なる形態で実施されてもよいが、本明細書内で明らかにされる実施形態に限定されると理解されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的で完全なものとなり、添付する請求項において定義される発明の範囲を当業者に完全に伝えるよう、例示を目的として提供される。
【0032】
図1を参照し、無線電力伝送システム100の模式図が示される。システムは電力受信装置110及び電力送信装置120を備える。電力送信装置120は電力受信装置110へ電力を伝送するよう配置される。電力は誘導型無線電力伝送インターフェース105を介して誘導結合により伝送される。誘導結合は電力送信装置120内に含まれる電力送信回路122と電力受信装置110内に含まれる電力受信回路112を結合することにより達成される。誘導型無線電力伝送インターフェース105は典型的にはエアインターフェースであり、装置110と120との間の誘導結合はコアレスである。
【0033】
無線誘導型無線伝送インターフェース105を介して電力を伝送するために、電力送信回路122は受信電流IRXを電力受信コイル回路112において誘発しなければならない。送信周波数fTXを有する交流電流である送信電流ITXは無線誘導型無線伝送インターフェース105を介して電力受信回路112へと伝播する電磁場を生成する。この電磁場は電力受信回路112内に受信電流IRXを誘導する。受信電流IRXは送信周波数fTXを有する交流電流である。実際に伝送される出力は、その他のものの中でも、電力送信コイル127と電力受信回路112との間の結合係数に依存する。この結合は電力受信及び送信回路それぞれのコイルの巻き数、これらのコイルの配置、及びそれらの距離などの因子により影響される。送信周波数fTXはシステムの効率に影響し得、低すぎる周波数の場合は回路112、122のうち1つが飽和し、高すぎる周波数の場合は不要なスイッチングにより効率が低くなる。
【0034】
無線電力伝送システムは一般に、そして図1の無線電力伝送システム100は特に、装置110と120間のある種の通信を必要とする。例えば無線充電シナリオに全く通信が存在しない場合は、電力送信装置120は電力受信装置110へどのくらいの電力を送信するか知る手段がなく、全ての電力受信装置110に対して同じ伝送電力を目標値とせざるを得なくなる。電力受信装置110は自身の電力受信回路112内に誘導された電力を取り扱わねばならず、受信した電力が多すぎる場合は、電力を疑似負荷により浪費しなければならない可能性がある。これらの問題はワイヤレスパワーコンソーシアムによるQi規格によって、後の章で図3を参照して短く議論される情報インターフェースを導入することにより対処される。
【0035】
送信装置120と受信装置110との間でデータ通信を行う1つの方法は、電力送信装置120の送信周波数fTXを変更することである。図2aは単一の送信周波数fTXにおいて振動する送信回路122に提供される送信信号を示す。図2bにおいて、送信周波数fTXは第1の送信周波数fTX1と第2の送信周波数fTX2の間で周期的に変化する。各変化の間の時間はシンボルタイムTSと称されてもよい。送信周波数fTXにおけるこの変化は電力受信装置110により検出可能である。第1の送信周波数fTX1と第2の送信周波数fTX2との間の差の絶対値は周波数偏差fdevと称され、変調度とも称されてもよい。このような種類の変調は業界で周波数偏移変調(FSK)として知られ、2種類の異なる送信周波数値を使用する図2bの特定の例は典型的にバイナリ周波数偏移変調(BFSK)と称される。
【0036】
装置120と110との間でデータ通信を行う別の方法は、送信信号の振幅を周期的に変更することである。これは図2cに示され、送信信号の振幅がシンボルタイムTSにおいて変更されている。振幅は第1の振幅A1と第2の振幅A2の間で変更される。第1の振幅A1と第2の振幅A2との間の差の絶対値は振幅偏差Adevと称され、変調度とも称され得る。振幅の変化は装置110と120のいずれかにより簡単に検出可能である。送信回路122が受信回路112と電磁誘導で結合されているため、電力受信装置110の電力受信回路112における変化は電力送信装置120により検出可能である。簡単に言うと、このことは電力受信装置110が自身の受信回路112を変更又は変化させ得、そのことにより電力送信装置120の送信回路122における送信信号の振幅の変化が観察される。このことは後方散乱通信又はアンビエント後方散乱通信として知られる。
【0037】
受信回路112における変化は、後の章でより詳しく説明するように、電力受信回路112の任意の適切なインピーダンス素子をスイッチ又は変更することにより実装されてもよい。このような種類の変調は業界で振幅偏移変調(ASK)として知られ、2種類の異なる送信周波数値を使用する図2cの特定の例は典型的にバイナリ振幅偏移変調(BASK)と称される。
【0038】
真のASKでは、変調は典型的には電力受信回路112内における純粋な抵抗の変更として達成される。インピーダンス素子内にリアクタンスが導入されている場合は、振幅のスイッチ時に位相のシフトが起こり得る。実際の応用例では、純粋な抵抗インピーダンス素子は達成が困難である。したがって、ある程度の位相のシフトが期待される。インピーダンス素子が主にリアクタンスである、位相変位変調(PSK)の一形態として見なされ得る実装もあり得る。
【0039】
Qi規格では、電力送信装置120はBFSKで通信し、電力受信装置110はBASKで通信する。
【0040】
図3を参照し、Qi電力伝送プロセス300を簡単に説明する。これは非網羅的な説明であり、一般的な紹介に留まる。電力を節約するために、プロセス300は電力送信装置120が典型的には無線誘導電力インターフェース105の変化と、典型的には電力受信装置110の導入をモニタする選択フェーズ302からスタートする。無線誘導電力インターフェース105内に目標が検出されると、ピンフェーズ304が開始される。ピンフェーズ304では、電力送信装置120は送信周波数fTXの送信信号を送信コイル127に提供する、電力送信装置120によるデジタルピンを実行する。予め定義された期間に送信信号の変調が検出された場合は、プロセス300は識別及び構成フェーズ306へと移行する。変調が検出されなかった場合は、プロセス300は選択フェーズ302へ戻る。識別及び構成フェーズ306では、電力送信装置120は電力受信装置110を識別し、例えば伝送可能な最大電力に関する構成情報を得る。識別及び構成フェーズ306は、電力送信装置120と電力受信装置110との能力に応じて、ネゴシエーションフェーズ及びキャリブレーションフェーズ(双方とも図3には示されない)を備えていてもよい。識別及び構成フェーズ306においてエラーが起こる場合は、プロセス300は選択フェーズ302まで戻る。一方、識別及び構成フェーズ306が成功した場合は、プロセス300は電力伝送フェーズ308へ進み、電力が伝送され、このとき伝送電力の制御は電力受信装置110によって送信される制御データに基づく。電力送信器120が予め定義した期間に電力受信装置110からの通信を受け取らない場合は、電力送信器120は典型的には電力伝送を終了し、選択フェーズ302に戻る。
【0041】
本発明の発明者らは上に説明したプロセス300が多くの方法で改善され得ることに気づいた。電力伝送フェーズ308に到達するためにはかなりの量の電力が必要であり、電力受信装置110と電力送信装置120との間の通信において何らかの失敗があれば、フェーズ308に到達するまでのフェーズ302、304、306は典型的には繰り返される必要がある。また、電力伝送フェーズ308において動作中に予期しない出来事が起こった場合、電力送信装置120から電力受信装置110に対して通信を開始する方法が存在しない。
【0042】
図3及び電力伝送プロセス300を参照して上に述べたように、電力送信器120が予め定義した期間に電力受信装置110からの通信を受け取らない場合は、電力送信器120は典型的には電力伝送を終了し、選択フェーズ302に戻る。電力送信装置が受信したASKシンボルを正しくデコードする確率は、変調度及びASK変調信号を備える信号中のノイズに依存する。それらの関係は一般に信号対ノイズ比(SNR)と称され、通信における共通の基準である。SNRは、簡単に言い換えると、受信信号の有用な部分を受信信号のうちのノイズで割ったものである。SNRが減少するならば、受信器が変調済みの信号を正しくデコードする確率も減少する。図4aでは、図2cの信号がランダムノイズを受け、第1の振幅ΔA1の広がりが第2の振幅ΔA2の対応する広がりと重なり合っていることが観察される。受信器の観点からは、振幅偏差Adev、すなわち低いSNRを判定することの難しさのため、ASKで変調された信号を正しく受信しデコードすることはより難しくなる。図4bにおいて、送信信号は図2cと類似したASK変調で描写される。図4bと図2cの1つの違いは変調度、すなわち第1の振幅A1と第2の振幅A2との振幅の差の絶対値が図4bでは大幅に減少しているということである。変調度が少なくなると、電力送信装置が電力受信装置から通信を受信することがますます困難になる。
【0043】
ASKで変調された信号が図4a及び図4b又はその組み合わせのようなふるまいを見せることには、不充分な振幅偏差Adev及び高いノイズのようなたくさんの理由がある。ノイズは、外乱又は、送信装置120又は受信装置110の加熱に起因する熱雑音を生成する、外的又は内的な原因となり得る。振幅偏差Adevが低い場合は例えば電力送信回路122と電力受信回路112との不充分な接続が原因である。受信信号のこのような変化は変調の正確性の変化と称されてもよい。
【0044】
電力伝送システム100では、典型的にこのような種類のシステム100のSNRを増加させる注目すべき特徴がある。電力伝送の最適化には例えば電力レベル、伝送効率等の様々なパラメーターが使用されてもよい。定義上は、電力伝送システム100は最適動作点で動作することを望んでいる。しかしながら、このような最適動作点が定義されていてもよい。変調は実際のところは最適動作点からの逸脱であるため、変調が行われることにより、変調の間、システム100は最適ではない状態に置かれる。その結果、より大きい変調度により、一方ではより信頼性のあるデータ送信が行えるが、他方ではより最適でない電力伝送が行われる結果となる。したがって、振幅偏差Adevがより大きいことの結果として、電力伝送システム100により大きい影響が与えられる。このことから、システム設計者は、システムを最も効率のよい動作点において動作することを意図して設計することによりSNRをできるだけ小さくしたいと望む。その結果、電力伝送を最大化しながら信頼性のある通信を維持するために振幅偏差Adevは可能な限り低く抑えられる。このことにより無線電力伝送システムのデータ通信がノイズに対してより敏感になり、これらのシステムの典型的なSNRは低くなる。図3を参照して以前に説明した通り、通信ミス又はメッセージの通信の失敗により電力伝送プロセス300を繰り返すことになる。
【0045】
例えば図2bに示される周波数変調は電力伝送システム100が少なくとも周波数偏差をカバーする帯域幅を有し、伝送された電力、すなわち電力伝送損失が全ての変調周波数で概ね同じであると仮定している。これは送信周波数fTXが電力伝送システム100の共振周波数と同じ場合である。しかしながら、これは典型的なケースではなく、FSK変調の最中は、望まない振幅の変動が起こり得る。これらの不要な振幅の変動は変調の正確性及びASK変調のSNRに更に影響し、通信ミス及び電力伝送プロセス300の繰り返しのリスクを増大させる。
【0046】
図5は電力受信装置110のもう少し具体的な模式図である。電力受信回路112は、電力受信回路112において受信電流IRXを誘導するために誘導型無線電力伝送インターフェース105との接続を可能にする電力受信コイル117を少なくとも備える。電力受信回路112は典型的には受信電流IRXを整流するためのある種の整流回路を備え、整流器の出力は例えば充電回路及び/又は電池のような負荷にオペレーション可能に接続される。電力受信装置は典型的には電力受信回路112に対するインピーダンスを提示するよう配置されてもよい負荷回路115を備える。多くの場合、負荷回路115は電力受信回路112が備えるか、又は電力受信回路112と負荷の間に配置される。負荷回路115については後の章でより詳しく説明する。電力受信装置110はまた電力受信装置110の少なくとも電力伝送部分を制御する受信コントローラ111を備える。電力受信装置111は受信回路112の受信電流IRXに対してASK変調を行うASKモジュール116を更に備える。電力受信装置110はまた1つ以上のセンサ114を備え、典型的にはこれらのセンサは、例えば電圧、電流、電力、周波数、及び/又は温度といったメトリックを受信コントローラ111に提供するために電力受信回路112内に配される。更に、電力受信装置110は、受信回路112の受信電流IRXに含まれるFSK変調された信号を検出できるFSKモジュール113を備える。典型的には、変調モジュール116、113は受信コントローラ111内に備えられるか、受信コントローラ111にオペレーション可能に接続される。変調モジュール116、113はスタンドアローンハードウエアブロック/構成要素であるか、又はソフトウエア内に実装されてもよい。ASKモジュール116はASK変調を達成するために負荷回路115を制御するよう配される。負荷回路115は受信回路112にオペレーション可能に接続され、電力受信コイル117から見て、電力受信回路の整流回路の前又は後に、受信回路112内に含まれていてもよい。同様に、FSKモジュール113は、前述の1つ以上のセンサ114の1つであるか、又はソフトウエア内に実装された別個のセンサであり得る、受信電流IRX及び/又は関連した受信電圧VRXのデジタル表現の周波数成分を検出する周波数センサへオペレーション可能に接続されていてもよい。電力受信装置110の内部の実際の配置は様々であり得、当業者は状況によって特定の構成及び相互接続が適用されてもよいことを理解するであろう。
【0047】
電力送信装置120の概略を図6に示す。電力送信装置120は電力送信回路122、及び電力送信回路122にオペレーション可能に接続された送信コントローラ121を備える。送信回路122は電力受信装置110の電力受信コイル117に電磁誘導で接続される少なくとも1つの電力送信コイル127を備える。送信コントローラ121は電力送信回路122の励起を制御し、誘導型無線電力伝送インターフェース105を介して電力受信装置110に届けられる電力を制御する。このことを達成するために、電力送信装置120は送信コントローラ121にオペレーション可能に接続された、又は送信コントローラ121内に含まれた送信モジュール125を備える。送信モジュール125は送信周波数fTXで送信信号を生成し、送信信号を電力受信装置が備える送信コントローラ及び/又はFSKモジュールから受信した命令に従って変更する。FSKモジュール123は送信モジュール125のFSK変調を制御し、スタンドアローンブロック/構成要素であってもよく、又は送信モジュール125又は送信コントローラ内に含まれていてもよい。電力送信装置121は1つ以上のセンサ124を備え、典型的にはこれらのセンサ124は、例えば電圧、電流、電力、周波数、及び/又は温度といったメトリックを送信コントローラ121に提供するために電力送信回路122内に配される。電力伝送モジュールは更に、送信電流ITXからASK変調を受信するため及び/又は関連する送信回路の送信電圧VTXを受信するために、オペレーション可能に接続されたASKモジュール122を備える。代わりに、又は加えて、ASKモジュール122は送信信号のデジタル表現のASK変調を検出してもよい。電力送信装置120の内部の実際の配置は様々であり得、当業者は状況によって特定の構成及び相互接続が適用されてもよいことを理解するであろう。
【0048】
以前の章において図5及び図6を参照して紹介されたモジュール116、113、114、122、123、124及びコントローラ111、121はソフトウエア又はハードウエアモジュール、若しくはソフトウエアとハードウエアの組み合わせであってもよい。モジュール116、113、114、115、122、123、124、125の機能は孤立したモジュールとして説明されるが、これは説明のみを目的とし、各モジュールはその他のモジュールに分配されてもよく、またその他のモジュール内に含まれていてもよい。
【0049】
図7aにおいて、負荷回路115のブロック図の一例が示される。この負荷回路の例は電力受信回路112と負荷とを直列にオペレーション可能に接続することを意図する。図7bでは、電力受信回路112と負荷との並列接続を意図した、負荷回路115のブロック図の対応する例が示される。負荷回路115は電力受信回路112に対して負荷インピーダンスZLを提示しているとして説明される。負荷回路115は電力受信回路112に任意の適切な方法でおいて接続されてもよく、電力受信回路112内に含まれていてもよい。図7aと7Bを比較すると、負荷回路115の設計に違いがあり得、それは直列又は並列接続を意図しているためである。次の例は説明のみを目的とし、負荷回路115、電力受信回路112又は電力受信装置110の実装を限定するものとして考慮されてはならない。負荷インピーダンスZLは典型的には第1の負荷インピーダンスポートZL1と第2の負荷インピーダンスポートZL2との間のインピーダンスとして提供される。図7a及び図7bでは、負荷インピーダンスZLは、第1のインピーダンス素子Z1を負荷インピーダンスポートZL1及びZL2へ接続又は接続解除することにより変化する。この変化は典型的には受信コントローラ111及び/又はASKモジュール116により制御されるスイッチング素子Sにより制御される。図7aでは、スイッチSは2つの位置の間でスイッチング可能であり、1つの位置は負荷インピーダンスポートZL1とZL2が本質的に短絡される位置であり、もう1つの位置は第1のインピーダンスZ1が負荷インピーダンスポートZL1とZL2に渡って接続される位置であると示される。図7bでは、スイッチSは2つの位置の間でスイッチング可能であり、1つの位置は負荷インピーダンスポートZL1とZL2が本質的に解放される位置であり、もう1つの位置は第1のインピーダンスZ1が負荷インピーダンスポートZL1とZL2に渡って接続される位置であると示される。前述のように、スイッチSをトグルすることにより、電力受信回路112に提示される負荷インピーダンスZLは変化し、結果的に、図2cを参照して前に説明したように送信信号の振幅が変化する。図7に提示された負荷回路115は電力受信回路112と直列で動作することに適していて、並列動作に適した例では、負荷インピーダンスポートZL1、ZL2に本質的に無限のインピーダンスを提供するような1つの位置にスイッチが配されてもよいことに留意されたい。
【0050】
図7を参照して上に提示された負荷回路115の実装は、電力伝送プロセス300が選択フェーズ302に戻り、開始フェーズ304、306を繰り返さなければならないという、図4a及び図4bを参照して紹介した問題のもととなる。発明者らは負荷回路115から2つ以上の負荷インピーダンスZLを提供することを可能にすることにより、変調の正確性を改善することができることに気付いた。このことにより、変調の正確性を改善できるだけでなく、ビットレートが改善されより高い次数の変調が行える。
【0051】
図8aを参照し、2つ以上の負荷インピーダンスZLを例えば電力受信回路112に提示することが可能になる負荷回路115の実装の一例が示される。負荷回路115が備える第1のスイッチS1に3以上の投を設けることにより、この例では、第1のインピーダンスZ1、第2のインピーダンスZ2、又は図8aにおいて負荷インピーダンスポートZL1とZL2間の構成要素のない線として表される短絡、を提示することが可能になる。図8bに示される第2のスイッチS2を加えることにより、構成要素のコストは増加するが、負荷インピーダンスポートZL1、ZL2に渡ってさらに多くのインピーダンスを提示することができる。図8bでは、第1のスイッチS1は第1スイッチ第1投S1T1と第1スイッチ第2投S1T2との間でスイッチング可能であり、同様に第2のスイッチS2は第2スイッチ第1投S2T1と第2スイッチ第2投S2T2との間でスイッチング可能である。このことは第1のスイッチS1は第1スイッチ第1投S1T1に接続されたインピーダンスポートZL1とZL2を接続解除するか、第1スイッチ第2投S1T2に接続された第1のインピーダンス素子Z1をインピーダンスポートZL1とZL2に渡って接続するかのどちらかを行うことを意味する。第2のスイッチS2は、インピーダンスポートZL1とZL2に渡って第1スイッチS1によって接続されたインピーダンスに並列に、第2スイッチ第1投S2T1に接続された第2インピーダンス素子Z2を接続するか、第2スイッチ第2投S2T2に接続された第3インピーダンス素子Z3を接続するかのどちらかを行う。図8bに示された回路から、負荷インピーダンスZLの数多くの異なる値が実現可能であり、インピーダンスは以下の表1にまとめられる。
【表1】
【0052】
図7から図8bのインピーダンスZ1、Z2、Z3、ZL及び短絡を示す線は全てインピーダンスの例であるということに留意されたい。短絡を示す線はインピーダンス素子で表され、0Ωの抵抗として実現されてもよい。インピーダンス素子Z1、Z2、Z3は典型的には主に抵抗の構成要素により実現されるが、主にリアクタンスのインピーダンス素子が使用されてもよい。当業者はこのことを理解可能であり、インピーダンス素子の型の変更が必要であれば本開示の教示を適宜修正することが可能である。本開示の情報を消化後に理解されるが、伝送される電力を最大化するための負荷インピーダンスZLの1つの構成は、インピーダンスが1つもインピーダンスポートZL1、ZL2に渡って接続されていないことに対応する可能性が最も高い。
【0053】
図9は第1の振幅A1、第2の振幅A2を使用し、第3の振幅A3を導入する送信信号の一例を示す。図9の送信信号は図8a又は図8bの負荷回路115により提供されてもよく、各振幅A1、A2、A3は負荷インピーダンスZLの関連値に対応する。図9に示される送信信号の長さが例えば図2cに示される送信信号の長さと同じであると仮定した場合、1信号あたりの時間Tsは、図9では、図2cの1信号あたりの時間と比較して半分の時間となる。このことは、シンボルレートが2倍になり、データをより速く伝送できるということを意味する。代わりに、電力伝送効率を妥協することなく良好な変調の正確性及び信頼性の高いSNRを保証するために追加の振幅状態を使用してもよい。更に別の可能性は、より高い次数の変調次数が使用されていることを知らない装置110、120によってデコードされない送信信号中の情報をエンコードするために追加の振幅状態を使用することである。したがって、このことにより、通常の装置には無視されるチャネル間で隠れたメッセージを伝送する方法、又は隠れたメッセージをフィルタするエラー修正機構が可能になる。この機構は例えば認証又は著作権保護目的で使用されてもよい。
【0054】
送信信号の振幅を評価するために、ASKモジュール116、126、負荷回路115、電力受信回路112、又は電力送信回路のうちの何れかが回路、センサ、及び/又はコントローラを備えていてもよい。評価は電力送信装置120又は電力受信装置の何れかにより行われてもよい。典型的には電力受信装置である振幅変調を行う装置が、ASKデータの送信と同時に送信信号の振幅を評価すれば、異なるASK振幅における変調に使用する負荷を変更できる。説明を目的とする非限定例として、図8bの負荷回路115を仮定し、ASK変調が第1の振幅A1及び第2の振幅A2のみで行われると仮定する。第1の振幅A1はZ2に対応する負荷インピーダンスZLであり、第2の振幅A2はZ3に対応する負荷インピーダンスZLであり、すなわち図8bの第2のスイッチのみがスイッチングを行い、第1スイッチS1は第1スイッチ第1投S1T1に接続している。特定の振幅偏差Adevが期待され振幅偏差Adevがこれよりも低い場合、電力伝送プロセス300を繰り返すことにつながるコミュニケーションミス又はデータ紛失のリスクがある。また、低い振幅はより少ない電力伝送を意味するため、振幅偏差Adevが高すぎる場合、電力が無駄になる。双方の場合において、A1、A2の振幅に対応するスイッチS1、S2の位置は、評価された偏差が期待される振幅偏差Adevに近くなるように調整されてもよい。一般的に、しかし必ずしもそうではないが、スイッチS1、S2の設定は電力伝送効率が最大化されるように調整されなければならないことを意味する。このことは振幅偏差Adevを減少させなければならない場合、低い状態の送信信号の振幅が増加するように、送信信号の最も低い振幅に対応するスイッチの設定を調整しなければならないことを意味する。類似して、振幅偏差Adevを増加させなければならない場合、この状態における送信信号の振幅が増加されるように、送信信号の最も大きい振幅に対応するスイッチの設定を調整しなければならない。上に示した変化は例であり、振幅偏差Adevを増加させるために送信信号の高い状態の振幅を増加させることが望まれるが、達成するための負荷インピーダンスZLが入手できない場合、低い状態に対応する負荷インピーダンスZLが変更されなければならない。
【0055】
ASK変調に使用する負荷インピーダンスZLを変更するための上記と似た方法で、FSKに使用する周波数を変更することができる。周波数の変化、すなわち周波数偏差fdevは典型的には電圧制御発振器(VCO)又は対応する回路の制御を変更することにより制御される。FSK変調を生成するこのような回路は典型的には例えば送信モジュール125内のFSKモジュール123内に含まれる。FSK変調の検出はFSK変調を行う装置110、120及びFSK変調信号を受信する装置120、110の双方において行うことができる。周波数偏差fdevの検出は様々な正確性、複雑性及びコストを有する数々の方法で行うことができる。FSK変調を検出する場合は、特定の設計要求により、どの解決策を選択するかを当業者は理解するであろう。
【0056】
周波数偏差fdevはまた、特に送信周波数fTXが変更された場合に、電力伝送の効率に影響する。図10aにおいて送信信号における振幅A対送信周波数fTXのプロットの例を示す。観察されるように、振幅Aは共振周波数f0と呼ばれるところで最高値を取る。共振周波数f0は電力伝送の効率が最も良い周波数である。これは電力伝送のインピーダンスに含まれるリアクタンス要素が最小化されていることによるものであり、理想的には電力伝送のインピーダンスは純粋な抵抗となる。図10aにおいて、第1の送信周波数fTX1及び第2の送信周波数fTX2はそれぞれ、本質的に共振周波数f0から上と下に同じだけ離れて示されている。この構成はFSK変調データの送信中に結果的に最も効率のよい電力伝送が行える構成となる。図10bにおいて、送信周波数fTX1とfTX2は共振周波数f0よりも上に移動されている。この結果、平均振幅Aが減少し、及びその結果として電力伝送効率が低下する。
【0057】
前述のように送信信号の振幅を評価することにより、送信周波数fTXの中心を共振周波数f0の周辺に置くために上又は下に移動されなければならないかどうかを判定することができる。送信周波数fTX1、fTX2の低い周波数における振幅が 送信周波数fTX1、fTX2の高い方における振幅よりも低い場合、送信周波数fTXの周波数が高い方へと移動されなければならない。したがって、送信周波数fTX1、fTX2の低い周波数における振幅が送信周波数fTX1、fTX2の高い方よりも振幅が高い場合、送信周波数fTXは周波数が低い方へと移動されなければならない。図10cを参照し、Qi規格に関する特定の例が詳細に説明される。Qi規格では、本開示の送信周波数fTXに類似した動作周波数、及び第1及び第2の送信周波数fTX1、fTX2に類似した変調周波数が存在する。システムは動作周波数fTXでほとんどの時間を過ごすため、この例では、図10cにおいて示されるように、典型的には最適化され、変調周波数fTX1が少し移動されている。前の章で説明したように、動作周波数すなわち送信周波数fTX1と、変調周波数すなわち図10cの第1の送信周波数の差は、信頼できる変調度を有するために充分でありながら、電力伝送にインパクトを与えるほど大きすぎないものである必要がある。
【0058】
データ送信中に電力伝送を最適化できることや任意の数の送信周波数fTXn又は変調振幅Anを有する更なる変調状態を加えることによりビットレートを増加させることとは別に、これらの追加の変調状態は、無線電力伝送システム100の規格化された通信を妨害することなく追加の情報を送信するために使用されてもよい。規格化された通信は振幅偏差Adev及び周波数偏差fdevを許容誤差とともに規定する。より多い変調状態を有することにより、また変調を制御することにより、追加の変調状態は、規格化された通信は規格化されたメッセージを検出するが、変調状態は規格化されたメッセージに並列して追加のメッセージが同時に送信されるものであってもよい。ある実施形態では、偏差Adev、fdevに関する規格化された通信の許容誤差によって追加の変調状態が選択される。規格化された通信は、例えば変調状態を判定するためにシンボルタイムTsにおける平均的な変調状態を観察するものであってもよく、そのような通信の種類において、シンボルタイムTsにおける平均値が規格化された通信に準拠するよう追加の変調状態が選択されるような実施形態も存在する。別の実施形態では規格化された通信はシンボルタイムTsのセグメントにおける変調状態のみに注目する。本実施形態では、追加の変調状態はシンボルタイムTsセグメントの前及び/又は後の時間を使用する。
【0059】
図11を参照し、電力伝送プロセス308中にデータ送信する方法310を詳細に説明する。短く言えば、方法310は、信号条件が満たされる場合にデータ通信構成の変更を可能にする。方法310は好ましくは、図3を参照して提示された無線充電プロセス300の電力伝送プロセス308が行われている間に実行される。しかしながら、当業者は、このコンセプトが少なくとも電力の誘導伝送を行ういかなるシステムにも適用可能であることを理解する。
【0060】
電力伝送プロセス308の間、電力受信装置110又は電力送信装置120はもう一方の装置120、110へデータ送信311する。一般的には、Qi規格では、データを電力送信装置120へ送信311するのは電力受信装置110であるが、方法310はこの情報の方向には限定されない。データは典型的には第1のデータパケットに含まれ、この第1のデータパケットはFSK又はASK変調のどちらかを使用して送信311される。典型的には、電力送信装置120が第1のデータパケットを送信311するならばFSKを使用して送信311が実行され、電力受信装置110はASKを使用して第1のデータパケットを送信311する。
【0061】
第1のデータパケットの送信311中、第1のデータパケットを送信する装置110、120は信号条件が満たされているかどうかを判定313する。信号条件は直接又は間接的に第1のデータパケットの送信311に関連する任意の数の条件であってもよい。信号条件が満たされているかどうかのチェック313は第1のデータパケットの送信311の間に何度か行われてもよく、又は第1のデータパケットの送信311の間に、1回のみ行われてもよい。
【0062】
信号条件が満たされているかどうかの判定313を、図12を参照して更に詳細に例を挙げて説明する。信号条件は、例えば変調パラメーター、SNR、振幅等のような、第1のデータパケットを含む信号に関する任意の条件であってもよい。結果的に、信号条件が満たされているかどうかの判定313を行うステップは送信信号の評価315を含んでもよい。送信信号は送信信号の品質に関する1つ以上のメトリックに関して評価されてもよい。送信信号の変化に関するものであってもよく、又は送信信号に関するメトリックの絶対的な変化に関するものであってもよい。そのような変化及び/又はメトリックは信号品質インジケーター(SQI)により表現されてもよい。SQIは図4aから図4bを参照して説明された変調の正確性のメトリックの変化、周波数偏差の変化、又はシンボルタイムTS、TFs、TAsの変化を含んでもよい。シンボルタイムTS、TFs、TAsの変化はシンボルレート、すなわちビットレート又は変調速度の変化として観察され得る。SQIは信号品質に関する任意のメトリックを含んでいてもよく、変調の正確性に限定されない。SQIがSQI閾値よりも低い場合、ある1つの信号条件が満たされたと説明されてもよい。図10bに示されるように、ある1つの信号条件は、あるFSK信号中に振幅偏差Adevが存在することであってもよい。ある1つの信号条件は振幅偏差Adevが振幅閾値よりも高いか又は低いことであってもよい。ある1つの信号条件はSNRがSNR閾値よりも高いか又は低いことであってもよい。上に示した信号条件の非網羅的な例から、多くの例は送信信号の振幅に関連すると観察され、結果的に信号条件が満たされているかどうかの判定313を行う時に送信信号の振幅を評価315することには利点がある。
【0063】
引き続き図12を参照し、また信号条件が満たされているかどうかを判定313するステップに関連し、ある1つの随意の機能を説明する。加えて、又は代わりに、第1のデータパケットの送信311中にオペレーショナルフィードバックが受信317された場合に信号条件は満たされていると判定313されてもよい。オペレーショナルフィードバックは第2のデータパケットに含まれていてもよい。オペレーショナルフィードバックは前述のオペレーショナルパラメーターのうち任意のものを含んでいてもよく、又はシステム100のユーザーによって提供されたフィードバックに関連していてもよい。ある実施形態では、オペレーショナルフィードバックは、第1のパケットを受信する装置120、110から受信317される。これは第1のデータパケットはASK又はFSKを使用して送信され、オペレーショナルフィードバックはASK又はFSKのもう一方を使用してオペレーショナル情報を送信することにより提供されるために可能である。第1のデータパケットを送信311する装置110、120を、第1のデータパケットの送信311中に送信されるオペレーショナル情報を検出するように構成することにより、第1のデータパケットを受信する装置120、110により第1のデータパケットの受信311中にオペレーショナルフィードバックを通信することが可能になる。受信する装置120、110が第1のパケットの送信311の問題又は機会を検出した場合、装置120、110は送信装置110、120へこのことの情報を提供してもよく、送信装置110、120は問題又は機会に関するデータ通信構成を更新してもよい。提示した問題は前述の信号条件のことでもよく、例えば判定されたSQIがSQI閾値よりも低いことであってもよい。
【0064】
より一般的には、受信装置120、110(すなわち第1のデータパケットを送信していない装置110、120)が、第1のパケットを含む信号の信号品質を評価してもよい。第1のパケットを含む信号の品質の評価により信号品質が閾値に見合わない場合は、受信装置120、110は、FSK又はASKの2つの変調方式のうちの前述の他方を使用してオペレーショナル情報を送信周波数fTXで送信し、そのことにより前述のオペレーショナルフィードバックを提供してもよい。例えばSQIの形式で表現される評価品質に関する又は評価品質を表すデータは、送信されたオペレーショナル情報に含まれていてもよい。
【0065】
再び図11を参照し、信号条件が満たされていると判定313された場合は、第1のデータパケットを送信する装置110、120はデータ通信構成を変更319する。構成の変更319は典型的には満たされたと判定313された信号条件に関連し、したがって変更された構成はデータ通信に関する構成である。データ通信構成という用語は一般にデータ通信に関する、また特に第1のデータパケットの送信311に関わる全ての種類の構成及び設定を含むことを意図する。構成の変更319は単一の構成パラメーターの変化又は幾つかの数個の構成パラメーターの変化であってもよい。変更319される構成パラメーターは予め定義された、又は構成可能な構成パラメーターであってもよい。構成パラメーターは送信信号、すなわち第1のパケットを含む信号の変調に関する構成パラメーターであってもよい。構成パラメーターはデータパケットの構造又は構成に関する構成を代わりに又は追加で含んでいてもよい。ある実施形態では、構成パラメーターは第1のデータパケットの送信311が再スタートされるようなものである。ある実施形態では、構成の変更319は予め定義された、又は構成可能な変調パラメーターのセットのうち1つの変化である。構成を変更319する文脈における変調パラメーターは変調インデックス、シンボルレートTs、シンボルあたりのビット数、偏差Adev、fdev、送信周波数fTX等を含む。構成の変更319は任意の適切な方法で、そして特に上に提示した方法で達成されてもよい。非限定例として、振幅偏差Adevの変化は図8aから図8bを参照して提示された負荷回路115により達成されてもよい。構成の変更における追加の非限定例はシステム100の動作点を移動することにより達成される。動作点は受信装置110の目標電圧及び/又は目標電流及び/又は負荷抵抗を含んでいてもよく、そして/又は電力送信コイル123の電圧及び/又は電流及び/又は送信装置120の動作周波数を含んでいてもよい。
【0066】
満たされる信号条件によりどの構成を変化させるかを判定するため、信号条件が満たされているかの判定313及び構成を変更319するステップは互いに関連していてもよい。本開示の以前の章から、当業者はこの関連性の大部分を学んで理解し、方法310を実行するときに全てが適用可能であることを理解する。更に、複数の装置を充電する環境の場合、信号条件は送信装置120により通信チャネルを最適化するために使用されてもよい。そのような環境では、1つの電力送信装置120により提供される同じ送信信号で動作する複数の電力受信装置110が存在し得る。電力送信装置120の最適な構成は、任意の独立した電力受信装置110にとっての最適な構成と一致しなくてもよい。
【0067】
前述の通り、変更319を行ってもよい数多くの異なる変調パラメーターが存在する。特定の信号条件が特定の変更319を義務付けるが、変更319は信号条件に対して充分に及び/又は正しく影響を及ぼさないという実施形態もある。そのような場合は、図13を参照して、変調パラメーターのセットを有する実施形態が、変調パラメーターのセットが繰り返し変更319されるように実装されてもよい。図13のように可視化された実施形態では、構成を変更319するステップに続いて、信号条件が満たされているかどうかを判定314する更なるステップが加えられている。信号条件が未だに満たされていると判定314される時、又は別の信号条件が満たされていると判定314される時、構成はもう一度変更316される。この追加の変更316は、満たされていると判定314される信号条件がなくなるまで繰り返される。ある実施形態では、この追加の変更316は、変調パラメーターの設定を繰り返す。別の実施形態では、追加の変更316は、変調パラメーターのセット中の各パラメーターに対して、変調の正確性及び/又は伝送された電力のような適切なパラメーターを評価する。変調パラメーターのセット中の全てのパラメーターの信号条件が満たされると、最適な変調の正確性及び/又は電力伝送をもたらすパラメーターが選択される。
【0068】
当業者は構成の変更は1つ以上の構成の変更を含んでもよく、変調パラメーターのセットは変調パラメーターの幾つかの組み合わせになってもよく、この設定を繰り返すことによりこれらの組み合わせの全て又は幾つかが含まれてもよいことを理解する。
【0069】
図11から図13の方法310中に説明されたステップは例えばQi企画に未だに準拠しているため、実装はシームレスに行うことができ、追加された機能は従来のシステムに影響しない。
【0070】
図5及び図6を参照して例示された電力受信装置110及び電力送信装置120は両方、上述の方法310を実行可能である。装置110、120は第1のパッケージを送信又は受信してもよい。
【0071】
典型的には、Qi規格では、電力受信装置120が第1のパッケージを送信する装置である。これは図3において説明された電力伝送プロセス300の電力伝送フェーズ308に関連した通信である。このような実施形態では、第1のパッケージは、電力受信装置110により送信される制御データである。制御データを含む第1のパッケージが例えば低い変調の正確性及び/又はSQIに悩まされる場合、図11から図13を参照して説明された方法310は電力受信装置110によりこのことを信号条件として検出可能にし、問題を回避し機会を行使するために構成を変更319する。電力受信装置110は変調の正確性及び/又はSQIが改善されるようにASKモジュール116に例えば必要な調整を行ってもよい。結果、電力伝送フェーズ308は選択フェーズ302に戻ることなく開始でき、電力伝送プロセス300の繰り返しを避けることができる。
【0072】
図11から図13を参照して説明された新規性及び進歩性を有するプロセス310は、プローブ装置132を使用して検証、認証、トリミング、及び/又は較正されてもよい。図14を参照し、テストシステム130が紹介される。テストシステム130はプローブ装置132、解析装置134及び随意のホストインターフェース136を備える。プローブ装置132は誘導型無線電力伝送インターフェース105の電磁場を傍受することが出来るように無線電力伝送システム100内に配置可能である。プローブ装置132は解析装置134を含むか、解析装置134にオペレーション可能に接続されていてもよい。解析装置134はホスト装置136と通信状態にあってもよい。
【0073】
図15を参照し、プローブ装置132及び関連する解析装置134がより詳細に、テストシステム130のブロック図において示される。プローブ装置132は誘導型無線電力伝送インターフェース105内に配置されるピックアップコイル133を備える。典型的にはピックアップコイル133は無線電力送信装置120の筐体の表面と無線電力受信装置110の筐体の表面との間、すなわち送信コイル127と受信コイル117との間に配される。このことにより、無線電力送信及び受信装置120、110の間で無線電力伝送プロトコル300、310に従って交換される電磁信号を捕捉し、ピックアップコイル133が電気信号を生成することができるようになる。解析装置134は、プローブ装置132に含まれていない場合、解析装置134の対応する解析インターフェース137を使用してプローブ装置132のプローブインターフェース134に接続する。解析装置134に対してインターフェース134、137を使用して電磁信号が伝送され、解析装置134は処理部138を備えている。プローブ装置132は更に温度センサ等のその他のセンサを備えていてもよく、これらのセンサからのセンサデータはインターフェース134、137を介して処理部138により受信される。
【0074】
解析装置134は典型的には、処理部138を使用して、プローブ装置132から受信したデータと信号を処理する。処理は、信号が例えば図3及び図11から図13に関連して説明されたプロセス300、310に準拠しているかどうかを判定するために、ピックアップコイル133により傍受された信号を解釈することを含んでもよい。解析装置134は更に例えばユーザー又は随意のホスト装置136に対して判定の結果を出力として提供してもよい。加えて、又は代わりに、解析装置134はプローブ装置132により提供されたデータ及び/又は信号のログを取ってもよい。ログは解析装置134が備えるか、解析装置134に接続されているか、そして/又はユーザー及び/又はホスト装置136と通信するメモリ装置に記憶されてもよい。ログは、例えば傾向を検出するため、又は孤立した事象を識別するために、例えばある期間における変調の正確性、タイミング、電力等に関する正確性を判定する目的で解析装置134により解析されてもよい。
【0075】
図16を参照し、解析装置134が随意の生成部139を備える、テストシステム130のある実施形態が示される。生成部139はプローブ装置132により誘導型無線電力伝送インターフェース105に対して吐出される信号を生成してもよい。信号はテスト対象のプロセス300、310に関連する特定のイベントをトリガする信号であってもよい。生成部139は、電力送信装置120と電力受信装置110との間で送信される信号の変調の品質に影響する、例えばノイズ又はその他の不要な外乱である信号を生成してもよい。外乱信号は、信号条件が満たされるように、図11から図13の方法310における第1のパケットに影響するように生成されてもよい。この実施形態では、電力送信装置120、電力受信装置110及び/又は無線電力伝送システム100が図11から図13の方法310に準拠しているかどうかを検証することが可能である。
【0076】
上述のように、解析装置134は、方法310が意図するよう実行されているかどうかを検出し、その点に関する出力を提供するために非常に有用である。出力は内部又は外部の記憶手段、装置のユーザー、又はホスト装置136に対して提供されてもよい。短く言えば、プローブ装置132は解析装置134に対して、無線電力伝送システム100が電力伝送フェーズ308において動作しているかどうかを解析器が判定できるように信号を提供する。その場合、解析装置134は電力送信装置120又は電力受信装置110の一方が第1のデータパケットを送信311しているかどうかを検出する。解析装置134はデータ通信構成の変更319が、第1のパケットを送信する装置110、120により実行されることを検出する。解析装置134は随意に誘導型無線電力伝送インターフェース105をモニタし信号条件313が満たされているかどうかを検出してもよい。解析装置134は更に、例えば信号条件が満たされずにデータ通信構成の変更319が実行されたかどうかを検出してもよい。本明細書で説明したプロセス300、310のいかなる逸脱又は違反が検出された場合、解析装置134が逸脱又は違反を示す出力を生成する結果となってもよい。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図10c
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力伝送システム(100)において電力伝送(308)中にデータ送信する方法(310)であって、前記無線電力伝送システム(100)は、送信周波数(fTX)で動作している誘導型無線電力伝送インターフェース(105)を介して電力を電力受信装置(110)へ伝送(308)するよう配された電力送信装置(120)を備え、前記無線電力伝送システム(100)は、半二重通信で一方向に周波数偏移変調(FSK)を使用して、もう一方向には振幅偏移変調(ASK)を使用して情報を伝送(311)するように構成され、前記方法(310)は
前記電力送信装置(120)により、前記送信周波数(fTX)で、電力を前記電力受信装置(110)へ伝送(308)することを含み、前記伝送(308)中に
第1のデータパケットを、前記電力送信装置(120)又は前記電力受信装置(110)のうちの一方により、前記電力送信装置(120)又は前記電力受信装置(110)のうちの他方へ、前記送信周波数(fTX)で、FSK又はASKの2つの変調方法のうち1つを使用して送信(311)し、前記送信(311)中に、
前記第1のデータパケットの前記送信に関する特定の信号条件が満たされると、前記装置(110、120)が、前記第1のデータパケットを送信(311)することを判定(313)し、ここで、信号条件が満たされているかどうかを判定(313)することは、前記第1のデータパケットを含む信号の変調の正確性を評価(315)することを含み、前記評価(315)された変調の正確性が変調の正確性の閾値よりも低ければ、前記信号条件が満たされたと判定され、
前記第1のデータパケットの前記送信に関する前記信号条件が満たされると、前記第1のデータパケットを送信する前記装置(110、120)のデータ通信構成を変更(319)する、
方法(310)。
【請求項2】
前記電力送信装置(120)はFSKを使用して情報を送信(311)しASKを使用して情報を受信(311)し、前記電力受信装置はASKを使用して情報を送信(311)しFSKを使用して情報を受信(311)する、請求項1に記載の方法(310)。
【請求項3】
前記変更されたデータ通信構成は、
1つ以上の変調インデックス、
1つ以上のシンボルレート、又は
1つ以上のシンボルあたりのビット数、
のうちの少なくとも1つを備え、予め定義された又は構成可能であるうちの1つである変調パラメーターのセットである、請求項1又は2に記載の方法(310)。
【請求項4】
前記第1のデータパケットを送信(311)する前記装置(110、120)は前記電力受信装置(110)であり、前記変更されたデータ通信構成は振幅偏差の形をとる変調インデックスである、請求項1から3の何れか一項に記載の方法(310)。
【請求項5】
前記第1のデータパケットを送信(311)する前記装置(110、120)は前記電力送信装置(120)であり、前記変更されたデータ通信構成は前記送信周波数(fTX)及び/又は周波数偏差の形をとる変調インデックスの変化である、請求項1から3の何れか一項に記載の方法(310)。
【請求項6】
前記変調の正確性を評価(315)することは、前記第1のデータパケットを備える前記信号の振幅を評価(315)することを含む、請求項に記載の方法(310)。
【請求項7】
前記変更(319)を行うステップは、
前記信号条件がもはや満たされなくなると判定されるまで、若しくは、予め定義された、又は構成可能な構成のセットが評価されるまで前記構成を変更(319)することを繰り返し行うことを含む、
請求項1からの何れか一項に記載の方法(310)。
【請求項8】
前記繰り返し変更(319)することは更に、
信号品質インジケーター(SQI)、及び/又は、前記予め定義された、又は構成可能なデータ通信構成のセットのそれぞれへと伝送された電力を評価(315)することと、
前記予め定義された、又は構成可能なデータ通信構成のセットのそれぞれに対する少なくとも1つの信号条件が満たされる場合は(313、314)、最も高いSQIを有した、及び/又は最も多く電力が伝送された前記構成への変更(319、316)を行うことと、
を含む、請求項に記載の方法(310)。
【請求項9】
前記第1のパケットを受信する前記装置からオペレーショナルフィードバックが受信(317)されると、前記信号条件が満たされたと判定(313)される、請求項1からの何れか一項に記載の方法(310)。
【請求項10】
前記第1のデータパケットを送信していない前記装置(110、120)により前記第1のデータパケットを受信することと、前記受信中に、
前記第1のデータパケットを送信しない前記装置(110、120)により、前記第1のパケットを含む前記信号の信号品質を評価することと、前記第1のデータパケットを含む前記信号の前記評価された品質が信号品質閾値を満たさない場合は、
前記第1のデータパケットを送信しない前記装置(110、120)によりFSK又はASKの2つの変調方式のうちの他方を使用して前記送信周波数(fTX)でオペレーショナル情報を送信し、それにより前記オペレーショナルフィードバックを提供することと、
を更に含む、請求項に記載の方法(310)。
【請求項11】
電力送信装置(120)からの送信周波数(fTX)で動作する誘導型無線電力伝送インターフェース(105)を介して電力を受信するために無線電力伝送システム(100)内に配置可能な電力受信装置(110)であって、前記無線電力伝送システム(100)は1方向に周波数偏移変調(FSK)を使用して、そしてもう1方向に振幅偏移変調(ASK)を使用して半二重通信で情報を伝送するために構成されていて、前記電力受信装置(110)は電力受信回路(112)にオペレーション可能に接続された受信コントローラ(111)を備え、前記電力受信装置(110)は前記電力受信回路(112)に
前記電力送信装置(120)から前記送信周波数(fTX)で電力を受信することであり、前記受信中に
前記電力送信装置(120)へ前記送信周波数(fTX)で第1のデータパケットを送信することであり、前記送信中に、
前記第1のデータパケットの前記送信に関する信号条件が満たされるかどうかを判定し、ここで、信号条件が満たされているかどうかを判定することは、前記第1のデータパケットを含む信号の変調の正確性を評価することを含み、前記評価された変調の正確性が変調の正確性の閾値よりも低ければ、前記信号条件が満たされたと判定される、ことと、
前記第1のデータパケットの前記送信に関する前記信号条件が満たされると、前記電力受信装置(110)のデータ通信構成を変更することと、
を行わせる、電力受信装置(110)。
【請求項12】
前記電力受信装置(110)の前記機能を請求項2から10の何れか一項に記載の前記方法(310)で更に実行する、請求項11に記載の電力受信装置(110)。
【請求項13】
無線電力伝送システム(100)内に配置可能な、送信周波数(fTX)で動作する誘導型無線電力伝送インターフェース(105)を介して電力受信装置(110)へ電力を送信するための電力送信装置(120)であり、前記無線電力伝送システム(100)は半二重通信で1方向に周波数偏移変調(FSK)を使用して、またもう1方向に振幅偏移変調(ASK)を使用して情報を伝送することに構成されていて、前記電力送信装置(120)は電力送信回路(122)にオペレーション可能に接続された送信コントローラ(121)を備え、前記電力送信装置(120)は前記電力送信回路(122)に
前記電力受信装置(110)へ前記送信周波数(fTX)で電力を送信することであり、電力の前記送信中に、
前記電力受信装置(110)へ前記送信周波数(fTX)で第1のデータパケットを送信することであり、前記第1のデータパケットの前記送信中に
前記第1のデータパケットの前記送信に関する信号条件が満たされるかどうかを判定し、ここで、信号条件が満たされているかどうかを判定することは、前記第1のデータパケットを含む信号の変調の正確性を評価することを含み、前記評価された変調の正確性が変調の正確性の閾値よりも低ければ、前記信号条件が満たされたと判定される、ことと、
前記第1のデータパケットの前記送信に関する前記信号条件が満たされると、前記電力送信装置(120)のデータ通信構成を変更することと、
を行わせる、電力送信装置(120)。
【請求項14】
前記電力送信装置(120)の前記機能を請求項2から10の何れか一項に記載の前記方法(310)で更に実行する、請求項13に記載の電力送信装置(120)。
【請求項15】
プローブ装置(132)及び解析装置(136)を備えるテストシステム(130)であって、前記プローブ装置(132)は送信周波数(fTX)で動作する誘導型無線電力伝送インターフェース(105)を介して電力を電力受信装置(110)に伝送するために配置された電力送信装置(120)を備える無線電力伝送システム(100)内に配置可能であり、前記無線電力伝送システム(100)は1方向には周波数偏移変調(FSK)を使用して、もう1方向には振幅偏移変調(ASK)を使用して半二重通信で情報を伝送するように構成されている種類のものであり、
前記プローブ装置(132)は少なくとも1つのピックアップコイル(133)を備え、更に前記プローブ解析装置(134)を備えるか又は前記プローブ解析装置にオペレーション可能に接続され、
前記解析装置(134)は、前記プローブ装置(132)が前記無線電力伝送システム(100)内に配される時、
前記電力送信装置(120)により、電力が前記電力受信装置(110)へ前記送信周波数(fTX)で伝送(308)されることを検出し、前記伝送(308)中に、
第1のデータパケットが、前記電力送信装置(120)又は前記電力受信装置(110)のうちの1つにより、前記電力送信装置(120)又は前記電力受信装置(110)のうちの他方へ、前記送信周波数(fTX)で、FSK又はASKの2つの変調方法のうち1つを使用して送信(311)されることを検出し、
信号条件が満たされているかどうかを判定し、ここで、前記信号条件が満たされることは、前記第1のデータパケットを含む信号の変調の正確性が変調の正確性の閾値よりも低いことであり、
前記第1のデータパケットを送信する前記装置(110、120)によるデータ通信構成の変更を検出し、
前記検出に関する情報を出力として提供する、
テストシステム(130)。
【請求項16】
データ通信構成の前記変更の検出前に、信号条件が満たされているかどうかを判定することを更に行い、
前記信号条件が満たされることは、前記第1のデータパケットを送信する前記装置(110、120)に対して前記第1のデータパケットを受信する前記装置(110、120)によりオペレーショナルフィードバックが提供されることである、請求項15に記載のテストシステム(130)。
【請求項17】
前記信号条件が満たされずに前記構成が変更されたかどうかを更に検出し、その点に関する出力を生成する、請求項16に記載のテストシステム(130)。
【請求項18】
前記解析装置(134)が更に、前記解析装置(134)により前記信号条件が満たされるように前記誘導型無線電力伝送インターフェース(105)へ信号を吐出するよう構成可能な生成部(139)を備える、請求項15から17の何れか一項に記載のテストシステム(130)。
【請求項19】
前記解析装置(134)は更に、請求項2から10に記載の前記方法(310)における前記データ構成の変更を検出する、請求項15から18の何れか一項に記載のテストシステム(130)。
【国際調査報告】