(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】乾燥ミキシング及びコーティング用のミキシング工具
(51)【国際特許分類】
B01F 27/93 20220101AFI20230220BHJP
B01F 27/80 20220101ALI20230220BHJP
B01F 23/60 20220101ALI20230220BHJP
B01F 27/1152 20220101ALI20230220BHJP
B01F 27/052 20220101ALI20230220BHJP
B01F 27/053 20220101ALI20230220BHJP
B01F 33/501 20220101ALI20230220BHJP
【FI】
B01F27/93
B01F27/80
B01F23/60
B01F27/1152
B01F27/052
B01F27/053
B01F33/501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022531628
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020083521
(87)【国際公開番号】W WO2021105291
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】102019132264.2
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519321948
【氏名又は名称】マシーネンファブリック グスタフ アイリヒ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ゲアル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ザイラー
(72)【発明者】
【氏名】クレーメンス シュミット
【テーマコード(参考)】
4G035
4G036
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB48
4G036AA21
4G078AB20
4G078BA05
4G078DA23
(57)【要約】
本発明は、固定シャフト(2)及びそれに固定されている、直径d、上面、下面及び上面と下面を結合する外周面を備えた、ディスク形状要素(4)とを有する、粉末混合物を乾燥ミキシングし、かつコーティングする工具(1)に関するものであって、ディスク形状要素は、シャフト軸線に対して平行に延びる多数の溝を有し、各溝は外周面から溝底へ延びる2つの溝壁を有し、2つの溝壁の間に歯が形成される。特に、粉末混合物の汚染の少ない乾燥ミキシング、乾燥ディスパーシング及びコーティングに適した工具を提供するために、本発明によれば、ディスク形状要素は、ベース部分と、このベース部分に固定された少なくとも1つの磨耗要素(6)とを有し、各溝壁の、外周面に隣接する少なくとも1つの部分が、磨耗要素によって形成されることが、提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定シャフトと、該固定シャフトに固定され、直径d、上面、下面、前記上面及び下面を結合する外周面を備えた、ディスク形状要素とを有する、粉末混合物を乾燥ミキシングし、かつコーティングする工具であって、
ディスク形状要素がシャフト軸線に対して平行に延びる多数の溝を有し、各溝が、外周面から溝底へ延びる2つの溝壁を有し、2つの溝壁の間に歯が形成される、工具において、
ディスク形状要素が、ベース部分と、該ベース部分に固定された少なくとも1つの磨耗要素とを有し、
前記外周面に隣接する各溝壁の少なくとも1つの部分が、前記磨耗要素によって形成されている、ことを特徴とする工具。
【請求項2】
前記磨耗要素は硬質金属又は他の耐摩耗性の非鉄材料からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の工具。
【請求項3】
2つの溝壁及び好ましくは溝底は前記磨耗要素によって形成される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の工具。
【請求項4】
前記磨耗要素は複数の部分から構成されている、ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の工具。
【請求項5】
前記溝底は第1の溝壁から第2の溝壁へ延びる溝底長さを有し、該溝底長さは、前記溝底から前記外周面への溝壁長さの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%である、ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の工具。
【請求項6】
前記溝壁は前記外周面から前記溝底へ延びる溝壁長さを有し、該溝壁長さは前記直径dの0.05~0.4倍の間、好ましくは0.1~0.3倍の間、最良で0.15~0.25倍の間である、ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の工具。
【請求項7】
前記下面は少なくとも1つの渦流誘発要素を有し、前記渦流誘発要素は前記下面を越えて突出し、好ましくは複数の渦流誘発要素が設けられ、特に好ましくは複数の渦流誘発要素は周方向に等しい角度間隔を有している、ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の工具。
【請求項8】
少なくとも1つの渦流誘発要素は、2つの位置の間で往復移動可能であり、又は長さにおいて変化することができ、前記渦流誘発要素は、第2の位置におけるよりも、第1の位置において前記下面を越えて小さく突出する、ことを特徴とする請求項7に記載の工具。
【請求項9】
前記渦流誘発要素は前記磨耗要素によって形成される、ことを特徴とする請求項7又は8の何れか一項に記載の工具。
【請求項10】
前記渦流誘発要素は前記溝底よりも前記固定シャフトの近くに配置され、好ましくは前記固定シャフトと前記渦流誘発要素との間の間隔は、前記溝底と前記固定シャフトとの間の間隔の50%未満、好ましくは75%未満、最良で80~98%の間である、ことを特徴とする請求項7~9の何れか一項に記載の工具。
【請求項11】
容器と、その中に配置された、請求項1~10の何れか一項に記載の工具とを有する粉末混合物を乾燥ミキシングし、かつコーティングする装置。
【請求項12】
前記容器は固定シャフト軸線から離れた容器軸線を中心に回転可能であり、好ましくはディスク形状要素の直径dは容器直径の30~70%の間である、ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記工具は前記容器内に配置され、前記工具の外周面と容器壁との間の最小の間隔は容器直径の10%未満である、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合粉末を乾燥ミキシングし、かつコーティングするための工具に関する。乾燥ミキシング工程において、大体において粉末形状の多くの乾燥材料が互いにミキシングされる。コーティング工程において、粗い粉末粒子は、粗い粒子の表面上で細かい粒子の堆積と同時に、乾燥ミキシングによって包み込まれる。細かい粒子の代わりに、あるいはそれと組み合わせて、液体が粗い粉末に微小量塗布され、粒子表面をできる限り完全にぬらす。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、湿った固体混合物を微細粒化する強力ミキサー用の回転工具を開示し、回転工具は、固定シャフトと、固定シャフトに固定された、直径d、上面、下面及び上面と下面を結合する外周面を備えた、ディスク形状要素とを有し、外周面は、シャフト軸線に対して平行に延びる多数の溝を有し、各溝は外周面から溝底へ延びる2つの溝壁を有し、隣接する2つの溝の間にそれぞれ歯が形成される。
【0003】
外周面の概念は、溝壁と溝底が外周面の一部とはならないことを意味するように解釈される。したがって、外周面は形成されている溝によって中断されている。ディスク形状要素が正確に円形である場合に、外周面はディスク形状要素の外接円上に位置する。
【0004】
この既知の回転工具において、工具の回転方向は定められている。したがって、回転方向につがる溝壁には、硬質金属(炭化物)要素が設けられ、特に径方向外側の端部における、工具の摩損を減少させる。
【0005】
湿った固体混合物を微細粒化する場合に、工具の摩損は、結果の悪化をもたらすため、望ましくないが、硬質金属のない溝壁では摩耗は避けられない。この小さい破片は混合物内へ落下して、必然的に製品にミキシングされるが、それは通常の適用状況では問題とならない。
【0006】
したがって、既知の工具は、粉末混合物の乾燥ミキシングとコーティングのためには、特にそれができる限り鉄なしで行おうとする場合に、原理的に不適である。というのは、構造上、鉄から形成された工具の破片が混合物内へ達することは阻止できないからであり、それは汚染のない乾燥ミキシングの場合には、無条件に回避されなければならない。すなわち、たとえばエネルギ貯蔵器用の陰極材料を形成する場合に、たとえば工具摩損による、混合物の各汚染は回避されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2012/123441(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、粉末混合物の特に汚染の少ない乾燥ミキシング、乾燥ディスパーシング及びコーティングに適した、工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ディスク形状要素は、ベース部分と、ベース部分に固定された少なくとも1つの磨耗要素とを有し、外周面に隣接する各溝壁の少なくとも1つの部分が、少なくとも1つの磨耗要素によって形成されることにより、解決される。
【0010】
したがって、本発明によれば、回転方向に方向づけされた溝壁だけでなく、対向する溝壁及び最良の場合には歯の径方向外側の端部における外周面も、磨耗要素によって覆われる。実験によって、摩損は主として溝壁の、外周面に連続する部分において行われることが、明らかにされている。
【0011】
両方の溝壁上に磨耗要素を使用することによって、磨耗もしくは摩損を著しく減少させることができ、かつ汚染の少ない駆動が可能である。
【0012】
原則的に、全部の歯あるいは特に一群の歯が磨耗要素として形成されることも、可能である。また、各歯に、歯を包む磨耗保護キャップを設けることも、可能である。
【0013】
これら全ての場合において、各溝壁の、外周面に隣接する部分が少なくとも1つの磨耗要素によって形成される。したがって1つの溝内に複数の磨耗要素を設けることができ、それらは少なくとも対向する溝壁の部分を形成し、あるいは歯グループ全体又は個々の歯だけでも、磨耗要素として形成することができる。しかし各場合において、各溝壁の、周壁に隣接する少なくとも1つの部分が耐摩耗性の材料からなることが、保証されている。耐摩耗性の材料とは、ベースボディの材料に比較して増大した耐摩耗性を有する各材料である。
【0014】
本発明に係る形態は、さらに、まだ駆動している間に工具の回転方向を変更することができ、それによってできる限りほこりを巻き上げない駆動を達成することができる、という利点を有している。
【0015】
好ましくは、磨耗要素は硬質金属からなる。しかし、たとえばセラミックのような、他の耐摩耗性の非鉄材料も効果的に使用することができる。
【0016】
他の好ましい実施形態において、2つの溝壁と好ましくは溝底も、少なくとも1つの磨耗要素によって形成される。言い換えると、溝壁の、外周面に隣接する部分だけでなく、すべての溝壁及び好ましくは溝底も、磨耗要素を有し、もしくはそれによって形成される。さらに、2つの溝の間の外周面も、磨耗要素を有し、あるいはそれによって形成することができる。それによって摩損をさらに削減することができる。
【0017】
好ましい実施形態において、磨耗要素は複数の部分から構成される。
【0018】
溝底が、第1の溝壁から第2の溝壁へ延びる溝底長さを有し、それが、溝底から外周面へ延びる溝壁長さの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%であることが、示されている。
【0019】
さらに、溝壁長さの少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%が、少なくとも1つの磨耗要素によって形成される。
【0020】
上で引用した特許文献1に示されるV字形状の溝は、乾燥ミキシングする際に、場合によっては、特に粘着性の原材料の場合に、混合物成分が溝底の近傍に集まって、もはやミキシング工程に関与しなくなる、という欠点を有する。溝底を上述したように形成することによって、特に溝底の領域内で溝がずっと大きく形成されているので、混合物成分が溝底内に固着する危険が著しく減少されている。
【0021】
効率的なミキシングを保証するためには、溝はあまり小さく形成してはならない。
【0022】
他の好ましい実施形態において、溝壁は外周面から溝底へ延びる溝壁長さを有し、その溝壁長さは、ディスク形状要素の直径dの0.05~0.4倍の間、好ましくは0.1~0.3倍の間、もっともよいのは0.15~0.25倍の間である。
【0023】
他の好ましい実施形態において、下面は少なくとも1つの渦流誘発要素を有しており、その渦流誘発要素は下面を越えて突出し、好ましくは複数の渦流誘発要素が設けられており、それらは好ましくは周方向に同じ角度間隔を有している。
【0024】
渦流誘発要素によって、ディスクの下へ達した材料が外側及び上へ向かって押しやられるので、溝内の材料は上方へ流れることができる。したがって、工具がその内部で使用される、容器の底に混合物成分が落ちて、もはやミキシング工程に関与しなくなることが阻止される。渦流誘発要素は、好ましくは、例えば硬質金属又はセラミックのような、耐摩耗性材料からなる。渦流誘発要素は、例えば硬化された鋼のような、硬化された金属からなることもできる。
【0025】
効率的なミキシングをもたらすために、少なくとも4つの渦流誘発要素が設けられることが、示されている。もっともよい場合には、10以上の渦流誘発要素が設けられる。
【0026】
他の好ましい実施形態において、少なくとも1つの渦流誘発要素が2つの位置の間で往復移動することができ、渦流誘発要素は、第1の位置においては第2の位置におけるよりも下面を越えて突出することが少ない。
【0027】
渦流誘発要素は、第2の位置に固定可能であり、それによって工具の駆動中に渦流誘発要素が第1の位置と第2の位置の間で意図せずに移動することがない。例えば、渦流誘発要素は、長さにおいて調節可能であるので、長さの調節によって第1の位置と第2の位置の間で移動が行われる。
【0028】
それに対して代替的に、渦流誘発要素が軸方向にディスク形状要素の下面を越えて突出する長さは、ディスク形状要素にねじ止めされる渦流誘発要素、及び渦流誘発要素とディスク形状要素との間に配置される1つ又は複数のサポートシムによって、変化させることができる。
【0029】
この措置によって、工具がその中に配置される、容器の表面のできるだけ近くに渦流誘発要素が配置されることが、可能である。通常、これは、容器底を付着から解放するために、少なくとも1つの渦流誘発要素と好ましくは2つの渦流誘発要素が、容器底にできる限り密に配置される場合に、望まれる。好ましくは渦流誘発要素の下端縁と容器底の上端縁との間の間隔は、数1/10mm~数mm、特に最良の場合には0.2mm~5mmの間である。残りの渦流誘発要素は、容器底の表面に対してより大きい間隔を有することができる。
【0030】
しかし、工具をしかるべき駆動装置又はセンタリングを有するフランジから分離するために、工具全体を底の方向へ軸方向に移動させることが必要な場合があり得る。これも、本発明に係る措置によって可能である。というのは、その場合に渦流誘発要素が第2の位置から第1の位置へ移動することができ、それによって渦流誘発要素と容器底の間により大きい間隔が残り、工具全体を駆動装置から分離するために軸方向に移動させることができるからである。
【0031】
これは、渦流誘発要素を固定するために、渦流誘発要素がねじ孔を有し、そのねじ孔内へ、ディスク形状要素の貫通孔を通して作用するねじを嵌入することによっても実現することができる。工具を容器底の方向に軸方向に移動させようとする場合に、軸方向にさらに突出している渦流誘発要素をディスク形状要素から外して、径方向に取り出さなければならない。
【0032】
好ましい実施形態においては、渦流誘発要素も磨耗要素から形成される。たとえば磨耗要素は、歯のグループと、一体的に形成された、たとえば溶接された渦流誘発要素とからなることができる。
【0033】
渦流誘発要素が溝底よりも固定シャフトにできるだけ近く配置されており、好ましくは固定シャフトと渦流誘発要素の間の間隔は、溝底と固定シャフトとの間の間隔の、50%未満、好ましくは75%未満、最良の場合には80~98%の間であることが、示されている。
【0034】
本発明は、容器とその中に配置された本発明に係る工具を有する、粉末混合物を乾燥ミキシングし、あるいはコーティングするための装置にも関する。
【0035】
好ましくは、容器が容器軸線を中心に回転可能であり、その容器軸線が固定シャフト軸線から離隔しており、好ましくはディスク形状要素の直径dは、容器直径の30~70%の間である。
【0036】
他の好ましい実施形態において、工具は容器の内部に次のように、すなわち工具の外周面と容器壁の間の最小の間隔が、容器直径の10%未満となるように、位置決めされている。
【0037】
他の利点、特徴及び適用可能性が、好ましい実施形態と付属の図面についての以下の説明を用いて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1の実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の一部を示している。
【
図3】本発明の第2の実施形態の一部を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第3の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1には、本発明の第1の実施形態が斜視図で示されている。
【0040】
本発明に係る工具1は、フランジ3を備えた固定シャフト2を有している。工具1は、フランジ3を介して駆動装置(図示せず)に固定することができ、かつ固定シャフト2の軸線を中心に回転することができる。
【0041】
工具1の、フランジ3とは逆の端部に、ディスク形状要素4が配置されており、そのディスク軸線が固定シャフト2の軸線と一致する。
【0042】
ディスク形状要素は、
図1に見られる上面、
図1には見られない下面及び上面と下面を結合する外周面を有している。ディスク形状要素が多数の歯5を有することが認識され、それらの歯はシャフト軸線に対して平行に延びる溝によって形成される。ディスク形状要素に溝を形成することによって、溝の間に歯5が残る。図に示す実施例において、2つの溝壁は、からなる磨耗要素6によって被覆されている。図示される実施形態において、各溝壁に磨耗要素6の2つの部分が取りつけられている。径方向外側の磨耗要素部分は、溝壁の、外周面に連続する部分に配置されている。溝壁上の他のすべての磨耗要素部分は、好ましくは直接溝底へ向かって、径方向さらに外側に位置決めされた磨耗要素部分に連続している。この実施形態において、溝底7は、磨耗要素によって覆われていない。
【0043】
しかし、摩損を減少させるために、完全な溝壁と溝底、そしてまた2つの溝の間の外周面も、1つの磨耗要素又は複数の磨耗要素によって覆うことも、まったくもって可能である。ミキシング工具の、たとえば固定シャフトとディスク形状要素のような、混合物と接触することがあり得る他のすべての部分は、好ましい実施形態において耐磨耗性の層を塗布することによって磨耗に対して保護される。この層は、たとえば表面硬化によって、あるいはコーティングを用いて形成することができる。コーティングは、たとえばポリウレタンのようなプラスチックから、あるいはまた表面硬化材からなることができる。特にスプレイコーティングが効果的であって、それによってセラミック又は硬質金属がコーティングされる。その場合にスプレイコーティングの層厚は、可能な限り少なくとも0.1mm及び特に好ましくは0.4mmより大きくすべきである。さらに、コーティングの表面粗さが次のように、すなわち製品の厚い層にわずかな粒子層が付着して、それによって工具が摩損とそれに伴って磨耗から保護されるように、選択されていると、効果的である。
【0044】
ディスク形状要素の下面に、渦流誘発要素8、8’が配置されており、それらは下面を越えて突出している。図示される例において、渦流誘発要素8は、高さ変位可能であり、すなわち2つの位置の間で往復移動し、もしくは長さにおいて変位することができるように形成され、渦流誘発要素8は、第1の位置において、第2の位置におけるよりも下面から突出することが少ない。
【0045】
図2は、
図1に示す渦流誘発要素を有するディスク形状要素を拡大して示している。渦流誘発要素8は、取り外し可能なねじ12を介してディスク形状要素4に固定されている。容器底に対する間隔をできるだけ小さく調節し、かつ製造誤差を補償することができるようにするために、渦流誘発要素8とディスク形状要素4の間に1つ又は複数のサポートシム11が取りつけられている。製造誤差が非常に小さい場合には、サポートシムを完全に省くことができる。
【0046】
図3と4には、本発明の他の実施形態が図示されている。
図3は、工具を上から見た斜視図であり、
図4は工具を下から示している。
【0047】
可能である限り、
図1におけるのと同じ構成要素には、同一の参照符号が使用される。
図3と
図4の工具は、一方では、本実施形態において高さ調整できない渦流誘発要素8’によって、及び磨耗要素6’部分の構成によって、
図1の実施形態と異なっている。
【0048】
図3は、本発明の変形例を示しており、磨耗要素6’は、例えば完全にセラミックから形成されている個々の歯を備える。磨耗要素6’は、ベースプレート内のしかるべき切り欠き内に、磨耗要素の端部に設けられた突出部を介して形状結合で懸架され、径方向に移動することはできない。切り欠き内の磨耗要素の垂直移動は、たとえば、ベースプレートの上側と下側における、切り欠きを部分的又は完全に覆う円形又は円環形状のカバープレートによって阻止することができる。磨耗要素の、突出部と対向する端部は、溝壁9と溝壁10を有する歯5である。渦流誘発要素8’は、磨耗要素6’部分に固定することができる。
【0049】
特に
図4において認識されるように、ここでは磨耗要素は多数の磨耗要素6’部分からなり、それらがそれぞれ工具の7つの歯5を形成している。言い換えると、この実施形態においては、溝底7と溝壁9のみが、たとえばからなる磨耗要素によって覆われているだけでなく、完全な歯、すなわち磨耗要素6’全てが、例えば硬質金属から形成されている。
図4においては、実質的にディスク形状要素の下面が認識される。さらに、渦流誘発要素8’は磨耗要素6’部分に固定されているが示されている。
【符号の説明】
【0050】
1 工具
2 固定シャフト
3 フランジ
4 ディスク形状要素
5 歯
6、6’ 磨耗要素
7 溝底
8、8’ 渦流誘発要素
9 溝壁
10 溝壁
11 サポートシム
12 ねじ
【手続補正書】
【提出日】2021-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
したがって、既知の工具は、粉末混合物の乾燥ミキシングとコーティングのためには、特にそれができる限り鉄なしで行おうとする場合に、原理的に不適である。というのは、構造上、鉄から形成された工具の破片が混合物内へ達することは阻止できないからであり、それは汚染のない乾燥ミキシングの場合には、無条件に回避されなければならない。すなわち、たとえばエネルギ貯蔵器用の陰極材料を形成する場合に、たとえば工具摩損による、混合物の各汚染は回避されなければならない。
特許文献2からは、同様に、液体と粉末からなる混合物内の粉末を解凝集する装置が知られている。この装置は、混合容器、混合容器内に配置された撹拌ディスク及び方向変換プレートを有している。ディスクは、多数のまとめられた歯を有しており、それらは径方向かつ取り外し可能にその外周に取りつけられている。複合歯の各々は、基盤からなり、その基盤にフロントプレートが固定されており、そのフロントプレートは、好ましくは、炭化タングステンのようなセラミック材料からなる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2012/123441(A1)号
【特許文献2】米国特許第5409313(A1)号明細書
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明によれば、ディスク形状要素は、ベース部分と、ベース部分に固定された少なくとも1つの磨耗要素とを有し、外周面に隣接する各溝壁の少なくとも1つの部分が、少なくとも1つの磨耗要素によって形成され、下面が少なくとも1つの渦流誘発要素を有し、その渦流誘発要素が下面を越えて突出し、渦流誘発要素が溝底よりも固定シャフトの近くに配置されていることにより、解決される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明によれば、下面は少なくとも1つの渦流誘発要素を有しており、その渦流誘発要素は下面を越えて突出し、好ましくは複数の渦流誘発要素が設けられており、それらは好ましくは周方向に同じ角度間隔を有している。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
渦流誘発要素が溝底よりも固定シャフトの近くに配置されており、好ましくは固定シャフトと渦流誘発要素の間の間隔は、溝底と固定シャフトとの間の間隔の、50%未満、好ましくは75%未満、最良の場合には80~98%の間であることが、示されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定シャフト
(2)と、該固定シャフトに固定され、直径d、上面、下面、前記上面及び下面を結合する外周面を備えた、ディスク形状要素
(4)とを有する、粉末混合物を乾燥ミキシングし、かつコーティングする工具
(1)であって、
ディスク形状要素
(4)がシャフト軸線に対して平行に延びる多数の溝を有し、各溝が、外周面から溝底
(7)へ延びる2つの溝壁
(9、10)を有し、2つの溝壁の間に歯が形成される、工具
(1)において、
ディスク形状要素が、ベース部分と、該ベース部分に固定された少なくとも1つの磨耗要素とを有し、
前記外周面に隣接する各溝壁の少なくとも1つの部分が、前記磨耗要素によって形成され
、前記下面が少なくとも1つの渦流誘発要素(8、8')を有し、該渦流誘発要素が前記下面を越えて突出し、前記渦流誘発要素(8、8')が溝底(7)よりも前記固定シャフト(2)の近くに配置されている、ことを特徴とする工具
(1)。
【請求項2】
前記磨耗要素
(6、6’)は硬質金属又は他の耐摩耗性の非鉄材料からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の工具
(1)。
【請求項3】
2つの溝壁
(9、9’)及び好ましくは溝底
(7)は前記磨耗要素
(6、6’)によって形成される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の工具
(1)。
【請求項4】
前記磨耗要素
(6、6’)は複数の部分から構成されている、ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の工具
(1)。
【請求項5】
前記溝底
(7)は第1の溝壁
(9)から第2の溝壁
(10)へ延びる溝底長さを有し、該溝底長さは、前記溝底
(7)から前記外周面への溝壁長さの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%である、ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の工具
(1)。
【請求項6】
前記溝壁
(9、10)は前記外周面から前記溝底
(7)へ延びる溝壁長さを有し、該溝壁長さは前記直径dの0.05~0.4倍の間、好ましくは0.1~0.3倍の間、最良で0.15~0.25倍の間である、ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の工具
(1)。
【請求項7】
複数の渦流誘発要素
(8、8’)が設けられ、特に好ましくは複数の渦流誘発要素
(8、8’)は周方向に等しい角度間隔を有している、ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の工具
(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの渦流誘発要素
(8、8’)は、2つの位置の間で往復移動可能であり、又は長さにおいて変化することができ、前記渦流誘発要素
(8、8’)は、第2の位置におけるよりも、第1の位置において前記下面を越えて小さく突出する、ことを特徴とする請求項
1に記載の工具
(1)。
【請求項9】
前記渦流誘発要素
(8、8’)は前記磨耗要素
(6、6’)によって形成される、ことを特徴とする請求項
1~8の何れか一項に記載の工具
(1)。
【請求項10】
前記固定シャフト
(2)と前記渦流誘発要素
(8、8’)との間の間隔は、前記溝底
(7)と前記固定シャフト
(2)との間の間隔の50%未満、好ましくは75%未満、最良で80~98%の間である、ことを特徴とする請求項
1~9の何れか一項に記載の工具
(1)。
【請求項11】
容器と、その中に配置された、請求項1~10の何れか一項に記載の工具
(1)とを有する粉末混合物を乾燥ミキシングし、かつコーティングする装置。
【請求項12】
前記容器は固定シャフト軸線から離れた容器軸線を中心に回転可能であり、好ましくはディスク形状要素
(4)の直径dは容器直径の30~70%の間である、ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記工具
(1)は前記容器内に配置され、前記工具
(1)の外周面と容器壁との間の最小の間隔は容器直径の10%未満である、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
渦流誘発要素(8、8')の下端縁と容器底の上端縁との間の間隔が、数1/10mm~数mm、好ましくは0.2mm~5mmの間である、ことを特徴とする請求項11~13の何れか一項に記載の装置。
【国際調査報告】