(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】自動検査装置のプローブカードパッド配置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20230220BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R1/073 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532819
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 US2020064147
(87)【国際公開番号】W WO2021133557
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502391840
【氏名又は名称】テラダイン、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ブレヒト、 ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】レッドフォード、 スティーブ
【テーマコード(参考)】
2G011
4M106
【Fターム(参考)】
2G011AA02
2G011AA16
2G011AE03
2G011AF07
4M106AA01
4M106DD03
4M106DD10
4M106DD13
(57)【要約】
自動検査装置(ATE)のプローブカードと、電子デバイスを検査するためのその動作方法。プローブカードは、回路基板上のパッドにプローブピンが接触する垂直型プローブカードアセンブリの一部であり得る。プローブカードは、製作公差又は熱膨張率のミスマッチによる対応するプローブピンとの不整合を補償するパッド配置を有し、それによって広い検査温度範囲にわたり、ATEの信頼性の高い動作が可能となる。パッドアレイは複数の長尺状パッドを有し得て、各々が個別に設計された大きさ、傾斜角、及び/又は中心位置を有し、各パッドの特性は各パッドとパッドアレイの重心との間の距離に依存し、それによってプローブピンとパッドとの位置誤差を軽減できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査デバイス(DUT)を検査するための自動検査装置であって、
前記DUTと接触するように構成された複数のプローブピンと、
プローブカードと、
前記プローブカードの表面上に配置され、前記複数のプローブピンと接触するように構成された複数のパッドと
を含み、
前記複数のパッドは、第一の方向に沿って配置されて各々が前記第一の方向に関してある傾斜角の付いた長軸を有する複数の長尺状パッドの第一の列を含み、
前記第一の列内の第一の長尺状パッドの第一の傾斜角は、前記第一の列内の第二の長尺状パッドの第二の傾斜角とは異なる、自動検査装置。
【請求項2】
前記複数のパッドは中心を有するアレイに配置され、
前記長尺状パッドの各々の前記長軸は前記アレイの前記中心に向かって傾斜する、請求項1に記載の自動検査装置。
【請求項3】
前記長尺状パッドの各々は、ある幅を有する形状であり、
前記幅は、前記アレイの前記中心からのそれぞれの長尺状パッドの距離に基づいて変化する、請求項2に記載の自動検査装置。
【請求項4】
前記長尺状パッドの各々は、それぞれの前記長尺状のパッドの前記長軸に沿って第一の長さの線形の縁辺を有する形状であり、
前記第一の長さは前記アレイの前記中心からのそれぞれの長尺状パッドの距離に比例する、請求項2に記載の自動検査装置。
【請求項5】
前記プローブカードは第一の熱膨張率(CTE)を有する回路基板を含み、
前記複数のパッドは前記回路基板の表面上に配置され、
前記複数のプローブピンは第二の熱膨張率(CTE)を有するガイドプレート内に配置され、
前記長尺状パッドは、前記第一の長さが前記第一のCTE及び第二のCTE間の差に比例する形状である、請求項4に記載の自動検査装置。
【請求項6】
前記ガイドプレートは、
前記DUTが40℃以下の第一の温度であるときに、前記複数のプローブピンの第一のプローブピンを前記長尺状パッドの第一の列の第一の長尺状パッドと第一の位置において接触させ、
前記DUTが少なくとも55℃の第二の温度であるときに、前記第一のプローブピンを前記第一の長尺状パッドと第二の位置で接触させるように構成され、
前記第一の長尺状パッドの中心は、前記第一の位置と前記第二の位置との間に存在する、請求項5に記載の自動検査装置。
【請求項7】
前記長軸上パッドの各々はさらに、前記第一の長さを有して、前記長軸に平行な2つの線形縁辺を有する形状である、請求項4に記載の自動検査装置。
【請求項8】
前記第一の列の長尺状パッドの傾斜角は、前記第一の列の中心から前記第一の列の端へと単調に変化する、請求項1に記載の自動検査装置。
【請求項9】
前記第一の列内の前記第一の方向に沿って隣接する長尺状パッド間の間隔は、前記第一の列の中央から前記第一の列の外側部分へと減少する、請求項1に記載の自動検査装置。
【請求項10】
前記第一の列の前記中央の前記間隔は少なくとも70μmであり、
前記第一の列の前記外側部分の前記間隔は70μm未満である、請求項9に記載の自動検査装置。
【請求項11】
前記回路基板は多層有機基板である、請求項1に記載の自動検査装置。
【請求項12】
前記プローブピンは、前記複数のパッドがその上に配置される前記プローブカードの前記表面から垂直に延びる針を含む、請求項1に記載の自動検査装置。
【請求項13】
自動検査装置で被検査デバイス(DUT)を検査する方法であって、
前記DUTを複数のプローブピンと接触させることと、
前記複数のプローブピンをプローブカードと複数の接触点で接触させることであって、前記プローブカードは、プローブカードの表面上に配置されたパッドのアレイを含み、前記複数の接触点の接触点は前記アレイのそれぞれのパッド上にあり、前記パッドのアレイは重心を含む、接触させることと、
前記DUTの検査温度を変化させて、前記アレイの前記重心に関する前記複数の接触点の位置がそれぞれの経路をたどるようにすることと、
を含み、
前記アレイの外側部分にある複数のパッドのうちのパッドが、前記アレイの中央部分にある複数のパッドとは異なる形状とされ、
それぞれの経路上の前記接触点は、前記パッドの縁辺から最小の間隔を保持する、方法。
【請求項14】
前記複数のパッドの各パッドは、前記それぞれの経路に平行な第一の長さを有する線形縁辺を有する形状とされ、
前記第一の長さは、前記パッドのアレイの前記重心からの前記それぞれのパッドの距離に比例する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記DUTの前記検査温度を40℃以下の第一の温度を有するように変化させて、前記複数の接触点が前記アレイのそれぞれのパッド上の第一の位置を有するようにすることと、
前記DUTの前記検査温度を少なくとも60℃の第二の温度を有するように変化させて、前記接触点が前記アレイのそれぞれのパッド上の第二の位置を有するようにすることと
をさらに含み、
前記パッドのアレイの各パッドは、前記パッドの重心が前記パッド上の前記第一の位置と前記第二の位置との間に存在する形状とされる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記パッドのアレイは、第一の方向に沿った列に配置される複数の長尺状パッドを含み、
各長尺状パッドは、前記第一の方向に関して傾斜角を有する長軸を有し、
前記複数の長尺状パッドの第一の長尺状パッドの第一の傾斜角は、前記複数の長尺状パッドの第二の長尺状パッドの第二の傾斜角とは異なる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記列内の前記第一の方向に沿って隣接する長尺状パッド間の間隔は、前記列の中央から前記列の外側部分へと減少する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
回路基板であって、
表面上に設置され、複数の空間パラメータに従って不均一アレイに配置される複数の長尺状パッドを含み、
各長尺状パッドは、前記不均一アレイの中心から距離を有し、
前記複数の空間パラメータの各々は、第一の方向に沿って延びる周期的な列を有する均一アレイの対応する空間パラメータに関して非ゼロオフセットを有し、
前記不均一アレイの前記複数の空間パラメータの前記非ゼロオフセットは前記中心からの距離に基づいて変化する、回路基板。
【請求項19】
前記複数の空間パラメータは前記第一の方向に関する傾斜角である、請求項18に記載の回路基板。
【請求項20】
前記複数の空間パラメータは前記長尺状パッドの幅である、請求項18に記載の回路基板。
【請求項21】
各長尺状パッドは、前記中心に向かって傾斜する長軸を有し、
各長尺状パッドは、前記長軸に沿って第一の長さを有する線形の縁辺を有する形状であり、
前記第一の長さは、前記中心からのそれぞれの長尺状パッドの距離に比例する、請求項18に記載の回路基板。
【請求項22】
前記複数の空間パラメータは前記第一の方向に沿ったパッド中心位置のシフトである、請求項18に記載の回路基板。
【請求項23】
前記複数の空間パラメータは前記第一の方向とは異なる第二の方向に沿ったパッド中心位置のシフトである、請求項22に記載の回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年12月24日に出願された“PROBE CARD PAD GEOMETRY IN AUTOMATED TEST EQUIPMENT”と題する米国特許出願第16/726,640号の米国特許法第120条に基づく、及びその継続出願としての優先権の利益を主張するものであり、同出願の全体を参照によって本願に援用する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、回路、及びプリント回路基板(PCB: printed circuit board)アセンブリ等の電子コンポーネントは、その製造中及び製造後に、自動検査装置(ATE: automated test eqipment)等の検査システムを使って何度も検査される。これらの検査を行うために、ATEは、テスト信号を発生させ、又は測定する機器を含み得て、それによって特定の被検査デバイス(DUT: device-under-teset)について幅広い動作条件を検査できる。機器は例えば、半導体デバイスに印加されるあるパターンのデジタル又はアナログ信号を発生させ得て、半導体デバイスからの応答としてのデジタル又はアナログ信号を測定し得る。
【0003】
幾つかの例において、半導体デバイスはウェハレベルで検査される。ウェハレベルでの検査にはいくつかの利点があり、これにはデバイスを検査し、KGD(known good die)として検証してから、半導体ダイとしてダイシングし、パッケージすることが含まれる。ウェハは多くのデバイスを含み得て、他のウェハを装填しなおすことなく多数のデバイスを相互に近接させて検査でき、それによって検査時間を短縮し、製造スループットを高めることができる。
【0004】
各被検査デバイスは、パッド又はバンプ等の露出した接続構造を含み、これらがテストポイントとしての役割を果たし得て、そこでテスト信号がウェハ上のDUTに印加されるか、又は測定され得る。ATEは、複数のプローブピンのアレイを含むプローブカードアセンブリを使ってデバイスとインタフェースする。各プローブピンは、自由端に微小なプローブ針を有し、これはDUTのテストポイントとの電気的接触を確立するために使用され、プローブピンの反対の端はプリント回路基板上のパッドに電気的に接続され、これはテスタの一部であっても、それ自体がテスタに電気的に接続されるプローブカードアセンブリの一部であってもよい。プローブカードアセンブリは、縦方向に積み上げられた複数の回路基板を含んでいることがある。プローブカードアセンブリ内の機械的支持体がプローブピンを保持し、ピンをプローブカード内のプリント回路基板に押し付けて基板とピンを接触させる。ウェハとの電気的接触を確立するために、ウェハプローバがウェハをプローブ針に押し付け、針の先端をデバイス上のテストポイントと物理的且つ電気的に接触させる。プローブ針がウェハ上のテストポイントとテスタに電気的に連結されたパッドの両方と接触したところで、検査プロセスを開始できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願では、自動検査装置(ATE)のプローブカードパッド配置と電子デバイスを検査するためのその動作方法が開示される。本発明者らは、垂直型プローブカードにおいて、回路基板上の、プローブピンに面するパッドは、製作公差や熱膨張率のミスマッチによって、対応するプローブピンと不整合となり得ることに気付き、そのように認識した。本願の態様は、複数の長尺状のパッドを用いたパッドアレイを提供するものであり、その各々はパッドとパッドアレイの重心との間の距離に応じて個別に設計された大きさ、傾斜角、及び/又は中心位置を有し、それによってプローブピンとパッドの位置誤差を軽減できる。
【0006】
幾つかの実施形態によれば、被検査デバイス(DUT)を検査するための自動検査装置(ATE)が提供される。ATEは、DUTと接触するように構成された複数のプローブピンと、プローブカードと、プローブカードの表面上に配置され、複数のプローブピンと接触するように構成された複数のパッドと、を含む。複数のパッドは、第一の方向に沿って配置された長尺状パッドの第一の列を含む。各長尺状パッドは、第一の方向に関してある傾斜角の付いた長軸を有する。第一の列内の第一の長尺状パッドの第一の傾斜角は第一の列内の第二の長尺状パッドの第二の傾斜角とは異なる。
【0007】
幾つかの実施形態によれば、自動検査装置(ATE)で被検査デバイス(DUT)を検査する方法が提供される。方法は、DUTを複数のプローブピンと接触させ、複数のプローブピンをプローブカードと複数の接触点で接触させることを含む。プローブカードは、プローブカードの表面上に配置されたパッドのアレイを含み、複数の接触点の接触点はアレイのそれぞれのパッド上にある。パッドのアレイは重心を含む。方法は、DUTの検査温度を変化させて、アレイの重心に関する複数の接触点の位置がそれぞれの経路をたどるようにすることをさらに含む。アレイの外側部分にある複数のパッドのパッドは、アレイの中央部分のパッドとは異なる形状であり、それぞれの経路上の接触点はパッドの縁辺から最小の間隔を保持する。
【0008】
幾つかの実施形態によれば、回路基板が提供される。回路基板は、表面上に設置され、複数の空間パラメータに従って不均一アレイに配置される複数の長尺状パッドを含む。各長尺状パッドは、不均一アレイの中心からの距離を有する。複数の空間パラメータの各々は、第一の方向に沿って延びる周期的な列を有する均一アレイの対応する空間パラメータに関して非ゼロオフセットを有し、不均一アレイの複数の空間パラメータの非ゼロオフセットは中心からの距離に基づいて変化する。
【0009】
以上は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の非限定的な概要である。
【0010】
各種の態様と実施形態を、下記のような図面を参照しながら説明する。図面は必ずしも正確な縮尺によらないと理解すべきである。図中、異なる図面に描かれている同じ、又はほぼ同じコンポーネントの各々は、同様の番号で表されている。明瞭を期すために付記すれば、全てのコンポーネントの参照符号が全ての図中に示されているとはかぎらない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願の態様による例示的な検査システムのハイレベル概略図である。
【
図2】幾つかの実施形態によるプローブカードアセンブリの概略図である。
【
図3a-3b】本願のある態様による、製作公差により生じる例示的なプローブカードのパッド位置誤差を示す概略図である。
【
図4a-4b】本願のある態様による、例示的なプローブカード内の温度変化により生じるパッド位置誤差を示す概略図である。
【
図4c】本願のある態様による、温度変化からのパッド位置誤差を示す上面図である。
【
図5】幾つかの実施形態による、プローブカードの回路基板の表面上で使用するための例示的なパッドアレイ設計の概略上面図である。
【
図6A-6C】幾つかの実施形態による、プローブカードで使用され得る多角形の長尺状パッドの例を示す概略図である。
【
図7】幾つかの実施形態による、プローブカードで使用され得るレーストラック形状の例示的な長尺状パッドを示す略図である。
【
図8】幾つかの実施形態による、プローブカード上のパッドアレイの一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
垂直型プローブカードアセンブリ等の特定のプローブカードアセンブリでは、プローブピンのアレイは各々、ウェハの表面に直角に、すなわち「垂直に」配置され、プローブピンの自由端はDUTを検査するためにウェハ上のDUT上のテストポイントの対応するアレイと接触するために使用される。DUTは、テストポイントとしての役割を果たす露出したパッド又は半田バンプを有する半導体デバイス又は半導体パッケージであり得る。このような垂直型プローブカードアセンブリのプローブピンは、1つ又は複数のガイドプレート内に機械的に保持され、DUT上のテストポイントと同じピッチで、検査中に各プローブピンの自由端のプローブ針がそれに対応するテストポイント上に載るように配置される。プローブピンの反対の端は各々、プローブカードアセンブリ内のプローブカードの回路基板の表面上の、それに対応するパッドと接触する。パッドはDUT上のテストポイントをテスタの残りの部分の回路構成とプローブピンを介して電気的にインタフェースさせる役割を果たす。
【0013】
回路基板上のパッドアレイ、プローブピンのアレイ、及びDUT上のテストポイントのアレイは一般に1対1で対応し、相互に整列するように設計され得るが、本発明者らは、回路基板上のパッドとプローブピンとの間で、プローブピンが回路基板と接触した状態になったときに幾つかのプローブピンがパッドから完全にずれるような程度まで不整合となる事態を生じさせ得るシナリオに気付き、そのように認識した。本願の態様は、プローブピンとパッドの不整合のリスクに対応するプローブカードパッドアレイの設計に関する。
【0014】
例えば、第一のシナリオでは、製作公差による有限誤差はプローブカード上のパッドが意図されたそれらの位置からずれる原因となり得る。誤差は、製造中の回路基板の表面の伸び縮みに起因し得て、例えば表面上のパッド位置がパッド位置誤差によってその指定位置からシフトする。伸び縮みは典型的に回路基板の表面に沿って二軸的であり、パッド位置誤差は検査対象のDUT上のテストポイントアレイの中心に対応するパッドアレイの中心からの距離に比例して増大する。したがって、パッドアレイの中心に近いパッドは対応するプローブピンと整列し、うまく接触し得るが、中心から遠いパッドほど、そのパッド位置誤差がますます大きくなり得る。半導体ダイはより高集積化されつつあり、その表面上のコンポーネント密度が高いため、1つの半導体ダイ上のテストポイントの数は数百、さらには数千に到達する可能性があり、テストポイント間の間隔は縮小の一途をたどっている。それに応じて、プローブカード上のパッドの大きさと間隔は、高集積化半導体ダイの試験に対応できるように微細化を続けている。パッドとプローブピンとの間の誤差がパッドサイズと同程度であると、それに対応するプローブピンはパッドと整合しなくなる傾向にあり、パッドと接触しないか、又は誤ったパッドと接触することになる。テストポイント間のピッチが極小な高密度DUTsを検査するように設計されたプローブカードは、製造によるこのような不整合の不良により影響を特に受けやすく、これは、パッドが相応に小さいビッチ及び小さいパッドサイズで設計されているからである。
【0015】
例えば、第二のシナリオでは、テスタを動作させてDUTを検査する際、DUTの温度変化はプローブカード内のパッド位置がプローブカード内の回路基板の表面に沿ってシフトする原因となり得る。DUTの動作状態と検査環境の温度に応じて、プローブカードコンポーネントの温度は気温程度及び40℃未満から55℃より高温へと変化する可能性がある。温度が上昇すると、コンポーネントはコンポーネントの熱膨張率(CTE:coefficient of thermal expansion)と温度変化量の積に比例した量だけ膨張する。プローブカードの場合、典型的に回路基板のCTEとプローブピンを支持するガイドプレートのCTEとの間のミスマッチがある。その結果、回路基板の表面上のパッドは、熱膨張のミスマッチによって対応するプローブに関してその位置がシフトする。特に、本発明者らは、CTEのミスマッチによる相対的なパッド位置シフトは、パッドアレイの中心からの距離に比例して増大することに気付き、そのように認識した。
【0016】
本願の態様は、各々がパッド中心位置、長尺部の傾斜角、幅、又はそれらの組合せ等の個別に設計された空間パラメータを有する複数の長尺状パッドによる新規なパッドアレイ設計に関する。空間パラメータの構成はパッド間で異なるため、本明細書に記載のパッドアレイ設計は不均一アレイと呼ばれ得る。幾つかの実施形態において、不均一パッドアレイ設計は、製作公差及び/又はCTEミスマッチから生じるプローブピンとパッドとの不整合の問題を軽減させることによって、同じ形状、大きさ、向き、及び間隔のパッドを有する従来のパッドアレイ(均一アレイと呼ばれる)と比べ、検査の信頼性を向上できる。
【0017】
幾つかの実施形態において、各パッドは長尺状の形状を有し、長軸がパッドアレイの中心に向かって延びるように傾いている。本発明者らは、プローブピンとそれに対応するパッドとの間の温度変化による相対移動は一般に、パッドアレイの中心から放射状の方向に沿っていることに気付き、そのように認識した。その結果、パッドアレイの中心からの各パッドの相対的方向にしたがって傾斜する長尺状のパッド形状により、熱膨張又は熱収縮中のプローブピンの移動経路に沿ったパッド上のプローブピンと電気的に接触するための導電着地面積が、長尺状ではないパッドと比較して、より大きくなり得る。
【0018】
幾つかの実施形態において、長尺状のパッドの幅は、アレイの中心からのパッドの距離に基づいて、例えばその距離に比例して変更され、CTEミスマッチ及び温度変化による、並びに製作公差による比較的より大きいパッド位置のシフトに対応するために、中心から遠くにあるパッドにはより大きいパッドが提供される。
【0019】
それに加えて、幾つかの実施形態において、パッドの中心位置もまた変更される。代替的又は追加的に、パッド間間隔が変更される。例えば、プローブピンの相対パッド位置が低温箇所と高温箇所とでシフトする場合、パッドの中心は低温及び高温箇所間のある位置にあり得る。低温及び高温位置は、プローブカードの製造前に、ATEの所期の用途及びプローブカード内のコンポーネントのCTEに基づいて特定され得る。
【0020】
上述の態様と実施形態のほか、その他の態様及び実施形態を以下に説明する。これらの態様及び/又は実施形態は、本願がこの点で限定されないため、個別にも、全て一緒にも、又は2つ以上の何れの組合せでも使用され得る。
【0021】
図1は、本願の態様による例示的な検査システムのハイレベル概略図である。
図1が示すテストシステム10は、テスタ16を制御して被検査デバイス(DUT)22に対する検査を本願において開示される方法にしたがって実行する検査コンピュータ12を含む。幾つかのシナリオでは、テスタ16は、当業界で知られている技術を使って構築される自動検査装置(ATE)であり得る。DUT 30は、検査に適した何れのデバイスでもあり得る。例えば、DUT 30はウェハ20の表面上に配置された半導体ダイであり得る。幾つかの実施形態において、DUT 30は、ダイシング前の半導体ダイと、ATE 16による検査のために同じくウェハ20上にある複数の同様のダイであり得る。ATE 16は、DUT 20のためのテスト信号14を発生させ、及び/又は測定するための回路構成を含み得る。ATE 16は、異なる種類のアナログ又はデジタル信号を発生させ、又は測定するように構成された複数の機器を含み得る。
【0022】
図1は自動検査システムの、ごく簡略化された表現であると理解すべきである。例えば、図示されていないが、検査システム10はATE 16内の機器の動作を制御する制御回路構成を含み得る。それに加えて、検査システム10は、測定値を処理して、DUT 30が正しく動作しているか否かを特定する処理回路構成を含み得る。プローブカードは、DUT上のテストポイントをATE 16内の機器の、それに対応するテストポイントに接続するためにATE 16内に提供され得る。また、
図1は、ATE 16とDUT 30との間の1つの信号経路を示している。当業者であれば、半導体ウェハ上のデバイス等のDUTの検査には数百乃至数千のテスト信号を発生させ、測定する必要があることがわかるであろう。したがって、本明細書に記載の回路構成は、ATE 16内で何度も複製され、DUT 20を検査するための同期テスト信号を提供するように制御され得る。さらに、
図1は1つのDUT 20が検査されている場合を示しているが、検査システム10は複数のデバイスを検査するように構成され得る。
【0023】
テスト信号を発生させ、又は測定する機器又はその他のコンポーネントの数及び被検査デバイスの数に関係なく、検査システム10は、DUT 30とATE 16内の機器との間で信号をルーティングするための信号送達コンポーネントを含み得る。
【0024】
さらに、図示されているその他のコンポーネントは限定的ではなく例示的であると理解すべきである。例えば、
図1では検査コンピュータ12はパーソナルコンピュータ(PC)として示されているが、検査コンピュータを実装するための何れの適当なコンピューティングデバイスでも使用され得ると理解すべきであり、これは例えばモバイルデバイス又はコンピュータワークステーションである。検査コンピュータ12はネットワークに接続されて、ネットワーク上でリソースにアクセスし、及び/又はネットワークに接続された1つ又は複数の他のコンピュータと通信でき得る。
【0025】
図2は、幾つかの実施形態によるプローブカードアセンブリ100の概略図である。プローブカードアセンブリ100は、
図1に示されるようなATE 16で、ATE内の機器をDTU 30とインタフェースさせるために使用されるプローブカードアセンブリであり得る。
【0026】
図2に示されるように、プローブカードアセンブリ100は第一の回路基板200と、第二の回路基板300と、内部に配置された複数のプローブピン410を有するガイドプレート400と、を含む。第一の回路基板200は第二の回路基板300の上に垂直方向に積み重ねられ、そこに例えば半田バンプ210のアレイを介して電気的に接続されるが、2つの回路基板間では他の何れの適当な接続も行われうる。2つの回路基板200、300は、プローブカードアセンブリ100内のプローブカードの一部であり得る。第二の回路基板300は、DUT 30に面する表面320上に配置された複数のパッド310を有する。パッド310は、プローブピン410の上端410aに電気的に接続され、各プローブピン410は、DUT 30上の、それに対応するテストポイント110と接触するように配置付けられる自由端410bにプローブ針を有する。プローブカードアセンブリ100は、テストポイント110の特定の配置を有する特定のDUTを検査するように構成され得て、異なるDUTsには異なるプローブカードが使用され得る。プローブカードアセンブリ100は、ATE 10の残りの部分に取外し可能に取り付けられ得る。取付機構は当業界で知られており、簡潔にするために図示されていない。
【0027】
DUT 30は、
図1の例に示されているウェハ20上のDUTsのアレイのうちの1つであり得て、DUTsの1つ又は複数は製造中に品質保証のために同時に検査され得る。DUT 30は半導体ダイであり得、これは絶縁表面32から露出したテストポイント110のアレイを有し、それらがDUT 30内の、絶縁表面の下に配置された相互接続手段及び半導体コンポーネント(図示せず)に接続される。各テストポイント110は金属パッド、金属トレースの一部、半田バンプ、又は当業界で知られている何れの導電構造としても実装され得る。DUT30は、多くのテストポイント、例えば、絶縁表面32上に何れかの適当な種類のグリッドアレイに配置された少なくとも500、少なくとも1,000、又は500~5,000のテストポイントを有し得る。グリッドアレイの例には、同心円アレイ、六方最密充填アレイ、直交アレイ、又はそれらの混合が含まれる。各テストポイントはまた、何れの適当な形状も有し得て、これには長方形、円形、楕円形が含まれるがこれらに限定されない。テストポイントアレイは重心112を有し、これは絶縁表面32に対して法線方向の垂直方向(V)から見たテストポイント110のアレイの幾何学中心に対応する。
【0028】
プローブピン410は垂直型プローブピン設計であり得、各プローブピンは使用時に検査対象のウェハに実質的に垂直の向きとなる。各プローブピン410は、何れの適当な断面形状を有する金属ワイヤからも形成され得る。
図2は、プローブピンが直線状であるように示しているが、各プローブピン410は、少なくとも、プローブピンがパッド310とDUT上のテストポイント110との間で圧縮されたときにコンプライアントばねを形成する区間において、わずかな曲率を有し得ると理解すべきである。幾つかの実施形態において、わずかに湾曲したプローブピンはコブラピンと呼ばれ得る。
【0029】
ガイドプレート400は複数のガイド穴を有し、その中に個々のプローブピン410が嵌まる。ガイド穴はDUT上の特定のテストポイントアレイ110と整合するアレイ状に配置され、それによってプローブピンアレイの中心412がテストポイントアレイの中心112と垂直方向に整合すると、プローブピン410のプローブ針410bは検査中にそれぞれの対応するテストポイント110の上に載り、それと電気接触をなすことができる。
【0030】
第二の回路基板300は誘電体を含み得て、パッド310のアレイが誘電体の、DUTに面する表面320上に配置される。第二の回路基板300は、プリント回路基板(PCB)又はプリント配線板であり得る。幾つかの実施形態において、第二の回路基板300は、ポリマ等の有機材料の複数の層で形成され得て、多層有機基板(MLO)と呼ばれ得る。
【0031】
パッド310は、金属等の導電材料の1つ又は複数の層から形成され、プローブピン410のアレイ及びテストポイント110と概して整列するアレイ状に配置され、パッドの中心312がプローブピンアレイの中心412と整合すると、各上端410aは対応するパッド310と接触する。パッドアレイ310の中心312はアレイ内のパッドの重心312として計算され得る。パッドのアレイが均一ではない実施形態において、中心は、一方がパッドの列と整合し得る2つの直交方向の各々におけるパッドの分布の中間点として計算され得る。各パッド310は、
図4~7に関して以下でより詳しく説明する形状及び空間配置であり得る。
【0032】
プローブカードアセンブリ100の製造中、ガイドプレート400は第二の回路基板300に1つ又は複数の機械的ファスナ(図示せず)を介して、パッド310のアレイとプローブピン410のアレイが接触するように機械的に固定され得る。パッド310及びプローブピン410の間隔及び配置は同じとし得るが、現実にはコンポーネントの製造中の公差の結果、各パッドの中心と、パッドと接触するプローブピンの上端との間の位置誤差が生じ得る。その結果、プローブピンは対応するパッドと、その対応するパッドの中心に関して異なる位置において接触し得る。
【0033】
図3a及び
図3bは、製作公差によりもたらされる例示的なプローブカードのパッド位置誤差を説明する概略図である。
図3aは、製作公差によるパッド位置誤差のない例示的な第二の回路基板300を示す。
図3aに示される例においては、パッドアレイ310の重心312がプローブピン410の中心412と整合すると、各プローブピン410は対応するパッドと、パッドのほぼ中心における接触点314において接触する。
図3bは、製造中にパッド位置誤差がもたらされた第二の回路基板300を示す。
図3bにおいて、第二の回路基板は、表面320に平行なX-Y平面に沿った二軸膨張を有しており、その結果、310のパッド位置はパッドアレイの重心312から、重心312と反対に向かう方向Rに沿って量δ
abだけ外側にシフトする。それに対応して、プローブピン410がパッド310と接触する接触点314’はそのパッド中心から離れて、パッドの境界に近付くようにδ
abだけシフトする。
【0034】
図3bから、δ
abがパッド310の幅のほぼ半分より大きい場合、プローブピン410のパッド位置がパッドの導電表面の外側に出て、それゆえ、プローブピンは対応するパッドと電気的に接触できないことがわかるはずである。特に、δ
abはパッド間で異なり得て、特定のパッド310について、パッドアレイの重心312からのパッドの距離と共に増加する。幾つかの構成技術の場合、この増加は重心312からの距離にほぼ比例して変化し得る。
図3bは、第二の回路基板300が
図3aにおける製作公差のない第二の回路基板300と比較して膨張している例を示しているが、本願の態様は製造中の回路基板の収縮にも適用され得て、δ
abはパッドアレイの中心から離れる、又はそこに向かうパッド位置シフトの絶対量を表し得ると理解すべきである。また、ガイドプレート400及びプローブピン410にもある程度同様の製作公差が生じ得て、δ
abは複数のコンポーネントの製作公差に基づく各パッドの相対的パッド位置誤差を表し得ることも理解すべきである。
【0035】
製造によりもたらされる公差は、プローブカードが製造された後は比較的変化しないが、プローブカードの動作中の温度変化等のその他の要因が、パッドとプローブピンとの間の相対移動をさらにもたらし得る。CTEsが異なる2つの材料の界面においては温度変化が変化すると機械的応力が生じるため、クラックを防止するために、半導体パッケージングにおいてCTEの差を軽減又は排除することが望ましい。プローブカードでウェハを検査する場合、プローブピンを保持するガイドプレートが、第二の回路基板が形成される誘電回路基板材料のそれより低いウェハのCTEに近いCTEを有する材料で製作されることがある。例えば、ガイドプレートは、シリコンウェハのそれに近いCTEを有するセラミック又はセラミック合成材料で形成され得る。本明細書において使用されるかぎり、CTEはウェハの表面及び第二の回路基板の表面に平行なX-Y平面内の線形膨張率を指す。幾つかの実施形態において、ガイドプレートのCTEは15ppm/K未満、10ppm/K未満、5ppm/K未満、又は2~5ppm/Kであり得、第二の回路基板のCTEは15ppm/K超、20ppm/K超、30ppm/K超、例えば15~50ppm/Kであり得る。ガイドプレートと第二のプリント回路基板の製作に使用される具体的な材料に関係なく、CTEの差は10ppmK以上のオーダであり得、これは、第二のプリント回路基板の寸法が、温度が変化するとガイドプレートより大きく変化することを意味する。その結果、パッドとピンの相対位置は温度の変化に伴って変化し、それによりプローブ位置誤差はさらに悪化する可能性がある。
【0036】
DUTの検査時に、ウェハは、チップの動作負荷が小さいうちは気温に近く、25℃~40℃未満の低温T1を有し得て、それがより高い負荷で55℃超、80℃超、又は100℃超の高温T2へと上昇する。代替的又追加的に、検査システムの環境の温度はT1~T2に変化し得る。プローブカードアセンブリがDUT上のテストポイントに押し付けられてそれと接触すると、一般に、プローブカードはウェハ及び検査システムの環境と同じ低温又は高温を共有する。それゆえ、パッド310が配置される第二の回路基板とプローブピンのためのガイドプレートとの間のCTEの差により、T1からT2に変化すると、各プローブピンのその対応するパッド上の各プローブピンとの接触点位置が相対的にシフトすることになる。
【0037】
図4a、
図4b、及び
図4cは、温度変化によりもたらされる例示的なプローブカードのパッド位置誤差を説明する概略図である。
図4aは、温度T
1の例示的な第二の回路基板300を示しており、右側に示されるパッド310に関して、プローブピン410はパッドと、パッド310の左の境界からd
T1である接触点414で接触する。
【0038】
図4bは、温度T
2における
図4aの第二の回路基板300を示しており、第二の回路基板の下のパッド310は、第二の回路基板300と、プローブピン410を支持するガイドプレート400(
図4bでは簡略化するために図示せず)との間のCTEのミスマッチにより、プローブピン410に関して位置がシフトしている。
図4bに示される例では、T
2での接触点414’はパッドアレイの重心312と反対の方向Rに沿ってシフトし、パッド310の左側の境界からの距離はd
T2である。
【0039】
図4cは、温度変化によるパッド位置誤差を説明する上面図である。
図4cは、接触点414が方向Rに沿ってd
CTEの量だけシフトすることを示している。d
CTEはパッドにより異なり得て、パッドの中心とパッドアレイの中心312との間の距離Dに概して比例して変化する。例えば、d
CTEはD・|(CTE
1-CTE
2)・(T
1-T
2)|と等しく、CTE
1とCTE
2はそれぞれ第二の回路基板とガイドプレートのCTEである。
【0040】
本願の態様は、CTEのミスマッチに関係するパッド位置誤差に対応するような形状及び位置のパッドを提供することに関する。幾つかの実施形態において、パッドはパッドアレイの中心に向かって長尺状であり得る。本発明者らは、パッドをより長くすることにより、第二の回路基板300とガイドプレート400との間のCTEの差の結果としてのプローブピンとパッドの接触点のシフトによりよく対応し得て、プローブピンがパッドの導電表面と接触できなくなる可能性が低減することに気付き、そのように認識した。
【0041】
図5は、幾つかの実施形態による、プローブカード内の回路基板の表面上で使用される例示的なパッドアレイ設計の概略上面図である。
図5は、X方向に横並びに配置されるパッドアレイ500の2つの列501、502を示す。アレイは2つの列501、502より多くの列を有するが、説明を単純にするために2つのみが示されている。各列は、Y方向に配置された複数の長尺状パッドを含む。第一の列501には、6つの長尺状パッド510、520、530、540、550、560が示されており、各長尺状パッドは均一パッドアレイ設計5310内の対応するパッドからオフセットされた1つ又は複数の空間パラメータを有する。
【0042】
例えば、
図5に示されるように、均一なパッドアレイ5310は大きさ及びX-Y軸に沿った向きが同じ正方形のパッドの周期的な列を含み得て、パッド間のその中心間間隔は一定である。均一なパッドアレイと比較して、長尺状パッド510のパッド中心512は、均一なパッドアレイの、それに対応するパッドの中心5312からシフトしている。さらに、長尺状のパッド510は、その長軸がX軸に関して傾斜角α
1の長尺状であり、それによって長尺状パッド510はパッドアレイの中心502に向かう方向に長尺状である。長尺状パッド510は、長軸に沿って長さL
1の縁辺を有する。図の実施形態において、縁辺は線形である。幾つかの実施形態において、長尺状のパッド510の短い方の縁辺の幅は70μm未満であり、L
1は70μmより大きいが、他の適当な幅及び長さの組合せも使用され得る。
【0043】
パッドアレイ500内の各長尺状パッドは、傾斜角、パッド位置のシフト、パッドの幅及び/又は長さ等、異なる空間パラメータオフセットを有し得る。それゆえ、パッドアレイ500は不均一なアレイである。例えば、長尺状パッド520はその長軸がX軸に関する傾斜角α
2の長尺状であり、それによって長尺状パッド520はパッドアレイの重心512に向かう方向に長尺状である。長尺状パッド520は、長軸に沿って、同じ列内の長尺状パッド510のL
1とは異なり得る長さL
2の縁辺を有する。しかしながら、特定のパラメータの1つ又は複数は、アレイ内の他のパッドと異なり得る。
図5に示されるように、長尺状パッド510、520、530、540、550、及び560の傾斜角は、これらのパッドが同じ重心502に向かう形状であるため、単調に変化し、それによってパッド510、520、...560の各々は異なる傾斜角を有する。
【0044】
パッドアレイ500内の隣接する長尺状パッド間の間隔もまた不均一である。例えば、
図5に示される重心502に近い中央部分のパッド510とパッド520との間の最も近い間隔S
1は70μm未満であり得、他方で重心502から遠い外側部分のパッド510とパッド520との間の最も近い間隔S
1は70μm超であり得るが、他の適当な間隔も使用され得る。
【0045】
図5には長尺状パッドの2つの列が示されているが、この図は例示を目的としているにすぎず、パッドアレイは長尺状パッドの幾つかの列を有していてもよく、典型的には2よりはるかに多いと理解すべきである。また、各列には長尺状パッドの幾つの列でも提供できると理解すべきである。
図5はX及びY方向に沿った列と行の直交アレイに配置された列501、502の長尺状パッドを示しているが、このような配置は必須ではなく、それは、他のアレイ配置も使用可能であるからであり、これには同心円状又は六角形のアレイが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
図5中の長尺状パッド510の例示では隅部が丸い長方形が使用されているが、長尺状パッドの形状はそのように限定されないと理解すべきである。長尺状パッドのその他の形状の例には、
図6及び7に関して後述するように、多角形、円形、楕円形、又はレーストラック形が含まれる。
【0047】
図6A~6Cは、幾つかの実施形態による、プローブカードで使用され得る多角形の長尺状パッドの例を示す概略上面図である。
図6Aにおいて、参照番号610が付された包囲された太線は例示的なパッド610の境界を表し、長尺状パッド610が、長尺状パッド610のアレイの中心位置602に関して多角形であることを示している。長尺状パッド610の形状と位置は、製作公差に基づくものとCTEのミスマッチに基づくものの両方のパッド位置シフトを軽減するように設計される。
【0048】
図6Aでは、長尺状パッド610の形状は、正方形の形状611の経路616に沿った押出し加工に基づく。経路616は接触点612から始まり、そこでは低温T
1時に対応するプローブピンがパッドに接触する。プローブカードアセンブリ温度が変化して、プローブカードが高温T
2に達すると、パッド上のプローブピンの接触点は612’へとシフトする。したがって、経路616はパッド610の表面上のプローブピンの移動を表し、パッドアレイ全体の重心602から離れる方向に沿っている。本発明者らは、パッド610の形状を、移動経路616の全体を通じて、少なくともパッドの縁辺からプローブピンの接触点までの最小間隔を保持するような形状にすることによって、パッドをプローブピンの接触がパッドの外に出るリスクを最小限にできることに気付き、そのように認識した。図の実施形態では、間隔は、まず低温時の位置612に中心を置く正方形611を描き、この正方形を経路614に沿って、その中心が高温時の位置612’となるまでシフトさせることによって得られる。したがって、長尺状パッド610の全体の中心は、612と612’との間の中間点である位置614にあり、その結果、パッド縁辺からプローブピン接触点までの間隔は、正方形611の幅の約半分と、最小になる。
【0049】
長尺状のパッド610の押出し加工は2つの縁辺613を有し、その各々は経路616と平行であり、それらの長さは経路616と、又は
図4cに関して前述したd
CTE=D・|(CTE
1-CTE
2)・(T
1-T
2)|と等しく、式中、d
CTEは相対的熱膨張率によるパッド位置シフトの大きさである。縁辺は、長尺状パッドの長軸と傾斜角を画定する。幾つかの実施形態において、パッドの中心がシフトするため、パッド610から重心602までの距離Dは重心602からT
1又はT
2における2つの接触点の遠い方までの距離であり得る。
図6Aに示される例では、Dは602と接触点612’との間の距離であるが、Dを表すための他の何れの適当な方法も使用され得る。
【0050】
ある態様によれば、長尺状パッド610の幅W
yもまた、製作公差によるプローブピン-パッド位置シフトに対応できるように設計される。幾つかの実施形態において、W
yは、Max(Min_pad,δ
ab_y+δ
other_y)であり得、式中、Min_padは当業界で知られている加工技術によるプローブカードの製造プロセスで製造可能な最小パッドサイズである。δ
ab_yは、
図3aに関して前述し、製造されたプローブカードの実際の寸法と位置が標準化された環境条件で特徴付けられる較正手順で特定され、設計値と比較され得る回路基板の製造によるパッド位置誤差δ
abの量のy軸成分である。パッド位置誤差δ
abは、パッド610と中心602との間の距離Dに依存する。δ
other_yは距離Dに依存する他のパッド位置シフト誤差のy軸成分である。例えば、δ
otherは、パッド自体の製作中のパッドサイズ誤差、スクラブ長、ハウジングアラインメント等を説明し得る。δ
abと同様に、δ
otherは工場較正手順で特定され得る。
【0051】
611が完璧な正方形である必要はなく、幅Wx=Max(Min_pad,δab_x+δother_x)を有する長方形であり得ると理解すべきである。
【0052】
図6Bは、長尺状パッド610と同様であるが、1つ又は複数の空間パラメータに関して異なり得る他の例示的な長尺状パッド710を示している。長尺状パッド710は、パッドアレイの外側部分の中にあり得、パッドアレイの中央部分にあり得る
図6Aに示される長尺状パッド610と比較して、中心702からの距離Dがより長い。距離Dがより遠いことにより、長尺状パッド710の長さL
2もそれに比例してより長い。
【0053】
図6Cは、多くの点で長尺状パッド610と同様の他の例示的な長尺状パッド810を示す。低温時の位置812は中心802からx軸に沿っている。その結果、相対的なプローブピン移動の経路816はx方向から水平に延び、押出し加工は水平である。それゆえ、長尺状パッド810の全体的な形状は、W
y=Max(Min_pad,δ
ab_y+δ
other_y)及びW
x=Max(Min_pad,δ
ab_x+δ
other_x)+d
CTEを有する長方形である。
【0054】
図7は、幾つかの実施形態による、プローブカードで使用され得るレーストラック型の例示的な長尺状パッドを説明する概略上面図である。
図7では、参照番号910が付された太線は例示的なパッド910の境界を表す。長尺状パッド910の形状は、経路916に沿った半径rの円911を低温T
1での低温時接触点912から温度T
2での高温時接触点912’までの押出し加工に基づく。経路916は、パッド910の表面内のプローブピンの移動を表し、パッドアレイ全体の中心902とは反対に向かう方向に沿っている。したがって、パッド910の押し出されたレーストラック形状、又は長円形状では、プローブピン接触点とパッドの縁辺910との間の半径rの間隔が最小となる。
【0055】
長尺状のパッド910の押出し加工は2つの直線縁辺913を有し、各々が経路916に平行であり、その長さは経路616と、又は
図4cに関して前述したd
CTE=D・|(CTE
1-CTE
2)・(T
1-T
2)|と等しく、式中、d
CTEは相対的熱膨張率を説明するパッド位置シフトの大きさである。線形の縁辺は、長尺状パッド910の長軸と傾斜角を画定する。
【0056】
半径rは、製作公差に対応するように設計され得る。幾つかの実施形態において、r=Max(Min_pad,δab/2+δother/2)である。
【0057】
図8は、幾つかの実施形態による、プローブカード上のパッドアレイ1000の一部を説明する概略図である。
図8には、X及びY軸に沿って配置された完全なアレイのうちの11行×11列の部分的パッドアレイが示され、完全なパッドアレイの中心は原点にある。アレイ1000内の各パッドは、本願において開示された態様により設計された長尺状パッドであり、個別に設計されたパッド形状及びパッド中心位置を有する。図の例において、各パッドは多くの点で
図9に示されるパッド910と同様のレーストラック形状を有する。
【0058】
以上、本発明の少なくとも1つの実施形態の幾つかの態様を説明したが、当業者であれば様々な変更、改変、及び改良を容易に着想するであろうと理解されたい。
【0059】
例えば、長尺状のパッド形状の2つの主な形状(多角形及びレーストラック)が例として開示されているが、本願の態様はパッド形状の点でそのように限定されないと理解すべきである。プローブカードは、他の形状パッドでも製作され得る。プローブカードにおいて、パッドはプローブカード内の1つのパッドアレイの中で異なる形状を有し得る。例えば、異なるパッド形状は異なる機能を果たし得る。特定の例として、電源/アースパッドは信号パッドと比較して、より大きい大きさ及び面積を有し得る。幾つかの実施形態において、大型の電源/アースパッドは長方形又は多角形の形状を有し得て、楕円又は長円形状を有し得る信号パッドより大型であり得る。
【0060】
かかる変更、改変、及び改良は本開示の一部であるものとし、本発明の主旨と範囲に含まるものとする。さらに、本発明の利点が示されているが、本明細書に記載の技術の全ての実施形態が説明された全ての利点を含んでいるわけではないと理解すべきである。幾つかの実施形態は、本明細書において有利であると説明された何れの特徴も実現しないかもしれず、また、幾つかの例では、説明された特徴の1又は複数がまた別の実施形態を実現するために実装され得る。したがって、上述の説明と図面は例にすぎない。
【0061】
本発明の各種の態様は単独で、組み合わせて、又は上で説明した実施形態の中で具体的には論じられていない様々な配置で使用され得るため、上の説明文に記され、又は図面中に描かれているコンポーネントの詳細及び配置にその用途が限定されることはない。例えば、1つの実施形態に記載されている態様は、他の実施形態に記載されている態様とあらゆる方法で組み合わせ得る。
【0062】
また、本発明は方法として具現化されてもよく、その例を提供した。方法の中で実行される行為は何れの適当方法で順序が付けられてもよい。したがって、行為が例示されたものとは異なる順序で行われる実施形態が構成されてもよく、これには、幾つかの行為を、たとえ例示的実施形態では逐次的な行為として示されていても、同時に行うことも含み得る。
【0063】
特許請求の範囲の中である請求対象要素を修飾するために「第一の」、「第二の」、「第三の」等の順位を示す用語が使用されている場合、それ自体は1つの請求対象要素の他の要素に対する優先性、優位性、若しくは順位、又は方法の中の行為が実行される時間的順番を一切示さず、特定の名称を有する1つの請求対象要素を、その請求対象要素を区別するために同じ名称を有する(ただし、順位を示す用語の使用を除く)他の要素から区別するための単なる標識として使用されている。
【0064】
「ほぼ」及び「約」という用語は、幾つかの実施形態においては目標値の±20%以内、幾つかの実施形態においては目標値の±10%以内、幾つかの実施形態においては目標値の±5%以内、さらに幾つかの実施形態においては目標値の±2%以内を意味するために使用され得る。「ほぼ」及び「約」という用語は目標値を含み得る。
【0065】
また、本明細書で使用される語句と用語は説明を目的としており、げてぃ的とみなされるべきではない。本明細書における「~を含む」又は「有する」(including、comprising、having、containing、involving)及びその変化形は、それに続いて列挙される項目及びその等価物のほか、追加的項目も包含するものとする。
【国際調査報告】